JP2012029000A - ドップラ歪補償器およびそれを有する増幅装置 - Google Patents

ドップラ歪補償器およびそれを有する増幅装置 Download PDF

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Abstract

【課題】音響再生装置において、再生される音に含まれるスピーカによるドップラ歪成分を抑制する。
【解決手段】スピーカの振動板の変位を推定する手段を設け、推定した振動板の変位の0次からn次までのべき乗と音源信号の0階からn階までの時間微分信号とのそれぞれの積をとり、それぞれの積に対してそれぞれ係数を掛けたものの総和を取ることによって得られた信号に従いスピーカを駆動することによりドップラ歪が相殺された再生音を得ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、音声を発するスピーカで発生するドップラ歪を増幅器の段階で予め補償するドップラ歪補償装置に関するものである。
増幅器とスピーカを組み合わせた音声再生装置において、増幅器において発生する歪に関しては小さくすることが比較的容易にできる。しかし、スピーカにおいては、原理上、ドップラ歪と呼ばれる歪が発生してしまい、このことがスピーカによって発せられる音に歪をもたらせてしまっている。ドップラ歪はスピーカの他の非線形要因による歪に比べて小さい場合が多いが、音感上に対する影響は無視できない場合が多い。
ドップラ歪とは、スピーカの振動板の振動によるドップラ効果によって発する音の周波数が元の信号の周波数からずれることにより生成される歪である。すなわち、スピーカの振動板の移動速度に比例した周波数シフトにより発生する歪である。これをスピーカの振動板の変位の観点で考えると、発生する音圧が本来の音圧に対して振動板変位を音速で割った時間だけ時間方向にずれるといった現象であるととらえることができる。
スピーカの非線形歪に対しては、特許文献1において、増幅器の段階で予め補償する方法が提案されている。しかし、ドップラ歪のような変動する無駄時間として現れる歪に対してはブラックボックス的なアプローチでは広い周波数範囲にわたって精度良く補償することは容易ではないといった問題がある。
特開2005−80314号公報
解決しようとする課題は、スピーカで発生するドップラ歪を予め音声信号の段階で精度良く補償することによって、スピーカと増幅器を合わせたシステムによって発生するドップラ歪を低減することである。
上記課題を解決するため、スピーカの振動板の変位を推定する手段を設ける。スピーカの振動板変位を知ることができれば、スピーカで発生するドップラ歪を音声入力信号から知ることができる。ただし、音声入力信号は増幅器のボリューム処理を経た信号である。
まず、単一のスピーカを駆動する場合について考える。同等の複数のスピーカを駆動する場合についても同様に考えることができる。ドップラ歪はスピーカのコーン変位の速度によって観測者が観測する音の周波数がスピーカを駆動する信号の周波数に対してシフトすることによるものであると解釈することもできるが、スピーカのコーン変位によって観測者が観測する音の位相が変化することによって発生する歪であるという解釈もできる。この二つの解釈は考え方の相違によるものであり、同等のものである。
図2に示すシステムを考える。いま、スピーカ3のコーンの変位をp(t)とする。ただし、tは時刻である。また、補償器1への入力信号をu(t)、補償器1の出力信号をv(t)、観測者が観測する音圧をso(t)、微小信号に対するv(t)からso(t)への伝達をG(s)とする。また、ドップラ歪を含まない場合の観測者が観測する音圧をs(t)とする。すなわち、
(数1)
S(s) = G(s)V(s)
とする。ただし、V(s)はv(t)のラプラス変換であり、S(s)はs(t)のラプラス変換である。スピーカ3の振動板の変位p(t)は、v(t)からp(t)までの伝達関数H(s)を予め実験的に測定しておくものとする。すると、信号v(t)に対して伝達関数H(s)を持つフィルタを作用させることにより p(t)を推定することができる。
(数2)
P(s) = H(s)V(s)
ただし、P(s)はp(t)のラプラス変換である。このとき、微小ではないv(t)に対して観測者が観測する音圧は
(数3)
so(t) = s(t-p(t)/c)
となる。ただし、cは音速である。このように、スピーカによるドップラ歪は可変である無駄時間として表される。したがって、
(数4)
v(t) = u(t+p(t)/c)
とすることによりドップラ歪が補償されることになる。しかし、未来の信号の値は未知であるし、過去の任意の時刻の信号を精度よく再生することも多くのハードウェア資源を要するといった問題点を持つ。
そこで、信号u(t)を時刻tにおいてテーラー級数展開し時間多項式により近似することで、u(t+p(t)/c)の値を推定する。
ただし、nは時間多項式の次数である。ここで、nの値が1のときは
となり、nの値が2のときは次式のようになる。
信号u(t)の時間微分の信号は信号u(t)に微分フィルタを作用させることによりその値を推定することができる。
