(第1の実施形態)
<撮像装置の構成>
まず、本発明の第1の実施形態に係る撮像装置について説明する。なお、本実施形態では、撮像装置がビデオカメラであるが、ビデオカメラに限らず、デジタルスチルカメラ等の他の撮像装置であってもよい。
図1は、本実施形態に係る撮像装置としてのビデオカメラの主要部の構成を示すブロック図である。図1において、101は第1の固定レンズ群、102は光軸方向に移動して変倍を行い、焦点距離を変更可能な変倍レンズ、103は絞りである。また、104は第2の固定レンズ群、105は変倍に伴う焦点面の移動を補正する機能とフォーカシングの機能とを兼ね備えたフォーカスコンペンセータレンズ(以下、フォーカスレンズという)である。第1の固定レンズ群101、変倍レンズ102、絞り103、第2の固定レンズ群104及びフォーカスレンズ105により撮像光学系が構成される。
117は被写体から入射する光から赤外光成分を除去する赤外光除去フィルタであり、フィルタ駆動源118により撮像光学系の光路外に移動可能になっている。106はCCDセンサやCMOSセンサにより構成される光電変換素子としての撮像素子である。撮像素子106は撮像光学系により結像された被写体像を撮像して映像信号を出力する。107は撮像素子106の出力をサンプリングし、ゲイン調整するCDS/AGC回路である。
108はカメラ信号処理回路であり、CDS/AGC回路107からの出力信号に対して各種の画像処理を施し、映像信号を生成する。109はLCD等により構成されるモニタであり、カメラ信号処理回路108からの映像信号を表示する。115は記録部であり、カメラ信号処理回路108からの映像信号を磁気テープ、光ディスク、半導体メモリ等の記録媒体に記録する。
110は変倍レンズ102を移動させるためのズーム駆動源である。111はフォーカスレンズ105を移動させるためのフォーカシング駆動源である。ズーム駆動源110及びフォーカシング駆動源111は、ステッピングモータ、DCモータ、振動型モータ及びボイスコイルモータ等のアクチュエータにより構成される。118は赤外光除去フィルタ117を撮像光学系の光路上に出し入れするためのモータであるフィルタ駆動源である。
以上の各駆動源は、後述するカメラ/AFマイクロコンピュータ(以下、マイクロコンピュータという)114からの駆動命令によって制御される。なお、上記の各駆動源にて駆動されるレンズ、フィルタの位置は、図示しない位置検出手段により検出され、マイクロコンピュータ114での各種制御に用いられる。位置検出手段としては、位置を検出するセンサを設けてもよく、また駆動源としてステッピングモータを使用する場合であれば、ステッピングモータを駆動するための駆動パルス数をマイクロコンピュータ114でカウントすることで位置を検出しても良い。
112はCDS/AGC回路107からの全画素の出力信号のうち焦点検出に用いられる領域の信号のみを通すAFゲートである。AF信号処理回路113は、AFゲート112を通過した信号から高周波成分や輝度差成分(AFゲート112を通過した信号の輝度レベルの最大値と最小値の差分)等を抽出してAF評価値信号を生成する(焦点信号検出)。AF評価値信号は、マイクロコンピュータ114に出力される。AF評価値信号は、撮像素子106からの出力信号に基づいて生成される映像信号の鮮鋭度(コントラスト状態)を表すものであるが、鮮鋭度は撮像光学系の焦点状態によって変化するので、結果的にAF評価値信号は撮像光学系の焦点状態を表す信号となる。
マイクロコンピュータ114は、ビデオカメラ全体の動作の制御を司ると共に、フォーカシング駆動源111を制御してフォーカスレンズ105を移動させるAF制御を行う。マイクロコンピュータ114は、AF制御として、TV−AF方式でのAF制御(以下、単にTV−AFという)を行う。
116は動作モード切替スイッチで、撮影者が可視光撮影モードと赤外光撮影モードとを切り替えるときに操作する。赤外光撮影モードが選択されている場合には、マイクロコンピュータ114によりフィルタ駆動源118が制御され、赤外光除去フィルタ117が撮像光学系の光路外に移動されるとともに、撮像装置が赤外光撮影に適した撮影条件に設定される。一方、可視光撮影モードが選択されている場合には、赤外光除去フィルタ117が光路上に移動されるとともに、撮像装置が可視光撮影に適した撮影条件に設定される。
なお、以上の説明では動作モード切替スイッチの切り替えに応じて、フィルタ駆動源118により赤外光除去フィルタ117が移動されていたが、以下のようにフィルタ移動手段と動作モード切り替え手段を共通部材とする構成としてもよい。すなわち、フィルタ駆動源118の代わりに手動で赤外光除去フィルタ117を光路上に出し入れするレバーなどを設け、撮影者がレバーを操作してフィルタを光路外に移動した場合、図示しないフィルタ位置検出手段にてフィルタの移動をマイクロコンピュータ114で検知し、動作モードを赤外光撮影モードに切り替える。逆にレバー操作にてフィルタが光路上に移動された場合は、動作モードを可視光撮影モードに切り替える。このようにすれば、フィルタ駆動手段としてモータを設ける必要がなく、撮像装置の小型化やコストダウンを図ることができる。
赤外LED(赤外光投射部)119は、マイクロコンピュータ114からの指示により発光駆動され、赤外光を被写体に投射し、赤外線映像を得ることが出来るものとする。尚、発光のON/OFF指示は、撮影者によって不図示の操作部材により入力される。
<第1の実施形態におけるAF制御処理>
次に、マイクロコンピュータ114が実行するAF制御処理について説明する。図2は、図1におけるマイクロコンピュータ114が実行するAF制御処理を示すフローチャートである。本処理は、マイクロコンピュータ114内に格納されたコンピュータプログラムに従って実行され、例えば1フィールド画像を生成するための撮像素子106からの撮像信号の読み出し周期にて繰り返し実行される。
図2において、まず、S201で赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去、もしくは抜去→挿入動作があったかどうかを判定する。つまり、可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行した、もしくは赤外光撮影モードから可視光撮影モードに移行したかどうかを判定する。挿抜があった、つまり撮影モードが変化した場合にはS205へ移行し、挿抜がなく、撮影モードが変化していない場合には、S202へ移行する。
S205では、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去した、つまり可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行したかどうかを判定する。赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去した、つまり可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行した場合は、S206で、フォーカスレンズ105の駆動方向を無限遠方向に設定する。また、赤外光除去フィルタ117が光路上を抜去→挿入した、つまり赤外光撮影モードから可視光撮影モードに移行した場合は、S207で、フォーカスレンズ105の駆動方向を至近方向に設定する。
これは、次のような理由による。図5のような特性の場合、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去した場合、補正量がマイナス方向になっているため、合焦位置(焦点位置)が無限遠方向になることがわかる。そのために、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去した、つまり可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行した場合は、フォーカスレンズ105の駆動方向(補正方向)を無限遠方向に設定するのである。逆の場合も、同様の理由により、フォーカスレンズ105の駆動方向を無限遠方向とは逆の至近方向に設定すれば良い。
S208で、後述するTV−AF制御で、山登り駆動モードに設定する。この山登り駆動モードについては、後に説明する。そして、S209で挿抜フラグをセットし、後述するS210のTV−AF制御を実行する。
ここで、上述した処理は、本実施形態の特徴となる処理であり、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去、もしくは抜去→挿入動作があった、つまり、可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行した、もしくは赤外光撮影モードから可視光撮影モードに移行した場合、上述したように、合焦位置が変化する。ここで、微小駆動モード(微小駆動モードについては後述する)から合焦方向を探索して、合焦位置を得ようとした場合、合焦位置から大きく外れると、映像信号の高周波成分が少なくなるために合焦位置の検出が難しくなり、正しい合焦位置を得るために多大の時間が必要となる。そのために、AF制御特性を応答性をあげる特性にし、つまり、強制的に山登り駆動モードへ移行させることにより、素早く合焦位置を得ることが可能となる。また、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿抜することによる合焦位置のズレ方向(補正方向)を不図示の不揮発性メモリ等に記憶させておくことにより、フォーカスレンズ105を合焦位置の方向へ素早く移動させることが可能となる。
