JP2012060295A - 伝達関数調整装置、伝達関数調整プログラムおよび伝達関数調整方法 - Google Patents

伝達関数調整装置、伝達関数調整プログラムおよび伝達関数調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ピークおよびディップを抑制するとともに、調整後も周波数特性全体を大きく変更することなく、安定性を確保できる伝達関数調整装置を提供する。
【解決手段】伝達関数の周波数振幅特性を算出する周波数振幅特性算出手段と、周波数振幅の平均値を算出する周波数振幅平均値算出手段と、閾値を超えるピーク(ディップ)を周波数振幅特性から抽出するピーク・ディップ抽出手段と、全ピーク(ディップ)のうち周波数振幅の平均値からの乖離が最大である1つのピーク(ディップ)を有する伝達関数を補正対象伝達関数と決定し、当該ピーク(ディップ)を補正対象として決定する補正対象決定手段と、補正対象に対応した周波数の正規化周波数との差が最小である偏角を有する伝達関数の極および零点の一方を制御対象に決定する制御対象決定手段と、制御対象を補正対象が閾値内に収まる最終位置まで移動させる制御対象移動手段と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は伝達関数調整装置、伝達関数調整プログラムおよび伝達関数調整方法に係り、特に、パルス伝達関数のピークおよびディップを抑制するとともに、補正後のパルス伝達関数の周波数特性全体を大きく変更することなく、かつ安定性を確保することが可能な伝達関数調整装置、伝達関数調整プログラムおよび伝達関数調整方法に関する。
従来から、スピーカから放出される声音によって形成される音像を、聴取者を中心とする所定の方向、例えば聴取者の斜め後ろ方向に定位させるために、フィルタリング処理した後の電気信号をスピーカに出力する技術が知られている。
しかし、フィルタリング処理に使用するフィルタの周波数振幅特性に局所的なピークもしくはディップが存在すると、声音中にノイズが発生するおそれがあるので、ノイズを抑制するために周波数振幅特性上のピークもしくはディップを抑制する伝達関数の調整方法がすでに提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
特許文献1には、(1)発音源であるスピーカに対する聴取者の頭の位置を所定範囲内で変更して複数の頭部インパルス応答を測定し、(2)各インパルス応答の最初のピーク位置を揃えたのち、複数の頭部インパルス応答の振幅および位相を合わせて平均化処理することにより、聴取者が頭の位置を動かした場合にも音像定位位置の変動を少なくする伝達関数の調整方法が開示されている。
また、特許文献2には、(1)種々の音像定位位置に対応する頭部伝達関数を測定して、(2)そのインパルス応答を算出し、(3)インパルス応答をFFT変換して頭部伝達関数の周波数応答を求め、(4)この周波数応答に対し臨界帯域幅に応じた幅で移動平均処理を行い、(5)移動平均処理を施した周波数応答を逆FFT変換して信号変換回路のインパルス応答を求めることにより、音像定位に必要な情報を残しつつ、不要なピークおよびディップを除去する伝達関数の調整方法が開示されている。
特開2006−279863号公報(段落[0009]、[図2]) 特許第2755081号公報(段落[0008]、[図2])
しかしながら、上記特許文献に提案されている調整方法は、伝達関数の周波数特性が大幅に変化する結果音色にまで影響を及ぼしてしまうおそれがあるだけでなく、調整後の伝達関数の安定性は保証されないという課題を有している。
すなわち、上記方法は時間領域あるいは周波数領域で平均化を行いピークおよびディップの除去をするものであり、伝達関数の極および零点の位置は考慮外であるためピークおよびディップを除去した結果伝達関数の極がZ平面の原点を中心とする単位円外に移動する可能性もあり、伝達関数の安定性は保証されない。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、元の伝達関数の特性をできる限り維持してピークおよびディップを抑制するよう調整できるとともに、調整後の伝達関数の安定性を確保することの可能な伝達関数調整装置、伝達関数調整方法および伝達関数調整プログラムを提供することを目的とする。