(数8)
D1(s) = F1(s)U(s)
(数9)
D2(s) = F2(s) F1(s)U(s)
ただし、D1 (s)は信号u(t)の1階時間微分の推定値のラプラス変換、D2(s)は信号u(t)の2階時間微分の推定値のラプラス変換であり、F1(s)およびF2(s) はともに1階時間微分を行う伝達関数である。厳密には1階時間微分を取るには伝達関数sを作用させればよく、2階時間微分を取るには伝達関数s2を作用させればよいが、実際にはそのようにすると重畳している雑音が増幅されてしまうので、ある程度以上の周波数においてゲインがあまり上昇しないように伝達関数F1(s)およびF2(s)を設計する。
以上の信号処理はアナログフィルタとアナログ乗算器などを用いて連続時間処理により実現してもよいが、デジタル信号処理を用いて離散時間信号処理をしても良い。音源信号がPCM信号であるとき、デジタル信号処理により実現することにより処理のコストを下げることができる上、所望の精度での演算が容易になる。
離散時間処理により上述の処理を実現することに対する一つの利点は信号u(t)の1階および2階微分の値を求める際にFIRフィルタを用いることができることである。信号の1階および2階微分を求めるフィルタを設計する際には高周波成分に対するゲインの増加を抑制する必要がある。ゲイン特性を理想的なものから変えてしまうと、一般的には位相特性も変化してしまう。しかし、歪対称型または対称型FIRフィルタを用いることにより位相特性をずらさずにゲイン特性のみを変化させることができるので、位相特性を変化させることなくゲイン特性を自由に設計することができる。この場合、1階または2階微分を求める際に一定時間の遅れ時間を持ってしまうので、0階時間微分信号であるu(t)に対しても一定の時間遅れを適用する必要がある。遅延演算を行う要素もFIRフィルタの一種であると考えることができる。
スピーカとして複数種類のスピーカを一つの増幅器出力信号または同一の増幅器出力信号により駆動する場合がある。このようなマルチウェイ・スピーカを使用する場合、複数種類のスピーカの内、特に聴感に与えるドップラ歪の影響が支配的であるものが1種類である場合が多い。例えばウーハーとツイータからなる2ウェイスピーカの場合、ウーハーにより発生するドップラ歪が聴感としては支配的となる。このような場合、ウーハーから発せられる音に対してだけのみドップラ歪補償を行うことが有効である。すなわち、ウーハーの振動板の変位の推定値をp(t)とし、増幅器の入力v(t)からp(t)までの伝達関数H(s)はウーハーに対する動特性に対して適用する。このとき、伝達関数H(s)は増幅器の出力信号をウーハーとツイータへの供給信号に分離するネットワークの動特性を含むものとする。このようにすると、ウーハーの振動板変位の推定値p(t)によってツイータから発生される音に対しても合理的ではない補償が掛かってしまうが、ウーハーとツイータのクロスオーバー周波数以上の周波数帯域においてはウーハーの振動板の変位よりもツイータの振動板の変位の方が振幅が相当に大きいので、ツイータから発せられる音に対しては大きな影響をもたらさない。
ウーハーとツイータからなる2ウェイスピーカにサブウーハーと呼ばれるウーハーよりもさらに低域の音を再生するスピーカを付加した場合においてもウーハーにより発生するドップラ歪が聴感として支配的になる場合が多い。サブウーハーにより発生させる音に対してドップラ歪が聴感上気になる帯域の信号を十分に抑制させる場合が多いためである。また、ロングストローク型のサブウーハーを用いる際には、サブウーハーの再生帯域においてサブウーハーの振動板の変位の振幅はウーハーの振動板の変位の振幅よりも大きい場合が多い。したがって、この場合もウーハーから発せられる音に対してだけのみドップラ歪補償を行うことが有効である。すなわち、ウーハーの振動板の変位の推定値をp(t)とし、増幅器の入力v(t)からp(t)までの伝達関数H(s)はウーハーに対する動特性に対して適用する。このとき、伝達関数H(s)はネットワークの動特性を含むものとする。
以上のことを応用し、課題を解決する手段として局面ごとに記載する。
本発明第1の局面として、音声入力信号を入力し、スピーカを駆動する増幅器の入力信号となるスピーカ駆動指令信号を出力するドップラ歪補償器において、スピーカの振動板の変位を推定する手段である変位推定器を用意し、音声入力信号の1階からn階(ただしnは1以上の整数)までの時間微分と変位推定器によって推定された振動板の変位の1次からn次までのべき乗とのそれぞれの積に対してそれぞれ適当な係数を乗じて総和をとったものをドップラ歪補償信号とし、音声入力信号にドップラ歪補償信号を加算することにより、スピーカ駆動指令信号を生成する。このスピーカ駆動指令信号の算出方法は次のように表現することができる。スピーカ駆動指令信号は音声入力信号の0階からn階(ただしnは1以上の整数)までの時間微分と変位推定器によって推定された振動板の変位の0次からn次までのべき乗とのそれぞれの積にそれぞれの係数を乗じた信号の総和である。
