JP2012047449A - 熱交換用チューブ、熱交換器及び熱交換システム - Google Patents

熱交換用チューブ、熱交換器及び熱交換システム Download PDF

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邦昭 桜井
Hitoshi Tamate
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Abstract

【課題】大型化を抑制しつつ流体の熱交換前後の温度差を大きくする熱交換用チューブ、熱交換器、熱交換システムを提供すること。
【解決手段】熱交換用チューブ20は、内部を流れる第1の流体を外部の第2の流体と熱交換させるものであり、螺旋状に形成され、螺旋が1回転することにより進む方向の投影面上において、螺旋が1回転することにより形成される円20aの内部に、該1回転により形成された円20aとは異なる他の回転により形成された円20bの少なくとも一部が存在し、螺旋が1回転するごとに順次形成される円20a、20b、20c、・・・のそれぞれの中心Ma、Mb、Mc、・・・が移動するように巻かれている。熱交換器は、熱交換用チューブ20と、これを収容する収容体とを備える。熱交換システムは、上記熱交換器と、第1の流体を流動させる機器と、第1の流体に対して対向流で第2の流体を流動させる機器とを備える。
【選択図】図3

Description

本発明は熱交換用チューブ、熱交換器及び熱交換システムに関し、特に大型化を抑制しつつ流体の熱交換前後の温度差を大きくする熱交換用チューブ、熱交換器及び熱交換システムに関する。
地下ピット等の水槽に貯留された液体の熱を利用するために、この熱を採取する機器として、液中熱交換器がある。液中熱交換器の一例として、複数の可とう性のある樹脂製チューブをU字状に曲げ、各チューブ同士が接触しないように間隔を空けて管板に取り付けて構成することにより、交換熱量を増大させたものがある。この液中熱交換器は、水槽に貯留された液体中に設置され、チューブ内に熱媒体を流すことにより、液体と熱媒体との熱交換を行わせ、液体の熱を採取するものである(例えば、特許文献1参照。)。
特開2001−116471号公報(図1等)
しかしながら上述の液中熱交換器はチューブがU字状に形成されているため、流体の熱交換前後の温度差を大きくするためにチューブ1本当たりの長さを長くすると、U字状チューブの束を設置する水槽(チューブ収容容器)が大きくなってしまっていた。
本発明は上述の課題に鑑み、大型化を抑制しつつ流体の熱交換前後の温度差を大きくする熱交換用チューブ及び熱交換器、並びにこれらを利用した熱交換システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る熱交換用チューブは、例えば図1(図3)に示すように、内部を流れる第1の流体を外部の第2の流体と熱交換させる熱交換用チューブ10(20)であって;螺旋状に形成され、前記螺旋が1回転することにより進む方向の投影面(図1(a)(図3(a))参照)上において、前記螺旋が1回転することにより形成される円12A(20a)の内部に、該1回転により形成された円12A(20a)とは異なる他の回転により形成された円12B(20b)の少なくとも一部が存在するように構成されている。
このように構成すると、熱交換用チューブが螺旋状に形成されているのでU字状又は直線状に形成した場合よりも熱交換用チューブ1本当たりの伝熱面積を大きくすることができて、第1の流体及び第2の流体の各々の流体の熱交換前後の温度差を大きくすることができる。また、螺旋が1回転することにより進む方向の投影面上において、前記螺旋が1回転することにより形成される円の内部に、該1回転により形成された円とは異なる他の回転により形成された円の少なくとも一部が存在するように構成されているので、螺旋が1回転することにより形成される円の内部を有効に利用することができ、熱交換用チューブの大型化を抑制することができる。
また、本発明の第2の態様に係る熱交換用チューブは、例えば図1及び図2に示すように、上記本発明の第1の態様に係る熱交換用チューブ10において、螺旋状に形成された単位チューブ12の複数が、1つの単位チューブ12Aの前記螺旋が1回転することにより形成される円の内部に、他の単位チューブ12Bの前記螺旋が1回転することにより形成される円の少なくとも一部が存在するように、相互に嵌合されて構成され;それぞれの単位チューブ12内を流れる前記第1の流体又はそれぞれの単位チューブ12内を流れた前記第1の流体を合流させる管寄せ18を備える。
