表1は、到来角を特定する際に使用される複数の周波数成分の説明を提供する。
図面全体を通して、同様の参照符号が対応する部分を指すことに留意する。
以下の説明は、当業者が開示される実施形態を作成し使用できるようにするために提示され、特定の用途およびその要件の文脈の中で提供される。開示される実施形態に対する様々な変更が、当業者には容易に明らかになり、本明細書において定義される一般的な原理は、本説明の主旨および範囲から逸脱せずに、他の実施形態および他の用途に適用可能である。したがって、本説明は、示される実施形態に限定されることは意図されず、本明細書に開示される原理および特徴と一貫した最も広い範囲に一致することが意図される。
通信システムにおいて装置間で信号を通信する、回路、当該回路を含む集積回路および技法につき実施形態を説明する。これらの回路、集積回路および技法は、1つもしくは複数の信号またはビーコンを同報通信することにより、通信システム内の1つまたは複数の通信路の特徴を素早く特定するために使用されてもよい。この信号は、少なくとも2つの周波数成分の複数のインスタンスを含み、所与の周波数成分の所与のインスタンスは、その所与の周波数成分のその他のインスタンスの位相と異なる位相を有する。さらに、信号は、通信システム内の所与の受信器において信号の到来角を高速に特定することを容易にする。特に、信号に関連する周波数スペクトルのピーク(最大等)のロケーションが到来角に対応する。
回路のいくつかの実施形態では、第1の送信回路が、取得モード中、信号をアンテナ要素に提供し、所与のアンテナへの所与の信号は、関連する位相を有する少なくとも2つの周波数成分を含み、所与の信号内の所与の周波数成分の位相は、その他のアンテナ要素の所与の周波数成分の位相と異なる。さらに、第1の出力ノードが、第1の送信回路を信号を送信するアンテナ要素に結合する。これらの信号が、回路と別の回路との通信路の角度を確立することに留意する。
いくつかの実施形態では、回路は、アンテナ要素および/またはアンテナ要素を含むフェーズドアレイアンテナを備えるアンテナを含む。
いくつかの実施形態では、信号は同時に送信される。さらに、所与のアンテナ要素からの送信は無指向性であってもよい。
いくつかの実施形態では、所与の信号は複数の周波数成分を含み、各周波数成分は関連する異なる位相を有し、その他のアンテナ要素の信号内の所与の周波数成分に関連する位相は、その所与の信号内のその所与の周波数成分の位相と異なる。
いくつかの実施形態では、信号は、直交周波数分割多重方式(OFDM)を使用して符号化される。さらに、所与の周波数成分を、回路と他の回路との通信チャネル内のサブチャネルに関連付けてもよい。
いくつかの実施形態では、通信路は視線通信路である。
いくつかの実施形態では、角度は、回路と他の回路との通信の同期前に確立される。
いくつかの実施形態では、回路は、第1のアンテナ要素に結合され、他の回路から追加の信号を受信する第1の入力ノードを含む。第1のアンテナ要素がアンテナ要素のうちの1つであってもよいことに留意する。さらに、第1の受信器回路が第1の入力ノードに結合され、第1の受信器回路は追加の信号を検出し、追加の信号は、角度を指定する他の回路からのフィードバックを含む。さらに、回路は、角度に基づいて、アンテナ要素を使用して送信された後続信号の送信角度を調整する制御論理を含む。
いくつかの実施形態では、アンテナ要素の信号内の周波数成分の振幅は、互いに異なる。
別の実施形態は、他の回路および他の回路を含む別の集積回路を提供する。この他の回路内では、第2の入力ノードが第2のアンテナ要素に結合され、第2のアンテナ要素は、取得モード中、回路から信号を受信する。受信信号が、少なくとも2つの周波数成分の複数のインスタンスを含み、所与の周波数成分の所与のインスタンスが、その所与の周波数成分のその他のインスタンスの位相と異なる位相を有することに留意する。さらに、第2の受信器回路は、受信信号を検出し、受信信号のスペクトル内のピークの存在に基づいて、受信信号の到来角を特定する。
いくつかの実施形態では、到来角は、回路と他の回路との通信路の角度である。通信路が回路と他の回路との間の唯一の通信路であってもよいことに留意する。
いくつかの実施形態では、他の回路は、少なくとも第2のアンテナ要素および/または少なくとも第2のアンテナ要素を含むフェーズドアレイアンテナを含むアンテナを含む。
いくつかの実施形態では、受信信号は、複数の周波数成分の複数のインスタンスを含み、所与の周波数成分について、各インスタンスは他のインスタンスに関連する位相と異なる関連位相を有する。
いくつかの実施形態では、受信信号は、OFDMを使用して符号化される。さらに、周波数成分は、回路と他の回路との通信路内のサブチャネルに関連付けてもよい。
いくつかの実施形態では、第2の送信回路が、追加の信号を回路に送信し、追加の信号は、到来角に関連する情報を含む。さらに、第2の出力ノードが第2の送信回路に結合され、少なくとも、追加の信号を送信する第3のアンテナ要素に結合され、少なくとも第3のアンテナ要素は、少なくとも第2のアンテナ要素であってもよい。
いくつかの実施形態では、到来角は、受信信号に関連するスペクトルの搬送周波数に対するピークのシフトに対応する。到来角の特定は、スペクトルの計算を含んでもよいことに留意する。
さらに、スペクトル内のピークは、1つまたは複数のフィルタを使用して特定してもよい。さらに、スペクトル内の複数のピークの存在は、受信信号内の1つまたは複数の多経路信号の存在を示してもよい。
別の実施形態は、装置および別の装置を含むシステムを提供する。装置は回路を含み、他の装置は他の回路を含む。さらに、他の装置は信号を受信し、追加の信号を装置に提供する。
