JP2011512414A5 - - Google Patents

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Description

疼痛を処置するための、ベロキセピン、その鏡像異性体および類似体
関連出願への相互参照
この出願は、米国特許法§ 1.119(e)の下、2008年2月19日に出願された仮出願第61/029,913号、2008年2月19日に出願された仮出願第61/029,915号、2008年2月19日に出願された仮出願第61/029,916号、および2008年5月6日に出願された仮出願第61/050,921号(これらの開示は、それらの全体が参考として本明細書に援用される)に対する優先権を主張する。
連邦支援の研究に関する陳述
なし。
共同研究契約者
なし。
配列表、表またはコンピュータプログラムの参照
なし。
背景
急性および慢性の疼痛は、侵害受容性および非侵害受容性のいずれの起源であっても、顕著な数の個人を襲う、生活に支障をきたす状態である。疼痛はしばしば、刺激に対する感受性の増加によって特徴付けられ、通常、非侵害性の刺激に対する場合(異痛)および/または有痛性の刺激(痛覚過敏)に対する場合がある。ノルエピネフリンおよびセロトニン(5HT)の再取り込み阻害剤等の抗うつ薬が、特定の型の疼痛、例えば、糖尿病性ニューロパシー、ヘルペス後神経痛、線維筋痛症、過敏性腸症候群および間質性膀胱炎に伴う疼痛を治療するための第一選択療法として使用されているが、これらの療法のうちで普遍的に有効であることが証明されるに至ったものはない。いくつかの療法が利用可能であるにもかかわらず、依然として顕著な数の個人が日々衰弱性の疼痛を患っている。したがって、当技術分野では、急性であろうと慢性であろうと、または侵害受容性起源であろうと非侵害受容性起源であろうと、疼痛を治療するために有用な化合物および投与計画がさらに求められている。
概要
ラセミ(±)−ベロキセピンはまた、「Org−4428」および「シス−1,2,3,4,4a,13b−ヘキサヒドロ−2,10−ジメチルジベン−[2,3:6,7]オキセピノ[4,5c]ピリジン−4a−オール」としても公知であり、1990年代後半に、潜在的な抗うつ薬として臨床的に評価された四環系化合物である。公開されている報告によれば、ベロキセピンは、in vitroアッセイにおけるラットおよび霊長類の脳由来のシナプトソームにおける特異性の高いノルアドレナリン再取り込み阻害剤であり、その他のモノアミン担体(すなわち、セロトニン輸送体およびドーパミン輸送体)に対する親和性は100倍超低く、ノルアドレナリン作動性受容体、ヒスタミン作動性受容体およびコリン作動性受容体に対する親和性はないかまたは非常に弱い(SperlingおよびDemling、1997年、Drugs of Today 33巻(2号):95〜102頁)。また、ベロキセピンは、5HT2C受容体に対しては中程度の親和性を示すことも報告されている(ClaghornおよびLesem、1996年、Progress Drug Res 46巻:243〜262頁)。
うつ病の動物モデルを用いた前臨床試験では、ベロキセピンは、後天性の不動挙動、レセルピン誘発性低体温、および条件回避行動を相殺することによって、抗うつ特性を示すことが認められた。これらの試験では、ベロキセピンは、鎮静、運動機能障害およびその他の都合の悪い副作用を引き起こさなかった。EEGによって定義される睡眠/覚醒行動に関するそのプロファイルは、睡眠改善特性を示す非鎮静性抗うつ薬のプロファイルに適合する(SperlingおよびDemling、1997年、上記)。ヒトボランティアにおける睡眠の試験の結果は、ベロキセピン(25〜400mg)は、EEGによって記録した場合、用量に依存性してREM潜時を急性にも亜慢性にも延長し、夜間REM睡眠の総持続時間を短縮させることを示した(Van Bemmelら、1999年、Neuropsychobiology 40巻(2号):107〜114頁)。鎮静もその他の副作用も観察されなかった。これらの試験に基づいて、ベロキセピンは、うつ病患者において睡眠の持続を短縮させることができ、睡眠の深さを改善することができると結論付けられた。
単回投与安全性試験では、ベロキセピンは、広い範囲にわたり線形の速度式を示し、10〜500mgの投与後に用量非依存性の1〜4時間のtmaxおよび11〜15時間のt1/2を示した。複数回に分けて増量した安全性および忍容性の試験に参加した健常な正常対象において得た定常状態の薬物動態パラメータからは、50〜800mgの用量において、tmaxは1.17時間であり、t1/2は12時間から14時間まで変動することが示された。最大800mg/日のベロキセピンを投与した健常なボランティアにおいては重要な有害作用は観察されなかった。うつ病で入院した患者における第IIA相試験では、HAMDスコアの低下に基づくと、3分の2の患者が中等度の応答〜良好な応答を示した(ClaghornおよびLesem、1996年、上記)。
それに続く臨床治験では、ベロキセピンは、大うつ病の治療について不十分な有効性しか示さなかった。その結果、ベロキセピンのその後の開発は中止された(Paanakkerら、1998年、J. Pharm. Biomed. Anal. 16巻(6号):981〜989頁)。
本明細書でさらに論じるように、驚くべきことに、本発明者らは、ベロキセピンが文献に報告されているようなノルエピネフリン輸送体(「NET」)の選択的阻害剤ではないことを発見するに至った。それどころか、125個超の受容体、チャネルおよび輸送体を用いた親和性試験から、ベロキセピンは、NETには中程度の親和性(K=700nM)で結合するに過ぎず、また、5HT2A受容体、5HT2B受容体および5HT2c受容体にも中程度の親和性(それぞれ、K=440nM、1000nMおよび830nM)で結合することが示されている。機能アッセイでは、ベロキセピンは、ノルエピネフリン再取り込みの弱い阻害(IC50=130nM)、ならびに5HT2A受容体、5HT2B受容体および5HT2c受容体におけるアンタゴニスト活性(それぞれ、5200nM、>10,000nMおよび>10,000nMのIC50)を示した。さらに、ベロキセピンは、セロトニン輸送体(競合アッセイ中、10μMにおいて27%の阻害)およびドーパミン輸送体(競合アッセイ中、10μMにおいて16%の阻害)に対しては、わずかな親和性しか示さなかった。したがって、驚くべきことに、ベロキセピンは、文献に報告されているような選択的NRIではなくむしろ、二重性NET阻害剤/5HT2A,2B,2Cアンタゴニストであることが発見された。
歴史的に、NEの再取り込みを阻害するもの(NRI)および/または5HTの再取り込みを阻害するもの(SRI)を含めた抗うつ薬が、侵害受容性または非侵害受容性のいずれの起源であっても、急性疼痛および慢性疼痛の両方、例えば、ニューロパシー、ヘルペス後神経痛(PHN)、線維筋痛症に伴う疼痛、過敏性腸症候群および間質性膀胱炎に伴う疼痛を治療するための第一選択療法として使用されている(SindrupおよびJensen、1999年、Pain 83巻(3号):389〜400頁;Collinsら、2000年、J. Pain & Symptom Management 20巻(6号):449〜458頁;Crowellら、2004年、Current Opin. Invest. Drugs 5巻(7号):736〜742頁)。疼痛のげっ歯類モデルにおける最近の研究によって、NE輸送体および/または5HT輸送体において、有効性を最大にするために必要な相対的な活性が体系的に評価された(Leventhalら、2007年、J. Pharmacol. Exper. Ther. 320巻(3号):1178〜1185頁)。これらの観察された作用は、神経因性の疼痛状態の治療について臨床的に作用を再現している。すなわち、NE輸送体に対してより大きな親和性を示す化合物は、疼痛の治療においてより有効であり、5HT輸送体に対してより大きな親和性を示す化合物の有効性は乏しい(例えば、Maxら、1992年;N. Engl. J. Med. 326巻(19号):1250〜1256頁;Collinsら、2000年、上記を参照されたい)。実際、四環系NRIマプロチリンとSRIパロキセチンとを比較した二重盲検プラセボ対照一対一試験では、パロキセチン(26%)またはプラセボ(27%)と比較して、マプロチリンに無作為化された試験完了者の疼痛強度の低下(45%)が顕著により大きかった(Atkinsonら、1999年、Pain 83巻(2号):137〜145頁)。
ベロキセピンは、NETに対する親和性が弱いこと、および選択的であるにもかかわらず、NEの再取り込み阻害が弱いことを考えると、疼痛を治療するのに有効であることは予想されなかったであろう。驚くべきことに、本発明者らは、ベロキセピンは、種々の異なる疼痛症候群のげっ歯類モデルにおいて極めて有効であるのみならず、その抗異痛活性も、IP投与によって同じ濃度で投与した場合、疼痛を治療するために現在使用されている公知のNRI化合物(例えば、レボキセチン)、二重性NRI/SRI化合物(例えば、デュロキセチン)、および三環系抗うつ薬(例えば、アミトリプチリン)の活性よりも優れていることを発見するに至った。
実際に、疼痛のL5 SNLげっ歯類モデルにおいてベロキセピンについて治療の30分後に観察された接触性異痛の大きさは、本発明者らがこのモデルにおいてIP投与した薬物について観察した最も大きなものに属する。また、ラットL5 SNLモデル系を使用してベロキセピン、デュロキセチンおよびエスレボキセチン(esreboxitine)を投与した場合に観察した抗異痛作用の比較を示す図11および実施例12も参照されたい。
図3に示すように、レボキセチンと同じ実験条件下において、ベロキセピンから、およそ15gの平均閾値観察され、これは、レボキセチンよりもほぼ5倍大きかった。図2を参照すると、ベロキセピンは、ビヒクル治療対照について観察した作用よりも852%大きく、偽手術された動物について観察した作用のほぼ100%の接触性抗異痛作用をもたらした。
また、ベロキセピンは、急性侵害受容性疼痛(図6Aおよび6B)、炎症性疼痛(図7および図9)、神経因性疼痛(図10および実施例12)、術後の切開性疼痛(図12、図13、図14および実施例13)、ならびに内臓痛(図8)のげっ歯類モデルにおいても、極めてロバストな活性を示した。例えば、図6Aおよび6Bを参照すると、ベロキセピンは、3mg/kgのモルヒネの抗侵害受容活性とほぼ同等な抗侵害受容活性を示した。図7を参照すると、ベロキセピンは、フロイント完全アジュバント(FCA)を用いて治療したラットにおいて、痛覚過敏のほぼ完全な回復を示し、図8を参照すると、ベロキセピンは、マウスにおける酢酸誘発性のもがきを用量依存性に阻害した。
上記したように、ベロキセピン、すなわち、(±)−ベロキセピンは、2つの鏡像異性体のラセミ混合物である。ベロキセピンの化学構造を以下に示す。
Figure 2011512414
アステリスクを付けた炭素原子に結合しているOH置換基およびH置換基は、相互にシス立体配置にある。これらの炭素原子は不斉である。その結果として、ベロキセピンは、2つのシス鏡像異性体、すなわち、(+)鏡像異性体と(−)鏡像異性体とのラセミ混合物となる。(+)鏡像異性体および(−)鏡像異性体の不斉炭素についての絶対配置は、不明である。
ベロキセピンの(+)鏡像異性体および(−)鏡像異性体の生物学的活性は、当技術分野では報告されていない。これらの鏡像異性体を用いて本発明者らが実施した研究から、これらは明確に異なる生物学的活性を示すことが明らかである。NETならびに5HT2A受容体、5HT2B受容体および5HT2c受容体における、これらの鏡像異性体の親和性ならびに阻害のデータ、さらにラセミ(±)−ベロキセピンについてのデータを、以下の表1に要約する。
Figure 2011512414
(−)鏡像異性体は、(+)鏡像異性体よりもおよそ8倍高い親和性でNETに結合し、一方、5HT2A受容体、5HT2B受容体および5HT2c受容体においてはいずれも、顕著な親和性は示さない。全く対照的に、(+)鏡像異性体は、NETにごく弱い親和性で結合するが、5HT2A受容体、5HT2B受容体および5HT2c受容体においては、高い親和性およびアンタゴニスト活性を示した。これらのデータから、本発明者らがベロキセピンについて発見した二重性生物学的活性のそれぞれが、ほぼ単一の鏡像異性体のみによって、すなわち、NRI活性は(−)鏡像異性体によって、5HT2A,2B,2Cアンタゴニスト活性は(+)鏡像異性体によってもたらされることが明らかである。したがって、驚くべきことに、本発明者らは、ベロキセピンは、単一の活性を示す単一の化合物ではなくむしろ実際には、3つの明確に異なる生物学的活性を示す3つの異なる化合物、すなわち、(i)ラセミ(±)−ベロキセピン、二重性NRI/5HT2A,2B,2Cアンタゴニスト;(ii)(+)−ベロキセピン、5HT2A,2B,2Cアンタゴニスト;および(iii)(−)−ベロキセピン、NRIであることを発見するに至った。これらの生物学的活性は全て、治療上の用途と相関することが公知である。
したがって、1つの態様では、本開示は、(−)−ベロキセピン、および場合により1つまたは複数の許容できる担体、賦形剤または希釈剤を含む組成物を提供する。(−)−ベロキセピンは、組成物中に、(−)鏡像異性体濃縮されている非ラセミ混合物として存在することができる。いくつかの実施形態では、(−)−ベロキセピンは、実質的に鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピンである。いくつかの実施形態では、(−)−ベロキセピンは、鏡像異性的に純粋である。
(−)−ベロキセピンは、組成物中に、遊離塩基の形態、または塩の形態で存在することができる。いくつかの実施形態では、(−)−ベロキセピンは、薬学的に許容できる酸付加塩の形態で存在する。
以下により詳細に記載するように、この(−)−ベロキセピン組成物をin vitroまたはin vivoにおいて使用することができる。in vivoにおいて使用する場合、この組成物を、これらに限定されないが、経口、外用、眼、頬側、全身、経鼻、注入、経皮、直腸、膣、吸入もしくは送気を含めて、事実上任意の投与の経路または様式によって、獣医学的に動物に投与するため、またはヒトに投与するために製剤化することができる。いくつかの実施形態では、この組成物を、例えば、ヒトに対する経口投与のために製剤化する。