このように構成すると、螺旋状に形成された単位チューブの複数が相互に嵌合されて構成されているので製造が容易になる。さらに、各単位チューブを着脱可能に構成した場合は、単位チューブの外表面を清掃する際に各単位チューブを分離させて清掃することが可能となるので保守が容易になる。
また、本発明の第3の態様に係る熱交換用チューブは、例えば図3に示すように、上記本発明の第1の態様に係る熱交換用チューブにおいて、1本のチューブが、前記螺旋が1回転することにより進む方向の投影面(図3(a)参照)上において、前記螺旋が1回転するごとに順次形成される円20a、20b、20c、・・・のそれぞれの中心Ma、Mb、Mc、・・・が移動するように巻かれて構成されている。
このように構成すると、第1の流体と第2の流体とが各々の全体的な流れ方向を変えずに熱交換チューブ1本当たりの伝熱面積を最大にすることができる。
上記目的を達成するために、本発明の第4の態様に係る熱交換器は、例えば図4に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る熱交換用チューブ10(20)と;熱交換用チューブ10(20)を収容する収容体31であって、第2の流体dを導入する導入口31aと第2の流体dを導出する導出口31bとが形成された収容体31とを備える。
このように構成すると、利用可能な熱エネルギーの採取量を従来よりも増大させることができる熱交換器となる。
上記目的を達成するために、本発明の第5の態様に係る熱交換システムは、例えば図4に示すように、上記本発明の第4の態様に係る熱交換器30と;第1の流体hを流動させる第1の流動機器55と;第2の流体dを、熱交換器30内において第1の流体hの流れと対向する方向に流動させる第2の流動機器45とを備える。
このように構成すると、熱交換器内における第1の流体と第2の流体とを全体において対向流で熱交換させることが可能となり、熱交換効率を向上させることができる。
本発明によれば、熱交換用チューブが螺旋状に形成されているのでU字状又は直線状に形成した場合よりも熱交換用チューブ1本当たりの伝熱面積を大きくすることができて、第1の流体及び第2の流体の各々の流体の熱交換前後の温度差を大きくすることができ、また、螺旋が1回転することにより進む方向の投影面上において、前記螺旋が1回転することにより形成される円の内部に、該1回転により形成された円とは異なる他の回転により形成された円の少なくとも一部が存在するように構成されているので、螺旋が1回転することにより形成される円の内部を有効に利用することができ、熱交換用チューブの大型化を抑制することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る熱交換用チューブの概略構成図である。(a)は平面図、(b)は側面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る熱交換用チューブを構成する単位チューブの斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係る熱交換用チューブの概略構成図である。(a)は平面図、(b)は側面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る熱交換器を含む本発明の第4の実施の形態に係る熱交換システムの概略系統図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
まず図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る熱交換用チューブ10を説明する。図1は、熱交換用チューブ10の概略構成図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。図2は、熱交換用チューブ10を構成する単位チューブ12の斜視図である。図1(a)では、管寄せ18を省略して示している。熱交換用チューブ10は、1本のチューブがコイルばね状に形成されてなる単位チューブ12が複数嵌合されて構成されたバンドルチューブ11と、各単位チューブ12A、12B、12C、12D、12E、12Fを流通する流体が混合する管寄せ18とを備えている。本実施の形態では、6つの単位チューブ12A〜12Fが嵌合されてバンドルチューブ11が構成されており、各単位チューブ12A〜12Fは同様に形成されている。このため、各単位チューブ12A〜12F共通の性質を説明するときは、総称して単に「単位チューブ12」ということとする。
