JP2012003976A - 四重極型質量分析計 - Google Patents

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Abstract

【課題】別個の電源を必要とせずに、電子衝撃方式にて効果的にグリッドをデガス処理し得る低コストの四重極型質量分析計を提供する。
【解決手段】本発明は、フィラメント42及びグリッド41を備えたイオン源4と、4本の円柱状の電極を周方向に所定間隔で配置してなる四重極部3と、四重極部を通過した所定のイオンを捕集するイオン検出部2とを有する。フィラメントに直流電流を通電する電源E1と、グリッドに対してフィラメントより高い電位を印加する電源E2と、グリッドとフィラメントとの間に所定の電位差をつくるためにフィラメントに所定の電位を与える電源E4と、四重極部の相対する電極に、正、負の直流電圧と交流電圧とが重畳した電圧を印加する電源E3と制御ユニットCとを備える。四重極部用の電源を介して正、負の両電圧間の電位差に相当する電圧をグリッドに印加し得るように構成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、真空容器等の試験体内に残留するガス成分を分析するために用いられる四重極型質量分析計に関し、特に、電子衝撃方式にてグリッドをデガス処理し得る構成を備えたものに関する。
例えばスパッタリングや蒸着による成膜等の真空プロセスにおいては、プロセス時の圧力だけでなく、処理室たる真空チャンバ内に残留する気体の組成が膜質等に大きな影響を与える場合がある。このような残留する気体の組成(ガス成分)を分析(分圧測定)するために、四重極型質量分析計が従来から用いられている。
四重極型質量分析計は、一般に、試験体に着脱自在に装着されるセンサ部と、制御ユニットとから構成されている。試験体に対するセンサ部の装着方向を上方として、センサ部は、下端に設けられた支持体上に設けられた、イオンを捕集するイオン検出部と、このイオン検出部上に設けられた、4本の円柱状の電極が周方向に所定間隔で配置されてなる四重極部と、この四重極部上に設けられた、フィラメント及びグリッドを有して上記ガスをイオン化するイオン源とを備える。他方、制御ユニットは、フィラメントに直流電流(フィラメント電流)を通電してフィラメントを点灯するフィラメント点灯用の電源と、グリッドに対してフィラメントより高い電位(グリッド電圧)を印加するグリッド用の電源と、グリッドとフィラメントとの間に所定の電位差をつくるためにフィラメントに電位を与える電源と、四重極部に直流電圧が重畳された交流電圧を印加する四重極部用の電源と、各電源の作動等を統括制御する制御部とを備える。
ところで、近年では、イオン源用のフィラメントとしてIr線の表面を酸化イットリウムで覆ってなるものがタングステン製のものに代えて用いられ、フィラメント寿命が大幅に延びている。このようにフィラメント寿命が延びたことで、真空雰囲気中の有機物等が付着してグリッドが汚染され、この汚染に起因して感度低下を起こすことが顕在化してきた。
従来、グリッドをクリーニングする方法として所謂電子衝撃方式のものが例えば特許文献1で知られている。上記方法では、フィラメントとグリッドとの間に電圧(500V〜600V程度)を印加し、グリッドとフィラメントとの間に10〜50mA程度の熱電子流を所定時間(1〜60分)流す。これにより、熱電子流の電子がグリッドの付着物に衝突することで、その表面に付着した有機物等が除去される(以下、「デガス処理」という)。
このような構成を実現するために、上記特許文献1記載のものでは、フィラメントに電位を与える電源(イオン化電源)による電圧に加えて電子衝撃用の電圧を印加するための電子衝撃用主電源を上記電源と直列に設けている。然し、常時は使用されない電子衝撃用主電源を別途設けたのでは、部品点数が増えてコスト高を招くという不具合がある。
特開平9−139187号公報
本発明は、以上の点に鑑み、別個の電源を必要とせずに、電子衝撃方式にて効果的にグリッドをデガス処理し得る低コストの四重極型質量分析計を提供することをその課題とするものである。
上記課題を解決するために、本発明の四重極型質量分析計は、フィラメント及びグリッドを備えてガスをイオン化するイオン源と、4本の円柱状の電極を周方向に所定間隔で配置してなる四重極部と、四重極部を通過した所定のイオンを捕集するイオン検出部とを有するセンサ部と、フィラメントに直流電流を通電するフィラメント点灯用の電源と、グリッドに対してフィラメントより高い電位を印加するグリッド用の電源と、グリッドとフィラメントとの間に所定の電位差をつくるためにフィラメントに所定の電位を与える電源と、四重極部の相対する電極に、正、負の直流電圧と交流電圧とが重畳した電圧を印加する四重極部用の電源と、各電源を制御すると共にイオン検出部にて検出したイオン電流値を処理する制御部とを有する制御ユニットと、を備え、前記四重極部用の電源を介して正、負の両電圧間の電位差に相当する電圧をグリッドに印加し得るように構成したことを特徴とする。
