JP2011529864A - No修飾されたプロテアーゼ阻害剤の抗腫瘍特性 - Google Patents

No修飾されたプロテアーゼ阻害剤の抗腫瘍特性 Download PDF

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Abstract

HIVプロテアーゼ阻害剤、特にサキナビルは強い抗癌活性を示したが、その適用は非常に多くの副作用によって制限されていた。その毒性を解消するために、元の化合物をNOの共有結合によって修飾した。

Description

本発明は、HIVプロテアーゼ阻害剤の硝酸エステル、特にサキナビル(saquinavir)の硝酸エステル、およびヒトの治療法におけるその使用に関する。
HIVプロテアーゼ阻害剤(HIV−PI)は、1993年以来ヒトへの使用が承認されている抗レトロウイルス剤である。HIV−PIは、HIVプロテアーゼの触媒部位に選択的に結合して、感染性のウイルス粒子の複製および産生を遮断するように設計されている(Deeksら 1997)。これらの薬剤が血管形成、炎症、抗原のプロセシングおよび提示、細胞の生存および組織修復等のいくつかの重要な細胞のプロセスに影響をおよぼすということが示された(Sgadariら 2003、Andreら 1998、Gruberら 2001、Delmonteら 2007)。最近の知見により、インビトロおよびインビボの両方においてHIV−PIの強い抗癌能力が示された。様々な腫瘍細胞の成長の阻害に付随して、アポトーシス細胞死が誘導された(Chowら 2006、Pajonkら 2002、Ikezoeら 2004、Ikezoeら 2000、Gillsら 2007)。これらの薬剤の作用機構は厳密には定義されていないが、それらの標的は、AKT、細胞外シグナル調節キナーゼ、核因子kB、シグナル伝達兼転写活性化因子3、マトリックスメタロプロテイナーゼ、塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF)および血管内皮増殖因子(VEGF)である可能性がある(Pajonkら 2002、Ikezoeら 2004、Sgadariら 2002、Ikezoeら 2004、Guptaら 2005、Cuneoら 2007)。また、これらの薬剤が腫瘍細胞を放射線に対して増感させ、他の細胞増殖抑制性剤の抗癌性効果を増大させ、また、ヌードマウスにおいて血管原性の腫瘍細胞の成長および浸潤を阻害することが示されている(Ikezoeら 2004、Sgadariら 2002、Guptaら 2005)。
残念ながら、これらの薬剤の適用は、高脂血症または低脂血症(hypolipidaemia)、心臓血管疾患、糖尿病、体脂肪再分布、骨減少症および骨粗鬆症等の多くの予測外の有害作用を伴った(Flexner、1998)。NO部分の付加は、毒性を低減し薬剤の効能を増大させるために現在使用される手法の1つである。この型の化学修飾は、非常に多くの非ステロイド系抗炎症薬に対して適用されている。
現在では、HIVプロテアーゼ阻害剤、特にサキナビルをNOの共有結合によって有利に修飾できることが見いだされている。
したがって本発明は、HIVプロテアーゼ阻害剤の硝酸エステルを提供する。
NO部分は、従来の方法、すなわち無水酢酸/ハロゲン化炭化水素中で0℃未満、好ましくは−10℃未満の温度において濃硝酸と反応させることによって、既知のプロテアーゼ阻害剤上に存在するヒドロキシ基に導入される。
サキナビル以外に有利に硝酸エステル化することのできるプロテアーゼ阻害剤の例は、リトナビル、ネルフィナビル、インディナビル、ダウナビル(Daunavir)、ラピナビル(Lapinavir)、アンプレバニル(Amprevanir)、アタザナビルを含む。
式Iを有するサキナビルの硝酸エステル
Figure 2011529864
およびその非毒性の塩、溶媒和物または結晶/多形形態が特に好ましい。
式Iの化合物は以下にNO−サキナビルと称され、特許化合物サキナビルよりも効果が高く毒性が低いことが見いだされた。このことは以下に報告する実験部分において示される。
化合物Iの合成スキームを図I中に報告する。
本発明はまた、式Iの化合物または他のHIVプロテアーゼ阻害剤の硝酸エステルを適切な担体/賦形剤との混合物中に含む医薬組成物をも提供する。本発明の組成物は、任意の既知のルート、特に経口、非経口、局所的、経皮、直腸内ルートによって投与してもよい。
投薬量は、熟練した開業医であれば、毒性学的、薬物動態学的および薬力学的特性に従って、ならびに患者の状態(疾患の重症度および進行の度合い)、体重、年齢および性別に応じて容易に決定するであろう。投薬量は一般的に、親化合物サキナビルに対するまたは対応する親プロテアーゼ阻害剤に対する臨床診療において既知の投薬量に類似するであろう。
上記組成物は、腫瘍およびHIV感染の治療に有用である。
したがって本発明は、腫瘍および/またはHIV感染に罹患した患者を治療する方法であって、請求項1に記載の化合物の有効量を上記患者に投与するステップを含む方法をも提供する。
Saq−NOの合成を示す図である。 Saq−NOとSaqとの細胞毒性を示すグラフである。 細胞培養上清中における亜硝酸塩の蓄積を検出したデータである。 LDH放出アッセイの結果を示すグラフである(A)。細胞を染色し、フローサイトメトリーによって分析したデータである(B)。細胞の増殖率、細胞生存率を示すグラフである(D)。 細胞の形態を示すデータである(A)。メラニンおよびチロシナーゼ活性を決定した(B)。サイクリンDおよびp53の発現を評価したものである(C)。 Akt活性を示すデータである。 腫瘍細胞の成長の阻害を示すグラフである。
以下の例によって本発明をより詳細に記載する。
例1 サキナビル−NOの合成
CHCl3(18mL)中のサキナビル(3g、4.48mmol)を、発煙硝酸(≧90%HNO3、1mL、23.6mmol)およびAc2O(3.5mL、37.1mmol)の混合物を撹拌している中に−10℃において添加し、次いで室温まで2時間かけて窒素下においてゆっくりと温めた。反応混合物を氷冷水で急冷し、CH2Cl2で抽出した。抽出物を氷冷飽和NaHCO3および水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過した。溶媒を加圧下において蒸発させ、3:2〜3:3のHex:アセトンを用いたFCC溶出によって粗生成物を精製した。得られた生成物をEtOAc/Hexから再結晶させることによってサキナビル−ONO2(1.7g、53%)を白色固体として得、純度をHPLCおよびMSによって分析した。MS m/z 716.33(M+H+)。
