JP2011520509A - 複合脊椎ロッド - Google Patents

Abstract

脊椎ロッド（１０）は、細長の柔軟構成材（１２）および補強構成材（２６）を備えている。補強構成材（２６）は、圧縮力による損傷に対する耐性を有しており、少なくとも１つの圧縮溝（３０）を画定するように、柔軟構成材（１２）の少なくとも一部の周りに周方向に配置されている。

Description

［関連出願の相互参照］
本出願は、２００８年５月１３日に出願された米国仮特許出願第６１／０５３，００１号の出願日の利得を主張するものであり、この開示内容は、参照することによって、ここに含まれるものとする。

［発明の分野］
本技術は、整形外科手術に関する。具体的には、本技術は、柔軟性、強度、および局部的な圧縮力に対する耐性の組合せをもたらすように、補強構成材および柔軟構成材から形成された脊椎ロッドに関する。さらに詳細には、本技術は、必要に応じて種々のレベルの柔軟性および剛性をもたらすように設計された種々の形態で製造されることが可能なチタンおよびポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ）の複合物を提供している。

脊椎ロッドまたは椎骨ロッドは、変性椎間板疾患、椎間板ヘルニア、脊柱側弯、または他の湾曲異常または湾曲破損のような脊椎疾患の外科治療に用いられることが多い。脊椎ロッドは、椎体に接続された連続的に配列されている椎弓根ネジアセンブリに機械的に係留されるものである。この脊椎ロッドは、脊椎融合外科手術の後、脊柱の一部に剛性をもたらし、椎体の融合を促進する働きをする。融合によって、椎体間の１つまたは複数の椎間関節が恒久的に固定されることになる。脊椎融合を達成するために、選択される脊椎ロッドは、典型的には、ロッドの全長に沿って均一であり、均一な直径を有すると共に脊椎構造に実質的に剛性支持をもたらすように寸法決めされた比較的堅くて曲がらない材料からなる単一片または一体片から作製されている。

しかし、融合は、いくつかの極めて望ましくない副作用をもたらすことがある。脊椎融合は、脊椎の一部の固定を意図的に生じさせるので、患者の自然な運動を著しく制限する可能性がある。さらに、融合は、脊椎の強化部分をもたらすことになるが、これによって、融合された脊椎の部分に隣接する脊椎の他の部分のより急速な悪化、過度の易動性、および圧潰をもたらすことがある。

剛性脊椎ロッドの代替品として、屈曲、拡張、伸延、圧縮、側曲げ、および捩じれにおけるより正常な負荷パターンをもたらす柔軟脊椎ロッドまたは動的脊椎ロッドが用いられている。動的脊椎ロッドを提供する試みは、従来から、必要とされる曲げおよび捩じれの動力学をもたらすことができる柔軟材料の使用を含んでいる。しかし、これらの材料は、骨ネジを脊椎ロッドに取り付けるときに加えられる圧縮力によって生じることがある損傷を回避するのに必要な強度が不十分な場合がある。

動的脊椎ロッドを提供する最新の試みは、典型的には、柔軟なプラスチック材料、例えば、ポリウレタン、ＵＨＭＷ、ポリエチレン、ＰＥＥＫ、またはテフロン（登録商標）から形成されるロッドの使用を含んでいる。このような柔軟ロッドに対して調整されたレベルの補強をもたらす試みとして、柔軟ロッドの長さに沿って内部に延在する長手方向に配列された補強構成材が用いられてきている。これらの補強構成材は、ケプラー（Kevlar）、ポリエチレン、ポリウレタン、テフロン（登録商標）繊維、炭素繊維、またはステンレス鋼のような材料から形成されている。柔軟脊椎ロッドを提供するあらゆる最近の試みに共通しているのは、このようなロッドが、柔軟性をもたらすと共に十分に強靭であって骨ネジの取付け時の圧縮力による損傷に対して十分に耐える能力に欠けていることである。

従って、従来の骨ネジの取付け箇所において圧縮力による損傷を受けることなく、骨ネジに固定されることが可能である、柔軟脊椎ロッドを提供することが必要とされている。

本技術は、脊椎ロッドへの骨ネジの取付けに関連する通常の圧縮力による損傷を回避するのに十分な表面強度を維持しながら、互いに隣接する椎骨間に動的接続ロッドをもたらすのに十分な柔軟性を有する、脊椎ロッドを提供することによって、上記の要求を満たすものである。

また、ここに提供されているのは、複合構造を有する脊椎ロッドであって、該複合構造が、脊椎の動的調整を可能とする柔軟材料を備えることができ、任意の取付け具または骨ネジに対する接触点となるように複合ロッドの表面に十分な大きさで設けられた耐圧縮力性材料も備えることができる、脊椎ロッドである。

また、ここに提供されているのは、複合構造を有する脊椎ロッドであって、該複合構造が、柔軟材料構成材と、脊椎ロッドの表面上の骨ネジが取り付けられる箇所に少なくとも部分的に配置された埋設補強構成材とを備えることができる、脊椎ロッドである。柔軟構成材は、ＰＥＥＫのような材料であってもよく、補強構成材は、チタンのような金属製の耐圧縮性材料であってもよい。

また、ここに提供されているのは、ロッドの柔軟構成材を損傷から保護するために、ロッドの表面に加えられる圧縮力が耐圧縮性補強材料によってロッド内を横断して伝達されることが可能になっている、複合構造を有する脊椎ロッドである。

また、ここに提供されているのは、埋設された耐圧縮性補強構成材が脊椎ロッドの表面上の骨ネジが取り付けられる箇所に少なくとも部分的に露出するようになっている、柔軟芯材を有する脊椎ロッドである。補強構成材は、脊椎ロッドの片側に露出している補強材料の表面を脊椎ロッドの少なくとも１つの他の側に露出している補強材料の表面に接続するために、柔軟芯材を横方向に貫通していてもよい。

また、ここに提供されているのは、柔軟構成材および補強構成材の組合せから構成された脊椎ロッドであって、補強構成材が脊椎構造の多レベルに設けられることが可能になっている、脊椎ロッドである。

また、ここに提供されているのは、柔軟構成材および補強構成材の組合せから構成された脊椎ロッドであって、柔軟構成材が、脊椎ロッドの長さに沿って選択された柔軟性の勾配を有するように作製されることが可能になっている、脊椎ロッドである。

