JP2012019718A - 膵島の分離方法および膵島組織を保護するための保護液 - Google Patents

膵島の分離方法および膵島組織を保護するための保護液 Download PDF

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Abstract

【課題】膵島の分離方法において、移植に適した形状および大きさの膵島を高い収量で得ることができる方法および当該方法に用いることができる保護液を提供する。
【解決手段】本発明の膵島分離方法は、摘出した膵臓の膵管内に保存液を注入する注入工程と、前記膵臓を浸漬液の中に浸して保存する保存工程と、前記膵臓を崩壊させて膵組織を得る消化工程と、前記膵組織を純化溶液の中に浸して膵島を得る純化工程とを含む膵島の分離方法であって、前記消化工程は、消化酵素を含む酵素溶液を前記膵臓の内部に注入する酵素注入ステップと、前記消化酵素を活性化させる消化開始ステップと、前記消化酵素を不活化させる消化停止ステップと、崩壊させた膵組織を回収する回収ステップとからなり、前記消化開始ステップの前までに系に好中球エラスターゼ阻害剤を添加することにより、前記消化開始ステップを始める時点において、前記膵臓の内部に好中球エラスターゼ阻害剤を存在させることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、移植可能な膵島を膵臓から分離する方法および該分離方法において膵島組織を保護するための保護液に関する。
1型糖尿病の根治方法には、例えば、脳死者から膵臓そのものを移植する膵臓移植がある。この膵臓移植は、1回の移植でインスリン離脱が可能になるなど効果は高い。しかし、外科手術が複雑な上、血行再建を伴い、合併症を起こす可能性もあることから、患者の体に与える負担が大きいという問題がある。そこで近年では、新たな糖尿病根治方法として膵島移植に注目が集まっている。膵島移植とは、血糖を調節するホルモンであるインスリンやグルカゴンの分泌組織である膵島を膵臓から分離し、分離した膵島を門脈より肝臓へ移植する方法である。移植された膵島は肝臓内の門脈末端に生着することでインスリンを分泌するようになる。
従来の膵臓移植が高い侵襲性を伴う外科的処置であるのに対し、この膵島移植は門脈にカテーテルを留置して、点滴の要領で膵島を移植する処置で済むため、膵臓移植に比べて患者の身体的負担が軽く安全である。また、膵島移植は他の臓器移植とは異なり、細胞移植の一種であるため、膵島を半永久的に冷凍保存することが可能である。さらに、膵島移植の場合、拒絶反応が例え起きたとしても移植した膵島自体は吸収されるため細胞を改めて摘出する必要がないという利点もある。
一方で膵島移植は、膵臓から膵島細胞のみを分離することの技術的困難性から移植に適した十分な収量の膵島を得られないという欠点を有する。その結果、インスリン離脱に至るまでには複数回の移植が必要であり、平均2.6人のドナーから膵臓提供を受ける必要がある。そこで、膵臓から質のよい膵島をいかにして多く得るかが課題となっている。
この課題を解決するために従来から種々の膵島分離方法が研究されている。例えば、特許文献1には、プロテアーゼ阻害剤を含む保護液を予め膵管内に注入しておくことを特徴とする膵島の分離方法が開示されている。この膵島の分離方法におけるプロテアーゼ阻害剤は、膵島の収量を向上させるために使用されている。
従来の膵島分離方法において、質および収量の十分な膵島が得られない原因は、非特許文献1に開示されているように、膵臓内に存在している膵外分泌腺由来の内在性酵素が、膵臓の摘出によって活性化され、膵臓組織を損傷するためとされており、先の膵島分離方法は内在性酵素の活性を阻害する手段を講じることで、膵島の質および収量の改善を図っている。膵外分泌腺由来の酵素には、トリプシンや膵由来エラスターゼ、キモトリプシンなどがあり、前述の特許文献1では、トリプシンを特異的に阻害するウリナスタチンが使用されている。
特許文献1には、プロテアーゼ阻害剤により膵島の組織が適切に保護される結果として、膵島の収量が増大する旨が記載されている。しかしながら従来の方法は、分離の過程で膵島細胞が引きちぎれるなど、物理的な損傷を受けることが多く、移植後に十分なインスリンを分泌する大きさや形状の膵島を、必要な収量まで安定して得るには至っていない。また、特許文献1においてプロテアーゼ阻害剤として使用されているウリナスタチンは、ヒトの尿を原料とする生物由来製剤であり、生体に対するリスクが高く安全性に欠けるという問題も有する。
国際公開第2006/068226号パンフレット
Transplantation Proceedings, 2003, Vol.35, no.7,2455-7
そこで本発明は、膵島の分離方法において、移植に適した形状および大きさの膵島を高い収量で得ることができる方法および膵島組織を保護するための保護液を提供することを目的とする。
本発明者らは本発明を為すに際し、摘出後の膵臓内にドナーの好中球が浸潤しており、消化の工程を経るとその数が増加すること、さらにこの好中球から放出される好中球エラスターゼが膵島に損傷を与えていることを新たに見出した。そこで発明者らは、この好中球エラスターゼの作用を阻害することにより膵島の損傷を効果的に抑え得ることに着眼し、本発明に至った。
