JP2012010694A - 植物のアレロパシー効果、および/またはファイトアレキシン生産の増強用薬剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】穀物、野菜、果菜、園芸植物等の植物に葉面散布、又は根圏施肥することで、除草効果、抗菌作用のようなアレロパシー効果、またはファイトアレキシン生産を高め、雑草の生えにくい環境を維持させることができるアレロパシー効果、またはファイトアレキシン生産の増強剤、及びそれを利用したアレロパシー効果、またはファイトアレキシン生産を増強させる方法を提供する。
【解決手段】植物の栽培に際し、アミノ酸発酵副生物、核酸発酵副生物、アミノ酸、又は核酸を含有する、植物のアレロパシー効果、またはファイトアレキシン生産の増強剤を当該植物に施用し、当該植物の周辺の他の植物の発芽又は生長を抑制する。
【選択図】図1
【解決手段】植物の栽培に際し、アミノ酸発酵副生物、核酸発酵副生物、アミノ酸、又は核酸を含有する、植物のアレロパシー効果、またはファイトアレキシン生産の増強剤を当該植物に施用し、当該植物の周辺の他の植物の発芽又は生長を抑制する。
【選択図】図1
Description
本発明は、植物のアレロパシー効果、および/またはファイトアレキシン生産の増強用薬剤、及びそれを用いて植物のアレロパシー効果、および/またはファイトアレキシン生産を増強させる方法に関する。本発明は、農園芸分野等で有用である。
植物から放出される化学物質が、他の植物に対して阻害的又は促進的な影響を及ぼし、植物の発芽や生長を阻害したり、促進させたりする効果があることが知られている。このような植物の効果は、一般に「アレロパシー効果」又は「他感作用」と呼ばれている。例えば、イネではアレロパシー効果を有する物質(以下、「アレロパシー物質」と記載する)として、植物の生長抑制作用、抗菌作用を有するモミラクトンA,Bが分泌されること、及び、周辺の雑草、微生物に影響を与えることが報告されている(非特許文献1、2、3)。
これまでも、植物のアレロパシー効果を利用した種々の雑草抑制技術が開発されている。例えば、除草効果を有するアレロパシー物質を放出する植物及びアレロパシー物質に対し耐性の植物から、アレロパシー物質の生産を促進する遺伝子及びアレロパシー物質に対する耐性を付与する遺伝子を単離し、植物に導入し、トランスジェニック植物を作出する方法、及び、トランスジェニック植物を除草を行うべき所望の場所へ移植することにより、除草を行う方法が提案されている(特許文献1)。
また、ニセアカシア、アカマツ、カラマツ、オニグルミ、サトウカエデのうちの1種又は2種以上の樹木を対象区域に植栽すると共に、それらの樹木の1種又は2種の木質チップを対象区域の土壌に混入し、雑草の生育を抑制するものが提案されている(特許文献2)。更に、コーヒー粕のようなアレロパシー物質含有材を含む水処理ケーキからなる抑草材が知られている(特許文献3)。
しかし、上記除草方法は、植物の除草を行うべき場所に、アレロパシー効果を有する樹木や抑草資材を移植しなければならず、手間がかかり、また、その効果を確認できるまでに長い時間がかかっていた。そのため、家庭用の除草剤や植物育成抑制剤としては、利用することが困難であった。
更に、物理的刺激或いは化学物質によりアレロパシー物質の生産を増強する方法としては、UV、ジャスモン酸や塩化銅、塩化鉄を用いる方法が報告されている(非特許文献4、5)が、いずれも植物に障害を与えることでアレロパシー物質を生産させる方法である。
アミノ酸もしくは核酸の発酵副生液は、肥料として用いられている(特許文献4)。また、コリネバクテリウム属細菌によるプロリン発酵液の上清の散布により病原菌の感染を防除する方法(特許文献5)、及び、微生物菌体を酸性溶液中で加熱処理することにより得られる抽出液を含む植物用病害耐性増強剤も開示されている(特許文献6)。
また、アミノ酸としては、L−グルタミン(非特許文献6)、又はプロリン(非特許文献7)が、各々イネ又はトウジンビエの病害を防除又は抑制することが報告されている。また、含硫アミノ酸(特許文献7、8)、アミノ酪酸(特許文献7)、又はグリシン(特許文献9)は、微生物やグルコース等と組合わせることによって、植物の病害を防除、又は病害抵抗性を高めることが報告されている。さらに、アミノ酸を含む混合肥料(特許文献10、11、12)の施用により植物病害を防除し得ることが報告されている。また、アミノ酸混合物(プロリン、メチオニン、フェニルアラニン)(特許文献13)による植物病害防除も報告されている。さらに、リジン又はグルタミン酸の発酵液による病害防除について報告されている(特許文献14)。更に、L−グルタミン酸(非特許文献6)がイネの虫害を防除することが報告されている。
核酸としては、イノシンは、土壌又は水耕水に施用することにより、植物根の生育を促進することが知られている(特許文献15)。
また、植物は外部の刺激に対して、ファイトアレキシンと呼ばれる化学物質を生体内で生成し病害抵抗性を獲得することが知られている。ファイトアレキシンとして報告されている物質としては、例えば、イネではファイトカサン、オリザレキシン、サクラネチン等があるが、アレロパシー物質であるモミラクトンがファイトアレキシンとしても報告されている。これらのファイトアレキシンは大部分がモミラクトンと同じくジテルペノイドであるが、サクラネチンのみがフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)等の代謝経路を介して合成されるフェニルプロパノイド系の化合物であり、これらの生合成経路は大きく異なる(非特許文献8、9、10)。
イネのアレロパシー物質の候補として、モミラクトン以外にもバニリン酸、フェルラ酸等の報告があり、これらの化合物はファイトアレキシンであるサクラネチンと同じくフェニルプロパノイド系の化合物であり、PALが生合成において重要な酵素と考えられている(非特許文献9、10)。植物体内でこのPALの酵素量が増大することにより、細胞内でサクラネチンの生産が増大することから、PALの発現量の増大を指標としてサクラネチンの生産の増強を知ることができる(非特許文献11)。
モミラクトンは上述のとおりアレロパシー物質であると同時に、ファイトアレキシンでもある。またコムギやコーンのアレロパシー物質として報告されているDIBOA、DIMBOAも、ファイトアレキシンとしても報告されている(非特許文献12)。前記のようにファイトアレキシンは植物本体の病害抵抗性物質であり、アレロパシー物質は植物から放出、抽出されて周囲の植物、生物に影響を与える物質である点で概念上異なるものであるが、これらのモミラクトンや、DIBOA、DIMBOAのように、ファイトアレキシン及びアレロパシー物質である化合物も知られており、一つの原因によって病害抵抗性と、周囲の植物等への影響が同時に増強されることがありうる。
しかしながら、核酸、アミノ酸、又は、核酸もしくはアミノ酸の発酵副生物が、植物のアレロパシー効果、又はファイトアレキシンの生産を増強し得ることは報告されていない。
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本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、穀物、野菜、果菜、園芸植物等の植物に葉面散布、又は根圏施肥することで、除草効果、抗菌作用のようなアレロパシー効果、および/またはファイトアレキシン生産を高め、雑草の生えにくい環境を維持させることができる、アレロパシー効果、および/またはファイトアレキシン生産の増強用薬剤、及びそれを利用したアレロパシー効果、および/またはファイトアレキシン生産を増強させる方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、植物がアレロパシー物質を生産することに着目し、これらの植物自身にはアレロパシー物質に対する耐性が存在すると考えた。そして、これらの植物のアレロパシー物質生産を促進させることができれば、自身の生育は抑制せずに、周辺雑草の発芽、生長を抑制させることが可能であることに想到した。そして、アミノ酸もしくは核酸の発酵副生物、又はアミノ酸が、植物のアレロパシー効果を増強させることができることを見出した。さらにアミノ酸もしくは核酸の発酵副生物、又はアミノ酸が、サクラネチン、フェルラ酸等のフェニルプロパノイド系のファイトアレキシンの生産に関与するフェニルアラニンアンモニアリアーゼをコードする遺伝子の発現を増強することを見出し、前記アミノ酸等が植物のファイトアレキシン生産を増強させ得ることに想到し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)アミノ酸発酵副生物、又は核酸発酵副生物を含有する、植物のアレロパシー効果、および/またはファイトアレキシン生産の増強用薬剤。
(2)アレロパシー効果の増強用である、前記薬剤。
(3)ファイトアレキシン生産の増強用である、前記薬剤。
(4)使用時に、アミノ酸を0.1mM以上含有する液体である、前記薬剤。
(5)アミノ酸がL−グルタミン酸である、前記薬剤。
(6)核酸がイノシン酸、及びグアニル酸から選ばれる核酸である、前記薬剤。
(7)アミノ酸を0.1mM以上含有することを特徴とする、植物のアレロパシー効果、および/またはファイトアレキシン生産の増強用薬剤。
(8)アレロパシー効果の増強用である、前記薬剤。
(9)ファイトアレキシン生産の増強用である、前記薬剤。
(10)核酸を1mM以上含有することを特徴とする、植物のアレロパシー効果、またはファイトアレキシン生産の増強用薬剤。
(11)アレロパシー効果の増強用である、前記薬剤。
(12)ファイトアレキシン生産の増強用である、前記薬剤。
(13)前記アレロパシー効果が、前記植物の周辺の他の植物の発芽又は生長を抑制する効果である、前記薬剤。
(14)前記ファイトアレキシンがジテルペノイド系のファイトアレキシンである、前記薬剤。
(15)前記ファイトアレキシンがモミラクトンである前記薬剤。
(16)前記植物が穀物、野菜、果菜、又は園芸植物である、前記薬剤。
(17)前記植物がイネである、前記薬剤。
(18)前記薬剤を植物に施用する、植物のアレロパシー効果および/またはファイトアレキシン生産を増強する方法。
(19)アレロパシー効果を増強する、前記方法。
(20)ファイトアレキシン生産を増強する、前記方法。
(21)前記薬剤を、土壌への表面散布、潅注、鋤込み、植物の葉面への散布もしくは展着、水耕溶液への添加、又は種子への展着により施用する、前記方法。
(22)前記薬剤を、発酵副生物の固形物換算で、0.1kg〜5000kg/ヘクタールの施用量で施用する、前記方法。
(23)前記薬剤を、アミノ酸換算で0.01kg〜500kg/ヘクタールの施用量で施用する、前記方法。
(24)前記薬剤を、核酸換算で0.01kg〜500kg/ヘクタールの施用量で施用する、前記方法。
(25)前記植物が穀物、野菜、果菜、又は園芸植物である、前記方法。
