JP2012033661A - 光学系の偏光特性算出方法及び装置、光学系の偏光特性算出用プログラム、並びに露光方法及び装置 - Google Patents

光学系の偏光特性算出方法及び装置、光学系の偏光特性算出用プログラム、並びに露光方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】計測用光学系の偏光特性の影響を軽減させて、被検光学系のジョーンズ行列で表される偏光特性を計測する。
【解決手段】投影光学系及び対物光学系よりなる光学系を介して偏光状態の異なる複数の光のストークスパラメータを計測してその光学系の第1のジョーンズ行列を求めるステップ106〜111と、対物光学系の瞳面を移動するステップ112と、その光学系の第2のジョーンズ行列を求めるステップ113と、その第1及び第2のジョーンズ行列のリー環表現上での差分情報を用いて投影光学系PL及び対物光学系16Sの個別のジョーンズ行列を求めるステップ115、116とを含む。
【選択図】図7

Description

本発明は、光学系のジョーンズ行列で表される光学性能を計測するために使用できる光学系の偏光特性算出技術、この偏光特性算出技術で使用できる光学系の偏光特性算出用プログラム、及びその偏光特性算出技術を用いる露光技術に関する。
例えば半導体デバイス又は液晶表示素子等のマイクロデバイス(電子デバイス)を製造するためのリソグラフィ工程中で、レチクル(又はフォトマスク等)のパターンを投影光学系を介してレジストが塗布されたウエハ(又はガラスプレート等)の各ショット領域に転写するために、ステッパ等の一括露光型の投影露光装置、又はスキャニングステッパ等の走査露光型の投影露光装置等の露光装置が使用されている。これらの露光装置においては、解像度を高めるために投影光学系の開口数(NA)が増大すると共に、露光波長が短波長化して来ており、現状では露光用の照明光として主にKrF(波長248nm)又はArF(波長193nm)等のエキシマレーザ光が使用されている。
最近では、さらに解像度や焦点深度等の結像特性を改善するために、所定の偏光状態に制御された照明光を用いる偏光照明も提案されている。このように偏光照明を用いるような場合に、投影光学系から射出される照明光の偏光成分は、ストークスパラメータで表されていた。そのため、露光装置において、高精度にストークスパラメータを計測するための測定装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−179660号公報
上述のストークスパラメータによって評価できる結像特性は、一般に開口数の比較的小さい光学系の性能に対応する収差情報、即ちスカラー位相(例えば直交する2方向の偏光成分の相対位相)を含む収差情報である。
これに対して、近年のように開口数の大きい投影光学系を用いて、マスクに形成されたパターンを基板に投影する場合、パターンの像に光のベクトル効果が影響するため、複数の偏光毎の絶対位相を含む、いわゆるジョーンズ標記によって表される結像系の性能(収差情報を含む光学性能)を評価することが望ましい(例えば、参考文献:M.Totzeck, P.Graeupner, T.Heil, A.Goehnermeier, O.Dittmann,D.S.Kraehmer, V.Kamenov and D.G.Flagello: Proc. SPIE 5754, 23(2005)参照)。ジョーンズ標記は、光学系の偏光特性を表すための、2行×2列の複素行列(偏光行列)よりなるジョーンズ行列(Jones Matrix)と、当該光学系によって変換される偏光状態を表すための、2行の複素列ベクトルよりなるジョーンズベクトルとで記述される。
しかしながら、従来のストークスパラメータの測定装置では、異なる複数の偏光毎の絶対位相の情報は計測できないため、投影光学系のジョーンズ行列で表される直接的な偏光特性の計測は実現されていなかった。
さらに、従来の測定結果には測定装置の光学系の偏光特性の影響が含まれていた。測定装置の光学系における偏光状態の変化は僅かであるが、今後より高精度に投影光学系の偏光特性等の光学性能を評価するためには、測定装置の光学系の偏光特性の影響を低減することが望ましい。
本発明は、このような課題に鑑み、計測用光学系の光学性能の影響を低減させて、被計測光学系のジョーンズ行列で表される光学性能を求めることができる光学系の偏光特性算出技術、この偏光特性算出技術で使用できる光学系の偏光特性算出用プログラム、及びその偏光特性算出技術を用いる露光技術を提供することを目的とする。
本発明による光学系の偏光特性算出方法は、光学系の偏光特性を算出する方法であって、被計測光学系及び計測用光学系を介して偏光状態の異なる複数の光のストークスパラメータを計測し、該計測結果に基づいて、その被計測光学系及びその計測用光学系を合わせた光学系の第1のジョーンズ行列を求める第1工程と、その被計測光学系の瞳面とその計測用光学系の瞳面との相対移動を行う第2工程と、その被計測光学系及びその計測用光学系を介して偏光状態の異なる複数の光のストークスパラメータを計測し、該計測結果に基づいて、その被計測光学系及びその計測用光学系を合わせた光学系の第2のジョーンズ行列を求める第3工程と、その第1及び第2のジョーンズ行列の差分情報を用いてその被計測光学系及びその計測用光学系の個別のジョーンズ行列を求める第4工程と、を含むものである。
また、本発明による光学系の偏光特性算出装置は、光学系の偏光特性を算出する装置であって、被計測光学系を通過した偏光状態の異なる複数の光を計測用光学系を介して受光して、その複数の光のストークスパラメータを計測する計測装置と、その被計測光学系の瞳面とその計測用光学系の瞳面との相対移動を行う相対移動機構と、演算装置とを備え、その演算装置は、その計測装置の計測結果に基づいて、その被計測光学系及びその計測用光学系を合わせた光学系の第1のジョーンズ行列を求め、その相対移動機構によってその被計測光学系の瞳面とその計測用光学系の瞳面との相対移動が行われた後のその計測装置の計測結果に基づいて、その被計測光学系及びその計測用光学系を合わせた光学系の第2のジョーンズ行列を求め、その第1及び第2のジョーンズ行列の差分情報を用いてその被計測光学系及びその計測用光学系の個別のジョーンズ行列を求めるものである。
また、本発明の光学系の偏光特性算出用プログラムは、本発明の光学系の偏光特性算出装置を動作させるためのプログラムである。
なお、光学系の光学性能は、光学系の偏光収差情報、あるいは光学系の偏光変換特性を含む。
本発明によれば、ストークスパラメータの計測値から被計測光学系及び計測用光学系を合わせた光学系の第1及び第2のジョーンズ行列を求めた後、これらの差分情報を求め、その差分情報を積分することで、被計測光学系又は計測用光学系の一方のジョーンズ行列を求めることができる。従って、このジョーンズ行列を用いて他方のジョーンズ行列を求めることができるため、計測用光学系の光学性能の影響を低減できる。
(A)は実施形態の一例の露光装置の概略構成を示す一部を切り欠いた図、(B)はその露光装置で設定される縦偏光を示す図、(C)はその露光装置で設定される斜め偏光を示す図である。 レチクルステージ上にロードされたテストレチクルR1を示す平面図である。 図1(A)中の偏光測定装置16の構成を示す図である。 (A)は投影光学系PLを通過した光のストークスパラメータを計測する際の要部を示す図、(B)は偏光測定装置16を傾斜させた状態を示す図である。 図1(A)の主制御系11の構成を示す機能ブロック図である。 投影光学系PLの偏光特性を計測する動作の前半部を示すフローチャートである。 投影光学系PLの偏光特性を計測する動作の後半部及び結像特性の補正動作を示すフローチャートである。 (A)は第1のジョーンズ行列のリー環表現の一例を示す図、(B)は第2のジョーンズ行列のリー環表現の一例を示す図、(C)は2つのリー環表現の差分を示す図である。 偏光測定装置16を回転したときの瞳面を示す図である。
以下、本発明の実施形態の一例につき図面を参照して説明する。