また、ここでは、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去、つまり可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行した場合はフォーカスレンズ105の移動方向を無限遠方向に移動させた。また、逆に、赤外光除去フィルタ117が光路上を抜去→挿入、つまり、赤外光撮影モードから可視光撮影モードに移行した場合は、フォーカスレンズ105を至近方向に移動させた。しかし、この移動方向は、光学特性によって変わる可能性もあるため、撮像装置の光学特性に合わせて設定すればよく、焦点距離に応じて設定してもよい。
次に、S201で、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿抜することがなく、撮影モードが変化していない場合には、S202へ移行し、ここで、挿抜フラグがセットされているかどうかを判定する。挿抜フラグがセットされている場合には、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿抜され、撮影モードが変化したことにより、山登り駆動モードにより合焦位置を探索中である。そのため、S210へ移行しTV−AF制御により、山登り駆動モードを継続して実行する。
逆に、挿抜フラグがセットされていない場合には、通常のTV−AF制御を実行中である。その場合、S203へ移行し赤外LED119がON/OFF操作されたかどうかを判定する。ON/OFF操作された場合には、S204へ移行する。ON/OFF操作されていない場合には、S210へ移行しTV−AF制御を実行する。
S204では、強制再起動フラグをセットする。これは、赤外LED119をON/OFFすることにより、可視光と赤外光の成分比が変化することにより合焦位置が変化する。そのため、強制再起動フラグをセットすることにより、後述のTV−AF制御において、ピント合わせを再度やり直す動作を実行させるようにする。これにより、赤外LED119のON/OFFにより合焦位置が変化するが、AF評価値の変化が小さく、意図せずフォーカスレンズが停止したままになって、ボケたままになるのを防ぐことができる。
図3および図4は、図2におけるS210で実行されるTV−AF処理を示すフローチャートである。
図3において、まず、画像信号からAF評価値を取得する(S301)。そして、図4で後述するTV−AF再起動判定処理を行う(S302)。次にTV−AFのモードが微小駆動モードであるか否かを判別する(S303)。微小駆動モードについては後述する。S301の判別の結果、モードが微小駆動モードであるときは(S303でYES)、フォーカスレンズ105を微小駆動する(S304)。微小駆動については、後に図10を用いて説明する。
次いで、合焦状態であるか否かを判別する(S305)。S305の判別の結果、合焦状態であるときは(S305でYES)、フォーカスレンズ105の駆動を停止する(S309)。次いで、フォーカスレンズ105の合焦位置におけるAF評価値をマイクロコンピュータ114のメモリ(図示しない)に記憶させる(S310)。次いで、現在のモードを再起動モードに移行させる(S311)。
S305の判別の結果、合焦状態でないときは(S305でNO)、現在のフォーカスレンズ105の位置に対して合焦位置がどの方向にあるかを判定する(S306)。次いで、S307において合焦位置の方向(以下、合焦方向という)を判定できたか否かを判別する(S307)。
S307の判別の結果、合焦方向を判定できたときは(S307でYES)、TV−AFのモードを山登り駆動モードに移行させる(S308)。S303の判別の結果、モードが微小駆動モードでないときは(S303でNO)、モードが山登り駆動モードであるか否かを判別する(S312)。
S312の判別の結果、モードが山登り駆動モードであるときは(S312でYES)、所定の速度でフォーカスレンズ105を山登り駆動(合焦位置検出制御)する(S313)。次いで、フォーカスレンズ105の山登り駆動においてAF評価値がピークを越えたか否かを判別する(S314)。S314の判別の結果、AF評価値がピークを越えたときは(S314でYES)、フォーカスレンズ105の山登り駆動においてAF評価値がピークとなった位置(以下、ピーク位置という)にフォーカスレンズ105を戻す(S315)。
次いで、フォーカスレンズ105がピーク位置に戻ったか否かを判別する(S316)。S316の判別の結果、ピーク位置に戻ったときは(S316でYES)、TV−AFのモードを微小駆動モードへ移行させる(S317)。そして、S322で、挿抜フラグをクリアする。これにより、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿抜され、撮影モードが変化したことによる、山登り駆動モードでの合焦位置の探索が終了したことを判別できる。
S312の判別の結果、モードが山登り駆動モードでないときは(S312でNO)、現在のモードが再起動モードであり、S318に進み、後述するS302のTV−AF再起動判定処理によって、再起動フラグがセットされているかどうかを判定する。再起動フラグがセットされていないときは(S318でNO)、フォーカスレンズ105の駆動を停止する(S319)。
S318の判別の結果、再起動フラグがセットされているときは(S318でYES)、TV−AFのモードを微小駆動モードへ移行させる(S320)。そして、再起動フラグをクリアする(S321)。
図4は、図3のS302におけるTV−AF再起動判定処理を示すフローチャートである。
まず、S401で強制再起動フラグがセットされているかどうかを判定する。強制再起動フラグがセットされている場合には、図2において赤外LED119がON/OFF操作されて合焦位置がズレているため、再度初期状態からTV−AF制御をやり直す。そのために、S407へ移行し、TV−AF制御で使用するデータを初期化し、S408で微小駆動モードへ移行させる。そして、S409へ移行し、強制再起動フラグをクリアする。
S401で強制再起動フラグがセットされていない場合には、S402へ移行する。ここでは、マイクロコンピュータ114のメモリ(図示しない)に記憶されているAF評価値と最新のAF評価値とを比較して、これらの差が所定の値よりも大きいか否か、すなわちAF評価値の変動が大きいか否かを判別する。S402の判別の結果、AF評価値の変動が大きいときは(S402でYES)、山登り駆動モードかどうか判定する(S403)。
S403の判別の結果、山登り駆動モードでないときは(S403でNO)、再起動処理を実行する、もしくは微小駆動モードであるならば、微小駆動を再度初期状態からやり直すために、TV−AF処理で使用するデータを初期化する(S404)。そして、S405へ移行する。S403の判別の結果、山登り駆動モードであるときは(S403でYES)、S405へ移行する。
次に、S405では、再起動モードであるかどうかを判別する。S405の判別の結果、再起動モードであるとき(S405でYES)、再起動フラグをセットする(S406)。そして、処理を終了する。S405の判別の結果、再起動モードでないとき(S405でNO)、処理を終了する。S402の判別の結果、AF評価値の変動が小さいときは(S402でNO)、そのまま処理を終了する。
図6は、図3のTV−AF処理におけるS304で実行されるフォーカスレンズ105の微小駆動を説明するための図である。図6において、横軸は時間を、縦軸はフォーカスレンズ105の位置を示している。また、図中上方において、映像信号の垂直同期信号を示している。
図6に示すように、期間Aの間に撮像素子106に蓄積された電荷(図中、斜線楕円で示す)に対するAF評価値EVAが時刻TAで取り込まれ、期間Bの間に撮像素子106に蓄積された電荷に対するAF評価値EVBが時刻TBで取り込まれる。また、期間Cの間に撮像素子106に蓄積された電荷に対するAF評価値EVCが時刻TCで取り込まれる。そして、時刻TDでは、AF評価値EVA、EVB、EVCを比較して、EVA>EVBかつEVB>EVCであれば、微小駆動の駆動(振動)中心(中心位置)を移動させる。一方、EVA<EVBまたはEVB<EVCであれば、振動中心を移動させない。このように、フォーカスレンズ105を移動させながらAF評価値が増加する方向を判定したり、AF評価値が最も大きくなるフォーカスレンズ105の位置(ピーク位置)を探したりするのが微小駆動である。
なお、AF評価値の変化から合焦状態か否かを判定するためにフォーカスレンズ105を微小駆動(微小に往復駆動)させる制御は、合焦確認制御ということもできる。また、AF評価値の変化から合焦方向を判定するためにフォーカスレンズ105を微小駆動させる制御は、合焦方向判別制御ということもできる。
図7は、図3のTV−AF処理におけるS313で実行されるフォーカスレンズ105の山登り駆動を説明するための図である。図7において、横軸はフォーカスレンズ105の位置を、縦軸はAF評価値を示している。