(26)前記植物がイネである、前記方法。
(27)植物の栽培に際し、前記薬剤を当該植物に施用し、当該植物の周辺の他の植物の発芽又は生長を抑制する、前記植物の栽培方法。
(1)アミノ酸発酵副生物、又は核酸発酵副生物を含有する、植物のアレロパシー効果、および/またはファイトアレキシン生産の増強用薬剤。
(2)アレロパシー効果の増強用である、前記薬剤。
(3)ファイトアレキシン生産の増強用である、前記薬剤。
(4)使用時に、アミノ酸を0.1mM以上含有する液体である、前記薬剤。
(5)アミノ酸がL−グルタミン酸である、前記薬剤。
(6)核酸がイノシン酸、及びグアニル酸から選ばれる核酸である、前記薬剤。
(7)アミノ酸を0.1mM以上含有することを特徴とする、植物のアレロパシー効果、および/またはファイトアレキシン生産の増強用薬剤。
(8)アレロパシー効果の増強用である、前記薬剤。
(9)ファイトアレキシン生産の増強用である、前記薬剤。
(10)核酸を1mM以上含有することを特徴とする、植物のアレロパシー効果、またはファイトアレキシン生産の増強用薬剤。
(11)アレロパシー効果の増強用である、前記薬剤。
(12)ファイトアレキシン生産の増強用である、前記薬剤。
(13)前記アレロパシー効果が、前記植物の周辺の他の植物の発芽又は生長を抑制する効果である、前記薬剤。
(14)前記ファイトアレキシンがジテルペノイド系のファイトアレキシンである、前記薬剤。
(15)前記ファイトアレキシンがモミラクトンである前記薬剤。
(16)前記植物が穀物、野菜、果菜、又は園芸植物である、前記薬剤。
(17)前記植物がイネである、前記薬剤。
(18)前記薬剤を植物に施用する、植物のアレロパシー効果および/またはファイトアレキシン生産を増強する方法。
(19)アレロパシー効果を増強する、前記方法。
(20)ファイトアレキシン生産を増強する、前記方法。
(21)前記薬剤を、土壌への表面散布、潅注、鋤込み、植物の葉面への散布もしくは展着、水耕溶液への添加、又は種子への展着により施用する、前記方法。
(22)前記薬剤を、発酵副生物の固形物換算で、0.1kg〜5000kg/ヘクタールの施用量で施用する、前記方法。
(23)前記薬剤を、アミノ酸換算で0.01kg〜500kg/ヘクタールの施用量で施用する、前記方法。
(24)前記薬剤を、核酸換算で0.01kg〜500kg/ヘクタールの施用量で施用する、前記方法。
(25)前記植物が穀物、野菜、果菜、又は園芸植物である、前記方法。
(26)前記植物がイネである、前記方法。
(27)植物の栽培に際し、前記薬剤を当該植物に施用し、当該植物の周辺の他の植物の発芽又は生長を抑制する、前記植物の栽培方法。
本発明の植物のアレロパシー効果、及び/又はファイトアレキシン生産の増強用薬剤は、穀物、野菜、果菜、園芸植物等に葉面散布又は根圏施用することで、除草効果、抗菌作用のようなアレロパシー効果やファイトアレキシン生産促進効果を高めることができる。
植物のアレロパシー効果を増強することによって、植物を栽培する所望の場所で、周囲の雑草の発芽や生長を抑制し、雑草の生えにくい環境を維持させることができ、また、病原菌などを抑制することができる。また、除草が必要な所望の場所に、前記薬剤を施用した植物を移植することによって、その場所の雑草の発芽や生長を抑制することができる。
植物のアレロパシー効果を増強することによって、植物を栽培する所望の場所で、周囲の雑草の発芽や生長を抑制し、雑草の生えにくい環境を維持させることができ、また、病原菌などを抑制することができる。また、除草が必要な所望の場所に、前記薬剤を施用した植物を移植することによって、その場所の雑草の発芽や生長を抑制することができる。
アレロパシー効果が増強された植物体は、除草効果、抗菌活性を有するアレロパシー物質の産生促進されると推定される。また、アレロパシー効果が増強された植物体は、自己毒性により死滅することなく安定であるという特性を有する。
また、ファイトアレキシン生産が増強された植物体は、病害抵抗性が向上すると推定される。
そのため、アレロパシー効果又はファイトアレキシン生産の増強によって、有用農作物の生産性の向上を図ることが可能である。
また、ファイトアレキシン生産が増強された植物体は、病害抵抗性が向上すると推定される。
そのため、アレロパシー効果又はファイトアレキシン生産の増強によって、有用農作物の生産性の向上を図ることが可能である。
また、本発明の薬剤は、発酵副生物又はアミノ酸を有効成分としているため、従来の除草剤に比べて、環境性や経済性に優れている。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のアレロパシー効果、および/またはファイトアレキシン生産の増強用薬剤(以下、「本発明の薬剤」ともいう。)は、アミノ酸発酵副生物、核酸発酵副生物、又はアミノ酸、もしくは核酸を含む。尚、本発明の薬剤は、アレロパシー効果の増強用薬剤、又はファイトアレキシン生産の増強用薬剤であってもよく、一方であってもよく、アレロパシー効果及びファイトアレキシン生産の両方を増強する薬剤であってもよい。また、ファイトアレキシンは、ファイトアレキシンとしての作用、すなわち、植物の病害抵抗性を高める作用と共に、アレロパシー効果を有するものであってもよい。このようなアレロパシー物質でもファイトアレキシンでもある化合物してとしては、モミラクトンA及びモミラクトンBのようなモミラクトンが挙げられる。本明細書において、「アレロパシー効果、又はファイトアレキシン生産」との文言は、アレロパシー効果、もしくはファイトアレキシン生産、又はアレロパシー効果及びファイトアレキシン生産の両方のいずれをも包含する。
本発明のアレロパシー効果、および/またはファイトアレキシン生産の増強用薬剤(以下、「本発明の薬剤」ともいう。)は、アミノ酸発酵副生物、核酸発酵副生物、又はアミノ酸、もしくは核酸を含む。尚、本発明の薬剤は、アレロパシー効果の増強用薬剤、又はファイトアレキシン生産の増強用薬剤であってもよく、一方であってもよく、アレロパシー効果及びファイトアレキシン生産の両方を増強する薬剤であってもよい。また、ファイトアレキシンは、ファイトアレキシンとしての作用、すなわち、植物の病害抵抗性を高める作用と共に、アレロパシー効果を有するものであってもよい。このようなアレロパシー物質でもファイトアレキシンでもある化合物してとしては、モミラクトンA及びモミラクトンBのようなモミラクトンが挙げられる。本明細書において、「アレロパシー効果、又はファイトアレキシン生産」との文言は、アレロパシー効果、もしくはファイトアレキシン生産、又はアレロパシー効果及びファイトアレキシン生産の両方のいずれをも包含する。
植物は、アミノ酸発酵副生物、核酸発酵副生物、又はアミノ酸もしくは核酸の施用によりアレロパシー効果、および/またはファイトアレキシン生産が増強され得るものであれば特に制限されず、穀物、野菜、果菜、園芸植物等が含まれる。
穀物としては、コムギ、オオムギ、イネ、コーン、ソルガム、ミレット、燕麦、ライムギ、ライコムギ、ソバ等が挙げられる。
コムギとしては、ホクシン、農林61号、シロガネコムギ、チクゴイズミ、春よ恋、シラネコムギ、つるびかり、ニシノカオリ、イワイノダイチ等が挙げられる。
イネとしては、日本晴、コシヒカリ、ひとめぼれ、ヒノヒカリ、あきたこまち、はえぬき、きらら397、キヌヒカリ、ほしのゆめ、つがるロマン、ななつぼし、ゆめあかり、あさひの夢、あいちのかおり、夢つくし、ササニシキ、コー・コー 7号、コー・コー 23号、コー・コー 10号、プレー 1、サンパートーン 1、カオドークマリ 105、ピサヌローク 1、ピサヌローク 3、ピサヌローク 60−1、コー・コー 6、ナム・ルー、チャオ・ホー、シウ・メーチャン、R258、ラチサイル、IR5、ペリタ1−1、シサダネ、シサンガルング、IR64、シボゴ、コンデ、シヘラング、ドドカン、ダナウテムペ、シラタ、IR8、TN1、ウイダス、IR20、ダナウガウング、ペタ、シアプス、メムベラモ等が挙げられる。
オオムギとしては、ミカモゴールデン、ニシノチカラ、ほうしゅん、ニシノホシ、なす二条、あまぎ二条、りょうふう、アサカゴールド、ファイバースノウ、シュンライ、カシマムギ、イチバンボシ、マンネンボシ等が挙げられる。
野菜としては、葉茎菜類、根菜類等が挙げられる。葉茎菜類又は根菜類としては、ホウレンソウ、キャベツ、コマツナ、レタス、ケール、フダンソウ、オカヒジキ、クレソン、ワサビ、コールラビ、ブロッコリー、カリフラワー、ハクサイ、メキャベツ、タカナ、ハクラン、ジュンサイ、アリタバ、ハマボウフウ、ミツバ、セルリー、セリ、パセリ、セージ、ハッカ、タイム、チョロギ、シソ、フキ、シュンギク、エンダイブ、食用ギク、ネギ、タケノコ、ニンニク、ワケギ、タマネギ、ラッキョウ、アサツキ、リーキ、ニラ、アスパラガス、ミョウガ、ショウガ、ウド、ジャガイモ、キャッサバ、サツマイモ、サトイモ等が挙げられる。
果菜類としては、トマト、オクラ、ナス、ピーマン、トウガラシ、キュウリ、メロン、ニガウリ、カボチャ、マクワウリ、ハヤトウリ、スイカ、イチゴ、ダイズ、小豆、ソラマメ、エンドウ、落花生、ササゲ、ルーピン、クローバー、アルファルファ等が挙げられる。
園芸植物としては、中芝、大高麗芝、高麗芝、姫高麗芝、エメラルドゾイシア、朝鮮芝、バーミューダグラス類、ティフトン419、ベントグラス類、ライグラス類、ブルーグラス類、フェスク類等のシバ等、又はアカンサス、アサガオ、アザレア、アジサイ、アズマイチゲ、アッツザクラ、アネモネ、アマドコロ、アマランサス、アマリリス、アヤメ、アルストロメリア属、アルメリア、アークトチス、イワナズナ属、エゾギク、エディブル・フラワー、エリカモドキ、オオツルボ、オオバギボウシ、オオハルシャギク、オシロイバナ、オトギリソウ属、オニゲシ、オヤマリンドウ、オーレオマルギナータ(ギボウシ)、カイザイク、カキツバタ、カザグルマ、ガザニア、カサブランカ、カーネーション、カノコユリ、ガーベラ、カランコエ、カルセオラリア、カレープラント、カロライナジャスミン、カンナ、キキョウナデシコ、キク、キダチチョウセンアサガオ属、キバナコスモス、ギボウシ、金日成花、金正日花、ギョリュウバイ、キンセンカ、ギンバイカ、キンレンカ、クサキョウチクトウ、グラジオラス、クルクマ・シャローム、クレマチス、クロサンドラ、ケイトウ、コエビソウ、ゴジカ、コスモス、コンボルブルス・アルベンシス、サガエギボウシ、サクラソウ、サフラン、サルビア、シクラメン、ジニア、シバザクラ、シベリアヒナゲシ、シャガ、シャクヤク、シャスタ・デイジー、シュウカイドウ、シュウメイギク、シュッコンタバコ、シラン、スイートピー、スズラン、スノーフレーク(ヒガンバナ科)、スベリヒユ、スミレ、セイヨウキンシバイ、セイヨウノコギリソウ、セイヨウハナズオウ、セキチク、ゼフィランサス、ダイコンソウ属、タマスダレ、ダリア、チトニア、チューリップ、チョコレートコスモス、つくばエクスプレス(バラ)、ツルニチニチソウ、ツルボ属、テンジクアオイ属、テンニンカ、ドイツアヤメ、トキワバナ属、トケイソウ、ナデシコ、ナノハナ、ニチニチソウ、ニリンソウ、ネモフィラ、ネリネ属、ノースポール、ノハナショウブ、バージニアストック、バーベナ、パキスタキス、ハゲイトウ、ハゼラン、ハナショウブ、ハナズオウ、ハナニラ、ハナハマサジ、ハナビシソウ、パンジー、ヒナギク、ヒナゲシ、ヒマラヤユキノシタ、ヒマワリ、ヒヤシンス、ビヨウヤナギ、ヒルザキツキミソウ、フウチョウソウ属、フウロソウ属、フクシア、ブッソウゲ、フリージア、プリムラ、ブローディア、プロテア、ベゴニア、ホウセンカ、ホオズキ、ボタン、ホトトギス属、マーガレット、マリーゴールド、ミヤコワスレ、ミヤマナズナ属、ムギワラギク、ムスカリ、ムーンダスト、ヤグルマギク、ヤマブキ、ユウゲショウ、ユリ、ラナンキュラス、ランタナ、リンドウ、ルピナス属、ルリミゾカクシ、ローダンセ、ロサ・キネンシス、ロサ・フェティダ、ワスレグサ属等の花卉等、カリン、チュウゴクナシ、ナシ、マルメロ、セイヨウカリン、ジューンベリー、シポーバ、リンゴ、アメリカンチェリー、アンズ、ウメ、サクランボ、スミミザクラ、スピノサスモモ、スモモ、モモ、アーモンド、イチョウ、クリ、クルミ、ペカン、アケビ、イチジク、カキ、キイチゴ、キウイフルーツ、グミ、クワ、クランベリー、コケモモ、ザクロ、サルナシ、シーバックソーン、スグリ、ナツメ、ニワウメ、ビルベリー、フサスグリ、ブドウ、ブラックベリー、ブルーベリー、ポーポー、マツブサ、ラズベリー、ユスラウメ、ミカン属、キンカン属、カラタチ属、オリーブ、ビワ、ヤマモモ等の果樹等が挙げられる。