本発明第2の局面は、本発明第1の局面のドップラ歪補償器において、変位推定器をスピーカ駆動指令信号からスピーカの振動板の変位までの動特性を模擬するシミュレータとし、この変位推定器にスピーカ駆動指令信号を入力することによって振動板の変位を推定する。
本発明第3の局面は、本発明第1の局面のドップラ歪補償器において、変位推定器をスピーカ駆動指令信号からスピーカの振動板の変位までの動特性を模擬するシミュレータとし、スピーカ駆動指令信号は音声入力信号との相対的差異が小さいことを利用し、近似的にこの変位推定器に音声入力信号を入力することによって振動板の変位を推定する。このことにより、変位推定器を含む信号のループはなくなるので、変位推定器の離散時間系における伝達関数として相対次数0のものを用いることができるようになる。
本発明第4の局面は、音声入力信号を入力し、スピーカを駆動する増幅器の入力信号となるスピーカ駆動指令信号を出力するドップラ歪補償器において、スピーカの振動板の変位を示す振動板変位信号を外部から入力する手段を用意し、音声入力信号の1階からn階(ただしnは1以上の整数)までの時間微分と外部から入力された振動板変位信号の1次からn次までのべき乗とのそれぞれの積に対してそれぞれ適当な係数を乗じて総和をとったものをドップラ歪補償信号とし、音声入力信号にドップラ歪補償信号を加算することにより、スピーカ駆動指令信号を生成する。このスピーカ駆動指令信号の算出方法は次のように表現することができる。スピーカ駆動指令信号は音声入力信号の0階からn階(ただしnは1以上の整数)までの時間微分と外部から入力された振動板変位信号の0次からn次までのべき乗とのそれぞれの積にそれぞれの係数を乗じた信号の総和である。振動板変位信号を生成する手段としては、スピーカの振動板の変位を直接測定するなどの手段を用いる。
本発明第5の局面は、本発明第1の局面から第4の局面におけるドップラ歪補償器において、音声入力信号の1階からn階までの時間微分を算出する際に、1階からM階(Mは1以上n以下の整数)までの時間微分を離散時間フィルタであるFIRフィルタを用いて算出するものである。その際、ドップラ歪補償信号を加算する音声入力信号(0階微分に相当)に対して遅延演算を行う必要がある。遅延演算を行うフィルタもFIRフィルタとして実現する。したがって、このことは、音声入力信号の0階からM階(Mは1以上n以下の整数)までの時間微分をFIRフィルタを用いて算出するというように表現することができる。時間微分演算にFIRフィルタを用いることにより、周波数応答のゲイン特性を直線位相特性を維持しながら設計することを可能にする。音声入力信号の(M+1)階からn階までの時間微分信号が必要な場合においては、音声入力信号のM階時間微分信号に対してIIRフィルタ等を作用さて求める。IIRフィルタの方がFIRフィルタに比べて次数を低くすることができる場合が多いので、計算量の低減につながる。
本発明第6の局面は、本発明第1の局面から第4の局面におけるドップラ歪補償器において、音声入力信号の0階からL階(Lは1以上n以下の整数)までの時間微分をドップラ歪補償器の外部から入力するものである。音声入力信号を生成するフィルタがドップラ歪補償器の外部に存在し、そのフィルタに少し手を加えるだけで音声入力信号の時間微分の信号が得られる場合は、音声入力信号の時間微分の信号をドップラ歪補償器の外部において算出した方が得策となる。外部から入力される時間微分の階数(L)が必要な階数(n)に届かない場合は、必要に応じて音声入力信号のL階時間微分信号をドップラ歪補償器の内部においてさらに時間微分する必要がある。
本発明第7の局面は、本発明第1の局面から第6の局面におけるドップラ歪補償器において、nの値を1とするものである。この場合、ドップラ歪補償を数6に示す1次近似を用いて行うことになる。スピーカの振動板の変位があまり大きくない場合は1次近似を用いたドップラ歪補償によっても効果が十分である場合が多いし、高次の近似を用いた場合に対してドップラ歪補償演算における計算量を抑えることができる。
本発明第8の局面は、本発明第1の局面から第6の局面におけるドップラ歪補償器において、nの値を2とするものである。この場合、ドップラ歪補償を数7に示す2次近似を用いて行うことになる。スピーカの振動板の変位が大大きい場合や高音質が求められる場合は、1次近似を用いたドップラ歪補償よりもさらに精度の高い2次近似を用いた方が効果的である場合がある。
本発明第9の局面は、マルチウェイ・スピーカを用いる場合に対してのドップラ歪補償器を有する増幅装置に関するものである。すなわち、1チャネル当たり、一つの音声入力信号を入力し、一つのスピーカ駆動指令信号に従って生成される一つの又は複数で同一のスピーカ駆動信号を出力する増幅装置において、音声入力信号を入力しスピーカ駆動指令信号を出力する本発明第1の局面から第8の局面の何れかのドップラ歪補償器とスピーカ駆動指令信号を入力しスピーカ駆動信号を出力する増幅器から成り、複数のスピーカを駆動するものであり、推定された、もしくは外部から入力された振動板の変位は、その増幅装置により駆動するどれか一つのスピーカの振動板の変位であるものである。この場合、ドップラ歪補償されるスピーカは1種類だけとなるが、マルチウェイ・スピーカを用いる場合、複数種類のスピーカのうち1種類のスピーカだけがドップラ歪を支配的に発生させる場合が多いので、そのドップラ歪を支配的に発生させるスピーカの振動板変位を用いてドップラ歪補償を行う。
