JP2012013310A - 熱交換器 - Google Patents
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Abstract
【課題】一次伝面型熱交換器の構造を改良することにより、熱交換流体のリークおよび耐圧強度の低下を防止するとともに、組立てコストを低減することができ、しかも、小型かつ軽量で伝熱性能に優れた熱交換器を提供する。
【解決手段】本発明の熱交換器は、横断面が横長で扁平な伝熱管1を積み重ねて成り、伝熱管1の外周面に螺旋状の凹部1aが形成されるとともに、伝熱管1の内周面に凹部1aの形成部位に対応して螺旋状の凸部1bが形成されており、伝熱管1の内部に一方の熱交換流体を流通させるとともに、互いに積み重ねた伝熱管1同士の間に他方の熱交換流体を流通させ、一方の熱交換流体と他方の熱交換流体の間で熱交換を行う構成である。この熱交換器では、凹部1aおよび凸部1bが2条以上の螺旋状とし、伝熱管1の内部で縦方向に位置する凸部1bの稜線同士が点接触する構成が好ましい。
【選択図】図6
【解決手段】本発明の熱交換器は、横断面が横長で扁平な伝熱管1を積み重ねて成り、伝熱管1の外周面に螺旋状の凹部1aが形成されるとともに、伝熱管1の内周面に凹部1aの形成部位に対応して螺旋状の凸部1bが形成されており、伝熱管1の内部に一方の熱交換流体を流通させるとともに、互いに積み重ねた伝熱管1同士の間に他方の熱交換流体を流通させ、一方の熱交換流体と他方の熱交換流体の間で熱交換を行う構成である。この熱交換器では、凹部1aおよび凸部1bが2条以上の螺旋状とし、伝熱管1の内部で縦方向に位置する凸部1bの稜線同士が点接触する構成が好ましい。
【選択図】図6
Description
本発明は、再生器や凝縮器や蒸発器などのように、ガスエンジンやガスタービンや燃料電池などのコージェネレーションシステム、インタークーラ、空気調和機などで流体を加熱したり冷却するために用いられる熱交換器に関する。
熱交換器の主たる特性は伝熱性能であり、伝熱性能は熱交換器における伝熱面積に概ね比例する。したがって、熱交換量を増やそうとすると、一般に、伝熱面積を拡大させることになり、それに伴って、熱交換器のサイズや重量が大きくなる。しかし、熱交換器が搭載される機器においては、熱交換器の設置スペースが制限されるなどの理由から、小型かつ軽量でしかも伝熱性能の高い熱交換器が要求される。
この要求に応える熱交換器の代表格としてプレートフィン型熱交換器が知られているが、プレートフィン型熱交換器は、高い伝熱性能を実現でき、チューブプレートで仕切られた流体通路の積層配置の選択により小型化も可能である反面、精度要求が厳しく複雑な構造であり高価である。
このため、近年では、プレートフィン型熱交換器に代え、例えば、特許文献1に開示される一次伝面型熱交換器の実用化が検討されている。一次伝面型熱交換器は、伝熱コアとして、コルゲートフィンを積層し、コルゲートフィンで仕切られた各層に熱交換対象の高温流体と低温流体とを流通させる流体通路を形成した構成となっている。この熱交換器では、伝熱面積をコルゲートフィンによって大きく確保でき、コルゲートフィンのみを伝熱面として高温流体と低温流体との間で熱交換を行うので、伝熱性能が著しく優れる。また、プレートフィン型熱交換器で必須となるチューブプレートを削減できることから、プレートフィン型熱交換器より軽量化・小型化が可能であり、さらに部品点数を減らすことができ、組立てに要する製造コストの抑制も可能である。
図1は、一次伝面型熱交換器の伝熱コアに用いられるコルゲートフィンの一例を示す図であり、同図(a)は互いに積層されるコルゲートフィンの斜視図、同図(b)はそれらのコルゲートフィンの平面図をそれぞれ示す。同図に示すように、コルゲートフィン103は、ステンレス鋼のような薄いシートを素材とし、これを波形に成形し、全体として矩形状にしたものである。