図7に示すように、Aの動きでは、AF評価値がピークを越えてから減少するので、ピーク位置(合焦位置)の存在を確認することができる。この場合、フォーカスレンズ105をピーク位置近傍に戻してから山登り駆動を終了して、微小駆動に移行する。一方、Bの動きでは、ピークが無く、AF評価値が単調に減少するので、フォーカスレンズ105の駆動方向が誤りであると判定することができる。この場合、フォーカスレンズ105の駆動方向を反転して山登り駆動を継続する。このように、フォーカスレンズ105を駆動して、その間に得られたAF評価値がピークとなるピーク位置又はその近傍を判定するのが山登り駆動である。
図8は、図1におけるマイクロコンピュータ114が実行するAF制御処理の変形例を示すフローチャートである。本処理は図2におけるAF制御処理と基本的に同じであるので、図2と共通する動作については下2桁を図2と同数字にして説明を省略し、異なる動作についてのみ説明する。
まず、S801で、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去、もしくは抜去→挿入動作があったかどうかを判定する。つまり、可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行した、もしくは赤外光撮影モードから可視光撮影モードに移行したかどうかを判定する。挿抜があった、つまり撮影モードが変化した場合にはS824へ移行し、挿抜がなく、撮影モードが変化していない場合には、S821へ移行する。
S824において、フォーカスレンズ105を移動させるオフセット量を設定する。これは、前述の図5において、可視光においても、赤外光除去フィルタ117が光路上を抜去することで、挿入時と比較してフォーカスレンズ105の位置補正量が大きいことがわかる。そして、赤外光の成分が大きくなると補正量が小さくなることがわかる。そのため、合焦位置として、可視光のみのL1の補正量よりも大きくなることはないため、あらかじめ最大補正量分だけフォーカスレンズ105を移動させることにより、合焦方向を特定しやすくすることが出来ると考えられる。そのために、不図示ではあるが、あらかじめ焦点距離に応じたオフセット量を不揮発性のメモリに記憶しておき、現在の焦点距離から、フォーカスレンズ105のオフセット量を設定する。
次に、S825で、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去、もしくは抜去→挿入動作する、つまり、可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行、もしくは赤外光撮影モードから可視光撮影モードに移行する前のフォーカスレンズ位置を記憶しておき、それに対してS824で設定したオフセット量を加えて、フォーカスレンズの目標位置を設定する。そして、S826で、フォーカスレンズオフセット駆動中フラグをセットし、S827で、フォーカスレンズ105をS825で設定した目標位置へ駆動させる。
フォーカスレンズ105を目標位置へ駆動させている間は、S801からS821へ移行していく。そして、S821では、フォーカスレンズオフセット駆動中フラグがセットされているかどうかを判定し、フォーカスレンズオフセット駆動中フラグがセットされている場合には、S822へ移行し、逆にフォーカスレンズオフセット駆動中フラグがセットされていない場合には、S802へ移行し、図2と同様の処理を実行する。
S822では、S825で設定したフォーカスレンズの目標位置にフォーカスレンズ105が到達したかどうかを判定する。フォーカスレンズ105が目標位置に到達していない場合には、S827へ移行し継続してフォーカスレンズ105を駆動させる。フォーカスレンズ105が目標位置に到達していると判定された場合は、S823へ移行し、フォーカスレンズオフセット駆動中フラグをクリアし、S805へ移行する。
S805以降の処理は、図2と同様の処理である。但し、S805で、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去した、つまり可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行したかどうかを判定するが、ここで、図2の場合とフォーカスレンズの駆動方向が逆になる。つまり、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去した、つまり可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行した場合は、S828で、フォーカスレンズ105の駆動方向を至近方向に設定する。また、赤外光除去フィルタ117が光路上を抜去→挿入した、つまり赤外光撮影モードから可視光撮影モードに移行した場合は、S829で、フォーカスレンズ105の駆動方向を無限遠方向に設定する。
これは、上述したように、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去、もしくは抜去→挿入動作する、つまり、可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行、もしくは赤外光撮影モードから可視光撮影モードに移行する際に、図5のL1の可視光分のフォーカスレンズ位置補正量だけフォーカスレンズ105を移動させているためである。これにより、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去、つまり、可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行した際は、赤外光成分の割合に応じて、合焦位置が至近方向にあるため、フォーカスレンズ105の駆動方向を至近方向に設定し山登り駆動を実行させるのである。逆の場合、つまり赤外光除去フィルタ117が光路上を抜去→挿入、つまり、赤外光撮影モードから可視光撮影モードに移行する際も同様であり、駆動方向が図2と比較して逆になることは明らかである。
また、ここで、図2、図8において、挿抜フラグがセットされている場合に、図3のS313の山登り駆動処理において、挿抜フラグがセットされていないときと比較して、フォーカスレンズ105の駆動速度を速くしても良い。これにより、合焦位置を見出すまでの時間を軽減することができ、合焦位置へ速く移動することが可能となる。挿抜フラグがセットされていないときのフォーカスレンズ105の駆動速度をα1(mm/s)とした場合、挿抜フラグがセットされているときは、フォーカスレンズ105の駆動速度α2は式(1)のように表すことが可能である。
α2=α1*2 …(1)
例えば、挿抜フラグがセットされていないときに、フォーカスレンズ105の駆動速度を1フィールド期間で焦点深度の1/4移動する駆動速度にしたとする。この場合、挿抜フラグがセットされているときは、フォーカスレンズ105の駆動速度は1フィールド期間で焦点深度の1/2倍移動する駆動速度となる。但し、上述した値に限るものではない。
<第1の実施形態における利点>
上述したように、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去、もしくは抜去→挿入動作する、つまり、可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行、もしくは赤外光撮影モードから可視光撮影モードに移行した際に、合焦位置が変わってしまう。つまり、合焦している状態からボケている状態に変わってしまうことになるため、AF制御を応答性をあげる制御にしピントがボケている時間を軽減する必要が出てくる。ここで、TV−AF制御で微小駆動モードを実行していては、合焦方向を見出すのに時間がかかってしまう。そのため、撮影モードが変更された直後の過渡状態では、AF制御の応答性をあげる制御として、強制的に山登り駆動モードへ移行し、所定方向にフォーカスレンズ105を移動させることにより、素早く合焦位置を探索することができる。これにより、ピントがボケている時間を軽減し、撮影者の不快感を軽減することが可能となる。なお、撮影モードが変更された直後の過渡状態から所定の時間が経過して定常状態になった場合には、AF制御を元の状態に戻す。
また、赤外LED119のON/OFFによって、可視光成分と赤外光成分との割合が異なるため、合焦位置が変わってくる。そのために、TV−AF制御を赤外LED119のON/OFFによって、再起動することにより、安定した合焦状態を保つことが可能となる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態におけるハードウェア構成は、前述の第1の実施形態において図1で説明したものと同様である。
<第2の実施形態におけるAF制御処理>
第2の実施形態におけるマイクロコンピュータ114が実行するAF制御処理について説明する。図9は、図1におけるマイクロコンピュータ114が実行するAF制御処理を示すフローチャートである。本処理は第1の実施形態におけるAF制御処理と基本的に同じであるので、図2と共通する動作については下2桁を図2と同数字にして説明を省略し、異なる動作についてのみ説明する。
本実施形態では、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去、もしくは抜去→挿入動作する、つまり、可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行、もしくは赤外光撮影モードから可視光撮影モードに移行した際に、ワンショット動作を実行する。