単位チューブ12は、1本のチューブがコイルばね状に、換言すれば螺旋状に形成されている。ここでいう「螺旋」は、回転しながら回転面に直交する方向へ伸びる3次元曲線である。図1(a)に示す平面は、単位チューブ12を構成する螺旋の回転面を示しており、これが「螺旋が1回転することにより進む方向の投影面」(回転面の投影面にもなる)となる。他方、図1(b)に示すように、単位チューブ12は図1(b)の紙面上下方向に伸びており、この単位チューブ12が伸びる方向が「螺旋が1回転することにより進む方向」(以下「軸方向」ともいう。)となる。単位チューブ12は、螺旋が1回転することにより形成される円(以下「基準円」ともいう。)が軸方向に連なることにより、コイルばね状に形成されている。軸方向に連なる各基準円は、中心が軸方向に伸びる共通の仮想直線を通り、同径に形成されている。したがって、単位チューブ12を軸方向(回転面上)で見た場合、各基準円は重なって1つの円のように見えることとなる。
単位チューブ12の材質は、取り扱う流体の性状に応じて、合成樹脂製、あるいは銅やアルミニウム等の金属製のものを適宜選択することができる。合成樹脂製を採用した場合は、腐食性を有する流体(例えば温泉水等)の取り扱いにも適している。他方、金属製を採用した場合は、一般に合成樹脂よりも熱伝導率が大きいため、熱交換効率を向上させることができる。
バンドルチューブ11は、独立した状態の6つの単位チューブ12A〜12F(図2参照)を、側面視(図1(b)参照)において、1つの単位チューブ12の隣り合う基準円と基準円との間に、他の単位チューブ12の基準円の一部が挟まれるように、嵌合されて構成されている。嵌合された状態の6つの単位チューブ12A〜12Fには、すべての基準円の内部を通るように心棒15が抜き差し可能に挿通されている(図1(a)参照)。心棒15が挿通されることで、嵌合された各単位チューブ12A〜12Fが分離することを防ぐことができる。また、心棒15が抜き差し可能に挿通されているので、単位チューブ12を清掃等のメンテナンスをするときに、心棒15を抜いて各単位チューブ12A〜12Fを分離した状態でメンテナンスをすることができ、保守が容易になる。
各単位チューブ12A〜12Fが嵌合されたとき、軸方向に投影した面(軸方向の投影面)において、1つの単位チューブ12Aの基準円の内部に、他の単位チューブ12B〜12Fの基準円の一部(円弧)が存在することとなる。換言すれば、各単位チューブ12A〜12Fの基準円は、平面視において相互に交差している。このように構成すると、各単位チューブ12A〜12Fを嵌合させずに並べて配置した場合に比べて、単位体積当たりの各単位チューブ12A〜12Fの合計表面積(伝熱面積)を増やすことができる。また、螺旋状に形成された各単位チューブ12A〜12Fが嵌合されたとき、各単位チューブ12A〜12Fの軸は心棒15の軸に対して傾いた状態になっている。さらに、各単位チューブ12A〜12Fの軸同士も相互に傾いた状態になっている。各単位チューブ12A〜12Fの軸が相互に傾いた状態になることによって、軸が傾いていない状態と比較して、側面視における1つの単位チューブ12の隣り合う基準円同士の間隔を小さくすることができ、各単位チューブ12A〜12F同士をより密に嵌合させることができる。このように構成すると、単位体積当たりの各単位チューブ12A〜12Fの合計表面積(伝熱面積)をより増やすことができる。
管寄せ18は、嵌合された各単位チューブ12A〜12Fのそれぞれの一端に接続された管寄せ18Aと、各単位チューブ12A〜12Fのそれぞれの他端に接続された管寄せ18Bとを含んで構成されている。管寄せ18Aと管寄せ18Bとは同様に構成されており、両管寄せ18A、18Bの共通の性質を説明するときは、総称して単に「管寄せ18」ということとする。管寄せ18は、典型的には所定の長さに切断された配管18pの両端をキャップやフランジ等で塞ぎ、バンドルチューブ11を構成する各単位チューブ12A〜12Fの数分(本実施の形態では6個)の接続口18jが形成されて構成されている。配管18pの所定の長さは、各単位チューブ12A〜12Fの数分の接続口18jを形成することができる長さである。接続口18jは、一端が配管18pに固定された短管の他端に形成されており、袋ナット等の公知の着脱可能な継手で構成されている。接続口18jが着脱可能に構成されていることで、各単位チューブ12A〜12Fと管寄せ18とを分離することができ、さらに上述の心棒15を抜くことで各単位チューブ12A〜12Fを分離することができて、単位チューブ12の保守が容易になる。