別の実施形態は信号を送信する方法を提供し、この方法は装置により実行してもよい。動作中、装置は、取得モード中、アンテナ要素により送信する信号を生成し、所与のアンテナ要素への所与の信号は、関連する位相を有する少なくとも2つの周波数成分を含み、その所与の信号内の所与の周波数の位相は、他のアンテナ要素のその所与の周波数成分の位相と異なる。次に、装置は、アンテナ要素を使用して信号を他の装置に送信する。信号が、装置と他の装置との通信路の角度を確立することに留意する。
別の実施形態は信号を受信する方法を提供し、この方法は他の装置により実行してもよい。動作中、他の装置は、取得モード中、少なくとも第2のアンテナを使用して信号を受信し、受信信号は、少なくとも2つの周波数成分の複数のインスタンスを含み、所与の周波数成分の所与のインスタンスは、その所与の周波数成分のその他のインスタンスの位相と異なる位相を有する。次に、他の装置は、受信信号に対応するスペクトル内のピークの存在に基づいて、受信信号の到来角を特定し、到来角は、装置と他の装置との通信路の角度である。
上記実施形態は、直列または並列の無線リンク、無線メトロポリタンエリアネットワーク(WiMax等)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)、ならびに、1つもしくは複数のアンテナまたはアンテナ要素を含むシステムおよび装置を含め、広範囲の用途で使用可能である。例えば、実施形態は、超広帯域(UWB)通信および/またはマルチバンドOFDMアライアンス(MBOA)に関連する通信規格と併せて使用可能である。さらに、上記実施形態は、デスクトップもしくはラップトップコンピュータ、ハンドヘルドもしくはポータブル装置(個人情報端末および/またはセルラ電話等)、セットトップボックス、ホームネットワーク、および/または、テレビゲーム装置に使用可能である。
次に、回路、無線通信装置、これらの回路または装置を含むシステム、ならびに、装置およびシステム内に使用される通信技法の実施形態について説明する。多くの無線通信システムは、1つまたは複数の狭ビームを使用して、装置間で情報を通信する。しかし、互いに通信する前に、装置はこれら狭ビームを見つける必要がある。不都合なことに、これは時間のかかるプロセスである場合がある。以下の考察では、特別な信号またはビーコンが、取得モード中、無線通信システム内の送信器により同報通信される。この信号は、無線通信システム内の1つまたは複数の受信器における到来角の高速特定、ひいては送信器とこれら受信器のうちの所与の1つとの通信路の角度の高速特定を容易にする。この技法をポイントツーポイント通信システムおよびポイントツーマルチポイント通信システムに使用可能なことに留意する。
図1Aは、通信システム100を示すブロック図を提示する。このシステムでは、装置110−1が、無線通信を使用して通信チャネル118を介して装置110−2と通信する。さらに、装置110間の通信は同時または逐次であってもよい。いくつかの実施形態では、装置110−1が、オプションの装置110−3等の1つまたは複数の追加の装置と情報を通信することに留意する。以下の考察では、装置110−1と装置110−2との通信が説明のための例として使用される。
いくつかの実施形態では、装置110間の通信は、同時であってもよく(すなわち、少なくとも一対の装置110が情報を同時に送受信できる全二重通信)、または通信方向が交互になってもよい(すなわち、所与のときに、一方の装置が情報を送信し、別の装置が情報を受信する半二重通信)。
装置110−1は、フェーズドアレイアンテナ112−1等のアンテナ回路を含むかまたはアンテナ回路に結合して、信号を生成しおよび/または受信することができ、装置110−2は、フェーズドアレイアンテナ112−2等のアンテナ回路を含むかまたはアンテナ回路に結合して、信号を生成しおよび/または受信することができる。例示的な実施形態では、フェーズドアレイアンテナ112は、60GHz(または50〜90GHzの周波数)を中心とした7GHz周波数帯において信号を出力しおよび/または受信するように構成されるマイクロストリップ線路を含む。これらのフェーズドアレイアンテナは、整形ビームを送受信してもよい。例えば、整形ビームは15〜25°のビーム幅を有していてもよい。
フェーズドアレイアンテナ112が、高搬送周波数(60GHz等)に変調された信号を使用する装置110間の情報の通信、または、送信電力が制限され(10mW未満等)および通信が10m程度の距離にわたる通信システムにおける情報の通信を容易にし得ることに留意する。特に、装置110のうちの1つにより送信される信号は、装置110の近傍にあるオプションの物体116から反射されてもよい。多経路通信(および多経路信号)にオプションの物体116からの散乱が関連してもよいことに留意する。
したがって、装置110間の通信は、直接的(視線)または間接的(多経路または非視線と呼ばれる)な通信路114(視線通信または略視線通信を含んでもよい)を介して行われてもよい。例えば、通信路114は、直接通信路114−1ならびにオプションの間接的通信路114−2および/または114−3を含んでもよい。しかし、いくつかの実施形態では、装置110−1と110−2との間等の所与の一対の装置間に、通信路114−1等の1つのみの通信路があってもよい。以下の考察では、装置110−2における直接通信路114−1に関連する信号の到来角120の特徴が、説明のための例として使用される。