選択的NRI化合物および非選択的NRI化合物の両方が、多様な疾患および障害を治療するのに有効であることが証明されている。これらの疾患および障害の全てが同様に、(−)−ベロキセピンによる治療に対しても応答することが予想される。したがって、別の態様では、本開示は、NRI化合物による治療に対して応答性の疾患および障害を治療する方法を提供する。この方法は一般に、NRI化合物による治療に対して応答性の疾患または適応症に罹患している、ヒトを含めた、哺乳動物に、当該疾患または障害を治療するために有効な量の本明細書に記載する(−)−ベロキセピン組成物を投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、この(−)−ベロキセピン組成物は、(−)鏡像異性体濃縮されているベロキセピンを含む。いくつかの実施形態では、このベロキセピン組成物は、実質的に鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピンを含む。いくつかの実施形態では、このベロキセピン組成物は、鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピンを含む。
NRIによる治療に対して応答性であることが公知である1つの重要なクラスの疾患または障害が、精神疾患である。そのような精神の疾患または障害の具体的な例として、これらに限定されないが、Diagnostic and Statistic Manual of Mental Disorders IV(Text Revision 2000年、以下「DSM−IV」と呼ぶ)に、気分障害(例えば、うつ病等)、不安障害(例えば、OCD等)、摂食障害(例えば、神経性食欲不振症および神経性過食症等)、衝動障害(例えば、抜毛癖等)、睡眠障害(例えば、オピオイド禁断に関連する不眠症等)、人格障害(例えば、ADHD等)、ならびに身体表現性障害(特定の型の疼痛等)として分類されている種々の精神疾患および適応症が挙げられる。選択的NRI化合物による治療に対して応答性であることが公知である別の重要なクラスの疾患または適応症は、侵害受容性(例えば、体細胞性もしくは内臓性)または非侵害受容性(例えば、神経因性もしくは交感神経性)のいずれの起源であっても、急性疼痛および慢性疼痛の両方を含めた、疼痛である(以下にさらに論じる)。これらの疾患または障害は全て、本明細書に記載する(−)−ベロキセピン組成物の種々の実施形態による治療に対して応答することが予想される。
この(−)−ベロキセピン組成物は、単独で投与してもよく、あるいはNRI療法に対して応答性の適応症および/もしくはその他の適応症を治療するために有用な1つもしくは複数のその他の薬物と組み合わせてまたはそれらに付属させて(adjunctively to)投与してもよい。NRI療法に対して応答性の疾患および/または障害を治療するための投与計画において、本明細書に記載する(−)−ベロキセピン組成物と組み合わせてまたはそれに付属させて使用することができる薬物の具体的、非限定的な例を、後のセクションに示す。
さらに別の態様では、本開示は、NE輸送体を阻害する方法を提供する。一般に、この輸送体を阻害すると、NEの再取り込みの阻害が生じる。この方法は一般に、NE輸送体を、NETを阻害するために有効な量の(−)−ベロキセピンと接触させるステップを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、(+)−ベロキセピンの非存在下で実施する。いくつかの実施形態では、NE輸送体を、本明細書に記載する(−)−ベロキセピン組成物と接触させる。いくつかの実施形態では、この(−)−ベロキセピン組成物は、(−)鏡像異性体濃縮されているベロキセピンを含む。いくつかの実施形態では、この(−)−ベロキセピン組成物は、実質的に鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピンを含む。いくつかの実施形態では、この(−)−ベロキセピン組成物は、鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピンを含む。
この方法は、in vitroにおいて、単離した輸送体もしくはNE輸送体を発現する細胞を用いて、またはin vivoにおいて、少なくとも部分的にNEの再取り込みの調節不全が媒介する疾患もしくは障害の治療を目指す治療的アプローチとして実行することができる。少なくとも部分的にNEの再取り込みが媒介する疾患または障害の具体的な例として、これらに限定されないが、上記に列挙したものが挙げられる。
上記したように、NE輸送体に対してより大きな親和性を示す化合物は、疼痛の治療においてより有効であり、5HT輸送体に対してより大きな親和性を示す化合物の有効性は乏しい(例えば、Maxら、1992年;N. Engl. J. Med. 326巻(19号):1250〜1256頁;Collinsら、2000年、上記を参照されたい)。したがって、NETに対する(−)−ベロキセピンの親和性(K=390nM)が中等度であることを考慮すると、この化合物が疼痛を治療するために有用であることは予測されなかったであろう。そのような予想にもかかわらず、驚くべきことに、出願人らが実施し、本明細書に報告している実験では、(−)−ベロキセピンは疼痛のげっ歯類モデルにおいてロバストな治療の有効性を示すことを観察するに至った。これらのデータから、(−)−ベロキセピンは、多くの異なる型の疼痛症候群の治療に理想的に適していることが示されている。
したがって、さらに別の態様では、本開示は、ヒトを含めた、哺乳動物において疼痛を治療する方法を提供する。この方法は一般に、疼痛を患っている、ヒトを含めた、哺乳動物に、疼痛を治療するために有効な量の本明細書に記載する(−)−ベロキセピン組成物を投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、この(−)−ベロキセピン組成物は、(−)鏡像異性体濃縮されているベロキセピンを含む。いくつかの実施形態では、この(−)−ベロキセピン組成物は、実質的に鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピンを含む。いくつかの実施形態では、この(−)−ベロキセピン組成物は、鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピンを含む。
この方法を使用して、侵害受容性起源(例えば、体細胞性もしくは内臓性)または非侵害受容性起源(例えば、神経因性もしくは交感神経性)のいずれかである急性疼痛または慢性疼痛を含めた、多数の異なる型の疼痛症候群を治療することができる。いくつかの実施形態では、疼痛は、これらに限定されないが、炎症性腸症候群(「IBS」)または関節リウマチに伴うもの等の炎症性疼痛、癌に伴う疼痛、および変形性関節症に伴う疼痛を含めた、侵害受容性疼痛である。いくつかの実施形態では、疼痛は、これらに限定されないが、ヘルペス後神経痛(PHN)、三叉神経痛、局所性末梢神経損傷(focal peripheral nerve injury)、有痛性知覚脱失(anesthesia clolorosa)等の神経因性疼痛、中枢痛(例えば、脳卒中後の疼痛、脊髄損傷に起因する疼痛または多発性硬化症に伴う疼痛)、および末梢性ニューロパシー(例えば、糖尿病性ニューロパシー、遺伝性ニューロパシーまたはその他の後天性ニューロパシー)を含めた、非侵害受容性疼痛である。
この(−)−ベロキセピン組成物は、単独で投与してもよく、あるいは疼痛および/もしくはその他の適応症を治療するために有用な1つもしくは複数のその他の薬物と組み合わせてまたはそれらに付属させて投与してもよい。疼痛治療または疼痛管理の投与計画において、本明細書に記載する(−)−ベロキセピン組成物と組み合わせてまたはそれに付属させて使用することができる薬物の具体的、非限定的な例を、後のセクションに示す。
したがって、1つの態様では、本開示は、(+)−ベロキセピン、および場合により1つまたは複数の許容できる担体、賦形剤または希釈剤を含む組成物を提供する。(+)−ベロキセピンは、組成物中に、(+)鏡像異性体濃縮されている非ラセミ混合物として存在することができる。いくつかの実施形態では、(+)−ベロキセピンは、実質的に鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピンである。いくつかの実施形態では、(+)−ベロキセピンは、鏡像異性的に純粋である。
(+)−ベロキセピンは、組成物中に、遊離塩基の形態、または塩の形態で存在することができる。いくつかの実施形態では、(+)−ベロキセピンは、薬学的に許容できる酸付加塩の形態で存在する。
以下により詳細に記載するように、(+)−ベロキセピン組成物をin vitroまたはin vivoにおいて使用することができる。in vivoにおいて使用する場合、この組成物を、これらに限定されないが、経口、外用、眼、頬側、全身、経鼻、注入、経皮、直腸、膣、吸入もしくは送気を含めて、事実上任意の投与の経路または様式によって、獣医学的に動物に投与するため、またはヒトに投与するために製剤化することができる。いくつかの実施形態では、この組成物を、例えば、ヒトに対する経口投与のために製剤化する。
選択的5HTアンタゴニストおよび非選択的5HTアンタゴニストが、多様な疾患および障害を治療するのに有効であることが証明されている。例えば、5HT2A受容体が、少なくとも部分的にいくつかのCNS機能(例えば、ニューロンの興奮、行動、学習、不安)、平滑筋収縮(血管収縮および血管拡張を含む)、ならびに血小板凝集を媒介することは公知である。治療上の有用性が確立されている5HT2A受容体アンタゴニストとして、これらに限定されないが、ネファゾドン(うつ病を治療するために使用される);トラゾドン(不安を伴うまたは伴わないうつ病、慢性不眠症、線維筋痛症,悪夢または睡眠の撹乱の制御、適応外のパニック障害、糖尿病性ニューロパシー、神経性過食症、強迫性障害、アルコール禁断および統合失調症を治療するために使用される);ミルタザピン(mirtazipine)(中等度〜重度のうつ病、ならびに適応外のパニック障害、不安障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害、睡眠時無呼吸およびそう痒症を治療するために使用される);ケタンセリン(世界保健機関(World Health Organization)およびNIHによって降血圧薬として分類されている);シロヘプタジン(枯草熱およびその他のアレルギーを治療するため、低体重の個人の食欲を刺激するため、SSRI誘発性性機能障害に対抗するため、クッシング症候群を治療するため、ならびに偏頭痛の予防薬として使用される);ピゾチフェン(偏頭痛の予防薬として、ならびにうつ病および不安または社会恐怖を治療するために使用される);サルポグレラート(血栓に伴う虚血のための治療剤として導入され、ラット炎症性疼痛モデルにおいて抗侵害受容作用をもたらし、ラットにおける熱傷後の原発性熱痛覚過敏および続発性機械的異痛を減弱することが示された選択的5HT2A受容体アンタゴニスト(Sasakiら、2006年、Pain 122巻:130〜136頁、およびそこに引用されている参照文献))、ボリナンセリン(volinanserin(現在、睡眠持続障害不眠症を治療するための第III相臨床治験において評価されている)、エプリバンセリン(eplivanserin(現在、睡眠持続障害不眠症を治療するための第III相臨床治験において評価されている)が挙げられ、さらに非定型の抗精神病薬、例として、クロザピン、リスペリドン、オランザピン、クエチアピン(quetiepine)、ジプラシドン、アリピプラゾール、パリペリドン、アセナピン、イロペリドンも挙げられ、これらは全て米国内における使用が承認されており、セルチンドール、ゾテピン、アミスルプリド、ビフェプルノックスおよびモペロン(meperone)も挙げられ、これらは米国以外の国々で使用が承認されている(多様な気分障害および睡眠障害、ならびに場合によっては、統合失調症、急性躁病、双極性躁病、持続性躁うつ病(bipolar maintenance)および精神不穏(psychotic agitation)等の精神障害を治療するために使用される)。
5HT2Aアンタゴニストの潜在的な臨床上の有用性が、WO2006/100519で注目されており、そこでは、そのような化合物は、不眠症等の睡眠障害、統合失調症等の精神障害を、かつまた、うつ病、不安、パニック障害、強迫性障害、疼痛、神経性食欲不振症等の摂食障害も含めた、神経学的な状態、ならびにLSDまたはMDMA等の麻薬に伴う依存または急性毒性を治療するのに有効であろうことが言及され。そのような化合物は、神経遮断薬の投与に伴う錐体外路症状の制御に有益であるともさらに主張された。これらはまた、眼圧を低下させ、したがって、緑内障を治療するのに有効であり、同様に、閉経期症状、特にのぼせを治療するのに有効であるとも主張された
また、5HT2A受容体は、血管平滑筋の収縮、血小板凝集、血栓形成および冠状動脈の痙縮にも関係がある。したがって、選択的5HT2Aアンタゴニストは、心血管疾患の治療における可能性が期待される。例えば、サルポグレラートは、選択的5HT2Aアンタゴニストであり、血栓に伴う虚血性疾患を治療するための治療剤として臨床に導入されている(Nagatomoら、2004年、Pharmacology & Therapeutics 104巻(1号):59〜81頁)。
5HT2B受容体は、少なくとも部分的に胃収縮を媒介することが公知である。ヨヒンビンは、5HT2Aおよび/または5HT2Bのアンタゴニストであり、臨床試験において男性の不能を治療するのに有用であることが示されており、勃起不全、SSRI誘発性機能不全、女性の性欲過剰障害(female hypersexual disorder)、外傷後ストレス障害(PTSD)を治療するため、およびPTSDを有する患者が心の傷になった記憶を思い出すのを促進するために処方されている。
また、5HT2B受容体アンタゴニストは、消化管障害、とりわけ、過敏性腸症候群(WO01/08668)、胃運動障害、ディスペプシア、GERD、タキガストリア(tachygastriaを含めた、運動性の変化が関与する障害、偏頭痛/神経原性疼痛(WO97/44326);疼痛(米国特許第5,958,934号);不安およびうつ病(WO97/44326);良性前立腺肥大(米国特許第5,952,221号);睡眠障害(WO97/44326);パニック障害、強迫性障害、アルコール依存、高血圧、神経性食欲不振症および持続勃起症(WO97/44326);喘息および閉塞性気道疾患(米国特許第5,952,331号);失禁および膀胱機能不全(WO96/24351);月経困難、早期分娩、分娩後リモデリング、子宮内膜症および線維症等の子宮障害;ならびに肺高血圧(Launayら、2002年、Nature Medicine 8巻(10号):1129〜1135頁)の治療のために有用であるとも主張されている。
5HT2C受容体は、少なくとも部分的にいくつかのCNS機能(不安、脈絡叢)、および脳脊髄液(CSF)分泌を媒介することは公知である。治療上の有用性が確立されている5HT2C受容体アンタゴニストとして、これらに限定されないが、メスレルギン(パーキンソン病を治療するために有用である可能性がある);アゴメラチン(現在、Novartisによってうつ病を治療するために開発中である);およびメチセルジド(偏頭痛を治療および予防するために有用である)が挙げられる。これらの疾患および障害も全て同様に、(+)−ベロキセピンによる治療に対して応答することが予想される。
