JP2012026405A - アフタバーナ及び航空機エンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】保炎器37による保炎効果が不要な場合に、複数のブラフボディ39が圧力損失の要因になることを極力抑えつつ、アフタバーナ23の燃焼効率を高いレベルまで確保する。
【解決手段】保炎器37は、ライナ29内における噴射器33の後方に放射状に配設されかつ火炎をライナ29内において伝播可能な複数のブラフボディ39を備え、各ブラフボディ39は、ディフューザ21側からライナ29側かけて径方向へ延びかつ上流側端部が連結された一対のアームプレート45,47を有し、一対のアームプレート45,47の開き角度が調節可能になっていること。
【選択図】図1

Description

本発明は、航空機エンジンのコア流路から排出された燃焼ガス(高温ガス)と航空機エンジンのファン流路から排出された空気(低温空気)との混合ガスに燃料を供給して、再燃焼させることにより、航空機エンジンの推力を増大させるアフタバーナ等に関する。
近年、航空機エンジンの高推力化の要請に伴い、アフタバーナについて種々の研究開発がなされており、一般的なアフタバーナの構成等について簡単に説明すると、次のようになる。
即ち、航空機エンジンにおけるエンジンケースの後部には、アウタダクトが設けられており、このアウタダクト内には、混合ガスを流通可能な筒状のライナが設けられている。また、アウタダクトには、ライナ内において燃料を噴射する噴射器が設けられており、アウタダクトにおける噴射器の後方には、ライナ内において燃料を含む混合ガスに点火する点火器が設けられている。
噴射器の後方には、保炎器(フレームホルダ)が設けられており、この保炎器は、後側(下流側)に混合ガスの循環流(渦流)を形成して火炎を保持するもの、換言すれば、後側に保炎領域を生成するものである。また、保炎器は、ライナ内における噴射器の後方に配設されかつ火炎をライナ内において伝播可能な複数のブラフボティを備えている。
従って、航空機エンジンの稼働中に、噴射器からライナ内において燃料を噴射して、点火器によって燃料を含む混合ガスに点火することにより、ライナ内における保炎器の後側に火炎を形成しつつ、再燃焼させる。これにより、ライナ内において燃焼ガスが膨張して加速され、航空機エンジンの推力を増大させることができる。
ところで、アフタバーナを使用しない場合、換言すれば、保炎器による保炎効果(燃焼安定効果)が不要な場合には、複数のブラフボディが圧力損失(エネルギー損失)の大きな要因になる。前述の問題点に鑑みて、本発明の出願人は、航空機の飛行状況及び航空機エンジンの使用状況等に応じて、保炎器の動作状態を変更できるアフタバーナについて出願し、その出願内容も既に出願公開されている(特許文献1参照)。先行技術に係るアフタバーナの特徴部分の構成等について簡単に説明すると、次のようになる。
先行技術に係るアフタバーナの保炎器は、前述の一般的なアフタバーナの保炎器と同様に、ライナ内における噴射器の後方に環状に配設された複数のブラフボディを備えている。そして、各ブラフボディは、ライナに設けられかつ径方向へ延びた支柱と、支柱に設けられかつ仰角を調節可能なアウター可変翼と、支柱におけるアウター可変翼の径方向内側に設けられかつ仰角を調節可能なインナー可変翼とを有している。
従って、例えば航空機の飛行状況が高空低速飛行である時等、温度及び圧力が低く、着火或いは保炎が困難な状況において、保炎器による保炎効果を十分に発揮させる場合には、各アウター可変翼及び各インナー可変翼の仰角を大きくする。また、例えばアフタバーナの使用状況がアフタバーナの最大負荷付近である時等、保炎器による保炎効果を低減する場合には、各アウター可変翼及び各インナー可変翼の仰角を小さくする。一方、例えば航空機の飛行状況が低空飛行である時等、温度及び圧力が高く、着火或いは保炎が比較的容易な状況において、保炎器による保炎効果が不要な場合には、各アウター可変翼及び各インナー可変翼の仰角を0に近づける。これにより、必要に応じて航空機エンジンの推力を増大させつつ、保炎器による保炎効果が不要な場合に、複数のブラフボディが圧力損失の要因になることを極力抑えることができる。