また、ここに提供されているのは、柔軟構成材と補強構成材との組合せから構成された脊椎ロッドであって、補強構成材が、端同士を向き合わせて配列された２つの個別の柔軟ロッド間に接続機能をもたらすように構成されることが可能になっている、脊椎ロッドである。これらの２つの個別の柔軟ロッド構成材は、同じ構造を有していてもよいし、または異なる構造を有していてもよく、これによって、互いに同じ柔軟性または互いに異なる柔軟性を有するようになっていてもよい。

また、ここに提供されているのは、脊椎ロッドであって、補強構成材が、柔軟構成材の表面の少なくとも一部に露出しており、接続ピンが、対向する表面に露出している補強構成材の少なくとも１つの下面に直接接触することなく近接し、それらの間に圧縮空間を画定するように、柔軟構成芯材を横方向に貫通している、脊椎ロッドである。従って、表面に露出している補強構成材の１つに加えられる圧縮力は、まず圧縮空間を閉じるように働き、その補強構成材を下に位置する接続ピンに接触させ、これによって、接続ピンを介して、圧縮力をロッドの対向する側の補強構成材に伝達することが可能となる。

また、ここに提供されているのは、脊椎構造体を移植する方法であって、該脊椎構造体が、従来の骨ネジ取付け具によって加えられる圧縮力による損傷を回避するために脊椎接続ロッドの表面に十分な強度を維持しながら、互いに隣接する椎骨間のある程度の柔軟性および調整された運動を行うことが可能になっている、方法である。

また、ここに提供されているのは、柔軟特性および外部から加えられる圧縮力による損傷を回避するのに必要とされる表面強度の両方を有する少なくとも１つの脊椎ロッドと、少なくとも２つの骨ネジと、を含むキットである。

本技術の一態様は、細長の柔軟構成材および補強構成材を備える脊椎ロッドであって、補強構成材が圧縮力による損傷に対する耐性を有している、脊椎ロッドを提供している。補強構成材は、少なくとも１つの圧縮溝を画定するように、柔軟構成材の少なくとも一部の周りに周方向に配置されることが可能になっている。

一実施形態では、脊椎ロッドの脊椎ロッド補強要素は、柔軟構成材と補強構成材との間に空間を画定するように、柔軟構成材の少なくとも一部の周りに周方向に配置されていてもよい。さらに、補強構成材は、取付け具との接触を容易にするように構成されたネジ接触面を備えていてもよい。接触面は、椎弓根ネジとの接触を容易にするように処理されていてもよい。

加えて、脊椎ロッドの補強構成材は、少なくとも２つの個別の補強要素とされていてもよく、柔軟構成材の表面内に少なくとも部分的に埋設されていてもよい。さらに、柔軟構成材は、その長さの少なくとも一部に沿って柔軟性の勾配を有していてもよい。付加的または代替的に、柔軟構成材は、１つの区域の柔軟性が少なくとも１つの他の区域の柔軟性と異なる複数の区域を有していてもよい。

本技術の他の態様は、細長の柔軟構成材および補強構成材を備える脊椎ロッドであって、補強構成材が圧縮力による損傷に対する耐性を有している、脊椎ロッドを提供している。加えて、補強構成材は、上側ブラケット、対向する下側ブラケット、およびそれらの間に延在している接続ピンを備えていてもよい。

一実施形態では、接続ピンは、柔軟構成材を横方向に貫通して配置されていてもよく、接続ピンの各端が、上側ブラケットまたは下側ブラケットの方に向けられ、上側ブラケットおよび接続ピンまたは下側ブラケットおよび接続ピンの少なくとも一方が 、圧縮空間を画定するようになっていてもよい。さらに、上側ブラケットおよび下側ブラケットの少なくとも１つは、柔軟構成材の表面内に少なくとも部分的に埋設されていてもよい。

さらに他の実施形態では、上側ブラケットおよび下側ブラケットの少なくとも１つの縁には、テーパが付されていてもよく、このテーパ縁によって、下に位置する柔軟構成材に対する圧縮応力遮蔽の勾配がもたらされるようになっていてもよい。さらに、柔軟構成材は、その長さの少なくとも一部に沿って柔軟性の勾配を有していてもよい。さらに、補強構成材は、少なくとも２つの個別の補強要素とされていてもよく、柔軟構成材は、１つの区域の柔軟性が少なくとも１つの他の区域の柔軟性と異なっている複数の区域を有していてもよい。

本技術のさらに他の態様は、互いに隣接する椎骨を接続し、安定化させるための方法であって、本技術の脊椎ロッドを設けるステップと、脊椎ロッドを挿入するための外科的視野をもたらすステップと、脊椎ロッドを互いに隣接する椎骨に接続するステップと、を含んでいる、方法を提供している。さらに、接続ステップは、椎弓根ネジを椎骨に接続し、椎弓根ネジを脊椎ロッドに接続することをさらに含んでいてもよい。椎弓根ネジによって脊椎ロッドに加えられる圧縮力が柔軟構成材を横方向に貫通している補強構成材を介して伝達される脊椎ロッドの位置において、椎弓根ネジが脊椎ロッドに接続され、これによって、補強構成材が柔軟構成材に対して応力遮蔽をもたらすようになっていてもよい。

本技術のさらに他の態様は、互いに隣接する椎骨を接続し、安定化させるのに用いられるキットであって、本技術による少なくとも１つの脊椎ロッドと、少なくとも１つの椎弓根ネジとを備えている、キットを提供している。このキットでは、少なくとも１つの脊椎ロッドは、多数の脊椎ロッドであってもよく、少なくとも１つの椎弓根ネジは、多数の椎弓根ネジであってもよい。加えて、このキットは、脊椎ロッドおよび椎弓根ネジの使用に関連する少なくとも１つの器具または工具をさらに備えていてもよい。