特に、装置110−1から受信する1つまたは複数の信号内の複数の周波数成分間の位相関係は、到来角120ひいては通信路114−1に関連する角度の決定を容易にする。例えば、図6および図7を参照してさらに後述するように、1つまたは複数の信号に関連する周波数領域または周波数スペクトル内のピークのロケーションが、到来角120に対応してもよい。
したがって、装置110−1は、1つまたは複数の信号を送信してもよく、装置110−2は、これらの信号を受信して使用し、到来角120を特定してもよい。次に、装置110−2は、到来角120についてのフィードバック情報を装置110−1に提供してもよく、装置110−1は、この情報を使用して、装置110−2との通信を向上させるように、整形ビームまたはアンテナパターンの送信角度を調整してもよい。
1つもしくは複数の信号を装置110−1から装置110のうちの1つもしくは複数に同時に送信してもよく、および/または、1つもしくは複数の信号を無指向的に送信してもよいことに留意する。これらの属性は、到来角120の高速特定ひいては通信路114−1等の主通信路(最良の性能を提供する通信路)に関連する角度の高速特定を容易にしてもよい。さらに、到来角120は、取得モード中、装置110間の時間同期前に特定してもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の信号が取得モード中に送受信されることに留意する。しかし、他の実施形態では、1つまたは複数の信号は、通常動作モード中に送受信される。
さらに、取得モードまたは通常動作モードでの装置110間の通信中、装置110−2は、通信路114−1に関連する性能の特徴(信号状態とも呼ばれる)を特定することにより、フィードバックを装置110−1に提供してもよい。例えば、特徴は、信号強度(信号振幅または信号強度等)、目標(閾値、位相図内の点、および/または位相図内の一連の点等)に対する平均二乗誤差(MSE)、信号対雑音比(SNR)、ビットエラーレート(BER)、タイミングマージン、および/または電圧マージンの特定または測定を含んでもよい。いくつかの実施形態では、通信路114−1の特徴は、通信路の前の特徴からある時間間隔が経過した後に、連続しておよび/または必要に応じて、実行される。
データ、フィードバック情報および/または制御情報の通信が、帯域内または帯域外の(通信路114−1内で使用される周波数範囲および/または周波数帯に対して)シグナリングを使用してもよいことに留意する。さらに、いくつかの実施形態では、装置110間のフィードバック情報および/または制御情報の通信は、通信路114−1のデータレートよりも低いデータレートを有し、および/または通信路114−1上の信号の1つまたは複数の搬送周波数と異なる搬送周波数または変調技法を使用する無線リンク等の別個のリンクを介して行われてもよい。例えば、このリンクはWLAN(IEEE802.11またはBluetooth(登録商標)等)を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、通信路114−1は複数のサブチャネルを含む。これらサブチャネルで搬送される信号は、時間多重化され、周波数多重化され、および/または符号化される。したがって、いくつかの実施形態では、通信チャネル118上の情報の通信は、時分割多元接続(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)および/または符号分割多元接続(CDMA)を使用する。
いくつかの実施形態では、通信路114−1上の信号は、複数のサブチャネルを含む離散マルチトーン通信(直交周波数分割多重方式またはOFDM等)を使用する。周波数範囲、周波数帯または周波数帯の群を所与のサブチャネルまたは周波数帯に関連付けてもよい。サブチャネルを調整する周波数帯は、部分的または全体的に重複してもよく、または重複しなくてもよい。例えば、隣接する周波数帯の部分的な重複があってもよく、これは、いわゆる概略的ビットローディング(approximate bit loading)の際に発生する。さらに、隣接するサブチャネル上の信号は直交であってもよい。
いくつかの実施形態では、信号状態が低下した場合、通信路114−1を復元または回復させるために、様々な技法が使用される。例えば、通信路114−1上の信号は静的または動的に構成可能である。したがって、信号状態の低下または劣化がある場合、通信路114−1内のサブチャネルのうちの1つまたは複数を調整してもよい。例えば、サブチャネル数を変更してもよく、またはデータレートを変更してもよい。
いくつかの実施形態では、通信路114−1を復元または回復させようとして、オートネゴシエーション技法が装置110間で使用される。このオートネゴシエーション技法中、装置110−2は、通信路114−1上の信号に対する任意の変更(以下、改善措置と呼ぶ)の有効性についてのフィードバックを装置110−1に提供してもよい。このフィードバックに基づいて、装置110−1は、送信信号をさらに変更してもよく、および、通信路114−1上の通信を再確立または維持しようとしてもよい。改善措置が、前のデータの再送信、前の送信で使用された送信電力よりも大きな送信電力を使用しての前または新しいデータ(以下、データと呼ぶ)の送信、前の送信に使用されたデータレートからのデータレートの低減、符号間干渉を低減した状態(例えば、ブランク間隔をデータの前および/または後に挿入した状態)でのデータの送信、単一クロックエッジでのデータ送信(ダブルデータレート通信とは対照的に)、データの少なくとも部分が誤り訂正符号(ECC)もしくは誤り検出符号(EDC)を含む状態でのデータの送信、前の送信で使用された符号化とは異なる符号化もしくは変調符号を使用してのデータの送信、所定のアイドル時間でのデータの送信、装置110−2内の異なる受信器へのデータの送信、および/または、装置110−2へのデータ転送を試み得る装置110−3等の別の装置へのデータの送信を含んでもよいことに留意する。
