JP2012012969A - ウォータジャケットスペーサ及びシリンダブロック - Google Patents
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Abstract
【課題】シリンダブロックへの負荷を抑制しつつウォータジャケットスペーサを所期の安定した状態に固定保持できるウォータジャケットスペーサ及び該ウォータジャケットスペーサを備えたシリンダブロックを提供する。
【解決手段】シリンダブロック1のウォータジャケット10内に装着されてウォータジャケット10内の冷却水流量を調整するウォータジャケットスペーサ20の見かけ上の比重を上記冷却水の比重と略等しく設定する。見かけ上の比重が冷却水の比重と略等しいウォータジャケット20をシリンダボア壁5の外周に形成されるウォータジャケット10内に装着してウォータジャケット10の内周面13と外周面14により比較的小さな加圧力で挟持することでウォータジャケットスペーサ20が安定した状態で保持でき、シリンダブロック1への負荷が抑制できる。
【選択図】図2
【解決手段】シリンダブロック1のウォータジャケット10内に装着されてウォータジャケット10内の冷却水流量を調整するウォータジャケットスペーサ20の見かけ上の比重を上記冷却水の比重と略等しく設定する。見かけ上の比重が冷却水の比重と略等しいウォータジャケット20をシリンダボア壁5の外周に形成されるウォータジャケット10内に装着してウォータジャケット10の内周面13と外周面14により比較的小さな加圧力で挟持することでウォータジャケットスペーサ20が安定した状態で保持でき、シリンダブロック1への負荷が抑制できる。
【選択図】図2
Description
本発明は、エンジンのシリンダブロックに形成されたウォータジャケットに装着されてウォータジャケット内の冷却水流量を調整するウォータジャケットスペーサ及び該ウォータジャケットスペーサを備えたシリンダブロックに関する。
エンジン、特に水冷式エンジンのシリンダブロックに形成されるウォータジャケットによる冷却構造は、シリンダブロックにおけるシリンダボア壁の周囲にトップデッキ側が開放されたループ状のウォータジャケットを形成し、シリンダヘッドを締結してトップデッキ側が閉塞されたウォータジャケット内に冷却水を流通及び循環させてシリンダブロックの冷却を行うように構成される。
一般にシリンダブロックは、アルミニウム合金等の鋳造によって製造されるが、その鋳造に使用される鋳型のウォータジャケットに対応する部分の金型強度を確保するには、当該部分の肉厚等が必要になり、実際にエンジンが要するウォータジャケットより鋳造されたウォータジャケットが大きくなることがある。その結果、ウォータジャケットの冷却水容量が、そのエンジンに最適な冷却水の量より過大になることがある。
また、シリンダボア壁温は燃焼室付近の上死点側が高く、クランク室に近い下死点側が低くなる傾向があり、シリンダボア壁温が部位において不均一になることが懸念される。一方、エンジンの効率的かつ円滑な作動にはシリンダボア壁温の平滑化、即ち略均一になることが好ましく、そのために、ウォータジャケットの冷却水流量及び流速等を調整することが望まれる。
この対策として、特許文献1にはウォータジャケット内に、ウォータジャケットスペーサとなる充填部材を設置してウォータジャケット内を流れる冷却水量を適正化するシリンダブロックが開示されている。これは、図4にシリンダブロック101の断面図を示すように、シリンダボア壁102の外周に設けたウォータジャケット103の低温部分となる下死点側に含水性のある合成樹脂製のスポンジ材料やウール状の素材からなる充填部材104を設置する。そしてウォータポンプが作動してもウォータジャケット103内の充填部材104を設置した部分には冷却水が流れないようにして、シリンダボア壁102の高温部となる上死点付近だけに冷却水を流して冷却させることにより、シリンダボア壁温を均一化すものである。
特許文献2には、ウォータジャケットスペーサの組み付け後において、エンジンの振動やウォータジャケット内を流れる冷却水の水流圧力によりウォータジャケットスペーサが揺動し、或いは移動することが懸念されることから、ウォータジャケットスペーサを所期の状態に固定保持する種々の構造が開示されている。
