JP2012026993A - 酵素電極及び当該酵素電極を用いた酵素センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】粉末状のメソ多孔性シリカを用いた場合でも小型化及び低コスト化が容易であり、かつ、高性能な酵素電極及び当該酵素電極を用いた酵素センサを提供する。
【解決手段】酵素電極10は、電極(作用電極11)と、電極(作用電極11)上に形成されたメソ多孔性シリカ層12と、メソ多孔性シリカ層12の細孔の内部に固定された酵素13と、を備え、メソ多孔性シリカ層12は、粉末状のメソ多孔性シリカを電極(作用電極11)に電着することによって形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、酵素電極及び当該酵素電極を用いた酵素センサに関する。
従来、電極と、当該電極上に取り付けられたシリカ系メソ多孔体と、当該シリカ系メソ多孔体の細孔の内部に固定された酵素と、を備え、細孔のサイズが酵素のサイズの0.5〜2.0倍である酵素電極及び当該酵素電極を用いた酵素センサが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の酵素電極及び当該酵素電極を用いた酵素センサによれば、細孔のサイズが酵素のサイズの0.5〜2.0倍に設定されているため、シリカ系メソ多孔体の細孔の内部に酵素をしっかりと固定できる。そのため、優れた安定性を有し、かつ、長寿命化が可能となる。
さらに、シリカ系メソ多孔体は多孔質であり比表面積が非常に大きく、また、細孔のサイズが酵素のサイズの0.5〜2.0倍に設定されているため、より大きな吸着量でより高濃度に酵素を固定できるとともに、酵素が凝集を起こして失活してしまうこと等を抑制できる。そのため、優れた感度を有する。
このような酵素電極が備えるシリカ系メソ多孔体(メソ多孔性シリカ)としては、製造が容易で大量生産がたやすく、実用に適している等の観点から、粉末状のメソ多孔性シリカが好ましい。
しかし、粉末状のメソ多孔性シリカは、電極上に取り付け難い。電極が微小である場合は特に取り付け難く、信頼性のある取り付けが難しいため、粉末状のメソ多孔性シリカを用いた酵素電極は小型化及び低コスト化が困難である。
ところで、粉末状のメソ多孔性シリカを泳動電着させることによって形成された10μm〜1mmの厚さのシリカ厚膜が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2009−20087号公報 国際公開第2006/112505号
しかしながら、特許文献2に記載のシリカ厚膜には、酵素が固定されていない。また、電着によって形成されたメソ多孔性シリカの層に酵素が固定された酵素電極等も提案されていない。
本発明の課題は、粉末状のメソ多孔性シリカを用いた場合でも小型化及び低コスト化が容易であり、かつ、高性能な酵素電極及び当該酵素電極を用いた酵素センサを提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、酵素電極において、
電極と、
前記電極上に形成されたメソ多孔性シリカ層と、
前記メソ多孔性シリカ層の細孔の内部に固定された酵素と、を備え、
前記メソ多孔性シリカ層は、粉末状のメソ多孔性シリカを前記電極に電着することによって形成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の酵素電極において、
前記メソ多孔性シリカ層は、細孔の内部に前記酵素が固定されていない粉末状のメソ多孔性シリカを前記電極に電着することによって形成され、
前記酵素は、真空吸引することによって、前記電着することにより形成されたメソ多孔性シリカ層の細孔の内部に導入されて固定されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の酵素電極において、
前記酵素は、真空吸引することによって、粉末状のメソ多孔性シリカの細孔の内部に導入されて固定され、
前記メソ多孔性シリカ層は、前記真空吸引することにより固定された酵素を細孔の内部に有する粉末状のメソ多孔性シリカを前記電極に電着することによって形成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の酵素電極において、
前記メソ多孔性シリカ層の細孔の内部に導入され、前記酵素と前記電極との間の電子移動を媒介する媒介物質を備えることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、酵素センサにおいて、
請求項1〜4の何れか一項に記載の酵素電極を用いて電気化学的計測法により所定の検出対象物質を検出することを特徴とする。
本発明によれば、メソ多孔性シリカ層は、粉末状のメソ多孔性シリカを電極に電着することによって形成されているので、メソ多孔性シリカが粉末状であり、電極が微小である場合であっても、容易に再現性よく電極上にメソ多孔性シリカ層を形成することができる。したがって、粉末状のメソ多孔性シリカを用いた場合でも、小型化及び低コスト化が容易になる。また、容易に再現性よく電極上のメソ多孔性シリカ層を形成できるため、高性能な酵素電極及び酵素センサを提供することができる。
