図1は本発明の実施の形態に係る無線通信システム100の構成を示す図である。本実施の形態に係る無線通信システム100は、例えば、複信方式としてTDD(Time Division Duplexing)方式が採用されたLTEであって、複数の基地局1と複数の通信端末2とを備えている。このLTEでは、1つのTDDフレームが、複数のサブフレームで構成されている。複数の基地局1は、ネットワーク3に接続されており、当該ネットワーク3を通じて互いに通信することが可能となっている。
無線通信システム100では、下り通信にはOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式が使用されている。OFDMA方式では、互いに直交する複数のサブキャリアが合成されたOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号が使用される。また、無線通信システム100では、上り通信にはSC−FDMA(Single Carrier-Frequency Division Multiple Access)方式が採用されている。各基地局1は、時間軸と周波数軸とからなる2次元で特定される無線リソースを複数の通信端末2のそれぞれに個別に割り当てることによって、当該複数の通信端末2と同時に通信することが可能となっている。
図2は各基地局1の構成を示すブロック図である。図2に示されるように、各基地局1は、無線通信部10と、ネットワーク通信部11と、バッファ12と、制御部13とを備えている。
無線通信部10は、アンテナ10aで受信した受信信号に対して増幅処理及びダウンコンバート処理等を行って、ベースバンドの受信信号を生成して出力する。また、無線通信部10は、制御部13で生成されたベースバンドの送信信号に対してアップコンバート及び増幅処理等を行って、搬送帯域の送信信号を生成してアンテナ10aに入力する。これにより、アンテナ10aから無線信号が送信される。
ネットワーク通信部11は、ネットワーク3と通信を行う。ネットワーク通信部11は、ネットワーク3から送信されるデータをバッファ12に書き込む。また、ネットワーク通信部11は、バッファ12内のネットワーク3向けのデータをネットワーク3に送信する。
制御部13は、CPUやメモリなどで構成されており、機能ブロックとして、送信信号生成部130、受信データ取得部131、無線リソース割り当て部132及び周辺状況判断部133を備えている。
受信データ取得部131は、無線通信部10から出力されるベースバンドの受信信号に対して復調処理や復号化処理等を行って、当該受信信号に含まれるビットデータを取得する。そして、受信データ取得部131は、取得したビットデータのうち、ネットワーク3向けのビットデータをバッファ12内に記憶する。
送信信号生成部130は、バッファ12内の通信端末2向けのビットデータを含む信号を生成する。そして、送信信号生成部130は、生成した信号に対して符号化処理や変調処理等を行って、ベースバンドの送信信号を生成して出力する。
無線リソース割り当て部132は、通信対象の各通信端末2に対して、当該通信端末2に基地局1が信号を送信する際に使用する無線リソース(以後、「下り無線リソース」と呼ぶことがある)を割り当てる。これにより、各通信端末2について、下り通信(OFDMA方式)に使用される周波数帯域(サブキャリア)及び通信時間帯が決定される。送信信号生成部130は、無線リソース割り当て部132での下り無線リソースの割り当て結果に基づいて、ベースバンドの送信信号を生成するとともに、無線通信部10を制御して当該送信信号の無線送信タイミングを制御する。これにより、無線通信部10は、各通信端末2に対して、当該通信端末2に割り当てられた下り無線リソースを用いて信号を送信する。
また、無線リソース割り当て部132は、通信対象の各通信端末2に対して、当該通信端末2が基地局1に信号を送信する際に使用する無線リソース(以後、「上り無線リソース」と呼ぶことがある)を割り当てる。これにより、各通信端末2について、上り通信(SC−FDMA方式)に使用される周波数帯域及び通信時間帯が決定される。送信信号生成部130は、無線リソース割り当て部132において通信端末2に対して上り無線リソースが割り当てられると、当該上り無線リソースを当該通信端末2に通知するための通知信号を生成する。そして、送信信号生成部130は、生成した通知信号を含む、ベースバンドの送信信号を生成して、これを無線通信部10に入力する。これにより、各通信端末2には、当該通信端末2に基地局1で割り当てられた上り無線リソースが通知される。各通信端末2は、基地局1から通知された上り無線リソースを用いて信号を基地局1に送信する。
周辺状況判断部133は、自身が属する基地局1の周辺において、当該基地局1が属する無線通信システム100とは別の無線通信システムの基地局、本実施の形態では、TD−SCDMA(Time Division-Synchronous Code Division Multiple Access、時分割−同期符号分割多元接続)の基地局が存在するか否かを判断する。基地局1では、周辺状況判断部133において、当該基地局1の周辺にTD−SCDMAの基地局が存在すると判断された場合と、当該基地局1の周辺にTD−SCDMAの基地局が存在しないと判断された場合とで、使用されるTDDフレームのフレームフォーマットが異なるようになっている。この基地局1の動作については後で詳細に説明する。
図3は各通信端末2の構成を示すブロック図である。図3に示されるように、各通信端末2は、無線通信部20と、バッファ21と、制御部22とを備えている。
無線通信部20は、アンテナ20aで受信した受信信号に対して増幅処理及びダウンコンバート処理等を行って、ベースバンドの受信信号を生成して出力する。また、無線通信部20は、制御部22で生成されたベースバンドの送信信号に対してアップコンバート及び増幅処理等を行って、搬送帯域の送信信号を生成してアンテナ20aに入力する。これにより、アンテナ20aから無線信号が送信される。
制御部22は、CPUやメモリなどで構成されており、機能ブロックとして、送信信号生成部220、受信データ取得部221及び同期処理部222を備えている。
受信データ取得部221は、無線通信部20から出力されるベースバンドの受信信号に対して復調処理や復号化処理等を行って、当該受信信号に含まれるビットデータを取得する。そして、受信データ取得部221は、取得したビットデータを受信データとしてバッファ21に書き込む。受信データには、通信端末2に基地局1で割り当てられた上り無線リソースを特定するための情報も含まれている。
送信信号生成部220は、バッファ21内の受信データ等に基づいて、基地局1に送信するビットデータを送信データとして生成し、生成した送信データを一時的にバッファ21に書き込む。そして、送信信号生成部220は、バッファ21内の送信データを含む信号を生成し、生成した信号に対して符号化処理や変調処理等を行って、ベースバンドの送信信号を生成して出力する。送信信号生成部220は、自身が属する通信端末2に基地局1で割り当てられた上り無線リソースを用いて、ベースバンドの送信信号を生成するとともに、無線通信部20を制御して当該送信信号の無線送信タイミングを制御する。これにより、無線通信部20は、自身が属する通信端末2に割り当てられた上り無線リソースを用いてデータを送信する。
