JP2011524742A - 変異体Hhip1タンパク質およびその方法および使用 - Google Patents
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Abstract
Description
本出願は、2008年5月30日に出願された米国特許仮出願番号61/057762の優先権を主張し、この内容全体を出典明記により本明細書に援用する。
本発明は、哺乳動物における腫瘍の診断と治療に有用な組成物と、同用途のために該組成物を使用する方法に関する。
Hedgehogの過剰発現によるHedgehog経路の活性化は多くの癌の特徴である。文献は、Hedgehogの過剰発現が、例えば小細胞肺癌(SCLC)、胃及び上部胃腸管癌、膵癌および前立腺癌を含む多くのヒト腫瘍生検および異なる種類の細胞株において検出されたこと示す。
Ptchによる細胞表面のHhシグナルの調節は、無脊椎タンパク質Ihog(干渉Hedgehog)(Lum, L. et al. (2003) Science 299:2039-2045;Yao, S. et al. (2006) Cell 125:343-357)及びBoi(Ihogの一種)(Yao, S. et al. (2006) Cell 125:343-357)およびそれらの対応する脊椎動物のホモログCdon(Kang, J.S. et al. (1997) J. Cell. Biol. 138:203-213;Zhang, W. et al. (2006) Dev. Cell 10: 657-65)及びBoc(バイオ領域のCdon-結合タンパク質)(Kang, J.S. et al. (2002) EMBO J. 21:114-124;Tenzen, T. et al. (2006) Dev. Cell 10:647-656)といった多くの多の細胞表面分子によって細かく調節される。ショウジョウバエの公知のホモログを欠いている、コレセプターIhog/Boi Cdon/Boc及びGas1(増殖静止-特異的1タンパク質は、シグナル受信を上げる経路アゴニストである(Allen Allen, B.L. et al. (2007) Genes Dev. 21: 1244-1257)。
Hhip1は、疎水性C末端ストレッチにて終わっている大きな細胞外領域とN末端シグナルペプチドを有する700残基のタンパク質である(Chuang and McMahon (1999) Nature 397:617-621)。主に膜結合型であることに加えて、Hhip1の可溶型は、成体齧歯動物の成熟した脳においても検出された(Coulombe, J. et al. (2004) Mol. Cell. Neurosci. 25:323-333)。2つの上皮性増殖因子(EGF)ドメインと4つの潜在的なN結合グリコシル化部位がおそらくある以外に(Chuang and McMahon (1999) Nature 397:617-621)、Hhip1細胞外ドメイン(ECD)の構造配列について知られていることはない。
現在まで、Hhip1の結晶構造は解明されておらず、Hhip1がどのようにHhと相互作用しその効果を発揮しているかは知られていなかった。同様に、Ptchは結晶化しなかったので、PtchがどのようにHhと相互作用したかも知られていなかった。
ゆえに、Hedgehog経路関連の腫瘍と効率よく戦うために、Hhip1およびPtchといったHh制御分子とHhとの正確な相互作用をよりよく理解することが当分野では差し迫って必要である。Hedgehogシグナル伝達経路のメンバーの構造的/機能的な関連を完全に理解すること、特に、PtchとHhip1との分子相互作用をよりよく理解することにより、Hhの小分子及び大分子のインヒビターの合理的な設定やHh関連の癌及び症状のための治療法についての必要な情報が得られる。
したがって、本発明の一実施態様では、本発明は、Hhip1β12ポリペプチド又はその生物学的に活性な断片(まとめて「Hhip1β12ポリペプチド」)をコードするヌクレオチド配列を有する単離された核酸分子を提供する。
本発明の他の態様は、欠失又は不活性な推定GPIシグナル配列を有するHhip1ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むか又はそのコード化ヌクレオチド配列に相補的である単離された核酸分子を提供する。このとき該ポリペプチド(一又は複数)の推定GPIシグナル配列は本明細書中で開示されるものである。したがって、ここに記載のHhip1ポリペプチドの可溶性細胞外ドメインが考慮される。
ある態様では、本発明は、ここに開示される完全長アミノ酸配列を有するHhip1β12ポリペプチド、ここに開示される核酸配列の任意のものによってコードされるアミノ酸配列、又はここに開示される完全長Hhip1ポリペプチドアミノ酸配列でその他の具体的に定まった断片に対して、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む単離されたHhip1β12ポリペプチドに関する。
また別の態様では、本発明は単離されたTATポリペプチドに関し、本単離されたTATポリペプチドは、(a)本明細書に開示される完全長Hhip1β12アミノ酸配列を有するHhip1β12ポリペプチド、(b)本明細書に開示されるHhip1β12ポリペプチドタンパク質の細胞外ドメイン、(c)本明細書に開示される核酸配列のいずれかによってコードされるアミノ酸配列、又は(d)本明細書に開示される完全長Hhip1β12ポリペプチドアミノ酸配列の、特に規定された他のいずれかの断片、をコードするDNA分子の相補鎖にハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む。
本発明の他の態様は、単離されたHhip1β12ECDポリペプチドを提供する。これを製造する方法もまたここに開示され、これらの方法には、Hhip1β12ポリペプチドの発現に適した条件下で適切なコード化核酸分子を含むベクターを含む宿主細胞を培養し、細胞培養物からHhip1β12ポリペプチドを回収することを含む。
他の実施態様では、本発明は、異種(非-Hip)ポリペプチドに融合した、ここに開示のHhip1β12ポリペプチド(例えばHhip1β12、Hipβ1、Hipβ及びHhip1Fzβ)の何れかを含む単離したキメラポリペプチドを提供する。そのようなキメラ分子の例は、例えば、エピトープタグ配列又は免疫グロブリンのFc領域等の異種ポリペプチドと融合したここに開示のHhip1β12ポリペプチドの何れかを含む。
ある実施態様では、本発明の抗体は、HhとHhip1又はHhとPtchの相互作用を干渉する。ある実施態様では、抗体は5E1以外である。他の実施態様では、抗体はHhシグナル伝達を刺激する。
本発明の他の実施態様では、本発明はここで開示されている抗体の何れかをコードするDNAを含むベクターを提供する。任意のそのようなベクターを含む宿主細胞も提供される。例を挙げると、この宿主細胞はCHO細胞、大腸菌、又は酵母菌であり得る。ここに記載されている抗体の製造方法が更に提供され、所望する抗体の発現に適切な条件下で宿主細胞を培養し、細胞培養物からその所望する抗体を回収することを含んでなる。
ある実施態様では、オリゴペプチドは、HhとHhip1又はPtchの相互作用を干渉する。他の実施態様では、オリゴペプチドはPtchに結合することによってHhシグナル伝達を刺激する。
他の実施態様では、本発明は、Hhポリペプチドに、好ましくは特異的に、結合するオリゴペプチド(「Hhip1L2ループ模倣オリゴペプチド」)を提供する。場合によっては、本発明のHhip1L2ループ模倣オリゴペプチドは、例えばメイタンシノイド又はカリケアマイシンを含む毒素のような増殖阻害剤又は細胞障害性剤、抗生物質、放射性同位体、核溶解性酵素等とコンジュゲートされうる。本発明のHhip1L2ループ模倣オリゴペプチドは、場合によってはCHO細胞又は細菌細胞中で産生され、好ましくは、それが結合する細胞の成長又は増殖を阻害するか、又は死を誘導する。診断の目的に対しては、本発明のHhip1L2ループ模倣オリゴペプチドは、検出可能に標識されたり、固体支持体等に付着させられたりする。
本発明の他の実施態様では、本発明は、ここで記載されているHhip1β12結合オリゴペプチド及びHhip1L2ループ模倣オリゴペプチドの何れかをコードするDNAを含むベクターを提供する。任意のそのようなベクターを含む宿主細胞も提供される。例を挙げると、宿主細胞はCHO細胞、大腸菌、又は酵母菌であり得る。ここに記載されているHhip1β12結合及びHhip1L2ループ模倣オリゴペプチドの任意のものを製造する方法が更に提供され、所望するオリゴペプチドの発現に適切な条件下で宿主細胞を培養し、細胞培養からその所望するオリゴペプチドを回収することを含んでなる。
ある実施態様では、小有機分子は、HhとHhip1又はPtchの相互作用を干渉する。ある実施態様では、小分子はrobotnikinin以外である(Stanton et al. (2009) Nat. Chem Biol. 5(3):154-156)。他の実施態様では、小分子はHhシグナル伝達を刺激する。
他の実施態様では、本発明は、Hhポリペプチドに、好ましくは特異的に、結合する小有機分子(「Hhip1L2ループ模倣有機分子」)を提供する。場合によっては、本発明のHhip1L2ループ模倣有機分子は、例えばメイタンシノイド又はカリケアマイシンを含む毒素のような増殖阻害剤又は細胞障害性剤、抗生物質、放射性同位体、核溶解性酵素等とコンジュゲートされうる。本発明のHhip1L2ループ模倣有機分子は、好ましくは、それが結合する細胞の成長又は増殖を阻害するか、又は死を誘導する。診断の目的に対しては、本発明のHhip1L2ループ模倣有機分子は、検出可能に標識されたり、固体支持体等に付着させられたりする。
更に他の実施態様では、本発明は、容器及び容器内に収容された組成物を含む製造品に関し、その組成物には、ここに記載のHhip1β12ポリペプチドないしその誘導体、ここに記載のキメラHhip1β12ポリペプチドないしその誘導体、ここに記載の抗Hhip1β12抗体、ここに記載のHhip1β12結合オリゴペプチド、又はここに記載のHhip1β12結合有機分子が含まれ得る。製造品は、更に場合によっては、腫瘍の治療的処置又は診断的検出のためのこの組成物の使用に言及する、容器に添付したラベル、又は容器内に含まれるパッケージ挿入物を含みうる。
本発明の他の実施態様は、ここに記載のHhip1ポリペプチド、ここに記載のキメラHhip1ポリペプチド、ここに記載の抗Hhip1ポリペプチド抗体、ここに記載のHhip1β12結合オリゴペプチド、ここに記載のHhip1L2ループ模倣オリゴペプチド、ここに記載のHhip1β12結合有機分子、又はここに記載のHhip1L2ループ模倣有機分子の、Hhシグナル伝達に反応する症状の治療に有用な医薬の調製のための使用に関する。
本発明の他の実施態様は、Hhip1及び/又はPtchポリペプチドを発現する細胞の成長を阻害する方法に関し、該方法は、細胞を、Hhip1β12及び/又はPtchポリペプチドと結合する抗体、オリゴペプチド又は小有機分子と接触させることを含み、ここでHhip1及び/又はPtchポリペプチドへの抗体、オリゴペプチド又は有機分子の結合がHhip1及び/又はPtchポリペプチドを発現する細胞の成長の阻害を引き起こす。好適な実施態様では、細胞は癌細胞であり、Hhip1及び/又はPtchポリペプチドへの抗体、オリゴペプチド又は有機分子の結合がHhip1及び/又はPtchポリペプチドを発現する細胞の死を引き起こす。場合によっては、抗体は、モノクローナル抗体、抗体断片、キメラ抗体、ヒト化抗体、又は一本鎖抗体である。本発明の方法に用いられる抗体、Hhip1β12L2ループ結合オリゴペプチド及びHhip1β12L2ループ結合有機分子は、例えば、メイタンシノイド又はカリケアマイシンを含む毒素のような成長阻害剤又は細胞障害性剤、抗生物質、放射性同位体、核溶解性酵素等と場合によってはコンジュゲートし得る。本発明の方法に用いられる抗体及びHhip1β12L2ループ結合オリゴペプチドは、場合によってはCHO細胞又は細菌細胞中で産生され得る。
本発明の更に他の実施態様は、Hhip1及び/又はPtchポリペプチドを発現する細胞を含む癌性細胞を持つ哺乳動物を治療的に処置する方法に関し、該方法は、Hhip1及び/又はPtchポリペプチドと結合する抗Hhip1β12抗体、Hhip1β12L2ループ結合オリゴペプチド又はHhip1β12L2ループ結合小有機分子アンタゴニストの治療的に有効な量を哺乳動物に投与することを含み、それによって腫瘍の効果的な治療的処置が達成される。場合によっては、抗体は、モノクローナル抗体、抗体断片、キメラ抗体、ヒト化抗体、又は一本鎖抗体である。本発明の方法に用いられる抗体、Hhip1β12L2ループ結合オリゴペプチド及びHhip1β12結合有機分子は、例えば、メイタンシノイド又はカリケアマイシンを含む毒素のような増殖阻害剤又は細胞障害性剤、抗生物質、放射性同位体、核溶解性酵素等と場合によってはコンジュゲートされうる。本発明の方法に用いられる抗体及びオリゴペプチドは、場合によってはCHO細胞又は細菌細胞中で産生され得る。
本発明の更なる実施態様は、哺乳動物における腫瘍の存在を診断する方法に関し、該方法は、(a)前記哺乳動物から得られた組織細胞の試験試料、及び(b)同じ組織源又は型の既知の正常な非癌性細胞のコントロール試料中における、Hhip1ポリペプチドをコードする遺伝子の発現のレベルを検出することを含んでなり、コントロール試料と比較して、試験試料中のHhip1ポリペプチドのより高いレベルの発現が、試験試料が得られた哺乳動物での腫瘍の存在を示す。このようなアッセイのためのプローブはHhip1β12-コード核酸に由来する。
本発明の更に他の実施態様は、Hhip1及び/又はPtchポリペプチドの改変、好ましくは増加された発現又は活性に関連した細胞増殖性疾患を治療又は防止する方法に関し、該方法はそのような治療を必要とする患者に、有効量のHhip1及び/又はPtchポリペプチドのアンタゴニストを投与することを含んでなる。好ましくは、細胞増殖性疾患は癌であり、Hhip1及び/又はPtchポリペプチドのアンタゴニストは抗Hhip1β12抗体、Hhip1β12L2ループ結合オリゴペプチド、Hhip1β12L2ループ結合有機分子又はアンチセンスオリゴヌクレオチドである。細胞増殖性疾患の効果的な治療又は防止はHhip1及び/又はPtchポリペプチドを発現する細胞の直接の死滅化又は増殖阻害の結果又はHhip1及び/又はPtchポリペプチドの細胞増殖増強活性のアンタゴナイズによるものでありうる。
本発明の他の実施態様は(a)Hhip1β12ポリペプチド、(b)Hhip1β12ポリペプチドをコードする核酸又はその核酸を含むベクター又は宿主細胞、(c)抗Hhip1β12ポリペプチド抗体、(d)Hhip1β12L2ループ結合オリゴペプチド、又は(e)Hhip1β12L2ループ結合小有機分子の、(i)癌又は腫瘍の治療的処置又は診断的検出、又は(ii)細胞増殖性疾患の治療的処置又は防止に有用な医薬の製造における使用に関する。
本発明の更なる実施態様は、本明細書を読むことにより当業者に明白であろう。
1. 配列番号:11、12、13、14、15、16の何れか一のアミノ酸配列をコードするDNA分子と少なくとも80%の核酸配列同一性を有するヌクレオチド配列、又はその相補鎖を有する単離された核酸。
2. 配列番号:11、12、13、14、15、16の何れか一に示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、又はその相補鎖を有する単離された核酸。
3. 1又は2に記載の核酸を含んでなる発現ベクター。
4. 前記核酸がベクターによって形質転換した宿主細胞によって認識されるコントロール配列と作用可能に結合している、3に記載の発現ベクター。
5. 3に記載の発現ベクターを含んでなる宿主細胞。
6. CHO細胞、大腸菌又は酵母菌である、5に記載の宿主細胞。
7. ポリペプチドの製造方法において、請求項5に記載の宿主細胞を上記ポリペプチドの発現に適した条件下で培養し、上記ポリペプチドを細胞培養物から回収することを含んでなる方法。
8. 配列番号:11、12、13、14、15、16の何れか一のアミノ酸配列を有するポリペプチドと少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有する単離されたポリペプチド。
9. 配列番号:11、12、13、14、15、16の何れか一のアミノ酸配列を有する単離されたポリペプチド。
10. 異種ポリペプチドに融合せしめられた8又は9に記載のポリペプチドを含んでなるキメラポリペプチド。
11. 前記異種ポリペプチドがエピトープタグ配列又は免疫グロブリンのFc領域である、10に記載のキメラポリペプチド。
12. 配列番号:7、17、19−25、38、53−55、及び72−82の何れか一のアミノ酸配列を有するポリペプチドに結合する単離されたオリゴペプチド。
13. 増殖阻害性剤にコンジュゲートされている、12に記載のオリゴペプチド。
14. 細胞障害性剤にコンジュゲートされている、12に記載のオリゴペプチド。
15. 細胞障害性剤が、毒素、抗生物質、放射性同位体及び核分解性酵素からなる群から選択される、14に記載のオリゴペプチド。
16. 細胞障害性剤が毒素である、14に記載のオリゴペプチド。
17. 毒素が、メイタンシノイド及びカリケアマイシンからなる群から選択される、16に記載のオリゴペプチド。
18. 毒素がメイタンシノイドである、16に記載のオリゴペプチド。
19. 結合する細胞の死を誘導する、12に記載のオリゴペプチド。
20. 検出可能に標識される、12に記載のオリゴペプチド。
21. 配列番号:39のアミノ酸配列を有するペプチドを含んでなり、Hedgehogポリペプチドに結合するHhip1 L2ループ模倣オリゴペプチド。
22. 前記オリゴペプチドが配列番号:56−71のアミノ酸配列を含んでなる、21に記載のオリゴペプチド。
23. 増殖阻害性剤にコンジュゲートされている、21に記載のオリゴペプチド。
24. 細胞障害性剤にコンジュゲートされている、21に記載のオリゴペプチド。
25. 細胞障害性剤が、毒素、抗生物質、放射性同位体及び核分解性酵素からなる群から選択される、24に記載のオリゴペプチド。
26. 細胞障害性剤が毒素である、25に記載のオリゴペプチド。
27. 毒素が、メイタンシノイド及びカリケアマイシンからなる群から選択される、26に記載のオリゴペプチド。
28. 毒素がメイタンシノイドである、26に記載のオリゴペプチド。
29. 結合する細胞の死を誘導する、21に記載のオリゴペプチド。
30. 検出可能に標識される、21に記載のオリゴペプチド。
31. Hhip1又はPtchタンパク質のL2ループに結合する化合物を含んでなる有機小分子であり、Hhip1又はPtchへのHhポリペプチドの結合を阻害する有機小分子。
32. 前記分子がロボトニキニン(robotnikinin)以外である、31に記載の小分子。
33. Hhip1又はPtchタンパク質のL2ループを模倣する化合物を含んでなる有機小分子であり、Hhポリペプチドポリペプチドに結合し、Hhシグナル伝達を阻害する有機小分子。
34. Ptchタンパク質のL2ループに結合し、Hhシグナル伝達をアンタゴナイズする化合物を含んでなる有機小分子。
35.
(a)8のポリペプチド;
(b)9のポリペプチド;
(c)10のキメラポリペプチド;
(f)12のオリゴポリペプチド;
(g)21のオリゴポリペプチド;
(h)31の有機分子;
(i)32の有機分子;
(j)33の有機分子;又は
(k)34の有機分子
を、薬学的に許容可能な担体と組み合わせて含有する物質の組成物。
36.
