JP2012041619A - 溶融金属めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶融金属めっき鋼板を製造するに際して、複雑に変動する浴温分布の状態を的確に把握して、浴温分布の異常を迅速に検知することによって、良好な品質の溶融金属めっき鋼板を安定して製造することができる溶融金属めっき鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】めっき浴1内の6個所に熱電対4a〜4fを設置し、その6本の熱電対4a〜4fによって6個所の温度測定値の時系列データを取得し、それらの時系列データから温度測定値の非連動的な時間変動(非連動成分)を抽出し、その非連動成分を用いて、めっき浴1内の温度の異常を検出するようにしている。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶融金属めっき鋼板の製造方法に関するものである。
溶融亜鉛めっき鋼板に代表される溶融金属めっき鋼板は、帯状の鋼板(鋼帯)を溶融金属を貯留しためっき浴に浸漬させ、引き上げることにより製造される。帯状の鋼板は、通常、巻き取られた円筒の状態(コイルとよばれる)でハンドリングされるが、めっき浴に浸漬される前には多数のコイルが溶接されて連続的にめっき処理が行われる。溶融亜鉛めっき鋼板は、防錆性に優れているので各種用途に使用され、自動車用内装材、自動車用外装材、建材などとして大量に使用されている。
近年、溶融亜鉛めっき鋼板の品質特性のうち、特に表面品質に対する要求が厳しくなってきている。めっき浴中では、FeとZn、またはFeとAlの化合物であるドロスとよばれる不純物が生成しており、これが鋼板に付着すると表面欠陥となってプレス加工時に顕在化するという問題がある。めっき浴の温度(浴温)の変動は、浴中のドロス生成に影響を与えるため、浴温変動を小さくすることは品質管理上非常に重要である。
一般的に、めっき浴の温度(浴温)の制御は、浴温目標値と浴温実績値の偏差に基づいて、溶融金属を貯留しためっきポットを加熱するヒータの出力を調節することで行われる。定常的な操業状態においては、このような浴温制御で十分浴温変動を抑制することができるが、ライン速度が変動すると、めっき浴内で温度差が生じることが知られている。
これに対して、特許文献1には、めっき浴内の異なる個所の浴温をそれぞれ測定し、得られた測定結果に基づいて、めっき浴内の温度差を低減するようにしためっき浴のドロス発生抑止方法が開示されている。ここで、めっき浴内の温度差としては、めっき浴内の最高温度と最低温度の差であって、該温度差を5℃以内に管理することが望ましいとされている。また、浴温を測定するめっき浴の異なる個所としては、めっき浴の上部および下部が望ましいとされている。
また、特許文献2には、焼鈍後の鋼板を浸漬する溶融亜鉛めっき浴における浴温制御で、浴温測定値が目標範囲内に入るように焼鈍炉冷却帯において目標板温設定値を変更する制御を行うようにしためっき浴の温度制御方法が開示されている。
特開2001−107208号公報 特開平6−108214号公報
浴温変動には、めっき浴内の位置による温度の差異、すなわちめっき浴内の温度分布と、その温度分布の時間的な変動の両方が含まれる。溶融金属めっきプロセスの品質管理を厳格に実施するには、めっき浴の上部と下部の温度差だけでなく、めっきポット内(めっき浴内)の温度分布の時間的な変動を詳細に把握し、管理、制御することが望ましい。めっき浴全体の温度分布を把握するためには、めっき浴内の複数個所に熱電対を設置し、それらの熱電対の測定値を用いて温度分布の管理、制御を行う技術が必要となる。設置された熱電対の数が多い場合、それらの測定値に基づいて、どのような管理、制御を行うかが課題となる。
ドロス生成には、めっき浴内の温度分布(浴温分布)が影響するが、浴温分布は、めっき浴に進入する鋼板が持ち込む熱量、めっき浴から失われる熱量、およびヒータによってめっき浴に加えられる熱量のバランス、およびめっき浴内の溶融金属の流動によって複雑に変動する。