同期処理部222は、無線通信部20で受信された、基地局1からのフレーム同期信号に基づいて、通信端末2でのフレームタイミングを基地局1でのフレームタイミングに同期させるフレーム同期処理を行う。これにより、通信端末2は、基地局1と同期して動作することができる。同期処理部222でのフレーム同期処理については後で詳細に説明する。
次に無線通信システム100で使用されるTDDフレーム300について詳細に説明する。TDDフレーム300は、時間軸と周波数軸とからなる2次元で特定される。TDDフレーム300の周波数帯域幅(システム帯域幅)は例えば20MHzであって、TDDフレーム300の時間長は10msである。基地局1は、TDDフレーム300から、各通信端末2に対して割り当てる上り無線リソース及び下り無線リソースを決定する。
図4はTDDフレーム300の構成を示す図である。図4に示されるように、TDDフレーム300は、2つのハーフフレーム301で構成されている。各ハーフフレーム301は、5個のサブフレーム302で構成されている。つまり、TDDフレーム300は10個のサブフレーム302で構成されている。部分フレームであるサブフレーム302の時間長は1msである。以後、TDDフレーム300を構成する10個のサブフレーム302を、先頭から順に第0〜第9サブフレーム302とそれぞれ呼ぶことがある。
各サブフレーム302は、時間方向に2つのスロット303を含んで構成されている。各スロット303は、7個のシンボル期間304で構成されている。したがって、各サブフレーム302は、時間方向に14個のシンボル期間304を含んでいる。このシンボル期間304は、OFDMA方式の下り通信では、OFDMシンボルの1シンボル期間となり、SC−FDMA方式の上り通信では、DFTS(Discrete Fourier Transform Spread)−OFDMシンボルの1シンボル期間となる。各シンボル期間304は、CP(サイクリック・プリフィックス)が含められるCP期間305と有効シンボル期間306とで構成されている。
以上のように構成されるTDDフレーム300には、少なくとも1つの上り通信用のサブフレーム302と、少なくとも2つの下り通信用のサブフレーム302とが含められる。以後、上り通信用のサブフレーム302を「上りサブフレーム302」と呼び、下り通信用のサブフレーム302を「下りサブフレーム302」と呼ぶ。
LTEでは、TDDフレーム300において、周波数方向に180kHzの周波数帯域幅を含み、時間方向に7シンボル期間304(1スロット303)を含む領域(無線リソース)が「リソース・ブロック(RB)」と呼ばれている。通信端末2に対する無線リソースの割り当てはRB単位で行われる。また、OFDMA方式が適用される下りサブフレーム302では、周波数方向に1サブキャリアを含み、時間方向に1シンボル期間304を含む領域(無線リソース)が「リソース・エレメント」と呼ばれている。
また、LTEでは、TDDフレーム300の構成については、上りサブフレーム302と下りサブフレーム302の組み合わせが異なる7種類の構成が規定されている。図5は当該7種類の構成を示す図である。
図5に示されるように、LTEでは、0番〜6番までのTDDフレーム300の構成が規定されている。無線通信システム100では、この7種類の構成のうちの一つの構成を使用する。図5では、「D」で示されるサブフレーム302は、下りサブフレーム302を意味し、「U」で示されるサブフレーム302は、上りサブフレーム302を意味している。また、「SW」で示されるサブフレーム302は、無線通信システム100において、下り通信から上り通信への切り替えが行われるサブフレーム302を意味している。このサブフレーム302を「切り替えサブフレーム302」と呼ぶことがある。
0番の構成を有するTDDフレーム300では、第0及び第5サブフレーム302が下りサブフレーム302となっており、第2〜第4サブフレーム302及び第7〜第9サブフレーム302が上りサブフレーム302となっており、第1及び第6サブフレーム302が切り替えサブフレーム302となっている。また、4番の構成を有するTDDフレーム300では、第0サブフレーム302及び第4〜第9サブフレーム302が下りサブフレーム302となっており、第2及び第3サブフレーム302が上りサブフレーム302となっており、第1サブフレーム302が切り替えサブフレーム302となっている。
図6は、0番の構成を有するTDDフレーム300を示す図である。図6に示されるように、切り替えサブフレーム302は、時間方向に、下りパイロットタイムスロット(DwPTS)401と、ガードタイム(GP)400と、上りパイロットタイムスロット(UpPTS)402とを含んでいる。LTEでは、下りパイロットタイムスロット401、ガードタイム400及び上りパイロットタイムスロット402の時間長の組み合わせについて、複数種類の組み合わせが規定されている。
切り替えサブフレーム302は、LTEの基地局1の周辺に、TD−SCDMAの基地局を配置することを可能とするために必要な部分フレームである。TD−SCDMAで使用されるフレームにおいても、切り替えサブフレーム302と同じ構成を有する部分フレームが規定されており、当該部分フレームと、LTEの切り替えサブフレーム302とは同期している。
ガードタイム400は、下り通信から上り通信に切り替えるために必要な無信号期間であって、通信には使用されない。下りパイロットタイムスロット401は、TD−SCDMAにおいて下り方向のパイロット信号(既知信号)が送信される期間である。上りパイロットタイムスロット402は、TD−SCDMAにおいて上り方向のパイロット信号(既知信号)が送信される期間である。したがって、LTEの基地局1が、下りパイロットタイムスロット401において信号を送信しなければ、当該基地局1の周辺に配置されたTD−SCDMAの基地局が送信するパイロット信号と、当該基地局1が送信する信号とが干渉することを抑制できる。また、LTEの基地局1と通信する通信端末2が、上りパイロットタイムスロット402において信号を送信しなければ、当該基地局1の周辺に配置されたTD−SCDMAの基地局と通信する通信端末が送信するパイロット信号と、当該基地局1と通信する通信端末2が送信する信号とが干渉することを抑制できる。よって、LTEの基地局1の周辺に、TD−SCDMAの基地局を配置することが可能となる。
このように、基地局1の周辺にTD−SCDMAの基地局が存在する場合には、基地局1は下りパイロットタイムスロット401において信号を送信できず、通信端末2は上りパイロットタイムスロット402において信号を送信できない。
一方で、基地局1の周辺にTD−SCDMAの基地局が存在しなければ、基地局1が下りパイロットタイムスロット401において信号を送信したり、通信端末2が上りパイロットタイムスロット402において信号を送信したりとしても問題が生じることは無い。
以上の点に鑑み、本実施の形態に係る無線通信システム100では、図7に示されるように、基地局1の周辺にTD−SCDMAの基地局900が存在する場合には、言い換えれば、基地局1の通信エリア1aと部分的に重複する通信エリア900aを有するTD−SCDMAの基地局900が存在する場合には、切り替えサブフレーム302を用いて基地局1と通信端末2との間の通信は行わず、基地局1の周辺にTD−SCDMAの基地局が存在しない場合には、切り替えサブフレーム302を用いて基地局1と通信端末2との間の通信を行うようにする。これにより、切り替えサブフレーム302を有効利用することができる。本実施の形態では、基地局1の周辺にTD−SCDMAの基地局が存在しない場合の切り替えサブフレーム302の利用方法として、複数の利用方法を提案する。
