JP2012057692A - マイクロバルブ - Google Patents

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一法 高橋
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Abstract

【課題】静電駆動バルブを改良する。
【解決手段】駆動弁孔26をもつ駆動弁20を挟んでその両側に櫛歯形状の一対の駆動電極16〜19を設ける。駆動電極16〜19への印加電極により、駆動弁孔26が出口弁孔25aの軸上の位置にくる全開状態、及び駆動弁20が弁体25から離れ、かつ駆動弁孔26が出口弁孔25aの軸上の位置から外れた位置にくる部分開状態をとりうるように、駆動弁20は支持部21により出口弁孔25aの軸方向とそれに垂直な方向とに移動可能に支持されている。
【選択図】図1

Description

本発明は流体制御バルブに関し、特に静電引力によりバルブを駆動して気体又は液体からなる流体の流れを制御する静電駆動方式のマイクロバルブに関する。
流体制御バルブには、高い流体圧力で使用できることと、制御できる流量範囲が広いことが求められる。
電気駆動の流体制御バルブはその駆動方法によって、電磁駆動方式、圧電駆動方式及び静電駆動方式に分けられる。
電磁駆動方式は、直流ソレノイドなど電磁力を用いたアクチュエータでバルブを駆動する方法である。大きな力と大きなストロークが得られる反面、常にコイルに電流を流さなければならないため消費電力が大きいことやアクチュエータが小型化できない問題がある。
圧電駆動方式は、圧電素子アクチュエータを用いてバルブを駆動する方法である。圧電素子アクチュエータには積層型とバイモルフ型がある。積層型圧電アクチュエータを用いたバルブは、ストロークは小さいが大きな力が得られ、消費電力は電磁駆動方式に比べ極めて小さい。バイモルフ型圧電アクチュエータを用いたバルブは、大きさは直流ソレノイドを用いたバルブに比べて小さいとはいえ、アクチュエータの駆動方向の長さが変位の1000倍程度必要である。また湿度に対して特性が変化する、素子の価格が比較的高い、組立て及び調整に手間がかかるなどの問題がある。
静電駆動方式は、対向電極間に働く静電引力を用いてバルブを駆動する方式である。力は電磁駆動方式や圧電駆動方式に比べて小さく、ストロークは電磁駆動方式に比べ小さい。しかし消費電力は極めて小さく、半導体製造技術を用いればバルブ素子とアクチュエータ部分を一括製作できるため、小型化と低コスト化が可能である(特許文献1、非特許文献1、2参照。)。
[従来の構造]
従来の静電駆動バルブを図15に示す。
流体出口となる弁孔5の周囲に弁体となるバルブ突起部3が設けられ、突起部3上にはバルブを開閉するダイアフラム2が配置されている。ダイアフラム2は弾性をもち、ばねの機能を兼ねている。流体をバルブに導入するために導入孔1が設けられている。バルブの開閉を駆動するために、固定電極7に対向してダイアフラム2上には駆動電極6が取り付けられている。
このバルブにおいて、導入孔1から流体がバルブに入ると、(A)のようにダイアフラム2をバルブ突起部3に押し付ける流体の圧力による力4が発生し、弁孔5が実質的閉状態になる。ここで、駆動電極6と固定電極7に電圧を印加すると、電極6,7間に静電引力8が発生する。静電引力8が流体の圧力による力より大きくなると、(B)のようにダイアフラム2が固定電極7側に動き、弁孔5とダイアフラム2に隙間ができて流体が流れる。
ここで「実質的閉状態」とは、「実質的閉状態」におけるバルブ下流への流体の内漏れが使用上問題にならない程度に小さい状態であることを意味する。この内漏れは例えばフルスケール流量の2%以下である。
特開2004−33290号公報
IEEE Micro Electro Mechanical Systems, 1990. Proceedings, An Investigation of Micro Structures, Sensors, Actuators, Machines and Robots, 1990, pp. 95-98. Solid-State Sensor and Actuator Workshop, 1990. 4th Technical Digest., IEEE, 1990, pp. 123-127.