図1(A)は本例の露光装置の概略構成を示す。図1(A)において、露光用の光源1として、発振波長が狭帯化されたArFエキシマレーザ光源(波長193nm)が使用されているが、その他にKrFエキシマレーザ光源(波長248nm)、F2 レーザ光源(波長157nm)等も使用できる。光源1から射出される照明光IL(露光光)は、偏光度VPが例えば0.95以上の直線偏光のレーザビームである。光束の偏光度VPは、その光束の次式で定義されるストークスパラメータS0,S1,S2,S3を用いて、次のように表すことができる。
VP=(S1 2+S2 2+S3 21/2/S0 …(A1)
0:光束の全強度 …(A2)
1:光軸に垂直な面内の互いに直交する軸をX軸及びY軸として、X方向の直線偏光成分(横偏光)の強度からY方向の直線偏光成分(縦偏光)の強度を差し引いた差分強度 …(A3)
2:X方向に45°傾斜した方向の直線偏光成分(45°偏光)の強度からそれに直交する方向の直線偏光成分(135°偏光)の強度を差し引いた差分強度 …(A4)
3:右回りの円偏光成分の強度から左回りの円偏光成分の強度を差し引いた差分強度 …(A5)
光源1から射出されたほぼ平行光束からなり所定の矩形状の断面を持つ照明光ILは、周知のビーム送光系2を介して偏光状態可変部3に入射する。偏光状態可変部3は、後述のレチクルR(マスク)、ひいてはウエハW(基板)に対する照明光ILの偏光状態を変化させる機能を有する。偏光状態可変部3は、一例として回転可能な図1(B)の1/2波長板3aと、回転可能な1/4波長板(不図示)と、結晶光学軸に直交する方向で厚さが次第に増大する水晶板とその厚さの変化を相殺する形状の石英板とからなり一体的に回転可能な偏光解消板(不図示)とを交換可能に備えている。
この場合、図1(B)に示すように、1/2波長板3aを照明光ILの光路上に設定して、その結晶光学軸(進相軸)21の方向を照明光ILの偏光方向20Aに平行にすることによって、射出される光の偏光方向20Bは入射時に平行になる。一方、図1(C)に示すように、1/2波長板3aの結晶光学軸21の方向を時計周りに22.5°回転することによって、射出される光の偏光方向20Cを入射時に対して45°で交差させることができる。このように、1/2波長板3aの回転角を制御することで、射出される照明光ILの偏光方向を任意の方向に設定することができる。一方、1/4波長板を光路上に配置して、その回転角を調整することで、照明光ILを円偏光や楕円偏光にすることができる。また、その偏光解消板を光路上に配置して、その結晶光学軸の方向を入射光の偏光方向にほぼ45°で交差させることによって、射出される照明光ILを非偏光(ランダム偏光)に設定できる。
図1(A)に戻り、偏光状態可変部3により必要に応じて偏光状態の変換された照明光ILは、光束の断面形状を変化させるためのビーム形状可変部4を介して、マイクロフライアイレンズ(又はフライアイレンズ)5に入射する。マイクロフライアイレンズ5を構成する多数の正屈折力からなる微小レンズからの光束によってその射出面(照明光学系の瞳面)に多数の二次光源からなる面光源が形成され、その面光源からの照明光ILを重畳することで照度分布が均一化される。なお、マイクロフライアイレンズ5の代わりに、回折光学素子やロッドインテグレータ(内面反射型インテグレータ)等のオプティカル・インテグレータ(ホモジナイザ)を使用しても良い。また、その照明光学系の瞳面には、通常照明、輪帯照明、2極照明、変形照明等の種々の照明方式用の開口絞りを切り替えて設定するための可変開口絞り部(不図示)が設置されている。
マイクロフライアイレンズ5から射出された照明光ILは、第1リレー光学系6を介して、レチクルR上の照明領域の形状を規定するための開口部が形成されたレチクルブラインド7を照明する。レチクルブラインド7の開口部を通過した照明光ILは、第2リレー光学系8A、コンデンサ光学系8B、及び光路折り曲げ用のミラー9を介して、転写用のパターンが形成されたレチクルRを均一な照度分布で照明する。ビーム送光系2からコンデンサ光学系8B及びミラー9までの部材を含んで照明光学系ILSが構成されている。また、光源1、偏光状態可変部3、及びビーム形状可変部4の動作は、コンピュータよりなり装置全体の動作を統括制御する主制御系11内の照明系制御部によって制御されている。
照明光ILのもとで、レチクルRのパターンは投影光学系PLを介してレジストが塗布されたウエハW上に転写露光される。以下、投影光学系PLの光軸AXに垂直にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で図1(A)の紙面に平行な方向にX軸を、図1(A)の紙面に垂直な方向にY軸を取って説明する。
本例の投影光学系PLを構成する所定の光学部材、例えばレンズエレメント14A,14Bは、不図示のレンズ枠及びZ方向に伸縮可能な3箇所の駆動素子(例えばピエゾ素子)13A,13Bを介して鏡筒に支持されている。主制御系11内の結像特性制御部42(図5参照)が、駆動系12を介して駆動素子13A,13Bを駆動することによって、レンズエレメント14A,14BのZ方向の位置、並びにX軸及びY軸の周りの傾斜角を制御できる。これによって、投影光学系PLの結像特性が、後述のジョーンズ行列によって表される所定の偏光特性を考慮して制御できる。なお、駆動可能なレンズエレメント14A,14Bの位置及び個数は、制御対象の結像特性に応じて任意に設定可能である。
次に、レチクルRはレチクルステージRST上に保持され、レチクルステージRSTはレーザ干渉計(不図示)の計測値に基づいて、レチクルベース(不図示)上の光軸AXに垂直な平面内でレチクルRの移動又は位置決めを行う。一方、ウエハWはウエハステージWSTに保持され、ウエハステージWSTはレーザ干渉計(不図示)の計測値に基づいて、ウエハベースWB上の光軸AXに垂直な平面内で連続移動及びステップ移動を行う。また、ウエハステージWSTには、不図示のオートフォーカスセンサの計測値に基づいて、ウエハWの表面を投影光学系PLの像面に合焦させるために、ウエハWのフォーカス位置(光軸AX方向の位置)及び傾斜角を制御するZステージ機構も組み込まれている。
露光時には、主制御系11内の露光制御部の制御のもとで不図示のアライメント系によってレチクルRとウエハWとのアライメントが行われた後、偏光状態可変部3によって照明光ILの偏光状態が所定状態に設定される。その後、光源1の発光を開始して、レチクルRのパターンを一括露光方式又は走査露光方式で投影光学系PLを介してウエハW上の1つのショット領域に転写する動作と、光源1の発光を停止して、ウエハWをステップ移動する動作とが繰り返される。これによって、ウエハW上の全部のショット領域にレチクルRのパターンが転写される。また、本例の露光装置が国際公開第99/49504号パンフレットに示すような液浸型である場合には、投影光学系PLとウエハWとの間に不図示の液体供給機構から純水等の液体が供給される。
さて、このような露光に際しては、投影光学系PLの結像特性が所定の状態に調整されている必要がある。そのためには、先ずその結像特性を高精度に計測する必要がある。そこで、ウエハベースWB上にウエハステージWSTと並列に計測ステージMSTが移動可能に載置され、計測ステージMSTには、入射光のストークスパラメータを計測するための偏光測定装置16と、投影光学系PLの波面収差を計測するための波面収差測定器18とが設置されている。なお、偏光測定装置16及び波面収差測定器18は、計測ステージMSTに着脱可能に設定されてもよい。また、計測ステージMSTを省略し、ウエハステージWSTに、偏光測定装置16及び波面収差測定器18を設置してもよい。後述のように計測部17が偏光測定装置16の制御及び検出信号の処理を行って、上記の式(A2)〜(A5)のストークスパラメータS0〜S3を求めて主制御系11内の計測データ入力部32(図5参照)に供給する。また、計測部19が波面収差測定器18の制御及び検出信号の処理を行って、投影光学系PLの波面収差を求めて計測データ入力部32に供給する。波面収差測定器18としては、例えば特開2002−71514号公報に開示されているように、ピンホールを通過した光を平行光束にした後、マイクロフライアイレンズを介して2次元の撮像素子上に集光し、各集光点の位置ずれ方向を計測する測定装置を使用できる。