その一例として、ウォータジャケットの断面幅よりも厚く形成されたウォータジャケットスペーサを、ウォータジャケットの下死点側となる先端側内に圧入して固定保持する構造がある。また、図5(a)に示すように、ウォータジャケットスペーサ110に支柱110aを設け、シリンダブロック101に取り付けられるシリンダヘッド105によって支柱110aを押さえてウォータジャケットスペーサ110をウォータジャケット103内の所定位置に固定保持する構造がある。また、同図(b)のようにシリンダブロック101の側面からピン106を差して、そのピン106によってウォータジャケットスペーサ110をウォータジャケット103の所定位置に固定保持する構造や、同図(c)のようにシリンダブロック101に係止穴107を形成し、ウォータジャケットスペーサ110を係止穴107に係止してウォータジャケットスペーサ110をウォータジャケット103内の所定位置に固定保持する構造がある。
上記特許文献1によると、ウォータジャケット103内に含水性のあるスポンジ材料やウール状の素材からなる充填部材104を設置することで、ウォータジャケット103内を流れる冷却水量を適正化すると共にシリンダボア壁温の均一化を図ることができる。
しかし、充填部材104が含水性のあるスポンジ材料やウール状の素材からなることから、充填部材104内に侵入した冷却水が滞留して充填部材104の劣化が促進されて耐久性が低下することが懸念される。また、車載されたエンジンにあっては、車両に発生する加速度及びエンジンの振動、ウォータジャケット103内を流れる冷却水の圧力等で充填部材104が揺動や移動することが懸念される。充填部材104の振動や移動を防止すべく充填部材104の固定を強固にするために充填部材104をウォータジャケット103の先端側内に大きな荷重で圧入すると、シリンダボア壁102への負荷が増大してシリンダボア壁102の変形に影響を及ぼし、かつシリンダボア壁102の破損を招く要因となる。また、シリンダブロック自体の変形を誘発する。
また、特許文献2に開示されるように、ウォータジャケットスペーサの振動や移動を防止すべくウォータジャケットスペーサの固定を強固にするためにウォータジャケットスペーサをウォータジャケットに圧入固定すると、ウォータジャケットスペーサを固定するシリンダボア壁の負荷が増大すると共にシリンダボア壁の変形に影響を及ぼし、かつシリンダボア壁の破損を招く要因となる。また、シリンダブロック自体の変形を誘発する。
更に、ウォータジャケットスペーサ110に支柱110aを設けシリンダヘッド105により支柱110aを押さえてウォータジャケットスペーサ110をウォータジャケット103内の所定位置に保持する構造においては、ウォータジャケットスペーサ110の構造が複雑になると共に、ウォータジャケットスペーサ110の振動や移動を防止すべくウォータジャケットスペーサ110の固定を強固するためにウォータジャケットスペーサ110をウォータジャケット103の先端側に大きな荷重で押圧すると、ウォータジャケットスペーサ110の押圧によりウォータジャケット103を介してシリンダボア壁102の変形に影響を及ぼすことが懸念される。ピン106によってウォータジャケットスペーサ110をウォータジャケット103内の所定位置に保持する固定構造や、シリンダブロック101の係止穴107にウォータジャケットスペーサ110を係止してウォータジャケットスペーサ110をウォータジャケット103内の所定位置に保持する固定構造にあっては、ウォータジャケットスペーサ110の形状が複雑になると共にピン106の設置や係止孔107により固定構造が複雑になると共にシリンダ壁102の変形に影響を及ぼす。更に、ウォータジャケットスペーサ110の振動や移動を防止すべくウォータジャケットスペーサ110を強固にすると共にピン106を保持するシリンダブロック101のピン保持部や係止孔107等の固定構造の破損を防止するため強固な固定構造が要求される。この固定構造を強固にする伴いシリンダブロック自体の変形に影響を与え、かつウォータジャケットスペーサの設置によるコストが増大する要因となる。
従って、係る点に鑑みなされた本発明の目的は、シリンダブロックへの負荷を抑制しつつウォータジャケットスペーサを所期の安定した状態に固定保持できるウォータジャケットスペーサ及び該ウォータジャケットスペーサを備えたシリンダブロックを提供することにある。
上記目的を達成する請求項1に記載のウォータジャケットスペーサの発明は、シリンダブロックのウォータジャケット内に装着されて、ウォータジャケット内の冷却水流量を調整するウォータジャケットスペーサであって、上記冷却水の比重と略等しい見かけ上の比重を有する樹脂製ブロック状で、シリンダブロックに固定保持されることを特徴とする。
これによると、ウォータジャケット内に固定保持されるウォータジャケットスペーサの見かけ上の比重を冷却水の比重と略等しくする樹脂製ブロック状に形成することで、冷却水によるウォータジャケットスペーサの揺動や移動が抑制され、ウォータジャケットスペーサを安定した状態に固定保持するためのシリンダブロックへの負荷が抑制できる。