そのため、複雑に変動する浴温分布の状態を的確に把握するには、特許文献1に開示されているように、異なる個所の温度測定値の差を監視するだけでは不十分であり、温度測定データから適切なデータ解析によって浴温分布の時間変動を詳細に検出する必要がある。
また、特許文献2では、浴温制御のためにめっき浴の上流に位置する焼鈍炉冷却帯の目標板温設定値を変更して、めっき浴に進入する鋼板の温度(進入温度)を操作することによって、浴温を制御することが開示されているが、浴温分布の時間変動を検出することについては記載されていない。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、溶融金属めっき鋼板を製造するに際して、複雑に変動する浴温分布の状態を的確に把握して、浴温分布の異常を迅速に検知することによって、良好な品質の溶融金属めっき鋼板を安定して製造することができる溶融金属めっき鋼板の製造方法を提供することを目的とするものである。
前記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を行った結果、以下のような着想を得た。
すなわち、溶融金属めっき鋼板を製造する際に、めっき浴内の温度分布(浴温分布)は、めっき浴に進入する鋼板が持ち込む熱量、めっき浴から失われる熱量、ヒータによってめっき浴に加えられる熱量のバランス、およびめっき浴内の溶融金属の流動によって複雑に変動するが、その変動はめっき浴全体の温度が連動して上昇あるいは下降する連動成分と、一部の個所の温度だけが変動する非連動成分に分けることができる。このうち、前者の連動成分は通常用いられている一個所の浴温測定値に基づく浴温制御により、品質管理上問題ない程度に抑制することができるが、めっき浴内の一部の個所の温度だけを制御する有効な制御手段はないため、後者の非連動成分を複数個所の温度測定値から抽出し、それを評価することによって、浴温分布が通常の状態から外れていないかどうか(浴温分布の異常の有無)を確認することが品質管理上有効であると考えた。
本発明は、上記のような着想に基づいてなされたものであり、以下のような特徴を有している。
[1]鋼板を溶融金属を貯留しためっき浴に連続的に浸漬したのち引き上げて溶融金属めっき鋼板を製造するに際し、めっき浴内の複数個所の温度を測定して前記複数個所の温度測定値の時系列データを取得し、それらの時系列データから温度測定値の非連動的な時間変動を抽出し、その温度測定値の非連動的な時間変動を用いて、めっき浴内の温度の異常を検出することを特徴とする溶融金属めっき鋼板の製造方法。
[2]めっき浴内の複数個所の温度を測定して前記複数個所の温度測定値の時系列データを取得するのに加えて、めっき浴に進入する鋼板の温度を測定して前記鋼板の温度測定値の時系列データを取得し、それらの温度測定値の時系列データから温度測定値の非連動的な時間変動を抽出し、その温度測定値の非連動的な時間変動を用いて、めっき浴における操業異常を検出することを特徴とする前記[1]に記載の溶融金属めっき鋼板の製造方法。
[3]前記温度測定値の非連動的な時間変動と鋼板上の表面欠陥の発生確率を対応付けることによって、鋼板表面の品質管理を行うことを特徴とする前記[1]または[2]に記載の溶融金属めっき鋼板の製造方法。
[4]温度測定値の非連動的な時間変動を抽出するに際して、多変量解析を用いることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の溶融金属めっき鋼板の製造方法。
[5]前記多変量解析として、主成分分析を用いることを特徴とする前記[4]に記載の溶融金属めっき鋼板の製造方法。
本発明においては、溶融金属めっき鋼板を製造するに際して、複雑に変動する浴温分布の状態を的確に把握して、浴温分布の異常を迅速に検知することによって、良好な品質の溶融金属めっき鋼板を安定して製造することができる。