(a)容器と
(b)該容器に収容された35に記載の物質の組成物
を含んでなる製造品。
37. 癌の治療上の処置又は診断用検出のための前記組成物の使用を示す、前記容器に添付されるラベル又は前記容器に内包されるパッケージ挿入物をさらに含む、36に記載の製造品。
39. 前記オリゴペプチド又は有機分子が増殖阻害性剤にコンジュゲートしている、38に記載の方法。
40. 前記オリゴペプチド又は有機分子が細胞障害性剤にコンジュゲートしている、38に記載の方法。
41. 細胞障害性剤が、毒素、抗生物質、放射性同位体及び核分解性酵素からなる群から選択される、40に記載の方法。
42. 細胞障害性剤が毒素である、40に記載の方法。
43. 毒素が、メイタンシノイド及びカリケアマイシンからなる群から選択される、42に記載の方法。
44. 毒素がメイタンシノイドである、42に記載の方法。
45. 前記細胞が癌細胞である、38に記載の方法。
46. 前記癌細胞が、放射線治療又は化学療法剤にさらにさらされる、45に記載の方法。
47. 前記癌細胞が、乳癌細胞、結腸直腸癌細胞、肺癌細胞、卵巣癌細胞、中枢神経系癌細胞、肝癌細胞、膀胱癌細胞、膵臓癌細胞、子宮頸部癌細胞、メラノーマ細胞および白血病細胞からなる群から選択される、45に記載の方法。
48. 前記タンパク質が、同じ組織起源の正常細胞と比較して前記癌細胞に多く発現されている、45に記載の方法。
49. 前記細胞の死を引き起こす、38に記載の方法。
50. Hhip1又はPtchタンパク質を発現する細胞を含む癌性腫瘍を持つ哺乳動物を治療的に処置する方法において、そのような処置を必要とする被検体に、Hhip1β12L2ループ結合抗体、Hhip1β12L2ループ抗イディオタイプ抗体、Hhip1β12結合オリゴペプチド、Hhip1β12結合有機分子、Hhip1β12L2ループ模倣オリゴペプチド、Hhip1β12L2ループ模倣有機分子の有効量を投与し、それによって上記哺乳動物を効果的に処置することを含む方法。
51. 前記抗体、オリゴペプチド又は有機分子が増殖阻害性剤にコンジュゲートしている、50に記載の方法。
52. 前記抗体、オリゴペプチド又は有機分子が細胞障害性剤にコンジュゲートしている、50に記載の方法。
53. 細胞障害性剤が、毒素、抗生物質、放射性同位体及び核分解性酵素からなる群から選択される、52に記載の方法。
54. 細胞障害性剤が毒素である、52に記載の方法。
55. 毒素が、メイタンシノイド及びカリケアマイシンからなる群から選択される、54に記載の方法。
56. 毒素がメイタンシノイドである、54に記載の方法。
57. 前記腫瘍が、放射線治療又は化学療法剤にさらにさらされる、50に記載の方法。
58. 前記腫瘍が、胸部腫瘍、結腸直腸腫瘍、肺腫瘍、卵巣腫瘍、中枢神経系腫瘍、肝腫瘍、膀胱腫瘍、膵臓腫瘍又は子宮頸部腫瘍である、50に記載の方法。
59. 前記タンパク質が、同じ組織起源の正常細胞と比較して前記腫瘍の癌性細胞に多く発現されている、50に記載の方法。
60. Hhip1又はPtchタンパク質を発現する細胞における細胞増殖を治療又は予防する方法において、そのような処置を必要とする被検体に、Hhip1β12L2ループ結合抗体、Hhip1β12L2ループ抗イディオタイプ抗体、Hhip1β12結合オリゴペプチド、Hhip1β12結合有機分子、Hhip1β12L2ループ模倣オリゴペプチド、Hhip1β12L2ループ模倣有機分子の有効量を投与し、それによって上記細胞増殖性疾患を効果的に治療又は予防することを含む方法。
61. 前記細胞増殖性疾患が癌である、60に記載の方法。
62. 細胞の増殖を阻害する方法であって、Ptch又はHhip1を発現する細胞に、Hhip1β12 L2ループ結合抗体又はHhip1β12 L2ループ抗イディオタイプ抗体の有効量を投与することを含む方法。
63. 前記抗体がモノクローナル抗体である、62に記載の方法。
64. 前記抗体が抗体断片である、62に記載の方法。
65. 前記抗体がキメラ又はヒト化抗体である、請求項62に記載の方法。
66. 前記抗体、オリゴペプチド又は有機分子が増殖阻害性剤にコンジュゲートしている、62に記載の方法。
67. 前記抗体、オリゴペプチド又は有機分子が細胞障害性剤にコンジュゲートしている、62に記載の方法。
68. 細胞障害性剤が、毒素、抗生物質、放射性同位体及び核分解性酵素からなる群から選択される、67に記載の方法。
69. 細胞障害性剤が毒素である、67に記載の方法。
70. 毒素が、メイタンシノイド及びカリケアマイシンからなる群から選択される、69に記載の方法。
71. 毒素がメイタンシノイドである、69に記載の方法。
72. 前記抗体が細菌で産生される、62に記載の方法。
73. 前記抗体がCHO細胞で産生される、62に記載の方法。
74. 前記細胞が癌細胞である、62に記載の方法。
75. 前記癌細胞が、放射線治療又は化学療法剤にさらにさらされる、74に記載の方法。
76. 前記癌細胞が、乳癌細胞、結腸直腸癌細胞、肺癌細胞、卵巣癌細胞、中枢神経系癌細胞、肝癌細胞、膀胱癌細胞、膵臓癌細胞、子宮頸部癌細胞、メラノーマ細胞および白血病細胞からなる群から選択される、74に記載の方法。
77. 前記タンパク質が、同じ組織起源の正常細胞と比較して前記癌細胞に多く発現されている、75に記載の方法。
78. 前記細胞の死が引き起こされる、62に記載の方法。
79. 癌の治療のための医薬の調製における12から30の何れか一に請求されるのオリゴペプチドの使用。
80. 細胞増殖性疾患の治療又は予防のための医薬の調製における12から30の何れか一に請求されるオリゴペプチドの使用。
82. 抗イディオタイプHhip1 L2ループ抗体。
83. 抗Ptch L2ループ抗体。
84. 抗イディオタイプPtch L2ループ抗体。
85. 癌の治療のための医薬の調製における81から84の何れか一に請求される抗体の使用。
86. 腫瘍の治療のための医薬の調製における81から84の何れか一に請求される抗体の使用。
87. 細胞増殖性疾患の治療又は予防のための医薬の調製における81から84の何れか一に請求される抗体の使用。
88. 癌の治療的処置又は診断用検出のための医薬の調製における31に記載のHhip1β12結合有機分子の使用。
89. 腫瘍を治療するための医薬の調製における31に記載のHhip1β12結合有機分子の使用。
90. 細胞増殖性疾患の治療又は予防のための医薬の調製における31に記載のHhip1β12結合有機分子の使用。
91. 癌の治療的処置のための医薬の調製における33に記載のHhip1 L2ループ模倣有機分子の使用。
92. 腫瘍を治療するための医薬の調製における33に記載のHhip1 L2ループ模倣有機分子の使用。
93. 細胞増殖性疾患の治療又は予防のための医薬の調製における33に記載のHhip1 L2ループ模倣有機分子の使用。
94. 癌の治療的処置のための医薬の調製における34に記載の組成物の使用。
95. 腫瘍を治療するための医薬の調製における34に記載の組成物の使用。
96. 細胞増殖性疾患の治療又は予防のための医薬の調製における35に記載の組成物の使用。
97. 癌の治療的処置のための医薬の調製における36に記載の製造品の使用。
98. 腫瘍を治療するための医薬の調製における36に記載の製造品の使用。
99. 細胞増殖性疾患の治療又は予防のための医薬の調製における36に請求される製造品の使用。
101. オリゴペプチドが配列番号:39−44の何れかのアミノ酸配列を含む、100に記載の方法。
102. 前記アミノ酸配列が、配列番号:60の同じ位置のアミノ酸に関して位置Xのアミノ酸の保存的置換を含む、100に記載の方法。
103. 前記オリゴペプチドが8から12のアミノ酸長である、100に記載の方法。
104. 前記オリゴペプチドが8から10のアミノ酸長である、100に記載の方法。
105. 配列番号:17−44の何れか一のアミノ酸配列を含み、少なくとも8から15のアミノ酸長のオリゴペプチド。
106. 前記オリゴペプチドが8から12のアミノ酸長である、105に記載のオリゴペプチド。
107. 前記オリゴペプチドが8から10のアミノ酸長である、105に記載のオリゴペプチド。
108. オリゴペプチドが配列番号:39−44の何れか一のアミノ酸配列を含む、105に記載のオリゴペプチド。
109. 前記アミノ酸配列が、配列番号:60の同じ位置のアミノ酸に関して位置Xのアミノ酸の保存的置換を含む、108に記載のオリゴペプチド。
110. 配列番号:17−44の何れか一のアミノ酸配列を含み少なくとも8から15のアミノ酸長のオリゴペプチドと薬学的に許容可能な担体を含有する薬学的組成物。
111. 前記オリゴペプチドが8から12のアミノ酸長である、110に記載の薬学的組成物。
112. 前記オリゴペプチドが8から10のアミノ酸長である、110に記載の薬学的組成物。
113. オリゴペプチドが配列番号:39−44の何れか一のアミノ酸配列を含む、110に記載の薬学的組成物。
114. 前記アミノ酸配列が、配列番号:60の同じ位置のアミノ酸に関して位置Xのアミノ酸の保存的置換を含む、113に記載の薬学的組成物。
115. 前記オリゴペプチドが線形である、100に記載の方法。
116. 前記オリゴペプチドが環状である、100に記載の方法。
117. 前記オリゴペプチドが線形である、105に記載のオリゴペプチド。
118. 前記オリゴペプチドが環状である、105に記載のオリゴペプチド。
119. 前記オリゴペプチドが線形である、110に記載の薬学的組成物。
120. 前記オリゴペプチドが環状である、110に記載の薬学的組成物。
121. HhipのL2ループを含んでなるエピトープに特異的に結合する抗体。
122. PtchのL2ループを含んでなるエピトープに特異的に結合する抗体。
123. Hhの偽活性部位を含んでなるエピトープに特異的に結合する抗体。
124. 前記抗体が5E1以外である、123に記載の抗体。
I.定義
「Hhip1」、「Hhip」及び「Hip」なる用語は明細書中で交換可能に用いられてよい。
「Hhip1β12ポリペプチド」及び「Hhip1β12誘導体」又はHipβ12なる用語は、Hhip1の推定Frizzledドメインを欠いている完全長Hhip1β12(配列番号:83)由来の様々なポリペプチドを指す。この用語には、配列番号:と、例えばHhip1β12ECD(配列番号:12)、Hipβ1(配列番号:13)及びHipβ(配列番号:14)などの記号によってここで定義される特定の同定された断片が包含される。さらに、特定のアミノ酸と共に表される場合(例えばHhip1 14−67)、完全長Hhip1ポリペプチド(配列番号:2)を参照して特別に指定されるアミノ酸を指す。ここに記載されるHhip1β12ポリペプチドは、ヒト組織型又は他の供給源といった種々の供給源から単離してもよく、あるいは組換え又は合成法によって調製してもよい。「Hhip1β12ポリペプチド」なる用語は、本明細書中に開示される各個々のHhip1β12/数字ポリペプチドを指す。「Hhip1β12ポリペプチド誘導体」を指す本明細書のすべての開示は、各ポリペプチドを個々に指すと同時に集合的に指す。例えば、調製、精製、誘導、抗体の形成、Hhip1β12結合オリゴペプチドの形成、Hhip1β12結合有機分子の形成、投与、含有する組成物、疾患の治療等の記載は、本発明の各ポリペプチドに関している。「Hhip1β12ポリペプチド変異体」なる用語は、本明細書中に開示されるHhip1β12ポリペプチドと誘導体の変異体を包含する。完全長Hhip1ポリペプチドの配列は配列番号:2に示す。完全長Hhip1β12ポリペプチドの配列は配列番号:83に示す。
Hhip1ポリペプチド「細胞外ドメイン」又は「ECD」は、Hhip1ポリペプチドがGPI-リンケージによって繋留された場合に除去される推定GPIシグナル配列を基本的に有していないHhip1ポリペプチドの形態(ここでは「Hhip1ECD」と略す)を指す。通常、本発明のHhip1ポリペプチドについて同定された推定GPIシグナル配列は、ドメインのその型を同定するために当該分野において日常的に使用される基準に従い同定されることが理解されるであろう。GPIシグナル配列の厳密な境界は変わり得るが、最初に同定されたドメインの何れかの末端から約5アミノ酸を超えない可能性が高い。ある例では、Hhip1ECDは配列番号:11のアミノ酸配列を有する。したがって、場合によって、Hhip1ポリペプチドの細胞外ドメインは、実施例又は明細書で同定されるように推定GPIシグナル配列ドメイン/細胞外ドメインの境界の何れかの側から約5を超えないアミノ酸を含んでもよく、関連のシグナルペプチドを伴う又は伴わない、それらのポリペプチド及びそれらをコードする核酸は、本発明で考慮される。同様に、Hhip1β12ECDは、推定GPIシグナル配列を基本的に含まないHhip1β12ポリペプチド(ここで「Hhip1β12ECD」と略す)を指す。
分率X/Yの100倍
ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN-2のA及びBのプログラムアラインメントによって同一であると一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なると認識されるであろう。%アミノ酸配列同一性の計算の例として、表2及び3は、「比較タンパク質」と称されるアミノ酸配列の「Hhip1β12」と称されるアミノ酸配列に対する%アミノ酸配列同一性の計算方法を示し、ここで「Hhip1β12」は対象の仮想Hhip1β12ポリペプチドのアミノ酸配列を表し、「比較タンパク質」は対象の「Hhip1β12」ポリペプチドと比較され、これに対するポリペプチドのアミノ酸配列を表し、「X」、「Y」及び「Z」は、それぞれ異なる仮定アミノ酸残基を表す。特に断らない限りは、ここで使用される全ての%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN-2コンピュータプログラムを用いて直ぐ上の段落に記載されるようにして得られる。
核酸配列比較にALIGN-2が用いられる状況では、与えられた核酸配列Cの、与えられた核酸配列Dとの、又はそれに対する%核酸配列同一性(あるいは、与えられた核酸配列Dと、又はそれに対して或る程度の%核酸配列同一性を持つ又は含む与えられた核酸配列Cと言うこともできる)は次のように計算される:
分率W/Zの100倍
ここで、Wは配列アラインメントプログラムALIGN-2のC及びDのアラインメントによって同一であると一致したスコアのヌクレオチドの数であり、ZはDの全ヌクレオチド数である。核酸配列Cの長さが核酸配列Dの長さと異なる場合、CのDに対する%核酸配列同一性は、DのCに対する%核酸配列同一性とは異なることは理解されるであろう。%核酸配列同一性の計算の例として、「Hhip1β12-DNA」が対象となる仮説的Hipコード化核酸配列を表し、「比較DNA」が対象となる「Hhip1β12-DNA」核酸分子が比較される核酸分子のヌクレオチド配列を表し、そして「N」、「L」及び「V」の各々が異なった仮想ヌクレオチドを表していて、表3及び4が「比較DNA」と称される核酸配列の「Hhip1β12-DNA」と称される核酸配列に対する%核酸配列同一性の計算方法を示す。特に断らない限りは、ここでの全ての%核酸配列同一性値は、直ぐ上のパラグラフに示したようにALIGN-2コンピュータプログラムを用いて得られる。
Hhip1β12ポリペプチドをコードする核酸に関して使用される場合の「完全長コード領域」という用語は、(添付図において開始及び停止コドンの間でしばしば示される)本発明の完全長Hhip1β12ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を意味する。
「コントロール配列」という用語は、特定の宿主生物において作用可能に結合したコード配列を発現するために必要なDNA配列を指す。例えば原核生物に好適なコントロール配列は、プロモーター、場合によってはオペレータ配列と、リボソーム結合部位を含む。真核生物の細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを利用することが知られている。
「中程度のストリンジェント条件」は、Sambrook等, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (New York: Cold Spring Harbor Press, 1989)に記載されているように同定され、上記のストリンジェントより低い洗浄溶液及びハイブリダイゼーション条件(例えば、温度、イオン強度及び%SDS)の使用を含む。中程度のストリンジェント条件は、20%ホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハード液、10%硫酸デキストラン、及び20mg/mlの変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中にて37℃での終夜インキュベーション、次いで1×SSC中にて約37−50℃でのフィルターの洗浄といった条件である。当業者であれば、プローブ長などの因子に適合させる必要に応じて、どのようにして温度、イオン強度等を調節するかを認識する。
ここでの目的に対する「活性な」又は「活性」とは、天然又は天然に生じるHhip1の生物学的及び/又は免疫学的活性を保持するHhip1β12ポリペプチドの形態を意味し、その中で、「生物学的」活性とは、天然又は天然発生Hhip1が保持する抗原性エピトープに対する抗体の生成を誘発する能力以外の、天然又は天然発生Hhip1の生物機能を意味し、「免疫学的」活性とは、天然又は天然発生Hipが保持する抗原性エピトープに対する抗体の生成を誘発する能力を意味する。
「慢性」投与とは、初期の治療効果(活性)を長期間にわたって維持するようにするために、急性態様とは異なり連続的な態様での薬剤の投与を意味する。「間欠」投与とは、中断無く連続的になされるのではなく、むしろ本質的に周期的になされる処理である。
一又は複数の更なる治療薬と「組み合わせた」投与とは、同時(同時期)及び任意の順序での連続した投与を含む。
「リポソーム」は、哺乳動物への薬物(例えばHhip1β12ポリペプチド、それらに対する抗体又はHhip1β12オリゴペプチド)輸送に有用な、脂質、リン脂質及び/又は界面活性剤を含む種々のタイプの小胞体である。リポソームの成分は、通常は細胞膜の脂質配向に類似した2層構造に配列される。
ここに開示するポリペプチド、抗体、Hhip1β12オリゴペプチド、Hip模倣有機分子、又はそのアゴニスト又はアンタゴニストの「有効量」とは、特に述べた目的を実施するために十分な量のことである。「有効量」は、述べられた目的に関連して、経験的及び常套的な形で決定することができる。
「治療的有効量」という用語は、患者又は哺乳動物の疾患又は疾病を「治療」するのに効果的な抗体、ポリペプチド、Hhip1β12オリゴペプチド、Hhip1β12L2-模倣有機分子又は他の薬剤の量を指す。癌の場合、治療的に有効量の薬は癌細胞の数を減じ;腫瘍の大きさを減じ;末梢器官への癌細胞の浸潤を阻害(すなわち、ある程度まで減速、好ましくは停止)し;腫瘍転移を阻害(すなわち、ある程度まで減速及び好ましくは停止)し;腫瘍成長をある程度まで阻害し;Hedgehogシグナル伝達を抑制し;及び/又は癌に関連する一又は複数の症状をある程度まで緩和する。「治療する」のここでの定義を参照せよ。薬が存在する癌細胞の成長を妨げ及び/又は死滅させる程度まで、それは、細胞分裂停止及び/又は細胞障害性であり得る。
抗Hhip1β12抗体、Hhip1β12ポリペプチド、Hhip1β12オリゴペプチド又はHhip1β12L2-模倣有機分子の「細胞障害性量」は、細胞、特に腫瘍、例えば癌細胞をインビトロ又はインビボで破壊できる量である。腫瘍性細胞成長の阻害の目的のための抗Hhip1β12抗体、Hhip1β12ポリペプチド、Hhip1β12オリゴペプチド又はHhip1β12L2-模倣有機分子の「細胞障害性量」は、経験的及び常套的な形で決定することができる。
「単離された抗体」とは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収されたものを意味する。その自然環境の汚染成分とは、抗体の診断又は治療への使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。好ましい実施態様では、抗体は、(1)ローリー(Lowry)法によって定量して95重量%以上の、最も好ましくは99重量%以上の抗体まで、(2)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15のN末端あるいは内部アミノ酸配列の残基を得るのに充分な程度まで、あるいは(3)クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色を用いた還元又は非還元条件下でのSDS−PAGEによる均一性まで精製される。単離された抗体には、組換え体細胞内のインサイツの抗体が含まれるが、これは抗体の自然環境の少なくとも一つの成分が存在しないからである。しかしながら、通常は、単離された抗体は少なくとも一つの精製工程により調製される。
任意の脊椎動物種からのL鎖には、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる2つの明確に区別される型の一つを割り当てることができる。また、その重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンには異なったクラス又はアイソタイプを割り当てることができる。IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMという免疫グロブリンの5つの主要なクラスがあり、それぞれα、δ、ε、γ及びμと呼ばれる重鎖を有する。さらにγ及びαのクラスは、CH配列及び機能等の比較的小さな差異に基づいてサブクラスに分割され、例えば、ヒトにおいては次のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2が発現する。
ここで使用される「高頻度可変領域」なる用語は、抗原結合を担う抗体のアミノ酸残基を指す。高頻度可変領域は、一般に、「相補性決定領域」又は「CDR」由来のアミノ酸残基(例えば、VLの、概ね残基24−34(L1)、50−56(L2)及び89−97(L3)周辺と、VHの概ね31−35(H1)、50−65(H2)及び95−102(H3);Kabatら、Sequences of Protein of Immunological Interest, 第5版、Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991))、及び/又は「高頻度可変ループ」由来のそれらの残基(例えば、VLの残基26−32(L1)、50−51(L2)及び91−96(L3)と、VHの26−32(H1)、53−55(H2)及び96−101(H3);Chothia及びLesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))とを含む。
ここで、モノクローナル抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種由来の抗体、あるいは特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一であるか又は相同性があり、鎖の残りの部分が他の種由来の抗体、あるいは他の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一であるか又は相同である「キメラ」抗体、並びにそれが所望の生物的活性を有する限りこのような抗体の断片を特に含む(米国特許第4816567号;及びMorrison等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855(1984))。ここで対象のキメラ抗体には、非ヒト霊長類(例えば旧世界ザル、類人猿等)から由来する可変ドメイン抗原-結合配列及びヒト定常領域配列を含む「プリマタイズ(primatized)」抗体を含む。
「抗体断片」は、無傷の抗体の一部、好ましくは無傷の抗体の抗原結合又は可変領域を含む。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab')2、及びFv断片;ダイアボディ(diabodies);直鎖状抗体(米国特許第5641870号、実施例2;Zapata等, Protein Eng. 8(10): 1057-1062 [1995]);単鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多重特異性抗体を含む。
「Fv」は、完全な抗原-認識及び-結合部位を含む最小の抗体断片である。この断片は、密接に非共有結合した1本の重鎖と1本の軽鎖の可変領域の二量体からなる。これら2つのドメインの折り畳みから、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与し、抗体に対する抗原結合特異性を付与する6つの高頻度可変ループ(H及びL鎖から、それぞれ3つのループ)が生じる。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含んでなるFvの半分)でさえ、結合部位全体よりは低い親和性であるが、抗原を認識し結合する能力を持つ。
「ダイアボディ(diabodies)」という用語は、鎖間ではなく鎖内でVドメインを対形成させ、結果として二価の断片、すなわち2つの抗原-結合部位を有する断片が得られるように、VHとVLドメインとの間に、短いリンカー(約5-10残基)を持つsFv断片(前の段落を参照)を構築することにより調製される小型の抗体断片を意味する。二重特異性ダイアボディは2つの「交差」sFv断片のヘテロダイマーであり、そこでは2つの抗体のVH及びVLドメインが異なるポリペプチド鎖上に存在する。ダイアボディは、例えば、欧州特許第404097号;国際公開93/11161号;及びHollinger等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448 (1993)により十分に記載されている。
抗イディオタイプ抗体は対象の抗体の抗原結合領域に結合する抗体である。このような抗イディオタイプ抗体は対象の抗体によって結合されるエピトープを模倣する。例えば、Hhip1のL2ループを特異的に結合するHhip1β12抗体は、L2に結合するHedgehogの一部を模倣しうる。ゆえに、この対象抗体に対して生じた(抗原結合部位に対して特異的である)抗イディオタイプ抗体は、Hhip1のL2部位がHedgehogを結合するのと同じ様式でHedgehogを認識し、特異的に結合しうる。
「種依存性抗体」、例えば哺乳動物抗-ヒトIgE抗体は、二番目の哺乳動物種からの抗原の相同体に対して有している結合親和性よりも、一番目の哺乳動物種からの抗原に対してより強力な結合親和性を有する抗体である。通常、種依存性抗体は、ヒト抗原(すなわち、約1x10−7M以下、好ましくは約1x10−8以下、最も好ましくは約1x10−9M以下の結合親和性(Kd)値を有する)と「特異的に結合」するが、そのヒト抗原に対する結合親和性よりも、少なくとも約50倍、又は少なくとも約500倍、又は少なくとも約1000倍弱い、二番目の非ヒト哺乳動物種からの抗原の相同体に対する結合親和性を有する。種依存性抗体は、上にて定義した種々の型の抗体のいずれでもあることが可能だが、好ましくはヒト化又はヒト抗体である。
ここで用いる「Ptched」又は「Ptch」は、本明細書中に記載の抗体、オリゴペプチド及び小有機分子並びにこれらを用いた様々な方法を指す場合には、Ptch及びPtch2ポリペプチドの両方を包含する。
通常、腫瘍細胞はHedgehogシグナル伝達に反応するものである。好ましくは、腫瘍細胞は、例えば基礎細胞癌、前立腺、胸部、卵巣、胃、子宮内膜、肺、腎臓、大腸、膀胱の細胞である。
「抗体依存性細胞媒介性細胞障害」又は「ADCC」とは、ある種の細胞障害細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球及びマクロファージ)上に存在するFcレセプター(FcRs)と結合した分泌Igにより、これらの細胞障害エフェクター細胞が抗原-担持標的細胞に特異的に結合し、続いて細胞毒により標的細胞を死滅させることを可能にする細胞障害性の形態を意味する。抗体は細胞障害細胞を「備えて」おり、これはこのような死滅には絶対に必要なものである。ADCCを媒介する主要な細胞NK細胞はFcγRIIIのみを発現するのに対し、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞でのFcRの発現は、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991) の464頁の表3に要約されている。対象の分子のADCC活性をアッセイするために、米国特許第5500362号又は同第5821337号に記載されているようなインビトロADCCアッセイを実施することができる。このようなアッセイにおいて有用なエフェクター細胞には、末梢血液単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー細胞(NK細胞)が含まれる。代わりとして、もしくは付加的に、対象の分子のADCC活性は、例えば、Clynes等, (USA) 95:652-656 (1998)において開示されているような動物モデルにおいて、インビボで評価することが可能である。
「補体依存性細胞障害」もしくは「CDC」は、補体の存在下で標的を溶解することを意味する。典型的な補体経路の活性化は補体系(Clq)の第1補体が、同族抗原と結合した(適切なサブクラスの)抗体に結合することにより開始される。補体の活性化を評価するために、CDCアッセイを、例えばGazzano-Santoro等, J. Immunol. Methods 202:163 (1996)に記載されているように実施することができる。
「細胞増殖性疾患」及び「増殖性疾患」という用語は、ある程度の異常な細胞増殖を伴う疾患を意味する。一実施態様では、細胞増殖性疾患は癌である。
ここで用いられる「腫瘍」は、悪性又は良性に関わらず、全ての腫瘍形成細胞成長及び増殖、及び全ての前癌性及び癌性細胞及び組織を意味する。
ここで用いられているように、「イムノアドヘシン」という用語は、免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能を持つ異種タンパク質(「アドヘシン」)の結合特異性を付与した抗体様分子を指す。構造的には、イムノアドヘシンは抗体の抗原認識及び結合部位以外の所望の結合特異性を持つアミノ酸配列(即ち「異種」)と免疫グロブリン定常ドメイン配列との融合物である。イムノアドヘシン分子のアドへシン部分は、典型的には少なくともレセプター又はリガンドの結合部位を含む近接アミノ酸配列を含む。イムノアドヘシンの免疫グロブリン定常ドメイン配列は、IgG-1、IgG-2、IgG-3、又はIgG-4サブタイプ、IgA(IgA-1及びIgA-2を含む)、IgE、IgD又はIgMなどの任意の免疫グロブリンから得ることができる。
ここで用いられる「細胞障害性剤」という用語は、細胞の機能を阻害又は阻止し及び/又は細胞破壊を生ずる物質を指す。この用語は、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32及びLuの放射性同位体)、化学治療薬、酵素及びその断片、例えば核溶解性酵素、抗生物質、及び毒素、例えばその断片及び/又は変異体を含む小分子毒素又は細菌、糸状菌、植物又は動物起源の酵素的に活性な毒素、そして下記に開示する種々の抗腫瘍又は抗癌剤を含むように意図されている。他の細胞障害性薬が下記に記載されている。殺腫瘍性剤は、腫瘍細胞の破壊を引き起こす。