なお、高空低速飛行における「高空」とは、例えば飛行高度35キロフィート以上の上空のことをいい、高空低速飛行における「低速」とは、例えば飛行マッハ数1以下のことをいい、低空飛行における「低空」とは、例えば飛行高度30キロフィート未満の上空のことをいう。
なお、本発明に関する先行技術として特許文献1の他に、特許文献2に示すものがある。
特開平9−250395号公報 特開平6−137213号公報
しかしながら、先行技術に係るアフタバーナにあっては、保炎器による保炎効果を低減する場合に、保炎器による保炎効果を十分に発揮させる場合に比較して、インナー可変翼と航空機エンジンにおけるディフューザとの間の距離及びアウター可変翼とライナの内周面との間の距離が長くなり、ディフューザの外周面付近及びライナの内周面付近に保炎領域が生成され難くなる。そのため、ライナ内における横断面に沿った全領域において火炎を形成することができず、アフタバーナの燃焼効率を高いレベルまで確保することが困難になる。
つまり、保炎器による保炎効果が不要な場合に、複数のブラフボディが圧力損失の要因になることを極力抑えつつ、アフタバーナの燃焼効率を高いレベルまで確保することは構成上困難であるという問題がある。
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成のアフタバーナ等を提供することを目的とする。
本発明の第1の特徴は、航空機エンジンのコア流路から排出された燃焼ガス(高温ガス)と前記航空機エンジンのファン流路から排出された空気(低温空気)との混合ガスに燃料を供給して、再燃焼させることにより、前記航空機エンジンの推力(エンジン推力)を増大させるアフタバーナであって、前記航空機エンジンにおけるエンジンケースの後部に設けられたアウタダクトと、前記アウタダクト内に設けられ、混合ガスを流通可能な筒状のライナと、前記ライナ内において燃料を噴射する噴射器と、前記噴射器の後方に設けられ、燃料を含む混合ガスに点火する点火器と、前記ライナ内における前記噴射器の後方に放射状に配設されかつ火炎を前記ライナ内において伝播可能な複数のブラフボディを備え、後側に混合ガスの循環流を形成して火炎を保持する保炎器と、を具備し、各ブラフボディは、前記航空機エンジンにおけるディフューザ側から前記ライナ側かけて径方向へ延びかつ上流側端部が連結された一対のアームプレートを有し、一対の前記アームプレートの開き角度(交角)が調節可能になっていることを要旨とする。
なお、本願の特許請求の範囲及び明細書において、「設けられ」とは、直接的に設けられたことの他に、ブラケット等の別部材を介して間接的に設けられたことを含む意であって、同様に、「配設され」とは、直接的に配設されたことの他に、ブラケット等の別部材を介して間接的に配設されたことを含む意である。
第1の特徴によると、前記航空機エンジンの稼働中に、前記噴射器から前記ライナ内において燃料を噴射して、前記点火器によって燃料を含む混合ガスに点火することにより、前記ライナ内における前記保炎器の後側に火炎を形成しつつ、再燃焼させる。これにより、前記ライナ内において燃焼ガスが膨張して加速され、前記航空機エンジンの推力を増大させることができる。
ここで、前記保炎器による保炎効果を十分に発揮させる場合には、各ブラフボディにおける一対の前記アームプレートの開き角度を大きくする。また、前記保炎器による保炎効果を低減する場合には、各ブラフボディにおける一対の前記アームプレートの開き角度を小さくする。一方、前記保炎器による保炎効果が不要な場合には、各ブラフボディにおける一対の前記アームプレートの開き角度を0度にする等、極力小さくして、各ブラフボディにおける一対の前記アームプレートを燃焼ガスの流れ方向に指向させる(沿わせる)。
