JP2012018798A - 面発光素子および浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光触媒の触媒作用によって空気の浄化(脱臭)、殺菌(抗菌)、防汚、水の浄化等が高効率に可能であり、かつ、広範な活用用途が見込まれる面発光素子を提供する。
【解決手段】本発明の面発光素子は、導体または半導体からなる第1電極と、透光性電極と、第1電極と前記透光性電極とに挟まれた絶縁体層と、前記絶縁体層の内部に形成された発光体と、前記透光性電極の前記絶縁体層側の反対側に設けられた光触媒部とを備え、第1電極と前記透光性電極との間に電圧を印加することにより前記発光体を発光させ、前記発光体が発した光を前記透光性電極を介して前記光触媒部が受光することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、面発光素子および浄化装置に関する。
従来、光触媒の光触媒活性を利用して、紫外線光源(太陽光、ブラックライト、水銀灯など)が発する光を照射した酸化チタンなどの光触媒に被処理水、空気などを接触させて有機汚染物質を分解し、無害化や殺菌をする浄化装置が知られている。
光触媒の光触媒活性は、光触媒が受光した励起光により価電子帯の電子が励起され形成された正孔が光触媒の表面のOH基を酸化しOHラジカルが生成されるため生じると考えられている。OHラジカルは、活性種の中でも最も強い酸化力を有する(酸化電位:OHラジカル:2.8eV、塩素:1.36eV、オゾン:2.07eV)ため、光触媒は、水中などの有機物や細菌、真菌、ウイルス、藻類などの有機性不純物を酸化分解することができ、今まで対処できなかった難分解性物質まで分解可能であることが明らかになっている。
また、光触媒を用いた有機性不純物の酸化分解は、従来のオゾンや塩素などを用いた浄化方法と違い、化学物質の残留性がないという利点も有している。
一般に光触媒として、入手容易である二酸化チタンTiO2が用いられている。二酸化チタンは、388nm以下の波長を有する光を受光することにより、価電子帯から伝導帯へ電子が励起され、伝導帯に電子が価電子帯に正孔が生じ、光触媒活性が生じる。また、二酸化チタンは、3.2eVのバンドギャップを有するため励起光により生じた電子と正孔の再結合が起こりにくく、再結合による失活率が小さいという特性を有する。
このように二酸化チタンからなる光触媒は、紫外線が照射されることによって高い酸化触媒作用を生じ、有機化合物等を分解することができる。そのため、この光触媒を適当な基体表面に担持させ、この基体に紫外線を照射することによって、空気の脱臭または消臭、殺菌(抗菌)、タバコのヤニ等の防汚、或いは水の浄化等に有効に利用することができる。
二酸化チタンからなる光触媒に照射する紫外線としては、太陽光などの自然光または蛍光灯の光に含まれる紫外線を利用する場合と、紫外線蛍光ランプ(ブラックライト)などを使用する場合とがある。また、近年、紫外線を発生する発光ダイオードが開発され、紫外線蛍光ランプに代わって、紫外線LEDチップを封止する透明なレンズの外側に光触媒を具備する方法も提案されている(例えば、特許文献1)。
特開平9−8361号公報
紫外線光源として、太陽光などの自然光または蛍光灯の光に含まれる紫外線を利用した場合、新たな光源を必要としない利点はあるが、その光触媒による触媒反応系の適用場所等は自ずと限定されたものとなる。即ち、それらの光が当たらないかまたは十分には当たらない場所には光触媒を適用することはできず、光触媒を担持させる基体は、それらの光を十分に受けることができる窓ガラスや蛍光灯のカバー、またはそれらの光の下に置くことができるガラスコップ等に専ら限定される。また、光触媒の光触媒反応によって有機化合物等を完全に分解するためにはある程度の時間が必要であるが、夜間或いは消灯時にはその光触媒反応を生じさせることができない。
紫外線光源として、紫外線蛍光ランプ(ブラックライト)などを使用する場合、光触媒反応を生じさせたい場所や時間に応じて紫外線を照射することができる。しかし、紫外線蛍光ランプは、それを設置するために比較的広い空間と場所とを要し、狭い空間等には設置することができない。また、それの電力消費量も、終日使用される場合にはかなり多いものとなる。したがって、紫外線蛍光ランプの場合も、それが放射する紫外線には人体に有害な遠紫外線が多く含まれることも合わせて、その具体的な適用場所等は限定される。
紫外線光源として、紫外線LEDチップを使用する場合、LEDチップの大きさによって光触媒の面積が限定されるため、空気や水などの流体を浄化(脱臭)、殺菌(抗菌)するには不向きである。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、光触媒の触媒作用によって空気の浄化(脱臭)、殺菌(抗菌)、防汚、水の浄化等が高効率に可能であり、かつ、広範な活用用途が見込まれる面発光素子を提供する。
本発明は、導体または半導体からなる第1電極と、透光性電極と、第1電極と前記透光性電極とに挟まれた絶縁体層と、前記絶縁体層の内部に形成された発光体と、前記透光性電極の前記絶縁体層側の反対側に設けられた光触媒部とを備え、第1電極と前記透光性電極との間に電圧を印加することにより前記発光体を発光させ、前記発光体が発した光を前記透光性電極を介して前記光触媒部が受光することを特徴とする面発光素子を提供する。