以後、図6に示されるように、切り替えサブフレーム302において、時間方向に下りパイロットタイムスロット401を含む部分を「他利用下り無線リソース410」と呼び、時間方向に上りパイロットタイムスロット402を含む部分を「他利用上り無線リソース420」と呼ぶ。また、特に断らない限り、本無線通信システム100では、TDDフレーム300の構成として0番の構成が採用されているものとする。
<切り替えサブフレームの第1の利用方法>
LTEにおいては、通信端末2がフレーム同期処理で使用する2種類の既知のフレーム同期信号が、第0及び第5サブフレーム302のそれぞれにおいて送信される。LTEでは、第0及び第5サブフレーム302は、TDDフレーム300の構成にかかわらず、常に下りサブフレーム302である。2種類のフレーム同期信号のうち、一方のフレーム同期信号は、P−SCH(Primary Synchronization Channel)と呼ばれる、下りサブフレーム302内に割り当てられた無線リソースで送信される。他方のフレーム同期信号は、S−SCH(Secondary SCH)と呼ばれる、下りサブフレーム302内に割り当てられた無線リソースで送信される。以後、P−SCHで送信されるフレーム同期信号を「第1同期信号」と呼び、S−SCHで送信されるフレーム同期信号「第2同期信号」と呼ぶ。
図8は、第0及び第5サブフレーム302のそれぞれにおいて、P−SCH501とS−SCH502が割り当てられている様子を示す図である。
図8に示されるように、P−SCH501は、時間方向では、下りサブフレーム302の先頭から6番目のシンボル期間304に割り当てられ、周波数方向では、下りサブフレーム302の周波数帯域の中央部に配置される。また、S−SCH502は、時間方向において、下りサブフレーム302の先頭から7番目のシンボル期間304に配置され、周波数方向では、下りサブフレーム302の周波数帯域の中央部に配置される。P−SCH501及びS−SCH502のそれぞれには、72本のサブキャリアが含まれている。この72本のサブキャリアには、DCキャリア及びヌルキャリアが含まれている。
第1同期信号は、P−SCH501に含まれる複数のサブキャリアをそれぞれ変調する複数の複素シンボルで構成されている。LTEでは、第1同期信号を構成する複数の複素シンボルから成る符号パターン(以後、「第1符号パターン」と呼ぶ)が3種類規定されている。この3種類の第1符号パターンには、互いに直交する3種類の符号系列がそれぞれ採用されている。基地局1は、3種類の第1符号パターンのいずれか一つを、第1同期信号としてP−SCH501を使用して送信する。
第1同期信号と同様に、第2同期信号は、S−SCH502に含まれる複数のサブキャリアをそれぞれ変調する複数の複素シンボルで構成されている。LTEでは、第2同期信号を構成する複数の複素シンボルから成る符号パターン(以後、「第2符号パターン」と呼ぶ)が168種類規定されている。基地局1は、168種類の第2符号パターンのいずれか一つを、第2同期信号としてS−SCH502を使用して送信する。
また、LTEにおいては、第0サブフレーム302で送信される第2同期信号と、第5サブフレーム302で送信される第2同期信号との間では、送信に使用される複数のサブキャリアの周波数帯域がオフセットされている。言い換えれば、第0サブフレーム302で送信される第2同期信号と、第5サブフレーム302で送信される第2同期信号との間では、送信される際に使用される複数のサブキャリアが一部異なっている。
このように、LTEでは、3種類の第1符号パターンと、168種類の第2符号パターンとが規定されていることから、第1符号パターンと第2符号パターンとを組み合わせることによって、504種類の識別番号を定義することができる。例えば、第2符号パターンに基地局の識別番号(以後、「基地局識別番号」と呼ぶ)を割り当て、第1符号パターンにセクタの識別番号(以後、「セクタ識別番号」と呼ぶ)を割り当てる。基地局1は、あるセクタに存在する通信端末2に対して、そのセクタに係るセクタ識別番号を示す第1符号パターン(第1同期信号)をP−SCH501で使用して送信するとともに、自装置に係る基地局識別番号を示す第2符号パターン(第2同期信号)をS−SCH502で送信する。これにより、通信端末2は、第1及び第2同期信号を受信することによって、自装置が通信する基地局1の基地局識別番号と、自装置が存在するセクタのセクタ識別番号とを取得することができる。
本例では、基地局1の周辺にTD−SCDMAの基地局が存在しない場合には、切り替えサブフレーム302の他利用下り無線リソース410を使用してフレーム同期信号を送信する。具体的には、他利用下り無線リソース410にP−SCH501を割り当てて、当該P−SCH501を使用して第1同期信号を送信する。通信端末2は、まず、下りサブフレーム302で送信される第1及び第2同期信号を用いてフレーム同期処理を行う。その後、通信端末2は、他利用下り無線リソース410で送信される第1同期信号を用いて再度フレーム同期処理を行って、フレームタイミングのずれを補正する。
図9は切り替えサブフレーム302でのP−SCH501の割り当て例を示す図である。図9に示されるように、第1及び第6サブフレーム302の他利用下り無線リソース410のそれぞれでは、下りサブフレーム302に配置されるP−SCH501と同じ大きさのP−SCH501が、他利用下り無線リソース410に含まれる複数のシンボル期間304の1つに配置される。基地局1は、周辺状況判断部133が基地局1の周辺にTD−SCDMAの基地局が存在しないと判断すると、第0及び第5サブフレーム302を用いて第1及び第2同期信号を送信するとともに、第1及び第6サブフレーム302の他利用下り無線リソース410に割り当てられたP−SCH501を使用して第1同期信号を送信する。
また、本例においては、他利用下り無線リソース410においてP−SCH501が割り当てられる領域は、通信エリアが互いに部分的に重複する複数の基地局1の間において、互いに重複することなく異なるようになっている。図10,11は、図9のようにP−SCH501が他利用下り無線リソース410に割り当てられた基地局1の周辺に位置する基地局1でのP−SCH501の他利用下り無線リソース410での割り当て例を示す図である。
図10の例では、図9の例と比べて、他利用下り無線リソース410において、P−SCH501は、時間方向では同じシンボル期間304に割り当てられているものの、周波数方向では異なった周波数帯域に割り当てられている。また、図11の例では、図9の例と比べて、他利用下り無線リソース410において、P−SCH501は、周波数方向では同じ周波数帯域に割り当てられているものの、時間方向では異なったシンボル期間304に割り当てられている。