また、各ブラフボディにおける一対の前記アームプレートが前記ディフューザ側から前記ライナ側にかけて径方向へ延びているため、前記保炎器による保炎効果を十分に発揮させる場合、及び前記保炎器による保炎効果を低減する場合において、前記ディフューザの外周面付近及び前記ライナの内周面付近に保炎領域を確実に生成することができる。
本発明によれば、各ブラフボディにおける一対の前記アームプレートの開き角度を極力小さくして、各ブラフボディにおける一対の前記アームプレートを燃焼ガスの流れ方向に指向させることができるため、前記保炎器による保炎効果が不要な場合に、複数の前記ブラフボディが圧力損失の要因になることを極力抑えることができる。
また、前記保炎器による保炎効果を十分に発揮させる場合、及び前記保炎器による保炎効果を低減する場合において、前記ディフューザの外周面付近及び前記ライナの内周面付近に保炎領域を確実に生成できるため、前記ライナ内における横断面に沿った全領域において火炎を形成して、前記アフタバーナの燃焼効率を高いレベルまで確保することができる。
図1は、本発明の実施形態に係るアフタバーナの模式的な側半断面図である。 図2は、図1における矢視部IIを示す図である。 図3は、本発明の実施形態に係る保炎器におけるブラフボディの周辺を示す斜視図である。 図4(a)(b)(c)は、本発明の実施形態に係る保炎器におけるブラフボディの動作を示す図である。 図5は、本発明の実施形態に係る航空機エンジンの模式的な側断面図である。 図6は、本発明の実施形態の変形例に係る保炎器におけるブラフボディの周辺を示す斜視図である。 図7(a)(b)(c)は、本発明の実施形態の変形例に係る保炎器におけるブラフボディの動作を示す図である。
本発明の実施形態について図1から図5を参照して説明する。なお、図面中、「F」は、前方向(上流方向)、「R」は、後方向(下流方向)を指している。
図5に示すように、本発明の実施形態に係る航空機エンジン1は、燃焼ガス(高温ガス)と空気(低温空気)との混合ガスを後方向へ排気することにより、推力(エンジン推力)を発生させる装置であって、筒状のエンジンケース3を具備している。また、エンジンケース3内には、燃焼ガスを後方向へ流通可能な環状のコア流路(主流路)5が区画形成されており、コア流路5の外側には、空気(低温空気)を後方向へ流通可能な環状のファン流路(バイパス流路)7が区画形成されている。
エンジンケース3内の前部には、コア流路5及びファン流路7に空気を取り入れるファン9が配設されており、このファン9の前側中央部には、空気を後方向へ案内するインレットコーン11が配設されている。また、ファン9の後側には、コア流路5に取り入れた空気を圧縮する圧縮機13が配設されており、圧縮機13の後側には、燃焼器15が配設されており、この燃焼器15は、燃料を含む空気(空気)を燃焼させて燃焼ガスを生成するものである。
燃焼器15の後側には、高圧タービン17が配設されており、この高圧タービン17は、燃焼器15からの燃焼ガスの膨張によって駆動すると共に圧縮機13を連動して駆動させるものである。また、高圧タービン17の後側には、低圧タービン19が配設されており、この低圧タービン19は、燃焼ガスの膨張によって駆動すると共にファン9を連動して駆動させるものである。更に、低圧タービン19の後側には、燃焼ガスを拡散するディフューザ21が配設されている。
エンジンケース3の後部には、アフタバーナ23が配設されており、このアフタバーナ23は、コア流路5から排出された燃焼ガスとファン流路7から排出された空気(低温空気)との混合ガスに燃料を供給して、再燃焼させることにより、航空機エンジン1の推力(エンジン推力)を増大させるものである。また、アフタバーナ23の後側には、混合ガスとして排気する排気ノズル25が配設されている。
続いて、本発明の実施形態に係るアフタバーナ23の具体的な構成について説明する。
図1から図3に示すように、エンジンケース3の後部には、アウタダクト27が配設されており、このアウタダクト27は、排気ノズル25に接続されている。また、アウタダクト27内には、混合ガスを後方向へ流通可能な筒状のライナ29が配設されている。更に、エンジンケース3の後部には、ミキサ31が配設されており、このミキサ31は、コア流路5から排出された燃焼ガスとファン流路7から排出された空気とを混合するものであって、ライナ29内に位置している。なお、ミキサ31の構成は、前述の特許文献2に示す公知のミキサの構成と同じである。
