JP2011520881A - 認知機能を改善するための方法および組成物 - Google Patents

認知機能を改善するための方法および組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、バルプロ酸ならびにそのアナログおよび誘導体(「バルプロエート」)とアセチルコリンエステラーゼインヒビター(AChEI)との組み合わせを用いることによって、認知機能を改善するための方法および組成物に関連する。特に、本発明は、制限しないが、軽度認知機能障害(MCI)、加齢関連性記憶障害(AAMI)、もしくは加齢性認知機能低下(ARCD)を有するか、またはそのリスクのある被験体を含む、処置を必要性とするか、または加齢性認知機能障害のリスクのある被験体における加齢性認知機能障害の処置において、バルプロエートおよびAChEIの組み合わせを用いることに関連する。

Description

(発明の分野)
本発明は、バルプロ酸ならびにそのアナログおよび誘導体(「バルプロエート(valproate)」)とアセチルコリンエステラーゼインヒビター(AChEI)との組み合わせを用いることによって、認知機能を改善するための方法および組成物に関連する。特に、本発明は、制限しないが、軽度認知機能障害(Mild Cognitive Impairment(MCI))、加齢関連性記憶障害(Age−Associated Memory Impairment(AAMI))、もしくは加齢性認知機能低下(Age−Related Cognitive Decline(ARCD))を有するか、またはそのリスクのある被験体を含む、処置を必要とするか、または加齢性認知機能障害のリスクのある被験体における、加齢性認知機能障害の処置における、バルプロエートおよびAChEIの組み合わせの使用に関連する。
(発明の背景)
認知および/または変性脳疾患は、臨床的に、記憶、認知、推理、判断および感情の安定性の進行性の喪失によって特徴付けられ、それらは徐々に重大な精神機能低下を導き、最終的に死亡に至る。これらの疾患の中で、アルツハイマー病は、最も一般的であると考えられ、そして米国において4番目に最も一般的な死亡の医学的原因であると考えられる。1997年に、アルツハイマー病は、米国において200万人超の人々を冒したと推定され、その数は次の50年以内に4倍になると予測される(Brookmeyerら、1998)。
認知能力は、加齢の通常の結果として低下し得る。高齢者の相当数の集団が、通常の加齢において典型的であるものを超えた、認知能力の低下を経験する。そのような加齢性の認知機能の喪失は、臨床的に、記憶、認知、推理、および判断の進行性の喪失によって特徴付けられる。軽度認知機能障害(MCI)、加齢関連性記憶障害(AAMI)、加齢性認知機能低下(ARCD)、または同様の臨床的グルーピングが、そのような加齢性の認知機能の喪失に関連するものに含まれる。
いくつかの推定によると、MCIは米国において65歳超の500万−570万人の患者を冒している(Yesavageら、2002;Hanninenら、2002;Plassmanら、2008)。さらに、加齢関連性記憶障害または同様の診断カテゴリー(例えば加齢性認知機能低下)に入る患者の数も驚異的である。例えば、Barkerら(1995)の推定によると、米国単独で、1600万人超の加齢関連性記憶障害の人々が存在する。
従って、加齢性認知機能障害のための、ならびにMCI、AAMI、ARCDおよび同様の加齢による認知障害と診断されたか、またはそれらを発症するリスクのある患者において認知機能を改善するための、有効な処置の必要性が存在する。
最初にFDAに認可されたアルツハイマー病の薬物である塩酸タクリン(「COGNEXTM」)は、AChEIである(Cutlerら、1993)。臨床的に使用されるAChEIの他の例としては、ガランタミン(「REMINYLTM」)またはリバスチグミン(rivastigmine)(「EXELONTM」)が挙げられる。しかし、これらの薬物は、アルツハイマー病患者における認知機能改善において限られた成功しか示さず、そして使用を制限する副作用プロファイルを示す。別のAChEI、ドネペジル(donepezil)(「ARICEPTTM」としても公知である)は、タクリンよりも有効であるようである。ドネペジルによって、アルツハイマー病患者は、わずかな認知機能改善を示すが(Barnerら、1998;Rogersら、1998)、ドネペジルの有用性も、その中程度の効能および副作用のために制限される。ドネペジルの長期の治療的効能も、次第に疑われてきている(Magginiら、2006;Petersenら、2006)。
従って、認知機能不全を含む疾患および特に加齢性認知機能障害のより有効な処置に関する必要性が依然として存在する。
(発明の概要)
本発明の最初の局面によって、加齢性認知機能障害に罹患したか、またはそのリスクのある被験体を、処置するか、またはその認知機能を改善する方法が提供され、その方法は、当該被験体にAChEIまたはその薬学的に受容可能な塩を、バルプロ酸またはそのアナログもしくは誘導体(共に「バルプロエート」)またはその薬学的に受容可能な塩と組み合わせて投与する工程を含む。
本発明のある実施態様において、加齢性認知機能障害が、AAMI、ARCD、およびMCIからなる群より選択される。いくつかの実施態様において、その加齢性認知機能障害はMCIである。
本発明のある実施態様において、本発明の方法において使用されるAChEIは、ドネペジル、タクリン、リバスチグミン、フィゾスチグミン、ガランタミン、もしくはメトリホナートまたはその薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される。いくつかの実施態様において、そのAChEIは、ドネペジルまたはその薬学的に受容可能な塩である。
本発明のある実施態様において、そのAChEIまたはその薬学的に受容可能な塩を、約0.1から10mgの日用量で、12または24時間ごとに投与する。いくつかの実施態様において、AChEIまたはその薬学的に受容可能な塩の治療量以下(subtherapeutic)の量を投与する。いくつかの実施態様において、投与されるAChEIまたはその塩の治療量以下の量は、約10mgより少ない、約5mgより少ない、約2mgより少ない、約1mgより少ない、約0.5mgより少ない、または約0.1mgより少ない日用量である。
本発明のある実施態様において、本発明の方法において使用されるバルプロエートは、バルプロ酸(2−プロピルペンタン酸)またはそのアナログもしくは誘導体、またはその薬学的に受容可能な塩である。いくつかの実施態様において、そのバルプロエートは、2−メチルペント−2−エン酸、または2−メチル−2−n−プロピルペンタン酸、またはペント−4−エン酸、または2−エチルヘキサン酸、またはバルプロミド、2−プロピルペンタンアミド、2−n−アルキルブト−3−イン酸およびそれらの薬学的に受容可能な塩、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される(Kostrouchovaら、2007参照)。本発明のある実施態様において、そのバルプロエートは、バルプロ酸ナトリウムである。本発明のある実施態様において、そのバルプロエートは、水素ビス(2−プロピルペンタノアート)である。
本発明のある実施態様において、そのバルプロエートまたはその薬学的に受容可能な塩を、その被験体が0.1から20μg/ml血漿の血中全バルプロエートレベルを維持するような日用量で投与する。いくつかの実施態様において、バルプロエートまたはその薬学的に受容可能な塩の治療量以下の量を投与する。いくつかの実施態様において、投与されるバルプロエートの治療量以下の量は、1500mgより少ない、1000mgより少ない、500mgより少ない、250mgより少ない、125mgより少ない、75mgより少ない、25mgより少ない、10mgより少ない、または5mgより少ない日用量である。
本発明のある実施態様において、そのAChEIおよびバルプロエート、またはそれらの薬学的に受容可能な塩を、同時に、連続的に、または単一の処方として投与する。
本発明の2番目の局面によって、加齢性認知機能障害に罹患したか、またはそのリスクのある被験体を、処置するか、またはその認知機能を改善するための薬学的組成物が提供され、その組成物は、AChEIおよびバルプロエートまたはそれらの薬学的に受容可能な塩を含む。いくつかの実施態様において、その組成物は固体形態である。いくつかの実施態様において、その組成物は液体形態である。いくつかの実施態様において、その組成物は水溶液である。いくつかの実施態様において、その組成物は単位投薬形態である。
