JP2012021784A - 水酸化第二鉄コロイド粒子を高濃度で分散した水溶液およびその製法 - Google Patents

水酸化第二鉄コロイド粒子を高濃度で分散した水溶液およびその製法 Download PDF

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Abstract

【課題】
膜の微粒子除去能を確定する性能試験および使用後の膜が微粒子除去性能においてあらかじめ設定内であることを確認す非破壊法の完全性試験の新しい方法と該試験に適用させる試験試薬と該試薬を製造する方法を提供する。
【解決方法】
平均粒子径9〜30nmの水酸化第2鉄コロイド粒子と該コロイド粒子を安定させるためのpHが1.5〜3.5であることを特徴とする水溶液を試験液として粒子除去性能を測定する。試験液を他の物質に接触させた際の該コロイド粒子を安定させる複数の水溶性成分を含むことによってコロイド粒子の安定化を増加させる。この水酸化第2鉄コロイド粒子の粒子径を3価の鉄イオンと水酸化イオンの比および混合時の容量比で制御して作製した水溶液を用いて膜の粒子除去性能を評価する
【選択図】 図1

Description

本発明は微粒子除去を目的とした平均孔径5nm以上300nm以下の高分子多孔膜を使用後または使用前に行う膜の完全性試験または膜のウイルス除去の性能試験に供する水溶液とその製法に関する。除去対象とする微粒子とはプリオンやウイルスや細菌などの感染性粒子あるいはタンパク凝集体や会合体,タンパクと他の分子との複合化した凝集体や無機粒子である。これらの微粒子を膜によって除去する技術を提供したりあるいはその技術を適切に利用したりする際には、膜の供給側は膜の微粒子除去性能を評価(この評価試験を性能試験と略称)したり、あるいは膜の使用者側は膜が微粒子除去性能を設計通り製造工程中で発揮されるように適切に使用されたことを確認する完全性試験を実施することが必要である。
本発明は膜の非破壊型の微粒子除去に関する性能試験および完全性試験用に供する水溶液を与え、さらに該水溶液の製法を提供する。該水溶液中には除去対象とする感染状微粒子に対応する指定された大きさ(直径:プリオン用10nm,ウイルス用20nm,マイコプラズマ用80nm,細菌用では300nm)をもつ微粒子を含み、その微粒子が安定に分散していなくてはならず通常12週間以上は平均の粒径は変化しないことが必要である。
膜分離技術は分離に要するエネルギーが小さいこと、温和な条件での分離であることにより生物資源を利用する分野に利用するのが適す。特にバイオ医薬品や飲食品分野の精製工程では多用されている。これらの分野での膜技術は、感染性粒子(ウイルス,細菌,プリオンなど)を除去するなどの安全性対策上不可欠である。実際に市場ではウイルス除去膜や除菌用フィルターとして膜を用いた濾過技術(膜濾過技術と略称)としてバイオ医薬品の製造工程で利用され、この分野では使用後の膜の完全性試験が義務付けられている。
従来より提案された膜の完全性試験法には、ウイルス除去と細菌除去に関して直接法と間接法との二種類がある。例えばウイルス除去に関して直接法とはある特定の大きさを持つ微粒子を同じ大きさのウイルスのモデル物質とみなし、この微粒子を分散した水溶液を用いた膜の微粒子除去性能を測定する試験法意味する。完全性試験の定義から膜としては使用直後の膜でなくてはならない。ウイルス除去に関して実際に使われている微粒子は金コロイド粒子である。(特許文献1)一方、性能試験は膜の使用前に膜のメーカーが行う除去性能試験であり、この金コロイド粒子を用いる場合には膜の性能試験の直接法に分類される。性能試験の直接法において技取り検査では金コロイド粒子が採用されているが全数検査での直接法は開発されていない。金コロイド粒子を用いた方法が破壊型の直接法であるため全数検査の性能試験としては不適である。