アウタダクト27には、ライナ29内において燃料を噴射する複数のスプレーバー33(噴射器の一例)が周方向に間隔を置いて配設されており、各スプレーバー33の先端側部分は、ライナ29内に位置している。また、アウタダクト27におけるスプレーバー33の後方には、ライナ29内において燃料を含む混合ガスに点火(着火)する点火器(イグナイタ)35が配設されており、点火器35の先端側部分は、ライナ29内に位置している。
スプレーバー33の後方には、保炎器(フレームホルダ)37が配設されており、この保炎器37は、後側(下流側)に混合ガスの循環流(渦流)を形成して火炎を保持するもの、換言すれば、後側に保炎領域FAを生成するものである。また、保炎器37は、ライナ29内におけるスプレーバー33の後方に放射状に配列されかつ火炎をライナ29内において伝播可能な複数のブラフボディ39を備えており、いずれかのブラフボディ39は、点火器35の上流側近傍に位置している。そして、各ブラフボディ39を含む周辺の具体的な構成は、次のようになる。
アウタダクト27におけるスプレーバー33の後方には、径方向へ延びた中空の第1回転軸41が軸心(第1回転軸41の軸心)周りに回転可能に設けられており、この第1回転軸41の大部分(先端側部分及び中間部分を含む大部分)は、ライナ29内に位置してあって、第1回転軸41の中間部分には、切欠41nが形成されておいる。また、第1回転軸41内には、径方向へ延びた第2回転軸43が軸心(第2回転軸43の軸心、換言すれば、第1回転軸41の軸心)周りに回転可能に設けられている。
ライナ29内におけるスプレーバー33の後方には、径方向へ延びた第1アームプレート45が配設されており、この第1アームプレート45の上流側端部は、第1回転軸41の外周面に一体的に連結されている。また、第1アームプレート45は、ディフューザ21側(ディフューザ21の外周面側)からライナ29側(ライナ29の内周面側)かけて径方向へ延びてあって、第1回転軸41の回転により第1回転軸41の軸心(径方向へ延びた軸心)周りに揺動可能である。
ライナ29内におけるスプレーバー33の後方には、径方向へ延びた第2アームプレート47が配設されており、この第2アームプレート47の上流側端部は、第2回転軸43の外周面における第1回転軸41の切欠41nから露出した部位に一体的に連結されている。また、第2アームプレート47は、ディフューザ21側からライナ29側かけて径方向へ延びてあって、第2回転軸43の回転により第2回転軸43の軸心(径方向へ延びた軸心)周りに揺動可能である。なお、第2アームプレート47は、第1回転軸41の切欠41nによって所定の範囲内の揺動が許容されるようになっている。
ここで、前述のように、第1アームプレート45の上流側端部が第1回転軸41の外周面に一体的に連結され、第2アームプレート47の上流側端部が第2回転軸43の外周面に一体的に連結されることによって、第1アームプレート45の上流側端部と第2アームプレート47の上流側端部が第1回転軸41及び第2回転軸43を介して揺動可能に連結されることになる。また、第1アームプレート45及び第2アームプレート47が開閉方向(開方向・閉方向)へ同期して揺動することによって、第1アームプレート45と第2アームプレート47の開き角度(交角)が調節可能になっている。
アウタダクト27における第1回転軸41の近傍(第2回転軸43の近傍)には、第1アームプレート45と第2アームプレート47を開閉方向へ同期して揺動させる油圧シリンダ(アクチュエータの一例)49が設けられている。また、油圧シリンダ49は、往復動可能な作動ロッド51を有してあって、油圧シリンダ49の作動ロッド51の先端部は、第1リンク機構53を介して第1回転軸41の径方向外側の端部に連結されかつ第2リンク機構55を介して第2回転軸43の径方向外側の端部に連結されている。