本発明のある実施態様において、その組成物中のバルプロエートはバルプロ酸(2−プロピルペンタン酸)またはそのアナログもしくは誘導体、またはその薬学的に受容可能な塩である。いくつかの実施態様において、そのバルプロエートは、2−メチルペント−2−エン酸、または2−メチル−2−n−プロピルペンタン酸、またはペント−4−エン酸、または2−エチルヘキサン酸、またはバルプロミド、2−プロピルペンタンアミド、2−n−アルキルブト−3−イン酸およびそれらの薬学的に受容可能な塩、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される(Kostrouchovaら、2007を参照のこと)。本発明のある実施態様において、そのバルプロエートは、バルプロ酸ナトリウムである。本発明のある実施態様において、そのバルプロエートは、水素ビス(2−プロピルペンタノアート)である。いくつかの実施態様において、そのバルプロエートまたはその塩の量は、その被験体が0.1から20μg/ml血漿の血中全バルプロエートレベルを維持するような投与量である。いくつかの実施態様において、バルプロエートまたはその塩の量は、1500mgより少ない、1000mgより少ない、500mgより少ない、250mgより少ない、125mgより少ない、75mgより少ない、25mgより少ない、10mgより少ない、または5mgより少ない用量である。いくつかの実施態様において、その組成物中のAChEIは、ドネペジル、タクリン、リバスチグミン、フィゾスチグミン、ガランタミン、メトリホナートおよびそれらの塩からなる群より選択される。いくつかの実施態様において、そのAChEIはドネペジルまたはその塩である。いくつかの実施態様において、その組成物中のAChEIまたはその塩の量は、約0.1から10mgである。いくつかの実施態様において、その組成物中のAChEIまたはその塩の量は、約10mgより少ない、約5mgより少ない、約2mgより少ない、1mgより少ない、0.5mgより少ない、または0.1mgより少ない。
慢性のバルプロエート処置は、記憶障害老齢ラットの海馬において、ムスカリン性受容体−GTP−Eu結合を増加させる。YNG=若年;AI−VEH=老齢障害ビヒクル処置;AI−VPA=老齢障害バルプロエート処置。 バルプロ酸ナトリウム(「VPA」)または生理食塩水(「VEH」)で処置した記憶障害老齢ラットは、トレーニング期の終わりには類似したレベルの成績であるが、より高い用量のVPA(VPA100=100mg/kg/日)で処置したものは、生理食塩水または低い用量のバルプロ酸ナトリウム(VPA50=50mg/kg/日)で処置したその対照物と比較して、6時間遅延後、より忘れないことを示した(すなわち、より短い経路の長さ;保持を参照のこと;=p<0.5)。 図3は、モーリス水迷路(MWM)テストにおいて、加齢性障害ラット(AI)の空間記憶保持に対する、ドネペジルおよびバルプロ酸ナトリウム(「VPA」)の組み合わせの投与の効果を示す。ある範囲の処置条件を採用した:ビヒクルコントロール、ドネペジル(0.5、1、または2mg/kg)、および100mg/kg/日のVPAと組み合わせたドネペジル(0.5、1、または2mg/kg)。AIラットを、1日あたりトレーニング試行の前に1回ドネペジル(またはビヒクル)で処置して、2日間連続でトレーニングした。24時間後、AIラットを、記憶保持試行において試験した。記憶保持試行において標的四分円または標的輪でAIラットが泳いで費やした時間を、空間記憶保持の測定値として使用する。標的四分円は、トレーニング試行中に避難プラットフォームを置く、迷路(それは円形のプールである)の四分円を指す。標的輪は、トレーニング試行中の、避難プラットフォームの正確な位置を指す。各バーに関して、中の線は中央値を示し、上の線は上の四分位を示し、そして下の線は下の四分位を示す(=p<0.019;#=p<0.030、ウィルコクソンマッチドペア試験、1テール)。
(発明の詳細な説明)
本明細書中で他に定義しなければ、この出願において使用される科学的および技術的用語は、当業者によって通常理解される意味を有する。一般的に、本明細書中で記載される、細胞および組織培養、分子生物学、細胞およびがん生物学、神経生物学、神経化学、ウイルス学、免疫学、微生物学、薬理学、遺伝学ならびにタンパク質および核酸化学に関連して使用される命名法、およびその技術は、当該分野で周知でありかつ通常使用されるものである。
本発明の方法および技術を、一般的に、他に示さなければ、当該分野で周知の従来の方法によって、ならびに、この明細書を通じて引用および議論される、様々な一般的およびより特異的な参考文献において記載されるように行う。例えば、「Principles of Neural Science」、McGraw−Hill Medical、New York、N.Y.(2000);Motulsky、「Intuitive Biostatistics」、Oxford University Press,Inc.(1995);Lodishら、「Molecular Cell Biology、第4版」、W.H.Freeman&Co.、New York(2000);Griffithsら、「Introduction to Genetic Analysis、第7版」、W.H.Freeman&Co.、N.Y.(1999);Gilbertら、「Developmental Biology、第6版」、Sinauer Associates,Inc.、Sunderland、MA(2000)を参照のこと。
本明細書中で使用される化学的用語を、「The McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms」、Parker S.編、McGraw−Hill、San Francisco、C.A.(1985)によって例示されるような、当該分野における従来の使用によって使用する。
上記の全て、およびこの出願中で言及された、あらゆる他の刊行物、特許、および公開された特許出願が、本明細書中で具体的に参照によって援用される。対立する場合には、その特定の定義を含む本明細書が支配する。
この明細書を通じて、「含む(comprise)」という用語または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」のようなバリエーションは、述べた整数(または成分)または整数(または成分)のグループを含むことを意味するが、あらゆる他の整数(または成分)または整数(または成分)のグループの排除を意味しないことが理解される。
単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しなければ、複数形を含む。
「含む」という用語は、「含むがそれに限らない」を意味するために使用する。「含む」および「含むがそれに限らない」は、交換可能に使用される。
「薬剤」という用語は、本明細書中で、化学的化合物(有機または無機化合物、化学的化合物の混合物のような)、生物学的高分子(核酸、抗体(その部分ならびにヒト化、キメラ、およびヒト抗体、およびモノクローナル抗体を含む)、タンパク質またはその一部、例えばペプチド、脂質、炭水化物のような)、または細菌、植物、真菌、もしくは動物(特に哺乳動物)細胞もしくは組織のような生物学的材料から作製した抽出物を示すために使用する。薬剤は、例えば構造に関して公知である薬剤、および構造に関して未知である薬剤を含む。
「患者」、「被験体」、または「個人」は、交換可能に使用され、そしてヒトまたは非ヒト動物のいずれかを指す。これらの用語は、ヒト、霊長類、家畜動物(ウシ、ブタ等を含む)、コンパニオン動物(例えばイヌ、ネコ等)およびげっ歯類(例えばマウスおよびラット)のような、哺乳動物を含む。
認知機能の「促進」は、年齢がマッチした正常な、障害がない被験体の機能、または若年成人被験体の機能とより密接に類似するように、加齢性障害認知機能に影響を与えることを指す。認知機能を、任意の検出可能な程度まで促進し得るが、ヒトにおいて、好ましくは、障害被験体が、通常の生活の毎日の活動を、年齢がマッチした正常な、障害がない被験体、または若年成人被験体と同じレベルの技量で行うことを可能にするために十分促進する。
認知機能の「保存」は、認知機能が低下しないように、または最初の状態もしくは診断の際に被験体において観察されたものより下に低下しないように、またはそのような低下を遅延させるように、正常または障害認知機能に影響を与えることを指す。
認知機能の「改善」は、被験体において、認知機能を促進すること、および/または認知機能を保存することを含む。
病状または被験体の「処置」は、臨床的な結果を含む、有益または望ましい結果を得るような工程をとることを指す。有益または望ましい臨床的な結果は、加齢性認知機能障害を有するか、またはそのリスクのある被験体における、加齢性認知機能障害に関連する1つまたはそれ以上の症状の軽減または改善、その障害の遅延または緩徐化、その障害の改善、緩和、または安定化、認知機能の改善あるいは認知機能低下の速度の低下を含むが、これらに限らない。
