JP2012012731A - ミシン - Google Patents

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Abstract

【課題】針棒に打刻針を装着して打刻加工を実行することを可能としたミシンにおいて、打刻針の取付け高さ位置の判定を、ユーザの主観によることなく正確に行い、ひいてはユーザによる打刻針の取付け高さ位置の調整作業を容易に行う。
【解決手段】針棒8に、打刻針を上下位置調整可能に保持した打刻針保持装置を取付ける。針棒ケース7にカメラモジュール59を設ける。制御回路は、高さ判定モードの実行が指示されると、テスト用の被加工物に対する打刻針によるテスト打刻動作を実行させ、被加工物の打刻痕を、カメラモジュール59により撮影させる。制御回路は、撮影画像に基づいて打刻痕の大きさを検出し、基準値と比較することにより、打刻針の取付け高さ位置を判定し、その判定結果を液晶ディスプレイ46に表示させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ミシンに備わる針棒に打刻針を装着し、被加工物を移送機構により所定の二方向に移送させながら、前記打刻針を上下動させることにより、前記被加工物に対して打刻痕を形成する打刻加工の実行が可能なミシンに関する。
従来より、例えば多色の刺繍糸による刺繍縫製動作を連続的に実行できる多針刺繍ミシンが供されている。この種の刺繍ミシンは、アーム部の先端に、例えば6本の針棒を備えた針棒ケースを備えている。そして、6本の針棒のうちの1本の針棒を針棒駆動機構に選択的に連結して上下駆動する。また、当該刺繍ミシンは、加工布を保持した刺繍枠を移送する移送機構を備えている。当該刺繍ミシンの制御装置は、一針毎の針落ち位置(加工布の移動量)や色替え等を指示する模様データに基づいて、加工布を保持した刺繍枠を、前記移送機構によりX,Yの二方向に移動させつつ、前記針棒駆動機構及びその他の駆動機構を制御して、多色の刺繍縫製動作を実行させる(例えば特許文献1参照)。
尚、特許文献1においては、加工布に対して切込みを入れる(孔をあける)ためのボーリング装置が記載されている。このボーリング装置は、取付部、ホルダ、ボーリングメス、プレッサ、スプリング等から構成されている。ボーリングメスの下端部には刃部が形成されている。このボーリング装置を、特定の針棒に装着して当該刺繍ミシンを動作させる。これにより、加工布に切込み(孔)を形成しつつ、その切込みの周囲に刺繍を施すアイレット刺繍が可能となる。
ところで、近年、手工芸の分野においては、例えば紙等のシート状の被加工物に複数の窪み(エンボス)や小孔を形成し、その窪みや小孔を利用して種々の模様を表現することが行われている。例えば、厚手のトレーシングペーパーに複数の窪みや小孔を形成することで、装飾物を製作するパーチメントクラフトが普及しつつある。トレーシングペーパーに窪みを形成すると、その窪み部分だけが白濁することを利用して模様を作るのである。
そこで、本発明者は、上記刺繍ミシンにおいて、縫製用の縫針に代えて、パーチメントクラフト用の打刻針を針棒に装着することによって、多針刺繍ミシンを、上記の窪みや小孔を形成する打刻加工を行う装置として兼用できるのではないかと考えた。
この場合、加工布を保持する刺繍枠に代えて、トレーシングペーパー等のシート状の被加工物を保持する保持体を移送機構に取付ける。そして、予め作成された打刻加工用のデータに基づいて、前記移送機構が前記保持体を移動させながら、打刻針が装着された針棒を上下動させることにより、被加工物の表面に所定の打刻加工を施す。このようにして、被加工物の表面に、複数の窪んだ打刻痕又は小孔からなる種々の模様を作製することができると考えられる。
特開2009−108434号公報
上記のように、ミシンに備わる針棒の駆動を利用してパーチメントクラフト等の打刻加工を行う場合、針棒に対する打刻針の取付け高さ位置によって、被加工物に対する打刻深さが変化する。つまり、被加工物に形成される打刻痕(窪み)又は小孔の大きさが変化する。このため、針棒に対する打刻針の取付け高さ位置をユーザが調整できることが必要になる。この場合、上記特許文献1にも、ホルダに対するボーリングメスの高さ位置を調整することにより、アイレットの大きさの変更が可能であることが記載されている。
そこで、ユーザが、針棒に対する打刻針の取付け高さ位置を調整するために、次のような作業を行うことが考えられる。即ち、ユーザが、テスト用の被加工物を用意して、このテスト用の被加工物に対する打刻加工(試し加工)を実際に行なう。そして、ユーザは、打刻痕を目視にて観察して、打刻痕が適切な大きさであるかどうかを判断し、打刻針の取付け高さ位置の調整を行う。このとき、打刻痕が大きい場合には、打刻針の取付け高さ位置を上げる。逆に、打刻痕が小さい場合には、打刻針の取付け高さ位置を下げる。その作業を何度か繰返すことにより、打刻針の取付け高さ位置を適切な位置に調整する。
しかしながら、上記のような調整方法では、打刻痕が適切な大きさかどうかの判断基準がユーザの主観に依るので、判断が曖昧になる。特に作業の経験が少ないユーザにとっては、的確に判断することが難しい。また、試し加工と打刻針の取付け高さ位置の調整作業を何度も繰返さなければならないので、調整作業が面倒である。また、テストで使用された被加工物は廃棄されるが、そのテスト用の被加工物が多く必要になるので、被加工物が無駄になる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、針棒に打刻針を装着して打刻加工を実行することを可能としたミシンにおいて、打刻針の取付け高さ位置の判定を、ユーザの主観によることなく正確に行うことができ、ひいては、ユーザによる打刻針の取付け高さ位置の調整作業を容易に行うことができるミシンを提供するにある。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1のミシンは、ミシンに備わる針棒に打刻針を装着し、被加工物を移送機構により所定の二方向に移送させながら、前記打刻針を上下動させることにより、前記被加工物に対して打刻痕を形成する打刻加工の実行が可能なものであって、前記針棒に対する前記打刻針の取付け高さ位置を調整するための高さ位置調整機構と、前記打刻針によって前記被加工物に形成された打刻痕を撮影する撮影手段と、前記撮影手段により撮影された画像から前記打刻痕の領域を抽出して該打刻痕の大きさを検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記打刻痕の大きさを、記憶手段に記憶された基準値と比較することに基づいて、前記打刻針の取付け高さ位置を判定する判定手段と、前記判定手段の判定に応じて前記打刻針の取付け高さ位置を調整する為の情報を報知する報知手段とを備えるところに特徴を有する。
刺繍縫製可能なミシンにおいて、打刻針を針棒に装着し、その針棒を上下動させながら、移送機構を制御して被加工物を所定の二方向に移送させることにより、被加工物に対して打刻痕を形成する打刻加工が実行される。例えば、針棒に、パーチメントクラフト用の打刻針を装着し、トレーシングペーパー等の被加工物に対して打刻加工を行うことにより、被加工物の表面に、打刻針による複数の打刻痕からなる模様を形成することが可能となる。
このとき、針棒に対する打刻針の取付け高さ位置に応じて、打刻深さひいては打刻痕の大きさが変更される。そのため、針棒に対して、打刻針を適切な取付け高さ位置に調整できることが要望される。上記構成によれば、高さ位置調整機構を備えるので、ユーザは、針棒に対する打刻針の取付け高さ位置を容易に調整することができる。
そして、被加工物に対して打刻加工が実行されると、撮影手段により、その被加工物の打刻痕の画像が撮影される。そして、検出手段により、撮影手段により撮影された画像から打刻痕の領域が抽出されて該打刻痕の大きさが検出される。ここで、打刻痕の大きさは、針棒に対する打刻針の取付け高さ位置に応じて変化する。このため、検出された打刻痕の大きさを予め記憶手段に記憶されている基準値と比較することに基づいて、判定手段により、打刻針の取付け高さ位置を正確に判定することができる。そして、報知手段により、判定結果に応じて打刻針の取付け高さ位置を調整する為の情報が報知される。