「ドキソルビシン」はアントラサイクリン抗生物質である。ドキソルビシンの完全な化学名は、(8S-シス)-10-[(3-アミノ-2,3,6-トリデオキシ-α-L-リキソ-ヘキサピラノシル)オキシ]-7,8,9,10-テトラヒドロ-6,8,11-トリヒドロキシ-8-(ヒドロキシアセチル)-1-メトキシ-5,12-ナフタセンジオンである。
「パッケージ挿入物」という用語は、効能、用途、服用量、投与、配合禁忌及び/又はその治療薬の用途に関する警告についての情報を含む、治療薬の商業的包装を慣習的に含めた指示書を指す。
Hhip1β12 XXXXXXXXXXXXXXX (長さ=15アミノ酸)
比較タンパク質 XXXXXYYYYYYY (長さ=12アミノ酸)
% アミノ酸配列同一性=
(ALIGN−2によって決定される2つのポリペプチド配列間の同一に一致するアミノ酸残基の数)÷(Hhip1β12ポリペプチドのアミノ酸残基の総数)=5÷15=33.3%
表2
Hhip1β12 XXXXXXXXXX (長さ=10アミノ酸)
比較タンパク質 XXXXXYYYYYYZZYZ (長さ=15アミノ酸)
% アミノ酸配列同一性=
(ALIGN−2によって決定される2つのポリペプチド配列間の同一に一致するアミノ酸残基の数)÷(Hhip1β12ポリペプチドのアミノ酸残基の総数)=5÷10=50%
Hhip1β12−DNA NNNNNNNNNNNNNN (長さ=14ヌクレオチド)
比較DNA NNNNNNLLLLLLLLLL (長さ=16ヌクレオチド)
%核酸配列同一性=
(ALIGN−2によって決定される2つの核酸配列間の同一に一致するヌクレオチドの数)÷(Hip−DNA核酸配列のヌクレオチドの総数)=6÷14=42.9%
表4
Hhip1β12−DNA NNNNNNNNNNNN (長さ=12ヌクレオチド)
比較DNA NNNNLLLVV (長さ=9ヌクレオチド)
%核酸配列同一性=<BR>
(ALIGN−2によって決定される2つの核酸配列間の同一に一致するヌクレオチドの数)÷(Hip−DNA核酸配列のヌクレオチドの総数)=4÷12=33.3%
A.Hhip1β12ポリペプチド
本発明のある実施態様では、Hhip1β12ポリペプチドは、配列番号:83、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15及び配列番号:16から選択されるアミノ酸配列を有する単離されたポリペプチドである。他の実施態様では、本発明は、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9及び配列番号:10のアミノ酸配列を有する個々のドメインといったHhip1β12由来のポリペプチドを提供する。
これらのポリペプチドをコードする核酸配列は適切な発現ベクターにクローニングされ、適切な宿主細胞に形質移入されてよい。発現されたポリペプチドは当分野で公知な及び本明細書中に記載される様々な方法を用いて単離されうる。
一実施態様では、本発明は治療上及び/又は診断上の試薬としての本明細書中での使用が見出されうる抗Hhip1β12抗体を提供する。ある実施態様では、抗Hhip1β12抗体はHhip1β12ポリペプチドにて動物を免疫化することによって産生され、このような抗体は、天然のHhip1タンパク質(推定Frizzledドメインを含む)による免疫化により引き起こされない天然のHhip1上のエピトープに特異的に結合する。ある例では、抗体は、Hhip1のL2ループに対する抗体及びその抗イディオタイプ抗体を包含する。例示的な抗体には、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、二重特異性、抗イディオタイプ及びヘテロコンジュゲート抗体が含まれる。
ポリクローナル抗体は、好ましくは、関連する抗原とアジュバントを複数回皮下(sc)又は腹腔内(ip)注射することにより、動物に産生される。それは、免疫化されるべき種において免疫原性であるタンパク質へ、関連する抗原(特に、合成ペプチドが用いられる場合)を結合させるために有用である。例えば、この抗原を、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、又は大豆トリプシンインヒビターへ、二重官能性又は誘導体形成剤、例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介する抱合)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を介する抱合)、グルタルアルデヒド、及び無水コハク酸、SOCl2、又はR及びR1が異なるアルキル基であるR1N=C=NRを用いて結合させることができる。
動物を、例えばタンパク質又はコンジュゲート100μg又は5μg(それぞれウサギ又はマウスの場合)を完全フロイントアジュバント3容量と併せ、この溶液を複数部位に皮内注射することによって、抗原、免疫原性コンジュゲート、又は誘導体に対して免疫する。1ヶ月後、該動物を、完全フロイントアジュバントに入れた初回量の1/5ないし1/10のペプチド又はコンジュゲートを用いて複数部位に皮下注射することにより、追加免疫する。7ないし14日後に動物を採血し、抗体価について血清を検定する。動物は、力価がプラトーに達するまで追加免疫する。コンジュゲートはまた、タンパク融合として組換え細胞培養中で調製することができる。また、ミョウバンのような凝集化剤が、免疫反応の増強のために好適に使用される。
モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein, Nature, 256:495 (1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法、又は組換えDNA法(米国特許第4816567号)によって作成することができる。
ハイブリドーマ法においては、マウス又はその他の適当な宿主動物、例えばハムスターを上記のように免疫し、免疫化に用いられたタンパク質と特異的に結合する抗体を産生する、又は産生することのできるリンパ球を導き出す。別法として、リンパ球をインビトロで免疫することもできる。免疫化の後、リンパ球を単離し、ポリエチレングリコールのような適当な融合剤を用いて骨髄腫細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成させる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 59-103頁(Academic Press, 1986))。
このようにして調製されたハイブリドーマ細胞を、融合していない親の骨髄腫細胞(融合のパートナーとも呼ばれる)の増殖または生存を阻害する一又は複数の物質を好ましくは含む適当な培地に蒔き、増殖させる。例えば、親の骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠失するならば、ハイブリドーマのための培地は、典型的には、HGPRT−欠失細胞の増殖を妨げる物質であるヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンを含有するであろう(HAT培地)。
ハイブリドーマ細胞が生育している培地を、抗原に対するモノクローナル抗体の産生について検定する。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降又はインビトロ結合検定、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素結合免疫吸着検定(ELISA)によって測定する。
所望の特異性、親和性、及び/又は活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が確定された後、そのクローンを限界希釈法によりサブクローニングし、標準的な方法により増殖させることができる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 59-103頁(Academic Press, 1986))。この目的に対して好適な培地は、例えば、D-MEM又はRPMI-1640培地を包含する。また、このハイブリドーマ細胞は、動物の腹水症腫瘍として、例えばマウスへの細胞の腹腔内注射によって、インビボで増殖させることができる。
サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、例えばアフィニティークロマトグラフィー(例えばプロテインA又はプロテインG-セファロースを用いる)又はイオン交換クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析等のような常套的な抗体精製法によって、培地、腹水、又は血清から上手く分離される。
モノクローナル抗体をコードするDNAは、常法を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより)即座に分離されて、配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源となる。ひとたび分離されたならば、DNAを発現ベクター中に入れ、ついでこれを、この状況以外では抗体タンパク質を産生しない大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又は骨髄腫細胞のような宿主細胞中に形質移入し、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を獲得することができる。抗体をコードするDNAの細菌での組み換え発現に関する概説論文には、Skerra等, Curr. Opinion in Immunol., 5:256-262(1993)及びPluckthun, Immunol. Revs. 130: 151-188(1992)が含まれる。
抗体をコードするDNAは、例えば、ヒト重鎖及び軽鎖定常ドメイン(CH及びCL)の配列を、相同的マウス配列に代えて置換することによって(米国特許第4,816,567号;Morrison等, Proc.Nat.Acad.Sci.,USA,81:6851(1984))、又は免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチド(異種ポリペプチド)のコード配列の全部又は一部を共有結合させることによって修飾してキメラ又は融合抗体ポリペプチドを生成することができる。非免疫グロブリンポリペプチド配列は、抗体の定常ドメインと置き代わることができるか、又は抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインが置換されて、抗原に対する特異性を有する1つの抗原結合部位と異なる抗原に対する特異性を有するもう一つの抗原結合部位とを含むキメラ二価抗体を作り出す。
本発明の抗-Hhip1抗体は、さらにヒト化抗体又はヒト抗体を含む。非ヒト(例えばマウス)抗体のヒト化形とは、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はその断片(例えばFv、Fab、Fab’、F(ab’)2あるいは抗体の他の抗原結合サブ配列)であって、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むものである。ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、マウス、ラット又はウサギのような所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)のCDRの残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含む。幾つかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。また、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されたCDRもしくはフレームワーク配列にも見出されない残基を含んでいてもよい。一般的に、ヒト化抗体は、全て又はほとんど全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのものに一致し、全て又はほとんど全てのFR領域がヒト免疫グロブリンのコンセンサス配列である、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、最適には免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒトの免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含む[Jones等, Nature, 321:522-525 (1986); Riechmann等, Nature, 332:323-329 (1988); 及びPresta, Curr. Op Struct. Biol., 2:593-596 (1992)]。
非ヒト抗体をヒト化する方法はこの分野でよく知られている。一般的に、ヒト化抗体には非ヒト由来の一又は複数のアミノ酸残基が導入される。これら非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移入」残基と称される。ヒト化は基本的にウィンター(Winter)及び共同研究者[Jones等, Nature, 321:522-525 (1986);Riechmann等, Nature, 332:323-327 (1988);Verhoeyen等, Science, 239:1534-1536 (1988)]の方法に従って、齧歯類CDR又はCDR配列をヒト抗体の対応する配列に置換することにより実施される。よって、このような「ヒト化」抗体は、無傷のヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種由来の対応する配列で置換されたキメラ抗体(米国特許第4816567号)である。実際には、ヒト化抗体は典型的には幾つかのCDR残基及び場合によっては幾つかのFR残基が齧歯類抗体の類似する部位からの残基によって置換されたヒト抗体である。
更に、抗体を、抗原に対する高結合親和性や他の好ましい生物学的性質を保持してヒト化することが重要である。この目標を達成するべく、好ましい方法では、親及びヒト化配列の三次元モデルを使用して、親配列及び様々な概念的ヒト化産物の分析工程を経てヒト化抗体を調製する。三次元免疫グロブリンモデルは一般的に入手可能であり、当業者にはよく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の推測三次元立体配座構造を図解し、表示するコンピュータプログラムは購入可能である。これら表示を見ることで、候補免疫グロブリン配列の機能における残基のありそうな役割の分析、すなわち候補免疫グログリンの抗原との結合能力に影響を及ぼす残基の分析が可能になる。このようにして、例えば標的抗原に対する親和性が高まるといった、望ましい抗体特性が達成されるように、FR残基をレシピエント及び移入配列から選択し、組み合わせることができる。一般的に、高頻度可変領域残基は、直接かつ最も実質的に抗原結合性に影響を及ぼしている。
ヒト化の別法として、ヒト抗体を生成することができる。例えば、現在では、免疫化することで、内因性免疫グロブリンの産生がなく、ヒト抗体の全レパートリーを産生することのできるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を作ることが可能である。例えば、キメラ及び生殖細胞系突然変異体マウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子のホモ接合体欠失によって、結果として内因性抗体産生の完全な阻害が起こることが説明されてきた。ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子配列の、このような生殖細胞系突然変異体マウスへの転移によって、結果として抗原投与時にヒト抗体の産生がおこる。Jakobovits等, Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 90:2551 (1993);Jakobovits等, Nature 362:255-258 (1993); Bruggeman等, Year in Immuno., 7:33 (1993);米国特許第5545806号、同5569825号、同5591669号(全てジェンファーム(GenPharm));同5545807号;及び国際公開第97/17852号を参照されたい。
上述したように、ヒト抗体はインビトロで活性化したB細胞により産生することができる(米国特許第5567610号及び同5229275号)。
ある状況下では、抗体全体よりも、抗体断片を用いることに利点がある。より小さな大きさの断片によって迅速なクリアランスが可能となり、固形腫瘍への接近の改良につながり得る。
抗体断片を産生するために様々な技術が開発されている。伝統的には、これらの断片は、無傷の抗体のタンパク分解性消化によって誘導された(例えば、Morimoto等, Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117 (1992)及びBrennan等, Science, 229:81(1985)を参照されたい)。しかし、これらの断片は、現在は組換え宿主細胞により直接産生することができる。Fab、Fv及びScFv抗体断片は、すべて大腸菌で発現させ分泌させることができ、従って、大量のこれら断片の産生が容易となった。抗体断片は、上で論じた抗体ファージライブラリーから単離することができる。別法として、Fab'-SH断片は大腸菌から直接回収することができ、化学的に結合させてF(ab')2断片を形成することができる(Carter等, Bio/Technology 10:163-167(1992))。他のアプローチ法では、F(ab')2断片を組換え宿主細胞培養から直接分離することができる。インビボ半減期が増した、サルベージレセプター結合性エピトープ残基を含むFab及びF(ab’)2が、米国特許第5869046号に記載されている。抗体断片を生成するのための他の方法は、当業者には明らかであろう。他の実施態様では、選択する抗体は単鎖Fv断片(scFv)である。国際公開93/16185号;米国特許第5571894号;及び米国特許第5587458号を参照のこと。Fv及びsFvは、定常領域を欠く無傷の連結部位を有する唯一の種である;従って、インビボで使用している間の減少した非特異的結合に適している。sFv融合タンパク質は、sFvのアミノ又はカルボキシ末端のどちらかで、エフェクタータンパク質の融合体が生成されるように構成されてもよい。上掲のAntibody Engineering, Borrebaeck編を参照のこと。また、抗体断片は、例えば米国特許第5641870号に記載されているような「直鎖状抗体」であってもよい。そのような直鎖状抗体断片は単一特異性又は二重特異性であってもよい。
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対して結合特異性を有する抗体である。例示的な二重特異性抗体は、本明細書中に記載のHhip1β12ポリペプチドの2つの異なるエピトープに結合しうる。他のこのような抗体では他のタンパク質に対する結合部位とHhip1β12結合部位とが結合しうる。あるいは、標的特異的アーム(例えばL2特異的アーム)は、Hip-又はPtch-発現細胞に細胞防御メカニズムを集中させ局在させるように、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)等のIgG(FcγR)に対するFcレセプター、又はT細胞レセプター分子(例えばCD3)等の白血球上のトリガー分子に結合するアームと結合しうる。また、二重特異性抗体はHhip1及び/又はPtchを発現する細胞に細胞障害剤を局在化するためにも使用されうる。これらの抗体はHip-又はPtch-結合アーム及び細胞障害剤(例えば、サポリン(saporin)、抗インターフェロン-α、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキセート又は放射性同位体ハプテン)と結合するアームを有する。二重特異性抗体は完全長抗体又は抗体断片(例えばF(ab')2二重特異性抗体)として調製することができる。
国際公開第96/16673号には、二重特異性抗-ErbB2/抗-FcγRIII抗体が記載されており、米国特許第5837234号には、二重特異性抗-ErbB2/抗-FcγRI抗体が開示されている。二重特異性抗-ErbB2/Fcα抗体は国際公開第98/02463号に示されている。米国特許第5821337号は、二重特異性抗-ErbB2/抗-CD3抗体を教示するものである。よって、二重特異性抗体を作成する方法は当該分野において既知である。完全長二重特異性抗体の伝統的な産生は二つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の同時発現に基づき、ここで二つの鎖は異なる特異性を持っている(Millstein等, Nature, 305:537-539(1983))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖が無作為に取り揃えられているため、これらのハイブリドーマ(四部雑種)は10個の異なる抗体分子の可能性ある混合物を産生し、そのうちただ一つが正しい二重特異性構造を有する。通常、アフィニティークロマトグラフィー工程により行われる正しい分子の精製は、かなり煩わしく、生成物収率は低い。同様の方法が国際公開第93/08829号及びTraunecker等、EMBO J. 10:3655-3659(1991)に開示されている。
この手法の好ましい実施態様では、二重特異性抗体は、第一の結合特異性を有する一方のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖と他方のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖対(第二の結合特異性を提供する)とからなる。二重特異性分子の半分にしか免疫グロブリン軽鎖がないと容易な分離法が提供されるため、この非対称的構造は、所望の二重特異性化合物を不要な免疫グロブリン鎖の組み合わせから分離することを容易にすることが分かった。このアプローチ法は、国際公開第94/04690号に開示されている。二重特異性抗体を産生する更なる詳細については、例えばSuresh等, Methods in Enzymology, 121:210 (1986)を参照されたい。
二重特異性抗体は、架橋した又は「ヘテロコンジュゲート」抗体もまた含む。例えば、ヘテロコンジュゲートの抗体の一方はアビジンに結合され、他方はビオチンに結合され得る。そのような抗体は、例えば、不要の細胞に対する免疫系細胞をターゲティングするため(米国特許第4676980号)、及びHIV感染の治療のために提案された(国際公開第91/00360号、同92/200373号、及び欧州特許第03089号)。ヘテロコンジュゲート抗体は、あらゆる簡便な架橋法を用いて作製することができる。好適な架橋剤は当該分野において良く知られており、幾つかの架橋技術と共に米国特許第4676980号に開示されている。
最近の進歩により、大腸菌からのFab'-SH断片の直接の回収が容易になり、これは化学的に結合して二重特異性抗体を形成することができる。Shalaby等,J.Exp.Med., 175:217-225 (1992)は完全にヒト化された二重特異性抗体F(ab')2分子の製造を記述している。各Fab'断片は大腸菌から別個に分泌され、インビトロで定方向化学共役を受けて二重特異性抗体を形成する。このようにして形成された二重特異性抗体は、正常なヒトT細胞、及びErbB2レセプターを過剰発現する細胞に結合可能で、ヒト乳房腫瘍標的に対するヒト細胞障害性リンパ球の細胞溶解活性の誘因となる。
二価より多い抗体も考えられる。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。Tutt等 J.Immunol. 147:60(1991)。
ヘテロコンジュゲート抗体もまた本発明の範囲に入る。ヘテロコンジュゲート抗体は、2つの共有結合した抗体からなる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を不要な細胞に対してターゲティングさせるため[米国特許第4676980号]及びHIV感染の治療のために[国際公開第91/00360;国際公開第92/200373;欧州特許第03089号]提案されている。この抗体は、架橋剤に関連したものを含む合成タンパク化学における既知の方法を使用して、インビトロで調製することができると考えられる。例えば、ジスルフィド交換反応を使用するか又はチオエーテル結合を形成することによって、免疫毒素を作成することができる。この目的に対して好適な試薬の例には、イミノチオレート及びメチル-4-メルカプトブチルイミダート、及び例えば米国特許第4676980号に開示されたものが含まれる。
多価抗体は、抗体が結合する抗原を発現する細胞により、二価抗体よりも早くインターナリゼーション(及び/又は異化)されうる。本発明の抗体は、3又はそれ以上の結合部位を有する多価抗体(IgMクラス以外のもの)であり得(例えば四価抗体)、抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現により容易に生成することができる。多価抗体は二量化ドメインと3又はそれ以上の抗原結合部位を有する。好ましい二量化ドメインはFc領域又はヒンジ領域を有する(又はそれらからなる)。このシナリオにおいて、抗体はFc領域と、Fc領域のアミノ末端に3又はそれ以上の抗原結合部位を有しているであろう。ここで、好ましい多価抗体は3ないし8、好ましくは4の抗原結合部位を有する(又はそれらからなる)。多価抗体は少なくとも1つのポリペプチド鎖(好ましくは2つのポリペプチド鎖)を有し、ポリペプチド鎖(類)は2又はそれ以上の可変ドメインを有する。例えば、ポリペプチド鎖(類)はVD1-(X1)n-VD2-(X2)n-Fcを有し、ここでVD1は第1の可変ドメインであり、VD2は第2の可変ドメインであり、FcはFc領域のポリペプチド鎖の一つであり、X1及びX2はアミノ酸又はポリペプチドを表し、nは0又は1である。例えば、ポリペプチド鎖(類)は:VH-CH1-柔軟なリンカー-VH-CH1-Fc領域鎖;又はVH-CH1-VH-CH1-Fc領域鎖を有し得る。ここで多価抗体は、好ましくは少なくとも2つ(好ましくは4つ)の軽鎖可変ドメインポリペプチドをさらに有する。ここで多価抗体は、例えば約2〜約8の軽鎖可変ドメインポリペプチドを有する。ここで考察される軽鎖可変ドメインポリペプチドは軽鎖可変ドメインを有し、場合によってはCLドメインを更に有する。
本発明の抗体をエフェクター機能について改変し、例えば抗体の抗原-依存細胞媒介細胞障害性(ADCC)及び/又は補体依存細胞障害性(CDC)を向上させることは望ましい。これは、抗体のFc領域で一又は複数のアミノ酸置換を誘導することによりなされうる。あるいは又はさらに、システイン残基をFc領域に導入し、それにより、この領域に鎖間ジスルフィド結合を形成するようにしてもよい。そのようにして生成された同種二量体抗体は、向上したインターナリゼーション能力及び/又は増加した補体媒介細胞殺傷及び抗体−依存細胞性細胞障害性(ADCC)を有する可能性がある。Caron等, J. Exp. Med. 176: 1191-1195 (1992)及びShopes, B. J. Immunol. 148: 2918-2922 (1992)参照。また、向上した抗腫瘍活性を持つ同種二量体抗体は、Wolff等, Cancer Research 53: 2560-2565 (1993)に記載されている異種二官能性架橋を用いて調製することができる。あるいは、抗体は、2つのFc領域を有するように加工して、それにより補体溶解及びADCC能力を向上させることもできる。Stevenson等, Anti-Cancer Drug Design 3: 219-230 (1989)参照。
抗体の血清半減期を増大させるために、例えば米国特許第5739277号に記載のように、抗体(特に抗体断片)へサルベージレセプター結合エピトープを導入してもよい。ここで使用される場合の「サルベージレセプター結合エピトープ」なる用語は、IgG分子のインビボ血清半減期を増加させる原因であるIgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)のFc領域のエピトープを意味する。
また、本発明は、化学治療薬、成長阻害剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物又は動物由来の酵素活性毒素、又はその断片)などの細胞障害性剤、あるいは放射性同位体(即ち、放射性コンジュゲート)と抱合している抗体を含む免疫複合体に関する。
このような免疫複合体の生成に有用な化学治療薬を上に記載した。用いることのできる酵素活性毒素及びその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、(緑膿菌からの)外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン、アレウリテス・フォーディ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、モモルディカ・チャランチア(momordica charantia)インヒビター、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、サパオナリア・オフィシナリス(sapaonaria officinalis)インヒビター、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)及びトリコテセン(tricothecene)が含まれる。放射性コンジュゲート抗体の生成には、様々な放射性ヌクレオチドが利用可能である。例としては、212Bi、131I、131In、90Y及び186Reが含まれる。抗体及び細胞障害性薬の複合体は、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えば、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオナート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHCL等)、活性エステル(ジスクシンイミジルスベレート等)、アルデヒド(グルタルアルデヒド等)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン等)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン等)、ジイソシアネート(トリエン2,6-ジイソシアネート等)、及びビス-活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン等)を用いて作成できる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta等, Science 238: 1098 (1987)に記載されているように調製することができる。カーボン-14-標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体への抱合のためのキレート剤の例である。国際公開94/11026参照。