まず、S901で赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去、もしくは抜去→挿入する動作があったかどうかを判定する。つまり、可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行した、もしくは赤外光撮影モードから可視光撮影モードに移行したかどうかを判定する。挿抜があった、つまり撮影モードが変化した場合にはS905へ移行し、挿抜がなく、撮影モードが変化していない場合には、S902へ移行する。
S905では、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去した、つまり可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行したかどうかを判定する。赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去した、つまり可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行した場合は、S906で、フォーカスレンズ105の駆動方向を無限遠方向に設定する。また、赤外光除去フィルタ117が光路上を抜去→挿入した、つまり赤外光撮影モードから可視光撮影モードに移行した場合は、S907で、フォーカスレンズ105の駆動方向を至近方向に設定する。
次に、S909で、挿抜フラグをクリアする。そして、S931で、ワンショット動作終了フラグをクリアし、ワンショット動作を実行中かどうかを示すフラグをクリアし、ワンショット動作を開始する。
次に、S932で後述するワンショット動作を実行する。ここが、本実施形態における特徴となる処理であり、AF制御の応答性をあげる制御に変更する。つまり、ワンショット動作にすることで、フォーカスレンズ105を駆動範囲内で大きく移動させて、おおよその合焦位置を探索する(粗サーチ)。その後、最終的な合焦位置を得るために、フォーカスレンズ105の駆動スピードを粗サーチのときよりも遅くしてAF評価値が大きいピーク位置を探索する(微小サーチ)。これにより、素早く合焦位置を得ることができる。
S933で、ワンショット動作が終了したかどうかを判定し、ワンショット動作が終了した場合には、S934で挿抜フラグをクリアし、ワンショット動作が終了していない場合には、処理を終了し、次の処理タイミングの際も、ワンショット動作を継続する。
また、S902では、挿抜フラグがセットされているかどうかを判定する。挿抜フラグがセットされている場合は、ワンショット動作が終了していないので、S932へ移行しワンショット動作を継続する。挿抜フラグがセットされていない場合は、ワンショット動作が終了しており、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去、もしくは抜去→挿入、つまり可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行、もしくは赤外光撮影モードから可視光撮影モードに移行した際の合焦位置を得ていることになる。
S902で、挿抜フラグがセットされていない場合には、S903に移行する。この後の処理は、前述の第1の実施形態と同様であり、TV−AF制御を実行し、赤外LED119がON/OFFされたかどうかに応じて、TV−AF制御の再起動を実行するかどうかを判定する。
図10は、図9におけるS932で実行されるワンショット動作を示すフローチャートである。
まず、S1001でAF評価値を取得する。S1002で、粗サーチモードかどうかを判定する。そして、粗サーチモードである場合は、S1003へ移行する。S1003では、フォーカスレンズの駆動方向に第1の駆動方向を設定する。S1004で、フォーカスレンズの駆動速度を第1の駆動速度に設定する。
次に、S1005で、AF評価値が下がっているか、もしくは端に当たったか否かを判定する。S1005の判別の結果、AF評価値が下がっている、もしくは端に当たった場合には、S1006に移行し、微小サーチモードへ移行し、AF評価値が下がっていない、もしくは端に当たっていない場合には、処理を終了し、粗サーチモードを継続する。
S1002で、粗サーチモードでない場合、S1007へ移行し、微小サーチモードかどうかを判定する。S1007の判別の結果、微小サーチモードである場合には、S1008へ移行し、微小サーチモードでない場合には、S1012へ移行する。
S1008では、フォーカスレンズの駆動方向に第1の駆動方向とは反対方向の第2の駆動方向を設定する。S1009で、フォーカスレンズの駆動速度に第1の駆動速度よりも遅い第2の駆動速度を設定する。
ここで、フォーカスレンズの第1の駆動方向には、図9におけるS906、もしくはS907で設定した駆動方向を設定する。また、第1、および第2の駆動速度は、例えば、次のように設定する。すなわち、第1の駆動速度をAF評価値を取得する周期でフォーカスレンズ105が移動する量が焦点深度より大きく(2倍)なるように駆動速度を設定する。また、第2の駆動速度はAF評価値を取得する周期でフォーカスレンズ105が移動する量が焦点深度より小さく(1/2倍)なるように駆動速度を設定する。
S1010で、AF評価値がピークを超えたか、もしくは端に当たったかどうかを判定する。S1010の判別の結果、AF評価値がピークを超えた、もしくは端に当たった場合には、S1011へ移行し、ピーク位置戻しモードへ移行する。AF評価値がピークを超えていない、かつ端に当たっていない場合には、処理を終了し、微小サーチモードを継続する。
S1012では、ピーク位置戻しモードとなっており、微小サーチモードでAF評価値がピークを超えたと判定された場合には、得られたAF評価値のピーク位置へフォーカスレンズを移動させる。微小サーチモードで端に当たった場合は、AF評価値のピーク位置が見つからない、コントラストがない被写体であるため、ワンショット動作を実行する前のフォーカスレンズ位置、あるいは端位置にフォーカスレンズ105を移動させる。
S1013で、フォーカスレンズ105がピーク位置に戻ったかどうかを判定する。S1013の判別の結果、フォーカスレンズ105がピーク位置に戻っていない場合には、処理を終了し、ピーク位置戻しモードを継続する。逆に、フォーカスレンズ105がピーク位置に戻った場合には、S1014でフォーカスレンズを停止し、S1015でワンショット動作終了フラグをセットし、ワンショット動作を終了する。
ここで、この第2の実施形態は、前述の第1の実施形態において図8で示したAF制御処理の変形例と組み合わせてもよい。
<第2の実施形態における利点>
上述したように、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去、もしくは抜去→挿入動作する、つまり、可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行、もしくは赤外光撮影モードから可視光撮影モードに移行した際に、合焦位置が変わってしまう。つまり、合焦している状態からボケている状態に変わってしまうことになる。そのため、AF制御を応答性をあげることでピントがボケている時間を軽減する必要が出てくる。ここで、通常のTV−AF制御を実行していては、合焦位置を見出すのに時間がかかってしまう。そのため、AF制御特性を応答性をあげる特性に変更する手段として、ワンショット動作を実行することにより、精度良く、高速にAF評価値がピークとなる位置にフォーカスレンズを移動させることができる。これにより、ピントがボケている時間を軽減し、撮影者の不快感を軽減することが可能となる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態におけるハードウェア構成は、前述の第1の実施形態において図1で説明したものと同様である。
<第3の実施形態におけるAF制御処理>
第3の実施形態におけるマイクロコンピュータ114が実行するAF制御処理について説明する。図11は、図1におけるマイクロコンピュータ114が実行するAF制御処理を示すフローチャートである。本処理は第1の実施形態におけるAF制御処理と基本的に同じであるので、図2と共通する動作については下2桁を図2と同数字にして説明を省略し、異なる動作についてのみ説明する。
本実施形態では、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去、もしくは抜去→挿入動作する、つまり、可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行、もしくは赤外光撮影モードから可視光撮影モードに移行した際に、TV−AF制御を再実行し、微小駆動時のフォーカスレンズ105の移動量を増やすものである。
まず、S1101で赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去、もしくは抜去→挿入する動作があったかどうかを判定する。つまり、可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行した、もしくは赤外光撮影モードから可視光撮影モードに移行したかどうかを判定する。挿抜があった、つまり撮影モードが変化した場合にはS1144へ移行し、挿抜がなく、撮影モードが変化していない場合には、S1102へ移行する。