本発明に係る伝達関数調整装置は、少なくとも1つの伝達関数の周波数振幅特性を算出する周波数振幅特性算出手段と、前記伝達関数ごとに前記周波数振幅の平均値を算出する周波数振幅平均値算出手段と、前記伝達関数ごとに予め定められたピーク閾値を超える前記周波数振幅の平均値を基準としたピークおよび予め定められたディップ閾値を超える前記周波数振幅の平均値を基準としたディップの少なくとも一方を前記周波数振幅特性から抽出するピーク・ディップ抽出手段と、すべての前記伝達関数の中で、前記ピークおよび前記ディップのうち前記周波数振幅の平均値からの乖離が最大である1つのピークまたはディップを有する伝達関数を補正対象伝達関数として決定するとともに当該ピークまたはディップを補正対象として決定する補正対象決定手段と、前記補正対象に対応した周波数の正規化周波数との差が最小である偏角を有する前記少なくとも1つの伝達関数の極および零点の一方を制御対象に決定する制御対象決定手段と、前記制御対象を前記補正対象がピーク閾値またはディップ閾値内に収まる最終位置まで予め定めた規則に従って移動させる制御対象移動手段と、を備える。
本発明によれば、周波数特性全体を大きく変更することなく、ピークおよびディップを抑制できることとなる。
本発明に係る伝達関数調整装置は、前記制御対象決定手段が、前記補正対象伝達関数と前記補正対象伝達関数以外の伝達関数である補正対象外伝達関数とが極または零点を共有し、前記補正対象伝達関数と前記補正対象外伝達関数とが前記補正対象に対応する周波数においてピークまたはディップを有するときは、前記補正対象伝達関数および前記補正対象外伝達関数の極および零点の中から制御対象を決定するものである。
本発明によれば、複数の伝達関数を同時に調整することができることとなる。
本発明に係る伝達関数調整装置は、前記制御対象移動手段が前記制御対象を前記単位円の円周を横切らず、かつ、前記Z平面の実軸を横切らない範囲で移動させる。
本発明によれば、伝達関数の安定性を確保するとともに、インパルス応答特性が変化することを防止することができることとなる。
本発明に係る伝達関数調整装置は、前記制御対象移動手段が、
前記補正対象がピークであり、前記制御対象が極である場合は、前記制御対象を前記補正対象の正規化周波数に対応する前記単位円上の点から遠ざけ、
前記補正対象がピークであり、前記制御対象が零点である場合は、前記制御対象を前記補正対象の正規化周波数に対応する前記単位円上の点に近付け、
前記補正対象がディップであり、前記制御対象が極である場合は、前記制御対象を前記補正対象の正規化周波数に対応する前記単位円上の点に近付け、
前記補正対象がディップであり、前記制御対象が零点である場合は、前記制御対象を前記補正対象の正規化周波数に対応する前記単位円上の点から遠ざけるものである。
本発明によれば、補正対象がピーク、ディップのいずれであるかに応じ、制御対象が極、零点のいずれであるかに応じ、適切な処理を選択することが可能となる。
本発明に係る伝達関数調整装置は、前記制御対象移動手段が、前記制御対象を、前記制御対象と前記補正対象の正規化周波数に対応する前記単位円上の点とを結ぶ直線上で移動させるものである。
本発明によれば、極および零点の移動による影響を局所化できることとなる。
本発明によれば、調整による振幅特性および位相特性への影響を局所的に限定しかつ安定性を維持しつつ、伝達関数の周波数振幅特性に存在するピークおよびディップを抑制できることとなる。
本発明に係る伝達関数調整装置として動作する汎用コンピュータのハードウエア構成を示すブロック図である。 伝達関数調整プログラムのフローチャートである。 4つの伝達関数の周波数振幅応答を示すグラフである。 制御対象決定処理のフローチャートである。 制御対象の決定方法を説明するためのグラフである。 本発明に係る伝達関数調整装置を使用した1つのパルス伝達関数のピークを抑制する調整例を示すグラフである。