本実施形態の酵素電極及び当該酵素電極を用いた酵素センサを模式的に示す図である 本実施形態の酵素電極及び当該酵素電極を用いた酵素センサによって、電気化学的計測法により電解液中の検出対象物質(フェノール系物質)の濃度を測定する原理について説明するための図である。 メソ多孔性シリカ層を形成する際に使用する電着装置を模式的に示す図である。 実施例におけるカテコールの検出実験で得られた図である。 実施例における応答電流値のカテコール濃度依存性の評価実験で得られた図である。
以下、図を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
本実施形態の酵素電極10は、例えば、図1に示すように、電極としての作用電極11と、作用電極11上に形成されたメソ多孔性シリカ層12と、メソ多孔性シリカ層12の細孔の内部に固定された酵素13と、を備えて構成される。
また、メソ多孔性シリカ層12の細孔の内部には、酵素13の他に、電子伝達物質や補酵素などの、酵素13と作用電極11との間の電子移動を媒介する媒介物質が導入されている。
また、本実施形態の酵素センサ100は、酵素電極10を用いて電気化学的計測法により検出対象物質を検出するセンサである。
酵素センサ100は、例えば、図1に示すように、検出対象物質を検出する検出部1と、検出部1が備える電極(酵素電極10(作用電極11)、対照電極20及び参照電極30)において発生した電流値を測定するためのポテンショスタット2と、などを備えて構成される。
検出部1は、例えば、反応器40aに導入された所定の電解液40と、電解液40内に配置された酵素電極10(作用電極11)、対照電極20及び参照電極30と、からなる。
ポテンショスタット2は、例えば、定電圧計2aと、電流計測器2bと、などを有しており、検出部1が備える各電極(酵素電極10(作用電極11)、対照電極20及び参照電極30)にリード線を介して接続されている。
ここで、本実施形態の酵素電極10及びそれを用いた酵素センサ100によって、電気化学的計測法により電解液40中の検出対象物質の濃度を測定する原理について、図2を参照して説明する。
図2には、検出対象物質が、フェノール系物質であり、酵素が、フェノール系物質に選択的に作用するラッカーゼである場合の原理が例示されている。
図2に示すように、まず、酸化型のラッカーゼ(Eox)は、選択的触媒作用により基質(すなわち、電解液40中のフェノール系物質(PCred))を酸化して、還元型のラッカーゼ(Ered)となる。そして、この還元型のラッカーゼ(Ered)は、電解液40中の酸素と反応して酸化型のラッカーゼ(Eox)に戻る。また、酵素電極10(作用電極11)を正にして、作用電極11と参照電極30との間に電圧を印加することにより電解液40に対して電圧を印加すると、酸化型のフェノール系物質(PCox)はメディエータとして機能し、作用電極11上で電子(e)を受け取って還元型のフェノール系物質(PCred)に戻る。この際、作用電極11と参照電極30との間には、酸化型のフェノール系物質(PCox)を再還元する電流が流れる。当該電流の値(応答電流値)は、電解液40における基質の濃度に比例するため、当該電流の値を測定することにより、その測定された値から電解液40における基質(すなわち、検出対象物質)の濃度を求めることができる。
(メソ多孔性シリカ層)
メソ多孔性シリカ層12は、電着装置300を用いて、粉末状のメソ多孔性シリカを作用電極11に電着することによって形成される。
具体的には、電着装置300は、例えば、図3に示すように、電着槽301と、電極板302と、直流電源303と、を備えて構成される。
電着槽301には、メソ多孔性シリカ分散液(アセトン水溶液等の所定の溶液に粉末状のメソ多孔性シリカを分散させたもの)が収容され、電着槽301の下部には、電極板302が配置されている。作用電極11を、電着槽301に収容されたメソ多孔性シリカ分散液に浸し、電着槽301の下部に配置された対電極となる電極板302に対向するように配置する。その状態で、作用電極11と電極板302との間に直流電源303により電圧を印加すると、作用電極11上(作用電極11の表面)にメソ多孔性シリカが電着されて、メソ多孔性シリカ層12が形成される。
なお、メソ多孔性シリカ分散液には、粉末状のメソ多孔性シリカの他に、バインダー等が含有されていても良い。
メソ多孔性シリカ層12を形成するメソ多孔性シリカは、粉末状であり、例えば、ケイ酸やアルミナなどの各種金属酸化物、ケイ酸と他種の金属との複合酸化物等によって構成することができる。
例えば、ケイ酸により構成されるメソ多孔性シリカの作製においては、例えば、カネマイトのような層状シリケート、アルコキシシラン、シリカゲル、水ガラス、ケイ酸ソーダ等を好ましく用いることができる。