S1144で、振幅大フラグをセットする。そして、S1145で強制再起動フラグをセットする。ここが、本実施形態における特徴となる処理であり、この振幅大フラグをセットすると、不図示ではあるが、前述の図3におけるTV−AF制御処理内において、S304の微小駆動におけるフォーカスレンズ105の1回の移動量を増やす。通常微小駆動時のフォーカスレンズ105の1回の移動量をβ1とすると、振幅大フラグがセットされている場合は、フォーカスレンズ105の1回の移動量β2を式(2)のように設定する。
β2=β1*2 …(2)
例えば、通常微小駆動時のフォーカスレンズ105の1回の移動量β1を焦点深度の1/4に設定するとすると、振幅大フラグがセットされている場合は、フォーカスレンズ105の1回の移動量β2は、焦点深度の1/2に設定される。ただし、上述した式(2)に限らなくても良い。これにより、合焦位置から大きく外れた場合に、映像信号の高周波成分が少なくなるために合焦位置の検出が難しくなるのを、フォーカスレンズ105の1回の移動量を増やすことで、AF評価値の変化量を大きくし、合焦方向を見出しやすくする。そして、正しい合焦位置を得るための時間を軽減する。また、合焦位置が変わるので、強制再起動フラグをセットすることにより、TV−AF制御を再起動させる。これにより、AF評価値の変化が小さく、意図せずフォーカスレンズが停止したままになって、ボケたままになるのを防ぐことができる。
S1146で、挿抜カウントをクリアし、S1147で挿抜フラグをセットし、TV−AF制御(S1110)を実行する。
次に、S1102で挿抜フラグがセットされているかどうかを判定する。挿抜フラグがセットされている場合は、S1141へ移行し、挿抜フラグがセットされていない場合には、S1103へ移行する。S1103以降は、前述の第1の実施形態と同様である。
S1141では、挿抜カウントが所定カウント値より大きいかどうかを判別する。挿抜カウントが所定カウント値より大きい場合には、S1142へ移行し挿抜フラグをクリアし、S1148で振幅大フラグをクリアする。逆に、挿抜カウントが所定カウント値以下である場合には、S1143へ移行し挿抜カウントをカウントアップする。
尚、ここでは、振幅大フラグをクリアするのは、所定カウント値より大きくなった場合にしているが、この限りではなく、不図示ではあるが、図3のS305で合焦判定され、フォーカスレンズ105を停止した場合に振幅大フラグをクリアしても良い。
図12は、マイクロコンピュータ114が実行するAF制御処理における図11の変形例を示すフローチャートである。
本処理は図11に示すAF制御処理と基本的に同じであるので、図11と共通する動作については下2桁を図2、図11と同数字にして説明を省略し、異なる動作についてのみ説明する。
図12では、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去、もしくは抜去→挿入動作する、つまり、可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行、もしくは赤外光撮影モードから可視光撮影モードに移行した際に、TV−AF制御を再実行し、山登り駆動時のフォーカスレンズ105の駆動速度を増やすものである。
つまり、前述の図11において、S1144で振幅大フラグをセットし、S1148で振幅大フラグをクリアしていた処理が、図12においては、S1251で、駆動スピード大フラグをセットし、S1252で、駆動スピード大フラグをクリアする。これにより、合焦位置を見出すまでの時間が軽減される。
また、図11に示すAF制御処理と図12に示すAF制御処理を組み合わせることで、合焦位置への方向を早く見出すことができ、さらに、合焦位置までの方向が分かってから合焦位置を見出すまでの時間が軽減される。
<第3の実施形態における利点>
上述したように、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去、もしくは抜去→挿入動作する、つまり、可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行、もしくは赤外光撮影モードから可視光撮影モードに移行した際に、合焦位置が変わってしまう。つまり、合焦している状態からボケている状態に変わってしまうことになる。そのため、AF制御の応答性を上げることでピントがボケている時間を軽減する必要が出てくる。ここで、通常のTV−AF制御を実行していては、合焦位置を見出すのに時間がかかってしまう。そのため、AF制御特性を応答性を上げる特性として、微小駆動時のフォーカスレンズ105の移動量を増やすことにより、AF評価値の変化量を大きくし合焦方向を早期に見出し、合焦位置を得るまでの時間を軽減する。これにより、ピントがボケている時間を軽減し、撮影者の不快感を軽減することが可能となる。
また、同様に、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去、もしくは抜去→挿入動作する、つまり、可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行、もしくは赤外光撮影モードから可視光撮影モードに移行した際山登り駆動時のフォーカスレンズ105の駆動速度を上げることにより合焦位置を得るまでの時間を軽減する。
また、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去、もしくは抜去→挿入動作する、つまり、可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行、もしくは赤外光撮影モードから可視光撮影モードに移行した際に、TV−AF制御を再起動する。これにより、AF評価値の変化が小さく、再起動がかからずに、ボケた状態のままになることを防ぐことができる。
以上説明したように、上述した各実施形態では、赤外光除去フィルタ117が光路上を挿入→抜去、もしくは抜去→挿入動作する、つまり、可視光撮影モードから赤外光撮影モードに移行、もしくは赤外光撮影モードから可視光撮影モードに移行した際に、AF制御特性を応答性を上げる特性にする。応答性をあげる方法として、上述したように、山登り駆動モード、もしくはワンショット動作、微小駆動時のフォーカレンズ105の移動量を増やす、山登り駆動時のフォーカスレンズ105の駆動速度を上げることを実行する。これにより、素早く合焦位置を得ることが可能となり、ピントがボケている時間が短縮され、撮影者の不快感を軽減することが可能となる。
また、TV−AF制御を赤外LED119のON/OFFによって、再起動することにより、可視光成分と赤外光成分との割合が異なることによる合焦位置の変化に追従し、安定した合焦状態を保つことが可能となる。
また、赤外光除去フィルタ117の挿抜、つまり、可視光撮影モードと赤外光撮影モードが切り替わった際に、TV−AF制御の再起動を実行するので、AF評価値の変化が小さく、再起動しないために、ボケた状態のままになることを防ぐことができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態におけるハードウェア構成は、前述の第1の実施形態において図1で説明したものと同様である。
本実施形態の主眼点を最もよく表す図面は図14および図15であり、その特徴とするところは、現在の撮影モードおよび合焦状態に応じてTV−AFの制御モードを変更し、さらにその制御モードが安定性優先モードであるか通常モードであるかに応じてTV−AFの制御特性を変更することである。
なお、図1に示すハードウェア構成において、マイクロコンピュータ114は撮影時の照度条件に応じて可視光撮影モードと赤外光撮影モードを切り替えることが可能である。一般的には、十分な照度下では撮影に不要な赤外光成分を除去するため、赤外光除去フィルタ117を挿入した状態で撮影を行う可視光撮影モードに設定される。また、低照度下では撮像素子106の感度を向上させて撮影するため、赤外光除去フィルタ117を撮像光学系から退避させて撮影を行う赤外光撮影モードに設定される。
次に、マイクロコンピュータ114で行われる焦点調節制御の概要について、図14〜図16を用いて説明する。
前述のように、図14および図15は本実施形態の主眼点を最もよく表す図面であり、その特徴とするところは、現在の撮影モードおよび合焦状態に応じてTV−AFの制御モードを変更し、さらにその制御モードが安定性優先モードであるか通常モードであるかに応じてTV−AFの制御特性を変更することである。
図14において、S1401では、現在設定されている撮影モードが赤外光撮影モードであるか可視光撮影モードであるかを判別し、可視光撮影モードである場合はS1402へ、赤外光撮影モードである場合はS1403へ遷移する。S1402では、可視光撮影モード時の処理としてTV−AF制御の制御モードを通常モードに設定する。S1403では、微小駆動モードであるか否かを判別し、微小駆動モードである場合はS1404へ、そうでない場合はS1412へ遷移する。S1404では、微小駆動動作を行い、フォーカスレンズを所定の振幅で駆動し、合焦しているか、あるいはどちらの方向に合焦点が存在するかを判別する。ここでの詳細な動作は図15で説明する。
S1405では、S1404の微小駆動動作によって合焦判別が行われたか否かを判別し、微小駆動動作によって合焦判別が行われた場合はS1406へ、そうでない場合はS1408へ遷移する。S1406では、S1404の微小駆動動作によって方向判別ができたか否かを判別し、方向判別ができた場合はS1407へ遷移して山登り動作へ移行し、そうでない場合はS1401へ戻り微小駆動モードを継続する。