この場合、実際の打刻痕を撮影した画像に基づいて打刻痕の面積を算出し、その面積に基づいて取付け高さ位置の判定を自動で行うものであるから、正確に判定することができる。そして、ユーザは、報知された情報に基づいて、針棒に対して、打刻針を適切な取付け高さ位置に調整することができる。
請求項2のミシンは、請求項1の発明において、打刻加工を行う打刻加工モードと、前記打刻針の取付け高さ位置を判定するための高さ判定モードとの設定を切替えるためのモード切替手段を備え、前記モード切替手段により高さ判定モードが指示された際に、前記被加工物に対する前記打刻針によるテスト打刻動作を実行させ、その後、前記撮影手段による打刻痕の撮影、前記検出手段による該打刻痕の大きさの検出と、前記判定手段による前記打刻針の取付け高さ位置の判定と、前記報知手段による前記情報の報知とを自動で実行させる判定モード実行手段を備えるところに特徴を有する。
請求項3のミシンは、請求項2の発明において、前記テスト打刻動作は、予め記憶されたテストパターンに従って前記被加工物を移動させながら、前記打刻針による複数回の打刻動作を行うことにより実行され、前記テストパターンは、前記撮影手段により撮影される撮影範囲に全ての打刻痕が収まるように設定されているところに特徴を有する。
本発明の請求項4のミシンは、ミシンに備わる針棒に打刻針を装着し、被加工物を移送機構により所定の二方向に移送させながら、前記打刻針を上下動させることにより、前記被加工物に対して打刻痕を形成する打刻加工の実行が可能なものであって、前記針棒に対する前記打刻針の取付け高さ位置を調整するための高さ位置調整機構と、前記打刻針によって前記被加工物に形成された打刻痕を撮影する撮影手段と、前記撮影手段により撮影された画像において、前記打刻痕と前記打刻痕がない部分とを比較することにより、前記打刻痕の色の明度を決定する決定手段と、前記決定手段により決定された前記打刻痕の色の明度を記憶手段に記憶された基準値と比較することに基づいて、前記打刻針の取付け高さ位置を判定する判定手段と、前記判定手段の判定に応じて前記打刻針の取付け高さ位置を調整するための情報を報知する報知手段とを備えるところに特徴を有する。
これによれば、被加工物に対して打刻加工が実行されると、撮影手段により、その被加工物の打刻痕の画像が撮影される。そして、決定手段により、撮影手段により撮影された画像において、打刻痕と打刻痕がない部分とを比較することにより、打刻痕の色の明度が決定される。ここで、打刻痕の大きさつまり画像全体に対して打刻痕画像の占める面積(画素数)に応じて、前記色の明度(平均的な濃度)が変化するので、決定された打刻痕の色の明度を記憶手段に記憶された基準値と比較することに基づいて、判定手段により、打刻針の取付け高さ位置を正確に判定することができる。
この場合も、実際の打刻痕を撮影した画像に基づいて打刻痕の色の明度を決定し、その明度に基づいて取付け高さ位置の判定を自動で行うものであるから、正確に判定することができる。そして、ユーザは、報知手段により報知された情報に基づいて、針棒に対して、打刻針を適切な取付け高さ位置に調整することができる。
請求項5のミシンは、請求項4の発明において、打刻加工を行う打刻加工モードと、前記打刻針の取付け高さ位置を判定するための高さ判定モードとの設定を切替えるためのモード切替手段を備え、前記モード切替手段により高さ判定モードが指示された際に、前記被加工物に対する前記打刻針によるテスト打刻動作を実行させ、その後、前記撮影手段による打刻痕の撮影と、前記決定手段による該打刻痕の色の明度の決定と、前記判定手段による前記打刻針の取付け高さ位置の判定と、前記報知手段による前記情報の報知とを自動で実行させる判定モード実行手段を備えるところに特徴を有する。
請求項6のミシンは、請求項5の発明において、前記テスト打刻動作は、予め記憶されたテストパターンに従って前記被加工物を移動させながら、前記打刻針による複数回の打刻動作を行うことにより実行され、前記テストパターンは、前記撮影手段により撮影される撮影範囲に全ての打刻痕が収まるように設定されているところに特徴を有する。
請求項1のミシンによれば、針棒に打刻針を装着して打刻加工を実行することを可能としたものにあって、前記針棒に対する前記打刻針の取付け高さ位置を調整するための高さ位置調整機構と、前記打刻針によって被加工物に形成された打刻痕を撮影する撮影手段と、前記撮影手段により撮影された画像から前記打刻痕の領域を抽出して該打刻痕の大きさを検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記打刻痕の大きさを、記憶手段に記憶された基準値と比較することに基づいて、前記打刻針の取付け高さ位置を判定する判定手段と、前記判定手段の判定に応じて前記打刻針の取付け高さ位置を調整する為の情報を報知する報知手段とを備えるので、打刻針の取付け高さ位置を正確に判定することができる。ユーザは、報知された打刻針の取付け高さ位置を調整する為の情報によって、打刻針の針棒に対する適切な取付け高さ位置が認識できる。そして、ユーザは、高さ位置調整機構によって、打刻針を針棒に対して適切な取付け高さ位置に容易に調整することができる。
請求項2のミシンによれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、打刻加工を行う打刻加工モードと、前記打刻針の取付け高さ位置を判定するための高さ判定モードとの設定を切替えるためのモード切替手段を備え、前記モード切替手段により高さ判定モードが指示された際に、前記被加工物に対する前記打刻針によるテスト打刻動作を実行させ、その後、前記撮影手段による打刻痕の撮影と、前記検出手段による該打刻痕の大きさの検出と、前記判定手段による前記打刻針の取付け高さ位置の判定と、前記報知手段による情報の報知とを自動で実行させる判定モード実行手段を備えるので、ユーザがモード切替手段により高さ判定モードの実行を設定するだけで、判定モード実行手段により、打刻針の取付け高さ位置を判定するための処理を、全て自動で実行させることが可能となる。よって、打刻針の取付け高さ位置の調整作業を簡単にすることができる。
請求項3のミシンによれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、前記テスト打刻動作は、予め記憶されたテストパターンに従って前記被加工物を移動させながら、前記打刻針による複数回の打刻動作を行うことにより実行され、前記テストパターンは、前記撮影手段により撮影される撮影範囲に全ての打刻痕が収まるように設定されているので、複数の打刻痕の撮影画像から、打刻深さひいては打刻針の取付け高さ位置を正確に判定することができる。また、撮影は1回でよいので、判定処理を早く行うことができる。しかもそのために要する被加工物の面積は小さくてよいので、テスト打刻動作に使用した被加工物は廃棄されるが、その量が少量で済むので、無駄を省くことができる。
請求項4のミシンによれば、針棒に打刻針を装着して打刻加工を実行することを可能としたものにあって、前記針棒に対する前記打刻針の取付け高さ位置を調整するための高さ位置調整機構と、前記打刻針によって前記被加工物に形成された打刻痕を撮影する撮影手段と、前記撮影手段により撮影された画像において、前記打刻痕と前記打刻痕がない部分とを比較することにより、前記打刻痕の色の明度を決定する決定手段と、前記決定手段により決定された前記打刻痕の色の明度を記憶手段に記憶された基準値と比較することに基づいて、前記打刻針の取付け高さ位置を判定する判定手段と、前記判定手段の判定に応じて前記打刻針の取付け高さ位置を調整するための情報を報知する報知手段とを備えるので、打刻針の取付け高さ位置を正確に判定することができる。ユーザは、報知された情報によって、打刻針の針棒に対する適切な取付け高さ位置が認識できる。そして、ユーザは、高さ位置調整機構によって、打刻針を針棒に対して適切な取付け高さ位置に容易に調整することができる。