本発明のドップラ歪補償機能を有する増幅器を用いることにより、スピーカによって発生するドップラ歪を補償することができ、ドップラ歪補償手段を持たない場合に対してスピーカから再生される音の品質を改善することができる。
本発明第1の実施の形態における音声再生装置の構成を示すブロック図 本発明第1の実施の形態におけるマルチウェイ・スピーカに対する音声再生装置の構成を示すブロック図 本発明第1の実施の形態におけるサブウーハーを有する場合に対する音声再生装置の構成を示すブロック図 本発明第2の実施の形態における音声再生装置の構成を示すブロック図 本発明第3の実施の形態における音声再生装置の構成を示すブロック図 本発明第4の実施の形態における音声再生装置の構成を示すブロック図 本発明第5の実施の形態における音声再生装置の構成を示すブロック図 本発明第5の実施の形態における音声再生装置の他の構成を示すブロック図 本発明第5の実施の形態における音声再生装置の他の構成を示すブロック図 本発明第6の実施の形態における音声再生装置の構成を示すブロック図 本発明第6の実施の形態における音声再生装置の他の構成を示すブロック図 本発明第6の実施の形態における音声再生装置の構成を示すブロック図 本発明第1の実施の形態におけるマルチアンプの場合に対する音声再生装置の構成を示すブロック図
本発明の第1の実施の形態を図1に示す。音声入力信号u(t)はボリューム処理を施された信号である。ドップラ歪補償器1は音声入力信号u(t)を入力し、スピーカ駆動指令信号v(t)を出力する。スピーカ駆動指令信号v(t)は増幅器2により増幅されスピーカ3を駆動する。ドップラ歪補償器1はスピーカ3において発生するドップラ歪を補償したスピーカ駆動指令信号v(t)を出力するので、結果としてスピーカ3から発生される音圧信号はドップラ歪が相殺されたものとすることができる。
ドップラ歪補償器1の動作は次のようである。スピーカ駆動指令信号v(t)からスピーカ3のコーン変位への伝達関数をあらかじめ実験的方法などにより求めておき、その伝達関数をH(s)とする。変位推定フィルタ13は伝達関数H(s)を持つものであり、スピーカ駆動指令信号v(t)を入力し、スピーカ3の振動板変位信号p(t)を出力する。一方、1階微分フィルタ11は伝達関数F1(s)を持つものであり、入力信号である音声入力信号u(t)の1階微分の値に適当な係数を乗じた信号である1階微分信号d1(t)を出力するものである。1階微分信号d1(t)は乗算器141において振動板変位信号p(t)と掛け合わされ、その積は加算器151により音声入力信号u(t)と足し合わされ、スピーカ駆動指令信号v(t)が生成される。このようにして数4および数6により示される演算を実行する。
1階微分フィルタ11の伝達関数F1(s)はドップラ歪を補償したい周波数帯域において微分特性を示し、それ以上の周波数帯域ではいたずらに高いゲインを持たせないように設計する。伝達関数F1(s)の設計の自由度は高いが、例えば次のような伝達関数を用いることができる。
ただしωnおよびζの値はスピーカ3の特性に対して適切であるように設定するものとする。例えばωnを10k[rad/s]に、ζ=0.7とする。
本発明第1の実施の形態においては、音声入力信号u(t)、スピーカ駆動指令信号v(t)および振動板変位信号p(t)は連続時間信号で1階微分フィルタ11および変位推定フィルタ13は連続時間フィルタとして説明を行ったが、同等の処理を行うのであれば離散時間信号および離散時間フィルタを用いてもよく、音声入力信号、スピーカ駆動指令信号および振動板変位信号を離散時間信号とし、1階微分フィルタ11および変位推定フィルタ13を離散時間フィルタとして実現しても良い。離散時間信号と離散時間フィルタを用いることにより信号同士の乗算などを容易に行うことができる上、ドップラ歪補償器1を実現する上で要するコストを抑えることができる。また適宜A/D変換やD/A変換を行い、音声入力信号u(t)またはスピーカ駆動指令信号v(t)または音声入力信号u(t)およびスピーカ駆動指令信号v(t)をアナログ信号としながらドップラ歪補償器1の内部処理をデジタル信号処理により実現してもよい。ただし、変位推定フィルタ13を離散時間信号処理にて実現する際には、離散時間化に際してゼロ次ホールドを用いるなどの手段を用いて、その伝達関数が厳密にプロパーとなるように配慮する必要がある。
本発明第1の実施の形態においては、振動板変位信号p(t)はスピーカ駆動指令信号v(t)から算出していたが、増幅器2の出力信号から推定してもよい。