物質、化合物、または薬剤の被験体への「投与(administering)」または「投与(administration)」を、当業者に公知の様々な方法の1つを用いて行い得る。例えば、化合物または薬剤を、静脈内、動脈内、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、眼、舌下、経口(摂取による)、鼻腔内(吸入による)、脊髄内、脳内、および経皮(例えば皮膚の管を通じた吸収による)に投与し得る。化合物または薬剤をまた、再装填可能かもしくは生物分解性のポリマー性デバイスまたは他のデバイス(例えばパッチおよびポンプ)、あるいは、放出が延長されたか、放出が遅いか、または放出が制御された化合物または薬剤を提供する処方によって、適切に導入し得る。投与をまた、例えば、1回、複数回、および/または、1回またはそれ以上の延長期間にわたって、行い得る。いくつかの局面において、その投与は、自己投与を含む直接投与、および薬物を処方する行為を含む間接的な投与の両方を含む。例えば、本明細書中で使用される場合、患者に薬物を自己投与するよう、もしくは他の人によって投与してもらうよう指示する医師、および/または薬物の処方箋を患者に提供する医師は、患者に薬物を投与している。
物質、化合物、または薬剤を被験体へ投与する適当な方法はまた、例えば、被験体の年齢、その被験体が投与時に活動的かまたは非活動的であるか、その被験体が投与時に認知機能障害であるかどうか、障害の程度、ならびにその化合物または薬剤の化学的および生物学的性質(例えば溶解度、消化率、生物学的利用能、安定性および毒性)に依存する。好ましくは、化合物または薬剤を、例えば摂取によって被験体に経口投与する。いくつかの実施態様において、経口投与された化合物または薬剤は、放出が延長されたかまたは放出が遅い処方物中にあるか、あるいは、そのような遅い放出または延長された放出のためのデバイスを用いて投与する。
本明細書中で使用される場合、「組み合わせた」バルプロエートおよびAChEIまたはその薬学的に受容可能な塩の投与は、同時投与および/または連続的投与のような異なる時における投与を含む。
本明細書中で使用される「同時投与」という用語は、バルプロエートおよびAChEI、またはその薬学的に受容可能な塩を、約15分以下、および好ましくは約10分以下の時間間隔で投与する。薬物を同時に投与する場合、バルプロエートおよびAChEI、またはそれらの塩を、同じ投薬に(例えばバルプロエートおよびAChEIまたはそれらの塩を両方含む単位投薬形態)、または別々の投薬に(例えばバルプロエートまたはその塩を1つの投与形態に含み、そしてAChEIまたはその塩を別の投与形態に含む)含み得る。
本明細書中で使用される「連続的投与」という用語は、バルプロエートおよびAChEI、またはそれらの薬学的に受容可能な塩を、約15分超、そして好ましくは約1時間超、または12時間までの時間間隔で投与することを意味する。バルプロエートまたはその塩、あるいはAChEIまたはその塩のいずれかを最初に投与し得る。連続的投与のための、バルプロエートおよびAChEIまたはそれらの塩は、別々の投薬形態に含まれ得、任意で同じ容器または包装に含まれ得る。
薬物または薬剤の「治療的に有効な量」は、被験体に投与した場合に、被験体、例えば加齢性認知機能障害を有する患者、またはそのリスクのある患者において、意図した治療的効果、例えば認知機能の処置または改善を有する、薬物または薬剤の量である。完全な治療的効果は、必ずしも1用量の投与によって起こるのではなく、一連の用量の投与後にのみ起こり得る。従って、本発明の薬剤または化合物の治療的に有効な量を、1回またはそれ以上の投与において投与し得る。被験体のために必要な正確な有効量は、例えば被験体の大きさ、健康および年齢、認知機能障害の性質および程度、ならびに投与のために選択された治療薬または治療薬の組み合わせ、ならびに投与の方式に依存する。当業者は、慣用的な実験によって、所定の状況に関して有効な量を容易に決定し得る。
「治療量以下の量」は、治療量より少ない、すなわち認知機能不全を含む疾患を処置するために、当該薬剤または化合物が単独で(すなわち、個々に、かつ他の治療薬剤または化合物と組み合わせずに)投与される場合に通常使用される量より少ない、本発明の薬剤または化合物の投与される量を指す。
「薬学的に受容可能な塩」は、本発明の薬剤または化合物の、治療的に活性な、無毒性の塩基性および酸性塩形態である、本発明による薬剤または化合物を指すために本明細書中で使用される。
「認知機能」または「認知状態」はそれぞれ、注意、情報の取得、情報の処理、作業記憶、短期記憶、長期記憶、前向性記憶、逆向性記憶、記憶想起、識別学習、意志決定、抑制性応答制御、注意セットシフティング(attentional set−shifting)、遅延強化学習、逆転学習、自発行動の時間的統合、ならびに周囲およびセルフケアへの関心の表現を含むがこれらに限らない、学習および/または記憶に関わる、任意の高次知的脳処理または脳状態を指す。
ヒトにおいて、認知機能を、例えばそして制限することなく、アルツハイマー病評価スケール−認知サブスケール(Alzheimer’s Disease Assessment Scale−cognitive subscale(ADAS−cog))、変化の臨床上全体的印象スケール(clinical global impression of change scale(CGIC−plus scale))、アルツハイマー病共同研究日常生活動作スケール(Alzheimer’s Disease Cooperative Study Activities of Daily Living Scale(ADCS−ADL))、変化の臨床上全体的印象スケール(clinical global impression of change scale(CIBIC−plus scale));ミニメンタルステート検査(Mini Mental State Exam(MMSE));神経精神医学項目表(Neuropsychiatric Inventory(NPI));臨床的痴呆評価スケール(Clinical Dementia Rating Scale(CDR));ケンブリッジ神経心理学テスト自動バッテリー(Cambridge Neuropsychological Test Automated Battery(CANTAB))またはサンド臨床評価−老年者(Sandoz Clinical Assessment−Geriatric(SCAG))によって測定し得る。Folsteinら、J Phychiatric Res 12:189−98、(1975);Robbinsら、Dementia 5:266−81、(1994);Rey、L’examen clinique en psychologie、(1964);Klugerら、J Geriatr Psychiatry Neurol 12:168−79(1999)を参照のこと。それに加えて、認知機能を、陽電子断層撮影法(PET)、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、シングルフォトンエミッションCT(SPECT)のようなイメージング技術、または脳の活動の測定を可能にする任意の他のイメージング技術を用いて測定し得る。
動物モデルシステムにおいて、モーリス水迷路(MWM)、バーンズ円形迷路、高架放射状迷路(elevated radial arm maze)、T迷路または動物が空間情報を使用する任意の他の迷路の使用を含む、当該分野で公知の様々な従来の方法において、認知機能を測定し得る。新規物体認識および匂い認識課題のような、当該分野で公知の他のテストも、認知機能を評価するために使用し得る。
認知機能をまた、陽電子断層撮影法(PET)、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、シングルフォトンエミッションCT(SPECT)のようなイメージング技術、または脳の機能の測定を可能にする任意の他のイメージング技術を用いて測定し得る。動物において、認知機能をまた、電気生理学的技術によって測定し得る。
「加齢性認知機能障害」または「機能」は、年齢のマッチした正常被験体(すなわち、認知テストにおいて所定の年齢に関する平均スコアを有する被験体)において予測されるもの、または若年成人被験体において予測されるものほど堅調でない、老齢被験体における認知機能を指す。いくつかの場合、認知機能は、年齢のマッチした正常被験体において予測される認知機能と比較して、約5%、約10%、約30%またはそれ以上抑制される。いくつかの場合、認知機能は、年齢のマッチした正常被験体において予測される程度であるが、若年成人被験体において予測される認知機能と比較して、約5%、約10%、約30%、約50%またはそれ以上抑制される。加齢性認知機能障害は、軽度認知機能障害(MCI)、加齢関連性記憶障害(AAMI)、および加齢性認知機能低下(ARCD)と関連し得る。
