JP2012038329A - 弾性波タッチスクリーン - Google Patents
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Abstract
【課題】非常に狭いボーダー領域を有することができる弾性波タッチセンサー設計を可能とする。
【解決手段】タッチセンサーにおいて弾性エッジ波を発生または受信する剪断モード・トランスデューサーであって、タッチ領域を有する第1面および第1エッジに沿って第1面と交差している第2面を備えた基板がタッチセンサーに設けられ、基板の第2面上に剪断モード・トランスデューサーが設けられ、また、剪断モード・トランスデューサーが、剪断モード圧電素子、ならびに、第1電極および第2電極を有して成り、剪断モード圧電素子が、弾性エッジ波に結合することになるように、X軸およびY軸で規定される第2面の平面に対する方向に剪断運動を引き起こし、剪断モード圧電素子の活性領域を供するように、第1電極および第2電極が剪断モード圧電素子上に設けられており、その活性領域が弾性エッジ波の断面領域を含んでいる、剪断モード・トランスデューサー。
【選択図】図7
【解決手段】タッチセンサーにおいて弾性エッジ波を発生または受信する剪断モード・トランスデューサーであって、タッチ領域を有する第1面および第1エッジに沿って第1面と交差している第2面を備えた基板がタッチセンサーに設けられ、基板の第2面上に剪断モード・トランスデューサーが設けられ、また、剪断モード・トランスデューサーが、剪断モード圧電素子、ならびに、第1電極および第2電極を有して成り、剪断モード圧電素子が、弾性エッジ波に結合することになるように、X軸およびY軸で規定される第2面の平面に対する方向に剪断運動を引き起こし、剪断モード圧電素子の活性領域を供するように、第1電極および第2電極が剪断モード圧電素子上に設けられており、その活性領域が弾性エッジ波の断面領域を含んでいる、剪断モード・トランスデューサー。
【選択図】図7
Description
本発明はタッチセンサーに関する。より詳細には、本発明は、本発明は、機能性を有する狭いボーダーおよび感度が増加したタッチ検知エリアを備えた弾性波タッチセンサーおよび弾性波タッチスクリーンに関する。
弾性波タッチセンサーは、タッチセンサー基板を横切って伝搬(または伝播)する弾性波に加えられるタッチ効果に起因してタッチの存在および位置を検知できるタッチ検知エリアを備えている。かかる弾性波タッチセンサーは、レイリー波(擬似レイリー波を含む)、ラム波、剪断波、または種々の弾性波の組合せを用いている。
図1は、従来の弾性波タッチセンサー、弾性波タッチスクリーン1の作動形態を示している。タッチスクリーン1は、タッチされた二次元座標の位置を決めるタッチ検知エリア2を有している。例えば、タッチ検知エリア2は、点線16(ベゼル10の内側境界を表している点線)によって境界付けられたエリアを含んでいる。第1送信トランスデューサー3aは、タッチ検知エリア2の外側に配置されており、弾性波を伝えるようにタッチスクリーン1の表面に連結されている。第1送信トランスデューサー3aによって、タッチスクリーン1の上端にて平行に伝搬するように(一般的にはタッチスクリーン1の面にて伝搬するように)弾性波信号が弾性波11aの形態で送られる。弾性波11aの伝搬経路には、一部反射弾性波要素4の第1直線状アレイ13aが配置されている。弾性波要素4の各々は、弾性波信号を(約90°の角度で)部分的に反射させて送信しており、タッチ検知エリア2を垂直に伝搬する複数の弾性波(例えば、5a,5bおよび5c)が生じることになる。反射要素4の間隔は、弾性波信号の減衰が補われるように、第1トランスミッター3aからの離れるほど変化している。反射要素4が一様に離隔している場合であっても、反射要素4の反射強度を変えることによって信号を均一化することができる。弾性波5a,5bおよび5cは、部分弾性反射要素4の第2直線状アレイ13bによって再度反射して、第1受信トランスデューサー6aの方向に向かって略90°(矢印11bで示される方向)方向を変える。そして、第1受信トランスデューサー6aによって弾性波5a、5bおよび5cが検知された後、電気信号に変換されてデータ処理される。このような構成と同様の構成は、タッチスクリーン1の左側エッジおよび右側エッジに沿うように設けられている。第2送信トランスデューサー3bは、右側エッジに沿うように弾性波12aを発生させる。弾性波反射要素4の第3直線状アレイ13cによって、弾性波12aは、タッチ検知エリア2を水平方向(X軸と平行)に横切って進行する複数の弾性波(例えば7a、7bおよび7c)にされる。弾性波7a、7bおよび7cは、弾性波反射要素4の第4直線状アレイ13dによって、受信トランスデューサー6bの方向(矢印12bの方向)へと向きを変えられる。そして、受信トランスデューサー6bでは弾性波7a、7bおよび7cが検知され、電気信号に変換されることになる。
タッチ検知エリア2では、指またはスタイラス等の物体によって参照番号8で示す位置がタッチされると、弾性波5bおよび7aのエネルギーの幾らかがタッチした物体によって吸収される。その結果、減衰が生じ、受信トランスデューサー6a、6bにおいて、弾性波信号の変動(または摂動)が検知される。マイクロプロセッサー(図示せず)を用いてデータの時間遅れを解析すると、タッチされた位置8の座標を決定することができる。図1のデバイスは、送信トランスデューサーおよび受信トランスデューサーと2種類のトランスデューサーを用いたタッチスクリーンとして機能し得る。
図1の点線で表されているハウジング9は、タッチスクリーン1と関連を有するものである。このハウジングは、例えば成形ポリマーまたはシート材料などの適当な材料から形成することができる。ハウジング9には、ベゼル10(図1ではベゼルの内側輪郭を点線16で表し、ベゼルの外側輪郭を点線17で示している)が含まれている。内側点線16によって、ハウジング9とタッチスクリーン1の外周部との重なりが表されている。ハウジング9によって、送信トランスデューサー、受信トランスデューサーおよび他の要素を外から見えないように隠すことができる一方、タッチ検知エリア2を露出させることができる。このような構成では、隠された要素が汚染および/または損傷から保護されることになる。また、美的外観が供されると共にユーザーのためのタッチ検知エリアが規定される。
タッチスクリーンは、ディスプレイ・パネル上に設けられた別個のフェースプレートを有し成る。フェースプレートは典型的にはガラスから形成されるものの、他のいずれの適当な基板を用いてもよい。ディスプレイ・パネルは、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマ・ディスプレイ、エレクトロルミネセント・ディスプレイ(または電子発光ディスプレイ)もしくは有機発光ダイオード・ディスプレイ(OLEDディスプレイ)であってよく、あるいは他の種類のディスプレイであってもよい。
図1に示すように、タッチ検知エリア2は、ボーダー領域15によって包囲されている。尚、このボーダー領域15には、反射要素4、送信トランスデューサー3aおよび受信トランスデューサー3bが配置されている。ボーダー領域15の幅が減少すると、タッチ検知エリア2が増加することになる。タッチスクリーン等の透明タッチセンサーを用いたタッチセンサー用途では、ボーダーの幅が特に重要となる。タッチセンサーのボーダー領域15がより狭いと、表示画像の周囲のボーダー部が狭い表示モニターに対してタッチセンサーを組み込むことができる。このような特徴は、モニター等のデバイスがしゃれたデザインを有し、機械的にコンパクトなデザインを有するものが一般的な傾向となってきている点を踏まえると、望ましいといえる。また、ボーダー領域15がより狭いタッチセンサーは、より容易に封止できるだけでなく、より軽量であり、より多くの検知エリアを有している。競合するタッチスクリーン技術(例えば弾性波タッチスクリーン技術、容量式タッチスクリーン技術、抵抗式タッチスクリーン技術および赤外式タッチスクリーン技術など)の中でも、弾性波タッチスクリーンは、より広いボーダーを有するといえる。
米国特許第6636201号(その内容は引用することによって本明細書に組み込まれる)に記載されているように、ボーダー領域に弾性波を集めるべく導波路を用いてタッチスクリーンのボーダー領域を減少させることは可能である。しかしながら、タッチセンサー基板のタッチ表面に導波路を設けなくても済むような別の解決策が望まれている。
上述のような理由から、非常に狭いボーダー領域を有することができる弾性波タッチセンサー設計が望まれている。
ある態様において、基板は、弾性波を伝搬させることができ、タッチ検知領域を有する第1面を含んでいる。第1側壁は、第1エッジに沿うように第1面と交差している。第1エッジは、それに沿って第1弾性波が伝搬するように構成されており、第1面は、タッチ検知領域を横切って第2弾性波が伝搬するように構成されている。波コンバーターは、第1弾性波を第2弾性波へと変換する。尚、第2弾性波は第1弾性波に基づくものである。場合によっては、波コンバーターは、コヒーレントに(または干渉作用で)散乱を引き起こす反射アレイであってよく、第1弾性波モードから第2弾性波モードへと変える。
別の態様では、タッチセンサー・システムは、一次元の第1弾性波を生じるトランスミッターを含んで成る。タッチセンサーは、弾性波を伝搬できる基板を有して成る。基板は、タッチ検知領域を有する第1面を含んでいる。第1側壁および第2側壁は、第1エッジおよび第2エッジに沿って第1面と交差している。第1エッジは、第1弾性波を伝搬するように構成されており、第1面は、第2弾性波がタッチ検知領域を横切って伝搬するように構成されている。基板上には、第1弾性波を第2弾性波へと変換する第1コンバーターが設けられている。また、基板には、タッチ検知領域の少なくとも一部を通ってきた第2弾性波を検知する検出器が設けられている。そのような第2弾性波の検出は、直接的な検出であってもよいし、または、間接的な検出であってもよい。
別の態様では、基板(弾性波が伝搬可能な基板)のタッチ検知領域でなされるタッチを検出する方法が供される。基板には、タッチ検知領域を有する第1面が含まれる。基板の第1側壁および第2側壁は、第1エッジおよび第2エッジに沿うように第1面と交差している。上記方法は、一次元の第1弾性波を第1側壁に沿って送信することを含んで成る。第1弾性波は第2弾性波に変換される。第2弾性波は、タッチ検知領域を通るように第1面を進行するものである。第2弾性波は、基板の第2側壁近傍で検出される。かかる第2弾性波の検出は、直接的な検出であってもよいし、または、間接的な検出であってもよい。