また、5HT2C受容体アンタゴニストは、不安、うつ病(双極性および単極性の両方)、精神病の特徴、緊張病性の特徴メランコリックな特徴、非定型の特徴もしくは分娩後発症性を伴うかまたはそうではない単一または再発性の大うつ病エピソード、早発性または遅発性であり、非定型の特徴を伴うかまたはそうではない気分変調性障害、神経症性うつ病、外傷後ストレス障害、社会恐怖、抑うつ気分を伴う血管性認知症、アルコール、アンフェタミン、コカイン、幻覚剤、吸入剤、オピオイド、フェンサイクリジン、鎮静薬、催眠薬、抗不安薬等により誘発された気分障害、抑うつ型の統合失調感情障害、抑うつ気分を伴う適応障害、てんかん、強迫性障害、偏頭痛、早発性もしくは遅発性であり、かつ/または抑うつ気分を伴うアルツハイマー病;認知症、健忘障害を含めた認知障害および不特定の認知障害、睡眠障害(概日リズムの撹乱、睡眠異常、不眠症、睡眠時無呼吸およびナルコレプシーを含む)、食欲不振、神経性食欲不振症および過食症等の栄養補給障害;パニック発作、コカイン、エタノール、ニコチン、ベンゾジアゼピン(benzodiazepoine)、カフェイン、フェンサイクリジン、アヘン剤(例えば、カンナビス、ヘロイン、モルヒネ)、催眠鎮静薬(sedative ipnotic)、アンフェタミン等薬物の乱用からの禁断、統合失調症、ならびにまた脊髄外傷および/または水頭症等の頭部損傷に伴う障害等のCNS障害の治療のために有用であるとも主張されている。また、5HT2B受容体アンタゴニストは、認知および/または記憶の欠損を伴わない健常なヒトにおける記憶および/または認知の賦活薬としても有用であると主張されている(WO02/14273を参照されたい)。
したがって、別の態様では、本開示は、5HTアンタゴニスト化合物による治療に対して応答性の疾患および障害を治療する方法を提供する。この方法は一般に、5HTアンタゴニスト化合物による治療に対して応答性の疾患または適応症に罹患している、ヒトを含めた、哺乳動物に、当該疾患または障害を治療するために有効な量の本明細書に記載する(+)−ベロキセピン組成物を投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、当該疾患または障害は、5HT2A受容体、5HT2B受容体または5HT2C受容体のうちの1つに拮抗する化合物による治療に対して応答性である。5HT2A、5HT2B、5HT2Cの選択的アンタゴニストおよび非選択的アンタゴニストによる治療に対して応答する疾患および障害の非限定的な例を、上記に示した(また、Leysen、2004年、Current Drug Targets: CNS & Neurological Disorders 3巻(1号):11〜26頁も参照されたい)。
いくつかの実施形態では、疾患または障害は、5HT2A,2B、5HT2A,2Cまたは5HT2B,2Cに拮抗する二重性アンタゴニストによる治療に対して応答性である。
いくつかの実施形態では、疾患または障害は、三元性5HT2A,2B,2Cアンタゴニストによる治療に対して応答性である。
いくつかの実施形態では、この(+)−ベロキセピン組成物は、(+)鏡像異性体濃縮されているベロキセピンを含む。いくつかの実施形態では、このベロキセピン組成物は、実質的に鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピンを含む。いくつかの実施形態では、このベロキセピン組成物は、鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピンを含む。
この(+)−ベロキセピン組成物は、単独で投与してもよく、あるいは5HTアンタゴニスト化合物に対して応答性の適応症および/もしくはその他の適応症を治療するために有用な1つもしくは複数のその他の薬物と組み合わせてまたはそれらに付属させて投与してもよい。5HT2アンタゴニスト療法に対して応答性の疾患および/または障害を治療するための投与計画において、本明細書に記載する(+)−ベロキセピン組成物と組み合わせてまたはそれに付属させて使用することができる薬物の具体的、非限定的な例を、後のセクションに示す。
さらに別の態様では、本開示は、5HT2A受容体サブタイプ、5HT2B受容体サブタイプおよび/または5HT2C受容体サブタイプを含めた、5HT2受容体に拮抗する方法を提供する。この方法は一般に、5HT2受容体を、この受容体に拮抗するために有効な量(この量は従来の細胞アッセイ中で測定する)の(+)−ベロキセピンと接触させるステップを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、(−)−ベロキセピンの非存在下で実施する。いくつかの実施形態では、5HT2受容体を、本明細書に記載する(+)−ベロキセピン組成物と接触させる。いくつかの実施形態では、この(+)−ベロキセピン組成物は、(+)鏡像異性体濃縮されているベロキセピンを含む。いくつかの実施形態では、この(+)−ベロキセピン組成物は、実質的に鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピンを含む。いくつかの実施形態では、この(+)−ベロキセピン組成物は、鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピンを含む。
この方法は、in vitroにおいて、単離した受容体または5HT2受容体サブタイプ2A、2Bもしくは2Cのうちの1つもしくは複数を発現する細胞を用いて、あるいはin vivoにおいて、少なくとも部分的に、5HT2A受容体サブタイプ、5HT2B受容体サブタイプおよび5HT2C受容体サブタイプのうちの1つもしくは複数を含めた、5HT2受容体の拮抗が媒介する疾患もしくは障害の治療を目指す治療的アプローチとして実行することができる。少なくとも部分的にそのような受容体の拮抗が媒介する疾患または障害の具体的な例として、これらに限定されないが、上記に列挙したものが挙げられる。
また、ベロキセピンの(+)鏡像異性体も、疼痛を治療するために有用である。実際に、本出願人らが実施し、本明細書に報告している実験では、(+)−ベロキセピンは、疼痛のげっ歯類モデルにおいて治療の有効性を示した。
したがって、さらに別の態様では、本開示は、ヒトを含めた、哺乳動物において疼痛を治療する方法を提供する。この方法は一般に、疼痛を患っている、ヒトを含めた、哺乳動物に、疼痛を治療するために有効な量の本明細書に記載する(+)−ベロキセピン組成物を投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、この(+)−ベロキセピン組成物は、(+)鏡像異性体濃縮されているベロキセピンを含む。いくつかの実施形態では、この(+)−ベロキセピン組成物は、実質的に鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピンを含む。いくつかの実施形態では、この(+)−ベロキセピン組成物は、鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピンを含む。
この方法を使用して、侵害受容性起源(例えば、体細胞性もしくは内臓性)または非侵害受容性起源(例えば、神経因性もしくは交感神経性)のいずれかである急性疼痛または慢性疼痛を含めた、多数の異なる型の疼痛症候群を治療することができる。いくつかの実施形態では、疼痛は、これらに限定されないが、IBSまたは関節リウマチに伴うもの等の炎症性疼痛、癌に伴う疼痛、および変形性関節症に伴う疼痛を含めた、侵害受容性疼痛である。いくつかの実施形態では、疼痛は、これらに限定されないが、神経因性疼痛(ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、局所性末梢神経損傷、有痛性知覚脱失等)、中枢痛(例えば、脳卒中後の疼痛、脊髄損傷に起因する疼痛または多発性硬化症に伴う疼痛)、および末梢性ニューロパシー(例えば、糖尿病性ニューロパシー、遺伝性ニューロパシーまたはその他の後天性ニューロパシー)を含めた、非侵害受容性疼痛である。
この(+)−ベロキセピン組成物は、単独で投与してもよく、あるいは疼痛および/もしくはその他の適応症を治療するために有用な1つもしくは複数のその他の薬物と組み合わせてまたはそれらに付属させて投与してもよい。疼痛の治療または管理の投与計画において、本明細書に記載する(+)−ベロキセピン組成物と組み合わせてまたはそれに付属させて使用することができる薬物の具体的、非限定的な例を、後のセクションに示す。
ベロキセピン類似体が、当技術分野では公知である。例えば、ベロキセピン類似体は、米国特許第4,977,158号に記載されており、この開示は、参照により本明細書に組み込まれている。これらの類似体は、ベロキセピンに類似する抗疼痛活性を示すことが予想される。
したがって、1つの態様では、本開示は、ヒトを含めた、哺乳動物において疼痛を治療する方法を提供し、この方法は、疼痛を患っている哺乳動物に、疼痛を治療するために有効な量のベロキセピンおよび/またはベロキセピン類似体を投与するステップを含む。
ベロキセピンまたはベロキセピン類似体を、化合物自体としてまたは組成物の形態で投与することができる。ベロキセピンまたはベロキセピン類似体を、組成物中に、遊離塩基の形態としてまたは塩の形態で含めることができる。いくつかの実施形態では、ベロキセピンおよび/またはベロキセピン類似体は、組成物中に、薬学的に許容できる塩の形態で含まれる。
この組成物を、これらに限定されないが、経口、外用、眼、頬側、全身、経鼻、注入、経皮、直腸、膣、吸入もしくは送気を含めて、事実上任意の投与の経路または様式によって、獣医学的に動物に投与するため、またはヒトに投与するために製剤化することができる。いくつかの実施形態では、この組成物を、例えば、ヒトに対する経口投与のために製剤化する。
この方法を使用して、侵害受容性起源(例えば、体細胞性もしくは内臓性)または非侵害受容性起源(例えば、神経因性もしくは交感神経性)のいずれかである急性疼痛または慢性疼痛を含めた、多数の異なる型の疼痛症候群を治療することができる。いくつかの実施形態では、疼痛は、これらに限定されないが、術後疼痛、炎症性腸症候群(「IBS」)または関節リウマチに伴うもの等の炎症性疼痛、癌に伴う疼痛、および変形性関節症に伴う疼痛を含めた、侵害受容性疼痛である。いくつかの実施形態では、疼痛は、これらに限定されないが、ヘルペス後神経痛(PHN)、三叉神経痛、局所性末梢神経損傷、有痛性知覚脱失等の神経因性疼痛、中枢痛(例えば、脳卒中後の疼痛、脊髄損傷に起因する疼痛または多発性硬化症に伴う疼痛)、および末梢性ニューロパシー(例えば、糖尿病性ニューロパシー、遺伝性ニューロパシーまたはその他の後天性ニューロパシー)を含めた、非侵害受容性疼痛である。
ベロキセピンおよび/またはベロキセピン類似体は、単独で投与してもよく、あるいは疼痛および/もしくはその他の適応症を治療するために有用な1つもしくは複数のその他の薬物と組み合わせてまたはそれらに付属させて投与してもよい。疼痛の治療または管理の投与計画において、ベロキセピンおよび/またはベロキセピン類似体と組み合わせてまたはそれらに付属させて使用することができる薬物の具体的、非限定的な例を、後のセクションに示す。1つの特定の実施形態では、ベロキセピンを、1つまたは複数のベロキセピン類似体と組み合わせてまたはそれらに付属させて投与する。
上記したように、ベロキセピン類似体は、当技術分野において報告されている。例えば、米国特許第4,977,158号は、構造式(I)のベロキセピン類似体を開示しており、この開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
Figure 2011512414
式中、
nは、0または1であり、
Xは、OまたはSであり、
は、H、OH、ハロゲン、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから選択される1つまたは2つの同一または異なる置換基を示し、
は、H、OH、ハロゲン、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから選択される1つまたは2つの同一または異なる置換基を示し、
およびRは、シス立体配置をとる2つ置換基であり、RはOHであり、RはHであり、かつ
は、HまたはC〜Cアルキルである。
これらのベロキセピン類似体は、対応する(±)−、(+)−および(−)−ベロキセピン異性体の活性に相関する、明確に異なる生物学的活性を示すラセミ体、ならびに(+)−シス鏡像異性体および(−)−シス鏡像異性体を含むことが予想される。したがって、ベロキセピンの(−)鏡像異性体に対応する、構造式(I)のベロキセピン類似体の種々の鏡像異性体を、本明細書に記載する組成物および方法において使用することができる。
本発明の好ましい実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
哺乳動物において疼痛を治療する方法であって、疼痛を患っている哺乳動物に、前記疼痛を治療するために有効な量のベロキセピンまたはその塩を投与するステップを含む方法。
(項目2)
前記ベロキセピンが非経口投与される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記ベロキセピンが経口投与される、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記疼痛が侵害受容性起源の急性または慢性の疼痛である、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記疼痛が炎症性疼痛である、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記疼痛が癌性疼痛である、項目4に記載の方法。
(項目7)
前記疼痛が非侵害受容性起源の慢性疼痛である、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記疼痛が神経因性疼痛である、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記疼痛が内臓痛である、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記哺乳動物がヒトである、項目1から9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
哺乳動物において疼痛を治療する方法であって、疼痛を患っている哺乳動物に、前記疼痛を治療するために有効な量のベロキセピンおよび/もしくはベロキセピン類似体またはその塩を投与するステップを含む方法。
(項目12)
前記疼痛が侵害受容性起源の急性または慢性の疼痛である、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記疼痛が炎症性疼痛である、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記疼痛が癌性疼痛である、項目12に記載の方法。