本発明によれば、長時間の使用によりグリッドが汚染されて感度低下が生じると、フィラメントとグリッドとの間に電圧を印加して、電子衝撃方式にてデガス処理が行われる。ここで、デガス処理中、グリッドからの放出ガスの影響を受けるためガス成分の分析を行うことができず、このとき四重極部用の電源は不要となっている。一方で、一般によく利用されている最大測定質量数m/Zが200のものでは、四重極部の各電極の径や長さあるいはRF周波数等により多少の違いはあるものの、四重極部の相対する電極に夫々印加される正、負の電圧の電位差は300V程度である。そこで、本発明においては、前記四重極部用の電源を介して、正、負の両電圧間の電位差に相当する電圧をグリッドに印加し得るように構成した。その結果、別個の電源を必要とせずに、電子衝撃方式にて効果的にグリッドをデガス処理でき、その上、低コスト化を図ることができる。
本発明において、前記四重極部用の電源は、直流電圧発生回路を備え、この直流電圧発生回路は、交流電圧が印加される一次側コイルと、巻数に応じて昇圧される二次側コイルとを有し、この二次側コイルは、センタータップを備え、このセンタータップに第1のスイッチング素子が介設されてアース接地され、二次側コイルの一方が平滑回路を介して正の直流電圧を発生し、その他方が、平滑回路を介して負の直流電圧を発生すると共に、第2のスイッチング素子を介してアース接地され、常時は、第1のスイッチング素子のみをオンすることで、平滑回路にて平滑化された正、負の各直流電圧を夫々発生させ、第1のスイッチング素子をオフすると共に第2のスイッチング素子をオンすることで、前記電位差に相当する電圧を発生させるように構成すればよい。これにより、単一の電源にて、ガス成分の分析時と、脱ガス処理時とで夫々所定の電圧を発生する低コストの構成が実現できる。
本発明の実施形態の四重極型質量分析計のセンサ部の構成を模式的に示す図。 四重極部用の電源の回路構成を模式的に示す図。 四重極部の各電極とグリッドとで電圧の印加を切り換える回路部の構成を模式的に示す図。 実験結果を示すグラフ。 実験結果を示すグラフ。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の四重極型質量分析計を説明する。なお、図示省略の真空チャンバ等の試験体に対する後述のセンサ部MAの装着方向を上方として説明する。
図1を参照して、四重極型質量分析計は、センサ部MAと制御ユニットCとから構成される。センサ部MAは円板状の支持体1を有する。支持体1は、アルミやステンレス等の金属製であり、その上面外周縁部にはOリング11が設けられている。支持体1上にはイオン検出部2が設けられている。イオン検出部2は、後述の四重極部の各電極間を通って到達するガス原子やガス分子を捕集するファラデーカップから構成されている。イオン検出部2は、支持体1に立設した接続端子21に配線接続されている。
イオン検出部2上には四重極部3が設けられている。四重極部3は、周方向に所定間隔で配置された上下方向に延びる4本の円柱状の電極31a〜31dから構成されている。相対する電極31a、31bと31c、31dは電気的に結合され、相対する電極の一方31a、31dが、支持体1に立設した2本の接続端子32a、32bに配線接続されている。四重極部3上にはイオン源4が設けられている。イオン源4は、グリッド41とフィラメント42とを備える。グリッド41は、金属細線を格子状でかつ円筒形状に組み付けて構成され、グリッド41は、支持体1に立設した接続端子43aに配線接続されている。
フィラメント42は、図示省略の支持フレームに周方向に所定間隔で吊設された3本の金属製の支持ピン44a〜44cと、中央の支持ピン44aと両側の支持ピン44b、44cとの間に夫々接続された2本のフィラメント片42a、42bとを備え、全体としてグリッド41の外周の半分程度を囲うようになっている。この場合、中央の支持ピン44aがフィラメントコモンとなり、この支持ピン44aが支持体1に立設した接続端子45bに配線されていると共に、両側の支持ピン44b、44cが、支持体1に立設した接続端子45aに配線接続されている。フィラメント42としては、イリジウムからなる母材の表面を電着処理により酸化イットリウムで被覆したものが用いられる。
