JP2011519299A - 歯列矯正器具用アンカー装置 - Google Patents

Abstract

第１アンカーが、当該臼歯の一方の側に隣接した皮質骨に取り付けられる。第１アンカーは、細長く、また、歯列矯正器具に取り付けるための外側頭部と、皮質骨に係合するための内ネジ部とを備えている。第２アンカーが、当該臼歯の一方の側との反対側に配置される。一つの実施形態において、第２アンカーは、歯列矯正器具に取り付けるための外側頭部を備え、第１アンカーに取り付けられる。他の実施形態において、第２アンカーは、皮質骨に係合するための内ネジ部も備えている。第２アンカーの内ネジ部は、第１アンカーの内ネジ部内に螺合可能またはスライド可能に受容されてもよい。第１および第２アンカーは、臼歯に隣接した両アンカーの占めるスペースが最小限に抑えられるように、略縦方向に沿って互いに位置合わせされる。

Description

発明の詳細な説明

〔技術分野〕
本発明は、歯列矯正器具用アンカーに関し、より詳細には、臼歯の両側における皮質骨に設置され、臼歯の前後移動に伴う傾きを防ぐために、また、臼歯に隣接した両アンカーの占めるスペースを最小限に抑えるしっかりした取り付けを提供するために互いに固定されたアンカーに関する。

〔背景技術〕
歯列矯正の目的で臼歯を前後に移動させたいとき、歯列矯正器具を取り付けて臼歯を移動させるために、アンカーが臼歯近傍の皮質骨に取り付けられてきた。そのような従来のアンカーは、臼歯の一方の側にのみ設置された場合、臼歯の動きに伴い臼歯を傾かせる傾向があり、そのため十分に満足のいくものではなかった。

また、二つの別々なアンカーをそれぞれ臼歯の両側に設置した場合、これらのアンカーをオフセットさせなければならず、口腔内の臼歯に隣接した部位において場所を取り過ぎてしまうという問題があった。

従来の歯列矯正器具用アンカーは通常ネジ等の形をしているので、皮質骨に正しく固定されなければ、緩んで傾いてしまったり、抜けてしまったりするおそれが常にあった。

そこで、上記のような問題のない新規の改良された歯列矯正器具用アンカーに対するニーズが生じた。本発明のアンカー装置および方法は、このニーズを満たすものである。

〔発明の概要〕
新規の改良された歯列矯正器具用アンカーは、臼歯の両側における皮質骨に設置され、臼歯に隣接した両アンカーの占めるスペースを最小限に抑えるために、また、臼歯に一様圧力を与えて臼歯の前後移動に伴う傾きを防ぐために、さらに、アンカーが不用意に緩んだり、皮質骨から外れたりするのを防ぐために互いに位置合わせした状態で固定される。

一つの実施形態において、第１アンカーは、貫通した内ネジ穴を有するネジの頭の形をしており、第２アンカーは、ネジ部材の形をしており、第１部材の反対側における皮質骨にねじ込まれ、第１部材のネジ穴に螺合可能に受容され、それによって、上記第１および第２アンカー同士が固定される。第１アンカーは、その内端に、皮質骨に隣接した歯肉組織に係合するための大径ネジ部が備わっていてもよい。これにより、第１アンカーは、第２アンカーに固定される前に、所定の位置に保持される。同様に、第２アンカーは、その外部または頭部の近傍に、歯肉組織および骨組織に係合する目的で、口腔内における第１および第２アンカーの位置によって、異なるサイズのネジ部が備わっていてもよい。

他の実施形態において、第１および第２アンカーは、共に、細長いネジ部材の形をしている。第１アンカーの内ネジ部は、皮質骨を通じ、皮質骨にねじ込まれた第２アンカーの内端部に設けられたネジ穴に係合し、その結果、第１および第２アンカー同士が縦方向に沿って位置合わせした状態で固定される。さらに他の実施形態において、第１アンカーの内ネジ部は、第２アンカーの内端に設けられたネジ山の付いていない穴の中にスライド可能に受容されてもよい。第１および第２アンカーは、共に、その外部または頭部の近傍に、歯肉組織および骨組織に係合して臼歯の両側における所定の場所に固定する目的で、大径ネジ部が備わっていてもよい。

〔図面の簡単な説明〕
〔図１〕臼歯両側における皮質骨に設置され、歯列矯正器具を取り付けて臼歯を前後に移動させるために互いに位置合わせした状態で固定された本発明のアンカーを示す斜視図である。