また、主制御系11には、レチクルRを通過した光及び投影光学系PLを通過した光の強度を計測するための光電検出器15が連結されている。光電検出器15は、レチクルRと投影光学系PLの間、あるいは投影光学系PLとウエハWとの間に移動可能である。この光電検出器15の検出結果より投影光学系PLの透過率が計測できる。なお、偏光測定装置16を着脱自在にしておき、光電検出器15の検出結果の代わりに偏光測定装置16によって計測される式(A2)のストークスパラメータS0 の値を使用して、投影光学系PLの透過率を求めてもよい。
また、本例の露光装置には、露光用のレチクルRと交換してレチクルステージRST上に随時ロード可能で、かつ投影光学系PLの偏光特性を計測する際に使用されるテストレチクルR1が備えられている。テストレチクルR1には、投影光学系PLに入射する照明光の偏光状態を3つの異なる状態に設定するための偏光ビームスプリッタ(以下、PBSと呼ぶ)22A,22B,22Cが固定されている。
本実施形態では、投影光学系PLの光学性能として、投影光学系に入射した照明光の偏光状態が、投影光学系を通過する場合に何らかの偏光変換を受ける特性、すなわち、投影光学系の偏光変換特性を計測する場合を例に取って説明する。
図2に示すように、テストレチクルR1をレチクルステージRST上にロードした状態では、PBS22A〜22Cを含む領域に図1(A)の照明光学系ILSによる照明領域23が設定される。また、PBS22A,22B,22Cの透過軸の方向はそれぞれX軸、Y軸、及びX軸に45°で交差する方向に設定されている。なお、図1(C)の偏光方向20Cが図2のX軸に45°で交差する方向に対応しており、図1(A)の偏光状態可変部3によってレチクルR1に照射される照明光Linの偏光方向を図1(C)の斜めの偏光方向20Cに設定することによって、図2のPBS22A,22B,22Cを通過して投影光学系PLに向かう光L1,L-1,L2はそれぞれ大きい光量で、かつ偏光方向がX方向(横方向)、Y方向(縦方向)、及びX軸に45°で交差する方向(斜め方向)の直線偏光となる。
なお、光L1,L-1,L2の偏光方向はそれぞれほぼX方向、Y方向、及びX軸に45°で交差する方向であればよい。PBS22A〜22Cの透過軸の方向の情報、ひいては光L1,L-1,L2の正確な偏光方向の情報は、予め主制御系11内の計測データ入力部32(図5参照)に供給されている。また、図1(A)の偏光測定装置16が計測ステージMSTに対して着脱自在に構成されていれば、投影光学系PLを介することなく、光L1,L-1,L2の偏光状態(ストークスパラメータ)を偏光測定装置16によって直接計測することも可能である。
また、主制御系11にはデジタル・ヴァーサタイル・ディスク(DVD)の再生装置24が接続されている。再生装置24からDVD25(記録媒体)に記録された投影光学系PLの偏光特性算出用プログラムを読み出し、読み出されたプログラムを主制御系11に実行させることによって、後述の投影光学系PLの偏光変換特性を表すジョーンズ行列を算出する動作が実行される。記録媒体としては、CD−ROM又は磁気ディスク装置等も使用できる。
図3は、図1(A)の偏光測定装置16の構成を示し、この図3において、図1(A)の投影光学系PLを通過した照明光ILの偏光状態の計測時に、照明光ILはピンホール部材90のピンホール90aを通過する。ピンホール90aを通過した照明光ILは、コリメータレンズ91を介してほぼ平行光束に変換され、ミラー92で反射された後、リレーレンズ系93、1/4波長板94(移相子)、PBS(偏光ビームスプリッタ)95を介して2次元CCDよりなる撮像素子96の検出面96aに入射する。1/4波長板94は、駆動部97によって光軸を中心として回転可能である。PBS95は、所定の偏光成分(ここではP偏光成分)を選択的に透過させるための偏光子を構成している。ピンホール部材90から撮像素子96までの部材及び駆動部97を含んで偏光測定装置16が構成されている。
また、図4(A)に示すように、偏光測定装置16は計測ステージMST上にZ方向に変位可能な例えば送りねじ方式の3つ以上(ここでは4つ)の駆動部51A,51B,51C,51D(51C,51Dは不図示)を介して設置されている。駆動部51A〜51Dの変位量を独立に制御することによって、偏光測定装置16をY軸及びX軸に平行な軸の周りにそれぞれ±1°程度傾斜させることができる。
図3において、駆動部97からの1/4波長板94の回転角に関する情報及び撮像素子96の検出信号(光量分布情報)は計測部17に供給される。計測部17は、その回転角に関する情報及び光量分布情報に基づいて、例えば回転移相子法により照明光ILの偏光状態を示すストークスパラメータS0〜S3を求め、その計測結果を主制御系11に供給する。なお、偏光測定装置16によるストークスパラメータの詳細な計測方法については、例えば特開2006−179660号公報に開示されているため、その説明を省略する。
次に、図1(A)の主制御系11が、DVD25から読み出された偏光特性算出用プログラムに従って、上記の光電検出器15、偏光測定装置16、及びテストレチクルR1を用いて、投影光学系PLの偏光変換特性を表すジョーンズ行列を求める動作の一例につき説明する。先ず、ジョーンズ(Jones)ベクトル、ストークス(Stokes)パラメータ、ジョーンズ行列、及びミューラ(Mueller)行列の関係につき説明する。
1.ジョーンズベクトルとストークスパラメータとの関係について
対象とする光の直交するX方向、Y方向の成分(振幅E0x,E0y及び位相δx,δy)からなるジョーンズベクトルVを以下のように定義する。
Figure 2012033661
これに対応するストークスパラメータS0〜S3は次のように表される。
Figure 2012033661
この関係から分かるように、ジョーンズベクトルからストークスパラメータは求めることができるが、ストークスパラメータからジョーンズベクトルを求めるためには、X方向の成分(X成分)又はY方向の成分(Y成分)の位相(絶対位相)を知る必要がある。言い換えると、次式のように、ストークスパラメータS0〜S3から復元できるジョーンズベクトルには位相φの不定がともなう。
Figure 2012033661
光学系のジョーンズ行列を復元するためには、その光学系による最低2つのジョーンズベクトルの変換式が分かればよいが、その2つのジョーンズベクトル間の位相差が不定であると、ジョーンズ行列にもその不定位相項が残ってしまう。
2.ジョーンズ行列とミューラ行列との関係について
ジョーンズ行列J及びミューラ行列Mを次のように定義する。
Figure 2012033661
このとき、ジョーンズ行列Jの成分jxx,jyx,jxy,jyyとミューラ行列Mの成分mij(i=0〜3,j=0〜3)との間には次の関係がある(例えば、参考文献(D. Goldstein, Polarized light, Marcel Dekker Inc., 2003)参照)。なお、jab *はJabの複素共役を意味する。
Figure 2012033661
この式に、jxx=jyy=exp(iδ),jxy=Jyx=0を代入すると分かるように、以下のジョーンズ行列に対応するミューラ行列は単位行列である。
Figure 2012033661
つまり、ジョーンズ行列とミューラ行列との間にも、ジョーンズベクトルとストークスパラメータとの間と同様に位相δの不確定性がある。言い換えると、ジョーンズ行列からは一意的にミューラ行列へ変換できるが、逆には一意性がない。
3.ミューラ行列とストークスパラメータとの関係について