バルブが広い制御範囲をもつためには、ストロークは大きい方がよい。しかし、図15に示されたような従来の静電駆動バルブは、駆動力もストロークも小さい。これは、駆動電極が平行平板型静電アクチュエータを構成しているからである。具体的には、可動電極6を支えるばねのばね定数が一定で、静電引力とばねによる力以外に力が働かないとすると、ばねのばね定数が実用上一定と見なせる場合、可動電極6が固定電極7に接触しない状態で静的な安定が保たれるのは、ストロークが電極間初期ギャップの1/3以下の範囲に限られる。そのため、通常使用される100V以下の電圧では、変位量は数μmより大きくすることは困難である。
電極間初期ギャップを広げるとストロークは大きくなるが、初期の駆動力は電極間初期ギャップに反比例するため駆動力が小さくなり、十分な力を出すことができない。
駆動力を大きくするためにはバルブの駆動電圧を高くするか、電極の面積を大きくすればよい。しかし駆動電圧は電極間の放電が起こらない範囲に制限されるためいくらでも大きくできるものではない。また、電極の面積を大きくすることは、小型化と逆行するため好ましくない。よって従来の静電駆動バルブには広い制御範囲をもつことは困難であるという問題があった。
そこで、本発明は静電駆動バルブのこのような問題を解決することを目的とするものである。
上記の目的を達成するため本発明の静電駆動バルブは、電極形状を櫛歯状にしたアクチュエータを採用する。さらに本発明の静電駆動バルブは、電圧を印加しない場合にバルブが実質的閉状態になるようにし、櫛歯型静電アクチュエータを用いて、駆動弁を弁孔軸方向と弁孔軸に対して垂直方向の2方向に移動させることにより開状態となるようにバルブを駆動する。
本発明のマイクロバルブは、流体出口となる出口弁孔をもつ弁体と、駆動弁孔をもつ駆動弁と、駆動弁を移動可能に支持する支持部と、駆動弁の移動を駆動する駆動電極と、流通させようとする流体を導入する流体導入部とを備えている。
支持部は、駆動弁のうち駆動弁孔以外の部分が弁体に接触して出口弁孔を塞ぐ実質的全閉状態、駆動弁が弁体から離れ、かつ駆動弁孔が出口弁孔の軸上の位置にくる全開状態、及び駆動弁が弁体から離れ、かつ駆動弁孔が出口弁孔の軸上の位置から外れた位置にくる部分開状態をとりうるように、駆動弁を出口弁孔の軸方向とそれに垂直な方向とに移動可能に支持するものである。
駆動電極は駆動弁を挟んでその両側に配置された一対の駆動電極である。各駆動電極は出口弁孔の軸方向に垂直な平面内で駆動弁を挟んで互いに反対側で駆動弁に取り付けられた櫛歯形状の可動電極、及びそれぞれの可動電極に組み合わされた櫛歯形状の固定電極からなる。両駆動電極への電圧印加により駆動弁を出口弁孔の軸方向への移動と出口弁孔の軸方向に対する垂直方向への移動を駆動する。
流体導入部は、流通させようとする流体を駆動弁に対して弁体の反対側に導入するとともに、駆動電極の電圧非印加時には流体の圧力により駆動弁を弁体に押しつけて実質的全閉状態とするものである。
好ましい形態では、駆動弁、支持部及び駆動電極は単結晶シリコンの微細加工により形成されたものである。その単結晶シリコンの好ましい例は、シリコン基板上に絶縁層を介して単結晶シリコン層が形成されたSOI(Silicon on Insulator)基板のその単結晶シリコン層である。
好ましい形態では、一対の駆動電極は駆動弁に対して等しい力が及ぶように電圧印加されることにより部分開状態をとり、駆動弁孔が出口弁孔の軸上の位置にくるように一方の駆動電極が駆動弁に及ぼす力を他方の駆動電極が駆動弁に及ぼす力よりも大きくなるように電圧印加をすることにより全開状態をとる。
さらに好ましい形態では、支持部には駆動弁の移動を全開状態の位置で停止させるストッパが設けられている。