本技術の代替的な実施形態は、細長の柔軟構成材および補強構成材を備える脊椎ロッドにおいて、補強構成材が圧縮力による損傷に対する耐性を有している、脊椎ロッドをもたらしている。さらに、補強構成材の一部は、柔軟構成材の表面上に周方向に配置されていてもよく、補強構成材の一部は、周方向に配置された補強構成材の向き合っている側を互いに接続するために、柔軟構成材を横方向に貫通していてもよい。これによって、補強構成材は、外部から加えられる圧縮力を細長の柔軟構成材を横切って脊椎ロッドの対向する側に伝達することによって、圧縮力による損傷から柔軟構成材を応力遮蔽することができる。この実施形態の補強構成材のこの部分は、多数の部分であってもよい。加えて、補強構成材は、複数の周方向に配置されたリングとして構成されていてもよく、リングの少なくとも１つが、柔軟構成材を横方向に貫通する多数の部分を有していてもよい。さらに、多数の横方向に延在している部分は、柔軟構成材を対称的に横方向に貫通するように配置されていてもよい。代替的に、多数の横方向に延在している部分は、柔軟構成材の選択された運動面により高い柔軟性をもたらすことができる脊椎ロッドを作製するために、非対称的かつ選択的に配置されていてもよい。

本技術の他の実施形態は、細長の柔軟構成材および補強構成材を備える脊椎ロッドであって、補強構成材が圧縮力による損傷に対する耐性を有している、脊椎ロッドにおいて、補強構成材が、脊椎ロッドの細長の柔軟構成材の少なくとも一部に沿って延在している周方向に配置された螺旋体として、柔軟構成材上に構成されている、脊椎ロッドをもたらしている。

さらに他の実施形態は、細長の柔軟構成材および補強構成材を備える脊椎ロッドであって、補強構成材が圧縮力による損傷に対する耐性を有している、脊椎ロッドにおいて、補強構成材が、細長の柔軟構成材の少なくとも一端に保護エンドキャップを設けるように構成されている、脊椎ロッドをもたらしている。

代替的に、本技術の実施形態は、細長の柔軟構成材および補強構成材を備える脊椎ロッドであって、補強構成材が圧縮力による損傷に対する耐性を有している、脊椎ロッドにおいて、補強構成材が、細長の柔軟構成材の表面上に細長の柔軟構成材の長軸と平行に延在するように配置された複数の細長の補強要素として構成されている、脊椎ロッドをもたらしている。

本技術の一実施形態は、細長の柔軟構成材および補強構成材を備える脊椎ロッドであって、補強構成材が圧縮力による損傷に対する耐性を有している、脊椎ロッドにおいて、柔軟構成材が炭素繊維補強構造を備えている、脊椎ロッドをもたらしている。炭素繊維は、チョップド繊維であってもよいし、巻付け繊維であってもよい。さらに、炭素繊維は、細長の柔軟構成材に柔軟性の勾配をもたらすために、柔軟構成材内に選択的に配置されていてもよい。炭素繊維の選択的な配置は、チョップド炭素繊維の密度の増減によってなされてもよい。具体的には、チョップド炭素繊維の密度の高い柔軟構成材の部分は、炭素繊維の密度の低い柔軟構成材の部分に対して剛性を呈することになる。さらに、炭素繊維の選択的な配置は、巻付け炭素繊維の巻数の増減によってなされてもよい。具体的には、炭素繊維の巻数の多い柔軟構成材の部分は、炭素繊維の巻数の少ない柔軟構成材の部分に対して剛性を呈することになる。

本技術の一実施形態は、細長の柔軟構成材および補強構成材を備える脊椎ロッドであって、補強構成材が、圧縮力による損傷に対する耐性を有しており、柔軟構成材の表面の少なくとも一部に周方向に配置されたメッシュから構成されている、脊椎ロッドを含んでいる。代替的な実施形態では、補強構成材は、上側ブラケットおよび対向する下側ブラケットを有する接続ブラケットを備えていてもよく、この接続ブラケットが、２つの個別の長手方向に配列された柔軟構成材を互いに端間接続するように、構成されていてもよい。

代替的な実施形態では、脊椎ロッドは、細長の柔軟構成材と、補強構成材と、接続ブラケットとを備えていてもよく、補強構成材は、圧縮力による損傷に対する耐性を有しており、接続ブラケットは、少なくとも２つの横方向に配置された接続ピンを備えており、接続ピンの各々は、個別の脊椎ロッドのそれぞれの細長の柔軟構成材を貫通するようになっていてもよい。

さらに他の実施形態では、脊椎ロッドは、細長の柔軟構成材および圧縮力による損傷に対する耐性を有する補強構成材を有していてもよい。加えて、補強構成材は、少なくとも１つの圧縮溝を画定するように、柔軟構成材の少なくとも一部に隣接して配置されていてもよく、補強構成材は、上側ブラケット、対向する下側ブラケット、およびそれらの間に延在している接続ピンを備えていてもよい。

開示されている技術の前述の特徴および他の特徴は、添付の図面を参照して、以下の例示的な実施形態の説明を考慮すれば、本技術に関連する技術分野における当業者には明らかになるだろう。