図1に示すコルゲートフィン103は、外周部103aがプレス加工により押し潰され、この押し潰された外周部103aには、互いに積層されたコルゲートフィン103同士の間に流体通路を確保するため、後述する図2および図3に示すスペーサーバー104がろう付や溶接により接合される。このようなコルゲートフィン103では、波状の頂部となる各畝103bが、両端部と平行に(他の両端部とは直角に)配列している。
図2は、一次伝面型熱交換器における伝熱コアの構成例を示す図であり、同図(a)は斜視図、同図(b)はサイドプレートを除いた状態での平面図、同図(c)は高温流体通路の出口の正面図、同図(d)は低温流体通路の出口の正面図をそれぞれ示す。図3は、一次伝面型熱交換器の伝熱コアの一流体通路を構成するセルを抽出した図である。これらの図に示す一次伝面型熱交換器の伝熱コア102は、前記図1に示すコルゲートフィン103を用いて構成される。
具体的には、コルゲートフィン103は、押し潰された外周部103aの両端部、およびその裏面の他の両端部に、一対のスペーサーバー104がそれぞれ接合される。伝熱コア102は、スペーサーバー104が接合されたコルゲートフィン103を積み重ね、互いに重なるスペーサーバー104を溶接して構成される。伝熱コア102の最上段と最下段に配されるコルゲートフィン103には、サイドプレート105がろう付される。
この伝熱コア102では、積層されたコルゲートフィン103の畝103bが交互に直交するように配置され、コルゲートフィン103間に交互に高温流体通路106と低温流体通路107が形成される。そして、図2(b)に実線矢印で示すように、高温流体通路106を流通する高温流体Hと、低温流体通路107を流通する低温流体Lとは、それぞれ伝熱コア102における流体通路106、107の入口から出口に向かう方向を主流方向として流れ、その主流方向が互いに直交する。
このような伝熱コア102を有する一次伝面型熱交換器は、各流体H、Lの主流方向が互いに直交する直交流方式の熱交換器として成り立つ。この一次伝面型熱交換器においては、各流体通路106、107での流体H、Lは、当該流体通路106、107を形成するコルゲートフィン103のうちの一方の畝103bに沿って流れ、その過程で、両者を仕切るコルゲートフィン103を介し、高い伝熱性能で熱交換を行うことができる。
上述の通り、一次伝面型熱交換器は、小型かつ軽量で優れた伝熱性能を実現でき、さらに、プレートフィン型熱交換器で必須となるチューブプレートを削減できることから、部品点数の低減に伴い、組立てコストの抑制も期待できる。
しかし、一次伝面型熱交換器では、コルゲートフィンの外周部がプレス加工により押し潰され、この押し潰された外周部にスペーサーバーがろう付や溶接により接合されて流体通路が確保されるが、コルゲートフィンの押し潰された外周部には多少の凹凸が存在することから、スペーサーバーとの接合不良が生じ易く、この接合不良に起因して、熱交換流体のリーク(漏出)が発生したり、耐圧強度が低下する。さらに、スペーサーバーの接合を必要とすることから、組立てコストのさらなる低減の余地がある。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、一次伝面型熱交換器の構造を改良することにより、熱交換流体のリークを防止し耐圧強度を向上させるとともに、組立てコストを低減することができ、しかも、小型かつ軽量で伝熱性能に優れた熱交換器を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため、一次伝面型熱交換器の技術思想を生かすことを前提として、一次伝面型熱交換器で不可欠なスペーサーバーの接合を省略することに注力し、スペーサーバーを排除した場合であっても流体通路を確保できる構成について鋭意検討を重ねた結果、下記の知見を得た。