別の態様では、タッチセンサーは、弾性波を伝搬させることが可能な基板を有して成る。基板は、タッチ検知領域を有する第1面、および、第1エッジに沿うように第1面と交差する第1側壁を含んでいる。第1エッジは、それに沿って第1弾性波を伝搬させるように構成されており、第1面は、第2弾性波がタッチ検知領域を横切って伝搬するように構成されている。第2弾性波は第1弾性波に基づいている。タッチセンサーには、基板上に反射要素を有する反射アレイが設けられており、それによって、第1弾性波モードから第2弾性波モードへと変わったり、あるいは、第2弾性波モードから第1弾性波モードへと変わったりする。第1エッジには、湾曲した領域が形成されていてもよい。タッチ検知領域は、フラットな面、湾曲した面または半球状の面を有するものであってよい。基板は、4つのエッジに沿って第1面と交差する4つの側壁を更に有して成り、隣接する側壁と共にコーナーを形成している。各々のコーナーには、弾性波を生じたり受け取ったりするトランスデューサーが設けられていると共に、4つのエッジの各々の近傍には反射アレイが設けられている。弾性波を発生および受信する少なくとも2つのトランスデューサーを基板に設けてもよい。タッチされた場所が決定される2つの座標を有するタッチ検知領域で、タッチが行われる。タッチ検知領域のタッチの第1座標および第2座標をそれぞれ検知するための弾性波が発生および受信されたりするように、第1トランスデューサーおよび第2トランスデューサーを基板に設けることができる。場合によっては、少なくとも2つのトランスデューサーを基板に設け、そのうちの少なくとも1つのトランスデューサーを用いることによって、弾性波の発生および受信を行い、タッチ座標を検出する。タッチ検知領域の全体または一部において弾性波の発生および受信を行うトランスデューサーが基板に設けられる。別の態様では、実質的に欠陥のない第2側壁が、第2エッジに沿うように第1面と交差している。第2エッジは、第2側壁と第1面とで約90°の角度を成すように形成されている。第2エッジは、タッチ検知領域の少なくとも一部を横断した後の第2弾性波を反射させる。別法にて、1またはそれよりも多い反射ストリップが、第2エッジに隣接して形成されており、かかる反射ストリップが、第2弾性波の1/2波長の整数倍に相当する間隔を空けるように相互に離隔している。反射ストリップおよび第2エッジは、タッチ検知領域の少なくとも一部を通過した後の第2弾性波を反射させる。
別の態様では、タッチセンサーは、弾性波を伝搬させることが可能な基板を有して成る。基板には、タッチ検知領域、および、第1エッジに沿って第1面と交差している第1側壁が含まれる。第1エッジは、第1弾性波が第1エッジに沿って伝搬するように構成されている。第1面は、第2弾性波がタッチ検知領域を横切って伝搬するように構成されている。第2弾性波は第1弾性波に基づいている。一部反射要素(または部分的に弾性波を反射させる要素)を有して成る反射アレイは、第1エッジに隣接する基板上に形成されており、それによって、第1弾性波モードから第2弾性波モードへと変わったり、あるいは、第2弾性波モードから第1弾性波モードへと変わったりする。一部反射要素は、基板に対して材料を供して突出部を形成することによって形成する。あるいは、一部反射要素は、基板から材料を除いて溝を形成することによって形成する。一部反射要素は、相互に規則正しい間隔を空けて形成されており、第1側壁および第1面の少なくとも一方に沿って延在し得る。更に、一部反射要素は、第1弾性波の1波長未満の長さ分だけ第1エッジから離して設けられ得る。規則正しい間隔を空けて配置されている一部反射要素の第1セットは、第1弾性波の1波長の周期よりも大きいフーリエ成分を有すると共に、第1弾性波の1/2波長の周期よりも小さいフーリエ成分を有している。別法にて、反射アレイは、規則正しい間隔を空けて配置されている反射要素の第1セットおよび第2セットから構成されていてもよく、その場合、第2セットは、第1セットに対して第1弾性波の1/4波長シフトしており(またはずれており)、第1セットと第2セットとが相互に重ならないようになっている。一部反射要素は、第1弾性波の約1/2波長の長さの幅を有するように第1エッジに沿って形成されている。
別の態様では、タッチセンサーは、弾性波を伝搬させることが可能な基板を有して成る。基板には、タッチ検知領域を有する第1面、および、第1エッジに沿って第1面と交差している第1側壁が含まれている。第1エッジは、第1弾性波が第1エッジに沿って伝搬するように構成されている。第1面は、第2弾性波がタッチ検知領域を横切って伝搬するように構成されている。第2弾性波は第1弾性波に基づいている。タッチセンサーは、弾性波を送受信するトランスデューサー(圧電素子を有して成る)、および、第1弾性波モードと第2弾性波モードとの間を切り替える反射アレイを有して成る。トランスデューサーは、第1エッジに沿って配置された回折格子を有して成る。かかる回折格子は、第1エッジに隣接する第1側壁上に形成されているか、または、第1エッジに隣接する第1面上に形成されている。回折格子は、第1弾性波の1波長に略相当する間隔を空けて相互に離隔する一連の溝を有して成る。場合によっては、回折格子は、第1弾性波の1波長に略相当する間隔を空けて相互に離隔している一連の溝を基板に有して成る。別法にて、回折格子は、圧電素子に形成された一連の溝を有して成る。圧電素子は、圧力モードのピエゾまたは剪断モードのピエゾのいずれか一方であってよい。トランスデューサーは、圧電素子に結合したウエッジ要素(または楔形状要素、wedge element)を更に有して成るものであってもよい。ウエッジ要素は、第1側壁または第1面のいずれか一方に設けられており、ウエッジ要素に隣接した第1エッジに格子が配置されている。別法にて、ウエッジ要素は、第1面に平行な面に対して鋭角を成すように第1側壁に設けられており、基板にて規則正しい間隔を空けて相互に配置された溝を有して成る格子が、ウエッジ要素に隣接する第1エッジに形成されている。場合によっては、基板から材料を取り除いて、斜めの切欠部を形成してよく、圧電素子に結合したウエッジ要素がその切欠部に設けられてもよい。別の態様では、第2エッジに沿って第1面と交差している第2側壁であって、第1弾性波の伝搬方向に垂直な平面を成している第2側壁に、トランスデューサーが設けられている。第2側壁に設けられているトランスデューサーの圧電素子が、タッチ面に対して約45°のポーリング方向(または分極処理方向)を有していてよい。別の態様では、圧電素子は、正面側部および背面側部を更に有して成る。第1電極および第2電極が、圧電素子の正面側部および背面側部の一部または実質的に全部をカバーするように設けられており、それによって、第1電極と第2電極とがオーバーラップする圧電素子エリアには活性領域が形成される。別法にて、トランスデューサーは基板に結合されており、結合部分が、活性領域の一部に相当し、トランスデューサーが第1弾性波の1波長の二乗未満のエリア内に存在している。場合によっては、第1電極が正面側部の少なくとも一部をカバーするように設けられ、かつ、第2電極が正面側部または背面側部の少なくとも一部をカバーするように設けられており、圧電素子が励起されるように、正面側の第1電極および第2電極が第1電気接続部および第2電気接続部に取り付けられている。圧電素子は、正面側部と背面側部とが交差する第2エッジを有して成る。第2エッジは第1エッジに隣接しており、第1エッジに垂直な面を占めている。基板が設けられるように正面側または背面側が形成されており、圧電素子が、正面側および背面側に平行な面に垂直な方向に分極処理されている。第1電極および第2電極が第1エッジおよび第2エッジに形成されており、圧電素子が励起されるように、第1電極および第2電極が第1電気コンタクトおよび第2電気コンタクトに取り付けられるようになっている。別の態様では、圧電素子の少なくとも一部が第1面および側壁の少なくとも一方を越えて延在するように、圧電素子が基板に設けられている。別法にて、第1面および側壁の少なくとも一方を越えて延在する圧電素子の部分が、第1弾性波の1波長未満の長さとなっている。
上述した記載および以下で行う本発明の或る態様についての詳細な説明は、図面を参照することによって、より理解が深まるであろう。尚、本発明は、図面に示す構成および手段に制限されないことを理解されよう。
図1に示すような従来の反射アレイ13a〜13dは、約9〜26個の弾性波波長に相当する約5mm〜15mmの幅を有している(約5MHzの常套の周波数が約0.57mmの波長に相当すると仮定している)。より幅の狭い反射アレイは典型的にはより小さいスクリーンに用いられる。
弾性表面波では、二次元の面付近に弾性波エネルギーが集まっている。弾性表面波は、表面がフラットである場合には(表面が僅かに湾曲している場合であっても)表面から拡散することなく表面付近を伝搬するので、表面によって波がガイドされるといえる。一次元のエッジ弾性波は、弾性波の一種である。一次元のエッジ弾性波は、エッジ波、曲げエッジ波または線状弾性波(line acoustic wave)とも呼ばれるものである。エッジ波の波エネルギーは、表面のエッジ周辺に局在しており、エッジから法線方向に向かうにつれ指数関数的に減衰するものである。それゆえ、エネルギー・ベクトルは、エッジに沿って進行する。エッジ波は非分散波であり、それらの速度は、周波数からは独立している。タッチセンサーに非分散波を用いると、受信された信号の「タッチで加えられた摂動」が、弾性波の進行に起因して、単純な凹んだ形状からより複雑な振動形状へと歪むことがない点で有利である。
エッジ波エネルギーの大部分は、エッジを規定する90°コーナーから1波長分内側へと延在する領域までに存在する。エネルギーがエッジから指数関数的に減衰するので、エッジから2波長分を越える領域では実質的にエネルギーが存在していない。このことは、ガラスにて約5MHzの周波数を有するエッジ波に関して言えば、エッジから約1mmまでの領域内にエッジ波が閉じ込められていることを意味している。また、2mm厚さのガラス・プレートでは、エッジ波は、側壁の上方エッジに沿って伝搬することになる(2mm厚さ離れた側壁の底部エッジの影響を受けない)。エッジ波エネルギーがエッジから約1mmまでの領域内に拘束されているので、エッジ波技術を用いると、非常に狭い機能的なボーダーを備えたタッチセンサーを作製することができる。それゆえ、エッジ波を組み込んだタッチセンサーのハウジングでは、ベゼル領域をより狭くすることができ、タッチセンサーのタッチ検知領域を増加させることができる。
図2は、本発明の態様に従ってタッチ面24および側壁32を有するタッチセンサー基板20を示している。基板20の形成には、ガラス、セラミックおよび金属(例えばアルミニウムまたはスチール)等のいずれの適当な材料を用いてもよい。ある用途では、弾性波の損失が少ないガラスが望ましくなる。例えば、ホウケイ酸ガラスは、損失が少なく、受信された信号振幅が増加し得るので、タッチセンサー・エリアをより大きくすることが可能となる。
タッチ面24に相当する面と側壁32の各々に相当する面との交差部分にて、クリーンなエッジ22が基板20に形成されている。クリーンなエッジ22は実質的に欠陥のないように又は無きずで(free of defect)形成されている。つまり、欠けあと(chip)、筋状部(striation)、凹み、不均一領域など、クリーンなエッジ22におけるデビエーション部(またはズレをもたらす部分、deviation)は、弾性波波長よりも短い寸法を有している。一定の周波数では、エッジ波の波長は、よく知られたレイリー波の波長よりもわずか数%短いものである。それゆえ、レイリー波の波長を既知の明確な測定値として用いると、欠陥がレイリー波の波長の20%未満となることが好ましいといえる。
クリーンなエッジ22は、基板20の形成に用いる材料に適した方法で形成することができる。例えば、ガラスを切断および機械加工してクリーンなエッジ22を得ることができる。別法にて、例えば局所的なレーザー加熱法およびガス噴射による冷却法を用いた熱応力で割れ目(または裂け目、fracture)を制御して更に進行させることによって、クリーンなエッジ22を形成してもよい。場合によっては、慎重に実施できるのであれば、ガラスをけがき折断してよく、それによって、けがき折断された面の反対側にクリーンなエッジ22を形成することができる。