図1は、本発明に係る伝達関数調整装置として動作する汎用コンピュータ1のハードウエア構成を示すブロック図である。
すなわち、汎用コンピュータ1は、プログラムを実行するCPU11と、CPU11が実行するプログラムを記憶するプログラムメモリ12と、CPU11の処理するデータを記憶するデータメモリ13と、周辺機器接続用のインターフェイス14と、CPU11、プログラムメモリ12、データメモリ13およびインターフェイス14を相互に接続するバス15と、から構成される。
さらに、汎用コンピュータ1は、インターフェイス14を介してバス15に接続される周辺機器として、ディスクドライブ16、キーボード17、ポインティングデバイス18およびディスプレイ19を含む。
すなわち、汎用コンピュータ1は、例えばCD−ROMである所定のメディアに記録された伝達関数調整プログラムを、ディスクドライブ16を使用して読み込み、プログラムメモリ12に記憶する。
そして、汎用コンピュータ1は、プログラムメモリ12に記憶された伝達関数調整プログラムを実行することにより伝達関数調整装置として機能する。
以下、伝達関数調整プログラムのフローチャートを参照しつつ、伝達関数調整装置の動作を説明する。
図2は伝達関数調整プログラムのフローチャートであって、CPU11は、まず調整対象となるパルス伝達関数のパラメータを入力する(ステップS21)。
この入力形式は特に限定されないが、例えば[数1]で表されるパルス伝達関数A(z)の次数(n,m)ならびに係数(a,a,・・・an−1,a)および(b,b,・・・bm−1,b)を読み込む方法を適用できる。
Figure 2012060295
他の方法としては、時間領域におけるインパルス応答を読み込み、このインパルス応答をz変換して周波数応答を求め、この周波数応答からパルス伝達関数A(z)を同定するようにしてもよい。
なお、周波数応答を直接読み込むようにしても、時間領域におけるインパルス応答から直接パルス伝達関数A(z)を同定するようにしてもよい。
次に、CPU11は、パルス伝達関数A(z)の周波数振幅特性を周波数の所定範囲(例えば5Hz〜20KHz、通常サンプリング周波数とサンプル数で定まる範囲)で算出する(ステップS22)。
図3は4つのパルス伝達関数A(z)、A(z)、A(z)およびA(z)を同時に調整する場合において、パルス伝達関数A(z)、A(z)、A(z)およびA(z)の周波数振幅応答を示すグラフである。
複数のパルス伝達関数を同時に調整する場合の例としては、バイノーラル録音をトランスオーラルシステムで再生するときに使用する逆フィルタを設計する場合を挙げることができる。
なお、逆フィルタの設計においては、4つのパルス伝達関数A(z)、A(z)、A(z)およびA(z)は通常[数2]で表すことが可能であるか、もしくは伝達関数の一部として[数2]を含んでいる場合が多い。
Figure 2012060295
そして、CPU11は、すべてのパルス伝達関数の周波数振幅の平均値を算出する(ステップS23)。
図3の場合は、4つのパルス伝達関数A(z)、A(z)、A(z)およびA(z)のそれぞれの周波数振幅の平均値Aav、Aav、AavおよびAavが算出される。
次に、CPU11は、パルス伝達関数の周波数振幅特性のそれぞれについて、ピークおよびディップの抽出を行う(ステップS24)。
第1のパルス伝達関数A(z)を例として、ピークおよびディップの抽出方法を説明する。
すなわち、周波数の所定範囲において予め定められた周波数幅Δfごとに振幅値(z)を求め、極大値をピーク(P11、P12)として、極小値をディップ(D11、D12)として抽出する。通常、周波数幅Δfはサンプリング周波数とサンプル数より定まる一定の値となる。
他のパルス伝達関数A(z)、A(z)およびA(z)についても、同様にピークおよびディップの抽出を行う。
次に、CPU11は、ピークの中に、予め定められた値であるピーク閾値Pthを超える周波数振幅の平均値Aavを基準とするピークがあるか否か、また、ディップの中に、予め定められた値であるディップ閾値Dthを超える周波数振幅の平均値を基準とするディップがあるか否かを判定する(ステップS25)。
