JP2012050371A - 免疫抑制物質のスクリーニング方法、免疫抑制活性検出キット及び免疫抑制活性検出マーカー - Google Patents

免疫抑制物質のスクリーニング方法、免疫抑制活性検出キット及び免疫抑制活性検出マーカー Download PDF

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Abstract

【課題】免疫刺激物質で免疫反応を惹起することなく被験物質の免疫抑制活性の有無を高感度にかつ簡便に判定することが可能な、げっ歯類動物を用いた免疫抑制物質のスクリーニング方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、免疫抑制物質のスクリーニング方法であって、げっ歯類動物に被験物質を投与する投与ステップと、上記げっ歯類動物から免疫組織又は免疫細胞を採取する採取ステップと、上記免疫組織又は免疫細胞における1以上のマーカー遺伝子の発現量を測定する測定ステップと、上記マーカー遺伝子の発現量(m)と上記被験物質を投与していない対照動物の免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n)とを比較して、上記被験物質の免疫抑制活性を判定する判定ステップと、を備えるスクリーニング方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、免疫抑制物質のスクリーニング方法、免疫抑制活性検出キット及び免疫抑制活性検出マーカーに関する。
免疫反応は、生体内に有害な物質が侵入した場合に生じる一種の生体防御反応であり、マクロファージや樹状細胞等の抗原提示細胞が異物を認識し、貪食することによって引き起こされる一連の反応である。異物を認識した抗原提示細胞は、抗原を提示するとともにインターロイキン−1(以下、インターロイキンをILと略す。)やIL−12を分泌してヘルパーT細胞(以下、Th細胞)を刺激し、刺激を受けたTh細胞は、Th1細胞とTh2細胞に分化し、免疫担当細胞を活性化することで、免疫反応が進行することが明らかとなっている。すなわち、Th1細胞は、IL−2やインターフェロンβを分泌して免疫担当細胞であるキラーT細胞やナチュラルキラー細胞(以下、NK細胞)を活性化し、細胞性免疫を促進させ、Th2細胞は、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10を分泌して免疫担当細胞であるB細胞を活性化し、抗体の産生を導くことにより液性免疫を促進させ、これらのバランスによってさまざまな異物に対しての生体防御反応が達成されている。
免疫抑制剤は、免疫反応を抑制又は阻害する薬剤で、臓器移植、骨髄移植の他に、自己免疫疾患等の治療に使われている。例えば、現在使用されている主な免疫抑制剤としては、1)タクロリムス、シクロスポリン等のカルシニューリン阻害剤、2)メトトレキサート、アザチオプリン等の代謝拮抗剤、3)デキサメタゾン、プレドニゾロン等のステロイド剤、4)シクロホスファミド等のアルキル化剤、が挙げられる。カルシニューリン阻害剤は、免疫系の機能に重要な働きを担うCa2+依存性プロテインホスファターゼであるカルシニューリンの活性を阻害してTh細胞の反応性を低下させる薬剤であり、代謝拮抗剤は、葉酸代謝、プリン代謝、核酸合成、タンパク合成等を阻害して、T細胞及びB細胞の増殖及び分化を抑制する薬剤である。ステロイド剤は、抗原提示細胞からのIL−1やIL−12の分泌を抑制するとともに、T細胞及びB細胞の増殖及び分化を抑制する薬剤であり、アルキル化剤は、DNAをアルキル化することによりDNAの生合成を抑制し、T細胞及びB細胞の増殖及び分化を抑制する薬剤である。
免疫抑制物質のスクリーニングは、まず、in vitroの評価方法で免疫抑制活性を有する化合物を探索した後(1次スクリーニング)、マウスやラット等の実験動物を用いたin vivoの評価方法で、実際に生体内においても免疫抑制活性が発揮されるか否かについて調べる(2次スクリーニング)といった2段階の手順で行われている。
1次スクリーニングでは、例えば、TNF−α、IL−1、IL−6等の炎症性サイトカイン類に対する阻害活性を指標に、タンパク質レベルや細胞レベルで評価されるのが一般的である。また2次スクリーニングでは、生体内で免疫反応が惹起されており、さらに、惹起された免疫反応を指標とするマーカーの検出によって免疫抑制活性の有無を評価できるレベルにまで到達している実験動物を使用して行う必要があるため、予め免疫疾患が発症している病態モデル動物を使って評価されるのが一般的である。
近年では、免疫抑制活性のin vivo評価方法として、免疫毒性評価試験として用いられている局所リンパ節試験(Local lymph node assay;以下、LLNA)及び膝窩リンパ節試験(Popliteal lymph node assay;以下、PLNA)を応用する試みもなされており、マウスやラットに免疫刺激物質を事前に処理して被験物質の免疫抑制活性を評価することが報告されている(非特許文献1〜5)。
LLNAは、耳介に被験物質を塗布し、頸部リンパ節を採取し、リンパ節重量増加、リンパ細胞数増加及びリンパ細胞増殖活性の上昇を指標として、被験物質の免疫毒性を評価する方法である。また、PLNAは、足踵に被験物質を皮下投与し、膝窩リンパ節を採取し、LLNAと同様の指標を用いて被験物質の免疫毒性を評価する方法である。LLNA及びPLNAでは、短期間に、かつ、少量の被験物質で実施可能であることから、医薬品開発の早期に実施する免疫毒性評価方法として優れていると言われている(非特許文献6〜9)。
一方、近年になって、分子生物学的な技術の進歩やゲノムプロジェクト等の成果により、数多くの遺伝子の塩基配列が解明されることとなり、免疫反応に関連する遺伝子の同定やシグナル伝達系で機能する新たな分子の発見がなされてきている。
しかしながら、塩基配列が解明された遺伝子の多くについては、機能の解析が十分になされておらず、亜鉛フィンガータンパク質459遺伝子(zinc finger protein 459;以下、Zfp459とも略される。)、ラクトトランスフェリン遺伝子(lactotransferrin; 以下、Lftとも略される。)、Casitas B系リンパ腫様−1遺伝子(Casitas B−lineage lymphoma−like 1; 以下、Cbll1とも略される。)、リポ酸合成酵素遺伝子(lipoic acid synthetase; 以下、Liasとも略される。)、フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子(flavin containing monooxygenase 2; 以下、Fmo2とも略される。)、RIKEN cDNA 9630033F20遺伝子(以下、9630033F20Rikとも略される。)、ケラチン8遺伝子(keratin 8; 以下、Krt8とも略される。)、ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子(gap junction protein beta 1; 以下、Gjp1とも略される。)、マイナー組織適合性タンパク質HA−1遺伝子(histocompatibility (minor) HA−1; 以下、Hmha1とも略される。)、スプライシング因子アルギニン/セリンリッチ7遺伝子(splicing factor arginine/serine−rich 7; 以下、Sfrs7とも略される。)、グアニル酸結合タンパク質1遺伝子(guanylate binding protein 1; 以下、Gbp1とも略される。)、主要尿タンパク質5遺伝子(major urinary protein 5; 以下、Mup5とも略される。)については、その機能や役割について十分な解明がなされていないのが現状である。
例えば、亜鉛フィンガータンパク質459遺伝子の翻訳産物は、DNAと結合して遺伝子調節に重要な役割を果たすタンパク質の一つである(非特許文献10及び11)が、その機能の詳細については明らかになっていない。ラクトトランスフェリン遺伝子の翻訳産物は、トランスフェリンファミリーに属する鉄結合糖タンパク質であり、抗菌作用を有することが知られている(非特許文献12)が、免疫反応との関連は明らかになっていない。Casitas B系リンパ腫様−1遺伝子は、Hakaiとも呼ばれ、その翻訳産物はE3ユビキチンリガーゼの一つであり、E-カドヘリンを分解し、上皮細胞間の結合を破壊することが報告されている(非特許文献13)が、免疫反応との関連は明らかになっていない。リポ酸合成酵素遺伝子の翻訳産物は、ミトコンドリアに存在するリポ酸生成酵素であり、マウスにおいて当該酵素のヘテロ欠損によりリポ多糖誘発組織障害に対する感受性が上昇することが報告されている(非特許文献14及び15)が、免疫反応との関連は明らかになっていない。フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子の翻訳産物は、薬物、殺虫剤、食品含有成分等の様々な化合物を代謝する酵素である(非特許文献16)が、免疫反応との関連は明らかになっていない。RIKEN cDNA 9630033F20遺伝子の翻訳産物は解糖系を抑制して細胞内活性酸素を低下させ、また、アポトーシスを調節することが報告されている(非特許文献17)が、免疫反応との関連は明らかになっていない。ケラチン8遺伝子の翻訳産物は、ケラチン−19と協働して横紋筋のジストロフィンと収縮機構を結びつける役割を担い、肝細胞において重要な細胞保護作用を有することが報告されている(非特許文献18及び19)が、免疫反応との関連は明らかになっていない。ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子は、connexin−31とも呼ばれ、その翻訳産物は細胞膜上に局在するチャネルであり、小さい分子量の物質を周囲の細胞へ拡散させる(非特許文献20)が、免疫反応との関連は明らかになっていない。マイナー組織適合性タンパク質HA−1遺伝子の翻訳産物は、Rho型GTPaseの活性化因子として知られている(非特許文献21)が、その詳細については明らかになっていない。スプライシング因子アルギニン/セリンリッチ7遺伝子の翻訳産物は、プレmRNAスプライシングに必要な因子として考えられている(非特許文献22)が、その詳細については明らかになっていない。グアニル酸結合タンパク質1遺伝子の翻訳産物は、GTPaseファミリーの一つであり、インターフェロンγ処理した線維芽細胞に豊富なタンパク質である(非特許文献23)が、リンパ節における免疫抑制活性のマーカーとしての用途は知られていない。主要尿タンパク質5遺伝子の翻訳産物は、尿中に含まれるタンパク質であり、雌性動物の性行動に影響することが報告されている(非特許文献24)が、その詳細は不明である。