抗体のコンジュゲートと一又は複数の小分子毒素、例えばカリケアマイシン、メイタンシノイド、トリコセン(trichothene)及びCC1065、及び毒性活性を有するこれらの毒素の誘導体が、ここで考察される。
好ましい一実施態様では、本発明の抗Hhip1β12抗体(完全長又は断片)は一又は複数のメイタンシノイド分子と結合している。
メイタンシノイドは、チューブリン重合を阻害するように作用する分裂阻害剤である。メイタンシンは、最初、東アフリカシラブMaytenus serrataから単離されたものである(米国特許第3896111号)。その後、ある種の微生物がメイタンシノイド類、例えばメイタンシノール及びC-3メイタンシノールエステルを生成することが発見された(米国特許第4151042号)。合成メイタンシノール及びその誘導体及び類似体は、例えば米国特許第4137230号;同4248870号;同4256746号;同4260608号;同4265814号;同4294757号;同4307016号;同4308268号;同4308269号;同4309428号;同4313946号;同4315929号;同4317821号;同4322348号;同4331598号;同4361650号;同4364866号;同4424219号;同4450254号;同4362663号;及び同4371533号に開示されており、その開示は出典を明示してここに取り込まれる。
治療指標を改善する試みにおいて、メイタンシン及びメイタンシノイドは、腫瘍細胞抗原に特異的に結合する抗体と結合している。メイタンシノイドを含有する免疫コンジュゲート及びそれらの治療用途は、例えば米国特許第5,208,020号、同5,416,064号、欧州特許第0425235B1号に開示されており、その開示は出典を明示してここに取り込まれる。Liu等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:8618-8623(1996)には、ヒト結腸直腸癌に対するモノクローナル抗体C242に結合するDM1と命名されたメイタンシノイドを含有する免疫コンジュゲートが記載されている。前記コンジュゲートは培養された結腸癌細胞に対して高い細胞障害性を有することが見出されており、インビボ腫瘍成長アッセイにおいて抗腫瘍活性を示す。Chari等, Cancer Research, 52:127-131(1992)には、メイタンシノイドが、ジスルフィド結合を介して、ヒト結腸癌株化細胞の抗原に結合するマウス抗体A7、又はHER-2/neuオンコジーンに結合する他のマウスモノクローナル抗体TA.1に結合している免疫コンジュゲートが記載されている。TA.1-メイタンシノイドコンジュゲートの細胞障害性はヒト乳癌株化細胞SK-BR-3におけるインビトロで試験され、細胞当たり3×105HER-2表面抗原が発現した。薬剤コンジュゲートにより、遊離のメイタンシノイド剤に類似した細胞障害度が達成され、該細胞障害度は、抗体分子当たりのメイタンシノイド分子の数を増加させることにより増加する。A7-メイタンシノイドコンジュゲートはマウスにおいては低い全身性細胞障害性を示した。
例えば、米国特許第5208020号又は欧州特許第0425235B1号、Chari等, Cancer Research, 52:127-131(1992)、及び2004年10月8日出願の米国特許出願番号第10/960602号(ここで参照することにより開示内容を本明細書に包含する)に開示されているもの等を含む、抗体-メイタンシノイドコンジュゲートを作製するために、当該技術で公知の多くの結合基がある。リンカー成分SMCCを含む抗体−メイタンシノイドコンジュゲートは、2004年10月8日出願の米国特許出願番号第10/960602号に開示されているようにして調整することができる。結合基には、上述した特許に開示されているようなジスルフィド基、チオエーテル基、酸不安定性基、光不安定性基、ペプチターゼ不安定性基、又はエステラーゼ不安定性基が含まれるが、ジスルフィド及びチオエーテル基が好ましい。更なる結合基をここに開示及び例示する。
リンカーは結合の種類に応じて、種々の位置でメイタンシノイド分子に結合し得る。例えば、従来からのカップリング技術を使用してヒドロキシル基と反応させることによりエステル結合を形成することができる。反応はヒドロキシル基を有するC-3位、ヒドロキシメチルで修飾されたC-14位、ヒドロキシル基で修飾されたC-15位、及びヒドロキシル基を有するC-20位で生じる。好ましい実施態様において、結合はメイタンシノール又はメイタンシノールの類似体のC-3位で形成される。
一部の実施態様では、免疫複合体は、ドラスタチン又はドラスタチンのペプチド類似体及び誘導体である、アウリスタチン(米国特許第5635483号、同第5780588号)にコンジュゲートした本発明の抗体を含む。ドラスタチン及びアウリスタチンは、微小管の動態、GTP加水分解、核分裂、及び細胞分裂を妨害することが判明しており(Woyke等、(2001) Antimicrob. Agents and Chemother 45(12):3580-3584)、抗癌活性(米国特許第5663149号)及び抗真菌活性(Pettit等、(1998) Antimicrob. Agents Chemother 42:2961-2965)を有する。ドラスチン又はアウリスタチンの薬剤成分は、ペプチド剤成分のN(アミノ)末端又はC(カルボキシル)末端で抗体に付着させることができる(国際公開02/088172)。
例示的なアウリスタチンの実施態様には、Senter等、Proceedings of the American Association for Cancer Research, Volume 45, Abstract Number 623、(2004年3月28日)に開示された、N末端にリンクしたモノメチルアウリスタチン薬剤成分DE及びDF(即ちMMAE及びMMAF)が含まれる。前記文献の開示内容の全体を、参照により本明細書に包含する。
一般的に、ペプチドに基づく薬剤成分は、2以上のアミノ酸及び/又はペプチド断片の間にペプチド結合を形成することにより調整することができる。このようなペプチド結合は、例えば、ペプチド化学の分野で周知の液相合成法(E. Schroder及びK. Lubke, "The Peptides", volume 1, pp 76-136, 1965, Academic Press参照)に従って調整することができる。アウリスタチン/ドラスタチン薬剤成分は、米国特許第5635483号、同第5780588号、Pettit等、(1989) J. Am. Chem. Soc. 111:5463-5465、Pettit等、(1998) Anti-Cancer Drug Design 13:243-277、Pettit, G.R.等、 Synthesis, 1996, 719-725、Pettit等、(1996) J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1 5:859-863、及びDoronina (2003) Nat Biotechnol 21(7):778-784に記載の方法に従って調製することができる。
対象の他の免疫コンジュゲートには、一又は複数のカリケアマイシン分子と結合した抗Hhip1β12抗体が含まれる。抗生物質のカリケアマイシンファミリーはサブ-ピコモルの濃度で二重鎖DNA破壊を生じることができる。カリケアマイシンファミリーのコンジュゲートの調製については、米国特許第5712374号、同5714586号、同5739116号、同5767285号、同5770701号、同5770710号、同5773001号、同5877296号(全て、American Cyanamid Company)を参照のこと。使用可能なカリケアマイシンの構造類似体には、限定するものではないが、γ1 I、α2 I、α3 I、N-アセチル-γ1 I、PSAG及びθI 1(Hinman等, Cancer Research, 53:3336-3342(1993)、Lode等 Cancer Research, 58:2925-2928(1998)及び上述したAmerican Cyanamidの米国特許)が含まれる。抗体が結合可能な他の抗腫瘍剤は、葉酸代謝拮抗薬であるQFAである。カリケアマイシン及びQFAは双方共、細胞内に作用部位を有し、原形質膜を容易に通過しない。よって抗体媒介性インターナリゼーションによるこれらの薬剤の細胞への取込により、細胞障害効果が大きく向上する。
本発明の抗Hhip1β12抗体と結合可能な他の抗腫瘍剤には、BCNU、ストレプトゾイシン、ビンクリスチン及び5-フルオロウラシル、米国特許第5053394号、同5770710号に記載されており、集合的にLL-E33288複合体として公知の薬剤のファミリー、並びにエスペラマイシン(esperamicine)(米国特許第5877296号)が含まれる。
使用可能な酵素活性毒及びその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性断片、外毒素A鎖(シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa))、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン(sarcin)、アレウライツ・フォルディイ(Aleurites fordii)プロテイン、ジアンシン(dianthin)プロテイン、フィトラッカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)プロテイン(PAPI、PAPII及びPAP-S)、モモルディカ・キャランティア(momordica charantia)インヒビター、クルシン(curcin)、クロチン、サパオナリア(sapaonaria)オフィシナリスインヒビター、ゲロニン(gelonin)、マイトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン、エノマイシン及びトリコセセンス(tricothecenes)が含まれる。例えば、1993年10月28日公開の国際公開第93/21232号を参照のこと。
本発明は、抗体と核酸分解活性を有する化合物(例えばリボヌクレアーゼ又はDNAエンドヌクレアーゼ、例えばデオキシリボヌクレアーゼ;DNアーゼ)との間に形成される免疫コンジュゲートをさらに考察する。
放射-又は他の標識が、公知の方法でコンジュゲートに導入される。例えば、ペプチドは生物合成されるか、又は水素の代わりにフッ素-19を含む適切なアミノ酸前駆体を使用する化学的なアミノ酸合成により合成される。標識、例えばtc99m又はI123、Re186、Re188及びIn111は、ペプチドのシステイン残基を介して結合可能である。イットリウム-90はリジン残基を介して結合可能である。IODOGEN法(Fraker等(1978) Biochem. Biophys. Res. Commun. 80:49-57)は、ヨウ素-123の導入に使用することができる。他の方法の詳細は、「Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy」(Chatal, CRC Press 1989)に記載されている。
別法として、抗Hhip1β12抗体及び細胞障害剤を含有する融合タンパク質は、例えば組換え技術又はペプチド合成により作製される。DNAの長さは、コンジュゲートの所望する特性を破壊しないリンカーペプチドをコードする領域により離間しているか、又は互いに隣接しているコンジュゲートの2つの部分をコードする領域をそれぞれ含有する。
他の実施態様において、腫瘍の事前ターゲティングに利用するために、「レセプター」(例えばストレプトアビジン)に抗体をコンジュゲートし、ここで抗体-レセプターコンジュゲートを患者に投与し、続いて清澄剤を使用し、循環から未結合コンジュゲートを除去し、細胞障害剤(例えば放射性ヌクレオチド)にコンジュゲートする「リガンド」(例えばアビジン)を投与する。
ここで開示されている抗Hhip1β12抗体は、免疫リポソームとして処方することもできる。「リポソーム」は、哺乳動物への薬物輸送に有用な、脂質、リン脂質及び/又は界面活性剤を含む種々のタイプの小胞体である。リポソームの成分は、通常は生物膜の脂質配向に類似した2層構造に配列される。抗体を含有するリポソームは、例えばEpstein等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:3688(1985);Hwang等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4030(1980);及び米国特許第4485045号及び同4544545号;及び1997年10月23日に公開の国際公開97/38731に記載されているように、当該分野において既知の方法により調製される。循環時間が増したリポソームは米国特許第5013556号に開示されている。
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール及びPEG-誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含有する脂質組成物を用いた逆相蒸発法により作製することができる。リポソームは孔径が定められたフィルターを通して押し出され、所望の直径を有するリポソームが得られる。本発明の抗体のFab'断片は、ジスルフィド交換反応を介して、Martin等, J. Biol. Chem. 257:286-288(1982)に記載されているようにしてリポソームにコンジュゲートすることができる。場合によっては、化学療法剤はリポソーム内に包含される。Gabizon等, J. National Cancer Inst. 81(19)1484(1989)を参照されたい。
本発明のHhip1β12オリゴペプチドはHhip1ポリペプチドに、好ましくは特異的に、結合するオリゴペプチドである。Hhip1結合オリゴペプチドは、既知のオリゴペプチド合成法を用いて化学的に合成することができ、あるいは組換え技術を用いて調製及び生成することができる。Hhip1結合オリゴペプチドは通常、少なくとも約5のアミノ酸長であり、或いは少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100のアミノ酸長以上であり、このようなオリゴペプチドはHhip1ポリペプチドに対して好ましくは特異的に結合する能力がある。あるHhip1β12オリゴペプチドは本明細書中に詳細に記載される。他のHhip1β12オリゴペプチドは、よく知られた技術を用いて過度の実験をすることなしに同定することができる。この点において、ポリペプチド標的に特異的に結合する能力のあるオリゴペプチドのオリゴペプチドライブラリーを検索する技術は当分野でよく知られていることを注記する(例えば、米国特許第5556762号、同第5750373号、同第4708871号、同第4833092号、同第5223409号、同第5403484号、同第5571689号、同第5663143号;PCT公開第WO84/03506号、及びWO84/03564号;Geysen等, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 81:3998-4002 (1984);Geysen等, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 82:178-182 (1985);Geysen等, in Synthetic Peptides as Antigens, 130-149 (1986);Geysen等, J. Immunol. Meth., 102:259-274 (1987);Schoofs等, J. Immunol., 140:611-616 (1988), Cwirla,S.E.等(1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6378;Lowman,H.B.等 (1991) Biochemistry, 30:10832;Clackson,T.等 (1991) Nature, 352:624;Marks,J.D.等 (1991) J. Mol. Biol., 222:581;Kang,A.S.等 (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:8363、及びSmith, G.P. (1991) Current Opin. Biotechnol., 2:668参照)。
現在、基礎的なファージディスプレイ構想の多くの他の改良及び変形が開発されている。これらの改良は、選択された標的分子への結合についてペプチドライブラリーをスクリーニングするための、及びこれらのタンパク質が所望の特性をスクリーニングする潜在能力で機能性タンパク質をディスプレイするためのディスプレイシステムの能力を増強する。ファージディスプレイ反応のための組み換え反応手段について記載があり(WO98/14277)及びファージディスプレイライブラリーは二分子相互作用(WO98/20169;WO98/20159)及び拘束性へリックスペプチドの特性(WO98/20036)を分析及び制御するために使用されている。WO97/35196は、リガンドが標的分子に結合しうる第一の溶液、及び親和性リガンドが標的分子に結合しない第二の溶液とファージディスプレイライブラリーを接触させて結合リガンドを選択的に単離する、親和性リガンドの単離方法を記載する。WO97/46251は、親和性精製抗体でランダムファージディスプレイライブラリーをバイオパニングし、次いで結合ファージを単離し、続いてマイクロプレートのウェルでマイクロパニングして高親和性結合ファージを単離する方法を記載する。黄色ブドウ球菌(Staphlylococcus aureus)タンパク質Aの親和性タグとしての使用も報告されている(Li等, (1998) Mol Biotech., 9:187)。WO97/47314は、ファージディスプレイライブラリーでもよいコンビナトリアルライブラリーを用いて酵素特異性を識別するための基質サブトラクションライブラリーの使用を記載している。ファージディスプレイに用いる洗浄剤における使用に適した酵素を選択する方法はWO97/09446に記載される。特異的に結合するタンパク質を選択する更なる方法は、米国特許第5498538号、同第5432018号、及びWO98/15833に記載されている。
ある実施態様では、Hhip1β12結合オリゴペプチドは、Hhip1β12L2ループ結合オリゴペプチドといったHhip1のL2ループに結合する。これらのペプチドは、Hhip1のL2ループモチーフの性質が保存されているために、Hhip1及び/又はPtchのL2ループに結合する。いくつかの実施態様では、オリゴペプチドは、Hhip1及び/又はPtchに結合するHhに干渉し、Hhシグナル伝達を阻害する。他の実施態様では、オリゴペプチド自体が、Hhip1及び/又はPtchに結合して、PtchへのHh結合を模倣することによってHhシグナル伝達を作動してもよい。
ある実施態様では、Hhip1β12オリゴペプチドはHhip1のL2ループ(配列番号:54)に基づく。Hhip1β12のL2ループは、Hedgehogに結合し、Hedgehogを結合するPtchのアナログ部位を有する保存された残基を含む部位である。したがって、本発明は、Hedgehogと相互作用するHhip1のβプロペラドメインのL2ループのアミノ酸配列に基づいたオリゴペプチドを提供する。これらオリゴペプチドは、組み換え系で発現されても、当分野で公知の任意の方法によって化学的に合成されてもよい。オリゴペプチドは線状であっても、環状に造られてもよい。一般にオリゴペプチドは少なくとも8アミノ酸の長さである。ある実施態様では、オリゴペプチドは9〜21のアミノ酸の長さであり、ある実施態様では、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21のアミノ酸長である。
ここで、Xは任意のアミノ酸であり、括弧で囲んだアミノ酸はその位置においてオルタナティブなアミノ酸を表す。好ましくは、位置Xのアミノ酸は、Hhip1のL2ループの位置のアミノ酸と同じであるか、又はそのアミノ酸の保存的置換であるものである。いくつかのオリゴペプチドの例には、以下が含まれる。
ここで、Xは任意のアミノ酸であるが、好ましくは、Hhip1又はPtchのL2ループの位置のアミノ酸と同じであるか、又はそのアミノ酸の保存的置換であるものである。いくつかのオリゴペプチドの例には、以下が含まれる。
ここで、Xは任意のアミノ酸であるが、好ましくは、Hhip1又はPtchのL2ループの位置のアミノ酸と同じであるか、又はそのアミノ酸の保存的置換であるものである。
ここで、Xは任意のアミノ酸であるが、好ましくは、PtchのL2ループの位置のアミノ酸と同じであるか、又はそのアミノ酸の保存的置換であるものである。いくつかのオリゴペプチドの例には以下が含まれる。
また、本発明のペプチドは、L2ループ特異的抗体の生成における抗原として有用である。このような抗体は、天然のHhip1及び/又はPtchを結合し、(それ自身レセプターを刺激せずに)これらのレセプターへのHedgehogの結合を阻害し、Hedgehogに反応する細胞(例えば癌細胞)の増殖を阻害するか又は停止させうる。加えて、抗L2ループ抗体に対する抗イディオタイプ抗体は、Hhip1又はPtchのL2ループを模倣することにより、Hedgehogを結合しうるように作製されてよい。また、このような抗体は、Ptch又はHhip1へのHedgehogの結合を阻害する際に有用であり、Hedgehogに反応する細胞の増殖を阻害するか又は停止させる。これらの抗体は、Hedgehog関連癌を治療する際に有用である。
あるいは、ある実施態様では、抗L2-特異的抗体は、Hedgehogシグナル伝達のアゴニストとして有用であり、例えば神経組織の増殖の調節、骨および軟骨形成および修復、精子形成の調節、平滑筋の調節、原始腸管から生じる肺、肝臓および他の臓器の調節、造血性機能の調節、皮膚の調節および体毛成長などの用途においてHedgehogアゴニストとして有用となりうる。
Hhip1結合有機分子は、本明細書中で定義されるオリゴペプチド又は抗体以外の、Hhip1ポリペプチド及び/又はPtchポリペプチドに好ましくは特異的に結合し、Hedgehogシグナル伝達を調節する有機分子である。他の実施態様では、小有機分子は、Hedgehog結合領域内のHhip1β12L2ループ構造に基づき、Hedgehogポリペプチドに結合し、Hedgehogシグナル伝達を調整するように設計される。
いくつかの実施態様では、有機分子は、Hedgehogを結合し、Hedgehogアンタゴニストとして作用する(すなわち、Hedgehog応答性細胞のHedgehogシグナル伝達を阻害する)。他の実施態様では、有機分子は、Hedgehogを結合し、Hedgehogアゴニストとして作用する(すなわち、Hedgehog応答性細胞のHedgehogシグナル伝達を刺激する)。他の実施態様では、有機分子は、Hhip1及び/又はpatechedを結合し、Hedgehogシグナル伝達アンタゴニストとして作用する(すなわち、Hedgehog応答性細胞のHedgehogシグナル伝達を阻害する)。他の実施態様では、有機分子は、Hhip1及び/又はPtchを結合し、Hedgehogアゴニストとして作用する(すなわち、Hedgehog応答性細胞のHedgehogシグナル伝達を刺激する)。
Hhip1結合有機分子とは、ここに記載されるようなHhip1ポリペプチドに、好ましくは特異的に結合する、ここに定義されるようなオリゴペプチド又は抗体以外の有機分子である。Hhip1結合有機分子は既知の方法(例えばPCT公開第WO00/00823及びWO00/39585号参照)を用いて同定され、化学的に合成されうる。Hhip1L2結合有機分子は通常、約2000ダルトンの大きさ未満であり、あるいは約1500、750、500、250又は200ダルトンの大きさであり、ここに記載される様なHhip1ポリペプチドに、好ましくは特異的に結合する能力のあるこのような有機分子は、よく知られた技術を用いて過度の実験をすることなしに同定されうる。この点において、ポリペプチド標的に結合する能力のある分子の有機分子ライブラリーを検索する技術は当分野でよく知られていることを注記する(例えばPCT公開第WO00/00823及びWO00/39585号参照)。Hhip1結合有機分子は、例えばアルデヒド、ケトン、オキシム、ヒドラゾン、セミカルバゾン、カルバジド、一級アミン、二級アミン、三級アミン、N置換ヒドラジン、ヒドラジド、アルコール、エーテル、チオール、チオエーテル、ジスルフィド、カルボン酸、エステル、アミド、尿素、カルバミン酸塩、炭酸塩、ケタール、チオケタール、アセタール、チオアセタール、ハロゲン化アリール、アリールスルホン酸、ハロゲン化アルキル、アルキルスルホン酸、芳香族化合物、複素環化合物、アニリン、アルケン、アルキン、ジオール、アミノアルコール、オキサゾリジン、オキサゾリン、チアゾリジン、チアゾリン、エナミン、スルホンアミド、エポキシド、アジリジン、イソシアン酸塩、塩化スルホニル、ジアゾ化合物、酸塩化物等であり得る。
Hhip1ポリペプチドに結合する抗体、オリゴペプチド及び有機分子を生成する技術を、上記にて記載した。所望するような、所定の生物学的特性を有する抗体、オリゴペプチド又は有機分子をさらに選択することができる。
本発明の抗Hhip1β12抗体、オリゴペプチド又は他の有機分子の成長阻害効果を、例えば、内因的又はHhip1β12遺伝子によるトランスフェクション後のいずれかでHhip1β12ポリペプチドを発現する細胞を用いる当該分野で周知の方法によって評価することができる。例えば、適切な腫瘍細胞株及びHip形質移入細胞は、数日間(例えば、2−7)、種々の濃度の本発明の抗Hhip1β12モノクローナル抗体、Hhip1β12オリゴペプチド又は他のHhip1β12有機分子で処理し、クリスタル・バイオレット又はMTTで染色、又は幾つかの他の比色アッセイによって分析し得る。増殖を測定するその他の方法は、本発明の抗Hhip1β12抗体、Hhip1β12オリゴペプチド又はHhip1β12有機分子の存在又は非存在下で処理した細胞の3H-チミジン取り込みを比較することによる。処理の後、細胞を収集し、DNAへ取り込まれた放射能をシンチレーションカウンターで定量化した。適切なポジティブコントロールには、細胞株の成長を阻害することが知られている成長阻害抗体でその選択した細胞株を処理することが含まれる。インビボでの成長阻害は、当該分野で知られている種々の方法で確かめることができる。好ましくは、腫瘍細胞は、Hhip1ポリペプチドを過剰発現するものである。好ましくは、抗Hhip1β12抗体、Hhip1β12オリゴペプチド又はHhip1β12有機分子は、ある実施態様では約0.5から30μg/mlの抗体濃度で、未処理腫瘍細胞と比べて約25−100%、より好ましくは約30−100%、そしてさらにより好ましくは約50−100%又は70−100%のHip発現腫瘍細胞の増殖をインビトロ又はインビボで阻害する。成長阻害は、細胞培養で、約0.5から30μg/ml又は0.5nMから200nMの抗体濃度で測定することができ、その成長阻害は、抗体への腫瘍細胞の曝露後1-10日で確かめられる。約1μg/kgから約100mg/kg体重での抗Hhip1β12抗体の投与が、抗体の最初の投与から約5日から3ヶ月、好ましくは約5から30日以内に腫瘍の大きさの減少又は腫瘍細胞増殖の減少を引き起こすならば、抗体はインビボで成長阻害作用がある。
関心のある抗体が結合したHhip1ポリペプチド上のエピトープに結合する抗体、オリゴペプチド又は他の有機分子をスクリーニングするために、Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Ed Harlow及びDavid Lane編(1988)に記載されているような通常の交差ブロッキングアッセイを実施することができる。既知の抗Hhip1β12抗体のように、試験抗体、オリゴペプチド又は他の有機分子が同じ部位又はエピトープと結合するならば、このアッセイを確定するために用いることができる。あるいは、又は付加的に、エピトープマッピングを、当該分野で周知の方法によって行うことができる。例えば、接触残基を同定するために、例えばアラニンスキャンニングによって抗体配列を変異させることができる。この変異体抗体は、適切なフォールディングを確かめるために、最初にポリクローナル抗体との結合について試験される。異なる方法では、Hhip1ポリペプチドの異なる領域と一致するペプチドを、試験抗体群又は試験抗体及び特徴付けられた又は既知のエピトープを有する抗体による競合アッセイで用いることができる。
また、本発明の抗体は、プロドラッグ(例えばペプチジル化学療法剤、国際公開81/01145を参照)を活性な抗癌剤へ変換するプロドラッグ活性化酵素へ抗体をコンジュゲートすることによって、ADEPTにおいて使用することができる。例えば国際公開88/07378及び米国特許第4975278号を参照されたい。
ADEPTに有用な免疫コンジュゲートの酵素成分には、より活性な細胞毒形態に変換するようにプロドラッグへ作用し得る任意の酵素が含まれる。
限定するものではないが、この発明の方法に有用な酵素には、ホスファート含有プロドラッグを遊離の薬剤に変換するのに有用なアルカリ性ホスファターゼ;スルファート含有プロドラッグを遊離の薬剤に変換するのに有用なアリールスルファターゼ;非毒性5-フルオロシトシンを抗癌剤5-フルオロウラシルに変換するのに有用なシトシンデアミナーゼ;プロテアーゼ、例えばセラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼ及びカテプシン(例えば、カテプシンB及びL)で、ペプチド含有プロドラッグを遊離の薬剤に変換するのに有用なもの;D-アミノ酸置換基を含有するプロドラッグの変換に有用なD-アラニルカルボキシペプチダーゼ;炭水化物切断酵素、例えばグリコシル化プロドラッグを遊離の薬剤に変換するのに有用なノイラミニダーゼ及びβガラクトシダーゼ;βラクタムで誘導体化された薬剤を遊離の薬剤に変換させるのに有用なβラクタマーゼ;及びペニシリンアミダーゼ、例えばそれぞれフェノキシアセチル又はフェニルアセチル基で、それらのアミン性窒素において誘導体化された薬剤を遊離の薬剤に変換するのに有用なペニシリンVアミダーゼ又はペニシリンGアミダーゼが含まれる。あるいは、「アブザイム」としてもまた公知の酵素活性を有する抗体を、遊離の活性薬剤に本発明のプロドラッグを変換させるために使用することもできる(例えば、Massey, Nature 328:457-458(1987)を参照)。抗体-アブザイムコンジュゲートは、ここで記載されているようにして、腫瘍細胞個体群にアブザイムを送達するために調製することができる。
この発明の酵素は、当該分野においてよく知られている技術、例えば上で検討したヘテロ二官能性架橋試薬を使用することにより、抗Hhip1抗体に共有的に結合させることができる。あるいは、本発明の抗体の少なくとも抗原結合領域を本発明の酵素の少なくとも機能的に活性な部位に結合せしめてなる融合タンパク質を、当該技術においてよく知られている組換えDNA技術を使用して作成することができる(Neuberger等, Nature 312:604-608[1984])。