S1408では、現在設定されている撮影モードが赤外光撮影モードであるか可視光撮影モードであるかを再び判別し、赤外光撮影モードである場合はS1409へ、可視光撮影モードである場合はS1410へ遷移する。S1409では、赤外光撮影モード時に合焦判別できた場合の処理として、以降の焦点調節動作を安定させるため、TV−AF制御の制御モードを安定性優先モードに設定する。
なお、本実施形態では赤外光撮影モード時に合焦判別できた場合に安定性優先モードに設定するものとしたが、その他、赤外光撮影モード時に移行して所定時間経過後に安定性優先モードに設定するものとしても構わない。
S1410では、合焦時の焦点信号レベルをメモリに格納した後、S1411へ遷移して再起動判別モードへ移行する。ここで、再起動判別モードとは、再び微小駆動(方向判別)をするか否かを判別するフローのことである(S1420、S1421)。
S1412では、山登り駆動モードであるか否かを判別し、山登り駆動モードである場合はS1413へ、そうでない場合はS1417へ遷移する。S1413では、山登り駆動動作を行い、焦点信号が大きくなる方向へ所定の速度でフォーカスレンズを山登り駆動する。ここでの詳細な動作は図16で説明する。
S1414では、S1413の山登り駆動動作によって焦点信号のピーク位置が発見されたか否かを判別し、焦点信号のピーク位置が発見された場合はS1415へ遷移し、そうでない場合はS1401へ戻り山登り駆動モードを継続する。
ここで、S1414でピーク位置が発見されたと判別された場合には、ピーク位置にフォーカスレンズが移動された後、合焦判別モードとなる(S1419)。S1415では、焦点信号がピークとなったフォーカスレンズ位置を目標位置に設定した後、S1416へ遷移し停止モードへ移行する。
S1417では、停止モードであるかを判別し、停止モードである場合はS1418へ、そうでない場合はS1420へ遷移する。S1418では、フォーカスレンズが焦点信号のピークとなる位置に戻ったか否かを判別し、そうである場合はS1419へ遷移して微小駆動(合焦判別)モードへ移行し、そうでない場合はS1401へ戻り停止モードを継続する。
S1420では、現在の焦点信号レベルとS1410で保持した焦点信号レベルを比較し、その変動量が所定値より大きいか否かを判別する。ここで、変動量が大きいと判断され場合はS1421へ遷移して微小駆動(方向判別)モードへの移行を行い、そうでない場合はS1401へ戻り再起動判別モードを継続する。
図15において、S1501では、微小駆動の動作状態を示すカウンタが現在0であるかを判別し、そうである場合はS1502へ、そうでない場合はS1503へ遷移する。S1502では、フォーカスレンズ105が至近側にある場合の処理として、現在の焦点信号レベルを保持する。ここでの焦点信号は、後述のS1510でフォーカスレンズ105が無限遠側にあるときに撮像素子106に蓄積された電荷から生成された画像信号によるものである。
S1503では、現在のカウンタが1であるかを判別し、そうである場合はS1504へ、そうでない場合はS1509へ遷移する。S1504では、後述のS1508でフォーカスレンズ105を駆動するための振動振幅、中心移動振幅を演算する。通常、これらの振幅は焦点深度内に設定される。S1505では、S1502で保持した無限遠側の焦点信号レベルと後述のS1510で保持した至近側の焦点信号レベルを比較し、前者が大きい場合はS1506へ、後者が大きい場合はS1507へ遷移する。
S1506では、振動振幅と中心移動振幅を加算し、駆動振幅とする。S1507では、振動振幅を駆動振幅とする。S1508では、S1506またはS1507で求めた駆動振幅に基づき、無限遠方向へ駆動する。S1509では、現在のカウンタが2であるかを判別し、そうである場合はS1510へ、そうでない場合はS1511へ遷移する。
S1510では、フォーカスレンズ105が無限遠側にある場合の処理として、現在の焦点信号レベルを保持する。ここでの焦点信号は、S1502でフォーカスレンズ105が至近側にあるときに撮像素子106に蓄積された電荷から生成された画像信号によるものである。
S1511では、後述のS1515でフォーカスレンズ105を駆動するための振動振幅、中心移動振幅を演算する。通常、これらの振幅は焦点深度内に設定される。S1512では、S1510で保持した至近側の焦点信号レベルとS1502で保持した無限遠側の焦点信号レベルを比較し、前者が大きい場合はS1513へ、後者が大きい場合はS1514へ遷移する。
S1513では、振動振幅と中心移動振幅を加算し、駆動振幅とする。S1514では、振動振幅を駆動振幅とする。S1515では、S1513またはS1514で求めた駆動振幅に基づき、至近方向へ駆動する。
S1516では、現在方向判別モードであるかを判別し、そうである場合はS1517へ、そうでない場合はS1522へ遷移する。S1517では、現在のTV−AF制御の制御モードが安定性優先モードであるか通常モードかを判別し、安定性優先モードである場合はS1518へ、通常モードである場合はS1519へ遷移する。
S1518では、安定性優先モードの場合の中心移動回数閾値としてTH1を設定する。S1519では、通常モードの場合の中心移動回数閾値としてTH2を設定する。なお、TH2はTH1より小さい値である。
S1520では、同一方向への連続的な中心移動回数が、S1518またはS1519で設定した閾値より大きいかを判別し、そうである場合はS1521へ、そうでない場合(閾値以下の場合)はS1524へ遷移する。S1521では、方向判別ができたものと判断する。
S1522ではフォーカスレンズが所定回数同一エリアで往復しているかを判別し、そうである場合はS1523へ、そうでない場合はS1524へ遷移する。S1523では合焦判別できたものと判断する。S1524では、微小駆動の動作状態を示すカウンタが3であれば0に戻し、その他の値であればカウンタを加算する。
本実施形態の最も特徴的な部分は、S1401〜S1402およびS1408〜S1409で現在の撮影モードおよび合焦状態に応じてTV−AFの制御モードを変更し、さらにS1517〜S1519でTV−AFの制御モードが安定性優先モードであるか通常モードであるかに応じて方向判別に必要な同一方向への連続中心移動回数の閾値を変更した点にある。これにより、一度合焦判別をした後は山登り駆動モードへの移行が制限されるため、低照度下の撮影時においても焦点信号のノイズ成分の影響による誤動作を軽減させ、安定した焦点調節動作を得ることが可能となる。
図16において、S1601では、フォーカスレンズ105の駆動速度を設定する。S1602では、現在の焦点信号レベルが前回より増加しているかを判別し、そうである場合はS1603へ、そうでない場合はS1604へ遷移する。S1603では、S1601で設定した速度に基づき、フォーカスレンズ105を前回と同じ方向に山登り駆動する。
S1604では、焦点信号レベルがピークを越えて減少しているかどうかを判別し、そうである場合はS1605へ、そうでない場合はS1606へ遷移する。S1605では、ピーク位置を発見したものと判断する。S1606では、S1601で設定した速度に基づき、フォーカスレンズ105を前回と逆の方向に山登り駆動する。なお、山登り駆動モードでこのS1606を繰り返している場合、被写体の焦点信号の変化量が十分に得られないためにフォーカスレンズ105がハンチング状態にあることを意味する。
このように、TV−AF方式による焦点調節制御では、再起動判別→微小駆動→山登り駆動→停止→微小駆動→再起動判別を繰り返しながらフォーカスレンズ105を移動させることで、焦点信号が常に最大となるように合焦状態を維持する。
(第5の実施形態)
続いて、本発明の第5の実施形態を説明する。本実施形態の主眼点を最もよく表す図面は図14および図17であり、その特徴とするところは、第1の実施形態同様、現在の撮影モードおよび合焦状態に応じてTV−AFの制御モードを変更し、さらにその制御モードが安定性優先モードであるか通常モードであるかに応じてTV−AFの制御特性を変更することである。赤外光撮影モード時に一度合焦判別した後、第1の実施形態では中心移動回数の閾値を変更することで山登り駆動モードへ移行させにくくしていたが、本実施形態では焦点信号レベルが所定値以下である場合に強制的に山登り駆動モードへ移行する状態遷移を設ける。そして、その最低焦点信号閾値を変更することで山登り駆動モードへ移行させにくくしている。
撮像装置のシステム構成を示すブロック図は、第4の実施形態と同じく図1である。図17において、S1901では、現在のTV−AF制御の制御モードが安定性優先モードであるか通常モードかを判別し、安定性優先モードである場合はS1902へ、通常モードである場合はS1903へ遷移する。
S1902では、安定性優先モードの場合の最低焦点信号閾値としてTH3を設定する。S1903では、通常モードの場合の最低焦点信号閾値としてTH4を設定する。なお、TH4はTH3より大きい値である。S1904では、現在の焦点信号レベルが、S1902またはS1903で設定した閾値より大きいかを判別し、そうである場合はS1905へ、そうでない場合はS1906へ遷移する。
S1905では、現在の焦点信号レベルが低く、通常の中心移動による方向判別が困難である場合の処理として、仮に方向判別できたものとし、次回以降あらかじめ決められた方向に強制的に山登り駆動させる。S1906では、微小駆動の動作状態を示すカウンタが現在0であるかを判別し、そうである場合はS1907へ、そうでない場合はS1908へ遷移する。