このように、本例においては、基地局1と、その周辺の基地局1との間においては、他利用下り無線リソース410内にP−SCH501が割り当てられる領域が互いに重複することなく異なっている。したがって、基地局1は、その周辺の基地局1とは異なる周波数帯域、あるいは異なる送信時間帯(シンボル期間304)を用いて、他利用下り無線リソース410の第1同期信号を送信することになる。よって、基地局1が他利用下り無線リソース410を用いて送信する第1同期信号と、その周辺の基地局1が他利用下り無線リソース410を用いて送信する第1同期信号とが干渉することを抑制することができる。
次に本例に係る基地局1及び通信端末2の動作について説明する。図12は基地局1の動作を示すフローチャートである。図13は通信端末2でのフレーム同期処理を示すフローチャートである。
基地局1が電柱等に設置されてその電源が投入されると、図12に示されるように、ステップs1において、周辺状況判断部133が、基地局1の周辺にTD−SCDMAの基地局が存在するか否かを判断する。
例えば、周辺状況判断部133は、無線通信部10が受信する、周辺基地局からのシステム情報に基づいて、基地局1の周辺にTD−SCDMAの基地局が存在するか否かを判断する。基地局1の周辺の各基地局は、自装置が属する無線通信システムを特定するための特定情報を含むシステム情報を送信している。したがって、周辺状況判断部133は、周辺基地局が送信するシステム情報に基づいて、基地局1の周辺にTD−SCDMAの基地局が存在するか否かを判断することができる。
また、周辺状況判断部133は、ネットワーク3に接続された上位装置から通知される周辺基地局情報に基づいて、基地局1の周辺にTD−SCDMAの基地局が存在するか否かを判断しても良い。上位装置は、各基地局に関する情報を記憶しており、基地局から要求があると、その基地局に対して、当該基地局の周辺の基地局に関する情報を周辺基地局情報として送信するように構成されている。この周辺基地局情報には、周辺基地局が属する無線通信システムを特定するための特定情報が含まれている。したがって、周辺状況判断部133は、上位装置からの周辺基地局情報に基づいて、基地局1の周辺にTD−SCDMAの基地局が存在するか否かを判断することができる。
また、周辺状況判断部133は、基地局1の制御部13に予め記憶されている周辺基地局情報に基づいて、基地局1の周辺にTD−SCDMAの基地局が存在するか否かを判断しても良い。この場合には、基地局1に対して、その周辺の各基地局に関する情報を周辺基地局情報として予め記憶しておく。この周辺基地局情報に、周辺基地局が属する無線通信システムを特定するための特定情報を含ませることによって、周辺状況判断部133は、基地局1の周辺にTD−SCDMAの基地局が存在するか否かを判断することができる。
ステップs1において、周辺状況判断部133が、基地局1の周辺にTD−SCDMAが存在すると判断すると、ステップs2において、制御部13は、切り替えサブフレーム302を通信端末2との通信に使用しないと決定する。この場合には、他利用下り無線リソース410にはP−SCH501は割り当てられない。
一方で、ステップs1において、周辺状況判断部133が、基地局1の周辺にTD−SCDMAが存在すると判断すると、ステップs3において、制御部13は、TDDフレーム300のフレームフォーマットを変更して、第1及び第6サブフレーム302の他利用下り無線リソース410のそれぞれにP−SCH501を割り当てる。
その後、無線通信部10が、フレーム同期処理が完了した旨を通知するための同期完了通知信号を通信端末2から受信すると、ステップs5において、送信信号生成部130は、フレームフォーマットが変更されたことを通知するための変更通知信号を生成する。この変更通知信号には、他利用下り無線リソース410におけるP−SCH501の範囲(周波数帯域及びシンボル期間)を特定するための特定情報が含まれている。そして、無線通信部10は、送信信号生成部130で生成された変更通知信号を、ステップs4での同期完了通知信号の送信元の通信端末2に送信する。
通信端末2では、図13に示されるように、ステップs11において、その電源がオンとなって、無線通信部20と基地局1との通信が開始すると、ステップs12において、同期処理部222は、下りサブフレーム302で送信される第1同期信号を用いて、通信端末2でのサブフレームタイミングを、基地局1でのサブフレームタイミングに同期させる処理を行う。つまり、同期処理部222は、通信端末2でのサブフレーム302の先頭タイミングを、基地局1でのサブフレーム302の先頭タイミングに一致させる処理を行う。
ステップs12では、同期処理部222は、第1符号パターンについてのパターンマッチングを行う。具体的には、同期処理部222は、LTEで規定されている3種類の第1符号パターンのそれぞれについて、自身が生成した第1符号パターンと、無線通信部20で受信される、第1符号パターンが送信される周波数帯域の信号との間において相関値のピークが検出されるかを確認する。なお、通信端末2は、下りサブフレーム302内でのP−SCH501の範囲を予め記憶しているため、第1符号パターン(第1同期信号)が送信される周波数帯域及びシンボル期間304を認識することができる。
上述のように、基地局1からは、LTEで規定されている3種類の第1符号パターンのうちの1つが第1同期信号として送信されることから、基地局1から送信される第1同期信号に係る第1符号パターンと、同期処理部222で生成された第1符号パターンとのタイミングと符号系列とが一致すれば、それらの相関値はピークを示すようになる。同期処理部222は、自身が生成した第1符号パターンと、無線通信部20での受信信号(第1符号パターンが送信される周波数帯域での受信信号)との間に相関値のピークが検出されると、そのときの受信信号の受信タイミングを第1同期信号の受信タイミングとする。そして、同期処理部222は、第1同期信号の受信タイミングから、基地局1でのサブフレーム302の先頭タイミングを特定する。その後、同期処理部222は、通信端末2でのサブフレーム302の先頭タイミングを、基地局1でのサブフレーム302での先頭タイミングに一致させる。これにより、通信端末2では、サブフレームタイミングの同期が完了する。制御部22は、3種類の第1符号パターンのうち、無線通信部20での受信信号との間で相関値のピークが検出された第1符号パターンが示すセクタ識別番号を、通信端末2が属するセクタのセクタ識別番号とする。
次にステップs13において、同期処理部222は、下りサブフレーム302で送信される第2同期信号を用いて、通信端末2でのフレームタイミングを、基地局1でのフレームタイミングに同期させる処理を行う。つまり、同期処理部222は、通信端末2でのTDDフレーム300の先頭タイミングを、基地局1でのTDDフレーム300の先頭タイミングに一致させる処理を行う。
ステップs13では、同期処理部222は、第2符号パターンのパターンマッチングを行う。具体的には、同期処理部222は、LTEで規定されている168種類の第2符号パターンのそれぞれについて、自身が生成した第2符号パターンと、無線通信部20で受信された、第2符号パターンが送信される周波数帯域の信号との間で相関値のピークが検出されるかを確認する。なお、通信端末2は、下りサブフレーム302内でのS−SCH502の範囲を予め記憶しているため、第2符号パターン(第2同期信号)が送信される周波数帯域及びシンボル期間304を認識することができる。