すなわち、本発明では、めっき浴の複数個所の温度測定値から一部の個所の温度測定値が時間的に非連動的に変動する成分(温度測定値の非連動的な時間変動)を抽出し、その温度測定値の非連動的な時間変動(温度測定値の非連動成分)を用いて浴温分布の異常を検出するようにしているので、個別の測定個所(測定点)における温度変化や複数個所間の温度差を監視する場合に比べて、浴温分布の異常の検出精度を高めることができる。
また、本発明では、測定点は2点以上であれば点数によらず適用可能であり、測定点数によらず1つの非連動成分を監視するだけでよいため、個別の測定点における温度変化や2点間の温度差を監視する場合に比べて、少ない労力で高い異常検出精度を達成することができる。
本発明の実施形態1における温度測定個所を示す側面図である。 本発明の実施形態1における温度測定値とその非連動成分の一例を示す線図である。 本発明の実施形態1における非連動成分と鋼板の表面品質との対応付けの一例を示す線図である。 本発明の実施形態2における温度測定個所を示す側面図である。 本発明の実施形態2における温度測定値とその非連動成分の一例を示す線図である。 本発明の実施形態2における非連動成分と鋼板の表面品質との対応付けの一例を示す線図である。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[実施形態1]
本発明の実施形態1においては、鋼板を溶融金属を貯留しためっき浴に連続的に浸漬したのち引き上げて溶融金属めっき鋼板を製造するに際し、めっき浴内の複数個所に温度計測手段を設置して、その複数個所の温度測定値の時系列データを取得し、それらの時系列データから多変量解析(特に、主成分解析)を用いて温度測定値の非連動的な時間変動(非連動成分)を抽出し、その非連動成分を用いて、めっき浴内の温度の異常を検出するようにしている。
非連動成分には、通常操業においては現れない浴温分布による一部の測定個所(測定点)における温度の乖離が集約して現れているので、それを監視するだけで高精度の浴温分布の異常検出を行うことができる。
その際に、非連動成分の抽出は、通常操業における複数個所の温度測定値の変動から連動成分を抽出し、それ以外の成分を非連動成分とすることによって行うことができる。連動成分の抽出は、複数個所の温度測定値の時系列データを多次元空間上の点の集合とし、それらの変動が最大となる新たな座標軸を求め、各時刻における温度測定値を前記の新たな座標軸に射影したベクトルの長さとして求めることができる。非連動成分は、元のデータを表すベクトルと、新たな座標軸に射影したベクトルの差の長さとして求めることができる。これらの具体的な計算は、多変量解析の中の主成分分析とよばれる方法を適用することにより行うことが望ましい。
さらに、抽出した温度測定値の非連動成分と鋼板上の表面欠陥の発生確率とを対応付けることにより、溶融金属めっき鋼板の表面品質管理を行うことができる。
以下、この実施形態1について、具体例に基づいて説明する。なお、ここでは、溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合を例にして述べる。
図1は、この実施形態1において、溶融亜鉛めっき鋼板を製造している状態を示す側面図である。溶融亜鉛めっきポット1は溶融亜鉛で満たされており、シンクロール2が設置されている。めっきポット1に図1の左上から進入する鋼板3はシンクロール2によって方向転換され、上方に搬出される。
その上で、図1に示すように、めっきポット1内の6ヶ所に熱電対(第1熱電対4a、第2熱電対4b、第3熱電対4c、第4熱電対4d、第5熱電対4e、第6熱電対4f)を設置している。6本の熱電対のうち、3本(第1熱電対4a、第2熱電対4b、第3熱電対4c)は鋼板3が進入する側でシンクロール2の軸からの水平距離が900mmである位置、残りの3本(第4熱電対4d、第5熱電対4e、第6熱電対4f)はその反対側で同様にシンクロール軸2のからの水平距離が900mmである位置に設置している。深さ方向には、めっきポット1の上端からの距離が300mm、900mm、1500mmとなる位置にそれぞれ2本ずつとした。また、6本の熱電対はいずれもラインセンター(進行する鋼板の幅方向中心)に対して図1の手前側に設置されており、ラインセンターからの距離が1500mmとなっている。