四重極部3とイオン源4との間には、四重極部3へ向かうイオンが効率よく収束するフォーカス電極5が介設されている。フォーカス電極5は、例えば、中央開口を備えた金属板から構成され、支持ピン44aとフォーカス電極5とを図示省略の配線により接続してフィラメント42の電位とフォーカス電極5の電位とを同等としている。
他方、制御ユニットCは筐体F(図1中、一点鎖線で示す)を備え、筐体F内には、コンピュータ、メモリやシーケンサ等を備えた制御部C1が内蔵されている。制御部C1は、後述の各電源やスイッチング素子の作動、後述の電流計Aにて測定されたイオン電流値を処理して例えば図示省略のディスプレイに表示する等の各種制御を統括して行う。また、筐体F内には、フィラメント42に直流電流を通電してフィラメント42を点灯するフィラメント点灯用の電源E1と、グリッド41に対してフィラメント42より高い電位を与えるグリッド用の電源E2とが内蔵されている。電源E1からの正側の出力が、両側の支持ピン44b、44cに導通する接続端子45aに接続され、また、電源E2からの正側の出力がグリッド用の接続端子43aに接続され、その負側がアース接地されている。
また、筐体F内には、電気的に結合された電極31a、31bと31c、31dに、同じ大きさで正、負が逆の直流電圧(+U、−U)と、位相が180度異なる交流(高周波)電圧(+Vcosωt、−Vcosωt)とが重畳した電圧を夫々印加するDC+RF電源たる四重極部用の電源E3が内蔵され、また、グリッド41とフィラメント42との間に所定の電位差をつくるためにフィラメント42に電位を与える電源E4が内蔵されている。そして、電源E4からの正側の出力が、電源E2からの正側の出力に接続され、その負側の出力が、電源E1からの負側の出力に接続されている。この場合、この出力には、フィラメントコモンたる支持ピン44aに導通する接続端子45bからの配線が接続されている。また、筐体F内には、イオン検出部2に捕集されてアースへと流れるイオン電流値を測定する電流計Aが付設されている。
なお、本実施形態では、特に図示して説明しないが、筐体Fには上記各電源に導通した出力端子が設けられ、センサ部MAと制御ユニットCとはコネクタ付きケーブルにて接続される。なお、センサ部MAと制御ユニットCとを同一の筐体に組み込んで構成することもできる。
上記四重極型質量分析計を使用するのに際しては、センサ部MAを、Oリング11を介して図示省略の試験体のテストポートに装着した後、試験体内を真空ポンプにより真空引きし、所定真空圧に達すると、ガス分析を開始する。先ず、電源E1によりフィラメント42に直流電流を通電してフィラメント42を点灯させ、熱電子を放出させる。電源E2及びE4によりグリッド41とフィラメント42との間の電位差に相当するイオン化電圧(つまり、グリッド41とフィラメント42との電位差)で熱電子をグリッド41側に引き込む。このとき、熱電子と衝突したグリッド41周辺の気体原子、分子から正イオンが生じる。そして、電源E2によりグリッド41と四重極部3との間の電位差に相当する加速電圧で、正イオンをグリッド41側から四重極部3へと引き込ませる。
四重極部3の4本の電極31a〜31dには、電源E3によって直流と交流とが重畳した所定電圧(+U+Vcosωt、−U−Vcosωt)が夫々印加される。これにより、四重極部3中をイオン群が通過する時、これらが振動しながら通過し、交流電圧や周波数に応じて、一定のイオンのみが安定振動して通過することで、イオン検出部2へと到達する。そして、イオン検出部2に付設された電流計Aにてイオン電流が測定され、そのときのイオン電流値が制御部C1に出力される。また、上記直流電圧と交流電圧の比を一定に保ちつつ電圧を掃引することでスペクトルがとられ、イオン電流値から試験体内のガス成分が分析(分圧測定)される。
ところで、上記四重極型質量分析計では、その使用時間が長くなると、真空雰囲気中の有機物等が付着してグリッド41が汚染され、この汚染に起因して感度低下を起こす。このため、電子衝撃方式にてデガス処理を定期的に行い得るように構成することが望ましい。
ここで、四重極部3の相対する電極31a、31bと31c、31dには、上記のように、同じ大きさで正、負が逆の直流電圧(+U、−U)と、位相が180度異なる交流電圧(Vcosωt、−Vcosωt)とが重畳した電圧(+U+Vcosωt、−U−Vcosωt)が夫々印加され、直流電圧及び交流電圧が所定の範囲内で可変であるように電源E3が構成されている(例えば、WO2008/133074号参照)。そして、直流電圧(U)を変化させれば分解能を設定できる一方で、交流電圧(v)を変化させれば、質量電荷比の異なるイオンを選別できる。
