JP2012005195A - モータ - Google Patents
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Abstract
【課題】永久磁石の磁力を利用することにより、電気や燃料を必要としないで連続回転するモータを開発する。
【解決手段】本発明の実施形態の一例となり得るモータは、回転子に回転子の径と概ね等しい1個のリング型永久磁石を備え、この回転子磁石は径方向に着磁され且つどの部分も均一な表面磁束密度を有し、固定子に略直方体状の磁石を回転子の外側近傍に1個以上備え、この固定子磁石は、回転子円周の接線方向とN-S磁軸を略平行にし、且つ回転中心に対して同じ側面の磁極を全て同じくする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の実施形態の一例となり得るモータは、回転子に回転子の径と概ね等しい1個のリング型永久磁石を備え、この回転子磁石は径方向に着磁され且つどの部分も均一な表面磁束密度を有し、固定子に略直方体状の磁石を回転子の外側近傍に1個以上備え、この固定子磁石は、回転子円周の接線方向とN-S磁軸を略平行にし、且つ回転中心に対して同じ側面の磁極を全て同じくする。
【選択図】図1
Description
本発明は永久磁石の磁力を利用するモータに関する。
現在、機械類を回転させる装置としては外燃機関、内燃機関の熱機関と電気を利用する電気モータがある。
外燃機関、内燃機関には代表的なものとしてそれぞれ蒸気機関とガソリンエンジンがある。電気モータには回転運動を得るものと直線運動を得るものがあり、直線運動を得るものをリニアモータと呼ぶ。
回転運動を得る電気モータには整流子電動機、誘導電動機、同期電動機など様々なタイプがあるが、何れも固定子及び(または)回転子に電磁石を備え、どちらかが回転変化する磁界を発生して、その磁界の変化によって回転力を得るものである。
電気モータは社会のあらゆる分野で利用されており、また、外燃機関や内燃機関も現代社会に必須のものとなっている。しかし、これらの装置により動力を得るには電気や燃料を供給する必要があり、必然的に熱や二酸化炭素を発生する。近年、省エネや地球温暖化防止が叫ばれ、より少ない電気や燃料の供給で仕事を行うことが可能な動力源が望まれていた。
本発明の課題は、永久磁石の磁力を利用することにより、電気や燃料を必要としないで連続回転するモータを開発することである。
前述の状況に鑑みて、発明者が鋭意検討を重ねた結果、モータでは従来まったく見られなかった磁石の利用法により、電気や燃料を必要とせずに永久磁石の磁力のみで連続回転する装置を発明した。発明者が初めて採用した磁石利用法の第一は、2個の磁石を相互作用させるに於いて、一方を径方向に着磁された(径方向にN-S磁軸)リング型磁石とし、それに対して直交するN-S磁軸を持つ比較的短い形状の磁石を、リング型磁石の外側から、または内側から作用させることである。例えば、外周がN極で全体を均一に着磁されたリング型磁石の外側に、N-S磁軸をリング型磁石の接線方向にした短い磁石を置くと、どの位置に於いても、その磁石のN極側は斥力をS極側は吸引力をリング型磁石から受けるのである。発明者が初めて用いた磁石利用法の第二は、一方の磁石の端末または側面に於ける磁力線がループ状に曲った部分を相手磁石の磁力線に作用させることである。リング型磁石は均一に着磁されており、磁力線は全ての部位で表面より垂直に出ているから、それに一方の磁石のループ状に曲った磁力線を直角に作用させると、リング型磁石の接線方向に平行で且つ同じ向きの斥力及び吸引力が発生する。したがって、端末をリング型磁石に向けた磁石を固定し、リング型磁石を回転板に付けて回転自在に作るとリング型磁石が回転し、逆にリング型磁石を固定し、端末をそれに向けた磁石を回転板に付けると今度はこちらがリング型磁石に沿って回転する。発明者はこれらの作用を証明するために幾つか実験装置を製作し、永久磁石の磁力のみで連続回転し得ることを確認した。発明者が知る限り、本発明に類似する装置は世の中に存在しない。動作原理については後段にて改めて詳述する。