「軽度認知機能障害」または「MCI」は、他の認知異常を伴わない孤立性記憶障害および比較的正常な機能的能力によって特徴付けられる病状を指す。MCIの臨床的特徴付けのための基準の1セットは、以下の特徴を指定する:(1)記憶の病訴(患者、情報提供者、または医師によって報告されるような)、(2)正常な日常生活動作(ADL)、(3)正常な全体的認知機能、(4)年齢での異常な記憶(所定の年齢の平均を1.5標準偏差を超えて下回る点数によって規定される)、および(5)痴呆の指標がないこと(DSM−IVガイドラインによって規定される;Petersenら、Srch.Neurol.56:303−308(1999);Petersen、「Mild cognitive impairment:Aging to Alzherimer’s Disease」Oxford University Press、N.Y.(2003)も参照のこと)。
MCIの診断は、通常客観的な認知機能障害の評価を伴い、それを、ミニメンタルステート検査(MMSE)、ケンブリッジ神経心理学テスト自動バッテリー(CANTAB)、ならびにレイ聴覚言語学習検査(Rey Auditory Verbal Learning Test(AVLT))、改訂ウェックスラー記憶スケールの論理的記憶サブテスト(Logical Memory Subtest of the revised Wechsler Memory Scale(WMS−R))、およびニューヨーク大学段落想起試験(New York University(NYU) Paragraph Recall Test)のような個々のテストを含む、よく確立された神経心理学的テストの使用によって獲得し得る。Folsteinら、J Psychiatric Res 12:189−98(1975);Robbinsら、Dementia 5:266−81(1994);Klugerら、J Geriatric Psychiatry Neurol 12:168−79(1999)を参照のこと。
「加齢関連性記憶障害(AAMI)」は、加齢による、記憶の減退を指す。彼または彼女が少なくとも50歳で、そして以下の基準の全てを満たすなら、その患者はAAMIを有すると判断し得る:a)その患者は記憶の能力における減退に気付いた、b)その患者は、若年成人と比較して、記憶の標準テストにおいて悪い成績である、c)正常な加齢以外の、全ての他の記憶減退の明らかな原因が除外された(言い換えると、その記憶障害は、最近の心臓発作または頭部外傷、うつ、薬物適用に対する有害反応、アルツハイマー病等のような、他の原因に起因し得ない)。
「加齢性認知機能低下(ARCD)」は、ヒトにおける加齢の正常な結果である、記憶および認知能力の減退を指す(例えばCraikおよびSalthouse、1992)。これはまた、実質的に全ての哺乳動物種において当てはまる。加齢関連性記憶障害は、より若い年齢と比較して客観的な記憶の減退を有するが、年齢同等者と比較して正常な認知機能を有する、高齢の人を指す(Crookら、1986)。年齢と一致した記憶低下は、正常な発達的変化であり(Crook、1993;Larrabee、1996)、病態生理学的ではなく(Smithら、1991)、そしてめったに明白な痴呆へと進行しない(YoungjohnおよびCrook、1993)ことを強調する、あまり軽蔑的ではない言い方(label)である。DSM−IV(1994)は、ARCDの診断的分類を体系化した。
(本発明の方法の説明)
本発明の方法は、AChEIまたはその薬学的に受容可能な塩の投与と合わせた、バルプロエートまたはその薬学的に受容可能な塩、例えばバルプロ酸ナトリウム、グルタミン酸再取り込みおよびGABA濃度を増加させることによって興奮性−抑制性機能を修飾する、辺縁系発作のための抗てんかん薬(Hasselら、2001;Loscher、1999;OwensおよびNemeroff、2003)の投与を含む。てんかんに加えて、バルプロ酸ナトリウムは、双極性障害、片頭痛、PTSD、および他の神経心理学的疾患の処置のために処方されてきた。
(バルプロエート)
本明細書中で使用される場合、「バルプロエート」という用語は、バルプロ酸、そのアナログおよび誘導体、例えば以下の式
Figure 2011520881
の化合物を含み:
ここで、各存在は独立に:
Rが非置換であり得るか、あるいは1つまたはそれ以上の−OH、C1−10アルコキシ、−N(R、−SH、−S−C1−10アルキル、またはアリールによって置換され得るという条件で、
Xは−OH、C1−10アルコキシ、−O−アルカリ金属、−N(R、−SH、または−S−C1−10アルキルであり;
Rは直鎖または分岐C1−30アルキルであり;そして
はH、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、アリール、またはアラルキルである。本発明のある実施態様において、Xは−OH、−O−アルカリ金属、−SH、または−NHであり;そしてRはCH[(CHCHである。
本発明のバルプロエートを作製する方法を、例えば米国特許第4,558,070号;同4,595,695号;同4,654,370号;同4,895,873号;同4,913,906号;同5,017,613号;同5,019,398号;同5,049,586号;同5,162,573号;同5,440,023号;同5,856,569号;同6,131,106号および同6,610,326号において見出し得る。
バルプロエートの薬学的に受容可能な塩も、本発明の方法および組成物において使用し得る。いくつかの実施態様において、本発明のバルプロエートは、異なるバルプロエートの組み合わせである。バルプロエートまたはその塩の例は、2−プロピルペンタン酸、ジバルプロックス(バルプロ酸およびバルプロエートの混合物)、バルプロ酸ナトリウム、ジバルプロックスナトリウム、水素ビス(2−プロピルペンタノアート)、バルプロ酸カルシウム、コンバルソフィン(convulsofin)、DEPAKENETM、DEPEKINETM、DEPAKOTETM、酢酸ジプロピル、ナトリウム塩(2:1)、バルプロ酸セミナトリウム、Ergenyl、バルプロ酸マグネシウム、Vupral、バルプロミド(valproamide)、バルプロエートのアナログおよびバルプロエートの代謝物を含むがこれらに限らない。いくつかの実施態様において、バルプロ酸アナログは、2−メチルペント−2−エン酸、または2−メチル−2−n−プロピルペンタン酸、またはペント−4−エン酸、または2−エチルヘキサン酸、またはバルプロミド、2−プロピルペンタンアミド、または2−n−アルキルブト−3−イン酸である(Kostrouchovaら、2007を参照のこと)。
(AChEI)
本明細書中で使用される場合、「アセチルコリンエステラーゼインヒビター」または「AChEI」は、その通常の意味を有し、そしてアセチルコリンエステラーゼ活性をブロック、抑制、または減少させる薬剤を指す。AChEIの薬学的に受容可能な塩も、本発明の方法および組成物において使用し得る。
本発明のいくつかの実施態様において、AChEIは、ドネペジルまたはその塩、プロドラッグ、もしくはアナログである(ARICEPTTMなど)。米国特許第4,895,841号;同5,985,864号;同6,140,321号;同6,245,911号;同6,372,760号を参照のこと。ARICEPTTM(塩酸ドネペジル)は、酵素アセチルコリンエステラーゼの可逆的インヒビターであり、化学的に(+)−2,3−ジヒドロ−5,6−ジメトキシ−2−[[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]メチル]−1H−インデン−1−オン塩酸塩として公知である。
本発明の方法および組成物において有用な、他の例示的なAChEIとしては、タクリン(COGNEXTM)、リバスチグミン(EXELONTM)、フィゾスチグミン(SYNAPTOTM)、ガランタミン(REMINYLTM)、メトリホナート(PROMEMTM)、キロスチグミン、トルセリン、チアトルセリン、シムセリン、チアシムセリン、ネオスチグミン、エセロリン、ジフトジロン(ziftosilone)、メスチノン、フペルジンA、およびイコペジルが挙げられる。米国特許第4,895,841号;同5,750,542号;同5,574,046号;同5,985,864号;同6,140,321号;同6,245,911号;および同6,372,760号を参照のこと。
(バルプロエートおよびAChEIまたはその薬学的に受容可能な塩の投与によって、加齢性認知機能障害を処置する方法)