(項目15)
前記疼痛が非侵害受容性起源の慢性疼痛である、項目11に記載の方法。
(項目16)
前記疼痛が神経因性疼痛である、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記疼痛が内臓痛である、項目11に記載の方法。
(項目18)
前記ベロキセピン、ベロキセピン類似体および/またはその塩が、組成物の形態で前記哺乳動物に投与される、請求11から17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記ベロキセピンおよび/またはベロキセピン類似体が、前記組成物中に塩として含まれる、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記哺乳動物がヒトである、項目18に記載の方法。
(項目21)
前記組成物が経口投与のために製剤化される、項目18に記載の方法。
(項目22)
前記哺乳動物がヒトである、項目21に記載の方法。
(項目23)
(−)鏡像異性体として濃縮されているベロキセピン。
(項目24)
実質的に鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピン。
(項目25)
鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピン。
(項目26)
ベロキセピン、ならびに賦形剤、担体および/または希釈剤を含む組成物であって、前記ベロキセピンが(−)鏡像異性体として濃縮されている組成物。
(項目27)
前記ベロキセピンが、実質的に鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピンである、項目26に記載の組成物。
(項目28)
前記ベロキセピンが、鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピンである、項目26に記載の組成物。
(項目29)
薬学的用途のために製剤化される、項目26から28のいずれか一項に記載の組成物。
(項目30)
ヒトへの経口投与のために製剤化される、項目29に記載の組成物。
(項目31)
ヒトへの非経口投与のために製剤化される、項目29に記載の組成物。
(項目32)
哺乳動物において疼痛を治療する方法であって、前記哺乳動物に、前記疼痛を治療するために有効な量の、(−)鏡像異性体として濃縮されているベロキセピンを投与するステップを含む方法。
(項目33)
哺乳動物において疼痛を治療する方法であって、前記哺乳動物に、前記疼痛を治療するために有効な量の、実質的に鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピンを投与するステップを含む方法。
(項目34)
哺乳動物において疼痛を治療する方法であって、前記哺乳動物に、前記疼痛を治療するために有効な量の、鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピンを投与するステップを含む方法。
(項目35)
哺乳動物において疼痛を治療する方法であって、前記哺乳動物に、前記疼痛を治療するために有効な量の、ベロキセピンを含む組成物を投与するステップを含み、前記ベロキセピンが(−)鏡像異性体として濃縮されている方法。
(項目36)
前記ベロキセピンが、実質的に鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピンである、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記ベロキセピンが、鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピンである、項目35に記載の方法。
(項目38)
前記組成物が、ヒトへの経口投与のために製剤化される、項目35に記載の方法。
(項目39)
前記疼痛が、侵害受容性疼痛、非侵害受容性疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、炎症性疼痛、過敏性腸症候群に伴う疼痛、関節リウマチに伴う疼痛、癌に伴う疼痛、変形性関節症に伴う疼痛、神経因性疼痛、ヘルペス後神経痛(PHN)、三叉神経痛、局所性末梢神経損傷、有痛性知覚脱失、中枢痛、脳卒中後の疼痛、脊髄損傷に起因する疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛、末梢性ニューロパシー、糖尿病性ニューロパシー、遺伝性ニューロパシーおよび後天性ニューロパシーから選択される、項目32から38のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
前記哺乳動物がヒトである、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記疼痛が神経因性疼痛である、項目40に記載の方法。
(項目42)
NEの再取り込みを阻害する方法であって、NE輸送体を、NEの再取り込みを阻害するために有効な量のベロキセピンと接触させるステップを含み、前記ベロキセピンが(−)鏡像異性体として濃縮されている方法。
(項目43)
前記ベロキセピンが、実質的に鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピンである、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記ベロキセピンが、鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピンである、項目42に記載の方法。
(項目45)
in vitroにおいて実行される、項目42から44のいずれか一項に記載の方法。
(項目46)
in vivoにおいて実行される、項目42から44のいずれか一項に記載の方法。
(項目47)
ヒトにおいてNEの再取り込みを阻害する方法であって、ヒトに、NEの再取り込みを阻害するために有効な量の、ベロキセピンを含む組成物を投与するステップを含み、前記ベロキセピンが(−)鏡像異性体として濃縮されている方法。
(項目48)
前記ベロキセピンが、実質的に鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピンである、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記ベロキセピンが、鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピンである、項目47に記載の方法。
(項目50)
前記組成物が経口投与される、項目47から49のいずれか一項に記載の方法。
(項目51)
患者において、NRI化合物による治療に対して応答性である障害を治療する方法であって、前記患者に、前記疾患または障害を治療するために有効な量の、ベロキセピンを含む組成物を投与するステップを含み、前記ベロキセピンが(−)鏡像異性体として濃縮されている方法。
(項目52)
前記ベロキセピンが、実質的に鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピンである、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記ベロキセピンが、鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピンである、項目51に記載の方法。
(項目54)
NRI化合物による治療に対して応答性の前記障害が、気分障害、認知障害、精神障害、不安障害、人格障害、摂食障害、衝動障害、チック障害、月経前症候群または不快気分、および線維筋痛症から選択される、項目51から53のいずれか一項に記載の方法。
(項目55)
前記障害が、うつ病、強迫性障害、神経性食欲不振症、神経性過食症、抜毛癖、オピオイド禁断に関連する不眠症、および注意欠陥過活動性障害からなる群から選択される、項目54に記載の方法。
(項目56)
(+)鏡像異性体として濃縮されているベロキセピン。
(項目57)
実質的に鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピン。
(項目58)
鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピン。
(項目59)
ベロキセピン、ならびに賦形剤、担体および/または希釈剤を含む組成物であって、前記ベロキセピンが(+)−鏡像異性体として濃縮されている組成物。
(項目60)
前記ベロキセピンが、実質的に鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピンである、項目59に記載の組成物。
(項目61)
前記ベロキセピンが、鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピンである、項目59に記載の組成物。
(項目62)
薬学的用途のために製剤化される、項目59から61のいずれか一項に記載の組成物。
(項目63)
ヒトへの経口投与のために製剤化される、項目62に記載の組成物。
(項目64)
ヒトへの非経口投与のために製剤化される、項目62に記載の組成物。
(項目65)
哺乳動物において疼痛を治療する方法であって、前記哺乳動物に、前記疼痛を治療するために有効な量のベロキセピンを投与するステップを含み、前記ベロキセピンが、(+)鏡像異性体として濃縮されている方法。
(項目66)
哺乳動物において疼痛を治療する方法であって、前記哺乳動物に、前記疼痛を治療するために有効な量の、実質的に鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピンを投与するステップを含む方法。
(項目67)
哺乳動物において疼痛を治療する方法であって、前記哺乳動物に、前記疼痛を治療するために有効な量の、鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピンを投与するステップを含む方法。
(項目68)
哺乳動物において疼痛を治療する方法であって、前記哺乳動物に、前記疼痛を治療するために有効な量の、ベロキセピンを含む組成物を投与するステップを含み、前記ベロキセピンが(+)−鏡像異性体として濃縮されている方法。
(項目69)
前記ベロキセピンが、実質的に鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピンである、項目68に記載の方法。
(項目70)
前記ベロキセピンが、鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピンである、項目68に記載の方法。
(項目71)
前記組成物が、ヒトへの経口投与のために製剤化される、項目68に記載の方法。
(項目72)
前記疼痛が、侵害受容性疼痛、非侵害受容性疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、炎症性疼痛、過敏性腸症候群に伴う疼痛、関節リウマチに伴う疼痛、癌に伴う疼痛、変形性関節症に伴う疼痛、神経因性疼痛、ヘルペス後神経痛(PHN)、三叉神経痛、局所性末梢神経損傷、有痛性知覚脱失、中枢痛、脳卒中後の疼痛、脊髄損傷に起因する疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛、末梢性ニューロパシー、糖尿病性ニューロパシー、遺伝性ニューロパシーおよび後天性ニューロパシーから選択される、項目65から70のいずれか一項に記載の方法。
(項目73)
前記哺乳動物がヒトである、項目72に記載の方法。
(項目74)
前記疼痛が神経因性疼痛である、項目73に記載の方法。
(項目75)
5HT2受容体に拮抗する方法であって、5HT2受容体を、前記5HT2受容体に拮抗するために有効な量のベロキセピンと接触させるステップを含み、前記ベロキセピンが、(+)−鏡像異性体として濃縮されている方法。
(項目76)
前記ベロキセピンが、実質的に鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピンである、項目75に記載の方法。
(項目77)
前記ベロキセピンが、鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピンである、項目75に記載の方法。
(項目78)
in vitroにおいて実行される、項目75から77のいずれか一項に記載の方法。
(項目79)
in vivoにおいて実行される、項目75から77のいずれか一項に記載の方法。
(項目80)
ヒトにおいて5HT2受容体に拮抗する方法であって、ヒトに、5HT2受容体に拮抗するために有効な量の、ベロキセピンを含む組成物を投与するステップを含み、前記ベロキセピンが、(+)−鏡像異性体として濃縮されている方法。
(項目81)
前記ベロキセピンが、実質的に鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピンである、項目80に記載の方法。
(項目82)
前記ベロキセピンが、鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピンである、項目80に記載の方法。
(項目83)
前記組成物が経口投与される、項目80から82のいずれか一項に記載の方法。
(項目84)
患者において、5HT2アンタゴニスト化合物による治療に対して応答性である障害を治療する方法であって、前記患者に、前記疾患または障害を治療するために有効な量の、ベロキセピンを含む組成物を投与するステップを含み、前記ベロキセピンが(+)−鏡像異性体として濃縮されている方法。
(項目85)
前記ベロキセピンが、実質的に鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピンである、項目84に記載の方法。
(項目86)
前記ベロキセピンが、鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピンである、項目84に記載の方法。
(項目87)
5HT2アンタゴニスト化合物による治療に対して応答性の前記障害が、うつ病、パニック障害、糖尿病性ニューロパシー、神経性食欲不振症、神経性過食症、強迫性障害、外傷後ストレス障害、睡眠時無呼吸、そう痒症、偏頭痛、血栓に伴う虚血、統合失調症、躁病、精神不穏、不能、勃起不全、女性の性欲過剰障害、持続勃起症、過敏性腸症候群、喘息、失禁、膀胱機能不全、月経困難、早期分娩、分娩後周産期子宮リモデリング(post partum uterine remodeling)、子宮内膜症、子宮線維症;パーキンソン病、アルツハイマー病、健忘障害および認知障害からなる群から選択される、項目84から86のいずれか一項に記載の方法。
(項目88)