本発明のモータは、回転子にリング型の永久磁石1個を備え、このリング型回転子磁石は、回転子とほぼ等しい径を有し、径方向に着磁され、且つどの部分も表面磁束密度が均一になるように着磁されている。固定子には直方体状の永久磁石を1個以上備え、これら固定子磁石は、リング型回転子磁石の外側に、端末をリング型回転子磁石の円周に向けて、また、N-S磁軸がリング円周の接線と略平行になるように設置される。したがって、固定子磁石のN-S磁軸はリング型回転子磁石のN-S磁軸と概ね直交することになる。リング型回転子磁石に対する固定子磁石の同じ側の面は全て同極とする。このような磁石配置に於いて、回転子磁石に向いた固定子磁石端末のN極側より発する磁力線はループを描いて反対側のS極に入るが、例えば相対する回転子磁石の外周がN極である場合、固定子磁石のN極側はループ状の磁力線に沿って回転子磁石に斥力を与え、固定子磁石のS極側はループ状の磁力線に沿って回転子磁石を吸引する。これら斥力、吸引力のコサイン成分は回転子円周の接線方向に同じ向きで作用するので、回転子は固定子磁石のN極側からS極側へ回転する。また、回転子磁石はどの部分も均一に着磁されている故、この作用は回転子に対してあらゆる位置で等しく働き、回転子は常に加速を得ながら回転し続ける。なお、回転子板の周縁にリング型磁石の代わりに直方体状の磁石を配し、その外側にリング型磁石を固定しても同じ原理で回転子は回転する。
本発明の好適な実施形態の例は添付の特許請求の範囲に記載されるが、本発明は、本明細書及び添付図面に明示的及び暗示的に記載される全ての特徴及びこれらの組み合わせをも、その範囲に包含する。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態の例について説明する。
実施例:1
図1は本発明のモータの構成を示す平面図及び側面断面図である。固定子は非磁性体を材料とする基盤101上に固定子磁石102〜109を備えている。固定子磁石102〜109は素材をネオジウム、形状を直方体とするのが好ましいが必ずしもその限りでない。固定子磁石102〜109は長手方向と直交するN-S磁軸を有しており、リング型回転子磁石111と組み合わせたときに長手方向が回転子磁石111に対して略直角になるように、また、同じ向きの側面は全て同磁極となるようにして回転子磁石111の外側近傍の基板101に設置される。固定子磁石は基盤101の同一円周上に等間隔に設置されるのが望ましいが必ずしもその限りでない。回転子は非磁性体を材料とするホイール110と、ホイール110に固定されたリング型回転子磁石111を備えている。リング型回転子磁石111は径方向に着磁されており、外周と内周は異極で、その表面磁束密度はどの部分も均一である。リング型回転子磁石111も素材をネオジウムとするのが好ましいが必ずしもその限りでない。本実施例の場合、回転子は回転子軸112により水平に回転するように設置されている。
実施例1の動作:
図2は実施例1の動作原理を説明するための実験例の平面図である。非磁性の軽い材料で1個のマッチ箱ほどの大きさの箱を作り、4個の車輪を付けた。この箱は図に示す通り小さな磁石を走行方向と平行なN-S磁軸にして搭載している。テーブル上には長めの直方体状の磁石を縦向きにN極を左側にして固定した。実験は、箱の磁石のN極と固定された長めの磁石のN極とを対向させて、箱を置く位置を変えたとき、どのような動きをするか観察することを目的とした。箱を固定磁石の近傍P、Q、Rの位置に横向きに順次置くと、Pの位置に置いたとき、箱は当然ながら固定磁石に対して直角方向、図面の左向きに遠ざかり、Qの位置に置いたとき、箱は固定磁石に向いた方の頭を左に振って斜めに離れ、Rの位置に置いたとき、箱は固定磁石と直角方向、図面の右向きに動いた。P、Qの結果は予測通りであったが、Rの結果は意外であった。これらの箱の動きは固定磁石により加えられる力の方向を示しており、それは固定磁石の磁力線の流れに沿っていると考えられた。
図3は実施例1の動作原理を説明するための別な実験例の平面図である。A図は、直径約20センチのアクリル製回転板に1個の直方体状の磁石を付けて、その脇に長さ約36センチの長い磁石を中央部分が回転板に最も近くなるように固定した例である。長い磁石は約9センチの磁石を4個接続して作った。回転板の磁石は図の左側をN極、右側をS極とし、長い磁石は回転板に向いた側をN極にした。長い磁石を用いた理由は、長い磁石の左右の端からの磁力が回転板の磁石に極力及ばないようにするためである。回転板の磁石を図の位置にして手を離すと、回転板は時計回りに約半回転した。一見して回転板は反時計回りに回転すると予測されたが、実際はその逆であった。