以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
本発明の実施形態である衛生洗浄装置を含む温水洗浄便座について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態である衛生洗浄装置を含む温水洗浄便座を示す概略斜視図である。図1に示されるように、温水洗浄便座WA(衛生洗浄装置)は、大便器CBに戴置されて使用されるものである。温水洗浄便座WAは、本体WAaと、便座WAbと、便蓋WAcと、操作部10とを備えている。操作部10には操作パネルが設けられていて、操作パネルの操作に応じた操作信号が本体WAaに送信される。
例えば、操作パネルの「大洗浄」「小洗浄」といった表示がされた部分を操作すると、「大洗浄」「小洗浄」に対応する洗浄動作がなされるように指示する操作信号が本体WAaに送信される。本体WAaは、このような操作信号が送信されると、大便器CBのボウル面CBaを洗浄するために洗浄水をボウル面CBaに流す動作を実行する。
また、例えば、操作パネルの「おしり洗浄」「ビデ洗浄」といった表示がされた部分を操作すると、「おしり洗浄」「ビデ洗浄」に対応する洗浄水の吐出がなされるように指示する操作信号が本体WAaに送信される。本体WAaは、このような操作信号が送信されると、ノズル18を繰り出して洗浄水を吐出する動作を実行する。
ノズル18は、便座WAbに着座している使用者の肛門近傍や膣口近傍や尿道口近傍を洗浄するために洗浄水を吐出するものである。ノズル18には、ビデ洗浄吐水孔181とおしり洗浄吐水孔182とが設けられている。使用者が操作パネルの「おしり洗浄」と表示された部分を操作すると、おしり洗浄吐水孔182から洗浄水が吐出される。また使用者が操作パネルの「ビデ洗浄」と表示された部分を操作すると、ビデ洗浄吐水孔181から洗浄水が吐出される。
本実施形態の場合、「ビデ洗浄」には2種類あって、「スポット洗浄」と「ワイド洗浄」とが切り替えられるようになっている。「ビデ洗浄」の「スポット洗浄」が操作されると、ビデ洗浄吐水孔181から比較的狭い範囲に集約された吐水がなされる。一方、「ビデ洗浄」の「ワイド洗浄」が操作されると、ビデ洗浄吐水孔181から比較的広い範囲に広がる吐水がなされる。
引き続いて、ノズル18から吐出される洗浄水の態様を切り替える機構について、図2を参照しながら説明する。図2は、衛生洗浄装置としての温水洗浄便座の機能的な構成を示すブロック構成図であって、ノズル18から吐出される洗浄水の態様を切り替える機構を主に記載した図である。図2に示されるように、温水洗浄便座WAは、操作部10と、制御部12と、電磁弁14(吐水手段)と、流路切替弁16(吐水手段)と、ノズル18とを備えている。図2において、各ブロックを破線で結んでいる場合は信号の授受があることを示し、各ブロックを実線で結んでいる場合は水の流れがあることを示している。
操作部10は、ビデ洗浄機能やおしり洗浄機能の実行にあたって、使用者の操作を受け付けて、その操作に応じた操作信号を制御部12に送信する部分である。制御部12は、操作部10から入力される操作信号に応じて、電磁弁14及び流路切替弁16に所定の動作信号を出力する部分である。制御部12は、CPUといった演算素子と、RAMやROMといった記憶素子と、信号を送受信するためのインターフェイスとを備えている。
電磁弁14は、制御部12から入力される動作信号に応じて、弁体を弁座から離脱させ給水源から供給される洗浄水を下流側に流したり、弁体を弁座に当接させて給水源から供給される洗浄水を止めたりする役割を果たす弁である。電磁弁14の下流側には、流路切替弁16が設けられている。
流路切替弁16は、電磁弁14が開かれたことで流れてくる洗浄水を、下流側に設けられている複数の流路のいずれかに流すために流路を切り替える弁である。本実施形態の場合、流路切替弁16の下流側には、三つの流路である、第一給水路185と、第二給水路186と、第三給水路187とが繋がっている。従って、流路切替弁16は、電磁弁14側から流れてくる洗浄水を、第一給水路185、第二給水路186、及び第三給水路187のいずれか一つの流路に流すように弁体を切り替えるものである。流路切替弁16の下流側には、ノズル18が設けられている。
ノズル18は、電磁弁14が開かれたことで下流側に流れ、流路切替弁16によって振り分けられた洗浄水を、ビデ洗浄吐水(膣口近傍及び尿道口近傍を洗浄するための吐水)又はおしり洗浄吐水(肛門近傍を洗浄するための吐)に切り替えて吐出するものである。ノズル18には、ビデ洗浄吐水を行うためのビデ洗浄吐水孔181(噴射孔)が連通されてなるビデ洗浄旋回室183と、おしり洗浄吐水を行うためのおしり洗浄吐水孔182(噴射孔)が連通されてなるおしり洗浄旋回室184とが形成されている。