図3においては、パルス伝達関数A(z)は、ピーク閾値Pthを超えるピークP12およびディップ閾値Dthを超えるディップD12を有するので、CPU11は肯定判定をしてステップS26に進む。
他のパルス伝達関数A(z)、A(z)およびA(z)についても同様の判定を行い、いずれかのパルス伝達関数にピーク閾値Pthを超えるピークもしくはディップ閾値Dthを超えるディップがある場合はステップS26に進む。
なお、図3の例においては、他のパルス伝達関数A(z)、A(z)およびA(z)は、それぞれピーク閾値Pthを超えるピークP21、P22、P32およびP42、ならびにディップ閾値Dthを超えるディップD22およびD41を有するものとする。
CPU11は、ピーク閾値Pthを超えるピークならびにディップ閾値Dthを超えるディップの中から各パルス伝達関数の周波数振幅の平均値からの乖離が最大であるピークあるいはディップを補正対象に決定する(ステップS26)。
図3においては、第1のパルス伝達関数A(z)のピークP12が補正対象と、第1のパルス伝達関数A(z)が補正対象伝達関数となる。
次に、CPU11は、制御対象を決定する(ステップS27)。
図4は、CPU11がステップS27で実行する制御対象決定処理のフローチャートである。
まずCPU11は、調整対象のパルス伝達関数が1つであるか否かを判定する(ステップS271)。
CPU11は、調整対象が1つであると判定した場合には、制御対象の探索範囲を補正対象伝達関数の極および零点に設定する(ステップS272)。
CPU11は、調整対象は1つでないと判定した場合には、全パルス伝達関数が極あるいは零点を共有しているか否かを判定する(ステップS273)。
[数2]で表される逆フィルタの例では、4つのパルス伝達関数A(z)、A(z)、A(z)およびA(z)は共通の分母Ad(z)を有しているので、Ad(z)=0の根を極として共有していることとなる。
CPU11は、全パルス伝達関数が極および零点を共有していないと判定した場合は、調整対象は補正対象伝達関数1つであるとみなして、制御対象の探索範囲を補正対象伝達関数の極および零点に設定する(ステップS272)。
CPU11は、全パルス伝達関数が極もしくは零点を共有していると判定した場合は、補正対象伝達関数であるパルス伝達関数以外の他のパルス伝達関数(補正対象外伝達関数)が、補正対象に対応する周波数(補正対象周波数fo)において補正対象がピークである場合はピークを、補正対象がディップである場合はディップを有するか否かを判定する(ステップS274)。
なお、補正対象外伝達関数がピークあるいはディップを有するか否かを判定する際の閾値としては上述したピーク閾値Pthまたはディップ閾値Dthより小さい副ピーク閾値pthまたは副ディップ閾値dthを使用するものとする。すなわち、Pth>pth>0、Dth>dth>0とする。
図3の場合には、第1のパルス伝達関数A(z)のピークP12に対応する周波数f13において、他のパルス伝達関数A(z)、A(z)およびA(z)も平均値Aav、AavおよびAavから予め定めた副ピーク閾値pth乖離したピークを有するか否かを判定する。
CPU11は、すべての補正対象外伝達関数が補正対象周波数においてピークあるいはディップを有すると判定した場合は、制御対象の探索範囲を補正対象伝達関数および補正対象外伝達関数の極および零点のうち補正対象伝達関数およびすべての補正対象外伝達関数が共有する極および零点に設定する(ステップS275)。
[数2]で表される逆フィルタの例では、探索範囲は、4つのパルス伝達関数A(z)、A(z)、A(z)およびA(z)に共通する極、すなわちAd(z)=0の根となる。
CPU11は、すべての補正対象外伝達関数が補正対象周波数においてピークあるいはディップを有していないと判定した場合は、調整対象は補正対象伝達関数1つであるとみなして、制御範囲の探索範囲を補正対象伝達関数の極および零点のうち補正対象伝達関数とすべての補正対象外伝達関数が共有していない極および零点に設定する(ステップS276)。