間接法による完全性試験では微粒子の除去性能を測定する代りに、孔特性に関連した物性値を測定することによって間接的に使用後の膜についての微粒子の除去性能が設定された基準以上であることを確認する試験法である。たとえば膜中の孔を介して2種の液体相を接触させた際に生じる界面張力が既知であれば2液体の一方を加圧して最初に加圧された液体が孔を通過する瞬間の圧力を測定すれば最大孔径が定まる。この圧力が所定の圧力以上であることによって膜中の最大の孔の大きさが設定された孔径内であることが原理上確認できる。(特許文献2)
間接法での実際の測定では一定の膜間差圧を与えた際の液体の膜透過速度を測定する場合が多い(特許文献2)。しかしこの方法では界面張力が重要であるため使用後の膜の洗浄と測定時の温度制御が必要であり、しかも測定後の膜は測定時に使用していた液体で汚染される。また界面張力の大きな液体(例、水など)の場合には膜への負荷圧力が大きくなるため完全性試験によって孔が力学的に変形あるいは破壊される。したがってこの方法も破壊試験となるため全数検査が必要な性能試験としては使えない。膜の平均孔径が小さくなるほど間接法の適用が難しくなる。
全数検査で性能試験としての非破壊の間接法の例として、孔を介しての気体と液体との表面張力を利用して最大径またはその近傍の孔を上述の液/液界面での間接法の場合と類似の気/液界面での気体の透過速度を測定する検査法も実際の膜の製造現場では利用されている。しかしこの方法では膜としては乾燥状態であることが必要であり、かつ膜間差圧も数気圧〜十数気圧必要なためこの方法は膜ユーザーの行う完全性試験には使えない。
本発明でいう膜分離技術とは(1)圧力差を物質移動の駆動力として孔径と粒子径との関係で物質を分離する膜濾過技術と、(2)濃度差を物質移動の駆動力とし、分子あるいは粒子自体の持つ熱運動性(いわゆるブラウン運動の激しさ)の差を利用した分離と膜中の孔の径と粒子径との関係で生じるふるい効果によって分離する孔拡散技術と(3)半透膜をへだてた濃度差を物質移動の駆動力として、膜と物質との親和力差と膜素材高分子の熱運動性(ミクロブラウン運動の激しさ)で生じる自由体積の空間部の大きさと分子の大きさとの差で分子を分離する拡散透析技術とを意味する。
従来から提案されていた直接法あるいは間接法の完全性試験法ではいずれの方法でも使用後の膜を洗浄して完全性試験の正確度を高めなくてはならない現状である。その理由は直接法では(A)採用されている微粒子が金コロイド粒子であること,(B)膜分離技術として膜濾過技術を採用しているためである。(A)の理由は金コロイド粒子とタンパク質との相互作用が強く(特にグロブリンとは吸着する)膜表面や内部の孔にタンパクが残存すると見掛上微粒子除去能は増加するためである。(B)の理由は濾過により膜表面には濃度分極により水溶液中の溶解成分が高濃度に局在化し、また膜中の孔には微粒子が目詰まりを起こして残留しているためである。
特開2005−40756 特開17−132215
一度微粒子除去用として使用された膜に対して再生処理した膜が再び微粒子除去用として再利用することができるがどうかを決定する試験法を開発することができればこの分野での膜の再利用の道が開ける。たとえ再利用を目指さないでも非破壊の完全性試験が可能となれば再度の完全性試験も可能となる。従来、膜を使用した後に行われる完全性試験では、この試験自体が膜の孔構造を破壊するものと考えが定着していた。すなわち微粒子除去用としての膜の再利用が可能になるにはまず完全性試験法が非破壊試験であることが必要である。膜の供給側である膜の製造者は非破壊型試験で間接法による性能試験を行っているが、この場合には性能試験後の膜の表面および内部が清浄で未使用状態と同一の状態であることか必要である。性能試験では膜の状態が未使用状態を前提としているためこの方法は完全性試験としては利用できないとされている。結局は適切な完全性試験法がないため膜はシングルユースであるとする膜の製造者の指導に従っているのが現状である。
直接法での完全性試験と性能試験とが有する問題点は検出感度が強い事にある