側壁32がタッチ面24と当接する箇所に形成される角度42および角度44は90°であるか、あるいは20°〜90°となっており、側壁32がタッチ面24に対して垂直または実質的に垂直となっている。例えば、エッジ22の有する角度42および角度44が90°よりも相当に小さくなると、種々の速度の多数のエッジ波モードが存在することになる。一方、エッジ22が90°+/−10°の角度42および角度44を有する場合では、エッジ22が単一のエッジ波モードのみをサポートすることになる。これは、エッジ22に沿って伝搬するエッジ波としてモードが混在する可能性が排除されることになるので望ましい。
基板20の対向するエッジ26は、基板20の第2面28に相当する面と側壁32の各々に相当する面との交差部分にも形成されている。第2面28をタッチ面として利用しないのであれば、かかる対向するエッジ26はクリーンである必要はない。タッチ面が1つであることが望ましい場合には、1つの面に隣接するエッジのみをクリーンなエッジにすればよいので、製造時間または製造コストを最小限にすることができる。
図30は、本発明の態様に従って基板20の約90°エッジ22に沿うように伝搬するエッジ波パケット580を示している。図30に示すように、エッジ波はX方向に進行している。エッジ波が通過する際に生じる材料の運動の主な成分(即ち、基板20内の原子の動き)は、伝搬方向Xに垂直であって、かつ、Y方向およびZ方向の双方から45°ずれた方向の成分である。分かりやすくするために、図30では材料の偏向状態を強調して示している。エッジ波ポケット580のエネルギーの大部分は、タッチ面24および側壁32の沿いって存在しており、90°エッジ22からエッジ波の一波長分内側へと延在する領域内に含まれている。
図3は、本発明の態様に従って、エッジ22に沿って伝搬するエッジ波に対して摂動が加えられるように構成された一部反射アレイ30を示している。トランスデューサー(図示せず)は、電気信号と弾性波との間の変換を行うために用いられる(以下にて更に説明する)。タッチセンサー・システムでは、一般的に、弾性波信号が発生および/または受信されるように、コントローラーとトランスデューサーとの間で電気信号が伝えられる。
エッジ22に沿って伝搬するエッジ波に摂動が加えられるように、反射アレイ30は、クリーンなエッジ22に隣接するように相互に間隔を空けて配置された反射要素34を有して成る。第1波の一次元のエッジ波は、エッジ22に沿うように発生して伝搬するが、エッジ22から1波長分だけ内側へと延在する領域にて伝搬する。エッジ波を、基板20のタッチ面24を横切るように伝搬する第2弾性波または二次元の表面弾性波(SAW)に変換するために、反射アレイ30が用いられ得る。第2弾性波は、二次元タッチ面に十分なタッチ密度をもたらす波であれば何れの波であってもよく、例えば、レイリー波(「レイリー波」という用語は「擬似レイリー波」も含めた意味で用いている)および板波(例えばラム波および剪断波)などの表面束縛波であってよい。図3の反射要素34は、エッジ22に沿って相互に規則正しく(周期的に)間隔を空けて配置されており、Y軸(図3には図示せず)に沿って基板20の側壁32の沿うように延在し得るものである。以下で説明することであるが、反射要素34は、基板に材料を付着させたり又は基板20の一部を除去したりすることによって形成することができる。
エッジ波は、エッジ22に沿って進行し、反射要素34の各々に到達する。エッジ波の一部は、隣の反射要素34へと伝わったり、反射要素34によって吸収されたり散乱されたりする。エッジ波は、反射要素34によって、表面24に束縛(または拘束)されたレイリー波へと変換されるが、その際、90°向きを変えて散乱し、また、一次元エッジ波モードから二次元レイリー表面弾性波(SAW)モードへと変わることになる。
図4は、本発明の態様に従って形成された図3の反射要素34のサブセット36を拡大した図である。反射要素34は、突出した反射要素86として表されている。反射要素86は、エッジ22に沿って伝搬するエッジ波の波長(λE)に略相当する距離48を有するように相互に離隔している。それゆえ、反射要素86によってモード変換されて得られる表面レイリー波は、相互に同期することになる。具体例を挙げると、反射要素86は、約λE/2のX軸方向の幅40、約λE以下のY軸方向の高さ38、約λEよりもかなり短い(例えばλEの数%未満の長さ)Z軸方向の深さ46を有した矩形状であってよい。例えば、反射要素86の深さ46の寸法は、Z軸方向に沿って側壁32の外面から外側へと延在している。反射要素86の上部エッジ80は、エッジ22と同一の高さとなるように形成されているか、または、エッジ22から距離82以内となるように形成されている。
反射要素86は、適当な材料で形成することができる。例えば、焼成セラミック(例えば、ガラス・フリット)を用いることができる。別法にて、反射要素86は、米国特許第5883457号に記載されているようなポリマー含有UV硬化インクを含んで成るものであってもよい。尚、米国特許第5883457号の開示内容は引用することにより本明細書に組み込まれる。有用なポリマー含有UV硬化インクの一例としては、無機粒子を含んだものが挙げられる(無機粒子を含んでいるものの、ポリマー・マトリックスに起因して基板20よりも軟らかい)。そのようなポリマー含有インクを含んで成る反射要素86では、ほんのわずかな剛性摂動(stiffness perturbation)がもたらされ、主として質量負荷または慣性効果に起因して結合が行われる。適当な方法、例えば、スクリーン印刷、パッド印刷、インクジェット法およびマイクロディスペンス法等の付着法によって、反射要素86を基板20上に形成することができる。
図5は、本発明の態様に従って形成された図3の別の態様の反射要素34のサブセット36の拡大図を示している。図5では、反射要素34が溝形状の反射要素88として表されている。反射要素88は、側壁32に沿って形成されている。かかる反射要素88は、溝またはノッチが形成されるように、基板20の領域を少し除去して形成され得る。上述したように、反射要素88は、エッジ22に沿って進行するエッジ波(λE)の波長に略相当する距離48だけ相互に離隔して周期的に配置されている。反射要素88の形状は種々に考えられる。例えば、反射要素88の形状は、約λE/2のX軸方向の幅40、約λE以下のY軸方向の高さ38、約λEよりもかなり短い(例えばλEの数%未満の長さ)Z軸方向の深さ84を有した矩形状であってよい。反射要素88の深さ84の寸法は、Z軸方向に側壁32の外面から内側へと延在している。
図4に関連して説明したUV硬化インク等の材料から成る突出型反射要素86(ほんのわずかな剛性摂動がもたらされ、質量負荷または慣性効果に主に起因して結合が行われる反射要素)と比べて、溝型反射要素88は、基板剛性の点で摂動としてのエッジ波により結合する。反射要素88には、軟らかい充填ポリマーなどの他の材料を充填してもよく、それによって、反射要素88の重量負荷特性および剛性摂動特性を調整することができる。
図6は、本発明の態様に従ってタッチ面24に形成された反射要素34を示している。反射要素34は、エッジ22に沿って進行するエッジ波の波長(λE)に略相当する距離48だけ相互に離隔するように周期的に配置されている。反射要素34は、約λE/2のX軸方向の幅40、約λE以下のZ軸方向の高さ38、Y軸方向の深さ(図示せず)を有している。上述したように、反射要素34が付加的な材料から形成されている場合には、深さ寸法がタッチ面24の外面から外側に延在することになり、その一方、反射要素34が基板20から材料を除去することによって形成されている場合には、深さ寸法がタッチ面24の外面から内側に延在することになる。場合によっては、反射要素34は、例えば図3の反射要素34と図6の反射要素34とを組み合わせることによって、タッチ面24と側面32との双方に形成してもよい。
エッジ22から1波長分以上離れるとエッジ波密度が略ゼロに近いので、1波長分以上離れた箇所では実質的にエッジ波への結合はない。その一方、タッチ面24または側面32のエッジ22から1波長分以内の領域における摂動は、エッジ波エネルギーを分散させることになる。それゆえ、反射要素34の特性(例えば、重量負荷、剛性摂動など)、幾何学的形状および位置を調整することによって、エッジ波と種々の他の弾性波モード(例えば、レイリー波、ラム波、剪断波)との間の相対的な結合力を調整することができる。
エッジ波とレイリー波との結合は興味深い事項である。タッチ検知性が高く、分散がないので、レイリー波は、タッチを検知する弾性波モードとして魅力的である。更に、レイリー波の深さプロファイルとエッジ波の深さプロファイルとは非常に似ているので、エッジ波は、他の波モードに結合するよりも容易にレイリー波へと強く優先的に結合することになる。数値シミュレーションを用いて、摂動を最適に設計することによって、レイリー波または他のタッチ検知弾性波モードに結合するエッジ波を最適化することができる。
反射要素34の望ましい性質は、所望のタッチ検知を行う弾性波モードに一部依存している。個々の反射要素34は、入射エッジ波エネルギーの一部のみを反射するものであり、それゆえ、図5の溝型反射要素88の場合では、基板20の内側方向の深さ84は、一般的にλEよりも相当に小さく(例えば、波長の数%のオーダーまたは数ミクロンである)、弾性波損失と変換効率(一次元エッジ波と二次元表面弾性波との間の変換効率)との間のトレードオフを所望のものとすることができる。
エッジ波が、エッジ22に対して垂直ではなく対角線方向にタッチ面24を横切って進行するレイリー波へと結合されるように、反射アレイ30を設計することができる。反射要素34間の相互の距離48を調整して、反射角を調整することができる。Sが距離48であって、θがエッジ22の法線に対してレイリー波の進行方向が成す角度である場合には、角度θにおけるコヒーレント散乱の条件は、以下の式で表される:
S sin (θ)=S(λR/λE)−nλR
尚、nは整数、λRはレイリー波の波長、λEはエッジ波の波長である。
S sin (θ)=S(λR/λE)−nλR
尚、nは整数、λRはレイリー波の波長、λEはエッジ波の波長である。
図7は、本発明の態様に従って規則正しい間隔で離隔した反射要素34を備えたタッチスクリーン128を示している。簡略化すべく、反射要素34は、4つのエッジ22の2つのエッジにしか示していない。即ち、送信反射要素アレイ176および受信反射要素アレイ178が示されている。反射要素34は、図3〜6で説明したように形成され得る反射要素である。反射要素34は、エッジ22に沿って伝搬するエッジ波の波長(λE)に略相当する距離48を有するように相互に周期的に間隔を空けて配置されている。
矢印164,174および166は、送信トランスデューサー162から受信トランスデューサー168までの所望の弾性波経路を示している。また、図7には、受信トランスデューサー168にて干渉信号がもたらされる望ましくない弾性波経路も示されている。望ましくない弾性波経路は、反射アレイ176および178に起因してエッジ波が180°向きを変えて逆方向に散乱することによって生じるものである。SAWをエッジ波へと90°方向を変えて散乱させるのに必要な波長間隔で規則正しく離隔している反射要素34のアレイに起因して、エッジ波が逆方向に180°散乱する場合がある。
第1エッジ波は、矢印164の方向にてエッジ22に沿うように送信トランスデューサー162によって伝搬する。エッジ波は、送信反射要素アレイ176の反射要素34によって、矢印174の方向にタッチ面24を横切るように進行するSAW波へと変換される。送信トランスデューサーからのエッジ波エネルギーの幾らかは、矢印184に示すエッジ22に沿って伝搬し続けることになる。反射要素34がエッジ波を逆方向に180°散乱させる場合、望ましくないエッジ波が矢印185の方向に生じることになる。このような望ましくないエッジ波もまた散乱し得、90°向きを変えるので、望ましくない遅延がレイリー波(矢印174)にもたらされ、結果的に、受信トランスデューサー168で寄生干渉信号がもたらされてしまう。