前記野菜、果菜、園芸植物の品種は特に制限されないが、例えば、ホウレンソウとしては、角種(つのだね)、赤根ほうれん草、日本ほうれん草、次郎丸ほうれん草、禹城(うじょう)、京ほうれん草、寒締めほうれん草、ピロフレー、黒葉ミンスターランド、リードほうれん草、豊葉ほうれん草、アトラスほうれん草、ミンスターほうれん草、スーパー日本ほうれん草、サラダほうれん草等が挙げられる。
キャベツとしては、グリーンボール、レッドキャベツ、チリメンキャベツ(サボイキャベツ)、メキャベツ等が挙げられる。
トマトとしては、桃太郎、ミニキャロル、ローマ、黄寿、ファーストトマト、赤色丸玉、イエローキャロル、パルチェ等が挙げられる。
コマツナとしては、ハッケイ、風の娘、夏清水、安藤早生、よかった菜、すてきだ菜、ワカミ、キヨスミ、楽天、夏楽天、極楽天、笑天、オソメ、寒じめ、あやか小松菜、ナッチャン、菜々美等が挙げられる。
レタスとしては、TE242、シグマ、LE−7MT、ファイングリーン、V、サンバレー、J、テンション、トリガー、ゲット、グリーンスパン、レッドコーラル、ブラックローズ、アーリースパン、レッドスパン、ラ・コスタ、レッドストーン、レッドロック、バシオ、コスレタス、レッドファルダ、グリーンウェーブ、リトルジェムロメイン、エムラップ231、ニガチシャ、エンダイブ、オンタリオ、キングクラウン、茎レタス、ケルン、コスタリカ4号、コスレタス、レッドウェーブ、サマーグリーン、サリナス88、シグマ、ファルコン、リバーグリーン、リーフレタスグリーン、リーフレタスレッド、グリーンオーク、フリンジーグリーン、フリンジーレッド、チマ・サンチュ、レッドオーク、ナンソウベニ、ニシナベニ、レッドウェーブ等が挙げられる。
ケールとしては、キッチンケール、ツリーケール、ブッシュケール、マローケール、コラード、緑葉カンラン、ドリンクリーフ、ポルトガルケール等が挙げられる。
ダイズとしては、フクユタカ、エンレイ、タチナガハ、リュウホウ、スズユタカ等が挙げられる。
また、本発明の薬剤によってアレロパシー効果が増強され、それによって発芽や生長が阻害される植物は、アレロパシー効果の増強の対象となる植物以外の植物であれば特に制限されない。具体的には例えば、アゼナ、アブノメ、アゼムシロ、ミズハコベ、ミゾハコベ、キカシグサ、チョウジタデ、セリ、コナギ、イボクサ、イヌホタルイ、タマガヤツリ、マツバイ、イヌビエ、タイヌビエ、ウキクサ、アオウキクサ、アオミドロ、オオアブノメ、オモダカ、ヘラオモダカ、サジオモダカ、スブタ、ヒルムシロ、ホシクサ、ヒロハイヌノヒゲ、ハリイ、テンツキ、ホタルイ、エゾノサヤヌカグサ、タカサブロウ、アゼトウガラシ、スズメノトウガラシ、ミズマツバ、ミズキカシグサ、ウリカワ、ヒデリコ、コゴメガヤツリ、ミズガヤツリ、クログワイ、コウキヤガラ、ヒメタイヌビエ、キシュウスズメノヒエ、アゼガヤ、ミズワラビ、サンショウモ、ヨモギ、ヒメムカシヨモギ、ハルジオン、ヒメジョオン、ホウコグサ、タンポポ類、オオバコ、オオイヌタデ、イヌタデ、ギシギシ、アオビユ、ナズナ、エノキグサ、ツユクサ、メヒシバ、ヒメイヌビエ、アキノエノコログサ、スズメノテッポウ、スギナ、エゾノキツネアザミ、ジシバリ類、オトコヨモギ、ハチジョウナ、ナギナタコウジュ、オオイヌノフグリ、ソバカズラ、スイバ、タニソバ、エゾノギシギシ、オオツメクサ、ツメクサ、ハコベ、シロザ、スカシタゴボウ、カラスビシャク、シバムギ、アキメヒシバ、タカサブロウ、コヒルガオ、ヒルガオ、ホトケノザ、ワルナスビ、ウリクサ、スベリヒユ、ザクロソウ、ドクダミ、ムラサキカタバミ、カタバミ、コニシキソウ、ニシキソウ、ヤブガラシ、チドメグサ、ハマスゲ、カヤツリグサ、コゴメガヤツリ、オヒシバ、チガヤ、ヒメムカシヨモギ、ノボロギク、ヨメナ、オオジシバリ、オオバコ、ヤエムグラ、イタドリ、イヌタデ、カナムグラ、ウシハコベ、アカザ、カラスノエンドウ、クズ、ナズナ、イヌガラシ、エノコログサ、イヌムギ、イワニガナ、フキ、ヘラオオバコ、ヒメスイバ、シロツメクサ、カモガヤ、オオアレチノギク、ヘビイチゴ、スズメノヒエ、ススキ、ネザサ、ワラビ等が挙げられる。
発酵副生物は、アミノ酸発酵副生物、又は核酸発酵副生物であり、例えば、澱粉系及び糖蜜系を主原料とするL−グルタミン酸、L−リジン等の各種アミノ酸発酵副生物、及びイノシン酸、グアニル酸、イノシン、グアノシン等の各種核酸発酵副生物が挙げられる。発酵に用いる微生物は特に制限されず、細菌、例えばエシェリヒア(Escherichia)属、パントエア(Pantoea)属等の腸内細菌、又はコリネバクテリウム(Corynebacterium)属等のコリネ型細菌等が挙げられる。また、発酵の目的物質としてのアミノ酸又は核酸の種類は特に制限されず、後述する各種アミノ酸又は核酸が挙げられる。発酵に用いる培地も特に制限されず、通常アミノ酸又は核酸の発酵生産に用いられる培地を用いることができる。前記微生物及び培地は、例えば、欧州特許公開EP0643135B、EP0733712B、EP1477565A、EP0796912A、EP0837134A、EP1170376A、国際公開WO01/53459、WO2005/010175、WO96/17930等に記載されているものが例示できる。
発酵副生物は、植物に施用することによりアレロパシー効果、および/またはファイトアレキシン生産を増強することができる限り、培地から目的物質を分離した発酵液(「発酵副生液」ともいう)、その濃縮液もしくは乾固物、又はそれらの分画物等のいずれであってもよい。また、発酵副生液は、培地から目的物質を採取するために酸等が添加されてもよく、除菌等のために加熱処理されてもよい。
アミノ酸発酵副生物または核酸発酵副生物に含まれるアミノ酸又は核酸は特に制限されず、後述する各種アミノ酸及び核酸が含まれる。また、発酵副生物に含まれるアミノ酸又は核酸は、1種でもよく、2種以上であってもよい。アミノ酸発酵副生物として具体的には、L−リジン、L−グルタミンなどの塩基性または中性アミノ酸発酵液をpH調整した後、強酸性陽イオン樹脂に通じ、当該アミノ酸を吸着させた後の貫流液及びその濃縮液、並びに、L−グルタミン酸などの酸性アミノ酸発酵液を鉱酸でpHを等電点に調整し、析出した当該アミノ酸結晶を固液分離したときに得られる母液、及びその濃縮液を例示することができる。また、核酸発酵副生物として具体的には、イノシン酸又はグアニル酸等の核酸発酵液を、溶解度差を利用した冷却晶析及び濃縮晶析することで当該核酸を晶析し、析出した結晶を固液分離したときに得られる母液およびその濃縮液を例示することができる。また、核酸発酵副生液は、イノシン酸やグアニル酸等の核酸を直接発酵により生成させた発酵液に限られず、イノシン又はグアノシン等の発酵液中のこれらのヌクレオシドを酵素的又は微生物学的にリン酸化して得られるヌクレオチドを含む発酵液であってもよい。これら発酵副生物には、通常、固形分として、各種アミノ酸(5〜20倍濃縮液で5〜14重量%含有)、又は各種核酸(5〜20倍濃縮液で5〜15重量%含有)の他、糖類、発酵菌体、有機態窒素、無機態窒素、ビタミン等の植物成長に必要な栄養分が多量に含まれている(固形分含量は30〜50重量%)。
アミノ酸の発酵副生物は、目的アミノ酸を分離した後、濃縮、乾固又は分画等の操作前の発酵副生液の状態で、好ましくは1mM以上、より好ましくは2mM以上、さらに好ましくは5mM以上、当該アミノ酸を含むことが好ましい。
核酸の発酵副生物は、目的核酸を分離した後、濃縮、乾固又は分画等の操作前の発酵副生液の状態で、好ましくは1mM以上、より好ましくは2mM以上、さらに好ましくは10mM以上、当該核酸を含むことが好ましい。
アミノ酸発酵副生液として具体的には、コリネバクテリウム属、パントエア属またはエシェリヒア属に属する微生物を使用し、スクロース、デンプン、サトウキビ、コーン、甜菜、キャッサバ、ユーグレナ等の藻類等の糖源、或いは菜種油、パーム油、オリーブ油、ひまわり油、大豆油、コメ油、ヘンプ・オイル、魚油、豚脂、牛脂、ラフィド藻、ボトリオコッカス等の藻類等由来の油源を主原料とした炭素源、窒素源の他に、無機イオンその他の栄養素を適宜含有される培地を用いて培養を行ったものから、硫酸又は塩酸を用いてpHを低下させ、析出するアミノ酸を晶析回収後、更に濃縮加熱処理を行って調製されたものが挙げられる。このような発酵副生液の原液は、通常アミノ酸を約1〜10%(W/V)含有している。
また、核酸発酵副生液として具体的には、バチルス属に属する微生物を使用し、スクロース、デンプン、サトウキビ、コーン、甜菜或いはキャッサバを主原料とした炭素源、窒素源の他に、無機イオンその他の栄養素を適宜含有される培地を用いて培養を行ったものから、硫酸又は塩酸を用いてpHを調整して析出するイノシン、グアノシンを晶析回収後、更に濃縮加熱処理を行って調製された発酵副生液に、先述のイノシン、グアノシンをモルガネラ属、セラチア属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、クロモバクテリウム属、セデシア属またはエシェリヒア属に属する微生物を使用してリン酸化し、生成するイノシン酸、グアニル酸を回収した後の濃縮加熱処理液を加えたものが挙げられる。このような発酵副生液の原液は、通常、イノシン酸、及びグアニル酸を、それぞれ約1〜8%(W/V)、及び1〜6%(W/V)含有している。
実施例で使用したDSCL、及びNAMLは、各々上記のようにして得られたL−グルタミン酸発酵副生液、及びイノシン酸、グアニル酸発酵副生液である。