請求項5のミシンによれば、請求項4に記載の発明の効果に加え、打刻加工を行う打刻加工モードと、前記打刻針の取付け高さ位置を判定するための高さ判定モードとを切替えるためのモード切替手段を備え、前記モード切替手段により高さ判定モードが指示された際に、前記被加工物に対する前記打刻針によるテスト打刻動作を実行させ、その後、前記撮影手段による打刻痕の撮影と、前記決定手段による該打刻痕の色の明度の決定と、前記判定手段による前記打刻針の取付け高さ位置の判定と、前記報知手段による情報の報知とを自動で実行させる判定モード実行手段を備えるので、ユーザがモード切替手段により高さ判定モードの実行を指示するだけで、判定モード実行手段により、打刻針の取付け高さ位置を判定するための処理を、全て自動で実行させることが可能となる。よって、打刻針の取付け高さ位置の調整作業を簡単にすることができる。
請求項6のミシンによれば、請求項5に記載の発明の効果に加え、前記テスト打刻動作は、予め記憶されたテストパターンに従って前記被加工物を移動させながら、前記打刻針による複数回の打刻動作を行うことにより実行され、前記テストパターンは、前記撮影手段により撮影される撮影範囲に全ての打刻痕が収まるように設定されているので、複数の打刻痕の撮影画像から、打刻深さひいては打刻針の取付け高さ位置を正確に判定することができる。また1回の撮影で済むので、判定処理を早くすることができる。しかもそのために要する被加工物の面積は小さくてよいので、テスト打刻動作に使用した被加工物は廃棄されるが、その量が少量で済むので、無駄を省くことができる。
本発明の第1の実施形態を示すもので、多針刺繍ミシンの外観構成を示す斜視図 針棒ケース部分の正面図 刺繍枠が装着された状態の枠ホルダ本体の平面図 保持体の平面図(a)及び正面図(b) 打刻針保持装置の正面図(a)、左側面図(b)、上面図(c) 多針刺繍ミシンの電気的構成を概略的に示すブロック図 被加工物に打刻痕が形成された様子を示す平面図 テストパターンの例を示す図、 打刻痕の大きさと打刻針の取付け高さ位置との関係を6パターンに関して示す図 制御回路が実行する処理手順を示すフローチャート 本発明の第2の実施形態を示すもので、白濁度合の算出方法を説明するための図 制御回路が実行する要部の処理手順を示すフローチャート その他の実施形態を示すもので、打刻針保持装置に保持された打刻針の、先端形状の異なる例を2種類について示す正面図
(1)第1の実施形態
以下、本発明を、刺繍縫製可能なミシンとして多針刺繍ミシンに適用した第1の実施形態について、図1から図10を参照しながら説明する。また、本実施形態では、打刻加工の具体例として、厚手のトレーシングペーパーに、先端が球状の打刻針によって打刻痕(凹部)を多数形成することによって、所定の打刻模様を形成するパーチメントクラフトを行う場合を説明する。図1は、本実施形態に係る多針刺繍ミシンの本体1の外観構成を概略的に示している。まず、この多針刺繍ミシンの本体1の構成について説明する。以下の説明では、図1〜図3に示すように、ミシン本体1の左右方向をX方向とし、前後方向をY方向としている。
図1に示すように、ミシン本体1は、図示しない載置台上に載置される支持台2、この支持台2の後端部から上方に延びる脚柱部3、この脚柱部3の上端部から前方に延びるアーム部4等を備えて構成される。前記支持台2は、左右部位に前方に延びる脚部2a,2aを有し、上面から見て前方が開放するほぼU字状に構成されている。また、この支持台2には、後部中央部から前方に延びるシリンダベッド5が一体的に設けられている。このシリンダベッド5の先端上部には、針穴6aを有する針板6が設けられている。また、図示はしないが、シリンダベッド5の内部には、糸捕捉釜等が設けられている。
前記アーム部4の右側には、操作パネル16が設けられている。図6にも示すように、この操作パネル16には、縫製動作を開始又は停止させる縫製開始キーを含む操作スイッチ45、各種の刺繍模様及び打刻模様の表示及びユーザに対して必要なメッセージ等の表示を行う液晶ディスプレイ46、液晶ディスプレイ46の前面に設けられ後述する各種モードの設定を切替える為の透明のタッチパネル47が設けられている。尚、後述するように、液晶ディスプレイ46には、打刻針の取付け高さ位置に関連する情報が表示され、報知手段として機能する。また、図示は省略しているが、前記アーム部4の後側上部には、例えば6個の糸駒がセット可能な糸立て装置が設けられている。
図2にも示すように、前記アーム部4の先端部には、針棒ケース7が左右方向(X方向)に移動可能に設けられている。この針棒ケース7は、前後方向に薄型の矩形箱状をなしている。そして、針棒ケース7の内部には、複数本の針棒8が左右方向に並列するように設けられている。本実施形態の場合は、6本の針棒8が設けられ、上下動可能に支持されている。これら各針棒8は、図示しないコイルばねのばね力により、常時上方に向けて付勢されており、図に示す位置(針上位置)に保持されている。
これら各針棒8は、その下端部が、針棒ケース7の下方に突出している。各針棒8の下端部には、刺繍縫製用の縫針9が、着脱(交換)可能に取付けられている。尚、6本の針棒8を区別する場合には、右から順に、1番,2番‥と針棒番号が付される。このとき、本実施形態では、左端に位置する針棒番号6番の針棒8に、縫針9に代えて、打刻針10を保持した打刻針保持装置58が着脱可能に取付けられている。打刻針10及び打刻針保持装置58については後述する。
また、各針棒8の下部には、当該針棒8の上下動に同期して上下動する押え足11が設けられている。ここで、針棒番号6番の針棒8には、打刻針保持装置58が装着されるので、押え足11は取外される。また、詳しく図示はしないが、針棒ケース7の上部側には、6本の針棒8に対応して6個の天秤が設けられている。これら各天秤は、その先端部が、針棒ケース7の前面に上下に延びて形成された6個のスリット孔12を夫々通して前面側に突出するように設けられている。そして、針棒8の上下動に同期して上下動(揺動)するように構成されている。
図1に示すように、この針棒ケース7には、その上端から斜め後方に延びて上部カバー13が一体的に設けられている。この上部カバー13には、図示しない6個の糸調子器(取付用の穴のみを示す)が設けられていると共に、上端部に位置して6個の糸案内14が設けられている。これにて、糸立て装置にセットされた糸駒から、刺繍用の上糸が引出され、糸案内14、糸調子器、天秤等の所定の経路を順に通され、最後に縫針9の目孔(図示せず)に通されることにより、刺繍縫製が可能となる。このとき、針棒番号1番から5番の針棒8の縫針9に、夫々異なる色の上糸を供給することにより、複数色の上糸による刺繍縫製動作を、自動で切替えながら連続的に行うことができる。
そして、本実施形態では、針棒ケース7のうち右端側下部部分には、図2に示すように、撮影手段としてのカメラモジュール59が下向きに設けられている。このカメラモジュール59は、例えば200万画素程度のCCDイメージセンサを備えている。後述するように、判定モードにおいて、カメラモジュール59は、打刻針10によるテスト打刻動作を実行した後の、被加工物Wの打刻痕Tを撮影する。図6に示すように、このカメラモジュール59により撮影された画像データは、画像処理回路60を介して後述する制御回路41に入力されるようになっている。
ここで、前記打刻針10及び打刻針保持装置58について述べる。図5に示すように、打刻針保持装置58は、金属材料からなり、上下方向に長い丸棒状(円柱状)をなす装着部61と、この装着部61の下端から左方に延びる横長の矩形ブロック状をなす支持部材62とを一体的に備えている。前記装着部61は、その上部が、前記縫針9の上部の柄部と同等の太さ及び形状であって、いわゆるDカット形状(円柱外周面の一部分に平面部が形成された形状)となるDカット部61aを備えている。そして、針棒8の下端部に設けられた針抱き8aに対し、前記縫針9を取外した状態で、打刻針保持装置58の装着部61が取付けられる。このとき、まず、装着部61を、針抱き8aの下方に形成された穴部(図示せず)に挿入する。この穴部は、縫針9の柄部が嵌合可能なDカット形状を成している。そして、装着部61の上端部がストッパ8bに当接するまで挿入した後、針抱き8aに設けられた六角穴付きの止めねじ64によって装着部61を固定する。このとき、前記Dカット部61aによって、針棒8に対しての回転方向も位置決めされる。
前記支持部材62には、左側部位に位置して、上下方向に貫通する挿通孔62aが形成されていると共に、前面部から前記挿通孔62aまで貫通するねじ孔62bが形成されている。ねじ孔62bには、六角穴付きの止めねじ63が螺合されている。