ECCデータおよび/またはEDCデータの少なくとも部分が動的に生成してもよく(すなわち、リアルタイムで)、および/または前に生成されてもよい(すなわち、既存)ことに留意する。いくつかの実施形態では、ECCは、巡回符号のサブクラスであるBose-Chaudhuri-Hochquenghem(BCH)符号を含む。例示的な実施形態では、ECCおよび/またはEDCデータは、巡回冗長符号(CRC)、パリティ符号、ハミング符号、リード−ソロモン符号、および/または別の誤りチェック・訂正符号を含む。
いくつかの実施形態では、装置110間の通信は、複数の通信路114を使用して行われる。例えば、装置110のうちの一方または両方は、信号状態に基づいて、通信路114−1等の主通信路を選択してもよい。この主通信路がその後、劣化または一時不通になった場合、代替の通信路を使用してもよい(すなわち、装置110を代替の通信路に切り替えてもよい)。この代替の通信路は、装置110により事前に決定されてもよく、または主通信路が劣化または一時不通になった場合、装置110のうちの一方または両方により識別されてもよい。代替の通信路の使用は補足であってもよく、または上述した改善措置から独立して使用してもよいことに留意する。
通信システム100が、より少数または追加の構成要素を含んでもよいことに留意する。さらに、2つ以上の構成要素を組み合わせて単一の構成要素にしてもよく、1つまたは複数の構成要素の位置を変更してもよい。例えば、装置110のうちの1つまたは複数は、少なくとも部分的に、位置決めシステム(局所、差動、および/または全地球測位システム等)に関連する情報に基づいて通信路114−1を選択してもよい。この技能により、装置110が、相対移動がある場合に適応できるようにしてもよい。したがって、装置110−1は、相対移動についての情報に基づいて1つまたは複数の整形ビームに適応してもよい。あるいは、測位システムに関連する情報により、装置110−2等の近傍の別の装置の存在を装置110−1に警告してもよい。
いくつかの実施形態では、フェーズドアレイアンテナ112内のアンテナ要素は別個のアンテナ内に含まれる。これを、通信システム150の実施形態を示すブロック図を表す図1Bに示す。このシステムでは、装置110−3は、アンテナ140(それぞれが1つまたは複数のアンテナ要素を含む)等のアンテナ回路を含むかまたはアンテナ回路に結合して、信号を生成しおよび/または受信してもよい。さらに、装置110−4は、アンテナ142(それぞれが1つまたは複数のアンテナ要素を含む)等のアンテナ回路を含むかまたはアンテナ回路に結合して、信号を生成しおよび/または受信してもよい。
次に、装置110のうちの1つまたは複数に使用し得る通信回路について説明する。図2Aは、送信回路を構成し得る通信回路210の実施形態200を示すブロック図を提示する。この通信回路は、到来角120(図1A)の特定を容易にする1つまたは複数の信号に対応する電気信号を生成しおよび/または提供するために使用でき、これら電気信号を送信するために使用できる。1つまたは複数の信号は、通常動作モード中に送信してもよいが、以下の考察では、取得モード中の1つまたは複数の信号の送信が、説明のための例として使用される。
取得モード中、1つまたは複数の電気信号に関連するデータx(n)212が受信される。あるいは、データx(n)212の少なくとも部分がメモリ222に記憶される。通信回路210への送信前に、データx(n)212をオプションのエンコーダ214内で符号化し、および/または少なくとも部分的に符号化または変調してもよい。この符号化は、変調符号化および/またはスペクトル拡散符号化、例えば、疑似ランダムバイナリシーケンス(最大長シーケンスまたはmシーケンス)に基づく符号化、ゴールド符号、および/またはカサミシーケンスを含むものと理解されたい。
特に、変調符号化後、フェーズドアレイアンテナ226内の所与のアンテナ要素への所与の電気信号内の2つ以上の周波数成分の位相を設定してもよい。例えば、メモリ222内のルックアップテーブルに基づいて、制御論理220は、データ信号制御回路218に、フェーズドアレイ変調器216のうちの1つを使用して、これら位相を設定するように命令してもよい。図3Aは、フェーズドアレイ変調器310の実施形態300を示すブロック図を提示する。このフェーズドアレイ変調器は、遅延要素312−1(図2A中のデータ信号制御回路218により提供される係数のうちの1つに基づいて調整可能な遅延を提供する)およびミキサまたはヘテロダインミキサ等の周波数変換要素314−1を含む。一般に、係数は、所与の電気信号内の異なる周波数成分に対して異なることに留意する。さらに、フェーズドアレイ変調器360の実施形態350を示すブロック図を提示する図3Bに示すように、周波数変換要素314−2を遅延要素312−2の前に配置してもよい。
再び図2Aを参照して、所与の信号内の所与の周波数成分の位相が、フェーズドアレイアンテナ226内のその他のアンテナ要素の電気信号内のその所与の周波数成分の位相と異なることに留意する。(一般に、所与の信号内の周波数成分の位相は、互いとも異なる)。アンテナ要素の電気信号内の周波数成分の位相のうちのいくつかまたはすべてを同時に設定してもよいことに留意する。