光学系(投影光学系PL)のミューラ行列を式(4)の行列M、その光学系に入射する光Li の式(2A)〜(2D)(又は式(A2)〜(A5))よりなるストークスパラメータをSi0,Si1,Si2,Si3として、その光学系から射出される光Li'のストークスパラメータをSi0’,Si1’,Si2’,Si3’とする。また、ストークスパラメータSi0〜Si3及びSi0’〜Si3’を成分とするベクトルをそれぞれストークスパラメータSi 及びSi'とする。このとき、ストークスパラメータSi 及びSi'とミューラ行列Mとの間には次の式(7A)又は(7B)の関係がある。
Figure 2012033661
Figure 2012033661
4.2つのジョーンズベクトルの測定からのジョーンズ行列の復元
通常の測定ではジョーンズベクトルを観測することはできないが、観測できるとすると容易に光学系のジョーンズ行列を復元できる。ジョーンズベクトルV1,V2で表される光がジョーンズ行列Jを持つ光学系に入射し、ジョーンズベクトルV1',V2'という状態で射出されたとすると、次のように表される。
1'=JV1,V2'=JV2 …(7C)
この関係をまとめて行列の掛け算として表すと、
(V1' V2')=J(V12) …(7D)
となる。従って、V1,V2が独立な状態であれば、次の計算によって光学系のジョーンズ行列Jを求めることができる。このときにV1,V2間の相対位相が必要になることは前述した通りである。
J=(V1' V2')(V12-1 …(7E)
5.3つの偏光状態の測定によるジョーンズ行列の復元
ジョーンズ行列は4つの複素数からなっているので、それを決定するには4つの独立した方程式が必要である。ジョーンズベクトルは2つの複素変数からなるので、2つの独立した偏光状態の測定は4つの独立した方程式を作ることになって、ジョーンズ行列を決定できるというのが式(7E)の意味である。
通常の偏光測定ではストークスパラメータしか測定することができない。ストークスパラメータからジョーンズベクトルに戻すには位相の不定分が必要なので、未知数が増えることになり、2つの偏光状態の測定ではジョーンズ行列を求めるには情報が足りない。そこで、測定する偏光状態を追加し、不足分を補おうとするのが本実施形態の方法である。
本実施形態では、光学系としての投影光学系PL(実際には後述のように偏光測定装置16の対物光学系も含まれる)は完全透過に近い、つまりジョーンズ行列が単位行列に近く、測定に使う偏光状態も完全偏光に近い状態を想定する。通常、ジョーンズ標記が必要な光学系は、開口数NAが大きく、理論限界に近い解像力を実現しているため、この前提が成り立つ。また、行列の非可換性から、通常ある偏光変換要素の値が大きいと、オフセットとして除くことはできないが、スカラー成分であるスカラー位相、スカラー透過率については除くことが可能である。
また、特定の偏光変換量の近傍を考えることで、その偏光変換作用の近傍で単位元近傍と同様な展開も可能になる。この場合、特定の偏光量を表すジョーンズ行列をJ0、その偏光変換作用の近傍の差分を表すジョーンズ行列をJεとすると、光学系のジョーンズ行列Jは次のようになる。
J=JεJ0 …(7F)
このとき、ジョーンズ行列Jεは単位行列に近いため、このジョーンズ行列Jεを本実施形態の復元対象とすることができる。
ここで、上記の偏光特性算出用プログラムに従って、投影光学系PLの偏光変換特性を表すジョーンズ行列を求めるための主制御系11の種々の機能(主にソフトウェアによって実行される機能)につき、図5の主制御系11の機能ブロック図を参照して説明する。
図5において、主制御系11は、全体の動作を統括制御するシーケンス制御部31と、外部からストークスパラメータ等を取得する計測データ入力部32と、その取得したデータ等を記憶する記憶部33と、記憶部33から読み出したデータより式(7F)のジョーンズ行列J0に相当する行列を算出する第1ジョーンズ行列算出部34と、記憶部33のデータより近似的にジョーンズベクトルを算出するジョーンズベクトル算出部35とを備えている。また、主制御系11は、その算出されたジョーンズベクトルから式(7E)よりジョーンズ行列を算出する第2ジョーンズ行列算出部36と、そのジョーンズ行列から式(5A)〜(5P)よりミューラ行列を算出するミューラ行列算出部37と、そのミューラ行列と記憶部33のデータとから式(7B)(又は(7A))よりストークスパラメータを算出するストークスパラメータ算出部38とを備えている。
さらに、主制御系11は、算出されたストークスパラメータと計測値との誤差(評価関数)を算出する誤差算出部39と、その誤差が許容範囲よりも大きいときに第2ジョーンズ行列算出部36で算出されたジョーンズ行列を修正する誤差判定部40と、誤差判定部40から供給されるジョーンズ行列(式(7F)のJεに対応する行列)と第1ジョーンズ行列算出部34から供給されるジョーンズ行列(式(7F)のJ0に対応する行列)とを乗算して光学系(投影光学系PL及び偏光測定装置16の対物光学系)のジョーンズ行列を決定するジョーンズ行列乗算部41とを備える。さらに、主制御系11は、2回の計測で得られる2つのジョーンズ行列のリー環(詳細後述)上での表現の差分情報を求める差分演算部56と、その差分情報を積分して偏光測定装置16の対物光学系のジョーンズ行列を求めた後、投影光学系PLのジョーンズ行列を決定する行列分離部58と、決定されたジョーンズ行列を考慮して、投影光学系PLの結像特性を補正する補正情報を算出し、この補正情報に応じて投影光学系PLの結像特性を補正する結像特性制御部42とを備えている。
次に、図6及び図7のフローチャートを参照して、投影光学系PLのジョーンズ行列を求めるための主制御系11等の動作の一例につき説明する。なお、以下のステップ101〜111で求められるのは、投影光学系PL及び偏光測定装置16の対物光学系を合わせた光学系のジョーンズ行列Jであるが、以下では説明の便宜上、ジョーンズ行列Jを投影光学系PLのジョーンズ行列とも呼ぶ。
先ず図6のステップ101において、図1(A)の偏光状態可変部3によって照明光ILを非偏光に設定して、波面収差測定器18及び光電検出器15を用いて投影光学系PLの波面収差及び透過率を計測する。この計測結果に基づいて図5の第1ジョーンズ行列算出部34は、式(7F)のジョーンズ行列J0 を算出する。この行列J0 の各成分は、例えば対応する位置での透過率を振幅、波面収差を位相としている。この結果、投影光学系PLの計測対象のジョーンズ行列J(式(7F)のJεに対応する)は、次式のようにほぼ単位行列とすることができる。
Figure 2012033661
次のステップ102において、図1(A)の偏光状態可変部3の1/2波長板3aを用いて、図1(C)に示すように、照明光ILを斜め方向の直線偏光に設定する。そして、図4に示すように、レチクルステージRST上にテストレチクルR1をロードして、図2のPBS22A〜22Cに照明光Linを照射して、PBS22A〜22Cを透過した横偏光、縦偏光、及び斜め偏光の光(入射光)L1,L-1,L2を投影光学系PLに入射させる。
また、ステップ103において、入射光L1,L-1,L2の偏光状態のジョーンズベクトルをV1,V-1,V2として、図5のジョーンズベクトル算出部35では、V1,V-1,V2を以下の式で表す。本実施形態では、照明光Linの偏光状態、及びPBS22A〜22Cの角度が既知であるため、以下の位相α、β、δ3は既知である。
Figure 2012033661
この場合のジョーンズベクトルV1〜V3の位相差については、変換された後のベクトルに変数として持たせ、その変数の最適化を後で行うため、このような定義が可能となる。また、ストークスパラメータ算出部38では、ジョーンズベクトルV2(又はPBS22Cの透過軸の方向の情報)から入射光L2の式(A2)〜(A5)に対応するストークスパラメータ(S20,S21,S22,S23)を算出する。この4成分よりなるベクトルはストークスパラメータS2である。
式(9)のジョーンズベクトルで表される入射光L1,L-1,L2を式(8)のジョーンズ行列を持つ投影光学系PLに入射させたとき、投影光学系PLから射出される光(射出光)L1',L-1’,L2'のジョーンズベクトルをV1',V-1’,V2'とすると、V1',V-1’,V2'は以下のように表すことができる。
Figure 2012033661