前記打刻針10は、金属材料からなり、先端(下端)に球状部を有する針状(丸棒状)に構成されている。打刻針10は、前記支持部材62の挿通孔62aに対し下方から上下位置調整可能に挿通されている。この打刻針10は、前記止めねじ63によって、前記支持部材62に対して高さ方向の位置が決められた状態で取付けられる。このとき、打刻針10の上部には、取付け高さ位置の指標となる複数本の基準線10aが、縦方向に所定間隔(例えば0.2mm間隔)で設けられている。ユーザが、支持部材62の挿通孔62aから上方に露出している基準線10aを視認することによって、打刻針10の取付け高さ位置を、0.2mm間隔で調整することが可能となる。上記した打刻針保持装置58の構成が、高さ位置調整機構に相当する。
詳しく図示はしないが、前記脚柱部3内には、ミシンモータ15(図6にのみ図示)が設けられている。前記アーム部4内には、周知のように、前記ミシンモータ15により駆動される主軸や、この主軸の回転により前記針棒8等を上下動させる針棒上下駆動機構、針棒ケース7をX方向に移動させて所定の針棒を択一的に選択する針棒選択機構などが設けられている。前記主軸の回転により、前記糸捕捉釜も前記針棒8の上下動と同期して駆動される。
前記針棒上下駆動機構は、針棒8に設けられた針棒抱き(図示せず)に選択的に係合する上下動部材を備えている。前記針棒選択機構は、針棒選択用モータ17(図6にのみ図示)を駆動源として針棒ケース7をX方向に移動させ、前記針穴6aの真上位置の針棒8を、上下動部材に係合させるように構成されている。これにて、針棒選択機構が構成され、選択された1本の針棒8(及びその針棒8に対応した天秤)のみが、針棒上下駆動機構により上下駆動される。尚、主軸が1回転すると、針棒8が上下方向に1往復移動するように構成されている。
図1に示すように、前記支持台2上(脚柱部3の前方)には、前記シリンダベッド5のやや上部に位置して、移送機構18(図6参照)のキャリッジ19が設けられる。このキャリッジ19には、刺繍縫製を施すべき加工布を保持する刺繍枠20(図3参照)、或いは、後述する打刻加工に供する被加工物Wを保持する保持体21(図4参照)が着脱可能に連結される。ここで、被加工物Wは、厚手のトレーシングペーパーである。尚、詳しく図示はしないが、加工布を保持する刺繍枠20については、大きさや形状の相違する複数種類のものが付属品として備えられている。
図1,図3に示すように、前記キャリッジ19は、Y方向キャリッジ22、このY方向キャリッジ22に設けられるX方向キャリッジ23、このX方向キャリッジ23に取付けられる枠ホルダ24(図3にのみ図示)を備えている。詳しく図示はしないが、前記移送機構18は、前記支持台2内に設けられY方向キャリッジ22をY方向(前後方向)に移動させるY方向駆動機構と、このY方向キャリッジ22内に設けられ前記X方向キャリッジ23及び枠ホルダ24をX方向(左右方向)に移動させるX方向駆動機構とを含んでいる。刺繍枠20或いは保持体21は前記枠ホルダ24により保持され、移送機構18により所定の二方向であるX方向及びY方向に移送される。
前記Y方向キャリッジ22は、横長な(細幅の)箱状をなし、前記支持台2の左右の脚部2a,2a間に掛け渡されるようにして左右方向(X方向)に延びている。このとき、図1に示すように、支持台2の左右の脚部2a,2aの上面には、夫々前後方向(Y方向)に延びるガイド溝25が設けられている。図示はしないが、前記Y方向駆動機構は、これらガイド溝25を上下に貫通し、該ガイド溝25に沿ってY方向(前後方向)に移動可能に設けられた2個の移動体を備えている。前記Y方向キャリッジ22の左右両端部が、夫々移動体の上端部に連結されている。
前記Y方向駆動機構は、ステッピングモータからなるY方向駆動モータ26(図6参照)や、タイミングプーリやタイミングベルト等からなる直線移動機構を備えて構成されている。前記Y方向駆動モータ26を駆動源として前記直線移動機構により前記移動体を移動させることによって、Y方向キャリッジ22をY方向(前後方向)に移動させる。
図1、図3に示すように、前記X方向キャリッジ23は、一部がY方向キャリッジ22の前面側下部から前方に突出する横長な板状をなし、該Y方向キャリッジ22にX方向(左右方向)にスライド移動可能に支持されている。Y方向キャリッジ22内に設けられるX方向駆動機構は、ステッピングモータからなるX方向駆動モータ27(図6参照)や、タイミングプーリやタイミングベルト等からなる直線移動機構を備えて構成され、X方向キャリッジ23をX方向(左右方向)に移動させる。
ここで、前記X方向キャリッジ23に取付けられる枠ホルダ24と、この枠ホルダ24に着脱可能に装着される刺繍枠20及び保持体21について述べる。まず、図3を参照して刺繍枠20について述べる。この刺繍枠20は、丸みを帯びた矩形枠状をなす内枠28と、この内枠28の外周に着脱可能に嵌合される外枠29と、内枠28の左右両端部に取付けられた一対の連結部30,30とを備えている。図示はしないが、刺繍が施される加工布は、内枠28と外枠29との間に挟まれ、内枠28の内側でピンと張った状態に保持される。
前記左右一対の連結部30,30は、平面的に見て180度の回転対称的な構造を備えている。これら連結部30には、枠ホルダ24への装着のための係合溝30a及び係合穴30bが形成されている。上記のように、前記刺繍枠20は、大きさ或いは形状(刺繍領域)の相違する複数種類が用意され、加工布の大きさや刺繍模様の大きさに応じて選択的に使用される。また、それら刺繍枠20の種類に応じて、左右の幅寸法L1(連結部30の外縁から連結部30の外縁までの間の寸法)が相違するように設定されている。この幅寸法を後述する検出手段により検出することで、枠ホルダ24に装着された刺繍枠20の種類が検出される。図3では、この幅寸法が一番大きな刺繍枠20を例示している。また、詳しくは後述するが、保持体21が枠ホルダ24に装着された場合についても、前記検出手段により検出される。
次に、前記保持体21について述べる。図4に示すように、保持体21は、角部に丸みを帯びた矩形板状をなす保持部31と、この保持部31の左右両端部に取付けられた一対の連結部32,32とを備えている。前記保持部31の板面には、周囲の枠状部分を除いて矩形状をなす有底状の保持凹部31aが設けられている。その保持凹部31a内には、弾性体31bが配設されている。この弾性体31bは、例えば発泡樹脂やゴム等の材料からなり、矩形形状で薄板状の部材である。被加工物Wであるトレーシングペーパーは、予め前記保持凹部31aに対応した矩形板状に裁断されており、弾性体31bの上面に載置された状態で、例えば図示しない両面粘着テープ等の固定手段により固定される。
また、前記左右一対の連結部32,32は、平面的に見て180度の回転対称的な構造を備えており、これら連結部32には、枠ホルダ24への装着のための係合溝32a及び係合穴32bが形成されている。上記したように、この保持体21の左右の幅寸法L2(連結部32の外縁から連結部32の外縁までの間の寸法)は、前記いずれの種類の刺繍枠20の幅寸法L1とも相違するように設定されている。尚、この保持体21についても、被加工物Wの大きさや形状等に応じて複数種類を用意しておくようにしても良い。
そして、上記した刺繍枠20又は保持体21が装着(連結)される枠ホルダ24は、以下のように構成されている。即ち、図3に示すように、この枠ホルダ24は、前記X方向キャリッジ23の上面部に固定的に取付けられている。枠ホルダ24は、固定的に取付けられる固定腕部33と、枠ホルダ24に対して位置変更可能に取付けられる可動腕部34とを備えている。可動腕部34は、装着すべき刺繍枠20又は保持体21の種類、つまり幅寸法L1又はL2に応じて、ユーザにより左右方向に位置変更されるものである。
前記固定腕部33は、X方向に長く延びる板状をなす枠ホルダ24の主部24aの右端部の上面に重なるように取付けられ、ほぼ直角に折曲って前方に延びる右腕部33bを有している。この右腕部33bの上面には、先端に位置して係合ピン35が設けられていると共に、その後側に、連結部30,32の挟持用の板ばね36が取付けられている。前記係合ピン35は、前記刺繍枠20の連結部30の係合溝30a、或いは、前記保持体21の連結部32の係合溝32aに係合する。