両駆動電極に電圧を印加して駆動弁を出口弁孔の軸方向に駆動することにより、このマイクロバルブが実質的全閉状態から少し開いた部分開状態となる。さらに一方の駆動電極の静電引力が他方の駆動電極の静電引力よりも大きくなるように駆動電圧を印加することにより駆動弁を出口弁孔の軸方向に対して垂直方向に駆動させて全開状態まで移動させることができる。その移動の変位量に応じて、部分開状態での駆動弁の弁孔と弁体の出口弁孔との重なる面積が変化し、流体の圧力損失が変化する。これによって流体の圧力や流量を制御できる。
本発明の静電駆動マイクロバルブは、電極形状を櫛歯状にすることで、従来の平行平板型のバルブよりも駆動力が大きく、駆動弁の駆動範囲が広くなる。そのため、圧力と流量の制御範囲が広くなる。
静電駆動バルブであるので、電磁駆動方式や圧電駆動方式のバルブに比べて、製作工程が簡易であり量産性に優れる。
また平行平板型静電アクチュエータは、ストロークが電極間初期ギャップの1/3以下という制限があったが、本発明の櫛歯型静電アクチュエータはこの制約に縛られない。そのため大きいストロークを得ることができる。
一実施例のマイクロバルブを示す図であり、(A)は(B)のC−C’線位置での水平断面図、(B)は(A)のD−D’線位置での垂直断面図である。 同実施例を実質的全閉状態で示す図であり、(A),(B)は図1と同じ位置を示す断面図である。 同実施例を部分開状態で示す図であり、(A),(B)は図1と同じ位置を示す断面図である。 同実施例を全開状態で示す図であり、(A),(B)は図1と同じ位置を示す断面図である。 同実施例を示す図であり、(A),(B)は図2と同じ実質的全閉状態で示したものであり、(C)は駆動弁20と弁体25の近傍の拡大断面図、(D)はばね21の拡大斜視図、(E)は駆動電極の一部の拡大斜視図である。 同実施例において出口弁孔25aと駆動弁孔26が一部重なった部分開状態での出口弁孔25aと駆動弁孔26の位置関係を示したものであり、(A)は平面図、(B)は断面図である。 同実施例における駆動電極への印加電圧と駆動弁20の変位量の関係を示すグラフである。 同実施例における駆動弁20の変位量と流量の関係を示すグラフである。 同実施例における駆動電極への印加電圧と流量の関係を示すグラフである。 従来の平行平板型の静電駆動バルブについて、アクチュエータ印加電圧と流量の関係を示すグラフである。 一実施例のマイクロバルブの製造工程の一部として、SOI基板に駆動弁20などのバルブ構成要素を形成する工程を示したものであり、(A)から(D)はその工程を断面図で示したもの、(a)から(d)はそれぞれの平面図である。 同実施例のマイクロバルブの製造工程の一部として、カバーガラス14を形成する工程を示したものであり、(A)から(C)はその工程を断面図で示したもの、(a)から(c)はそれぞれの平面図である。 同実施例のマイクロバルブを組み立てる工程を示したものであり、(A)から(B)はその工程を断面図で示したもの、(a)から(b)はそれぞれの平面図である。 一実施例のマイクロバルブの実装例を示した概略断面図である。 従来の静電駆動マイクロバルブを示す図であり、(A)は(B)のA−A’線位置での水平断面図、(B)は(A)のB−B’線位置での垂直断面図を実質的全閉状態で示したもの、(C)は(A)のB−B’線位置での垂直断面図を開状態で示したものである。
図1に一実施例のマイクロバルブを示す。このマイクロバルブは4層構造であり、下層側の3層はSOI基板を加工して形成したものである。最下層からハンドルシリコン層11、犠牲層12、デバイスシリコン層13、そして最上側のカバーガラス14である。デバイスシリコン層13は、例えばボロンなどのP型、リンなどのN型不純物が導入された単結晶シリコン層からなり、導電性をもっている。
ハンドルシリコン層11の中央部に弁体25が設けられ、弁体25の中心には流体出口となる出口弁孔25aが開けられている。弁体25は出口弁孔25aの周辺部を指す。