更に、受信反射要素アレイ178では、エッジ波が180°向きを変えて逆方向に散乱することに起因して、望ましくない寄生が生じる。所望のSAW波(矢印174)は、受信反射要素アレイ178の規則正しく離隔した反射要素34によって2つのエッジ波へと変換される。それゆえ、受信トランスデューサー168に向かって矢印166の方向に進行する第2エッジ波および矢印186の方向に進行する望ましくない寄生エッジ波が生じる。そして、寄生エッジ波は、矢印187に示すように反射要素34によって受信トランスデューサー168に向かって180°逆方向に散乱され得る。図7に示すような寄生経路の振幅を最小限にするために、エッジ波の逆方向180°の散乱が最小限となるような反射要素34の設計が望ましい。
図8は、本発明の態様に従ってエッジ波の逆反射を最小限にする反射アレイ設計150を示している。かかる設計は、図7の要素176および178等の送信アレイおよび受信アレイの双方に適用することができる。第1反射要素152および第2反射要素154は、基板のタッチ面24に示されているものの、タッチ面24に加えて又はタッチ面24に代えて、側壁32に第1反射要素152および第2反射要素154を形成してもよい。更に、第1反射要素152および第2反射要素154を溝形状または突出形状に形成してもよい。第1反射要素152は、エッジ波の1波長に相当する距離を有するように相互に間隔を空けて配置されている。第2反射要素154は、エッジ波の1/4の波長に実質的に相当する距離182の分だけ第1反射要素152からずらして配置されている。第1反射要素152および第2反射要素154の幅は、1/4波長未満の幅、1/4波長に相当する幅、1/4波長よりも大きい幅(この場合、反射要素152および反射要素154が部分的または全体的に相互に重なっている)となっている。
換言すれば、反射アレイ設計150では、エッジ波の逆方向への180°反射を抑えることを考慮せずに、第1反射要素152をまず設計することによって形成できる。次いで、第1反射要素152を1/4波長分ずらすことによって、第2反射要素154を形成する。次いで、第2反射要素154を第1反射要素152の上に重ねる。
エッジ波が矢印156の方向にエッジ22に沿って伝搬する際、SAWエッジ波158および反射波170が第1反射体152に起因して形成される。SAW波160および反射波172は第2反射体154に起因して形成される。それゆえ、2つのSAW波がエッジ波の伝搬方向に対して90°に形成され、2つの反射波がエッジ波の伝搬方向に対して180°向きを変えた方向に形成される。
反射波170および反射波172は、それらの一方の経路が他方の経路に対して1/2波長分長くなっているので、反射波170と反射波172とは相互に位相が180°ずれることになり、180°逆反射が相殺又は最小化される。SAW波158とSAW波160との間には1/4波長分の遅れがあるので、SAW波158とSAW波160との間には90°の位相のずれが生じ、そのため、散乱振幅が相殺されることがない。換言すれば、エッジ22に沿う隣接する第1反射要素と第2反射要素154との間の距離を、1/4波長と3/4波長と交互にすることによって、90°エッジ−SAW結合を抑制せずに180°逆方向散乱を抑制できる。
例えば、座標xを図8に示すようなエッジ22に沿った距離とし、P(x)を反射体152の散乱強度の周期的な変化とする場合、P(x)は、フーリエ変換することによってP(x)=ΣPn*exp(i(2πn/λ)x)と表すことができる。以下では、フーリエ係数Pnの観点から180°逆反射を最小限にする条件について考察する。かかる考察は、反射体152の強度がトランスデューサーから離れるにつれて徐々に増加するケース(信号の均等化に望ましいと考えられるケース)として一般化することができる。この場合、r(x)をxの関数として重み付けたゆっくりと変化する反射強度とし、R(x)=r(x)*P(x)、P(x)は周期関数とすると、P(x)=P(x+λ)となり、各溝の詳細な形状が規定される。
SAWがエッジ波へと90°向きを変えて散乱される(矢印158および160の方向に散乱される)ことは、溝形状のフーリエ級数のn=±1の項に起因する一方、エッジ波が180°向きを変えて逆方向に散乱されること(矢印170および172の方向への散乱)は、フーリエ級数のn=±2の項に起因している。フーリエ級数のn=±2の項が除かれていると、矢印170および172の方向の望ましくないエッジ波の逆散乱が排除され得る。
フーリエ級数のn=±2の項を除く方法の1つは、SAWとエッジ波とを望ましく結合するゼロでない必須なn=±1要素を有する任意の周期関数P(x)で開始し、1/4波長分パターンをずらし、そして、それを元のパターンP(x)に重ね合わせることであるP(x)→P’(x)={P(x)+P(x+λ/4)}。またはフーリエ要素Pnに関してn=±1ではなくn=±2に対してP’n=0となるようにPn→P’n=(1+in)Pnとなるようにする。
図4および図5を参照して説明すると、反射要素86および反射要素88は、1/2波長に相当する幅を有しており、相互に1波長分だけ離隔している。これは、図8のケースに相当する(図8では、第1反射要素152および第2反射要素154の各々が1/4波長分の幅を有しており、相互に1波長分だけ離隔している)。第1反射要素152を繰り返し設ける際、1/4波長分ずらして重ね合わせると、1/2波長の幅40を有し、相互に1波長分離隔する一連の反射要素86または88を得ることができる。
エッジ22に沿って伝搬する弾性波のエッジ波へと電気信号を変換するのにトランスデューサーを用いてもよい。トランスデューサー・アッセンブリの一例として、格子要素と組み合わせた圧電素子を挙げることができる。そのようなトランスデューサー・アッセンブリでは、圧電素子と媒体(生じた弾性波モードが伝搬することになる基板20など)との間に格子要素が配置されている。格子要素は、トランスデューサーからの弾性波エネルギーを基板20上の弾性波へと結合する回折要素として機能する。
図9は、本発明の態様に従って基板20のエッジ22に沿って規則正しく離隔した一連の溝52を有して成る格子50を示している。溝50は、例えば、機械加工、エッチング、レーザーアブレーション、研磨、パターンニングおよび成形法などの適当な機械的な手法を用いることによって、基板20に形成することができる。
図10は、本発明の態様に従って設けられた格子50の拡大図を示している。溝52のY軸方向の高さ54は、エッジ波λEの波長と略等しいか又はその波長未満となっている。Z軸方向の溝52の深さ58は、エッジ波λEの波長と略等しいか又はその波長よりも相当に小さくなっている。溝52は、エッジ波λEの波長に略相当する間隔74を空けて相互に離隔している。X軸方向の溝52の幅56は、エッジ波の略1/2波長の長さ又はλE/2となっている。格子50の設計は、図5に示すような溝形状の反射要素88から成る反射体アレイの設計と共通しており、双方ともエッジ波にコヒーレント結合する機能を有している。主たる相違は、結合の強さである。効率的なトランスデューサーの設計のために、格子50では、エッジ波のエネルギーの多くを格子50の短手方向に励起または抽出しなければならない一方、図3の反射アレイ30は、エッジ波とエッジ22の大部分を横切るようなレイリー波との間の結合を拡げる機能を有している。そのため、典型的には格子50の深さ58は、図5の深さ84よりも相当に深くなっている。
図11は、本発明の態様に従って、ラップアラウンド電極を有する圧電素子90を示している。かかる圧電素子90は、回折格子と組合せて用いることによって、トランスデューサーを構成し得る。第1電極64は、圧電素子90の正面側66の下方領域65に存在しており、圧電素子90の底側76の周囲から圧電素子90の裏面側70までを包囲している。第1電極64および第2電極72には、銀フリット、印刷用ニッケルまたは他の導電性材料が含まれていてもよい。
圧電素子90および電極64,65を有して成るアッセンブリは、ピエゾ60とも呼ばれる。圧電素子90は、圧力モードの圧電素子である。PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)は、圧電素子の形成に一般に用いられる材料であるものの、PVDFポリマーおよび鉛フリーセラミックも用いることができる。ピエゾ60の活性領域の高さは、エッジ波の垂直プロファイルに適合するようになっており、即ち、ピエゾ60の活性領域の高さは、λEに略等しいか又はλE未満となっている。電極72および電極64に電圧が印加されると電極72と電極64との間に挟まれた圧電材料が機械的に励起することになるので、ピエゾ60の活性領域は電極72のジオメトリー(または幾何図形的外形もしくは形状寸法)によって決められるものである。ハンドリングを容易にするべく、ピエゾ寸法62が活性領域よりも大きくなっており、エッジ波波長λEよりも相当に大きいことが好ましい。
図12は、本発明の態様に従って形成された図11の第1電極64および第2電極72に加えられる交流電気信号96を示している。ラップアラウンド型の第1電極64および第2電極のジオメトリーによって、ピエゾ60の上方領域73を電気的に活性化させることができる。
圧電素子90は、典型的には、動作周波数にて圧電材料で生じる弾性波の1/2波長に相当する厚さ78を有している(分かり易くするために図12では電極64および72の厚さを強調して示している)。約5MHzで機能する圧力モードのピエゾ60では、厚さ78は典型的には約400μmである。第1電極64および第2電極72に対する電気接続は、例えばバネ接点、半田、導電性エポキシ(例えば銀含有のエポキシ)または方向性のある導電率を有した導電性接着剤(例えば、電極64および電極72の面に対して垂直な方向のZ軸方向に大きい導電率を有する接着剤)等を用いて適当な方法で行うことができる。接続方法を決める際には、低抵抗接合、低い電磁的干渉および感度、高い信頼性、ならびに低コストなどが考慮される。
図13は、本発明の態様に従って基板20の側壁32に結合しているピエゾ60を示している。4つのピエゾ60は、4つの異なるエッジ22に沿うように4つの異なる位置にそれぞれ結合している。
図14は、本発明の態様に従って基板20の側壁32の格子50に結合しているピエゾ60を有して成るエッジ波トランスデューサーを示している。図13および図14に示すように、ピエゾ60は、格子50の溝52に結合しており、電気的に活性な上方領域73が溝52と重なるようになっている。ピエゾ60を格子50に対して結合させる際に接着剤を用いてもよい。その場合、接着剤によって溝52が充填または部分的に充填されるように接着剤を用いることができる。接着剤の機械的性質は、ピエゾ60の運動が溝52の領域の基板20の側壁32から大きく減結合するように(またはピエゾ60の運動が溝52の領域の基板20の側壁32と非干渉となるように)選択することができる。別法にて、ピエゾ60と溝52との間の弾性波結合が強くなるように格子50を設計してもよい。使用目的によっては、ピエゾ60から基板20へと進行する圧力波の速度が溝52の底部にて遅くなるように溝52に接着剤を用いることが望ましく、それによって、溝52内でのエッジ内へのピエゾ振動結合が、溝52の相互間の結合に対して約180°位相がシフトする(またはずれる)ことになる。このように、溝52内におけるピエゾ振動への結合が、溝52の相互の間の結合に対して干渉作用を及ぼすように加えられるので、エッジ波が生じることになる。