略円断面を有する柔軟構成材と複数の部分的に埋設された剛性補強構成材とを有する脊椎ロッドを示す図である。 非対称的な配置の部分的に埋設された剛性補強構成材を有する図１Ａの脊椎ロッドを示す図である。 細長の脊椎ロッドの各端に部分的に埋設された同心の補強構成材接続リングを有する図１Ａの脊椎ロッドを示す図である。 略円断面を有する柔軟構成材と、略均等にかつ互いに平行に離間してロッドの長軸を中心として周方向に配置された複数の部分的に埋設された剛性補強構成材と、を有する脊椎ロッドを示すと共に、補強構成材リングの各々を両断する内向きのクロス部材からなる代替的要素も示す図である。 骨ネジの取付けがなされる選択位置において、補強リングがロッドの長軸に沿って細長く延びて配置されている図２Ａと同様の構造を有する脊椎ロッドであって、この構造が図２Ａに図示されかつ説明されている内向きクロス部材の要素も代替的に備えることができる、脊椎ロッドを示す図である。 脊椎ロッドの柔軟構成材の表面の上方に隆起するように構成された補強リングを有する図２Ｂの脊椎ロッドの変更形態を示すと共に、補強リング内に画定されている圧縮スリットからなる代替的要素も示す図である。 取り付けられる従来の骨ネジの係止用止めネジとの接触を容易にするために、隆起した補強構成材リングの上面がその接触位置において平坦になっている図２Ｃの脊椎ロッドを示すと共に、補強リング内に画定されている圧縮スリットからなる代替的要素も示す図である。 脊椎ロッドの補強構成材リング部分の代替的構造であって、リングが少なくとも１つの圧縮スリットを有している、代替的構造の等尺斜視図である。 図３Ａに示されているように構成された複数の補強構成材リングを有する脊椎ロッドを示す図である。 図３Ｂに示されている柔軟部分の代わりに用いられる脊椎ロッドの代替的な柔軟構成材を示す図である。 脊椎ロッドの代替的な補強構成材ブラケット部分であって、補強構成材ブラケットが、少なくとも１つの接続ピンを備えると共に、図示されているように、取り付けられる従来の骨ネジの係止用止めネジとの接触を容易にするために、その接触位置において平坦な上面を有している、代替的な補強構成材ブラケット部分を示す図である。 脊椎ロッドの柔軟構成材内に部分的に埋設された図４Ａの代替的な補強構成材ブラケットであって、ロッドが平坦な上面および湾曲した下面を有するように構成されている、代替的な補強構成材ブラケットを示す図である。 補強構成材ブラケットが脊椎ロッドの柔軟部分の表面の上方の隆起位置に配置されている図４Ｂに示されている脊椎ロッドの代替的構造を示す図である。 上部および下部が脊椎ロッドの柔軟部分の湾曲した上面および湾曲した下面に適合するように湾曲されている補強構成材ブラケットの代替的構造を示す図である。 湾曲した上部および下部を有する代替的な補強構成材ブラケットであって、上側湾曲部が骨ネジをロッドに係止する止めネジの取付けを容易にするために部分的に平坦化されている補強構成材ブラケットを示す図である。 湾曲した上部および下部を有する代替的な補強構成材ブラケットであって、上側湾曲部が骨ネジをロッドに係止する止めネジの取付けを容易にするために部分的に平坦化されている補強構成材ブラケットを示すと共に、ロッドの柔軟部分の表面の上方の隆起位置に取り付けられた１対の同一の代替的な補強構成材ブラケットを示す図である。 ロッドの柔軟部分に沿って多レベルに配置された剛性補強構成材の使用を示す図である。 脊椎ロッドの全長の全てまたは少なくとも一部に沿って柔軟性の勾配を有する柔軟構成材を有する脊椎ロッドを示す図である。 剛性補強構成材の代替的な実施形態を有する脊椎ロッドであって、補強構成材は、ロッドの２つの長手方向に配列された柔軟構成材間のコネクタとして機能するように構成されており、２つの接続された柔軟構成材は、互いに同じ程度の柔軟性または互いに異なる程度の柔軟性を有している、脊椎ロッドを示す図である。 脊椎ロッドの代替的な実施形態の柔軟部分および補強構成材部分であって、これらの２つの部分は、一緒に組み立てられたときに係合可能な互いに対応する螺旋スリットおよび螺旋隆起を有するように構成されている、柔軟部分および補強構成材部分を示す図である。 脊椎ロッドの代替的な実施形態の柔軟部分および補強構成材部分であって、これらの２つの部分は、一緒に組み立てられたときに係合可能な互いに対応する螺旋スリットおよび螺旋隆起を有するように構成されている、柔軟部分および補強構成材部分を示す図である。 脊椎ロッドの代替的な実施形態であって、補強構成材は、コイルバネのようにロッドの柔軟部分の全長にわたって外周に重ねられるように構成されており、代替的に、ロッドの柔軟部分は、該柔軟部分の表面に対応する凹部を有するように構成されている、代替的な実施形態を示す図である。 管状メッシュとして構成された脊椎ロッドの代替的な補強構成材を示す図である。 管状メッシュとして構成された脊椎ロッドの代替的な補強構成材であって、ロッドの柔軟部分の表面を囲むように配置されている、代替的な補強構成材を示す図である。 図１０Ｂの代替的な補強構成材および柔軟部分であって、補強構成材メッシュが脊椎ロッドの端部分のみに配置されかつ部分的に埋設されている、代替的な補強構成材および柔軟部分を示す図である。 ロッドの同一の柔軟部分の互いに異なる部分に部分的に埋設された補強構成材の互いに異なる代替的実施形態の例を示す図である。

本発明の好ましい実施形態がここに開示されているが、以下の説明および添付の図面の各々は、本発明を例示するものとしてここに提示されているにすぎず、特許請求の範囲から逸脱することなく種々の形態で実施されてもよいことを理解されたい。従って、以下の説明において提示される特定の構造的および機能的な詳細は、非制限的なものであり、添付の特許請求の範囲に記載されている本発明の基本原理としての役割を果たしているにすぎない。以下に述べる装置は、必要に応じて、特許請求の範囲に記載されている本発明から逸脱することなく、素材のさらなる発展および改良に適合するように修正されることも可能である。

以下、図面について説明する。これらの図面において、同様の参照番号は、同様の特徴部を指すものとする。図１Ａ〜図１Ｃ、図２Ａ〜図２Ｄ、図３Ｂ、図４Ｂ〜図４Ｄ、図４Ｆ、図５、図６、図７、図９および図１０Ｂにおいて１０で総称的に示されている脊椎ロッドは、細長の柔軟構成材１２および少なくとも１つの剛性補強構成材１４を備えており、少なくとも１つの剛性補強構成材１４は、柔軟構成材１２の外面１６の少なくとも一部に少なくとも部分的に露出している。

本発明による脊椎ロッド１０は、融合手術あるいは他の脊椎手術または整形外科手術に関連して、どのような適切な構成部品と関連付けて用いられてもよい。このような構成部品の例として、例えば、米国特許第６，２６１，２８７号、第６，５３７，２７６号、第６，８５８，０３０号、および第７，１２８，７４３号に記載されているような椎弓根ネジアセンブリが挙げられる。これらの特許の各々の開示内容は、参照することによって、あたかもここに完全に記載されているかのように、ここに含まれるものとする。