犠牲層12上のデバイスシリコン層13により駆動弁20が形成されており、駆動弁20は弁体25と対向する位置に配置されている。駆動弁20は、駆動電極により駆動されていない状態において、出口弁孔25aの軸上の位置から外れた位置に駆動弁孔26をもっている。
駆動弁20は支持部となるばね21により内側フレーム22aに支持され、内側フレーム22aは外側フレーム22と一体に形成されている。外側フレーム22と内側フレーム22aは犠牲層12の残存部分を介してハンドルシリコン層11に一体化された状態で固定されている。ばね21、内側フレーム22a及び外側フレーム22はデバイスシリコン層13により形成されている。
ばね21は、駆動弁20と内側フレーム22aとの間に2組が配置されている。各組のばね21は駆動弁20を挟む2対のばねを含んでいる。各対のばねは2本の梁を組み合わせた構造をもっている。この2組のばね21により、駆動弁20を弁孔25aの軸27方向(図1(B)の上下方向)とそれに垂直な方向(図1(A)の平面内の左右方向)に移動可能に支持している。
支持部となるばね21の構造はこの構造に限らず、駆動弁20と外側クレーム22との間に配置された2組のばねとすることもできる。その場合、各組のばねは1本の梁からなるものでもよく、2本の梁からなるものでもよい。
駆動弁20の移動を駆動するために、駆動弁20を挟んで弁孔25aの軸27に垂直な平面内で内側フレーム22aの外側にデバイスシリコン層13により形成された一対の駆動電極が配置されている。各駆動電極は櫛歯電極からなる可動電極18,19と、それぞれの可動電極18,19に組み合わされる櫛歯電極からなる固定電極16,17とからなっている。可動電極18,19は駆動弁20に取り付けられ、固定電極16,17は犠牲層12の残存部分を介してハンドルシリコン層11に一体化された状態で固定されている。駆動電極に電圧が印加されていない状態では、一方の可動電極19は他方の可動電極16よりも固定電極に深く噛み合っており、可動電極18,19は図1の状態からが左方向に移動できるように設計されている。また、両駆動電極に等しく電圧を印加すると等しい大きさの静電引力が働くように設計されている。
固定電極16に電圧を印加するために固定電極16に接続電極23aが設けられ、固定電極17に電圧を印加するために固定電極17に接続電極23bが設けられ、可動電極18,19に電圧を印加するために外側フレーム22に接続電極23cが設けられている。電極23cに印加された電圧は外側フレーム22から内側フレーム22a、ばね21及び駆動弁20を介して可動電極18,19に伝わる。
このマイクロバルブに液体又は気体からなる流体を導入するために、駆動弁20に対し内側フレーム22aよりも外側で、内側フレーム22aと外側フレーム22で囲まれた部分のハンドルシリコン層11に導入孔15が開けられている。導入孔15から導入された流体は外側フレーム22と内側フレーム22a間の空間を通り、駆動弁20とカバーガラス14の間の空間に導入される。駆動弁20が配置されている空間は外側フレーム22と内側フレーム22aで周囲が囲まれ、上下はカバーガラス14とハンドルシリコン層11で挟まれていることにより、導入孔15から導入された流体は駆動弁20とカバーガラス14の間の上部空間に導入される。
ばね21の一部には、駆動20の弁孔26が弁体25の出口弁孔25aの軸上まで移動した位置で駆動弁20の移動を停止させるように、ストッパ24が設けられている。ストッパ24はこの実施例のようにばね21の一部に設けられたものに限らず、駆動弁20の移動を所定の位置で停止させることができるものであればよい。
次に、このマイクロバルブの動作について説明する。