前記障害が、5HT 2A アンタゴニスト化合物、5HT 2B アンタゴニスト化合物および/または5HT 2C アンタゴニスト化合物による治療に対して応答性である、項目87に記載の方法。
(項目89)
前記障害が、選択的5HT 2A アンタゴニスト化合物による治療に対して応答性である、項目87に記載の方法。
(項目90)
前記障害が、選択的5HT 2B アンタゴニスト化合物による治療に対して応答性である、項目87に記載の方法。
(項目91)
前記障害が、選択的5HT 2C アンタゴニスト化合物による治療に対して応答性である、項目87に記載の方法。
(項目92)
前記障害が、二重性5HT 2A,2C アンタゴニスト化合物による治療に対して応答性である、項目87に記載の方法。
図1は、手術の14日後のL5 SNLラットにおける、ベロキセピン(30mg/kg IP)の抗異痛作用を示すグラフである。 図2は、手術の16日後のL5 SNLラットにおける、ベロキセピン(3、10および30mg/kg IP)の抗異痛作用を示すグラフである。 図3は、L5 SNLラットにおける、選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害剤レボキセチン(30mg/kg IP)と比較して優れているベロキセピン(30mg/kg IP)の抗異痛作用を示すグラフである。 図4は、手術の8日後のL5 SNLラットにおける、経口投与ベロキセピン(60mg/kg PO)の抗異痛作用を示すグラフである。 図5は、L5 SNLラットにおける、ベロキセピン、デュロキセチン、アミトリプチリンおよびレボキセチン(それぞれ、濃度30mg/kg IP)がもたらした抗異痛作用を比較したグラフである。 図6Aは、急性侵害受容のげっ歯類モデルにおける、ベロキセピンのロバストな抗侵害受容活性を示すグラフである。 図6Bは、急性侵害受容のげっ歯類モデルにおける、ベロキセピンのロバストな抗侵害受容活性を示すグラフである。 図7は、炎症性疼痛の動物モデル(フロイト完全アジュバントを用いて処置したラット)における、ベロキセピンのロバストな抗痛覚過敏活性を示すグラフである。 図8は、内臓痛のげっ歯類モデル(酢酸を用いて処置したマウス)における、ベロキセピンのロバストな活性を示すグラフである。 図9は、FCA注射の24時間後のFCA処理ラットにおいて、機械的な抗痛覚過敏作用を、(±)−ベロキセピン(30mg/Kg IP)と、(+)−ベロキセピンおよび(−)−ベロキセピンの再構成等モル(ラセミ)混合物(30mg/Kg IP)とを比較したグラフである。 図10は、手術の7日後のL5 SNLラットにおける、経口投与ベロキセピン(60mg/kg PO)の抗異痛作用を示すグラフである。 図11は、L5 SNLラットにおける、ベロキセピン、デュロキセチンおよびエスレボキセチン(esreboxetineの抗異痛作用を比較するグラフである(各化合物を30mg/kg IPで投与した)。 図12は、手術の24時間後のラット後肢切開モデルにおける、ベロキセピン(30mg/kg IP)の抗異痛作用を示すグラフである。 図13は、手術の24時間後のラット後肢切開モデルにおける、経口投与ベロキセピン(60mg/kg IP)の抗異痛作用を示すグラフである。 図14は、手術の24時間後のラット後肢切開モデルにおける、静脈内投与ベロキセピン(3mg/kg IV)の抗異痛作用を示すグラフである。 図15は、ベロキセピンおよびキニジンによるCYP2D6(デキストロメトルファンのO−脱メチル化)の阻害を示すグラフである。 図16は、手術の8日後のL5 SNLラットにおける、(+)−ベロキセピンおよび(−)−ベロキセピン(30mg/kg IP)の抗異痛作用を示すグラフである。 図17は、手術の14日後のL5 SNLラットにおける、(−)−ベロキセピン(30mg/kg IP)の抗異痛作用を示すグラフである。 図18は、手術の7日後のL5 SNLラットにおける、経口投与(−)−ベロキセピン(60mg/kg PO)の抗異痛作用を示すグラフである。 図19は、手術の14日後のL5 SNLラットにおける、経口投与(+)−ベロキセピン(60mg/kg PO)の抗異痛作用を示すグラフである。 図20は、手術の24時間後のラット後肢切開モデルにおける、(−)−ベロキセピン(30mg/kg IP)の抗異痛作用を示すグラフである。 図21は、手術の24時間後のラット後肢切開モデルにおける、(+)−ベロキセピン(30mg/kg IP)の抗異痛作用を示すグラフである。 図22は、ラット50℃ホットプレートモデルにおける、(−)−ベロキセピン(30mg/Kg)の侵害受容作用を示すグラフである。 図23は、ラット50℃ホットプレートモデルにおける、(+)−ベロキセピン(30mg/Kg)の侵害受容作用を示すグラフである。
(詳細な説明)
本開示は、疼痛を治療するための、ベロキセピンおよび/またはその類似体の使用に関する。本開示は一部、ベロキセピンは、NEの再取り込みの弱い選択的阻害剤であるが、それにもかかわらず、急性侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、内臓痛および神経因性疼痛のげっ歯類モデルを含めた、種々の型の疼痛症候群のげっ歯類モデルの広いスペクトルにわたり顕著かつロバストな活性を示すという驚くべき発見に基づいている。「発明の概要」において論じたように、NEの再取り込みの阻害は、疼痛治療の有効性と相関する(Maxら、1992年、上記;Collinsら、2000年、上記;Atkinsonら、1999年、上記;Leventalら、2007年、上記を参照されたい)。NETにおける弱い活性に基づくと、ベロキセピンが疼痛治療において有用であることは予想されなかったであろう。しかし、ベロキセピンは、疼痛の多数の動物モデルにおいてロバストな活性を示し、接触性抗異痛(tactile anitallodynia)の場合には、疼痛を治療するのに有効であることが公知である多数の化合物について観察した活性よりも高い活性を示す。
また、本開示はとりわけ、ラセミ(±)−ベロキセピンの(−)鏡像異性体を含む組成物、ならびにラセミ(±)−ベロキセピンの(−)−鏡像異性体を使用する方法およびラセミ(±)−ベロキセピンの(−)−鏡像異性体を含む組成物を使用する方法も対象とする。
さらに、本開示はとりわけ、ラセミ(±)−ベロキセピンの(+)鏡像異性体を含む組成物、ならびにラセミ(±)−ベロキセピンの(+)−鏡像異性体を使用する方法およびラセミ(±)−ベロキセピンの(+)−鏡像異性体を含む組成物を使用する方法も対象とする。
1 ベロキセピン化合物および組成物
ラセミベロキセピン((±)−ベロキセピン)、すなわち、「ベロキセピン」はまた、「Org−4428」および「シス−1,2,3,4,4a,13b−ヘキサヒドロ−2,10−ジメチルジベン−[2,3:6,7]オキセピノ[4,5c]ピリジン−4a−オール]」としても公知であり、
これを以下に示す。
Figure 2011512414
アステリスクを付けた炭素原子に結合しているOH置換基およびH置換基は、相互にシス立体配置にある。これらの炭素原子は不斉であることから、このシス幾何異性体は、2つの鏡像異性体、すなわち、(+)鏡像異性体と(−)鏡像異性体とのラセミ混合物である。これらの(+)鏡像異性体および(−)鏡像異性体の不斉炭素についての絶対配置は、現時点では不明である。
ベロキセピン類似体が、当技術分野において報告されている。例えば、米国特許第4,977,158号は、構造式(I)のベロキセピン類似体を開示しており、この開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
Figure 2011512414
式中、
nは、0または1であり、
Xは、OまたはSであり、
は、H、OH、ハロゲン、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから選択される1つまたは2つの同一または異なる置換基を示し、
は、H、OH、ハロゲン、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから選択される1つまたは2つの同一または異なる置換基を示し、
およびRは、シス立体配置をとる2つ置換基であり、RはOHであり、RはHであり、かつ
は、HまたはC〜Cアルキルである。
これらの類似体は、ベロキセピンに類似する生物学的および薬理学的な特性を示すことが予想され、したがってまた、本明細書に記載する種々の疼痛症候群を治療および管理するのに有効であることも予想される。構造式(I)のベロキセピン類似体を、本明細書では「ベロキセピン類似体」と、またはその他の文法的に等価な名前で呼ぶ。したがって、ベロキセピン類似体を、本明細書に記載する種々の組成物および方法において使用することができ、また、ベロキセピンについて記載する種々の例示的な実施形態は、そのような実施形態が具体的に記載されているかのごとく、ベロキセピン類似体にも適用される。
ベロキセピン、その(+)−鏡像異性体および(−)−鏡像異性体、ならびに/またはそれらの類似体(すなわち、ベロキセピン、(+)−ベロキセピンおよび(−)−ベロキセピンの類似体)を、本明細書に記載する種々の方法において、化合物自体として使用してもよく、またはとりわけ、特定の投与様式のために製剤化した組成物中に含めてもよい。ベロキセピンまたはベロキセピン類似体は、組成物中に遊離の塩基として、または塩、例えば、酸付加塩の形態で存在することができる。いくつかの実施形態では、そのような塩は、薬学的に許容できる塩である。
本明細書で使用する場合、特定の鏡像異性体がその他の鏡像異性体と比べて過剰に存在する、すなわち、組成物中、この鏡像異性体が全ベロキセピンの50%超を構成する場合、ラセミ組成物は、特定の鏡像異性体「濃縮」されている。特定の鏡像異性体濃縮されている組成物は典型的には、少なくとも約60%、70%、80%、90%の、または90%超ものこの特定の鏡像異性体を含む。特定の鏡像異性体の濃縮量を、不斉シフト試薬の存在下におけるNMR分光法、不斉カラムを使用するガスクロマトグラフィー分析、および不斉カラムを使用する高圧液体クロマトグラフィー分析を含めた、当業者が日常的に使用している従来の分析方法を使用して確認することができる。
いくつかの実施形態では、単一の鏡像異性体は、その他の鏡像異性体を実質的に含有しない。「実質的に含有しない」によって、上記で言及した方法等の当業者が日常的に使用している従来の分析方法を使用して確立した場合、組成物が約10%未満の特定の望まれない鏡像異性体を含むことを意味する。いくつかの実施形態では、化合物の組成物を構成する望まれない鏡像異性体の量は、10%未満、例えば、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%であっても、または1%未満であってもよい。少なくとも約90%の特定の鏡像異性体を含有する鏡像異性的に濃縮されている化合物の組成物を、本明細書では「実質的に鏡像異性的に純粋である」と呼ぶ。したがって、不斉的に活性な化合物の実質的に鏡像異性的に純粋な組成物は、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%もしくは97%の、または97%超もの範囲の(約90〜100%の範囲に収まる任意の量を含む)特定の鏡像異性体を含有することができる。少なくとも約98%の特定の鏡像異性体を含有する、不斉的に活性な化合物の組成物を、本明細書では「鏡像異性的に純粋である」と呼ぶ。したがって、不斉的に活性な化合物の鏡像異性的に純粋な組成物は、少なくとも約98%、99%の、または99%超もの範囲の(約98〜100%の範囲に収まる任意の量を含む)特定の鏡像異性体を含有することができる。
構造式(I)は、式中、XがOであり、nが1であり、RおよびRがそれぞれHであり、Rが2−メチルであり、RがOHであり、かつRがメチルである場合、ベロキセピンとなる。本明細書では、(−)−ベロキセピンを用いて本開示の種々の態様を説明するが、オキセピン環に対する、アステリスクを付けた炭素原子に関する立体配置が(−)−ベロキセピンのものと同じである上記の構造式(I)のベロキセピン類似体(本明細書では、「対応する(−)−ベロキセピン類似体」もしくは「対応する鏡像異性体」と、またはその他の文法的に等価な名前で呼ぶ)は、(−)−ベロキセピンのものに類似する生物学的活性を示し、したがって、治療上の用途があることが予想される。したがってまた、対応する(−)−ベロキセピン類似体も、本明細書に記載する種々の組成物および方法において使用することができ、また、(−)−ベロキセピンについて記載する種々の例示的な実施形態は、そのような実施形態が具体的に記載されているかのごとく、対応する(−)−ベロキセピン類似体にも適用される。
本明細書に記載する種々の(−)−ベロキセピン組成物中、ベロキセピンは、(−)鏡像異性体濃縮されている非ラセミ混合物として、実質的に鏡像異性的に純粋な(−)鏡像異性体として、または鏡像異性的に純粋な(−)鏡像異性体として存在することができる。特定の実施形態では、この組成物は、実質的に鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピン、または鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピンを含む。ラセミベロキセピンを合成し、不斉分離によって(−)鏡像異性体を単離する方法を、後のセクションに記載する。
意図する用途に応じて、(−)−ベロキセピンは、組成物中に遊離の塩基として、または塩、例えば、酸付加塩の形態で存在することができる。いくつかの実施形態では、(−)−ベロキセピンは、薬学的に許容できる塩の形態でこの組成物中に存在する。一般に、薬学的に許容できる塩は、親化合物の所望の薬理学的活性のうちの1つまたは複数を実質的に保持し、ヒトへの投与に適している塩である。薬学的に許容できる塩には、無機酸または有機酸を用いて形成される酸付加塩がある。薬学的に許容できる酸付加塩を形成するのに適している無機酸として、これらに限定されないが、例として、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸(hydriodic)等)、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。薬学的に許容できる酸付加塩を形成するのに適している有機酸として、これらに限定されないが、例として、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、パルミチン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、アルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸等)、アリールスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸(4−tuluenesulfonic acid)、カンファースルホン酸等)、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸等が挙げられる。