ビデ洗浄旋回室183には、第一給水路185及び第二給水路186が繋がっている。また、おしり洗浄旋回室184には、第三給水路187が繋がっている。従って、流路切替弁16によって洗浄水が第一給水路185又は第二給水路186に流されると、その洗浄水は、ビデ洗浄旋回室183に供給されビデ洗浄吐水孔181から吐出される。一方、流路切替弁16によって洗浄水が第三給水路187に流されると、その洗浄水は、おしり洗浄旋回室184に供給されおしり洗浄吐水孔182から吐出される。
図3に、図2に示すノズル18の外観斜視図を示す。図3に示されるように、ノズル18は、ノズル本体18aを有している。ノズル本体18aの一端側から第一給水路185、第二給水路186、及び第三給水路187が延出するように設けられている。ノズル本体18aの他端側には、ビデ洗浄吐水孔181及びおしり洗浄吐水孔182が形成されている。
本実施形態では、流路切替弁16によって第一給水路185に流路が切り替わると、スポット吐水である第一吐水モードを実行するように構成されている。また、流路切替弁16によって第二給水路186に流路が切り替わると、ワイド吐水である第二吐水モードを実行するように構成されている。本実施形態では、スポット吐水とワイド吐水との吐水態様の変更を、ビデ洗浄吐水孔181が形成されているビデ洗浄旋回室183の形態、及びビデ洗浄旋回室183への第一給水路185及び第二給水路186の接続形態によって実現している。
続いて、図4及び図5を参照しながら、ビデ洗浄旋回室183の形態、及びビデ洗浄旋回室183への第一給水路185及び第二給水路186の接続形態について説明する。図4は、ビデ洗浄旋回室183の平面視断面図であって、第一給水路185及び第二給水路186がビデ洗浄旋回室183に繋がっているレベルの断面図である。図5は、ビデ洗浄旋回室183の側面視断面図であって、ビデ洗浄吐水孔181の中心を通る部分の断面図である。
図4に示されるように、ビデ洗浄旋回室183内には、旋回円柱183aが設けられている。旋回円柱183aは、尖塔状に上端が円錐形状を成している円柱として形成されている。従って、ビデ洗浄旋回室183内に洗浄水が供給されると、旋回円柱183a周りに旋回流が発生し、その旋回流がビデ洗浄吐水孔181から吐出される。
第一給水路185及び第二給水路186は、それぞれの中心線である第一流入中心185b及び第二流入中心186bがビデ洗浄旋回室183の中心から離れ、ビデ洗浄旋回室183の外周の接線方向に近づくように配置されている。第一給水路185の第一流入中心185bとビデ洗浄旋回室183の中心との距離d1は、第二給水路186の第二流入中心186bとビデ洗浄旋回室183の中心との距離d2よりも短くなるように配置されている。第二給水路186は、その外側の内壁がビデ洗浄旋回室183の外周側の内壁の接線に沿うように配置されている。従って、第二給水路186から供給される洗浄水は、ビデ洗浄旋回室183内において最大限の旋廻流を発生し得るように構成されている。
図5に示されるように、第一給水路185及び第二給水路186は、ビデ洗浄旋回室183の下端側(ビデ洗浄吐水孔181が形成されている上端とは反対側の端部)に繋がるように配置されている。従って、第一給水路185及び第二給水路186から供給された洗浄水は、旋回円柱183a周りに旋回しながらビデ洗浄吐水孔181へと向かうように構成されている。上述したように、第二給水路186から供給される洗浄水によってビデ洗浄旋回室183内に大きな旋回流が形成されるように構成されている一方で、第一給水路185から供給される洗浄によってはビデ洗浄旋回室183内には極めて小さな旋回流が発生するように構成されている。
続いて、ビデ洗浄旋回室183に、第一給水路185から洗浄水が供給された場合の吐水態様について、図6及び図7を参照しながら説明する。図6は、ビデ洗浄旋回室183に第一給水路185から洗浄水を供給した様子を示す側面視断面図である。図7は、図6に示す場合において、ビデ洗浄吐水孔から吐出された水の状態を写した写真を示す図である。
図6に示されるように、第一給水路185からビデ洗浄旋回室183に洗浄水が供給されると、その旋回成分は小さいため、ビデ洗浄旋回室183内を満たした洗浄水がビデ洗浄吐水孔181から比較的狭い範囲に、スポット吐水WFsとして吐出される。図7に示されるように、ビデ洗浄吐水孔181から吐出されたスポット吐水WFsは、断続的な水塊となって洗浄対象へと向かう。従って、洗浄対象に着水した場合の着水範囲も比較的狭い範囲になる。
続いて、ビデ洗浄旋回室183に、第二給水路186から洗浄水が供給された場合の吐水態様について、図8及び図9を参照しながら説明する。図8は、ビデ洗浄旋回室183に第二給水路186から洗浄水を供給した様子を示す側面視断面図である。図9は、図8に示す場合において、ビデ洗浄吐水孔から吐出された水の状態を写した写真を示す図である。