HPLC:カラムの型:フェノメネクスプリメスフィア(Phenomenex primesphere)5 C18 MC 110A 250×4.6mm
検出波長:275nm(最大吸光度を示す波長)
流速:1mL/分、水(0.1%AcOH):MeOH[90:10]〜水(0.1%AcOH):MeOH[10:90]の直線勾配により30分間。
例2−生物学的特徴の決定
材料と方法
試薬および細胞
アクリジンオレンジ(Acridin orange)(AO)はLabo−Moderna(Paris、フランス)から入手した。カルボキシフルオレセインジアセテートスクシンイミジルエステル(CFSE)はMolecular Probes(Eugene、米国)からであった。阻害剤Akt VIはCalbiochem(ドイツ)から入手した。他の化学物質はいずれも、特記しない限りSigma(St.Louis、米国)から購入した。サキナビル(Saq、MW 670g/l)およびサキナビル−NO(Saq−NO、MW 715g/l)を−20℃において、5%FCSを含むRPMI1640中の25%ジメチルスルホキシド(DMSO)において濃度5mg/mlで保存し、使用前に速やかに培養基中に希釈した。対照の細胞培養を、十分量のDMSOで処理した。
ラット神経膠腫C6およびヒト神経膠芽腫U251細胞株はPedro Tranque博士(Universidad de Castilla−La Mancha、Albacete、スペイン)の好意により寄贈され、マウス黒色腫B16およびヒト腺癌HeLaはSinisa Radulovic博士(Institute for Oncology and Radiology of Serbia、Belgrade、セルビア)の好意により寄贈され、マウス線維肉腫L929はEuropean Collection of Animal Cell Cultures(Salisbury、英国)から入手した。ヒト乳房HCC1419および前立腺PC−3細胞はLGC Promochem srl(Venezia、イタリア)から購入した。初代マウス線維芽細胞およびラット星状細胞は記載通りに調製した(Mijatovicら 2004)。5%FCS、2mMグルタミン、0.01%ピルビン酸ナトリウム、5×10-5M2−メルカプトエタノールおよび抗生物質(培養基)を添加したHEPES緩衝RPMI1640培地中で、37℃において湿気のある5%CO2環境にて細胞を生育させた。従来のトリプシン処理後、細胞を96ウェルプレート中に1×104/ウェル、6ウェルプレート中に2×105/ウェル、または4ウェルチャンバースライド中に3×104/ウェルとなるように播種し、一晩培養し、次いで薬剤に対して曝露した。2〜3か月齢の近交系C57BL/6マウスは、Institute for Biological Research「Sinisa Stankovic」内の本発明者らの設備から入手して、標準的な実験室条件下(不特定の病原体を含まない)において飼育し、食物および水を自由に摂取させた。動物の取り扱いおよび研究プロトコールは国際的な指針に従ったものであり、地域の動物実験委員会により承認された。
MTT、クリスタルバイオレットおよびLDH放出アッセイによる細胞生存性の決定
3−4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)のホルマザンへの還元は培養細胞のミトコンドリア活性に依存し、クリスタルバイオレット色素の吸収は付着性の生細胞の数と相関関係にあり、細胞質内乳酸脱水素酵素(LDH)の放出は壊死性細胞に特有の膜完全性の破壊を示す。細胞を、異なる剤を含有する最終体積200μlの培養基中において平底96ウェルプレート中に播種し、以前の記載(Mijatovicら 2004、Deckerら、1998)に厳密に従って24時間インキュベートした後にアッセイを実行した。ミトコンドリア(Mitohondrial)依存性のホルマザンの生成、および付着性細胞により吸収されたクリスタルバイオレットの濃さを、自動マイクロプレートリーダーにより570nmにおいて調べ、一方、LDHアッセイにおける2,4−ジニトロフェニルヒドラジンから視認可能なヒドラゾンの析出物への、ピルビン酸塩介在性の変換を、492nmにおいて測定した。LDH放出によって示された細胞毒性%を以下のように計算した。(E−C)/(T−C)×100、式中、Eは細胞培養の実験での吸光度、Cは対照としての、細胞を含まない培養基における吸光度、TはTritonによって溶解された細胞における最大(100%)LDH放出に対応する吸光度である。
細胞増殖の決定
細胞増殖率を、CFSE標識された細胞のフローサイトメトリー分析によって検証した(Kangら 2005)。CFSE色素は細胞質中において15世代を超えて安定であり、分裂する度に蛍光の濃さが薄くなる。簡潔には、剥離した細胞を1.5μMのCFSEで15分間にわたり37℃において染色し、2回洗浄し、6ウェルプレート中に2×105細胞/ウェルとなるように播種し、次いで薬剤に曝露した。24および48時間培養した後、細胞をトリプシン処理し、2回洗浄した。最後に、細胞をPBS中に再懸濁し、フローサイトメトリーによって分析した。緑色の蛍光発光を、FACSCalibur(BD、Heidelberg、ドイツ)によって測定し、CellQuestソフトウェアで分析した。
アポトーシスおよびオートファジー細胞死の決定