図1に示すように、アウタダクト27の内面とライナ29の外面との間には、ファン流路7から排出された空気の一部を冷却空気として流通可能な環状のライナ冷却流路57が区画形成されている。
続いて、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
適宜のスタータ装置(図示省略)の作動によってファン9及び圧縮機13を駆動させると、ファン9によってコア流路5及びファン流路7に空気を取り込むことができ、圧縮機13によってコア流路5に取り込まれた空気を圧縮することができる。次に、燃焼器15によって燃料を含む空気を燃焼させて、高圧の燃焼ガスを生成すると、燃焼ガスの膨張によって高圧タービン17及び低圧タービン19を駆動させて、圧縮機13及びファン9を連動して駆動させることができる。更に、一連の動作(ファン9の駆動、圧縮機13の駆動、燃焼器15による燃焼、高圧タービン17及び低圧タービン19の駆動)が連続して行われることにより、航空機エンジン1を稼動させることができる。そして、航空機エンジン1の稼動中に、コア流路5から排出される燃焼ガスとファン流路7から排出される空気がミキサ31によって混合され、混合ガスとして排気ノズル25から後方向へ排気されることにより、航空機エンジン1の推力(エンジン推力)を発生させることができる。
航空機エンジン1の稼働中に、複数のスプレーバー33からライナ29内において燃料を噴射して、点火器35によって燃料を含む混合ガスを点火することにより、ライナ29内における保炎器37の後側に火炎を形成しつつ、再燃焼させる。これにより、ライナ29内において燃焼ガスが膨張して加速され、航空機エンジン1の推力を増大させることができる。
一方、航空機エンジン1の稼働中に、ファン流路7から排出された空気の一部が冷却空気としてライナ冷却流路57を流通することにより、ライナ29の冷却を行うことができる。
ここで、例えば航空機の飛行状況が高空低速飛行である時等、保炎器37による保炎効果を十分に発揮させる場合には、図4(a)に示すように、各油圧シリンダ49の作動により各ブラフボディ39における第1アームプレート45と第2アームプレート47を開方向へ同期して揺動させて、各ブラフボディ39における第1アームプレート45と第2アームプレート47の開き角度を大きくする。また、例えばアフタバーナ23の使用状況がアフタバーナ23の最大負荷付近である時等、保炎器37による保炎効果を低減する場合には、図4(b)に示すように、各油圧シリンダ49の作動により各ブラフボディ39における第1アームプレート45と第2アームプレート47を閉方向へ同期して僅かに揺動させて、各ブラフボディ39における第1アームプレート45と第2アームプレート47の開き角度を小さくする。一方、例えば航空機の飛行状況が低空飛行である時等、保炎器37による保炎効果が不要な場合には、図4(c)に示すように、各油圧シリンダ49の作動により各ブラフボディ39における第1アームプレート45と第2アームプレート47を閉方向へ同期して揺動させて、各ブラフボディ39における第1アームプレート45と第2アームプレート47の開き角度を0度にして、各ブラフボディ39における第1アームプレート45と第2アームプレート47を燃焼ガスの流れ方向(下流方向)に指向させる(沿わせる)。
また、各ブラフボディ39における第1アームプレート45及び第2アームプレート47がディフューザ21側からライナ29側にかけて径方向へ延びているため、保炎器37による保炎効果を十分に発揮させる場合、及び保炎器37による保炎効果を低減する場合において、ディフューザ21の外周面付近及びライナ29の内周面付近に保炎領域を確実に生成することができる。
従って、本発明の実施形態によれば、各ブラフボディ39における第1アームプレート45と第2アームプレート47の開き角度を0度にして、各ブラフボディ39における第1アームプレート45と第2アームプレート47を燃焼ガスの流れ方向に指向させることができるため、保炎器37による保炎効果が不要な場合に、複数のブラフボディ39が圧力損失の要因になることを極力抑えることができる。