Homeyら、European Journal of Pharmacology、1997年、325巻、p.199−207 van den Bergら、Toxicology、2005年、211巻、p.107−114 QuigleyとPhil、Journal of Surgical Research、1994年、56巻、p.28−31 Toxicology and Applied Pharmacology、2003年、189巻、p.120−133 Karaji、Transplant Immunology、2006年、16巻、p.20−24 OECD Guidelines for Testing of Chemicals、2002年、No.429 OECD Guidelines for Testing of Chemicals、2010年、No.442A OECD Guidelines for Testing of Chemicals、2010年、No.442B Descotes、Toxicology Letters、1992年、64/65巻、p.101−107 Krebsら、Genes and Development、2003年、17巻、p.2664−2674 Gamsjaegerら、Trends in BiochemicalSciences、2007年、32巻、p.63−70 Gonzalez−Chavesら、International Journal of Antimicrobial Agents、2009年、33巻、p.301.e1−301.e8 Figueroaら、Cell Cycle、2009年、8巻、p.3648−3651 Fontecaveら、Chemical Reviews、2003年、103巻、p.2149−2166 Yiら、Journal of Leukocyte Biology、2009年、85巻、p.146−153 PhillipsとShephard、Trends Pharmacological Sciences、2008年、29巻、p.294−301 Bensaadら、Cell.2006年、126巻、p.107−120 Stoneら、Journal of Cell Science、2007年、120巻、p.3999−4008 Kuら、Hepatology、2007年、46巻、p.1639−1649 Andrade−Rozentalら、Brain Research Brain Research Reviews、2000年、32巻、p.308−315 Spieringsら、Trends in Immunology、2004年、25巻、p.56−60 Liら、Molecular and Cellular Biology、2003年、23巻、p.7437−7447 Naschbergerら、Advances in Enzyme Regulation、2005年、45巻、p.215−227 Stopkaら、Physiology and Behavior、2007年、91巻、p.667−670
免疫抑制剤の開発のみならず、その他の医薬品の開発においても候補化合物の薬効を生体レベルで総合的に捉えることができるin vivoでの評価が極めて重要であると考えられているが、病態モデル動物を使った試験では、飼育期間及び試験期間が長期にわたる場合が多いだけでなく、人工的に病態を惹起しているため、発症している病態に個体差が大きく、精度の高い評価が困難な場合があるのも現状である。
また、免疫抑制活性を評価する目的で、免疫刺激物質を事前処理する方法を加えたLLNA及びPLNAの改良法は、免疫刺激物質の事前処理に時間を要するため、試験期間が長期にわたってしまうことは避けられず、特定の免疫刺激物質によって肥大するリンパ節や増殖が亢進したリンパ細胞に対する作用のみを評価する系であるため、被験物質の免疫抑制活性を総合的又は複合的に評価することは不可能である。
さらに、免疫刺激物質処理を行っていない健常な実験動物を用いて行う通常のLLNA及びPLNAで免疫抑制活性を評価する場合は、リンパ節重量、リンパ細胞数及びリンパ細胞増殖活性が溶媒投与した対照動物群と比較して減少したか否かを評価する必要があるが、健常動物であるが故に、リンパ節の肥大やリンパ細胞の増殖の亢進がないため、強力な免疫抑制活性を有する被験物質でない限り、その免疫抑制活性を感度よく捉えることは難しいといえる。
そこで本発明は、免疫刺激物質で免疫反応を惹起することなく被験物質の免疫抑制活性の有無を高感度にかつ簡便に判定することが可能な、げっ歯類動物を用いた免疫抑制物質のスクリーニング方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、免疫刺激物質処理を行わないげっ歯類動物の免疫組織又は免疫細胞において、免疫抑制剤投与によって大きく発現変動する遺伝子を同定し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、免疫抑制物質のスクリーニング方法であって、げっ歯類動物に被験物質を投与する投与ステップと、上記げっ歯類動物から免疫組織又は免疫細胞を採取する採取ステップと、上記免疫組織又は免疫細胞における、亜鉛フィンガータンパク質459遺伝子、ラクトトランスフェリン遺伝子、Casitas B系リンパ腫様−1遺伝子、リポ酸合成酵素遺伝子、フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子、RIKEN cDNA 9630033F20遺伝子、ケラチン8遺伝子、ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子、マイナー組織適合性タンパク質HA−1遺伝子、スプライシング因子アルギニン/セリンリッチ7遺伝子、グアニル酸結合タンパク質1遺伝子及び主要尿タンパク質5遺伝子からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子の発現量を測定する測定ステップと、上記亜鉛フィンガータンパク質459遺伝子、上記ラクトトランスフェリン遺伝子、上記Casitas B系リンパ腫様−1遺伝子、上記フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子、上記ケラチン8遺伝子、上記ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子及び上記グアニル酸結合タンパク質1遺伝子からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子の発現量(m−1)が、上記投与ステップで上記被験物質を投与した動物種と同じげっ歯類動物であり、かつ、上記被験物質を投与していない対照動物の免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−1)と比較して1.5倍以上である場合、及び/又は、上記リポ酸合成酵素遺伝子、上記RIKEN cDNA 9630033F20遺伝子、上記マイナー組織適合性タンパク質HA−1遺伝子、上記スプライシング因子アルギニン/セリンリッチ7遺伝子及び上記主要尿タンパク質5遺伝子からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子の発現量(m−2)が、上記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−2)と比較して0.67倍以下である場合に、上記被験物質は免疫抑制活性を有すると判定する判定ステップと、を備えるスクリーニング方法を提供する。
上記投与ステップでは、上記被験物質を上記げっ歯類動物の耳介に塗布投与し、かつ、上記採取ステップでは、上記免疫組織として頸部リンパ節を採取することが好ましく、また、上記投与ステップでは、上記被験物質を上記げっ歯類動物の足踵皮下に投与し、かつ、上記採取ステップでは、上記免疫組織として膝窩リンパ節を採取することが好ましい。
また、上記判定ステップでは、上記ラクトトランスフェリン遺伝子若しくはCasitas B系リンパ腫様−1遺伝子の発現量(m−3)が、上記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−3)と比較して1.5倍以上である場合、及び/又は、上記リポ酸合成酵素遺伝子の発現量(m−4)が、上記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−4)と比較して0.67倍以下である場合に、上記被験物質の免疫抑制活性は、カルシニューリン阻害作用であると判定することが好ましい。
また、上記判定ステップでは、上記フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子の発現量(m−5)が、上記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−5)と比較して7.5倍以上である場合、及び/又は、上記RIKEN cDNA 9630033F20遺伝子の発現量(m−6)が、上記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−6)と比較して0.67倍以下である場合に、上記被験物質の免疫抑制活性は、代謝拮抗作用を介するものであると判定することが好ましい。
また、上記判定ステップでは、上記ケラチン8遺伝子若しくは上記ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子の発現量(m−7)が、上記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−7)と比較して2.0倍以上である場合、及び/又は、上記マイナー組織適合性タンパク質HA−1遺伝子若しくは上記スプライシング因子アルギニン/セリンリッチ7遺伝子の発現量(m−8)が、上記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−8)と比較して0.67倍以下である場合に、上記被験物質の免疫抑制活性は、ステロイド作用を介するものであると判定することが好ましい。
また、上記判定ステップでは、上記グアニル酸結合タンパク質1遺伝子の発現量(m−9)が、上記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−9)と比較して1.5倍以上である場合、及び/又は、上記主要尿タンパク質5遺伝子の発現量(m−10)が、上記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−10)と比較して0.67倍以下である場合に、上記被験物質の免疫抑制活性は、アルキル化作用を介するものであると判定することが好ましい。
また、上記判定ステップでは、上記亜鉛フィンガータンパク質459遺伝子の発現量が、上記投与ステップで上記被験物質を投与した動物種と同じげっ歯類動物であり、かつ、上記被験物質を投与していない対照動物の免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量と比較して1.5倍以上であることを必須条件として、上記被験物質は免疫抑制活性を有すると判定することが好ましい。
なお、上記スクリーニング方法で使用するげっ歯類動物は、病態モデル動物ではなく、健常動物であってもよく、飼育期間及び試験期間の短縮並びに評価結果の個体差を小さくできる点で優れている。
また本発明は、以下の(A)〜(D)のいずれかを含む、被験物質の免疫抑制活性検出キットを提供する。
(A) 亜鉛フィンガータンパク質459遺伝子、ラクトトランスフェリン遺伝子、Casitas B系リンパ腫様−1遺伝子、リポ酸合成酵素遺伝子、フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子、RIKEN cDNA 9630033F20遺伝子、ケラチン8遺伝子、ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子、マイナー組織適合性タンパク質HA−1遺伝子、スプライシング因子アルギニン/セリンリッチ7遺伝子、グアニル酸結合タンパク質1遺伝子及び主要尿タンパク質5遺伝子からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子をPCRで増幅するためのPCRプライマーセット
(B) 亜鉛フィンガータンパク質459遺伝子、ラクトトランスフェリン遺伝子、Casitas B系リンパ腫様−1遺伝子、リポ酸合成酵素遺伝子、フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子、RIKEN cDNA 9630033F20遺伝子、ケラチン8遺伝子、ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子、マイナー組織適合性タンパク質HA−1遺伝子、スプライシング因子アルギニン/セリンリッチ7遺伝子、グアニル酸結合タンパク質1遺伝子及び主要尿タンパク質5遺伝子からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子にハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブ
(C) 上記ポリヌクレオチドプローブが固定化された担体