分析し得る質量数をm、対向する電極31a、31b、31c、31d相互間の距離を2r(cm)、交流電圧の周波数をf(MHz)とすると、イオンの選別に必要な直流電圧(U)と交流電圧(V)は、次の式1及び式2より導かれる。
V=7.219×m×r ×f・・・(式1)
U=1.212×m×r ×f・・・(式2)
例えば、最大質量数m/Zが200、距離rが0.3cm、周波数fが2.5MHzである場合、上記式1及び式2から、交流電圧(V)が1624.26V、直流電圧(U)が136.35Vとなる。このため、直流電圧(U)は、相対する電極31a、31bと31c、31dに正、負が逆の直流電圧(+U、−U)を夫々印加するものであるため、電源E3として、+136.35V及び−136.35Vの各直流電圧を出力できる必要があり、このときの電位差は272.7Vとなる。つまり、一般によく利用されている最大測定質量数m/Zが200の電源E3では、300V程度の直流電圧を発生し得る。
そこで、本実施の形態においては、前記四重極部用の電源E3を介して、正、負の両電圧間の電位差に相当する電圧をグリッド41に印加し得るように構成した。即ち、電源E3は、正、負の直流電圧(+U、−U)を夫々発生させる直流電圧発生回路E3dを備える。直流電圧発生回路E3dは、図2に示すように、例えば所謂フライバック型のコンバータで構成でき、この電磁心入りのコイルを備え、その一次側コイルCL1は、パルス電源部E31に接続されている。巻数に応じて昇圧される2つの二次側コイルCL21、CL22にはセンタータップTが接続され、フォトトランジスタ等の第1のスイッチング素子SW1が介設されてアース接地されている。一方の二次側コイルCL21が、ダイオードFdと電解コンデンサFcとからなる平滑回路を介して正の所定電圧(+U)を発生させ、その他方が、ダイオードFdと電解コンデンサFcとからなる他の平滑回路を介して負の所定電圧(−U)を発生させると共に、フォトトランジスタ等の第2のスイッチング素子SW2を介してアース接地されている。
ガス成分の分析を行う常時は、第1のスイッチング素子SW1のみがオンされ、電源E3にて正、負の所定電圧(+U、−U)を夫々発生させる。これにより、差動増幅回路等を備えた図示省略の制御回路を介して、制御ユニットCからの制御信号により測定しようとする質量数に対応した所定電圧に制御されて電極31a、31bと31c、31dに夫々印加される。他方、デガス処理時には、第1のスイッチング素子SW1がオフされると共に第2のスイッチング素子SW2がオンされ、上記正、負の両電圧間の電位差に相当する電圧(Δ±U)が発生する。そして、電源E3から出力端子32aに通じる配線W1が分岐され、この分岐した配線W2が、電源E4の正の出力に接続され、発生させた電圧(Δ±U)をグリッド41フィラメント42との間に印加できるようになっている。この場合、制御ユニットCには、電源E4によるグリッド41への電圧印加と、電源E3によるグリッド41への電圧印加とを切換える切換回路SCが設けられている。
切換回路SCは、図3に示すように、制御ユニットCからの電圧制御信号が入力される差動増幅回路SC1を備え、差動増幅回路SC1のOPアンプの出力側に、電源E4からの正の出力と、電圧E3からの配線W2とが、フォトトランジスタ等の第3及び第4のスイッチング素子を介して夫々接続され、接続端子43aに接続されている。常時は、第4のスイッチング素子SW4のみをオンすることで、電源E4からの電圧(Vu)が、制御ユニットCからの制御信号により所定電圧に制御されて、グリッド41に印加される。他方、デガス処理時には、第4のスイッチング素子SW4をオフすると共に第3のスイッチング素子SW3をオンすることで、電源E3にて発生した電圧(Δ±U)が、制御ユニットCからの制御信号により所定電圧に制御されて、グリッド41に印加される。これにより、正、負の両電圧間の電位差に相当する電圧を選択的にグリッド41に印加できる。
次に、上記実施形態の四重極型質量分析計を用い、本発明の効果を確認する実験を行った。四重極部3は、その各電極31a〜31dとして、半径3.45mm、長さ125mmの円柱状のものが用いられ、相互の距離の半分(半径)rが0.3cmとなるように配置して構成されている。また、周波数を2.5MHz、最大測定質量数m/z=200とした。このとき、電源E3としては、上述したように、1624.26Vの交流電圧及び±136.35Vの直流電圧を四重極部3の各電極31a〜31dに印加できるように構成される。そして、センサ部MAを図示省略の真空チャンバに取り付けて所定時間使用した後、デガス処理として、正、負の両電圧間の電位差に相当する電圧272.7Vを発生し得るように準備された300Vの電圧をグリッドに印加した。このとき、エミッション電流を5mA、処理時間を1時間とした。