そして、この実施形態1においては、それら6本の熱電対4a〜4fによって6個所の温度測定値の時系列データを取得し、それらの時系列データから温度測定値の非連動的な時間変動(非連動成分)を抽出し、その非連動成分を用いて、めっき浴1内の温度の異常を検出するようにしている。
そのデータ処理手順を以下に述べる。
まず、定常操業状態において、6本の熱電対4a〜4fによって温度測定を行い、1000点のサンプルデータを得る。各熱電対4a〜4fの温度測定値に対して、その平均値からの偏差を解析用のデータとし、x(k)とする。ここで、i=1〜6は熱電対の番号(第1熱電対〜第6熱電対)であり、k=1〜1000はサンプルデータの番号である。解析用データ全体Xは、次のように表される。
Figure 2012041619
そして、(1)式の共分散行列Vは、(2)式で与えられる。
Figure 2012041619
共分散行列Vの最大の固有値をλとすると、
Figure 2012041619
で表されるk番目のサンプルx(k)の第1主成分は、λに対する固有ベクトルw
Figure 2012041619
を結合係数として、
Figure 2012041619
で求めることができる。
ここで、wは、6本の熱電対4a〜4fの温度測定値の時系列データを6次元空間上の点の集合としたとき、それらの変動が最大となる新たな座標軸の方向を表すベクトルである。t(k)は、k番目のサンプルx(k)の6個の熱電対4a〜4fの温度測定値に重みwを掛けて加算した線形結合であるが、これはx(k)を前記の新たな座標軸に射影したベクトルの長さとなる。したがって、第1主成分によって元のサンプルx(k)を近似したときの近似値x’(k)は、
Figure 2012041619
となる。この近似値x’(k)は、6本の熱電対4a〜4fの温度測定値の変動を1つの変数で最もよく近似したものであり、それらの連動成分と考えることができる。非連動成分は、元のサンプルx(k)が近似値x’(k)では表せない成分なので、元のサンプルx(k)と近似値x’(k)の差
Figure 2012041619
として求めることができ、その大きさ
Figure 2012041619
により、非連動成分の大きさを評価することができる。
第2主成分も用いる場合には、共分散行列Vの2番目に大きい固有値をλとすると、k番目のサンプルx(k)の第2主成分は、λに対する固有ベクトルw
Figure 2012041619
を結合係数として、
Figure 2012041619
で求めることができる。第1主成分と第2主成分を用いて元のサンプルx(k)を近似する場合は、近似値x’(k)は
Figure 2012041619
となるので、同様に(3)、(4)式を用いて非連動成分の大きさを求めることができる。
図2は、6本の熱電対(第1熱電対4a、第2熱電対4b、第3熱電対4c、第4熱電対4d、第5熱電対4e、第6熱電対4f)の各温度測定値と、上記のデータ処理手順によって抽出した非連動成分を示したものである。6本の熱電対の温度測定値は、主成分分析に用いたデータ中の熱電対ごとの測定値の平均値からの偏差を示している。温度測定値の変動幅は熱電対によって異なるため、それらを個別に見たり、2本の熱電対の温度測定値の差を見たりするのでは適切な管理ができない。しかし、それらから抽出した非連動成分には、6本の熱電対4a〜4fの温度測定値を集約した形で通常と異なる浴温分布が抽出されており、これを用いることで浴温の管理が可能である。
さらに、これを用いて、溶融亜鉛めっき鋼板の品質管理を実施することができる。
図3は、この実施形態1において、抽出した非連動成分と、製造された溶融亜鉛めっき鋼板のコイルごとの表面欠陥発生指数を比較したものである。ここで、コイルごとの表面欠陥発生指数は、各コイルを構成する鋼板から切り出した表面品質評価用サンプル上の欠陥数や、光学的な手段による表面検査装置による検査結果に基づいて得ることができる。