回転板が時計回りに回転するのは回転板の磁石のN極面と長い磁石のN極面とで作る角度が約60度以上の場合であった。回転板の磁石をさらに右寄りの位置にし、その角度を60度以下にして手を離すと回転板は反時計回りに回転した。B図は、弧の長さが約9センチの円弧状磁石1個を回転板に付け、その脇に短い直方体状の磁石を固定した例である。円弧状磁石は外周がN極、内周がS極で、直方体状の磁石は図の左側がN極、右側がS極である。回転板の磁石を図の位置にして手を離すと、回転板は反時計回りに約半回転した。この場合もA図同様、一見して時計回りに回転すると予測されたが、実際はその逆であった。直方体状の磁石の位置が円弧状磁石の左右の端に非常に近い所で手を離す場合を除いて、円弧状磁石は反時計回りに回転する。これらの実験から長い磁石の側面に短い磁石の端末をほぼ直角に向けると回転力を得られることが判った。それは短い磁石の端末のN極側からS極側へ流れる磁力線が長い磁石に対してほぼ横向きに作用する故と考えられ、「磁力線が横向きに作用」と言う点に於いては前段の図2の実験Rの結果に符合するものであった。
ここで、実施例1の動作に関し、磁力線の流れの観点から考察を加える。
図4は実施例1が備える磁石の磁力線について説明するための図である。A図は固定子磁石102〜109の内の1個の磁石の磁力線を二次元的、模式的に描いたものである。前々段の図2に示した実験結果と一致するように、磁力線は中央部分では表面と垂直に出入しているが磁石端末ではループ状を為している。B図はリング型回転子磁石111の磁力線を同様に描いたものである。磁力線はどの位置でも等しく表面と垂直に出入している。これらのことは磁石の上に透明なプラスティック板を置いて鉄粉を撒いて観察し、確認された。
図5は固定子磁石102〜109とリング型回転子磁石111を組み合わせたときの部分図であり、回転子磁石111に働く力を説明するための平面図である。固定子磁石102は回転子磁石111に対してほぼ直角に配置されており、A図に於いて図の左側がN極、右側がS極となっている。回転子磁石111は外周がN極、内周がS極に着磁されている。固定子磁石102のN極端末から出た磁力線は回転子磁石側にループを描いて反対側のS極に入るが、回転子磁石111は固定子磁石102のN極側では斥力を受け、S極側では吸引力を受ける。これらの斥力、吸引力は固定子磁石102の磁力線に沿って働くので、概ね図に示す方向のベクトルで表され、これらのコサイン成分は回転子円周の接線方向を向いている。故に、回転子は固定子磁石のN極側からS極側に、つまり時計回りに回転する。なお、回転子磁石111はどの部分も均一に着磁されているので回転に於ける引き戻し力、即ちコギングが生じない。他の固定子磁石も回転子磁石111に対して同様に作用するように配置されており、回転子は加速しながら連続回転を続ける。B図に於いて固定子磁石102はA図とは反対に図の左側がS極、右側がN極となっている。回転子磁石111の着磁はA図と同じ外周がN極、内周がS極である。このように固定子磁石の磁極を左右反転させると回転子磁石は固定子磁石の右側で斥力を左側で吸引力を受けることになり、回転子は右から左へ、つまり反時計回りに回転する。
なお、実施例1は固定子磁石をリング型回転子磁石の外側に配置したインナーローター型モータであるが、固定子磁石をリング型回転子磁石の内側に配置したアウターローター型モータとすることも可能である。
また、実施例1はリング型回転子磁石を備えているが、これを円筒型回転子磁石とし、円筒の長さに合わせて固定子磁石を長くした装置に於いても、実施例1と同じ原理で連続回転する。この装置の場合、実施例1に比べて格段に大きい出力が得られる。
続いて本発明のモータの別な実施例について説明する。
実施例:2
図6は実施例2を説明するための平面図及び側面断面図である。本実施例の固定子は非磁性体を材料とする基盤201上にリング型固定子磁石202を備え、リング型固定子磁石202は、外周が全て同極で内周が全てその異極となるように、また、表面磁束密度はどの部分も均一になるように径方向に着磁されている。回転子は非磁性体を材料とするホイール203の周縁に回転子磁石204〜211を備える。回転子磁石204〜211の形状は直方体とするのが好ましいが必ずしもその限りでない。回転子磁石204〜211は、固定子磁石202と組み合わせたとき、長手方向が固定子磁石202を向くように、即ちN-S磁軸が固定子磁石のそれと略直交するように、また、回転方向に対して同じ側が全て同極となるように設置される。回転子磁石204〜211は全てホイール203の同一円周上に等間隔に配されるのが望ましいが必ずしもその限りでない。本実施例の場合、回転子は回転軸212に支持されて水平に回転するように作られている。