式(10A)〜(10C)の右辺の近似はベクトル成分の位相と強度と複素数の加算と乗算の性質を考慮してあるものである。
次のステップ104において、図4の偏光測定装置16(及び図1の計測部17)を用いて、投影光学系PLを通過した射出光L1’,L-1’,L2’の式(B1)〜(B4)に対応する4つのストークスパラメータ(Si0’,Si1’,Si2’,Si3’)(i=1,−1,2)をそれぞれ計測する。これら4つのストークスパラメータ(Si0’,Si1’,Si2’,Si3’)からなるベクトルがストークスパラメータSi'である。計測結果は、図5の計測データ入力部及び記憶部33を介してジョーンズベクトル算出部35及び誤差算出部39に供給される。
この場合、ジョーンズベクトルと、ストークスパラメータとの間には式(3)の関係がある。そこで、ステップ105において、ジョーンズベクトル算出部35では、式(3)の関係より、ストークスパラメータ(Si0’,Si1’,Si2’,Si3’)(i=1,−1,2)の計測値を用いて、以下のように式(10A)〜(10C)のジョーンズベクトルV1',V-1’,V2'のそれぞれのX成分、Y成分の振幅Eix’,Eiy’、及びX成分とY成分との位相差δi'(i=1,−1,2)を計算する。なお、Arg(f)はfの位相を意味する。
|jxx + jxyΔ1exp(iα)| = E1x’ …(11A)
|jyx + jyyΔ1exp(iα)| = E1y' …(11B)
Arg(jyx+jyyΔ1exp(iα)) - Arg(jxx+jxyΔ1exp(iα)) = δ1' …(11C)
|jxxΔ2 +jxyexp(iβ)| = E-1x’ …(11D)
|jyxΔ2 +jyyexp(iβ)| = E-1y' …(11E)
Arg(jyxΔ2+jyyexp(iβ)) - Arg(jxxΔ2+jxyexp(iβ)) = δ-1' …(11F)
|jxx + jxyAexp(iδ3)| = E2x’…(11G)
|jyx + jyyAexp(iδ3)| = E2y' …(11H)
Arg(jxx+jxyAexp(iδ3)) - Arg(jyx+jyyAexp(iδ3)) = δ2' …(11I)
ただし、ストークスパラメータからはジョーンズベクトルの各成分毎の位相は求めることができない。また、式(6)に関して述べたように、ジョーンズ行列とミューラ行列との間にも位相不定がある。そこで、以下の式のように、式(11C)中の射出光L1'のX成分の位相が0であるという仮定を行って、ジョーンズ行列を復元しても一般性は失われない。
Arg(jxx+jxyΔ1exp(iα))=0 …(12)
本実施形態では、最後にスカラー位相を用いて各点のジョーンズ行列を接続するため、個々のジョーンズ行列のスカラー位相成分を考える必要はない。この仮定から、射出光L1'のジョーンズベクトルV1'は次のようになる。
Figure 2012033661
さらに射出光L-1'のジョーンズベクトルV-1'が求まれば、式(7E)からジョーンズ行列を復元できる。また、式(11D)、(11E)より、ジョーンズベクトルV-1'の振幅E-1x',E-1y'は求められており、分からない要素は絶対位相(式(1)の位相δx,δyに相当する値)のみである。その絶対位相を求めるためには、式(11F)中の射出光L-1'のY成分の位相であるArg(jyxΔ2+jyyexp(iβ))を知る必要があるが、正確に求めることができない。そこで、先ずはその近似値(初期値)を求める。
この場合、式(9)の条件(Δ1,Δ2,δ3 ≒0,A≒1)から、次の関係が導かれる。
δ-1' = Arg(jyxΔ2+jyyexp(iβ)) - Arg(jxxΔ2+jxyexp(iβ))
≒ Arg(jyy) + β -Arg(jxxΔ2+jxyexp(iβ)) …(14A)
δ2' = Arg(jxx+jxyAexp(iδ3)) - Arg(jyx+jyyAexp(iδ3))
≒ Arg(jxx) - Arg(jyy) ≒ Arg(jyy) …(14B)
ここで、入射光L-1の状態から位相βは既知であって、ジョーンズベクトルV-1'のX成分及びY成分の位相の初期値をそれぞれεx,εyとする。そして、位相εxを次のように近似するとともに、式(11F)からεyをεxを用いて表す。
X成分の位相=Arg(jxxΔ2+jxyexp(iβ))≒ Arg(jyy)+β-δ-1'
≒ δ2' +β-δ-1'=εx …(15A)
Y成分の位相=Arg(jyxΔ2+jyyexp(iβ))≒Arg(jyy)+β
≒ εx + δ-1' =εy …(15B)
この位相を用いて、ジョーンズベクトル算出部35は、射出光L-1’に対応するジョーンズベクトルV-1’を近似的に次のように求める。
Figure 2012033661
次に、図7のステップ106において、図5の第2ジョーンズ行列算出部36は、式(9)の入射光のジョーンズベクトルV1,V-1と、式(13)及び(16)の射出光のジョーンズベクトルV1’,V-1’とを式(7E)に代入することによって、次のように投影光学系PLのジョーンズ行列Jの近似値J’を算出する。
Figure 2012033661
このジョーンズ行列J’に対応するミューラ行列をM(0) とすると、近似計算をしたので、入射光L1,L-1,L2の既知のストークスパラメータS1,S-1,S2からミューラ行列M(0) を用いて計算されるストークスパラメータは、次のように、射出光L1’,L-1’,L2’について計測されたストークスパラメータS1',S-1’,S2’とは異なっている。
1' ≒ M(0)1 …(18A)
-1’≒ M(0)-1 …(18B)
2’ ≠ M(0)2 …(18C)
この場合、以下の関係が成り立つミューラ行列Mが投影光学系PLの正確なミューラ行列である。
1'=MS1 、S-1’=MS-1、S2'=MS2 …(19)
そこで、逐次近似によって以下の手順で、式(17)のジョーンズ行列J’及びこれに対応するミューラ行列の近似精度を向上する。そのため、式(17)の位相εxをεとおき、位相εyを式(15B)から(ε+δ-1’)として、式(17)のジョーンズ行列J’を次のように、εの関数であるジョーンズ行列J(ε)とする。また、位相εの初期値をε(0)(式(15A)のεxに等しい)とする。
Figure 2012033661
次のステップ107において、図5のミューラ行列算出部37は、式(5A)〜(5P)の関係を用いて、式(20)のジョーンズ行列J(ε)からミューラ行列M(ε)を算出する。このとき、M(0) =M(ε(0))=M(εx)の関係が成立する。
次のステップ108において、図5のストークスパラメータ算出部38は、ステップ103で算出された入射光L2のストークスパラメータS2(S20〜S23からなるベクトル)と、ステップ107で算出されたミューラ行列M(ε)とを用いて、次のように射出光L2'のストークスパラメータS2"(S20"〜S23"からなるベクトル)を計算する。
2"=M(ε)S2 …(21)
次に、図5の誤差算出部39は、射出光L2'について式(21)で計算されたストークスパラメータS2"と、ステップ104で計測されたストークスパラメータS2'との4つの要素の差分の自乗和よりなる評価関数S(ε)を次のように算出する。
S(ε)=‖S2'−M(ε)S2‖ …(22)
次のステップ109において、図5の誤差判定部40は、式(22)の評価関数S(ε)と所定の許容値Δthとを比較する。そして、評価関数S(ε)が許容値Δthより大きいときには、ステップ110に移行して、ニュートンの逐次近似法によって以下のように式(20)のジョーンズ行列J(ε)の位相εの次の近似値ε(n+1) を求める(n=1,2,…)。これは位相εの更新とも言うことができる。
Figure 2012033661
この位相の近似値ε(n+1) を式(20)の位相εに代入した後、動作はステップ106からステップ107に移行して、再びジョーンズ行列J(ε)からミューラ行列M(ε)が計算される。そして、ステップ109で、式(22)の評価関数S(ε)が許容値Δth以下になるまで、ステップ110、106〜109が繰り返して実行されて、位相εの近似精度が向上する。