(D) 亜鉛フィンガータンパク質459遺伝子、ラクトトランスフェリン遺伝子、Casitas B系リンパ腫様−1遺伝子、リポ酸合成酵素遺伝子、フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子、RIKEN cDNA 9630033F20遺伝子、ケラチン8遺伝子、ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子、マイナー組織適合性タンパク質HA−1遺伝子、スプライシング因子アルギニン/セリンリッチ7遺伝子、グアニル酸結合タンパク質1遺伝子及び主要尿タンパク質5遺伝子からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子の翻訳産物に結合する抗体
さらに本発明は、亜鉛フィンガータンパク質459遺伝子、ラクトトランスフェリン遺伝子、Casitas B系リンパ腫様−1遺伝子、リポ酸合成酵素遺伝子、フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子、RIKEN cDNA 9630033F20遺伝子、ケラチン8遺伝子、ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子、マイナー組織適合性タンパク質HA−1遺伝子、スプライシング因子アルギニン/セリンリッチ7遺伝子、グアニル酸結合タンパク質1遺伝子及び主要尿タンパク質5遺伝子からなる群から選択される、被験物質の免疫抑制活性検出マーカーを提供する。
本発明のスクリーニング方法によれば、免疫刺激物質で免疫反応を惹起することなく被験物質の免疫抑制活性の有無を高感度にかつ簡便に判定することができる。また本発明によれば、免疫抑制物質のスクリーニングに使用するげっ歯類動物に、健常動物を使用することができ、飼育期間及び試験期間の短縮できるとともに、評価結果の個体差を小さくできる点で優れている。さらに本発明によれば、被験物質の免疫抑制活性のメカニズムについて、一度の試験で総合的又は複合的に評価することができ、免疫抑制活性を有する医薬品候補物質のスクリーニングを、in vivoで簡易に行うことができる。
対照動物群、タクロリムス投与群、シクロスポリン投与群及びSDS投与群のリンパ節おけるLias遺伝子のmRNA発現量及びリンパ節重量を示す図である。 対照動物群、メトトレキサート投与群、アザチオプリン投与群及びSDS投与群のリンパ節おける9630033F20Rik遺伝子のmRNA発現量及びリンパ節重量を示す図である。 対照動物群、デキサメタゾン投与群、プレドニゾロン投与群及びSDS投与群のリンパ節おけるHmha1遺伝子のmRNA発現量及びリンパ節重量を示す図である。 対照動物群、シクロホスファミド投与群及びSDS投与群のリンパ節おけるMup5遺伝子のmRNA発現量及びリンパ節重量を示す図である。 対照動物群及びプレドニゾロン投与群のリンパ細胞数を示す図である。 対照動物群及びシクロホスファミド投与群のリンパ細胞数を示す図である。 対照動物群及びシクロホスファミド投与群のリンパ細胞の細胞増殖活性を示す図である。
本発明の免疫抑制物質のスクリーニング方法は、げっ歯類動物に被験物質を投与する投与ステップと、上記げっ歯類動物から免疫組織又は免疫細胞を採取する採取ステップと、上記免疫組織又は免疫細胞における、亜鉛フィンガータンパク質459遺伝子、ラクトトランスフェリン遺伝子、Casitas B系リンパ腫様−1遺伝子、リポ酸合成酵素遺伝子、フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子、RIKEN cDNA 9630033F20遺伝子、ケラチン8遺伝子、ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子、マイナー組織適合性タンパク質HA−1遺伝子、スプライシング因子アルギニン/セリンリッチ7遺伝子、グアニル酸結合タンパク質1遺伝子及び主要尿タンパク質5遺伝子からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子の発現量を測定する測定ステップと、上記亜鉛フィンガータンパク質459遺伝子、上記ラクトトランスフェリン遺伝子、上記Casitas B系リンパ腫様−1遺伝子、上記フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子、上記ケラチン8遺伝子、上記ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子及び上記グアニル酸結合タンパク質1遺伝子からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子の発現量(m−1)が、上記投与ステップで上記被験物質を投与した動物種と同じげっ歯類動物であり、かつ、上記被験物質を投与していない対照動物の免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−1)と比較して1.5倍以上である場合、及び/又は、上記リポ酸合成酵素遺伝子、上記RIKEN cDNA 9630033F20遺伝子、上記マイナー組織適合性タンパク質HA−1遺伝子、上記スプライシング因子アルギニン/セリンリッチ7遺伝子及び上記主要尿タンパク質5遺伝子からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子の発現量(m−2)が、上記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−2)と比較して0.67倍以下である場合に、上記被験物質は免疫抑制活性を有すると判定する判定ステップと、を備えることを特徴としている。
「被験物質」とは、免疫抑制活性の有無を評価する対象となる物質のことであり、例えば、低分子化合物、タンパク質、ペプチド、植物由来の抽出物、細胞抽出物等を挙げることができる。
「免疫抑制活性」とは、マクロファージや樹状細胞等の抗原提示細胞、Th細胞、T細胞、B細胞、NK細胞などの免疫担当細胞に対して、細胞増殖抑制及び/又は分化・機能障害を引き起こすことにより、免疫作用を抑制する活性である。抗原提示細胞がTh細胞を刺激し、さらに各種サイトカインを介して免疫担当細胞を活性化することで、細胞性免疫及び液性免疫を促進し、生体防御反応が達成されるが、その過程のいずれかの段階に被験物質が作用して免疫抑制活性は発現する。上記のスクリーニング方法は、通常、病態動物モデルを使ったin vivoの実験においては1週間〜5週間かけて免疫抑制活性を評価する必要があるところを、今回新たに見出した12個の遺伝子の発現を調べることによって、簡易かつ、免疫刺激物質で実験動物に免疫反応を惹起することなく、被験物質の免疫抑制活性の有無を高感度にかつ簡便に判定することを可能にするものである。
上記の投与ステップは、被験物質をげっ歯類動物に投薬するステップであるが、薬理作用が発揮される用量の被験物質を、血液を通じ又は皮膚等の組織を浸透させ、あるいは直接的に、げっ歯類動物の免疫組織及び免疫細胞に到達させることができればよい。投与経路としては、例えば、耳介塗布、経口投与、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、経皮投与、経鼻投与、経肺投与等を例示でき、耳介塗布、経口投与、皮下投与が好ましく、簡便性を重視すれば、耳介塗布がより好ましい。
げっ歯類動物としては、マウス、ラット、モルモット等の実験動物特を例示できるが、マウス又はラットが好ましく、マウスがより好ましい。マウスにおいては、近交系マウスが好ましく、例えば、BALB/c系の雌性マウスを例示できる。また、マウスの週齢については、6〜9週齢が好ましい。
上記のスクリーニング方法において使用するげっ歯類動物は、免疫疾患を発症しておらず、また、免疫異常が認められていない健常動物であってもよく、上記のスクリーニング方法で使用する前に特別な処置を行う必要もない。ここで、健常動物とは、いわゆる病態モデル動物(例えば、病態を遺伝的に誘発させるために遺伝子操作がなされたトランスジェニック動物やノックアウト動物、病態を後発的に惹起させるための薬物処理や外科的手術がなされた動物等)ではなく、スクリーニング前に免疫疾患を引き起こすような処置が一切行われていない動物を指す。
同じ被験物質を投与するげっ歯類動物の個体数は、1群当たり1匹であってもよいが、通常、動物個体差による誤差をできるだけ小さくするために、群ごとに複数の動物(n=3〜6)を用いるのが好ましい。被験物質の投与時間、投与回数について特に限定はないが、1日当たり1回の投与が好ましく、連続して3日間投与することがより好ましい。
投与ステップ後採取ステップまでの間は、1〜3日当たり1回の頻度で、被験物質を投与した全てのげっ歯類動物の一般症状及び体重の増減を観察しておくことが好ましい。一般症状及び体重の増減は、健康状態を表す指標として用いることができるため、異常を呈した動物については、上記採取ステップ以降のステップ又は上記判定ステップを行わないこととすることで、上記スクリーニングの対象から除外し、判定の精度を高めることができる。
上記の採取ステップは、被験物質を投与したげっ歯類動物を安楽死させ、免疫組織又は免疫細胞を採取するステップであるが、「判定ステップ」で発現している遺伝子を解析するのに必要な量を、核酸(特に、RNA)及びタンパク質の分解を防ぐことに留意しながら、分子生物学的手法に従って採取すればよい。具体的には、「モレキュラー・クローニング:実験マニュアル 第3版」(Sambrookら、Cold Spring Harbor Labolatory Press、New York、2001年)等の実験マニュアルを参考にして、全RNA又はmRNAの抽出に使用するための生体試料を採取すればよい。
上記の免疫組織としては、例えば、リンパ節、胸腺、脾臓、骨髄、パイエル板等を例示でき、生体試料の取り扱いの容易さ及び目的とする遺伝子の発現量の多さの点では、リンパ節が特に好ましい。ここで、「リンパ節」には、頸部リンパ節、耳下リンパ節、膝窩リンパ節、脇下リンパ節、腸間膜リンパ節等が含まれるが、上記のスクリーニングにおいては、被験物質の投与部位や暴露部位の近傍のリンパ節が好ましい。例えば、投与ステップで耳介に塗布した場合は、頸部リンパ節が好ましく、足踵皮下に投与した場合は、膝窩リンパ節が好ましい。
なお、採取した免疫組織に付着している脂肪、筋肉、結合組織等については、できる限り取り除くことが好ましく、被験物質の作用により免疫組織重量が非常に小さくなった場合は、同一群の免疫組織をプールして使用することも可能である。
また、上記の免疫細胞としては、例えば、マクロファージ、樹状細胞、T細胞、B細胞、NK細胞、好中球、好酸球等が挙げられ、リンパ細胞が好ましい。免疫細胞は、血液から採取できるが、免疫組織からでも容易に採取でき、被験物質の作用をより強く受けた免疫細胞を得ることができる。例えば、リンパ節細胞は、リンパ節を無血清培地とともにステンレスメッシュを通して、リンパ細胞浮遊液として採取できる。無血清培地としては、リンパ細胞が生育できる培地であれば使用できるが、RPMI 1640培地が好ましい。ステンレスメッシュの孔径は、細胞が単離される大きさであればよく、200号が好ましい。
具体的には、まず、調製したリンパ細胞浮遊液を遠心分離(450×g、10分、4℃)後、上清を捨て、一定量のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を添加して再浮遊させることにより細胞を洗浄し、再度、遠心分離(450×g、10分、4℃)した後に上清を捨て、沈殿したリンパ細胞を回収すればよい。リンパ細胞の数は、多項目自動血球分析装置、自動細胞数計測装置又は血球計算盤を用いて計測することができる。なお、細胞増殖活性測定方法としては、例えば、H−チミジン又は5−ブロモ−2’−デオキシウリヂン(以下、BrdU)の免疫細胞への取込量を測定する方法を例示できる。