アポトーシス細胞死を、DNA結合色素ヨウ化プロピジウム(PI)で染色された細胞におけるDNA断片化のフローサイトメトリー分析によって調べた。6ウェルプレート中で24時間インキュベートした後、細胞(2×105/ウェル)をトリプシンで剥離し、洗浄し、70%エタノール中で4℃において30分間かけて固定した。PBS中で洗浄した後、1mg/mlのRNaseおよびヨウ化プロピジウム(40μg/ml)を含有するPBS中で細胞を再懸濁し、37℃において暗所で30分間にわたって保持した。赤色の蛍光をFACSCaliburフローサイトメーター(BD、Heidelberg、ドイツ)で分析し、細胞の細胞周期状態における分布をCell Quest Proソフトウェア(BD)で決定した。サブG0/G1分画における低二倍性細胞をアポトーシス性であると考えた。
生体染色色素アクリジンオレンジ(AO)をオートファジーの検出に使用した。赤色の蛍光の濃さは、存在するオートファジー性の細胞小器官の酸性度および体積と相関関係にある(Kanzawaら 2004)。アッセイを以下のように実行した。細胞を6ウェルプレート(2×105/ウェル)中で薬剤の存在下において24時間にわたり培養し、トリプシンで剥離し、RPMI中の1μg/mlのAOで、フェノールレッドを用いずに15分間にわたって室温において染色した。インキュベーション時間の終了後、細胞を洗浄し、PBS中に再懸濁した。緑色および赤色の蛍光発光をFACSCaliburで測定し、CellQuestソフトウェアを使用して分析した。
NOの放出および亜硝酸塩の蓄積の測定
NOの放出の間接的な指標としての亜硝酸塩の蓄積を、以前(Mijatovicら 2004)に記載されたグリース反応によって測定した。細胞内におけるNOを検出するため、細胞を1時間にわたって37℃において、フェノールレッドを含まないRPMI1640中のNOの指標であるDAF−FM二酢酸塩(Molecular Probes)2μMで染色した。次いで、細胞を洗浄し、37℃において新しいRPMI1640中で更に15分間インキュベートした後、薬物治療した。2時間後、細胞をトリプシン処理し、洗浄し、最後にPBS中に再懸濁し、Cell Questソフトウェアを使用するFACSCaliburによって分析した。
細胞ベースELISA
Versteegによる細胞ベースELISA(cELISA)(Versteedら、2000)をわずかに改変した方法を使用して、ガラクトセレブロシド、グリア線維酸性タンパク質(GFAP)、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、サイクリンD3、p53およびp−AKTの発現を測定した。簡潔には、培養期間の最後に細胞を4%パラホルムアルデヒド中で固定し、内因性ペルオキシダーゼ(peroxydase)を0.1%Triton X−100を含有するPBS(PBST)中の1%H22でクエンチングし、抗体の非特異的結合を10%FCSを含有するPBST溶液で遮断した。ラット/マウスp−Akt(1:200、Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA)、GFAP(1:200、BioYeda、イスラエル)、ガラクトセレブロシド(1:100、Boehringer Mannheim、Mannheim、ドイツ)、MBP(1:100、Boehringer Mannheim、Mannheim、ドイツ)、サイクリンD3(1:750、Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA)およびp53(1:250、Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA)に対して特異的な一次マウスモノクローナル抗体を、2%ウシ血清アルブミンを添加したPBST(PBSTB)中に加えるのに続き、抗GFAPおよびガラクトセレブロシドには二次ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG(PBSTB中に1:2500、GE Healthcare 英国)を、または抗p−Akt、抗サイクリンD3および抗p53には抗ウサギIgG(1:2500、Healthcare 英国)を加えた。インキュベーションはすべて、37℃において1時間にわたって実行した。ペルオキシダーゼ基質TMBとともにインキュベートした15分後に、450nmにおける吸光度を自動マイクロプレートリーダーにおいて測定し、続いて0.1MのHClを添加した。各治療の間で比較できるよう、元のプロトコール中に記載されるように、得られた吸光度をクリスタルバイオレット染色によって決定された細胞数に対して補正した。結果を、対照の値と比較して相対的に提示する。
チロシナーゼ活性アッセイおよびメラニン決定
チロシナーゼ活性を、L−DOPA34の酸化率を測定することによって決定した。簡潔には、6ウェルプレート中でサブコンフルエントになった培養物を1%Triton X−100を含むpH6.8のリン酸緩衝液100μl中に溶解し、次いで、10000rpmにおいて5分間にわたって遠心分離した。各抽出物40μlをL−DOPA基質溶液(2mg/ml)100μlと混合した。酵素反応を37℃において実施し、570nmにおける吸光度を10分毎に少なくとも1時間にわたって読み取った。最終活性を、ブラッドフォード法によって推定されたタンパク質総量によって補正した。メラニンを決定するため、細胞を6ウェルプレート中で24時間にわたってインキュベートし、トリプシン処理し、カウントし、次いで1MのNaOH 100μl中に溶解した。蒸留水400μlを添加し、試料を60℃において1時間にわたってインキュベートした。その後、溶解した色素の吸光度を492nmにおいて測定した。
免疫細胞化学的な検出
サイクリンD3の発現およびp53の発現の検出を、以前に記載された免疫細胞化学的な手順によって実行した(Mijatovicら、2005)。細胞をガラス製チャンバースライド(3×104細胞/ウェル)中で培養し、サイクリンD3およびp53の発現を、サイクリンD3(1:1000、Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA)およびp53(1:500、Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA)に対して特異的な抗体で検出した。一次抗体の認識を、ウサギエキストラビジン(extravidin)−ペルオキシダーゼ染色キットで、製造元による指導書(Sigma)に従い、ジアミノベンジジン(R&D Systems、Minneapolis、MN)を基質として使用して実行した。細胞をマイヤー(Mayer)ヘマトキシリンで対比染色し、スライドガラスをグリセルゲル(glycergel)封入用媒体(Dako、Glostrup、デンマーク)で封入した。