図8に示されるように、第二給水路186からビデ洗浄旋回室183に洗浄水が供給されると、その旋回成分は極めて大きいため、ビデ洗浄旋回室183内を満たした洗浄水が旋回円柱183a周りに旋回する。この旋回によって、ビデ洗浄吐水孔181の中央近傍で空気がビデ洗浄旋回室183内に引き込まれ、ビデ洗浄吐水孔181の開口面積が実質的に狭められる。その結果、ビデ洗浄吐水孔181から吐出される洗浄水は、比較的広い範囲に広がりながら、スポット吐水WFsに比較して速度を増してワイド吐水WFwとして吐出される。図9に示されるように、ビデ洗浄吐水孔181から吐出されたワイド吐水WFwは、やがて引きちぎられて小さく粒化した断続的な水槐となって洗浄対象へと向かう。この粒化した断続的な水槐は、ビデ洗浄吐水孔181から吐出されたワイド吐水WFwによるものであるから、その飛散範囲は比較的広いものとなる。従って、洗浄対象に着水した場合の着水範囲も比較的広い範囲となる。
続いて、スポット吐水WFsの場合の洗浄水の着水速度と、ワイド吐水WFwの場合の洗浄水の着水速度との関係について、図10を参照しながら説明する。図10は、横軸に着水位置をとり、縦軸に洗浄水の着水速度をとっている。図10に示されるように、スポット吐水WFsに比較して、ワイド吐水WFwは、着水範囲が広く着水速度は多くの領域で速くなっている。ワイド吐水WFwを行うにあたって、スポット吐水WFsと同等の使用水量に抑えようとすれば、必然的に単位面積当たりの着水水量は減少し、洗浄力は低減してしまうものと考えられる。そこで本発明者らは、洗浄力の確保のために「着水力」なる概念を検討した。「着水力」とは、水滴の質量とその水滴の速度との積で求められるものであり、単位面積当たりの着水水量が減少してもこの「着水力」が変わらなければ洗浄力が確保できるものと考えた。そこで、スポット吐水WFsの際の洗浄力と同等の洗浄力をワイド吐水WFwでも確保するため、ワイド吐水WFwの着水速度を全体的に持ち上がるように吐水を行うものとしたのである。図10に示されるような着水態様を実現するため、上述したようにビデ洗浄旋回室183内に強い旋回流を発生させ、その旋回流の発生によって吐水の範囲を広げると共に、ビデ洗浄吐水孔181の開口面積を実質的に減少させることで速度が増した吐水を、円錐状に噴射するものとしたのである。図8を参照しながら説明したようなワイド吐水WFwを行うことで、図9に示したように着水時に粒化された状態となってもその速度成分が大きく減じることなく、図10に示すような着水速度を確保することができる。
ビデ洗浄旋回室183内での旋回流の発生具合を調整することで、例えば図11に示すような着水速度のワイド吐水WFwを実現することも可能となる。図11に示す例では、中央近傍の着水速度をスポット吐水WFsと同等にする一方で、周辺部分の着水速度をスポット吐水WFsによる着水速度よりも大きく上昇させている。このようにすることで、着水範囲の周縁部分で確実に洗浄力を確保することが可能となる。
上述した本実施形態に係る温水洗浄便座WAは、使用者である女性の局部に向けて洗浄水を吐出するビデ洗浄機能を有する衛生洗浄装置を含むものである。温水洗浄便座WAは、洗浄水を吐出するビデ洗浄吐水孔181(吐水孔)が形成されたノズル18と、ビデ洗浄吐水孔181から使用者である女性の局部に向けて洗浄水を吐出するための吐水手段としての電磁弁14、流路切替弁16、第一給水路185、第二給水路186と、ビデ洗浄機能の実行にあたって、第一吐水モード(スポット吐水WFsを実行するモード)による吐水と第二吐水モード(ワイド吐水WFwを実行するモード)による吐水とを切り替えて実行させるための操作を受け付けて、その操作に応じた操作信号を出力する操作部10と、操作部10から出力された操作信号に基づいて、第一吐水モードによる吐水及び第二吐水モードによる吐水のいずれか一方の吐水を行わせるように吐水手段(電磁弁14、流路切替弁16)を制御する制御手段としての制御部12と、を備えている。
制御部12は、第一吐水モードによってビデ洗浄吐水孔181から吐出される洗浄水の広がりよりも、第二吐水モードによってビデ洗浄吐水孔181から吐出される洗浄水の広がりが大きくなるように、吐水手段(電磁弁14、流路切替弁16)を制御するものである。第一吐水モードによる吐水と第二吐水モードによる吐水とは、共通の吐水口としてのビデ洗浄吐水孔181から吐出される。吐水手段は、使用水量を同等に保ちつつ第一吐水モードにおける洗浄力と同等の洗浄力を第二吐水モードにおいても確保するように、第二吐水モードによる吐水の洗浄力を高める洗浄力増加手段としてのビデ洗浄旋回室183及びそれに洗浄水を選択的に供給する第一給水路185及び第二給水路186を有している。洗浄力増加手段(第一給水路185、第二給水路186、ビデ洗浄旋回室183)は、第一吐水モードによる吐水形態と第二吐水モードによる吐水形態とを互いに異ならせることで、第一吐水モードによるビデ洗浄吐水孔181からの吐水流速よりも第二吐水モードによるビデ洗浄吐水孔181からの吐水流速を高めて洗浄力を高めている。