また、本発明は、本出願でHhip1β12ポリペプチドと呼ばれるポリペプチドをコードする新規に同定され単離された核酸配列を提供する。特に種々のHhip1ポリペプチドをコードするcDNA(部分及び完全長)が本発明に包含される。本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、Hhip1をコードする核酸配列と予測されるアミノ酸配列のアラインメントを示す図1を参照して決定されうる。さらに、配列番号:83は完全長Hhip1β12のアミノ酸配列を示し、配列番号:52はヒトHhip1のcDNA配列を示す。Hhip1β12の小さい断片はそのアミノ酸配列をコードする任意のポリヌクレオチド配列によってコードされうるが、特定の核酸配列の例により当業者に少なくとも1の参照配列が提供される。
ここに記載した抗Hhip1β12抗体及び完全長配列Hhip1β12及び他のHhip1β12ポリペプチドに加えて、抗Hhip1β12抗体及びHhip1β12ポリペプチド変異体も調製できると考えられる。抗Hhip1β12抗体及びHhip1ポリペプチド変異体は、コード化DNAに適当なヌクレオチド変化を導入することによって、及び/又は所望の抗体又はポリペプチドを合成することによって調製できる。当業者は、アミノ酸変化がグリコシル化部位の数又は位置の変化あるいは膜固着特性の変化などの抗Hhip1β12抗体の翻訳後プロセス又はHhip1β12ポリペプチドの翻訳後プロセスを変え得るのを理解するであろう。
ここに記載した抗Hhip1抗体及びHhip1ポリペプチドの変異は、例えば、米国特許第5364934号に示す保存的及び非保存的変異に関する技術及び指針のいずれかを用いて作成することができる。変異は、結果として天然配列抗体又はポリペプチドと比較してアミノ酸配列の変化を生じる、抗体又はポリペプチドをコードする一又は複数のコドンの置換、欠失又は挿入であってもよい。場合によっては、変異は、抗Hhip1β12抗体又はHhip1ポリペプチドの一つ又は複数のドメインにおける、少なくとも一つのアミノ酸の他の任意のアミノ酸との置換による。どのアミノ酸残基が所望の活性に悪影響を与えることなく挿入、置換又は欠失され得るかを確かめる指針は、抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチドの配列を既知の相同タンパク質分子の配列と比較し、相同性の高い領域内で生じたアミノ酸配列変化の数を最小にすることによって見出される。アミノ酸置換は、一のアミノ酸を類似した構造及び/又は化学特性を持つ他のアミノ酸で置換すること、例えばロイシンのセリンでの置換、即ち保存的アミノ酸置換の結果であるとすることができる。挿入及び欠失は、場合によっては1から5のアミノ酸の範囲内であり得る。許容され得る変異は、配列にアミノ酸の挿入、欠失又は置換を系統的に作成し、生じた変異体を完全長又は成熟天然配列によって示される活性に関して試験することによって確かめられる。
抗Hhip1β12抗体及びHhip1β12ポリペプチド断片は、多くの従来技術のいずれかによって調製してもよい。所望のペプチド断片は化学合成してもよい。代替的方法には、酵素的消化、例えば特定のアミノ酸残基で確定した部位でタンパク質を切断することが知られた酵素によってタンパク質を処理することで、又は適当な制限酵素でDNAを消化して所望の断片を単離することによって抗体又はポリペプチド断片を生成することが含まれる。さらにその他の好適な技術には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、所望の抗体又はポリペプチド断片をコードするDNA断片を単離し増幅することが含まれる。DNA断片の所望の末端を確定するオリゴヌクレオチドは、PCRの5’及び3’プライマーで用いられる。好ましくは、抗Hhip1β12抗体及びHhip1β12ポリペプチド断片は、ここに開示した天然抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチドと少なくとも1つの生物学的及び/又は免疫学的活性を共有する。
表5
(1)疎水性:ノルロイシン, Met, Ala, Val, Leu, Ile;
(2)中性の親水性:Cys, Ser, Thr; Asn; Gln
(3)酸性:Asp, Glu;
(4)塩基性:His, Lys, Arg;
(5)鎖配向に影響する残基:Gly, Pro; 及び
(6)芳香族:Trp, Tyr, Phe。
非保存的置換は、これらの分類の1つのメンバーを他の分類に交換することを必要とするであろう。また、そのように置換された残基は、保存的置換部位、又はより好ましくは、残された(非保存)部位に導入されうる。
変異は、オリゴヌクレオチド媒介(部位特異的)突然変異誘発、アラニンスキャンニング、及びPCR突然変異誘発等のこの分野で知られた方法を用いてなすことができる。部位特異的突然変異誘発[Carter等, Nucl. Acids Res., 13: 4331 (1986); Zoller等, Nucl. Acids Res., 10: 6487 (1987)]、カセット突然変異誘発[Wells等, Gene, 34: 315 (1985)]、制限的選択突然変異誘発[Wells等, Philos. Trans. R. Soc. London SerA, 317: 415 (1986)]又は他の知られた技術をクローニングしたDNAに実施して、抗Hhip1β12抗体又はHhip1ポリペプチド変異体DNAを作成することもできる。
抗Hhip1β12抗体又はHhip1ポリペプチドの適切なコンフォメーションを維持することに関与していない任意のシステイン残基も、分子の酸化的安定性を向上させ、異常な架橋を防ぐために、概してセリンと置換され得る。逆に、抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチドの安定性(特に、抗体がFv断片のような抗体断片)を向上させるために、それにシステイン結合(一又は複数)を加えてもよい。
抗Hhip1β12抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、当該分野で周知の種々の方法によって調製される。これらの方法には、限定されるものではないが、オリゴヌクレオチド媒介(又は部位特異的)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、そして抗-Hhip1β12抗体の早期に調製した変異体又は非変異体形のカセット突然変異誘発による、天然ソースからの単離(天然発生アミノ酸配列変異体の場合)又は調製が含まれる。
抗Hhip1β12抗体及びHhip1β12ポリペプチドの共有結合的修飾は本発明の範囲内に含まれる。共有結合的修飾の一型には、抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチドの標的とするアミノ酸残基を、抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチドの選択された側鎖又はN又はC末端残基と反応できる有機誘導体化試薬と反応させることが含まれる。二官能性試薬による誘導体化は、例えば抗Hhip1β12抗体又はHhip1ポリペプチドを、抗Hhip1抗体の精製方法で用いる水不溶性支持体マトリクス又は表面と架橋させるために有用であり、その逆も同じである。通常用いられる架橋剤には、例えば、1,1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば4-アジドサリチル酸を有するエステル、3,3'-ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)等のジスクシンイミジルエステルを含むホモ二官能性イミドエステル、ビス-N-マレイミド-1,8-オクタン等の二官能性マレイミド、及びメチル-3-[(p-アジドフェニル)-ジチオ]プロピオイミダート等の試薬が含まれる。
他の修飾には、グルタミニル及びアスパラギニル残基の各々対応するグルタミル及びアスパルチル残基への脱アミノ化、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリル又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のα-アミノ基のメチル化[T.E. Creighton, Proteins: Structure and Molecular Properties, W.H. Freeman & Co., San Francisco, pp.79-86 (1983)]、N末端アミンのアセチル化、及び任意のC末端カルボキシル基のアミド化を含む。
抗体及び他のポリペプチドのグリコシル化とは、典型的にはN-結合又はO-結合のいずれかである。N-結合とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付与を指す。トリペプチドは、Xがプロリンを除く任意のアミノ酸である、アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニンの配列であり、アスパラギン側鎖への炭水化物部分が酵素的に付与される認識部位である。従って、ポリペプチドのこれらトリペプチド配列のいずれかの存在によって、潜在的なグリコシル化部位が作り出される。O-結合グリコシル化とは、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンも用いられるが、殆どの場合にはセリン又はスレオニンへN-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースのうちの一つの糖をヒドロキシアミノ酸へ付与することを指す。
抗Hhip1β12抗体又はHhip1ポリペプチドへのグリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列を改変して、それが上記に記載のトリペプチド配列(N-結合グリコシル化部位について)の一つ又は複数を含むようにすることによって簡便に完遂できる。この改変は、また、最初の抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチドの配列へ一つ又は複数のセリン又はスレオニン残基を付加、又は置換することによって生成される(O-結合グリコシル化部位について)。抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチドアミノ酸配列は、DNAレベルでの変化を通して、特に、コドンが所望するアミノ酸へ翻訳される、あらかじめ選択した塩基での抗Hhip1β12抗体又はHhip1ポリペプチドをコードするDNAを変異させることによって、場合によっては改変され得る。
抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチド上に存在する炭水化物部分の除去は、化学的又は酵素的に、あるいはグルコシル化の標的として提示されたアミノ酸残基をコードするコドンの変異的置換によってなすことができる。化学的脱グリコシル化技術は、この分野で知られており、例えば、Hakimuddin等, Arch. Biochem. Biophys., 259:52 (1987)によって、そしてEdge等, Anal. Biochem., 118: 131 (1981)によって記載されている。ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakura等, Meth. Enzymol. 138:350 (1987)に記載されているように、種々のエンド及びエキソグリコシダーゼを用いることにより達成される。
抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチド共有結合的修飾の他の型は、抗体又はポリペプチドを種々の非タンパク質様ポリマーの1つ、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルキレンへ、米国特許第4640835号;第4496689号;第4301144号;第4670417号;第4791192号又は第4179337号に記載された方法で結合させることをを含む。また、抗体又はポリペプチドは、例えばコアセルベーション法によって又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル(例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン-マイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)に、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルションで捕捉することができる。このような技術はRemington's Pharmaceutical Sciences, 16版, A. Oslo編(1980)に開示されている。
また、本発明の抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチドは、その他の異種ポリペプチド又はアミノ酸配列と融合した抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチドを含むキメラ分子が形成される方法で修飾されてもよい。
それに換わる実施態様では、キメラ分子は抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチドの免疫グロブリン又は免疫グロブリンの特定領域との融合体を含んでもよい。キメラ分子の二価形態(「イムノアドヘシン」とも呼ばれる)については、そのような融合体はIgG分子のFc領域であり得る。Ig融合体は、好ましくはIg分子内の少なくとも1つの可変領域に換えて抗Hhip1β12抗体又はHhip1ポリペプチドの可溶化(膜貫通ドメイン欠失又は不活性化)形態を含む。特に好ましい実施態様では、免疫グロブリン融合体は、IgG分子のヒンジ、CH2及びCH3、又はヒンジ、CH1、CH2及びCH3領域を含む。免疫グロブリン融合体の製造については、1995年6月27日発行の米国特許第5428130号を参照のこと。
以下の説明は、主として、抗Hhip1β12抗体及びHhip1ポリペプチドコード化核酸を含むベクターで形質転換又は形質移入された細胞を培養することにより抗Hhip1β12抗体及びHhip1ポリペプチドを産生させる方法に関する。勿論、当該分野においてよく知られている他の方法を用いて抗Hhip1抗体及びHhip1ポリペプチドを調製することができると考えられている。例えば、適切なアミノ酸配列、又はその一部分を、固相技術を用いた直接ペプチド合成によって生成してもよい[例えば、Stewart等, Solid-Phase Peptide Synthesis, W.H. Freeman Co., サン フランシスコ, カリフォルニア(1969);Merrifield, J. Am. Chem. Soc., 85:2149-2154 (1963)参照]。手動技術又は自動を使用することによってインビトロタンパク質合成を行ってもよい。自動合成は、例えば、アプライド・バイオシステムズ・ペプチド合成機(フォスター シティー, カリフォルニア)を用いて、製造者の指示によって実施してもよい。抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチドの種々の部分を別々に化学的に合成し、化学的又は酵素的方法を用いて結合させて所望する抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチドを生成させてもよい。
抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチドをコードするDNAは、抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチドmRNAを保有していてそれを検出可能なレベルで発現すると考えられる組織から調製されたcDNAライブラリーから得ることができる。従って、ヒト抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチドDNAは、ヒトの組織から調製されたcDNAライブラリーから簡便に得ることができる。また抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチド-コード化遺伝子は、ゲノムライブラリーから又は公知の合成方法(例えば、自動核酸合成)により得ることもできる。
ライブラリーは、対象となる遺伝子あるいはその遺伝子によりコードされるタンパク質を同定するために設計されたプローブ(少なくとも約20-80塩基のオリゴヌクレオチド等)によってスクリーニングできる。選択されたプローブによるcDNA又はゲノムライブラリーのスクリーニングは、例えばSambrook等, Molecular Cloning: A Laboratory Manual(New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)に記載されている標準的な手順を使用して実施することができる。抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチドをコードする遺伝子を単離する他の方法は、PCR法を使用するものである[Sambrook等,上掲;Dieffenbach等, PCR Primer:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1995)]。
このようなライブラリースクリーニング法において同定された配列は、GenBankらの公共データベース又は他の個人の配列データベースに寄託され利用可能となっている他の周知の配列と比較及びアラインメントすることができる。分子の決定された領域内の又は完全長配列に渡っての(アミノ酸又はヌクレオチドレベルのいずれかでの)配列同一性は、当該分野で知られた、及びここに記載した方法を用いて決定することができる。
タンパク質コード化配列を有する核酸は、初めてここで開示された推定アミノ酸配列を使用し、また必要ならば、cDNAに逆転写されていないmRNAの生成中間体及び先駆物質を検出する上掲のSambrook等に記述されているような従来のプライマー伸展法を使用して、選択されたcDNA又はゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって得られる。
宿主細胞を、ここに記載した抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチド生成のための発現又はクローニングベクターで形質移入又は形質転換し、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適当に変性された常套的栄養培地で培養する。培養条件、例えば培地、温度、pH等々は、過度の実験をすることなく当業者が選ぶことができる。一般に、細胞培養の生産性を最大にするための原理、プロトコール、及び実用技術は、Mammalian Cell Biotechnology: a Practical Approach, M.Butler編 (IRL Press, 1991)及び上掲のSambrook等に見出すことができる。
真核生物細胞形質移入及び原核生物細胞形質転換の方法、例えば、CaCl2、CaPO4、リポソーム媒介及びエレクトロポレーションは当業者に知られている。用いられる宿主細胞に応じて、その細胞に対して適した標準的な方法を用いて形質転換はなされる。前掲のSambrook等に記載された塩化カルシウムを用いるカルシウム処理又はエレクトロポレーションが、一般的に原核生物に対して用いられる。アグロバクテリウム・トゥメファシエンスによる感染が、Shaw等, Gene, 23:315(1983)及び1989年6月29日公開の国際公開89/05859に記載されているように、或る種の植物細胞の形質転換に用いられる。このような細胞壁のない哺乳動物の細胞に対しては、Graham及びvan der Eb, Virology, 52:456-457 (1978)のリン酸カルシウム沈降法が用いられる。哺乳動物細胞の宿主系形質転換の一般的な態様は米国特許第4,399,216号に記載されている。酵母菌中への形質転換は、典型的には、Van Solingen等, J. Bact., 130:946 (1977)及びHsiao等, Proc. Natl. Acad. Sci. (USA), 76:3829 (1979)の方法に従って実施される。しかしながら、DNAを細胞中に導入する他の方法、例えば、核マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、無傷の細胞、又はポリカチオン、例えばポリブレン、ポリオルニチン等を用いる細菌プロトプラスト融合もまた用いることもできる。哺乳動物細胞を形質転換するための種々の技術については、Keown等, Methods in Enzymology, 185:527-537 (1990)及び Mansour等, Nature, 336:348-352 (1988)を参照のこと。
しかし、最大の関心は脊椎動物細胞に向けられ、培養(組織培養)した脊椎動物細胞の増殖がルーチン作業となった。有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、SV40(COS−7,ATCC CRL1651)で形質転換させたサル腎CV1細胞株;ヒト胚芽腎細胞株(293又は懸濁培養で成長するようにサブクローン化された293細胞,Graham等,J.Gen Virol.,36:59 (1977));ベビーハムスター腎細胞(BHK,ATCC CCL10);チヤイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO,Urlaub等, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216 (1980));マウスセルトリ細胞(TM4,Mather,Biol.Reprod.,23:243-251 (1980));サル腎細胞(CV1 ATCC CCL70);アフリカミドリザル腎細胞(VERO−76,ATCC CRL-1587);ヒト頚管腫瘍細胞(HELA,ATCC CCL2);イヌ腎細胞(MDCK,ATCC CCL34);バッファローラット肝細胞(BRL 3A,ATCC CRL1442);ヒト肺細胞(W138,ATCC CCL75);ヒト肝細胞(Hep G2,HB 8065);マウス乳房腫瘍細胞(MMT 060562,ATCC CCL51);TRI細胞(Mather等,Annals N.Y.Acad.Sci.,383:44-68 (1982));MRC5細胞;FS4細胞;及びヒト肝臓癌細胞(HepG2)である。
宿主細胞は、抗Hhip1β12抗体又はHhip1ポリペプチド生成のために上述の発現又はクローニングベクターで形質転換され、プロモーターを誘発し、形質転換体を選出し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適切に修正した通常の栄養培地で培養される。
抗Hhip1β12抗体又はHhip1ポリペプチドをコードする核酸(例えば、cDNA又はゲノムDNA)は、クローニング(DNAの増幅)又は発現のために複製可能なベクター内に挿入される。様々なベクターが公的に入手可能である。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス粒子、又はファージの形態とすることができる。適切な核酸配列が、種々の手法によってベクターに挿入される。一般に、DNAはこの分野で周知の技術を用いて適当な制限エンドヌクレアーゼ部位に挿入される。ベクター成分としては、一般に、これらに制限されるものではないが、一又は複数のシグナル配列、複製開始点、一又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、及び転写終結配列を含む。これらの成分の一又は複数を含む適当なベクターの作成には、当業者に知られた標準的なライゲーション技術を用いる。
Hhip1β12ポリペプチドは直接的に組換え手法によって生成されるだけではなく、シグナル配列あるいは成熟タンパク質あるいはポリペプチドのN-末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドである異種性ポリペプチドとの融合ペプチドとしても生成される。一般に、シグナル配列はベクターの成分であるか、ベクターに挿入される抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチド-コード化DNAの一部である。シグナル配列は、例えばアルカリフォスファターゼ、ペニシリナーゼ、lppあるいは熱安定性エンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核生物シグナル配列であってよい。酵母の分泌に関しては、シグナル配列は、酵母インベルターゼリーダー、アルファ因子リーダー(酵母菌属(Saccharomyces)及びクリュイベロミセス(Kluyveromyces)α因子リーダーを含み、後者は米国特許第5,010,182号に記載されている)、又は酸ホスフォターゼリーダー、カンジダ・アルビカンス(C.albicans)グルコアミラーゼリーダー(1990年4月4日発行の欧州特許第362179号)、又は1990年11月15日に公開された国際公開90/13646に記載されているシグナルであり得る。哺乳動物細胞の発現においては、哺乳動物シグナル配列は、同一あるいは関連種の分泌ポリペプチド由来のシグナル配列並びにウイルス分泌リーダーのようなタンパク質の直接分泌に使用してもよい。
発現及びクローニングベクターは、典型的には、選べるマーカーとも称される選択遺伝子を含む。典型的な選択遺伝子は、(a)アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートあるいはテトラサイクリンのような抗生物質あるいは他の毒素に耐性を与え、(b)栄養要求性欠陥を補い、又は(c)複合培地から得られない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードしており、例えばバシリのD-アラニンラセマーゼをコードする遺伝子がある。
哺乳動物細胞に適切な選べるマーカーの例は、DHFRあるいはチミジンキナーゼのように、抗Hhip1β12抗体又はHhip1ポリペプチド-コード化核酸を取り込むことのできる細胞成分を同定することのできるものである。野生型DHFRを用いた場合の好適な宿主細胞は、Urlaub等により, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980)に記載されているようにして調製され増殖されたDHFR活性に欠陥のあるCHO株化細胞である。酵母菌中での使用に好適な選択遺伝子は酵母プラスミドYRp7に存在するtrp1遺伝子である[Stinchcomb等, Nature, 282:39(1979);Kingsman等, Gene, 7:141(1979);Tschemper等, Gene, 10:157(1980)]。trp1遺伝子は、例えば、ATCC番号44076あるいはPEP4-1のようなトリプトファンで成長する能力を欠く酵母菌の突然変異株に対する選択マーカーを提供する[Jones, Genetics, 85:12 (1977)]。
酵母宿主との使用に適したプロモーター配列の例としては、3-ホスホグリセラートキナーゼ[Hitzeman 等, J. Biol. Chem., 255:2073 (1980)]又は他の糖分解酵素[Hess 等, J. Adv. Enzyme Reg., 7:149 (1968);Holland, Biochemistry, 17:4900(1978)]、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセレートムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオセリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼが含まれる。
他の酵母プロモーターとしては、成長条件によって転写が制御される付加的効果を有する誘発的プロモーターであり、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロムC、酸フォスファターゼ、窒素代謝と関連する分解性酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、及びマルトース及びガラクトースの利用を支配する酵素のプロモーター領域がある。酵母菌での発現に好適に用いられるベクターとプロモーターは欧州特許第73657号に更に記載されている。
より高等の真核生物による抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチドをコードするDNAの転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによって増強され得る。エンハンサーは(通常は約10から300塩基対で)、プロモーターに作用してその転写を増強するDNAのシス作動要素である。哺乳動物遺伝子由来の多くのエンハンサー配列が現在知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン及びインスリン)。しかしながら、典型的には、真核細胞ウィルス由来のエンハンサーが用いられるであろう。例としては、複製開始点の後期側のSV40エンハンサー(100−270塩基対)、サイトメガロウィルス初期プロモーターエンハンサー、複製開始点の後期側のポリオーマエンハンサー及びアデノウィルスエンハンサーが含まれる。エンハンサーは、抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチドコード化配列の5’又は3’位でベクター中にスプライシングされ得るが、好ましくはプロモーターから5’位に位置している。
また真核生物宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、又は他の多細胞生物由来の有核細胞)に用いられる発現ベクターは、転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列も含む。このような配列は、真核生物又はウィルスのDNA又はcDNAの通常は5’、時には3’の非翻訳領域から取得できる。これらの領域は、抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチドをコードするmRNAの非翻訳部分にポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含む。
組換え脊椎動物細胞培養での抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチドの合成に適応化するのに適切な他の方法、ベクター及び宿主細胞は、Gething等, Nature, 293:620-625 (1981); Mantei等, Nature, 281:40-46 (1979); 欧州特許第117060号;及び欧州特許第117058号に記載されている。