ウェスタンブロット分析
細胞(1×106)をフラスコ(25cm3)中に播種し、0.5%FCS RPMI中で一晩インキュベートし、続いて薬剤で30、60および120分間にわたって治療した。全細胞溶解物を62.5mMのTris−HCl(pH6.8、25℃において)、2%w/vのSDS、10%グリセリン、50mMのDTT、0.01%w/vブロモフェノールブルーを含有する溶液中に調製し、12%SDS−ポリアクリルアミドゲルの電気泳動にかけた。試料を、ポリ二フッ化ビニリデン膜に、セミドライブロッティング装置(Fastblot B43、Biorad、Goettingen、ドイツ)を使用して5mA/cm2において電気的に転写した。ブロットを、0.1%Tween−20を含むPBS中の5%w/v脱脂粉乳でブロッキングし、p53、CD3、Akt、リン酸化Aktおよびアクチンに対して特異的な抗体で探索した(いずれも1:1000で希釈、Aktおよびp−AktはCell Signalling Technology、Boston、MAより、CD3、p53およびアクチンはSanta Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CAより)のに続き、二次抗体(ECLロバ抗ウサギHRP結合、GE Healthcare、Buckinghamshire、英国)とともにインキュベートした。検出を化学発光(ECL、GE Healthcare)によって実行した。
C57BL/6マウスにおける黒色腫の誘導および薬剤治療
原発性腫瘍を誘導するために、2×105個のB16黒色腫細胞を、同系C57BL/6マウスにおける背側右の腰仙部位に皮下(s.c)注射した。腫瘍の成長を毎日観察し、埋め込んで10日後から薬物治療を開始した。SaqおよびSaq−NOの新しい溶液を腹腔内(i.p.)に用量10mg/kg体重において15日間連続して注射した。30日目にマウスを屠殺し、各マウスからの腫瘍の各々を三次元で測定することによって腫瘍の成長を決定した。以前に記載された(Maksimovic−Ivanicら 2008)ように[0.52×a×b2]、式中のaは最長、bは最短の直径、により腫瘍の体積を計算した。
急性毒性
SaqおよびSaqNOの急性毒性を定義するために、試験化合物を250、500、1000および1500mg/Kgの単回投与によりCD1マウスに腹腔内(i.p.)投与した。対照群を、ビヒクル(純粋なDMSO、100μl/マウス)のi.p.投与により処理した。各群はマウス10匹ずつとした。死亡率を、最初の4時間は1時間毎に、次いで投与後14日目までは10時間毎に評価した。
統計的分析
異なる治療の間の差異の有意性をANOVAで分析し、これに続き、多重比較をスチューデントニューマンクールズの検定(Student−Newman−Keuls test)により行った。p値が0.05未満である場合に有意であると考えた。
結果
Saq−NOは腫瘍細胞の生存能を大幅に低下させたが、初代細胞の生存能は低下させなかった
SaqおよびSaq−NOの効果を、形質転換されたヒト(HeLa子宮頚部腺癌、BT20およびHCC1419乳癌、PC−3前立腺癌)および齧歯類(C6ラット星状細胞腫およびB16マウス黒色腫)細胞株、ならびに形質転換されていない初代細胞(ラット初代星状細胞およびマウス線維芽細胞)といった性質の異なる細胞の生存能に対して評価した。クリスタルバイオレットアッセイ(図2A、2B)およびミトコンドリア呼吸(図示せず)によって評価したところ、両化合物は強い抗腫瘍能を呈する。NO修飾化合物はより効率が高く、IC50値は親薬剤の1/2〜1/4であった。興味深いことに、Saq−NO濃度を更に増加させても生存能が更に低下することはなかった。また、Saq−NOは形質転換されていない初代星状細胞および線維芽細胞の生存能には影響をおよぼさず、IC50用量のSaqは毒性が高かった(図2C)。したがって、親化合物にNOが結合したことによりその殺腫瘍能が大幅に増大し、初代細胞に対するその毒性がほぼ完全になくなったということが明らかである。2つの異なるSaq調製物の細胞毒性機構を詳細に記述するために、本発明者らはC6およびB16齧歯類細胞株を代表として使用した。
Saq−NOは極微量のNOを放出する。Saqの殺腫瘍性作用がその化学修飾後に増大したことが観察されたが、これはNOの放出量および速度によるものである可能性がある。薬剤によるNOの放出の規模を調べるため、腫瘍細胞をインキュベートして24時間後に、NOの細胞内における蓄積および細胞培養上清中におけるその遊離をSaq−NOの存在下において測定した。驚くことに、他のNO修飾された薬剤とは異なって、Saq−NOでの治療はB16およびC6細胞の両方において細胞内における微量のNOの放出を誘導した(図3A)。これと一致するように、極微量のNOの放出が細胞培養上清中において観察された(図3B)。これらのデータは、薬剤から遊離した微量のNOが悪性細胞に対する薬剤誘導性の毒性の直接的な原因ではない可能性があるということ、および親薬剤の化学構造をこのように修飾することによって、他のNO供与性化合物とは全く異なる新しい性質の薬理学的特性を与えたということを示唆する。