[数2]で表される逆フィルタの例では、探索範囲は、4つのパルス伝達関数A(z)、A(z)、A(z)およびA(z)に共通でない零点、例えばA'(z)=0の根となる。
CPU11は、ステップS272、ステップS275またはステップS276で探索範囲を設定した後に、探索範囲の中から制御対象を決定する(ステップS277)。
CPU11は、補正対象周波数foの正規化補正対象周波数Foを算出する。
図3の場合には、第1のパルス伝達関数A(z)のピークP12に対応する周波数f13が補正対象周波数foに決定される。
ここで、正規化周波数とは、サンプリング周波数fsで正規化した周波数をいう。例えば、補正対象周波数foが4KHz、サンプリング周波数fsが48KHzである場合には、(4000/48000)×2π=π/6が正規化補正対象周波数Foとなる。この値は弧度法表記における単位円上の偏角に一致する。
CPU11は、正規化補正対象周波数Foとの差が最小である偏角を有する探索範囲内の極および零点の一方を制御対象に決定する。
図5は、制御対象の決定方法を説明するためのグラフであって、円41はZ平面の原点Oを中心とする単位円、点Qは正規化補正対象周波数Foを偏角とする単位円上の点である。
また、図5において、点Rは探索範囲内に含まれる極の1つで、その偏角が正規化補正対象周波数Foに最も近い極を、点Sは探索範囲内に含まれる零点の1つで、その偏角が正規化補正対象周波数Foに最も近い零点を表すものとする。
そして、点Rの偏角をωR、点Sの偏角をωSとすると、図5の場合には[数3]が成り立つ。
Figure 2012060295
したがって、図5の場合には、正規化補正対象周波数Foとの差が最小である偏角を有する探索範囲内に含まれる極および零点の1つである極Rが制御対象として決定される。ただし、探索範囲が極のみである場合は極が、零点のみである場合は零点が制御対象として決定される。
なお、制御対象の決定に際し、正規化補正対象周波数Foに対応する単位円上の点Qに対してZ平面の実軸(横軸)を挟んで位置する極または零点は偏角の差が詐称であるとしても制御対象としては決定しないものとする。
CPU11は、制御対象を決定した後に、補正対象がピーク閾値Pthとディップ閾値Dthで規定される帯域内に入る制御対象の位置である最終位置に向けて、以下に定める規則に従って制御対象をZ平面内で移動させる(ステップS28)。
規則1
1−1:制御対象を、単位円を越えて移動させない。
制御対象は単位円の内部にあることが普通であるが、その場合は制御対象を単位円の外側に移動させない。これは伝達関数が不安定となることを防止するためである。
また、制御対象が単位円の外側にある場合であっても、制御対象を単位円の内側に移動させない。これは時間領域の特性が大きく変化することを防止するためである。
1−2:制御対象を、Z平面の実軸(横軸)を越えて移動させない。
すなわち、制御対象が第1または第2象限に存在する場合は、制御対象を第4または第3象限に移動させない。これは極および零点は実軸に対して線対称に配置されているので、実軸を越えて移動させる必要は通常ありえないからである。
なお、Z平面の虚軸(縦軸)を超える移動、すなわち、第1象限と第2象限間の移動、第3象限と第4象限間の移動は許容する。
規則2
2−1:補正対象がピークであって、制御対象が極Rであるときは、極Rを点Qから遠ざけるように移動する。
2−2:補正対象がピークであって、制御対象が零点Sであるときは、零点Sを点Qに近付けるように移動する。
2−3:補正対象がディップであって、制御対象が極Rであるときは、極Rを点Qに近付けるように移動する。
2−4:補正対象がディップであって、制御対象が零点Sであるときは、極Sを点Qから遠ざけるように移動する。
規則2においては制御対象を、点Qに近ける、または点Qから遠ざけるように移動させれば、その移動方向は特に規定されない。
なお、規則2に代えて規則3を適用してもよい。
規則3
3−1:補正対象がピークであって、制御対象が極Rであるときは、極Rを直線RQ上で点Qから遠ざけるように移動する。
