JP2012031988A - 鋼管用ねじ継手 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ピンノーズ外周面に雄ねじ7側から順に第1、第2の複合R曲線22、32をそれぞれ母線とする面形状の第1、第2のシール部形成箇所を設け、ボックス部材1のノーズ部8内周面に、これを前記第1、第2のシール部形成箇所と干渉させるための、第1、第2のテーパ面21,31形状をもたせることで、ピン部材3とのねじ結合時に、ノーズ部8に第1、第2のシール部20,30が形成されるようにした。
【選択図】図1
Description
これら、特許文献1,2に記載されるように、シール部位置をピンのねじ部位置近くに置き、ピンノーズ先端から離すことは、耐外圧性能、耐引張性能の向上とともに、ねじに対して安定的な性能を持たせる上で有効であり、それはFEMシミュレーション等からも確認できる。またシール部と不連続な形状となるピンノーズは、強い軸圧縮力が負荷された場合に、それ自体が変形し、ボックス部材のトルクショルダ部の塑性変形を軽減させる効果もある。しかし、一方で、不連続部に不正な変形が入ることもあり、これは締付けトルクに依存すると考えられる。
以上説明したように、従来提案されているねじ継手においては、未だ何らかの問題を有しており、上述した耐圧縮性能、耐曲げ性能、外圧シール性能など、ねじ継手への要求性能の多様化に十分応えるためには、更なる改良の余地がある。本発明は、このような事情に鑑みて、シール性と耐圧縮性、さらには、耐ゴーリング性を向上させた、鋼管用ねじ継手を提供することを目的とする。
(1) 雄ねじ部と、該雄ねじ部より管端側に延在するノーズ部と、該ノーズ部の先端に設けられたショルダ部とを有するピン部材と、
前記雄ねじ部とねじ結合される雌ねじ部と、前記ピン部材のノーズ部外周面に相対するノーズ部内周面と、前記ピン部材のショルダ部に当接するショルダ部とを有するボックス部材とを有し、
前記ねじ結合により前記ピン部材とボックス部材とが結合されてピン部材のノーズ部外周面とボックス部材のノーズ部内周面とが継手軸方向の2箇所でメタル‐メタル接触しその2つの接触箇所がそれぞれ、前記ノーズ部の先端から遠くて比較的長い第1のシール部と、ショルダ部に近くて比較的短い第2のシール部とをなす鋼管用ねじ継手であって、
前記ピン部材の第1のシール部形成箇所ではノーズ部外周面の母線が、雄ねじ部に隣接する円筒形状部の母線に相異なる曲率半径Rを有する複数の円弧をピン軸方向断面視で外側に凸状となるように順次滑らかに接続してなる第1の複合R曲線であり、該第1の複合R曲線は、雄ねじ部から遠ざかるにつれて曲率半径Rが大きくなるものとし、
前記ボックス部材のノーズ部内周面は、前記ねじ結合時にピン部材の前記第1、第2のシール部形成箇所とそれぞれ干渉する第1、第2のテーパ面を含むものとした
ことを特徴とする、鋼管用ねじ継手。
(2) 前記第1の複合R曲線内の各円弧がなす角度は、前記雄ねじ部に近い円弧のものほど大きいことを特徴とする前記(1)に記載の鋼管用ねじ継手。
(3) 前記第1の複合R曲線内の円弧の接続点のいずれかが前記ボックス部材の第1のテーパ面のタンジェントポイントになることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の鋼管用ねじ継手。
(4) 前記第1のテーパ面は、ボックス軸方向となす角度が10度以内であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
(5) 前記ピン部材のノーズ部の長さが20mm以上であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
(6) 前記ピン部材の第2のシール部形成箇所ではノーズ部外周面の母線が、前記第1の複合R曲線に滑らかに接続される曲線であって、相異なる曲率半径Rを有する複数の円弧をピン軸方向断面視で外側に凸状となるように順次滑らかに接続してなる第2の複合R曲線であり、該第2の複合R曲線は、雄ねじ部から遠ざかるにつれて曲率半径が小さくなるものとしたことを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
(7) 前記第2のテーパ面は、ボックス軸方向となす角度が45度以内であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
(8) 前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とは、スタブフランク角度が0度〜30度の範囲内であることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
(9) 前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とは、ロードフランク角度が−5度〜4度の範囲内であることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
(10) 前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とは、ねじ結合時のねじ隙間が0.01〜0.1mmの範囲内であることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
