JP2012049412A

JP2012049412A - 油入変圧器の巻線部異常診断方法

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Publication number: JP2012049412A
Application number: JP2010191671A
Authority: JP
Inventors: Masashi Shimizu; 政志清水; Masanao Hirosaki; 雅直廣崎; Toshifumi Shirono; 寿文城野
Original assignee: JFE Steel Corp
Current assignee: JFE Steel Corp
Priority date: 2010-08-30
Filing date: 2010-08-30
Publication date: 2012-03-08
Anticipated expiration: 2030-08-30
Also published as: JP5691298B2

Abstract

【課題】電力用変圧器として用いられる油入変圧器において、その巻線部に異常が生じていないかどうか（巻線を被覆する絶縁紙や巻線間のプレスボードに許容できないような軸方向の寸法収縮が生じていないかどうか）を変圧器本体を分解することなく容易に診断することができる、油入変圧器の巻線部異常診断方法を提供する。
【解決手段】第２変圧器５の二次側遮断器６をＯＦＦからＯＮにすることによって、第２変圧器５に瞬間的な励磁突入電流（定格電流の数倍）を生じさせ、その際に第１変圧器２に生じる発生音を音センサ８で測定して、その測定した発生音のレベルが許容値を超えている場合は、第１変圧器２の巻線部２ａ、２ｂに異常があると診断し、測定した発生音のレベルが許容値を超えていない場合は、第１変圧器２の巻線部２ａ、２ｂに異常はないと診断する。
【選択図】図１

Description

本発明は、電力用変圧器として用いられる油入変圧器において、その巻線部に異常が生じていないかどうかを診断する、油入変圧器の巻線部異常診断方法に関するものである。

電力用変圧器として用いられる油入変圧器（以下、単に変圧器とも言う）の余寿命は、通常では交換できないもの、すなわち、巻線の導体被覆として使用されている絶縁紙や巻線間にスペーサとして使用されているプレスボードの劣化度合によって決定付けられる。

しかし、そのような絶縁紙やプレスボードを稼動中の油入変圧器から採取して劣化度合を調査することは困難である。

そこで、従来、絶縁紙やプレスボードから絶縁油中に溶解したＣＯ＋ＣＯ_２量やフルフラール量を測定することによって、絶縁紙やプレスボードの劣化度合を推定することが一般的に行われている（例えば、特許文献１参照）。

特開２００９−２２２６２０号公報

変圧器の事故は、変圧器が電力を供給している外部の機器の短絡によって、変圧器の巻線に短絡通過電流（定格電流の数十倍）による電磁機械力が生じ、その電磁機械力で巻線を被覆している絶縁紙や巻線間のプレスボードが破損し、内部の絶縁が破壊されて電気事故になることである。

上述したような、絶縁油中に溶解したＣＯ＋ＣＯ_２量やフルフラール量を測定することによって、絶縁紙やプレスボードの劣化度合を推定する技術は、巻線の半径方向にのみ電磁機械力が生じることを前提にしており、設計時に想定されている半径方向の１２００ｋｇ／ｃｍ^２の電磁機械力に絶縁紙やプレスボードの強度が耐えうるかどうかを判断して、巻線部の異常の有無を診断する技術である。

しかし、そのような従来技術で異常と診断されなかった変圧器においても、外部の短絡時に内部の絶縁が破壊して電気事故に至る事象が観察された。

これは、外部の短絡時に生じる巻線の半径方向の電磁機械力だけでなく、外部の短絡時に巻線の軸方向（巻線の巻回中心軸に沿う方向）にも電磁機械力が生じ、その軸方向の電磁機械力によって巻線の絶縁が破壊したものと考えられた。

そして、巻線を被覆する絶縁紙や巻線間のプレスボードが経年劣化により寸法収縮（緩み）して、軸方向にスペースができることにより、外部の短絡時に軸方向に数十トンの電磁機械力が働き、巻線の絶縁が破損することが分かってきた。

しかし、巻線を被覆する絶縁紙や巻線間のプレスボードに許容できないような軸方向の寸法収縮が生じているかどうかを診断するには、変圧器本体を分解して巻線を点検する方法があるが、費用と時間がかかるという問題があった。