実証すべき除去性能は3log以上あるいは4log以上、さらに多数の膜モジュールを同時に実証する必要もあるが現存の完全性試験では実施できない。これを可能にするには原理上、試験液中での粒子濃度を高めるか粒子の検出感度を高めるしかない。現在までに提案された方法での水酸化鉄コロイド粒子の濃度は2000ppmが限界であった。その理由はコロイド粒子の濃度を高めると水溶液中の粒子の安定性が低下し、コロイド粒子の直径が保存時間と共に増加する問題点があった。
本発明では非破壊試験で、しかも直接法による試験用の水溶液を提供することにより、膜の微粒子除去用としての再使用および再試験の可能性を阻外する上述の問題を解決する。すなわち本発明の第1の特徴は微粒子除去を目的とした膜に対して膜製造者が行う使用前の膜の直接法の除去性能試験と膜の使用者が行う使用後の膜の完全性試験との共通の試験用水溶液を与える点にある。直接法でかつ非破壊型の試験法であるためには、水溶液中には試験後に簡単に除去できる微粒子を分散していることが必要である。また試験法としては濾過法よりも孔拡散法の方が膜中の粒子除去が容易なために望ましい。同じ理由で膜の使用方法も孔拡散法が望ましい。従来微粒子除去を目的とした膜分離技術は膜濾過法のみであったため孔拡散法が開発されるまで膜の再生使用の可能性はなかったといえる。
本発明の第2の特徴は、水溶液中に水酸化第2鉄コロイド粒子を高濃度で分散させている点である。水酸化第2鉄コロイド粒子はほとんど無定形であるため、試験後に膜中に残存しても酸等により簡単に溶解除去できる。水酸化第2鉄コロイド粒子にすることにより水中の3価の鉄イオン濃度および2価の鉄イオン濃度を0.1ppm以下に低下させることは可能である。水酸化第2鉄コロイド粒子の鉄換算濃度が3000ppm以上の高濃度での共存する第2鉄イオン濃度は30ppm以上に達する。透析によりさらにコロイド溶液中に共存する3価の鉄イオン濃度をさげることも可能である。透析に用いる膜の平均孔径を4nmに設定して透析するイオンあるいは4nm以下の微粒子濃度を減少させることは可能であるが水溶液中のPH値を大きくすると見掛け上2価の鉄イオンを減少できる。2価の鉄イオン濃度の減少はコロイド粒子の安定性に寄与するのみでなく完全性試験の感度を高める。水酸化鉄コロイド粒子を乾燥すると脱水や酸化状態が変化し、結晶化が進み、コロイド粒子は酸への溶解速度が著しく低下する。そのため試験後の粒子除去が困難となり破壊型の試験法となり好ましくない。水酸化第2鉄コロイド粒子を無定形状態に保持させておくことも重要である。
本発明のコロイド粒子を作製する際、コロイド粒子は核発生と引き続く成長過程を経る。この際の核を与える水酸化第2鉄コロイド粒子を作製するには第2鉄塩を溶解して水溶液中に塩基性物質を添加するか、水溶液を50℃以上に加熱すれば良い。PHの制御下でコロイド粒子を安定化させるためにはpHの範囲を5以下に、長期の安定にはpH1.5〜4.0に制御しておくことが必要である。特に3000ppm以上の高濃度での安定性にはPH値を1.5から3.5に設定する必要がある。塩基性物質としては苛性ソーダやアンモニアが適する。3価の鉄イオンと1価の水酸化イオンの比率および混合比は粒子径や磁性と結晶性を決定する重要な変数である。
本発明の第3の特徴は水酸化第2鉄コロイドの平均粒子径を9〜30nmの特定値に設定している点と水酸化第2鉄の濃度が鉄換算で3000ppm以上である点である。高濃度にすることにより現証すべき微粒子除去性能として4log以上が可能である。微粒子除去を目的とする膜の微粒子の具体的な種類として、細菌,マイコプラズマ,リケッチャ,クラミジア,ウイルス,プリオンその他タンパクの会合体や無機粒子等がある。これらの微粒子を除去する性能を膜が有することを確認するには、その対象とする微粒子径より小さな水酸化鉄コロイド粒子の膜除去性能によって確定される。この水酸化鉄コロイド粒子の膜除去機構は粒子径のみに依存するふるい効果や粒子径に依存する拡散効果であることが必要である。他の効果、例えば吸着効果によって除去される場合には膜の界面特性や微粒子界面の特性によって除去性能が変化するためである。すなわち試験法としては、除去性能に対して理論上予測性を持たなくてはならない。