格子を基板20の側壁32に形成する代わりに、別法にて、格子(図示せず)をピエゾ60の側部に形成してもよい。この場合、基板20に格子50を形成しなくてもよくなる。格子がピエゾ60の側部に形成されていると、ピエゾ60の格子側を基板20へと結合することによって、ピエゾ60によって生じる弾性波とエッジ波との間に結合機構が形成される。更に、エッジ(例えば、タッチ面24と側壁32との交差部分によって形成されるエッジ22)を形成する2つの面の間でエッジ波が対称となっているので、エッジ波トランスデューサー98を基板20のタッチ面24に設けてもよい。別法にて、エッジ波トランスデューサー98を側壁32およびタッチ面24の双方に形成してもよい。
図15は、本発明の態様に従って剪断モードの圧電素子(剪断モードのピエゾ)120が組み込まれたエッジ波トランスデューサーの設計100を示している。剪断モードのピエゾ120は、正面側部138、背面側部184および第1側部〜第4側部188,190,192,194を有する圧電材料118を含んで成る。第1電極122は、圧電材料118の正面側部138の三角形状領域136に存在している。第2電極124は、圧電材料118の正面側138の底側の三角形状領域196に存在すると共に、底側148から圧電材料118の背面側部184までを包み込んでいる。
剪断モードのピエゾ120は、基板20の側壁32に結合すると共に、タッチ面24に当接している。剪断モードのピエゾ120は、領域136に相当する上左側コーナーにて電気的に活性を有し、X軸およびY軸に対して約45°の角度(両端矢印127によって示されるような角度)の分極または分極成分を有しており、運動が引き起こされることになる。そして、剪断モードのピエゾ120の剪断運動が、矢印126に示すようなZ方向に伝搬するエッジ波に結合する。剪断モードのピエゾ120はエッジ波を直接的に励起させており、要素50などの格子構造が必要ないことに留意されたい。
図16は、本発明の態様の別のピエゾ200を示している。正面側電極204は、圧電素子202の正面側部208の上方領域206に存在している。裏面側電極210は、圧電素子202の正面側部208の下方領域212に存在すると共に、底側部214から圧電素子の背面側部216までを包み込んでいる。裏面側電極210は、背面側部216に延在しており、圧電素子202の上方領域206の活性領域218のみを被うように設けられている。
第1電気接続部220は、半田付け法、ワイヤーボンディング法または他の相互接続法によって、正面側電極204と相互に接続されている。第2電気接続部222は、背面側電極210と相互に接続されている。ピエゾ200のサイズは、活性領域218よりも大きくなっている。そのため、活性領域218のサイズおよび形状を制限してエネルギーの多くが散乱することを防止しつつも、第1電気接続部220と正面側電極204との接続および第2電気接続部222と裏面側電極210との接続をし易くして製造できる。活性領域218のサイズは、例えば、エッジ波の波長の二乗の1/10のオーダー(即ち約0.1×λE 2)である。波長と動作周波数とは逆比例の関係にあるので、ピエゾ200がより高い動作周波数に対して設計されている場合では活性エリア218は減少する傾向がある。図16は、活性エリア218が正方形の例を示している。活性エリア218の他の形状は、電極204,210を適用な形状して所望のオーバーラップ・ジオメトリー(または重なり合ったジオメトリー)とする場合に可能である。
図15および図16に示すピエゾでは、基板20の励起が、伝搬するエッジ波の断面領域に相当する小さい領域に制限されている。このようなピエゾでは、圧電の励起が、所望のエッジ波断面領域に限定されている。代替的な手法は、ピエゾ200と基板20との間の機械的な結合を、伝搬するエッジ波の小さい断面領域に制限するものの、より大きいピエゾ領域(例えばより大きい活性エリア218を形成することによって得られるピエゾ領域)を圧電効果を得るべく励起させる手法である。
図17は、本発明の態様に従って圧電素子246の両側に正面側電極226および裏面側電極228を有するピエゾ224を示している。正面側電極226および裏面側電極228は、それぞれ圧電素子246の正面側254および背面側256を実質的に被っている。図15および図16のピエゾでは、ピエゾ224の剪断モードが45°の方向に剪断運動を有することになるように、分極処理(またはポーリング)が施されている。このようなピエゾ224が基板20のコーナーに結合している場合では、基板20への機械的な結合を強くするためにエポキシなどの硬い接着剤を所望の活性領域に用いることができ、その一方、空気ギャップまたはシリコーンゴム(RTV)などの弱い剪断結合材料を他の場所に用いることができる。同一の面にて正面側電極226および背面側電極228の双方が電気的に接続されることが望ましい場合、図18に示すようにラップアラウンド型電極を用いてもよい。
図18は、図17に示すピエゾと同様のピエゾであるものの、別の態様を有したピエゾ230を示している。正面側電極232は、圧電素子236の正面側に存在している。背面側電極238は、圧電素子236の正面側234のコーナー領域240に存在すると共に、圧電素子236の側部232の一部から背面側244までを包み込んでいる。背面側電極238は、圧電素子236を被うように背面側244にて延在しており、正面側電極232と背面側電極238とがオーバーラップするような活性領域を形成している。ピエゾ230では、ピエゾ230の略全面が圧電効果を有するように活性化されている。ピエゾ230と基板20との間の結合を適当に設計および形成すると、基板20に対する弾性波の結合を、エッジ波の発生および受信に望ましい領域に限定することができる。
図19は、本発明の態様に従って、基板20の側壁32に設けられたウエッジ・トランスデューサー・アッセンブリ(または楔形状トランスデューサー・アッセンブリ)を示している。圧電素子250は、ウエッジ252側面の1つに設けられている。ウエッジ252の対側は、基板20の側壁32に設けられている。側壁32の垂直面に対するピエゾ要素250の傾きが、ウエッジの角度248を規定している。ピエゾ250によって励起され、ウエッジ252を伝搬するバルク圧力波が、それに対して垂直に伝搬する基板20の側壁32のレイリー波と結合できるように、ウエッジの角度248が制御されている。
励起されると、圧電素子250は、ウエッジ252にてバルク波を形成する。表面弾性レイリー波(SAW)が形成されるが、図19の矢印132に示すように側壁32に沿って伝搬する。すなわち、表面弾性レイリー波は、エッジ22に垂直な方向に伝搬する。レイリー波は、格子要素52を有する格子50と相互作用することになる。上述したように、格子要素52は、エッジ波の波長λEに略等しいか又はその波長λE未満のY軸方向の高さ54を有し、波長λEに略相当する間隔を空けて相互に離隔して配置されている。格子50は、二次元の表面波(レイリー波)を一次元のエッジ波に結合することができるので、矢印134で示すようにエッジ22に沿うようなエッジ波が形成されることになる。
図19に示すようなトランスデューサー設計では、ウエッジ・トランスデューサー・アッセンブリ130の送信と受信とを行う間では、寄生SAW経路が形成され得る。例えば、ウエッジ・トランスデューサー・アッセンブリ130によって形成される第1SAWの寄生成分は、側壁32を上方へと伝搬した後、検知面24を横切るように伝搬し、そして、反対側の側壁32に設けられた受信用のウエッジ・トランスデューサーへと伝搬し得る。このような寄生経路は、ウエッジ・トランスデューサー・アッセンブリ130をエッジ22に対して傾けることによって遮断する(または妨げる)ことができる。
図20は、本発明の態様に従ってエッジ22に対して傾けて設けたウエッジ・トランスデューサー・アッセンブリ130を示している。かかるアッセンブリ130では、ウエッジ・トランスデューサー・アッセンブリ130によって形成されたレイリー波とエッジ22とが交差する角度は90°となっていない。角度φにて形成されたSAWの間を結合する格子50の溝52間の間隔sは、次の関係式によって表される:
1=s/λE+s*sin(φ)/λR
1=s/λE+s*sin(φ)/λR
図21は、本発明の態様に従って基板20に設けられたウエッジ・トランスデューサー・アッセンブリ130を示している。タッチ面24に対向する面28の基板20の一部を除去することによって、2つの側壁32が交差する面付近のコーナーにおいて斜めの切欠部140が形成されている。ウエッジ142および圧電素子144を含んだウエッジ・トランスデューサー・アッセンブリ130は、切欠部140に設けることができる。そのため、ウエッジ・トランスデューサー・アッセンブリ130が、側壁32または基板面24,26の面から突出していない。
図22は、本発明の態様に従って形成された別のピエゾ260を示している。ピエゾ260は、ノッチが形成されたコーナー264を有する圧電素子262を有して成る。ノッチが形成されたコーナー(またはノッチ付きコーナー)264は、圧電素子262の第1エッジ268および第2エッジ270によって形成された面に対して約45°の角度266を有するように形成され得る。
例えば、5.5MHzの場合では、圧電素子262の深さ272は、Z軸方向に約200ミクロンであってよい。より一般的には、動作周波数で剪断モード共振がもたらされるように深さ272が選択される。即ち、深さ272は、圧電素子262の材料でのバルク剪断波の波長の1/2に略等しくなっている。圧電素子262のX軸方向の幅274およびY軸方向の高さ276は、各々2mmであってよい。第1電極278および第2電極280は、それぞれ第1側壁268および第2側壁270に形成され得る。分極処理は、Z軸方向に行われる。
図23は、本発明の態様に従って基板20に設けられたピエゾ260を示している。ピエゾ260は、図15に示す剪断モードのピエゾ120と同様に設けられている。ピエゾ260は、そのノッチ付きコーナー264が図23に示すようにエッジ22と面一となるように基板20に設けることができる。別法にて、ピエゾの側面268および270が、基板20の面と面一になるようにしてもよい。
ピエゾの側面268,270がタッチ面24および側壁32から出っ張るような突出部が形成されるようにピエゾ260を設けると、より大きい効率を得ることができる。突出量、または、タッチ面24および側壁32からピエゾ側面268,270までの距離は、エッジ波の波長以下となり得る。図15,図16および図18のピエゾ設計に基づくトランスデューサーおよび図14のトランスデューサーに対しても同様に突出部を適用することができる。
図22を参照して説明すると、ワイヤー282,284を、上述したように、第1電極278および第2電極280に取り付けてもよい。交流電気信号286によって励起させると、運動または剪断モード振動が、矢印288〜294で表されるように圧電素子262内で生じることになる。圧電素子262内における振動強度は、ノッチ付きコーナー264に近くになるにつれ(矢印288で示される)より大きくなる。その一方、ノッチ付きコーナー264から離れるにつれ、振動強度および剪断波の振幅が制御されるように減少する。
基本的なエッジ波の励起機構は、図15の剪断モードのピエゾ120と図23のピエゾ260とは同じである。図22,図23のピエゾ260の利点は、ノッチ264のジオメトリーの設計および基板20に対して行うピエゾ260の配置を適当に行うことによって、圧電励起パターンをエッジ波運動の断面プロファイルに合わせることができる。これによって、他のモードへと結合する寄生に対する、所望のエッジ波モードへと結合するピエゾの割合を最大限にすることができる。