図3に示されているように、非連動成分と表面欠陥発生指数とは対応しており、非連動成分が増加すると表面欠陥が発生しやすくなり、非連動成分が減少した後もしばらく表面欠陥が発生しやすい状態が継続する。この関係を利用して、非連動成分の推移を溶融亜鉛めっき鋼板の製造プロセスの操業担当者や品質管理担当者に提示するとともに、非連動成分のしきい値をあらかじめ定めておき、非連動成分がしきい値を越えたときにアラームを出して注意を喚起するなどにより品質管理を行うことができる。
このようにして、この実施形態1では、めっき浴1の6個所の温度測定値から温度測定値の非連動成分を抽出し、その非連動成分を用いて浴温分布の異常を検出するようにしているので、個別の測定個所における温度変化や複数個所間の温度差を監視する場合に比べて、浴温分布の異常の検出精度を高めることができる。
そして、浴温分布の異常を迅速に検知することによって、良好な品質の溶融金属めっき鋼板を安定して製造することが可能となる。
なお、この実施形態1では、6本の熱電対4a〜4fにより浴温測定を行っているが、さらに多くの位置で測定した浴温を用いることにより、異常検出精度を高めることができる。一方、温度測定する熱電対の数を減らすことも可能であるが、めっき浴内の浴温分布を代表する点に熱電対を設置する必要があることから、鋼板の進入する側とその反対側のそれぞれで上下2点、計4点は設置することが望ましい。
また、この実施形態1では、多変量解析の手法の一つである主成分分析を用いているが、非連動成分の抽出はこれに限定されない。例えば、簡易な方法として、全熱電対の温度測定値の平均と、各熱電対の温度測定値の差異を用いることもできる。すなわち、N本の熱電対を用いるとき、時刻kにおけるi番目の熱電対の温度測定値x(k)についての非連動成分q(k)を次のように求めることができる。
Figure 2012041619
この場合の非連動成分は、浴温分布の平均的な時間変動に対して各熱電対の温度測定値の時間変動がどのくらいずれているかを表している。これを用いることにより、熱電対ごとに浴全体の温度変動からの外れ度や、その方向も求めることができる。また、次式のように、q(k)の2乗和を用いることで、(4)式と同様に一つの変数q(k)で非連動成分を評価することもできる。
Figure 2012041619
[実施形態2]
本発明の実施形態2は、上記の実施形態1と基本的な構成は同じであるが、めっき浴内の複数個所に温度計測手段(例えば、熱電対)を設置するのに加えて、めっき浴に進入する鋼板の温度測定手段(例えば、放射温度計)を設置し、これらの温度測定手段(例えば、熱電対と放射温度計)から温度測定値の時系列データを取得し、それらの時系列データから多変量解析(特に、主成分解析)を用いて温度測定値の非連動的な時間変動(非連動成分)を抽出し、その非連動成分を用いて、めっき浴における操業異常を検出するようにしている。
めっき浴に進入する鋼板の温度(進入温度)が変動すると、鋼板とめっき浴との間で行われる熱の授受の状況が変化し、めっき浴の温度分布に大きく影響する。その際、進入温度変動と浴温変動との関係が通常通りであれば問題ないが、その関係が予想されるものから逸脱した場合、めっき浴内に何らかの異常が生じたと考えることができる。すなわち、浴温変動の原因(進入温度変動)とその結果である浴温変動を同時に考えることにより、浴温変動の因果関係が通常の状態からずれていないかをより適切にとらえることができる。進入温度変動と浴温変動との関係のずれは、それらの変数間の非連動成分として表れるので、それを抽出して監視することによって、めっき浴における異常検出を行うことができる。非連動成分の抽出に主成分分析を用いる場合には、主成分分析の変数として鋼板の進入温度と複数点のめっき浴の温度測定値を用いることにより、高い異常検出精度を達成することができ、鋼板表面の品質管理精度も向上させることができる。