図2は実質的全閉状態を表したものである。駆動電極はすべて接地電位(GND)となっている。このとき駆動弁20の弁孔26は出口弁孔25aの軸27上から外れた位置にある。導入孔15から流体を導入すると、駆動弁20とカバーガラス14の間の空間に導かれ、流体の圧力によって駆動弁20を弁体25の方向に押し付ける。弁孔26と出口弁孔25aの位置がずれているため、駆動弁20は孔のない部分で弁体25を押し付けることにより出口弁孔25aを塞ぎ、実質的全閉状態となる。
次に、図3のように、可動電極18,19を接地電位とし、両固定電極16,17に等しい電圧Vを印加する。両駆動電極では等しい大きさの静電引力が働き、可動電極18,19は固定電極16,17側に引き上げられて、出口弁孔25aの軸27方向(図3(B)で上方向)に移動し、駆動弁20は弁体25から離れて弁体25と駆動弁20の間に隙間ができる。このとき駆動弁孔26と出口弁孔25aの位置がずれているため、マイクロバルブは一部開いた部分開状態となる。
次に、図4に示されるように、可動電極18,19を接地電位としたまま、一方の固定電極17を電圧V、他方の固定電極16をそれよりも高電圧のV+となるように電圧を印加する。固定電極16と可動電極18の間の静電力が他方の固定電極17と可動電極19の間の静電力よりも強くなる結果、駆動弁20は図4で左方向に移動する。その移動量は一方の固定電極17への印加電圧Vに対する他方の固定電極16への印加電圧V+の大きさに依存し、駆動弁孔26と出口弁孔25aの重なりの大きさが変化し、それに伴って流量が変化する。印加電圧V+を大きくしていくと、最終的にはばね21がストッパ24に当たった位置で停止する。その位置はちょうど駆動弁孔26の軸と出口弁孔25aの軸27が一致する位置であり、駆動弁孔26から入った流体が最も流路抵抗の少ない状態で出口弁孔25aから流出する位置である。この状態が全開状態である。
この実施例では、ストッパ24が設けられているので、駆動弁20が変位しすぎて、固定電極16と可動電極18が接触することがない。固定電極16と可動電極18が接触すると、スティッキング(くっつき離れなくなる)やショートの原因となるが、ストッパ24によりそのような事態を避けることができる。
[設計計算と性能]
一実施例のマイクロバルブの構造を図5に示す。図5(A),(B)は実質的全閉状態で示したものであり、図2と同じ図面である。各部分の寸法を表1に示す。
駆動弁20と弁体25の近傍の拡大図を図5(C)に示す。ここで、gvalveは駆動弁20と弁体25との隙間であり、駆動電極に電圧をかけず、流体も導入しないで流体圧力もかかっていいない初期状態(部分開状態と同じ)では、SOI犠牲層の厚さと同じとなる。
ばね21の拡大図を図5(D)に示す。このばね21は両端を回転拘束された2つの梁を直列接続したものと考えることができる。駆動電極の拡大図を図5(E)に示す。図6は出口弁孔25aと駆動弁孔26が一部重なった部分開状態での出口弁孔25aと駆動弁孔26の位置関係を示したものである。出口弁孔25aと駆動弁孔26の重なり部Aが大きくなるほど流れる流体の流路抵抗が少なくなり、流量が大きくなる。
性能の計算値を以下に示す。
[静電引力の計算]
x方向(出口弁孔25aの軸27方向に垂直な方向)、z方向(出口弁孔25aの軸27方向)の静電引力をそれぞれFelecX、FelecZとすると以下の式で与えられる。
Figure 2012057692
Figure 2012057692
Cは櫛歯電極間の静電容量、Vは電極間の電圧である。
ここで、電極間の静電容量Cは以下の式で与えられる。
Figure 2012057692
combは櫛歯の本数である。Csideは一対の櫛歯電極側面の静電容量、Ctipは一対の櫛歯先端の静電容量でありそれぞれ以下の式で与えられる。
Figure 2012057692
Figure 2012057692