いくつかの実施形態では、(−)−ベロキセピンは、組成物中に遊離の塩として存在する。いくつかの実施形態では、(−)−ベロキセピンは、組成物中に有機酸付加塩として存在する。
構造式(I)は、式中、XがOであり、nが1であり、RおよびRがそれぞれHであり、Rが2−メチルであり、RがOHであり、かつRがメチルである場合、ベロキセピンとなる。本明細書では、(+)−ベロキセピンを用いて本開示の種々の態様を説明するが、オキセピン環に対する、アステリスクを付けた炭素原子に関する立体配置が(+)−ベロキセピンのものと同じである上記の構造式(I)のベロキセピン類似体(本明細書では、「対応する(+)−ベロキセピン類似体」もしくは「対応する鏡像異性体」と、またはその他の文法的に等価な名前で呼ぶ)は、(+)−ベロキセピンのものに類似する生物学的活性を示し、したがって、治療上の用途があることが予想される。したがってまた、対応する(+)−ベロキセピン類似体も、本明細書に記載する種々の組成物および方法において使用することができ、また、(+)−ベロキセピンについて記載する種々の例示的な実施形態は、そのような実施形態が具体的に記載されているかのごとく、対応する(+)−ベロキセピン類似体にも適用される。
本明細書に記載する種々の(+)−ベロキセピン組成物中、ベロキセピンは、(+)鏡像異性体濃縮されている非ラセミ混合物として、実質的に鏡像異性的に純粋な(+)鏡像異性体として、または鏡像異性的に純粋な(+)鏡像異性体として存在することができる。特定の実施形態では、この組成物は、実質的に鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピン、または鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピンを含む。ラセミベロキセピンを合成し、不斉分離によって(+)鏡像異性体を単離する方法を、後のセクションに記載する。
意図する用途に応じて、(+)−ベロキセピンは、組成物中に遊離の塩基として、または塩、例えば、酸付加塩の形態で存在することができる。いくつかの実施形態では、(+)−ベロキセピンは、薬学的に許容できる塩の形態でこの組成物中に存在する。一般に、薬学的に許容できる塩は、親化合物の所望の薬理学的活性のうちの1つまたは複数を実質的に保持し、ヒトへの投与に適している塩である。薬学的に許容できる塩には、無機酸または有機酸を用いて形成される酸付加塩がある。薬学的に許容できる酸付加塩を形成するのに適している無機酸として、これらに限定されないが、例として、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等)、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。薬学的に許容できる酸付加塩を形成するのに適している有機酸として、これらに限定されないが、例として、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、パルミチン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、アルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸等)、アリールスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等)、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸等が挙げられる。
いくつかの実施形態では、(+)−ベロキセピンは、組成物中に遊離の塩として存在する。いくつかの実施形態では、(+)−ベロキセピンは、組成物中に有機酸付加塩として存在する。
一般に、「薬学的に許容できる塩」は、親化合物の所望の薬理学的活性のうちの1つまたは複数を実質的に保持し、ヒトへの投与に適している塩である。薬学的に許容できる塩には、これらに限定されないが、無機酸または有機酸を用いて形成される酸付加塩がある。薬学的に許容できる酸付加塩を形成するのに適している無機酸として、これらに限定されないが、例として、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等)、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。薬学的に許容できる酸付加塩を形成するのに適している有機酸として、これらに限定されないが、例として、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、パルミチン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、アルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸等)、アリールスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等)、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸等が挙げられる。
2 合成方法
ベロキセピンを、文献に記載されている方法を使用して、合成または調製することができ、例えば、ベロキセピンを、その開示が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,977,158号の記載に従って合成し、(+)鏡像異性体および(−)鏡像異性体を、従来のキラルクロマトグラフィーによって単離することができる(例えば、Chiral Separation Techniques: A Practical Approach、2nd ed.、Wiley−VCH、Weinheim、2001年を参照されたい)。また、ベロキセピン類似体は、米国特許第4,977,158号に記載の方法を使用して合成し、対応する(+)鏡像異性体および(−)鏡像異性体を、従来のキラルクロマトグラフィーによって単離することもできる。
日常的に適合させて、ラセミベロキセピン類似体を合成することができ、そこから対応する(+)鏡像異性体および(−)鏡像異性体を単離することができる、ラセミベロキセピンを合成するための具体的な方法を以下のスキーム1に説明する。
Figure 2011512414
具体的な合成の詳細、および(+)ベロキセピン鏡像異性体と(−)ベロキセピン鏡像異性体との不斉分離のために使用する条件を、実施例のセクションに示す。
3 ベロキセピンおよびその類似体の使用
疼痛は一般に、不快な感覚性または情動性の経験の認知または状態を指すと理解されており、これには、組織に対する実際の傷害を伴う場合または伴わない場合がある。疼痛は一般に、侵害受容性起源(例えば、体細胞性もしくは内臓性)または非侵害受容性起源(例えば、神経因性もしくは交感神経性)のいずれかである急性および慢性の2つの広いカテゴリーを含むと理解されている(例えば、Analgesics、Buschmannら、WileyVCH、Verlag GMbH & Co. KgaA、Weinheim、2002年;Jain、2000年、Emerging Drugs 5巻(2号):241〜257頁を参照されたい)。急性疼痛は一般に、筋挫傷/捻挫、熱傷、心筋梗塞、急性膵炎、手術、外傷および癌によって生じる侵害受容性疼痛を含む。慢性疼痛は一般に、これらに限定されないが、IBSまたは関節リウマチに伴うもの等の炎症性疼痛、癌に伴う疼痛、および変形性関節症に伴う疼痛を含めた、侵害受容性疼痛;ならびにこれらに限定されないが、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、局所性末梢神経損傷、有痛性知覚脱失等の神経因性疼痛、中枢痛(例えば、脳卒中後の疼痛、脊髄損傷に起因する疼痛または多発性硬化症に伴う疼痛)、および末梢性ニューロパシー(例えば、糖尿病性ニューロパシー、遺伝性ニューロパシーまたはその他の後天性ニューロパシー)を含めた、非侵害受容性疼痛を含む。
実施例のセクションにおいて提示したデータによって、驚くべきことに、ベロキセピンは神経因性、急性侵害受容性、炎症性および内臓性の疼痛のげっ歯類モデルにおける疼痛の治療に有効であることが確認される。この動物データに基づくと、ベロキセピンおよびベロキセピン類似体は、これらに限定されないが、侵害受容性起源の急性疼痛、例えば、術後疼痛等、侵害受容性起源の慢性疼痛、例えば、炎症性疼痛または癌性疼痛等、および非侵害受容性起源の慢性疼痛、例えば、神経因性疼痛等を含めた、種々の異なる疼痛症候群を治療するのに有用であることが予想される。
一般に、化合物または組成物の「治療に有効な」量は、治療される根底にある疾患もしくは適応症を根絶するもしくは寛解させる量、および/または患者が根底にある疾患もしくは適応症に依然として罹患している場合であっても、根底にある障害に伴う症状のうちの1つもしくは複数を根絶するもしくは寛解させ、その結果、患者が感覚もしくは状態の改善を報告する量である。また、治療の利益は、改善が実現するかどうかにかかわらず、疾患または適応症の進行を止めるまたは遅らせることも含む。
うつ病の場合には、治療に有効な量は、うつ病、またはこれらに限定されないが、気分の変化、極めて悲しい感覚、絶望、精神機能低下、集中力の喪失、悲観的な悩み、不穏、自己非難、不眠症、食欲不振、体重減少、活力および性欲の減少、ならびにホルモン性の概日リズムを含めた、その症状を根絶するまたは寛解させる組成物量である。
不安障害の場合には、治療に有効な量は、不安障害、またはこれらに限定されないが、自らの行動の制御を失う恐れ、不明確な理由から生じる恐怖感、破局に襲われる恐怖、不安感、緊張感、将来の出来事に関するしつこい不透明感、頭痛、疲労、および亜急性の自律神経性の症状を含めた、その症状のうちの1つを根絶するまたは寛解させる組成物量である。
疼痛の場合には、治療に有効な量は、疼痛、またはこれらに限定されないが、撃たれるような感覚、焼かれるような感覚、電気が流れるような感覚、痛み、不快感、ひりひりすること、緊張感、硬直、不眠、しびれ、および脱力感を含めた、その症状を根絶するまたは寛解させる組成物量である。また、有効な量は、疼痛またはその症状の発症を遮断する組成物量であってもよい。したがって、この組成物を、疼痛感覚またはその症状のうちの1つもしくは複数の発症後に治療的に投与しても、かつ/あるいは疼痛感覚またはその症状のうちの1つもしくは複数の発症前に予防的に投与してもよい。いくつかの実施形態では、この組成物を、疼痛感覚またはその症状のうちの1つもしくは複数に応答して投与し、以降、その再発を回避するために予防的に投与することができる。
実施例2においてより詳細に記載するように、(−)−ベロキセピンは、ノルエピネフリン(「NE」)輸送体に結合し、NEの再取り込みを阻害する。少なくとも部分的にNEの再取り込みの調節不全が媒介する多様な疾患および障害を治療するためのNRI化合物の使用が、十分に記載されている。例えば、NRIであるアトモキセチン(Eli Lilly & Co.からSTATTERの商品名の下で販売されている)が、米国で注意欠陥障害(ADD)および注意欠陥過活動性障害(ADHD)の治療のために承認されており、NRIであるレボキセチン(Pharmacia−UpjohnからEDRONAXの商品名の下で販売されている)が、英国およびアイルランドで抑うつ病の治療のために承認されており、NRIであるビロキサジン(AstraZenecaからのVIVALANの商品名の下で販売されている)が、米国でうつ病の治療のために承認されており、NRIであるマプロチリン(Ciba−Geigy CorporationからLUDIOMILの商品名の下で販売されている)が、米国で抑うつ性神経症(気分変調性障害)、躁うつ病、大うつ病性障害を有する患者において抑うつ病の治療のため、およびうつ病に伴う不安の軽減のために承認されており、NRIであるノルトリプチリン(Eli LillyからAventyl(登録商標)の商品名の下で販売されている)が、米国でうつ病性障害の治療のために承認されている。
ラセミ(±)−ベロキセピンの血管脳関門を越える能力が、文献では確立されている(ベロキセピンは、0.82のlogBBを有することが報告されている;Kelderら、1999年、Pharm. Res. 16巻:1514頁)。したがって、本明細書に記載する(−)−ベロキセピン組成物は、少なくとも部分的にNEの再取り込みの調節不全が媒介する任意の疾患および/または障害を治療するために有用であることが予想される。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載する(−)−ベロキセピン組成物は、これらに限定されないが、例として、アトモキセチン、レボキセチン、マプロチリンおよびノルトリプチリンを含めた、その他のNRI剤による治療に対して応答する種々の疾患全てを治療するために有用であることが予想される。少なくとも部分的にNEの再取り込みの調節不全が媒介することが公知であり、NRI化合物による治療に対して応答することが公知であり、本明細書に記載する(−)−ベロキセピン組成物によって治療が可能であることが予想される疾患および障害として、これらに限定されないが、泌尿器の失禁を含めた泌尿器障害;うつ病および季節性感情障害(SAD)等の気分障害;認知症等の認知障害;統合失調症および躁病等の精神障害;不安障害;ADHD等の人格障害;神経性食欲不振症および神経性過食症等の摂食障害;薬物に対する耽溺の結果生じた薬物依存、またはニコチン、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタールおよびベンゾジアゼピンに対する耽溺等の物質乱用;禁断症候群;高プロラクチン血症等の内分泌障害;抜毛癖および窃盗癖等の衝動障害;トウレット症候群等のチック障害;過敏性腸症候群(IBS)、イレウス、胃不全麻痺、消化性潰瘍、胃食道逆流症(GORDまたはその同義語であるGERD)、鼓腸等の消化管障害、ならびにディスペプシア(例えば、非潰瘍性ディスペプシア(NUD))および非心臓性胸痛(NCCP)等のその他の腸機能障害;脳血管構造中等の血管痙縮を含めた血管障害;さらに、パーキンソン病、ショックおよび高血圧、性機能不全、月経前症候群、および線維筋痛症を含めた種々雑多なその他の障害が挙げられる。
NRIによる治療に対して応答性であることが公知である1つの重要なクラスの疾患または障害は、精神疾患である。そのような精神の疾患または障害の具体的な例として、これらに限定されないが、Diagnostic and Statistic Manual of Mental Disorders IV(Text Revision 2000年、以下「DSM−IV」と呼ぶ)に、気分障害(例えば、うつ病等)、不安障害(例えば、OCD等)、摂食障害(例えば、神経性食欲不振症および神経性過食症等)、衝動障害(例えば、抜毛癖等)、睡眠障害(例えば、オピオイド禁断に関連する不眠症等)、人格障害(例えば、ADHD等)、ならびに身体表現性障害(特定の型の疼痛等)として分類されている種々の精神疾患および適応症が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載する(−)−組成物を使用して、そのような気分障害を治療する。