また、保炎器37による保炎効果を十分に発揮させる場合、及び保炎器37による保炎効果を低減する場合において、ディフューザ21の外周面付近及びライナ29の内周面付近に保炎領域を確実に生成できるため、ライナ29内における横断面に沿った全領域において火炎を形成して、アフタバーナ23の燃焼効率を高いレベルまで確保することができる。
(変形例)
本発明の実施形態の変形例ついて図6及び図7(a)(b)(c)を参照して説明する。なお、図面中、「F」は、前方向(上流方向)、「R」は、後方向(下流方向)を指している。
図6に示すように、本発明の実施形態の変形例に係る保炎器59は、複数のブラフボディ39に代えて、ライナ29内におけるスプレーバー33の後方に放射状に配列されかつブラフボディ39と異なる構成を有しかつ火炎を径方向へ伝播可能な複数(1つのみ図示)のブラフボディ61を備えており、いずれかのブラフボディ61は、点火器35(図1参照)の上流側近傍に位置している。そして、各ブラフボディ61を含む周辺の具体的な構成は、次のようになる。
アウタダクト27におけるスプレーバー33(図1参照)の後方には、径方向へ延びた中空の固定軸63が設けられており、この固定軸63の大部分(先端側部分及び中間部分を含む大部分)は、ライナ29内に位置してあって、固定軸63の中間部分には、切欠63nが形成されておいる。また、固定軸63内には、径方向へ延びた回転軸65が軸心(回転軸65の軸心、換言すれば、固定軸63の軸心)周りに回転可能に設けられている。
ライナ29内におけるスプレーバー33の後方には、径方向へ延びた第1アームプレート67が配設されており、この第1アームプレート67の上流側端部は、固定軸63の外周面に一体的に連結されている。また、第1アームプレート67は、ディフューザ21側からライナ29側かけて径方向へ延びてあって、燃焼ガスの流れ方向(下流方向)に指向している(沿っている)。
ライナ29内におけるスプレーバー33の後方には、径方向へ延びた第2アームプレート69が配設されており、この第2アームプレート69の上流側端部は、回転軸65の外周面における固定軸63の切欠63nから露出した部位に一体的に連結されている。また、第2アームプレート69は、ディフューザ21側からライナ29側かけて径方向へ延びてあって、回転軸65の回転により回転軸65の軸心(径方向へ延びた軸心)周りに揺動可能である。なお、第2アームプレート69は、固定軸63の切欠63nによって所定の範囲内の揺動が許容されるようになっている。
ここで、前述のように、第1アームプレート67の上流側端部が固定軸63の外周面に一体的に連結され、第2アームプレート69の上流側端部が回転軸65の外周面に一体的に連結されることによって、第1アームプレート67の上流側端部と第2アームプレート69の上流側端部が固定軸63及び回転軸65を介して揺動可能に連結されることになる。また、第2アームプレート69が開閉方向(開方向・閉方向)へ同期して揺動することによって、第1アームプレート67と第2アームプレート69の開き角度(交角)が調節可能になっている。
アウタダクト27における回転軸65の近傍(固定軸63の近傍)には、第2アームプレート69を開閉方向へ同期して揺動させる油圧シリンダ(アクチュエータの一例)65が設けられている。また、油圧シリンダ71は、往復動可能な作動ロッド73を有してあって、油圧シリンダ71の作動ロッド73の先端部は、リンク機構75を介して回転軸65の径方向外側の端部に連結されている。