具体的には、メソ多孔性シリカは、例えば、無機材料を界面活性剤と混合反応させて、界面活性剤のミセルの周りに無機の骨格が形成された界面活性剤/無機複合体を形成させた後、例えば、400℃〜600℃で焼成したり有機溶剤で抽出したりする等して界面活性剤を除去することにより作製される。これにより、メソ多孔性シリカは、無機骨格中に、界面活性剤のミセルと同じ形状のメソポア細孔を有するものとなる。
メソ多孔性シリカの作製において、ケイ酸等のケイ素含有化合物を出発材料とする場合には、例えば、カネマイトのような層状シリケートを形成して、この層間にミセルを挿入し、そして、ミセルが存在しない層間をシリケート分子でつなぎ、その後、ミセルを除去することによって細孔を形成することができる。
また、メソ多孔性シリカの作製において、水ガラス等のケイ素含有物質を出発材料とする場合には、例えば、ミセルの周囲にシリケート分子を集合させて重合させることによりシリカを形成し、その後、ミセルを除去することによって細孔を形成することができる。この場合、通常、ミセルの形状は柱状となり、その結果、メソ多孔性シリカに、柱状の細孔が形成されることになる。
メソ多孔性シリカは、作製段階で、界面活性剤のアルキル鎖の長さを変えてミセルの径を変化させることによって、細孔の内径を制御することができる。また、界面活性剤と併せて、トリメチルベンゼン、トリプロピルベンゼン等の比較的疎水性の分子を添加することによって、ミセルを膨潤させ、さらに大きな内径の細孔を形成することもできる。
メソ多孔性シリカにおける細孔の配向は、ランダムであっても、一次元シリカナノチャンネルの集合体のように方向性が制御されたものであっても良い。
メソ多孔性シリカの種類としては、細孔のサイズが均一であり、且つ、大きな空隙率を持つという特徴を有する、例えば、KSW、FSM、SBA、MCM、HOM等の公知の種類を採用することができる。
メソ多孔性シリカの細孔のサイズは、当該メソ多孔性シリカにより形成されるメソ多孔性シリカ層12に固定する酵素13の立体構造の変化を防止可能な程度に設定されている。これにより、酵素13の立体構造を維持することができ、メソ多孔性シリカ層12の細孔の内部に固定された酵素13を安定化することができる。
具体的には、メソ多孔性シリカ層12の細孔のサイズ(すなわち、メソ多孔性シリカ層12を形成する粉末状のメソ多孔性シリカの細孔のサイズ)は、酵素13(酵素分子又は活性部位を含む酵素の断片)のサイズの0.5〜2.0倍程度であることが好ましく、酵素13のサイズの0.7〜1.4倍程度であることがより好ましく、酵素13のサイズとほぼ同等であることが最も好ましい。すなわち、メソ多孔性シリカ層12の細孔の直径(中心細孔直径)は、酵素13の直径の0.5〜2.0倍程度であることが好ましく、酵素13の直径の0.7〜1.4倍程度であることがより好ましく、酵素13の直径とほぼ同等であることが最も好ましい。なお、具体的な中心細孔直径の値は、酵素13の直径との関係で決定されるので一律には規定できないが、例えば、1〜50nm程度とすることができる。
ここで、酵素13が多量体を形成する場合には、酵素13のサイズ(径)は、多量体のサイズ(径)とすることができる。ここで、多量体とは、2以上の酵素(タンパク質)が、直接に、又は水などの低分子を介して結合してなる化合物をいい、結合には、共有結合、イオン結合、水素結合、配位結合が含まれる。しかし、これらの結合の種類は、特に制限されない。
メソ多孔性シリカの比表面積は、例えば、200〜1500m程度である。
メソ多孔性シリカの細孔の深さは、2nm以上である。具体的には、好ましい深さの範囲は20〜1000nmであり、より好ましい深さの範囲は50〜500nmであり、最も好ましい深さの範囲は50〜150nmである。
メソ多孔性シリカの細孔のピッチは、細孔のピッチを細孔の中心間の距離と定義すると、好ましいピッチは2〜500nmであり、より好ましいピッチは2〜100nmであり、最も好ましいピッチは2〜50nmである。
(酵素)
酵素13は、作用電極11上に形成されたメソ多孔性シリカ層12の細孔の内部に固定されている。
酵素13をメソ多孔性シリカ層12に固定する方法としては、例えば、メソ多孔性シリカ層12に酵素13を含む溶液(酵素溶液)を滴下するディップ法、酵素溶液にメソ多孔性シリカ層12を浸漬する浸漬法などが挙げられるが、特に限定されるものではない。これにより、高次構造と活性を保持したまま、酵素13をメソ多孔性シリカ層12の細孔の内部に導入して固定することができる。なお、高速かつ確実に酵素13をメソ多孔性シリカ層12の細孔の内部に導入して固定するには、ディップ法や浸漬法などによりメソ多孔性シリカ層12に酵素溶液を付着させ、その状態のまま真空デシケータ等の中で真空吸引することが好ましい。
さらに、必要に応じて、公知の酵素固定化法(例えば、導電性高分子、グルタルアルデヒド、光架橋性樹脂等を用いる固定化法等)と併用することもできる。