その後、ステップ109で、評価関数S(ε)が許容値Δth以下になったときに、動作はステップ111に移行して、図5のジョーンズ行列乗算部41では、最終的に決定された位相ε(n) を位相εとして持つ式(20)のジョーンズ行列J(ε)に、ステップ101で求められたジョーンズ行列J0 を乗算して、投影光学系PLのジョーンズ行列Jを復元する。得られたジョーンズ行列Jはジョーンズ行列J(m)として差分演算部56及び行列分離部58に供給される。
次に、図4(A)の点線52Aで示すように、駆動部51A等を介して偏光測定装置16をY軸に平行な軸を中心として時計周りに約−1°回転させた後(ステップ112)、ステップ113において、ステップ101〜111と同じ動作を繰り返して、投影光学系PLと偏光測定装置16の対物光学系とを合わせた光学系のジョーンズ行列J(m)を求めて、差分演算部56に供給する。次のステップ114において、駆動部51A等を介して偏光測定装置16をX軸に平行な軸を中心として時計周りに約−1°回転させた後、ステップ101〜111と同じ動作を繰り返して、投影光学系PLと偏光測定装置16の対物光学系とを合わせた光学系のジョーンズ行列J(m)を求めて、差分演算部56に供給する。次に、差分演算部56は、供給されたジョーンズ行列J(m)のリー環上の表現での差分を求める。
投影光学系PLのジョーンズ行列をJ(p)、偏光測定装置16の対物光学系16S(撮像素子96までの光学系)のジョーンズ行列をJ(o)とすると、投影光学系PLと対物光学系16Sとを合わせた光学系のジョーンズ行列J(m)は次のようになる。
(m)=J(o)(p) …(24)
本実施形態では、この式が行列の演算、即ち群(リー群)の演算で表現されていることを利用して、この式をリー環(Lie Ring)で局所線形化する。なお、リー群、リー環、及びこれらを用いる演算については、例えば参考文献「佐藤光著:物理数学特論−群と物理、第3章及び第4章(丸善、1992年)」に記載されている。
式(24)中の各行列は、ジョーンズ行列Jを含めて2次元の複素一般線形群GL(2,C)、ひいては位相をパラメータとする2次元のリー群(Lie group)(これもGL(2,C)で表す)の元とみなすことができる。
単位元の近傍でリー群GL(2,C)の元Gとこれに対応するリー環gl(2,C)の元gとは、写像である指数関数expと対数関数logによって以下のように対応を付けることができる。
Figure 2012033661
これより、ジョーンズ行列J(m)、J(o)、J(p)に対応するリー環の元は以下のように表すことができる。
Figure 2012033661
次に、リー環上の元同士の演算を行うために、リー環gl(2,C)の基底として次の基底(以下、JPN基底という)X0〜X7を選ぶ。なお、基底系は任意であるが、ここでは便宜上JPN基底を用いる。また、JPN基底の構造定数は表1のようになる。
Figure 2012033661
Figure 2012033661
また、図4(B)において、投影光学系PLの瞳面PP1において光軸AXを通りX軸及びY軸に平行な軸上の座標を(x,y)とする。同様に、偏光測定装置16の対物光学系16Sの瞳面PP2(撮像素子96の受光面)上の、対物光学系16Sの光軸を通りX軸及びY軸に平行な軸上の座標を(x,y)とする。このとき、ステップ111で得られる光学系のジョーンズ行列J(m)はJ(m)(x,y)とみなすことができ、式(24)は次のように表すことができる。
(m)(x,y)=J(o)(x,y)J(p)(x,y) …(28)
また、ステップ112で偏光測定装置16を回転したときの図4(B)の微小な回転角をΔφ、対物光学系16Sの焦点距離をfとすると、投影光学系PLの瞳面PP1に対して対物光学系16Sの瞳面PP2はx方向にほぼ以下の微小量Δxだけ相対的にずれている。
Δx=f・Δφ …(29)
同様に、ステップ114では、投影光学系PLの瞳面PP1に対して対物光学系16Sの瞳面PP2はy方向にほぼ微小量Δy(=f・Δφ)だけ相対的にずれている。このように、偏光測定装置16の対物光学系16Sの瞳面を通過する光束の位置を(±Δx,±Δy)の範囲で移動させることができる。例えばステップ114で求められるジョーンズ行列J(m)(x,y)を以下のように表す。
J(x,y;Δx,Δy)=J(o)(x+Δx,y+Δy)J(p)(x,y)…(31)
なお、ステップ111で求められるジョーンズ行列J(m)(x,y)=J(x,y;0,0)である。ここで、各ジョーンズ行列J(x,y;Δx,Δy)を単位元のまわりでリー環に変換したものを以下のJLieで表す。
Figure 2012033661
また、リー群の積はリー環上で次のように展開できる。
Figure 2012033661
なお、交換積[X,Y]=XY−YXを意味する。さらに、リー環をJPN規定Xi(i=0,…,7)で展開すると次のようになる。
Figure 2012033661
リー群の積をリー環で展開して式(33)の第3項(交換積の入った項)以降を無視すると、偏光測定装置16の対物光学系16Sの瞳面をx方向、y方向に(±Δx,±Δy)ずらして、ステップ101〜111の動作によって復元されるジョーンズ行列のリー環表現は次のようになる。
Figure 2012033661
また、ステップ115で、差分演算部56において、x方向にずれたリー環の式(36)と式(35)との差分、及びy方向にずれたリー環の式(38)と式(37)との差分を取ると次のようになる。この場合、一例として、ステップ111では、偏光測定装置16をY軸に平行な軸の周りに+1°回転したときのジョーンズ行列が求められ、ステップ114では、偏光測定装置16をX軸に平行な軸の周りに±1°回転したときの2つのジョーンズ行列が求められている。
Figure 2012033661
このように、対物光学系16Sの瞳面をずらして求めたジョーンズ行列のリー環表現をJPN規定で展開し、その各成分のx方向の差分とy方向の差分とを計算することで、対物光学系16Sのジョーンズ行列をJPN規定で展開したときの係数(JPN成分)のx方向、y方向の近似的な偏微分係数が次のように得られる。これらの偏微分係数は積分部57に供給される。
Figure 2012033661
次に、ステップ116で、積分部57において、式(41)の分布を積分することによって、対物光学系16Sのジョーンズ行列J(o)のJPN成分の相対的な分布を得ることができる。そこで、対物光学系16Sの瞳面上の少なくとも1点、例えば光軸上でのジョーンズ行列J(o)を測定し、その点を基点として上で得た相対的な分布を積分すれば、実際の対物光学系16Sのジョーンズ行列J(o)のリー環表現が得られる。そのリー環表現を式(25)を用いてリー群に戻すことによって、ジョーンズ行列J(o)が求められて行列分離部58に供給される。そして、行列分離部58が、例えば式(24)に左側からジョーンズ行列J(o)の逆行列を乗じることで、投影光学系PLのジョーンズ行列J(p)を分離できる。この分離されたジョーンズ行列J(p)は結像特性制御部42に供給される。
なお、より簡単に対物光学系16Sのジョーンズ行列J(o)のリー環表現を求めるためには、例えばステップ111で求められる第1のジョーンズ行列のリー環表現を図8(A)に示す座標xのみの関数JALie、ステップ113で求められる第2のジョーンズ行列のリー環表現を図8(B)に示す座標xのみの関数JBLieとして、ステップ116では図8(C)に示す差分JABLie(=JALie−JBLie)を求めてもよい。この場合、図8(C)の差分JABLieには投影光学系PLのジョーンズ行列のリー環表現が含まれていないため、例えば対物光学系16Sの光軸上でのジョーンズ行列のリー環表現のみを計測して、差分JABLieを積算することで、位置k・Δx(kは整数)における対物光学系16Sのジョーンズ行列のリー環表現を求めることができる。位置k・Δx(kは整数)の間の値は前後の値の補間から求めてもよい。