上述のように、基地局1からは、LTEで規定されている168種類の第2符号パターンのうちの1つが第2同期信号として送信されることから、基地局1から送信される第2同期信号に係る第2符号パターンと、同期処理部222で生成された第2符号パターンとのタイミングと符号系列とが一致すれば、それらの相関値はピークを示すようになる。同期処理部222は、自身が生成した第2符号パターンと、無線通信部20での受信信号との間に相関値のピークが検出されると、そのときの受信信号の受信タイミングを基地局1からの第2同期信号の受信タイミングとする。そして、制御部22は、168種類の第2符号パターンのうち、無線通信部20での受信信号との間で相関値のピークが検出された第2符号パターンが示す基地局識別番号を、通信端末2が通信する基地局1の基地局識別番号とする。
ここで、上述のように、第0及び第5サブフレーム302で送信される第2同期信号の間では、送信に使用される複数のサブキャリアの周波数帯域がオフセットされている。したがって、同期処理部222は、自身が生成した第2符号パターンとの間で相関値を求める受信信号の周波数帯域を、第0サブフレーム302の第2符号パターンが送信される周波数帯域に設定しているか、第5サブフレーム302の第2符号パターンが送信される周波数帯域に設定しているかによって、求めた第2同期信号の受信タイミングが、第0サブフレーム302の第2同期信号についての受信タイミングか、第5サブフレーム302の第2同期信号についての受信タイミングかを区別することができる。
その後、同期処理部222は、求めた第2同期信号の受信タイミングから、基地局1でのTDDフレーム300の先頭タイミングを特定する。そして、同期処理部222は、特定した基地局1でのTDDフレーム300の先頭タイミングに、通信端末2でのTDDフレーム300の先頭タイミングを一致させる。これにより、通信端末2では、フレームタイミングの同期が完了する。
ステップs13においてフレームタイミングの同期が完了すると、ステップs14において、送信信号生成部220は、フレーム同期処理が完了した旨を通知するための同期完了通知信号を生成する。そして、無線通信部20が、この同期完了通知信号を基地局1に送信する。
その後、ステップs15において、無線通信部20が基地局1からの変更通知信号を受信すると、同期処理部222は、ステップs16において、他利用下り無線リソース410を使用して送信される第1同期信号を用いて、再度フレーム同期処理を行って、通信端末2での現在のフレームタイミングのずれを補正する。
ここで、同期処理部222は、すでに一度フレーム同期処理を行っていることから、基地局1から送信される第1同期信号に係る第1符号パターンの種類を把握している。また、通信端末2では一度はフレーム同期処理が行われていることから、通信端末2でのフレームタイミングと基地局1でのフレームタイミングとはある程度は一致している。そして、ステップs15で通信端末2が受信した、基地局1からの変更通知信号には、他利用下り無線リソース410内でのP−SCH501の範囲を特定するための特定情報が含まれていることから、同期処理部222は、第1及び第6サブフレーム302の他利用下り無線リソース410の第1同期信号を受信するタイミングをある程度特定することができる。
ステップs16では、同期処理部222は、基地局1が送信する第1同期信号に係る第1符号パターンを生成し、当該第1符号パターンと、第1サブフレーム302の第1同期信号を受信するであろうタイミング付近において無線通信部20で受信される、第1符号パターンが送信される周波数帯域の信号との相関値のピークを検出する。そして、同期処理部222は、自身が生成した第1符号パターンとの間の相関値がピークを成す受信信号の受信タイミングを、第1サブフレーム302の第1同期信号の受信タイミングとする。その後、同期処理部222は、第1サブフレーム302の第1同期信号の受信タイミングから、基地局1でのフレーム300の先頭タイミングを特定し、通信端末2での現在のフレームタイミングと、基地局1でのフレームタイミングとのずれ量を求める。
同様にして、同期処理部222は、基地局1から送信される第1符号パターンを生成し、当該第1符号パターンと、第6サブフレーム302の第1同期信号を受信するであろうタイミング付近において無線通信部20で受信される、第1符号パターンが送信される周波数帯域の信号との相関値のピークを検出する。そして、同期処理部222は、自身が生成した第1符号パターンとの間の相関値がピークを成す受信信号の受信タイミングを、第6サブフレーム302の第1同期信号の受信タイミングとする。その後、同期処理部222は、第6サブフレーム302の第1同期信号の受信タイミングから、基地局1でのフレーム302の先頭タイミングを特定し、通信端末2での現在のフレームタイミングと、基地局1でのフレームタイミングとのずれ量を求める。
次に同期処理部222は、求めた2つのずれ量の平均値を算出する。そして、同期処理部222は、求めた平均値に基づいて、通信端末2での現在のTDDフレーム300の先頭タイミングを補正する。これにより、通信端末2でのフレームタイミングのずれが補正され、通信端末2でのTDDフレーム300の先頭タイミングが、基地局1でのTDDフレーム300の先頭タイミングに再度一致するようになる。
以後、同期処理部222は、ステップs16の処理を定期的に、例えば数秒ごとに実行して、通信端末2と基地局1との間でのフレームタイミングの同期を維持する。
以上のように、基地局1の周辺に、当該基地局1が属する無線通信システムとは別の無線通信システムに属する基地局が存在しない場合には、当該別の無線通信システムにおいて既知信号の送信に使用される切り替えサブフレーム302を用いて通信を行うことによって、切り替えサブフレーム302を有効利用することができる。
また、本例においては、通信端末2は、通信対象の基地局1が他利用下り無線リソース410において当該基地局1の周辺の基地局1とは異なる周波数帯域、あるいは当該基地局1の周辺の基地局1とは異なる送信時間帯を用いて送信するフレーム同期信号を用いてフレーム同期処理を行っている。したがって、通信端末2は、通信対象の基地局1から送信される、他の基地局1のフレーム同期信号との干渉が少ないフレーム同期信号を用いて、フレーム同期処理を行うことができる。よって、フレーム同期精度が向上する。
なお、上記の例では、セクタ間での干渉を防止するために、他利用下り無線リソース410で送信するフレーム同期信号として、直交符号系列が採用された第1同期信号を使用した。しかしながら、セクタ間の干渉を許容できる場合には、他利用下り無線リソース410で送信するフレーム同期信号として、直交符号系列ではない第2同期信号を使用しても良い。
また、上記の例では、第1及び第5サブフレーム302の他利用下り無線リソース410のそれぞれを用いてフレーム同期信号を送信したが、どちらか一方のサブフレーム302だけを用いてフレーム同期信号を送信しても良い。この場合には、同期処理部222は、第1及び第5サブフレーム302のどちらか一方で送信されたフレーム同期信号を用いて求めた上記ずれ量に基づいて、通信端末2での現在のTDDフレーム300の先頭タイミングを補正することになる。
また、上記の例では、下りサブフレーム302と他利用下り無線リソース410の両方を使用してフレーム同期信号を送信したが、他利用下り無線リソース410だけを使用してフレーム同期信号を送信しても良い。この場合には、通信端末2は、他利用下り無線リソース410で送信されるフレーム同期信号だけを用いてフレーム同期処理を行うことになる。