一般に、特定される到来角120(図1A)の角度分解能は、電気信号内の周波数成分の数が増大するにつれて、および/またはアンテナ要素の数が増大するにつれて、向上する。例示的な実施形態では、7つの周波数成分が、フェーズドアレイアンテナ226内の4つのアンテナ要素のそれぞれに対して電気信号内で使用される。さらに、これら電気信号は、OFDMを使用して符号化してもよい。例えば、所与の周波数成分を、装置110−1と110−2(図1Aおよび図1B)との、通信チャネル118(図1Aおよび図1B)等の通信チャネル内の所与のサブチャネルに関連付けてもよい。
変調後、増幅器224等の1つまたは複数の電力増幅器が、電気信号を増幅してもよい。いくつかの実施形態では、増幅器224は可変または調整可能な利得を有する。したがって、いくつかの実施形態では、所与の電気信号内の2つ以上の周波数成分の振幅は互いに異なる。
この増幅の前、最中、または後に、デジタル/アナログ変換器(DAC)を使用して変調電気信号をアナログ電気信号に変換し、1つまたは複数のサブチャネルに関連する1つまたは複数の搬送周波数fiを使用して1つまたは複数の適切な周波数帯にRFアップコンバートしてもよい。例えば、アップコンバートは、1つまたは複数のヘテロダインミキサまたは変調器等の周波数変換要素を使用してもよい(図3Aおよび図3Bに示すように)。
次に、電気信号に対応する信号は、フェーズドアレイアンテナ226内のアンテナ要素により送信してもよい。これらの信号は無指向性であってもよく、および/またはある範囲の方向もしくは角度に関連付けられてもよい(整形ビームもしくは指向性アンテナが送信中に使用される場合等)ことに留意する。
上述したように、通信回路210により送信される信号は、装置110−2(図1A)内等の別の回路により受信してもよく、受信した装置は次に、これらの信号から到来角120(図1A)を特定する。(受信器回路について図4および図5を参照してさらに後述することに留意する)。次に、この情報を通信回路210にフィードバックしてもよい。例えば、フィードバック情報は、リンク228を使用して受信してもよい。あるいは、通信回路260の実施形態250を示すブロック図を提示する図2Bに示すように、フィードバック情報は、少なくとも1つのアンテナ要素262および増幅器264等の受信器を使用して受信してもよい。いくつかの実施形態では、アンテナ要素262はフェーズドアレイアンテナ226内に含まれる。
このフィードバック情報に基づいて、通信回路210は、送信信号の送信角度を変更してもよい。例えば、取得モード中、通信回路210は、フェーズドアレイ変調器216により設定される相対位相を変更することにより、無指向性信号の送信から整形ビームの送信に切り替えてもよい。いくつかの実施形態では、通信路114−1(図1A)に関連する角度が特定されると、装置110−1と110−2(図1A)との間の時間同期を実行してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、角度の特定に使用されたものと同じ信号が使用されて、装置110−1および110−2(図1A)を時間同期させてもよい。
取得が完了した(角度が特定され、装置が時間同期した)後、装置110−1と110−2(図1A)とのデータの指向性通信中に、角度を通常動作モードで使用してもよいことに留意する。例えば、ビーム形成技法を使用して、指向性アンテナパターンおよび/または1つもしくは複数の整形ビームを提供してもよい。
いくつかの実施形態では、フェーズドアレイアンテナ226等のアンテナ要素および/または1つもしくは複数のアンテナは、通信回路210および260(図2B)の外部にあってもよく、チップ、パッケージ、もしくはチップキャリア上にあってもよく、および/または、別の集積回路上(例えば、チップスタック内)にあってもよい。さらに、いくつかの実施形態では、異なるアンテナおよび/またはアンテナ要素により送信される信号のうちの少なくともいくつかは、符号化(TDMA、FDMA、および/またはCDMA等)、空間ダイバーシチ(多入力多出力通信等)、および/または偏波ダイバーシチ(例えば、異なるアンテナおよび/またはアンテナ要素により送信される信号のうちの少なくともいくつかに異なる偏波があってもよい)に基づいて互いに区別される。
通信回路210および260(図2B)により送信される信号は、通信チャネル118(図1Aおよび図1B)内で(線形重畳により)結合してもよい。(受信器回路を構成し得る)通信回路402の実施形態400を示すブロック図である図4Aに示すように、これらの信号を受信し、これらの信号の到来角を特定し、この情報を通信回路210(図2A)および/または260(図2B)にフィードバックしてもよい。
特に、信号は、1つまたは複数のアンテナ(アンテナ410等)および/またはアンテナ要素を使用して受信される。アンテナおよび/またはアンテナ要素が、通信回路402の外部にあってもよく、チップ、パッケージ、もしくはチップキャリア上にあってもよく、および/または、別の集積回路上(例えば、チップスタック内)にあってもよいことに留意する。
上述したように、受信信号は、少なくとも2つの周波数成分の複数のインスタンスを含み、所与の周波数成分の所与のインスタンスは、その所与の周波数成分のその他のインスタンスの位相と異なる位相を有する。さらに、図6および図7を参照してさらに後述するように、これら周波数成分および関連する位相により、受信信号に関連する周波数領域または周波数スペクトル内にピークが生じ、このピークは受信信号の到来角120(図1A)に対応する。
したがって、増幅器412−1(可変利得または固定利得を有し得る)内での増幅後、検出回路414は、取得モード中に到来角120(図1A)(より一般には、通常動作中にデータx(n)416)を特定してもよい。特に、検出回路414は、受信信号に関連する周波数領域または周波数スペクトル内のピークのロケーションを特定してもよい。