S1907では、フォーカスレンズ105が至近側にある場合の処理として、現在の焦点信号レベルを保持する。ここでの焦点信号は、後述のS1915でフォーカスレンズ105が無限遠側にあるときに撮像素子106に蓄積された電荷から生成された画像信号によるものである。
S1908では、現在のカウンタが1であるかを判別し、そうである場合はS1909へ、そうでない場合はS1914へ遷移する。S1909では、後述のS1913でフォーカスレンズ105を駆動するための振動振幅、中心移動振幅を演算する。通常、これらの振幅は焦点深度内に設定される。S1910では、S1907で保持した無限遠側の焦点信号レベルと後述のS1915で保持した至近側の焦点信号レベルを比較し、前者が大きい場合はS1911へ、後者が大きい場合はS1912へ遷移する。
S1911では、振動振幅と中心移動振幅を加算し、駆動振幅とする。S1912では、振動振幅を駆動振幅とする。S1913では、S1911またはS1912で求めた駆動振幅に基づき、無限遠方向(フォーカスレンズの可動範囲が大きい方)へ駆動する。
S1914では、現在のカウンタが2であるかを判別し、そうである場合はS1915へ、そうでない場合はS1916へ遷移する。S1915では、フォーカスレンズ105が無限遠側にある場合の処理として、現在の焦点信号レベルを保持する。ここでの焦点信号は、S1907でフォーカスレンズ105が至近側にあるときに撮像素子106に蓄積された電荷から生成された画像信号によるものである。
S1916では、後述のS1920でフォーカスレンズ105を駆動するための振動振幅、中心移動振幅を演算する。通常、これらの振幅は焦点深度内に設定される。S1917では、S1915で保持した至近側の焦点信号レベルとS1907で保持した無限遠側の焦点信号レベルを比較し、前者が大きい場合はS1918へ、後者が大きい場合はS1919へ遷移する。
S1918では、振動振幅と中心移動振幅を加算し、駆動振幅とする。S1919では、振動振幅を駆動振幅とする。S1920では、S1918またはS1919で求めた駆動振幅に基づき、至近方向へ駆動する。
S1921では、現在方向判別モードであるかを判別し、そうである場合はS1922へ、そうでない場合はS1924へ遷移する。S1922では、所定回数連続して同一方向に合焦点が存在しているかを判別し、そうである場合はS1923へ、そうでない場合はS1926へ遷移する。S1923では、方向判別ができたものと判断する。
S1924ではフォーカスレンズが所定回数同一エリアで往復しているかを判別し、そうである場合はS1925へ、そうでない場合はS1926へ遷移する。S1925では合焦判別できたものと判断する。S1926では、微小駆動の動作状態を示すカウンタが3であれば0に戻し、その他の値であればカウンタを加算する。
本実施形態の最も特徴的な部分は、S1401〜S1402およびS1408〜S1409で現在の撮影モードおよび合焦状態に応じてTV−AFの制御モードを変更し、さらにS1901〜S1903でTV−AFの制御モードが安定性優先モードであるか通常モードであるかに応じて強制的に山登りモードへ移行するのに必要な最低焦点信号閾値を変更した点である。これにより、一度合焦判別をした後は山登り駆動モードへの移行が制限されるため、低照度下の撮影時においても焦点信号のノイズ成分の影響による誤動作を軽減させ、安定した焦点調節動作を得ることが可能となる。その他の処理については第4の実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
(第6の実施形態)
続いて、本発明の第6の実施形態を説明する。本実施形態の主眼点を最もよく表す図面は図18および図19であり、その特徴とするところは、第4および第5の実施形態同様、現在の撮影モードおよび合焦状態に応じてTV−AFの制御モードを変更し、さらにその制御モードが安定性優先モードであるか通常モードであるかに応じてTV−AFの制御特性を変更することである。赤外光撮影モード時に一度合焦判別した後、第4および第5の実施形態では山登り駆動モードへ移行させにくくしていたが、本実施形態では再起動判別を行いにくくすることで、より安定した焦点調節動作を得られるようにしている。
撮像装置のシステム構成を示すブロック図は、第4の実施形態と同じく図1である。図18において、S2001では、現在設定されている撮影モードが赤外光撮影モードであるか可視光撮影モードであるかを判別し、可視光撮影モードである場合はS2002へ、赤外光撮影モードである場合はS2003へ遷移する。
S2002では、可視光撮影モード時の処理としてTV−AF制御の制御モードを通常モードに設定する。S2003では、微小駆動モードであるか否かを判別し、微小駆動モードである場合はS2004へ、そうでない場合はS2012へ遷移する。
S2004では、微小駆動動作を行い、フォーカスレンズを所定の振幅で駆動し、合焦しているか、あるいはどちらの方向に合焦点が存在するかを判別する。ここでの詳細な動作は図15で説明する。
S2005では、S2004の微小駆動動作によって合焦判別が行われたか否かを判別し、微小駆動動作によって合焦判別が行われた場合はS2008へ、そうでない場合はS2006へ遷移する。S2006では、S2004の微小駆動動作によって方向判別ができたか否かを判別し、方向判別ができた場合はS2007へ遷移して山登り動作へ移行し、そうでない場合はS2001へ戻り微小駆動モードを継続する。
S2008では、現在設定されている撮影モードが赤外光撮影モードであるか可視光撮影モードであるかを再び判別し、赤外光撮影モードである場合はS2009へ、可視光撮影モードである場合はS2010へ遷移する。S2009では、赤外光撮影モード時に合焦判別できた場合の処理として、以降の焦点調節動作を安定させるため、TV−AF制御の制御モードを安定性優先モードに設定する。
なお、本実施形態では赤外光撮影モード時に合焦判別できた場合に安定性優先モードに設定するものとしたが、その他、赤外光撮影モードに移行して所定時間経過後に安定性優先モードに設定するものとしても構わない。
S2010では、合焦時の焦点信号レベルをメモリに格納した後、S2011へ遷移して再起動判別モードへ移行する。ここで、再起動判別モードとは、再び微小駆動(方向判別)をするか否かを判別するフローのことである(S2023、S2024)。
S2012では、山登り駆動モードであるか否かを判別し、山登り駆動モードである場合はS2013へ、そうでない場合はS2017へ遷移する。S2013では、山登り駆動動作を行い、焦点信号が大きくなる方向へ所定の速度でフォーカスレンズを山登り駆動する。ここでの詳細な動作は第4の実施形態同様であるため、省略する。
S2014では、S2013の山登り駆動動作によって焦点信号のピーク位置が発見されたか否かを判別し、焦点信号のピーク位置が発見された場合はS2015へ遷移し、そうでない場合はS2001へ戻り山登り駆動モードを継続する。ここで、S2014でピーク位置が発見されたと判別された場合には、ピーク位置にフォーカスレンズが移動された後、合焦判別モードとなる(S2019)。
S2015では、焦点信号がピークとなったフォーカスレンズ位置を目標位置に設定した後、S2016へ遷移し停止モードへ移行する。S2017では、停止モードであるかを判別し、停止モードである場合はS2018へ、そうでない場合はS2020へ遷移する。
S2018では、フォーカスレンズが焦点信号のピークとなる位置に戻ったか否かを判別し、そうである場合はS2019へ遷移して微小駆動(合焦判別)モードへ移行し、そうでない場合はS2001へ戻り停止モードを継続する。
S2020では、現在のTV−AF制御の制御モードが安定性優先モードであるか通常モードかを判別し、安定性優先モードである場合はS2021へ、通常モードである場合はS2022へ遷移する。S2021では、安定性優先モードの場合の焦点信号変動量閾値としてTH5を設定する。S2022では、通常モードの場合の焦点信号変動量閾値としてTH6を設定する。なお、TH6はTH5より小さい値である。
S2023では、現在の焦点信号レベルとS2010で保持した焦点信号レベルを比較し、その変動量がS2021またはS2022で設定した閾値より大きいかを判別する。ここで、変動量が大きいと判断された場合はS2024へ遷移して微小駆動(方向判別)モードへの移行を行い、そうでない場合はS2001へ戻り再起動判別モードを継続する。
図19において、S2101では、微小駆動の動作状態を示すカウンタが現在0であるかを判別し、そうである場合はS2102へ、そうでない場合はS2103へ遷移する。S2102では、フォーカスレンズ105が至近側にある場合の処理として、現在の焦点信号レベルを保持する。ここでの焦点信号は、後述のS2110でフォーカスレンズ105が無限遠側にあるときに撮像素子106に蓄積された電荷から生成された画像信号によるものである。
S2103では、現在のカウンタが1であるかを判別し、そうである場合はS2104へ、そうでない場合はS2109へ遷移する。S2104では、後述のS2108でフォーカスレンズ105を駆動するための振動振幅、中心移動振幅を演算する。通常、これらの振幅は焦点深度内に設定される。