εは空気中の誘電率、wcombは櫛歯の幅、hcombは櫛歯の厚さ、scombは初期状態におけるx方向の櫛歯の間隔、lcombは櫛歯の長さ、gcombは櫛歯同士の間隔である。
combが移動量xに対して十分大きくなるように設計されているので、Ctipは無視できるため、
Figure 2012057692
となる。
以上より、x、z方向の静電引力は以下の式となる。
Figure 2012057692
一方、x、z方向のばねのバネ定数は以下の式で与えられる。
Figure 2012057692
ここで、ESiは材料のシリコンのヤング率、wspringはばねの幅、hspringはばねの厚さ、lspringはばねの長さである。
以上をまとめて力の釣り合いを考える。櫛歯電極は2対あり、固定電極16の電圧をV≡、固定電極17の電圧をV≡とすると、出口弁孔25aの軸方向に垂直な方向28の力の対合いは、以下の式で表すことができる。
Figure 2012057692
また、出口弁孔25aの軸27方向の力の釣り合いは以下の式で表わすことができる。弁孔の軸27の方向の変位zがgv(gvalveのこと)を超えるとばねによる復元力と静電引力は符号が反転する。そのため十分大きい電圧を印加することにより、弁孔軸27の方向の変位z=gvで安定する。
Figure 2012057692
設計値として、表1の値を使用し、固定電極16の電圧V≡と出口弁孔25aの軸方向に垂直な方向28への変位xの関係を求めた。結果を図7に示す。図7は、固定電極17の電圧V≡を50Vとし、固定電極16の電圧V≡を50Vから上げていったときの駆動弁20の固定電極16側への変位量を示している。横軸の印加電圧は固定電極16の電圧V≡と固定電極17の電圧V≡との電圧差を表わしており、縦軸は駆動弁20の変位量を表わしている。固定電極16の電圧V≡を75V(図7の横軸の印加電圧では25V)にすると、駆動弁20の変位量として35μmが得られる。
この35μmの変位量はばね21がストッパ24によって停止する位置での変位量であり、固定電極16にそれ以上の電圧を印加しても駆動弁20はそれ以上に変位することはない。これは固定電極16と可動電極18が接触することによるスティッキングやショートを防ぐとともに、駆動弁孔26と出口弁孔25aが再びずれて流量が減少することを防ぐためである。
Figure 2012057692
(数値の表記で、例えば3.00E−03は3.00×10-3を意味する。)
[流量の計算]
バルブ弁体部孔と弁孔が完全にずれている場合(図5(C))、流量は平行平板流路を仮定してナビエ・ストークス方程式を解くことにより、近似的に以下の式で表される。この流量が最小流量である。
Figure 2012057692
またバルブが全開で、バルブ弁体部孔と弁孔が完全に重なっているとき(全開状態)、流量は円管を仮定してナビエ・ストークス方程式を解くことにより、近似的に以下の式で表される。この流量が最大流量である。
Figure 2012057692
表2の条件で計算すると、このバルブは最大流量348.3sccm、最小流量3.9sccmとなる。よってこのバルブは、3.9sccmから348.3sccmの広い流量制御範囲もつ。
流量は、駆動弁孔26と出口弁孔25aとの重なり合う面積A(図6)に比例すると仮定したときの、駆動弁20の変位と流量の関係を図8に示す。
またこのときのアクチュエータ印加電圧と流量の関係を図9に示す。図9のアクチュエータ印加電圧とは、図7の横軸と同じく、固定電極17の電圧V≡を50Vとして固定電極16の電圧V≡を50Vから上げていったときの固定電極16の電圧V≡と固定電極17の電圧V≡との電圧差である。アクチュエータ印加電圧が25Vでばね21がストップ24にあたって駆動弁20の移動が停止して流量の増加も停止するため、それ以上に印加電圧を高めても流量は変化しない。