前述の保炎器59の構成によると、保炎器59による保炎効果を十分に発揮させる場合には、図7(a)に示すように、各油圧シリンダ71の作動により各ブラフボディ61における第2アームプレート69を開方向へ揺動させて、各ブラフボディ61における第1アームプレート67と第2アームプレート69の開き角度を大きくする。また、保炎器59による保炎効果を低減する場合には、図7(b)に示すように、各油圧シリンダ71の作動により各ブラフボディ61における第2アームプレート69を閉方向へ僅かに揺動させて、各ブラフボディ61における第1アームプレート67と第2アームプレート69の開き角度を小さくする。一方、保炎器59による保炎効果が不要な場合には、図7(c)に示すように、各油圧シリンダ71の作動により各ブラフボディ61における第2アームプレート69を閉方向へ揺動させて、各ブラフボディ61における第1アームプレート67と第2アームプレート69の開き角度を0度にして、各ブラフボディ61における第2アームプレート69を燃焼ガスの流れ方向(下流方向)に指向させる(沿わせる)。
また、各ブラフボディ61における第1アームプレート67及び第2アームプレート69がディフューザ21側からライナ29側にかけて径方向へ延びているため、保炎器59による保炎効果を十分に発揮させる場合、及び保炎器59による保炎効果を低減する場合において、ディフューザ21の外周面付近及びライナ29の内周面付近に保炎領域を確実に生成することができる。
従って、本発明の実施形態の変形例おいても、前述と同様の効果を奏するものである。
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限るものでなく、種々の態様で実施可能である。また、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されないものである。
1 航空機エンジン
3 エンジンケース
5 コア流路
7 ファン流路
21 ディフューザ
23 アフタバーナ
25 排気ノズル
27 アウタダクト
29 ライナ
31 ミキサ
33 スプレーバー
35 点火器
37 保炎器
39 ブラフボディ
41 第1回転軸
41n 第1回転軸の切欠
43 第2回転軸
45 第1アームプレート
47 第2アームプレート
49 油圧シリンダ
51 作動ロッド
53 第1リンク機構
55 第2リンク機構
57 ライナ冷却流路
59 保炎器
61 ブラフボディ
63 固定軸
63n 固定軸の切欠
65 回転軸
67 第1アームプレート
69 第2アームプレート
71 油圧シリンダ
73 作動ロッド
75 リンク機構

Claims (4)

  1. 航空機エンジンのコア流路から排出された燃焼ガスと前記航空機エンジンのファン流路から排出された空気との混合ガスに燃料を供給して、再燃焼させることにより、前記航空機エンジンの推力を増大させるアフタバーナであって、
    前記航空機エンジンにおけるエンジンケースの後部に設けられたアウタダクトと、
    前記アウタダクト内に設けられ、混合ガスを流通可能な筒状のライナと、
    前記ライナ内において燃料を噴射する噴射器と、
    前記噴射器の後方に設けられ、燃料を含む混合ガスに点火する点火器と、
    前記ライナ内における前記噴射器の後方に放射状に配設されかつ火炎を前記ライナ内において伝播可能な複数のブラフボディを備え、後側に混合ガスの循環流を形成して火炎を保持する保炎器と、を具備し、
    各ブラフボディは、前記航空機エンジンにおけるディフューザ側から前記ライナ側かけて径方向へ延びかつ上流側端部が連結された一対のアームプレートを有し、一対の前記アームプレートの開き角度が調節可能になっていることを特徴とするアフタバーナ。
  2. 各ブラフボディにおける一対の前記アームプレートが径方向へ延びた軸心周りに揺動可能になっていることを特徴とする請求項1に記載のアフタバーナ。
  3. 各ブラフボディにおける一対の前記アームプレートのうちの片方のみが径方向へ延びた軸心周りに揺動可能になっていることを特徴とする請求項1に記載のアフタバーナ。
  4. 燃焼ガスと空気との混合ガスを後方向へ排気することにより、推力を発生させる航空機エンジンにおいて、
    請求項1から請求項3のうちのいずれかの請求項に記載のアフタバーナを具備したことを特徴とする航空機エンジン。
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