請求項2の発明は、請求項1のウォータジャケットスペーサにおいて、中空構造であることを特徴とする。
これによると、ウォータジャケットスペーサを中空構造とすることで、中空部により、ウォータジャケットスペーサの見かけ上の比重を冷却水の比重と略等しくなるように調整することができる。
請求項3の発明は、請求項1のウォータジャケットスペーサにおいて、独立気泡発泡樹脂製であることを特徴とする。
これによると、ウォータジャケットスペーサを独立気泡発泡樹脂製とすることで、独立気泡によりウォータジャケットスペーサの見かけ上の比重を冷却水の比重と略等しくなるように調整することができる。
請求項4に記載のシリンダブロックの発明は、上記請求項1〜3のいずれか1項に記載のウォータジャケットスペーサが、シリンダボア壁の外周に形成されるウォータジャケット内に装着されて該ウォータジャケットの内周面と外周面との間に挟持して固定されたことを特徴とする。
これによると、見かけ上の比重が冷却水の比重と略等しいウォータジャケットスペーサをシリンダボア壁の外周に形成されるウォータジャケット内に装着してウォータジャケットの内周面と外周面により比較的小さな加圧力で挟持することでウォータジャケットスペーサが安定した状態で保持でき、ウォータジャケットスペーサを挟持保持するウォータジャケットの外周面及び内周面の負荷が軽減されて、シリンダブロックへの負荷が抑制できる。
請求項5の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のウォータジャケットスペーサにおいて、上記ウォータジャケットの内周面或いは外周面に固定構造により固定保持されることを特徴とする。
これによると、見かけ上の比重が冷却水の比重と略等しいウォータジャケットスペーサをシリンダボア壁の外周に形成されるウォータジャケット内に装着して固定構造によりウォータジャケットの内周面或いは外周面に固定保持することで、固定構造の負荷及びウォータジャケットの外周面及び内周面の負荷が軽減されて、シリンダブロックへの負荷が抑制できる。
本発明によると、ウォータジャケット内に固定保持されるウォータジャケットスペーサの見かけ上の比重を冷却水の比重と略等しくする樹脂製ブロック状に形成することで、冷却水によるウォータジャケットスペーサの揺動や移動が抑制され、ウォータジャケットスペーサを安定した状態に固定保持するシリンダブロックへの負荷が抑制できる。
本発明によるウォータジャケットスペーサ及びウォータジャケットスペーサを備えたシリンダブロックの実施の形態を図を参照して説明する。
(第1実施の形態)
図1は、水平対向型エンジンにおけるシリンダブロックのシリンダ軸方向から投影した側面図、図2は模式的に示す図1のII−II線断面図である。
図1は、水平対向型エンジンにおけるシリンダブロックのシリンダ軸方向から投影した側面図、図2は模式的に示す図1のII−II線断面図である。
シリンダブロック1は、アルミニウム合金製のオープンデッキ型であって、シリンダ列部を形成するシリンダブロック本体2と、シリンダブロック本体2の基端側に連続形成されるクランクケース部3から構成される。
シリンダブロック本体2は、図1及び図2に示すように、隔壁部分を隔ててシリンダライナ9が埋め込まれた一対のシリンダボア4が並列配置されたシリンダボア壁5を有する。シリンダボア壁5の外周はトップデッキ7に開口部11を有するウォータジャケット10を隔ててシリンダ外壁部6によって囲まれ、シリンダ外壁部6はウォータジャケット10の底部を形成するクランクケース部3によってシリンダボア壁5に一体結合する。シリンダ外壁部6の所定位置にトップデッキ7側からクランクケース部3側に延在してシリンダヘッドを固定するための図示しないヘッドボルトが螺合するヘッドボルト孔8が形成される。
ウォータジャケット10は、トップデッキ7に開口部11を有する深い溝状でシリンダボア壁5を介して各シリンダボア4を囲む円弧状部が連結部によって連結するループ状で、下死点側となる先端側に形成される底面12の内側縁12aからトップデッキ7に開口する開口部11の内周縁11aに連続する内周面13がシリンダボア壁5の外周面によって形成され、底面12の外側縁12bからトップデッキ7に開口する開口部11の外側縁11bに連続する外周面14がシリンダ外壁部6の内周面によって形成される。また、図2に模式的に示すように、ウォータジャケット10は、その断面形状において内周面13及び外周面14が、下死点側の底面12から上死点側、即ちトップデッキ7側の開口部11側に移行するに従って互いに離間するテーパ状に形成される。