(11) 前記ショルダ部のショルダ角度が0度〜20度の範囲内であることを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
(12) 前記雄ねじ部及び雌ねじ部のねじテーパ量が1/32〜1/12の範囲内であることを特徴とする前記(1)〜(11)のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
(13) 前記第2のシール部のシール干渉量を前記第1のシール部のそれと同じか、それよりも小さくしたことを特徴とする前記(1)〜(12)のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
(14) 前記(1)〜(13)のいずれかにおいて、順次滑らかに接続してなる曲線に代えて、順次滑らかに直接もしくは線分を介して接続してなる曲線としたことを特徴とする鋼管用ねじ継手。
(i)ねじ結合時に、ピン部材のノーズ部外周面とボックス部材のノーズ部内周面とが継手軸方向の2箇所でメタル‐メタル接触しその2つの接触箇所がそれぞれ、ノーズ先端から離れて比較的長い第1のシール部と、ショルダ部に近くて比較的短い第2のシール部とをなすようにすること、
(ii) ピン部材の第1のシール部形成箇所ではノーズ部外周面の母線が、雄ねじ部に隣接する円筒形状部の母線に相異なる曲率半径Rを有する複数の円弧をピン軸方向断面視で外側に凸状となるように順次(直接もしくは線分を介して)滑らかに接続してなる曲線すなわち第1の複合R曲線であり、該第1の複合R曲線は、雄ねじ部から遠ざかるにつれて曲率半径Rが大きくなるものとすること、及び
(iii) ボックス部材のノーズ部内周面は、前記ねじ結合時にピン部材の前記第1、第2のシール部形成箇所とそれぞれ干渉する第1、第2のテーパ面を含むものとすること、
という条件を満たすことで、ピンノーズ先端の厚みを小さくせずに、シール部をねじ部に近づけることが可能であるとの発想に至った。
第1の複合R曲線内の円弧の曲率半径Rを雄ねじ部7から遠ざかるほど大きくなるように(R1<R2<R3)したことにより、ピンノーズ8先端のショルダ部12の厚み(ショルダ厚み)tを大きくとることが可能となる。
ここで、第1の複合R曲線内の各円弧N1,N2,N3のなす角度θ1,θ2,θ3は、雄ねじ部7に近い円弧のものほど大きい(すなわち、θ1>θ2>θ3である)ことが好ましい。さもないと、限られたピン部材3のノーズ部8の長さ(図1(a)中のピンノーズ長さL)あるいは限られた第1のシール部の長さ(第1のシール接触長さという)の中で第1の複合R曲線を設計するのが困難となる。
ピンノーズ長さLは、20mm以上であることが好ましい。これによれば、シール部がピンノーズ先端から十分離間し、その結果、この離間距離範囲内の弾性変形により、シール部へのダメージをより大きく軽減できるため、シール性能の安定化に効果的である。シール性能が安定化するため、第1のシール干渉量S1(図1(c)参照)は、半径方向シール方式としては比較的小さくとることが可能であり、ゴーリングリスクが小さい。
上記のノーズ部の形状限定に加えて、雄ねじ部と雌ねじ部とについて、ロードフランク角度、スタブフランク角度、ねじ隙間、ねじデーパ量のいずれか1種又は2種以上を好適範囲に規定することで、それらの組み合わせ効果によって、よりシール性能が全体的に向上することが確認された。ここで、ロードフランク角度は、図5に示すロードフランク角度β、すなわち、ロードフランク面18が継手軸直交面(ねじ継手の軸方向と直交する面の意。以下同じ)に対してなす角度βである。また、スタブフランク角度は、図5に示すスタブフランク角度γ、すなわち、スタブフランク面19が継手軸直交面に対してなす角度γである。また、ねじ隙間は、図5に示すねじ隙間G、すなわち、雄ねじのねじ山7aとこれに噛み合う雌ねじのねじ溝5aとの隙間Gである。また、ねじテーパ量は、雄ねじ(又は雌ねじ)のねじ山頂部(又はねじ溝底部)を通るテーパ面が継手軸方向となす角度のタンジェント値である。
スタブフランク角度γの好適範囲は0度〜30度であり、該好適範囲の下限はねじ部の耐ゴーリング性と工具寿命の観点から、上限は耐軸圧縮性の観点から、それぞれ定められた。
ロードフランク角度、スタブフランク角度、ねじ隙間、ねじテーパ量の1種又は2種以上を上記のとおりに規定することによるシール性能の全体的向上効果は、特に、一旦軸圧縮を負荷した後の軸引張+内圧もしくは外圧を負荷する条件下で顕著である。
また、ショルダ部のショルダ角度(ショルダ部の継手軸方向の端面が継手軸直交面に対してなす角度であり、当該界面のピン外周側がピン内周側からみて継手軸方向外側に張り出す場合を正の角度とする)は、0度〜20度であることが好ましい。ショルダ角度が0度未満ではシール性能や締め付け特性の点で不利となり、一方、20度超ではボックスショルダ部の塑性変形や、シール部の局所変形が発生し易いという点で不利となる。好ましくは15度以下がよい。更に状況に応じては、7度以下が好ましい。
また、比較として、
・比較例1:ピンノーズ8の外周面の母線を単一のRを有する凸状の曲線(図1に破線で示した単一R曲線M)形状とし、かつ第2のシール部は設けないとした場合、