そのためにはふるい効果や拡散効果で粒子を除去する性能を確定し、他の除去機構が付与される場合には除去性能はふるい機構のみの場合の値以上となることが必要である。コロイド粒子の濃度は完全性試験の感度を支配するので重要であり、高い検出感度が要求される。ウィルス除去用では1000ppmを超えるとピンホールテストが一般的には完全性試験で不要になる。3000ppmを超えると微粒子除去性能として4logが実証できる。平均孔径9から30nmに特定することによって、粒子径の単分散性が確保できる。平均孔径を9nm未満での特定は測定技術上に現在問題を有する。
除去対象のウイルスがHIV(粒径100nm)等のレトロウィルス,あるいは細菌類,マイコプラズマ,リケッチャ,クラミジアであれば粒径80nmの水酸化鉄コロイド粒子を、C型肝炎ウイルス(粒径35nm)あるいはB型肝炎ウイルス(42nm)であれば粒子径20nmのコロイド粒子を、プリオン(10nm)については粒子径10nmを試験用水溶液に含まれるコロイド粒子の径として設定する。除去対象微粒子よりもわずかに小さいコロイド粒子を試験用の水溶液を用いることにより完全性試験および性能試験の信頼度が高くなる。
水酸化第2鉄コロイド粒子の粒子径は鉄塩水溶液中の3価の鉄イオンと水酸化イオンとの比によって制御できる。3価の鉄イオンもしくは水酸化イオンの存在比が大きくなると平均粒子径は大きくなる。この存在比を1対2から1対6の間に設定し、これを実現させるための3価の鉄イオン水溶液と水酸化イオン水溶液との混合比1対3から2対3にして粒子径を制御する。その制御法を利用する事によって粒子径の特定が容易となる。残存する鉄イオンもしくは水酸化イオン濃度を低くすることは鉄コロイド粒子を安定化させるのに望ましい。
本発明の第4の特徴はコロイド粒子を安定化させる複数の水溶性成分を含んだ水溶液である点である。該水溶性成分として水素イオンの調整が容易であることとこのイオンを試験後膜中より除去するのは簡単である。コロイド粒子の保存中にはpHは4以下に保たれる。第1鉄イオン濃度を0.1ppm以下にすることにより、コロイド粒子の安定化が向上し、またコロイド粒子の非晶性の保持が簡単である。コロイド粒子を用いて完全性試験を行う際に回路の素材、膜に残留するタンパク質や脂肪等に接触する。この接触時PHが1.5から3.0維持されているとコロイド粒子は安定である。しかし一般的には変化する。この接触時の安定性を確保するために新たに以下の水溶性物質を加える。
水酸化第2鉄コロイド粒子の安定度は下記の化合物を水溶液中に無添加もしくは添加するかあるいはコロイド粒子発生の際にあらかじめ水溶液に加えていると良い。すなわちポリエチレングリコール,ポリビニールアルコールおよびポリビニールピロリドンなどの非イオン性の水溶性高分子,陽イオン界面活性剤,非イオン界面活性剤などの界面活性剤である。
完全性試験および性能試験とが非破壊でかつ試験前に膜を洗浄処理することなく実施する試験方法としては孔拡散技術であることが望ましい。該試験用水溶液中の水酸化第2鉄コロイドの平均粒子径が20nmで100nm以下の範囲であることがウィルス除去用の試験としては最適であり、この際には試験の検出感度を高める必要性がある。該コロイド粒子の濃度が1000ppm以上であることが望ましい。
本発明の試験用水溶液は性能試験と完全性試験との両者に利用される。両試験方法の一致は膜の再生利用の道を開く。一方、現状の完全性試験の範囲においてのみ使用する場合でも従来法に比較して簡便で洗浄処理を必要としない。さらに性能試験において性能試験の直接法でかつ除去性能の検出感度として従来の金コロイドの10〜100倍の高い検出感度を与える。