いくつかの実施態様において、本発明は、AChEIまたはその薬学的に受容可能な塩と組み合わせて、バルプロエートまたはその薬学的に受容可能な塩を投与することによって、その必要のある被験体において、加齢性認知機能を改善するためか、および/または加齢性認知機能不全、加齢性認知機能障害もしくはそのリスクに関わる疾患を処置するための、方法および組成物を提供する。ある実施態様において、そのAChEIはドネペジルである。ある実施態様において、そのバルプロエートはバルプロ酸ナトリウムである。ある実施態様において、その年齢依存性の認知機能障害は、軽度認知機能障害(MCI)、加齢性認知機能低下(ARCD)、または加齢関連性記憶障害(AAMI)である。その被験体は、ヒト、または非ヒト霊長類もしくはげっ歯類(例えばラット)のような他の哺乳動物であり得る。1つの実施態様において、その被験体はヒト患者である。
臨床的に使用される場合、ドネペジルは、「コリン作動性」副作用プロファイルを示し、そして患者に投与する投与量は、そのような副作用によって制限される。ドネペジルまたは他のAChEIおよびそれらの薬学的に受容可能な塩と組み合わせて、バルプロエートおよびその薬学的に受容可能な塩を使用することは、加齢性認知機能不全および他の情動性疾患を含む疾患の処置に必要なドネペジルまたは他のAChEIの量を抑制し、従って効能を減ずることなく、ドネペジルまたは他のAChEIによって引き起こされる副作用を抑制する。さらに、バルプロエートおよびドネペジルまたは他のAChEIおよびその薬学的に受容可能な塩の組み合わせの効能は、最適な用量においていずれかの薬物単独の効能を上回り、従って加齢性認知機能不全を含む疾患の好ましい処置である。
本発明の組成物および方法において使用される化合物および薬剤は、好ましくは、末梢に投与された場合に容易に血液−脳関門を透過するべきであることが認識される。しかし、血液−脳関門を透過できない化合物も、依然として中枢神経系へ直接、例えば脳室内経路によって有効に投与し得る。
本明細書中で使用される場合、バルプロエートおよびAChEIまたはその薬学的に受容可能な塩を「組み合わせて」投与することは、同時投与および/または連続的投与のような、異なる時間における投与を含む。バルプロエートおよびAChEIまたはそれらの薬学的に受容可能な塩の同時投与を、任意でバルプロエートおよび/またはAChEIおよびそれらの塩の追加用量と組み合わせ得る。薬剤の同時投与は、共通の処方物(co−formulation)として、またはあるいは別の組成物としての投与を含む。
本発明によって、バルプロエートおよびAChEI、およびその塩を、任意の適当な一つの経路または複数の経路によって被験体へ投与し得る。最も多くの場合、その薬物を経口投与する;しかし、静脈内、皮下、動脈内、筋肉内、脊髄内、直腸内、胸腔内、腹腔内、脳室内(intracentricularly)、または経皮、局所、または吸入による投与も企図される。その薬剤を、例えば、当該分野で認識された手順によって調製された、錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁物、シロップ、オブラート等の形態で経口投与し得る。ある実施態様において、その投与は、遅い、制御された、または延長された放出である。「延長された放出」という用語は、薬科学の分野で広く認知されており、そして本明細書中で、延長された時間、例えば1時間またはそれ以上にわたる(その間中ずっと、またはその間)、投薬形態から環境への活性化合物または薬剤の制御された放出を指すために使用される。延長された放出の投与形態は、延長された時間にわたって、薬物を実質的に一定の速度で放出するか、または実質的に一定の量の薬物が、延長された時間にわたって漸増的に放出される。本明細書中で使用される「延長された放出」という用語は、薬科学において使用される用語である、「制御された放出」、「遷延性放出」、「持続放出」または「遅延放出」という用語を含む。いくつかの実施態様において、延長された放出の投薬を、パッチまたはポンプの形態で投与する。
投与のために固体担体を使用する場合、その調製物は、錠剤であり得、粉末またはペレットの形態でハードゼラチンカプセル中にあり得、あるいはそれはトローチまたはロゼンジの形態であり得る。液体担体を使用するなら、その調製物は、シロップ、エマルジョン、ソフトゼラチンカプセルまたは水性もしくは非水性液体懸濁物もしくは溶液のような、滅菌注射可能液体の形態であり得る。
本発明の方法による薬剤および組成物の投薬スケジュールは、選択された特定の化合物または組成物、投与経路、処置する病状の性質、患者の年齢および病状、処置の経過またはステージによって変化し、そして最終的には診療する医師の裁量である。投与されるバルプロエートおよびAChEIおよびそれらの薬学的に受容可能な塩の量は、臨床的結果を含む有益な結果のような、望ましい生物学的効果を生じるために有効な量(例えばGABA作動性活性を増加させる量、興奮性神経伝達を抑制する量、およびアセチルコリンエステラーゼ活性をブロック、抑制、もしくは減少させる量、および/または組み合わせて認知機能の改善を引き起こす量)であることが理解される。有効な量を、1用量を超えて、処置の過程にわたって投与し得ることが理解される。
本発明のある実施態様において、バルプロエートまたはその薬学的に受容可能な塩を、被験体が0.1から20μg/ml血漿の血中全バルプロエートレベルを維持するような日用量で投与する。いくつかの実施態様において、バルプロエートまたはその薬学的に受容可能な塩を、1500mgより少ない、1000mgより少ない、500mgより少ない、250mgより少ない、125mgより少ない、75mgより少ない、25mgより少ない、10mgより少ない、または5mgより少ない日用量で投与する。数日または数週またはより長い期間にわたる反復投与に関して、病状に依存して、十分なレベルの認知機能が達成されるまで、その処置を維持する。いくつかの実施態様において、バルプロエートまたはその薬学的に受容可能な塩の治療量以下の量を投与する。
AChEIおよびその塩を、従来の投薬レベルまでの投薬レベルで投与し得る。適当な投薬レベルは、選択された特定のAChEIまたはその塩に依存するが、典型的には適当なレベルは約5から10mg、またはそれより少ない。AChEIまたはその塩を、1日あたり2回まで、1日あたり1回までのレジメンで投与し得、または、より少ない頻度で投与し得る。ARICEPTTMに関して、単独で投与する場合、典型的な1日あたりの投与量は、約5から20mgである。
本発明のある実施態様において、バルプロエートまたはその塩と組み合わせて投与されるARICEPTTMの量は、約0.1から10mgである。いくつかの実施態様において、バルプロエートまたはその塩と組み合わせて投与されるARICEPTTMの量は、治療量以下の量である。いくつかの実施態様において、バルプロエートまたはその塩と組み合わせて投与されるARICEPTTMの量は、1日あたり10mgより少ない、1日あたり5mgより少ない、1日あたり1mgより少ない、1日あたり0.5mgより少ない、または1日あたり0.1mgより少ない。
AChEIまたはその塩は、バルプロエート依存性のAChEIの治療指数の増加のためにバルプロエートまたはその塩と組み合わせて提供される場合、従来のレベルとは異なる投薬レベルで投与され得る。いくつかの実施態様において、バルプロエートまたはその塩との組み合わせによるAChEIの治療指数の増加は、AChEI単独の治療指数よりも少なくとも約1.5×または2.0×または2.5×または3.0×または3.5×または4.0×または4.5×または5.0×または5.5×または6.0×または6.5×または7.0×または7.5×または8.0×または8.5×または9.0×または9.5×または10×高いか、あるいは約10×よりも高い。いくつかの実施態様において、AChEIまたはその塩とバルプロエートまたはその塩との組み合わせは、その治療効果のために必要なAChEIの投与量を減少させる。いくつかの実施態様において、バルプロエートまたはその塩と組み合わせて投与するAChEIの量は、約0.1から10mgである。いくつかの実施態様において、バルプロエートまたはその塩と組み合わせて投与するAChEIの量は、治療量以下の量である。いくつかの実施態様において、バルプロエートまたはその塩と組み合わせて投与するAChEIの量は、1日あたり10mgより少ない、1日あたり5mgより少ない、1日あたり1mgより少ない、1日あたり0.5mgより少ない、または1日あたり0.1mgより少ない。
本発明の組成物の投与の頻度を、投与する医師の判断に基づいて、処置の過程にわたって調整し得る。バルプロエートおよびAChEIおよびそれらの塩を、異なる投薬頻度または間隔で投与し得ることが明らかである。例えば、バルプロエートまたはその塩を毎日(1日あたり複数用量を含む)、またはより少ない頻度で投与し得る。AChEIまたはその塩を、毎日(1日あたり複数用量を含む)、またはより少ない頻度で投与し得る。いくつかの実施態様において、バルプロエートおよびAChEIまたはその塩の、持続性徐放性処方が望ましくあり得る。持続放出を達成するための様々な処方およびデバイスが、当該分野で公知である。