上記の測定ステップは、上記免疫組織又は免疫細胞における、亜鉛フィンガータンパク質459遺伝子、ラクトトランスフェリン遺伝子、Casitas B系リンパ腫様−1遺伝子、リポ酸合成酵素遺伝子、フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子、RIKEN cDNA 9630033F20遺伝子、ケラチン8遺伝子、ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子、マイナー組織適合性タンパク質HA−1遺伝子、スプライシング因子アルギニン/セリンリッチ7遺伝子、グアニル酸結合タンパク質1遺伝子及び主要尿タンパク質5遺伝子からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子の発現量を測定するステップであるが、これのマーカー遺伝子の発現量の測定は、例えば、上記免疫組織又は免疫細胞から全RNA又はmRNAを抽出し、標的とする各マーカー遺伝子のmRNAの量を定量すればよい。
具体的には、「モレキュラー・クローニング:実験マニュアル 第3版」(Sambrookら、Cold Spring Harbor Labolatory Press、New York、2001年)等の分子生物学分野の実験マニュアルに従って、免疫組織又は免疫細胞から全RNAを抽出し、例えば、RT−PCR(Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction)法、DNAマイクロアレイ法、ノーザンブロット法、RNaseプロテクションアッセイ法等又はこれらの改変法によって、標的とする各マーカー遺伝子のmRNAの量を定量できる。上記の測定ステップで使用するmRNAの発現量の定量方法としては、簡便性の観点から、RT−PCR法、DNAマイクロアレイ法又はこれらの方法の改変法が好ましく、RT−PCR法においては、定量性の高いリアルタイムPCRがより好ましい。
上記のマーカー遺伝子の塩基配列情報は、National Center for Biotechnology Information(NCBI;http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)が提供する遺伝子情報データベースより取得することができる。
例えば、上記のマーカー遺伝子のマウスにおけるmRNAの塩基配列情報を取得するのに必要なNCBI受入番号は、以下の通りである。亜鉛フィンガータンパク質459遺伝子(Zfp459)のNCBI受入番号は、NM_177811、ラクトトランスフェリン遺伝子(Lft)のNCBI受入番号は、NM_008522、Casitas B系リンパ腫様−1遺伝子(Cbll1)のNCBI受入番号は、NM_134048、リポ酸合成酵素遺伝子(Lias)のNCBI受入番号は、NM_024471、フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子(Fmo2)のNCBI受入番号は、NM_018881、RIKEN cDNA 9630033F20遺伝子(9630033F20Rik)のNCBI受入番号は、NM_177003、ケラチン8遺伝子(Krt8)のNCBI受入番号は、NM_031170、ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子(Gjp1)のNCBI受入番号は、NM_008124、マイナー組織適合性タンパク質HA−1遺伝子(Hmha1)のNCBI受入番号は、NM_027521、スプライシング因子アルギニン/セリンリッチ7遺伝子(Sfrs7)のNCBI受入番号は、NM_146083、グアニル酸結合タンパク質1遺伝子(Gbp1)のNCBI受入番号は、NM_010259、主要尿タンパク質5遺伝子(Mup5)のNCBI受入番号は、NM_008649である。
表1は、これらのマーカー遺伝子の略称、正式名称及びNCBI受入番号についてまとめたものである。
Figure 2012050371
なお、ラット及びその他のげっ歯類動物の上記マーカー遺伝子の塩基配列についてもすでに公知となっており、上記のNCBIが提供している遺伝子情報データベースで検索することにより、受入番号及び塩基配列情報を取得することができる。
RT−PCRのように、上記のマーカー遺伝子のmRNAの定量にPCRを行う場合には、各マーカー遺伝子のcDNAを特異的に増幅できるプライマーセットを予め準備する必要があるが、対象とするげっ歯類動物のZfp459、Ltf、Cbll1、Lias、Fmo2、9630033F20Rik、Krt8、Gjb1、Hmha1、Sfrs7、Gbp1又はMup5のmRNAの塩基配列情報はすでに公開されているため、各マーカー遺伝子のmRNAの塩基配列情報に基づいてプライマーセット(5’−プライマー及び3’−プライマー)を設計し、オリゴヌクレオチドを化学合成すればよい。
設計するプライマーセットは、標的とするマーカー遺伝子のcDNAの塩基配列の特異的な配列にアニールし、PCRによりcDNA断片を特異的に増幅できるものが好ましい。複数のマーカー遺伝子を同時にPCRする場合は、各プライマーセット間でTm値が大きく異ならないように調整して設計するとよい。
表2は、マウスの上記マーカー遺伝子を特異的に増幅するプライマーセットの好ましい例を列挙している。
Figure 2012050371
PCRの反応条件は、増幅されるcDNA断片の収率及び増幅反応の特異性を考慮し、一般的なPCRの反応条件を基に適宜最適化できるが、その際に重要となる反応パラメータとしては、プライマーの長さ及び塩基配列、アニーリング温度、伸長温度、反応時間、Mgイオン濃度、塩濃度等が挙げられる。
DNAマイクロアレイ法、ノーザンブロット法、RNaseプロテクションアッセイ法等のように、上記のマーカー遺伝子のmRNA又はそのcDNAと、標的とするマーカー遺伝子検出用のプローブとの間でハイブリダイゼーションを行う場合には、各マーカー遺伝子のmRNA又はcDNAと特異的にハイブリダイズするプローブを予め準備する必要があるが、対象とするげっ歯類動物のZfp459、Ltf、Cbll1、Lias、Fmo2、9630033F20Rik、Krt8、Gjb1、Hmha1、Sfrs7、Gbp1又はMup5のmRNAの塩基配列情報はすでに公開されているため、各マーカー遺伝子のmRNA又はcDNAの塩基配列情報に基づいてプローブを設計し、直接オリゴヌクレオチドを化学合成したり、PCR等で対象となる塩基配列を有するcDNA断片を取得し、それに蛍光標識、RI標識、ジゴキシゲニン(DIG)標識、ビオチン標識等を行えばよい。
なお、マーカー遺伝子検出用のプローブは、標的とするマーカー遺伝子のcDNAの塩基配列に対して特異的な配列にハイブリダイズすることが求められるが、特異的な塩基配列かどうかの確認は、BLAST解析を行うことにより確認することができる。
プローブを蛍光標識するために使用する蛍光物質としては、FITC(Fluorescein isothiocianate)、RITC(Rhodamine B―isothiocyanate)、GFP(Green Fluorescent Protein)、EGFP(Enhanced Green Fluorescent Protein)、RFP(Red Fluorescent Protein)、CFP(Cyan Fluorescent Protein)、CGFP(Cyan Green Fluorescent Protein)、YFP(Yellow Fluorescent Protein)、CyDye(例えば、Cy3、Cy5及びCy7.5)を例示できる。
プローブを上記の蛍光物質で標識する方法としては、直接標識する方法やアミノアリルdUTP又はアミノアリルNTPを用いて間接的に標識する方法等がある。直接標識する方法は、直鎖DNAの場合はDNAプローブの5’末端を、RNAの場合は増幅過程で上記蛍光物質を直接標識化できる。間接的に標識する方法は、アミノアリルNTPの場合はNHSエステルDye誘導体により、アミノアリルdUTPの場合はdye エステルをカップリングすることにより、間接的に標識化することが可能である。例えば、スクシンイミド・エステルのカップリング反応により、アミノアリルがついた核酸にCy3あるいはCy5を標識できる。
プローブにRI標識するための放射性同位元素としては、32P、33P、35Sが挙げられ、例えば、T4−ポリヌクレオチドキナーゼとヌクレオシドの三リン酸(例えば、[α−32P]ATP)を用いて、プローブとなるオリゴヌクレオチドの5’末端を32Pでラベルしたり、PCRの反応液中に放射性ラベルされたデオキシヌクレオシド三リン酸(例えば、[α−32P]dCTP)を基質として加えてPCRを行えば、増幅されるcDNA断片の内部に放射性ラベルされたデオキシヌクレオシド三リン酸を含むプローブを得ることができる。
プローブをRI標識する方法としては、ニックトランスレーション法、Klenow酵素を使用するランダムプライム法等がある。ニックトランスレーション法は、プローブとして用いる2本鎖DNAの任意の箇所にデオキシリボヌクレアーゼIによってニック(切れ目)を入れ、そこから大腸菌DNAポリメラーゼIの5’-3’エキソヌクレアーゼ活性により、ニックの5’端のヌクレオチドを除去し、次に5’-3’ポリメラーゼ活性により、3’端から相補鎖DNAの修復合成を行わせる。その際、α位で放射性同元素標識されたヌクレオチドを基質として用いることにより、標識プローブを得ることができる。ランダムプライム法は、ニックトランスレーション法の改良法であり、DNAの長さが反応に影響しないので、100塩基対位の短いDNAを標識するに適しており、鋳型DNAは2本鎖でも1本鎖でもよい。DNA断片を加熱、急冷して1本鎖にした後、ランダムな塩基配列をもつオリゴヌクレチドを加えるとその一部がDNAと結合する。これらをプライマーとしてKlenow酵素による伸長反応で相補鎖DNAを合成する。そのときに一つまたは複数の放射性同位元素で標識されたヌクレオチドを基質として用いることにより、標識された相補鎖DNAが合成される。
プローブにジゴキシゲニン(DIG)標識又はビオチン標識を行った場合は、ハイブリダイゼーションを行った後に、アルカリフォスファターゼやペルオキシダーゼで標識した抗DIG抗体又は同様に酵素標識したアビジンと反応させることにより、プローブとの特異的な結合がなされ、対応する発色基質と反応させることでアルカリフォスファターゼやペルオキシダーゼの活性を化学発色に可視化して検出できる。発色基質としては、NBT/BCIP(ニトロ−ブルー塩化テトラゾリウム/5−ブロモ−4−クロロ−3’−インドリルホスファターゼ p−トルイジン塩)、AMPPD(登録商標)、CSPD(登録商標)、CDP−Star(登録商標)(Tropix社)等が挙げられる。
プローブをDIG標識又はビオチン標識する方法としては、上記RI標識する方法と同様に、ニックトランスレーション法、Klenow酵素を使用するランダムプライム法等がある。DIG又はアビジン標識されたヌクレオチドを基質として用いることにより、標識プローブを得ることができる。
また、いずれの定量方法を用いた場合であっても、各マーカー遺伝子のmRNAの発現量は、ハウスキーピング遺伝子(例えば、β−アクチン、ニワトリグリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(Glyceraldehyde−3−phosphate dehydrogenase;以下、GAPDH又はG3PDHと略される。)、β2−マイクログロブリン等)のmRNAの発現量で補正して評価することが好ましく、精度を高めるためにはこの補正が必要となる。各被験物質を投与した動物の免疫組織又は免疫細胞に発現している各マーカー遺伝子のmRNAの量は、全RNA又はmRNAの単位量当たりの発現量として調べることとなるが、PCRやハイブリダイゼーションに影響を与える物質や全RNA又はmRNAの定量に影響を及ぼす物質がコンタミする場合等が考えられるため、ハウスキーピング遺伝子の発現量で補正することで、これらの要因による影響を防ぐことができるからである。