3−2:補正対象がピークであって、制御対象が零点Sであるときは、零点Sを直線SQ上で点Qに近付けるように移動する。
3−3:補正対象がディップであって、制御対象が極Rであるときは、極Rを直線RQ上で点Qに近付けるように移動する。
3−4:補正対象がディップであって、制御対象が零点Sであるときは、零点Sを直線SQ上で点Qから遠ざけるように移動する。
すなわち、図5の場合は、補正対象がピークであり、制御対象が極Rであるため、極Rを点Qから遠ざけるように移動する。
ただし、補正対象がピーク閾値Pth以下となる極Rの移動量を解析的に求めることはできない。
そこで、実際には、極Rを所定の移動量ΔLだけ移動させて周波数振幅特性を計算し、ピークP12がピーク閾値Pth以下となったか否かを判定し、ピークP12がピーク閾値Pth以下となっていない場合には伝達関数調整プログラムを繰り返し実行するという再帰的な手法を適用する。
したがって、CPU11は、ステップS28を実行した後ステップS21に戻り、すべてのパルス伝達関数数振幅特性から、ピーク閾値Pthを超えるピークおよびディップ閾値Dthを超えるディップがなくなるまで、伝達関数調整プログラムを繰り返し実行する。
なお、移動量ΔLは予め定められた一定値であってもよいし、一定の規則(例えば「ピークP12の振幅比を極Rの移動前後でkdB減少させる」という規則)により決定される値であってもよい。
図6は、本発明に係る伝達関数調整装置を使用した1つのパルス伝達関数のピークを抑制する調整例を示すグラフであって、上2つは調整前の周波数振幅特性および周波数位相特性を、下2つは調整後の周波数振幅特性および周波数位相特性を示す。また、調整前の著しいピークおよび調整後に著しく抑制されたピークを○で囲んでいる。
本例によれば、周波数振幅特性中に正規化周波数(π/3)近傍に存在するピーク値は、調整前は平均値0dBを基準として約+40dBであるが、調整後は約+20dBに半減されている。
さらに、このピーク抑制による周波数振幅特性および周波数位相特性への影響は正規化周波数で(π/3)周辺の帯域に限定されており、他の帯域への影響はわずかである。
すなわち、本発明に係る伝達関数調整装置によれば、調整による周波数振幅特性および周波数位相特性への影響を局所的に限定し、かつ、安定性を維持しつつ、パルス伝達関数の周波数振幅特性のピークおよびディップを抑制できる。
本発明は、パルス伝達関数のピークおよびディップの抑制を目的として調整可能であり、例えばトランスオーラル再生用のフィルタの設計ツールとして有用である。
1...汎用コンピュータ
11...CPU
12...プログラムメモリ
13...データメモリ
14...インターフェイス
15...バス
16...ディスクドライブ
17...キーボード
18...ポインティングデバイス
19...ディスプレイ

Claims (7)

  1. 少なくとも1つの伝達関数の周波数振幅特性を算出する周波数振幅特性算出手段と、
    前記伝達関数ごとに、前記周波数振幅の平均値を算出する周波数振幅平均値算出手段と、
    前記伝達関数ごとに、予め定められたピーク閾値を超える前記周波数振幅の平均値を基準としたピークおよび予め定められたディップ閾値を超える前記周波数振幅の平均値を基準としたディップの少なくとも一方を、前記周波数振幅特性から抽出するピーク・ディップ抽出手段と、
    すべての前記伝達関数の中で、前記ピークおよび前記ディップのうち前記周波数振幅の平均値からの乖離が最大である1つのピークまたはディップを有する伝達関数を補正対象伝達関数として決定するとともに、当該ピークまたはディップを補正対象として決定する補正対象決定手段と、
    前記補正対象に対応した周波数の正規化周波数との差が最小である偏角を有する前記少なくとも1つの伝達関数の極および零点の一方を制御対象に決定する制御対象決定手段と、
    前記制御対象を前記補正対象がピーク閾値またはディップ閾値内に収まる最終位置まで予め定めた規則に従って移動させる制御対象移動手段と、を備える伝達関数調整装置。