アミノ酸としては、リジン、オルニチン、アルギニン、ヒスチジン、シトルリン等の塩基性アミノ酸、イソロイシン、アラニン、バリン、ロイシン、グリシン等の脂肪族アミノ酸、スレオニン、セリン等のヒドロキシモノアミノカルボン酸であるアミノ酸、プロリン等の環式アミノ酸、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン等の芳香族アミノ酸、システイン、シスチン、メチオニン等の含硫アミノ酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸、グルタミン、アスパラギン等の側鎖にアミド基を持つアミノ酸が挙げられる。また、アミノ酸は、アミノ酸誘導体、例えばトリメチルグリシン、カルニチン等のようなベタイン、モノメチルグリシン、ジメチルグリシン、又はGABA等であってもよい。
中でも、グルタミン酸、アラニン、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギン、グリシン、GABA、ベタイン、ジメチルグリシン、ロイシン、メチオニン、システイン、チロシン、アルギニン、フェニルアラニン、プロリン、シトルリン、バリン、セリン、バリン、イソロイシン、トリプトファンが好ましく、グルタミン酸、アラニン、アスパラギン酸、GABA、システイン、チロシン、バリン、イソロイシン、トリプトファンがより好ましい。
中でも、グルタミン酸、アラニン、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギン、グリシン、GABA、ベタイン、ジメチルグリシン、ロイシン、メチオニン、システイン、チロシン、アルギニン、フェニルアラニン、プロリン、シトルリン、バリン、セリン、バリン、イソロイシン、トリプトファンが好ましく、グルタミン酸、アラニン、アスパラギン酸、GABA、システイン、チロシン、バリン、イソロイシン、トリプトファンがより好ましい。
アミノ酸とは、フリー体のアミノ酸及び/またはその塩、例えば硫酸塩、塩酸塩、炭酸塩、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩を含む。
アミノ酸は、L−体であってもD−体であってもよいが、L−体が好ましい。
アミノ酸は、L−体であってもD−体であってもよいが、L−体が好ましい。
核酸としては、ヌクレオシド、ヌクレオチド及び核酸塩基等が挙げられる。
核酸塩基は、プリン及びピリミジンのいずれであってもよい。また、ヌクレオシド及びヌクレオチドは、プリンヌクレオシド、ピリミジンヌクレオシド、プリンヌクレオチド、ピリミジンヌクレオチドのいずれであってもよい。さらに、ヌクレオシド及びヌクレオチドを構成する糖は、リボースであってもデオキシリボースであってもよいが、リボースが好ましい。
核酸塩基は、プリン及びピリミジンのいずれであってもよい。また、ヌクレオシド及びヌクレオチドは、プリンヌクレオシド、ピリミジンヌクレオシド、プリンヌクレオチド、ピリミジンヌクレオチドのいずれであってもよい。さらに、ヌクレオシド及びヌクレオチドを構成する糖は、リボースであってもデオキシリボースであってもよいが、リボースが好ましい。
核酸塩基としては、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシル、キサンチン、及びヒポキサンチンが挙げられる。
ヌクレオシドとしては、アデノシン、グアノシン、チミジン、シチジン、ウリジン、キサントシン、及びイノシン、並びにこれらの2’−デオキシ体が挙げられる。
ヌクレオシドとしては、アデニル酸(アデノシン−5’−リン酸)、グアニル酸(グアノシン−5’−リン酸)、チミジル酸(チミジン−5’−リン酸)、ウリジル酸(ウリジン−5’−リン酸)、キサンチル酸(キサントシン−5’−リン酸)、及びイノシン酸(イノシン−5’−リン酸)、並びにこれらの2’−デオキシ体が挙げられる。
ヌクレオシドとしては、プリンヌクレオシドが好ましく、イノシン又はアデニンがより好ましい。
ヌクレオチドとしては、プリンヌクレオチドが好ましく、イノシン酸又はアデニル酸がより好ましい。
ヌクレオチドとしては、プリンヌクレオチドが好ましく、イノシン酸又はアデニル酸がより好ましい。
ヌクレオシド、ヌクレオチド、及び核酸塩基はフリー体であってもよく、ナトリウム塩、カリウム塩等の塩であってもよい。
本発明の薬剤は、上記のような、アミノ酸発酵副生物、核酸発酵副生物、又はアミノ酸、もしくは核酸を含む。薬剤の形状は制限されず、液体、固体、粉体等が挙げられる。使用時の形状も特に制限されないが、液体であることが好ましい。
薬剤中のアミノ酸発酵副生物、核酸発酵副生物、又はアミノ酸、もしくは核酸の含量は特に制限されず、植物の種類又は植物への施用量等によって適宜設定することができる。具体的には例えば、アミノ酸発酵副生物又は核酸発酵副生物については、薬剤が液体の場合、又は薬剤が固体であって使用時に液体として用いられる場合は、発酵副生液換算で、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%が以上好ましい。含有量の上限は特に制限されないが、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下が好ましい。「発酵副生液換算で」とは、発酵副生物が発酵副生液の濃縮物又は乾固物等である場合、もとの発酵副生液の重量に換算した値であることを意味する。
また、他の形態では、薬剤中のアミノ酸発酵副生物又は核酸発酵副生物の好ましい含有量は、固形物換算で、好ましくは0.001〜100重量%、より好ましくは0.1〜100重量%、さらに好ましくは1〜100重量%である。
アミノ酸の含有量は、薬剤が液体の場合、又は薬剤が固体であって使用時に液体として用いられる場合は、好ましくは0.1mM以上、より好ましくは0.2mM以上、さらに好ましくは2mM以上が好ましい。含有量の上限は特に制限されないが、好ましくは1000mM以下、より好ましくは500mM以下、さらに好ましくは250mM以下が好ましい。
核酸の含有量は、薬剤が液体の場合、又は薬剤が固体であって使用時に液体として用いられる場合は、好ましくは1mM以上、より好ましくは2mM以上、さらに好ましくは10mM以上が好ましい。含有量の上限は特に制限されないが、好ましくは1000mM以下、より好ましくは500mM以下、さらに好ましくは250mM以下が好ましい。
本発明の薬剤は、本発明の効果を阻害しない限り、アミノ酸発酵副生物、核酸発酵副生物、又はアミノ酸、もしくは核酸に加えて、所望により肥料成分をさらに加えることも可能である。肥料成分については後述する。
薬剤は、アミノ酸発酵副生物、核酸発酵副生物、アミノ酸、及び核酸から選ばれる化合物又は組成物を1種含んでいてもよく、2又はそれ以上の任意の化合物又は組成物を含んでいてもよい。
本発明の薬剤を葉面散布に用いる場合には、葉面への付着性を高めるため、農業上通常用いられる展着剤、及び/または界面活性剤を添加してもよい。展着剤、界面活性剤は特に制限はないが、展着剤としては、例えばアプローチBI(花王(株)。「アプローチ」は同社の登録商標である。)、ミックスパワー(シンジェンタ ジャパン(株)。「ミックスパワー」は同社の登録商標である。)などが挙げられる。界面活性剤としては非イオン性、陰イオン性、陽イオン性及び両イオン性のいずれも使用することが出来る。例を挙げると、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンポリマー、オキシプロピレンポリマー、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、第四級アンモニウム塩、オキシアルキルアミン、レシチン、サポニン等である。また、必要に応じてゼラチン、カゼイン、デンプン、寒天、ポリビニルアルコール、アルギン酸ソーダなどを補助剤として用いることが出来る。
本発明の薬剤を植物に施用することにより、当該植物のアレロパシー効果を増強することができる。「アレロパシー効果」とは、植物が、他の植物に対して発芽や生長を阻害する効果をいう。また、アレロパシー効果を「増強する」とは、植物が元来示すアレロパシー効果を増強する場合に加えて、実質的にアレロパシー効果を示さない植物がアレロパシー効果を示すようになる場合も含む。
本発明の一形態は、本発明の薬剤を植物に施用する、植物のアレロパシー効果を増強する方法である。本発明の他の形態は、植物を栽培する際に、本発明の薬剤を当該植物に施用し、当該植物の周辺の他の植物の発芽又は生長を抑制する、植物の栽培方法である。
本発明の薬剤を植物に施用すると、植物のアレロパシー物質の産生が促進されると推定される。この観点からは、本発明の薬剤は、植物のアレロパシー物質の産生増強剤でもある。アレロパシー物質としては、モミラクトンA及びモミラクトンB、またこれまで報告されているフェルラ酸、クマル酸等のフェノール性の物質等が挙げられる。
本発明の一形態は、本発明の薬剤を植物に施用する、植物のアレロパシー効果を増強する方法である。本発明の他の形態は、植物を栽培する際に、本発明の薬剤を当該植物に施用し、当該植物の周辺の他の植物の発芽又は生長を抑制する、植物の栽培方法である。
本発明の薬剤を植物に施用すると、植物のアレロパシー物質の産生が促進されると推定される。この観点からは、本発明の薬剤は、植物のアレロパシー物質の産生増強剤でもある。アレロパシー物質としては、モミラクトンA及びモミラクトンB、またこれまで報告されているフェルラ酸、クマル酸等のフェノール性の物質等が挙げられる。
ファイトアレキシンとは、植物体の昆虫による食害や、病原菌の感染により生合成が誘導されて昆虫の忌避や病原菌の殺菌をひきおこす物質を言う。ファイトアレキシンとしては、モミラクトンA及びモミラクトンB等のモミラクトン、サクラネチン、フェルラ酸、オリザレキシンA、オリザレキシンB、オリザレキシンC、オリザレキシンD、オリザレキシンE、オリザレキシンF、オリザレキシンS等のオリザレキシン、ファイトカサンA、ファイトカサンB、ファイトカサンC、ファイトカサンD、ファイトカサンE等のファイトカサン、ピサチン、6, 7-ジメトキシクマリン、カプシジオール、フェニルフェナレノン、レスベラトロール、ラムネチン等があげられる。実施例に示すように、アミノ酸の植物への施用によって、ジテルペノイド系のファイトアレキシンであるモミラクトンA及びモミラクトンBの生産が増強されることが示された。したがって、モミラクトン以外にも、ジテルペノイド系のファイトアレキシンの生産が増強されることが示唆される。また、アミノ酸の植物への施用によって、フェニルプロパノイド化合物の生合成に関与するフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)遺伝子の発現が上昇することも示されたことから、フェニルプロパノイド系のファイトアレキシンの産生も増強されることが示唆される。フェニルプロパノイド系のファイトアレキシンとしては、サクラネチン、フェルラ酸、フェニルフェナレノン、ラムネチン等が挙げられる。