例えば、各サンプルにおけるハウスキーピング遺伝子及び各マーカー遺伝子のmRNA発現量を測定し、ハウスキーピング遺伝子のmRNA発現量(測定値)で各マーカー遺伝子のmRNA発現量(測定値)を割ることにより補正値を得て、対照動物群の補正値を「1」とした場合の各サンプルのmRNA発現量(相対値)を、対照動物群の補正値で各サンプルの補正値を割ることによって算出する方法が好ましい。
上記の判定ステップは、上記亜鉛フィンガープロテイン459遺伝子、上記ラクトトランスフェリン遺伝子、上記Casitas B系リンパ腫様−1遺伝子、上記フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子、上記ケラチン8遺伝子、上記ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子及び上記グアニル酸結合タンパク質1遺伝子からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子の発現量(m−1)が、上記投与ステップで上記被験物質を投与した動物種と同じげっ歯類動物であり、かつ、上記被験物質を投与していない対照動物の免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−1)と比較して1.5倍以上である場合に、上記被験物質は免疫抑制活性を有すると判定するステップである。
ここで「対照動物」とは、上記投与ステップで上記被験物質を投与した動物種と同じげっ歯類動物であり、かつ、上記被験物質を投与していない動物であるが、より具体的には、投与ステップで投与した被験物質が投与されず、かつ、被験物質の溶媒又は生理食塩液を投与したげっ歯類動物のことであり、薬効評価等を行う通常の動物実験における対照群の動物に該当するものである。すなわち、対照動物には、被験物質を溶媒に溶解、懸濁又は乳濁させて投与した場合は、被験物質を含まない溶媒のみを、対照動物に被験物質投与と同一の投与方法、容量、頻度で投与することとなる。例えば、被験物質をジメチルスルホキシド溶液として皮下投与する場合には、対象動物群にはジメチルスルホキシド溶液のみが皮下投与される。一方、被験物質がそのままの状態で投与できる状態にあり、溶媒を使用することなく投与する場合は(例えば、植物由来の抽出物等)、溶媒の代わりに生理食塩液を対照動物に投与する。なお、溶媒とは、投与する被験物質を溶解、懸濁又は乳濁させるために使用した液体のことであり、被験物質をげっ歯類動物に投与した投与組成物に含まれる被験物質以外の全ての成分が該当する。
また、投与ステップと同様に、被験物質を含まない溶媒又は生理食塩液を投与する対照動物の個体数は、1群当たり1匹であってもよいが、動物個体差による誤差をできるだけ小さくするために、群ごとに複数の動物(n=3〜6)を用いるのが好ましい。
上記の「m−1」とは、上記亜鉛フィンガープロテイン459遺伝子、上記ラクトトランスフェリン遺伝子、上記Casitas B系リンパ腫様−1遺伝子、上記フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子、上記ケラチン8遺伝子、上記ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子及び上記グアニル酸結合タンパク質1遺伝子からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子の発現量のことであり、例えば、上記の測定ステップで測定されたこれらのマーカー遺伝子のmRNAの発現量が該当することとなる。
m−1は、上記のハウスキーピング遺伝子のmRNAの発現量で補正された量が好ましい。すなわち、m−1は、上記亜鉛フィンガープロテイン459遺伝子、上記ラクトトランスフェリン遺伝子、上記Casitas B系リンパ腫様−1遺伝子、上記フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子、上記ケラチン8遺伝子、上記ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子及び上記グアニル酸結合タンパク質1遺伝子からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子のmRNAの発現量を、ハウスキーピング遺伝子のmRNAの発現量で除した値とするのがより好ましい。
上記の「n−1」とは、対照動物の免疫組織又は免疫細胞における、m−1に対応する同じマーカー遺伝子の発現量のことであり、該当するマーカー遺伝子のmRNAの発現量が該当することとなる。n−1は、m−1と同様に、上記のハウスキーピング遺伝子のmRNAの発現量で補正された量が好ましい。すなわち、n−1は、亜鉛フィンガープロテイン459遺伝子、上記ラクトトランスフェリン遺伝子、上記Casitas B系リンパ腫様−1遺伝子、上記フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子、上記ケラチン8遺伝子、上記ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子及び上記グアニル酸結合タンパク質1遺伝子からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子であり、かつ、m−1に対応する同じマーカー遺伝子、のmRNAの発現量を、同じハウスキーピング遺伝子のmRNAの発現量で除した値とするのがより好ましい。
m−1がn−1と比較して1.5倍以上である場合、上記被験物質は免疫抑制活性を有すると判定できる。この場合、m−1がn−1と比較して1.5倍以上となるマーカー遺伝子が3種類以上ある場合(但し、ZFP459を含む場合は2種類以上でよい)は、カルシニューリン阻害作用、代謝拮抗作用、ステロイド作用あるいはアルキル化作用のうち、2以上の作用を介するものであると判定できる。
また上記の判定ステップは、上記リポ酸合成酵素遺伝子、上記RIKEN cDNA 9630033F20遺伝子、上記マイナー組織適合性タンパク質HA−1遺伝子、上記スプライシング因子アルギニン/セリンリッチ7遺伝子及び上記主要尿タンパク質5遺伝子からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子の発現量(m−2)が、上記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−2)と比較して0.67倍以下である場合に、上記被験物質は免疫抑制活性を有すると判定するステップである。
上記の「m−2」とは、上記リポ酸合成酵素遺伝子、上記RIKEN cDNA 9630033F20遺伝子、上記マイナー組織適合性タンパク質HA−1遺伝子、上記スプライシング因子アルギニン/セリンリッチ7遺伝子及び上記主要尿タンパク質5遺伝子からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子の発現量のことであり、例えば、上記の測定ステップで測定されたこれらのマーカー遺伝子のmRNAの発現量が該当することとなる。
上記の「n−2」とは、対照動物の免疫組織又は免疫細胞における、m−2に対応する同じマーカー遺伝子の発現量のことであり、該当するマーカー遺伝子のmRNAの発現量が該当することとなる。n−2は、m−2と同様に、上記のハウスキーピング遺伝子のmRNAの発現量で補正された量が好ましい。すなわち、n−2は、上記リポ酸合成酵素遺伝子、上記RIKEN cDNA 9630033F20遺伝子、上記マイナー組織適合性タンパク質HA−1遺伝子、上記スプライシング因子アルギニン/セリンリッチ7遺伝子及び上記主要尿タンパク質5遺伝子からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子であり、かつ、m−2に対応する同じマーカー遺伝子、のmRNAの発現量を、同じハウスキーピング遺伝子のmRNAの発現量で除した値とするのがより好ましい。
m−2がn−2と比較して0.67倍以下である場合、上記被験物質は免疫抑制活性を有すると判定できる。さらに、該当するマーカー遺伝子が2以上ある場合は、カルシニューリン阻害作用、代謝拮抗作用、ステロイド作用あるいはアルキル化作用のうち、2以上の作用を介するものであると判定できる。
上記判定ステップでは、上記Ltf若しくはCbll1の発現量が、上記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量と比較して1.5倍以上である場合、及び/又は、上記Liasの発現量が、上記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量と比較して0.67倍以下である場合に、上記被験物質の免疫抑制活性は、カルシニューリン阻害作用であると判定できる。
また、上記Fmo2の発現量が、上記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞におけるFmo2の発現量と比較して7.5倍以上である場合、及び/又は、上記9630033F20Rikの発現量が、上記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量と比較して0.67倍以下である場合に、上記被験物質の免疫抑制活性は、代謝拮抗作用を介するものであると判定できる。
また、上記Krt8若しくは上記Gjp1の発現量が、上記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量と比較して2.0倍以上である場合、及び/又は、上記Hmha1若しくは上記Sfrs7の発現量が、上記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量と比較して0.67倍以下である場合に、上記被験物質の免疫抑制活性は、ステロイド作用を介するものであると判定できる。
さらに、上記Gbp1の発現量が、上記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞におけるGbp1の発現量と比較して1.5倍以上である場合、及び/又は、上記Mup5の発現量が、上記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞におけるMup5の発現量と比較して0.67倍以下である場合に、上記被験物質の免疫抑制活性は、アルキル化作用を介するものであると判定できる。
なお、上記のスクリーニング方法で発現量を測定する遺伝子としては、Zfp459、Ltf、Cbll1、Lias、Fmo2、9630033F20Rik、Krt8、Gjb1、Hmha1、Sfrs7、Gbp1及びMup5からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子であれば特に限定はされないが、被験物質の免疫抑制活性を有すると判定するために、Zfp459の発現量が、上記対照動物の免疫組織又は免疫細胞におけるZfp459の発現量と比較して1.5倍以上であることを必須条件とすれば、非特異的なシグナルによる誤判定を防止でき、精度の高いスクリーニングを実現できる。
また、本発明の免疫抑制剤のスクリーニングキットは、下記の(A)〜(D)のいずれかを含むことを特徴としている。
(A) Zfp459、Ltf、Cbll1、Lias、Fmo2、9630033F20Rik、Krt8、Gjb1、Hmha1、Sfrs7、Gbp1及びMup5からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子をPCRで増幅するためのPCRプライマーセット
(B) Zfp459、Ltf、Cbll1、Lias、Fmo2、9630033F20Rik、Krt8、Gjb1、Hmha1、Sfrs7、Gbp1及びMup5からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子にハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブ
(C) 上記ポリヌクレオチドプローブが固定化された担体