S2105では、S2102で保持した無限遠側の焦点信号レベルと後述のS2110で保持した至近側の焦点信号レベルを比較し、前者が大きい場合はS2106へ、後者が大きい場合はS2107へ遷移する。S2106では、振動振幅と中心移動振幅を加算し、駆動振幅とする。S2107では、振動振幅を駆動振幅とする。
S2108では、S2106またはS2107で求めた駆動振幅に基づき、無限遠方向へ駆動する。S2109では、現在のカウンタが2であるかを判別し、そうである場合はS2110へ、そうでない場合はS2111へ遷移する。
S2110では、フォーカスレンズ105が無限遠側にある場合の処理として、現在の焦点信号レベルを保持する。ここでの焦点信号は、S2102でフォーカスレンズ105が至近側にあるときに撮像素子106に蓄積された電荷から生成された画像信号によるものである。
S2111では、後述のS2115でフォーカスレンズ105を駆動するための振動振幅、中心移動振幅を演算する。通常、これらの振幅は焦点深度内に設定される。S2112では、S2110で保持した至近側の焦点信号レベルとS2102で保持した無限遠側の焦点信号レベルを比較し、前者が大きい場合はS2113へ、後者が大きい場合はS2114へ遷移する。
S2113では、振動振幅と中心移動振幅を加算し、駆動振幅とする。S2114では、振動振幅を駆動振幅とする。S2115では、S2113またはS2114で求めた駆動振幅に基づき、至近方向へ駆動する。
S2116では、現在方向判別モードであるかを判別し、そうである場合はS2117へ、そうでない場合はS2122へ遷移する。S2117では、所定回数連続して同一方向に合焦点が存在しているかを判別し、そうである場合はS2118へ、そうでない場合はS2121へ遷移する。S2118では、方向判別ができたものと判断する。
S2119ではフォーカスレンズが所定回数同一エリアで往復しているかを判別し、そうである場合はS2120へ、そうでない場合はS2121へ遷移する。S2120では合焦判別できたものと判断する。S2121では、微小駆動の動作状態を示すカウンタが3であれば0に戻し、その他の値であればカウンタを加算する。
本実施形態の最も特徴的な部分は、S2001〜S2002およびS2008〜S2009で現在の撮影モードおよび合焦状態に応じてTV−AFの制御モードを変更し、さらにS2020〜S2022でTV−AFの制御モードが安定性優先モードであるか通常モードであるかに応じて再起動判別に必要な焦点信号変動量の閾値を変更した点である。
これにより、一度合焦判別をした後はTV−AF動作の再起動が制限されるため、低照度下の撮影時においても焦点信号のノイズ成分の影響による誤動作を軽減させ、より安定した焦点調節動作を得ることが可能となる。その他の処理については第4の実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
(第7の実施形態)
続いて、本発明の第7の実施形態を説明する。本実施形態の主眼点を最もよく表す図面は図14および図20であり、その特徴とするところは、第4、第5および第6の実施形態同様、現在の撮影モードおよび合焦状態に応じてTV−AFの制御モードを変更し、さらにその制御モードが安定性優先モードであるか通常モードであるかに応じてTV−AFの制御特性を変更することである。赤外光撮影モード時に一度合焦判別した後、第4および第5の実施形態では山登り駆動モードへ移行させにくく、第6の実施形態では再起動判別を行いにくくしていた。しかし、本実施形態では合焦判別そのものを行いやすくすることで、さらに安定した焦点調節動作を得られるようにしている。
撮像装置のシステム構成を示すブロック図は、第4のおよび第5の実施形態と同じく図1である。図20において、S2201では、微小駆動の動作状態を示すカウンタが現在0であるかを判別し、そうである場合はS2202へ、そうでない場合はS2203へ遷移する。
S2202では、フォーカスレンズ105が至近側にある場合の処理として、現在の焦点信号レベルを保持する。ここでの焦点信号は、後述のS2210でフォーカスレンズ105が無限遠側にあるときに撮像素子106に蓄積された電荷から生成された画像信号によるものである。
S2203では、現在のカウンタが1であるかを判別し、そうである場合はS2204へ、そうでない場合はS2209へ遷移する。S2204では、後述のS2208でフォーカスレンズ105を駆動するための振動振幅、中心移動振幅を演算する。通常、これらの振幅は焦点深度内に設定される。
S2205では、S2202で保持した無限遠側の焦点信号レベルと後述のS2210で保持した至近側の焦点信号レベルを比較し、前者が大きい場合はS2206へ、後者が大きい場合はS2207へ遷移する。S2206では、振動振幅と中心移動振幅を加算し、駆動振幅とする。S2207では、振動振幅を駆動振幅とする。
S2208では、S2206またはS2207で求めた駆動振幅に基づき、無限遠方向へ駆動する。S2209では、現在のカウンタが2であるかを判別し、そうである場合はS2210へ、そうでない場合はS2211へ遷移する。
S2210では、フォーカスレンズ105が無限遠側にある場合の処理として、現在の焦点信号レベルを保持する。ここでの焦点信号は、S2202でフォーカスレンズ105が至近側にあるときに撮像素子106に蓄積された電荷から生成された画像信号によるものである。
S2211では、後述のS2215でフォーカスレンズ105を駆動するための振動振幅、中心移動振幅を演算する。通常、これらの振幅は焦点深度内に設定される。S2212では、S2210で保持した至近側の焦点信号レベルとS2202で保持した無限遠側の焦点信号レベルを比較し、前者が大きい場合はS2213へ、後者が大きい場合はS2214へ遷移する。
S2213では、振動振幅と中心移動振幅を加算し、駆動振幅とする。S2214では、振動振幅を駆動振幅とする。S2215では、S2213またはS2214で求めた駆動振幅に基づき、至近方向へ駆動する。
S2216では、現在方向判別モードであるかを判別し、そうである場合はS2217へ、そうでない場合はS2219へ遷移する。S2217では、所定回数連続して同一方向に合焦点が存在しているかを判別し、そうである場合はS2218へ、そうでない場合はS2224へ遷移する。S2218では、方向判別ができたものと判断する。
S2219では、現在のTV−AF制御の制御モードが安定性優先モードであるか通常モードかを判別し、安定性優先モードである場合はS2220へ、通常モードである場合はS2221へ遷移する。
S2220では、安定性優先モードの場合の往復回数閾値としてTH7を設定する。S2221では、通常モードの場合の往復回数閾値としてTH8を設定する。なお、TH8はTH7より大きい値である。S2222では、現在のフォーカスレンズ105の同一エリア往復回数(反転回数)がS2220またはS2221で設定した閾値より大きいかを判別し、そうである場合はS2223へ、そうでない場合はS2224へ遷移する。S2223では合焦判別できたものと判断する。S2224では、微小駆動の動作状態を示すカウンタが3であれば0に戻し、その他の値であればカウンタを加算する。
本実施形態の最も特徴的な部分は、S1406〜S1408で現在の撮影モードが赤外光撮影モードであるか可視光撮影モードであるかに応じてTV−AFの制御モードを変更し、さらにS2217〜S2219でTV−AFの制御モードが安定性優先モードであるか通常モードであるかに応じて合焦判別に必要なフォーカスレンズ105の同一エリア往復回数閾値を変更した点である。
これにより、合焦判別に要する時間が短縮されるため、低照度下の撮影時においても焦点信号のノイズ成分の影響による誤動作を軽減させ、さらに安定した焦点調節動作を得ることが可能となる。その他の処理については第4、第5および第6の実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
(第8の実施形態)
続いて、本発明の第8の実施形態を説明する。本実施形態の特徴とするところは、第4から第7までの実施形態と同様、現在の撮影モードおよび合焦状態に応じてTV−AFの制御モードを変更し、さらにその制御モードが安定性優先モードであるか通常モードであるかに応じてTV−AFの制御特性を変更することである。第4から第7までの実施形態では各制御ステップにおいて常に最新の焦点信号を使用して焦点調節を行っていたが、本実施形態ではたとえば最近3フィールド分の焦点信号の平均値を使用するなどして、焦点信号そのものを平滑化させて使用する。これにより、ノイズによる影響を軽減させ、安定した焦点調節動作を得られるようにしている。詳細な説明は第4から第7までの実施形態と同様であるため省略する。
(第9の実施形態)
続いて、本発明の第9の実施形態を説明する。本実施形態の特徴とするところは、第4から第7までの実施形態と同様、現在の撮影モードおよび合焦状態に応じてTV−AFの制御モードを変更し、さらにその制御モードが安定性優先モードであるか通常モードであるかに応じてTV−AFの制御特性を変更することである。第4から第7までの実施形態ではたとえば再起動判定時に焦点信号の変動量と閾値の大小関係を直接比較していたが、本実施形態ではこの変動量にヒステリシスαを持たせ、焦点信号の変動量と閾値の差分がα以上であった場合に再起動すべきと判定する。これにより、ノイズによる影響を軽減させて安定した焦点調節動作を得られるようにしている。詳細な説明は第4から第7までの実施形態と同様であるため省略する。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。