また、疼痛は、少なくとも部分的にNEの再取り込みが媒介するとも考えられている。疼痛は一般に、不快な感覚性または情動性の経験の認知または状態を指すと理解されており、これには、組織に対する実際の傷害を伴う場合または伴わない場合がある。疼痛は一般に、急性および慢性の2つの広いカテゴリーを含むと理解されており(例えば、Buschmannら、(2002年)「Analgesics」、Wiley VCH、Verlag GMbH & Co. KgaA、Weinheim;Jain、2000年、Emerging Drugs 5巻(2号):241〜257頁を参照されたい)、侵害受容性起源(例えば、体細胞性もしくは内臓性)または非侵害受容性起源(例えば、神経因性もしくは交感神経性)のいずれかであり得る。急性疼痛は一般に、筋挫傷/捻挫、熱傷、心筋梗塞、急性膵炎、手術、外傷および癌によって生じる侵害受容性疼痛を含む。慢性疼痛は一般に、これらに限定されないが、IBSまたは関節リウマチに伴うもの等の炎症性疼痛、癌に伴う疼痛、および変形性関節症に伴う疼痛を含めた、侵害受容性疼痛;ならびにこれらに限定されないが、神経因性疼痛(例えば、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、局所性末梢神経損傷、有痛性知覚脱失)、中枢痛(例えば、脳卒中後の疼痛、脊髄損傷に起因する疼痛または多発性硬化症に伴う疼痛)、および末梢性ニューロパシー(例えば、糖尿病性ニューロパシー、遺伝性ニューロパシーまたはその他の後天性ニューロパシー)を含めた、非侵害受容性疼痛を含む。
実施例のセクションにおいて提示したデータによって、(−)−ベロキセピンは神経因性疼痛のげっ歯類モデルにおける疼痛の治療に有効であることが確認される。この動物データに基づくと、本明細書に記載する(−)−ベロキセピン組成物は、侵害受容性起源の慢性疼痛、例えば、炎症性疼痛等、および非侵害受容性起源の慢性疼痛、例えば、神経因性疼痛等を含めた、種々の異なる疼痛症候群を治療するのに有用であることが予想される。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載する(−)−ベロキセピン組成物を使用して、上記で論じた種々の型の疼痛を含めて、疼痛を治療する。また、本明細書に記載する(−)−ベロキセピン組成物は、疼痛の発症を遮断するためにも有用であることが予想される。いくつかの実施形態では、そのような組成物は、(−)鏡像異性体濃縮されているベロキセピンを含む。いくつかの実施形態では、そのような組成物は、実質的に鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピンを含む。いくつかの実施形態では、そのような組成物は、鏡像異性的に純粋な(−)−ベロキセピンを含む。
この療法を、疼痛および/またはその症状のうちの1つもしくは複数の発症に続いて適用しても、あるいはその発症を回避するまたは遅らせるために予防的に適用してもよい。
この(−)−ベロキセピン組成物を、本明細書に論じる種々の疾患または障害を治療するために使用する場合、これは一般に、特定の疾患または障害を治療するために有効な量で投与される。当業者であれば認識するであろうが、「治療に有効であり」、治療の利益を提供すると理解されている量は、特定の治療される疾患または障害に依存することが多い。当業者であれば、治療に有効な量を、特定の適応症について長い間に確立された判断基準に基づいて究明することが可能である。
一般に、組成物の「治療に有効な」量は、治療される根底にある疾患もしくは適応症を根絶するもしくは寛解させる量、および/または患者が根底にある疾患もしくは適応症に依然として罹患している場合であっても、根底にある障害に伴う症状のうちの1つもしくは複数を根絶するもしくは寛解させ、その結果、患者が感覚もしくは状態の改善を報告する量である。また、治療の利益は、改善が実現するかどうかにかかわらず、疾患または適応症の進行を止めるまたは遅らせることも含む。
うつ病の場合には、治療に有効な量は、うつ病、またはこれらに限定されないが、気分の変化、極めて悲しい感覚、絶望、精神機能低下、集中力の喪失、悲観的な悩み、不穏、自己非難、不眠症、食欲不振、体重減少、活力および性欲の減少、ならびにホルモン性の概日リズムを含めた、その症状を根絶するまたは寛解させる組成物量である。
不安障害の場合には、治療に有効な量は、不安障害、またはこれらに限定されないが、自らの行動の制御を失う恐れ、不明確な理由から生じる恐怖感、破局に襲われる恐怖、不安感、緊張感、将来の出来事に関するしつこい不透明感、頭痛、疲労、および亜急性の自律神経性の症状を含めた、その症状のうちの1つを根絶するまたは寛解させる組成物量である。
疼痛の場合には、治療に有効な量は、疼痛、またはこれらに限定されないが、撃たれるような感覚、焼かれるような感覚、電気が流れるような感覚、痛み、不快感、ひりひりすること、緊張感、硬直、不眠、しびれ、および脱力感を含めた、その症状を根絶するまたは寛解させる組成物量である。また、有効な量は、疼痛またはその症状の発症を遮断する組成物量であってもよい。したがって、この組成物を、疼痛感覚またはその症状のうちの1つもしくは複数の発症後に治療的に投与しても、かつ/あるいは疼痛感覚またはその症状のうちの1つもしくは複数の発症前に予防的に投与してもよい。いくつかの実施形態では、この組成物を、疼痛感覚またはその症状のうちの1つもしくは複数に応答して投与し、以降、その再発を回避するために予防的に投与することができる。
実施例2においてより詳細に記載するが、(+)−ベロキセピンは、5HT2A受容体サブタイプ、5HT2B受容体サブタイプおよび5HT2C受容体サブタイプに結合し、拮抗する。5HT受容体アンタゴニストは、少なくとも部分的に5HTの取り込みの機能不全が媒介する多様な異なる疾患および障害を治療するために有用であり、それらとして、これらに限定されないが、以下のもの、すなわち、神経学的な状態、例として、睡眠障害(概日リズムの撹乱、睡眠異常、不眠症、睡眠時無呼吸およびナルコレプシーを含む);精神障害、例として、統合失調症、うつ病、不安、パニック障害、強迫性障害、疼痛;摂食障害(食欲不振、神経性食欲不振症および食欲不振、過食症)、気分障害(社会恐怖、抑うつ気分を伴う血管性認知症を含む)、神経遮断薬の投与に伴う錐体外路症状;眼圧を低下させ、したがって、緑内障の治療、閉経期症状、特に、のぼせの治療;心血管疾患;消化管障害、とりわけ、運動性の変化が関与する障害、例として、過敏性腸症候群;胃運動障害、ディスペプシア、GERD、タキガストリア(tachygastria、疼痛(例えば、偏頭痛/神経原性疼痛);良性の前立腺肥大、高血圧、持続勃起症、喘息、閉塞性気道疾患、失禁、膀胱機能不全、子宮障害(月経困難、早期分娩、分娩後リモデリング、子宮内膜症および線維症);肺高血圧;てんかん、アルツハイマー病、認知障害、例として、認知症、健忘障害および認知障害;脊髄外傷および/または水頭症等の頭部損傷に伴う障害が挙げられる。また、本明細書に開示する組成物および方法は、健常なヒトにおける記憶および/または認知の賦活薬としても有用である。
ラセミ(±)−ベロキセピンの血管脳関門を越える能力が、文献では確立されている(ベロキセピンは、0.82のlogBBを有することが報告されている;Kelderら、1999年、Pharm. Res. 16巻:1514頁)。したがって、本明細書に記載する(+)−ベロキセピン組成物は、少なくとも部分的に5HT受容体、例えば、一般には5HT受容体の拮抗、具体的には5HT2A受容体、5HT2B受容体および/または5HT2C受容体の拮抗の調節不全が媒介する任意の疾患および/または障害を治療するために有用であることが予想される。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載する(+)−ベロキセピン組成物は、その他の5HTアンタゴニストによる治療に対して応答する多くの異なる疾患を治療するために有用であると予想され、それらとして、これらに限定されないが、例えば、神経学的な状態、例として、睡眠障害(概日リズムの撹乱、睡眠異常、不眠症、睡眠時無呼吸およびナルコレプシーを含む);精神障害、例として、統合失調症、うつ病、不安、パニック障害、強迫性障害、疼痛;摂食障害(食欲不振、神経性食欲不振症および食欲不振、過食症)、気分障害(社会恐怖、抑うつ気分を伴う血管性認知症を含む)、神経遮断薬の投与に伴う錐体外路症状;眼圧を低下させ、したがって、緑内障の治療、閉経期症状、特に、のぼせの治療;心血管疾患;消化管障害、とりわけ、運動性の変化が関与する障害、例として、過敏性腸症候群;胃運動障害、ディスペプシア、GERD、タキガストリア(tachygastria、疼痛(例えば、偏頭痛/神経原性疼痛);良性の前立腺肥大、高血圧、持続勃起症、喘息、閉塞性気道疾患、失禁、膀胱機能不全、子宮障害(月経困難、早期分娩、分娩後リモデリング、子宮内膜症および線維症);肺高血圧;てんかん、アルツハイマー病、認知障害、例として、認知症、健忘障害および認知障害;脊髄外傷および/または水頭症等の頭部損傷に伴う障害が挙げられる。また、本明細書に開示する組成物および方法は、健常なヒトにおける記憶および/または認知の賦活薬としても有用である。
また、本明細書に提示した動物データによって、(+)−ベロキセピンも、疼痛を治療するために有用であることが確立されている。疼痛は一般に、不快な感覚性または情動性の経験の認知または状態を指すと理解されており、これには、組織に対する実際の傷害を伴う場合または伴わない場合がある。疼痛は一般に、急性および慢性の2つの広いカテゴリーを含むと理解されており(例えば、Buschmannら、2002年、「Analgesics」、Wiley VCH、Verlag GMbH & Co. KgaA、Weinheim;Jain、2000年、Expert Opinion on Emerging Drugs 5巻(2号):241〜257頁を参照されたい)、侵害受容性起源(例えば、体細胞性もしくは内臓性)または非侵害受容性起源(例えば、神経因性もしくは交感神経性)であり得る。急性疼痛は一般に、筋挫傷/捻挫、熱傷、心筋梗塞、急性膵炎、手術、外傷および癌によって生じる侵害受容性疼痛を含む。慢性疼痛は一般に、これらに限定されないが、IBSまたは関節リウマチに伴うもの等の炎症性疼痛、癌に伴う疼痛、および変形性関節症に伴う疼痛を含めた、侵害受容性疼痛;ならびにこれらに限定されないが、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、局所性末梢神経損傷、有痛性知覚脱失等の神経因性疼痛、中枢痛(例えば、脳卒中後の疼痛、脊髄損傷に起因する疼痛または多発性硬化症に伴う疼痛)、および末梢性ニューロパシー(例えば、糖尿病性ニューロパシー、遺伝性ニューロパシーまたはその他の後天性ニューロパシー)を含めた、非侵害受容性疼痛を含む。
実施例のセクションにおいて提示したデータによって、(+)−ベロキセピンは疼痛のげっ歯類モデルにおける疼痛の治療に有効であることが確認される。この動物データに基づくと、本明細書に記載する(+)−ベロキセピン組成物は、侵害受容性起源の慢性疼痛、例えば、炎症性疼痛等、および非侵害受容性起源の慢性疼痛、例えば、神経因性疼痛等を含めた、種々の異なる疼痛症候群を治療するのに有用であることが予想される。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載する(+)−ベロキセピン組成物を使用して、上記で論じた種々の型の疼痛を含めて、疼痛を治療する。また、本明細書に記載する(+)−ベロキセピン組成物は、疼痛の発症を遮断するためにも有用であることが予想される。いくつかの実施形態では、この(+)−ベロキセピン組成物は、(+)鏡像異性体濃縮されているベロキセピンを含む。いくつかの実施形態では、そのような組成物は、実質的に鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピンを含む。いくつかの実施形態では、そのような組成物は、鏡像異性的に純粋な(+)−ベロキセピンを含む。
この(+)−ベロキセピン組成物を、本明細書に論じる種々の疾患または障害を治療するために使用する場合、これは一般に、特定の疾患または障害を治療するために有効な量で投与される。当業者であれば認識するように、「治療に有効であり」、治療の利益を提供すると理解されている量は、特定の治療される疾患または障害に依存することが多い。当業者であれば、治療に有効な量を、特定の適応症について長い間に確立された判断基準に基づいて究明することが可能である。
一般に、組成物の「治療に有効な」量は、治療される根底にある疾患もしくは適応症を根絶するもしくは寛解させる量、および/または患者が根底にある疾患もしくは適応症に依然として罹患している場合であっても、根底にある障害に伴う症状のうちの1つもしくは複数を根絶するもしくは寛解させ、その結果、患者が感覚もしくは状態の改善を報告する量である。また、治療の利益は、改善が実現するかどうかにかかわらず、上記で開示した疾患、状態および適応症を含めた、疾患または適応症の進行を止めるまたは遅らせることも含む。
疼痛の場合には、治療に有効な量は、疼痛、またはこれらに限定されないが、撃たれるような感覚、焼かれるような感覚、電気が流れるような感覚、痛み、不快感、ひりひりすること、緊張感、硬直、不眠、しびれ、および脱力感を含めた、その症状を根絶するまたは寛解させる組成物の量である。また、有効な量は、疼痛またはその症状の発症を遮断する組成物の量であってもよい。また、有効な量は、疼痛またはその症状の発症を遮断する、(+)−ベロキセピンを含む組成物の量であってもよい。
この療法を、疼痛および/またはその症状のうちの1つもしくは複数の発症に続いて適用しても、あるいはその発症を回避するまたは遅らせるために予防的に適用してもよい。
4 併用療法
ベロキセピン、(−)−ベロキセピン、(+)−ベロキセピンおよび/またはそれらの類似体を、単独で、またはその他の治療剤と組み合わせてまたはそれらに付属させて使用して、疼痛を治療することができる。
したがって、ベロキセピンおよび/またはその類似体を、これらに限定されないが、カンナビノイドおよびオピオイドを含めた、その他の鎮痛剤と組み合わせることができる。これらに限定されないが、Δ−テトラヒドロカンナビノールおよびカンナビジオールから選択されるカンナビノイドならびにそれらの混合物を含めた、併用療法において使用するために適切であり得るいくつかのカンナビノイドが利用可能である。