(F) Zfp459、Ltf、Cbll1、Lias、Fmo2、9630033F20Rik、Krt8、Gjb1、Hmha1、Sfrs7、Gbp1及びMup5からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子の翻訳産物に結合する抗体
上記キットは、被験物質の免疫抑制活性を評価するために必要な試薬又は器材を含むものである。これらの試薬の中には、各種酵素類、緩衝液、洗浄液、溶解液等も含まれる。さらに、反応条件を最適化したプロトコル等を含んでいてもよい。また、多数検体の同時処理ができるマイクロタイタープレートや蛍光/発光強度の測定に必要な器材等の一式を含んでいるとさらに好ましい。
例えば、上記(A)のPCRプライマーセットを含むキットの構成品としては、組織又は細胞からRNA(全RNA又はmRNA)を抽出する試薬、RNAからcDNAを合成する逆転写酵素及び試薬、マーカー遺伝子を増幅するプライマー、ハウスキーピング遺伝子を増幅するプライマー及びPCR関連試薬が挙げられる。PCRを実施するために必要な上記試薬やプライマーは、予めマイクロチューブに添加された状態であってもよく、PCRのアニーリング及び伸長工程の温度及び反応時間を最適化したプロトコルがキットに含まれていればより好ましい。
上記(B)のポリヌクレオチドプローブを含むキットの構成品としては、細胞からRNA(全RNA又はmRNA)を抽出する試薬、RNAからcDNAを合成する逆転写酵素や試薬、マーカー遺伝子と特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブ、ハウスキーピング遺伝子と特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブ及びハイブリダイズ関連試薬が挙げられる。ハイブリダイズする反応条件を最適化したプロトコルがキットに含まれていればより好ましい。
上記(C)のポリヌクレオチドプローブが固定化された担体を含むキットの構成品としては、上記(B)のキットに含まれる構成品に加えて、ポリヌクレオチドプローブがあらかじめ担体に固定化されたものを含む。担体としては、ガラスや樹脂等の基板が挙げられ、例えば、その基板上に数百〜数万種類のDNA断片を高密度に並べたDNAマイクロアレイ(DNAチップ)が挙げられる。ポリヌクレオチドプローブとしては、遺伝子のmRNAを逆転写したcDNA断片、遺伝子のエキソンに相当する領域から20〜100ヌクレオチドを選択し、化学合成したオリゴDNAが挙げられる。
上記(D)の抗体を含むキットの構成品としては、細胞を溶解するLysis Buffer、マーカー遺伝子の翻訳産物に特異的に結合する抗体、酵素標識抗体、酵素の基質及びその他関連試薬が挙げられる。ELISAやRIAのより正確な実施のためには、検量線作成のための標準物質がキットに含まれていればより好ましい。
上記のマーカー遺伝子の翻訳産物に特異的に結合する抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体のいずれであっても構わない。特に、マウスの上記マーカー遺伝子のDNA塩基配列はすでに公知となっているため、これらのタンパク質の特異的抗体は、これらのタンパク質を抗原として用い、公知の抗体又は抗血清の製造方法で製造することができる。以下に、これらの製造方法を例示する。
モノクローナル抗体産生細胞の製造においては、まず、抗原となるタンパク質を温血動物の抗体産生が可能な部位に投与して、抗原で免疫された温血動物を作製する。抗原となるタンパク質は単独で投与してもよいし、担体又は希釈剤とともに投与しても構わない。また、抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバント等のアジュバントを同時に投与してもよい。
抗原となるタンパク質は、通常、2〜6週毎に1回ずつの頻度で、計2〜10回程度投与する。抗原となるタンパク質を投与する温血動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ又はニワトリが挙げられる。
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマは、抗原で免疫された温血動物、すなわち抗体価の認められた温血動物から、抗原となるタンパク質の最終投与より2〜5日後に脾臓又はリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を同種又は異種動物の骨髄腫細胞と融合させることによって製造することができる。なお、温血動物の抗血清中の抗体価の測定方法としては、例えば、標識化ペプチドと抗血清とを反応させた後、抗体に結合した標識化ペプチドの活性を測定する方法が挙げられる。
抗体産生細胞と骨髄腫細胞とは、公知の方法(ケーラーら、Nature、1975年、p.256−495)で融合させることができる。融合に用いる融合促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(以下、PEG)又はセンダイウィルス等が挙げられる。また、融合促進剤は10〜80%の濃度で添加されることが好ましい。
異種動物の骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1細胞、P3U1細胞、SP2/0細胞、AP−1細胞が挙げられる。融合に用いる抗体産生細胞の数と骨髄腫細胞の数の比率は、1:1〜20:1が好ましい。インキュベートは30〜37℃、1〜10分間が好ましい。
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニング方法としては、例えば、ペプチド抗原を吸着させたマイクロプレートにハイブリドーマ培養上清を添加し、さらに放射性物質や酵素等で標識した抗免疫グロブリン抗体又はプロテインAを加えて、マイクロプレートに結合したモノクローナル抗体を検出する方法、又は、抗免疫グロブリン抗体又はプロテインAを吸着させたマイクロプレートにハイブリドーマ培養上清を添加し、さらに放射性物質や酵素等で標識したタンパク質を加え、マイクロプレートに結合したモノクローナル抗体を検出する方法が挙げられる。
モノクローナル抗体は、自体公知又はそれに準じる方法で選別できるが、通常、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン)を添加した動物細胞用培地が用いられる。動物細胞用培地としては、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマが生育できれば特に限定されないが、例えば、10〜20%牛胎児血清を含むRPMI 1640培地又はハイブリドーマ培養用無血清培地(SFM−101;日水製薬(株))が挙げられる。
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの培養は、通常、37℃、5%CO2下で行われる。モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの培養期間は、通常1〜2週間が好ましい。また、ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗体価と同様に測定できる。
モノクローナル抗体の分離精製方法としては、例えば、免疫グロブリンの分離精製方法が挙げられる。ここで、免疫グロブリンの分離精製方法としては、例えば、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、DEAE等のイオン交換体による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相又はプロテインA若しくはプロテインG等の活性吸着剤により抗体のみを採取する特異的精製法が挙げられる。
ポリクローナル抗体は、例えば、免疫抗原となるタンパク質又は免疫抗原となるタンパク質とキャリアータンパク質との複合体を、上記のモノクローナル抗体産生細胞の製造と同様に温血動物に投与し、免疫された温血動物から抗体含有物を採取して製造することができる。
キャリアータンパク質との複合体を形成して免疫抗原となるタンパク質、すなわちハプテンの種類としては、ハプテンがキャリアータンパク質と結合することによりポリクローナル抗体が効率良く産生されるものであれば、特に限定はない。一方、キャリアータンパク質としては、例えば、ウシ血清アルブミン、ウシサイログロブリン又はヘモシアニンが挙げられる。
複合体形成におけるハプテンとキャリアータンパク質との重量比としては、ハプテン1に対し、キャリアータンパク質が0.1〜20が好ましく、1〜5がより好ましい。また、ハプテンとキャリアータンパク質との結合に用いる縮合剤としては、例えば、グルタルアルデヒド、カルボジイミド、マレイミド活性エステル又はチオール基若しくはジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬が挙げられる。
ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫された温血動物の血液、腹水等から採取することができ、モノクローナル抗体と同様に分離精製することができる。
上記のマーカー遺伝子の翻訳産物の発現量の測定については、組織又は細胞をLysis Bufferで溶解後、抗体を用いたELISA(Enzyme−Linked Immunosorbent Assay)、RIA(Radioimmunoassay)又はウェスタンブロッティング等、公知の方法で測定することができる。
以下、ELISA法を例に挙げて、マーカー遺伝子の翻訳産物の発現量の測定を説明する。被験物質を投与したげっ歯類動物から採取した免疫組織又はその免疫細胞をホモジナイズした後、Lysis Bufferで溶解し、タンパク質を含む抽出液を得る。その後、マーカー遺伝子に特異的に結合する抗体を吸着させた96穴プレートに、タンパク質を含む抽出液を加え反応させた後、先にプレートに吸着させた抗体とは違うエピトープを認識する一次抗体を加え反応させる。プレートを洗浄後、酵素標識された二次抗体を加え反応させる。反応後、洗浄し、酵素の基質を加え発色させ、吸光度を測定し、あらかじめ作成した検量線から、該当するタンパク質の発現量を測定する。
ここでいう発現量とは、絶対量である必要はなく、相対量であってもよい。また、必ずしも数値的に表現される必要はなく、例えば、色素や蛍光標識等の可視的な標識を用い、目視により判定する場合も、発現量の測定に含まれるが、数値的に表現できる方法が好ましい。
対照動物の免疫組織又は免疫細胞における、Zfp459、Ltf、Cbll1、Lias、Fmo2、9630033F20Rik、Krt8、Gjb1、Hmha1、Sfrs7、Gbp1及びMup5からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子の発現量は、被験物質を投与したげっ歯類動物におけるそれらの発現量と同時に測定してもよいし、事前に測定しておいてもよい。事前の測定をしておく場合には、予め対照動物における該遺伝子発現量の絶対量又はある標準物質に換算した相対量を求めておき、それを、被験物質を投与したげっ歯類動物における発現量と比較してもよいし、対照動物における絶対量に相当する量の該DNA又は該タンパク質を対照として、被験物質を投与したげっ歯類動物における発現量と同時に測定してもよい。
上記のマーカー遺伝子は、上記の被験物質の免疫抑制活性を評価するための方法やキットで使用され、Zfp459、Ltf、Cbll1、Lias、Fmo2、9630033F20Rik、Krt8、Gjb1、Hmha1、Sfrs7、Gbp1及びMup5からなる群から選択され、免役抑制活性のスクリーニング方法を提供することを特徴としている。
Zfp459、Ltf、Cbll1、Lias、Fmo2、9630033F20Rik、Krt8、Gjb1、Hmha1、Sfrs7、Gbp1及びMup5の遺伝子の塩基配列及びアミノ酸配列の情報は、NCBIが提供している遺伝子情報データベースで検索することができ、該当する遺伝子のNCBI受入番号を使用して検索すれば容易に入手することができる(表1)。