本発明によれば、第1電極と透光性電極との間に電圧を印加することにより発光体を発光させ、発光体が発した光を光触媒部が受光することができるため、光触媒部が光触媒活性を有することができる。このことにより、光触媒部の表面の有機物を酸化分解することができ、面発光素子の光を遮る汚れが着くことを防止することができる。また、光触媒部の表面に液体や気体を接触させ、発光体を発光させることにより、液体中や気体中の有機物の酸化による浄化や殺菌などを行うことができる。
本発明によれば、発光体が担持された絶縁体部が第1電極と透光性電極とに挟まれ、透光性電極上に光触媒部が設けられているため、より薄い構造の面発光素子を形成することができる。
本発明によれば、安い材料で大面積に面発光素子が実現できるため、気体や液体などの流体を効率よく浄化、除菌することができる。
本発明の一実施形態の面発光素子の構成を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態の面発光素子の構成を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態の浄化装置の構成を示す概略断面図である。 EL測定実験のために作製した発光素子の概略断面図である。 EL測定実験のために作製した発光素子の発光スペクトルを示したグラフである。 種々の温度で熱処理を行って作製した発光素子についてのEL波長測定結果を示したグラフである。 種々のGe濃度の発光素子についてのEL波長測定結果を示したグラフである。 (a)は種々の深さで測定したXPSスペクトルを示す。(b)は、種々の深さでのGe、Ge2+、Ge4+の割合を示すグラフである。 種々の深さでの酸化ゲルマニウム全体(Ge4++Ge2+)に対するGe2+、Ge4+の割合を示すグラフである。
本発明の面発光素子は、導体または半導体からなる第1電極と、透光性電極と、第1電極と前記透光性電極とに挟まれた絶縁体層と、前記絶縁体層の内部に形成された発光体と、前記透光性電極の前記絶縁体層側の反対側に設けられた光触媒部とを備え、第1電極と前記透光性電極との間に電圧を印加することにより前記発光体を発光させ、前記発光体が発した光を前記透光性電極を介して前記光触媒部が受光することを特徴とする。
面発光素子とは、積層面に対して垂直な方向に光を放出する発光素子である。
発光体とは、電極間に電圧を印加することにより発光するものである。
本発明の面発光素子において、前記透光性電極と前記光触媒部との間に透光性絶縁層をさらに備えることが好ましい。
このような構成によれば、透光性電極の電位の変化による光触媒部の光触媒活性への影響を小さくすることができ、第1電極と透光性電極との間に発光体を発光させるために適した電圧を印加しても、光触媒部の光触媒活性の低下を防止することができる。
本発明の面発光素子において、光触媒部は、二酸化チタンの薄膜からなることが好ましい。
このような構成によれば、二酸化チタンの薄膜が発光体が発する光を受光して光触媒活性を有することができる。
本発明の面発光素子において、前記光触媒部は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、スズ(Sn)のうち少なくとも1つ以上の金属が担持された二酸化チタンであることが好ましい。
このような構成によれば、光触媒部の光触媒活性をより高くすることができる。
本発明の面発光素子において、前記発光体は、ゲルマニウム原子を前記絶縁体層にイオン注入し、熱処理することにより形成されることが好ましい。
このような構成によれば、絶縁体層にゲルマニウム原子を含む微粒子を担持することができ、第1電極と透光性電極との間に電圧を印加することにより前記微粒子を発光させることができる。
本発明の面発光素子において、前記発光体は、酸化ゲルマニウムを含み、前記酸化ゲルマニウムは、+2価のゲルマニウム原子と+4価のゲルマニウム原子を含むことが好ましい。
このような構成によれば、発光体の発光強度をより高くすることができる。
本発明の面発光素子において、前記発光体は、前記酸化ゲルマニウムに含まれる+2価のゲルマニウム原子と+4価のゲルマニウム原子の合計を100%としたとき、+2価のゲルマニウム原子を10%以上含むことが好ましい。
このような構成によれば、発光体の発光強度をより高くすることができる。
本発明の面発光素子において、前記発光体は、1nm以上20nm以下の最大粒径を有する微粒子からなることが好ましい。
このような構成によれば、発光体の発光強度をより高くすることができる。
本発明の面発光素子において、前記透光性電極は、波長300nm以上500nm以下の光の透過率が60%以上99.99%以下であることが好ましい。
このような構成によれば、発光体の発光の透光性電極による吸収をより少なくすることができる。また、発光体の発光をより効率的に光触媒部に照射することができる。
本発明の面発光素子において、前記透光性電極は、ITOならなることが好ましい。
このような構成によれば、発光体の発光の透光性電極による吸収をより少なくすることができる。
本発明の面発光素子において、前記透光性電極は、主成分としてTiO2を含むことが好ましい。
このような構成によれば、透光性電極と光触媒部の主成分を共にTiO2とすることができ、生産性を向上させることができる。また、透光性電極と光触媒部を接触するように設ける場合、透光性電極と光触媒部の間の膜剥がれの発生を防止することができ、かつ、透光性電極と光触媒部の間で、お互いの成分が不純物として拡散することを防止することができる。このことにより、面発光素子の信頼性を向上させることができる。
本発明の面発光素子において、第1電極は、主成分としてシリコン原子、ゲルマニウム原子、シリコン化合物またはゲルマニウム化合物を含むことが好ましい。