スペーサーバーの排除と流体通路の確保の両立を図るには、一次伝面型熱交換器で互いに積層された一対のコルゲートフィンと、これらの間に接合されたスペーサーバーと、を一体成形品として1個のセルを形成し、このセルを複数個積層して伝熱コアを形成するのが有効である。その一体成形品であるセルの構造として、上記のコルゲートフィンとスペーサーバーの組み合わせの代わりに、横断面が横長で扁平な伝熱管であって、外周面に螺旋状の凹部が形成されるとともに、その凹部の形成部位に対応して内周面に螺旋状の凸部が形成されたものを適用できる。ここで、伝熱管の外周面に形成する螺旋状の凹部は、凹部に代えて凸部でもよく、この場合、その伝熱管外周面の凸部の形成部位に対応して内周面に凹部が螺旋状に形成される。
本発明は、上記の知見に基づいて完成させたものであり、その要旨は、下記の熱交換器にある。すなわち、本発明の熱交換器は、横断面が横長で扁平な伝熱管を積み重ねて成り、前記伝熱管の外周面に螺旋状の凹部が形成されるとともに、前記伝熱管の内周面に前記凹部の形成部位に対応して螺旋状の凸部が形成されており、前記伝熱管の内部に一方の熱交換流体を流通させるとともに、互いに積み重ねた前記伝熱管同士の間に他方の熱交換流体を流通させ、前記一方の熱交換流体と前記他方の熱交換流体の間で熱交換を行うことを特徴とする熱交換器である。
上記の熱交換器では、前記凹部および前記凸部が2条以上の螺旋状であることが好ましい。この熱交換器の場合、前記伝熱管の内部で縦方向に位置する前記凸部の稜線同士が点接触する構成とすることが好ましい。
上記の熱交換器は、最上段の前記伝熱管の上および最下段の前記伝熱管の下に、サイドプレートを積み重ねて接合するとともに、前記各伝熱管の両端に、上下の前記サイドプレートの間にわたりエンドプレートを接合し、前記各エンドプレートには前記各伝熱管の両端に連通して熱交換流体の入口または出口となる開口が形成されている構成とすることが好ましい。
本発明の熱交換器は、外周面に螺旋状の凹部が形成されるとともに、内周面に螺旋状の凸部が形成され、横断面が横長で扁平な伝熱管を積み重ねてなる構成であるため、伝熱管の内部と伝熱管同士の間とが、伝熱管の管壁のみで仕切られて積層配置され、流体通路として互いに独立した状態となる。
したがって、本発明の熱交換器によれば、伝熱管の内部に一方の熱交換流体を流通させると同時に、伝熱管同士の間に凹部を通じて他方の熱交換流体を流通させることにより、凹部および凸部によって伝熱面積が拡大した伝熱管の管壁のみを介し、優れた伝熱性能で熱交換を行うことができ、小型化かつ軽量化を実現できる。しかも、一体成形品の伝熱管を積み重ねるのみで、伝熱管の内部と伝熱管同士の間に個別に流体通路を確保できるため、流体通路を形成するのにろう付や溶接などによる接合が不要であり、熱交換流体のリークを防止し耐圧強度を向上させることができ、組立てコストを低減することも可能になる。
以下に、本発明の熱交換器の実施形態について、図面を参照しながら詳述する。
図4は、本発明の熱交換器の伝熱コアに用いられる伝熱管の一例を示す図であり、同図(a)はその伝熱管の斜視図、同図(b)はその横断面図、同図(c)はその平面図をそれぞれ示す。同図に示すように、本発明の熱交換器に用いられる伝熱管1は、横断面が上下から押し潰されたような横長で、肉厚が概ね一定の扁平な金属管である。特に、この伝熱管1の外周面には、管軸方向の端から端までの全域にわたり螺旋状に凹部1aが形成されており、伝熱管1の内周面には、その螺旋状凹部1aが形成された部位に対応して螺旋状に凸部1bが形成されている。
同図では、伝熱管1の外周面に凹部1aを螺旋状に設け、その凹部1aの形成部位に対応して内周面に凸部1bを螺旋状に設ける場合を示しているが、伝熱管外周面では凹部1aに代えて凸部を設けるとともに、伝熱管内周面では凸部1bに代えて凹部を設けても同じ効果がある。このことは、以下の図でも同様であるため記載を省略する。