<切り替えサブフレームの第2の利用方法>
LTEにおいては、通信端末2は、PRACH(Physical Random Access Channel)と呼ばれる物理チャネルや、PUCCH(Phsical Uplink Control Channel)と呼ばれる物理チャネルを用いて制御信号を基地局1に送信する。PRACHでは既知信号であるプリアンブル信号が送信される。PUCCHは、通信端末2が、ユーザデータの送信に使用する上り無線リソースが基地局1から割り当てられていない時に使用される制御チャネルである。PUCCHでは、既知信号ではない制御信号が送信される。具体的には、ユーザデータの送信に使用する上り無線リソースの割り当てを基地局1に要求するための信号、基地局1からの信号を正常に受信したか否かを示すACK/NACK情報、基地局1からの信号の受信状態を示すCQI(Channel Quality Indicater)情報などが、PUCCHで送信される。PRACH及びPUCCHは、各上りサブフレーム302に配置される。
図14は、基地局1が4台の通信端末2と通信を行う際の上りサブフレーム302内でのPUCCH600及びPRACH601の割り当て例を示す図である。図14のPUCCH♯1〜PUCCH♯4は、♯1〜♯4の通信端末2が使用するPUCCH600をそれぞれ意味している。
図14に示されるように、基地局1が通信する各通信端末2に対して、上りサブフレーム302に含まれる2つのスロット303のそれぞれにおいて、PUCCH600が割り当てられる。一方のスロット303に配置されるPUCCH600と、それと対を成す、他方のスロット303に配置されるPUCCH600とは、上りサブフレーム302において対角の位置に配置される。
これに対して、PRACH601は、上りサブフレーム302において、最も内側のPUCCH600と隣接するように上りサブフレーム302の先頭から末尾にかけて同一周波数帯域に割り当てられる。
通信端末2は、上りサブフレーム302において、PUCCH600及びPRACH601以外の領域を利用してユーザデータを送信する。以後、上りサブフレーム302においてユーザデータの送信に使用される領域を「上りデータ領域602」と呼ぶ。また、PUCCH600及びPRACH601をまとめて「上り制御チャネル」と呼ぶことがある。
本無線通信システム100においては、基地局1と通信する通信端末2の数が多くなると、上りサブフレーム302において、上り制御チャネルが占める範囲が大きくなり、上りデータ領域602の範囲が小さくなる。その結果、通信端末2の送信スループットが低下する。
そこで、本例では、基地局1の周辺にTD−SCDMAの基地局が存在しない場合には、TDDフレーム300において、少なくとも一つの上りサブフレーム302に上り制御チャネルを割り当てる代わりに、切り替えサブフレーム302の他利用上り無線リソース420に上り制御チャネルを割り当てる。これにより、当該少なくとも一つの上りサブフレーム302において、上りデータ領域602として使用できる領域を広げることができる。よって、通信端末2の送信スループットの向上が可能となる。
図15は他利用上り無線リソース420に対する上り制御チャネルの割り当て例を示す図である。図15の例では、第2サブフレーム302に上り制御チャネルを割り当てる代わりに、第1サブフレーム302の他利用上り無線リソース420に上り制御チャネルが割り当てられている。そして、第2サブフレーム302において上り制御チャネルが本来割り当てられる領域が上りデータ領域602となっている。
また、図15の例では、第7サブフレーム302に上り制御チャネルが割り当てられる代わりに、第6サブフレーム302の他利用上り無線リソース420に上り制御チャネルが割り当てられている。そして、第7サブフレーム302において上り制御チャネルが本来割り当てられる領域が上りデータ領域602となっている。
次に、本例に係る基地局1及び通信端末2の動作について説明する。図16は基地局1の動作を示すフローチャートであって、図17は通信端末2の動作を示すフローチャートである。
図16に示されるように、ステップs31において、基地局1の周辺状況判断部133は、上述と同様にして、基地局1の周辺にTD−SCDMAの基地局が存在するか否かを判断する。周辺状況判断部133が、基地局1の周辺にTD−SCDMAが存在すると判断すると、ステップs32において、制御部13は、切り替えサブフレーム302を通信端末2との通信に使用しないと決定する。この場合には、各上りサブフレーム302にはPUCCH600及びPRACH601が割り当てられる。
一方で、周辺状況判断部133が、基地局1の周辺にTD−SCDMAが存在しないと判断すると、ステップs33において、制御部13はフレームフォーマットを変更する必要があるかを判断する。ステップs33では、無線リソース割り当て部132が、通信対象の各通信端末2からの上り無線リソースの割り当て要求に基づいて、上りサブフレーム302において必要な上りデータ領域602の大きさを決定する。そして、無線リソース割り当て部132は、上りサブフレーム302において、上り制御チャネルを割り当てたとしても、必要な上りデータ領域602を確保できる場合には、その上りサブフレーム302を通常のフォーマットで使用できると判断する。一方で、無線リソース割り当て部132は、上りサブフレーム302において、上り制御チャネルを割り当てないようにしなければ、必要な上りデータ領域602を確保できない場合には、その上りサブフレーム302のフォーマットを変更する必要があると判断する。無線リソース割り当て部132は、この処理を、TDDフレーム300に含まれる各上りサブフレーム302について行う。
無線リソース割り当て部132が、TDDフレーム300に含まれるすべての上りサブフレーム302について、通常のフォーマットで使用できると判断すると、制御部13はフレームフォーマットを変更する必要はないと判断する。そして、制御部13は、上述のステップs32において、切り替えサブフレーム302を通信端末2との通信に使用しないと決定する。この場合には、各上りサブフレーム302にはPUCCH600及びPRACH601が割り当てられる。
これに対して、TDDフレーム300において、フォーマットを変更する必要があると無線リソース割り当て部132が判断した上りサブフレーム302が一つでも存在する場合には、制御部13は、フレームフォーマットを変更する必要があると判断して、ステップs34において、TDDフレーム300のフレームフォーマットを変更する。以下に、本例でのフレームフォーマットの変更方法について説明する。
本例においては、第2サブフレーム302〜第4サブフレーム302において、フォーマットを変更する必要があると判断されたサブフレーム302が存在する場合には、フレームフォーマットを変更して、そのサブフレーム302の代わりに、第1サブフレーム302の他利用上り無線リソース420に対して上り制御チャネルを割り当てる。フォーマットを変更する必要があると判断されたサブフレーム302において、本来は上り制御チャネルとなる領域には上りデータ領域602が割り当てられる。