このような構成によれば、絶縁体層にこれらの酸化物を用いることができ、第1電極と絶縁体層との密着性を向上させることができる。また、絶縁体層を第1電極を酸化処理することにより形成することができる。
本発明の面発光素子において、第1電極は、半導体基板の一部であり、前記半導体基板は、シリコン基板、ゲルマニウム基板、シリコン化合物基板またはゲルマニウム化合物基板であることが好ましい。
このような構成によれば、絶縁体層にこれらの酸化物を用いることができ、第1電極と絶縁体層との密着性を向上させることができる。また、絶縁体層を第1電極を酸化処理することにより形成することができる。
本発明の面発光素子において、第1電極は、半導体基板の一部であり、n型不純物を含むことが好ましい。
このような構成によれば、第1電極は十分に大きい電気伝導率を有することができ、絶縁体部に電圧を印加するための電極として機能することができる。
本発明は、本発明の面発光素子が形成された円筒体を備え、前記光触媒部は、前記円筒体の内側の空間に露出した浄化装置も提供する。
本発明の浄化装置によれば、円筒体の内側の空間に液体や気体を流通させながら発光体を発光させることができ、光触媒部により効率的に液体や気体を浄化することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
面発光素子および浄化装置の構成
図1、2は本発明の一実施形態の面発光素子の構成を示す概略断面図であり、図3は、本発明の一実施形態の浄化装置の概略断面図である。
本実施形態の面発光素子15は、導体または半導体からなる第1電極1と、透光性電極6と、第1電極1と透光性電極6とに挟まれた絶縁体層3と、絶縁体層3の内部に形成された発光体5と、透光性電極6の前記絶縁体層側の反対側に設けられた光触媒部8とを備え、第1電極1と透光性電極6との間に電圧を印加することにより発光体5を発光させ、発光体5が発した光を透光性電極6を介して光触媒部8が受光することを特徴とする。
また、本実施形態の面発光素子15は、透光性絶縁層10をさらに有してもよい。
また、本実施形態の面発光素子15において、第1電極1、絶縁体層3、発光体5、透光性電極6をまとめて光源部12という。
以下、本実施形態の面発光素子15および浄化装置16について説明する。
1.面発光素子、浄化装置
本実施形態の面発光素子15は、積層面に対して垂直な方向に光を放出する発光素子である。また、本実施形態の面発光素子15は、光触媒部8を有するため、浄化装置でもある。本実施形態の面発光素子15は、図1のような断面を有してもよく、図2または図3のような断面を有してもよい。また、本実施形態の面発光素子15は、曲面上に形成されていてもよい。
特に、本実施形態の面発光素子15を図3のような断面を有する円筒体として形成し、浄化装置16として機能させることができる。この円筒体の内側の空間に液体や気体を流通させることにより、光触媒部の光触媒活性を利用して、この液体または気体を効率的に浄化することができる。このような浄化装置は、大規模なプラントから、家庭用、個人携帯用の水浄化装置に組み込むのに最適である。
2.第1電極
第1電極1は、導体または半導体からなり、かつ、絶縁体層3に電圧を印加するための電極の1つとなる。第1電極1は、例えば、アルミニウムや銅などの金属でもよく、シリコンやゲルマニウムなどの半導体でもよい。また、第1電極1を半導体とする場合、第1電極1は、p型のシリコン基板に形成されたn型領域であってもよく、n型のシリコン基板に形成されたp型領域であってもよい。また、第1電極1は、SiO2基板などの上に形成したp型シリコンまたはn型シリコンであってもよく、Si基板の上にSiO2などの絶縁体層を形成し、その上に形成したp型シリコンまたはn型シリコンであってもよい。
第1電極1は基板上に形成されてもよい。この基板は、例えば、SOI(Silicon On Insulator)基板、結晶シリコン基板、SiO2基板などである。
第1電極1が、n型シリコン領域からなる場合、n型シリコン領域の不純物濃度は、特に限定されないが、発光時に電流を流すために低抵抗であることが望ましく、例えば1×1016〜1×1018/cm3である。
また、n型シリコン領域からなる第1電極1は、例えば、p型シリコン基板に所望の形状でマスクを形成し、n型不純物であるリンをイオン注入し、アニールすることによって形成することができる。
3.絶縁体層
絶縁体層3は、第1電極1と透光性電極6とに挟まれるように設けられる。また、絶縁体層3には、発光体5が担持されている。また、絶縁体層3は、透光性を有することができる。このことにより発光体5の発光の絶縁体層3での吸収を抑制することができる。
例えば、絶縁体層3は、酸化シリコン、窒化シリコン又は酸窒化シリコンからなる。この場合であって、発光体5がゲルマニウム原子を含む微粒子からなる場合、絶縁体層3は、シリコン系の絶縁体であり、シリコンはゲルマニウムよりも酸素と結合しやすいので、ゲルマニウム原子が不必要に酸素と結合しない。また、この場合、酸化シリコン、窒化シリコン又は酸窒化シリコンは比較的酸素を透過しにくいため、発光体5に含まれるゲルマニウム原子が外気の浸透によって酸化されないので、発光体5の発光が安定し劣化も少ない。また、この場合、酸化シリコン、窒化シリコン又は酸窒化シリコンは通常のシリコン半導体プロセスで製膜可能であるので量産性に優れる上、他の電子回路と組み合わせることが可能である。