本発明の薬剤の植物への施用方法としては、植物体又は植物の根圏の土壌に薬剤が接触するか、又は送達される限り特に制限されず、土壌への表面散布、潅注、もしくは鋤込み、又は植物の葉面への散布又は展着、水耕溶液への添加、もしくは種子への展着等が挙げられる。
アレロパシー効果、またはファイトアレキシン生産を増強する対象の植物は、前記と同様である。
本発明の薬剤の植物への施用量は、有効成分が発酵副生物の場合は、発酵副生物の固形物換算で、好ましくは0.1kg〜5000kg/ヘクタール、より好ましくは0.1kg〜2000kg/ヘクタール、より好ましくは0.1kg〜1000kg/ヘクタール、さらに好ましくは0.1kg〜500kg/ヘクタールであることが好ましい。
また、葉面や地上部への散布、展着の場合は発酵副生物の固形物換算で、0.1kg〜50kg/ヘクタール、土壌への表面散布、潅注、鋤込み、水耕液への添加、種子への展着の場合は発酵副生物の固形物換算で、50kg〜2000kg/ヘクタールの施用量で施用することが好ましい。
また、葉面や地上部への散布、展着の場合は発酵副生物の固形物換算で、0.1kg〜50kg/ヘクタール、土壌への表面散布、潅注、鋤込み、水耕液への添加、種子への展着の場合は発酵副生物の固形物換算で、50kg〜2000kg/ヘクタールの施用量で施用することが好ましい。
他の形態では、施用量は、アミノ酸の量として、好ましくは0.01kg〜500kg/ヘクタール、より好ましくは0.01kg〜100kg/ヘクタール、より好ましくは0.01kg〜50kg/ヘクタール、さらに好ましくは0.01kg〜25kg/ヘクタールであることが好ましい。また葉面や地上部への散布、展着の場合はアミノ酸の量として、0.01kg〜5kg/ヘクタール、土壌への表面散布、潅注、鋤込み、水耕液への添加、種子への展着の場合はアミノ酸の量として、5kg〜100kg/ヘクタールの施用量で施用することが好ましい。また、他の形態では、施用量は、核酸の量として、好ましくは0.01kg〜500kg/ヘクタール、より好ましくは0.01kg〜100kg/ヘクタール、より好ましくは0.01kg〜50kg/ヘクタール、さらに好ましくは0.01kg〜25kg/ヘクタールであることが好ましい。また葉面や地上部への散布、展着の場合は核酸の量として、0.01kg〜3kg/ヘクタール、土壌への表面散布、潅注、鋤込み、水耕液への添加、種子への展着の場合は核酸の量として、3kg〜100kg/ヘクタールの施用量で施用することが好ましい。
有効成分がアミノ酸又は核酸である場合の好ましい施用量は、上記と同様である。
薬剤の土壌又は水耕溶液への施用時期は、対象植物のアレロパシー効果、またはファイトアレキシン生産が増強され得る限り特に制限されず、植物を播種又は移植する前であってもよく、播種又は移植後であってもよく、その両方であってもよい。また、植物への薬剤の施用時期も、対象植物のアレロパシー効果、またはファイトアレキシン生産が増強され得る限り特に特に制限されないが、播種後2日目以降が好ましい。施用回数も特に制限されず、1回でもよく、2回以上であってもよい。
具体的には例えば、一形態では、発酵副生液を0.001〜100重量%含有する液を、1〜200日間に1回以上、好ましくは1〜100日間に1回以上、さらに好ましくは1〜30日間に1回以上、植物の根圏に施用する。
さらに他の形態では、アミノ酸を0.1mM以上含有する液を、1〜100日毎に1回以上、好ましくは1〜50日毎に1回以上、さらに好ましくは1〜15日毎に1回以上、さらに好ましくは1〜7日毎に1回以上、植物の葉面に散布する。
さらに他の形態では、アミノ酸を0.1mM以上含有する液を、1〜200日毎に1回以上、好ましくは1〜100日毎に1回以上、さらに好ましくは1〜30日毎に1回以上、植物の根圏に施用する。
さらに他の形態では、アミノ酸を0.1mM以上含有する液を、1〜100日毎に1回以上、好ましくは1〜50日毎に1回以上、さらに好ましくは1〜15日毎に1回以上、さらに好ましくは1〜7日毎に1回以上、植物の葉面に散布する。
さらに他の形態では、アミノ酸を0.1mM以上含有する液を、1〜200日毎に1回以上、好ましくは1〜100日毎に1回以上、さらに好ましくは1〜30日毎に1回以上、植物の根圏に施用する。
薬剤を葉面散布により施用する場合、散布方法は特に制限されないが、作物、野菜の地上部全体に葉面散布資材が展着するようにすることが望ましい。人手により散布する場合は、葉面散布資材の噴霧口が葉表面ないしは裏面部位に向くような操作が望まれる。また、ブームスプレーヤーを使用する場合は、散布液量を1ヘクタール当たり100リットル以上、好ましくは200〜3000リットル、より好ましくは300〜2000リットルとすることが望ましい。また、静電気を利用することにより噴霧液の植物体への付着を促進させるいわゆる静電噴霧機や静電噴霧ノズル口を用いてもよい。
本発明の薬剤を葉面散布する場合、農業上通常用いられる葉面散布用肥料と混合してもよい。この場合、肥料成分としては特に制限はないが、溶解後アルカリ性を示すものについては亜鉛、カルシウム、マグネシウム等が塩として沈殿を起こすため好ましくない場合がある。混合する場合に好ましい肥料成分を例示すれば、尿素、燐酸アンモニウム、塩酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、燐酸、ピロ燐酸などが挙げられる(Mortvedt, J.J. et al., 1993.“Zinc fertilizers” in Robson, A.D. (Ed.) Zinc in soils and plants (p.33−44), Kluweracademic publishers, Dordrecht, the Netherland)。
本発明の方法により植物を栽培する場合の土壌に施用する基肥、追肥は、植物の種類に応じてその地域で通常行われている施肥量、施肥方法に準拠すればよい。また、本発明の効果を損わず、また、環境を損わない範囲で、植物のアレロパシー活性を増強する公知の化合物又は組成物、例えば銅、鉄、亜鉛等を土壌に施用してもよい。本発明の薬剤に加えて、土壌に銅、鉄、亜鉛等を施用することによって、植物のアレロパシー活性をさらに若干増加させることが出来る。
本発明の方法で植物を栽培する場合の栽植密度は、野菜の種類に応じてその地域で推奨されている密度でよいが、畦間(条間)については、葉面散布を実施する場合、葉面散布資材が下部の葉にも容易に到達できるよう、20cm以上とすることが好ましい。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
イネは、日本晴を用いた。栽培は、15cm×22cm×7cmのフードパック(中央化学社製、C−APフルーツ200)に培養液を入れ、孔を空けた発泡スチロール板の孔に種子を播種し、6株/フードパックとなるように発泡スチロール板1枚を培養液上に浮かせることで実施した。
イネは、日本晴を用いた。栽培は、15cm×22cm×7cmのフードパック(中央化学社製、C−APフルーツ200)に培養液を入れ、孔を空けた発泡スチロール板の孔に種子を播種し、6株/フードパックとなるように発泡スチロール板1枚を培養液上に浮かせることで実施した。
培養液として、1/10×OptMS無機塩類培養液(表1)を栽培開始時に使用した。播種、栽培は、人工気象室(28℃)で実施した。光強度は150μmol m-2 s-1程度とし、14時間明期、10時間暗期のサイクルで、17日間栽培した。
植物への各試料液の根圏施用は、グルタミン酸発酵副生物(DSCL)、イノシン酸、グアニル酸発酵副生物(NAML)を、それぞれ培養液中の濃度が0.2%(v/v)又は2%(v/v)となるように、栽培14日目に培養液に添加することにより行った。栽培17日目に培養液を回収し、イオン交換樹脂Diaion HP−20(三菱化学社製)に通液し、純水で洗浄した後、100%メタノールで溶出を行った。溶出液を減圧濃縮後、溶液濃度が1mL/イネ株となるように純水に溶解した。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、前述の溶液を各ウエルに分注した後、レタスの種子を10粒/ウエルで播種し、人工気象室(25℃)中、光強度120μmol m-2 s-1程度、12時間明期、12時間暗期のサイクルで、栽培した。5日後に地下部(幼根)の長さを測定した。
その結果を図1に示した。発酵副生液を添加して培養したイネの培養液を施用することにより、レタスの地下部の伸張が抑制された。この結果、根圏に発酵副生液を施用することで、根圏中のアレロパシー活性が上昇することが示された。
〔実施例2〕
実施例1と同様にして、イネ(日本晴)を17日間栽培した。
植物への各試料液の試料の葉面展着は15時から17時の間に行なった。展着量は、およそ50μl/1個体で、栽培14日目に2%(v/v)濃度で、DSCL、NAMLをそれぞれ展着させた。展着用試料には、展着剤のミックスパワーR(シンジェンタジャパン社製)を0.1%(v/v)濃度で加えた。栽培17日目に培養液を回収し、イオン交換樹脂Diaion HP−20(三菱化学社製)に通液し、純水で洗浄した後、100%メタノールで溶出を行った。溶出液を減圧濃縮後、溶液濃度が1mL/イネ株となるように純水に溶解した。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、前述の溶液を各ウエルに分注した後、レタスの種子を10粒/ウエルで播種し、5日後の地下部(幼根)の長さを測定した。
実施例1と同様にして、イネ(日本晴)を17日間栽培した。
植物への各試料液の試料の葉面展着は15時から17時の間に行なった。展着量は、およそ50μl/1個体で、栽培14日目に2%(v/v)濃度で、DSCL、NAMLをそれぞれ展着させた。展着用試料には、展着剤のミックスパワーR(シンジェンタジャパン社製)を0.1%(v/v)濃度で加えた。栽培17日目に培養液を回収し、イオン交換樹脂Diaion HP−20(三菱化学社製)に通液し、純水で洗浄した後、100%メタノールで溶出を行った。溶出液を減圧濃縮後、溶液濃度が1mL/イネ株となるように純水に溶解した。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、前述の溶液を各ウエルに分注した後、レタスの種子を10粒/ウエルで播種し、5日後の地下部(幼根)の長さを測定した。
その結果を図2に示した。発酵副生液で葉面処理したイネの培養液を施用することにより、レタスの地下部の伸張が抑制された。この結果、イネの葉面に発酵副生液を展着処理することで、イネの培養液中のアレロパシー活性が上昇することが示された。
〔実施例3〕
実施例2と同様にして、発酵副生液で葉面処理したイネ(日本晴)の培養液のイオン交換処理液を調製した。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、前述の溶液を各ウエルに分注した後、白ヒエ(タキイ種苗株式会社)の種子を10粒/ウエルで播種し、5日後の地上部(shoot)、及び地下部(root)の長さを測定した。