図１Ａ〜図１Ｃ、図２Ａ〜図２Ｃ、図３Ｂ、図４Ｂ〜図４Ｄ、図４Ｆ、図５、図６、図７、図９および図１０Ｂに示されているように、補強構成材１４は、脊椎ロッド１０の柔軟構成材１２の表面上に少なくとも部分的に露出しているが、柔軟構成材１２内に少なくとも部分的に埋設されていてもよい。補強構成材１４は、チタンまたはチタン合金から作製されているとよい。しかし、補強構成材１４は、生体適合性を有していると共に脊椎ロッドへの従来の骨ネジの取付けに関連する圧縮力による損傷に耐えるのに十分な強度を有しているどのような金属材料または他の適切な材料（例えば、セラミック）から作製されていてもよい。図１Ａ〜図１Ｃに示されているように、補強構成材１４の埋設されている部分は、保持要素１８を備えるように構成されていてもよい。保持要素１８は、脊椎ロッド１０の複合構造の完全性を支えるのに役立つものであればよい。図１Ｃに記載されているように、脊椎ロッド１０は、エンドカラー２０を備えていてもよいし、または図９に示されているように、エンドキャップ２２を備えていてもよい。

脊椎ロッド１０は、柔軟構成材１２の屈曲可能な特質によって、脊椎融合手術に一般的に用いられる従来の剛性ロッドの代替品として、柔軟脊椎ロッドまたは動的脊椎ロッドをもたらすという利点を有している。このような動的ロッドの柔軟性は、脊椎の疾患部分または損傷部分に必要な程度の抑制をもたらすと共に、脊椎の選択的に規制された関節運動を可能にしている。この複合脊椎ロッド１０内には、補強構成材１４が、種々の形態で配置されているとよい。図１Ｂに示されているように、補強構成材１４は、椎骨が正常に関節運動するときの１つまたは複数の面に沿って柔軟性の大きさを調整または制限するために、非対称的に配置されていてもよいし、または斜めに偏って配置されていてもよい。

また、脊椎ロッド１０は、許容される柔軟性の程度を見込み、かつ調整するために、材料、直径、数、位置、および補強構成材１４の設計を種々変更して、作製することができる。実際、脊椎ロッド１０は、必ずしも、円筒である必要がない。他の形状、例えば、六角形輪郭、楕円輪郭、またはどのような他の適切な輪郭が考えられてもよい。脊椎ロッド１０の長さに沿って輪郭を異ならせてもよい。これは、多くの目的、例えば、長さに沿って剛性を変動させる目的または長さに沿って互いに異なる材料を含ませる目的に適うものである。

加えて、柔軟構成材１２の外面１６に少なくとも部分的に露出している補強構成材１４は、脊椎ロッドへの椎弓根ネジの取付けによって一般的に脊椎ロッドに加えられる圧縮力から、脊椎ロッド１０を保護することが可能である。従来の柔軟脊椎ロッド（その内のいくつかは、脆弱で柔軟なポリウレタン、ＰＥＥＫ、または同様の材料から構成されている）は、概して、椎弓根ネジまたは骨ネジに用いられる係止用止めネジの圧縮力によって損傷し、破損することになる。また、内部補強構成材を有する従来の脊椎ロッドは、このような柔軟脊椎ロッドの外面への椎弓根ネジの取付けによって、圧縮力による損傷を受けることがある。従来の柔軟脊椎ロッドのこのようにして生じた損傷は、脊椎ロッドの完全性を急速に損なわせ、これによって、当初の外科手術の所望の成果を低下させる可能性がある。

骨ネジの取付けによって構造的な損傷を受けることがない柔軟または動的脊椎ロッドをもたらす目的を達成するために、種々の構成を用いて、脊椎ロッド１０を作製することが可能である。当技術分野において知られている種々の柔軟材料によって脊椎ロッド１０の柔軟構成材１２を作製することもできるが、いくつかの等級のＰＥＥＫのいずれかによって柔軟構成材１２を作製すると有利である。このようにして、患者の特定の要求を満たす広い自由度の柔軟性を有する脊椎ロッド１０を作製することが可能である。柔軟構成材１２の強度および耐久性を高めるために炭素繊維強化ＰＥＥＫを用いることも、本技術の概念に含まれている。ＰＥＥＫおよび同様の材料の場合、補強構成材または他の構成材の使用とは無関係に、１つまたは複数の部分が他の１つまたは複数の部分よりも柔軟であるように、ロッドの柔軟性をロッドの長さに沿って異ならせることができる。例えば、ロッドの中央を両端よりも剛性にすることが可能である。

図２Ａに示されているように、ロッドは、複数の部分的に埋設された剛性補強構成材１４を有する略円形断面の柔軟構成材１２として設計されていてもよい。この場合、これらの補強構成材１４は、略均等にかつ互いに実質的に平行に離間して、脊椎ロッドの長軸を中心として周方向に配置されている。補強構成材１４のこのような周方向に配置されたアレイまたは螺旋構造のどのような変形形態であっても、その下方に位置する柔軟構成材１２を脊椎ロッド１０の周囲に沿ったフープ応力伝達によって保護することが可能である。

脊椎ロッド１０に取り付けられた任意の骨ネジからの圧縮力の伝達をさらに容易にするために、補強構成材リングは、少なくとも１つの平面に沿って柔軟構成材を横方向に両断する内向きのクロス部材２４を備えていてもよい。このような内向きのクロス部材２４は、支持トラスと殆ど同じように機能し、脊椎ロッド１０の片側の補強構成材１４の部分から脊椎ロッド１０の反対側の補強構成材１４の部分に軸方向応力を伝達することが可能となる。図２Ａに示されているように、脊椎ロッド１０は、多数のクロス部材２４を備えているとよい。これらのクロス部材２４は、互いに直交して配置されていてもよいし、または代替的に、互いに任意の相対角度を隔てて配置されていてもよい。多数のクロス部材２４を互いに相対角度を隔てて配置するこのような変更形態によって、内方に配置された柔軟構成材１２を保護することができる。また、有利には、このような変更形態を用いて、選択された平面に沿って脊椎ロッドを強化し、ロッド１０の柔軟性の程度および方向を調整するのを促進することもできる。補強構成材１４は、例えば、これらの補強構成材１４を互いに接続することによって、所望の強度および剛性を達成するように、修正されてもよい。