絶縁体層3の厚さは、例えば10nm以上100nm以下(例えば10、20、30、40、50、60、70、80、90及び100nmのうちいずれか2つの間の範囲)である。
なお、本発明で透光性とは、本発明の紫外線光源(発光体5)が発光する光を透過することができることをいう。絶縁体層3の光透過率は、例えば波長300〜500nmの光の透過率が80%以上であることが好ましい。発光体5が酸化ゲルマニウムを含む微粒子の場合、発光体5から放出される光のピーク波長は390nm前後であるので、波長300〜500nmでの光透過率が高ければその分だけ光取り出し効率が高くなるからである。
絶縁体層3は、例えば、第1電極1の上に酸化シリコンや窒化シリコンをCVDやスパッタリングで堆積し形成することができる。また、絶縁体層3は、半導体基板の表面に形成された熱酸化膜であってもよい。
4.発光体
発光体5は、絶縁体層3に担持され、第1電極1と透光性電極6との間に電圧を印加することにより発光する。また、発光体5は絶縁体層3に複数形成されたものでもよい。
また、発光体5は、例えば微粒子、金属原子、金属イオンであり、また、例えば、ゲルマニウム、シリコン又はスズの微粒子である。また、発光体5は酸化ゲルマニウムを含む微粒子であって、この酸化ゲルマニウムは、+2価のゲルマニウム原子(Ge2+と略す)と+4価のゲルマニウム原子(Ge4+と略す)を含むものであってもよい。この場合、発光体5はゲルマニウム(単体)(Ge2+、Ge4+と比較する場合Ge又はGe0と略す)を含んでもよい。ここで、+2価のゲルマニウム原子とは、一酸化ゲルマニウム(GeO)の結晶構造を構成するゲルマニウム原子であってもよく、二酸化ゲルマニウム(GeO2)が酸素欠損を有するためにGeO2の結晶構造中に存在するゲルマニウム原子であってもよい。また、+4価のゲルマニウム原子とはGeO2の結晶構造を構成するゲルマニウム原子である。
絶縁体層3中の発光体5の数密度は、特に限定されないが例えば、1×1016個/cm3〜1×1021個/cm3である。
発光体5が微粒子の場合、発光体5は、好ましくは、最大粒径が1nm以上20nm以下である。この場合、発光効率が特に高くなるからである。本発明において、「最大粒径」とは、絶縁体層3の任意の断面(図1のような断面であってもよく、紙面に垂直な断面であってもよい。)の100nm角の範囲をTEM観察した場合に観察できた微粒子のうち粒径が最も大きいものの粒径を意味する。また、本発明において「粒径」とは、断面TEM写真で見た場合に、TEM写真に射影され微粒子の平面像が含むことのできる最も長い線分の長さを意味する。発光体5である微粒子の最大粒径は、例えば、1,2,3,4,5,6,7,8,9、10、12、14、16、18又は20nmである。微粒子の最大粒径は、ここで例示した何れか2つの数値の間の範囲内であってもよく、何れか1つの数値以下であってもよい。
また、酸化ゲルマニウムを含む発光体15は、酸化ゲルマニウムに含まれる+2価のゲルマニウム原子(Ge2+)と+4価のゲルマニウム原子(Ge4+)の合計を100%としたとき、+2価のゲルマニウム原子を10%以上含むことができる。Ge2+の割合が小さすぎると発光しなかったり発光強度が小さくなりすぎる可能性がある。Ge2+の割合は、具体的には例えば10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、99、100%である。Ge2+の割合は、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
酸化ゲルマニウムに含まれる(Ge4++Ge2+)に対するGe2+の割合は、XPSスペクトルのGeの3dピーク付近のスペクトルにおいて、Ge4+に起因するピークの面積SGe4+と、Ge2+に起因するピークの面積SGe2+を求め、SGe2+/(SGe4++SGe2+)を算出することによって求めることができる。XPS測定のためのX線源には、例えば単色化したAl、Kα線(1486.6eV)を用いることができる。Ge4+に起因するピークとGe2+に起因するピークは、裾野が重なるが、ガウスフィッティングを行ってSGe4+に起因するピークとGe2+に起因するピークとを波形分離することによって面積SGe4+及びSGe2+を求めることができる。Ge4+及びGe2+のピークエネルギーは、それぞれ約33.5,32eVである。
ところで、XPSスペクトルのGeの2pピーク付近のスペクトルにおいて、ゲルマニウム単体(Ge)に起因するピークの面積SGeと、酸化ゲルマニウム(Ge2++Ge4+)に起因するピークの面積S酸化Geを求め、S酸化Ge/(SGe+S酸化Ge)を算出することによってGeの酸化率を求めることができる。この酸化率の平均値は、特に限定されないが、例えば、1,5,10,15,20,25,30,34.9,35,40,45,50,55,60,60.1,65,70,70.1,75,80,85,90,95,99,100%である。この酸化率の平均値は、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
絶縁体層3に発光体5を担持する方法は、特に限定されないが、発光体5が酸化ゲルマニウムを含む微粒子の場合、絶縁体層3に対してゲルマニウムをイオン注入し、その後、熱処理を行う方法が考えられる。イオン注入後の熱処理によってイオンが凝集して多数の微粒子が絶縁体層3中に形成されるとともにGeが酸化されて酸化ゲルマニウムが形成される。ゲルマニウムのイオン注入は、例えば、注入エネルギー5〜100keVで注入量1×1014〜1×1017ions/cm2の条件で行うことができる。