酵素13は、検出対象物質と選択的に反応する酵素であれば任意であり、検出対象物質の種類によって適宜変更可能である。
具体的には、酵素13は、例えば、酸化還元酵素、加水分解酵素、転移酵素、異性化酵素などの酵素(酵素タンパク質)である。
また、酵素13は、例えば、生来の酵素分子であっても、活性部位を含む酵素の断片であっても良い。当該酵素分子又は当該活性部位を含む酵素の断片は、例えば、動植物や微生物から抽出したものであっても良いし、所望によりそれを切断したものであっても良いし、遺伝子工学的に又は化学的に合成したものであっても良い。
酸化還元酵素としては、例えば、ラッカーゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、ホルムアルデヒドオキシダーゼ、ソルビトールオキシダーゼ、フルクトースオキシダーゼ、ザルコシンオキシダーゼ、フルクトシルアミンオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、サルコシンオキシダーゼ、コリンオキシダーゼ、アミンオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、コレステロールデヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ、ソルビトールデヒドロゲナーゼ、フルクトースデヒドロゲナーゼ、ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ、グリセロールデヒドロゲナーゼ、グルタメートデヒドロゲナーゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、ウリカーゼ等を用いることができる。この他に、コレステロールエステラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、ブチリルコリンエステラーゼ、クレアチニナーゼ、クレアチナーゼ、DNAポリメラーゼ、さらにこれら酵素のミュータント等を用いることができる。
加水分解酵素としては、例えば、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、インベルターゼ、マルターゼ、β−ガラクトシダーゼ、リゾチーム、ウレアーゼ、エステラーゼ、ヌクレアーゼ群、ホスファターゼ群等を用いることができる。
転移酵素としては、例えば、各種アシル転移酵素、キナーゼ群、アミノトランスフェラーゼ群等を用いることができる。
異性化酵素としては、例えば、ラセマーゼ群、ホスホグリセリン酸ホスホムターゼ、グルコース6−リン酸イソメラーゼ等を用いることができる。
メソ多孔性シリカ層12に固定する酵素13は、1種類の酵素であっても、2種類以上の酵素であっても良い。
具体的には、メソ多孔性シリカ層12に固定する酵素13は、例えば、1種類の酵素であっても、分子量及び/又はサイズ(径)が略同一の2種類以上の酵素であっても、分子量及び/又はサイズが異なる2種類以上の酵素であっても良い。また、メソ多孔性シリカ層12に固定する酵素13が2種類以上である場合、酵素13は、例えば、同種の検出対象物質(基質)に作用する2種類以上の酵素であっても、異種の検出対象物質に作用する2種類以上の酵素であっても、同種及び/又は異種の検出対象物質に作用する2種類以上の酵素であっても良い。
また、メソ多孔性シリカ層12に固定する酵素13が2種類以上である場合、その2種類以上の酵素は、メソ多孔性シリカ層12における別々の細孔の内部に固定されていても、同一の細孔の内部に固定されていても良い。
ここで、特に、メソ多孔性シリカ層12に固定する酵素13が2種類以上であって、その2種類以上の酵素が異種の検出対象物質に作用する場合、酵素センサ100は、その異種の検出対象物質(2種類以上の検出対象物質)を同時に検出することができる。
(電子伝達物質)
電子伝達物質は、酵素13と作用電極11との間の電子の受け渡しを促進するためのものであり、酵素13と作用電極11との間の電子移動を媒介する媒介物質として機能する。
なお、本実施形態では、電子伝達物質を、メソ多孔性シリカ層12の細孔の内部に導入した状態で、電解液40中に含有させることとするが、これに限ることはなく、電子伝達物質は、電解液40中に含有されていれば任意であり、例えば、反応器40aに導入された電解液40に溶解した状態で電解液40中に含有されていても良いし、メソ多孔性シリカ層12以外の担体に担持された状態で電解液40中に含有されていても良いし、例えば、酵素電極10(作用電極11)等の電極に直接固定された状態で電解液40中に含有されていても良い。また、検出対象物質がフェノール系物質である場合、当該フェノール系物質自体が電子伝達物質の役割を兼ねるが、この場合、その他の電子伝達物質を別途、電解液40中に含有させることとしても良い。
具体的には、電子伝達物質としては、例えば、フェリシアン化カリウム、フェロセン、フェロセン誘導体、ベンゾキノン、キノン誘導体、オスミウム錯体、HBT、ABTS、ビオルリン酸(violuric acid、Vio)、NNS、3−ヒドロキシアントラニル酸(3−HAA)、4−アミノアンチピリン等を用いることができる。