一方、ウォータジャケット10内の比較的低温部分となる下死点側に設置されてウォータジャケット10内を流れる冷却水量を適正化するウォータジャケットスペーサ20は、冷却水による劣化や腐食等の影響を受けにくく耐久性に優れ、かつ耐汚染性及び耐熱性を有する樹脂製であって、ウォータジャケット10の底面12、内周面13、外周面14にそれぞれ接面可能な底面22、内側面23、外側面24及び上面21からなる外周面を備えてウォータジャケット10の底面12に沿って延在する環状のブロック状に形成される。
また、ウォータジャケットスペーサ20は、環状に連続する中空閉断面形状であって、中空部25の大きさ及び形状を適宜設定することによってウォータジャケットスペーサ20の見かけの上の比重が冷却水の比重(例えば、1.0〜1.12程度)と略等しくなるように調整される。
この断面形状において底面22側から上面21側に移行するに従って互いに離間するテーパ状の内側面23及び外側面24を有するウォータジャケットスペーサ20を、シリンダブロック1のトップデッキ7に開口する開口部11からウォータジャケット10内に挿入して、ウォータジャケット10の低温部分となる下死点側、即ち先端側に圧入する。この圧入されたウォータジャケットスペーサ20は、図2に示すようにその底面22がウォータジャケット10の底面12に接し、かつ内側面23及び外側面24がそれぞれ内周面13及び外周面14に圧接してウォータジャケット10の内周面13と外周面14によって挟持固定される。
このウォータジャケットスペーサ20の設置により、ウォータジャケット10の冷却水容量が、そのエンジンに最適な冷却水の量に調整されると共に、ウォータポンプが作動してもウォータジャケット10内のウォータジャケットスペーサ20を設置した部分には冷却水が流れないようになり、シリンダボア壁5の高温部となる上死点付近に積極的に冷却水を流して上死点側を冷却させることにより、シリンダ壁温を均一化する。
ここで、ウォータジャケットスペーサ20の見かけ上の比重を冷却水の比重と略等しく設定することから、冷却水及びウォータジャケットスペーサ20に働く重力によって生じる圧力の不均一が抑制される。即ち、ウォータジャケットスペーサ20に働く浮力とウォータジャケットスペーサ20に働く重力が均等になり、冷却水によるウォータジャケットスペーサ20の揺動や移動が抑制され、ウォータジャケットスペーサ20の固定保持に要するウォータジャケット10の内周面13と外周面14によるウォータジャケットスペーサ20の挟持力を低減することが可能になり、ウォータジャケット10の内周面13と外周面14による比較的小さな挟持力でウォータジャケットスペーサ20が安定した状態に保持できる。
仮に、ウォータジャケットスペーサ20の見かけ上の比重が冷却水の比重より小さいと、ウォータジャケットスペーサ20に働く浮力がウォータジャケットスペーサ20に働く重力より大きくなり、ウォータジャケットスペーサ20には挟持されたウォータジャケット10の内周面13と外周面14から抜け出す方向の力が作用する。この抜け出す方向の力によりウォータジャケット10の内周面13と外周面14によるウォータジャケットスペーサ20の安定した保持が得られずウォータジャケットスペーサ20が揺動或いは移動する要因となる。この結果ウォータジャケット10の内周面13及び外周面14によるウォータジャケットスペーサ20の挟持力の増大が必要になり、ウォータジャケットスペーサ20を高い圧入力で圧入することで内周面13及び外周面14に大きな圧力が付与され、固定部であるシリンダボア壁5やシリンダ外壁部6に負荷がかかり、シリンダボア壁5やシリンダ外壁部6の変形に影響を及ぼし、かつシリンダボア壁5やシリンダ外壁部6の破損を招く要因となり、シリンダブロック1自体の変形を誘発することが懸念される。
一方、ウォータジャケットスペーサ20の見かけ上の比重を冷却水の比重より大きくすると、ウォータジャケットスペーサ20に働く浮力よりウォータジャケットスペーサ20に働く重力が大きくなり、ウォータジャケットスペーサ20には挟持されたウォータジャケット10の内周面13と外周面14との間に入り込む方向の力が作用する。ウォータジャケット10の内周面13と外周面14との間に入り込む方向の力によりウォータジャケットスペーサ20が揺動或いは移動する要因となる。この結果ウォータジャケット10の内周面13及び外周面14によるウォータジャケットスペーサ20の挟持力の増大が必要になり、ウォータジャケットスペーサ20を高い圧入力で圧入することで内周面13及び外周面14に大きな圧力が付与され、固定構造であるシリンダボア壁5やシリンダ外壁部6に負荷がかかり、シリンダボア壁5やシリンダ外壁部6の変形に影響を及ぼし、かつシリンダボア壁5やシリンダ外壁部6の破損を招く要因となり、シリンダブロック1自体の変形を誘発することが懸念される。