上記のように構成された熱交換用チューブ10は、少なくともバンドルチューブ11が第2の流体に漬かるように配置され、各単位チューブ12A〜12Fの内部に第1の流体が流されて、第1の流体と第2の流体との間で熱交換を行わせるために利用される。熱交換用チューブ10は、各単位チューブ12A〜12Fのそれぞれの一端に管寄せ18Aが接続され、他端に管寄せ18Aが接続されていることにより、第1の流体が全体として一方向(第2の流体に対して一方向)に流れるため、例えばU字状のチューブのように第1の流体の上流部で一度熱交換が行われた第2の流体が存在する方向に第1の流体が戻されることがなく、熱交換効率を向上させることができる。チューブ内外の流体を相対的に流動させる際は、熱交換効率が高い対向流とすることが好ましいところ、従来の液中熱交換器のようにU字状に形成されたチューブでは大型化を抑制しつつ終始対向流とすることが難しいが、本実施の形態のように単位チューブ12を螺旋状にすることで、熱交換用チューブ10の大型化を抑制しつつ、第1の流体及び第2の流体を終始対向流として熱交換効率を向上させることができる。
また、熱交換用チューブ10は、単位チューブ12が螺旋状に形成されているため、直線状に形成されたチューブに比べて長さ(第1の流体が通る道のり)を長くすることができ、1本当たりの単位チューブ12の伝熱面積を大きくすることができるため、第1の流体及び第2の流体の各々の流体の熱交換前後の温度差を大きくすることができる。また、バンドルチューブ11が第2の流体に漬かるように配置することができるため、例えば第2の流体として、閉塞のおそれがあるためにプレート熱交換器に導入することが敬遠されがちな異物が含まれ得る排水等を適用することができ、熱交換(排熱回収)の用途を拡大することができる。
以上の熱交換用チューブ10の説明では、バンドルチューブ11を構成する各単位チューブ12A〜12Fが同様に形成されているとしたが、異なる形に形成されていてもよい。また、単位チューブ12の螺旋を構成する各基準円が同径に形成されているとしたが、1つの単位チューブ12内で各基準円の径を適宜変更してもよい。あるいは、1つの単位チューブ12内で各基準円を同径とし、各単位チューブ12A〜12F相互の間で基準円の径を変更して、1つの単位チューブ12の内部に他の単位チューブ12を挿通して(すなわち、各単位チューブ12A〜12Fの基準円の円弧が交差しないように)構成してもよい。しかしながら、各単位チューブ12A〜12F相互間で管路抵抗のバランスを取る観点から、各単位チューブ12A〜12F相互で長さを等しくするために基準円の径を同径にして平面視において基準円が相互に交差するように構成するのが好ましい。また、各単位チューブ12A〜12Fが嵌合されて構成されたバンドルチューブ11を1単位として、複数のバンドルチューブ11を配列して第1の流体の流量を増加させてもよい。また、各単位チューブ12A〜12Fのそれぞれの一端に管寄せ18Aが接続され、他端に管寄せ18Aが接続されて、第1の流体が全体として一方向に流れることとしたが、ある任意の2つの単位チューブ12を1セットとして、この2つの単位チューブ12の他端同士を接続し、両端の管寄せ18A、18Bを並べて設置してもよい。このようにすると、熱交換用チューブ10に対して第1の流体を出入りさせる配管(不図示)の接続口を近接させることができ、施工が容易になる。この場合でも、単位体積当たりの伝熱面積が大きい熱交換用チューブ10とすることができる。
次に図3を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る熱交換用チューブ20を説明する。図3は、熱交換用チューブ20の概略構成図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。熱交換用チューブ20は、1本のチューブが、以下に説明するような特徴を持ちつつ、螺旋状に形成されている。なお、ここでいう「螺旋」は、熱交換用チューブ10(図1参照)の場合と同様、回転しながら回転面に直交する方向へ伸びる3次元曲線である。熱交換用チューブ20の特徴は、1本のチューブが螺旋状に巻かれる際に、螺旋が1回転するごとに円(以下、この螺旋が1回転することにより形成される円を「ベース円」という。)20a、ベース円20b、ベース円20c、ベース円20d、・・・と順次形成されていくが、「螺旋が1回転することにより進む方向」(以下「軸方向」ともいう。)の投影面上において、各ベース円20a、20b、20c、・・・のそれぞれの中心Ma、Mb、Mc、・・・が共通の1点ではなく、移動していることである。本実施の形態では、順次形成されるベース円20a、20b、20c、・・・のそれぞれの中心Ma、Mb、Mc、・・・の軌跡Tが円を描くように、1本のチューブが巻かれて熱交換用チューブ20が構成されている。各中心Ma、Mb、Mc、・・・は、軌跡Tとなる円を1周した後は、その同じ円周上に存在するように構成されている。