本実施形態に係る衛生洗浄装置を含む温水洗浄便座WAでは、第一吐水モードによる吐水(スポット吐水WFs)と第二吐水モードによる吐水(ワイド吐水WFw)とを選択的に実行することができ、第一吐水モードによって吐出される洗浄水の広がりよりも第二吐水モードによって吐出される洗浄水の広がりが大きくなっている。従って、第一吐水モードによる吐水は比較的狭い洗浄対象領域に洗浄水を吐出するスポット吐水WFsとして機能し、第二吐水モードによる吐水は比較的広い洗浄対象領域に洗浄水を吐出するワイド吐水WFwとして機能する。ビデ洗浄機能を用いる女性は、例えば小用の汚れを洗浄したい場合にはスポット吐水WFsとしての第一吐水モードを選択する一方で、例えば経血汚れを洗浄したい場合にはワイド吐水WFwとしての第二吐水モードを選択することで、それぞれの汚れの程度や広がりに応じた最適な吐水形態を選択することができる。また、ワイド吐水WFwとしての第二吐水モードによる吐水は、吐出される洗浄水の広がりを大きくするものであって、吐水方向を揺動させて吐水範囲を広げるものではないので、使用者に「なぞられ感」を与えることなく広い範囲を洗浄することができる。
ワイド吐水WFwとしての第二吐水モードの洗浄は、洗浄対象が経血汚れのように広い範囲に付着し、且つ経血が空気に触れて酸化して皮膚表面で固まった状態になってしまう場合もあることから、そのような汚れを確実に洗い流すことができる洗浄力の確保が求められる。一方で、洗浄力の確保が求められるものの、使用水量を増加させないようにしたいとの要請もあり、単純に洗浄水の噴射水量を増やして洗浄力を確保するのではない衛生洗浄装置が求められている。特にスポット吐水WFsである第一吐水モードからワイド吐水WFwである第二吐水モードに切り替えると、洗浄水を噴射する範囲が広がるため同じ噴射水量では単位面積当たりの着水水量が減ってしまい、洗浄力が低下してしまうものである。そこで本実施形態では、使用水量を同等に保ちつつ第一吐水モードにおける洗浄力と同等の洗浄力を第二吐水モードにおいても確保するように、第二吐水モードによる吐水の洗浄力を高める洗浄力増加手段(第一給水路185、第二給水路186、ビデ洗浄旋回室183)を設けている。
この洗浄力増加手段(第一給水路185、第二給水路186、ビデ洗浄旋回室183)は、第一吐水モードによる吐水形態と第二吐水モードによる吐水形態とを互いに異ならせることで、第一吐水モードによる吐水流速よりも第二吐水モードによる吐水流速を高め、その吐水流速の高まりによって洗浄力を高めるものである。従って、洗浄水の噴射水量を増やすことなく、吐水形態の変更という手段によって吐水流速を高め、結果として洗浄力を高めている。このように吐水流速を高めると、洗浄水を広い範囲に着水させても、その洗浄水が着水した際の着水力によって皮膚に付着した汚れを一気に流し落とすことができ、着水後の洗浄水の広がりによらずに確実に汚れを流し落とすことができる。更に、着水後の洗浄水の広がりによらずに着水の衝撃によって汚れを落とすことで、着水後の洗浄水が着水範囲外に広がりにくくなり、不必要に着水範囲外が洗浄水で濡れてしまうことがなく、極めて快適な洗浄を行うことができる。
スポット吐水WFsである第一吐水モードとワイド吐水WFwである第二吐水モードとで吐水形態を異ならせるという態様を採用することで、スポット吐水WFsとワイド吐水WFwとを同一の吐水孔から吐水させることが容易に可能となり、コンパクトな構成で快適なスポット吐水WFsとワイド吐水WFwとを切り替えて吐水することができる。本実施形態によれば、「なぞられ感」を与えずに広い範囲の洗浄が可能となるので使用者である女性が不快に感ずることがなく、着水範囲を狭めたり広げたりしても洗浄力が変わらない衛生洗浄装置を含む温水洗浄便座WAを提供することができる。
本実施形態において洗浄力増加手段は、噴射孔として機能するビデ洗浄吐水孔181が形成されたビデ洗浄旋回室183を有している。ビデ洗浄旋回室183に供給された洗浄水が旋回流を形成し、その旋回流が噴射孔としてのビデ洗浄吐水孔181から噴射されることで洗浄水が吐出されるものであって、第一吐水モードと第二吐水モードとで、ビデ洗浄旋回室183における旋回流の旋回速度を互いに異ならせることで、ビデ洗浄吐水孔181から吐出される洗浄水の吐水形態を異ならせるように構成されている。
このように、ビデ洗浄旋回室183を設けることで洗浄水に旋回流を発生させ、その旋回流を噴射孔としてのビデ洗浄吐水孔181から噴射することで洗浄水の吐水形態を制御している。ビデ洗浄吐水孔181から噴射される洗浄水の吐水形態は、旋回流の旋回速度の変化によって制御しているので、旋回速度を異ならせるという簡単な方法で吐水形態を異ならせ、着水範囲を広げても洗浄力が変わらないように構成することができる。