従って、本実施の形態によると、ウォータジャケット10内に圧入装着されるウォータジャケットスペーサ20の見かけ上の比重を、冷却水の比重と略等しくする簡単な構成で、ウォータジャケットスペーサ20の揺動や移動が抑制され、ウォータジャケット10の内周面13と外周面14とで比較的小さな加圧力で挟持することでウォータジャケットスペーサ20が安定した状態で保持でき、固定構造であるシリンダボア壁5やシリンダ外壁部6に作用する負荷、即ちシリンダブロック1に及ぼす負荷が抑制できる。シリンダボア壁5やシリンダ外壁部6の変形が影響されることなく、かつシリンダボア壁5やシリンダ外壁部6の破損及びシリンダブロック1自体の変形が回避される。また、ウォータジャケット10内の比較的低温部分となる下死点側に設置されてウォータジャケット10内を流れる冷却水量を適正化するウォータジャケットスペーサ20が冷却水による劣化や腐食等の影響を受けにくく耐久性に優れ、かつ耐汚染性及び耐熱性を有する樹脂製ブロック状であることと相俟って、ウォータジャケットスペーサ20の固定構造を強固にすることなく、所期の安定した状態にウォータジャケットスペーサ20を保持することができる。
(第2実施の形態)
図3を参照して本発明の第2実施の形態を説明する。なお、本実施の形態において、ウォータジャケットスペーサの構成が、第1実施の形態と異なり、他の構成は第1実施の形態と同様の構成であり、図3は第1実施の形態の図2と対応する断面図であり、図3における図2と対応する部分に同一符号を付することで該部の詳細な説明を省略する。
図3を参照して本発明の第2実施の形態を説明する。なお、本実施の形態において、ウォータジャケットスペーサの構成が、第1実施の形態と異なり、他の構成は第1実施の形態と同様の構成であり、図3は第1実施の形態の図2と対応する断面図であり、図3における図2と対応する部分に同一符号を付することで該部の詳細な説明を省略する。
図3に示すウォータジャケットスペーサ30は、冷却水による劣化や腐食等の影響を受けにくく耐久性に優れ、かつ耐汚染性及び耐熱性を有する独立気泡構造の樹脂製ブロック状であって、ウォータジャケット10の底面12、内周面13、外周面14にそれぞれ接面可能な底面32、内側面33、外側面34及び上面31からなる外周面を備えてウォータジャケット10の底面12が延在方向に沿って延在する環状に形成される。
また、この独立気泡構造の発砲体からなるウォータジャケットスペーサ30は、例えば、成形の際の発泡倍率等を適宜設定することで、ウォータジャケットスペーサ30の見かけの上の比重が冷却水の比重(例えば、1.0〜1.12程度)と略等しくなるように独立気泡によって調整される。
この独立気泡構造の発砲体からなる環状で、底面32側から上面31側に移行するに従って互いに離間するテーパ状の内側面33及び外側面34を有するウォータジャケットスペーサ30を、シリンダブロック1のウォータジャケット10内に開口部11から挿入してウォータジャケット10の低温部部分となる下死点側に圧入する。圧入されたウォータジャケットスペーサ30は、図3に示すようにその底面32がウォータジャケット10の底面12に接し、かつ内側面33及び外側面34がそれぞれ内周面13及び外周面14に圧接してウォータジャケット10内周面13と外周面14との間に挟持固定される。
このウォータジャケットスペーサ30の設置により、ウォータジャケット10の冷却水容量が、そのエンジンに最適な冷却水の量に調整されると共に、ウォータポンプが作動してもウォータジャケット10内のウォータジャケットスペーサ30を設置した部分には冷却水が流れないようになり、シリンダボア壁5の高温部となる上死点付近だけ冷却水を流して上死点側を積極的に冷却させることにより、シリンダ壁温を均一化する。
ここで、ウォータジャケットスペーサ30の見かけ上の比重を冷却水の比重と略等しく設定することから、第1実施の形態と同様に、冷却水及びウォータジャケットスペーサ30に働く重力によって生じる圧力の不均一が抑制される。即ち、ウォータジャケットスペーサ30に働く浮力とウォータジャケットスペーサ30に働く重力が均等になり、冷却水によるウォータジャケットスペーサ30の揺動や移動が抑制され、ウォータジャケットスペーサ30の固定保持に要するウォータジャケット10の内周面13と外周面14によるウォータジャケットスペーサ30の挟持力を低減することが可能になり、ウォータジャケット10の内周面13と外周面14による比較的小さな挟持力でウォータジャケットスペーサ30が安定した状態で保持できる。