酸化ゲルマニウムに含まれるGe2+とGe4+の割合は、ゲルマニウムの注入量、熱処理時間、熱処理温度、熱処理雰囲気等を変化させることによって適宜調節することができる。具体的には熱処理雰囲気中の酸素の分圧や流量を調整することによってGe2+の割合を高めることができる。例えば膜厚100nmの酸化シリコン中のゲルマニウムの原子濃度が10%以下の場合において、1時間、800℃の熱処理においては、真空引き(毎分400リットル)しながら不活性ガスを供給(毎分50ミリリットル)した場合は、ゲルマニウムは一部酸素と結合するが酸素が不足しているので完全には酸化されずGe2+が生成できる。不活性ガスに体積20%の酸素を混合した1気圧の雰囲気中では、酸素の供給過多でGe4+が多く形成され、Ge2+が減少する。Ge2+の割合を高めるのに適した雰囲気は、ゲルマニウムの注入条件や熱処理時間、温度など他のパラメーターにも左右されるが、一例では、ゲルマニウムの原子濃度を比較的高くし、不活性ガスに体積20%の酸素を混合したガスを真空引きしながら供給することによってGe2+の割合を高めることができる。
また、ゲルマニウムは、絶縁体層3中のゲルマニウム濃度が0.1〜10.0原子%になるようにイオン注入することが好ましい。1時間、600℃の熱処理において、真空引き(毎分400リットル)しながら不活性ガスを供給(毎分50ミリリットル)した場合は、この範囲であれば発光効率が比較的高くなるからである。ゲルマニウム濃度は、具体的には例えば0.1,0.2,0.3,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9,1.0,2.0,3.0,4.0,5.0,6.0,7.0,8.0,9.0,10.0原子%である。この濃度は、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。ゲルマニウム濃度は、例えば高分解能RBS(ラザフォード後方散乱)法によって測定することができる。その他、SIMS(二次イオン質量分析法)等の様々な分析法によって測定することが可能である。なお、ゲルマニウム濃度の測定は、ゲルマニウム濃度がピーク値の1/100以上となる範囲で行う。熱処理の温度は、400〜900℃が好ましく500〜800℃がさらに好ましい。この範囲であれば発光効率が比較的高くなるからである。
更に発光体5が微粒子の場合、中心部がGeでありその周囲の少なくとも一部はGe2+で覆われていると発光強度が増すことが分かった。
更にGe2+の周囲がGe4+で覆われていると発光強度の安定性と耐久性が増すことが分かった。
例えば、SiO2中にGeをイオン注入などで添加し、不活性ガス中で約400℃で2時間程度熱処理を行うとGe微粒子が形成される。その後、さらに不活性ガス中に酸素を約10から40%混合し約500℃で1時間程度熱処理を行うとGe微粒子の表面は一部酸化してGe2+となる。
こうして作製したサンプルは、SiO2中にGeをイオン注入などで添加し、不活性ガス中に酸素を約10から30%混合し約500℃で1時間程度熱処理することでGeの少なくとも一部をGe2+にしたサンプルよりも発光強度が増した。
次にSiO2中にGeをイオン注入などで添加し、不活性ガス中で約400℃で2時間程度熱処理を行うとGe微粒子が形成し、その後、さらに不活性ガス中に酸素を約10から40%混合し約600℃から700℃で1時間程度熱処理を行うとGe微粒子の最表面は酸化してGe4+となるが中心部の酸化されずに残ったGeと最表面付近のGe4+との中間領域はGe2+となっていた。このサンプルを発光させたところ、上記Ge微粒子の表面は一部酸化してGe2+としたサンプルよりも発光強度の経時変化は少なかった。
すなわち、中心部は、0価のゲルマニウム原子からなり、その周囲に+2価のゲルマニウム原子が配置されている微粒子からなる発光体は発光強度に優れ、さらにその周囲に+4価のゲルマニウム原子が配置されている微粒子は耐久性に優れることが分かった。
5.透光性電極
透光性電極6は、絶縁体層3の上に設けられ、第1電極1との間に絶縁体層3を挟むように設けられる。また、透光性電極6は、絶縁体層3に電圧を印加するための電極の1つとなる。透光性電極6は、波長300nm以上500nm以下の光の透過率が60%以上99.99%以下の電極とすることができる。透光性電極6は、例えば、ITOなどの金属酸化物薄膜またはAl、Ti、Taなどの金属薄膜またはSi、SiC、GaNなどの半導体薄膜である。
透光性電極6は、発光体5が形成された絶縁体層3の上に透光性電極6を形成することができる。例えば透光性電極6がITO電極であれば塗布法、スパッタリング等により形成することができる。
また、透光性電極6は、主成分としてTiO2を含む電極であってもよい。この場合であって、光触媒部8がTiO2からなる場合、透光性電極6と光触媒部8の相性がよいので、膜はがれの心配やお互いの成分が不純物として拡散する心配が少なく信頼性と生産性の向上が図れる。
例えば、透光性電極6を形成する工程において、TiO2薄膜を成膜したのち、例えばNb等のTiO2に導電性を付与するような材料をイオン注入により表面から深い範囲に注入することで、TiO2薄膜の絶縁体層3に近い部分は透光性電極6として機能しTiO2薄膜の表面側は光触媒部8として機能させることができる。このことにより、工程や材料が少なくて済むため安価に大量に本実施形態の面発光素子を作成することができる。
6.光源部