前記可動腕部34は、前記右腕部33bとほぼ左右対称的な形状をなし、その基端部(後端部)が、前記枠ホルダ24の主部24aの左側部分の上面に重なるように取付けられる。この可動腕部34の上面には、先端に位置して係合ピン37が設けられていると共に、その後側に、連結部30,32の挟持用の板ばね38が取付けられている。前記係合ピン37は、前記刺繍枠20の連結部30の係合孔30b、或いは、前記保持体21の連結部32の係合孔32bに係合する。
この可動腕部34は、基端部に左右方向に長い案内溝34aを有し、前記枠ホルダ24の主部24aの上面に設けられた案内ピン39が、その案内溝34a内に係合することにより、前記枠ホルダ24の主部24aに対し、左右方向にスライド移動可能に設けられている。また、図示はしないが、前記枠ホルダ24の主部24aには、可動腕部34を複数の所定位置で選択的に固定するための位置決め固定機構が設けられている。ユーザがこの位置決め固定機構を操作することにより、可動腕部34の左右方向位置が変更可能である。
これにて、ユーザは、装着すべき刺繍枠20又は保持体21の種類、即ち幅寸法L1、L2に応じて可動腕部34を適切な位置に変更して固定した後、刺繍枠20又は保持体21を枠ホルダ24に装着する。図3に例示するように、刺繍枠20を装着するにあたっては、刺繍枠20の左右の連結部30を、夫々、可動腕部34の板ばね38部分、及び、右腕部33bの板ばね36部分に挟み込まれるように前方から差込む。次いで、可動腕部34の係合ピン37に連結部30の係合孔30bを係合させると共に、右腕部33bの係合ピン35に連結部30の係合溝30aを係合させる。これにより、刺繍枠20は、枠ホルダ24に保持され、移送機構18によってX,Y方向に移動されるのである。保持体21の場合も、同様にして枠ホルダ24に装着する。
このとき、前記X方向キャリッジ23には、図3、図6に示すように、可動腕部34の位置を検出することに基づいて、装着されている刺繍枠20又は保持体21の種類を検出するための枠種類検出センサ40が設けられている。詳しく図示しないが、この枠種類検出センサ40は、例えば回転型ポテンショメータからなり、可動腕部34に設けられた傾斜面からなる被検出部に当接する検出子を有し、可動腕部34の左右方向位置によってその検出子の回動位置(角度)が変動することに応じて、抵抗値(出力電圧値)が変動する。
図6に示すように、この枠種類検出センサ40の出力信号は後述する制御回路41に入力され、この制御回路41にて刺繍枠20又は保持体21の種類を検出(判断)する。従って、これら枠種類検出センサ40及び制御回路41等から、保持体21が装着されているかどうかを検出する検出手段が構成される。
さて、本実施形態では、ミシン本体1は、加工布に対する6色の刺繍糸を用いた刺繍縫製動作の実行が可能であると共に、保持体21を移送機構18によってX、Y方向に移動させながら、被加工物Wに対し、打刻針10をドット単位で突き当てて、被加工物Wに円形凹状の窪み、即ち打刻痕Tを形成する打刻加工の実行が可能である。このとき、打刻加工の実行によって、被加工物Wに対し所定の打刻模様、例えば図7に例示する花柄の打刻模様を形成することが可能である。尚、適切な打刻痕Tは、直径寸法が例えば1〜2mmの大きさの円形とされる。
上記したように、打刻加工を実行するにあたっては、図2に示すように、6本の針棒8のうち左端の針棒番号6番の針棒8に、縫針9に代えて打刻針10を保持した打刻針保持装置58が装着される。前記打刻針10は、縫針9よりも短く構成され、針棒8の最下位置(下死点)において、保持体21に保持された被加工物Wの表面に突当たる長さ寸法とされている。尚、打刻針10が装着された針棒8については、押え足11が取外される。針棒番号6番の針棒8に打刻針10が装着されている場合には、刺繍縫製動作は、針棒番号1番から5番の針棒8を使用して、5色の刺繍糸で行われる。
このとき、被加工物Wに対し打刻加工を行う場合、針棒8に対する打刻針10の取付け高さ位置が変わると、打刻深さひいては打刻痕Tの大きさが変化して、形成される打刻模様が変化してしまう(図9参照)。打刻針10の取付け高さ位置が下方にあるほど、打刻痕Tの大きさが大きくなる。そして、打刻針10の取付け高さ位置が下方過ぎると、トレーシングペーパーである被加工物Wが破れてしまう。
また、打刻針10の取付け高さ位置が上方にあるほど、打刻痕Tの大きさは小さくなる。そして、打刻針10の位置が上方過ぎると、被加工物Wに届かなくなる。そのため、針棒8に対して、打刻針10が適切な高さ位置に取付けられることが重要となる。本実施形態では、後述の高さ判定モードの実行により、打刻針10の取付け高さ位置を調整する為の情報、つまり、打刻針10を最適な取付け高さ位置にする為の情報がユーザに報知される。
図6は、本実施形態に係る多針刺繍ミシンの電気的構成を、全体を制御する制御手段としての制御回路41を中心にして概略的に示している。この制御回路41は、コンピュータ(CPU)を主体として構成され、ROM42、RAM43、メモリ44が接続されている。前記ROM42には、刺繍縫製制御プログラム、打刻加工制御プログラム、打刻針高さ判定プログラム、各種制御用データ等が記憶されている。前記メモリ44には、多数種類の刺繍縫製用の模様データや、打刻加工用の模様データ等が記憶されている。
この制御回路41は、前記操作パネル16の操作スイッチ45及びタッチパネル47の操作信号が入力されると共に、液晶ディスプレイ46の表示を制御する。このとき、ユーザは、液晶ディスプレイ46の表示を見ながら、タッチパネル47を操作することによって、動作モード(実用縫製モード、刺繍縫製モード、打刻加工モード、高さ判定モード等)の設定を切替えたり、所望する刺繍模様又は打刻加工による打刻模様を選択したりする。
また、制御回路41には、前記移送機構18の枠種類検出センサ40の検出信号が入力される。そして、制御回路41は、駆動回路48を介して前記ミシンモータ15を駆動制御すると共に、駆動回路49を介して前記針棒選択用モータ17を駆動制御する。そして、制御回路41は、駆動回路50を介して前記移送機構18のY方向駆動モータ26を駆動制御すると共に、駆動回路51を介して前記X方向駆動モータ27を駆動制御し、枠ホルダ24(刺繍枠20又は保持体21)を移動させる。
制御回路41は、刺繍縫製モードのときには、刺繍縫製制御プログラムの実行により、メモリ44に記憶されている刺繍縫製用の模様データの中から、ユーザが選択した模様データに基づいて、ミシンモータ15、針棒選択用モータ17、移送機構18のY方向駆動モータ26及びX方向駆動モータ27等を制御し、刺繍枠20に保持された加工布に対する刺繍縫製動作を自動で実行させる。このとき、周知のように、上記刺繍縫製用の模様データは、一針毎の針落ち位置(刺繍枠20のX、Y方向の移動量)を示す一針データ(移送データ)、刺繍糸の色(即ち駆動する針棒8)の切替えを指示する色替えデータ、糸切り動作を指示する糸切りデータ、縫製終了データ等を含んでいる。
そして、前記制御回路41は、打刻加工モードのときには、打刻動作制御プログラムの実行により、打刻加工用のデータに基づいて、ミシンモータ15、針棒選択用モータ17、移送機構18のY方向駆動モータ26及びX方向駆動モータ27等を制御する。そして、保持体21に保持された被加工物Wに対して、打刻針10による打刻加工を自動で実行して、所望の打刻模様を形成する。
この打刻加工は、針棒番号6番の針棒8を選択し当該針棒8(打刻針10)を上下動させながら、針棒8の上昇時に被加工物Wを次の打刻位置に移動させることを繰返すことにより行われる。このとき、前記打刻加工用のデータは、打刻針10による一針毎の打刻点の位置、即ち一針毎の被加工物W(保持体21)のX、Y方向の移動量を示す移送データの集合を主体として構成される。
また、本実施形態では、制御回路41は、打刻加工を実行させるにあたり、前記枠種類検出センサ40により、前記枠ホルダ24に対する保持体21の装着が検出されていることを条件に、打刻加工を実行させる。つまり、保持体21の装着が検出されていないときには、ユーザにより打刻加工の実行が指示されても、ミシンモータ15の起動を禁止する。