これにより、伝熱管1の外周面には、螺旋状凹部1aの間に螺旋状に山部1cが形成され、これと合わせ、伝熱管1の内周面には、螺旋状凸部1bの間に螺旋状に谷部1dが形成される。すなわち、伝熱管1において、外周面の凹部1aは内周面の凸部1bに相当し、外周面の山部1cは内周面の谷部1dに相当する。
伝熱管1に形成された螺旋状の凹部1aおよび凸部1bは、後述するように、伝熱面積を拡大すると同時に、流体通路を確保する機能を果たす。図4では、凹部1aおよび凸部1bが4条の螺旋状に形成された例を示しているが、凹部1aおよび凸部1bの螺旋の条数は、1条であってもよいし、2条以上の多条であってもよい。ただし、伝熱面積を拡大する機能と流体通路を確保する機能とを十分に発揮させ、伝熱性能を向上させるには、凹部1aおよび凸部1bを2条以上の螺旋状とするのが好ましい。
伝熱管1には金属材料を適用し、特に、高強度で耐熱性に優れたステンレス系材料、Ni基超耐熱合金、アルミニウム合金などを用いるのが好ましい。ステンレス系材料としては、例えば、SUS347、SUS321、SUS310、SUS310S、SUS304、SUS316、SUS316L等を、またNi基超耐熱合金としては、例えば、インコネル625等を用いることができる。また、アルミニウム合金として、3003、4004、6951等を適用できる。その他にも、伝熱管1の材料として、チタンやチタン合金を用いることもできる。
このような伝熱管1は、例えば、図5に示すような螺旋凹凸付き素管を素材として製作することができる。
図5は、本発明における伝熱管を製作するための素材の一例として螺旋凹凸付き素管を示す図であり、同図(a)はその螺旋凹凸付き素管の横断面図、同図(b)はその平面図をそれぞれ示す。同図に示すように、螺旋凹凸付き素管2は、横断面が円形で肉厚が概ね一定であり、外周面に螺旋状の凹部1aが形成されるとともに、内周面にその凹部1aの形成位置に対応して凸部1bが形成されたものである。この螺旋凹凸付き素管2を管軸方向と直角な方向からプレス加工を施すことにより、螺旋凹凸付き素管2は押し潰されて扁平になり、上記の伝熱管1となる。
もっとも、上記の伝熱管1の製作は、まず螺旋凹凸付き素管2を準備し、これをプレス加工するという2段階の工程を経るまでもなく、適切な分割型を用いたハイドロフォーミングやエレクトロフォーミングなどにより一体成形する方法でも可能である。
上記の螺旋凹凸付き素管2は、例えば、以下に示す方法により製作することができる。例えば特許文献2に開示されるように、横断面が円形の単なる丸管を素材とし、この丸素管に塑性加工を施す方法がある。すなわち、丸素管を、3点ローラで保持しつつ、管軸回りに回転させながら管軸方向に搬送する。このとき、3点ローラのうちの1つローラは、その外周面に円周方向にわたるリング状の突起が設けられており、螺旋凹凸付き素管2の外周面に形成される凹部1aの螺旋角度、すなわちリード角の分だけローラ軸が傾斜して配置されている。これにより、丸素管の外周面がローラの突起によって押し込まれ、その痕跡が螺旋状に凹部1aとなると同時に、丸素管の内周面で螺旋状の凸部1bとして現れ、螺旋凹凸付き素管2を製作することができる。
この方法以外にも、螺旋凹凸付き素管2の外周形状と同一形状の雌型彫刻部を有する分割型を用いたハイドロフォーミングなどにより、単なる丸素管から螺旋凹凸付き素管2を製作することが可能であり、エレクトロフォーミングでも可能である。
図6は、本発明の熱交換器における伝熱コアの構成例を示す図であり、同図(a)は斜視図、同図(b)は正面図、同図(c)は側面図をそれぞれ示す。同図に示す本発明の熱交換器の伝熱コア3は、前記図4に示す伝熱管1を用いて構成される。