さらに、検出回路414は、(例えば、高速フーリエ変換またはFFTを使用する)ベースバンド復調、(線形等化または非線形等化等)等化、(スライサおよび/またはシーケンス検出を使用する)データシンボル検出、およびベースバンド復号化を実行してもよい。例えば、ベースバンド復号化は、信号の送信前に実行されるビット−シンボル符号化の反対または逆であるシンボル−ビット符号化を含んでもよい。いくつかの実施形態では、通信回路402は、誤り検出および/または訂正を実施する。例えば、誤りは、送信信号内の1つまたは複数のパリティビットと併せて、マルチビットXOR演算を実行することにより検出してもよい。
増幅器412−1による増幅の前、最中、または後、受信信号は、アナログ/デジタル変換器(ADC)を使用してデジタル電気信号に変換し、1つまたは複数のサブチャネルに関連する1つまたは複数の搬送周波数fiを使用して、1つまたは複数の適切な周波数帯からベースバンドにRFダウンコンバートしてもよい。例えば、ダウンコンバートは、1つまたは複数のヘテロダインミキサまたは変調器等の周波数変換要素を使用してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、増幅器412−1は、例えば、自動利得制御(AGC)ループに基づいて、通信回路402の利得を調整してもよい。
次に、制御論理418は、この到来角情報をオプションのメモリ420に記憶する(後で使用する場合)か、または、リンク422を使用して通信回路210(図2A)にフィードバックする。より一般的には、通信回路402は、フィードバックを通信回路210(図2A)および/または260(図2B)に提供し、このフィードバックは、通信チャネル118(図1Aおよび図1B)の性能の特徴、すなわち、信号状態等の性能指標に基づいていてもよい。
あるいは、通信回路460の実施形態450を示すブロック図を提示する図4Bに示すように、電力増幅器462は、アンテナ要素464を使用して到来角120(図1A)についての情報をフィードバックしてもよい。いくつかの実施形態では、アンテナ要素410を使用して、フィードバック情報が送信される。
(データブロックに関連するもの等の)時間間隔後、および/または、(1つまたは複数の改善措置を使用して適宜復元できない信号状態の劣化がある場合等)必要に応じて、到来角120(図1A)を特定してもよいことに留意する。例えば、到来角120(図1A)は、通常動作中、および/または取得動作モード中に特定してもよい。
いくつかの実施形態では、信号は、フェーズドアレイアンテナ内の1つまたは複数のアンテナ要素を使用して受信される。これを、通信回路502の実施形態500を示すブロック図を提示する図5Aに示す。特に、信号は、フェーズドアレイアンテナ510内の1つまたは複数のアンテナ要素を使用して受信され、その結果得られる電気信号は、1つまたは複数の増幅器412を使用して増幅される。メモリ520(ルックアップテーブル等)に記憶された係数に基づいて、制御論理518は、データ信号制御回路516に、フェーズドアレイ変調器514を使用してこれら電気信号の相対位相を調整するように命令してもよい。
次に、検出回路414は、取得モード中に到来角120(図1A)(より一般には、通常動作中にデータx(n)416)を特定してもよい。制御回路518は、この到来角情報をメモリ520に記憶する(後で使用する場合)か、またはリンク422を使用して通信回路210(図2A)にフィードバックする。
あるいは、通信回路560の実施形態550を示すブロック図を提示する図5Bに示すように、電力増幅器462は、アンテナ要素464を使用して到来角120(図1A)についての情報をフィードバックしてもよい。いくつかの実施形態では、フェーズドアレイアンテナ510内の1つまたは複数のアンテナ要素を使用して、フィードバック情報が送信される。
通信回路210(図2A)、260(図2B)、402(図4A)、460(図4B)、502(図5A)、および/または560が、より少数の構成要素または追加の構成要素を含んでもよいことに留意する。例えば、追加のアンテナ(またはアンテナ要素)があってもよく、または構成要素を互いに結合する信号線が、複数の信号線(またはバス)を示してもよい。いくつかの実施形態では、通信回路210(図2A)および/または260(図2B)は、通信チャネル118(図1Aおよび図1B)に関連する損失および/または分散を補償するプレエンファシスを含む。同様に、いくつかの実施形態では、通信回路402(図4A)、460(図4B)、502(図5A)、および/または560は等化を含む。プレエンファシスおよび/または等化が、フィードフォワードフィルタおよび/または判定帰還等化回路を使用して実施してもよいことに留意する。
さらに、通信回路210(図2A)、260(図2B)、402(図4A)、460(図4B)、502(図5A)、および/または560に明示してはいないが、これら回路は、電気信号のメモリバッファを含んでもよい。さらに、クロック回路は、通信回路210(図2A)、260(図2B)、402(図4A)、460(図4B)、502(図5A)、および/または560には明示されていない。それにも関わらず、電気信号は、1つまたは複数のクロック信号の片方または両方のエッジに基づいて送信し、および/または受信してもよい。いくつかの実施形態では、送受信が同期されてもよく、および/または非同期であってもよいことに留意する。