本実施形態では、ユーザが、タッチパネル47を操作することにより、打刻加工を自動で実行させる打刻加工モードと、打刻針10の取付け高さ位置を判定するための高さ判定モードとを切替えることができる。従って、タッチパネル47及び制御回路41がモード切替手段として機能する。後の作用説明(フローチャート説明)で述べるように、制御回路41は、高さ判定モードの実行が指示されると、打刻針高さ判定の処理を実行し、打刻針10の取付け高さ位置が適切であるかどうかを自動で判定し報知する判定モード実行手段として機能する。
この高さ判定モードにおいては、制御回路41は、まず、保持体21にテスト用の被加工物Wを保持させた状態で、その被加工物Wに対する打刻針10によるテスト打刻動作を実行させる。このテスト打刻動作は、予め記憶されたテストパターンに従って被加工物WをX、Y方向に移動させながら、打刻針10による複数回の打刻動作を行うことにより実行される。前記テストパターンは、図8に示すように、被加工物Wに形成される打刻痕Tが、所定の菱形(角度45度傾いた正方形)を形成するように、8箇所の点P1〜P8に打刻を行う。尚、テストパターンはこの形状の模様に限定されない。
次いで、制御回路41は、テスト打刻動作によって被加工物Wに形成された打刻痕T部分が、前記カメラモジュール59の真下に来るように、保持体21又は針棒ケース7を移動させる。そして、カメラモジュール59は、それら被加工物Wの打刻痕Tを撮影する。このとき、上記テストパターンは、カメラモジュール59により撮影される撮影範囲(一画面)に全ての打刻痕Tが収まるように設定されている。ここで、被加工物Wは、トレーシングペーパーなので、半透明の薄い白色である。このトレーシングペーパーに打刻針10により打刻を行うと打刻痕Tは白濁する。つまり、打刻痕Tは周囲の部分よりも濃い白色になる。従って、カメラモジュール59により撮影された画像は、打刻痕Tは濃い白色であり、打刻痕Tが無い周囲の部分は薄い白色である。以下、説明を簡単にする為、打刻痕Tは白色、打刻痕Tが無い部分(周囲の部分)を黒色とする。カメラモジュール59により撮影された画像データは、画像処理回路60を介して制御回路41に入力される。
更に、制御回路41は、前記画像データから、前記打刻痕Tの領域を抽出して該打刻痕Tの大きさ(例えば面積)を検出する。この打刻痕Tの大きさ(面積)の検出は、撮影画像データの各画素に関し、白レベル又は黒レベルのいずれかを判断し、白レベルの画素の面積(画素数)を求めることにより行う。そして、検出された打刻痕Tの大きさ(面積)を、例えばROM42に予め記憶された基準値(しきい値)と比較することに基づいて、打刻針10の取付け高さ位置を判定する。最後に、制御回路41は、打刻針10の取付け高さ位置の判定結果と、打刻針10の取付け高さ位置を調整する為の情報とを、液晶ディスプレイ46に表示させる。従って、制御回路41が検出手段及び判定手段としても機能し、液晶ディスプレイ46が報知手段として機能し、ROM42が記憶手段として機能する。
図9は、撮影画像上の打刻痕Tの大きさ、打刻針10の高さ位置の判定、報知(表示)される情報、被加工物Wにおける打刻部分の断面、の関係をまとめて示すものである。この図9に示すように、本実施形態では、上記した打刻針10の取付け高さ位置の判定は、打刻痕Tの大きさ(白レベルの画素の面積)が大きい方から順に、「針低過ぎ」、「針低い」、「針やや低い」、「最適」、「針やや高い」、「針高い」の、6段階で行われる。尚、打刻針10の取付け高さ位置が、「針低過ぎ」、「針低い」の場合には、被加工物Wであるトレーシングペーパーに破れが生ずる。
そして、本実施形態では、打刻針10の取付け高さ位置を調整する為の情報として、打刻針10の取付け高さ位置の最適高さにするための調整量、即ち、上記6段階において順に、「0.6mm高くしてください」、「0.4mm高くしてください」、「0.2mm高くしてください」、「最適高さです」、「0.2mm低くしてください」、「0.4mm低くしてください」、のメッセージが液晶ディスプレイ46に表示される。
次に、上記構成の作用について、図10も参照して述べる。図10のフローチャートは、制御回路41が実行する各動作モードにおける処理手順を示している。即ち、ミシン本体1の電源がオンされると(スタート)、まずステップS1では、タッチパネル47(モード設定キー)が操作されて、打刻加工モードが設定されたかどうかが判断される。打刻加工モードが設定されない場合には(ステップS1にてNo)、ステップS2にて、刺繍縫製モードが設定されたかどうかが判断される。
ここで、上記したように、ユーザは、加工布に対する刺繍縫製動作を行なう場合には、刺繍縫製モードを設定し(ステップS2にてYes)、加工布を保持した刺繍枠20を枠ホルダ24に装着すると共に、所望の刺繍模様データを選択した上で、操作スイッチ45(縫製開始キー)をオン操作することにより(ステップS3にてYes)、縫製動作を開始させる。これにより、制御回路41は、刺繍模様データに従ってミシン本体1の各機構を制御し、加工布に対して6色(或いは5色)の刺繍糸を用いた刺繍縫製動作を実行させる(ステップS4)。また、ユーザが、加工布に対する実用縫製動作を行う場合には、刺繍縫製モードを設定せずに(ステップS2にてNo)、操作スイッチ45(縫製開始キー)をオン操作することにより(ステップS5にてYes)、実用縫製動作を実行させる(ステップS6)。
これに対し、ユーザが打刻加工モードを設定した場合には(ステップS1にてYes)、次のステップS7にて、高さ判定モードが設定されたかどうかが判断される。高さ判定モードが設定されない場合には、打刻加工モードと判断され(ステップS7にてNo)、この打刻加工モードでは、打刻加工用のデータに基づいて、被加工物Wに対して多数個の打刻痕Tを形成する打刻加工を実行させる。打刻加工を実行させるにあたっては、ユーザは、針棒番号6番の針棒8に、打刻針10を保持した打刻針保持装置58を装着すると共に、被加工物Wを保持させた保持体21を、枠ホルダ24に装着する。
そして、所望の打刻模様の打刻データの選択(読出し)を行って動作をスタートさせる(ステップS8にてYes)と、打刻加工が実行される(ステップS9)。この打刻加工においては、制御回路41は、打刻データに基づいて、移送機構18を制御して保持体21ひいては被加工物WをX、Y方向に自在に移送させながら、針棒番号6番の針棒8を駆動させることにより、打刻針10によって被加工物Wに多数個の打刻痕Tを形成する。これにて、打刻データに応じた被加工物Wの所定位置に打刻針10が順に突き当てられ、例えば、図7に示すように、被加工物Wに多数個の打刻痕Tからなる所定の打刻模様が形成される。
ここで、上記したように、打刻針10の針棒8(打刻針保持装置58)に対する取付け高さ位置が適切でない場合には、打刻加工を行った際の被加工物Wに形成される打刻痕Tが小さ過ぎたり、大き過ぎたりすることがある。そこで、ユーザは、所望の打刻模様の打刻加工を行う前に、高さ判定モードを設定し、実行させることにより(ステップS7にてYes)、打刻針10の取付け高さ位置の判定(テスト打刻動作)を、自動で実行させる。
高さ判定モードにおける処理を実行させるには、ユーザは、針棒番号6番の針棒8に、打刻針10を保持した打刻針保持装置58を装着すると共に、テスト用の被加工物W,つまり、テスト用のトレーシングペーパーを保持させた保持体21を、枠ホルダ24に装着する。そして、この状態で操作スイッチ45(縫製開始キー)をオン操作する(ステップS10にてYes)。すると、制御回路41は、被加工物Wに対する打刻針10によるテスト打刻動作を実行させる(ステップS11)。上記したように、テスト打刻動作は、図8に示すテストパターンに従って、被加工物Wに対し8箇所の点P1〜P8に順に打刻を行う。
次のステップS12では、テスト打刻動作によって被加工物Wに形成された打刻痕T部分を、前記カメラモジュール59により撮影することが行われる。このとき、上述のように、カメラモジュール59により撮影される撮影範囲(一画面)に、テストパターンの全ての打刻痕Tが収まる。打刻痕Tの撮影(画像取込み)がなされると、ステップS13では、撮影された画像のデータから、各画素毎に、その明暗値を白又は黒のいずれかのレベルに二値化する処理が行われる。その後、ステップS14にて、打刻痕Tの大きさ、つまり打刻痕Tの面積の算出が行われる。