本実施形態の面発光素子15に含まれる光源部12は、第1電極1と透光性電極6との間に電圧を印加することにより、発光体5を発光させることができる。この光源部からの発光(エレクトロルミネッセンス(EL))は、波長のピークが340〜440nm(より厳密には、350〜430nm,360〜420nm,370〜410nm,380〜400nm又は385〜395nm)の範囲内である。または、絶縁体層3に対して電子線を5keVで照射した際のカソードルミネッセンス(CL)の波長のピークが340〜440nm(より厳密には、350〜430nm,360〜420nm,370〜410nm,380〜400nm又は385〜395nm)の範囲内であってもよい。ELの波長は、CLの波長から若干ずれる可能性があるが、CLの波長とほぼ同じである。
光源部12は、例えば、透光性電極6に負の電圧を印加し、第1電極1に正の電圧を印加することにより、発光させることができる。
印加する電圧の大きさは、透光性電極6と第1電極1の間の絶縁体層3にFNトンネル電流を流すことができる電界を印加することができ、トンネル電流により発生したホットエレクトロンを絶縁体層3に供給することができる電界を印加することができれば特に限定されない。例えば、絶縁体層3に電界強度が5MV/cm〜12MV/cm となる電圧を印加することにより光源部12を発光させることができる。
7.透光性絶縁層
透光性絶縁層10は、透光性電極6と光触媒部8との間に設けることができる。透光性絶縁層10を設けることにより、透光性電極6と光触媒部8との間を電気的に絶縁することができる。このことにより、透光性電極6の電位が光触媒部8の光触媒活性に影響を与えることを防止することができる。
透光性絶縁層10は、絶縁体の層であれば特に限定されないが、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン又は酸窒化シリコンである。透光性絶縁層10は、例えば、透光性電極6の上に酸化シリコンや窒化シリコンなどをCVDやスパッタリングで堆積し形成することができる。
8.光触媒部
光触媒部8は、透光性電極6の絶縁体層3側の反対側に設けられ、発光体5の発光を受光することができる。また、光触媒部8は光触媒の薄膜とすることができる。このことにより、光触媒活性を有する光触媒部8の表面の近い部分が発光体5の発光を受光することができ、光触媒部8が高い光触媒活性を有することができる。光触媒部8は光触媒である酸化チタンTiO2からなることができる。これは、酸化チタンは一般に入手容易であるとともに、励起光の波長が388nmで励起するからである。酸化チタンにバンドギャップ以上のエネルギーを有する光を照射すると、価電子帯から伝導帯へ電子が励起され、伝導帯に電子が価電子帯に正孔が生じ、光励起される。そして、酸化チタンは、バンドギャップが3.2eVであり、電子と正孔の再結合が起こりにくく、再結合による失活率が小さいという特性を有する。酸化チタンはルチル型よりアナターゼ型を用いる。これは、バンドギャップが、アナターゼ型のほうが、3.23eV でルチル型の3.02 eV より大きく、光吸収により生成した電子と正孔のエネルギーが大きく、電子と正孔との再結合が起こりにくいためである。
また、光触媒部8は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、スズ(Sn)のうち少なくとも1つ以上の金属が担持された酸化チタンであってもよい。上記の金属を少量含有することによって、励起波長帯が拡大したり、電子と正孔の発生効率が向上するという効果が期待できるからである。
EL実験
以下の方法で光源部12の発光波長特性および発光原因を確認するための参考実験としてEL実験を行った。
まず、酸素雰囲気中、1050℃、100分で第1電極を形成したシリコン基板を熱酸化することによって表面にシリコン熱酸化膜を形成した。
次に、シリコン熱酸化膜中にGeイオンを50keVで1.4×1016ions/cm2、20keVで3.2×1015ions/cm2、10keVで2.2×1015ions/cm2の条件でこの順番で多重に注入した。
次に、ロータリーポンプで引きながら、窒素を流入させ、800℃で1時間熱処理した。この熱処理中に注入したGeの凝集及び酸化によってGeが酸化されて少なくとも一部が酸化ゲルマニウムに酸化される。なお、この酸化ゲルマニウムには、+2価のゲルマニウム原子(Ge2+)と+4価のゲルマニウム原子(Ge4+)とが含まれると考えられる。
次に、シリコン熱酸化膜上にITO電極を形成し、シリコン基板の一部にアルミニウム電極を形成し、図4に示すようなEL実験に用いる発光素子を得た。
この発光素子のITO電極とアルミニウム電極の間に30V程度の電圧を印加したところ青色の発光が確認された。
また、この青色の発光の発光スペクトルを図5に示す。図5を参照すると、確認された青色の発光は、340nmから550nmの波長の光であり、340nmから440nmの間にピークを有するエレクトロルミネッセンス発光であることが分かった。
Ge 2+ 及びGe 4+ と発光との関係
以下に示す方法によって、Ge2+及びGe4+を含む酸化ゲルマニウムが光源部12の発光に関与していることを確認した。
まず、発光機構について2つの仮説を考えた。第1の仮説は、Geナノ粒子が量子サイズ効果によって発光が起こっているというものである。この発光機構は、通常のナノ粒子の発光機構と同じであり、発光波長が粒子サイズに依存する。第2の仮説は、Ge2+及びGe4+を含む酸化ゲルマニウムが発光に関与するというものである。GeOの励起状態と基底状態のエネルギー準位差は、2.9〜3.2eV(387〜427nm)であるので(L. Skuja, J. Non-Cryst. Solids, 239 (1998) 16-48.を参照)、第2の仮説によれば、発光波長は、387〜427nm程度になり、この波長は粒子サイズに依存しないと考えられる。