実施例2の動作:
実施例2の動作原理は実施例1で説明したのとほぼ同様である。図6に示す例ではリング型固定子磁石202の外周がS極、内周がN極で、回転子磁石204〜211は固定子磁石202に向かって左側がN極、右側がS極に着磁されている。ここで回転子磁石204を例に取って説明すると、回転子磁石204のN極側端末より出た磁力線は固定子磁石202側にループを描いて反対側のS極側に入るが、その磁力線の流れと反対向きに回転子磁石204はN極側で固定子磁石202の斥力を受け、S極側で吸引力を受ける。つまり回転子磁石204は固定子磁石202に向かって右側で吸引力を受け、左側で斥力を受ける。そのベクトルのコサイン成分はどちらも同じ向きに回転子円周の接線方向に働く。したがって、回転子は右から左へ反時計回りに回転する。回転子磁石204以外の回転子磁石も固定子磁石202との間に同じ作用を示すので、また、リング型固定子磁石202は全周が均一に着磁されているのでどの位置に於いても同様の力を生み、回転子は加速しながら連続回転する。
なお、実施例2はリング型固定子磁石を回転子磁石の外側に配置したインナーローター型モータであるが、リング型固定子磁石を回転子磁石の内側に配置したアウターローター型モータとすることも可能である。
また、実施例2はリング型固定子磁石を備えているが、これを円筒型固定子磁石とし、円筒の長さに合わせて回転子磁石を長くした装置に於いても、実施例2と同じ原理で連続回転する。この装置の場合、実施例2に比べて格段に大きな出力が得られる。
リング型磁石の継ぎ目について:
実施例1、実施例2で用いたリング型磁石の継ぎ目に於ける工夫について述べる。リング型磁石は、継ぎ目なく一貫して製造され、径方向に着磁されるのが好ましいが、製造上の制約から分割製造され、後で繋ぎ合せることがある。その場合、N極から出た磁力線が繋ぎ目の隙間を通ってS極に回るのを免れないが、その量が多いと表面磁束密度が均一でなくなり、回転上の妨げとなる。そこで、磁石の継ぎ目に於けるN極からS極へ抜ける磁力線を最小限に留める工夫が必要となる。
図7はリング型磁石の継ぎ目に於けるN極からS極へ抜ける磁力線を少なくする工夫について説明するものである。何れのリング型磁石も径方向に着磁されている。A図は、一方の磁石の端を矢形にして、もう一方の磁石の端に埋め込むように接続する方法である。B図は磁石を薄く作り、二重にして繋ぎ目を互い違いに配する方法である。C図は磁石を利用する側に鉄などのヨークを被せる方法である。これらの他にも様々な方法があるが、大事なことは、継ぎ目を可能な限り密着させて、リング型磁石全体に亘って周囲の空間ができるだけ一様な磁界となるようにすることである。
リング型磁石と直方体状磁石を作用させる向きについて:
実施例1、実施例2では、リング型磁石に直方体状磁石をその外側から、または内側から作用させて、回転力を得る方法を説明したが、それは説明上、例をN-S磁軸が径方向となるように着磁されたリング型磁石に限定したからに過ぎない。N-S磁軸が回転軸方向に、即ちリングの輪切り断面から磁力線が垂直に出入するように着磁されたリング型磁石に於いても、その磁力線に直方体状磁石のループ状磁力線を直角に作用させることで、実施例1、実施例2と同じ原理により回転力が得られることを申し添えておく。
続いて本発明のモータのさらに別な実施例について説明する。
実施例3
図8は実施例3の構成を示す平面図及び側面断面図である。本実施例の構成は固定子磁石が正多角形を為す以外は実施例2とほぼ同じである。固定子磁石302は同じ長さの直方体状磁石八辺を繋ぎ合せた正八角形であり、外側がS極に内側がN極に着磁され、何れの辺の表面磁束密度も等しい。回転子磁石304〜311は固定子磁石302に略直角に向くように配され、回転子円周の接線と平行なN-S磁軸を有し、回転方向に対する同じ側面は何れも同極である。
実施例3の動作:
図9は実施例3の動作を説明するために行った実験例の平面図である。A図に示すように、長さ約54センチの1本の長い棒状磁石を横向きに固定し、棒状磁石のN極側近傍に1個の短い直方体状磁石を付けた直径約20センチの回転子を設置した。なお、棒状磁石は長さ約9センチの磁石を6個繋いだものである。回転子の磁石はN-S磁軸を回転円周の接線方向にし、棒状磁石に対して左側をN極、右側をS極とした。そして、回転子磁石をさまざまな位置にして手を離し、回転子がどのような動きをするか観察した。かなり長い棒状磁石を用いたのは、棒状磁石の左右の端から出る磁力線が回転子磁石にできるだけ及ばないようにするためであった。B図は実験結果を表したものである。回転子磁石が回転軸の左側に在るときは、S極を棒状磁石のN極側に向けているので、当然、棒状磁石に吸引され、逆に右側に在るときはN極を棒状磁石に向けているので、棒状磁石と反発した。要するに回転子は概ね時計回りに回ろうとした。しかし、図のPとQの間に回転子磁石を置いて回転をスタートさせた場合、回転子は反時計回りに回転した。このPとQの間に於ける回転子磁石の動きは、先に図3を用いて説明した実験例の結果と同じであった。つまり、回転子磁石のN極側端末より出た磁力線はループ状を為してS極に入るが、この間、回転子磁石はN極側で斥力をS極側で吸引力を棒状磁石のN極より受け、そのコサイン成分は回転子に対して反時計回りに働くのである。PとQは時計回りと反時計回りに働く力の強さが逆転する分岐点であった。これらの結果から、回転子磁石のN極面またはS極面と棒状磁石のN極面とで作る角度が一定値より小さければ、つまり回転子磁石のN極面またはS極面がPとQの外側に在るように一定以上斜めに棒状磁石の方を向けば、回転子は単純に棒状磁石の吸引力または斥力で動くことが判った。
図10は実施例3の動作を説明するための部分平面図である。A図は回転子磁石304が固定子磁石302の二辺で作るコーナーの内側にある状態である。このとき、回転子磁石304のN極面、S極面と固定子磁石302のN極面は左右とも斜めに対面しているので、回転子はN極側で斥力をS極側で吸引力を固定子磁石302より受け、時計回りに回転する。B図は回転子磁石304が固定子磁石302の一辺の中央付近にある状態である。この位置に於いて回転子磁石304と固定子磁石302が作る角度は直角に近いので、回転子は前段の実験の如く反時計回りの力を受ける。しかし、回転子磁石304のN極面は、やや離隔したとは言え固定子磁石302の斥力を引き続き後方から受けており、それに慣性力が合わさると反時計回りの力に打ち勝つ。それ故、回転子磁石304はなお時計回りに進み、C図の状態に至る。この位置に至ると回転子磁石304のS極面は固定子磁石302に近いので吸引力を受け、さらに回転して再びA図の状態になる。回転子磁石305〜311と固定子磁石302との間にもこれと同様の作用が生じており、回転子は加速を得ながら連続回転する。
なお、実施例3は正多角形固定子磁石を回転子磁石の外側に配置したインナーローター型モータであるが、正多角形固定子磁石を回転子磁石の内側に配置したアウターローター型モータとすることも可能である。
また、実施例3は正多角形固定子磁石を備えているが、これを正多角形筒状の固定子磁石とし、筒の長さに合わせて回転子磁石を長くした装置に於いても、実施例3と同じ原理で連続回転する。この装置の場合、実施例3に比べて格段に大きな出力が得られる。
正多角形磁石の継ぎ目について:
正多角形磁石の継ぎ目に於いては、N極側からS極側へ抜ける磁力線を極力少なくする工夫が、特に必要であることを申し添えておく。
本発明のモータが有する利点の第一は電気や燃料をまったく使わないで動力を生み出すことであるが、その他にも下記のような利点が挙げられる。
・構造が極めてシンプルなので、部品数が少なく、組立に時間を要しない。
・同上の理由で、故障が非常に少ないと予測される。
・巻き線を必要とする電磁石を用いないので、非常に小さく製造できる。
・同上の理由で、熱を発しない。
・同上の理由で、埃が溜まらず、クリーンに使用できる。
・構造が極めてシンプルなので、部品数が少なく、組立に時間を要しない。
・同上の理由で、故障が非常に少ないと予測される。
・巻き線を必要とする電磁石を用いないので、非常に小さく製造できる。
・同上の理由で、熱を発しない。
・同上の理由で、埃が溜まらず、クリーンに使用できる。
本発明に基づくモータは、非常に小さくも大きくも製造できるので、大小様々な機械類の動力源として、また、家庭用や自動車用の小型発電機から発電所に於ける大型発電機に至るまで広範に応用できる。何れも電気や燃料を使わずに駆動し、熱や二酸化炭素を排出しないので省エネや地球環境に貢献する。
101 基盤