上で記載したように、いくつかのAChEI(ドネペジルのような)およびそれらの塩は、コリン作動性の副作用を生じ得る。バルプロエートおよびAChEIおよびそれらの塩の組み合わせを使用することは、加齢性認知機能不全が関与する疾患、および他の情動性疾患の処置に必要なAChEIの量を抑制し得、従ってAChEIによって生じる副作用を抑制し得る。特に、バルプロエートと抑制した量のAChEIまたはその塩との組み合わせは、効能に負の影響を与えずに、コリン作動性の副作用を抑制し得る。よって、いくつかの実施態様において、治療量以下の量のAChEIを投与する。
いくつかの実施態様において、AChEIまたはその塩の用量(例えば認知機能改善の程度に影響を与えるために、または加齢性認知機能障害を処置するために必要な用量)を、単独で(すなわち個々に、かつ他の治療薬または化合物と組み合わせずに)投与する場合に通常使用されるAChEIまたはその塩の用量から、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、または少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、またはそれ以上抑制することを可能にするために、十分なバルプロエートまたはその塩を投与する。その抑制は、所定の投与において投与される量、および/または所定の期間にわたって投与される量(抑制された頻度)に関して反映され得る。
(本発明の組成物)
1つの局面において、本発明は、バルプロエートおよびAChEIおよびそれらの塩を含む組成物を提供する。いくつかの実施態様において、バルプロエートおよびAChEIまたはそれらの塩は、単回投与単位において存在し得る(例えば1つのカプセル、錠剤、粉末、または液体等の中に組み合わせて)。いくつかの実施態様において、その組成物中のAChEIはドネペジルである。いくつかの実施態様において、その組成物は、バルプロエートとしてバルプロ酸ナトリウムを含み、そしてAChEIとしてドネペジルを含む。本明細書中で記載された組成物は、1つより多いバルプロエートおよび/または1つより多いAChEIまたはそれらの塩を含み得る。
本明細書中で記載される組成物はさらに、薬学的に受容可能な賦形剤を含み得、そしてバルプロエートおよび/またはAChEIまたはそれらの塩の有効性を増強および/または補完するよう作用する他の薬剤を含み得る。その組成物はまた、認知機能疾患を処置するために有用であることが公知の、さらなる薬剤を含み得る。
本発明の組成物は、カプセル、錠剤、糖剤(dragrees)、丸剤、ロゼンジ、粉末、および顆粒のような、固体投薬形態であり得る。適当な場合には、固体投薬形態を腸溶性コーティングのようなコーティングを用いて調製し得、または固体投薬形態を、当該分野で周知の方法によって、持続放出、または遷延性放出のような、1つまたはそれ以上の活性成分の制御された放出を提供するよう処方し得る。ある実施態様において、その組成物は、遅延、制御、または延長された放出の形態である。「延長された放出」という用語は、薬科学の分野で広く認知されており、そして本明細書中で、活性化合物または薬剤の、延長された時間、例えば1時間以上にわたる(その間中ずっと、またはその間)、投薬形態から環境への制御された放出を指して使用される。延長された放出投薬形態は、延長された時間にわたって実質的に一定の速度で薬物を放出するか、または実質的に一定の量の薬物が、延長された時間にわたって漸増的に放出される。本明細書中で使用される「延長された放出」という用語は、「制御された放出」、「遷延性放出」、「持続放出」または「遅延放出」という用語を含む(これらの用語は薬科学において使用されるため)。いくつかの実施態様において、延長放出投薬を、パッチまたはポンプの形態で投与する。その組成物はまた、溶液、エマルジョン、懸濁物、シロップ、およびエリキシルを含む、液体投薬形態であり得る。
その組成物を、本明細書中で記載されたような、および当該分野で公知であるような任意の適当な経路による投与のために、特異的に処方し得る。非経口投与のための組成物としては、滅菌水性および非水性注射可能溶液、分散物、懸濁物、またはエマルジョン、ならびに使用前に滅菌注射可能溶液または分散物に再構築される滅菌粉末が挙げられる。口内および経口送達(舌下および頬側投与、例えばDanckwertsら、ならびに経口投与を含む)のための組成物としては、生体付着性ポリマー、錠剤、パッチ、液体および半固体(例えばSmartらを参照のこと)が挙げられるがこられに限らない。呼吸性送達(肺および鼻腔内送達)のための組成物としては、様々な加圧定量吸入器、乾燥粉末吸入器、噴霧器、水性霧吸入器、液滴、溶液、懸濁物、スプレー、粉末、ゲル、軟膏、ならびにリポソームおよびミクロスフェアのような特殊化システムが挙げられるがこれらに限らない(例えばOwensら、「Alternative Routes of Insulin Delivery」およびMartiniらを参照のこと)。経皮送達のための組成物としては、コロイド、パッチおよびマイクロエマルジョンが挙げられるがこれらに限らない。上記およびその他のための、他の適当な投与形態としては、蓄積注射可能処方物(depot injectable formulation)、坐剤、スプレー、軟膏、クリーム(cremes)、ゲル、吸入剤、皮膚パッチ、インプラント等が挙げられる。
治療的処方物を、薬学分野において周知の方法によって調製し得、例えばGoodmanら、2001;Anselら、2004;Stoklosaら、2001;およびBustamanteら、1993を参照のこと。
本発明のある実施態様において、バルプロエートおよびAChEIおよびそれらの塩を含む組成物は、被験体が0.1から20μg/ml血漿の血中全バルプロエートレベルを維持するような量のバルプロエートまたはその塩を含む。いくつかの実施態様において、組成物中のバルプロエートまたはその塩の量は、1500mgより少ない、1000mgより少ない、500mgより少ない、250mgより少ない、125mgより少ない、75mgより少ない、25mgより少ない、10mgより少ない、または5mgより少ない。いくつかの実施態様において、組成物中のAChEIまたはその塩の量は、約0.1から10mgまでである。いくつかの実施態様において、組成物中のAChEIまたはその塩の量は、10mgより少ない、5mgより少ない、2mgより少ない、1mgより少ない、0.5mgより少ない、または0.1mgより少ない。
本明細書中で記載された組成物および方法を、取り組むべき適用のために適当なように適合させ得るかまたは修飾し得ること、ならびに本明細書中で記載された組成物および方法を、他の適当な適用において採用し得ること、ならびにそのような他の追加および修飾は、本明細書の範囲から逸脱しないことが、当業者によって理解される。
本発明は、以下の実験の詳細からより良く理解される。しかし、その後に続く実施態様においてより完全に記載されるように、当業者は、議論される特定の方法および結果は、本発明の単なる例証であることを容易に認識する。
(実施例)
(序文および加齢性認知機能障害のモデル)
認知機能障害によって特徴付けられる様々な病状(例えば加齢関連性記憶障害[AAMI]、軽度認知機能障害[MCI]、および加齢性認知機能低下[ARCD])は、加齢に関連すると考えられる。動物モデルが、そのような加齢性認知機能障害の処置を開発および評価するために重要な資源となる。動物モデルにおいて加齢性認知機能障害を特徴付ける特徴は、典型的にはヒトにおける加齢性認知機能障害まで広がる。そのような動物モデルにおける効能は、従って、ヒトにおける効能を予測する。
利用可能なモデルのうち、認知機能障害のロングエバンス(Long−Evans)ラットモデルは、病気に関連する認知機能障害と加齢に関連するものとの間の差異を区別するために、特にふさわしい。実際、広範囲な行動の特徴付けが、老齢ロングエバンスラットの非近交系統における認知障害の天然に存在している形態を同定した(Charles River Laboratories;Gallagherら、Behav.Neurosci.107:618−826、(1993))。モーリス水迷路(MWM)による行動評価において、ラットは、迷路周囲の空間的手がかりの配置によって誘導される、避難プラットフォームの位置を学習および記憶する。若年ラット(6月齢)と老齢ラット(26−27月齢)との間の成績の認知的基礎を、避難プラットフォームの位置の探索における動物の空間的バイアスの測定を用いて、プローブ試行において試験する。研究集団の老齢ラットは、見えるプラットフォームへ泳ぐのに困難を有さないが、プラットフォームがカムフラージュされ、空間情報の使用を必要とする場合、年齢依存性の障害を検出する。近交系ロングエバンス系統の個々の老齢ラットの成績は、大きく変動する。例えば、それらのラットの一部は、若年成体と同等の成績である。しかし、約40−50%は、若年の成績の範囲の外側に落ちる。老齢ラットの間のこの変動性は、信頼度の高い個々の差異を反映する。従って、老齢集団の中で、何匹かの動物は認知機能が損なわれており、これらを加齢性障害(AI)と呼び、そして他の動物は損なわれておらず、これらを加齢性非障害(AU)と呼ぶ。例えば、Colomboら、Proc.Natl.Acad.Sci.94:14195−14199(1997);GallagherおよびBurwell、Neurobiol.Aging 10:691−708(1989);RappおよびGallagher、Proc.Natl.Acad.Sci.93:9926−9930(1996);Nicolleら、Neuroscience 74:741−756(1996);ならびにNicolleら、J.Neurosci.19:9604−9610(1999);Gallagherら、Behav.Neurosci.107:618−626(1993)を参照のこと。