各ベース円20a、20b、20c、・・・は、真円でなくてもよく、例えば楕円や水滴を模式的に表したような形状でもよい。いずれの場合も、本実施の形態では、各ベース円20a、20b、20c、・・・は、典型的には概ね同じ形に形成される。各ベース円20a、20b、20c、・・・が真円でない場合の中心Ma、Mb、Mc、・・・は、典型的には、まず、1つのベース円20aの円周上の任意の点における曲率中心に当該ベース円20aの中心Maが決められ、各ベース円20a、20b、20c、・・・が一致するように重ねられたと仮定したときに当該ベース円20aの円周上の任意の点に対応する位置を残りのベース円20b、20c、・・・の円周上の任意の点として、これを通る曲率円の中心に残りのベース円20b、20c、・・・の中心Mb、Mc、・・・が決められる。あるいは、軸方向投影面における各ベース円20a、20b、20c、・・・のそれぞれの重心(図心)を、それぞれの中心Ma、Mb、Mc、・・・としてもよい。
上記のように1本のチューブが巻かれた熱交換用チューブ20は、図3(b)の側面図に示されるように、各ベース円20a、20b、20c、・・・の中心Ma、Mb、Mc、・・・が、側面視において左右に移動しながら軸方向に伸びている。このような構成なので、本実施の形態では各ベース円20a、20b、20c、・・・の曲率半径が同一に構成されていることと相俟って、熱交換用チューブ20の側面視における最外郭がサインカーブを描いて山と谷が現れるように見えるが(図3(b)では便宜上山と谷が現れるように示している)、実際には熱交換用チューブ20全体が軸回りに捻られながら側面視においてサインカーブの山と山とが接近しており、熱交換用チューブ20は図3(b)に示すよりも軸方向に短く密に構成されている。このように構成すると、単位体積当たりの熱交換用チューブ20の合計表面積(伝熱面積)をより増やすことができる。
熱交換用チューブ20の材質は、単位チューブ12(図1、2参照)の材質と同様、取り扱う流体の性状に応じて、合成樹脂製、あるいは銅やアルミニウム等の金属製のものを適宜選択することができる。合成樹脂製を採用した場合は、腐食性を有する流体(例えば温泉水等)の取り扱いにも適している。他方、金属製を採用した場合は、一般に合成樹脂よりも熱伝導率が大きいため、熱交換効率を向上させることができる。
上記のように構成された熱交換用チューブ20は、第2の流体に漬かるように配置され、内部に第1の流体が流されて、第1の流体と第2の流体との間で熱交換を行わせるために利用される。熱交換用チューブ20は、第1の流体が全体として一方向(第2の流体に対して一方向)に流れるため、例えばU字状のチューブのように第1の流体の上流部で一度熱交換が行われた第2の流体が存在する方向に第1の流体が戻されることがなく、熱交換効率を向上させることができる。また、熱交換用チューブ20は、螺旋状に形成されているため、直線状に形成されたチューブに比べて、長さ(第1の流体が通る道のり)を長くすることができ、伝熱面積を大きくすることができるため、第1の流体及び第2の流体の各々の流体の熱交換前後の温度差を大きくすることができる。また、熱交換用チューブ20は、第2の流体に漬かるように配置することができるため、例えば第2の流体として、閉塞のおそれがあるためにプレート熱交換器に導入することが敬遠されがちな異物が含まれ得る排水等を適用することができ、熱交換(排熱回収)の用途を拡大することができる。
以上の熱交換用チューブ20の説明では、軸方向投影面における各ベース円20a、20b、20c、・・・のそれぞれの中心Ma、Mb、Mc、・・・の軌跡Tが円を描くように構成されているとしたが、円以外の、例えば、楕円、矩形や多角形、あるいはランダムな曲線や折れ線を描くように構成されていてもよい。また、各ベース円20a、20b、20c、・・・が概ね同じ形に形成されているとしたが、各ベース円20a、20b、20c、・・・のうち1つ又は複数が異なる形になるように、曲率半径や形状を適宜変更してもよい。また、熱交換用チューブ20を複数配列して第1の流体の流量を増加させてもよい。