102〜109 固定子磁石
110 ホイール
111 リング型回転子磁石
112 回転軸
201 基盤
202 リング型固定子磁石
203 ホイール
204〜211 回転子磁石
212 回転軸
301 基盤
302 固定子磁石
303 ホイール
304〜311 回転子磁石
312 回転軸
102〜109 固定子磁石
110 ホイール
111 リング型回転子磁石
112 回転軸
201 基盤
202 リング型固定子磁石
203 ホイール
204〜211 回転子磁石
212 回転軸
301 基盤
302 固定子磁石
303 ホイール
304〜311 回転子磁石
312 回転軸
Claims (7)
- 回転子と固定子を備えるモータであって、
前記回転子は、回転中心を同じくし径が前記回転子と概ね等しいリング型または円筒型の回転子磁石1個を備え、前記回転子磁石は径方向に着磁され且つ均一な表面磁束密度を有し、
前記固定子は、前記回転子円周の接線方向とN-S磁軸を略平行にし、且つ回転中心に対して同じ側面の磁極を同じくする固定子磁石を、前記回転子磁石の外側近傍に1個以上備える、
モータ。 - 回転子と固定子を備えるモータであって、
前記回転子は、回転中心を同じくし径が前記回転子と概ね等しいリング型または円筒型の回転子磁石1個を備え、前記回転子磁石は径方向に着磁され且つ均一な表面磁束密度を有し、
前記固定子は、前記回転子円周の接線方向とN-S磁軸を略平行にし、且つ回転中心に対して同じ側面の磁極を同じくする固定子磁石を、前記回転子磁石の内側近傍に1個以上備える、
モータ。 - 回転子と固定子を備えるモータであって、
前記回転子は、回転円周の接線方向とN-S磁軸を略平行にし、且つ回転中心に対して同じ側面の磁極を同じくする回転子磁石を、周縁に1個以上備え、
前記固定子は、前記回転子より径が大きくて径方向に着磁され且つ均一な表面磁束密度を有する1個のリング型または円筒型の固定子磁石を備え、前記固定子磁石は中心を前記回転子と同じにして前記回転子磁石の外側に配される、
モータ。 - 回転子と固定子を備えるモータであって、
前記回転子は、回転円周の接線方向とN-S磁軸を略平行にし、且つ回転中心に対して同じ側面の磁極を同じくする回転子磁石を、周縁に1個以上備え、
前記固定子は、前記回転子より径が小さくて径方向に着磁され且つ均一な表面磁束密度を有する1個のリング型または円筒型の固定子磁石を備え、前記固定子磁石は中心を前記回転子と同じにして前記回転子磁石の内側に配される、
モータ。 - 回転子と固定子を備えるモータであって、
前記回転子は、回転円周の接線方向とN-S磁軸を略平行にし、且つ回転中心に対して同じ側面の磁極を同じくする回転子磁石を、周縁に1個以上備え、
前記固定子は、前記回転子より径が大きい1個の正多角形または正多角形筒型の固定子磁石を備え、前記固定子磁石は、全ての辺が径方向に着磁され、且つ均一な表面磁束密度を有し、中心を前記回転子と同じにして前記回転子磁石の外側に配される、
モータ。 - 回転子と固定子を備えるモータであって、
前記回転子は、回転円周の接線方向とN-S磁軸を略平行にし、且つ回転中心に対して同じ側面の磁極を同じくする回転子磁石を、周縁に1個以上備え、
前記固定子は、前記回転子より径が小さい1個の正多角形または正多角形筒型の固定子磁石を備え、前記固定子磁石は、全ての辺が径方向に着磁され、且つ均一な表面磁束密度を有し、中心を前記回転子と同じにして前記回転子磁石の内側に配される、
モータ。 - 回転子と固定子を備えるモータであって、
前記回転子が備える回転子磁石と前記固定子が備える固定子磁石を組み合わせたとき、前記回転子磁石は前記固定子磁石より同極による斥力と異極による吸引力を同時に受け、双方の力のベクトルのコサイン成分が回転力となる、
請求項1から6に記載のモータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010135897A JP2012005195A (ja) | 2010-06-15 | 2010-06-15 | モータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010135897A JP2012005195A (ja) | 2010-06-15 | 2010-06-15 | モータ |
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