・比較例2:ピン部材の第1のシール部形成箇所のノーズ部外周面の母線を第1の複合R曲線としたが、円弧のRが雄ねじ部7から遠ざかるほど大きくなるという要件を満たさないとした場合、
について、同様に接触面積圧およびゴーリング指標を求めた。
3 ピン(ピン部材)
5 雌ねじ(雌ねじ部)
5a 雌ねじのねじ溝
7 雄ねじ(雄ねじ部)
7a 雄ねじのねじ山
8 ノーズ部(ピンノーズ)
11、13 シール部(詳しくはメタルタッチシール部)
12、14 ショルダ部(詳しくはトルクショルダ部)
18 ロードフランク面
19 スタブフランク面
20 第1のシール部
21 第1のテーパ面
22 第1の複合R曲線
30 第2のシール部
31 第2のテーパ面
32 第2の複合R曲線
40 円筒面部
Claims (14)
- 雄ねじ部と、該雄ねじ部より管端側に延在するノーズ部と、該ノーズ部の先端に設けられたショルダ部とを有するピン部材と、
前記雄ねじ部とねじ結合される雌ねじ部と、前記ピン部材のノーズ部外周面に相対するノーズ部内周面と、前記ピン部材のショルダ部に当接するショルダ部とを有するボックス部材とを有し、
前記ねじ結合により前記ピン部材とボックス部材とが結合されてピン部材のノーズ部外周面とボックス部材のノーズ部内周面とが継手軸方向の2箇所でメタル‐メタル接触しその2つの接触箇所がそれぞれ、前記ノーズ部の先端から遠くて比較的長い第1のシール部と、ショルダ部に近くて比較的短い第2のシール部とをなす鋼管用ねじ継手であって、
前記ピン部材の第1のシール部形成箇所ではノーズ部外周面の母線が、雄ねじ部に隣接する円筒形状部の母線に相異なる曲率半径Rを有する複数の円弧をピン軸方向断面視で外側に凸状となるように順次滑らかに接続してなる第1の複合R曲線であり、該第1の複合R曲線は、雄ねじ部から遠ざかるにつれて曲率半径Rが大きくなるものとし、
前記ボックス部材のノーズ部内周面は、前記ねじ結合時にピン部材の前記第1、第2のシール部形成箇所とそれぞれ干渉する第1、第2のテーパ面を含むものとした
ことを特徴とする、鋼管用ねじ継手。 - 前記第1の複合R曲線内の各円弧がなす角度は、前記雄ねじ部に近い円弧のものほど大きいことを特徴とする請求項1に記載の鋼管用ねじ継手。
- 前記第1の複合R曲線内の円弧の接続点のいずれかが前記ボックス部材の第1のテーパ面のタンジェントポイントになることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼管用ねじ継手。
- 前記第1のテーパ面は、ボックス軸方向となす角度が10度以内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
- 前記ピン部材のノーズ部の長さが20mm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
- 前記ピン部材の第2のシール部形成箇所ではノーズ部外周面の母線が、前記第1の複合R曲線に滑らかに接続される曲線であって、相異なる曲率半径Rを有する複数の円弧をピン軸方向断面視で外側に凸状となるように順次滑らかに接続してなる第2の複合R曲線であり、該第2の複合R曲線は、雄ねじ部から遠ざかるにつれて曲率半径が小さくなるものとしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
- 前記第2のテーパ面は、ボックス軸方向となす角度が45度以内であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
- 前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とは、スタブフランク角度が0度〜30度の範囲内であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
- 前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とは、ロードフランク角度が−5度〜4度の範囲内であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
- 前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とは、ねじ結合時のねじ隙間が0.01〜0.1mmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
- 前記ショルダ部のショルダ角度が0度〜20度の範囲内であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
- 前記雄ねじ部及び雌ねじ部のねじテーパ量が1/32〜1/12の範囲内であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
- 前記第2のシール部のシール干渉量を前記第1のシール部のそれと同じか、それよりも小さくしたことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
- 請求項1〜13のいずれかにおいて、順次滑らかに接続してなる曲線に代えて、順次滑らかに直接もしくは線分を介して接続してなる曲線としたことを特徴とする鋼管用ねじ継手。
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