次に図4を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る熱交換器30及び本発明の第4の実施の形態に係る熱交換システム40を説明する。図4は、熱交換器30を含む熱交換システム40の概略系統図である。まず、熱交換器30の構成について説明する。熱交換器30は、上述した熱交換用チューブ10(図1も参照)と、熱交換用チューブ10を収容する収容体としてのシェル(缶胴)31とを備えている。シェル31は、熱交換用チューブ10の収容に適するように円筒状に形成されている。また、シェル31は、開閉可能な蓋を有しており、熱交換用チューブ10を出し入れすることができるように構成されている。シェル31には、第2の流体としての熱源排水dを導入する導入口31aと、熱源排水dを導出する導出口31bとが形成されている。導入口31a及び導出口31bは、シェル31の長手方向に離れた対角の位置にそれぞれ形成されている。シェル31内に収容される熱交換用チューブ10は、管寄せ18A(図1参照)が導出口31b側に、管寄せ18B(図1参照)が導入口31a側に位置するように配置されている。熱交換用チューブ10内を流れる第1の流体としての温水hは、管寄せ18A(図1参照)から管寄せ18B(図1参照)の方向に流れるように構成されている。
なお、本実施の形態の説明では、熱交換器30が熱交換用チューブ10を備えているとして説明するが、熱交換用チューブ10の代わりに熱交換用チューブ20(図3も参照)を備えていてもよい。熱交換用チューブ20を備える場合、熱交換効率を向上させる観点から、熱交換用チューブ20内を流れる温水hが熱源排水dと対向流となるように、熱交換用チューブ20をシェル31内に収容するのが好ましい。また、収容体がシェル31で構成されているとして説明するが、収容体が躯体水槽等で形成されていてもよい。躯体水槽等とした場合も、熱源排水dの導入口及び導出口が形成される。
次に熱交換システム40の構成を説明する。熱交換システム40は、熱交換器30で採取した熱の利用形態の一例を示すものであり、熱交換器30の他、温水hを蓄える蓄熱槽58と、温水hを熱交換器30内の熱交換用チューブ10(20)内を含めて流動させる第1の流動機器としての温水ポンプ55と、温水hの熱を利用する熱利用機器51としての融雪システム51A、床暖房設備51B、給湯設備51Cと、熱源排水dを貯留する貯留槽41と、熱源排水dを熱交換器30のシェル31内かつ熱交換用チューブ10(20)外側を含めて流動させる第2の流動機器としての熱源排水ポンプ45とを備えている。
熱交換器30内の管寄せ18A(図1参照)には熱利用機器51から導出された温水hを流す還配管52の一端が接続されており、管寄せ18B(図1参照)には熱利用機器51に供給される温水hを流す往配管53の一端が接続されている。還配管52の他端は、熱利用機器51の台数分に分岐して各熱利用機器51の温水hが導出される接続口に接続されている。往配管53の他端は、熱利用機器51の台数分に分岐して各熱利用機器51の温水hが供給される接続口に接続されている。分岐する前の往配管53には、温水hを流動させる温水ポンプ55が配設されている。温水ポンプ55と熱交換器30との間の往配管53には、熱交換器30から導出された温水hを蓄熱槽58に導く配管54Aが接続されている。配管54Aの接続部と温水ポンプ55との間の往配管53には、蓄熱槽58内の温水を往配管53に流入させる配管54Bが接続されている。配管54Bと往配管53の接続部には、三方弁56が配設されている。
熱交換器30の導入口31aと貯留槽41とは、貯留槽41内の熱源排水dを熱交換器30に導く供給管42で接続されている。供給管42には、貯留槽41内の熱源排水dを熱交換器30に圧送する熱源排水ポンプ45が配設されている。熱交換器30の導出口31bには、シェル31から導出された熱源排水dを貯留槽41に導く回収管43の一端が接続されている。回収管43の他端は、貯留槽41内で開口している。貯留槽41と熱源排水ポンプ45との間の供給管42と、回収管43とは、回収管43を流れる熱源排水dを貯留槽41をバイパスして供給管42に導くバイパス管44で連通している。供給管42とバイパス管44との接続部には、三方弁46が配設されている。貯留槽41には、熱源排水dを導入する導入管41sと、貯留槽41内の液位が所定の高さを超えた分の熱源排水dを系外に排出するオーバー管41fとがそれぞれ接続されている。
引き続き図4を参照して、熱交換器30及び熱交換システム40の作用を説明する。熱交換器30の作用の説明は、熱交換システム40の作用の一環として説明する。また、以下の説明では適宜図1を参照することとする。本実施の形態では、熱源排水dとして温泉の排水が、温水hには物質としての水(HO)が、それぞれ用いられている。熱交換器30のシェル31内かつ熱交換用チューブ10の外側は、プレート熱交換器に比べ、流体の流路が大きいので、熱源排水d(温泉排水)に多少の異物が含まれている場合でも利用することができる。