本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、電力用変圧器として用いられる油入変圧器において、その巻線部に異常が生じていないかどうか（巻線を被覆する絶縁紙や巻線間のプレスボードに許容できないような軸方向の寸法収縮が生じていないかどうか）を変圧器本体を分解することなく容易に診断することができる、油入変圧器の巻線部異常診断方法を提供することを目的とするものである。

前記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有している。

［１］油入変圧器の巻線部の異常を診断する方法であって、油入変圧器から電力を供給する電気機器に励磁突入電流を生じさせ、その際に前記油入変圧器に生じる発生音を測定し、その測定した発生音に基づいて前記油入変圧器の巻線部の異常を診断することを特徴とする油入変圧器の巻線部診断方法。

本発明においては、電力用変圧器として用いられる油入変圧器について、その巻線部に異常が生じていないかどうか（巻線を被覆する絶縁紙や巻線間のプレスボードに許容できないような軸方向の寸法収縮が生じていないかどうか）を変圧器本体を分解することなく容易に診断することができる。そして、巻線部の異常を容易に診断することができることによって、未然の変圧器の破壊を予知でき、広範囲にわたる停電や経済的な被害を抑止することができる。

本発明の実施形態１を示す図である。本発明の実施形態１を示す図である。本発明の実施形態２を示す図である。本発明の実施形態２を示す図である。

本発明の実施形態を述べる。

本発明の実施形態においては、電力用変圧器として用いられる油入変圧器の巻線部に異常が生じていないかどうか（巻線を被覆する絶縁紙や巻線間のプレスボードに許容できないような軸方向の寸法収縮が生じていないかどうか）を診断するに際して、当該変圧器の巻線部に励磁突入電流による電磁機械力を発生させ、その軸方向の電磁機械力によって当該変圧器の巻線部に生じた発生音を測定し、その測定した発生音に基づいて当該変圧器の巻線部の異常を診断するようにしている。

すなわち、巻線を被覆する絶縁紙や巻線間のプレスボードに軸方向の寸法収縮が生じていると、軸方向の電磁機械力によって、巻線同士が接触したり、巻線全体が振動したりして、接触音や振動音が発生するので、その発生音（接触音、振動音）のレベルが許容値（上限値）を超えているか否かによって、絶縁紙やプレスボードの軸方向の寸法収縮量が許容値（上限値）を超えているか否かを判断して、当該変圧器の巻線部が異常であるか否かを診断するようにしている。

その際に、変圧器の巻線部に発生させる電磁機械力として、外部の短絡による短絡通過電流（定格電流の数十倍）によって生じる電磁機械力ではなく、当該変圧器から電力を供給する電気機器に励磁突入電流（定格電流の数倍で数十ｍｓｅｃ）を発生させ、その際に当該変圧器を流れる電流（定常電流＋励磁突入電流）によって生じる電磁機械力を用いるようにしている。これにより、当該変圧器に大きなダメージを与えることが回避される。

なお、上記の発生音（接触音、振動音）の許容値（上限値）については、予め、実験等によって定めておけばよい。

以下に、この実施形態の具体例を実施形態１、実施形態２として述べる。

［実施形態１］
この実施形態１は、図１、図２に示すように、第１変圧器２（一次側巻線部２ａ、二次側巻線部２ｂ）と第２変圧器５（一次側巻線部５ａ、二次側巻線部５ｂ）の２台の変圧器を備えた電力系統において、第１変圧器２の巻線部２ａ、２ｂの異常の有無を診断するものである。

その診断手順は以下の如くである。

（Ｓ１）まず、図１に示すように、第１変圧器２の近傍に、音センサ（診断センサ）８を設置する。

（Ｓ２）次に、図１に示すように、第１変圧器２の一次側遮断器１と二次側遮断器３はＯＮにした状態で、第２変圧器５の一次側遮断器４と二次側遮断器６をＯＦＦにして第２変圧器５を停止させる。第２変圧器５から電力を供給していた電気機器に対しては、変圧器間連絡線遮断器７をＯＮにして、第１変圧器２から電力を供給する。