本発明第1の実施の形態において、マルチウェイ・スピーカを対象とした場合の音声再生装置の構成を図2に示す。スピーカはウーハー31およびツイータ32からなっており、増幅器2の出力信号は周波数選択性パッシブフィルタであるネットワーク4によりウーハー31およびツイータ32に供給する信号に分離される。変位推定フィルタ13はスピーカ駆動指令信号v(t)からウーハー31の振動板の変位までの動特性を近似した伝達関数H(s)を持つように設計する。この場合、ツイータ32の動作は無視される。ウーハー31によって発生するドップラ歪が補償されるようにスピーカ駆動指令信号v(t)が生成されるため、その影響はツイータ32から発生される音にも影響を及ぼすが、その影響は小さい。ウーハー31ツイータ32ともにコーン型スピーカであるとき、ウーハー31とツイータ32のクロスオーバー周波数以上の周波数帯域では、ウーハー31の振動板の変位の振幅はツイータ32の振動板の変位の振幅より相当に小さいからである。多くの場合、ツイータ32において発生するドップラ歪の聴感に対する影響はウーハー31におけるものに対して小さい。
本発明第1の実施の形態において、サブウーハー33を有する場合の音声再生装置の構成を図3に示す。これは、図2に示すマルチウェイ・スピーカを対象とした場合の音声再生装置に対して、サブウーハー33およびサブウーハー33のための増幅器21を付加したものである。増幅器21は低域通過特性を併せ持った増幅器である。この場合も、増幅器21の低域通過特性のため、音声再生装置において発生するドップラ歪はウーハー31によって発生するものが聴感上支配的になる。したがって、変位推定フィルタ13はスピーカ駆動指令信号v(t)からウーハー31の振動板の変位までの動特性を近似した伝達関数H(s)を持つように設計することにより、ドップラ歪補償の効果は大きいものとなる。
本発明第1の実施の形態において、マルチアンプ構成である場合の音声再生装置の構成例を図13に示す。図2に示すマルチウェイ・スピーカを対象とした場合の音声再生装置においては、一つの増幅器2によりウーハー31およびツイータ32を駆動していたのに対し、図13に示す構成においてはウーハー31は増幅器2aにより、ツイータ32は増幅器2bにより駆動される。このような構成をとることにより、ウーハー31とツイータ32の干渉を避けることができる。
本発明の第2の実施の形態を図4に示す。音声入力信号u(t)はボリューム処理を施された信号である。ドップラ歪補償器1は音声入力信号u(t)を入力し、スピーカ駆動指令信号v(t)を出力する。スピーカ駆動指令信号v(t)は増幅器2により増幅されスピーカ3を駆動する。ドップラ歪補償器1はスピーカ3において発生するドップラ歪を補償したスピーカ駆動指令信号v(t)を出力するので、結果としてスピーカ3から発生される音圧信号はドップラ歪が相殺されたものとすることができる。
本発明第2の実施の形態は、歪補償を行う計算式の次数が異なることを除いては本発明第1の実施の形態と同じである。本発明第1の実施の形態においてはスピーカ駆動指令信号v(t)を算出するのに数6に示す1次の近似式を用いていたのに対して、本発明第2の実施の形態は数7に示す2次の近似式を用いている。2次の近似式を用いるため、音声入力信号u(t)の2階微分を算出する必要がある。本発明第2の実施の形態においては、伝達関数F2(s)を持つ1階微分フィルタ12を1階微分信号d1(t)に作用させることにより音声入力信号u(t)の2階微分に比例した信号である2階微分信号d2(t)を算出している。その際にドップラ歪補償を行う周波数帯域よりも高域の信号に対しては2階微分によるゲインを抑える必要がある。ここでは1階微分フィルタ11の伝達関数F1(s)は本発明第1の実施の形態と同じものを用いるとする。その場合、1階微分フィルタ12の動特性として例えば次のような伝達関数を用いる。
(数11)
F2(s)=a2s
ただしa2は適当な係数である。すると、入力信号u(t)から2階微分信号d2(t)までの伝達関数は
となりプロパーとなるので、2階微分を取ることにおいても、高域のゲインを抑えることができる。
本発明第2の実施の形態においては、音声入力信号u(t)、スピーカ駆動指令信号v(t)および振動板変位信号p(t)は連続時間信号で1階微分フィルタ11,12および変位推定フィルタ13は連続時間フィルタとして説明を行ったが、同等の処理を行うのであれば離散時間信号および離散時間フィルタを用いてもよく、音声入力信号、スピーカ駆動指令信号および振動板変位信号を離散時間信号とし、1階微分フィルタ11,12および変位推定フィルタ13を離散時間フィルタとして実現しても良い。離散時間信号と離散時間フィルタを用いることにより信号同士の乗算などを容易に行うことができる上、ドップラ歪補償器1を実現する上で要するコストを抑えることができる。また適宜A/D変換やD/A変換を行い、音声入力信号u(t)またはスピーカ駆動指令信号v(t)または音声入力信号u(t)およびスピーカ駆動指令信号v(t)をアナログ信号としながらドップラ歪補償器1の内部処理をデジタル信号処理により実現してもよい。
さらに、変位推定フィルタ13のゲインを増幅器2のゲインに応じて変化させるようにしてもよい。
本発明の第2の実施の形態においては、ドップラ歪補償を行う式を数7に示す2次の近似式を用いていたが、数5においてさらに高い次数の近似式を用いてドップラ歪補償を行ってもよい。