実施例2と同様にして、発酵副生液で葉面処理したイネ(日本晴)の培養液のイオン交換処理液を調製した。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、前述の溶液を各ウエルに分注した後、白ヒエ(タキイ種苗株式会社)の種子を10粒/ウエルで播種し、5日後の地上部(shoot)、及び地下部(root)の長さを測定した。
その結果を図3に示した。発酵副生液で葉面処理したイネの培養液を施用することにより、ヒエの地上部、及び地下部、特に地上部の伸張が抑制された。この結果、イネの葉面に発酵副生液を展着処理することで、イネの培養液中のアレロパシー活性が上昇することが示された。
〔実施例4〕
イネは、日本晴を用いた。栽培には、80.5cm×80.5cm×10cmのポット(テクノポットR スミロン社製)に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、純水を5mL添加したものを用いた。イネ種子を、ミリポア水10mLを入れたシャーレに播種し、人工気象室(28℃)中、光強度150μmol m-2 s-1、14時間明期、10時間暗期のサイクルで、4日間インキュベートした。その後、発芽種子にサンプル(水、2% DSCL、0.2% DSCL、2% NAML、0.2% NAML、又は50μM メチルジャスモン酸(methyl jasmonate))を2μl/1種子で展着させ、9株/ポットとなるように移植した。イネ播種7日後、再度発芽種子にサンプルを展着させ、同時にイネ種子周囲に16粒のレタス種子を播種した。更にイネ播種10日後、レタス、イネの写真撮影を行い、画像解析からレタス根の長さを測定した。また、レタスのみ、イネのみをそれぞれ取り出し、写真撮影を行った。
イネは、日本晴を用いた。栽培には、80.5cm×80.5cm×10cmのポット(テクノポットR スミロン社製)に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、純水を5mL添加したものを用いた。イネ種子を、ミリポア水10mLを入れたシャーレに播種し、人工気象室(28℃)中、光強度150μmol m-2 s-1、14時間明期、10時間暗期のサイクルで、4日間インキュベートした。その後、発芽種子にサンプル(水、2% DSCL、0.2% DSCL、2% NAML、0.2% NAML、又は50μM メチルジャスモン酸(methyl jasmonate))を2μl/1種子で展着させ、9株/ポットとなるように移植した。イネ播種7日後、再度発芽種子にサンプルを展着させ、同時にイネ種子周囲に16粒のレタス種子を播種した。更にイネ播種10日後、レタス、イネの写真撮影を行い、画像解析からレタス根の長さを測定した。また、レタスのみ、イネのみをそれぞれ取り出し、写真撮影を行った。
その結果を図4(イネ及びレタス混植、又はレタスのみ)、及び図5(イネのみ)に示した。また、画像解析によるレタス根の長さを図6に示す。発酵副生液で処理したイネと混植されたレタスは、根の伸張が抑制された。この結果、イネを発酵副生液で処理することで、培養液中のアレロパシー活性が上昇することが示された。また、アレロパシー増強作用が報告されているメチルジャスモン酸がイネの生長抑制を示す一方で、発酵副生液はイネの生長を促進した。
〔実施例5〕
サンプルとして水、0.2% DSCL、0.2% NAML、又は50μM メチルジャスモン酸を用い、レタス種子の代りにヒエ(白ヒエ)種子を用いた以外は、実施例4と同様にしてイネ(日本晴)とヒエを混植し、イネ播種11日後、ヒエの写真撮影を行い、画像解析からヒエ地上部、地下部の長さをそれぞれ測定した。
サンプルとして水、0.2% DSCL、0.2% NAML、又は50μM メチルジャスモン酸を用い、レタス種子の代りにヒエ(白ヒエ)種子を用いた以外は、実施例4と同様にしてイネ(日本晴)とヒエを混植し、イネ播種11日後、ヒエの写真撮影を行い、画像解析からヒエ地上部、地下部の長さをそれぞれ測定した。
その結果を図7に示した。発酵副生液で処理したイネと混植されたヒエは、地下部の伸張に殆ど変化を示さなかったが、地上部の伸張が抑制された。この結果、イネを発酵副生液で処理することで、培養液中のアレロパシー活性が上昇することが示された。
〔実施例6〕
イネとして、日本晴の代りにコシヒカリを用い、サンプルとして水、0.2% DSCL、0.2% NAML、又は50μM メチルジャスモン酸を用いた以外は、実施例4と同様にしてイネとレタスを混植し、レタスの写真撮影を行い、画像解析からレタス根の長さを測定した。
イネとして、日本晴の代りにコシヒカリを用い、サンプルとして水、0.2% DSCL、0.2% NAML、又は50μM メチルジャスモン酸を用いた以外は、実施例4と同様にしてイネとレタスを混植し、レタスの写真撮影を行い、画像解析からレタス根の長さを測定した。
その結果を図8に示した。発酵副生液で処理したイネ(コシヒカリ)と混植されたレタスは、根の伸張が抑制された。この結果、イネ(コシヒカリ)を発酵副生液で処理することで、培養液中のアレロパシー活性が上昇することが示された。
〔実施例7〕
レタス種子の代りにヒエ(白ヒエ)種子を用いた以外は、実施例6と同様にしてイネ(コシヒカリ)とヒエを混植し、イネ播種11日後、ヒエの写真撮影を行い、画像解析からヒエ地上部、地下部の長さをそれぞれ測定した。
レタス種子の代りにヒエ(白ヒエ)種子を用いた以外は、実施例6と同様にしてイネ(コシヒカリ)とヒエを混植し、イネ播種11日後、ヒエの写真撮影を行い、画像解析からヒエ地上部、地下部の長さをそれぞれ測定した。
その結果を図9に示した。発酵副生液で処理したイネ(コシヒカリ)と混植されたヒエは、地上部及び地下部の伸張が抑制された。この結果、イネを発酵副生液をで処理することで、培養液中のアレロパシー活性が上昇することが示された。
〔実施例8〕
イネは、日本晴を用いた。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、イネ種子を6株/ウエルとなるように播種して栽培した。培養液として、超純水を使用した。播種、栽培は、人工気象室(28℃)で実施した。光強度150μmol m-2 s-1程度、14時間明期、10時間暗期のサイクルで、7日間栽培した。
2% NAML、50μMメチルジャスモン酸を、それぞれ栽培4日目に、地上部に2μl/1個体で展着した。栽培7日目に培養液を回収し、吸着イオン交換樹脂DiaionHP−20(三菱化学社製)に通液し、純水で洗浄した後、100%メタノールで溶出を行った。溶出液を減圧濃縮後、溶液濃度が100μL/イネ株となるようにジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させた。このDMSO溶解サンプル10μLをLC/MS分析することで、イネアレロパシー物質の1種であるモミラクトンA,Bをそれぞれ分析した。分析は、以下の条件で実施した。
イネは、日本晴を用いた。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、イネ種子を6株/ウエルとなるように播種して栽培した。培養液として、超純水を使用した。播種、栽培は、人工気象室(28℃)で実施した。光強度150μmol m-2 s-1程度、14時間明期、10時間暗期のサイクルで、7日間栽培した。
2% NAML、50μMメチルジャスモン酸を、それぞれ栽培4日目に、地上部に2μl/1個体で展着した。栽培7日目に培養液を回収し、吸着イオン交換樹脂DiaionHP−20(三菱化学社製)に通液し、純水で洗浄した後、100%メタノールで溶出を行った。溶出液を減圧濃縮後、溶液濃度が100μL/イネ株となるようにジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させた。このDMSO溶解サンプル10μLをLC/MS分析することで、イネアレロパシー物質の1種であるモミラクトンA,Bをそれぞれ分析した。分析は、以下の条件で実施した。
LC/MS:Negative mode MS Waters Synapt
カラム:Waters UPLC BEH C18 φ1.0×150 mm
流速:0.1mL/分
溶出液:
2% MeCN/0.05%HCOOH 0〜2分
2%→100%MeCN/0.0.5%HCOOH 2〜12分
リニアグラジエント
カラム:Waters UPLC BEH C18 φ1.0×150 mm
流速:0.1mL/分
溶出液:
2% MeCN/0.05%HCOOH 0〜2分
2%→100%MeCN/0.0.5%HCOOH 2〜12分
リニアグラジエント
その結果を図10に示した。イネを発酵副生液で処理することで、イネアレロパシー物質として植物の発芽抑制作用、植物の生長抑制作用、抗菌作用が報告されているモミラクトンA,Bの生産が促進されることが示された。これらの結果は、発酵副生液処理によってアレロパシー物質であるモミラクトンA,B等の生産が促進されることで、アレロパシー活性が上昇していることを示唆している。
〔実施例9〕
メチルジャスモン酸の展着の代りに、各種アミノ酸溶液(L−グルタミン酸(Glu)、L−アラニン(Ala)、L−リジン(Lys)、L−グルタミン(Gln)、L−アスパラギン酸(AspNa)、L−アスパラギン(Asn)、グリシン(Gly)、γ−アミノ酪酸(GABA)、N,N,N−トリメチルグリシン(betaine)、N,N’−ジメチルグリシン(N,N−dimethyl glycine)、ザルコシン(sarcosine)、L−ロイシン(Leu)、L−オルニチン、L−メチオニン(Met)、L−システイン(Cys)、L−チロシン(Tyr)、L−アルギニン(Arg−HCl)、L−フェニルアラニン(Phe)、L−ヒスチジン(His−HCl)、L−プロリン(Pro)、L−シトルリン(Cit)、L−バリン(Val)、L−イソロイシン(Ile)、L−セリン(Ser)、L−スレオニン(Thr)、L−トリプトファン(Trp))を、それぞれ培養液中の濃度が20mM、又は2mM、又は0.2mMとなるように培養液に添加した以外は、実施例8と同様にして、培養液中のモミラクトンA,Bを分析した。
メチルジャスモン酸の展着の代りに、各種アミノ酸溶液(L−グルタミン酸(Glu)、L−アラニン(Ala)、L−リジン(Lys)、L−グルタミン(Gln)、L−アスパラギン酸(AspNa)、L−アスパラギン(Asn)、グリシン(Gly)、γ−アミノ酪酸(GABA)、N,N,N−トリメチルグリシン(betaine)、N,N’−ジメチルグリシン(N,N−dimethyl glycine)、ザルコシン(sarcosine)、L−ロイシン(Leu)、L−オルニチン、L−メチオニン(Met)、L−システイン(Cys)、L−チロシン(Tyr)、L−アルギニン(Arg−HCl)、L−フェニルアラニン(Phe)、L−ヒスチジン(His−HCl)、L−プロリン(Pro)、L−シトルリン(Cit)、L−バリン(Val)、L−イソロイシン(Ile)、L−セリン(Ser)、L−スレオニン(Thr)、L−トリプトファン(Trp))を、それぞれ培養液中の濃度が20mM、又は2mM、又は0.2mMとなるように培養液に添加した以外は、実施例8と同様にして、培養液中のモミラクトンA,Bを分析した。