比較のために、従来の平行平板型の静電駆動バルブについて、アクチュエータ印加電圧と流量の関係を図10に示す。その場合はアクチュエータ印加電圧がある値を越えると両電極がくっつくスティッキングが起こって弁が全開となり、流量が急激に増大する。
Figure 2012057692
*ここで abs は絶対圧を示す
[製作方法]
一実施例のマイクロバルブの製作工程を図11から図13に示す。製作には半導体製造技術を用いる。
図11はSOI基板に駆動弁20などのバルブ構成要素を形成する工程を示したものである。(A)から(D)はその工程を断面図で示したもの、(a)から(d)はそれぞれの平面図である。
(A)ハンドルシリコン層11、犠牲層12及びデバイスシリコン層13からなるSOI基板を用意する。
(B)ハンドルシリコン層11に出口弁孔25aと導入孔15を形成するためのレジストパタンをフォトリソグラフィーによって形成した後、RIE(反応性イオンエッチング)によるドライエッチングによってレジストパタンをハンドルシリコン層11に転写する。
(C)デバイスシリコン層13に電極16〜19、駆動弁20、ばね21、フレーム22、22aなどの構造を形成するためのレジストパタンをフォトリソグラフィーによって形成した後、RIEによるドライエッチングによってレジストパタンをデバイスシリコン層13に転写する。
(D)その後、犠牲層12を気相フッ化水素酸によりエッチングすることで、可動電極18,19、駆動弁20及びばね21の下側の犠牲層12を除去して可動電極18,19、駆動弁20及びばね21を自立構造(宙に浮いた構造)とし、固定電極16,17及びフレーム22,22aの下側の犠牲層12を残して固定電極16,17及びフレーム22,22aは犠牲層12を介してハンドルシリコン層11に固定された状態とする。犠牲層12のエッチングは時間により制御する。例えばエッチング時間を犠牲層厚さの2倍がエッチングできる程度の時間とする。
図12はカバーガラス14を形成する工程を示したものである。(A)から(C)はその工程を断面図で示したもの、(a)から(c)はそれぞれの平面図である。
(A)カバーガラスの材料としてテンパックス(登録商標)ガラス基板14を用意する
(B)ガラス基板にマイクロバルブを被う凹部を形成するためのレジストパタンをフォトリソグラフィーによって形成した後、バッファードフッ化水素酸(BHF)エッチングによってレジストパタンをガラス基板14に転写する。
(C)次に電極へコンタクトを取るための孔50,52,54を、マイクロドリル又はサンドブラストによってガラス基板14に開ける。
図13はマイクロバルブを組み立てる工程を示したものである。(A)から(B)はその工程を断面図で示したもの、(a)から(b)はそれぞれの平面図である。
(A)マイクロバルブの構成要素を形成したSOI基板56とガラス基板14を陽極接合によって接合する。
(B)最後にクロム/金(シリコン上に密着層としてクロム膜を形成し、その上に金膜を積層したもの)を接続電極23a,23b,23cの電極パタンとして蒸着によって形成する。
[実装例]
一実施例のマイクロバルブを流路に実装した一例を図14に示す。
入力流体管32と出力流体管33を取り付けた流路板34に一実施例のマイクロバルブ60を接着剤により貼り付けたものである。マイクロバルブ60の導入孔15が入力流体管32に接続され、マイクロバルブ60の出口弁孔25aが出力流体管33につながるように、マイクロバルブ60が流路板34に対して位置決めして取りつけられている。マイクロバルブ60の接続電極23a,23b,23cは電極ワイヤ30を介して電極パッド31へ接続されている。
11 ハンドルシリコン層
12 犠牲層
13 デバイスシリコン層
14 カバーガラス
15 導入孔
16,17 固定電極
18,19 可動電極
20 駆動弁
21 ばね
22 外側フレーム
23 接続電極
24 ストッパ
25 弁体