以下、この実施形態2について、具体例に基づいて説明する。なお、ここでは、溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合を例にして述べる。
図4は、この実施形態2において、溶融亜鉛めっき鋼板を製造している状態を示す側面図である。溶融亜鉛めっきポット1は溶融亜鉛で満たされており、シンクロール2が設置されている。めっきポット1に図4の左上から進入する鋼板3はシンクロール2によって方向転換され、上方に搬出される。
その上で、図4に示すように、めっきポット1内の4ヶ所に熱電対(第1熱電対4a、第2熱電対4b、第4熱電対4d、第5熱電対4e)を設置するともに、めっきポット1の上方に、めっきポット1に進入する鋼板3の温度を測定する放射温度計5を設置している。
そして、この実施形態2においては、4本の熱電対4a、4b、4d、4eによって、めっきポット1内の4個所の温度測定値の時系列データを取得するとともに、放射温度計5によって、めっきポット1に進入する鋼板3の温度測定値の時系列データを取得し、それらの時系列データから温度測定値の非連動的な時間変動(非連動成分)を抽出し、その非連動成分を用いて、めっき浴1における操業異常を検出するようにしている。
なお、その際のデータ処理手順は、上述した実施形態1におけるデータ処理手順に準じて行う。
図5は、実施形態2を適用した4本の熱電対4a、4b、4d、4e、およびめっきポット1に進入する鋼板3の温度測定値の時系列データと、主成分分析によって抽出した非連動成分を表している。
図5に示されているように、熱電対の温度測定値の変動は図2に示されているものよりは小さいが、鋼板の進入温度を使用することによって非連動成分が明瞭に抽出されている。
そして、図6は、この実施形態2において、抽出した非連動成分と、製造された溶融亜鉛めっき鋼板のコイルごとの表面欠陥発生指数を比較したものである。
図6に示すように、非連動成分には表面欠陥発生指数の高いコイルが通過するときに大きな変動が現れており、非連動成分を用いることにより、浴温分布の異常検出や鋼板表面の品質管理が可能であることを示している。
1 溶融亜鉛めっきポット
2 シンクロール
3 鋼板
4a 第1熱電対
4b 第2熱電対
4c 第3熱電対
4d 第4熱電対
4e 第5熱電対
4f 第6熱電対
5 放射温度計

Claims (5)

  1. 鋼板を溶融金属を貯留しためっき浴に連続的に浸漬したのち引き上げて溶融金属めっき鋼板を製造するに際し、めっき浴内の複数個所の温度を測定して前記複数個所の温度測定値の時系列データを取得し、それらの時系列データから温度測定値の非連動的な時間変動を抽出し、その温度測定値の非連動的な時間変動を用いて、めっき浴内の温度の異常を検出することを特徴とする溶融金属めっき鋼板の製造方法。
  2. めっき浴内の複数個所の温度を測定して前記複数個所の温度測定値の時系列データを取得するのに加えて、めっき浴に進入する鋼板の温度を測定して前記鋼板の温度測定値の時系列データを取得し、それらの温度測定値の時系列データから温度測定値の非連動的な時間変動を抽出し、その温度測定値の非連動的な時間変動を用いて、めっき浴における操業異常を検出することを特徴とする請求項1に記載の溶融金属めっき鋼板の製造方法。
  3. 前記温度測定値の非連動的な時間変動と鋼板上の表面欠陥の発生確率を対応付けることによって、鋼板表面の品質管理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の溶融金属めっき鋼板の製造方法。
  4. 温度測定値の非連動的な時間変動を抽出するに際して、多変量解析を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の溶融金属めっき鋼板の製造方法。
  5. 前記多変量解析として、主成分分析を用いることを特徴とする請求項4に記載の溶融金属めっき鋼板の製造方法。
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