〔図２〕本発明の第１の実施形態に係るアンカー装置の斜視図である。

〔図２ａ〕本発明の第１の実施形態の変形例を示す、図２に類似した斜視図である。

〔図３〕本発明の第２の実施形態に係るアンカー装置の斜視図である。

〔図４〕本発明のさらに他の実施の形態に係るアンカー装置の斜視図である。

〔発明を実施するための形態〕
図１に示すように、本発明のアンカー１０および１２は、臼歯の両側における皮質骨に設置され、縦方向に沿って互いに位置合わせした状態で固定される。これにより、臼歯に隣接した両アンカーの占めるスペースを最小限に抑え、また、臼歯に一様圧力を与えて臼歯の前後移動に伴う傾きを防ぎ、さらに、アンカーが不用意に緩んだり、皮質骨から外れたりするのを防ぐ。アンカー１０および１２は、図示しないバンドやワイヤのような様々なタイプの歯列矯正器具への取り付けに好適であれば、どのような方法ででも構成することができる。

図２に、本発明の第１の実施形態に係るアンカー装置を示す。図２に示すように、第１アンカー１０は、細長く、また、頭部１４と、係合部１６と、外側大径ネジ部１８、中間ネジ部２０と、内ネジ部２２とを備える。ネジ部２０および２２は、皮質骨に係合するためのものであり、第１アンカー１０は、歯列矯正の目的で移動対象となる図示しない臼歯に隣接して設置される。ネジ部２０および２２が皮質骨に設置されると、大径ネジ部１８が隣接した歯肉組織に係合する。

頭部１８は、所望するどのような構成のものであってもよい。例えば、図２に示すように、頭部１４は、小径首部２４と大径頭部２８とを備え、小径首部２４は、貫通した開口部２６を有し、大径頭部２８は、その両側に、開口部２６と位置合わせした凹部３０を有する。係合部１６は、図示しない道具によって係合され、第１アンカー１０を回転させて皮質骨に設置するのに好適であれば、どのような形状のものであってもよい。

第２アンカー１２は、頭部３４と係合部３６とを備える。これら頭部３４および係合部３６は、第１アンカー１０の頭部１４および係合部１６と構成が同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、第２アンカーは、その内端に、皮質骨に隣接した歯肉組織に係合するための大径外ネジ部３８が備わっていてもよい。

内側にネジ山の付いた縦穴４０が、第２アンカー１２の中心部を通じており、第１アンカー１０の内ネジ部２２を螺合可能に受容するように構成される。このため、アンカー同士が略縦方向に沿って位置合わせした状態で固定される。図２に示す実施形態では、縦穴４０は、第２アンカー１２の全長にわたって伸びており、ネジ部２２は、縦穴４０全体にねじ込まれた後、切断されてネジ山が十分に変形することで、縦穴４０の中でネジ部２２が動かないようにし、ひいては、第２アンカー部材１２が不用意に第１アンカー部材１０から外れないようにする。

図２に示す第２の実施形態では、縦穴４０は、第２アンカー部材１２の一部のみを通じており、第１アンカー１０の内ネジ部２２は、縦穴４０にねじ込まれるが、第２アンカー１２の外部には及ばない。

図３に、本発明の第２の実施形態に係るアンカー装置を示す。図３に示すように、アンカー１１０および１１２は、共に、細長いネジ型部材の形をしている。アンカー１１０は、頭部１１４と、係合部１１６と、大径ネジ部１１８と、内側小径ネジ部１２０とを備える。頭部１１４は、好適であれば、どのような構成のものであってもよい。係合部１１６は、好適であれば、どのような構成のものであってもよい。内側小径ネジ部１２０は、歯列矯正の目的で移動対象となる図示しない臼歯に隣接した皮質骨に係合するためのものである。また、内側小径ネジ部１２０は、内ネジ穴１２２を有する。

第２アンカー１１２は、頭部１３４と、係合部１３６と、大径ネジ部１３８と、内ネジ部１４０および１４２とを備える。頭部１１４および係合部１３６は、好適であれば、どのような構成のものであってもよい。内ネジ部１４０および１４２は、皮質骨に係合するためのものである。図３に示すように、第２アンカー１１２の内ネジ部１４２は、アンカー１１０のネジ穴１２２の中に螺合可能に受容される。このため、アンカー同士が略縦方向に沿って位置合わせした状態で固定される。アンカー１１０・１１２同士を螺合可能に接続することによって、両アンカーが不用意に動いたり外れたりしないようにする。また、臼歯に隣接した両アンカー１１０・１１２の占めるスペースを最小限に抑える。

図４に、図３に示した実施形態の変形例を示す。図４に示すように、アンカー１１０の内穴１２２には、アンカー１１２の内ネジ部１４２がスライド可能に受容されてアンカー１１０・１１２を位置合わせできるように、ネジ山が付いていない。

なお、本発明のアンカーの各ネジ部は、口腔内におけるアンカーの設置部位によって、好適であれば、どのようなサイズや構成のものであってもよい。また、アンカーは、好適であれば、チタン、ステンレス鋼、ＰＥＥＫ（ポリエーテルエーテルケトン）等、どのような材質のものであってもよい。