本発明の実施態様の1つによると、摘出した膵臓の膵管内に保存液を注入する注入工程と、前記膵臓を浸漬液の中に浸して保存する保存工程と、前記膵臓を崩壊させて膵組織を得る消化工程と、前記膵組織を純化溶液の中に浸して膵島を得る純化工程とを含む膵島の分離方法であって、前記消化工程は、消化酵素を含む酵素溶液を前記膵臓の内部に注入する酵素注入ステップと、前記消化酵素を活性化させる消化開始ステップと、前記消化酵素を不活化させる消化停止ステップと、崩壊させた膵組織を回収する回収ステップとからなり、前記消化開始ステップの前までに系に好中球エラスターゼ阻害剤を添加することにより、前記消化開始ステップを始める時点において、前記膵臓の内部に好中球エラスターゼ阻害剤を存在させることを特徴とする膵島の分離方法が提供される。
本発明の別の実施態様によると、膵組織に浸潤した好中球から放出されるエラスターゼの作用から前記膵組織を保護するための保護液であって、好中球エラスターゼ阻害剤を含んでなることを特徴とする保護液が提供される。ここで保護液とは、本発明の膵島分離方法において用いられる保存液や、浸漬液や、酵素溶液や純化溶液などに好中球エラスターゼ阻害剤を添加したものを意味する。
本発明によると、膵島の分離方法において、移植に適した形状および大きさの膵島を高い収量で得ることが可能になる。
膵臓への好中球の浸潤の程度を示す図。 膵島分離の各工程における好中球エラスターゼ活性を示す図。 好中球エラスターゼ阻害剤の至適濃度を示す図。 実施例および比較例に示す膵島分離方法の各工程における好中球エラスターゼの活性を示す図。 得られた膵島のIEQ(Islet Equivalent)を示す図。 得られた膵島の分離指数(Isolation Index)を示す図。 得られた膵島の純度を示す図。 得られた膵島の長径の分布を示す図。 得られた膵島の電子顕微鏡写真。 得られた膵島の刺激指数(Stimulation Index)を示す図。
以下、本発明の膵島分離方法について説明する。
本発明に係る膵島分離方法は、(1)膵管内に保存液を注入する「注入工程」と、(2)膵臓を浸漬液に浸漬させて保存する「保存工程」と、(3)膵臓を崩壊させる「消化工程」と、(4)崩壊して得られた膵組織から膵島を純化する「純化工程」とを含む。さらに、消化工程は次の作業ステップ、すなわち、酵素溶液を膵臓の膵管内に注入し膨化させる「酵素注入ステップ」と、消化を開始して膵臓を崩壊させる「消化開始ステップ」と、膵組織のさらなる消化を停止するステップ「消化停止ステップ」と、崩壊させた膵組織を回収し、任意に洗浄および濃縮する「回収ステップ」とからなる。かかるステップのうち、本発明は、少なくとも消化開始ステップの作業を始める時点において膵臓内部に好中球エラスターゼ阻害剤を存在させることを特徴とする。
続いて、本願発明の膵島分離方法における各工程について説明する。
(1)注入工程
膵島分離方法の最初の工程として、膵管内へ保存液の注入を行う。保存液の注入は、例えば、膵管にカテーテルを挿入することにより行うことができる。その際、ポンプにより注入圧を調節してもよい。挿入するカテーテルの数は、1本であることが好ましい。1本とすることで、膵管内に注入する溶液の液漏れを少なくすることができ、臓器の損傷も最小限に抑えることができる。
保存液の浸透圧は、270〜450mOsm/l、好ましくは300〜400mOsm/lである。浸透圧がこの範囲にあると、保存液を膵管内に注入した後、保存中に膵組織が膨張または収縮することを防止することができる。また、保存液のpHは、細胞や組織の酸性分解等を防止するために、7〜8程度であることが好ましい。
膵管に注入する保存液には、臓器保存液が含まれる。臓器保存液としては、組織の保護または保存のために用いられる公知の溶液から適宜選択することができる。例えば、UW液、ET−Kyoto液、M−Kyoto液(M−Kyoto液とはET−Kyoto液にミラクリッド(持田製薬株式会社製、登録商標、一般名:ウリナスタチン)を加えたものをいう)、HTK液、ユーロコリンズ液、セルシオ液等を使用することができるが、これらに限定されない。特に、ET−Kyoto液を使用することが好ましい。
また、本工程での膵管への注入には、前記保存液に好中球エラスターゼ阻害剤を添加した溶液(保護液と呼ぶ。)を使用してもよい。好中球エラスターゼ阻害剤としては、例えばエラスポール(小野薬品工業株式会社製、登録商標、一般名:シベレスタット)を使用することができるが、好中球エラスターゼを阻害する作用を有する薬剤であれば特に限定されない。
保存液に添加する好中球エラスターゼ阻害剤の量は、本発明の効果が奏される範囲内で、阻害剤の種類に応じて適宜決定する。例えばエラスポールを使用する場合には、保存液1L当りのエラスポールの含量は、2〜200μM、好ましくは20μMである。
また、保存液には、トレハロースが含まれることが好ましい。トレハロースを含むことにより、膵組織の保護作用がさらに高まるため、より移植に適した膵島を得られる。トレハロースとしては、α,α−トレハロース、α,β−トレハロースおよびβ,β−トレハロース、またはこれらの混合物を使用することができる。好ましくは、α,α−トレハロースを使用する。保存液中に含まれるトレハロースの濃度は、保存液1000ml中0〜400mmol、好ましくは50〜240mmol、特に好ましくは80〜160mmolである。