Saq−NOの抗腫瘍活性は主として細胞増殖抑制活性に基づくものであった。以下の実験において、SaqおよびSaq−NOが異なる型の細胞死を誘導する能力を比較した。最初に、壊死の存在をLDH放出アッセイによって分析した。試験は、壊死性細胞が細胞膜の損傷によりLDHを細胞上清中に放出する特質に基づく。図4Aから分かるように、C6およびB16細胞をSaqで治療したことによって、両細胞株においてLDHの放出が用量依存的に誘導され、このことは、薬剤作用の主要なまたは二次的な機構として壊死性細胞死が重要であったことを示唆した。しかし、有意なC6細胞毒性の割合はSaq−NOの最も高い用量で治療した場合においてのみ検出されたことから、壊死は新しい化合物で観察された抗神経膠腫活性の原因ではないということが示された。一方、黒色腫細胞において用量依存性のLDHの放出が、Saq−NOでの治療において試験したいずれの用量に対しても検出された(図4A)。また、Saq−NOは、試験された最も低い用量においても有意な細胞毒性(cytoxicity)を誘導したことから、B16のSaq−NOに対する感受性がSaqに対する感受性よりも高いということが示された。更に、LDHの有意な放出は、薬剤(対照において2.3%、VS Saq−NOで治療した培養物18.8μMにおいて6.2%)に対して18時間曝露する前には検出できなかったことから、壊死が薬剤作用の主要な機構というよりもむしろその結果であるということが示された。更に調査するために、細胞生存性をC6において約50%、B16において70%低下させた際のSaq−NOの用量18.8μMを選択し、同一の用量のSaqと比較した。B16およびC6細胞がオートファジー傾向を有する細胞として知られることを考慮して、両薬剤の抗腫瘍効果におけるオーソファジー(authophagy)の寄与を評価した。Saq−NOおよびSaqのいずれによっても、両細胞株の細胞質中における酸性小胞の量が増加しなかったことから、死または救済プロセスのいずれとしてもオートファジア(autophagia)が存在しなかったということが指摘された(図4B)。
次いで、細胞周期分布に対する薬剤の影響を調べた。Saqで治療した細胞の分布は、対照である未処理の細胞の分布と大きく異なるものではなかった(図4C)。C6細胞培養において、Saq−NOにより、サブG分画における細胞の割合がわずかに増加し、G0/G1における特に著しい停止が誘導された(図4C、左のグラフ)。同時に、B16細胞を同様に治療した結果、統計的に有意なアポトーシスおよび細胞周期のG2/M相における細胞の蓄積がみられた(図4C、右のグラフ)。神経膠腫細胞において、細胞周期の顕著な遮断に続き、アポトーシスが若干存在し、オートファジー性および壊死性の細胞死が存在しないことから、細胞死の誘導ではなくむしろ増殖の阻害がSaq−NOの抗腫瘍特性の原因となる機構であるという可能性が高まった。薬剤の細胞増殖抑制活性が顕著であるということは、CFSE染色によって更に確認された。対照細胞の約90%が48時間後に分裂するが、Saq−NOで治療した際には細胞の10%未満しか増殖することができない(図4D、左のグラフ)。Saq−NOでの治療後に生存していたB16細胞はC6細胞と比較して低い分裂能を示したことから、化合物の作用においてこの機構が優先しているということが示唆された。また、Saqの投与中止によって24時間後における細胞の生存能が主として回復したが、同一の条件においてSaq−NOを除去した場合には回復が非常に穏やかとなったことから、増殖能力の喪失が永続的であったということが示唆された(図4D、右のグラフ)。以上のことを要約すると、これらの結果はSaq−NOの優れた細胞増殖抑制能力を強く示した。
Saq−NOは神経外胚葉C6およびB16細胞の分化を誘導した。薬物治療の結果としての細胞増殖の阻害によって、試験した両腫瘍細胞株の形態変化が生じた(図5A)。こうした形態学的な特質が表現型の変化と相関関係にあったか否かを更に探究するために、本発明者らはC6およびB16細胞培養における分化マーカーの発現を分析した。希突起膠細胞のマーカーであるガラクトセレブロシドの発現が強く上方調節されたが、GFAPの発現は減少したまたは変化しなかった(図5B、左のグラフ)ことを考慮すると、Saqおよび特にSaq−NOでの治療後のC6細胞が星状細胞ではなく希突起膠細胞の表現型を採っていたということのようであった。一方、B16細胞において、Saqでの治療後にのみメラニン含有量およびチロシナーゼ活性が増加し(図5B、右のグラフ)、形態変化が観察された(図5A、右のグラフ)ことから、細胞がメラノサイトの表現型を取っていたということが示された。その一方、Saq−NOによって誘発された明らかな形態変化に加えて、B16細胞は、わずかではあるが有意なチロシナーゼ活性の減少と、変化しないメラニン量とを示した。同時に、これらの細胞はMBP発現における穏やかな上昇を示し(図5B、右のグラフ)、このことから、B16細胞がいわゆる「シュワン様細胞(Schwann−like cells)」の表現型を採っていたということが示された。このプロセスは文献中に「分化転換(transdifferentiation)」(Reed JA、1999)として記載され、メラノサイトの退化前の最終段階を提示した。
サイクリンD3および腫瘍抑制タンパク質p53の発現と希突起膠細胞の生育とが関連することから、次に、試験化合物によって誘発された分化プロセスにおけるそれらの関与をC6およびB16細胞において調査した。SaqおよびSaqNOの存在下において24時間インキュベートした後、サイクリンD3およびp53タンパク質の発現をcELISA(図5C、上のグラフ)および免疫細胞化学(図5C、下のグラフ)のウェスタンブロット分析によって決定し、薬剤に対して曝露してわずか4時間後に同じ現象を確認した(図5C、中のグラフ)。細胞をSaqで治療することによりサイクリンD3およびp53の活性が上方調節され、Saq−NOはp53の発現に対してSaqよりも大幅に影響をおよぼしたが、両細胞株におけるサイクリンD3の発現はそれほど変化しなかった。(図5C)。総合すると、SaqにNOが共有結合したことによって、細胞内レベルにおける薬剤活性に有意な差異が生じた。