通信回路210(図2A)、260(図2B)、402(図4A)、460(図4B)、502(図5A)、および/または560内に示される構成要素および/または機能は、アナログ回路および/またはデジタル回路を使用して実装してもよい。さらに、これら通信回路の構成要素および/または機能は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアを使用して実装してもよい。いくつかの実施形態では、制御論理220(図2Aおよび図2B)、418(図4Aおよび図4B)、および/または518(図5Aおよび図5B)は、ベースバンド処理構成要素からの情報を使用せずに、これら通信回路内の物理層構造(RFフロントエンド等)上で動作する。
通信回路210(図2A)、260(図2B)、402(図4A)、460(図4B)、502(図5A)、および/または560内の1つまたは複数の構成要素を単一の構成要素に組み合わせてもよく、および/または1つもしくは複数の構成要素の位置を変更してもよいことに留意する。いくつかの実施形態では、通信回路210(図2A)、260(図2B)、402(図4A)、460(図4B)、502(図5A)、および/または560は、1つまたは複数の半導体ダイ上の1つまたは複数の集積回路内に含まれる。
上述したように、取得モード中に装置110−1(図1)により送信される1つまたは複数の信号は、装置110−2(図1A)において異なる方向で受信された場合、異なる周波数スペクトルを有してもよい。特に、受信信号に関連する周波数スペクトル内の最大または大域ピークのロケーションのシフト(搬送周波数に対する)は、到来角120(図1A)に対応してもよい。したがって、受信信号に関連する周波数領域または周波数スペクトル内のこのピークのロケーションを使用して、到来角120(図1A)ひいては通信路114−1(図1A)の角度を特定してもよい。
いくつかの実施形態では、到来角120(図1A)は、(例えば、図4および図5の検出回路414により)、1つまたは複数の受信信号のFFTを計算すること、一連の狭帯フィルタまたはノッチフィルタを使用して、ピークのロケーションを特定すること、ならびに/または、ミキサ、周波数合成器、およびノッチフィルタを使用して、ピークのロケーションを特定することにより特定される。装置110(図1Aおよび図1B)の時間同期またはロックの前に実行し得るスペクトル電力測定または計算を使用して、ピークのロケーションを特定してもよいことに留意する。したがって、スペクトル電力測定または計算は、受信信号を復調せずに実行してもよい。
図6Aは、周波数612の関数としての信号強度610としてプロットされた周波数スペクトルを示すグラフ600を提示する。この周波数スペクトルは、ゼロ度の到来角で受信される信号に関連する。したがって、ピーク614−1は、周波数スペクトルの搬送周波数にある。
これとは対照的に、図6Bは、非ゼロの到来角で受信される信号に関連する周波数スペクトルを示すグラフ650を提示する。したがって、ピーク614−2は、周波数スペクトルの搬送周波数にはなく、特に、周波数シフト660がある。
図7Aおよび図7Bを参照して以下に示すように、一般に、所与の到来角で受信する信号に関連する周波数スペクトルは、最大または大域ピークを中心とした平滑な曲線を有する。局所ピーク等の複数の極大の存在は、受信信号内の1つまたは複数の多経路信号の存在を示し得ることに留意する。この場合、到来角120(図1A)は、系統的探索(例えば、象限毎)等の逐次的手法を使用して特定してもよい。
図7Aは、周波数トーンまたは周波数成分712の関数としての大きさ710としてプロットされる異なる到来角714に関連する周波数スペクトルを示すグラフ700を提示する。到来角714の範囲が30°の増分で−75°(714−1)〜75°(714−6)であることに留意する。さらに、これら周波数スペクトルは、2つのアンテナ要素またはアンテナを使用して送信される7つの周波数成分を含む信号に対応することに留意する。
上述したように、角度分解能は、アンテナ要素の数が増大するにつれて向上する。これは、周波数トーンまたは周波数成分712の関数としての大きさ710としてプロットされる異なる到来角760に関連する周波数スペクトルを示すグラフ750を提示する図7Bに示される。到来角760の範囲が30°の増分で−75°(760−1)〜75°(760−6)であることに留意する。さらに、これら周波数スペクトルが、4つのアンテナ要素またはアンテナを使用して送信される7つの周波数成分を含む信号に対応することに留意する。表1は、グラフ750内の周波数スペクトルを生じさせる送信信号内の複数の周波数成分および関連する位相の図を提供する。
一般に、所与の送信器アンテナ要素またはアンテナの所与の電気信号は、所定の位相(または等しい遅延)を有するいくつかの周波数成分または正弦曲線(トーン)が重なったものとして、すなわち、
として表現することができる。但し、A
nは振幅であり、nは整数であり、ω
nは周波数成分であり、φ
nは関連する所定の位相である。いくつかの実施形態では、振幅A
nは、異なる周波数成分で同じである。表1に示すように、アンテナ要素またはアンテナのうちの1つを、その他のアンテナ要素またはアンテナの周波数成分の位相を特定する際の参照として使用してもよい。
上述したように、受信器において、周波数スペクトル内のピークが、最良の到来角120(図1A)である角度を示す。例えば、到来角が0°である場合、周波数成分(またはトーン)0は、異なるアンテナ要素からの他の正弦曲線が同相で到来しないため、最大電力(その他の周波数成分に対して)を有する。同様に、到来角がPであって、距離tだけ隔てられ、距離dだけ離れた2つの送信アンテナまたはアンテナ要素からの信号の位相差が、2tdsin(P)/Pは0に等しいため、0であるようなPの場合、周波数成分1は最大電力を有し、その他の周波数成分はより低い電力を有する。