これらの仮説のどちらが正しいのかを検証するために、互いに異なる種々の温度条件と注入条件で発光素子を作製し、この素子に上記の方法で電圧を印加したときのEL波長を測定した。EL波長の測定には、「島津製作所製 分光蛍光光度計RF−5300PC」を用いた。発光素子の作製方法は、熱処理温度やGe注入量を適宜変化させた以外は上記の「EL実験」で説明した通りである。
得られた結果を図6,図7に示す。図6中の温度は、熱処理温度(時間は1時間)を示す。図7中の「原子%」は、Ge注入後のシリコン酸化膜内でのGe濃度を示す。図6でのGe濃度は5.0原子%であり、図7での熱処理温度は700℃(時間は1時間)である。
図6,図7を参照すると、熱処理温度やGe濃度が変わってもELのピーク波長は、ほぼ390nmで一定であることが分かる。熱処理温度やGe濃度が変わると、形成されるナノ粒子のサイズも変化するので、発光機構が第1の仮説に従うのであればELのピーク波長がずれるはずである。従って、図6,図7で確認されたELの波長は、第1の仮説では説明ができない。一方、波長390nmは、第2の仮説で予測された発光波長(387〜427nm)の範囲内である。
以上より、本発明の発光素子からのEL波長は、第1の仮説では説明できず、第2の仮説で説明できることが分かる。従って、本発明の発光素子の発光には、Ge2+及びGe4+を含む酸化ゲルマニウムが関与していることが確認できた。
ところで、図6を参照すると、熱処理温度は、600〜700℃が好ましいことが分かる。また、図7を参照すると、Ge濃度は、3.0原子%以上が好ましく、3.0〜5.0原子%がさらに好ましいことが分かる。
Ge、Ge 2+ 、Ge 4+ の割合の深さ方向分布
上記の「EL実験」で説明した方法に従って発光素子を作製し、シリコン酸化膜内でのGe、Ge2+、Ge4+の割合の深さ方向分布を調べた。ここで作製した発光素子のGe濃度は5.0原子%であり、熱処理温度は800℃(時間は1時間)である。
XPSは通常試料表面から深さ数nmの範囲の分析ができるので、アルゴンイオンビームによるエッチングとXPS測定を交互に行うことによって、深さ50nmまでの領域においてGe、Ge2+、Ge4+の割合の深さ方向の変化を調べた。アルゴンイオンビームのエネルギーは4kV,ビーム電流は15mAで、1回当り300秒照射した。その時のXPS測定結果を各深さについて、分かり易いように縦方向にグラフを平行移動して並べたものを図8(a)に示す。また、各深さに含まれるGe原子の状態を、Ge、Ge2+、Ge4+の割合で示したグラフを図8(b)に示す。
これによると、上記の「EL実験」で説明した注入方法でGeの注入濃度が比較的高い深さ10〜50nmの領域では、酸化されていないGeの割合は30〜70%である。Ge4+は0〜20%の間で、およそ10%である。Geが完全に酸化されず一部酸化したGe2+は10〜50%の間である。
各深さでのGe、Ge2+、Ge4+の割合は、スペクトルのGeの3dピーク付近のXPSスペクトルにおいて、Geに起因するピークの面積SGeと、Ge2+に起因するピークの面積SGe2+と、Ge4+に起因するピークの面積SGe4+とを求め、SGe/(SGe+SGe2++SGe4+)、SGe2+/(SGe+SGe2++SGe4+)、SGe4+/(SGe+SGe2++SGe4+)を各深さで算出することによって求めた。また、各深さでの、酸化ゲルマニウム全体(Ge4++Ge2+)に対するGe2+,Ge4+の割合を図9のグラフに示す。
これによると、酸化ゲルマニウムに含まれるゲルマニウム原子のうち、完全に酸化されてGe4+となっている割合は、ゲルマニウムの濃度が低く、雰囲気の影響を強く受けてゲルマニウムが完全に酸化されやすい表面近傍を除いて、およそ20〜60%の間で、Ge原子が完全に酸化されず一部酸化したGe2+はおよそ40〜80%の間である。上記の「EL実験」で説明した注入方法でGeの注入濃度が比較的高い深さ10〜40nmの領域では、酸化ゲルマニウムの内、完全に酸化されてGe4+となっている割合はおよそ50%以下で、およそ20〜30%である。Geが完全に酸化されず一部酸化したGe2+はおよそ50%以上で70〜80%である。各深さでのGe2+,Ge4+の割合は、スペクトルのGeの3dピーク付近のXPSスペクトルにおいて、Ge2+に起因するピークの面積SGe2+と、Ge4+に起因するピークの面積SGe4+とを求め、SGe2+/(SGe2++SGe4+)、SGe4+/(SGe2++SGe4+)を各深さで算出することによって求めた。XPSスペクトルは、X線源として単色化したAl、Kα線(1486.6eV)を用いて測定した。
更に詳しく調べた結果、深さ5nm以内の領域に含まれるGe元素のうち半分以上はGe4+となっており、より深い場所ではGe4+となっている割合は半分より少ない方が、発光効率が良いことが分かった。
また、Ge4+とGe2+との関係を調べたところ、深さ5nm以内の領域ではGe4+の方がGe2+より多く、10nm以上深い領域ではGe2+の方がGe4+より多いほうが、発光効率が良いことが分かった。
種々の実験を実施し解析を行ったところ、深さ10〜50nmの領域に注入したGeのうちGe0の割合が70%を超えると急激に発光効率が低下することが分かった。