また、第7サブフレーム302〜第9サブフレーム302において、フォーマットを変更する必要があると判断されたサブフレーム302が存在する場合には、フレームフォーマットを変更して、そのサブフレーム302の代わりに、第6サブフレーム302の他利用上り無線リソース420に対して上り制御チャネルを割り当てる。フォーマットを変更する必要があると判断されたサブフレーム302において、本来は上り制御チャネルとなる領域には上りデータ領域602が割り当てられる。
例えば、第2サブフレーム302〜第4サブフレーム302において第2サブフレーム302だけがフォーマットを変更する必要があると判断された場合には、図15に示されるように、第2サブフレーム302の代わりに、第1サブフレーム302の他利用上り無線リソース420に上り制御チャネルを割り当てる。そして、第2サブフレーム302において、本来は上り制御チャネルとなる領域には上りデータ領域602が割り当てられる。
また、第7サブフレーム302〜第9サブフレーム302において第7サブフレーム302だけがフォーマットを変更する必要があると判断された場合には、図15に示されるように、第7サブフレーム302の代わりに、第6サブフレーム302の他利用上り無線リソース420に上り制御チャネルを割り当てる。そして、第7サブフレーム302において、本来は上り制御チャネルとなる領域には上りデータ領域602が割り当てられる。
また、第2サブフレーム302〜第4サブフレーム302において、第3及び第4サブフレーム302がフォーマットを変更する必要があると判断された場合には、第3及び第4サブフレーム302の代わりに、第1サブフレーム302の他利用上り無線リソース420に上り制御チャネルが割り当てられる。そして、第3及び第4サブフレーム302のそれぞれにおいて、本来は上り制御チャネルとなる領域には上りデータ領域602が割り当てられる。
制御部13においてフレームフォーマットが変更されると、ステップs35において、送信信号生成部130は、フレームフォーマットが変更されたことを通知するための変更通知信号を生成する。この変更通知信号には、他利用上り無線リソース420において、PUCCH600及びPRACH601のそれぞれの範囲を特定するための特定情報が含まれている。その後、ステップs36において、基地局1は、送信信号生成部130が生成した変更通知信号を無線通信部10を利用して送信する。
通信端末2では、図17に示されるように、ステップs41において、その電源がオンとなって、無線通信部20と基地局1との通信が開始すると、ステップs42において、制御部22は、無線通信部20が基地局1からの変更通知信号を受信したかを判断する。制御部22は、無線通信部20が変更通知信号を受信していないと判断すると、ステップs43において、通常のフレームフォーマットを使用して基地局1と通信を行うと判断する。これにより、通信端末2は、基地局1向けの制御信号を、各上りフレーム302に割り当てられたPUCCH600及びPRACH601を使用して送信する。
これに対して、ステップs42において、制御部22は、無線通信部20が変更通知信号を受信したと判断すると、ステップs44において、基地局1で変更されたフレームフォーマットを用いて基地局1と通信を行うと判断する。制御部22は、ステップs42において無線通信部20が受信した変更通知信号に含まれる特定情報を参照して、他利用上り無線リソース420内でのPUCCH600及びPRACH601のそれぞれの範囲を特定する。そして、制御部22は、無線通信部20が他利用上り無線リソース420に割り当てられたPUCCH600及びPRACH601を使用して制御信号を送信するように無線通信部20を制御する。
以上のように、基地局1の周辺に、当該基地局1が属する無線通信システムとは別の無線通信システムに属する基地局が存在しない場合には、当該別の無線通信システムにおいて既知信号の送信に使用される他利用上り無線リソース420を用いて通信端末2が基地局1と通信を行うことによって、他利用上り無線リソース420を有効利用することができる。
<切り替えサブフレームの第3の利用方法>
LTEにおいては、基地局1は、PDCCH(Phsical Downlink Control Channel)と呼ばれる物理チャネルを用いて、既知信号ではない制御信号を通信端末2に送信する。PDCCHでは、システム情報、通信端末2の送信電力を制御するための電力制御用パラメータ、通信端末2がハンドオーバする際に必要なセル再選択情報、周辺基地局1に関する情報を示す隣接セル情報、基地局1が通信端末2に対して割り当てた上り無線リソースを特定するための情報などが送信される。PDCCHは、各下りサブフレーム302に配置される。
図18は、下りサブフレーム302内でのPDCCH700の割り当て例を示す図である。図18での“0”〜“13”までの数字は、下りサブフレーム302内でのシンボル期間304の番号を示している。
図18に示されるように、下りサブフレーム302内には、第0シンボル期間304、第4シンボル期間304、第7シンボル期間304及び第11シンボル期間304のそれぞれにおいて、リファレンス信号(RS:Reference Signal)を送信するためのリソース・エレメント701が複数配置される。このリファレンス信号は、通信端末2が伝送路特性を推定するために必要な既知信号である。通信端末2の制御部22は、無線通信部20が受信したリファレンス信号に基づいて伝搬路特性を推定し、その推定結果に基づいて、受信信号の振幅及び位相を補正する。これにより、受信信号が伝搬路で受けた歪みが補正される。
PDCCH700は、図18に示されるように、例えば、第0シンボル期間304、第1シンボル期間304及び第2シンボル期間304において、リファレンス信号用のリソース・エレメント701を除く部分に配置される。LTEでは、PDCCH700で送信する制御信号の情報量に応じて、下りサブフレーム302の先頭から最大で3シンボル期間304にPDCCH700を配置することができる。
基地局1は、下りサブフレーム302において、リソース・エレメント701及びPDCCH700以外の領域を利用してユーザデータを送信する。以後、下りサブフレーム302においてユーザデータの送信に使用される領域を「下りデータ領域702」と呼ぶ。
本無線通信システム100においては、基地局1と通信する通信端末2の数が多くなると、下りサブフレーム302において、PDCCH700が占める範囲が大きくなり、下りデータ領域702の範囲が小さくなる。その結果、基地局1の送信スループットが低下する。
そこで、本例では、基地局1の周辺にTD−SCDMAの基地局が存在しない場合には、TDDフレーム300において、少なくとも一つの下りサブフレーム302にPDCCH700を割り当てる代わりに、切り替えサブフレーム302の他利用下り無線リソース410にPDCCH700を割り当てる。これにより、当該少なくとも一つの下りサブフレーム302において、下りデータ領域702として使用できる領域を広げることができる。よって、基地局1の送信スループットの向上が可能となる。
図19は他利用下り無線リソース410に対するPDCCH700の割り当て例を示す図である。図19の例では、第0サブフレーム302にPDCCH700が割り当てられる代わりに、第1サブフレーム302の他利用下り無線リソース410にPDCCH700が割り当てられている。そして、第0サブフレーム302において、PDCCH700が本来割り当てられる領域が下りデータ領域702となっている。