本発明の抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチドを生成するために用いられる宿主細胞は種々の培地において培養することができる。市販培地の例としては、ハム(Ham)のF10(シグマ)、最小必須培地((MEM),シグマ)、RPMI-1640(シグマ)及びダルベッコの改良イーグル培地((DMEM),シグマ)が宿主細胞の培養に好適である。また、Ham等, Meth. Enz. 58:44 (1979), Barnes等, Anal. Biochem. 102:255 (1980), 米国特許第4767704号;同4657866号;同4927762号;同4560655号;又は同5122469号;国際公開第90/03430号;国際公開第87/00195号;又は米国特許再発行第30985号に記載された任意の培地も宿主細胞に対する培養培地として使用できる。これらの培地はいずれも、ホルモン及び/又は他の成長因子(例えばインスリン、トランスフェリン、又は表皮成長因子)、塩類(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びリン酸塩)、バッファー(例えばHEPES)、ヌクレオシド(例えばアデノシン及びチミジン)、抗生物質(例えば、ゲンタマイシン(商品名)薬)、微量元素(マイクロモル範囲の最終濃度で通常は存在する無機化合物として定義される)及びグルコース又は同等のエネルギー源を必要に応じて補充することができる。任意の他の必要な補充物質もまた当業者に知られている適当な濃度で含まれてもよい。培養条件、例えば温度、pH等々は、発現のために選ばれた宿主細胞について以前から用いられているものであり、当業者には明らかであろう。
遺伝子の増幅及び/又は発現は、ここで提供された配列に基づき、適切に標識されたプローブを用い、例えば、従来よりのサザンブロット法、mRNAの転写を定量化するノーザンブロット法[Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA,77:5201-5205 (1980)]、ドットブロット法(DNA分析)、又はインサイツハイブリダイゼーションによって、直接的に試料中で測定することができる。あるいは、DNA二本鎖、RNA二本鎖、及びDNA−RNAハイブリッド二本鎖又はDNA-タンパク二本鎖を含む、特異的二本鎖を認識することができる抗体を用いることもできる。ついで、抗体を標識し、アッセイを実施することができ、ここで二本鎖は表面に結合しており、その結果、表面での二本鎖の形成の時点でその二本鎖に結合した抗体の存在を検出することができる。
あるいは、遺伝子の発現は、遺伝子産物の発現を直接的に定量化する免疫学的な方法、例えば細胞又は組織切片の免疫組織化学的染色及び細胞培養又は体液のアッセイによって、測定することもできる。試料液の免疫組織化学的染色及び/又はアッセイに有用な抗体は、モノクローナルでもポリクローナルでもよく、任意の哺乳動物で調製することができる。簡便には、抗体は、配列Hhip1β12ポリペプチドに対して、又はここで提供されるDNA配列をベースとした合成ペプチドに対して、又はHhip1β12 DNAに融合し特異的抗体エピトープをコードする外因性配列に対して調製され得る。
抗Hhip1β12抗体及びHhip1β12ポリペプチドの形態は、培地又は宿主細胞の溶菌液から回収することができる。膜結合性であるならば、適切な洗浄液(例えばトリトン-X100)を用いて又は酵素的切断により膜から引き離すことができる。抗Hhip1β12抗体及びHhip1β12ポリペプチドの発現に用いられる細胞は、凍結融解サイクル、超音波処理、機械的破壊、又は細胞溶解剤などの種々の化学的又は物理的手段によって破壊することができる。
抗Hhip1β12抗体及びHhip1β12ポリペプチドは、組換え細胞タンパク又はポリペプチドから精製することが望ましい。適切な精製手順の例である次の手順により精製される:すなわち、イオン交換カラムでの分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカ又はカチオン交換樹脂、例えばDEAEによるクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS-PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えばセファデックスG-75を用いるゲル濾過;IgGのような汚染物を除くプロテインAセファロースカラム;及び抗Hhip1β12抗体及びHhip1β12ポリペプチドのエピトープタグ形態を結合させる金属キレート化カラムである。この分野で知られ、例えば、Deutscher, Methods in Enzymology, 182 (1990);Scopes, Protein Purification: Principles and Practice, Springer-Verlag, New York (1982)に記載された多くのタンパク質精製方法を用いることができる。選ばれる精製過程は、例えば、用いられる生成方法及び特に生成される特定の抗Hhip1β12抗体又はHhip1β12ポリペプチドの性質に依存する。
細胞から調製した抗体組成物は、例えば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、及びアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製でき、アフィニティークロマトグラフィーが好ましい精製技術である。アフィニティリガンドとしてのプロテインAの適合性は抗体に存在する免疫グロブリンFc領域の種及びアイソタイプに依存する。プロテインAは、ヒトγ1、γ2、又はγ4重鎖に基づく抗体の精製に用いることができる(Lindmark等, J. Immunol. Meth. 62: 1-13 [1983])。プロテインGは、全てのマウスアイソタイプ及びヒトγ3に推奨されている(Guss等, EMBO J. 5: 15671575 [1986])。アフィニティリガンドが結合されるマトリクスはアガロースであることが最も多いが、他の材料も使用可能である。孔制御ガラスやポリ(スチレンジビニル)ベンゼン等の機械的に安定なマトリクスは、アガロースで達成できるものより早い流速及び短い処理時間を可能にする。抗体がCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX(商標)樹脂(J.T. Baker, Phillipsburg, NJ)が精製に有用である。イオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ上のクロマトグラフィー、アニオン又はカチオン交換樹脂(ポリアスパラギン酸カラム)上でのヘパリンSEPHAROSE(商品名)クロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、及び硫酸アンモニウム沈殿などの他のタンパク質精製技術も、回収される抗体に応じて利用可能である。
任意の予備精製工程に続いて、対象とする抗体と汚染物とを含む混合物に、約2.5−4.5のpHでの溶離バッファーを用いて、低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーを施してもよく、好ましくは低い塩濃度(例えば、約0−0.25M塩)で実施される。
本発明に係る抗Hhip1抗体、Hhip1β12オリゴペプチド、Hhip1β12有機分子及び/又はHhip1β12ポリペプチドの治療的製剤は、所望される程度の純度を持つ抗体、ポリペプチド、オリゴペプチド又は有機分子を凍結乾燥製剤又は水性溶液の形態で、最適な製薬上許容される担体、賦形剤又は安定化剤と混合することにより調製され保存される(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th 版, Osol, A. 編. [1980])。許容される担体、賦形剤、又は安定化剤は、用いられる用量及び濃度で受容者に非毒性であり、酢酸、Tris、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;ヘキサメトニウムクロライド;ベンズアルコニウムクロライド、ベンズエトニウムクロライド;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;トレハロース及び塩化ナトリウムなどのトニシファイヤー;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトールなどの糖;ポリソルベート等の界面活性剤;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/又はトゥイーン(TWEEN)(登録商標)、プルロニクス(PLURONICS)(登録商標)、又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。抗体は、好ましくは5−200mg/mlの間、好ましくは10−100mg/mlの間の濃度の抗体で構成される。
また、活性成分は、例えばコアセルベーション技術により又は界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えば、各々ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン-マイクロカプセル及びポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセル中、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミン小球、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)中、又はマイクロエマルション中に包括されていてもよい。これらの技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に開示されている。
徐放性製剤を調製してもよい。徐放性製剤の好適な例は、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスを含み、このマトリクスは成形された物品、例えばフィルム、又はマイクロカプセルの形状である。徐放性マトリクスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリアクチド(米国特許第3773919号)、L-グルタミン酸及びγエチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(登録商標)(乳酸-グリコール酸コポリマーと酢酸リュープロリドの注射可能な小球)などの分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、ポリ-(D)-(-)-3-ヒドロキシブチル酸が含まれる。
インビボ投与に使用される製剤は無菌でなければならない。これは、滅菌濾過膜を通した濾過により容易に達成される。
一実施態様では、Hedgehog関連腫瘍は、免疫組織化学(IHC)によって分析される。腫瘍生検からのパラフィン包埋組織切片をIHCアッセイへ供してもよいし、次のようなHhip1及び/又はPtchタンパク質染色強度基準と合致させてもよい:
スコア0 - 染色が観察されないか、又は膜染色が腫瘍細胞の10%未満で観察される。
スコア1+ - わずかに/弱く認知できる程度の膜染色が腫瘍細胞の10%を越えて検出される。細胞はそれらの膜の一部のみが染色される。
スコア2+ - 弱いないしは中程度の完全な膜染色が腫瘍細胞の10%を越えて観察される。
スコア3+ - 中程度から強い完全な膜染色が腫瘍細胞の10%を越えて観察される。
Hhip1及び/又はPtchポリペプチド発現に関して0又は1+スコアの腫瘍は、Hhip1及び/又はPtchが過剰発現していないことを特徴としうるものであるのに対し、2+又は3+スコアの腫瘍はHip及び/又はPtchが過剰発現していることを特徴としうる。
Hhip1及び/又はPtch過剰発現又は増幅は、インビボ診断アッセイを使用して評価することができ、例えば検出される分子に結合し、検出可能な標識(例えば、放射性同位体又は蛍光標識)が付けられた分子(例えば抗体、オリゴペプチド又は有機分子)を投与し、標識の局在化について患者を外部スキャニングする。
実施可能性についてある特定の理論に結びつけられるものではないが、Hhip1L2ループを結合する本発明の抗Hhip1β12抗体は、Ptchのアナログループと交差反応し、それによってPtch並びにHipの過剰発現を検出しうると思われる。
上に記載したように、本発明の抗Hhip1β12抗体、オリゴペプチド又は有機分子には、種々の非治療的用途がある。本発明の抗Hhip1β12抗体、オリゴペプチド又は有機分子は、Hip-又はPtch-を発現している癌の診断及び染色にとって有用である(例えば、ラジオイメージングで)。他の細胞の精製の工程として、混合細胞の集団からHip-発現細胞を死滅させて除去するために、この抗体、オリゴペプチド又は有機分子は、また、例えば、ELISA又はウエスタンブロットにおいて、インビトロでHhip1ポリペプチドの検出及び定量化のために、細胞からHhip1及びHhip1β12ポリペプチドを精製又は免疫沈降するのに有用である。
抗Hhip1β12抗体、オリゴペプチド又は有機分子又はその免疫コンジュゲートは、公知の方法、例えばボーラス、もしくは一定時間にわたる連続注入による静脈内投与、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑液包内、くも膜下腔内、経口、局所的、又は吸入経路により、ヒトの患者に投与される。抗体、オリゴペプチド又は有機分子の静脈内又は皮下投与が好ましい。
他の治療計画を抗Hhip1β12抗体、オリゴペプチド又は有機分子の投与と組合せてもよい。組合せ投与には、別々の製剤又は単一の医薬製剤を使用する同時投与、及び好ましくは両方(又は全ての)活性剤が同時にその生物学的活性を働かせる時間があるいずれかの順での連続投与が含まれる。このような組合せ治療により、結果として相乗的治療効果が生じることが好ましい。
他の実施態様では、本発明の治療方法は、異なる化学療法剤の混合物の同時投与を含む、抗Hhip1β12抗体(又は抗体類)、オリゴペプチド又は有機分子と一又は複数の化学療法剤又は成長阻害剤との組合せ投与を含む。化学療法剤には、リン酸エストラムスチン、プレドニムスチン、シスプラチン、5-フルオロウラシル、メルファラン、シクロホスファミド、ヒドロキシ尿素及びヒドロキシ尿素タキサン類(hydroxyureataxanes)(例えばパクリタキセル及びドキセタキセル)及び/又はアントラサイクリン抗生物質が含まれる。このような化学療法剤の調製及び投与スケジュールは製造者の注意書きに従い使用されるか、又は熟練した実務者により経験的に決定される。このような化学療法の調製及び投与スケジュールは、Chemotherapy Service編 M.C.Perry, Williams & Wilkins, Baltimore, MD(1992)にも記載されている。
抗体、オリゴペプチド有機分子は、抗ホルモン化合物;例えばタモキシフェン等の抗-エストロゲン化合物;抗-プロゲステロン、例えばオナプリストン(onapristone)(欧州特許第616812号を参照);又は抗アンドロゲン、例えばフルタミドを、このような分子に対して既知の用量で組合せてもよい。治療される癌がアンドロゲン非依存性癌である場合、患者は予め抗アンドロゲン治療を受け、癌がアンドロゲン非依存性になった後、抗Hhip1β12抗体、オリゴペプチド又は有機分子(及び場合によってはここに記載した他の薬剤)を患者に投与してもよい。
疾患の予防又は治療のための投与量及び方式は、公知の基準に従い、医師により選択されるであろう。抗体、オリゴペプチド又は有機分子の適切な用量は、上記のような治療される疾患の種類、疾患の重症度及び過程、抗体、オリゴペプチド又は有機分子を予防目的で投与するのか治療目的で投与するのか、過去の治療、患者の臨床歴及び抗体、オリゴペプチド又は有機分子の応答性、手当てをする医師の裁量に依存するであろう。抗体、オリゴペプチド又は有機分子は一度に又は一連の処置にわたって患者に適切に投与される。好ましくは、抗体、オリゴペプチド又は有機分子は静脈注入又は皮下注射により投与される。疾患の種類及び重症度に応じて、例えば一又は複数の別個の投与又は連続注入のいずれであれ、体重1kg当たり約1μgないし50mg(例えば0.1−15mg/kg/用量)の抗体を患者への最初の投与量の候補とすることができる。投薬計画は、約4mg/kgの初期負荷量、続いて1週間に約2mg/kgの維持用量の抗Hhip1β12抗体を投与することからなってよい。しかしながら、他の投薬計画も有効であろう。上述した因子に応じて、典型的な一日の投与量は約1μg/kgから100mg/kgあるいはそれ以上の範囲である。数日間又はそれ以上の繰り返し投与の場合、状態によっては、疾患の徴候の望ましい抑制が生じるまで処置を維持する。この治療の進行状態は、医師又は他の当業者に公知の基準をベースにした通常の方法やアッセイで容易にモニターされる。
核酸(場合によってはベクター内に含まれたもの)を患者の細胞に入れるために:インビボ及びエキソビボという2つの主要な方法がある。インビボ送達では、核酸は、通常は抗体が必要とされている部位に直接注入される。エキソビボ処理では、患者の細胞を取り出し、核酸をこれらの単離された細胞に導入し、修飾された細胞を患者に、直接、又は例えば患者に埋め込まれる多孔性膜にカプセル化して投与する(米国特許第4892538号及び第5283187号参照)。核酸を生細胞に導入するために利用可能な種々の技術がある。これらの技術は、核酸が培養された細胞にインビトロで移入されるか、又は対象とする宿主にインビボで移入されるかによって異なる。哺乳動物細胞にインビトロで核酸を移入するのに適した技術は、リポソーム、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、細胞融合、DEAE-デキストラン、リン酸カルシウム沈降法などの使用を含む。遺伝子のエキソビボ送達に通常用いられるベクターはレトロウイルスベクターである。
本発明の抗Hhip1抗体は、ここでの「抗体」の定義により包含される様々な形態であってよい。よって、抗体には、完全長又は無傷抗体、抗体断片、天然配列抗体又はアミノ酸変異体、ヒト化、キメラ又は融合抗体、免疫コンジュゲート、及びそれらの機能的断片が含まれる。融合抗体において、抗体配列は異種ポリペプチド配列に融合している。抗体はFc領域が修飾されて、所望のエフェクター機能を提供することができる。以下の段落に詳細に記載されるように、適切なFc領域と共に、細胞表面に結合したそのままの抗体は、例えば抗体-依存性細胞障害(ADCC)を介して又は補体依存性細胞障害において補体を補充することにより、又は他のいくつかのメカニズムにより、細胞障害性を誘発し得る。また、副作用及び治療による合併症を最小にするようにエフェクター機能を除去又は低減することが望ましい場合には、所定の他のFc領域が使用される。
一実施態様では、抗体は、本発明の抗体と同じエピトープとの結合に関して競合するか、又はこれに実質的に結合する。また、本発明の抗Hhip1β12抗体の生物学的特徴を有する抗体、特にインビボ腫瘍ターゲティング及び任意の細胞増殖阻害又は細胞障害特性を含むものが考察される。
上述した抗体の産生方法をここで詳細に記載する。
本発明の他の態様は、抗Hhip1抗体をコードする単離された核酸分子である。H及びL鎖、特に高頻度可変領域残基をコードする核酸、天然配列抗体及び変異体をコードする鎖、該抗体の修飾体及びヒト化形態を含む。
本発明は、抗Hhip1β12抗体、オリゴペプチド又は有機分子を治療的有効量、哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物におけるHhip1ポリペプチド-発現癌の治療又は癌の一又は複数の徴候を緩和するのに有用な方法を提供する。抗体、オリゴペプチド又は有機分子治療組成物は、医師の指示通りに、短い期間(急性)又は慢性的に、又は間欠的に投与することができる。また、Hhip1ポリペプチド-発現細胞の成長を阻害し、該細胞を殺傷する方法も提供される。
本発明は少なくとも一つの抗Hhip1β12抗体、オリゴペプチド又は有機分子を含有するキット又は製造品も提供する。抗Hhip1β12抗体、オリゴペプチド又は有機分子を含有するキットは、例えばHhip1細胞殺傷アッセイ、細胞からのHhip1ポリペプチドの精製又は免疫沈降における用途が見出されている。例えば、Hhip1の単離及び精製のためには、キットはビーズ(例えばセファロースビース)に結合した抗Hhip1β12抗体、オリゴペプチド又は有機分子を含有することができる。インビトロにおけるHhip1の検出及び定量化、例えばELISA又はウエスタンブロットにおける抗体、オリゴペプチド又は有機分子を含有するキットを提供することもできる。検出に有用なこのような抗体、オリゴペプチド又は有機分子は、蛍光又は放射標識などの標識が付されて提供され得る。
本発明の他の実施態様は、抗Hhip1発現癌の治療に有用な物質を含有する製造品である。この製造品は容器と容器に付与又は添付されるラベル又はパッケージ挿入物を含んでなる。好適な容器は、例えば、ビン、バイアル、シリンジ等を含む。容器は、ガラス又はプラスチックなどの多様な材料から形成されてよい。容器は、癌の状態の治療に有効な組成物を収容し、無菌のアクセスポートを有し得る(例えば、容器は皮下注射針で貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルであってよい)。組成物中の少なくとも一つの活性剤は本発明の抗Hhip1β12抗体、オリゴペプチド又は有機分子である。ラベル又はパッケージ挿入物は、組成物が癌の治療のために使用されることを示す。ラベル又はパッケージ挿入物は、癌患者に抗体、オリゴペプチド又は有機分子組成物を投与する際の注意書きをさらに含む。製造品はさらに、製薬的に許容可能なバッファー、例えば注射用の静菌水(BWFI)、リン酸緩衝塩水、リンガー液及びデキストロース溶液を含む第2の容器を具備してもよい。さらに、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針及びシリンジを含む商業的及び使用者の見地から望ましい他の材料を含んでもよい。
Hhip1ポリペプチドをコードする核酸配列(又はそれらの相補鎖)は、ハイブリダイゼーションプローブとしての使用を含む分子生物学の分野において、染色体及び遺伝子マッピングにおいて、及びアンチセンスRNA及びDNAプローブの生成において種々の用途を有している。また、Hipコード化核酸は、ここに記載される組換え技術によるHhip1ポリペプチドの調製に有用であり、これらHhip1ポリペプチドは、例えば、ここで記載の抗Hhip1抗体の調製において用途を見出し得る。
完全長天然配列Hhip1遺伝子又はその一部は、完全長Hhip1cDNAの単離又はここに開示した天然Hhip1配列に対して所望の配列同一性を持つ更に他のcDNA(例えば、Hhip1の天然発生変異体又は他の種からのHhip1をコードするもの)の単離のために、cDNAライブラリ用のハイブリダイゼーションプローブとして使用できる。場合によっては、プローブの長さは約20〜約50塩基である。このハイブリダイゼーションプローブは、少なくとも部分的に完全長天然ヌクレオチド配列の新規な領域から誘導してもよく、それらの領域は、過度の実験をすることなく、天然配列Hhip1のプロモーター、エンハンサー成分及びイントロンを含むゲノム配列から判定され得る。例えば、スクリーニング法は、Hhip1遺伝子のコード化領域を周知のDNA配列を用いて単離して約40塩基の選択されたプローブを合成することを含む。ハイブリダイゼーションプローブは、32P又は35S等の放射性ヌクレオチド、又はアビディン/ビオチン結合系を介してプローブに結合したアルカリホスファターゼ等の酵素標識を含む種々の標識で標識され得る。本発明のHhip1遺伝子の配列に相補的な配列を有する標識されたプローブは、ヒトcDNA、ゲノムDNA又はmRNAのライブラリーをスクリーニングし、そのライブラリーの何れのメンバーにプローブがハイブッド形成するかを決定するのに使用できる。ハイブリダイゼーション技術を、以下の実施例において更に詳細に記載する。本出願に開示されている任意のEST配列は、ここに開示している方法を利用して、同じようにプローブとして用い得る。
アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドの標的核酸配列への結合は二重鎖の形成をもたらし、それは、二重鎖の分解の促進、転写又は翻訳の未熟終止を含む幾つかの方法の一つ、又は他の方法により、標的配列の転写又は翻訳を阻止する。そのような方法は、本発明に含まれている。よって、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、Hhip1タンパク質の発現を阻止するのに用いられ、それらHhip1タンパク質は、哺乳動物での癌の誘導を担い得る。アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドは、修飾糖−ホスホジエステル骨格(又は他の糖結合、国際公開91/06629に記載のもの等)を有するオリゴヌクレオチドを更に含み、そのような糖結合は内因性ヌクレアーゼ耐性である。そのような耐性糖結合を持つオリゴヌクレオチドは、インビボで安定であるが(つまり、酵素分解に耐えうるが)、標的ヌクレオチド配列に結合できる配列特異性は保持している。
Hhip1タンパク質の発現を阻害するのに有用な好適なアンチセンス化合物の特定の例には、修飾骨格又は非天然ヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドが含まれる。修飾された骨格を有するオリゴヌクレオチドには骨格にリン原子を保持しているものと骨格にリン原子を有していないものが含まれる。この明細書の目的のために、また当該分野でしばしば引用されるように、そのヌクレオシド間骨格にリン原子を持たない修飾オリゴヌクレオチドはまたオリゴヌクレオシドであると考えることができる。好適な修飾オリゴヌクレオチド骨格には、例えばホスホロチオネート、キラルホスホロチオネート、ホスホロジチオネート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチル及び他のアルキルホスホネートで、3'-アルキレンホスホネート、5'-アルキレンホスホネート及びキラルホスホネートを含むもの、ホスフィネート、ホスホルアミデートで、3'-アミノホスホルアミデート及びアミノアルキルホスホルアミデートを含むもの、チオノホスホルアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、セレノホスフェート及びボラノ-ホスフェートで通常の3'-5'結合を持つもの、これらの2'-5'結合類似体、及び一又は複数のヌクレオチド間結合が3'から3'、5'から5'又は2'から2'結合である逆転された極性を持つものが含まれる。逆転した極性を持つ好適なオリゴヌクレオチドは単一の3'から3'結合を最も3'側のヌクレオチド間結合、つまり、非塩基性(abasic)でありうる単一の逆転ヌクレオシド残基(核酸塩基がないか、又はその代わりにヒドロキシル基を有する)を含む。様々な塩、混合された塩及び遊離の酸形態がまた含まれる。リン含有結合の調製を教唆する代表的な米国特許には、限定されるものではないが、米国特許3687808;4469863;4476301;5023243;5177196;5188897;5264423;5276019;5278302;5286717;5321131;5399676;5405939;5453496;5455233;5466677;5476925;5519126;5536821;5541306;5550111;5563253;5571799;5587361;5194599;5565555;5527899;5721218;5672697及び5625050が含まれ、その各々は出典明示によりここに取り込まれる。
他の好適なアンチセンスオリゴヌクレオチドでは、糖とヌクレオシド間結合の双方、つまりヌクレオチド単位の骨格が新規な基と置換される。ベース単位は適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持される。一つのそのようなオリゴマー化合物である、優れたハイブリダイゼーション特性を持つことが示されているオリゴヌクレオチド擬態体はペプチド核酸(PNA)と呼ばれる。PNA化合物では、オリゴヌクレオチドの糖骨格はアミド含有骨格、特にアミノエチルグリシン骨格と置き換えられている。核酸塩基は保持され、骨格のアミド部分のアザ窒素原子に直接又は間接に結合している。PNA化合物の調製を教唆する代表的な米国特許には、限定されるものではないが、米国特許5539082;5714331;及び5719262が含まれ、その各々は出典明示によりここに取り込まれる。PNA化合物の更なる教示はNielsen等, Science, 1991, 254, 1497-1500に見出すことができる。
好適なアンチセンスオリゴヌクレオチドはホスホロチオネート骨格及び/又はヘテロ原子骨格、特に-CH2-NH-O-CH2-、-CH2-N(CH3)-O-CH2-[メチレン(メチルイミノ)又はMMI骨格として知られる]、-CH2-O-N(CH3)-CH2-、-CH2-N(CH3)-N(CH3)-CH2-、及び上で参照した米国特許第5489677号に記載された-O-N(CH3)-CH2-CH2-[ここで天然ホスホジエステル骨格は-O-P-O-CH2-と表される]及び上で参照された米国特許第5602240号のアミド骨格を含む。また好ましいものは上で参照した米国特許第5034506号のモルホリノ骨格構造を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
更に好適な修飾は、2'-ヒドロキシル基が糖環の3'又は4'炭素原子に結合され二環糖部分を形成する固定核酸(Locked Nucleic Acids: LNAs)を含む。結合は好ましくはnが1又は2である2'酸素原子と4'炭素原子を架橋するメチレン(-CH2-)n基である。LNAs及びその製造方法は国際公開98/39352及び国際公開99/14226に記載されている。
他の好適な修飾は2'-メトキシ(2'-O-CH3)、2'-アミノプロポキシ(2'-OCH2CH2CH2NH2)、2'-アリル(2'-CH2-CH=CH2)、2'-O-アリル(2'-O-CH2-CH=CH2)及び2'-フルオロ(2'-F)を含む。2'-修飾はアラビノ(上)位置又はリボ(下)位置においてでありうる。好適な2'-アラビノ修飾は2'-Fである。同様の修飾はまたオリゴヌクレオチドの他の位置、特に3'末端ヌクレオチドの糖の3'位又は2'−5'結合オリゴヌクレオチド及び5'末端ヌクレオチドの5'位になすことができる。オリゴヌクレオチドはまたペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分のような糖擬態体を有しうる。そのような修飾糖構造の調製を教唆する代表的な米国特許には、限定されるものではないが、米国特許4981957;5118800;5319080;5359044;5393878;5446137;5466786;5514785;5519134;5567811;5576427;5591722;5597909;5610300;5627053;5639873;5646265;5658873;5670633;5792747;及び5700920が含まれ、その各々は出典明示により全体がここに取り込まれる。