エッジ波の断面は非常に小さいので、ピエゾ(例えばピエゾ260)は非常に小さく、高いインピーダンス(SAWを発生させるのに常套的に使用されるトランスデューサーの50Ωのインピーダンスよりも大きいインピーダンス)を有している。インピーダンスと活性領域のサイズとは反比例の関係を有しているので、インピーダンスはkΩ範囲となる。それゆえ、ピエゾの高いインピーダンスと適合するようにコントローラー(例えば図24に示すコントローラー112)を設計することが好ましいことが理解できるであろう。受信回路の入力インピーダンスを、受信トランスデューサーのインピーダンスと適合させなどの既知の電子原則を利用してもよい。
図24は、本発明の態様に従って形成されたエッジ波タッチセンサー・システム300を示している。タッチセンサー・システム300は、タッチ面24および側壁32(図示せず)を備えた基板20を有して成る。分かり易くするために、エッジ22は、エッジ306,308,310および312として表している。
コントローラー112は、電気接続部110を介して送信トランスデューサー302,304へと電気信号を供する。格子92,94は、ピエゾ振動を第1弾性波モード(例えば、矢印で表されている、エッジ306に沿って進行するエッジ波314およびエッジ308に沿って進行するエッジ波316)へと変換する。エッジ波314は、反射アレイ318によってレイリー波320へと変換される。レイリー波314は、表面24に結合した表面弾性波として進行して反射アレイ322に到達し、反射アレイ322にてエッジ波324へと再び変換させられる。変換させられたエッジ波324は、矢印で示される方向へとエッジ310に沿って進行し、受信トランスデューサー326で検知され得る。同様に、エッジ波316は、反射アレイ328によってレイリー波330に変換される。レイリー波330は、表面24に結合した表面弾性波として進行して反射アレイ332に到達し、反射アレイ332にてエッジ波334へと再び変換させられる。変換させられたエッジ波334は、矢印で示される方向へとエッジ312に沿って進行し、エッジ波の信号振幅が受信トランスデューサー336によって検知されることになる。受信トランスデューサー326,336からの電気信号は、電気接続部114を介してコントローラー112へと送られる。タッチ面24に加えられる摂動(例えば指またはスタイラスによる接触)は、受信エッジのエッジ波からの信号の摂動として検知され、かかる摂動が受信信号で検知された時間に基づいて、摂動が加えられた位置を決定することができる。
タッチ検知領域108はタッチ面24に形成されているが、反射アレイ318,322,328および333ならびにトランスデューサー302,304,326および336がセンサー基板20の非常に狭い外周部116に沿って形成されている及び/又はそのような外周部に結合しているので、タッチ検知領域108は実質的にタッチ面の全体を成している。尚、多くの場合、タッチ検知領域108は基板20の側壁32に形成することができる及び/又は側壁32に結合させることができる。一次元エッジ波の発生および検知に必要とされるタッチ面24の外周部116は1mmほどである。
別法にて、タッチ検知領域108の少なくとも一部を進行した後の表面弾性波(例えば、二次元SAW)を、エッジ波に変換することなく直接的に検知することによって、タッチ面24のタッチ検知領域108に加えられた摂動の存在および位置を特定することができる。
図24の態様は、上述したような送信トランスデューサー/受信トランスデューサーと2つのトランスデューサーを用いて二次元タッチ位置座標を供するように変更してもよい。更に、エッジ波を用いる他の多くのタッチスクリーン・ジオメトリーが可能であり、例えば、エッジ波の使用に適した非直交の弾性波経路を形成することができる。
図25は、本発明の態様に従って形成されたタッチパネル350を示している。クリーンなエッジ356〜362は基板20に形成されている。反射要素364および366は、側壁32に形成されているか、または、エッジ356,362の2つに隣接するタッチ面24に形成されている。反射要素364は、エッジ356に隣接する側壁32に形成されており、反射要素366は図示するようにエッジ362に隣接するタッチ面24に形成されている。ピエゾ352および354は、エッジ波の情報を送信および受信するために用いられている。
ピエゾ352または354の1つだけを活性させて送信状態または受信状態にすることができる。コントローラー368は、電気接続部370,372を介してピエゾ352,354の各々と繋がっている。コントローラー368はスイッチ374および376を有するものであってよく、それによって、ピエゾ352またはピエゾ354のいずれかを、信号を送信する信号発生機378に接続したり又は信号を受信してデコードする電子モジュール380に接続したりして制御することができる。コントローラー368は、ピエゾ352とピエゾ354とを切り替えることができ、ピエゾ352による信号の送受信の後、ピエゾ354による信号の送受信を行うことができる。別法にて、電気接続部370および372の各々に対しては、送信/受信モード・スイッチを備えた同様の2つの回路のいずれかを設けてもよい。
活性化されると、ピエゾ352は、矢印382の方向にエッジ波を送信する。エッジ波は、反射要素364に到達し、タッチ面24の表面に結合するSAWに変換され、矢印384の方向に送られる。矢印384の方向に伝搬するSAWの大部分は、エッジ360で反射することになる。別法にて、1つ又はそれよりも多い反射ストリップ386を、エッジ360に平行に隣接するようにタッチ面24に設けてもよく、その場合、相互に1/2波長分だけ間隔を空けて反射ストリップ386を配置してよい。エッジ360および/または反射ストリップ386は、180°向きが変わるようにSAWを矢印388の方向へと反射させる。SAWがエッジ356および反射要素364に到達すると、SAWはエッジ波に変換されて、矢印390の方向に送られる。かかるエッジ波はピエゾ352で検知され、電気信号が電気接続部370を介してコントローラー368で読み取られることになる。
コントローラー368は、信号発生機378で生じた電気信号を電気接続部372へと送信して、ピエゾ354を励起させる。ピエゾ354は、エッジ362に沿うように矢印392の方向へと進行するエッジ波を発生させる。エッジ波が反射要素366に到達すると、エッジ波は、タッチ面24を横切るように矢印396の方向に進行するSAWへと変換される。SAWは、エッジ358および/または1つ若しくはそれ以上の反射ストリップ396によって、180°向きが変わるように反射される。反射されたSAWは矢印398の方向へと進行して、エッジ362および反射要素366に到達し、そして、矢印400の方向に進行するエッジ波へと変換される。ピエゾ354は、エッジ波を検知し、電気信号が電気接続部372を介してコントローラー368へと送られることになる。
図31は、本発明の態様に従って形成された別のエッジ波タッチセンサー・システムを示している。タッチ面24の非常に狭いボーダー領域を利用しつつ二次元タッチ座標の情報が供されるように、単一のトランスデューサー602が送信モードおよび受信モードの双方で作動する。トランスデューサー602は、エッジ波を送信かつ受信できるのであれば何れのトランスデューサー設計(例えば、上述したようなトランスデューサー設計)を有していてよい。
基板20は、クリーンなエッジ604〜610を有するように形成されている。エッジ604とエッジ606とが交差する箇所には丸いコーナー612が形成されている。丸いコーナー612もまた、実質的にクリーンなエッジを有するように形成されており、約90°の角度を成すものであってよい。エッジ604,606には、反射アレイ614,616がそれぞれ形成されている。吸収ダンパー618は、側壁32の一方の端部にて形成されているが、エッジ608に隣接すると共に反射アレイ616の一方の端部に隣接するように形成されている。尚、エッジの波ガイド特性によって、非常にシンプルかつ効率的に、反射アレイ614と反射アレイ616との間でエッジ波の向きを90°変えることができ、X座標およびY座標のタッチデータを得ることできることに留意されたい。即ち、側壁32および対応するエッジ604,606から成る形状が、円を4分割したような形状になり得ることに留意されたい。
トランスデューサー602は、エッジ604に沿うように矢印620の方向にエッジ波を送信する。送信されたエッジ波の一部は反射アレイ614で散乱され、レイリー波として矢印622の方向に向かって進行し、タッチ面24を横断することになる。タッチ面24を横断した波は、矢印624の方向へと180°向きを変えて反射され、再び反射アレイ614で反射して矢印636の方向へと向きを変えた後、トランスデューサー602で受信されることになる。このように、送信されたエッジ波の一部は、時間的に比較的速く受信され、タッチのX座標が測定される。
トランスデューサーから送信されたエッジ波の別の一部は、反射アレイ614を通過するように丸いコーナー612へ向かって進行し、反射アレイ616へと到達する。エッジ波のエネルギーは、レイリー波として矢印628の方向へと部分的に90°向きを変えて散乱されることによって、レイリー波としてタッチ面24を横断する。タッチ面24を横断した波は、エッジ610で反射して矢印630の方向へと180°向きを変えた後、反射アレイ616で反射し、トランスデューサー602で受信されることになる。このように、送信されたエッジ波の一部は、時間的に比較的遅く受信され、タッチのY座標が測定される。反射アレイ614および反射アレイ616の双方を通過するように進行したエッジ波の残りは、吸収ダンパー618において除去される。
図26は、本発明の態様に従って形成されたタッチパネル402を示している。タッチパネル402は、上述したような側壁32を備えた基板20を有して成る。クリーンなエッジ404〜410は、側壁32の各々の面とタッチ面24とが交差する箇所に形成されている。基板20は、タッチ面24の一方の寸法が他方の寸法よりも大きくなるように形成されている。例えば、基板20のX軸方向の寸法は、そのY軸方向の寸法よりも長くなっている。
タッチセンサーまたはタッチセンサー・システムでより長い弾性波経路を伝搬する弾性波は、より短い弾性波経路を伝搬する弾性波よりも損失が大きくなる。それゆえ、タッチセンサーのタッチ検知領域にわたってタッチ感度を比較的一様にするために、異なる弾性波経路を伝搬する弾性波から得られることになる信号を均等化させ、それによって、信号レベルが弾性波長さにそれほど依存しないようにすることがしばしば望ましい。
反射要素420,422および424は、それぞれエッジ406,410および404に形成されている。上述したように、反射要素420,422および424は、側壁32および/またはタッチ面24にて規則正しい間隔を空けて配置された溝または突出部として形成されてもよい。場合によっては、1つ又はそれよりも多い反射ストリップ426を、エッジ408に隣接するタッチ面24に形成してもよい。
タッチパネル402では、3つのピエゾ412,414および416が用いられている。ピエゾ412を信号送信に用い、ピエゾ414を信号受信に用いてよい。コントローラー418の信号発生機428は、信号を電気接続部430へと送る。送信ピエゾ412は、エッジ406に沿うように矢印432の方向へとエッジ波を伝搬させる。エッジ波は反射要素420によって部分的に反射し、矢印434の方向へとタッチ面24を横切るように進行するSAWへと変換される。SAWは、反射要素422によってエッジ波へと変換され、矢印436の方向へとエッジ410に沿って進行することになる。ピエゾ414はエッジ波を検知し、電気信号が電気接続部438を介してコントローラー418へと送られる。