また本実施形態では、第一吐水モードよりも第二吐水モードにおいて大きな縮流が発生するように、噴射孔としてのビデ洗浄吐水孔181から洗浄水を噴射している。このように、第二吐水モードにおいて第一吐水モードよりも大きな縮流を発生させているので、第二吐水モードにおいて噴射孔としてのビデ洗浄吐水孔181から洗浄水が噴射される際の見かけ上の流路を狭めることができる。従って、ワイド吐水WFwを実行するための第二吐水モードにおいて、縮流を発生させることで確実に流路を狭め、洗浄水の吐水流速を高めることができる。
また本実施形態では、第二吐水モードでは洗浄水を中空円錐形状の液膜流で吐出している。このように、第二吐水モードの実行時に洗浄水を中空円錐形状の液膜流で吐出しているので、吐水当初には液膜流で抵抗を低減しつつ、人体への着水までには洗浄水を粒化して着水させることができる。従って、吐水当初から粒化された洗浄水を吐水させる場合と比較して、洗浄水の減速幅を小さくすることができ、吐水当初の流速を大きく低減させることなく洗浄水を人体に着水させることができる。
本実施形態における洗浄力増加手段は、ビデ洗浄旋回室183へ繋がる第一流入口185aの断面積が第一面積である第一給水路185と、ビデ洗浄旋回室183へ繋がる第二流入口186aの断面積が第一面積よりも小さい第二面積である第二給水路186とを有している。そして、第一吐水モードでは第一給水路185へ給水し、第二吐水モードでは第二給水路186へ給水するように切り替えることで、第一吐水モードによる吐水と第二吐水モードによる吐水とを切り替えている。
このように、ビデ洗浄旋回室183へ繋がる第二流入口186aの断面積が第一面積よりも小さい第二面積である第二給水路186を有しているので、第一給水路185からビデ洗浄旋回室183へ給水する場合の洗浄水の流入速度に比較して、第二給水路186からビデ洗浄旋回室183へ給水する場合の洗浄水の流入速度を簡単な構成で高めることができる。従って、第一吐水モードでは第一給水路185へ給水し、第二吐水モードでは第二給水路186へ給水するように切り替えることで、第一吐水モードにおけるビデ洗浄旋回室183への洗浄水の流入速度よりも、第二吐水モードにおけるビデ洗浄旋回室183への洗浄水の流入速度を高めて旋回速度を高めると共にビデ洗浄吐水孔181からの吐水流速を高めることができる。このように、スポット吐水WFs用の第一給水路185とワイド吐水WFw用の第二給水路186とでビデ洗浄旋回室183への流入口の断面積を異ならせるという簡単な構成を有することで、第一給水路185からの給水と第二給水路186からの給水とを切り替えるという簡単な制御のみで第一吐水モードと第二吐水モードとを切り替えることができる。
また本実施形態では、ビデ洗浄旋回室183における旋回流の中心軸に対して、第一流入口185aから流入する給水の延長線である第一流入中心185bが、第二流入口186aから流入する給水の延長線である第二流入中心186bよりも近くを通るように、第一流入口185a及び第二流入口186aが設けられている。
このように、ビデ洗浄旋回室183における旋回流の中心軸に対して、ワイド吐水WFwを行うための第二流入口186aよりもスポット吐水WFsを行うための第一流入口185aから流入する給水をより近づけることで、スポット吐水WFsを行う第一吐水モードの旋回速度を確実に小さくすることができる。ワイド吐水WFwを行うための第二流入口186aとスポット吐水WFsを行うための第一流入口185aとの形成位置を工夫するという簡単な構成で、確実に旋回速度を異ならせることができる。
また本実施形態では、第一吐水モードによる吐水の単位面積当たりの着水水量よりも、第二吐水モードによる吐水の単位面積当たりの着水水量を小さくしている。このように、単位面積当たりの着水水量を、スポット吐水WFsである第一吐水モードよりもワイド吐水WFwである第二吐水モードで小さくするので、着水範囲を広げる第二吐水モードにおいても着水範囲外への不必要な洗浄水の広がりを確実に抑制することができる。
また本実施形態では、第二吐水モードによる吐水では、洗浄水を粒化して洗浄対象領域に着水させている。このように、ワイド吐水WFwである第二吐水モードにおいて洗浄水を粒化し断続的に洗浄対象領域に着水させるので、連続的に着水させる場合に比較して、洗浄対象領域以外への不必要な洗浄水の広がりをより確実に抑制することができる。
また本実施形態では、第二吐水モードによる吐水では、粒化した洗浄水を洗浄対象領域に一様に分散させて着水させている。このように、ワイド吐水WFwである第二吐水モードにおいて粒化した洗浄水を洗浄対象領域に一様に分散させて着水させるので、洗浄水を微細に粒化しても洗浄対象領域の全域に確実に着水させることができる。洗浄水を微細に粒化しても洗浄対象領域の全域に着水させることができるので、個々の粒化された洗浄水の拡散を抑制しつつ洗浄対象領域の全域を確実に洗浄することができる。