酵素13は、細孔のサイズが酵素13のサイズの0.5〜2.0倍程度である、メソ多孔性シリカ層12の細孔の内部に安定的に固定されているため、生成物が直接作用電極11で酸化又は還元される場合を除き、酵素分子内の活性中心が作用電極11と電子移動を行うことが難しい。また、酵素13が、一次元シリカナノチャンネルの集合体のように方向性が制御されたアスペクト比の大きな細孔を有する粉末状のメソ多孔性シリカにより形成されメソ多孔性シリカ層12の細孔の内部に固定されている場合には、生成物が直接作用電極11で酸化又は還元される場合においても応答が非常に遅くなる。したがって、電解液40中に、電子伝達物質を含有させることが好ましい。
また、作用電極11として酸素電極、過酸化水素電極等を利用した場合、反応が溶存酸素濃度に律速されて低濃度の試料しか測定できない、アスコルビン酸等の酸化物質の影響を受けやすく選択性が悪い等の問題が生じる。この場合にも、検出範囲の拡大、選択性の向上を目的として酵素13とともに電子伝達物質を使用することが効果的である。
(補酵素)
補酵素は、酵素13の活性の発現を触媒するためのものであり、酵素13と作用電極11との間の電子移動を媒介する媒介物質として機能する。
なお、本実施形態では、補酵素を、メソ多孔性シリカ層12の細孔の内部に導入した状態で、電解液40中に含有させることとするが、これに限ることはなく、補酵素は、電解液40中に含有されていれば任意であり、例えば、反応器40aに導入された電解液40に溶解した状態で電解液40に含有されていても良いし、メソ多孔性シリカ層12以外の担体に担持された状態で電解液40中に含有されていても良いし、例えば、酵素電極10(作用電極11)等の電極に直接固定された状態で電解液40中に含有されていても良い。
また、補酵素は、例えば、補因子としての各種金属原子や金属イオン、金属錯体、各種色素など(例えば、Fe2+、Mn2+、Cu2+、Zn2+、Co3+等)とともに電解液40中に含有されていても良い。
例えば、不安定中間体を経由する反応等、酵素13のアミノ酸側鎖の触媒作用では容易に進まない反応の場合、適当な構造を有し、酵素反応の発現に関与する低分子量の有機小分子や金属イオン、金属錯体などを補因子(cofactor)として使用することが多い。補因子の中でも有機小分子や金属錯体を補酵素と呼ぶ。特に、酵素13として、補酵素依存型酵素を用いた場合、電解液40中に補酵素を導入することによって、酵素反応を効率よく行わせることができる。
補酵素は、酵素13(補酵素依存型酵素)の種類に応じて、適宜選択することができる。具体的には、補酵素としては、例えば、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、補酵素I、補酵素II、フラビンモノヌクレオチド(FMN)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、リポ酸、アデノシン三リン酸(ATP)、チアミンピロリン酸(TPP)、ピリドキサルリン酸(PALP)、テトラヒドロ葉酸(THF,Coenzyme F)、UDPグルコース(UDPG)、補酵素A、補酵素Q、ビオチン、補酵素B12(コバラミン)、S−アデノシルメチオニン等の1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
ここで、NADなどの補酵素を使用すると、メソ多孔性シリカ層12の細孔の内部に固定された酵素13の活性が低下する場合があることが分かっている。これは、NADなどの補酵素が、メソ多孔性シリカ層12表面のシラノール基と反応して、酵素13の活性に影響を与えるためであると考えられる。
そこで、電解液40中に、補酵素を使用した際に生じる酵素13の活性の低下を抑制するための補酵素用活性低下抑制物質を添加するのが好ましい。
補酵素用活性低下抑制物質としては、例えば、生体高分子や、合成高分子、電解質などが挙げられる。
なお、補酵素用活性低下抑制物質は、電解液40中に含有されていれば任意であり、例えば、反応器40aに導入された電解液40に溶解した状態で電解液40に含有されていても良いし、例えば、メソ多孔性シリカ層12やその他の担体に担持された状態で電解液40に含有されていても良い。
生体高分子は、分子量1000以上の生体高分子であれば任意であり、具体的には、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、セルロース、デンプン等である。
また、合成高分子は、分子量1000以上の合成高分子であれば任意であり、具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、デキストラン等である。
また、電解質は、反応器40aに導入された電解液40に溶解して、陽イオンと陰イオンとに電離する物質であれば任意であり、具体的には、例えば、塩化カリウム等である。