また、保存液に含まれるカリウムの濃度は低い方が好ましい。具体的には、保存液1000ml当りのカリウム濃度は4〜50mM、好ましくは10〜50mMである。カリウム濃度が低いと、膵臓の脈管を攣縮させず、保存液を組織の隅々まで素早く到達させることができる。保存液が組織の隅々まで行き渡ることにより、膵組織の保護作用が高められる。従って、保存液中に含まれるカリウム濃度が低い方が、より移植に適した膵島を得られる。
保存液には、本発明の効果を損なわない限り、さらに他の成分が含まれてもよい。他の成分としては、電解質、糖質、アミノ酸、ビタミン、薬剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
(2)「保存工程」
膵島分離方法における二番目の工程として、膵管内に保存液を注入した膵臓を、浸漬液に浸して保存する。保存方法は、臓器保存液単体を用いる単純浸漬法、もしくは二層法を用いることができる。二層法による保存は、容器内にパーフルオロカーボン液(PFC)および臓器保存液を入れて二層を形成した後、臓器を入れ、容器内に酸素を供給しながら臓器を保存する方法である。従って、本発明における浸漬液とは、例えば、単純浸漬法を用いる場合には臓器保存液を意味し、二層法を用いる場合にはPFCおよび臓器保存液を意味するが、これらに限定されない。膵臓を保存することができる溶液であれば、本発明の浸漬液として使用することが可能である。二層法を用いる場合、パーフルオロカーボン液(PFC)と臓器保存液との割合は、体積比で1:1程度であることが好ましい。酸素の供給は、少なくとも30分以上行うことが好ましい。二層法により膵臓を保存することにより、膵組織の生存能力を高く維持することができる。
この保存工程は、ドナーから膵臓を摘出する作業と摘出した膵島から膵島を分離する作業との間に時間の開きがある場合に必要であるが、時間の開きがなく直ちに膵島の分離作業へ移行できる場合には省略することも可能である。
使用する臓器保存液としては、例えば、UW液、ET−Kyoto液、M−Kyoto液、HTK液、ユーロコリンズ液、セルシオ液等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、本工程での保存には、前記浸漬液に好中球エラスターゼ阻害剤を添加した溶液(保護液と呼ぶ。)を使用することが好ましい。注入工程において膵管内に注入するだけでなく、保存工程においても好中球エラスターゼ阻害剤を使用することにより、膵組織に好中球エラスターゼ阻害剤を行き渡らせることができる。その結果として、好中球エラスターゼの作用を広い範囲で阻害することができ、膵島の損傷をより効果的に抑えることが可能になる。
ここで使用される好中球エラスターゼ阻害剤としては、例えばエラスポールが挙げられるが、好中球エラスターゼを阻害する作用を有する薬剤であれば特に限定されない。浸漬保存のための液体中に含まれる好中球エラスターゼ阻害剤の量は、エラスポールを使用する場合、浸漬液1L当り2〜200μM、好ましくは20μMである。
また臓器保存液には、トレハロースが含まれることが好ましい。トレハロースを含むことにより、膵組織の保護作用がさらに高まるため、より移植に適した膵島を得られる。トレハロースとしては、α,α−トレハロース、α,β−トレハロースおよびβ,β−トレハロース、またはこれらの混合物を使用することができる。好ましくは、α,α−トレハロースを使用する。臓器保存液中に含まれるトレハロースの濃度は、臓器保存液1000ml中0〜400mmol、好ましくは50〜240mmol、特に好ましくは80〜160mmolである。
また、臓器保存液に含まれるカリウムの濃度は低い方が好ましい。具体的には、臓器保存液1000ml当りのカリウム濃度は4〜50mM、好ましくは10〜50mMである。カリウム濃度が低いと、膵臓の脈管を攣縮させず、臓器を適切に保存することが可能である。従って、臓器保存液中に含まれるカリウム濃度が低い方が、より移植に適した膵島を得られる。
臓器保存液には、本発明の効果を損なわない限り、さらに他の成分が含まれてもよい。他の成分としては、電解質、糖質、アミノ酸、薬剤、ビタミン等が挙げられるが、これらに限定されない。
臓器保存液の浸透圧は、270〜450mOsm/l、好ましくは300〜400mOsm/lである。浸透圧がこの範囲にあると、臓器の保存中に膵組織が膨張または収縮することを防止することができる。また、臓器保存液のpHは細胞や組織の酸性分解等を防止するために7〜8程度であることが好ましい。
(3)「消化工程」
膵島分離方法の三番目の工程として、消化酵素を膵臓内に注入し、膵臓を崩壊(消化)させる。具体的には、膵臓を崩壊させる作用を有する酵素溶液を膵管内に注入し膵臓を膨化させた後(以下「酵素注入ステップ」と呼ぶ。)、前記酵素を活性化することにより膵臓を崩壊させる(以下「消化開始ステップ」と呼ぶ。)。その後、酵素を不活化させることにより消化を停止させ(以下「消化停止ステップ」と呼ぶ。)、崩壊された膵組織を回収する(以下「回収ステップ」と呼ぶ。)。