その結果を図11に示した。イネをアミノ酸で処理することで、モミラクトンA,Bの生産が促進されることが示された。
特にL−グルタミン酸、L−アラニン、L−アスパラギン酸、γ−アミノ酪酸(GABA)、、L−システイン、L−チロシン、L−バリン、L−イソロイシン、L−トリプトファンの効果は低濃度の処理でも高い傾向を示した。これらの結果はアミノ酸単独、又は発酵副生液中に含有される1種もしくは複数種のアミノ酸によってアレロパシー物質であるモミラクトンA,B等の生産が促進されることで、アレロパシー活性が上昇することを示唆している。
特にL−グルタミン酸、L−アラニン、L−アスパラギン酸、γ−アミノ酪酸(GABA)、、L−システイン、L−チロシン、L−バリン、L−イソロイシン、L−トリプトファンの効果は低濃度の処理でも高い傾向を示した。これらの結果はアミノ酸単独、又は発酵副生液中に含有される1種もしくは複数種のアミノ酸によってアレロパシー物質であるモミラクトンA,B等の生産が促進されることで、アレロパシー活性が上昇することを示唆している。
〔実施例10〕
イネは、日本晴を用いた。栽培には、15cm×22cm×7cmのフードパック(中央化学社製、C−APフルーツ200)にセルトレイを入れたものを用いた。パワーソイル(関東肥料工業社製)とバーミキュライト(エス・ケー・アグリ社製)を4:1の割合で混合し、これをセルトレーに敷き詰め、あらかじめ催芽させておいた種子を1株/セルとなるよう播種した。
イネは、日本晴を用いた。栽培には、15cm×22cm×7cmのフードパック(中央化学社製、C−APフルーツ200)にセルトレイを入れたものを用いた。パワーソイル(関東肥料工業社製)とバーミキュライト(エス・ケー・アグリ社製)を4:1の割合で混合し、これをセルトレーに敷き詰め、あらかじめ催芽させておいた種子を1株/セルとなるよう播種した。
播種、栽培は、人工気象室(28℃)で実施した。光強度は30000Lx程度とし、14時間明期、10時間暗期のサイクルで、イオン交換水を定期的に与え、12日間、第3.5葉期になるまで栽培した。
植物への各試料液の根圏施用は、栽培12日のイネの根部を10mMグルタミン酸ナトリウム水溶液、10mMアスパラギン水溶液、10mMアスパラギン酸ナトリウム水溶液、10mMヒスチジン水溶液に浸漬させることにより行った。コントロールとして水処理区を設けた。処理2日目にイネ植物体地下部を回収し、直ちに液体窒素で凍結した後、Retsch MM300ホモジナイザーで粉砕を行った。EZ1 RNA Tissue Mini Kit(キアゲン社)およびMag Tration System 12Gc(キアゲン社)を用いてRNA抽出を行った後、7500Real Time PCR System(Applied Biosystems社製)を用い、定量的PCRによりフェニルアラニンアンモニアリアーゼをコードするPAL遺伝子発現量の比較を行った。各サンプル毎に内部標準遺伝子としてポリユビキチン遺伝子を用いた。PAL遺伝子にはプライマー1(5'−GCACATCTTGGAGGGAAGCT−3'、配列番号1)、及びプライマー2(5'−GCGCGGATAACCTCAATTTG−3'、配列番号2)を用いて、ポリユビキチン遺伝子にはプライマー3(5'−AGCGTCTGATCTTTGCTGGT−3'、配列番号3)、及びプライマー4(5'−CATAGCTCCATTGGGGAAGA−3'、配列番号4)を用いて、各々定量的PCRを行った。
その結果を図12に示した。各々10mMのグルタミン酸ナトリウム、アスパラギン、アスパラギン酸ナトリウム、又はヒスチジン水溶液にイネの根部を浸漬することにより、フェニルプロパノイド化合物の生合成に重要な遺伝子であるPAL遺伝子の発現が上昇していることが示された。この結果、イネにアミノ酸を施用することで、モミラクトン等のジテルペノイド系のファイトアレキシンのみならず、サクラネチン、フェルラ酸等のフェニルプロパノイド系のファイトアレキシンの生産が増強されていることが示唆された。アミノ酸、核酸、アミノ酸発酵副生液、核酸発酵副生液による処理により、多種類のファイトアレキシンやアレロパシー物質の生産が増強されるものと考えられる。
〔実施例11〕
コムギは、農林61号、或いはチャイニーズスプリングを用いた。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、コムギ種子を3株/ウエルとなるように播種して栽培した。培養液として、超純水を使用した。播種、栽培は、人工気象室(28℃)で実施した。光強度150μmol m-2 s-1程度、14時間明期、10時間暗期のサイクルで、7日間栽培した。
水、2% DSCL、0.2% DSCL、2% NAML、0.2% NAML、又は50μMメチルジャスモン酸を、それぞれ栽培4日目に、地上部に2μl/1個体で展着した。栽培7日目に培養液を回収し、吸着イオン交換樹脂DiaionHP−20(三菱化学社製)に通液し、純水で洗浄した後、100%メタノールで溶出を行った。溶出液を減圧濃縮後、溶液濃度が1mL/コムギ株となるように純水に溶解した。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、前述の溶液を各ウエルに分注した後、レタスの種子を10粒/ウエルで播種し、5日後の地下部(幼根)の長さを測定した。
コムギは、農林61号、或いはチャイニーズスプリングを用いた。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、コムギ種子を3株/ウエルとなるように播種して栽培した。培養液として、超純水を使用した。播種、栽培は、人工気象室(28℃)で実施した。光強度150μmol m-2 s-1程度、14時間明期、10時間暗期のサイクルで、7日間栽培した。
水、2% DSCL、0.2% DSCL、2% NAML、0.2% NAML、又は50μMメチルジャスモン酸を、それぞれ栽培4日目に、地上部に2μl/1個体で展着した。栽培7日目に培養液を回収し、吸着イオン交換樹脂DiaionHP−20(三菱化学社製)に通液し、純水で洗浄した後、100%メタノールで溶出を行った。溶出液を減圧濃縮後、溶液濃度が1mL/コムギ株となるように純水に溶解した。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、前述の溶液を各ウエルに分注した後、レタスの種子を10粒/ウエルで播種し、5日後の地下部(幼根)の長さを測定した。
同様にして植物体のアレロパシー活性も測定した。上記栽培7日目に植物体を回収し、直ちに液体窒素で凍結した後、Retsch MM300ホモジナイザーで粉砕を行った。植物体から100%メタノールで抽出を行い、抽出液を減圧濃縮後、溶液濃度が1mL/コムギ株となるように純水に溶解した。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、前述の溶液を各ウエルに分注した後、レタスの種子を10粒/ウエルで播種し、5日後の地下部(幼根)の長さを測定した。
その結果を図13(農林61号)、図14(チャイニーズスプリング)に示した。発酵副生液で葉面処理したコムギの培養液、又は植物体抽出液を施用することにより、レタスの地下部の伸張が抑制された。この結果、コムギの葉面に発酵副生液を展着処理することで、コムギのアレロパシー活性が上昇することが示された。
〔実施例12〕
トマトは、マイクロトムを用いた。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、トマト種子を3株/ウエルとなるように播種して栽培した。培養液として、超純水を使用した。播種、栽培は、人工気象室(28℃)で実施した。光強度150μmol
m-2 s-1程度、14時間明期、10時間暗期のサイクルで、7日間栽培した。
水、2% DSCL、0.2% DSCL、2% NAML、0.2% NAML、50μMメチルジャスモン酸を、それぞれ栽培4日目に、地上部に2μl/1個体で展着した。栽培7日目に培養液を回収し、吸着イオン交換樹脂DiaionHP−20(三菱化学社製)に通液し、純水で洗浄した後、100%メタノールで溶出を行った。溶出液を減圧濃縮後、溶液濃度が1mL/トマト株となるように純水に溶解した。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、前述の溶液を各ウエルに分注した後、レタスの種子を10粒/ウエルで播種し、5日後の地下部(幼根)の長さを測定した。
トマトは、マイクロトムを用いた。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、トマト種子を3株/ウエルとなるように播種して栽培した。培養液として、超純水を使用した。播種、栽培は、人工気象室(28℃)で実施した。光強度150μmol
m-2 s-1程度、14時間明期、10時間暗期のサイクルで、7日間栽培した。
水、2% DSCL、0.2% DSCL、2% NAML、0.2% NAML、50μMメチルジャスモン酸を、それぞれ栽培4日目に、地上部に2μl/1個体で展着した。栽培7日目に培養液を回収し、吸着イオン交換樹脂DiaionHP−20(三菱化学社製)に通液し、純水で洗浄した後、100%メタノールで溶出を行った。溶出液を減圧濃縮後、溶液濃度が1mL/トマト株となるように純水に溶解した。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、前述の溶液を各ウエルに分注した後、レタスの種子を10粒/ウエルで播種し、5日後の地下部(幼根)の長さを測定した。
同様にして植物体のアレロパシー活性も測定した。上記栽培7日目に植物体を回収し、直ちに液体窒素で凍結した後、Retsch MM300ホモジナイザーで粉砕を行った。植物体から100%メタノールで抽出を行い、抽出液を減圧濃縮後、溶液濃度が1mL/トマト株となるように純水に溶解した。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、前述の溶液を各ウエルに分注した後、レタスの種子を10粒/ウエルで播種し、5日後の地下部(幼根)の長さを測定した。
その結果を図15に示した。発酵副生液で葉面処理したトマトの培養液、又は植物体抽出液を施用することにより、レタスの地下部の伸張が抑制された。この結果、トマトの葉面に発酵副生液を展着処理することで、トマトのアレロパシー活性が上昇することが示された。
〔実施例13〕
キュウリは、ときわ地這を用いた。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、キュウリ種子を2株/ウエルとなるように播種して栽培した。培養液として、超純水を使用した。播種、栽培は、人工気象室(28℃)で実施した。光強度150μmol m-2 s-1程度、14時間明期、10時間暗期のサイクルで、7日間栽培した。