本発明において使用されるアンチセンス化合物は固相合成のよく知られた技術によって簡便かつ常套的に製造することができる。そのような合成のための装置は、例えばApplied Biosystems (Foster City, Calif.)を含む幾つかのメーカーによって販売されている。当該分野で知られているそのような合成のための任意の他の手段を付加的に又は別に使用してもよい。オリゴヌクレオチド、例えばホスホロチオネート及びアルキル化誘導体を調製するために類似の技術を使用することはよく知られている。本発明の化合物は、また、取り込み、分散及び/又は吸収を補助するための他の分子、分子構造又は化合物混合物、例えばリポソーム、レセプター標的分子、経口、直腸、局所適用又は他の製剤と、混合、カプセル化、コンジュゲート又はその他、組み合わされてもよい。そのような取り込み、分散及び/又は吸収を補助する製剤の調製を教示する代表的な米国特許には、限定されるものではないが、米国特許第5108921;5354844;5416016;5459127;5521291;5543158;5547932;5583020;5591721;4426330;4534899;5013556;5108921;5213804;5227170;5264221;5356633;5395619;5416016;5417978;5462854;5469854;5512295;5527528;5534259;5543152;5556948;5580575;及び5595756が含まれ、これらのそれぞれが出典明示によりここに取り込まれる。
アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、CaPO4-媒介DNAトランスフェクション、エレクトロポレーションを含む任意の遺伝子転換方法により、又はエプスタイン-バーウイルスなどの遺伝子転換ベクターを用いることにより、標的核酸配列を含む細胞に導入される。好ましい方法では、アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドは、適切なレトロウイルスベクターに挿入される。標的核酸配列を含む細胞は、インビボ又はエキソビボで組換えレトロウイルスベクターに接触させる。好適なレトロウイルスベクターは、これらに限られないが、マウスレトロウイルスM-MuLVから誘導されるもの、N2(M-MuLVから誘導されたレトロウイルス)、又はDCT5A、DCT5B及びDCT5Cと命名されたダブルコピーベクター(国際公開90/13641参照)を含む。
あるいは、センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドは、国際公開90/10448に記載されたように、オリゴヌクレオチド−脂質複合体の形成により標的核酸配列を含む細胞に導入してもよい。センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチド−脂質複合体は、好ましくは内因性リパーゼにより細胞内で分解される。
また、プローブをPCR技術に用いて、密接に関連したHhip1コード化配列の同定のための配列のプールを作成することができる。
また、Hhip1をコードするヌクレオチド配列は、そのHhip1をコードする遺伝子のマッピングのため、及び遺伝子疾患を持つ個体の遺伝子分析のためのハイブリダイゼーションプローブの作成にも用いることができる。ここに提供されるヌクレオチド配列は、インサイツハイブリダイゼーション、既知の染色体マーカーに対する連鎖分析、及びライブラリーでのハイブリダイゼーションスクリーニング等の周知の技術を用いて、染色体及び染色体の特定領域にマッピングすることができる。
また、Hhip1又はその修飾型をコードする核酸は、トランスジェニック動物又は「ノックアウト」動物のいずれかを産生することに使用でき、これらは治療的に有用な試薬の開発やスクリーニングに有用である。トランスジェニック動物(例えばマウス又はラット)とは、出生前、例えば胚段階で、その動物又はその動物の祖先に導入された導入遺伝子を含む細胞を有する動物である。導入遺伝子とは、トランスジェニック動物が発生する細胞のゲノムに組み込まれたDNAである。一実施態様では、Hhip1をコードするcDNAは、Hhip1をコードするDNAを発現する細胞を含むトランスジェニック動物を作製するために使用するゲノム配列及び確立された技術に基づいて、Hhip1をコードするゲノムDNAをクローン化するために使用することができる。トランスジェニック動物、特にマウス又はラット等を産生する方法は、当該分野において常套的になっており、例えば米国特許第4736866号や第4870009号に記述されている。典型的には、特定の細胞を組織特異的エンハンサーでのHhip1β12導入遺伝子の導入の標的にする。胚段階で動物の生殖系列に導入されたHhip1をコードする導入遺伝子のコピーを含むトランスジェニック動物はHhip1をコードするDNAの増大した発現の影響を調べるために使用できる。このような動物は、例えばその過剰発現を伴う病理学的状態に対して保護をもたらすと思われる試薬のテスター動物として使用できる。本発明のこの態様においては、動物を試薬で治療し、導入遺伝子を有する未治療の動物に比べ病理学的状態の発症率が低ければ、病理学的状態に対する治療上の処置の可能性が示される。
また、Hhip1ポリペプチドをコードする核酸は遺伝子治療にも使用できる。遺伝子治療用途においては、例えば欠陥遺伝子を置換するため、治療的に有効な遺伝子産物のインビボ合成を達成するために遺伝子が細胞内に導入される。「遺伝子治療」とは、1回の処理により継続的効果が達成される従来の遺伝子治療と、治療的に有効なDNA又はmRNAの1回又は繰り返し投与を含む遺伝子治療薬の投与の両方を含む。アンチセンスRNA及びDNAは、ある種の遺伝子のインビボ発現を阻止する治療薬として用いることができる。短いアンチセンスオリゴヌクレオチドを、細胞膜による制限された取り込みに起因する低い細胞内濃度にもかかわらず、それが阻害剤として作用する細胞中に移入できることは既に示されている(Zamecnik等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:4143-4146 [1986])。オリゴヌクレオチドは、それらの負に荷電したリン酸ジエステル基を非荷電基で置換することによって取り込みを促進するように修飾してもよい。
ここに記載したHhip1ポリペプチド又はその断片をコードする核酸分子は、染色体の同定に有用である。この点において、実際の配列データに基づく染色体マーキング試薬は殆ど利用可能ではないため、目下のところ新規な染色体マーカーの同定の必要である。本発明の各Hhip1核酸分子は染色体マーカーとして使用できる。
また、本発明のHhip1β12ポリペプチド及び核酸分子は組織タイピングの診断に使用でき、Hhip1ポリペプチドは、その他の組織と比較して1つの組織において、好ましくは同じ組織型の正常組織に比較して疾患性組織において特異的に発現する。Hhip1β12核酸分子には、PCR、ノーザン分析、サザン分析及びウェスタン分析のプローブ生成のための用途が見出されるであろう。
このアッセイは、タンパク質-タンパク質結合アッセイ、生化学スクリーニングアッセイ、免疫アッセイ、そして細胞ベースアッセイを含む、当該分野で良く特徴付けられている種々の形式で行うことができる。
アンタゴニストに関する全てのアッセイは、薬候補をここで同定された核酸によってコードされているHhip1β12ポリペプチドと、これら両成分が相互作用するのに十分な条件下及び時間にわたって接触させることを必要とする点で共通である。
結合アッセイにおいて、相互作用は結合であり、形成された複合体は単離されるか、又は反応混合物中で検出される。特別な実施態様では、ここに同定された核酸にコードされるHhip1β12ポリペプチド又は薬候補が、共有又は非共有結合により固相、例えばマイクロタイタープレートに固定化される。非共有結合は、一般的に固体表面をHhip1β12ポリペプチドの溶液で被覆し乾燥させることにより達成される。あるいは、固定化すべきHhip1β12ポリペプチドに特異的な固定化抗体、例えばモノクローナル抗体を固体表面に固着させるために用いることができる。アッセイは、固定化成分、例えば固着成分を含む被覆表面に、検出可能な標識で標識されていてもよい非固定化成分を添加することにより実施される。反応が完了したとき、未反応成分を例えば洗浄により除去し、固体表面に固着した複合体を検出する。最初の非固定化成分が検出可能な標識を有している場合、表面に固定化された標識の検出は複合体形成が起こったことを示す。最初の非固定化成分が標識を持たない場合は、複合体形成は、例えば、固定化された複合体に特異的に結合する標識抗体の使用によって検出できる。
アンタゴニストを検定するために、Hhip1β12ポリペプチドを、特定の活性についてスクリーニングされる化合物とともに細胞に添加してもよく、Hhip1β12ポリペプチド存在下で対象とする活性を阻害する当該化合物の能力が、当該化合物がHhip1β12ポリペプチドのアンタゴニストであることを示す。あるいは、アンタゴニストは、Hhip1β12ポリペプチド及び潜在的アンタゴニストを、膜結合Hhip1β12ポリペプチドレセプター又は組換えレセプターと、競合的阻害アッセイに適した条件下で結合させることにより検出してもよい。Hhip1β12ポリペプチドは、放射活性等で標識でき、レセプターに結合したHhip1β12ポリペプチド分子の数を潜在的アンタゴニストの有効性を決定するのに使用できる。レセプターをコードする遺伝子は、当業者に知られた多くの方法、例えばリガンドパニング及びFACSソーティングにより同定できる。Coligan等, Current Protocols in Immun., 1(2): Chapter 5 (1991)。好ましくは発現クローニングが用いられ、そこではポリアデニル化RNAがHhip1β12ポリペプチドに反応性の細胞から調製され、このRNAから生成されたcDNAライブラリがプールに分配され、COS細胞又は他のHhip1β12ポリペプチドに反応性でない細胞の形質移入に使用される。スライドガラスで成長させた形質移入細胞を、標識したHhip1β12ポリペプチドへ曝露する。Hhip1β12ポリペプチドは、ヨウ素化又は部位特異的タンパク質キナーゼの認識部位の包含を含む種々の手段で標識できる。固定及びインキュベーションの後、スライドにオートラジオグラフ分析を施す。ポジティブプールを同定し、対話型サブプール化及び再スクリーニング法を用いてサブプールを調製して再形質移入し、最終的に推定レセプターをコードする単一のクローンを生成する。
他の潜在的なHhip1ポリペプチドアンタゴニストは、アンチセンス技術を用いて調製されたアンチセンスRNA又はDNAコンストラクトであり、例えば、アンチセンスRNA又はDNA分子は、標的mRNAにハイブリダイゼーションしてタンパク質翻訳を妨害することによりmRNAの翻訳を直接阻止するように作用する。アンチセンス技術は、三重螺旋形成又はアンチセンスDNA又はRNAを通して遺伝子発現を制御するのに使用でき、それらの方法はともに、ポリヌクレオチドのDNA又はRNAへの結合に基づく。例えば、ここでのHhip1β12ポリペプチドをコードする核酸は、約10から40塩基対長のアンチセンスRNAオリゴヌクレオチドの設計に使用される。DNAオリゴヌクレオチドは、転写に含まれる遺伝子の領域に相補的であるように設計され(三重螺旋−Lee等, Nucl, Acid Res., 6: 3073 (1979);Cooney等, Science, 241: 456 (1988);Dervan等, Science, 251: 1360 (1991)参照)、それによりHhip1ポリペプチドの転写及び生成を防止する。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドはインビボでmRNAにハイブリダイゼーションしてmRNA分子のHhip1ポリペプチドへの翻訳を阻止する(Okano, Neurochem., 56: 560 (1991); Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression (CRC Press: Boca Raton, FL, 1988))。また上記のオリゴヌクレオチドは、細胞に輸送され、アンチセンスRNA又はDNAをインビボで発現させて、Hhip1ポリペプチドの産生を阻害することもできる。アンチセンスDNAが用いられる場合、翻訳開始部位、例えば標的遺伝子ヌクレオチド配列の−10から+10位置の間から誘導されるオリゴデオキシリボヌクレオチドが好ましい。
Hedgehogシグナル伝達の潜在的なアゴニストには、Hip/Hedgehog結合の活性部位に結合し、それによってHhip1ポリペプチドの正常な生物学的な活性をブロックし、Hedgehogシグナル伝達の阻害を防止する小分子が含まれる。小分子の例には、小ペプチドないしペプチド様分子、好ましくは可溶性ペプチド、及び合成非ペプチヂル有機ないし無機化合物が含まれるが、これらには限定されない。
リボザイムは、RNAの特異的切断を触媒できる酵素的RNA分子である。リボザイムは、相補的標的RNAへの配列特異的ハイブリダイゼーション、次いでヌクレオチド鎖切断的開裂により作用する。潜在的RNA標的内の特異的リボザイム切断部位は、既知の技術で同定できる。更なる詳細は、例えば、Rossi, Current Biology 4: 469-471 (1994)及びPCT公報、国際公開 97/33551(1997年9月18日公開)を参照。
転写阻害に用いられる三重螺旋形成における核酸分子は一本鎖でデオキシヌクレオチドからなる。これらのオリゴヌクレオチドの基本組成は、フーグスティン(Hoogsteen)塩基対則を介する三重螺旋形成を促進するように設計され、それは一般に二重鎖の一方の鎖上のプリン又はピリミジンのかなり大きな伸張を必要とする。さらなる詳細は、例えば、上掲のPCT公報、国際公開97/33551を参照。
これらの小分子は、上記で議論したスクリーニングアッセイの一又は複数の任意のものにより及び/又は当業者に良く知られた他の任意のスクリーニング技術により同定できる。
ここで同定されるHhip1β12ポリペプチドに特異的に結合する抗体、並びに上記に開示したスクリーニングアッセイによって同定された他の分子は、種々の疾患の治療のために、製薬組成物の形態で投与することができる。
Hhip1ポリペプチドが細胞内にあり、全抗体が阻害剤として用いられる場合、取り込める抗体が好ましい。しかし、リポフェクション又はリポソームも抗体、又は抗体断片を細胞に搬送するために使用できる。抗体断片が用いられる場合、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に結合する最小阻害断片が好ましい。例えば、抗体の可変領域配列に基づいて、標的タンパク質配列に結合する能力を保持したペプチド分子が設計できる。このようなペプチドは、化学的に合成でき、及び/又は組換えDNA技術によって生成できる。例えば、Marasco等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90, 7889-7893 (1993)参照。
ここでの製剤は、治療すべき特定の徴候に必要な場合に1つ以上の活性化合物、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を持つものも含んでよい。あるいは、又はそれに加えて、組成物は、細胞障害性薬、サイトカイン、化学療法剤、又は成長阻害剤のようなその機能を高める薬剤を含んでもよい。これらの分子は、適切には、意図する目的に有効な量の組み合わせで存在する。
以下の実施例は例示するためにのみ提供されるものであって、本発明の範囲を決して限定することを意図するものではない。
本明細書で引用した全ての特許及び参考文献の全体を、出典明示によりここに取り込む。
A.ヒトHipの配列分析
ドメインフォールドおよび境界を示すのを助ける基本的な構造パターンを識別するために、繰り返しPSIBLAST実行(Schaffer et al. (2001) Nucleic Acids Res. 29: 2994-3005によってGenbankから入手した配列から、MUSCLE (Edgar, R.C. (2004) Nucleic Acids Res. 32: 1792-1797)によって進化論的に多様なアラインメントのHhip1ホモログを構築した。次にアラインした配列の二次構造予想をPSIPRED(McGuffin et al. (2000) Bioinformatics 16:404-405)によって行った。配列と構造のデータベースの両方を目的としたHhip1配列プロファイルとHMMは、N末端Cysリッチモジュール(予測されるαヘリックス中に豊富)と推定Frizzledドメインとの間、同様に、Hhip1の中央のβ鎖リッチセクションとβ-プロペラドメインとの間の連結を識別することができる。これらの関係は、HHPred (Soding, J. (2005) Bioinformatics 21:951-960)のようなフォールド認識プログラム(配列と構造の両方のレベルでのプロファイル−プロファイル一致に依存)からの回帰によって裏付けられた。Hhip1-プロペラドメインの比較モデルは、MODELLER (Sali and Blundell, 1993) J. Mol. Biol. 234:779-815にて構築した。修飾部位残基の付随する予測によって、膜貫通ヘリックスよりむしろHhip1のC末端GPI−アンカー配列の存在が、ビッグ-PIサーバ(mendel.imp.ac.at/gpi/gpi_server) (Eisenhaber et al. (1999) J. Mol. Biol. 292:741-758)によって検出された。
高感度構造予測およびフォールド認識ツールを用いたHhip1β12ECD配列の計算分析により、推定Frizzled(Fz)フォールドを有するシステインリッチN末端ドメイン、中央の6ブレードβプロペラおよび2つのC末端EGFリピートといった4つの異なる球状ドメインの存在が明らかになった(図3A)。さらに、Hhip1について既に予測されている単一C末端膜貫通ヘリックス(Chuang and McMahon, 1999)の代わりに、我々は、推定グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)-アンカー付着部位(Eisenhaber et al. (1999) J. Mol. Biol. 292:741-758)と一致したモチーフを発見する。
最初のアミノ酸配列を、推定領域に一般の用語でさらに記載してよい。これを図2Aに示す。図は、配列番号:2のアミノ酸1−19からの推定リーダー配列(配列番号:3);配列番号:2のアミノ酸20−192からの推定frizzedドメイン(配列番号:4);配列番号:2のアミノ酸186−192間の推定リンカー領域(配列番号:5);配列番号:2のアミノ酸193−607からの推定β-プロペラドメイン(配列番号:6)(アミノ酸376−388(影付きで示す)のL2ループ(配列番号:7)を含む);配列番号:2のアミノ酸608−637からのEGF1ドメイン(配列番号:8);配列番号:2のアミノ酸638−667からのEGF2ドメイン(配列番号:9);そして、配列番号:2のアミノ酸668−700からの推定GPIシグナル配列(配列番号:10)を示す。これらのドメインの絶対的な縁は、1、2、3、4又はさらに5のアミノ酸を含む2、3のアミノ酸によって置換されてよい。図2Aに示す描写は参考のために示す。
また、これらのドメインを、本明細書中に示す試験のために生産されたコンストラクトに関して検討する。コンストラクトHhip1ECD(Hhip1β12細胞外ドメイン)(配列番号:11)は、配列番号:2の残基20−667を包含し、コンストラクトHhip1Fzβ(Fz-β-プロペラ)(配列番号:15)は配列番号:2の残基20−607を包含し、コンストラクトHhip1Fz(Fz-ドメイン)(配列番号:16)は、配列番号:2の残基20−189を包含し、コンストラクトHipβ12(β-プロペラ-EGF1-EGF2)(配列番号:12)は、配列番号:2の残基193−667を包含し、コンストラクトHipβ1(β-プロペラ-EGF1)(配列番号:13)は、配列番号:2の残基193−637を包含し、コンストラクトHipβ(β-プロペラ)(配列番号:14)は配列番号:2の残基193−607を包含する。
ヒトHhip1β12(配列番号:7)のL2ループの分析は、ヒトPtch(配列番号:17)、マウスPtch(配列番号:18)、ヒヨコPtch(配列番号:19)、ゼブラフィッシュPtch(配列番号:20)、ショウジョウバエPtch(配列番号:21)、虫Ptch(配列番号:22)、ヒトPtch2(配列番号:23)およびマウスPtch2(配列番号:24)の類似の領域に相同性を示す。これらの配列は図5Bに示される。
Shhとの相互作用を媒介し、細胞シグナル伝達を阻害するドメインを同定するために、Hhip1β12の完全長および切断型を、昆虫細胞において発現させた。
よって、配列番号:2に示すアミノ酸と関連して、H末端His6タグ付加Hhip1ECD(残基20−667)、Hipβ12(残基193−667)、Hipβ1(残基193−637)及びC末端His6タグを含むHipβ(残基193−607)を、ハチミツのメリチン分泌シグナルを含むゲートウェイベクターpENTR/D−TOPO(Invitrogen)にクローニングし、Bac-to-Bacシステム(Invitrogen)により組み換えバキュロウイルスを生成した。ESF921培地(Expression Systems)のTni昆虫細胞(1mlにつき1×106)に、3のM.O.I.の組み換えバキュロウイルスを感染させた。72時間インキュベートした後、Hhip1β12タンパク質をNi-親和性(Ni−NTAスーパーフロー、Qiagen)とサイズ排斥クロマトグラフィによって培地から精製した。セレノメチオニン標識Hipβ12(Se-Met Hipβ12)の発現および精製は、ESF921メチオニンフリー培地(Expression Systems)を使用して、上記の通りに行った。培地は、ウイルス感染の12および36時間後に、100 mg/Lのセレノメチオニン(Sigma Aldrich)を添加した。タンパク質は均一になるまで精製した。推定β-プロペラドメイン単独(Hipβ)(配列番号:6)のみを発現するHhip1β12コンストラクトは発現しなかった。
ヒトDhh(残基24−198)、Ihh(残基29−202)、ShhN-Cys(残基24−197)、Shh(残基25−197)およびShh-Flag(C末端Flagタグを有する残基25−197)を、N末端His6-タグにて製造業者のプロトコールに従って、pET101/D-TOPO(Invitrogen)にクローニングした。Shhコンストラクトは、1mMのIPTGにて誘導した後、25℃で20時間、LB培地中のロゼッタ2大腸菌細胞(Novagen)において発現させた。15N標識Shhの発現のために、細胞を最少培地中で生育した。回収した細胞を溶解し、Ni-親和性及びサイズ排斥クロマトグラフィによって細胞質ゾル分画からShhを精製した。結晶化及びNMR研究のために、ShhをPBS中1mgのShhにつき10単位のトロンビン(Calbiochem)と共に23℃で終夜インキュベートし、His6タグを欠くShh(残基29−197)を回収した。最後に、Shhは、Mono S5/5GLカラム(GE Healthcare)を使用して精製し、20mMのHepes pH7.2中0〜1MのNaClの直線濃度勾配によって溶出した。ShhN−Cysのための精製バッファには、Ni-親和性クロマトグラフィの間に5mM β-メルカプトエタノール、サイズ排斥クロマトグラフィ及びカチオン交換クロマトグラフィの間に0.5mM DTTを含めた。ShhN-Cysは、製造業者のプロトコールに従ってEZ-結合マレイミドPEO2-ビオチン(Pierce)とコンジュゲートし、ビオチン化ShhN−Cysを得た。ShhC−Cysは、製造業者のプロトコールに従って、DyLight649マレイミド(Pierce)とコンジュゲートし、蛍光Shh(Shh649)を得た。発現したタンパク質を後述する実験に用いた。
Hhip1β12断片とHhip1β12変異体の結合動態を、Octet(Fortebio)にて10mM EDTAの有無の下でバイオ層インターフェロメトリーによって測定した。ストレプトアビジン高結合FAバイオセンサは、ビオチン化ShhN−Cysを含む動態バッファ(Fortebio)をロードした。ロードしたバイオセンサを洗浄し、1.2、1.0、0.8および0.6μMの濃度のHhip1β12タンパク質を含む動態バッファを含むウェルに移した。Hhip1β12の会合と解離は、それぞれ30分間および20分間測定した。動態パラメーター(Kon及びKoff)と親和性(KD)は、Octソフトウェアを用いてHhip1β12とShhとの間の1:1結合モデルに基づいたデータの非線形フィットから算出した。複数の独立した測定を行った。
完全長Hhip1ECD、推定Fzドメイン(Hipβ12)を欠く切断型、及びβ-プロペラとEGF1ドメイン(Hipβ1)のみを含むHhip1β12に結合するShhのKD値は、バイオ層インターフェロメトリーによって測定したところそれぞれ、67nM、220nM及び150nMであった(表6)。また、競合体を使用したときの3つすべての哺乳類のホモログに対する結合を、ELISAによって評価した(実施例3を参照)。
aすべてのHhip1β12アラニン変異体は、Hhip1β12コンストラクトにおいて作製した。
bn.d.は結合の検出がなかったことを表す。
cHhip1β12のループ残基は以下の通りである:
A.Gliルシフェラーゼシグナル伝達同時培養アッセイ及びHip−Fcアッセイ
ShhのN末端及びC末端脂質修飾が欠如し、他の細胞性成分がないため、インビトロアッセイは細胞環境で生じるHip−Shh相互作用を完全には繰り返さない場合がある。従って、Gliルシフェラーゼレポーター遺伝子が安定に形質移入されたマウスS12線維芽細胞(Frank-Kamenetsky等(2002) J. Biol. 1:10)と十分に脂質修飾されたShhを分泌するヒト結腸直腸腺癌HT29細胞(Yauch等(2008) Nature 455:406)とからなる同時培養アッセイを使用して、Hhip1β12のどの細胞外ドメインが哺乳動物細胞におけるShhシグナル伝達の阻害を媒介するかを決定した。
競合を使用する3種全ての哺乳動物Hhホモログへの結合をまたELISAによって評価した。簡潔に述べると、96ウェルNunc−Immuno MaxiSorpプレート(Nalge Nunc International)を、4℃で一晩、50mMの炭酸ナトリウムバッファー(pH9.6)中2μg/mlにて100μlのHhip1β12で被覆した。プレート振盪機上で、プレートを、100μLのブロッキングバッファー(0.5%のBSA及び15PPMのProclinを含むPBS)を用いて室温で1時間ブロックした。ブロッキングバッファーを取り除き、100μLの最終容量で5nMのビオチン化ShhN−Cysを含むDhh、Ihh、又はShhの何れかの連続希釈物(10μMで開始,1:4希釈)をウェルに加え、固定化Hhip1への結合について競合させた。プレート振盪機上での室温で1時間のインキュベーション後、ウェルを洗浄バッファー(50mMのHepes pH7.2,150mMのNaCl,0.1%のTween)で洗浄し、ブロッキングバッファー中で製造者のプロトコルに従ってストレプトアビジン−HRP(Pierce)と共に1時間インキュベートした。その後、プレートを再び洗浄バッファーで洗浄し、溶液が淡青色に変わるまで100μLのBD OptEIA試薬ミックス(1:1比,BD Bioscience)と共にインキュベートした。ついで、100μLの酸(1MのH3PO3)を添加して反応を消光させ、450nm(OD450)での光学密度をSpectraMAXプレートリーダー(Molecular Devices)で測定した。OD450をIhh、Dhh及びShhの濃度に対してプロットし、曲線のIC50を、カレイダグラフ(Synergy Software)を使用し、4−パラメータシグモイド式にフィットさせて3通り決定した。結果を図8Aに示す。
そのC末端がDylight649(Pierce)に結合しているShh649(上記参照)を、様々なHhip又はコントロールタンパク質と共に氷上で1時間、0.33又は1nMでインキュベートした後、氷上で1時間、FACSバッファー(PBS中3%のFBS)中でHEK−293細胞(293)又は完全長ヒトPatched−1を発現する293細胞(Ptch1−293クローン10)(Carpenter D.等(1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:13630-13634)と共にインキュベートした。FACSバッファーで3回洗浄後、生存細胞(ヨウ化プロピジウム除外により選別)を、FACSCalibur(BD Biosciences)を使用してAPCチャネルでのフローサイトメトリーによって分析した。コントロールタンパク質は、His6−Shh、His6−Ihh、HGFβ−His639、Hhip1β12−Fcに対するヒトIgG1アイソタイプコントロールとしてのトラスツズマブ(Genentech社)及び抗Shh5E1Mab34に対するマウスMabコントロールとしてのmIgG1(分子プローブZ25105)を含んでいた。結果を図14Cに示す。
アガロースビーズに結合した5E1をShhと共にインキュベートし、部分的にトリプシンで消化させた後、未消化のペプチドを溶離させ、過去に記載されているようにして(Kiselyov, A.S.等(2007) Expert Opin. Ther. Targets 11:1087-1101)、質量分析により同定した。これは、S177残基を包含する過去のデータ(Fuse N.等(1999) Proc. Natl. Acad. Sci. 96:10992-10999;Pepinsky, R.B.等(2000) J. Biol. Chem. 5:154-156)と一致したペプチド158−178(図8b)を明らかにした。エピトープは、Dhhに対する低親和性(下記参照)を説明するShh/Ihh及びDhh間で異なる残基を包含するK178のトリプシン切断部位を越えて延びているようである。
5E1へのヒトShh(25−197)、Dhh、又はIhhの親和性の決定を、BIAcoreTM−2000を使用する表面プラズモン共鳴法によって実施した。IgG(882から991RU)をCM5センサーチップ上の10mMの酢酸ナトリウムpH4.8中に固定し、PBST中のShh(0.3−1000nM)の様々な形態の連続3倍希釈物を30μl/分の流量で注入した。各試料を4分結合時間及び10分解離時間で分析した。各注入後、チップを、pH1.7の10mMのグリシンを使用して再生した。結合応答は、コントロールIgGフローセル1を5E1フローセルから引くことによって修正した。kon及びkoffの連立フィッティングの1:1のラングミュアモデルを動態解析に使用した。5E1はShh及びIhhに同様の親和性(〜3nM)をもって結合したが、Dhhに対しては有意に低い親和性であった。
A.結晶の形成と特徴付け
Shh結合及びシグナル伝達阻害に必須であるとHipβ12ドメインを定めたので、我々は、Hhip1及びHip−Shh複合体の構造を決定することによってこの活性に対する分子的基礎を探求した。