酵素溶液としては、例えばコラゲナーゼ溶液を用いることができるが、これに限定されない。コラゲナーゼは、膵臓の組織同士をつないでいるコラーゲンを分解する働きを有する酵素である。
また、本工程での膵管への注入には、酵素溶液に好中球エラスターゼ阻害剤を添加した溶液(保護液と呼ぶ。)を使用することが好ましい。消化工程において好中球エラスターゼ阻害剤を存在させることにより、膵組織と好中球エラスターゼ阻害剤を十分に接触させることができる。そのため、好中球エラスターゼの作用を広い範囲で阻害することができ、膵島の損傷をより効果的に抑えることが可能になる。
また、(1)注入工程および(2)保存工程を省略する場合には、当該酵素溶液に先の(1)注入工程で説明した保存液を含ませることが好ましい。
酵素注入ステップにおける酵素溶液の膵管内への注入は、上述した保存液の注入と同様の手法で行うことができる。
消化開始ステップにおける酵素の活性化は、例えば、系の温度を上昇させることにより行うことができる。具体的には、コラゲナーゼを注入して膨化させた膵臓をチェンバーに入れ、消化のための回路を溶液で満たし、閉鎖系とする。その後、溶液をポンプで循環させ、溶液の温度をコラゲナーゼが活性化する温度まで上昇させる。温度の上昇により、膵組織に浸潤したコラゲナーゼが活性化され、細胞と細胞を結合する組織を形成するコラーゲンを溶解し、膵組織が崩壊する。コラゲナーゼは、37℃程度で最も活性化する。従って、コラゲナーゼを作用させて膵臓を崩壊させる場合には、系の温度を37℃程度まで上昇させる必要がある。
消化停止ステップは、膵島を構成する細胞が凝集した形態を保っており、且つ膵外分泌腺組織が膵島の周囲から解離する時点で行う。消化の停止は、系の温度を下げることにより行うことができる。あるいは、血清タンパクを加えて酵素を不活化することによっても行うことができる。血清タンパクの添加による不活化は、例えば、回路を開放系として、ヒトアルブミンを含んだ室温の溶液を回路内に通すことにより行うことができる。室温の溶液を通すことで、系の温度低下および酵素の希釈により酵素が不活化される。また、血清タンパクを加えることにより、酵素が不活化される。
消化を停止した後、回収ステップとして、分解された膵組織を回収する。回収した膵組織は、純化の前に、遠心分離器にて遠心洗浄し、濃縮しておくことが好ましい。
(4)純化工程
膵島分離方法の四番目の工程として、前工程で回収した膵組織の純化を行う。純化とは、膵組織を膵島と膵外分泌腺組織とに分離する工程である。本工程作業は、密度勾配剤を含む純化溶液を用いて行う。膵島は、膵外分泌腺組織と比較して比重が軽い。このことを利用して、密度勾配剤により密度勾配が形成された純化溶液中に分解された膵組織を入れ、比重遠沈法にて膵島と膵外分泌腺組織とを分離する。
密度勾配剤は、溶液内に密度勾配を作成するために用いることが既知であるものの中から適宜選択することが可能である。例えば、オプティプレップ(OptiPrep、Axis-Shield社製、一般名:イオディキサノール溶液)、ナイコデンツ(Nycodenz、 Axis-Shield社製、一般名:イオディキサノール粉末)等を使用することができる。ここで使用する密度勾配剤は、粘度の低い純化溶液を作成できるものが好ましい。純化溶液の粘度が低いほど、速く純化することが可能になるからである。好ましい粘度範囲は、測定温度22℃においてブルックフィールド法で測定した場合に、5cp以下、好ましくは3cp以下、さらに好ましくは2cp以下である。また、使用する密度勾配剤は、エンドトキシンレベルの低いものが好ましい。
純化溶液は、密度勾配剤を臓器保存液に添加することにより得られる。ここで使用する臓器保存液の定義は、上記膵臓を浸漬保存する工程において述べた通りである。上記で列挙した臓器保存液のうち、トレハロースを含むものを使用でき、ET−Kyoto液を使用することが好ましい。トレハロースを含まない臓器保存液を使用する場合には、純化溶液中にトレハロースを添加してもよい。この場合、α,α−トレハロース、α,β−トレハロースおよびβ,β−トレハロース、またはこれらの混合物を使用することができる。好ましくは、α,α−トレハロースを使用する。純化溶液中に含まれるトレハロースの濃度は、純化溶液1000ml中0〜400mmol、好ましくは50〜240mmol、特に好ましくは80〜160mmolである。
また、本工程作業には、純化溶液に好中球エラスターゼ阻害剤を添加した溶液(保護液と呼ぶ。)を使用することが好ましい。膵臓を崩壊させた後も好中球エラスターゼの活性は持続し、細胞傷害が生じ得る。従って、純化工程においても好中球エラスターゼ阻害剤を存在させ、細胞傷害作用から膵島を保護することが好ましい。純化溶液中にも好中球エラスターゼ阻害剤を添加することにより、さらに損傷の少ない膵島を得ることが可能になる。純化溶液中に含まれる好中球エラスターゼの量は、エラスポールを使用する場合、純化溶液1L当り2〜200μM、好ましくは20μMである。
また、純化溶液には、本発明の効果を損なわない限り、さらに他の成分が含まれてもよい。他の成分としては、アデノシン、デキストラン、ヘパリン等が挙げられるが、これらに限定されない。