次のステップ117において、結像特性制御部42は、例えば得られたジョーンズ行列J(p)の4つの要素を所定の基準値と比較し、偏差が大きい場合には、その偏差を相殺するように図1の駆動系12を介して投影光学系PLの結像特性を補正する。その後、ステップ118で例えば偏光照明を用いる露光工程が実行される。
本実施形態の作用効果は以下の通りである。
(1)本実施形態の投影光学系PLの偏光特性(ジョーンズ行列)算出方法によれば、投影光学系PL及び偏光測定装置16の対物光学系16Sを介して偏光状態の異なる複数の光(L1',L-1’,L2')のストークスパラメータを計測し、該計測結果に基づいて、投影光学系PL及び対物光学系16Sを合わせた光学系の第1のジョーンズ行列を求めるステップ101〜111と、投影光学系PLの瞳面と対物光学系16Sの瞳面との相対移動を行うステップ112と、投影光学系PL及び対物光学系16Sを介して偏光状態の異なる複数の光のストークスパラメータを計測し、該計測結果に基づいて、投影光学系PL及び対物光学系16Sを合わせた光学系の第2のジョーンズ行列を求めるステップ113と、その第1及び第2のジョーンズ行列のリー環表現上での差分情報を用いて投影光学系PL及び対物光学系16Sの個別のジョーンズ行列を求めるステップ115、116とを含んでいる。
従って、対物光学系16Sの偏光特性の影響を除去して、投影光学系PLの偏光特性を表すジョーンズ行列を求めることができる。
また、本実施形態の偏光測定装置16及び主制御系11(演算装置)を含む偏光特性算出装置によれば、その偏光特性算出方法を使用できる。
(2)また、本実施形態では、投影光学系PLの瞳面と対物光学系16Sの瞳面とを相対的に傾斜させている。これによって、その2つの瞳面を傾斜方向に相対的にシフトさせることができる。
なお、2つの瞳面を相対的にシフトさせるためには、偏光測定装置16を傾斜させる代わりに、例えば偏光測定装置16の入射面に回折格子を配置して、投影光学系PLからの光束を回折格子を介して受光してもよい。
(3)また、本実施形態では、ジョーンズ行列Jを式(26)で示すようにリー環によって表現している。この結果、ジョーンズ行列の積をリー環上での和で近似的に表すことができるため、投影光学系PLと対物光学系16Sとの瞳面を相対的にずらした計測結果の差分を求めることによって、対物光学系16Sのジョーンズ行列を容易に求めることができる。
(4)また、図1のDVD25に記憶された光学系の偏光特性算出用プログラムによって、図5の投影光学系PLの偏光変換特性を算出するための主制御系11(演算装置)は、投影光学系PL及び対物光学系16Sを介した偏光状態の異なる複数の光(L1',L-1’,L2')について計測される第1のストークスパラメータと、投影光学系PLの瞳面と対物光学系16Sの瞳面との相対移動を行った後で、投影光学系PL及び対物光学系16Sを介した偏光状態の異なる複数の光について計測される第2のストークスパラメータとを記憶する記憶部33と、その第1のストークスパラメータに基づいて、投影光学系PL及び対物光学系16Sを合わせた光学系の第1のジョーンズ行列を求めるジョーンズベクトル算出部35〜ジョーンズ行列乗算部41までの第1演算部と、その第2のストークスパラメータに基づいて、投影光学系PL及び対物光学系16Sを合わせた光学系の第2のジョーンズ行列を求めるジョーンズベクトル算出部35〜ジョーンズ行列乗算部41までの第2演算部と、その第1及び第2のジョーンズ行列のリー環表現での差分情報を用いて投影光学系PL及び対物光学系16Sの個別のジョーンズ行列を求める差分演算部56〜行列分離部58までの第3演算部としても機能している。
従って、この主制御系11を用いることによって、偏光測定装置16による所定の光のストークスパラメータの計測値に基づいて、偏光測定装置16の偏光測定装置16の偏光変換特性の影響を除いて投影光学系PLの偏光変換特性のみを表すジョーンズ行列を求めることができる。
(5)また、上記の実施形態の露光方法は、照明光でレチクルR(パターン)を照明し、その照明光でレチクルR及び投影光学系PLを介してウエハW(基板)を露光する露光方法において、上記の実施形態の偏光特性算出方法を用いて投影光学系PLの偏光変換特性としてのジョーンズ行列を算出するステップ101〜116と、その算出されたジョーンズ行列を考慮して、投影光学系PLの結像特性を補正する補正情報を算出し、その補正情報に基づいて投影光学系PLの結像特性を調整するステップ117とを備えている。
さらに、上記の実施形態の露光装置は、照明光でレチクルR(パターン)を照明し、その照明光でレチクルR及び投影光学系PLを介してウエハW(基板)を露光する露光装置において、投影光学系PLの偏光特性を算出する偏光測定装置16及び主制御系11を含む偏光特性算出装置と、その算出された偏光特性を考慮して投影光学系PLを調整する駆動系12を含む調整機構とを備えている。
従って、投影光学系PLの偏光特性を高精度に調整できるため、偏光照明を用いて高解像度で露光を行うことができる。
なお、投影光学系PLではなく、その偏光特性算出方法を用いて照明光学系ILSのジョーンズ行列を算出し、この結果に基づいて照明光学系ILSの調整を行うようにしてもよい。
なお、上記の実施形態では、式(33)の交換積の項を無視したが、より高精度に投影光学系PLの偏光特性を表すジョーンズ行列を求めるために、以下のように交換積の項を考慮してもよい。交換積の項を考慮すると、式(33)は次のようになる。
Figure 2012033661
従って、式(33)の近似が成り立つのは、次の場合である。
i (o)≒tj (p)<<1 (任意のi,jの組み合わせ) …(43)
調整された投影光学系PLと対物光学系16Sの場合は、ti (o),tj (p)<<1は成立しているが、ti (o)≒tj (p)(任意のi,jの組み合わせ)は必ずしも成立しない。ti (o)<<tj (p)となる(i,j)が存在する場合には、次のような繰り返し計算により上記のジョーンズ行列を修正する必要がある。
(ステップS1)
ここでは、3つの入射光L1,L-1,L2(図4(A)参照)の4個のストークスパラメータをそれぞれストークスベクトルS1 (in),S2 (in),S3 (in)で表し、入射光L1,L-1,L2に対応する3つの射出光L1',L-1’,L2'について計測される4個のストークスパラメータをそれぞれストークスベクトルS1 (out),S2 (out),S3 (out)で表す。この場合、測定値としてストークスベクトルの組Si (in),Si (out)(±Δx,±Δy)(i=
1,…,n(n≧3))が与えられている。そのSi (out)(±Δx,±Δy)は、入力Si (in)に対して、対物光学系16Sの瞳面を(±Δx,±Δy)だけずらして測定したことを意味する。この測定されたストークスベクトルからステップ101〜111の動作により、ジョーンズ行列J(x,y;±Δx,±Δy)の組とその次式のリー環表現JLieとが得られる。
Figure 2012033661
(ステップS2)
上記の実施形態の方法により、ジョーンズ行列J(x,y;0,0)を投影光学系PL及び対物光学系16Sのジョーンズ行列J(p)及びJ(o)に近似的に分離できる。この分離されたジョーンズ行列をJ0 (p)及びJ0 (o)と記述する。また、J0 (p)及びJ0 (o)に対応するミューラ行列をM0 (p)及びM0 (o)とする。
(ステップS3)
次式で表される新しいストークスベクトルの組を作る。
Figure 2012033661
(ステップS4)
入射光のストークスベクトルとしてT1i (in)、出射光のストークスベクトルとしてT1i (out)(±Δx,±Δy)を用い、ステップS1と同様にジョーンズ行列J1(x,y;±Δx,±Δy)の組とその次式のリー環表現J1Lieとを得る。
Figure 2012033661
(ステップS5)
ステップS2と同様に、ジョーンズ行列J1(x,y;0,0)を2つのジョーンズ行列J(p)及びJ(o)に分離し、以下の関係を求める。
1 (p)=J0 (p)(p),J1 (o)=J0 (o)(o)