このとき、上述のように、打刻痕Tは白色で、打刻痕Tが無い部分(周囲の部分)は黒色なので、白レベルの画素の面積(画素数)を求めることにより、打刻痕Tの大きさ(面積)を検出することができる。なお、打刻痕Tの面積に代えて、打刻痕Tの直径を算出しても良い。また、複数個の打刻痕Tの直径を夫々算出して、その平均値を算出するようにしても良い。ステップS15では、検出された打刻痕Tの大きさを、ROM42に予め記憶された基準値(5段階のしきい値)と比較され、ステップS16にて、打刻針10の取付け高さ位置が判定される。
この打刻針10の取付け高さ位置の判定は、図9に示すように、「針低過ぎ」、「針低い」、「針やや低い」、「最適」、「針やや高い」、「針高い」の、6段階で行われる。そして、ステップS17では、判定結果に基づいて、打刻針10の取付け高さ位置を調整する為の情報が報知される。即ち、本実施形態では、上記6段階において、夫々、「0.6mm高くしてください」、「0.4mm高くしてください」、「0.2mm高くしてください」、「最適高さです」、「0.2mm低くしてください」、「0.4mm低くしてください」、のメッセージが液晶ディスプレイ46に表示される。
これにより、ユーザは、液晶ディスプレイ46に表示されたメッセージを見て、打刻針10を最適な取付け高さ位置に調整することができる。この取付け高さ位置の調整は、打刻針保持装置58の止めねじ63を緩め、前記基準線10aを見ながら、上記指示に従った所定量だけ、打刻針10を支持部材62に対し上下に移動させた後、止めねじ63を締め付けるといった簡単な作業で行うことができる。従って、この後は、打刻針10の最適な取付け高さ位置において、打刻加工を実行させることができる。
このように本実施形態によれば、多針刺繍ミシンを、針棒8に対し、縫針9に代えて打刻針10を保持した打刻針保持装置58を装着し、被加工物Wに対して多数個の打刻痕Tを形成して、複数個の打刻痕Tからなる打刻模様を形成する打刻加工を行うための装置として兼用することが可能となる。このとき、打刻針保持装置58に高さ位置調整機構を設けたので、針棒8に対して、打刻針10を適切な取付け高さ位置に容易に調整することができる。
そして、被加工物Wに形成された打刻痕Tの画像を撮影するカメラモジュール59を備えると共に、制御回路41により、その撮影画像に基づいて、打刻痕Tの大きさを検出し、打刻痕Tの大きさをから打刻針10の取付け高さ位置を正確に判定することができる。そして、その判定結果に応じて打刻針10の取付け高さ位置を調整する為の情報をユーザに報知することができる。この結果、ユーザは、報知された情報に基づいて、針棒8に対して、打刻針10を適切な取付け高さ位置に調整することができる。
また、特に本実施形態では、打刻加工を行う打刻加工モードと高さ判定モードとの設定を切替えるモード切替手段を備え、高さ判定モードが設定された際に、被加工物Wに対する打刻針10によるテスト打刻動作を実行させ、その後、前記カメラモジュール58による打刻痕Tの撮影と、制御回路41による該打刻痕Tの大きさの検出と、制御回路41による打刻針10の取付け高さ位置の判定と、液晶ディスプレイ46の画面に対する情報の報知とを自動で実行させる構成とした。これにより、ユーザが高さ判定モードの実行を指示するだけで、打刻針10の取付け高さ位置を判定するための処理を、自動で実行させることが可能となる。よって、打刻針10の取付け高さ位置の調整作業を簡単にすることができる。
このとき、上記テスト打刻動作を、予め記憶されたテストパターンに従って被加工物Wを移動させながら、前記打刻針10による複数回の打刻動作を行うことにより実行するので、複数の打刻痕の撮影画像から、打刻深さひいては打刻針の取付け高さ位置を正確に判定することができる。また、前記テストパターンを、前記カメラモジュール59により撮影される撮影範囲に全ての打刻痕Tが収まるように設定したので、撮影は1回でよく、判定処理を早く行うことができる。しかもそのために要する被加工物の面積は小さくてよいので、テスト打刻動作用に使用した被加工物は廃棄されるが、その量が少量で済むので、無駄を省くことができる。
(2)第2の実施形態、その他の実施形態
次に、図11及び図12を参照しながら、本発明の第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態においても、本発明を多針刺繍ミシンに適用したものである。従って、ミシン本体1のハードウエア的構成に関しては、上記第1の実施形態と共通するので、新たな図示や詳しい説明を省略し、上記第1の実施形態と同一部分については同一符号を用い、以下、異なる点についてのみ説明する。
この第2の実施形態においても、打刻針10は、打刻針保持装置58に保持された状態で、針棒8に対し取付け高さ位置の調整が可能に取付けられている。また、針棒ケース7には、被加工物Wに形成された打刻痕Tを撮影するための撮影手段としてのカメラモジュール59が設けられている。そして、制御回路41は、前記撮影手段により撮影された画像において、打刻痕Tと該打刻痕Tが無い部分とを比較することにより、前記打刻痕Tの色の明度(白色の濃度)を決定し、決定された打刻痕Tの色の明度を記憶手段としてのROM42に記憶された基準値(しきい値)と比較することに基づいて、打刻針10の取付け高さ位置を判定する。さらに、制御回路41は、打刻針10の取付け高さ位置の判定結果及び打刻針10の取付け高さ位置を調整する為の情報を、液晶ディスプレイ46に表示させる。上記のように、制御回路41は、打刻痕Tの色の明度を決定する決定手段、打刻針10の取付け高さ位置を判定する判定手段、前記情報を報知する報知手段として機能する。
また、制御回路41は、ユーザによるタッチパネル47の操作により高さ判定モードの実行が指示されると、打刻針高さ判定の処理を実行し、打刻針10の取付け高さ位置が適切であるかどうかを判定し報知することを自動で実行する。この高さ判定モードにおいては、制御回路41は、まず、上記と同様のテストパターンに従って、テスト用の被加工物Wに対して打刻針10によるテスト打刻動作を実行させる。被加工物Wはトレーシングペーパーである。そして、本実施形態では、図12のフローチャートに示すように、以下の処理(ステップS21〜S25)が実行される。
即ち、制御回路41は、テスト打刻動作によって被加工物Wに形成された打刻痕Tを、カメラモジュール59により撮影させる(ステップS12)。次に、ステップS21にて、撮影画像のデータから、各画素毎に、その明暗値を白又は黒のいずれかのレベルに二値化する処理を行う。そして、ステップS22にて、白色部分の画素数を求め、ステップS23にて、白色部分の画素数から、白濁度合(白色の濃度、即ち色の明度)の算出が行われる。
ステップS21にて撮影画像を二値化すると、図11に示すように、打刻痕T部分が白色になり、その他の部分は黒色になる。そして、総画素数(単位面積)に対する白レベルの画素数(白色の面積)を求めることにより白色の濃度(単位面積あたりの白色の面積)を算出する。総画素数とは、全ての打刻痕Tを含むような、縦にL画素、横にL画素の正方形の領域に設定されている。このように、制御回路41は、撮影画像において、打刻痕Tと打刻痕Tが無い部分とを比較することにより、打刻痕Tの白色の濃度、即ち色の明度を決定する決定手段として機能する。
ステップS24では、算出された白濁度合(白色の濃度)が、ROM42に予め記憶された基準値(5段階のしきい値)と比較され、ステップS25にて、打刻針10の取付け高さ位置が判定される。この場合も、打刻針10の高さ位置が低く打刻痕Tが大きくなるほど、白濁度合(白色の濃度)が大きくなるので、白濁度合が大きいほうから順に、「針低過ぎ」、「針低い」、「針やや低い」、「最適」、「針やや高い」、「針高い」の、6段階の判定が行われる。この後、上記第1の実施形態と同様に、ステップS17では、判定結果に基づいて、打刻針10の取付け高さ位置を調整する為の情報、即ち、「0.6mm高くしてください」、「0.4mm高くしてください」、「0.2mm高くしてください」、「最適高さです」、「0.2mm低くしてください」、「0.4mm低くしてください」、のメッセージが液晶ディスプレイ46に表示される。