なお、電解液40には、補酵素用活性低下抑制物質として、分子量1000以上の生体高分子、分子量1000以上の合成高分子及び電解質のうちの少なくとも何れか1つが添加されていれば良い。
また、電解液40に添加される分子量1000以上の生体高分子の種類は、1種類であっても複数種類であっても良い。電解液40に添加される分子量1000以上の合成高分子の種類は、1種類であっても複数種類であっても良い。電解液40に添加される電解質の種類は、1種類であっても複数種類であっても良い。
(電極)
酵素センサ100の電極方式として、図1では、酵素電極10(作用電極11)と対照電極20と参照電極30との三極方式を示しているが、これに限ることはなく、作用電極と対照電極との二極方式、作用電極と対照電極と参照電極との三極方式の何れを採用しても良い。
作用電極11としては、例えば、金、白金、銅、アルミニウム等の貴金属や、SnO、In2O、WO、TiO、グラファイト、グラフェン、グラッシカーボンなどを用いることができる。
対照電極20としては、例えば、二極方式の場合は銀、三極方式の場合は銀やその他の金属を用いることができる。
参照電極30としては、例えば、カロメル電極、銀/塩化銀等を用いることができる。
酵素電極10(作用電極11)、対照電極20及び参照電極30の一例として、例えば、図1に示すように、電解セルで使用する電極を挙げることができるが、これらの電極は、その大きさ、形状、構成に特に制限はない。
具体的には、例えば、これらの電極は、市販の電解セル、測定セル等で使用する大きな電極であっても良いし、ディスク電極、回転リングディスク電極、ファイバー電極等であっても良いし、例えば、フォトリソグラフィー等の公知の微細加工技術により作製した微小電極(円盤電極、円筒電極、帯状電極、配列帯状電極、配列円盤電極、リング電極、球状電極、櫛型電極、ペア電極等)であっても良い。
また、これらの電極は、所定の絶縁性基板上に設けることもできる。
具体的には、絶縁性基板上に、各電極を、公知の方法、例えば、スクリーン印刷法、蒸着法、スパッタリング法等によって形成することができる。なお、各電極は、全て同一基板上に形成して一体型の酵素センサ100として作製しても良いし、複数の基板上に形成して酵素センサ100を構成しても良いし、別々の電極として作製して酵素センサ100を構成しても良い。
絶縁性基板としては、例えば、シリコン、セラミックス、ガラス、プラスチック、紙、生分解性材料(例えば、微生物生産ポリエステル等)等を用いることができる。
(センシング方法)
酵素センサ100によるセンシング方法としては、例えば、電気化学的計測法を用いることができる。すなわち、酸化電流又は還元電流を測定するクロノアンペロメトリー法、クーロメトリー法、サイクリックボルタンメトリー法等の公知の計測法を適用することが可能である。測定方式としては、デスポーザブル方式、バッチ方式、フローインジェクション方式等、何れであっても良い。
また、電気化学的計測法において、色源体を酸化又は還元した色変化を検出する光検出測定法を適用することも可能である。
具体的には、例えば、グルコースセンサでは、グルコースオキシダーゼとペルオキシダーゼの2種類の酵素を固定して、酵素反応(“グルコース+O ―(グルコースオキシダーゼ)→ グルコン酸+H”、“H+色源体 ―(ペルオキシダーゼ)→
赤紫色素”)により生成又は消費される過酸化水素と色源体(例えば、4−アミノアンチピリンとN−エチル−N(2−ヒドロキシ−3−スルフォプロピル)−m−トルイジンとの混合物)がペルオキシダーゼを触媒として赤紫色になる色変化を検出することによって、グルコース濃度を測定することができる。
測定の際に酵素センサ100を取り付ける測定器本体は、例えば、データをパソコンに有線又は無線で送信できる機能を有し、リアルタイムで測定値を確認できることが好ましい。また、複数種類の酵素センサ100を取り付け可能に構成され、複数種類の酵素センサ100による検出結果を同時に計測して、データを相互比較したり検討したりできる機能を有することが望ましい。
以下、具体的な実施例によって本発明を説明するが、発明はこれらに限定されるものではない。
本実施例では、検出対象物質としてフェノール系物質であるカテコールを採用し、メソ多孔性シリカ層12の細孔の内部に酵素13としてラッカーゼが固定された酵素電極10を備える酵素センサ100を作成して、カテコールを検出した。
(1)メソ多孔性シリカ層12の形成
まず、作用電極11上にメソ多孔性シリカ層12を形成した。
具体的には、まず、サイズ(径)が7nmよりも若干小さいラッカーゼを固定するので、細孔径が7nmである粉末状のメソ多孔性シリカを準備した。
次いで、準備した粉末状のメソ多孔性シリカ50mgをアセトン水溶液10mlに添加し、5分間超音波にかけて、粉末状のメソ多孔性シリカが十分に分散されたメソ多孔性シリカ分散液を作成した。