また微粒子を形成する条件下で徐々に酸化の度合いを増していくと、注入したGeのうちGe0の割合が30%より少なくなるとやはり発光効率が急に低下することが分かった。
また深さ10〜40nmの領域のGe2+とGe4+のうちGe2+との割合が増えると発光強度が増大し、Ge4+が増えると耐久性が増す傾向にあった。ただしGe4+が20%より少なくなると発光が急激に劣化するようになった。Ge4+が60%より多いと耐久性はあまり変化しなくなるが発光強度は低下した。したがって、発光強度と耐久性の両方を満たすためには、Ge2+とGe4+のうちGe2+は40−80%の範囲内であることがよいことが分かった。
1: 第1電極 3:絶縁体層 5:発光体 6:透光性電極 8:光触媒部 10:透光性絶縁層 12:光源部 15:面発光素子 16:浄化装置

Claims (21)

  1. 導体または半導体からなる第1電極と、透光性電極と、第1電極と前記透光性電極とに挟まれた絶縁体層と、前記絶縁体層の内部に形成された発光体と、前記透光性電極の前記絶縁体層側の反対側に設けられた光触媒部とを備え、
    第1電極と前記透光性電極との間に電圧を印加することにより前記発光体を発光させ、前記発光体が発した光を前記透光性電極を介して前記光触媒部が受光することを特徴とする面発光素子。
  2. 前記透光性電極と前記光触媒部との間に透光性絶縁層をさらに備える請求項1に記載の素子。
  3. 前記光触媒部は、二酸化チタンの薄膜からなる請求項1または2に記載の素子。
  4. 前記光触媒部は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、スズ(Sn)のうち少なくとも1つ以上の金属が担持された二酸化チタンである請求項1〜3のいずれか1つに記載の素子。
  5. 前記発光体は、1nm以上20nm以下の最大粒径を有する微粒子からなる請求項1〜4のいずれか1つに記載の素子。
  6. 前記発光体は、ゲルマニウム原子を前記絶縁体層にイオン注入し、熱処理することにより形成される請求項1〜5のいずれか1つに記載の素子。
  7. 前記発光体は、0価のゲルマニウム原子および酸化ゲルマニウムを含み、
    前記酸化ゲルマニウムは、+2価のゲルマニウム原子と+4価のゲルマニウム原子を含む請求項1〜6のいずれか1つに記載の素子。
  8. 前記発光体は、0価のゲルマニウム原子を主成分とする中心部と、前記中心部の周囲に+2価のゲルマニウム原子と酸素原子からなる酸化ゲルマニウムを主成分とする部分とを含む微粒子からなる請求項7に記載の素子。
  9. 前記発光体は、+2価のゲルマニウム原子と酸素原子からなる酸化ゲルマニウムを主成分とする部分の周囲に、+4価のゲルマニウム原子と酸素原子からなる酸化ゲルマニウムを主成分とする部分を含む微粒子からなる請求項8に記載の素子。
  10. 前記発光体は、前記酸化ゲルマニウムに含まれる+2価のゲルマニウム原子と+4価のゲルマニウム原子の合計を100%としたとき、+2価のゲルマニウム原子を10%以上含む請求項7〜9のいずれか1つに記載の素子。
  11. 前記発光体は、+2価のゲルマニウム原子を40%以上80%以下含む請求項10に記載の素子。
  12. 前記発光体に含まれる0価のゲルマニウム原子と+2価のゲルマニウム原子と+4価のゲルマニウム原子の合計を100%としたとき、0価のゲルマニウム原子は、30%以上70%以下の範囲内である請求項7〜9のいずれか1つに記載の素子。
  13. 前記透光性電極との界面から深さ5nm以内の前記絶縁体層に含まれる0価のゲルマニウム原子と+2価のゲルマニウム原子と+4価のゲルマニウム原子の合計を100%としたとき、この範囲内の+4価のゲルマニウム原子は、50%以上であり、前記透光性電極との界面から深さ7nm以上の前記絶縁体層に含まれる0価のゲルマニウム原子と+2価のゲルマニウム原子と+4価のゲルマニウム原子の合計を100%としたとき、この範囲内の+4価のゲルマニウム原子は、50%以下である請求項12に記載の素子。
  14. 前記透光性電極との界面から深さ5nm以内の前記絶縁体層では+2価のゲルマニウム原子に比べ+4価のゲルマニウム原子の割合が高く、前記透光性電極との界面から深さ10nm以上の前記絶縁体層では+4価のゲルマニウム原子に比べ+2価のゲルマニウム原子の割合が高い請求項7〜13のいずれか1つに記載の素子。
  15. 前記透光性電極は、波長300nm以上500nm以下の光の透過率が60%以上99.99%以下である請求項1〜14のいずれか1つに記載の素子。
  16. 前記透光性電極は、ITOならなる請求項1〜15のいずれか1つに記載の素子。
  17. 前記透光性電極は、主成分としてTiO2を含む請求項1〜16のいずれか1つに記載の素子。
  18. 第1電極は、主成分としてシリコン原子、ゲルマニウム原子、シリコン化合物またはゲルマニウム化合物を含む請求項1〜17のいずれか1つに記載の素子。
  19. 第1電極は、半導体基板の一部であり、
    前記半導体基板は、シリコン基板、ゲルマニウム基板、シリコン化合物基板またはゲルマニウム化合物基板である請求項1〜18のいずれか1つに記載の素子。
  20. 第1電極は、n型不純物を含む請求項19に記載の素子。
  21. 請求項1〜20のいずれか1つに記載の面発光素子が形成された円筒体を備え、
    前記光触媒部は、前記円筒体の内側の空間に露出した浄化装置。
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