臓器保存液に対する密度勾配剤の添加割合は、純化前に膵組織の密度を測定し、密度勾配剤と臓器保存液の比重を考慮して設定する。
密度勾配は、公知の方法により形成することができる。また、連続比重作成装置のような装置を使用して密度勾配を形成してもよい。密度勾配は、連続密度勾配または非連続密度勾配のいずれでもよいが、連続密度勾配の方がより多くの膵島を回収し得る点で好ましい。
この純化工程は、COBE2991のような血球洗浄装置を用いて一連の作業を行うこともできる。COBE2991を用いる場合、まず密度勾配剤を利用して装置内に密度勾配を作成し、その中に洗浄濃縮した分解膵組織を入れ、連続比重遠沈法にて膵島と外分泌腺組織に分離する。その後、装置内の溶液を分画ごとに採取する。それぞれの分画を検鏡し、どの分画に膵島が存在するかを判定し、膵島を回収する。
以上が各工程における作業の詳細であるが、このうち(1)および(2)の工程は、摘出した臓器が経時的に劣化するのを防ぐことを目的として行う工程である。したがって、膵臓を摘出後ただちに膵島の分離を行える場合はこれら(1)および/または(2)の工程を適宜省略することが可能である。
一方で、臓器を遠方へ運搬する必要がある場合など、臓器摘出作業と膵島の分離作業との間に時間の開きがある場合には、(2)の保存工程を省略せずに必ず経る必要がある。より好ましくは(1)および(2)の両工程を経ることが望まれる。
好中球エラスターゼ阻害剤は全ての工程において使用することが可能であるが、少なくとも(3)の消化工程中の消化開始ステップの作業に入る時点において、膵臓内に好中球エラスターゼ阻害剤が存在するよう、各工程で好中球エラスターゼ阻害剤を添加すればよい。例えば、好中球エラスターゼ阻害剤の添加は、(3)の消化工程中の酵素注入ステップにおいて注入する酵素溶液にのみ限定することが可能である。また、消化工程の前工程である(2)の保存工程における浸漬液にのみ添加してもよいし、さらにその前工程である(1)の注入工程における保存液にのみ添加してもよい。
以上のような本発明の膵島分離方法によれば、従来の方法と比較して大きな膵島を得ることができる。得られた膵島に欠損がなく、膵臓における本来の大きさと同程度であるほど、患者への生着率が高く、インスリン分泌能も高い。これらの理由から、大きな膵島ほど移植に適していると言える。
さらに、本発明の方法により得られる膵島は形状の面においても優れている。後述する実施例に示すように、本発明の方法によると、球状で、密度が高く、膵組織が破壊されていない膵島を得ることができる。このような膵島は、インスリン分泌能が高く、移植に適していると言える。また、本発明の方法により得られる膵島は純度が高い。
また、本発明の方法によれば、好中球エラスターゼ阻害剤などの薬剤の使用頻度をより少なく抑えることで膵島の分離作業を簡素化し、効率よく進めることが可能となる。
本発明によれば、膵臓の崩壊時に放出される好中球エラスターゼの作用を好中球エラスターゼ阻害剤が抑制することにより、損傷の少ない移植に適した膵島を得ることが可能になる。すなわち、本発明によれば移植に適した形状および大きさの膵島を高い収量で得ることができる。
本発明は、摘出後の膵臓内にドナーの好中球が浸潤しており、消化の工程を経るとその数が増加するという新たな知見に基づくものである。そこで、発明者らが得た知見を最初に説明する。図1は、好中球の膵組織への浸潤の程度を示す図であり、マウスから摘出した膵臓を用いて次の実験を行った。
まず、マウス膵臓を摘出し、UW液またはET−Kyoto液にタイプIVコラゲナーゼを添加した溶液を膵管内に注入し膵臓を膨化させた後に膵組織の一部を回収した。ついで、膨化後の膵臓を37℃、15分間インキュベートすることで消化を行い、消化後に、再度、膵組織の一部を回収した。回収した膵組織の染色はヘマトキシリンエオジン(HE)を用い、膵組織に浸潤している好中球の染色はナフトール-ASD-クロロアセテートエステラーゼを用いて行った。消化前の膵組織と、消化を行った膵組織を用いた染色像について両者を比較した。
図1中、左側の(a)および(c)は消化前の膵組織染色像を、右側の(b)および(d)は消化後の膵組織染色像を示しており、矢印で示す染色像は活性化された好中球を示す。また、上段の(a)および(b)はUW液を用いた場合、下段の(c)および(d)はET−Kyoto液を用いた場合を示す。
図1の(a)および(c)から、消化を行っていない膵組織、すなわち消化工程前の正常な膵組織では好中球は浸潤していないことが分かる。一方、図1の右側の(b)および(d)から、コラゲナーゼにより膵臓を崩壊させた消化工程の後は好中球が浸潤していること、および、消化前よりも好中球の数が増大していることが分かる。なお、図1の(a)と(b)、(c)と(d)では、それぞれ同一の膵組織を使用した。従って、好中球は摘出後の膵臓において既に存在しており、さらに、消化工程を経て膵臓が崩壊されることにより、より多くの好中球が膵組織内に浸潤してきたと考えられる。
好中球は、活性化されると好中球エラスターゼを放出する。好中球エラスターゼは、内因性阻害物質が作用する環境下において生体内に侵入してきた細菌等を消化・分解する酵素として重要な作用を持つが、何らかの原因により該阻害物質の作用が減弱すると組織の損傷を起こすことが知られている。したがって、膵島の分離工程において好中球が活性化された場合、膵島が損傷を受けてしまうと考えられる。