カラー２６として構成された補強構成材を使用する種々の代替的な実施形態も考えられる。種々の形式のカラー２６の非制限的な例が、図２Ｂ〜図２Ｄ、図３〜図３Ｄおよび図１０Ｄに示されている。多数のカラー２６が、図２Ｂに示されているように、脊椎ロッド１０の長軸に沿って均等に配置されているとよい。代替的に、図２Ｃに示されているように、カラー２６は、脊椎ロッド１０に骨ネジを取り付けるべく、止めネジの圧縮力が加えられる脊椎ロッドの長さに沿った箇所のみに、配置されるように作製されていてもよい。

さらに、カラー２６は、図２Ｂに示されているように、柔軟構成材１２内に部分的に埋設されていてもよいし、または図２Ｃに示されているように、柔軟構成材１２の表面の上に設けられていてもよい。この表面の上に設けられたカラー２６は、隆起した外観を呈することになる。柔軟構成材１２の外面１６上に配置される場合、カラー２６のような補強構成材は、柔軟構成材１２に繰り返し動的に接触することになる補強構成材１４の縁に沿って、面取り縁２８を備えているとよい。滑らかな面取り縁２８を設けていないと、結局は、柔軟ロッド１０が不要な摩耗おび材料疲労を受けることがある。補強構成材１４に対して考えられるカラー２６の設計のいずれかの代替的実施形態として、圧縮スリット３０を備えていてもよい。この圧縮スリット３０は、補強構成材１４に対して骨ネジの係止用止めネジを締め付ける結果として、補強構成材１４に加えられる圧縮力の一部を効果的に吸収することが可能となる。

代替的に、柔軟構成材１２の外面に配置された補強構成材１４を有する複合脊椎ロッドの実施形態のいずれもが、柔軟構成材１２の直径が周方向に配置された補強構成材１４の内径よりもいくらか小さくなるように、作製されていてもよい。このような実施形態では、機械的な取付け具、例えば、椎弓根ネジが加えられたとき、２つの構成材が物理的にいくらか隔離されていることによって、補強構成材１４の外面に加えられた圧縮力から柔軟構成材１２をさらに保護することが可能となる。

また、図１Ａに示されているような長手方向に配置された補強部材１４と周方向に配置された補強構成材１４とが組み合わされた構造が得られるように、補強構成材１４を作製し、複合脊椎ロッド１０に組み入れる構成も考えられる。このような組合せ構造は、柔軟構成材１２の表面１６上に、市松模様アレイ、格子模様アレイ、または行列模様アレイとして存在することになる。補強構成材１４が種々の形態で配置された脊椎ロッド１２を作製することができると、有利である、何故なら、脊椎ロッド１０の機能的な特性に影響を及ぼすように、作製される構造を意図的に変更することができるからである。

さらに、図６においてより高頻度のハッシュ・マーク４２およびより低頻度のハッシュ・マーク４４によって図式的に示されているように、脊椎ロッド１０は、該ロッド１０の長さに沿った任意の選択された位置においてより剛性（４２）またはより柔軟（４４）である柔軟構成材１２をもたらすように、作製されていてもよい。脊椎ロッド１０のこの代替的特徴によって、ロッドの選択された区域に応力保護の勾配をもたらすことが可能となる。これは、同一の複合脊椎ロッド１０内において柔軟構成材１２、補強構成材１４、またはこれらの両者に影響を及ぼす種々の製造技術によって、達成することができる。柔軟構成材１２内に応力保護の勾配をもたらす１つの手段として、このような追加的な支持が望ましいロッドの領域のみに、調整された量の短い、すなわち、細断された（チョップド）炭素繊維からなる補強材を含む柔軟構成材１２を作製することが挙げられる。代替的に、炭素繊維が脊椎ロッドの長軸を中心として周方向に巻き付けられ、これによって、柔軟構成材１２内に構造的に組み入れられてもよい。いくつかの領域において、炭素繊維の少ない巻数によってより高い柔軟性を有する他の領域と比べて、炭素繊維のさらなる巻数を導入することによって、応力勾配を異ならせることができる。

柔軟性の勾配は、脊椎ロッド１０の種々の部分に対して、必要に応じて、より高い剛性またはより高い柔軟性のいずれかをもたらすように、柔軟構成材の化学組成を変化させることによって、もたらされてもよい。

圧縮応力保護の勾配は、外側に配置される補強構成材１４をテーパ構造として作製することによって、もたらされてもよい。具体的には、このテーパ構造は、追加的な応力保護が望まれている領域が厚くなっており、より高い柔軟性が望まれる領域、従って、応力保護がそれほど必要とされていない領域が比較的薄くなっているとよい。

図４Ａ〜図４Ｆは、脊椎ロッド１０の補強構成材１４のさらに他の実施形態の非制限的な例を示している。これらの補強構成材１４は、補強ブラケット３２として記載されることもある。これらの図に示されている補強ブラケット３２のいずれにも共通しているのは、上側ブラケット３４および対向する下側ブラケット３６が、接続ピン３８によって互いに接続されていることである。接続ピン３８は、柔軟構成材１２の本体内を横方向に貫通しているとよい。前述した補強構成材１４のいずれとも同様に、補強ブラケット３２は、脊椎ロッドを従来の骨ネジの溝内に係止する止めネジの圧縮力から柔軟構成材１２を保護するのに役立つことになる。接続ピン３８は、骨ネジ内の止めネジに接触している上側ブラケット３４から下側ブラケット３６にこのような圧縮力を伝達し、これによって、内部に配置された柔軟構成材１２を損傷から保護するように機能することになる。

図４Ａおよび図４Ｂに示されているように、補強ブラケット３２は、椎弓根ネジの係止装置を接触して受けるのにより適している平坦な上側ブラケット３４を有するように構成されていてもよい。よく知られている係止装置の１つの非制限的な例は、椎弓根ネジの係止用止めネジである。椎弓根ネジを係止する装置が脊椎ロッド１０の補強構成材１４と接触する補強構成材１４の領域は、当技術分野において一般的に知られているどのような方法、テキスチャー加工、ろう付け、窪み形成、平行線模様付け、化学処理、または機械加工などによって、なされてもよい。これは、脊椎ロッド１０の表面に椎弓根ネジを係止する装置を接触によって保持するのを容易にする粗面をもたらすためである。係止装置と補強構成材１４の表面との間の摩擦による保持を改良する利点は、この効果的な保持が、脊椎ロッド１０に対する係止装置の圧縮力のレベルの低下によって、達成されることにある。従って、粗面のこの代替的な特徴の付与は、脊椎ロッド１０に対する係止装置の保持力を改良することに加えて、脊椎ロッド１０の柔軟構成材１２を大きい圧縮力から保護することにも役立つことになる。