また本実施形態では、第二吐水モードによる吐水では、第一吐水モードによる吐水の洗浄力を維持しつつその洗浄対象領域が広がるように、ビデ洗浄吐水孔181からの吐水流速を全体的に高めて吐水している。このように、ワイド吐水WFwである第二吐水モードにおいて、スポット吐水WFsである第一吐水モードによる吐水の洗浄力を維持しつつその洗浄対象領域が広がるように吐水流速を全体的に高めて吐水するので、洗浄対象領域全体に流速を高めた洗浄水を着水させることができる。従って、洗浄対象領域の外周部分を含む全体で洗浄力が不足してしまうことを防止でき、洗浄対象領域全体での洗浄力を確保することができる。
また本実施形態では、第二吐水モードによる吐水では、ビデ洗浄吐水孔181からの吐水の外輪郭を形成する洗浄水の吐水流速を高めて吐水している。このように、ワイド吐水WFwである第二吐水モードにおいて、吐水の外輪郭を形成する洗浄水の吐水流速を高めて吐水するので、洗浄対象領域の特に外周部分に流速を高めた洗浄水を着水させることができる。従って、洗浄対象領域の外周部分で洗浄力が不足してしまうことを防止でき、外周部分を含む洗浄対象領域全体での洗浄力を確保することができる。
また本実施形態では、第二吐水モードによる吐水では、ビデ洗浄吐水孔181からの吐水の外輪郭を形成する洗浄水の吐水流速を、ビデ洗浄吐水孔181からの吐水の内周側を形成する洗浄水の吐水流速よりも高めて吐水することも好ましいものである。
このように、ワイド吐水WFwである第二吐水モードにおいて、吐水の外輪郭を形成する洗浄水の吐水流速を内周側よりも高めて吐水するので、洗浄対象領域の特に外周部分に流速を高めた洗浄水を着水させることができる。従って、洗浄対象領域の外周部分では着水水量を減じても洗浄力が不足してしまうことを防止でき、洗浄対象領域外への洗浄水の無駄な広がりを抑制しつつ洗浄力を確保することができる。
続いて、ノズル18の変形例であるノズル28について、図12〜図15を参照しながら説明する。図12は、ノズル18の変形例であるノズル28を示す斜視図である。図13は、ノズル28が有するビデ洗浄旋回室183近傍の側面視断面図である。図14は、ビデ洗浄旋回室183に第一給水路185から洗浄水を供給した様子を示す側面視断面図である。図15は、ビデ洗浄旋回室183に第二給水路186から洗浄水を供給した様子を示す側面視断面図である。
図12に示されるように、ノズル28は、ノズル本体28aと管路部材28bとを有している。ノズル本体28aの一端側から第一給水路185、第二給水路186、及び第三給水路187が延出するように設けられている。ノズル本体28aの他端側には管路部材28bが配置されている。管路部材28bには、ビデ洗浄吐水孔281a及びおしり洗浄吐水孔282aが形成されている。
この変形例でも上述したのと同様に、流路切替弁16によって第一給水路185に流路が切り替わると、スポット吐水である第一吐水モードを実行するように構成されている。また、流路切替弁16によって第二給水路186に流路が切り替わると、ワイド吐水である第二吐水モードを実行するように構成されている。この変形例でも、スポット吐水とワイド吐水との吐水態様の変更を、ビデ洗浄旋回室183の形態、及びビデ洗浄旋回室183への第一給水路185及び第二給水路186の接続形態によって実現している。ビデ洗浄旋回室183の形態、及びビデ洗浄旋回室183への第一給水路185及び第二給水路186の接続形態は、図4を参照しながら説明したのと同様であるのでその説明を省略する。
続いて、図13を参照しながら管路部材28bの構成について説明する。図13は、ビデ洗浄旋回室183の側面視断面図であって、ビデ洗浄吐水孔281aの中心を通る部分の断面図である。
図13に示されるように、第一給水路185及び第二給水路186は、ビデ洗浄旋回室183の下端側(ビデ洗浄噴射孔281cが形成されている上端とは反対側の端部)に繋がるように配置されている。従って、第一給水路185及び第二給水路186から供給された洗浄水は、旋回円柱183a周りに旋回しながらビデ洗浄噴射孔281cへと向かうように構成されている。第二給水路186から供給される洗浄水によってビデ洗浄旋回室183内に大きな旋回流が形成されるように構成されている一方で、第一給水路185から供給される洗浄によってはビデ洗浄旋回室183内には極めて小さな旋回流が発生するように構成されている。
ビデ洗浄旋回室183のビデ洗浄噴射孔281cが形成されている側に、管路部材28bが配置されている。ノズル本体28aから管路部材28b側に向けて、隆起部281dが形成されている。ビデ洗浄噴射孔281cは、ビデ洗浄旋回室183から隆起部281dを貫通するように形成されている。
管路部材28bには、管路281bが形成されている。管路281bは、ビデ洗浄吐水孔281aから、ビデ洗浄噴射孔281cに対向する面を貫通するように形成されている。従って、第一給水路185及び第二給水路186から供給されてビデ洗浄旋回室183に入った洗浄水は、ビデ洗浄噴射孔281cから噴射され、管路281bを通ってビデ洗浄吐水孔281aへと向かい、ビデ洗浄吐水孔281aから洗浄対象に向けて吐出される。