そこで、膵島分離工程における何れの場面において好中球が活性化されるのか、各工程における好中球エラスターゼの活性を調べた結果を図2に示す。
実験はマウスを用いて行った。臓器保存液は、ET−Kyoto液を使用した。好中球エラスターゼ活性の測定は膵島分離の各行程で得られる膵組織を含む懸濁液の上清を測定試料とし、好中球エラスターゼ特異的基質を含む反応液中にて37℃、24時間インキュベートし、反応液中に遊離するp−ニトロアニリド量を波長405nmの吸光度により測定した。
ここで「消化前」とは、膵臓を崩壊させる作用を有するコラゲナーゼを膵管内に注入し、膵臓を膨化させた状態、すなわち本願発明における酵素注入ステップの後であって、かつ消化開始ステップの前を指す。「消化後」とは、膨化後にコラゲナーゼを活性化させることで膵臓を崩壊させた後、コラゲナーゼを不活化することで消化を停止させた状態、すなわち本願発明における消化停止ステップの後であって、かつ回収ステップの前を指す。「純化前」とは、消化を停止させた後に膵組織を回収し、洗浄した状態、すなわち本願発明における回収ステップの後であって、かつ純化工程の前を指す。そして、「純化後」とは、密度勾配剤を用いて膵島を膵外分泌腺組織から分離した状態、すなわち本願発明における純化工程の後を示す。
この図から、膵臓における好中球エラスターゼの活性は、「消化後」の時点で最も高くなるということが分かる。また「純化前」の時点、すなわち膵組織の洗浄作業を受けた後の好中球エラスターゼの活性は低下し、さらに、純化工程を経た「純化後」の時点では、好中球エラスターゼの活性はより一層低下することが分かる。つまり、膵島は「消化後」の時点で最も損傷を受けると予測されるのであり、この時点での損傷を防ぐことにより、質に優れた膵島を効率的に得ることができると考えられる。
本発明は、上述のかかる知見に基づくものであり、少なくとも消化工程中の消化開始ステップの作業に入る時点において好中球エラスターゼ阻害剤を膵臓内部に存在させることを特徴とする。
本発明の分離方法において使用する好中球エラスターゼ阻害剤の濃度については、細胞傷害性の指標であるLDH(lactate dehydrogenase;乳酸脱水素酵素)の細胞外漏出を指標とし、以下のとおり検討した。
まず、マウス膵島を0.31〜10μg/mLの好中球エラスターゼ存在下で培養し、一定時間経過後に培養上清を回収した。ついで、培養上清回収後のマウス膵島をホモジナイズし膵島懸濁液を回収した。回収した培養上清および膵島懸濁液中に含まれるLDHの測定はLDH測定キットを用い、562nmの吸光度を測定することで行った。好中球エラスターゼ阻害剤の至適濃度の検討は、各種濃度の好中球エラスターゼ存在下でマウス膵島を培養する際に2〜200μMの好中球エラスターゼ阻害剤シベレスタットを添加し、同様にLDH量を測定することにより行った。細胞傷害性は培養上清中に含まれるLDH量と膵島懸濁液中に含まれるLDH量の総和に対する培養上清中に含まれるLDH量を百分率(%)で表示した。
結果を図3に示す。図中の縦軸は細胞傷害の程度を意味し、数字が大きい程、細胞が傷害を受けていることを意味する。横軸は好中球エラスターゼ濃度である。図3から、好中球エラスターゼ濃度が高くなるにつれて膵島細胞が傷害を受けていることがわかる。このとき、2μM、20μM、200μMのシベレスタットを添加すると20μMシベレスタット存在下で最も膵島細胞の傷害が抑制された。従って、好中球エラスターゼ阻害剤の至適濃度は20μMであることが分かる。
続いて、実施例をもって本発明を具体的に説明する。これらは一例として示すものであり、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例1および比較例1〜3で示す膵島の分離方法には、いずれも生後9週齢以降(体重20〜22g)のC57BL/6Nマウスを用いた。分離の手順としては、(1)注入工程および(2)保存工程を省略し、(3)消化工程の後に(4)純化工程を行う膵島の分離方法を採用した。各例では、消化工程で使用する保存液の成分を変化させて行った。また、各工程における好中球エラスターゼ活性を測定した。これらの方法により得られた各膵島の個数、形状、大きさ、インスリン分泌能をそれぞれ測定した。以下にその詳細を示す。
<実施例1:S―Kyoto>
まず、ET−Kyoto液に終濃度が20μMとなるようにエラスポール(小野薬品工業株式会社製、登録商標、一般名:シベレスタット)を添加し、保護液(以下、S−Kyoto液と称する)を調製しておく。