SaqおよびSaq−NOはAKTシグナル伝達経路を反対方向に調節する。PI−3K−Aktシグナル伝達経路がSaqおよび他のHIV−PIの最も重要な細胞内標的の1つであるということはよく記録に残されており、このことはその殺腫瘍特性に関連する可能性があり、またこの薬剤ファミリーについて観察された高い毒性の原因でもある可能性がある。修飾されたHIVプロテアーゼ阻害剤Saq−NOにおいて抗腫瘍特性が保存されていたことおよび正常細胞に対して毒性がないことについての先のデータを念頭において、本発明者らは次に、Akt介在性のシグナル伝達経路に対して薬剤がおよぼし得る影響を調査した。得られた結果から、Saqはこの全く効果のない用量においてもp−Aktの発現を排除したが、これとは完全に逆に、Saq−NOはAKTの相当量の一過性のリン酸化を誘導したということが明瞭に示された。修飾された薬剤および元の化合物である薬剤はいずれもB16およびC6細胞において類似する様式の作用を示し、cELISAおよびウェスタンブロット分析によって得られた結果をB16細胞を代表するものとして提示した(図6A、6B)。また、上流のPI−3キナーゼの特異的阻害剤である3−MA、またはAkt阻害剤であるAKT VIでの細胞の治療によって、腫瘍細胞の生存性が更に減少した(図6B)。この結果は、NO修飾された化合物について保存、更には増強されている抗腫瘍活性には、Akt活性の阻害および上方調節のいずれが介在するものでもなかったということを明瞭に示した。また、Akt活性の増強は、保護的な兆候を提示し、また、このNO修飾された化合物に曝露された初代細胞において毒性がないことの主要な原因である可能性があった。
SaqおよびSaq−NOは、同系C57BL/6マウスにおけるB16黒色腫の成長を低下させた。親化合物および新たに生じた化合物のインビボにおける抗腫瘍特性を調査して比較するために、B16腫瘍細胞を同系C57BL/6マウスのs.c.に接種し、次いでSaqまたはSaq−NOのいずれかのi.p.投与によって治療した。腫瘍誘導して10日後に薬物治療を開始し、15日間連続して継続した。図7から分かるように、解剖(腫瘍攻撃して30日後)において、対照動物のすべてが固形腫瘍を発病した。Saqで治療した群において、動物の3/9が腫瘍を発病したが、その体積は有意に減少していた。最後に、Saq−NOで治療した群においては、腫瘍は1つのみ観察された。同時に、Saqを受けた動物は際立った体重の減少(最初の体重から10%)を示し、腫瘍のない動物のうち4匹は腹膜の強い炎症を示した。一方、Saq−NOでの治療において視認可能な毒性の兆候はみられず、また動物は体重が増加した(最初の体重の13%)。
SaqおよびSaqNOのインビボにおける毒性
Saq−NOでは試験された用量のいずれにおいても死亡は観察されなかったが、Saqは、用量1500において投与後18〜144時間で100%(平均±SD=65±58)、用量1000mg/Kgにおいて30%、投与後24時間以内において用量500mg/Kgにおいて20%の致死率を誘導することができた。
考察
HIV−PIは、HIVプロテアーゼを阻害するその主な能力に加えて、強い抗腫瘍性の特質を保有しているということが近年示された。HIV−PIは、多発性骨髄腫、SW872脂肪肉腫、T24膀胱癌、A549肺癌、U373神経膠芽腫、ジャーカット白血病(Jurkat leukemia)細胞、DU−145およびPC−3前立腺癌細胞、NB4およびHL−60ヒト骨髄性白血病細胞およびカポジ肉腫等の非常に多くの型の腫瘍細胞株の成長を阻害することができる(Chowら 2006、Pajonkら 2002、Ikezoeら 2004、Ikezoeら 2000、Gillsら 2007)。また、この薬剤はカポジ肉腫の発病率を減少させ退縮を促進し、また、頭部、頚部、膀胱および前立腺癌に対する放射線および化学療法の治療的効能を増幅することができた(Pajonkら 2002、Ikezoeら 2004、Sgadariら 2002、Ikezoeら 2004、Guptaら 2005、Cuneoら 2007)。しかし、この型の薬剤の長期投与は、高ビリルビン血症、高脂血症または低脂血症、インスリン抵抗性および糖尿病等の予測されない副作用を引き起こす(Sgadariら 2003)。
本発明の化合物であるSAQ−NOによって、抗腫瘍特性が増強され、正常組織に対する毒性が排除された。より詳細には、新たに合成された薬剤の作用における別の様式は、いくつかの齧歯類およびヒト腫瘍細胞株の成長に対する高い抑制効力と関連があった。更に、初代細胞に対する毒性はほぼ完全に解消された。他のNO供与性化合物からのNOの放出は直接または間接的にその細胞毒性の原因であると考えられるが(Rigasら 2004)、Saq−NOは非常に少量のNOしか遊離せず、この量は細胞毒となるほど強くはないが非常に多くの細胞内事象を調節する可能性が実際にあった。腫瘍細胞の拡大の制限がSaqによって誘導されたが、このことは主としてアポトーシスが誘導された結果である(Ikezoe Tら 2004)。この型のプログラム細胞死は高用量のSaqに曝露されたC6およびB16細胞の生存能における減少にとって非常に重要であるが、修飾された化合物とともに培養された際には腫瘍細胞の死(偶発的な死またはプログラム死)はあまり寄与しない。腫瘍細胞の生存性が明らかに低下したことと一致するように、細胞周期の停止が観察されたこととCFSE染色とによって、Saq−NOの抗癌活性にとって増殖の阻害が非常に重要であるということが確認された。このことと一致して、薬剤の投与中止後でも細胞が分裂できなかったことから、増殖特性の喪失が永続的であったということが示唆された。同時に、薬剤がC6およびB16細胞の有意な形態変化を促進したことから、悪性の前駆体の表現型における変化が示された。C6およびB16細胞の分化能力はよく記録に残されている。刺激に応じて、C6細胞は二方向性分化能力を保有する。したがって、アントラキノン(antraquinone)であるアロエエモジン(Aloe emodin)に対して、またシロバナチョウセンアサガオ凝集素および効力が高いPKC阻害剤であるスタウロスポリンに対して曝露されると、C6細胞は星状細胞の(astocytic)系譜に向かって分化したが、Bupleurum Radixから単離されたサイコサポニン(saicosaponins)AおよびD等の他の剤によっては希突起膠細胞への成熟が促進されたということが示された(Mijatovicら 2005、Tsaiら 2004、Sasakiら 2002、Kronfeld Iら 1995)。C6と同じ胚前駆体に由来し、α−メラノサイト刺激ホルモン、紫外線AおよびB照射、ならびにフォルスコリン、コレラ毒素、イソブチルメチルキサンチン(isobutylmethylxantine)、レチノイン酸、およびマンノシルエリスリトールリピッド等の薬剤によって誘発されたB16細胞は、初代メラノサイトの特徴を得た(Buscaら 1996、Buscaら 1998、Valverdeら 1993、Bennetら 1994、Ohguchiら 2004、Gruberら 1992、Zhauら 1999)。