ピエゾ416は、信号の送受信に用いられる。ピエゾ416に関連する信号の送受信は、図25およびコントローラー368に関連して説明した送受信と同様に行われ得る。ピエゾ416は、コントローラー418の信号発生機428で生じた電気信号で励起される(電気接続部440を介して行われる)。ピエゾ416は、エッジ404に沿うように矢印442の方向へとエッジ波を伝搬させる。かかるエッジ波は、反射要素424によって矢印444の方向に向かってSAWとして部分的に反射される。SAWは、反射ストリップ426および/またはエッジ408によって反射され、矢印446の方向へと180°向きを変えた後、反射要素424によって反射されることによって、矢印448の方向へと伝搬するエッジ波に変えられる。かかるエッジ波はピエゾ416によって検知され、電気信号が、電気接続部440を介してコントローラー418へと送られることになる。
タッチパネル402では、X軸方向のタッチ現象が検知されるように、反射要素424およびエッジ408を備えた1つのピエゾ416(場合によっては反射ストリップ426を備えている)を用いている。また、Y軸方向のタッチ現象が検知されるように、2つのピエゾ412,414および反射要素420,422を用いている。それゆえ、SAWは、タッチ面を横切るX軸方向に1回だけ伝搬する一方、タッチ面を横切るY軸方向には2回伝搬することになる。
図27は、本発明の態様に従って4つのピエゾ452〜458を有して成るより大きいタッチパネル450を示している。タッチパネル450では、基板20のタッチ面24が大きくなっている。それゆえ、波が伝搬する距離がより長くなり、信号の減衰がより大きくなり得る。一定のタッチパネル・サイズでは、図27の設計によって、各コーナーに1つのトランスデューサーを設けつつも最大経路長さを最小限にすることができる。図15〜18および図23の設計のトランスデューサーが多くとも1つ基板20に配置できることに留意されたい。
ピエゾ452〜458は、それぞれ基板20の異なるコーナーに設けられているので、相互に物理的に干渉することはない。ピエゾ452〜458の各々は、図25にて上述したように信号を送受信するものであるので、コントローラー418については更なる説明を行わない。
基板20では、クリーンなエッジ460〜466が形成されている。反射要素470〜476は、エッジ460〜466の各々に近接して形成されているが、エッジ460〜466の各々の約半分の長さに相当する箇所(ピエゾ452〜458に最も近い箇所)まで形成されている。反射ストリップ494〜498は、存在する場合、エッジ466と平行となるようにタッチ面20に形成されており、表面弾性波の波長の約1/2に相当する間隔を空けて相互に離隔している。反射ストリップ494〜498は、エッジ466の約半分の長さに相当する箇所(反射要素476が存在していない箇所)に形成されているか、または、ピエゾ456から最も離れたエッジ466の半分領域に形成されている。更なる反射ストリップは、同様に、エッジ460〜466の各々と平行となるようにタッチ面20に形成されている。
ピエゾ452が励起されると、ピエゾ452は、矢印478の方向へとエッジ462に沿って進行するようなエッジ波を形成する。かかるエッジ波は反射要素472によって部分的に反射され、矢印480の方向へとタッチ面24を横切るように進行するSAWに変えられる。SAWは、反射ストリップ494〜498および/またはエッジ466で反射し、矢印482の方向へと180°向きを変えられる。その後、SAWは反射要素472で反射することで矢印484の方向へと90°向きを変えられ、ピエゾ452によって受信される。それゆえ、ピエゾ452によって、タッチ面24(例えばエリア486)の半分のY座標を表す信号が検知される。
ピエゾ454,456および458の各々は、ピエゾ452に関して説明したように信号を送受信し、タッチ面24の約半分のエリアわたって信号を検知する。ピエゾ454では、エリア488のX座標を表す信号が検知される。ピエゾ456では、エリア490のY座標を表す信号が検知される。ピエゾ458では、エリア492のX座標を表す信号が検知される。それゆえ、タッチパネル450では、信号を送信および受信する2つのピエゾを用いたタッチパネルと比較して、より短い信号経路から得られる信号を受信する4つのピエゾ452〜458が用いられている。タッチパネル450の運転する際、エッジ波はそれほど長く進行することはない。また、ピエゾ452〜458の各々が基板20のそれぞれ異なるコーナーに設けられているので、ピエゾ452〜458の間は相互に物理的に干渉しない。
図32は、本発明の態様のタッチセンサー640を示しており、単一の送信トランスデューサー642がX信号およびY信号を発生する態様を示している。基板20は、上述したようにクリーンなエッジ646〜652を有するように形成されている。送信トランスデューサー642は、基板20の第2表面28に設けられており、2つの側壁が交差する垂直エッジ644にて矢印654の上方向へと進行するエッジ波を形成する。垂直エッジ644、エッジ646およびエッジ648から成る頂点656では、垂直方向に入射して伝搬するエッジ波が2つの水平方向に伝搬するエッジ波へと分けられ、矢印658および矢印660の方向へと進行することになる。
矢印658の方向に水平方向に伝搬するエッジ波は、送信反射アレイ662(X方向)にて、その一部が90°向きを変えて散乱され、矢印666の方向へとタッチ面24を通過するようなレイリー波に変えられる。レイリー波は、引き続いて、X受信反射アレイ668で受信され、矢印672の方向へと進行するエッジ波へと変えられ、そして、トランスデューサー674によって受信される。
同様に、矢印660の方向に水平方向に伝搬するエッジ波は、送信反射アレイ664にて、その一部が90°向きを変えて散乱され、矢印676の方向へとタッチ面24を通過するようなレイリー波に変えられる。レイリー波は、Y受信反射アレイ670によって受信され、矢印678の方向へと進行するエッジ波へと変えられ、そして、トランスデューサー680によって受信される。それゆえ、X信号およびY信号は、共通のバースト(トランスデューサー642からのバースト)を共有するものの、異なった受信トランスデューサー(674および680)からの異なった信号を有している。別法にて、弾性波経路を逆にしてよく、X送信トランスデューサーおよびYトランスデューサーと先ほどの態様とは異なるトランスデューサーで弾性経路を順次励起し、共通の受信トランスデューサーで受信されるようにしてもよい。
図33は、本発明の態様の別のタッチセンサー690を示しており、単一の送信トランスデューサー692がX信号およびY信号を発生する態様を示している。図33では、送信トランスデューサー692および受信トランスデューサー694,696が、基板20の第2面28に形成されている及び/または第2基板28に取り付けられており、タッチセンサー690を用いるシステムを設計する際により大きな柔軟性(可撓性)が得られるようになっている。円を4分割したような形状の曲がった部分698,700は、水平に進行していたエッジ波を必要に応じて垂直方向へとガイドし、ガイドされたエッジ波は、基板20の底面に設けられているトランスデューサー694,696で受信される。
図34は、本発明の態様に従って、共通の送信トランスデューサー692付近の基板20を示している。トランスデューサー692は、垂直エッジ702にて矢印704の上方向へと進行するエッジ波を形成する。ここで、垂直エッジ702は、2つの湾曲したエッジ706および708を構成しているため、エッジ波は分割されることになり、矢印710および矢印712の方向へと伝搬する2つのエッジ波が形成される。別法にて、ジオメトリーは図32に示されるジオメトリーと同様であってもよい。実験およびシミュレーションから、送信される弾性波エネルギーを最も効率的にX信号経路とY信号経路とに分割する基板コーナーのジオメトリーを決定することができる。図32の場合と同様に、図33および図34に示す態様でも、送信トランスデューサーと受信トランスデューサーとを相互に入れ替えてもよい。
図28は、本発明の態様に従ってコンピューター502と相互接続されているタッチモニター500の構成図を示している。コンピューター502は、工場、小売店、レストランおよび医療機器などの1つ以上の用途において作動し得るものである。コンピューター502は、出荷時における設定の検量および試験に用いることもでき、例えばディスプレイ504およびユーザー入力手段(例えばキーボードおよび/またはマウス)を有するものである。マルチプル・タッチモニター500は、ネットワークを介してコンピューター502と相互に接続されてもよい。
モニター508は、ディスプレイ510にデータを表示する要素を有して成る。ディスプレイ510は、LCD、CRT、プラズマおよび画像などであってよい。タッチスクリーン512は、指のタッチまたはスタイラス等を介してユーザーからの入力を受け取る。タッチスクリーン512は、基板20から形成され得るものであり、非常に狭いボーダー536を有している。ボーダー536は、上述したようにエッジ波が伝搬できる幅を有し得る。
モニター・ケーブル514は、モニター508とモニター・コントローラー516とを接続する。モニター・コントローラー516は、ビデオ・ケーブルを介してビデオ情報を受け取る。ビデオ情報は、モニター・コントローラーによって受け取られ処理された後、モニター・ケーブル514を介してモニター508に送られ、ディスプレイ510で表示される。モニター508およびモニター・コントローラー516は、モニター・ケーブル514を用いずに一体的に設けたり又は相互に接続したりしもよいことを理解されよう。
タッチスクリーン・ケーブル524は、タッチスクリーン512とタッチスクリーン・コントローラー526とを相互に接続する。タッチスクリーン・コントローラー526は、タッチデータ・ケーブル528を介してコンピューター502へと情報を送信したり又はコンピューター502から情報を受信したりする。タッチ情報は、タッチスクリーン512によって受け取られ、タッチスクリーン・ケーブル524を介してタッチスクリーン・コントローラー526へと送られた後、タッチデータ・ケーブル528を介してコンピューター502へと送られる。タッチスクリーン・コントローラー526は、CPU530およびメモリー532等の要素を有して成る。
モニター・ハウジング534は、モニター508、モニター・ケーブル514、タッチスクリーン・ケーブル524、モニター・コントローラー516およびタッチスクリーン・コントローラー526を包むものであってよい。モニター・ハウジング534は、タッチスクリーン512のボーダー536を包囲し得、タッチスクリーン512を固定するものであり、エッジ波、反射体、トランスデューサーおよびピエゾ等が外的に影響を受けないようになっている。例えば、タッチスクリーン512等の弾性波タッチセンサーとモニター・ハウジング534等の他の機器とを一体化し、弾性波タッチセンサーを封止することが望ましい場合がある。かかる封止を行うことによって、水または他の汚染物質が、トランスデューサー、エッジ波が伝搬するエッジ、およびタッチセンサーを含んだタッチ表示システムの内部要素へとは入り込まなくなる。ボーダー536(弾性波を発生するトランスデューサー、弾性波を受信するトランスデューサー、弾性波を検知する反射アレイが含まれている)は狭いので、封止しなければならないトータルのエリアは、より広いボーダーを有するモニターと比べて減じられている。エッジ波が用いられることによってボーダー536が非常に狭くなっているので、封止は容易であり得、例えば、制御されたレジストを有し、シール幅が狭い基板20に封止材料をプリントまたは微少量供給することによって封止を行うことができる。熱硬化し、基板20に結合する封止材料が用いられ得る。