続いて、ビデ洗浄旋回室183に、第一給水路185から洗浄水が供給された場合の吐水態様について、図14を参照しながら説明する。図14は、ビデ洗浄旋回室183に第一給水路185から洗浄水を供給した様子を示す側面視断面図である。
図14に示されるように、第一給水路185からビデ洗浄旋回室183に洗浄水が供給されると、その旋回成分は小さいため、ビデ洗浄旋回室183内を満たした洗浄水がビデ洗浄噴射孔281cから直進流として管路281bへと噴射される。ビデ洗浄噴射孔281cから直進流として噴射される水流の周辺には、粒化された水滴WFgが多数形成される。この水滴WFgは、管路281bの内壁に衝突して減速される。減速された水滴WFgは、管路281b内を満たし、その満たされた部分にビデ洗浄噴射孔281cから噴射される直進流が突入する。この直進流の突入によって、ノズル本体28aの隆起部281dと管路部材28bの隙間から導入される空気AFが巻き込まれ、エジェクタ効果によって気泡Baが混入されたスポット吐水WFsaが形成される。スポット吐水WFsaは、管路281b内を進行し、ビデ洗浄吐水孔281aから比較的狭い範囲に吐出される。
続いて、ビデ洗浄旋回室183に、第二給水路186から洗浄水が供給された場合の吐水態様について、図15を参照しながら説明する。図15は、ビデ洗浄旋回室183に第二給水路186から洗浄水を供給した様子を示す側面視断面図である。
図15に示されるように、第二給水路186からビデ洗浄旋回室183に洗浄水が供給されると、その旋回成分は極めて大きいため、ビデ洗浄旋回室183内を満たした洗浄水が旋回円柱183a周りに旋回する。この旋回によって、ビデ洗浄噴射孔281cの中央近傍で空気がビデ洗浄旋回室183内に引き込まれ、ビデ洗浄噴射孔281cの開口面積が実質的に狭められる。その結果、ビデ洗浄噴射孔281cから吐出される洗浄水は、外周が膜状化された水流となって管路281bへと噴射される。管路281bに噴射された膜状化された水流は、管路281bの内壁に沿って進行し、ワイド吐水WFwaとしてビデ洗浄吐水孔281aから比較的広い範囲に吐出される。ビデ洗浄噴射孔281cから管路281bに向けては膜状化された水流として噴射されるので、ノズル本体28aの隆起部281dと管路部材28bの隙間からは空気を吸い込まず、その部分には遮蔽洗浄水Wsが滞留する。
図12〜図15を参照しながら説明したノズル28は、ビデ洗浄噴射孔281cとビデ洗浄吐水孔281aとの間に、ビデ洗浄噴射孔281cから噴射される洗浄水を減速するための減速手段を設けるものであって、第二吐水モードでの洗浄水の減速量よりも第一吐水モードでの洗浄水の減速量がより大きくなるように減速するものである。
上述したように本実施形態では、ビデ洗浄旋回室183における旋回流の速度を第一吐水モードと第二吐水モードとで異ならせることで、旋回流の速度差をつけて吐水形態を異ならせるものとしている。この変形例では更に、第二吐水モードでの洗浄水の減速量よりも第一吐水モードでの洗浄水の減速量がより大きくなるように減速する減速手段をビデ洗浄噴射孔281cとビデ洗浄吐水孔281aとの間に設けることで、スポット吐水である第一吐水モードによる吐水流速を積極的に減速している。このようにスポット吐水である第一吐水モードによる吐水流速を積極的に減速することで、スポット吐水である第一吐水モードにおける洗浄力とワイド吐水である第二吐水モードにおける洗浄力との差をより小さくすることができる。
具体的には、ビデ洗浄噴射孔281cよりもビデ洗浄吐水孔281a側に、洗浄水を一時的に貯留することでビデ洗浄噴射孔281cから噴射される洗浄水を減速するように構成している。第二吐水モードでの洗浄水の貯留量よりも第一吐水モードでの洗浄水の貯留量がより大きくなるように洗浄水を一時的に貯留することで、その貯留された洗浄水にビデ洗浄噴射孔281cから噴射される洗浄水が突入することによる第一吐水モードでの圧力損失量が第二吐水モードでの圧力損失量よりも大きくなり、第二吐水モードでの洗浄水の減速量よりも第一吐水モードでの洗浄水の減速量がより大きくなるように減速するものである。
このように、ビデ洗浄噴射孔281cよりもビデ洗浄吐水孔281a側に、洗浄水を一時的に貯留しビデ洗浄噴射孔281cから噴射される洗浄水を減速することで減速手段を構成している。そして、第二吐水モードでの洗浄水の貯留量よりも第一吐水モードでの洗浄水の貯留量がより大きくなるように洗浄水を一時的に貯留することで、第一吐水モードにおける圧力損失量を第二吐水モードにおける圧力損失量よりも大きくし、結果として第一吐水モードでの洗浄水の減速量がより大きくなるように減速している。従って、ビデ洗浄噴射孔281cから噴射された洗浄水を利用し、貯留した洗浄水の圧力損失を利用して減速するという簡単な方法で、スポット吐水である第一吐水モードにおける吐水流速を下げることができる。
本例の減速手段は、ビデ洗浄噴射孔281cよりもビデ洗浄吐水孔281a側に、ビデ洗浄噴射孔281cよりも大きな内径の管路281bを有するものである。第一吐水モードではビデ洗浄噴射孔281cから外周が粒化された水流を吐出し、前記第二吐水モードではビデ洗浄噴射孔281cから外周が膜状化された水流を吐出する。