具体的には、伝熱コア3は、横断面が横長の扁平で螺旋状の凹部1aおよび凸部1bが形成された伝熱管1の上に、同じ伝熱管1を順次積み重ねて構成される。ここで、互いに積み重ねた伝熱管1同士は、上下方向で対向する両者の外周面に形成された螺旋状山部1c(螺旋状凹部1aの間の部位)の稜線が互いに交差して点接触し、この点接触した部分をろう付などで接合される。最上段に配される伝熱管1の上、および最下段に配される伝熱管1の下には、伝熱管1の管軸方向の全域にわたりサイドプレート4が積み重ねられ、上下の各サイドプレート4と各伝熱管1は互いにろう付などで接合される。
各伝熱管1の両端には、上下のサイドプレート4の間にわたりエンドプレート5が配され、各エンドプレート5と各伝熱管1は互いにろう付などで接合され、各エンドプレート5と各サイドプレート4も互いにろう付などで接合される。エンドプレート5は、各伝熱管1の両端に連通して熱交換流体の入口または出口となる開口5aを有する。
このような構成の伝熱コア3を有する本発明の熱交換器は、複数の伝熱管1が積み重ねられることにより、伝熱管1の内部と伝熱管1同士の間とが、伝熱管1の管壁のみで仕切られて積層配置され、流体通路として互いに独立した状態となる。このため、伝熱管1の内部には、熱交換対象とする一方の流体、例えば高温流体を、エンドプレート5の開口5aから導入し、伝熱管1の管軸方向を主流方向として流通させることができる(図6(c)中の実線矢印を参照)。一方、互いに積み重ねた伝熱管1同士の間には、熱交換対象の他方の流体、例えば低温流体を、伝熱管1の外周面に形成された凹部1aを通じ、伝熱管1の管軸方向と直角な方向を主流方向として流通させることができる(図6(b)中の破線矢印を参照)。
このような本発明の熱交換器において、伝熱管1の内部では、高温流体が螺旋状の凸部1bと接触しつつ、場合によってはその螺旋状凸部1bを順次越えながら流れることにより、高温流体の乱流効果が促進される。一方、伝熱管1同士の間では、低温流体が螺旋状の凹部1aと接触しつつ、場合によってはその螺旋状凹部1aから隣の凹部1aに順次山部1cを越えながら流れることにより、低温流体の乱流効果も促進される。これにより、伝熱管1の内部を流通する高温流体と、伝熱管1同士の間を流通する低温流体は、両者を仕切る伝熱管1の管壁(螺旋状の凹部1aおよび凸部1b)と有効に接触するため、その伝熱管1の管壁のみを介し、効率良く熱交換を行うことができる。
したがって、本発明の熱交換器は、伝熱管1に螺旋状の凹部1aおよび凸部1bが形成されているため、伝熱面積が拡大し、小型化かつ軽量化を実現できる。さらに、本発明の熱交換器は、一次伝面型熱交換器で不可欠なスペーサーバーがなくても、一体成形品の伝熱管1をセルとして積み重ねるのみで、伝熱管1の内部と伝熱管1同士の間に個別に流体通路を確保できるため、流体通路を形成するのにろう付や溶接などによる接合が不要であり、熱交換流体のリークを防止し耐圧強度を向上させることができ、組立てコストを低減することも可能になる。
本発明の熱交換器においては、伝熱管1の内部で縦方向に位置する螺旋状凸部1bの稜線同士が点接触する程度まで、伝熱管1の扁平率を高めることが好ましい。伝熱管1内部の流体通路は、凸部1bの稜線同士の点接触した状態でそれ以上閉塞されることなく確保される。また、凸部1bの稜線同士が点接触ないしは接近した状態では、ここを流通する高温流体が凸部1bと接触しつつ、その凸部1bを順次越えながら流れるため、高温流体の乱流効果が一層促進される。この場合、伝熱管1に形成する螺旋状の凸部1bは、稜線同士を交差させて稜線同士の点接触を発現させるため、2条以上の多条螺旋とする。1条螺旋では、伝熱管1の内周面で螺旋状凸部1bの稜線同士が交差することなく、点接触が発現しないからである。
また、本発明の熱交換器では、伝熱管1に形成する螺旋状の凸部1bを2条以上の多条とし、凸部1bの稜線同士を交差させて点接触させた場合、その稜線同士の交差角が60°〜120°の範囲内となるように、伝熱管1に形成する凸部1b、すなわち凹部1aの螺旋角度(リード角)を設定するのが好ましい。本発明者らの試験によれば、稜線同士の交差角が60°〜120°の範囲内のときに、熱交換流体が流通する際の圧力損失の低減と伝熱性能の向上が両立し易いからである。