水、2% DSCL、0.2% DSCL、2% NAML、0.2% NAML、50μMメチルジャスモン酸を、それぞれ栽培3日目に、地上部に2μl/1個体で展着した。栽培6日目に培養液を回収し、吸着イオン交換樹脂DiaionHP−20(三菱化学社製)に通液し、純水で洗浄した後、100%メタノールで溶出を行った。溶出液を減圧濃縮後、溶液濃度が1mL/キュウリ株となるように純水に溶解した。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、前述の溶液を各ウエルに分注した後、レタス或いはヒエ(白ヒエ)の種子を10粒/ウエルで播種し、レタスは5日後の地下部(幼根)の長さ、ヒエは5日後の地上部、地下部の長さを測定した。
キュウリは、ときわ地這を用いた。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、キュウリ種子を2株/ウエルとなるように播種して栽培した。培養液として、超純水を使用した。播種、栽培は、人工気象室(28℃)で実施した。光強度150μmol m-2 s-1程度、14時間明期、10時間暗期のサイクルで、7日間栽培した。
水、2% DSCL、0.2% DSCL、2% NAML、0.2% NAML、50μMメチルジャスモン酸を、それぞれ栽培3日目に、地上部に2μl/1個体で展着した。栽培6日目に培養液を回収し、吸着イオン交換樹脂DiaionHP−20(三菱化学社製)に通液し、純水で洗浄した後、100%メタノールで溶出を行った。溶出液を減圧濃縮後、溶液濃度が1mL/キュウリ株となるように純水に溶解した。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、前述の溶液を各ウエルに分注した後、レタス或いはヒエ(白ヒエ)の種子を10粒/ウエルで播種し、レタスは5日後の地下部(幼根)の長さ、ヒエは5日後の地上部、地下部の長さを測定した。
その結果を図16(レタス)、図17(ヒエ)に示した。発酵副生液で葉面処理したキュウリの培養液を施用することにより、レタスの地下部の伸張が抑制された。この結果、キュウリの葉面に発酵副生液を展着処理することで、キュウリのアレロパシー活性が上昇することが示された。
〔実施例14〕
コーンは、ハニーバンダム20を用いた。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、コーン種子を2株/ウエルとなるように播種して栽培した。培養液として、超純水を使用した。播種、栽培は、人工気象室(28℃)で実施した。光強度150μmol m-2 s-1程度、14時間明期、10時間暗期のサイクルで、7日間栽培した。
水、2% DSCL、0.2% DSCL、2% NAML、0.2% NAML、50μMメチルジャスモン酸を、それぞれ栽培4日目に、地上部に2μl/1個体で展着した。栽培7日目に培養液を回収し、吸着イオン交換樹脂DiaionHP−20(三菱化学社製)に通液し、純水で洗浄した後、100%メタノールで溶出を行った。溶出液を減圧濃縮後、溶液濃度が1mL/コーン株となるように純水に溶解した。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、前述の溶液を各ウエルに分注した後、レタスの種子を10粒/ウエルで播種し、5日後の地下部(幼根)の長さを測定した。
コーンは、ハニーバンダム20を用いた。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、コーン種子を2株/ウエルとなるように播種して栽培した。培養液として、超純水を使用した。播種、栽培は、人工気象室(28℃)で実施した。光強度150μmol m-2 s-1程度、14時間明期、10時間暗期のサイクルで、7日間栽培した。
水、2% DSCL、0.2% DSCL、2% NAML、0.2% NAML、50μMメチルジャスモン酸を、それぞれ栽培4日目に、地上部に2μl/1個体で展着した。栽培7日目に培養液を回収し、吸着イオン交換樹脂DiaionHP−20(三菱化学社製)に通液し、純水で洗浄した後、100%メタノールで溶出を行った。溶出液を減圧濃縮後、溶液濃度が1mL/コーン株となるように純水に溶解した。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、前述の溶液を各ウエルに分注した後、レタスの種子を10粒/ウエルで播種し、5日後の地下部(幼根)の長さを測定した。
同様にして植物体のアレロパシー活性も測定した。上記栽培7日目に植物体を回収し、直ちに液体窒素で凍結した後、Retsch MM300ホモジナイザーで粉砕を行った。植物体から100%メタノールで抽出を行い、抽出液を減圧濃縮後、溶液濃度が1mL/コーン株となるように純水に溶解した。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、前述の溶液を各ウエルに分注した後、レタスの種子を10粒/ウエルで播種し、5日後の地下部(幼根)の長さを測定した。
その結果を図18に示した。発酵副生液で葉面処理したコーンの培養液、又は植物体抽出液を施用することにより、レタスの地下部の伸張が抑制された。この結果、コーンの葉面に発酵副生液を展着処理することで、コーンのアレロパシー活性が上昇することが示された。
〔実施例15〕
シバは、ケンタッキーブルーグラス ムーンライトSLTを用いた。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、シバ種子を3株/ウエルとなるように播種して栽培した。培養液として、超純水を使用した。播種、栽培は、人工気象室(28℃)で実施した。光強度150μmol m-2 s-1程度、14時間明期、10時間暗期のサイクルで、11日間栽培した。
シバは、ケンタッキーブルーグラス ムーンライトSLTを用いた。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、シバ種子を3株/ウエルとなるように播種して栽培した。培養液として、超純水を使用した。播種、栽培は、人工気象室(28℃)で実施した。光強度150μmol m-2 s-1程度、14時間明期、10時間暗期のサイクルで、11日間栽培した。
水、2% DSCL、0.2% DSCL、2% NAML、0.2% NAML、50μMメチルジャスモン酸を、それぞれ栽培7日目に、地上部に2μl/1個体で展着した。栽培11日目に培養液を回収し、吸着イオン交換樹脂DiaionHP−20(三菱化学社製)に通液し、純水で洗浄した後、100%メタノールで溶出を行った。溶出液を減圧濃縮後、溶液濃度が1mL/シバ株となるように純水に溶解した。6ウエルプレート中に2番濾紙(ワットマン社製)を敷き、前述の溶液を各ウエルに分注した後、レタスの種子を10粒/ウエルで播種し、5日後の地下部(幼根)の長さを測定した。
その結果を図19に示した。発酵副生液で葉面処理したシバの培養液を施用することにより、レタスの地下部の伸張が抑制された。この結果、シバの葉面に発酵副生液を展着処理することで、シバのアレロパシー活性が上昇することが示された。
Claims (27)
- アミノ酸発酵副生物、又は核酸発酵副生物を含有する、植物のアレロパシー効果、および/またはファイトアレキシン生産の増強用薬剤。
- アレロパシー効果の増強用である、請求項1に記載の薬剤。
- ファイトアレキシン生産の増強用である、請求項1に記載の薬剤。
- 使用時に、アミノ酸を0.1mM以上含有する液体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の薬剤。
- アミノ酸がL−グルタミン酸である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の薬剤。
- 核酸がイノシン酸、及びグアニル酸から選ばれる核酸である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の薬剤。
- アミノ酸を0.1mM以上含有することを特徴とする、植物のアレロパシー効果、および/またはファイトアレキシン生産の増強用薬剤。
- アレロパシー効果の増強用である、請求項7に記載の薬剤。
- ファイトアレキシン生産の増強用である、請求項7に記載の薬剤。
- 核酸を1mM以上含有することを特徴とする、植物のアレロパシー効果、またはファイトアレキシン生産の増強用薬剤。
- アレロパシー効果の増強用である、請求項10に記載の薬剤。
- ファイトアレキシン生産の増強用である、請求項10に記載の薬剤。
- 前記アレロパシー効果が、前記植物の周辺の他の植物の発芽又は生長を抑制する効果である、請求項1、2、4〜8、10、及び11のいずれか一項に記載の薬剤。
- 前記ファイトアレキシンがジテルペノイド系のファイトアレキシンである、請求項1、3、4〜7、9、10、12、及び13のいずれか一項に記載の薬剤。
- 前記ファイトアレキシンがモミラクトンである、請求項1、4〜7、10、及び13のいずれか一項に記載の薬剤。
- 前記植物が穀物、野菜、果菜、又は園芸植物である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の薬剤。
- 前記植物がイネである、請求項16に記載の薬剤。
- 請求項1〜17のいずれか一項に記載の薬剤を植物に施用する、植物のアレロパシー効果、および/またはファイトアレキシン生産を増強する方法。
- アレロパシー効果を増強する、請求項18に記載の方法。
- ファイトアレキシン生産を増強する、請求項18に記載の方法。
- 前記薬剤を、土壌への表面散布、潅注、鋤込み、植物の葉面への散布もしくは展着、水耕溶液への添加、又は種子への展着により施用する、請求項18〜20のいずれか一項に記載の方法。
- 前記薬剤を、発酵副生物の固形物換算で、0.1kg〜5000kg/ヘクタールの施用量で施用する、請求項18〜21のいずれか一項に記載の方法。
- 前記薬剤を、アミノ酸換算で0.01kg〜500kg/ヘクタールの施用量で施用する、請求項18〜22のいずれか一項に記載の方法。
- 前記薬剤を、核酸換算で0.01kg〜500kg/ヘクタールの施用量で施用する、請求項18〜22のいずれか一項に記載の方法。
- 前記植物が穀物、野菜、果菜、又は園芸植物である、請求項18〜24のいずれか一項に記載の方法。
- 前記植物がイネである、請求項25に記載の方法。
- 植物の栽培に際し、請求項1、3、4〜7、9、10、12、13、16、及び17のいずれか一項に記載の薬剤を当該植物に施用し、当該植物の周辺の他の植物の発芽又は生長を抑制する、前記植物の栽培方法。
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