1 (p),J1 (o)に対応するミューラ行列をM1 (p)及びM1 (o)とする。
(ステップS6)
ステップS3のミューラ行列M0 (p),M0 (o)をM1 (p),M1 (o)として順次ステップS3〜S5を繰り返し、ジョーンズ行列Jn(x,y;0,0)(n=1,2,…)を分解して得られるジョーンズ行列J(p),J(o)がともに単位行列に近くなったところで繰り返しを停止する。最後に得られたジョーンズ行列J(p)が投影光学系PLのジョーンズ行列である。
なお、上記の実施形態では、対物光学系16Sを傾斜させているが、図9に示すように、ステップ112に対応する工程で、偏光測定装置16を光軸の周りに角度Δφだけ回転した後、ステップ113と同様の工程を実行してもよい。この場合には、図9の対物光学系16Sの瞳面PP2上の極座標(R,φ)で表される位置53における2回のジョーンズ行列の計測結果のリー環表現の差分が、対物光学系16Sのみのジョーンズ行列の角度φ方向の差分となる。従って、例えば予め角度φが0の直線上での対物光学系16Sのジョーンズ行列を求めておくことによって、任意の半径R及び角度k・Δφ(k=1,2,…)での対物光学系16Sのジョーンズ行列のリー環表現を求めることができ、そのジョーンズ行列を用いて投影光学系PLのジョーンズ行列を求めることができる。
この場合には、半径Rの大きい領域でも高精度にジョーンズ行列を求めることができる。
また、上記の実施形態では、計測で得られたジョーンズ行列をリー環表現に変換して2つのジョーンズ行列に分離しているが、計測で得られたジョーンズ行列から行列のままで演算によって2つのジョーンズ行列を分離することも可能である。
なお、本発明は、投影光学系だけでなく、照明光学系を測定対象とすることができる。また、投影光学系、照明光学系だけでなく、各種、偏光光を用いる光学装置、例えば、加工装置、検査装置等の光学系を測定対象にすることも可能である。
また、本発明は、半導体デバイス製造用の露光装置への適用に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスやマスク自体を製造するための露光装置にも広く適用できる。
このように本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
ILS…照明光学系、PL…投影光学系、R…レチクル、W…ウエハ、3…偏光状態可変部、11…主制御系、12…駆動系、15…光電検出器、16…偏光計測装置、18…波面収差測定器、22A〜22C…偏光ビームスプリッタ(PBS)

Claims (13)

  1. 光学系の偏光特性を算出する方法であって、
    被計測光学系及び計測用光学系を介して偏光状態の異なる複数の光のストークスパラメータを計測し、該計測結果に基づいて、前記被計測光学系及び前記計測用光学系を合わせた光学系の第1のジョーンズ行列を求める第1工程と、
    前記被計測光学系の瞳面と前記計測用光学系の瞳面との相対移動を行う第2工程と、
    前記被計測光学系及び前記計測用光学系を介して偏光状態の異なる複数の光のストークスパラメータを計測し、該計測結果に基づいて、前記被計測光学系及び前記計測用光学系を合わせた光学系の第2のジョーンズ行列を求める第3工程と、
    前記第1及び第2のジョーンズ行列の差分情報を用いて前記被計測光学系及び前記計測用光学系の個別のジョーンズ行列を求める第4工程と、
    を含むことを特徴とする光学系の偏光特性算出方法。
  2. 前記第2工程は、前記被計測光学系の瞳面と前記計測用光学系の瞳面とを相対的に傾斜させることを特徴とする請求項1に記載の光学系の偏光特性算出方法。
  3. 前記第2工程は、前記被計測光学系と前記計測用光学系とを光軸の周りに相対的に回転させることを特徴とする請求項1に記載の光学系の偏光特性算出方法。
  4. 前記第4工程は、前記第1及び第2のジョーンズ行列をリー環で表現する工程を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光学系の偏光特性算出方法。
  5. 光学系の偏光特性を算出する装置であって、
    被計測光学系を通過した偏光状態の異なる複数の光を計測用光学系を介して受光して、前記複数の光のストークスパラメータを計測する計測装置と、
    前記被計測光学系の瞳面と前記計測用光学系の瞳面との相対移動を行う相対移動機構と、
    演算装置とを備え、前記演算装置は、
    前記計測装置の計測結果に基づいて、前記被計測光学系及び前記計測用光学系を合わせた光学系の第1のジョーンズ行列を求め、
    前記相対移動機構によって前記被計測光学系の瞳面と前記計測用光学系の瞳面との相対移動が行われた後の前記計測装置の計測結果に基づいて、前記被計測光学系及び前記計測用光学系を合わせた光学系の第2のジョーンズ行列を求め、
    前記第1及び第2のジョーンズ行列の差分情報を用いて前記被計測光学系及び前記計測用光学系の個別のジョーンズ行列を求めることを特徴とする光学系の偏光特性算出装置。
  6. 前記相対移動機構は、前記被計測光学系の光軸と前記計測用光学系の光軸とを相対的に傾斜させる機構であることを特徴とする請求項5に記載の光学系の偏光特性算出装置。
  7. 前記相対移動機構は、前記被計測光学系と前記計測用光学系とを光軸の周りに相対的に回転させる機構であることを特徴とする請求項5に記載の光学系の偏光特性算出装置。
  8. 前記演算装置は、前記第1及び第2のジョーンズ行列をリー環で表現することを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の光学系の偏光特性算出装置。
  9. 光学系の偏光特性を算出するために、コンピュータを、
    被計測光学系及び計測用光学系を介した偏光状態の異なる複数の光について計測される第1のストークスパラメータと、前記被計測光学系の瞳面と前記計測用光学系の瞳面との相対移動を行った後で、前記被計測光学系及び前記計測用光学系を介した偏光状態の異なる複数の光について計測される第2のストークスパラメータとを記憶する記憶手段、
    前記第1のストークスパラメータに基づいて、前記被計測光学系及び前記計測用光学系を合わせた光学系の第1のジョーンズ行列を求める第1演算手段、
    前記第2のストークスパラメータに基づいて、前記被計測光学系及び前記計測用光学系を合わせた光学系の第2のジョーンズ行列を求める第2演算手段、並びに
    前記第1及び第2のジョーンズ行列の差分情報を用いて前記被計測光学系及び前記計測用光学系の個別のジョーンズ行列を求める第3演算手段
    として機能させるための光学系の偏光特性算出用プログラム。
  10. 前記第3演算手段は、前記第1及び第2のジョーンズ行列をリー環を用いて表現することを特徴とする請求項9に記載の光学系の偏光特性算出用プログラム。
  11. 請求項9又は請求項10に記載の光学系の偏光特性算出用プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  12. 光源から射出された照明光を光学系を介して基板に導き、前記照明光で前記基板を露光する露光方法において、
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光学系の偏光特性算出方法を用いて前記光学系の偏光特性を算出する工程と、
    前記算出された偏光特性を考慮した調整情報に基づいて前記光学系を調整する工程と、を含むことを特徴とする露光方法。
  13. 光源から射出された照明光を光学系を介して基板に導き、前記照明光で前記基板を露光する露光装置において、
    請求項5から請求項8のいずれか一項に記載の光学系の偏光特性算出装置と、
    前記偏光特性算出装置によって算出された前記光学系の偏光特性を考慮して前記光学系を調整する調整機構と、を備えることを特徴とする露光装置。
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