25a 出口弁孔
26 駆動弁孔
27 弁孔軸
28 弁孔軸に垂直な方向
29 バルブ素子

Claims (6)

  1. 流体出口となる出口弁孔(25a)をもつ弁体(25)と、
    駆動弁孔(26)をもつ駆動弁(20)と、
    前記駆動弁孔(26)が前記出口弁孔(25a)の軸上の位置にくる全開状態、及び前記駆動弁孔(26)が前記出口弁孔(25a)の軸上の位置から外れた位置にくる部分開状態をとりうるように、前記駆動弁(20)を前記出口弁孔(25a)の軸方向に垂直な方向に移動可能に支持する支持部(21)と、
    前記駆動弁(20)を挟んでその両側に配置された一対の駆動電極であって、各駆動電極は前記出口弁孔(25a)の軸方向に垂直な平面内で前記駆動弁(20)を挟んで互いに反対側で前記駆動弁(20)に取り付けられた櫛歯形状の可動電極(18,19)、及びそれぞれの可動電極(18,19)に組み合わされた櫛歯形状の固定電極(16,17)からなり、両駆動電極への電圧印加により前記駆動弁(20)を前記軸方向に対して垂直方向へ駆動する駆動電極と、
    流通しようとする流体を前記駆動弁(20)に対して前記弁体(25)の反対側に導入する流体導入部と、
    を備えたマイクロバルブ。
  2. 前記駆動弁(20)のうち前記駆動弁孔(26)以外の部分が前記弁体(25)に接触して前記出口弁孔(25a)を塞ぐ実質的全閉状態、前記駆動弁(20)が前記弁体(25)から離れ、かつ前記駆動弁孔(26)が前記出口弁孔(25a)の軸上の位置にくる全開状態、及び前記駆動弁(20)が前記弁体(25)から離れ、かつ前記駆動弁孔(26)が前記出口弁孔(25a)の軸上の位置から外れた位置にくる部分開状態、をとりうるように、前記駆動弁(20)を前記出口弁孔(25a)の軸方向とそれに垂直な方向とに移動可能に支持する支持部(21)と、
    前記駆動弁(20)を挟んでその両側に配置された一対の駆動電極であって、各駆動電極は前記出口弁孔(25a)の軸方向に垂直な平面内で前記駆動弁(20)を挟んで互いに反対側で前記駆動弁(20)に取り付けられた櫛歯形状の可動電極(18,19)、及びそれぞれの可動電極(18,19)に組み合わされた櫛歯形状の固定電極(16,17)からなり、両駆動電極への電圧印加により前記駆動弁(20)を前記出口弁孔(25a)の軸方向への移動と前記軸方向に対する垂直方向へ駆動する駆動電極と、
    流通しようとする流体を前記駆動弁(20)に対して前記弁体(25)の反対側に導入するとともに、前記駆動電極の電圧非印加時には前記流体の圧力により前記駆動弁(20)を前記弁体(25)に押し付けて前記実質的全閉状態とする流体導入部と、
    を備えたマイクロバルブ。
  3. 前記駆動弁(20)、支持部(21)及び駆動電極(16,17,18,19)は単結晶シリコンの微細加工により形成されたものである請求項1又は2に記載のマイクロバルブ。
  4. 前記単結晶シリコンはシリコン基板上に絶縁層を介して単結晶シリコン層が形成されたSOI基板の前記単結晶シリコン層である請求項3に記載のマイクロバルブ。
  5. 前記一対の駆動電極は前記駆動弁(20)に対して等しい力が及ぶように電圧印加されることにより前記部分開状態をとり、前記駆動弁孔(26)が前記出口弁孔(25a)の軸上の位置にくるように一方の駆動電極が前記駆動弁(20)に及ぼす力を他方の駆動電極が前記駆動弁(20)に及ぼす力よりも大きくなるように電圧印加をすることにより前記全開状態をとるものである請求項1から4のいずれか一項に記載のマイクロバルブ。
  6. 前記駆動弁(20)の移動を前記全開状態の位置で停止させるストッパ(24)が設けられている請求項5に記載のマイクロバルブ。
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