また、図19の例では、第5サブフレーム302にPDCCH700が割り当てられる代わりに、第6サブフレーム302の他利用下り無線リソース410にPDCCH700が割り当てられている。そして、第5サブフレーム302において、PDCCH700が本来割り当てられる領域が下りデータ領域702となっている。
なお、他利用下り無線リソース410に配置されたPDCCH700で送信される制御信号が伝搬路で受ける歪みを通信端末2が補正するために、図19に示されるように、リファレンス信号を送信するためのリソース・エレメント701を他利用下り無線リソース410に割り当てることが望ましい。
次に、本例に係る基地局1及び通信端末2の動作について上述の図16,17を用いて説明する。ステップs31において、基地局1の周辺状況判断部133は、基地局1の周辺にTD−SCDMAの基地局が存在するか否かを判断する。周辺状況判断部133が、基地局1の周辺にTD−SCDMAが存在すると判断すると、ステップs32において、制御部13は、切り替えサブフレーム302を通信端末2との通信に使用しないと決定する。この場合には、各下りサブフレーム302にはPDCCH700が割り当てられる。
一方で、周辺状況判断部133が、基地局1の周辺にTD−SCDMAが存在しないと判断すると、ステップs33において、無線リソース割り当て部132は、フレームフォーマットを変更する必要があるかを判断する。ステップs33において、無線リソース割り当て部132は、通信対象の各通信端末2に送信すべきデータのデータ量に基づいて、下りサブフレーム302において必要な下りデータ領域702の大きさを決定する。そして、無線リソース割り当て部132は、下りサブフレーム302において、PDCCH700を割り当てたとしても、必要な下りデータ領域702を確保できる場合には、その下りサブフレーム302を通常のフォーマットで使用できると判断する。一方で、無線リソース割り当て部132は、下りサブフレーム302において、PDCCH700を割り当てないようにしなければ、必要な下りデータ領域702を確保できない場合には、その下りサブフレーム302のフォーマットを変更する必要があると判断する。無線リソース割り当て部132は、この処理を、TDDフレーム300に含まれる各下りサブフレーム302について行う。
無線リソース割り当て部132が、TDDフレーム300に含まれるすべての下りサブフレーム302について、通常のフォーマットで使用できると判断すると、制御部13は、フレームフォーマットを変更する必要はないと判断する。そして、制御部13は、上述のステップs32において、切り替えサブフレーム302を通信端末2との通信に使用しないと決定する。この場合には、各下りサブフレーム302にはPDCCH700が割り当てられる。
これに対して、TDDフレーム300において、フォーマットを変更する必要があると無線リソース割り当て部132が判断した下りサブフレーム302が一つでも存在する場合には、制御部13は、フレームフォーマットを変更する必要があると判断して、ステップs34において、TDDフレーム300のフレームフォーマットを変更する。以下に、本例でのフレームフォーマットの変更方法について説明する。
本例においては、第0サブフレーム302のフォーマットを変更する必要があると判断された場合には、フレームフォーマットを変更して、第0サブフレーム302の代わりに、第1サブフレーム302の他利用下り無線リソース410にPDCCH700を割り当てる。第0サブフレーム302において、本来はPDCCH700となる領域は下りデータ領域702が割り当てられる。
また、第5サブフレーム302のフォーマットを変更する必要があると判断された場合には、フレームフォーマットを変更して、第5サブフレーム302の代わりに、第6サブフレーム302の他利用下り無線リソース410にPDCCH700を割り当てる。第5サブフレーム302において、本来はPDCCH700となる領域には下りデータ領域702が割り当てられる。
制御部13においてフレームフォーマットが変更されると、ステップs35において、送信信号生成部130は、フレームフォーマットが変更されたことを通知するための変更通知信号を生成する。この変更通知信号には、他利用下り無線リソース410におけるPDCCH700の範囲を特定するための特定情報が含まれている。その後、ステップs36において、基地局1は、送信信号生成部130が生成した変更通知信号を無線通信部10を利用して送信する。この変更通知信号は、変更前、つまり通常のフレームフォーマットのPDCCH700を用いて送信される。基地局1は、変更通知信号を送信した後は、変更後のフレームフォーマットで通信を行う。
通信端末2では、上述の図17に示されるように、ステップs41において、その電源がオンとなって、無線通信部20と基地局1との通信が開始すると、ステップs42において、制御部22は、無線通信部20が基地局1からの変更通知信号を受信したかを判断する。制御部22は、無線通信部20が変更通知信号を受信していないと判断すると、ステップs43において、通常のフレームフォーマットを使用して基地局1と通信を行うと判断する。これにより、通信端末2は、各下りサブフレーム302に割り当てられたPDCCH700で送信される制御信号を受信する。
これに対して、ステップs42において、制御部22は、無線通信部20が変更通知信号を受信したと判断すると、ステップs44において、基地局1で変更されたフレームフォーマットを用いて基地局1と通信を行うと判断する。制御部22は、ステップs42において無線通信部20が受信した変更通知信号に含まれる特定情報を参照して、他利用下り無線リソース410内でのPDCCH700の範囲を特定する。そして、制御部22は、他利用下り無線リソース410に割り当てられたPDCCH700で送信される送信信号を通信端末2が受信するように通信端末2の動作を制御する。
以上のように、基地局1の周辺に、当該基地局1が属する無線通信システムとは別の無線通信システムに属する基地局が存在しない場合には、当該別の無線通信システムにおいて既知信号の送信に使用される他利用下り無線リソース410を用いて基地局1が通信端末2と通信を行うことによって、他利用下り無線リソース410を有効利用することができる。
<変形例>
上記の例では、切り替えサブフレーム302を使用して、フレーム同期信号等の制御信号を送信したが、制御信号に加えて、あるいは制御信号の代わりにユーザデータを送信しても良い。例えば、図9の例では、他利用下り無線リソース410において、P−SCH501が割り当てられていない領域を使用して基地局1がユーザデータを送信しても良いし、使用されていない他利用上り無線リソース420を使用して通信端末2がユーザデータを送信しても良い。また図15の例では、他利用上り無線リソース420において、上り制御チャネルが割り当てられていない領域を使用して通信端末2がユーザデータを送信しても良いし、使用されていない他利用下り無線リソース410を使用して基地局1がユーザデータを送信しても良い。このような場合であっても、切り替えサブフレーム302を有効利用することができる。
また、上記の例では、基地局1が属する無線通信システムがLTEであって、切り替えサブフレーム302を利用する他の無線通信システムがTD−SCDMAであったが、この2つの無線通信システムの組み合わせは他の無線通信システムの組み合わせであっても良い。