次いで、図3に示すような電着装置300に備えられている電着槽301に、作成したメソ多孔性シリカ分散液を収容し、作用電極11(カーボン電極)を、電着槽301に収容されたメソ多孔性シリカ分散液に浸して、電着槽301の下部に配置された対電極となる電極板302(ステンレス板)に対向するように配置した。その状態で、作用電極11を正にして、作用電極11と電極板302との間に直流電源303により+30Vの電圧を1分間印加することにより、作用電極11上にメソ多孔性シリカを電着した。そして、これを、150℃で72時間焼成することによって、メソ多孔性シリカ層12を形成した。なお、当該形成されたメソ多孔性シリカ層12は、80μgであった。
(2)酵素電極10の作成
次に、作用電極11上に形成されたメソ多孔性シリカ層12の細孔の内部に酵素13(ラッカーゼ)を固定して、酵素電極10を作成した。
具体的には、まず、ラッカーゼ10mgをクエン酸バッファ(pH4.0)1mlに溶解させて、酵素溶液を作成した。
次いで、作成した酵素溶液10μlを作用電極11上に形成されたメソ多孔性シリカ層12上に滴下し、これを真空デシケータ内に配置して、2時間真空吸引することにより乾燥させた。
次いで、乾燥させた作用電極11を真空デシケータから取り出して、クエン酸バッファ(pH4.0)を用いて十分に洗浄し、メソ多孔性シリカ層12の細孔の内部以外に固定(吸着)されたラッカーゼを除去することによって、酵素電極10を作成した。
(3)酵素センサ100の作成
次に、作成した酵素電極10を用いて酵素センサ100を作成した。
具体的には、反応器40aに電解液40としてクエン酸バッファ(pH4.0)を収容して、当該電解液40内に酵素電極10(作用電極11)と対照電極20と参照電極30とを配置し、酵素センサ100として、図1に示すような三極方式の酵素センサを作成した。
(4)カテコールの検出及び応答電流値のカテコール濃度依存性の評価
次に、作成した酵素センサ100を用いて検出対象物質(カテコール)を検出し、応答電流値の検出対象物質(カテコール)濃度依存性を評価した。
具体的には、カテコールを添加していない電解液40に、電極(酵素電極10(作用電極11)、対照電極20、参照電極30)を用いて電圧を印加し、出力電流値の取得を開始した。次いで、出力電流値の取得中に、電解液40におけるカテコールの濃度が所定の濃度となるように電解液40にカテコールを添加し、当該添加から所定時間経過後に、出力電流値の取得を終了した。そして、電解液40に添加するカテコールの量を調整することにより電解液40におけるカテコールの濃度を変化させて、この一連の操作を繰り返し行った。その結果を図4に示す。
図4に示す結果から、カテコールを添加すると出力電流値が低下し、当該添加から約120秒後に出力電流値が一定値で飽和することが分かった。また、カテコールの濃度が増加するに従って、出力電流値の低下の度合いが大きくなることが分かった。
次に、図4に示す結果に基づいて、校正曲線を作成し、応答電流値のカテコール濃度依存性を評価した。その結果を図5に示す。
また、比較のために、ラッカーゼが電解液に溶解された遊離酵素の状態で電解液に含有されている酵素センサについても同様にして、応答電流値のカテコール濃度依存性を評価した。その結果も図5に示す。
図5に示す結果から、作成した酵素センサ100を用いた場合(実施例(□))と比較して、遊離酵素の場合(比較例(△))の方が、応答電流値が小さいことが分かった。これは、比較例の酵素センサにおける酵素量は、実施例の酵素センサ(作成した酵素センサ100)における酵素量と略同一であるが、比較例の酵素センサの場合、酵素(ラッカーゼ)が、作用電極11上に形成されたメソ多孔性シリカ層12に固定されておらず、電解液中に溶存して希薄なため、検出対象物質(カテコール)と効率よく接触できず、応答電流値が小さくなったと考えられる。
また、作成した酵素センサ100を用いた場合(実施例)は、電解液40におけるカテコールの濃度が2μmol/l未満だと、カテコールを検出できないことが分かった。そして、図5に示す結果から、カテコールの濃度が2〜100μmol/lの範囲で線形応答を示すことが分かった。
また、作成した酵素センサ100を用いた場合(実施例)において、繰り返し再現性を評価したところ、10回繰り返して使用しても、応答電流値のばらつきが5%以下であることが分かった。
また、酵素センサ100を5つ作成して、各々を用いてカテコールを検出したところ、応答電流値のばらつきが10%以下であることが分かった。
以上の結果から、作成した酵素センサ100は、カテコールを検出するための酵素センサとして、十分に実用的であることが分かった。