例えば、モニター・ハウジング534は、スタンドアローン型モニターに用いてもよい。タッチモニター500を売店(kiosk)または他のエンクロージャー内に設ける場合では、必要に応じてモニター・ハウジング534を省いてもよい。ビデオ・ケーブル518およびタッチデータ・ケーブル528は、それぞれ別個のケーブルであってもよいし、または、一体的に纏めたものであってよい。ビデオ・ケーブル518およびタッチデータ・ケーブル528は、モニター・ハウジング534からコンピューター502へと延在している。
メモリー522およびメモリー532は、EDID(Extended Display Identification Data)を含んだデータを記憶する。EDIDとしては、販売者識別番号・製造者識別番号、最大画像サイズ、カラー特性、プリセット時間および周波数範囲の限界などのモニター508情報およびタッチスクリーン512情報を挙げることができる。場合によっては、メモリー522,532とモニターまたはタッチスクリーン・コントローラー516,526のいずれか一方とを組み合わせることによって、モニター508とタッチスクリーン512との双方のEDIDを記憶できる共通の単一メモリー・モジュールを形成してもよい。場合によっては、タッチスクリーンとモニター・コントローラー516,526とを組み合わせて、タッチモニター500のための共通の単一コントローラーを形成してもよい。
タッチモニター500の実装は、弾性波タッチセンサーの考えられる多くの実装のうちの1つに過ぎないことを理解されよう。例えば、アルミニウム等の金属を用いて基板を構成し、タッチ入力を受けるテーブルを形成してよい。エッジ波は湾曲したエッジを進行するので、丸いテーブル面またはシリンダー等の丸いオブジェクトのエッジの周りを伝搬し得る。図29は、本発明の態様に従って形成された丸いテーブル面550の例を示している。丸いテーブル面550は、ガラスまたは金属から形成されているものであってよく、図示される弾性波経路をサポートすべく必要に応じて、周縁のクリーンなエッジ552、正方形のタッチ面554、ならびに、周縁エッジ552に形成された反射アレイ556〜562およびトランスデューサー564〜570が設けられている。図35は、本発明の態様に従って形成されるジオメトリーのオプション形態を示している。中実のシリンダーまたは中空のシリンダー720は、円形のジオメトリーを有したクリーンな90°エッジ722を有しており、そのエッジ722に、送信/受信トランスデューサー728および反射アレイ726が設けられていると共に、オプションとしてのエッジ波ビームダンプまたはダンパー730が設けられている。トランスデューサー728からのエッジ波は、90°向きを変えて下方に反射され、矢印732の方向へと下方向に伝搬するレイリー波モードへと変換される。シリンダー720の底部では、エッジ波は矢印734の方向へと180°向きを変えて反射され、トランスデューサー728の方向へと通ってきた弾性波経路を引き返すように伝搬する。反射アレイ726によって散乱したエッジ波エネルギーを吸収するために、水平な上面724にダンパー740を設けてもよい。このようなセンサーでは、シリンダー720の軸回りに、タッチ事象の角座標が設けられている。尚、米国特許第5854450のアレイ設計原理をエッジ波タッチセンサー設計に適用して、汎用のタッチセンサージオメトリーを得ることができる(米国特許第5854450の開示内容は引用することにより本明細書に組み込まれる)。ミュージアムの展示物のためのトラックパッドおよび他の一般的な公共の用途も可能であり、その場合、基板20が硬いステンレス鋼から成る円形または半球状のジオメトリーとなっている。それゆえ、弾性波タッチセンサーのジオメトリーは、正方形または矩形のフラット面に限定されず、衝突検出用のタッチ検知ロボット面等の多くの種々の製品を形成するのに用いてもよい。
また、実施化されたもののサイズも特に限定されず、種々のトランスデューサーと反射体とを組み合わせて、より大きいサイズを有したエリアで検出できるようにしてよい。
また、実施化されたもののサイズも特に限定されず、種々のトランスデューサーと反射体とを組み合わせて、より大きいサイズを有したエリアで検出できるようにしてよい。
上述したように、タッチセンサーまたはタッチセンサー・システムでより長い弾性波経路を伝搬する弾性波は、より短い弾性波経路を伝搬する弾性波よりも損失が大きい。それゆえ、それゆえ、タッチ感度をタッチセンサーのタッチ検知領域にわたって比較的一様にするために、異なる弾性波経路を伝搬する弾性波から得られる信号を均等化させ、それによって、弾性波長さに信号レベルがほぼ依存しないようにすることがしばしば望ましい。信号の均等化は、例えば、弾性波経路に沿って反射要素の密度を変化させることによって;反射アレイに沿って反射要素の高さまたは深さを変化させることによって;反射要素の長さを変化させることによって;アレイ内の反射要素長さを変えることによって;および、反射アレイと弾性波ビームとの間の距離を変化させることによって行うことができる。更に、タッチをもたらす物のサイズおよび/または形状を得るために、送信および/または受信に用いられるトランスデューサーの数、各々のトランスデューサーが信号を送信および/または受信するタッチスクリーンのエリアを調整してもよい。
上記で説明した装置および方法の態様は単に例示にすぎず、本発明の概念および範囲を逸脱しないことを前提として他の態様および変更も可能であることを理解されよう。
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願第60/562,461号(発明の名称:「弾性波タッチセンサー」、出願日:2004年4月14日)および米国仮特許出願第60/562,455(発明の名称:「弾性波タッチセンサー」、出願日:2004年4月14日)と関連があるものであり、その開示内容は引用することにより本明細書に組み込まれる。
本出願は、米国仮特許出願第60/562,461号(発明の名称:「弾性波タッチセンサー」、出願日:2004年4月14日)および米国仮特許出願第60/562,455(発明の名称:「弾性波タッチセンサー」、出願日:2004年4月14日)と関連があるものであり、その開示内容は引用することにより本明細書に組み込まれる。
Claims (20)
- 弾性波を伝搬させることが可能な基板、および
波コンバーター
を有して成るタッチセンサーであって、
基板には、タッチ検知領域を有する第1面、及び、第1エッジに沿って第1面と交差している第1側壁が含まれており、
第1エッジは、それに沿って第1弾性波が伝搬するように構成され、第1面は、第2弾性波がタッチ検知領域を横切って伝搬するように構成され、
波コンバーターによって第1弾性波が第2弾性波へと変換され、第2弾性波が第1弾性波に基づいている、
タッチセンサー。 - 第1側壁と第1面とは、約90°の角度を成すように第1エッジにて交差している、請求項1に記載のタッチセンサー。
- 第1エッジの近傍に設けられたトランスデューサーを更に有して成り、トランスデューサーが、第1エッジに沿って伝搬する第1弾性波を発生させ、また、タッチ検知領域を横切って伝搬する第2弾性波を受信する、請求項1に記載のタッチセンサー。
- 波コンバーターが、第1エッジの近傍に配置された一部反射要素を有して成る、請求項1に記載のタッチセンサー。
- 第2弾性波は、剪断波、ラム波またはレイリー波のいずれかである、請求項1に記載のタッチセンサー。
- 第1エッジに沿って伝搬する第1弾性波が基板にて伝搬する第2弾性波へと変換されるように、波コンバーターが、第1エッジの近傍に隣接して配置された一部反射要素の第1アレイを有して成る、請求項1に記載のタッチセンサー。
- 波コンバーターが、第1弾性波の波長に略相当する間隔を空けて相互に離隔している一部反射要素を有して成る、請求項1に記載のタッチセンサー。
- 波コンバーターが、規則正しい間隔を空けて相互に離隔している溝を有する反射要素を含んでいる、請求項1に記載のタッチセンサー。
- 第1エッジに隣接して設けられたトランスデューサーを更に有して成り、トランスデューサーが第1エッジに沿って伝搬する第1弾性波を発生させる、請求項1に記載のタッチセンサー。
- 第1エッジに隣接して規則正しい間隔を空けて相互に離隔している一連の溝を有して成る回折格子を更に有して成り、溝が、第1エッジから第1面へと第1弾性波の1波長未満の長さ延在している、請求項1に記載のタッチセンサー。
- 第1エッジに隣接して配置されたトランスデューサーを更に有して成り、トランスデューサーには、第1弾性波の伝搬方向に垂直な基板面に剪断モード圧電部材が設けられている、請求項1に記載のタッチセンサー。
- 一次元の第1弾性波を発生させるトランスミッター、
弾性波を伝搬させることが可能な基板を有して成るタッチセンサー、
基板に設けられた第1コンバーター、および
基板に設けられた検出器
を有して成るタッチセンサー・システムであって、
基板には、タッチ検知領域を有する第1面、及び、第1エッジおよび第2エッジに沿って第1面と交差している第1側壁および第2側壁が含まれており、
第1エッジは、第1弾性波が伝搬するように構成され、第1面は、第2弾性波がタッチ検知領域を横切って伝搬するように構成され、
第1コンバーターによって、第1弾性波が、タッチ検知領域に沿って基板を伝搬する第2弾性波へと変換され、また
検出器が、タッチ検知領域の少なくとも一部を横断した後の第2弾性波を検出する、
タッチセンサー・システム。 - トランスミッターおよび検出器の少なくとも一方が圧電素子を有して成る、請求項12に記載のタッチセンサー・システム。
- 第1コンバーターが、第1エッジに隣接して配置された反射要素のアレイを有して成る、請求項12に記載のタッチセンサー・システム。
- 第1弾性波を発生するようにトランスミッターを駆動させ、また、検出器からの信号を受信するコントローラーを更に有して成る、請求項12に記載のタッチセンサー・システム。
- 検出器によって検出される一次元の第3弾性波へと第2弾性波を変換する第2波コンバーターを更に有して成る、請求項12に記載のタッチセンサー・システム。
- タッチセンサーがタッチスクリーンとして機能できるように基板が透明となっている、請求項12に記載のタッチセンサー・システム。
- 弾性波が伝搬することが可能な基板のタッチ検知領域にてタッチを検出する方法であって、基板にはタッチ検知領域を有する第1面が含まれ、基板が、第1エッジおよび第2エッジに沿って第1面と交差している第1側壁および第2側壁を有しており、
第1エッジに沿うように進行する一次元の第1弾性波を送信する工程、
第1弾性波を第2弾性波へと変換する工程、
第1面のタッチ検知領域を通過するように第2弾性波の方向を変える工程、ならびに
基板の第2側壁の近傍で第2弾性波を検出する工程
を含んで成る方法。 - タッチされた位置が示唆される第2弾性波の摂動を検出することが検出工程に更に含まれる、請求項18に記載の方法。
- 第2弾性波を一次元の第3弾性波へと変換すること、および、第1エッジまたは第2エッジのいずれか一方の近傍で第3弾性波を検出することが検出工程に更に含まれる、請求項18に記載の方法。
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