貯留槽41には、熱源排水dが貯留されている。熱利用機器51の系統には、温水hが行き渡っている。熱源排水ポンプ45を起動すると、熱源排水dが、貯留槽41から供給管42を介して熱交換器30の導入口31aに至る。その後熱源排水dは、導入口31aから導出口31bに向かって、熱交換用チューブ10の外側のシェル31内を流れる。他方、温水ポンプ55が起動すると、還配管52内の温水hが管寄せ18Aに到達する。その後温水hは、熱交換用チューブ10内を流れて管寄せ18Bに至る。熱交換器30内では、温水hと熱源排水dとが終始対向流で流れて熱交換が行われ、温水hの温度が上昇し、熱源排水dの温度は低下する。このとき、温水hと熱源排水dとが終始対向流で流れ、また、熱交換用チューブ10の伝熱面積が比較的大きいため、温水hの昇温幅(熱交換前後の温度差)を大きくすることができる。そのため、温度が低めの排水等の比較的低レベル(エクセルギーが小さい)の流体を有効に利用することが可能となる。
熱交換器30で温度が低下した熱源排水dは、回収管43を介して、貯留槽41内(オーバー管41f側)に戻される。なお、熱交換器30に供給される熱源排水dの温度を調節するため、熱交換器30から導出された熱源排水dの一部又は全部を、適宜バイパス管44を介して供給管42に導入させてもよい。貯留槽41には、導入管41sを介して随時温泉からの排水(熱源排水d)が導入されており、余分な熱源排水dは、熱交換後の温度が低下したものから随時オーバー管41fを介して系外に排出される。
他方、熱交換器30で温度が上昇した温水hは、往配管53を介して各熱利用機器51に供給される。融雪システム51Aでは、温水hの熱が融雪に利用される。床暖房設備51Bでは、温水hの熱が暖房に利用される。給湯設備51Cでは、温水hの熱が給湯に利用される。各熱利用機器51で熱が利用されて温度が低下した温水hは、還配管52を介して熱交換器30の熱交換用チューブ10内に導かれ、再び熱源排水dと熱交換されて温度が上昇した後、熱利用機器51に供給されるサイクルを繰り返す。なお、熱利用機器51で利用される熱が余剰となる場合は、三方弁56を切り換えることにより、往配管53を流れる温水hが配管54Aを介して蓄熱槽58に導かれることによって温水hの熱が蓄熱槽58に蓄えられる。蓄熱槽58に蓄熱されていると、熱交換器30で採熱できない場合であっても、蓄熱槽58の熱を熱利用機器51で利用することができる。
以上の説明では、熱交換システム40が温熱を融雪システム51A等で利用するシステムであるとしたが、熱利用機器として冷房システムを適用する等、冷熱を利用するシステムとして構成してもよい。
10 熱交換用チューブ
12 単位チューブ
18 管寄せ
20 熱交換用チューブ
20x(x=a、b、・・・) ベース円
30 熱交換器
31 シェル
31a 導入口
31b 導出口
40 熱交換システム
45 熱源排水ポンプ(第2の流動機器)
55 温水ポンプ(第1の流動機器)
d 熱源排水(第2の流体)
h 温水(第1の流体)
Mx(x=a、b、・・・) 中心

Claims (3)

  1. 内部を流れる第1の流体を外部の第2の流体と熱交換させる熱交換用チューブであって;
    螺旋状に形成され、前記螺旋が1回転することにより進む方向の投影面上において、前記螺旋が1回転することにより形成される円の内部に、該1回転により形成された円とは異なる他の回転により形成された円の少なくとも一部が存在するように構成され;
    1本のチューブが、前記螺旋が1回転することにより進む方向の投影面上において、前記螺旋が1回転するごとに順次形成される円のそれぞれの中心が移動するように巻かれて構成された;
    熱交換用チューブ。
  2. 請求項1に記載の熱交換用チューブと;
    前記熱交換用チューブを収容する収容体であって、前記第2の流体を導入する導入口と前記第2の流体を導出する導出口とが形成された収容体とを備える;
    熱交換器。
  3. 請求項2に記載の熱交換器と;
    前記第1の流体を流動させる第1の流動機器と;
    前記第2の流体を、前記熱交換器内において前記第1の流体の流れと対向する方向に流動させる第2の流動機器とを備える;
    熱交換システム。
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