（Ｓ３）そして、図２に示すように、第２変圧器５の二次側遮断器６をＯＮにする。これによって、第２変圧器５の二次側巻線部５ｂに通電（充電）されて、瞬間的に第２変圧器５の二次側巻線部５ｂに励磁突入電流（定格電流の数倍）が流れる。この励磁突入電流は第１変圧器２を経由して流れるので、その際に第１変圧器２で発生する音（発生音）を音センサ８で測定する。

（Ｓ４）そして、測定した発生音のレベルが許容値を超えている場合は、第１変圧器２の巻線部２ａ、２ｂに異常があると診断し、測定した発生音のレベルが許容値を超えていない場合は、第１変圧器２の巻線部２ａ、２ｂに異常はないと診断する。

このようにして、第１変圧器２の巻線部２ａ、２ｂの異常の有無を容易に診断することができる。

なお、第２変圧器５の巻線部５ａ、５ｂの異常の有無を診断する場合には、上記において、第１変圧器２と第２変圧器５を置き換えて行えばよい。

［実施形態２］
この実施形態２は、図３、図４に示すように、変圧器１２（一次側巻線部１２ａ、二次側巻線部１２ｂ）からモータ１５等の電気機器に電力を供給している電力系統において、変圧器１２の巻線部１２ａ、１２ｂの異常の有無を診断するものである。

その診断手順は以下の如くである。

（Ｐ１）まず、図３に示すように、変圧器１２の近傍に、音センサ（診断センサ）１８を設置する。

（Ｐ２）次に、図３に示すように、変圧器１２の一次側遮断器１１と二次側遮断器１３はＯＮにした状態で、モータ１５の遮断器１６をＯＦＦにしてモータ１５を停止させる。なお、他の電気機器（図示せず）については、通常通り変圧器１２から電力を供給する。

（Ｐ３）そして、図４に示すように、モータ１５の遮断器１６をＯＮにする。これによって、モータ１５に通電（充電）されて、瞬間的にモータ１５に励磁突入電流（定格電流の数倍）が流れる。この励磁突入電流は変圧器１２を経由して流れるので、その際に変圧器１２で発生する音（発生音）を音センサ１８で測定する。

（Ｐ４）そして、測定した発生音のレベルが許容値を超えている場合は、変圧器１２の巻線部１２ａ、１２ｂに異常があると診断し、測定した発生音のレベルが許容値を超えていない場合は、変圧器１２の巻線部１２ａ、１２ｂに異常はないと診断する。

このようにして、変圧器１２の巻線部１２ａ、１２ｂの異常の有無を容易に診断することができる。

以上のようにして、この実施形態においては、電力用変圧器として用いられる変圧器について、その巻線部に異常が生じていないかどうか（巻線を被覆する絶縁紙や巻線間のプレスボードに許容できないような軸方向の寸法収縮が生じていないかどうか）を変圧器本体を分解することなく容易に診断することができる。そして、巻線部の異常を容易に診断することができることによって、未然の変圧器の破壊を予知でき、広範囲にわたる停電や経済的な被害を抑止することができる。

１第１変圧器の一次側遮断器
２第１変圧器
２ａ第１変圧器の一次側巻線部
２ｂ第１変圧器の二次側巻線部
３第１変圧器の二次側遮断器
４第２変圧器の一次側遮断器
５第２変圧器
５ａ第２変圧器の一次側巻線部
５ｂ第２変圧器の二次側巻線部
６第２変圧器の二次側遮断器
７変圧器間連絡線遮断器
８音センサ（診断センサ）
１１変圧器の一次側遮断器
１２変圧器
１２ａ変圧器の一次側巻線部
１２ｂ変圧器の二次側巻線部
１３変圧器の二次側遮断器
１５モータ
１６モータの遮断器
１８音センサ（診断センサ）

Claims

油入変圧器の巻線部の異常を診断する方法であって、油入変圧器から電力を供給する電気機器に励磁突入電流を生じさせ、その際に前記油入変圧器に生じる発生音を測定し、その測定した発生音に基づいて前記油入変圧器の巻線部の異常を診断することを特徴とする油入変圧器の巻線部診断方法。