本発明に基づいて構成された歯列矯正器具用アンカーは、アンカーが臼歯の両側における皮質骨に設置され、臼歯に隣接した両アンカーの占めるスペースを最小限に抑えるために互いに固定されるという理由で、臼歯の前後移動に伴う傾きを防ぐということは、容易に分かる。また、アンカー同士を取り付けることによって、両アンカーが不用意に緩んだり外れたりしないようにする。

本発明は、現在最も実用的かつ好ましいと考えられる実施形態に関連して説明されてきたが、これら開示された実施形態に限定されるものではなく、むしろ、請求項の精神および範囲に含まれる種々の変形例や同等の構成をも網羅するものであると理解すべきである。

臼歯両側における皮質骨に設置され、歯列矯正器具を取り付けて臼歯を前後に移動させるために互いに位置合わせした状態で固定された本発明のアンカーを示す斜視図である。 本発明の第１の実施形態に係るアンカー装置の斜視図である。 本発明の第１の実施形態の変形例を示す、図２に類似した斜視図である。 本発明の第２の実施形態に係るアンカー装置の斜視図である。 本発明のさらに他の実施の形態に係るアンカー装置の斜視図である。

Claims (13)

1. 臼歯等を移動させるための歯列矯正器具のためのアンカー装置であって、
   当該臼歯の一方の側に隣接した皮質骨に取り付けられる第１アンカーと、
   上記第１アンカーに取り付けられ、当該臼歯の一方の側との反対側に配置される第２アンカーとを備え、
   上記第１および第２アンカーは、臼歯に隣接した両アンカーの占めるスペースが最小限に抑えられるように、略縦方向に沿って互いに位置合わせされることを特徴とするアンカー装置。
2. 上記第１アンカーは、細長く、また、歯列矯正器具に取り付けるための外側頭部と、皮質骨に係合するための内ネジ部とを備えていることを特徴とする請求項１に記載のアンカー装置。
3. 上記第１アンカーは、上記頭部の近傍に、皮質骨に隣接した歯肉組織に係合する大径外ネジ部をさらに備えていることを特徴とする請求項２に記載のアンカー装置。
4. 上記第２アンカーは、歯列矯正器具に取り付けるための外側頭部と、上記第１および第２アンカー同士が取り付けられるように、上記第１アンカーの上記内ネジ部が螺合可能に受容される内ネジ穴とを備えていることを特徴とする請求項２に記載のアンカー装置。
5. 上記内ネジ穴は、上記第２アンカーの全長にわたって伸びており、
   上記第１アンカーの上記内ネジ部は、上記内ネジ穴を通じて上記第２アンカーの外端まで及んでいることを特徴とする請求項４に記載のアンカー装置。
6. 上記第１アンカーの上記内ネジ部は、上記第２アンカーの外端に隣接したその一端が変形することで、上記第２アンカーの上記内ネジ穴の中で上記ネジ部が動かないようにすることを特徴とする請求項５に記載のアンカー装置。
7. 上記第２アンカーは、上記頭部の近傍に、皮質骨に隣接した歯肉組織に係合する大径外ネジ部をさらに備えていることを特徴とする請求項４に記載のアンカー装置。
8. 上記第２アンカーは、細長く、また、歯列矯正器具に取り付けるための外側頭部と、皮質骨に係合するための内ネジ部とを備えていることを特徴とする請求項２に記載のアンカー装置。
9. 上記第１アンカーの上記内ネジ部は、その内外面にネジ山を有する管状部材を備え、
   上記第２アンカーの上記内ネジ部は、上記管状部材の内面に螺合可能に受容されることを特徴とする請求項８に記載のアンカー装置。
10. 臼歯等を移動させるための歯列矯正器具のためのアンカー装置であって、
    当該臼歯の一方の側に隣接した皮質骨に取り付けられる第１アンカーと、
    当該臼歯の反対側に隣接した皮質骨に取り付けられる第２アンカーとを備え、
    上記第１および第２アンカーは、臼歯に隣接した両アンカーの占めるスペースが最小限に抑えられるように、略縦方向に沿って互いに位置合わせされることを特徴とするアンカー装置。
11. 上記第１アンカーは、細長く、また、歯列矯正器具に取り付けるための外側頭部と、皮質骨に係合するための内ネジ部とを備えていることを特徴とする請求項１０に記載のアンカー装置。
12. 上記第１アンカーは、細長く、また、歯列矯正器具に取り付けるための外側頭部と、皮質骨に係合するための内ネジ部とを備えていることを特徴とする請求項１１に記載のアンカー装置。
13. 上記第１アンカーの上記内ネジ部は、その内外面にネジ山を有する管状部材を備え、
    上記第２アンカーの上記内ネジ部は、上記第１および第２アンカー同士が位置合わせされるように、上記管状部材の内面にスライド可能に受容されることを特徴とする請求項１２に記載のアンカー装置。

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