なお、Zfp459、Ltf、Cbll1、Lias、Fmo2、9630033F20Rik、Krt8、Gjb1、Hmha1、Sfrs7、Gbp1及びMup5の遺伝子のクローニング及び翻訳産物の調製は、例えば、「モレキュラー・クローニング:実験マニュアル 第3版」(Sambrookら、Cold Spring Harbor Labolatory Press、New York、2001年)に記載の分子生物学手法及びそれらを基にした改良法に従って行なうことができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)免疫抑制剤の投与によって発現が変動する遺伝子の選定
検疫期間中に順調な体重増加を示したマウス(BLAB/c、雌、6週齢;SLC)の体重を測定し、体重の分布が均一となるように各群3又は5匹ずつ配分した。
免疫抑制剤としては、カルシニューリン阻害剤である1%タクロリムス(セコイアリサーチプロダクツ社)及び1%シクロスポリン(シグマ−アルドリッチ社)、代謝拮抗剤である1%メトトレキサート(シグマ−アルドリッチ社)及び2.5%アザチオプリン(シグマ−アルドリッチ社)、ステロイド剤である2%デキサメタゾン(バイオモル社)及び2.5%プレドニゾロン(和光純薬工業)、アルキル化剤である5%シクロホスファミド(シグマ−アルドリッチ社)を用いた。免疫毒性反応を増強する細胞毒性物質である5%ドデシル硫酸ナトリウム(以下、SDS;和光純薬工業)を陰性対照として用いた(De Jongら、Toxicology、2002年、176巻、p.123−134)。なお、投与液の溶媒にはジメチルスルホキシド(以下、DMSO;国産化学社)を用いた。
投与液は、塗布容量を25μL/片耳として、3日間連続して1日1回、計3回耳介塗布した。対照動物群には、溶媒であるDMSOを耳介に同様に塗布した。最終塗布翌日に、マウスを頸椎脱臼により安楽死させ、頸部リンパ節を摘出し、脂肪や筋肉組織等を取り除いた。各個体のリンパ節をRNAlater(Applied Biosystems社)で一旦冷蔵保存し、4日後にリンパ節を0.6mLの2−メルカプトエタノールを添加したRNeasy Plus Mini (QIAGEN社) 付属のRLT溶液に入れ、ハサミでリンパ節を細切後、ホモジナイザー(ポリトロン社)でホモジナイズした。以降は、RNeasy Plus Miniの説明書に従って全RNAを抽出した。
得られた全RNAの濃度及び純度は、NanoDrop ND−1000分光光度計(Thermo Fisher Scientific社)で測定した。各被験物質投与群及び対照動物群の群毎に、各個体から等量の全RNAを混合した。この全RNA混合液をDNAマイクロアレイ実験に使用した。なお、全RNA混合液中の全RNAが分解されていないことは、Agilent 2100バイオアナライザ(Agilent社)にてリボソームRNAの明瞭なバンドを検出することで、確認した。
各群の全RNA混合液から、Amino Allyl MessageAmpTM II aRNA Amplification kit (Ambion社)を用い、その説明書に従って、aRNA(アミノアリルRNA)を増幅した。
DNAマイクロアレイ実験は、DNAチップ3D−Gene(登録商標) Mouse oligo chip 24k(カタログ番号:TRT−XR032;東レ社)の説明書に従って、ReferenceサンプルとしてCy5で標識した対照動物群のaRNAと、Cy3で標識した各被験物質投与群のaRNAを混合する二色法、あるいは、Cy3で標識したすべての群のaRNAを用いる単色法により実施した。二色法では各標識aRNAを500ngずつ分取・混合し、単色法ではCy3標識aRNA1000ngを、それぞれ3D−Gene(登録商標) Mouse oligo chip 24kに添加して、37℃、16時間、遮光条件でハイブリダイゼーションさせた。DNAチップを洗浄した後、Scan Array Experss(PerkinElmer社)で蛍光画像を取り込み、蛍光強度を数値化した。スキャンデータはGenePix Pro(MDS Analytical Technologies社)を用いて解析し、すべてのスキャンデータをグローバルノーマライゼーションによって補正した。
遺伝子発現解析にはMetaCoreTM(GeneGo社)を用いた。免疫抑制剤投与により発現が変動した遺伝子のうち、免疫抑制作用を示さない細胞毒性物質であるSDSによる発現変動を超える発現変動が認められた遺伝子、かつ、対照動物群における発現量と比較して1.5倍以上、又は0.67倍以下に発現が変動した遺伝子を、免疫抑制活性のマーカー遺伝子として選定した。
すべての免疫抑制剤に共通して発現が変動した遺伝子として、Zfp459(配列番号1)、カルシニューリン阻害剤に特異的に発現変動したLtf、Cbll1及びLias、代謝拮抗剤に特異的に発現変動したFmo2及び9630033F20Rik、ステロイド剤に特異的に発現変動したKrt8、Gjb1、Hmha1及びSfrs7、アルキル化剤に特異的に発現変動したGbp1及びMup5が選定された。
表3は、3D−Gene(登録商標) Mouse oligo chip 24kに搭載された上記マーカー遺伝子のオリゴDNAの配列を示している。
Figure 2012050371
(実施例2)定量的リアルタイムPCRによる免疫抑制剤特異的マーカー遺伝子の同定
各個体の全RNA抽出までは、実施例1と同一の方法で実験を行った。ただし、各群3例とした。
個体ごとに、その全RNAから、Superscript III First−Strand Synthesis Systems(ライフテクノロジーズジャパン社)を用いて、常法に従ってcDNA合成を行った。すなわち、1μg分の全RNAにDEPC処理水を添加して16μLとし、2μLのOligo(dT)20プライマー及び2μLの10mmol/L dNTPsと混和し、65℃で5分間加熱後、氷上で1分間冷却した。その後、Superscript III逆転写酵素を用いて逆転写を行った。逆転写反応条件は、50℃で50分間、85℃で5分間反応後、氷上で冷却した。さらに2μLのRnase Hを添加し、37℃で20分間した。
このようにして得られた各群3例のcDNAを用いて、実施例1で同定したマーカー遺伝子の発現量を定量的リアルタイムPCR法にて測定した。定量的リアルタイムPCR法による測定には、ABI PRISM 7500FAST Real−Time PCR System(ライフテクノロジーズジャパン社)を用いた。測定にはPower SYBR Green PCR Master Mix(ライフテクノロジーズジャパン社)を用い、定法に従って実施した。なお、使用したマーカー遺伝子のプライマーセットは、表2に示すとおりである。また、PCRの温度サイクル条件は、95℃で15秒、58℃で30秒、72℃で30秒を1サイクルとし、40サイクル実施した。目的遺伝子のmRNA発現量解析は、ハウスキーピング遺伝子であるβ−アクチンの発現量により標準化し、相対定量した。β−アクチンのプライマーには、フォワード側のプライマー(5’→3’)としてattgctgacaggatgcagaa(配列番号38)、リバース側のプライマー(5’→3’)としてcaggaggagcaatgatcttga(配列番号39)を用いた。各被験物質投与群のmRNA発現量は、対照動物群のmRNA発現量を1とした時の相対値として表した。
対照動物群と各被験物質投与群との比較は、等分散の検定(F検定)により分散の一様性を検定し、等分散の場合はt検定を、また不等分散の場合はAspin−Welch検定を行った。有意水準は片側5%とした。その結果を表4及び5に示した。
Figure 2012050371
Figure 2012050371
表4は免疫抑制剤により発現が増加した遺伝子群、表5は免疫抑制剤により発現が減少した遺伝子群を示し、数値はマーカー遺伝子のmRNA発現量(相対値)を示す。各表の太線の囲は、SDSによる発現変動を超える発現変動が認められた遺伝子、かつ、DNAマイクロアレイ結果及び定量的リアルタイムPCR結果ともに対照動物群における発現量と比較して1.5倍以上、又は0.67倍以下に発現が変動した遺伝子を示している。
すべての免疫抑制剤に共通して、Zfp459の遺伝子発現量は1.5倍以上に増加した。カルシニューリン阻害剤に特異的に、Ltf及びCbll1の遺伝子発現量は1.5倍以上に増加し、Liasの遺伝子発現量は0.67倍以下に減少した。代謝拮抗剤に特異的に、Fmo2の遺伝子発現量は7.5倍以上に増加し、9630033F20Rikの遺伝子発現量は0.67倍以下に減少した。ステロイド剤に特異的に、Krt8及びGjb1の遺伝子発現量は2.0倍以上に増加し、Hmha1及びSfrs7の遺伝子発現量は0.67倍以下に減少した。アルキル化剤に特異的に、Gbp1の遺伝子発現量は1.5倍以上に増加し、Mup5の遺伝子発現量は0.67倍以下に減少した。このように、免役抑制剤投与により特異的に発現が変動するマーカー遺伝子を同定できた。
(実施例3)免疫抑制剤の投与によるリンパ節重量、リンパ細胞数及び細胞増殖活性の減少
各個体の頸部リンパ節摘出までは、実施例1と同一の方法で実験を行った。ただし、使用した免役抑制剤は、以下の通りとした。
免疫抑制剤には、実施例1と同様に、カルシニューリン阻害剤である1%タクロリムス及び1%シクロスポリン、代謝拮抗剤である1%メトトレキサート及び2.5%アザチオプリン、ステロイド剤である2%デキサメタゾン及び2.5%プレドニゾロン、アルキル化剤である5%シクロホスファミドを使用した。
摘出した頸部リンパ節は、脂肪や筋肉組織等を取り除いた後、電子天秤を用いて動物個体毎のリンパ節重量(合計重量)を測定した。プレドニゾロン及びシクロホスファミドについては、リンパ細胞数を測定した。すなわち、リンパ節の重量を測定後、無血清培地(RPMI 1640培地)とともにステンレスメッシュ(サイズ:200号)を通して、単細胞浮遊液とした。細胞浮遊液は、動物個体ごとに15mLポリスチレン製遠沈管に回収した。調製した細胞浮遊液を450×g、10分、4℃で遠心分離後、無血清培地1mLで再浮遊させリンパ細胞数を計測した。計測には、多項目自動血球分析装置(Sysmex SF−3000;シスメックス社)を用いた。
さらに、シクロホスファミドについては細胞増殖活性を測定した。すなわち、上記のリンパ細胞数計測後、残りの細胞浮遊液を450×g、10分、4℃で再び遠心分離した。無血清培地に非働化(56°Cで30分の加熱処理)したfetal bovine serumを10%となるように添加した培養培地を用いて、5×10cells/mLとなるように調製し、96穴プレートにトリプリケートで100μL/well播種した。37℃、5%CO2下で約24時間前培養した後、Cell proliferation Biotrak ELISA system version 2(GEヘルスケアバイオサイエンス社)を用いて細胞増殖活性を測定した。細胞増殖活性はDMSOを投与した対照動物群に対するBrdU取込比率で示した。
リンパ節重量、リンパ細胞数及び細胞増殖活性について、対照動物群と各被験物質投与群との比較は、等分散の検定(F検定)により分散の一様性を検定し、等分散の場合はt検定を、また不等分散の場合はAspin−Welchの検定を行った。有意水準は片側5%とした。
リンパ節重量測定結果を、Lias、9630033F20Rik、Hmha1及びMup5のmRNA発現量(実施例2で得られた結果)とともに、図1〜4に示す。図1〜4の、左縦軸は対照動物群の該mRNA発現量を1としたときの相対値を表し、棒グラフで示す。右縦軸はリンパ節重量を表し、折線で示す。図中、*及び**はそれぞれP<0.05及びP<0.01、#及び##はそれぞれP<0.05及びP<0.01を示している(Aspin−Welch検定)。
その結果、タクロリムス、シクロスポリン、メトトレキサート、アザチオプリン、デキサメタゾン及びプレドニゾロン投与により、リンパ節重量はDMSOを投与した対照動物群と比較して統計学的に有意に減少した。シクロホスファミド投与群では、リンパ節重量が減少傾向を示したものの、対照動物群と比較して統計学的な有意差は認められず、Mup5遺伝子のmRNA発現量を指標にすることによりリンパ節重量よりも感度良くシクロホスファミドの免疫抑制活性を検出できることが確認された。