このような第2の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、被加工物Wに形成された打刻痕Tの画像を撮影するカメラモジュール59を備えると共に、制御回路41により、その撮影画像に基づいて、打刻痕Tの白色の濃度、即ち色の明度を求めることに基づき、打刻針10の取付け高さ位置を正確に判定することができ、その判定結果に応じて打刻針10の取付け高さ位置を調整する為の情報をユーザに報知することができる。従って、ユーザは、針棒8に対して、打刻針10を適切な取付け高さ位置に調整することができる。
また、ユーザが高さ判定モードの実行を指示するだけで、打刻針10の取付け高さ位置を判定するための処理を、自動で実行させることが可能となる。よって、打刻針10の取付け高さ位置の調整作業を簡単にすることができる。このとき、テスト打刻動作におけるテストパターンの設定により、複数の打刻痕Tの撮影画像から、打刻深さひいては打刻針10の取付け高さ位置を正確に判定することができる。また、撮影は1回でよいので、判定処理を早く行うことができる。しかもそのために要する被加工物の面積は小さくてよいので、テスト打刻動作に使用した被加工物は廃棄されるが、その量が少量で済むので、無駄を省くことができる。
図13は、本発明の他の実施形態を示すもので、上記した打刻針10とは、形状が異なる打刻針71,72を示している。即ち、図13(a)に示す打刻針71は、先端が尖った形状を備えており、被加工物Wに対し、小孔を形成することができる。図13(b)に示す打刻針72は、先端が、上記打刻針10の先端形状よりも径小な球状をなしている。従って、被加工物Wに対し、より小さい打刻痕Tを形成することができる。これら打刻針71,72についても、打刻針保持装置58を用いることにより、針棒8に着脱自在に装着することができると共に、針棒8に対する高さ位置の調整が可能となる。
その他、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のような拡張・変更が可能である。
即ち、上記各実施形態では、撮影画像のデータを白黒の二値化処理する構成としたが、予め色の付いているトレーシングペーパーを用い、カラーの画像データから打刻痕の大きさ、又は色の明度を検出する構成としても良い。打刻針10の取付け高さ位置の判定としても、6段階に限らず、5段階以下や7段階以上で判定を行っても良い。ユーザに報知する高さ位置を調整する為の情報としても、保持体21に設けられた被加工物Wを載置する面である弾性体31bの上面から打刻針10の先端(下端)までの距離の情報であったり、現状における打刻痕Tの大きさ(直径)の情報などであっても良い。
また、上記各実施形態では、高さ判定モードの実行が指示されると、高さ判定モードにおける各処理が自動で行われる構成としたが、テスト打刻動作の実行、カメラモジュール59による撮影、制御回路41による画像処理に基づく検出や判定、情報の報知の各々の処理を、ユーザによるスイッチ操作(マニュアル操作)に基づいて実行するような構成としても良い。カメラモジュール59を設ける位置や、テスト打刻動作を行なう際のテストパターン等についても、様々な変更が可能であることは勿論である。
更には、刺繍縫製可能なミシンの構成としても、種々の変更が可能であることは勿論である。例えば、針棒ケース7に設けられる針棒8の本数についても、9本や12本などであっても良い。更には1本の針棒を備える刺繍ミシンであっても、縫針と打刻針とを付替えることにより、打刻加工の実行が可能である。多針刺繍ミシン1の全体構成や、移送機構18(キャリッジ19)の構成、保持体21の構成等についても、種々の変更が可能である等、本発明は要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
1 多針刺繍ミシン(ミシン)
7 針棒ケース
8 針棒
10,71,72 打刻針
15 ミシンモータ
16 操作パネル
17 針棒選択用モータ
18 移送機構
19 キャリッジ
21 保持体
25 Y方向駆動モータ
26 X方向駆動モータ
41 制御回路(検出手段、判定手段、判定モード実行手段、決定手段)
42 ROM(記憶手段)
46 液晶ディスプレイ(報知手段)
47 タッチパネル(モード切替手段)
58 打刻針保持装置(高さ位置調整機構)
59 カメラモジュール(撮影手段)
W 被加工物
T 打刻痕

Claims (6)

  1. ミシンに備わる針棒に打刻針を装着し、被加工物を移送機構により所定の二方向に移送させながら、前記打刻針を上下動させることにより、前記被加工物に対して打刻痕を形成する打刻加工の実行が可能なミシンであって、
    前記針棒に対する前記打刻針の取付け高さ位置を調整するための高さ位置調整機構と、
    前記打刻針によって前記被加工物に形成された打刻痕を撮影する撮影手段と、
    前記撮影手段により撮影された画像から、前記打刻痕の領域を抽出して該打刻痕の大きさを検出する検出手段と、
    前記検出手段により検出された前記打刻痕の大きさを、記憶手段に記憶された基準値と比較することに基づいて、前記打刻針の取付け高さ位置を判定する判定手段と、
    前記判定手段の判定に応じて前記打刻針の取付け高さ位置を調整するための情報を報知する報知手段と
    を備えることを特徴とするミシン。
  2. 打刻加工を行う打刻加工モードと、前記打刻針の取付け高さ位置を判定するための高さ判定モードとの設定を切替えるためのモード切替手段を備え、
    前記モード切替手段により高さ判定モードが指示された際に、前記被加工物に対する前記打刻針によるテスト打刻動作を実行させ、その後、前記撮影手段による打刻痕の撮影と、前記検出手段による該打刻痕の大きさの検出と、前記判定手段による前記打刻針の取付け高さ位置の判定と、前記報知手段による前記情報の報知とを自動で実行させる判定モード実行手段を備えることを特徴とする請求項1記載のミシン。
  3. 前記テスト打刻動作は、予め記憶されたテストパターンに従って前記被加工物を移動させながら、前記打刻針による複数回の打刻動作を行うことにより実行され、
    前記テストパターンは、前記撮影手段により撮影される撮影範囲に全ての打刻痕が収まるように設定されていることを特徴とする請求項2記載のミシン。
  4. ミシンに備わる針棒に打刻針を装着し、被加工物を移送機構により所定の二方向に移送させながら、前記打刻針を上下動させることにより、前記被加工物に対して打刻痕を形成する打刻加工の実行が可能なミシンであって、
    前記針棒に対する前記打刻針の取付け高さ位置を調整するための高さ位置調整機構と、
    前記打刻針によって前記被加工物に形成された打刻痕を撮影する撮影手段と、
    前記撮影手段により撮影された画像において、前記打刻痕と前記打刻痕がない部分とを比較することにより、前記打刻痕の色の明度を決定する決定手段と、
    前記決定手段により決定された前記打刻痕の色の明度を、記憶手段に記憶された基準値と比較することに基づいて、前記打刻針の取付け高さ位置を判定する判定手段と、
    前記判定手段の判定に応じて前記打刻針の取付け高さ位置を調整するための情報を報知する報知手段と
    を備えることを特徴とするミシン。
  5. 打刻加工を行う打刻加工モードと、前記打刻針の取付け高さ位置を判定するための高さ判定モードとの設定を切替えるためのモード切替手段を備え、
    前記モード切替手段により高さ判定モードが指示された際に、前記被加工物に対する前記打刻針によるテスト打刻動作を実行させ、その後、前記撮影手段による打刻痕の撮影と、前記決定手段による該打刻痕の色の明度の決定と、前記判定手段による前記打刻針の取付け高さ位置の判定と、前記報知手段による前記情報の報知とを自動で実行させる判定モード実行手段を備えることを特徴とする請求項4記載のミシン。
  6. 前記テスト打刻動作は、予め記憶されたテストパターンに従って前記被加工物を移動させながら、前記打刻針による複数回の打刻動作を行うことにより実行され、
    前記テストパターンは、前記撮影手段により撮影される撮影範囲に全ての打刻痕が収まるように設定されていることを特徴とする請求項5記載のミシン。
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