上述のマウスを麻酔下で下腹部に1cm程の皮膚横切開を行い、筋層をV字切開で開腹した。ついで、小腸及び大腸を体外へ脱転した後に腹側の横隔膜を切開し、心臓を鋏で切開することで胸腔内にて失血死させた。膵管を剥離後、注射器(30G針付)で膵管を穿刺し、消化酵素であるタイプIVコラゲナーゼに上で調製した保護液を添加した溶液を約3〜5ml注入することで膵臓を膨化させた。十二指腸、小腸、大腸、脾臓から膨化した膵臓を切離し、50mlコニカルチューブに移して氷冷しておき、膵臓の入ったチューブを37℃温浴漕に入れることで消化を開始した。チューブを前記温浴漕中で約15分間インキュベートすることで消化を促進させた。その後、膵臓の入ったチューブに冷温の上記保護液を加えて懸濁することで消化を停止させた。さらに、膵組織を含む懸濁液を遠心操作により洗浄し、濃縮した。最後に、純化工程として純化溶液であるオプティプレップ(OptiPrep、Axis-Shield社製、一般名:イオディキサノール溶液)に上記保護液を添加することで25%、22.5%、20%、11.1%の溶液を作成し、各濃度の溶液を重層させて非連続密度勾配を形成する。次いで、回収した膵組織を含む懸濁液を加えた後に遠心分離を行い、膵島を含む分画を回収することで純化を行った。
<比較例1:ET−Kyoto>
比較例1は、実施例1の保護液の代わりにET−Kyoto液(エラスポールを添加しない)を採用した。純化溶液としては、ET−Kyoto液にオプティプレップを添加した溶液を採用した。それ以外の作業は実施例1と同様に行った。
<比較例2:M−Kyoto>
比較例2は、実施例1の保護液の代わりに、ET-Kyoto液にミラクリッド(持田製薬株式会社、登録商標、一般名:ウリナスタチン)を添加したもの(以下、M−Kyotoと称する)を使用した。純化溶液としては、ET−Kyoto液にオプティプレップとミラクリッドを添加した溶液を採用した。ET−Kyoto液1Lに対し100,000単位のミラクリッドを添加する。それ以外の作業は実施例1と同様に行った。
<比較例3:UW>
比較例3は、実施例1の保護液の代わりにビアスパン(ブリストルマイヤーズスクイブ製、登録商法、一般名:UW液)を採用した。純化溶液にはビアスパンを採用した。それ以外の作業は実施例1と同様に行った。
(1)好中球エラスターゼの活性時期および使用液について
実施例および比較例において行った分離方法の各工程での好中球エラスターゼの活性を測定した。測定の時期は、「消化前」と、「消化後」と、「純化前」と、「純化後」との4点とした。ここで、「消化前」とは、膵臓を崩壊させる作用を有するコラゲナーゼを膵管内に注入し、膵臓を膨化させた状態、すなわち本願発明における酵素注入ステップの後であって、かつ消化開始ステップの前を指す。「消化後」とは、膨化後にコラゲナーゼを活性化させることで膵臓を崩壊させた後、コラゲナーゼを不活化することで消化を停止させた状態、すなわち本願発明における消化停止ステップの後であって、かつ回収ステップの前を指す。「純化前」とは、消化を停止させた後に膵組織を洗浄した状態、すなわち本願発明における回収ステップの後であって、かつ純化工程の前を指す。そして、「純化後」とは、密度勾配剤を用いて膵島を膵外分泌腺組織から分離した状態、すなわち本願発明における純化工程の後を示す。
好中球エラスターゼ活性の具体的な測定は次の手順で行った。膵組織を含む懸濁液の上清を測定試料とし、好中球エラスターゼ特異的基質を含む反応液中にて37℃、24時間インキュベートし、反応液中に遊離するp-ニトロアニリド量を波長405nmの吸光度により測定した。このとき、好中球エラスターゼ特異的基質としてはN-メトキシスクシニル-Ala-Ala-Pro-Val-p-ニトロアニリドを用い、既知の濃度のp-ニトロアニリドで作成した検量線からp-ニトロアニリド量を算出し、好中球エラスターゼ活性とした。
結果を図4に示す。実施例1および比較例1〜3の好中球エラスターゼ活性はいずれも消化前は100μM程度であった。消化後において、いずれの好中球エラスターゼ活性も300μMから400μMへ同程度に上昇したが、純化後の好中球エラスターゼ活性は低下しており、いずれも消化前より低かった。また、消化後の好中球エラスターゼ活性は実施例1が最も低く、次いで比較例2が低く、比較例1と比較例3は同程度で最も高かった。図4において、消化前から消化後にかけて好中球エラスターゼ活性が上昇していることは膵組織の消化により好中球が活性化されていることを示している。また、純化前の好中球エラスターゼ活性は実施例1が最も低く、次いで、比較例2、比較例1、比較例3の順であった。実施例1の好中球エラスターゼ活性が最も低いことは好中球エラスターゼ阻害剤の作用であると考えられる。さらに好中球エラスターゼ活性の値の変動をみるに、消化後と純化前の変動が最も大きく表れており、好中球エラスターゼ阻害剤の作用は消化後に最も発揮されると言える。
以上の結果から、好中球エラスターゼの活性を持続させず直ちに抑える効果が最も強いのは実施例1の保護液であることが明らかとなった。
(3)IEQ、分離指数(Isolation Index)、純度、膵島サイズの分布について
実施例1および比較例1から3に示した方法で得られた膵島の個数、長径および面積を計測することによって、これらの指標を計算した。IEQとはIslet Equivalents(膵島当量)の略語であり、直径が150μmの膵島を1と規定する、膵島のボリュームを示す国際単位である。分離膵島の個数は、膵島細胞を含む液1mLから50μLを採取し、ジチゾンにて染色される膵島の個数を計測し、その20倍を分離膵島の個数とした。膵島の長径および面積は、蛍光顕微鏡VH アナライザー(KEYENCE社)を用いた画像解析により計測した。分離指数は、IEQおよび膵島の個数を用い、分離指数=IEQ/膵島の個数、で示す計算式を用いて算出した。純度は画像解析から得られた面積を用い、純度=ジチゾンで染色された面積/全面積、で示す計算式を用いて算出した。膵島サイズの分布は画像解析で得られた膵島の長径を基準に50μm〜100μm、100μm〜150μm、150μm〜200μm、200μm〜250μm、250μm〜300μm、300μm〜350μm、350μm以上に分け、全膵島の個数に占める各分布の割合を算出した。