リンパ細胞数の結果を図5及び6に示す。図中、**はP<0.01を示している(Aspin−Welch検定)。プレドニゾロン及びシクロホスファミド投与によりリンパ細胞数は、DMSOを投与した対照動物群と比較して統計学的に有意に減少した。
リンパ細胞の細胞増殖活性の結果については図7に示す。図7の縦軸は対照動物群のBrdU取込量を1としたときの相対値を表し、**はP<0.01を示している(t検定)。シクロホスファミド投与により細胞増殖活性は、DMSOを投与した対照動物群と比較して統計学的に有意に減少した。
以上の結果より、実施例2で同定した免疫抑制活性のマーカー遺伝子の発現量と、免疫抑制活性による免疫組織の重量、免疫細胞の数又はその増殖活性の減少が相関することは明らかである。したがって、上記マーカー遺伝子は被験物質の免疫抑制活性の有無の指標とすることができ、さらには、特定の免役抑制剤に特異的に発現が変動するマーカー遺伝子を特定したことから、被験物質の免疫抑制活性の機序を予測することもできる。
本発明は、被験物質の免疫抑制活性の有無を高感度にかつ簡便に判定することができ、免疫抑制物質のスクリーニングに用いることができる。
配列番号2〜25、38及び39:PCRプライマー
配列番号26〜37:オリゴヌクレオチド

Claims (11)

  1. 免疫抑制物質のスクリーニング方法であって、
    げっ歯類動物に被験物質を投与する投与ステップと、
    前記げっ歯類動物から免疫組織又は免疫細胞を採取する採取ステップと、
    前記免疫組織又は免疫細胞における、亜鉛フィンガープロテイン459遺伝子、ラクトトランスフェリン遺伝子、Casitas B系リンパ腫様−1遺伝子、リポ酸合成酵素遺伝子、フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子、RIKEN cDNA 9630033F20遺伝子、ケラチン8遺伝子、ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子、マイナー組織適合性タンパク質HA−1遺伝子、スプライシング因子アルギニン/セリンリッチ7遺伝子、グアニル酸結合タンパク質1遺伝子及び主要尿タンパク質5遺伝子からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子の発現量を測定する測定ステップと、
    前記亜鉛フィンガープロテイン459遺伝子、前記ラクトトランスフェリン遺伝子、前記Casitas B系リンパ腫様−1遺伝子、前記フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子、前記ケラチン8遺伝子、前記ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子及び前記グアニル酸結合タンパク質1遺伝子からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子の発現量(m−1)が、前記投与ステップで前記被験物質を投与した動物種と同じげっ歯類動物であり、かつ、前記被験物質を投与していない対照動物の免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−1)と比較して1.5倍以上である場合、及び/又は、
    前記リポ酸合成酵素遺伝子、前記RIKEN cDNA 9630033F20遺伝子、前記マイナー組織適合性タンパク質HA−1遺伝子、前記スプライシング因子アルギニン/セリンリッチ7遺伝子及び前記主要尿タンパク質5遺伝子からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子の発現量(m−2)が、前記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−2)と比較して0.67倍以下である場合に、前記被験物質は免疫抑制活性を有すると判定する判定ステップと、
    を備える、スクリーニング方法。
  2. 前記投与ステップでは、前記被験物質を前記げっ歯類動物の耳介に塗布投与し、
    前記採取ステップでは、前記免疫組織として頸部リンパ節を採取する、
    請求項1記載のスクリーニング方法。
  3. 前記投与ステップでは、前記被験物質を前記げっ歯類動物の足踵皮下に投与し、
    前記採取ステップでは、前記免疫組織として膝窩リンパ節を採取する、
    請求項1記載のスクリーニング方法。
  4. 前記判定ステップでは、前記ラクトトランスフェリン遺伝子若しくはCasitas B系リンパ腫様−1遺伝子の発現量(m−3)が、前記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−3)と比較して1.5倍以上である場合、及び/又は、
    前記リポ酸合成酵素遺伝子の発現量(m−4)が、前記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−4)と比較して0.67倍以下である場合に、前記被験物質の免疫抑制活性は、カルシニューリン阻害作用であると判定する、請求項1〜3のいずれか一項記載のスクリーニング方法。
  5. 前記判定ステップでは、前記フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子の発現量(m−5)が、前記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−5)と比較して7.5倍以上である場合、及び/又は、
    前記RIKEN cDNA 9630033F20遺伝子の発現量(m−6)が、前記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−6)と比較して0.67倍以下である場合に、前記被験物質の免疫抑制活性は、代謝拮抗作用を介するものであると判定する、請求項1〜3のいずれか一項記載のスクリーニング方法。
  6. 前記判定ステップでは、前記ケラチン8遺伝子若しくは前記ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子の発現量(m−7)が、前記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−7)と比較して2.0倍以上である場合、及び/又は、
    前記マイナー組織適合性タンパク質HA−1遺伝子若しくは前記スプライシング因子アルギニン/セリンリッチ7遺伝子の発現量(m−8)が、前記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−8)と比較して0.67倍以下である場合に、前記被験物質の免疫抑制活性は、ステロイド作用を介するものであると判定する、請求項1〜3のいずれか一項記載のスクリーニング方法。
  7. 前記判定ステップでは、前記グアニル酸結合タンパク質1遺伝子の発現量(m−9)が、前記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−9)と比較して1.5倍以上である場合、及び/又は、
    前記主要尿タンパク質5遺伝子の発現量(m−10)が、前記対照動物の対応する免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量(n−10)と比較して0.67倍以下である場合に、前記被験物質の免疫抑制活性は、アルキル化作用を介するものであると判定する、請求項1〜3のいずれか一項記載のスクリーニング方法。
  8. 前記判定ステップでは、前記亜鉛フィンガープロテイン459遺伝子の発現量が、前記投与ステップで前記被験物質を投与した動物種と同じげっ歯類動物であり、かつ、前記被験物質を投与していない対照動物の免疫組織又は免疫細胞における同じマーカー遺伝子の発現量と比較して1.5倍以上であることを必須条件として、前記被験物質は免疫抑制活性を有すると判定する、請求項1〜7のいずれか一項記載のスクリーニング方法。
  9. 前記げっ歯類動物は、病態モデル動物ではなく、健常動物である、請求項1〜8のいずれか一項記載のスクリーニング方法。
  10. 以下の(A)〜(D)のいずれかを含む、被験物質の免疫抑制活性検出キット。
    (A) 亜鉛フィンガープロテイン459遺伝子、ラクトトランスフェリン遺伝子、Casitas B系リンパ腫様−1遺伝子、リポ酸合成酵素遺伝子、フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子、RIKEN cDNA 9630033F20遺伝子、ケラチン8遺伝子、ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子、マイナー組織適合性タンパク質HA−1遺伝子、スプライシング因子アルギニン/セリンリッチ7遺伝子、グアニル酸結合タンパク質1遺伝子及び主要尿タンパク質5遺伝子からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子をPCRで増幅するためのPCRプライマーセット
    (B) 亜鉛フィンガープロテイン459遺伝子、ラクトトランスフェリン遺伝子、Casitas B系リンパ腫様−1遺伝子、リポ酸合成酵素遺伝子、フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子、RIKEN cDNA 9630033F20遺伝子、ケラチン8遺伝子、ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子、マイナー組織適合性タンパク質HA−1遺伝子、スプライシング因子アルギニン/セリンリッチ7遺伝子、グアニル酸結合タンパク質1遺伝子及び主要尿タンパク質5遺伝子からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子にハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブ
    (C) 前記ポリヌクレオチドプローブが固定化された担体
    (D) 亜鉛フィンガープロテイン459遺伝子、ラクトトランスフェリン遺伝子、Casitas B系リンパ腫様−1遺伝子、リポ酸合成酵素遺伝子、フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子、RIKEN cDNA 9630033F20遺伝子、ケラチン8遺伝子、ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子、マイナー組織適合性タンパク質HA−1遺伝子、スプライシング因子アルギニン/セリンリッチ7遺伝子、グアニル酸結合タンパク質1遺伝子及び主要尿タンパク質5遺伝子からなる群から選択される1以上のマーカー遺伝子の翻訳産物に結合する抗体
  11. 亜鉛フィンガープロテイン459遺伝子、ラクトトランスフェリン遺伝子、Casitas B系リンパ腫様−1遺伝子、リポ酸合成酵素遺伝子、フラビン含有モノオキシゲナーゼ2遺伝子、RIKEN cDNA 9630033F20遺伝子、ケラチン8遺伝子、ギャップ結合タンパク質ベータ1遺伝子、マイナー組織適合性タンパク質HA−1遺伝子、スプライシング因子アルギニン/セリンリッチ7遺伝子、グアニル酸結合タンパク質1遺伝子及び主要尿タンパク質5遺伝子からなる群から選択される、被験物質の免疫抑制活性検出マーカー。
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JP2014060992A (ja) * 2012-08-31 2014-04-10 Tokyo Univ Of Agriculture & Technology 四重らせんdna検出プローブ及びそれを用いた四重らせん構造の検出方法
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