従って、本実施の形態によると、ウォータジャケット10内に圧入装着されるウォータジャケットスペーサ30の見かけ上の比重を、冷却水の比重と略等しくする簡単な構成でウォータジャケットスペーサ30の揺動や移動が抑制され、ウォータジャケット10の内周面13と外周面14とで比較的小さな加圧力で挟持することでウォータジャケットスペーサ30が安定した状態で保持でき、シリンダボア壁5やシリンダ外壁部6に作用する負荷が軽減されて、シリンダブロック1の負荷が抑制される。一方、ウォータジャケット10内の比較的低温部分となる下死点側に設置されてウォータジャケット10内を流れる冷却水量を適正化するウォータジャケットスペーサ30が冷却水による劣化や腐食等の影響を受けにくく耐久性に優れ、かつ耐汚染性及び耐熱性を有する樹脂製であることと相俟って、ウォータジャケットスペーサ30の固定構造を強固にすることなく、所期の安定した状態にウォータジャケットスペーサ30を保持することができる。
なお、本発明は、上記第1実施の形態及び第2実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更することができる。例えば、上記第1実施の形態及び第2の形態では、ウォータジャケットスペーサ20及び30をウォータジャケット10の内周面13及び外周面14によって挟持固定する例について説明したが、ウォータジャケットスペーサ20及び30をシリンダブロック1の側面からピンを差してピンによってウォータジャケットスペーサ20、30をウォータジャケット10内の所定位置に固定保持する構造や、シリンダブロック1に係止穴を形成し、ウォータジャケットスペーサ20、30を係止穴に係止してウォータジャケット10の先端側内の所定位置に固定保持する構造等によりウォータジャケットスペーサ20、30をウォータジャケット10の所定位置に固定保持することができる。これらの固定構造においてもウォータジャケットスペーサ20、30の見かけ上の比重を冷却水と略等しくすることで、ウォータジャケットスペーサ20、30の揺動や移動が抑制されて、ウォータジャケットスペーサ20、30を固定保持する固定構造及びシリンダボア壁5やシリンダ外壁部6への負荷が軽減され、即ちシリンダブロック1に及ぼす負荷が抑制できる。
また、ウォータジャケットスペーサ20、30はウォータジャケット10の全周に亘り設置することなく、ウォータジャケットスペーサ20、30を部分的に所定位置に配設することもできる。
1 シリンダブロック
4 シリンダボア
5 シリンダボア壁
6 シリンダ外壁部
10 ウォータジャケット
13 内周面
14 外周面
20 ウォータジャケットスペーサ
23 内側面
24 外側面
25 中空部
30 ウォータジャケットスペーサ
33 内側面
34 外側面
4 シリンダボア
5 シリンダボア壁
6 シリンダ外壁部
10 ウォータジャケット
13 内周面
14 外周面
20 ウォータジャケットスペーサ
23 内側面
24 外側面
25 中空部
30 ウォータジャケットスペーサ
33 内側面
34 外側面
Claims (5)
- シリンダブロックのウォータジャケット内に装着されて、ウォータジャケット内の冷却水流量を調整するウォータジャケットスペーサであって、
上記冷却水の比重と略等しい見かけ上の比重を有する樹脂製ブロック状で、シリンダブロックに固定保持されることを特徴とするウォータジャケットスペーサ。 - 中空構造であることを特徴とする請求項1に記載のウォータジャケットスペーサ。
- 独立気泡発泡樹脂製であることを特徴とする請求項1に記載のウォータジャケットスペーサ。
- 上記請求項1〜3のいずれか1項に記載のウォータジャケットスペーサが、シリンダボア壁の外周に形成されるウォータジャケット内に装着されて該ウォータジャケットの内周面と外周面との間に挟持して固定されたことを特徴とするシリンダブロック。
- 上記請求項1〜3のいずれか1項に記載のウォータジャケットスペーサが、シリンダボア壁の外周に形成されるウォータジャケット内に装着されて該ウォータジャケットの内周面或いは外周面に固定構造により固定されたことを特徴とするシリンダブロック。
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---|---|---|---|
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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