このように、ビデ洗浄噴射孔281cよりもビデ洗浄吐水孔281a側に、ビデ洗浄噴射孔281cよりも大きな内径の管路281bを設けているので、ビデ洗浄噴射孔281cから噴射される洗浄水の態様によってその噴射される洗浄水の流速に影響を及ぼすことができる。第二吐水モードでは、ビデ洗浄噴射孔281cから外周が膜状化された水流を吐出するので、管路281bに沿って膜状化されたままビデ洗浄吐水孔281aから吐出することができる。一方、第一吐水モードでは、ビデ洗浄噴射孔281cから外周が粒化された水流を吐出するので、管路281bにその粒化された水流が衝突して減速される。従って、ビデ洗浄噴射孔281cの下流にビデ洗浄噴射孔281cよりも大きな径の管路281bを設け、ビデ洗浄噴射孔281cから噴射される水流の形態を異ならせるだけで、同一の構造でワイド吐水である第二吐水モードの場合よりもスポット吐水である第一吐水モードにおいて洗浄水を確実に減速させて吐水することが可能となる。
ノズル28では、ビデ洗浄噴射孔281cよりもビデ洗浄吐水孔281a側で、空気を巻き込みエジェクタ効果により洗浄水に気泡を混入するものであって、第一吐水モードにおける気泡の混入量が、第二吐水モードにおける気泡の混入量より多くなるように洗浄水に気泡を混入し、この気泡を混入させることによる圧力損失量が、第二吐水モードでの圧力損失量よりも第一吐水モードでの圧力損失量が大きくなって減速される。
このように、第二吐水モードでの気泡の混入量よりも第一吐水モードでの気泡の混入量がより多くなるようにすることで、第一吐水モードにおける圧力損失量を第二吐水モードにおける圧力損失量よりも大きくし、結果として第一吐水モードでの洗浄水の減速量がより大きくなるように減速している。従って、ビデ洗浄噴射孔281cから噴射された洗浄水を利用し、エジェクタ効果を利用した気泡混入による洗浄水の圧力損失を利用して減速するという簡単な方法で、スポット吐水である第一吐水モードにおける吐水流速を下げることができる。
またノズル28では、ビデ洗浄噴射孔281cと管路281bとの間に空気導入口を有している。具体的には、ノズル本体28aと管路部材28bとの間に隙間を設け、空気導入口としての役割を担わせている。そして、第一吐水モードではエジェクタ効果を発揮させるようにビデ洗浄噴射孔281cから外周が粒化された水流を吐出し、第二吐水モードではエジェクタ効果を発揮させないようにビデ洗浄噴射孔281cから外周が膜状化された水流を吐出する。
このように、ビデ洗浄噴射孔281cよりもビデ洗浄吐水孔281a側に、ビデ洗浄噴射孔281cよりも大きな内径の管路281bと空気導入口を設けているので、ビデ洗浄噴射孔281cから噴射される洗浄水の態様によってその噴射される洗浄水に混入される気泡量に影響を及ぼすことができる。第二吐水モードでは、ビデ洗浄噴射孔281cから外周が膜状化された水流を吐出するので、空気導入口からは空気をほとんど吸い込むことなく管路281bに沿って膜状化されたまま進行し、そのままビデ洗浄吐水孔281aから吐出することができる。一方、第一吐水モードでは、ビデ洗浄噴射孔281cから外周が粒化された水流を吐出するので、管路281bにその粒化された水流が衝突して減速される。更に、空気導入口からは空気が吸い込まれ、エジャクタ効果によって空気が混入される。従って、ビデ洗浄噴射孔281cの下流にビデ洗浄噴射孔281cよりも大きな径の管路281bと空気導入口を設け、ビデ洗浄噴射孔281cから噴射される水流の形態を異ならせるだけで、同一の構造でワイド吐水である第二吐水モードの場合よりもスポット吐水である第一吐水モードにおいて洗浄水を確実に減速させて吐水することが可能となる。
変形例としてのノズル28は、第一吐水モードにおいて洗浄水を確実に減速させるものであったけれども、第二吐水モードにおいて洗浄水の速度を上昇させるように構成することも好ましいものである。その一例を、図16及び図17を参照しながら説明する。図16は、本実施形態の変形例である衛生洗浄装置の機能的な構成を示すブロック構成図である。図17は、図16に示す衛生洗浄装置が有するビデ洗浄旋回室に第二給水路から洗浄水を供給した様子を示す側面視断面図である。
図16に示される衛生洗浄装置は、図2を参照しながら説明した構成に、エアーポンプ20を追加配置するものである。エアーポンプ20は、流路切替弁16と第二給水路186との間に配置されている。このように構成することで、図17に示されるように、第二吐水モードの際に、予め気泡Bbが混入された気泡混入水としての洗浄水がビデ洗浄旋回室183に供給される。気泡Bbによって実質的にビデ洗浄吐水孔181の径は狭められているので、ワイド吐水WFwbは速度を増しながら噴射される。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。