本発明の第3の実施の形態を図5に示す。音声入力信号u(t)はボリューム処理を施された信号である。ドップラ歪補償器1は音声入力信号u(t)を入力し、スピーカ駆動指令信号v(t)を出力する。スピーカ駆動指令信号v(t)は増幅器2により増幅されスピーカ3を駆動する。ドップラ歪補償器1はスピーカ3において発生するドップラ歪を補償したスピーカ駆動指令信号v(t)を出力するので、結果としてスピーカ3から発生される音圧信号はドップラ歪が相殺されたものとすることができる。
本発明第3の実施の形態は、振動板変位信号p(t)をドップラ歪補償器1の外部から入力している点を除いては本発明第2の実施の形態と同じである。本発明第2の実施の形態においては振動板変位信号p(t)をドップラ歪補償器1の内部においてスピーカ駆動指令信号v(t)から算出していたのに対して、本発明第4の実施例においては変位検出器5を設け、変位検出器5はスピーカ3の振動板の変位を測定し、測定値に対応した振動板変位信号p(t)を出力するものであり、変位検出器5によって出力された振動板変位信号p(t)に基づき数7に従いドップラ歪補償を行っている。
振動板変位信号p(t)をドップラ歪補償器1の内部において発生させず、ドップラ歪補償器1の外部からドップラ歪補償器1へ入力するようにさせることにより、スピーカ3を他の種類のものと取り替えても同じドップラ歪補償器1をそのまま用いることができるといった利点を有している。
本発明第3の実施の形態においては振動板変位信号p(t)を変位検出器5により検出したスピーカ3の振動板の変位に基づき生成していたが、スピーカ3の入力信号からスピーカ3の振動板の変位を推定する機構を設け、その推定された変位を示す信号を振動板変位信号p(t)として補償器1へ入力するようにしてもよい。
本発明第3の実施の形態においては数7に示す2次の近似式によりドップラ歪補償を行っていたが、近似式の次数は2次でなくてもよく、数5における1次または3次以上の近似式を用いてドップラ歪補償を行ってもよい。
本発明の第4の実施の形態を図6に示す。音声入力信号u[k]はボリューム処理を施されたパルス符号変調(PCM)信号である。ドップラ歪補償器1は音声入力信号u[k]を入力し、PCM信号であるスピーカ駆動指令信号v[k]を出力する。スピーカ駆動指令信号v[k]はフルデジタルアンプである増幅器2により増幅されスピーカ3を駆動する。ドップラ歪補償器1はスピーカ3において発生するドップラ歪を補償したスピーカ駆動指令信号v[k]を出力するので、結果としてスピーカ3から発生される音圧信号はドップラ歪が相殺されたものとすることができる。
1階微分フィルタ11は伝達関数F1[z]を持つ要素であり、たとえば数10に示す連続時間の伝達関数F1(s)を双一次変換により離散時間化したものを設定する。1階微分フィルタ12は伝達関数F2[z]を持つ要素であり、たとえば連続時間の伝達関数F2(s)=sを双一次変換により離散時間化したものを設定する。
本発明第4の実施の形態は、変位推定フィルタ13の入力信号が音声入力信号u[k]であることを除いては、本発明第2の実施の形態においてドップラ歪補償器1の扱う信号をPCM信号としたものと同じである。本発明第2の実施の形態においては、変位推定フィルタ13として相対次数が0のものを用いることができなかった。信号処理上、信号ループが存在するとき、ループ一巡の信号処理において直達項が存在することが許されないためである。したがって、変位推定フィルタ13を離散時間処理しようとした場合、連続時間の伝達関数H(s)を離散時間化した伝達関数を用いることになるが、離散時間化に際してゼロ次ホールドによる手法を用いる必要があり、双一次変換を用いることはできなかった。伝達関数H(s)の離散時間化に関しては、離散時間信号であるスピーカ駆動指令信号v[k]の扱い方と整合性を取ることが望ましいが、スピーカ駆動指令信号v[k]をアップサンプルする場合においては双一次変換を用いることが望ましい場合が多い。しかし、双一次変換を用いると、連続時間の伝達関数H(s)の相対次数が1以上であっても離散時間化された伝達関数H[z]の相対次数は0となってしまい、ドップラ歪補償器1を実装することができなくなってしまう。そこで本発明第4の実施の形態においては音声入力信号u[k]とスピーカ駆動指令信号v[k]の差異は相対的に微小である事実を用い、音声入力信号u[k]を元にスピーカ3の振動板の変位推定値である振動板変位信号p[k]を算出するようにしている。このようにすると、変位推定フィルタ13を含む信号ループが解消されるため、変位推定フィルタ13の伝達関数H[z]として相対次数が0であるものを使用することが可能となり、連続時間の伝達関数H(s)を双一次変換により離散時間化した伝達関数をH[z]として用いることができる。振動板変位信号p[k]の算出にスピーカ駆動指令信号v[k]ではなく近似的に音声入力信号u[k]を用いているので、その分誤差を持つことになるが、サンプリング周波数が低い場合は双一次変換により得られた伝達関数H[z]を用いる効果が大きく、結果としてより精度の高いドップラ歪補償を行うことができる。