図４Ｂに示されているように、補強ブラケットは、柔軟構成材１４の外面１６と同一面の外観をもたらすように、柔軟構成材１２内に部分的に埋設されていてもよい。代替的に、図４Ｃ、図４Ｄおよび図４Ｆに示されているように、補強ブラケット３２は、柔軟構成材１２の外面１６の上方に延在していてもよい。補強ブラケット３２の変更形態が図４Ｅおよび図４Ｆに示されている。この変更形態では、補強ブラケット３２は、最適には上側ブラケットプラットホーム４０として記載されることがある平坦な頂部を有する湾曲した上側ブラケット３４を有している。ブラケット式補強構成材１４のこれらの例示的な変更形態は、いずれも、椎弓根ネジへの取付けに関連する圧縮力による損傷から保護される柔軟式複合脊椎ロッドを提供するという基本的な概念から逸脱することなく、外科医の特定の要求を満たすように用いることが可能である。

図５、図６および図７に示されているように、剛性補強構成材１４は、多レベルで配置されていてもよい。このような多レベル構造は、一貫した柔軟性および耐圧縮応力性を備えていてもよいし、または前述した代替的な構成および組成のいずれかまたはそれらの組合せを備えていてもよい。脊椎ロッド１０を製造するときに、柔軟構成材１２の柔軟性の勾配は、構造の機能的な要求により、必要に応じて、脊椎ロッドの特定の部分に変更または一貫性を与えることで、もたらされるとよい。

さらに、図７に示されているように、補強構成材１４は、脊椎ロッド１０の２つ以上の個別の柔軟構成材１２の間に端間接続機能をもたらすように構成されていてもよい。圧縮力に対する保護をもたらすと共に、接続機能を強化するために、補強構成材１４は、多数の接続ピン３８Ａ，３８Ｂを備えているとよい。これらの接続ピン３８Ａ，３８Ｂは、端間接続される２つの柔軟構成材ロッド１０Ａ，１０Ｂの各々の本体を横方向に貫通している。柔軟構成材ロッド１０Ｂ上のハッシュ・マーク４２によって図式的に示されているように、このように接続された柔軟構成材ロッド１０Ａ，１０Ｂは、互いに異なる組成または互いに異なる機能特性を有することができる。例えば、化学組成によって、一方が他方よりも大きい柔軟性を有していてもよいし、または一方が他方とは異って構成された内部に配置された補強構成材を有していてもよい。ここに説明した例示的な実施形態のいずれも、脊椎構造に必要とされる機能特性を得るために、必要に応じて、このように互いに接続されてもよい。図８Ａおよび図８Ｂは、脊椎ロッド１０の付加的な実施形態を示している。この実施形態では、補強構成材１４は、柔軟構成材１２の内部に配置された閉螺旋構造に対する相補的な形状および大きさを有する開螺旋体として構成されている。２つの構成材のこの螺旋またはネジ設計によって、完成品の複合脊椎ロッド１０を形成するために２つの構成材を互いに嵌合するプロセスを容易にすることが可能である。他の実施形態と同様、どのような他の適切な製造技術、例えば、補強構成材１４内へのＰＥＥＫの押出成形が用いられてもよい。また、この製造プロセスによれば、補強構成材１４の開螺旋体の溝の幅を変更することによって、または補強構成材１４の螺旋体の厚みを変更することによって、得られる脊椎ロッド１０の剛性および柔軟性の程度を選択的に決定することが可能となる。

図９および図１０Ａ〜図１０Ｄは、好ましい実施形態の付加的な非制限的な例を示している。図９は、補強構成材１４に対する平坦な金属バネ設計の実現可能な使用例を示している。補強構成材１４のバネ設計によって、柔軟構成材１２は、ここに説明した他の実施形態におけるように、柔軟性および圧縮力からの保護を得ることができる。バネ式補強構成材１４は、柔軟構成材１２の外面１６の相補的な形状の溝または柔軟構成材１２の表面の代替的な同様の箇所に配置されるようになっている。仮に金属製の補強構成材１４が柔軟構成材１２の周囲に巻き付けられる場合でも、金属のみが椎弓根ネジまたは他の関連する機構と接触するように、補強構成材１４の外径が柔軟構成材１２の直径よりも大きくなっているとよい。加えて、ロッドは、必ずしも、図９に示されているような丸形である必要はなく、異なる形状、例えば、楕円、八角形、または六角形であってもよい。図９には、金属エンドキャップ２２の使用も示されている。実際には、エンドキャップ２２は、本技術の実施形態のいずれに取り付けられてもよい。

図１０Ａ〜図１０Ｄは、保護メッシュの形態にある補強構成材１４の他の実施形態を示している。この保護メッシュは、柔軟構成材１２の周りに周方向に配置されるようになっている。このメッシュ状の補強構成材１４の剛性は、柔軟構成材１２に用いられるように選択されたＰＥＥＫ材料の剛性に適合しているとよく、これによって、均一な脊椎ロッド１０をもたらすことができる。このような適合性および念入りな選択に基づいて、ここに説明した全ての例示的な実施形態における材料を作製することによって、多岐にわたる用途に対して特別注文の複合脊椎ロッドをもたらすことができる。例えば、図１０Ｄに示されているように、最適な臨床用途に対応するために、同一のロッドに対して、補強構成材の多数の実施形態が用いられてもよい。

損傷をもたらす可能性のある過剰な圧縮力を加えることなく、脊椎ロッド１０を椎弓根ネジ内の適所にしっかりと保持するには、止めネジのどの程度のトルクおよび下向き圧力が必要とされるかを正確に決定する基礎として、脊椎ロッド１０の材料強度が用いられてもよい。脊椎ロッドの各構造ごとに、このような力の決定がなされとよく、次いで、このような力が、脊椎ロッドを椎弓ネジに取り付けるのに用いられる挿入工具に加えられるとよい。