以上説明した本実施形態の酵素電極10及び酵素センサ100によれば、電極(作用電極11)と、電極(作用電極11)上に形成されたメソ多孔性シリカ層12と、メソ多孔性シリカ層12の細孔の内部に固定された酵素13と、を備え、メソ多孔性シリカ層12は、粉末状のメソ多孔性シリカを電極(作用電極11)に電着することによって形成されているので、メソ多孔性シリカが粉末状であり、電極(作用電極11)が微小である場合であっても、容易に再現性よく電極(作用電極11)上にメソ多孔性シリカ層12を形成することができる。したがって、粉末状のメソ多孔性シリカを用いた場合でも小型化及び低コスト化が容易になる。また、容易に再現性よく電極(作用電極11)上にメソ多孔性シリカ層12を形成できるため、高性能な酵素電極10及び酵素センサ100を提供することができる。
また、以上説明した本実施形態の酵素電極10及び酵素センサ100によれば、メソ多孔性シリカ層12は、細孔の内部に酵素13が固定されていない粉末状のメソ多孔性シリカを電極(作用電極11)に電着することによって形成され、酵素13は、真空吸引することによって、電着することにより形成されたメソ多孔性シリカ層12の細孔の内部に導入されて固定されている。
すなわち、真空吸引することによって、酵素13をメソ多孔性シリカ層12の細孔の内部に導入して固定しているので、高速かつ確実に酵素13をメソ多孔性シリカ層12の細孔の内部に導入して固定することができる。
また、以上説明した本実施形態の酵素電極10及び酵素センサ100によれば、メソ多孔性シリカ層12の細孔の内部に導入され、酵素13と電極(作用電極11)との間の電子移動を媒介する媒介物質(電子伝達物質や補酵素などのうちの少なくとも何れか1つ)を備えるので、より高性能な酵素電極10及び酵素センサ100を提供することができる。
なお、本発明は、上記した実施の形態のものに限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上記実施形態では、電極(作用電極11)上にメソ多孔性シリカ層12を形成した後に、酵素13を固定するようにしたが、これに限ることはなく、例えば、真空吸引等によって粉末状のメソ多孔性シリカの細孔の内部に酵素13を導入して固定した後に、当該粉末状のメソ多孔性シリカ(すなわち、真空吸引することにより固定された酵素13を細孔の内部に有する粉末状のメソ多孔性シリカ)を電極(作用電極11)に電着することによってメソ多孔性シリカ層12を形成しても良い。
酵素センサ100にポテンショスタット2を含むよう構成したが、これに限ることはなく、酵素センサ100とポテンショスタット2とは別体であっても良い。
酵素センサ100による電気化学的計測は、一つの基板上に形成した二極構造(酵素電極10(作用電極11)と対照電極20)又は三極構造(酵素電極10(作用電極11)と対照電極20と参照電極30)の電極を用いても良いし、独立した各電極(酵素電極10(作用電極11)、対照電極20、参照電極30)を組み合わせて用いても良い。
二極構造(酵素電極10(作用電極11)と対照電極20)又は三極構造(酵素電極10(作用電極11)と対照電極20と参照電極30)の各電極を、所定の絶縁性基板上に形成した場合、例えば、この絶縁性基板上における酵素電極10が形成された領域を含む領域(以下、「分析領域」という。)上に所定の電解液を滴下して、この分析領域上を検出部1としても良いし、例えば、分析領域上に所定の電解液で満たされた液相室を設けて、この分析領域上(液相室内)を検出部1としても良い。
10 酵素電極
11 作用電極(電極)
12 メソ多孔性シリカ層
13 酵素
100 酵素センサ

Claims (5)

  1. 電極と、
    前記電極上に形成されたメソ多孔性シリカ層と、
    前記メソ多孔性シリカ層の細孔の内部に固定された酵素と、を備え、
    前記メソ多孔性シリカ層は、粉末状のメソ多孔性シリカを前記電極に電着することによって形成されていることを特徴とする酵素電極。
  2. 前記メソ多孔性シリカ層は、細孔の内部に前記酵素が固定されていない粉末状のメソ多孔性シリカを前記電極に電着することによって形成され、
    前記酵素は、真空吸引することによって、前記電着することにより形成されたメソ多孔性シリカ層の細孔の内部に導入されて固定されていることを特徴とする請求項1に記載の酵素電極。
  3. 前記酵素は、真空吸引することによって、粉末状のメソ多孔性シリカの細孔の内部に導入されて固定され、
    前記メソ多孔性シリカ層は、前記真空吸引することにより固定された酵素を細孔の内部に有する粉末状のメソ多孔性シリカを前記電極に電着することによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の酵素電極。
  4. 前記メソ多孔性シリカ層の細孔の内部に導入され、前記酵素と前記電極との間の電子移動を媒介する媒介物質を備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の酵素電極。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の酵素電極を用いて電気化学的計測法により所定の検出対象物質を検出することを特徴とする酵素センサ。
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