次に、通信データを処理する実施形態について説明する。図8は、装置(図1Aおよび図1Bの装置110のうちの1つ等)により実行し得る、信号を送信するプロセス800の実施形態を示すフローチャートを提示する。動作中、装置は、取得モード中、アンテナ要素により送信される信号を生成し(810)、所与のアンテナ要素への所与の信号は、関連する位相を有する少なくとも2つの周波数成分を含み、所与の信号内の所与の周波数成分の位相は、その他のアンテナ要素のその所与の周波数成分の位相と異なり、信号は、装置と別の装置との通信路の角度を確立する。次に、装置は、アンテナ要素を使用して、信号を他の装置に送信する(812)。
図9は、他の装置(図1Aおよび図1Bの装置110のうちの1つ等)により実行し得る、信号を受信するプロセス900の実施形態を示すフローチャートを提示する。動作中、この他の装置は、取得モード中に少なくとも1つのアンテナを使用して信号を受信し(910)、受信信号は、少なくとも2つの周波数成分の複数のインスタンスを含み、所与の周波数成分の所与のインスタンスは、所与の周波数成分のその他のインスタンスの位相と異なる位相を有する。次に、他の装置は、受信信号に対応するスペクトル内のピークの存在に基づいて、受信信号の到来角を特定し(912)、到来角は、装置と他の装置との通信路の角度である。
いくつかの実施形態では、プロセス800(図8)および/またはプロセス900内に追加の、またはより少数の動作があってもよいことに留意する。さらに、動作の順序を変更してもよく、2つ以上の動作を組み合わせて単一の動作にしてもよい。
本明細書において説明する装置および回路は、当分野において利用可能なコンピュータ支援設計ツールを使用して実装し、このような回路のソフトウェア記述を含むコンピュータ可読ファイルにより具現してもよい。これらソフトウェア記述は、動作記述、レジスタ転送記述、論理構成要素記述、トランジスタ記述、およびレイアウトジオメトリレベル記述(layout geometry-level description)であってもよい。さらに、ソフトウェア記述は、記憶媒体に記憶してもよく、または搬送波により通信してもよい。
このような記述を実装し得るデータフォーマットとしては、Cのような動作言語をサポートするフォーマット、VerilogおよびVHDLのようなレジスタ転送レベル(RTL)言語をサポートするフォーマット、ジオメトリ記述言語(GDSII、GDSIII、GDSIV、CIF、およびMEBES等)、ならびに他の適したフォーマットおよび言語をサポートするフォーマットが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、搬送波を含む機械可読媒体上のこのようなファイルのデータ転送は、インターネット上の装置媒体を介して、例えば、電子メールを介して電子的に行うことができる。4mm磁気テープ、8mm磁気テープ、3 1/2インチフロッピー(登録商標)媒体、CD、DVD等の物理的なファイルを機械可読媒体に実装してもよいことに留意する。
図10は、このようなコンピュータ可読ファイルを記憶するシステム1000の実施形態を示すブロック図を提示する。このシステムは、少なくとも1つのデータプロセッサまたは中央演算処理装置(CPU)1010と、メモリ1024と、これら構成要素を互いに結合する1つまたは複数の信号線または通信バス1022とを含んでもよい。メモリ1024は、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、フラッシュ、1つもしくは複数のスマートカード、1つもしくは複数の磁気ディスク記憶装置、および/または1つもしくは複数の光学記憶装置等の高速ランダムアクセスメモリおよび/または不揮発性メモリを含んでもよい。
メモリ1024は、回路コンパイラ1026および回路記述1028を記憶してもよい。回路記述1028は、図1〜図5に関連して上述した回路または回路のサブセットの記述を含んでもよい。特に、回路記述1028は、1つまたは複数の通信回路(1つもしくは複数の送信器1030および/または1つもしくは複数の受信器1032を含む)、1つまたは複数の位相調整要素1034、1つまたは複数の増幅器1036、1つまたは複数の検出回路1038、1つまたは複数のエンコーダ1040、1つまたは複数のデコーダ1042、1つまたは複数の変調器1044、1つまたは複数のリンク1046、制御論理1048(または命令セット)、メモリ1050、1つまたは複数のアンテナ1052、ならびに/あるいは1つまたは複数のアンテナ要素1054の回路記述を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、システム1000はより少数または追加の構成要素を含む。さらに、2つ以上の構成要素を組み合わせて単一の構成要素することもでき、および/または1つもしくは複数の構成要素の位置を変更してもよい。
上記実施形態は、到来角120(図1A)の確立および/または特定に、複数の周波数成分および関連する位相を有する電気信号を使用するが、他の実施形態では、単一の周波数成分または搬送周波数を使用する通信システムでのアンテナの調整に、この技法の変形を使用してもよい。
実施形態の上記説明は、例示および説明のためにのみ提示された。網羅的すなわち本説明を開示された形態に限定する意図はない。したがって、多くの変更および変形が当業者に明らかである。さらに、上記開示は本説明を限定する意図はない。本説明の範囲は添付の特許請求の範囲により規定される。