脊椎ロッド１０は、当技術分野において知られている方法、例えば、成形、鋳込み、造形、押出加工、または機械加工によって、一体構成材として製造されてもよい。構成材は、このような装置に対して当技術分野においてよく知られている十分な強度、弾性、および生体適合性を有する材料を用いて、作製されるとよい。単なる例示にすぎないが、適切な材料として、移植片等級の金属材料、例えば、チタン、コバルトクロム合金、ステンレス鋼、またはこの目的に適する他の適切な材料が挙げられる。柔軟構成材１２の材料は、ＰＥＥＫ、炭素繊維強化ＰＥＥＫ、または当技術分野において知られているどのような他の適切な柔軟性を有する生体適合性材料であってもよい。

本発明の他の実施形態では、キットが提供されている。キットは、少なくとも１つの脊椎ロッドと、少なくとも２つの椎弓根ネジと、を備えているとよい。種々の長さ、直径、および断面形状を有する脊椎ロッド１０が、必要に応じて、選択および取替えを可能とするように、キットに含まれているとよい。加えて、キットは、脊椎ロッド１０の移植を容易にするのに適している工具および／または器具を備えていてもよい。このようなキットは、手術室における切開および即時利用を容易にするために、無菌パッケージを備えていてもよい。

特定の実施形態を参照して本発明を説明してきたが、これらの実施形態は、本発明の原理および用途の単なる例示にすぎないことを理解されたい。従って、例示的な実施形態に対して多くの修正がなされてもよいこと、および添付の特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲から逸脱することなく、他の構成が考案されてもよいことを理解されたい。

Claims (20)

1. 脊椎ロッドにおいて、
   細長の柔軟構成材と、
   圧縮力による損傷に対する耐性を有する補強構成材と、
   を備えており、
   前記補強構成材は、少なくとも１つの圧縮溝を画定するように、前記柔軟構成材の少なくとも一部の周りに周方向に配置されていることを特徴とする脊椎ロッド。
2. 前記補強構成材は、前記柔軟構成材と前記補強構成材との間に空間を画定するように、前記柔軟構成材の少なくとも一部の周りに周方向に配置されていることを特徴とする、請求項１に記載の脊椎ロッド。
3. 前記補強構成材は、取付け具との接触を容易にするように構成されたネジ接触面を備えていることを特徴とする、請求項１に記載の脊椎ロッド。
4. 前記接触面は、椎弓根ネジとの接触を容易にするように処理されていることを特徴とする、請求項３に記載の脊椎ロッド。
5. 前記補強構成材は、少なくとも２つの個別の補強要素であることを特徴とする、請求項１に記載の脊椎ロッド。
6. 前記補強構成材は、前記柔軟構成材の表面内に少なくとも部分的に埋設されていることを特徴とする、請求項１に記載の脊椎ロッド。
7. 前記柔軟構成材は、その長さの少なくとも一部に沿って柔軟性の勾配を有していることを特徴とする、請求項１に記載の脊椎ロッド。
8. 前記柔軟構成材は、複数の区域を有しており、１つの区域の柔軟性は、少なくとも１つの他の区域の柔軟性と異なっていることを特徴とする、請求項１に記載の脊椎ロッド。
9. 脊椎ロッドにおいて、
   細長の柔軟構成材と、
   圧縮力による損傷に対する耐性を有する補強構成材と、
   を備えており、
   前記補強構成材は、上側ブラケットと、対向している下側ブラケットと、前記ブラケット間に延在している接続ピンと、を備えていることを特徴とする脊椎ロッド。
10. 前記接続ピンは、前記柔軟構成材内を横断して配置されており、前記接続ピンの各端は、前記上側ブラケットまたは前記下側ブラケットの方を向いており、前記上側ブラケットおよび前記接続ピンまたは前記下側ブラケットおよび前記接続ピンの少なくとも１つは、圧縮空間を画定していることを特徴とする、請求項９に記載の脊椎ピン。
11. 前記上側ブラケットおよび前記下側ブラケットの少なくとも１つは、前記柔軟構成材の表面内に少なくとも部分的に埋設されていることを特徴とする、請求項９に記載の脊椎ロッド。
12. 前記上側ブラケットおよび前記下側ブラケットの少なくとも１つの縁は、テーパが付されており、前記テーパ付き縁は、下に位置する前記柔軟構成材に対する圧縮応力遮蔽の勾配をもたらすものであることを特徴とする、請求項９に記載の脊椎ロッド。
13. 前記補強構成材は、少なくとも２つの個別の補強要素であることを特徴とする、請求項９に記載の脊椎ロッド。
14. 前記柔軟構成材は、その長さの少なくとも一部に沿って柔軟性の勾配を有していることを特徴とする、請求項９に記載の脊椎ロッド。
15. 前記柔軟構成材は、複数の区域を有しており、１つの区域の柔軟性は、少なくとも１つの他の区域の柔軟性と異なっていることを特徴とする、請求項９に記載の脊椎ロッド。
16. 互いに隣接する椎骨を接続し、安定化させるための方法において、
    請求項１の脊椎ロッドを設けるステップと、
    前記脊椎ロッドの挿入のための外科的視野をもたらすステップと、
    前記脊椎ロッドを互いに隣接する椎骨に接続するステップと、
    を含んでいることを特徴とする方法。
17. 前記接続ステップは、椎弓根ネジを椎骨に接続し、前記椎弓根ネジを前記脊椎ロッドに接続することを含んでいることを特徴とする、請求項１６に記載の方法。
18. 前記椎弓根ネジは、前記椎弓根ネジによって前記脊椎ロッドに加えられる圧縮力が前記補強構成材を介して前記柔軟構成材を横切って伝達される前記脊椎ロッドの位置において、前記脊椎ロッドに接続されており、前記補強構成材は、前記柔軟構成材に応力遮蔽をもたらすようになっていることを特徴とする、請求項１７に記載の方法。
19. 互いに隣接する椎骨を接続し、安定化させるのに用いられるキットにおいて、
    請求項１の少なくとも１つの脊椎ロッドと、
    少なくとも１つの椎弓根ネジと、
    を備えていることを特徴とするキット。
20. 前記少なくとも１つの脊椎ロッドは、多数の脊椎ロッドであり、前記少なくとも１つの椎弓根ネジは、多数の椎弓根ネジであり、前記キットは、前記脊椎ロッドおよび前記椎弓根ネジの使用に関連する少なくとも１つの器具または工具をさらに備えていることを特徴とする、請求項１９に記載のキット。

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