これより、親またはNO修飾化合物の両方で治療した際の関連する分化マーカーの発現の決定から、C6細胞が希突起膠細胞への分化のプロセスに入ったということが明らかになった。HIV−PIの中には前駆脂肪細胞およびヒト骨髄性白血病細胞の分化を誘導するものがあるということが以前に記載されている(Ikezoeら 2000、Chowら 2006、Nguyenら 2000)。一方、SaqはB16細胞のメラノサイトへの分化を誘導したが、Saq−NOはメラニン合成およびチロシナーゼ活性に対して逆の効果を示した。ある状況において、「分化転換」として知られているプロセスへとB16が促され、シュワン(Schwan)様の表現型となるということが見いだされた(Slutskyら 2003)。この細胞特性は天然のメラノサイトの退化ルートにおける実際の終点であると考えられた(Reed JAら 1999)。Saq−NOに対する曝露後にメラノサイトのマーカーが下方調節されたことに続いてMBPの発現が増加したことから、この治療によってB16細胞がメラノサイトのライフスパイン(life spine)の最終段階に直接進んだということが示唆された。
Tokomontoら(Yasuhito M.Tokumoto、Be’atrice Durand,1およびMartin C.Raff、1999)は以前に、PDGFの投与中止または甲状腺ホルモン治療によって促進されるサイクリンD3の発現と希突起膠細胞の生育との間の関連を確立している。サイクリンDファミリーの中で哺乳動物において最も広く発現しているサイクリンD3の上方調節(Bartkovaら、1998)が筋芽細胞の細胞株のいくつか(Jahnら、1994;Kiessら、1995;RaoおよびKohtz、1995)およびヒト前骨髄球性白血病株HL60(Bartkovaら、1998)の分化プロセスにおいて観察された。更に、甲状腺ホルモンによって誘導された、多分化能幹細胞の希突起膠細胞への成熟(Joheら、1996 Ahlgrenら、1997;Barresら、1994;Ibarollaら、1996)が、サイクリンD3の上方調節およびp53の発現レベルの増加に密接に関連していた。前者は文献中に、前駆体細胞を希突起膠細胞の系譜に導く主要な分子として記載されている。Saqによって誘発されるC6およびB16細胞の分化は、恐らくその26Sプロテソーム(protesome)阻害特性によるサイクリンD3の蓄積の増加と相関関係にあった(Pajonk、2002)。一方、サイクリンD3のレベルはSaq−NOによる影響を受けなかった。2つの薬剤によるp53およびサイクリンD3の調節には差異があるがC6腫瘍細胞の成熟という結果が類似していることから、このプロセスにおいてサイクリンD3が優先しているということに関しての論議が提議される。また、親化合物で治療した培養物と比較して試験した際に、Saq−NOに対して曝露した後で両細胞株においてp53タンパク質の量が有意に高かったことは、神経組織細胞の分化におけるp53タンパク質の中心的な役割についてのデータと適合する(Billonら 2004)。このことから、p53の活性の上方調節は、Saq、特にSaq−NOによって促進されたC6およびB16細胞の分化が観察されたことと、その結果として生じた、希突起膠細胞およびシュワン様細胞(Shwann−like cell)という識別可能な表現型を有する非悪性で非分裂性の細胞が生育したこととの原因である可能性がある。
HIV−PIの活性がPI−3K−Aktシグナル伝達経路を妨げたということがよく記録に残されている。例えば、ネルフィナビル、アンプレナビルおよびサキナビルは非常に多くの細胞株においてAkt活性を阻害することができたが、これらの薬剤がこの経路を妨害した機構は未だ明らかではない(Guptaら 2005)。先のデータと一致するように、SaqはC6およびB16の両細胞においてAktのリン酸化を下方調節し、その結果としてこのキナーゼの活性が減少した。Aktの阻害率と腫瘍細胞の生存性の下方調節とが相関関係にあったことから、このシグナル伝達経路と薬剤の殺腫瘍活性とが関連することが示された。このことに加えて、Aktの活性の減少は、黒色腫細胞のメラノサイトへの分化を促進するSaqの能力に関与する可能性がある。cAMPを増加させる剤であるフォルスコリンが、この経路を阻害することによってB16細胞の分化を誘導するということが示された(Buscaら 1996)。反対に、Saq−NOでのB16の治療はAktの一過性の活性化を誘導した。これと類似するAktの活性化が、内皮細胞、骨芽細胞および筋芽細胞の分化の間に観察された(Marchettiら、2006、Raucci Aら 2008、Horowitz JCら 2007)。興味深いことに、特異的なAkt阻害剤または上流のPI−3Kの阻害剤によるAktの中和は、細胞生存性を更に低下させた。データから、NO修飾化合物における抗腫瘍特性の保存はAktのリン酸化をモジュレートするその能力によるものではなかったということが示唆される。このことは、Saqが殺腫瘍活性を発揮するための主要な標的の1つがこのシグナルであるという考えとは全く反対であった。また、Saq−NOが、Aktを一時的にではあるが強く刺激することにより細胞に保護的なシグナルを送達し、初代細胞における薬剤毒性の欠如の原因を引き起こす可能性があった。元の化合物であるSaqの、PI−3K−Akt経路を下方調節する特質は、インスリン受容体の連結反応によって誘発されたシグナルの伝達に対して非常に大きな影響をおよぼし、このプロセスを妨害してインスリン抵抗性を引き起こした(Guptaら、1995)。これは、この化合物の最も重大な副作用の1つの原因である可能性のある、基本的な事象である。抗腫瘍性の特質を保存しながらこの有害なシグナルを有さないということは、新たに合成した薬剤の親化合物との比較における大きな利点である。また、Saq−NOがインビボにおいて強い抗黒色腫能を有し、インビボにおいて毒性が全く確認されなかったことは、Saq−NOが抗癌性薬剤として見込みがあるか否かを調べる強い動因となる。