本発明第4の実施の形態においては数7に示す2次の近似式によりドップラ歪補償を行っていたが、近似式の次数は2次でなくてもよく、数5における1次または3次以上の近似式を用いてドップラ歪補償を行ってもよい。
本発明第4の実施の形態においては、ドップラ歪補償器1の信号処理を離散時間により行っていたが、連続時間による処理を行ってもよい。
本発明の第5の実施の形態を図7に示す。音声入力信号u[k]はボリューム処理を施されたパルス符号変調(PCM)信号である。ドップラ歪補償器1は音声入力信号u[k]を入力し、PCM信号であるスピーカ駆動指令信号v[k]を出力する。スピーカ駆動指令信号v[k]はフルデジタルアンプである増幅器2により増幅されスピーカ3を駆動する。ドップラ歪補償器1はスピーカ3において発生するドップラ歪を補償したスピーカ駆動指令信号v[k]を出力するので、結果としてスピーカ3から発生される音圧信号はドップラ歪が相殺されたものとすることができる。
1階微分フィルタ11Dは次数が2m-1である歪対称型FIRフィルタであり、音声入力信号u[k]に対してそのmサンプル遅れの1階時間微分の推定値を出力するものである。2階微分フィルタ112Dは次数が2m-1である対称型FIRフィルタであり、音声入力信号u[k]に対してそのmサンプル遅れの2階時間微分の推定値を出力するものである。このように、音声入力信号u[k]の1階および2階時間微分の信号はmサンプル遅れて得られるので、数7に示すドップラ歪補償もmサンプル遅れて演算する必要が生じる。遅延器16Dは音声入力信号u[k]に対してmサンプル遅延させた信号を出力するものである。
1階および2階時間微分の値を推定する際にFIRフィルタを用いる利点として、高域におけるゲインを抑制するようにフィルタを設計しても、そのことにより位相特性が影響を受けないようにすることができる点が挙げられる。1階時間微分の推定に際しては歪対称フィルタを用いることで実現できるし、2階時間微分の推定に際しては対称フィルタを用いることで実現できる。
図8は本発明の第5の実施の形態におけるドップラ歪補償器1の他の実現例である。図7に示すドップラ歪補償器1は変位推定フィルタ13の入力信号がスピーカ駆動指令信号v[k]であるのに対し、図8に示すドップラ歪補償器1は変位推定フィルタ13の入力信号が音声入力信号u[k]をmサンプル遅
延させた信号となっている。このことにより変位推定フィルタ13の伝達関数H[z]の制約が緩くなり、サンプリング周波数が低い場合は図7に示すドップラ歪補償器1に対してドップラ歪補償の精度を高めることができる。
図9は本発明の第5の実施の形態におけるドップラ歪補償器1のさらに他の実現例である。図7に示すドップラ歪補償器1においては2階微分信号d2[k-m]を得るのに音声入力信号u[k]に対して2階微分フィルタ112Dを作用させていたが、図9に示すドップラ歪補償器1においては1階微分フィルタ11Dの出力である1階微分信号d1[k-m]に対して1階微分フィルタ12を作用させている。このことにより、計算負荷の大きいFIRフィルタの使用を一つに減らすことができるので、必要とする計算資源を低減させることができる。
図9に示すドップラ歪補償器1においては振動板変位信号p[k]の算出にスピーカ駆動指令信号v[k]を用いていたが、遅延器16Dの出力信号であるu[k-m]を用いてもよい。
本発明第5の実施の形態においては数7に示す2次の近似式によりドップラ歪補償を行っていたが、近似式の次数は2次でなくてもよく、数5における1次または3次以上の近似式を用いてドップラ歪補償を行ってもよい。
本発明の第6の実施の形態を図10に示す。音声入力信号u[k]はボリューム処理を施されたパルス符号変調(PCM)信号である。ドップラ歪補償器1は音声入力信号u[k]とその1階時間微分信号d1[k]および2階微分信号d2[k]を入力し、PCM信号であるスピーカ駆動指令信号v[k]を出力する。スピーカ駆動指令信号v[k]はフルデジタルアンプである増幅器2により増幅されスピーカ3を駆動する。ドップラ歪補償器1はスピーカ3において発生するドップラ歪を補償したスピーカ駆動指令信号v[k]を出力するので、結果としてスピーカ3から発生される音圧信号はドップラ歪が相殺されたものとすることができる。
本発明第6の実施の形態は、1階時間微分信号d1[k]および2階微分信号d2[k]を外部から入力していることを除いては、本発明第2の実施の形態においてドップラ歪補償器1の扱う信号をPCM信号としたものと同じである。音声入力信号u[k]を生成する際、サンプル周波数変換器(SRC)を通す場合が多い。SRCにおいてはその方式にも依存するが出力信号の1階時間微分信号や2階時間微分信号が比較的容易に算出できる場合が多い。したがって、そのような場合音声入力信号u[k]をドップラ歪補償器1の外部において生成するようにすることで総合的に見た演算量を低減させることができる。
図11は本発明の第6の実施の形態におけるドップラ歪補償器1の他の実現例である。図10に示すドップラ歪補償器1は変位推定フィルタ13の入力信号がスピーカ駆動指令信号v[k]であるのに対し、図11に示すドップラ歪補償器1は変位推定フィルタ13の入力信号が音声入力信号u[k]となっている。このことにより変位推定フィルタ13の伝達関数H[z]に対する制約が緩くなり、サンプリング周波数が低い場合は図10に示すドップラ歪補償器1に対してドップラ歪補償の精度を高めることができる。