  2. 前記制御対象決定手段が、前記補正対象伝達関数と前記補正対象伝達関数以外の伝達関数である補正対象外伝達関数とが極または零点を共有し、前記補正対象伝達関数と前記補正対象外伝達関数とが前記補正対象に対応する周波数においてピークまたはディップを有するときは、前記補正対象伝達関数および前記補正対象外伝達関数の極および零点の中から制御対象を決定するものである請求項1に記載の伝達関数調整装置。
  3. 前記制御対象移動手段が、前記制御対象を、前記単位円の円周を横切らず、かつ、前記Z平面の実軸を横切らない範囲で移動させるものである請求項1または請求項2に記載の伝達関数調整装置。
  4. 前記制御対象移動手段が、
    前記補正対象がピークであり、前記制御対象が極である場合は、前記制御対象を前記補正対象の正規化周波数に対応する前記単位円上の点から遠ざけ、
    前記補正対象がピークであり、前記制御対象が零点である場合は、前記制御対象を前記補正対象の正規化周波数に対応する前記単位円上の点に近付け、
    前記補正対象がディップであり、前記制御対象が極である場合は、前記制御対象を前記補正対象の正規化周波数に対応する前記単位円上の点に近付け、
    前記補正対象がディップであり、前記制御対象が零点である場合は、前記制御対象を前記補正対象の正規化周波数に対応する前記単位円上の点から遠ざけるものである請求項3に記載の伝達関数調整装置。
  5. 前記制御対象移動手段が、
    前記制御対象を、前記制御対象と前記補正対象の正規化周波数に対応する前記単位円上の点とを結ぶ直線上で移動させるものである請求項4に記載の伝達関数調整装置。
  6. コンピュータで、
    少なくとも1つの伝達関数の周波数振幅特性を算出する周波数振幅特性算出処理と、
    前記伝達関数ごとに、前記周波数振幅の平均値を算出する周波数振幅平均値算出処理と、
    前記伝達関数ごとに、予め定められたピーク閾値を超える前記周波数振幅の平均値を基準としたピークおよび予め定められたディップ閾値を超える前記周波数振幅の平均値を基準としたディップの少なくとも一方を、前記周波数振幅特性から抽出するピーク・ディップ抽出処理と、
    すべての前記伝達関数の中から、前記ピークおよび前記ディップの中から前記周波数振幅の平均値からの乖離が最大である1つのピークまたはディップを有する伝達関数を補正対象伝達関数として決定するとともに、当該ピークまたはディップを補正対象として決定する補正対象決定処理と、
    前記補正対象に対応した周波数の正規化周波数との差が最小である偏角を有する前記少なくとも1つの伝達関数の極および零点の一方を制御対象に決定する制御対象決定処理と、
    前記制御対象を前記補正対象がピーク閾値またはディップ閾値内に収まる最終位置まで予め定めた規則に従って移動させる制御対象移動処理と、を行う伝達関数調整プログラム。
  7. 少なくとも1つの伝達関数の周波数振幅特性を算出する周波数振幅特性算出段階と、
    前記伝達関数ごとに、前記周波数振幅の平均値を算出する周波数振幅平均値算出段階と、
    前記伝達関数ごとに、予め定められたピーク閾値を超える前記周波数振幅の平均値を基準としたピークおよび予め定められたディップ閾値を超える前記周波数振幅の平均値を基準としたディップの少なくとも一方を、前記周波数振幅特性から抽出するピーク・ディップ抽出段階と、
    すべての前記伝達関数の中から、前記ピークおよび前記ディップの中から前記周波数振幅の平均値からの乖離が最大である1つのピークまたはディップを有する伝達関数を補正対象伝達関数として決定するとともに、当該ピークまたはディップを補正対象として決定する補正対象決定段階と、
    前記補正対象に対応した周波数の正規化周波数との差が最小である偏角を有する前記少なくとも1つの伝達関数の極および零点の一方を制御対象に決定する制御対象決定段階と、
    前記制御対象を前記補正対象がピーク閾値またはディップ閾値内に収まる最終位置まで予め定めた規則に従って移動させる制御対象移動段階と、を含む伝達関数調整方法。
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