図4及び図5は、デガス処理前後のスペクトルを示すグラフである。なお、スペクトルの取得時に窒素ガスを所定圧力(5E-3Pa)となるように導入している。これによれば、デガス処理前には、窒素ガスを導入しているにもかかわらず、m/z=28のピークにおけるイオン電流値は小さい。その結果、所定時間の使用によりグリッド41が汚染されて感度低下を起こしていることが判る(図4参照)。他方で、上記条件でデガス処理を行うと、m/z=28のピークにおけるイオン電流値が3桁程度上昇しており、m/z=18(水分)、m/z=32(酸素)のイオン電流値のピークも明瞭に現われることが確認された(図5参照)。これにより、グリッド41の汚染を除去して感度が回復したことが判る。
以上説明したように、本実施形態によれば、長時間の使用によりグリッドが汚染されて感度低下が生じると、四重極部用の電源E3を介して、正、負の両電圧間の電位差に相当する電圧をグリッド41に印加してデガス処理が行い得るため、別個の電源を必要とせずに、電子衝撃方式にて効果的にグリッドをデガス処理でき、その上、低コスト化を図ることができる。
以上、本発明の実施形態の四重極型質量分析計について説明したが、本発明は上記に限定されるものではない。上記実施形態のものでは、電源E3のうち直流電源発生用の電源部をセンタータップ式のもので構成したものを例に説明したが、これに限定されるものではなく、他の公知の電源を用いることができ、また、正及び負の電圧を夫々発生する2個の電源を用いて正、負の両電圧間の電位差に相当する電圧を発生するようにしてもよい。更に、本実施形態では、切換回路SCが設けられたものを例に説明したが、四重極部用の電源を介して正、負の両電圧の電位差に相当する電圧をグリッドに印加できるものであれば、上記に限定されるものではない。
さらに、本実施形態では、一般に広く利用されている最大質量数m/Zが200であって、電源E3が300V程度の電圧を発生し得るものを例に説明したが、常時に電源E4からグリッド41に印加される電圧(一般的な設定では、20〜70V)より高い電圧を、電源E3が発生し得るものであれば、本発明を適用してデガス処理を行うことができる。
MA…センサ部、C…制御ユニット、2…イオン検出部、3…四重極部、4…イオン源、41…グリッド、42…フィラメント、E1〜E4…電源、E3d…四重極部用の電源内の直流電圧発生回路、SW1〜SE4…スイッチング素子、CL1…一次側コイル、CL21、CL22…二次側コイル、T…センタータップ。

Claims (2)

  1. フィラメント及びグリッドを備えてガスをイオン化するイオン源と、4本の円柱状の電極を周方向に所定間隔で配置してなる四重極部と、四重極部を通過した所定のイオンを捕集するイオン検出部とを有するセンサ部と、
    フィラメントに直流電流を通電するフィラメント点灯用の電源と、グリッドに対してフィラメントより高い電位を印加するグリッド用の電源と、グリッドとフィラメントとの間に所定の電位差をつくるためにフィラメントに所定の電位を与える電源と、四重極部の相対する電極に、正、負の直流電圧と交流電圧とが重畳した電圧を印加する四重極部用の電源と、各電源を制御すると共にイオン検出部にて検出したイオン電流値を処理する制御部とを有する制御ユニットと、を備え、
    前記四重極部用の電源を介して正、負の両電圧間の電位差に相当する電圧をグリッドに印加し得るように構成したことを特徴とする四重極型質量分析計。
  2. 前記四重極部用の電源は、直流電圧発生回路を備え、この直流電圧発生部は、交流電圧が印加される一次側コイルと、巻数に応じて昇圧される二次側コイルとを有し、この二次側コイルは、センタータップを備え、このセンタータップに第1のスイッチング素子が介設されてアース接地され、二次側コイルの一方が平滑回路を介して正の直流電圧を発生し、その他方が、平滑回路を介して負の直流電圧を発生すると共に、第2のスイッチング素子を介してアース接地され、
    常時は、第1のスイッチング素子のみをオンすることで、平滑回路にて平滑化された正、負の各直流電圧を夫々発生させ、第1のスイッチング素子をオフすると共に第2のスイッチング素子をオンすることで、前記電位差に相当する電圧を発生させるように構成したことを特徴とする請求項1記載の四重極型質量分析計。
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