塩化第二鉄水溶液と苛性ソーダ水溶液を混合し3価の鉄イオンと1価の水酸化イオンの比と両水溶液の混合比率によって水酸化第2鉄コロイド粒子の大きさを設定する。この水溶液を80℃に上昇させ、あらかじめ加温しておいた苛性ソーダ水溶液を添加して水溶液のPHを約2.0に設定した。この状態で粒子は設定された径を持つ。一方、ポリビニールアルコールを0.005〜0.02重量%の濃度になるように添加し、さらに陽イオン界面活性剤(日本油脂製カチオンAB)を約2重量%加えた水溶液を別途作製する。この溶液を添加液と略称する。コロイド水溶液の第1鉄イオン濃度は通常、0.1ppm以下であるが未反応のイオンを消失させるために空気泡で攪拌した。粒子径を動的光散乱法および電子顕微鏡で確定する。この水溶液を20℃で2ヶ月間保管し、その後平均粒子径の変化は0%以内である。
ミクロ相分離法で作製した再生セルロース多層構造平膜(例えば平均孔径30nm,空孔率65%,膜厚180ミクロン)の微粒子除去性能を孔拡散法で評価する。拡散液中の粒子濃度は以下のような錯体形成法を採用し、鉄イオンに換算で0.01ppmまで測定する。試験液中の鉄イオンに換算した粒子濃度を例えば3000ppmとすると微粒子除去性能の測定は5logまで可能である。検出感度を原子吸光光度法での0.005ppmまで高め、粒子濃度を500ppmにすれば微粒子除去性能は5logまで可能である。
微粒子除去性能を評価した後、0.1規定の塩酸を孔拡散式平膜モジュールに充填し、30℃で2時間ごとに内部の液を0.1規定の塩酸で置換を繰り返す。48時間この処理により流出する鉄イオン濃度は検出限界以下となり平膜は再生される。あるいは還元剤を用いて第2鉄を第1鉄に変化させることにより膜内部の水酸化第2鉄コロイド粒子は除去され膜は再生される。再生後の平膜モジュールで1重量%のガンマーグロブリン水溶液中のウイルス除去を想定したコロイド粒子を孔拡散法で微粒子除去する。拡散処理後、膜表面を純水で流すことで清浄化する。
上述のコロイド水溶液を用いて孔拡散法で完全性試験を実施する。拡散液中の水酸化第二鉄コロイド粒子濃度を測定するために拡散液中に1規定の塩酸を加えPHを約1に設定し、80℃に30分間加熱する。20℃に冷却後、少量のチオシアン酸ナトリウムを添加し着色する。着色した後に分光光度計を用いて吸光度を測定することによりあらかじめ求めた検量線より鉄イオン濃度を決定する。この方法で測定される鉄イオン濃度は0.01ppm以下0.005ppmである。もしくは、直接法として原子吸光光度計を使用する。この方法で測定される鉄イオン濃度は0.01ppm以下0.001ppmである。
該コロイド粒子の作製のための塩化鉄塩(A液として)としてFeCl・6HOの水溶液を用いた。塩化第2鉄0.231モルを400mlの水に溶解させ、0.1854モルの苛性ソーダを600mlの水に溶解せさせた。これをB液とした。A液30℃およびB液を50℃まで加温し、それぞれの温度に達したら、B液にA液を混合3価の鉄イオンと水酸化イオン比を1対3.3に調整した。混合後の水溶液を80℃に1時間加熱した。溶液は黒色〜褐色に変化した。ただしの鉄換算の総和としての濃度は0.0191モル/lで一定にした。水溶液中には水酸化鉄コロイド粒子とわずかに残存する鉄イオンが共存しているためこれを、セロハン(平均孔径2.5nm)を用いて透析した。透析後の水溶液を動的光散乱(DLS)を用いてコロイド粒子の平均粒子径を測定した結果、3価の鉄イオンと水酸化イオンの比率が1対3.3、容量の混合比2対3のときに20nmであった。3価の鉄イオンと水酸化イオンの比率が1対5、容量の混合比2対3のときに60nmであった。3価の鉄イオンと水酸化イオンの比率が1対2、容量の混合比1対3のときに10nmであった。最終的な水酸化第2鉄コロイド粒子の平均粒子径を制御できることがわかる。
上記の方法で作製したコロイド水溶液を20℃で静置保存すると粒子径が大きいほど沈降が早く100nmの粒子径の溶液では1日以内で沈降が認められた。平均粒径が20nmでは1ヶ月間はまったく変化が認められず2ヶ月後のDLS測定では平均孔径20nmと変化が認められなかった。
実施例1と同様にコロイド粒子を作製する際、加熱前の水溶液中にポリピニールアルコールを0.01重量%添加して調整したコロイド粒子の水溶液は2ヶ月以上安定であった。この水溶液中に下記の物質を添加し、コロイド粒子の安定性を確認した。