図12は本発明の第6の実施の形態におけるドップラ歪補償器1のさらに他の実現例である。図10に示すドップラ歪補償器1においては2階微分信号d2[k]を外部から入力することにより得ていたが、図12に示すドップラ歪補償器1においては外部から入力した1階微分信号d1[k]に対して1階微分フィルタ12を作用させることにより得ている。ドップラ歪補償器1の外部において1階微分信号d1[k]にあわせて2階微分信号d2[k]も得ることが必ずしも得策にはならない場合もあること、1階微分信号d1[k]の高域成分が抑制されていれば1階微分フィルタ12は簡易なものを実装することができること、インターフェースの信号の数は減らしたいことから、図10に示すドップラ歪補償器1よりも図12に示すドップラ歪補償器1の方がより実用的である場合もある。
図12に示すドップラ歪補償器1においては振動板変位信号p[k]の算出にスピーカ駆動指令信号v[k]を用いていたが、音声入力信号u[k]を用いてもよい。
本発明第6の実施の形態においては数7に示す2次の近似式によりドップラ歪補償を行っていたが、近似式の次数は2次でなくてもよく、数5における1次または3次以上の近似式を用いてドップラ歪補償を行ってもよい。
本発明のドップラ歪補償器を用いると、スピーカで発生するドップラ歪を相殺した音を発生させる音声再生装置を実現することができる。
1・・・ドップラ歪補償器
11,11D,12・・・1階微分フィルタ
112D・・・2階微分フィルタ
13・・・変位推定フィルタ
141,142・・・乗算器
151,152・・・加算器
16D・・・遅延器
2,2a,2b,21・・・増幅器
3,3a,3b・・・スピーカ
31・・・ウーハー
32・・・ツイータ
33・・・サブウーハー
4・・・ネットワーク
5・・・変位検出器
6・・・ボリューム

Claims (9)

  1. 音声入力信号を入力し、スピーカを駆動する増幅器の入力信号となるスピーカ駆動指令信号を出力するドップラ歪補償器において、前記スピーカの振動板の変位を推定する変位推定器を持ち、前記スピーカ駆動指令信号は前記音声入力信号の0階からn階(ただしnは1以上の整数)までの時間微分と前記変位推定器によって推定された前記振動板の変位の0次からn次までのべき乗とのそれぞれの積にそれぞれの係数を乗じた信号の総和であることを特徴とするドップラ歪補償器。
  2. 請求項1に記載のドップラ歪補償器において、該変位推定器は該スピーカ駆動指令信号を入力することを特徴とするドップラ歪補償器。
  3. 請求項1に記載のドップラ歪補償器において、該変位推定器は該音声入力信号を入力することを特徴とするドップラ歪補償器。
  4. 音声入力信号を入力し、スピーカを駆動する増幅器の入力信号となるスピーカ駆動指令信号を出力するドップラ歪補償器において、前記スピーカの振動板の変位に係る信号である振動板変位信号を外部から入力する手段を持ち、スピーカ駆動指令信号は前記音声入力信号の0階からn階(ただしnは1以上の整数)までの時間微分と前記変位信号の0次からn次までのべき乗とのそれぞれの積にそれぞれの係数を乗じた信号の総和であることを特徴とするドップラ歪補償器。
  5. 請求項1から4に記載のドップラ歪補償器において、該音声入力信号の0階からM階(Mは1以上n以下の整数)までの時間微分をFIRフィルタを用いて算出することを特徴とするドップラ歪補償器。
  6. 請求項1から4に記載のドップラ歪補償器において、該音声入力信号の0階からL階(Lは1以上n以下の整数)までの時間微分を該ドップラ歪補償器の外部から入力することを特徴とするドップラ歪補償器。
  7. 請求項1から6に記載のドップラ歪補償器において、nの値を1とすることを特徴とするドップラ歪補償器。
  8. 請求項1から6に記載のドップラ歪補償器において、nの値を2とすることを特徴とするドップラ歪補償器。
  9. 1チャネル当たり、一つの音声入力信号を入力し、一つのスピーカ駆動指令信号に従って生成される一つの又は複数で同一のスピーカ駆動信号を出力する増幅装置において、前記音声入力信号を入力し前記スピーカ駆動指令信号を出力する請求項1から8に記載の何れかのドップラ歪補償器と前記スピーカ駆動指令信号を入力し前記スピーカ駆動信号を出力する増幅器から成り、複数のスピーカを駆動するものであり、概変位推定器の出力信号または概変位信号は前記複数のスピーカのうちのどれか一つの振動板の変位に係る信号であることを特徴とする、ドップラ歪補償器を有する増幅装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022014325A1 (ja) * 2020-07-14 2022-01-20 ソニーグループ株式会社 信号処理装置および方法、並びにプログラム

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