図7は、本発明の熱交換器における伝熱コアの他の構成例を示す図であり、同図(a)はその伝熱コアに用いられる伝熱管の斜視図、同図(b)はその伝熱コアの斜視図をそれぞれ示す。図7(a)に示すように、本実施形態の伝熱管1は、前記図4に示す伝熱管1と比較し、螺旋状の凹部1aおよび凸部1bの形成が両端部で省略されている点で相違する。すなわち、図7(a)に示す本実施形態の伝熱管1は、両端部で螺旋状の凹部1aおよび凸部1bが形成されておらず、両端部のみが単なる円筒を上下から押し潰したような単純な扁平形状とされている。この伝熱管1は、上述した方法を採用して製作することができる。
図7(a)に示す伝熱管1を積み重ねて構成される伝熱コア3では、各伝熱管1の両端部のみが単純な扁平形状であることから、図7(b)に示すように、各伝熱管1の端部をエンドプレート5の開口5aに挿入してろう付や溶接などを施したり、圧入することで、各エンドプレート5と各伝熱管1の接合を簡単かつ確実に行える。
その他本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、熱交換流体として、伝熱管の内部に高温流体を流通させ、伝熱管同士の間に低温流体を流通させる場合を示しているが、伝熱管の内部に低温流体を流通させ、伝熱管同士の間に高温流体を流通させる構成であってもよい。また、伝熱管の内部と伝熱管同士の間に流通させる熱交換流体は、種類に限定はなく、空気やガスなどの気体、冷却水や温水などの液体のいずれも採用することができる。
本発明の熱交換器によれば、互いに積み重ねた伝熱管の内部に一方の熱交換流体を流通させると同時に、伝熱管同士の間に凹部を通じて他方の熱交換流体を流通させることにより、凹部および凸部によって伝熱面積が拡大した伝熱管の管壁のみを介し、優れた伝熱性能で熱交換を行うことができ、小型化かつ軽量化を実現できる。しかも、一体成形品の伝熱管を積み重ねるのみで流体通路を確保できるため、流体通路を形成するのにろう付や溶接などによる接合が不要であり、熱交換流体のリークを防止し耐圧強度を向上させることができ、組立てコストを低減することも可能になる。
1:伝熱管、 1a:凹部、 1b:凸部、 1c:山部、 1d:谷部、
2:螺旋凹凸付き素管、 3:伝熱コア、 4:サイドプレート、
5:エンドプレート、 5a:開口
2:螺旋凹凸付き素管、 3:伝熱コア、 4:サイドプレート、
5:エンドプレート、 5a:開口
Claims (4)
- 横断面が横長で扁平な伝熱管を積み重ねて成り、
前記伝熱管の外周面に螺旋状の凹部が形成されるとともに、前記伝熱管の内周面に前記凹部の形成部位に対応して螺旋状の凸部が形成されており、
前記伝熱管の内部に一方の熱交換流体を流通させるとともに、互いに積み重ねた前記伝熱管同士の間に他方の熱交換流体を流通させ、前記一方の熱交換流体と前記他方の熱交換流体の間で熱交換を行うことを特徴とする熱交換器。 - 前記凹部および前記凸部が2条以上の螺旋状であることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
- 前記伝熱管の内部で縦方向に位置する前記凸部の稜線同士が点接触することを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
- 最上段の前記伝熱管の上および最下段の前記伝熱管の下に、サイドプレートを積み重ねて接合するとともに、前記各伝熱管の両端に、上下の前記サイドプレートの間にわたりエンドプレートを接合し、前記各エンドプレートには前記各伝熱管の両端に連通して熱交換流体の入口または出口となる開口が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱交換器。
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