図5は、得られた膵島のIEQを示す。これによると、実施例1は比較例1および比較例3と比較して有意にIEQが高いことがわかる。
図6は、得られた膵島の分離指数を示す。これによると、実施例1は比較例1および比較例3と比較して有意に分離指数が高いことがわかる。
図7は得られた膵島の純度を示す。これによると、実施例1は、比較例3と比較して有意に純度が高いことがわかる。
図8は、得られた膵島の直径の分布を示す。これによると、実施例1の場合、比較例と比べて150μm以下の小さな膵島が少ないことがわかる。さらに、実施例1の場合、比較例と比べて250μm〜350μmの膵島が多いことに加え、350μm以上の膵島を得ることができる。実施例以外で350μm以上の膵島を得ることができるのは比較例2のみであり、このことからも、比較例と比較して実施例では大きな膵島が高い収量で得られていることが分かる。
(4)形状について
図9は、得られた膵島の写真を示す。図9(a)〜(d)は電子顕微鏡下の写真である。図中、(a)は比較例3を、(b)は比較例1を、(c)は比較例2を、(d)は実施例1を示す。これによると、実施例1で得られた膵島は、比較例の膵島よりも良好な丸みがあり、密集した構造であり、破壊されている組織が少ないことが分かる。実施例1および比較例1〜比較例3で得られた膵島の形状は消化後の好中球エラスターゼ活性の結果と一致している。従って、実施例1では、好中球エラスターゼ阻害剤の作用により、膵組織の損傷が抑制されたと考えられる。
(5)刺激指数(Stimulation Index)について
図10は、得られた膵島の刺激指数を示す。ここで刺激指数とは、膵島の分泌能を示す指標である。膵島分離は実施例1と同じ操作を行った。実施例1および比較例1〜比較例3で得られた各々30個の膵島を37℃条件下で24時間培養した後、低グルコースまたは高グルコース濃度条件下で一定時間の培養を行い、培養上清中のインスリン濃度を測定した。刺激指数は低グルコース濃度と高グルコース濃度におけるインスリン分泌能の比率から算出した。図10によると、実施例1は比較例1および比較例3と比較して有意に刺激指数が高かった。このことから、実施例1で得られた膵島は比較例1および比較例3で得られた膵島よりもグルコース刺激に応答したインスリン分泌が良好であることが明らかとなった。

Claims (8)

  1. 摘出した膵臓の膵管内に保存液を注入する注入工程と、前記膵臓を浸漬液の中に浸して保存する保存工程と、前記膵臓を崩壊させて膵組織を得る消化工程と、前記膵組織を純化溶液の中に浸して膵島を得る純化工程とを含む膵島の分離方法であって、
    前記消化工程は、消化酵素を含む酵素溶液を前記膵臓の内部に注入する酵素注入ステップと、前記消化酵素を活性化させる消化開始ステップと、前記消化酵素を不活化させる消化停止ステップと、崩壊させた膵組織を回収する回収ステップとからなり、
    前記消化開始ステップの前までに系に好中球エラスターゼ阻害剤を添加することにより、前記消化開始ステップを始める時点において、前記膵臓の内部に好中球エラスターゼ阻害剤を存在させることを特徴とする、膵島の分離方法。
  2. 前記好中球エラスターゼ阻害剤の添加は、前記酵素溶液に好中球エラスターゼ阻害剤を添加することにより行うことを特徴とする、請求項1に記載の膵島の分離方法。
  3. 前記好中球エラスターゼ阻害剤の添加は、前記酵素溶液および前記純化溶液に好中球エラスターゼ阻害剤を添加することにより行うことを特徴とする、請求項1に記載の膵島の分離方法。
  4. 前記好中球エラスターゼ阻害剤の添加は、前記保存液、前記浸浸液、前記酵素溶液および前記純化溶液のすべてに好中球エラスターゼ阻害剤を添加することにより行うことを特徴とする、請求項1に記載の膵島の分離方法。
  5. 前記保存液、前記浸浸液、前記酵素溶液および前記純化溶液における前記好中球エラスターゼ阻害剤の濃度が2〜200μMであることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の膵島の分離方法。
  6. 前記注入工程および/または前記保存工程を省略することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の膵島の分離方法。
  7. 膵組織に浸潤した好中球から放出されるエラスターゼの作用から前記膵組織を保護するための保護液であって、好中球エラスターゼ阻害剤を含むことを特徴とする保護液。
  8. 前記保護液における前記好中球エラスターゼ阻害剤の濃度が2〜200μMであることを特徴とする、請求項7に記載の保護液。
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