本発明者らは、上で記載したこのラットモデルを用いて、個々のAIおよびAUラットを同定した。次いで本発明者らは、それらに対して組織学的実験を行い、ならびに、様々な薬理学的処置を施しながらさらなるMVM課題における成績を試験した。
(実施例1:ムスカリン性結合におけるバルプロエート処置の効果)
膜調製物:ラットを断頭し、そして海馬を氷上で解剖し、次いで−80℃で凍結させた。全ての組織を−80℃で保管し、そしてGTP−Eu結合のために処理した。GPT−Eu結合アッセイのために、0.2mMのEGTAおよびプロテアーゼインヒビターを含む、5容積の氷冷した50mMのTris緩衝液、pH7.4中で、Dounceホモジナイザーによる穏やかな均質化によって、膜を凍結組織から調製した。4℃で10分間、40,000×gで遠心分離した後、ペレットを30mlの氷冷Tris緩衝液に再懸濁した。上で記載した工程を2回繰り返し、次いで最終的なペレットを、アッセイ緩衝液(50mMのTris、0.2mMのEGTA、5mMのMgCl、および100mMのNaCl、pH7.4)に再懸濁した(Zhangら、2007)。
ムスカリン性受容体刺激GTP−Eu結合アッセイ。GTP−Eu結合を、時間分解蛍光を用いて評価した(Wallac 1420、Perkin−Elmer)。膜および全ての試薬を、アッセイ緩衝液で希釈した。アッセイの際に、実験者はグループの識別について伏せられていたが、齢および行動成績に基づく平衡化様式で、サンプルを96穴フィルタープレートへ加えた。サンプルを37℃で40分間インキュベートし、次いでキットのGTP洗浄緩衝液で4回洗浄した。GTP−Euの膜への組み込みを、時間分解蛍光を用いて、サンプルを340nmで励起し、そして615nmにおける発光を読み取ることによって測定した(Zhangら、2007、Nicolleら、1999)。
結果:結合アッセイのデータを、若年ラットにおけるムスカリン性受容体刺激GTP−Eu結合のパーセンテージとして示す。データは、低用量の慢性のバルプロエート投与により、記憶障害老齢ラットの海馬において、シナプス後ムスカリン性結合が効果的に回復することが見出されたことを示す(図1)。
(実施例2:6時間遅延記憶課題における、バルプロ酸ナトリウム(「VPA」)処置の行動評価)
空間認識の標準化評価(Gallagherら、1993)において、損なわれた記憶成績を示す老齢ラット、すなわちAIラットを、薬剤介入研究のために選択した。AIラットを、バルプロ酸ナトリウム(「VPA」)で慢性的に、かつ、移植した浸透圧ミニポンプによって100mg/kg/日の速度で皮下に投与して処置し、そして次いで新しい水迷路環境でトレーニングおよび試験した。ここで使用した水迷路は、異なる建造物の中にあり、そして新規のセットの白いパターンを有する黒いカーテンで囲まれていた。使用したトレーニングプロトコールは、高度に海馬依存性であることが公知である修飾水迷路課題に基づいた(de Hozら、2005;SteeleおよびMorris、1999)。避難プラットフォームの位置がトレーニング中一定のままである伝統的な水迷路プロトコール(上で記載した、バックグラウンド評価において使用したもののような)と異なり、課題のこの空間記憶バージョンにおける避難プラットフォームの位置は、日によって異なっていた。
そのテストは、トレーニング期、それに続く記憶保持テストから成っていた。それぞれの日に、トレーニング期中、ラットに水浸した避難プラットフォームの位置を探すための6回の試行を与えた。各試行において、ラットを、プールの周囲にある4つの等間隔の開始位置の1つから、迷路へ放した。開始位置は、試行ごとに異なっていた。どの試行においても、ラットが60秒以内に避難プラットフォームの位置を探せなければ、実験者が案内して、ラットをプラットフォームへ置き、そこで20秒間留まった。次いでラットをプラットフォームから除去し、そして次の試行の前に40秒間、維持ケージに置いた。迷路を泳ぐ間にラットがとった経路の長さを各試行において測定した。トレーニングセッションの6回の試行の終わりに、続く記憶保持テストに備えて、ラットを、6時間の待機期間中、コロニールームのホームケージに戻した。
6時間の待機期間後、ラットを、トレーニング試行と同じ位置にある水浸したプラットフォームによる空間記憶テストのための水迷路へ戻した。プラットフォームの位置を探すために、各ラットに60秒を与えた。この様式で、5日間連続でラットをトレーニングおよびテストした。分析のために、最後の3日間の成績を平均した。結果を図2に示す。バルプロ酸ナトリウムまたは生理食塩水で処置した、記憶障害老齢ラットは、トレーニング期の終わりにおいて、類似するレベルの成績であったが(試行1−6)、高用量のVPA(VPA100=100mg/kg/日)で処置したものは、生理食塩水(VEH)または低用量の薬物(VPA50=50mg/kg/日)のいずれかで処置したその対応物と比較して、6時間の遅延後、より忘れていないこと(すなわち、記憶の保護または保持)を示した。100mg/kg/日のVPAの慢性皮下投与は、10μg/ml血漿の血中全VPAレベル(10μg/mlの全VPA)を生じる。
(実施例3:24時間遅延記憶課題における、VPA、ドネペジルおよび併用処置の行動評価)
加齢性障害(AI)ロングエバンスラット(上記で特徴付けられたような)を、種々の薬物/コントロール処置条件下:ビヒクルコントロール、ドネペジルのみ、VPAのみ、ならびにVPAおよびドネペジルの併用で、MWMにおける新しい空間情報の記憶に関してテストした。ドネペジルを、トレーニング試行の30分から1時間前に、ある範囲の用量(0.5、1.0または2.0mg/kg)で投与した。VPAを、移植した浸透圧ミニポンプによって、100mg/kg/日の速度で、慢性的に皮下投与した。
AIラットに、2日間連続で、各トレーニング試行の間の60秒の試行間間隔(inter−trial interval)で、トレーニング日あたり6回のトレーニング試行を与えた。各トレーニング試行において、ラットをプールの周囲にある4つの等間隔の開始位置の1つから迷路へ放した。どの試行においても、ラットが90秒以内に避難プラットフォームの位置を探せなければ、実験者がラットをプラットフォームへ誘導し、そこで30秒間留まった。各トレーニング日において、全てのトレーニング試行の30分から1時間前に、AIラットを4つの薬物条件の1つで前処置した:腹腔内(i.p.)注射による、1)ビヒクルコントロール(0.9%生理食塩水溶液);2)0.5mg/kgのドネペジル;および3)1.0mg/kgのドネペジル;および4)2.0mg/kgのドネペジル。
それぞれのラットにおいて、それぞれの処置条件をテストするために、同じAIラットを実験のセット全体のために使用した。従って、あらゆる潜在的なバイアスを平衡化するために、避難プラットフォームの位置および水迷路の周囲の空間的手がかりの両方が、4つの処置条件で異なっていた。言い換えると、1セットの位置および空間的手がかりを使用し、2匹のラットを生理食塩水コントロール溶液で、2匹を0.5mg/kgのドネペジルで、2匹を1.0mg/kgのドネペジルで、そして2匹を2.0mg/kgのドネペジルで処置した。これらのグループをさらなる3セットの位置および空間的手がかりで回し、2匹のグループそれぞれが各回で異なる処置を受け、最後には、各処置条件を8匹のラットでテストした。
12回のトレーニング試行(2日間にわたる)の完了後、続く記憶保持テストに備えて、ラットを24時間の待機期間中、コロニールームのホームケージへ戻した。待機期間後、ラットに1回のテスト試行(「保持試行」)を行った。それはトレーニング試行と同じMWM課題であったが、避難プラットフォームは除去した。
保持試行のために、MWM円形プールを4つの四分円に分けた。トレーニング試行で避難プラットフォームがあった特定の四分円を、「標的四分円」と呼ぶ。トレーニング試行でプラットフォームがあった特定の領域を、「標的輪」と呼ぶ。保持試行において、AIラットが標的四分円で泳いで費やした時間を測定し、そしてさらに全水泳時間のパーセンテージとしてプロットした。AIラットが標的輪で費やした時間も測定した。