(1)水による稀釈と濃縮・・・稀釈倍率10倍〜濃縮倍率10倍で安定
(2)食塩水添加・・・食塩濃度が1,2重量%以上で不安定化
(3)卵アルブミン水溶液・・・0〜1重量%で安定
(4)牛ガンマーグロブリン・・・10ppm〜0.1重量%で不安定で0.2重量%以上で安定
(5)牛胸腺由来DNA・・・5ppm以上で不安定
実施例2で得られたポリビニールアルコール添加の水酸化第二鉄コロイド粒子を含む水溶液はアルブミン水溶液から膜によってウイルス除去する場合の完全性試験に適することがわかる。特に膜表面に濃縮はほとんど起らない孔拡散法で使用された膜の使用後の膜の完全性試験用として、本水溶液は適する。グロブリンやDNAを含む液を膜処理(濾過や孔拡散)した後、膜に対しては、本水溶液を用いた完全性試験を行う前にあらかじめ膜を水と添加液とで洗浄するか膜表面のPH値を約4に設定する必要がある。
実施例1と同様にコロイド粒子を作製する際に、加熱前の水溶液中にポリビニールアルコールを0.01重量%添加し、さらにカチオン性界面活性剤(商品名カチオンAB,日本油脂製)を0.56重量%添加した実施例と同様にコロイド粒子を含む水溶液を作製した。この水溶液中のコロイド粒子は室温で2ヶ月間以上安定である。この水溶液中に実施例2と同様に種々の物質を混入した場合の安定度を測定した。
5
水による稀釈と濃度・・・稀釈倍率10倍〜濃縮倍率10倍で安定
6
食塩水添加・・・食塩濃度1重量以上で不安定
7
卵アルブミン水溶液・・・0〜200ppmで安定
8
牛ガンマーグロブリン水溶液・・・0〜0.2重量%で安定
9
牛胸腺由来DNA・・・5ppm以上で不安定
実施例2の場合と比較してグロブリンに対する安定性が増している。
膜表面に高分子物質が濃縮することのない孔拡散法で使用された膜では、膜表面を水で洗浄するのみで本実施例の水溶液で完全性試験を直ちに実施できる。ただしDNAを高濃度で含む液について膜処理を行った場合には、使用後には、ヌクレアーゼを含む酵素水溶液であらかじめ浸漬後、0.1規定の苛性ソーダ水溶液、0.1規定の塩酸水溶液で膜表面を洗浄し、最後にPH=4の水で洗浄することが必要である。
バイオ医薬品製造工程の精製工程でウイルス等の感染性粒子を除去する膜の製造時に行う微粒子除去性能試験および膜の使用者が膜の使用状態が設定どおりであったことを確認するための完全性試験に利用される。
水酸化第2鉄コロイド粒子のモデル図
1:核の鉄イオン,2:核の水酸化イオン,3:粒子内部に取り込まれた水分子,

Claims (4)

  1. 微粒子除去用膜の完全性試験用および膜の微粒子除去性能試験用水溶液において平均粒子径9〜30nmの非晶性の水酸化第2鉄コロイド粒子を含みかつ第1鉄イオン濃度が0.1ppm以下で鉄換算濃度が3000ppm以上でpH1.5〜3.5である水溶液および3価の鉄イオンと水酸化イオンの比率を1対2から1対6とし混合時の3価の鉄イオン水溶液と水酸化イオン水溶液の混合比を1対3から2対3で粒子径制御することを特徴とする完全性試験用および膜の微粒子除去性能試験用水溶液の製法。
  2. 請求項1において該コロイド粒子の平均粒子径が15nm以上で30nm未満であることを特徴とする水溶液であり、その水溶液を作製するために3価の鉄イオンとして塩化第2鉄の水溶液を採用し、1水酸化イオンとし苛性ソーダを利用して水溶液pHを1.5〜3.5に制御することを特徴とする水溶液の調製方法。
  3. 請求項1においてコロイド粒子以外の物質に接触した際のコロイド粒子の安定化に寄与する成分が下記物質より選定されることを特徴とする完全性試験用水溶液。
    ポリエチレングリコール,ポリビニールアルコール,ポリビニールピロリドン,陽イオン界面活性剤,非イオン界面活性剤。
  4. 請求項1において膜の完全性試験後の膜の用途に対応して孔拡散技術あるいは孔拡散・濾過技術あるいは濾過技術で行われる試験であることを特徴とする試験用水溶液。
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