apoHipβ12の結晶を、20mMのHepes pH7.2及び3MのNaClのリザーバ溶液500mlにタンパク質試料(0.3−2μl)を配することにより、19℃での非定型ハンギングドロップ蒸気拡散によって成長させた。矩形の結晶が48時間以内に現れ、一週間成長させたところ、最も長い寸法が0.8mmを越えた。最良の回折結晶(典型的には0.25×0.25×0.10mm3)を20mMのHepes(pH7.2)及び3MのNaClの2μlの液滴に移し、20mMのHepes(pH7.2)及び5MのNaClの500μlリザーバ溶液に配した。16−24時間の脱水後、結晶を、液体窒素でのフラッシュ冷却前に20mMのHepes(pH7.2)、5MのNaCl中に30秒間浸漬した。三波長Se−MetベースのMADをスタンフォードシンクロトロン放射線研究室(SSRL)9−2ビームラインに100Kで集めた。結晶学的統計値を表7にまとめる。
Hipβ12−Shh複合体の最初の結晶は、1μlのタンパク質試料と1μlのリザーバ溶液(0.1Mのビス−トリスプロパン(pH7.0)及び2.8−3.0Mのギ酸ナトリウム)を組合わせることにより19℃でのハンギングドロップ蒸気拡散によって成長させた。それらは4日後に現れ、0.3mmを越える最長寸法まで大きく成長した。これらの結晶は非常に貧弱な品質であり、一連のマイクロシーディング及びマクロシーディング工程がデータ収集に適した結晶には必要であった。前もって平衡にした(48時間)タンパク質液滴中への連続したストリークシーディングは、マクロシーディングが実行可能なように結晶品質を改善した。約0.02mmの寸法の小さい結晶を洗浄し、0.1Mのビス−トリスプロパン(pH7.0)及び2.2Mのギ酸ナトリウムを含むリザーバ溶液の前もって平衡化した液滴中に移した。ゆっくりとした成長が結晶をX線回折に適したものにするのに必須であるので、NeXtalねじ口24ウェルプレートを使用して複雑で長い多段階手順を実行した。典型的には、結晶を4−7日かけてリザーバ溶液でインキュベートした後、ギ酸濃度を0.1Mだけ上昇させた条件に移した。このプロセスを、0.1Mびビス−トリスプロパン(pH7.0)及び2.5Mのギ酸ナトリウムを含む最終リザーバを用いて4回繰り返した。0.09×0.09×0.05mm3の寸法の最良の品質の結晶が4−6週間の期間で製造された。異方性の生データをSSRL11−1ビームラインで収集した。
a括弧内の数は最も高い分解能シェルを示す。
bRsym=Σ|I−<I>|/ΣI。<I>は独特の反射の対称関連観測の平均強度である。
cR=Σ|Fo−Fc|/ΣFo。
dラマチャンドランプロットの最良の領域、追加的に許容される領域、寛大に許容される領域、許容されない領域中の残基の割合。
Hhip1の5つの結晶学的に独立した構造では、apoに対して3つが形成され、2つがShhに結合し、βプロペラとEGF1ドメインがよく重なり、それらが強固なユニットを形成することを示唆している(図3D)。EGF1は、βプロペラのブレード2及び3との密接な相互作用によって空間的に保持されている。2つのドメイン間に生じた界面は性質が親水性並びに疎水性であり、βプロペラのブレード3中のC402とEGF1のC624の間にはジスルフィド結合が形成されている(図3E)。この相互作用の密接な性質はEGF1ドメインを欠くHipβコンストラクトの不安定性を説明する(図9)。HhipβプロペラとEGF1ドメイン間の密接な相互作用は、低密度リポタンパク質レセプター(LDLR)の6ブレードのβプロペラドメインの第二及び第三ブレード及びそのC末端EGFドメイン(Jeon等, 2001)間に形成された接触に類似する。特に、界面は疎水性側鎖が優勢であるLDLRの場合にかなり大きい。EGF1とは異なり、βプロペラに対するEGF2の配向は、おそらくは2つのEGFドメイン間にあるリンカーの本来的な柔軟性のために、有意なバリエーションを示している(図3D)。ここでのまた最も可能なEGF2ドメインと膜間の柔軟性は、細胞膜に対するHhip1β12ECDにある程度の立体構造の自由度があることを意味する。
Shh結合部位は、EGF柄から遠いHhip1β12 βプロペラドメインの周辺に局在化している(図4A及びB)。Hhip1β12の第二及び第三ブレードからの3つのループ(L1:309−314,L2:376−388及びL3:417−422)はZn2+含有溝に中心を置くShhの領域に接触している(図4A−C)。L1及びL2ループはapoHhip1β12構造中における複数の立体構造の証拠を示しており、Shhへの結合がその立体構造を制限することを示している。界面は大きく、それぞれ870Å2及び780Å2の埋められた溶媒露出面積を説明する23のHhip1残基及び29のShh残基を含んでいる。その位置及び相互作用の度合いは、結合のための最小領域がβプロペラ及びEGF1を包含するタンパク質断片内に存在することを示す我々のインビトロ結合データと一致している(表6)。EGF1ドメインはShhに接触しないが、にもかかわらずそれはβプロペラを安定化させるので(上記参照)、必要とされる。興味深いことに、インビボで脂質修飾されたShhのN末端及びC末端、並びにHhip1β12のC末端は全て複合体の同じ側に存在し、両成分が同じ細胞膜に固定されうることを示唆している。
A.Zn2+及びHip−Shh相互作用
Hip−Shh相互作用の媒介におけるZn2+カチオンの重要性を特徴付けるために、我々はEDTAの存在下で結合実験を実施した。15N標識Shhを、15NH4Cl補充M9培地を用いて天然タンパク質と同じようにして調製した(実施例1Dを参照)。15N,1H−HSQCスペクトルを、5mmのインバース三重共鳴凍結プローブを装備したBruker DRX600 MHZスペクトロメータで、32℃にて10%(v/v)のD2Oを補充したPBSバッファー中の90mMの15N−Shhについて記録した。15N−標識ShhのZn2+実験を10mMのEDTAの存在下又は不在下で実施した。
Shhへの結合に対するHhip1 L1、L2及びL3ループ中の残基の寄与を評価するために、一連の単一アラニンHipβ12変異体を、QuickChange DNA変異誘発キット(Stratagene)を使用し製造者のプロトコルを使用して作製し、Shhに対するその親和性を(実施例2Bに記載されたような)バイオレイヤーインターフェロメトリーによって測定した。これらの変異は、Hhip1β12変異体I312A、E381A、M382A、D383A、D378A、T418A、Q420A、E380A、D387A及びDL2を含んでいた。
Hh及び他のHhファミリーメンバーに対する遺伝子データはShh疑似活性部位溝及びCa2+結合部位の重要性を強調する。これら変異は、それがPtch1及び/又は調節性レセプターとの損なわれた相互作用のためであるかどうかは殆どのそれらには不明瞭であるが、著明な効果を有しうる。例えば、疑似活性部位溝の一つの壁に寄与するE176−K178の検出は小頭症及び部分的な脳梁に関連している。また、幾つかのIhh変異(それぞれのShh残基E90、D95、R123、T125、E126及びT149に対応するE95G/K、D100E/N、R128Q、T130N、E131K及びT154I;図8B)は、中指骨が短いことによって特徴付けられる常染色体性優性遺伝性疾患43,44,45,47,48,49であるA1型短指症に関連している。これらの変異はShh中の2つの部位にマッピングする:疑似活性部位(R123,T125,T149)及び隣接のCa2+結合部位(E90,D95,E126)(図4D)。Zn2+結合溝に、T125及びT149の両方がR123に対して充填され、溝の表面に寄与する。また、R123がHhip中の残基E380に対して相補的電荷を提供する(図4D)。Ihh変異T154I、R128Q、T130Nは全て溶媒暴露されており、R128Q変異は結合対との静電的相互作用を減少させるるが、Ihhフォールドを変えることはない。これら3つのヘテロ接合性変異の相対的に良性の性質は、Ihhノックアウトマウス50での胚性致死と対照をなす。
Zn2+カチオン配位の幾何及び全体のShhフォールドの双方がメタロプロテアーゼのMD一族に位相幾何学的に類似しているが(Bochtler, M.等(2004) Protein Sci. 13:854-861;Bussiere, D. E.等(1998) Mol. Cell 2:75-84;Hall, T. M.等(1995) Nature 378:212-216;Rawlings, N. D.等(2008) Nucl. Acids Res. 36:D320-325)、酵素活性はShhに対して報告されている(Fuse, N.等(1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:10992-10999)。疑似活性部位における重要な残基の変異が、ShhがPtchに対するリガンドとして機能し、プロテアーゼとしてでないことが報告されている(Fuse, N.等(1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:10992-10999)。よって、我々のHip−Shh複合体構造は、Hh経路を調節するためにそのメタロプロテアーゼ様フォールドを利用するShhの最初の例である。ShhのZn2+含有溝は、プロテアーゼ基質/阻害結合間隙に類似しているが、Zn2+を配位するD383を含むHhip1β12のL2ループに占められている。この相互作用の機序は、MMP3活性部位溝がその阻害剤TIMP1からの連続ループに占められているTIMP1−MMP3複合体のもの(Gomis-Ruth, F. X.等(1997) Nature 389:77-81)に類似している。TIMP−MMP3構造では、Hip−Shh複合体におけるように、阻害剤はZn2+配位圏と競合する。Hip−Shh構造は、Shhが、経路活性を調節するためにプロテアーゼ・阻害剤結合機序のある側面を保持しながら、そのタンパク分解活性を失った触媒的にコンピテントな先祖から進化したものであろうことを示唆している。結合対としての非触媒的プロテアーゼの関与は他の重要なシグナル伝達経路において観察されている。例えば、肝細胞増殖因子(HGF)はプラスミノーゲン様α/β−ヘテロに量体増殖因子及びMetのリガンドのレセプターチロシンキナーゼである(Birchmeier, C.等(2003) Nature Rev. Mol. Cell Biol. 4:915-925)。HGFβ鎖セリンプロテアーゼ様ドメインはその疑似活性部位を介してMetレセプターのβプロペラと相互作用するが、HGFは如何なる触媒活性も欠く(Kirchhofer, D.等(2004) J. Biol. Chem. 279:39915-39924;Stamos, J.等(2004) EMBO J. 23:2325-2335)。
Hhip1β12及びShh間に観察される相互作用は、ショウジョウバエHh及びIhog間のもの(McLellan, J. S.等(2006) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 103:17208-17213)とは異なり、唯一の他のHh−レセプター複合体構造が今日利用できる。二つの複合体はその分子間相互作用のタイプ及び位置において双方異なる。Ihog−Hh複合体はヘパリンを必要とし、これが二つの結合対を架橋させるばかりでなくIhog二量体化を容易にする。これに対して、Hip−Shh相互作用はヘパリン依存性であり、ヘパリンの存在が、少なくともインビトロではより高次のHhip1β12オリゴマーの形成に至らしめない(データは示さず)。
Shh及びショウジョウバエHh上のHhip1β12及びIhog結合部位のマッピングは、表面レセプター及びHhホモログ間に少なくとも二つの区別できる結合部位があることを示している(図5A)。ShhとのPtchの相互作用はShh表面変異体の親和性及び活性によって定まる(Fuse, N.等(1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96: 10992-10999; Pepinsky, R. B.等(2000) J. Biol. Chem. 275:10995-11001)(図5A,右側パネル)。Cdon/BocはShhに直接結合し、Ptchを介したシグナル伝達を亢進させるので(Tenzen, T.等(2006) Dev. Cell 10: 647-56; Yao, S.等(2006) Cell 125:343-357)、Cdon/Boc結合を抑制するShh変異体は、ShhとのPtch相互作用及び下流のシグナル伝達に対して間接的な影響を有しうる。Shhに接触するかも知れないPtchの候補領域を決定するために、我々はPtch及びHhip1間、並びにPtch及びIhog間の配列類似性を調べた。この分析は、Ptchの第二外部ドメイン中で、膜貫通ヘリックス7及び8間に、Hhip1β12 L2ループと顕著な配列類似性を有していた残基の伸展を同定したが、それによってPtch中に類似するループが存在していることが示唆される(図5B)。Serが見出される線虫の場合を除いて、Asp又はGlu残基が0位を占める。全ての場合、Glyが1位に見出され、Thrが−8位の優勢な残基である。更に、−7、−4、−1及び2位における疎水性残基の圧倒的な存在は、L2様ループの安定化における役割と一致している。我々の分析と一致して、Ptchの膜貫通ヘリックス7及び8間の全細胞外ドメインの除去は、Smoを抑圧する能力を保存しながら、Shh結合の消失を生じる(Briscoe等(2001) Mol. Cell 7:1279-1291;Taipale等(2002) Nature 418:892-897)。
最近の研究では、Cdon/BocがPtchを介してShhシグナル伝達を亢進させることが示され、Hhホモログ、Cdon/Boc(又はショウジョウバエのIhog)及びPtch(Tenzen, T.等(2006) Dev. Cell 10:647-56;Yao, S.等(2006) Cell 125: 343-57)間における多成分複合体の存在の可能性が示唆されている。Shhに対するCdon/Boc上の結合部位は、ヒト及びマウスタンパク質間で98.0%の配列同一性を共有する第三(近位膜)FNIIIドメイン内に存在する(Tenzen等(2006) Dev. Cell 10:647-56)。Cdon/BocがShh及びHhip1と重要でない役割を果たすのかどうかを評価するために、我々は、Shh−Hhip1β12複合体と相互作用する組換えCdonの能力を調べた。競合結合アッセイから、チオレドキシンに融合したその3つのFNIIIドメインを含むマウスCdonの断片(mCdonFN1−3)がShhへの結合に対してHhip1と競合しないことが明らかになった(データは図示せず)。
上で検討された我々の構造及び結合データに基づき、我々は、Hh経路のHip/Ptch調節に対して次の簡単なモデルを提案する(図6及び7)。細胞膜にアンカーされた脂質修飾Shhが最初にCdon/Bocに結合する細胞環境に応じて、Shh−Cdon/Boc複合体はついでPtch又はHhip1の何れかと更に相互作用しうる。PtchとのShhの複合体形成はHhシグナル伝達を刺激する一方(図6)、Hhip1との複合体形成はShhを隔離し、経路を阻害するのであろう(図7)。これは、Ptchに対する阻害性構造デコイレセプターとしてのHhシグナル伝達におけるHhip1の主要な役割を示唆している。
実施例11:大腸菌中でのHhip1β12の発現
この実施例は、大腸菌中での組換え発現によるHhip1β12の非グリコシル化形態の調製を例証する。
Hhip1β12をコードするDNA配列を、選択したPCRプライマーを用いて最初に増幅する。プライマーは、選択された発現ベクターの制限酵素部位に対応する制限酵素部位を含んでいなければならない。様々な発現ベクターを用いることができる。好適なベクターの例は、pBR322(大腸菌由来;Bolivar等, (1977) Gene, 2:95参照)で、アンピシリン及びテトラサイクリン耐性のための遺伝子を含む。ベクターは、制限酵素で消化され、脱リン酸化される。ついで、PCR増幅配列がベクターに結合せしめられる。ベクターは、好ましくは抗生物質耐性遺伝子、trpプロモーター、ポリhisリーダー(最初の6つのSTIIコドン、ポリhis配列、及びエンテロキナーゼ切断部位を含む)、Hhip1β12コード領域、ラムダ転写ターミネーター、及びargU遺伝子を含む。
選択されたクローンは、抗生物質を補充したLBブロス等の液体培地で一晩増殖させることができる。一晩の培養は、続いて大規模培養物の播種に用いられる。次に細胞を所望の光学密度まで増殖させ、その間に発現プロモーターが作動せしめられる。
更なる数時間の細胞培養の後、細胞を遠心分離により集めることができる。遠心分離で得られた細胞ペレットは、当該分野で知られた様々な試薬を用いて可溶化され得、ついで可溶化されたHhip1β12タンパク質を、タンパク質の堅牢な結合を可能にする条件下で金属キレート化カラムを用いて精製することができる。
所望の折り畳みHhip1β12ポリペプチドを含む画分をプール化し、穏やかな窒素流を溶液に向けてアセトニトリルを除去する。透析又は処方バッファーで平衡化したG25 Superfine(Pharmacia)樹脂でのゲル濾過及び滅菌濾過により、0.14Mの塩化ナトリウム及び4%のマンニトールを含む20mMのHepes、pH6.8中にタンパク質を処方する。
この実施例は、哺乳動物細胞中における組換え発現によるHhip1β12の潜在的なグリコシル化形態の調製を例示する。
発現ベクターとしてpRK5(1989年3月15日公開の欧州特許出願公開第307247号を参照)を用いる。場合によっては、Hhip1β12DNAを選択した制限酵素を持つpRK5中に結合させ、上掲のSambrook等に記載されたようなライゲーション方法を使用して、Hhip1β12DNAの挿入を可能にする。
また、Hhip1β12は、一過性発現手順によってCHO及び/又はCOS細胞中で、あるいは他の安定な発現手順によってCHO細胞中で発現させることもできる。
PCR増幅後に、各DNAを、Ausubel等, Current Protocols of Molecular Biology, Unit 3.16, John Wiley and Sons (1997)に記載されたような標準的技術を用いてCHO発現ベクター中にサブクローニングする。CHO発現ベクターは、対象とするDNAの5’及び3’に適合する制限部位を有し、cDNAの簡便なシャトル化を可能にするように作製される。CHO細胞中での発現に使用されるベクターは、Lucas等 (1996) Nucl. Acids Res. 24: 9, 1774-1779に記載された通りであり、対象とするcDNA及びジヒドロフォレートレダクターゼ(DHFR)の発現の駆動にSV40初期プロモーター/エンハンサーを用いる。DHFR発現は、形質移入に続くプラスミドの安定な維持のための選択を可能にする。
次の方法は、酵母中でのHhip1β12コンストラクトの組換え発現を記述する。
第1に、ADH2/GAPDHプロモーターからのHhip1β12の細胞内生産又は分泌のための酵母菌発現ベクターが構築される。Hhip1β12をコードするDNA及びプロモーターを、選択したプラスミドの適当な制限酵素部位に挿入してHhip1β12の細胞内発現を仕向ける。分泌のために、Hhip1β12をコードするDNAを、選択したプラスミドに、ADH2/GAPDHプロモーターをコードするDNA、天然Hhip1β12シグナルペプチド又は他の哺乳動物シグナルペプチド、又は、例えば酵母菌アルファ因子又は転化酵素分泌シグナル/リーダー配列、及び(必要ならば)Hipの発現のためのリンカー配列と共にクローニングすることができる。
続いて組換えHhip1β12は、発酵培地から遠心分離により酵母菌細胞を除去し、ついで選択されたカートリッジフィルターを用いて培地を濃縮することによって単離及び精製できる。Hhip1β12を含む濃縮物は、選択されたカラムクロマトグラフィー樹脂を用いて更に精製することができる。
この実施例は、Hipに特異的に結合できるモノクローナル抗体の調製を例証する。
モノクローナル抗体を生産するための技術は、当該分野で知られており、例えば、上掲のGodingに記載されている。使用することができる免疫原には、精製Hhip1β12ポリペプチド、Hhip1β12ポリペプチドを含む融合タンパク質、及び細胞表面上に組換えHhip1β12を発現する細胞が含まれる。免疫原の選択は、当業者が過度の実験をすることなく、なすことができる。
陽性ハイブリドーマ細胞を同系のBalb/cマウスに腹腔内注入し、抗Hhip1β12モノクローナル抗体を含む腹水を産生させることができる。あるいは、ハイブリドーマ細胞を、組織培養フラスコ又はローラーボトル中で増殖させることもできる。腹水中に生成されたモノクローナル抗体の精製は、硫酸アンモニウム沈降と、それに続くゲル排除クロマトグラフィ−を用いて達成することができる。あるいは、抗体のプロテインA又はプロテインGへの結合性に基づくアフィニティクロマトグラフィーを用いることもできる。
細胞障害性又は細胞分裂停止性の薬剤、すなわち癌治療において腫瘍細胞を殺すか又は阻害するための薬剤の局所デリバリーに抗体−薬剤コンジュゲート(ADC)、つまり免疫複合体を用いると(Payne (2003) Cancer Cell 3:207-212;Syrigos及びEpenetos (1999) Anticancer Research 19:605-614;Niculescu-Duvaz及びSpringer (1997) Adv. Drg Del. Rev. 26:151-172;米国特許第4975278号)、腫瘍への薬剤成分の標的とするデリバリーとそこでの細胞内集積が可能となり、これら非コンジュゲート薬物作用剤の全身性投与により正常細胞並びに除去しようとする腫瘍細胞への毒性が容認できないレベルとなりうる(Baldwin等, (1986) Lancet (Mar. 15, 1986):pp603-05; Thorpe, (1985) 「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review」 MONOCLONAL ANTIBODIES ‘84: BIOLOGICAL AND CLINICAL APPLICATIONS, Pinchera等(編), pp. 475-506)。これによって、最小限の毒性で最大限の効果が求められる。ADCを設定して精密化するために、モノクローナル抗体(mAb)の選択性並びに薬剤結合特性及び薬剤放出特性に注目した。ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体は共にこれらの方策に有用であると報告されている(Rowland等, (1986) Cancer Immunol. Immunother., 21:183-87)。これらの方法に用いる薬物には、ダウノマイシン、ドキソルビジン、メトトレキセート及びビンデジンが含まれる(Rowland等, (1986) 上掲)。抗体−毒素コンジュゲートに用いる毒素には、ジフテリア毒素などの細菌性毒素、リシンなどの植物毒素、ゲルダナマイシン(Mandler等(2000) J. of the Nat. Cancer Inst. 92(19):1573-1581;Mandler等(2000) Bioorganic & Med. Chem. Letters 10:1025-1028;Mandler等(2002) Bioconjugate Chem. 13:786-791)、メイタンシノイド(EP1391213;Liu等、(1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:8618-8623)、及びカリケアマイシン(Lode等 (1998) Cancer Res. 58:2928;Hinman等 (1993) Cancer Res. 53:3336-3342)などの小分子毒素が含まれる。
また別の実施態様では、腫瘍の事前ターゲティングに利用するために「レセプター」(例えばストレプトアビジン)に抗体をコンジュゲートさせ得、ここで抗体-レセプターコンジュゲートが患者に投与され、続いて除去剤を使用して循環から非結合コンジュゲートを除去し、細胞傷害剤(例えば放射性ヌクレオチド)にコンジュゲートした「リガンド」(例えばアビジン)が投与される。
薬剤リンカー試薬である(1)マレイミドカプロイル-モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、すなわちMC-MMAE、(2)MC-MMAF、(3)MC-val-cit-PAB-MMAE又は(4)MC-val-cit-PAB-MMAFをDMSOに溶解して、既知濃度でアセトニトリルと水に希釈し、PBS中の冷やした還元抗体に添加する。約1時間後に、過剰量のマレイミドを添加して反応を停止させ、未反応の抗体チオール基を覆う。反応混合物を遠心限外濾過によって濃縮し、コンジュゲートした抗体を精製し、PBS中のG25樹脂による溶出によって脱塩し、無菌条件下で0.2mのフィルターで濾過し、保存のために凍結する。
天然又は組換えHhip1ポリペプチドは、この分野の様々な標準的なタンパク質精製方法によって精製できる。例えば、プロ-Hhip1β12ポリペプチド、成熟Hhip1β12ポリペプチド、又はプレ-Hhip1ポリペプチドが、対象のHhip1ポリペプチドに特異的な抗体を用いた免疫親和性クロマトグラフィーによって精製される。一般に、免疫親和性カラムは抗Hhip1ポリペプチド抗体を活性化クロマトグラフィー樹脂に共有結合させて構築される。
ポリクローナル免疫グロブリンは、硫酸アンモニウムでの沈殿又は固定化プロテインA(Pharmacia LKB Biotechnology, Piscataway, N.J.)での精製の何れかにより免疫血清から調製される。同様に、モノクローナル抗体は、硫酸アンモニウム沈殿又は固定化プロテインAでのクロマトグラフィーによりマウス腹水液から調製される。部分的に精製された免疫グロブリンは、CnBr活性化セファロースTM(Pharmacia LKB Biotechnology)等のクロマトグラフィー樹脂に共有的に結合される。抗体が樹脂に結合され、樹脂がブロックされ、誘導体樹脂は製造者の指示に従って洗浄される。
可溶性Hhip1β12ポリペプチド含有調製物を免疫親和性カラムに通し、カラムをHhip1ポリペプチドの優先的な吸光を可能にする条件下(例えば、洗浄剤存在下での高イオン強度バッファー)で洗浄する。ついで、カラムを、抗体/Hhip1ポリペプチド結合を破壊する条件下(例えば、およそ2−3のような低pHバッファー、又は高濃度の尿素又はチオシアン酸イオン等のカオトロープ)で溶離させ、Hhip1β12ポリペプチドが収集する。
Claims (25)
- 配列番号:11、12、13、14、15、16の何れか一のアミノ酸配列をコードするDNA分子と少なくとも80%の核酸配列同一性を有するヌクレオチド配列、又はその相補鎖を有する単離された核酸。
- 配列番号:11、12、13、14、15、16の何れか一に示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、又はその相補鎖を有する単離された核酸。
- 請求項1又は2に記載の核酸を含んでなる発現ベクター。
- 請求項3に記載の発現ベクターを含んでなる宿主細胞。
- ポリペプチドの製造方法において、請求項4に記載の宿主細胞を上記ポリペプチドの発現に適した条件下で培養し、上記ポリペプチドを細胞培養物から回収することを含んでなる方法。
- 配列番号:11、12、13、14、15、16の何れか一のアミノ酸配列を有するポリペプチドと少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有する単離されたポリペプチド。
- 配列番号:11、12、13、14、15、16の何れか一のアミノ酸配列を有する単離されたポリペプチド。
- 異種ポリペプチドに融合せしめられた請求項6又は7に記載のポリペプチドを含んでなるキメラポリペプチド。
- 配列番号:7、17、19−25、38、53−55、及び72−82の何れか一のアミノ酸配列を有するポリペプチドに結合する単離されたオリゴペプチド。
- 配列番号:39のアミノ酸配列を有するペプチドを含んでなり、Hedgehogポリペプチドに結合するHhip1 L2ループ模倣オリゴペプチド。
- Hhip1又はPtchタンパク質のL2ループに結合する化合物を含んでなる有機小分子であり、Hhip1又はPtchへのHhポリペプチドの結合を阻害する有機小分子。
- Hhip1又はPtchタンパク質のL2ループを模倣する化合物を含んでなる有機小分子であり、Hhポリペプチドポリペプチドに結合し、Hhシグナル伝達を阻害する有機小分子。
- Ptchタンパク質のL2ループに結合し、Hhシグナル伝達をアンタゴナイズする化合物を含んでなる有機小分子。
- (a)請求項6のポリペプチド;
(b)請求項7のポリペプチド;
(c)請求項8のキメラポリペプチド;
(f)請求項9のオリゴポリペプチド;
(g)請求項10のオリゴポリペプチド;
(h)請求項11の有機分子;又は
(i)請求項12の有機分子
を、薬学的に許容可能な担体と組み合わせて含有する物質の組成物。 - (a)容器と
(b)該容器に収容された請求項14に記載の物質の組成物
を含んでなる製造品。 - Hhip1又はPtchを発現する細胞の増殖を阻害する方法において、該Hhip1又はPtchに結合するオリゴペプチド又は有機分子と上記細胞を接触させることを含み、該Hhip1又はPtchへの上記オリゴペプチド又は有機分子の結合が上記細胞の増殖の阻害を引き起こす方法。
- Hhip1又はPtchタンパク質を発現する細胞を含む癌性腫瘍を持つ哺乳動物を治療的に処置する方法において、そのような処置を必要とする被検体に、Hhip1β12L2ループ結合抗体、Hhip1β12L2ループ抗イディオタイプ抗体、Hhip1β12結合オリゴペプチド、Hhip1β12結合有機分子、Hhip1β12L2ループ模倣オリゴペプチド、Hhip1β12L2ループ模倣有機分子の有効量を投与し、それによって上記哺乳動物を効果的に処置することを含む方法。
- Hhip1又はPtchタンパク質を発現する細胞における細胞増殖を治療又は予防する方法において、そのような処置を必要とする被検体に、Hhip1β12L2ループ結合抗体、Hhip1β12L2ループ抗イディオタイプ抗体、Hhip1β12結合オリゴペプチド、Hhip1β12結合有機分子、Hhip1β12L2ループ模倣オリゴペプチド、Hhip1β12L2ループ模倣有機分子の有効量を投与し、それによって上記細胞増殖性疾患を効果的に治療又は予防することを含む方法。
- 抗Hip L2ループ抗体。
- 抗イディオタイプHhip1 L2ループ抗体。
- 抗Ptch L2ループ抗体。
- 抗イディオタイプPtch L2ループ抗体。
- 細胞におけるHedgehogシグナル伝達を阻害する方法において、Hedgehog産生細胞又はHedgehog応答組織に、配列番号:17−44の何れか一のアミノ酸配列を含む少なくとも8から15のアミノ酸長のオリゴペプチドを投与することを含む方法。
- オリゴペプチドが配列番号:39−44の何れか一のアミノ酸配列を含む、請求項23に記載の方法。
- 配列番号:17−44の何れか一のアミノ酸配列を含む少なくとも8から15のアミノ酸長のオリゴペプチドと薬学的に許容可能な担体を含有する薬学的組成物。
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