バルプロエート処置およびVPA/ドネペジル併用処置の効果を研究するために、上記の実験を、VPAを100mg/kg/日の速度で慢性的に皮下投与する浸透圧ミニポンプを移植したAIラットで繰り返した。
結果を図3に示す保持試行において、AIラットが標的四分円で費やした時間は、約25%であり、それはプラットフォームの位置の記憶を有さないものと同等の成績であった。この成績は、試験したいかなる用量(0.5、1.0、および2.0mg/kg)のドネペジルで処置したグループにおいても有意に改善しなかった。さらに、VPAのみで処置したAIラットの成績において、改善は見られなかった。しかし、2.0mg/kgのドネペジルと100mg/kg/日のVPAとを組み合わせた投与は、標的輪または標的四分円で費やした時間の増加によって示されるように、ビヒクル処置コントロールと比較して、改善した成績を生じた(図3を参照のこと)。
100mg/kg/日のVPAのみの処置は、トレーニング後6時間の待機期間後の記憶保持テストにおいて、AIラットの成績を改善したが(実施例2を参照のこと)、24時間の待機期間を有するより困難な記憶保持テストにおいては改善が見られなかった。ドネペジル処置も、テストしたいかなる投与量においても、2.0mg/kgのテストした最大用量においてさえも、24時間保持テストにおいて、AIラットの成績に影響を与えなかった。しかし、これらの治療量以下の用量のVPA(100mg/kg/日)およびドネペジル(2.0mg/kg)を組み合わせると、AIラットの記憶保持において、予期しない、そして相乗的な改善があった。
(実施例4:8または12方向放射状迷路記憶テストにおける、VPA、ドネペジルおよび併用処置の行動評価)
ラットの空間記憶に対する、VPAとドネペジルとの組み合わせ投与の効果を、12方向放射状迷路における1または8時間保持テストにおいて測定し得る。薬物処置について伏せられている実験者が、行動試験を行う。win−shift戦略を使用するようトレーニングした12匹のロングエバンスラットに、情報試行を与える。情報試行中に、12方向迷路の12本のアームのうち5本をブロックし、そのためラットはそれらのブロックされたアームから餌を摂取できないが、7本のオープンなアームのそれぞれから餌を得ることができる。このセッションのあと、ラットをホームケージに移し、そして動物維持室へ戻す。8時間後(記憶テスト)、ラットを、全てのアームをオープンした迷路へ再び入れ、そして以前にブロックされていたアームにのみ餌を置く。ラットが記憶テストにおいて以前にブロックされていたアームのみを訪れる場合、情報セッションにおける7本のアームの記憶を示す。ラットが情報試行でオープンであったアームに入る場合、逆行性の記憶エラーとなる。8方向迷路の場合、情報試行中、8本のアームのうち3本をブロックする。
単一用量として薬物処置を調査するために、被験体内(within−subject)デザインを採用する。12匹のラットを実験で使用する。そのラットを、ある範囲の濃度で、VPA、ドネペジル、またはVPAおよびドネペジルの組み合わせで処置する。VPAを、浸透圧ミニポンプによって慢性的に投与する(100mg/kg/日まで)。ドネペジル(2mg/kgまで)を、各情報セッションの60分前に投与する。ビヒクルとして生理食塩水(NaCl)を使用する。ラットが日をまたいで異なる順序の処置条件を受けるように、処置を平衡化する。1時間および8時間遅延記憶課題の両方において、ラットをVPAと組み合わせて処置する場合、記憶課題における改善が観察されるドネペジルの用量を抑制する。

Claims (25)

  1. 処置を必要とするか、または加齢性認知機能障害のリスクのある被験体において加齢性認知機能障害を処置する方法であって、該方法は、該被験体に、治療的に有効な量の、アセチルコリンエステラーゼインヒビター(AChEI)およびバルプロエートまたはそれらの薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する、方法。
  2. 前記バルプロエートおよび/もしくは前記AChEIまたはそれらの薬学的に受容可能な塩が、個々に投与される場合に治療量以下である用量で投与される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記加齢性認知機能障害が、軽度認知機能障害(MCI)である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記バルプロエートまたはその薬学的に受容可能な塩が、前記被験体が、0.1〜20μg/ml血漿の血中全バルプロエートレベルを維持するような日用量で投与される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記被験体がヒト患者である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記AChEIが、ドネペジル、タクリン、リバスチグミン、フィゾスチグミンもしくはメトリホナートまたはそれらの薬学的に受容可能な塩である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記AChEIが、ドネペジルまたはその薬学的に受容可能な塩である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記AChEIまたはその薬学的に受容可能な塩が、0.1mg〜10mgの日用量で投与される、請求項1に記載の方法。
  9. 前記バルプロエートおよび前記AChEIまたはそれらの薬学的に受容可能な塩が、同時に投与される、請求項1に記載の方法。
  10. 前記バルプロエートおよび前記AChEIまたはそれらの薬学的に受容可能な塩が、単一の処方で投与される、請求項10に記載の方法。
  11. 前記バルプロエートおよび前記AChEIまたはそれらの薬学的に受容可能な塩が、連続的に投与される、請求項1に記載の方法。
  12. 前記AChEIが、10mg未満、5mg未満、2mg未満、1mg未満、0.5mg未満または0.1mg未満の日用量で投与される、請求項2に記載の方法。
  13. 前記バルプロエートが、1500mg未満、1000mg未満、500mg未満、250mg未満、125mg未満、75mg未満、25mg未満、10mg未満または5mg未満の日用量で投与される、請求項2に記載の方法。
  14. AChEIの治療指数を増大させる方法であって、該方法は、該AChEIと組み合わせて、バルプロエートを被験体に投与する工程を包含する、方法。
  15. 前記バルプロエートと組み合わせての、前記AChEIの治療指数における増大は、該AChEI単独の治療指数の少なくとも約1.5×または2.0×または2.5×または3.0×または3.5×または4.0×または4.5×または5.0×または5.5×または6.0×または6.5×または7.0×または7.5×または8.0×または8.5×または9.0×または9.5×または10×または約10×超である、請求項14に記載の方法。
  16. AChEIおよびバルプロエートまたはそれらの薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物。
  17. 固体形態である、請求項16に記載の組成物。
  18. 液体形態である、請求項16に記載の組成物。
  19. 単位投薬形態である、請求項16に記載の組成物。
  20. 前記組成物中の前記バルプロエートまたはその薬学的に受容可能な塩が、被験体が0.1〜20μg/ml血漿の血中全バルプロエートレベルを維持するような量である、請求項16に記載の組成物。
  21. 前記AChEIが、ドネペジル、タクリン、リバスチグミン、フィゾスチグミンもしくはメトリホナートまたはその薬学的に受容可能な塩である、請求項16に記載の組成物。
  22. 前記AChEIが、ドネペジルまたはその薬学的に受容可能な塩である、請求項21に記載の組成物。
  23. 前記AChEIまたはその薬学的に受容可能な塩が、0.1mg〜10mgの量で存在する、請求項16に記載の組成物。
  24. 前記AChEIまたはその薬学的に受容可能な塩が、10mg未満、5mg未満、2mg未満、1mg未満、または0.5mg未満の量で存在する、請求項16に記載の組成物。
  25. 前記バルプロエートまたはその薬学的に受容可能な塩が、1500mg未満、1000mg未満、500mg未満、250mg未満、125mg未満、75mg未満、25mg未満、10mg未満または5mg未満の量で存在する、請求項16に記載の組成物。
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