また、Saq−NOの、eCXCR4株のCCR%に対するインビトロにおける抗HIV活性は、サキナビルのもつ活性と少なくとも同等に高いことを示す。
サキナビルと構造上類似する他のプロテアーゼ阻害剤(例えばリトナビル、ネルフィナビル、インディナビル、ダウナビル、ラピナビル、アンプレバニル、アタザナビル等)へのNO部分の付加は、Saq−NOに関して上述した特性に類似する好適な特性を付与する。
図面の説明
図1は、Saq−NOの合成を示す。
図2は、Saq−NOとSaqとの細胞毒性を示す。Saq−NOは腫瘍の生存能を下方調節するが、初代細胞の生存能は下方調節しない。ヒト(A)および齧歯類(B)の腫瘍細胞株(1×104細胞/ウェル)ならびに形質転換されていない齧歯類の初代細胞(3×104細胞/ウェル)(C)を、多様な濃度のSaqまたはSaq−NOのいずれかに対して24時間にわたって曝露した。次いで、細胞生存性をCV試験によって評価した。データは、3回の独立した実験の代表からの平均±SDとして提示する。*p<0.05、未処理の培養物を基準とする。
図3において、腫瘍細胞のSaq−NOでの治療に続いて、極微量のNOが放出された。(A)DAF−FM二酢酸塩で染色された細胞をSaq−NO(18.8μM)なしで(対照)またはSaq−NO(18.8μM)とともに24時間インキュベートした後、フローサイトメトリーによって細胞内におけるNOを検出した。GIT−27NO(75μM)で治療した細胞を陽性対照として使用した。(B)示された濃度のSaq−NOとともに細胞を24時間インキュベートした後、細胞培養上清中における亜硝酸塩の蓄積を検出した。データは、3回の独立した実験の代表からの平均±SDとして提示する。*p<0.05、未処理の培養物を基準とする。
図4において、Saq−NOは細胞増殖を強く阻害し、細胞死もこれにわずかに寄与した。(A)腫瘍細胞を異なる用量のSaqまたはSaq−NOとともに24時間にわたってインキュベートし、LDH放出アッセイを実行した。結果を、材料と方法に示される通りに計算し、3回の独立した実験の代表からの平均±SDとして提示する(*p<0.05)。腫瘍細胞を18.8μMのSaqまたはSaq−NOとともにインキュベートした。薬剤なしでまたは薬剤とともに24時間培養した後、細胞をAOオレンジ(B)またはPI(C)で染色し、フローサイトメトリーによって分析した。データは、3回の独立した実験からの平均±SDとして提示する。*p<0.05、未処理の培養物を基準とする。(D)細胞をCFSEで染色し、18.8μMのSaqまたはSaq−NOとともに48時間にわたってインキュベートし、増殖率をフローサイトメトリーによって決定した(左のグラフ)。細胞を18.8μMのSaqまたはSaq−NOとともに24時間にわたってインキュベートした。その後、薬剤を細胞から除去し、または除去せず、更に24時間にわたってインキュベートした。24および48時間インキュベートした後、細胞生存性をCV試験によって決定した(右のグラフ)。データは、3回の独立した実験からの平均±SDとして提示する。*p<0.05、未処理の培養物を基準とする。
図5において、SaqおよびSaq−NOはC6およびB16細胞の分化を誘導する。C6およびB16細胞を18.8μMのSaqまたはSaq−NOとともに24時間にわたってインキュベートした。細胞の形態を光学顕微鏡検査法によって調べた(A)。C6およびB16細胞の細胞分化のマーカーであるガラクトセレブロシド、GFAPおよびMBPをcELISAによって決定し、メラニンおよびチロシナーゼ活性を材料と方法中に記載されるように決定した(B)。サイクリンD3およびp53の発現をcELISA(C、上のグラフ)、免疫細胞化学(C、中のグラフ)およびウェスタンブロット(C、下のグラフ)によって評価した。結果は、3回の独立した実験からの平均±SDとして提示した。*p<0.05、未処理の培養物を基準とする。
図6において、SaqおよびSaq−NOはAkt活性を反対方向に調節する。(A)B16細胞を18.8μMのSaqまたはSaq−NOとともにインキュベートし、Akt活性をcELISAによって調べ、未処理の対照培養物において得られた値に対して何倍増加したかとしてデータを提示する(*p<0.05)。Saq−NOの効果を示された時間点においてウェスタンブロット(B)によって確認した。(C)B16細胞(1×104細胞/ウェル)を18.8μMのSaq−NOとともに、そしてAkt VI(50□g/ml)または3−MA(1mM)とともにまたはこれなしで24時間にわたってインキュベートし、細胞生存性をMTTによって調べた。データは、3回の独立した実験からの平均±SDとして提示する。*p<0.05、未処理の培養物を基準とする。
図7において、SaqおよびSaq−NOはC57BL/6マウスにおける黒色腫の成長を阻害した。B16黒色腫細胞2.5×105個をs.c.に埋め込むことによって腫瘍が誘導され、腫瘍を埋め込んで10日後にSaqまたはSaq−NOのi.p.注射を開始し、15日間連続して注射した。腫瘍を埋め込んで30日後に腫瘍の体積を材料と方法に示される通りに決定した。
参考文献
Figure 2011529864
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Claims (6)

  1. HIVプロテアーゼ阻害剤の硝酸エステル。
  2. 前記HIVプロテアーゼ阻害剤が、サキナビル、リトナビル、ネルフィナビル、インディナビル、ダウナビル、ラピナビル、アンプレバニル、アタザナビルから選択される、請求項1に記載の硝酸エステル。
  3. 式Iの請求項1に記載のサキナビルの硝酸エステル、
    Figure 2011529864
    その非毒性の塩、溶媒和物、多形または/および結晶形態。
  4. 請求項1から3に記載の化合物を、適切な担体/賦形剤との混合物中に含む医薬組成物。
  5. 腫瘍またはHIV感染の治療用の薬物を調製するための、請求項1から3に記載の化合物の使用。
  6. 腫瘍および/またはHIV感染に罹患した患者を治療する方法であって、請求項1から3に記載の化合物の有効量を前記患者に投与するステップを含む方法。
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