また、本明細書に記載する(−)−ベロキセピン組成物も疼痛を治療するための併用療法において有用であることが予想される。したがって、本明細書に記載する(−)−ベロキセピン組成物を、これらに限定されないが、カンナビノイドおよびオピオイドを含めた、その他の鎮痛剤と組み合わせることができる。これらに限定されないが、Δ−テトラヒドロカンナビノールおよびカンナビジオールから選択されるカンナビノイドならびにそれらの混合物を含めた、併用療法において使用するために適切であり得るいくつかのカンナビノイドが利用可能である。
また、本明細書に記載する(+)−ベロキセピン組成物も疼痛を治療するための併用療法において有用であることが予想される。したがって、この(+)−ベロキセピン組成物を、これらに限定されないが、カンナビノイドおよびオピオイドを含めた、その他の鎮痛剤と組み合わせることができる。これらに限定されないが、Δ−テトラヒドロカンナビノールおよびカンナビジオールから選択されるカンナビノイドならびにそれらの混合物を含めた、併用療法において使用するために適切であり得る、いくつかのカンナビノイドが利用可能である。
あるいは、ベロキセピン、(−)−ベロキセピン、(+)−ベロキセピンおよび/またはそれらの類似体を、少なくとも1つのオピオイドと組み合わせて使用することもできる。疼痛を治療するための併用療法において使用するために適切であり得る多種多様なオピオイドが利用可能である。したがって、併用療法は、これらに限定されないが、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジル−モルフィン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、サイクラゾシン、デソモルヒネ、デキストロモルアミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルヒネ(diamorphone)、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオアフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメサドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、ロペラミド、メペリジン(ペチジン)、メプタジノール、メタゾシン、メサドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ノルピナノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン(phanazocine)、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル(sulfentanil)、チリジン、トラマドール、それらのジアステレオ異性体、それらの薬学的に許容できる塩、それらの錯体;およびそれらの混合物から選択されるオピオイドを含むことができる。いくつかの実施形態では、オピオイドは、モルヒネ、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ジヒドロコデイン、プロポキシフェン、フェンタニル、トラマドール、およびそれらの混合物から選択される。
併用療法のオピオイド構成成分は、鎮痛剤および/または総合感冒薬(cough−cold−antitussive combination product)において従来から利用することができる1つまたは複数のその他の活性成分をさらに含むことができる。そのような従来成分として、例えば、アスピリン、アセトアミノフェン、フェニルプロパノールアミン、フェニレフリン、クロルフェニラミン、カフェインおよび/またはグアイフェネシンが挙げられる。このオピオイド構成成分中に含ませることができる典型的なまたは従来からの成分は、例えば、Physicians’ Desk Reference、1999年に記載されており、その開示全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
オピオイド構成成分は、オピオイドの鎮痛効力を増強し、かつ/または鎮痛剤耐性の発生を低下させるように設計することができる1つまたは複数の化合物をさらに含むことができる。そのような化合物として、例えば、デキストロメトルファンまたはその他のNMDAアンタゴニスト(Maoら、1996年、Pain 67巻:361頁)、L−364,718およびその他のCCKアンタゴニスト(Dourishら、1988年、Eur. J. Pharmacol 147巻:469頁)、NOS阻害剤(Bhargavaら、1996年、Neuropeptides 30巻:2頁)、PKC阻害剤(Bilskyら、1996年、J. Pharmacol. Exp. Ther. 277巻:484頁)、ならびにダイノルフィンアンタゴニストまたは抗血清(Nicholsら、1997年、Pain 69巻:317頁)が挙げられる。前述の各文献の開示全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
あるいは、ベロキセピン、(−)−ベロキセピン、(+)−ベロキセピンおよび/またはそれらの類似体を、少なくとも1つのオピオイド鎮痛剤、例えば、ジクロフェナク、COX2阻害剤、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン(ibuprophen)、ナプロキセン等、およびそれらの混合物等と共に使用することもできる。
ベロキセピン、(−)−ベロキセピン、(+)−ベロキセピンおよび/またはそれらの類似体と組み合わせて使用することができるその他の薬剤には、抗炎症薬(NSAID)がある。適切な抗炎症薬の具体的な例として、これらに限定されないが、コルチコステロイド、アミノアリールカルボン酸誘導体、例として、これらに限定されないが、エトフェナメート、メクロフェナム酸、メフェナム酸(mefanamic acid)、ニフルミン酸;アリール酢酸誘導体、例として、これらに限定されないが、アセメタシン、アンフェナク、シンメタシン、クロピラク、ジクロフェナク、フェンクロフェナック、フェンクロラック、フェンクロジック酸、フェンチアザク、グルカメタシン、イソゼパク(isozepac)、ロナゾラク、メチアジン酸、オキサメタシン(oxametacine)、プログルメタシン、スリンダク、チアラミドおよびトルメチン;アリール酪酸誘導体、例として、これらに限定されないが、ブチブフェンおよびフェンブフェン;アリールカルボン酸、例として、これらに限定されないが、クリダナク、ケトロラクおよびチノリジン;アリールプロピオン酸誘導体、例として、これらに限定されないが、ブクロキシ酸、カプロフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、ブプロフェン、イブプロキサム、オキサプロジン、ピケトプロフェン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸およびチアプロフェン酸(tiaprofenic add);ピラゾール、例として、これに限定されないが、メピリゾール;ピラゾロン、例として、これらに限定されないが、クロフェゾン、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、フェニルピラゾリジニノン(phenyl pyrazolidininone)、スキシブゾンおよびチアゾリノブタゾン;サリチル酸誘導体、例として、これらに限定されないが、ブロモサリゲニン、フェンドサール、サリチル酸グリコール、メサラミン、サリチル酸1−ナフチル、オルサラジンおよびスルファサラジン;チアジンカルボキサミド、例として、これらに限定されないが、ドロキシカム、イソキシカムおよびピロキシカム;ならびにその他の抗炎症薬、例として、これらに限定されないが、e−アセトアミドカプロン酸、s−アデノシルメチオニン、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン、ベンダザック、ブコローム、カルバゾン、ジフェンピラミド、ジタゾール、グアイアズレン、ミコフェノール酸および誘導体の複素環アミノアルキルエステル、ナブメトン、ニメスリド、オルゴテイン、オキサセプロール、オキサゾール誘導体、パラニリン、ピホキシム、2−置換−4,6−ジ−tert−ブチル−s−ヒドロキシ−1,3−ピリミジン、プロカゾンおよびテニダップが挙げられる。
また、ベロキセピン、(−)−ベロキセピン、(+)−ベロキセピンおよび/またはそれらの類似体を、相互に組み合わせて使用することもできる。したがって、いくつかの実施形態では、併用療法は、2つ以上のベロキセピン類似体、またはベロキセピンおよび1つもしくは複数のベロキセピン類似体を投与することを含む。
NEの再取り込みを阻害する化合物が、種々の適応症を治療するために、その他の療法と組み合わせて使用されている。例えば、アミトリプチリン(amitryptiline)は、不安障害および大うつ病性障害を治療するためにクロルジアゼポキシドと組み合わせて使用されており、不安障害、統合失調症および大うつ病性障害を治療するためにペルフェナジンと組み合わせて使用されている。ノルトリプチリン(nortryptiline)は、喘息を治療するためにブデノシドと組み合わせて使用されている。本明細書に記載する(−)−ベロキセピン組成物もまた、併用療法において有用であることが予想される。
本明細書に記載する(−)−ベロキセピン組成物を併用療法において使用する場合、これは、その他の薬剤と組み合わせてまたはそれらに付属させて使用することができる。本明細書に記載する(−)−ベロキセピン組成物をその他の薬剤と組み合わせて使用する場合、これらの2つの薬剤を、単一の薬学的組成物として投与してもよく、または別個の医薬組成物として投与してもよい。これら2つの構成成分を、同じ投与経路または異なる投与経路によって投与することができる。また、これら2つの構成成分を、相互に同時に、または順次に投与することもできる。したがって、この併用療法の各構成成分を、別個にではあるが、他方の構成成分を投与する時に十分近い時期に投与して所望の作用をもたらすことができる。
本明細書に記載する(−)−ベロキセピン組成物を含む併用療法は、多くの状況において有用であるが、この(−)−ベロキセピン組成物と共に使用する他方の薬剤は、治療される特定の疾患または適応症によって異なる。当業者であれば、どのような別の薬剤を、この(−)−ベロキセピン組成物と組み合わせて使用すべきか、特定の適応症について長い間に確立された判断基準に基づいて究明することが可能であろう。
働きのいずれの理論にも縛られる意図はないが、この併用療法は、本明細書に記載する(−)−ベロキセピン組成物を、NEの再取り込みを阻害することが公知であるその他の薬剤と共に投与することを含むことができる。あるいは、この併用療法は、この(−)−ベロキセピン組成物を、NEの再取り込みを阻害しない薬剤と共に投与することも含むことができる。いくつかの実施形態では、この(−)−ベロキセピン組成物を、5HT輸送体等のその他のモノアミン輸送体を阻害する化合物と組み合わせて投与する。いくつかの特定の実施形態では、この(−)−ベロキセピン組成物を、これらに限定されないが、フルオキセチン、パロキセチン、フルボキサミン、シタプロラムまたはセルトラリン等の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)と組み合わせて投与して、うつ病を治療する。また、うつ病を治療するための併用療法は、これらに限定されないが、トラニルシプロミン、フェネルジンまたはイソカルボキサジド等のモノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)を含むこともできる。
5HT2受容体に拮抗する化合物が、種々の適応症を治療するためにその他の療法と組み合わせて使用されている。本明細書に記載する(+)−ベロキセピン組成物もまた、併用療法において有用であることが予想される。
(+)−ベロキセピン組成物を併用療法において使用する場合、これは、その他の薬剤と組み合わせてまたはそれらに付属させて使用することができる。この(+)−ベロキセピン組成物をその他の薬剤と組み合わせて使用する場合、これらの2つの薬剤を、単一の薬学的組成物として投与してもよく、または別個の医薬組成物として投与してもよい。これら2つの構成成分を、同じ投与経路または異なる投与経路によって投与することができる。また、これら2つの構成成分を、相互に同時に、または順次に投与することもできる。したがって、この併用療法の各構成成分を、別個にではあるが、他方の構成成分を投与する時に十分近い時期に投与して所望の作用をもたらすことができる。
本明細書に記載する(+)−ベロキセピン組成物を含む併用療法は、多くの状況において有用であるが、この(+)−ベロキセピン組成物と共に使用する他方の薬剤は、治療される特定の疾患または適応症によって異なる。当業者であれば、どのような別の薬剤を、この(+)−ベロキセピン組成物と組み合わせて使用すべきか、特定の適応症について長い間に確立された判断基準に基づいて究明することが可能であろう。働きのいずれの理論にも縛られる意図はないが、この併用療法は、本明細書に記載する(+)−ベロキセピン組成物を、一般には5HT2受容体、具体的には5HT2A受容体、5HT2B受容体および/または5HT2C受容体に拮抗することが公知であるその他の薬剤と共に投与することを含むことができる。あるいは、この併用療法は、本明細書に記載する(+)−ベロキセピン組成物を、5HT2受容体に拮抗しない薬剤と共に投与することも含むことができる。
5 ベロキセピンの追加の特性
実施例3に示すように、最初のスクリーニング研究から、ベロキセピンは、多型性チトクロームP450アイソザイムCYP2D6を阻害する(IC50=536nM)ことが示唆された。デキストロメトルファンをモデルとして使用してヒト肝臓ミクロソームでベロキセピンによるCYP2D6阻害を測定する、それに続く、より決定的な解析。そこでは、ベロキセピンがCYP2D6の直接的な阻害を引き起こすが、IC50値はわずか31.7μMであり(図15)、したがって、このことから、ベロキセピンのCYP阻害は、取るに足らないであろうことが示された。チトクロームP450酵素は、薬物代謝において重要な役割を果たす。例えば、疼痛を治療するために適応外で使用される多くの三環系抗うつ薬は、CYP2D6によって代謝される。したがって、併用療法投与計画において、この酵素の阻害剤を使用することによって、それらのレベルが劇的に増加させることができる。また、CYP2D6阻害剤をCYP2D6の基質と共に同時投与することによって、QT間隔が延長され得、不整脈(arrythmia)に至る恐れもある。
特定のプロドラッグにCYP2D6が作用して、活性な薬物を放出させる。CYP2D6阻害剤は、そのようなCYP2D6により活性化される薬物の有効性を低下させる可能性が高いであろう。具体的な例として、臨床的な証拠から、CYP2D6が遺伝的に欠乏している患者または強力なCYP2D6阻害剤が投与されている患者においては、コデインおよびトラマドール等のCYP2D6により活性化されるプロドラッグの効果が低下することが示唆されている。
チトクロームP4502D6(CYP2D6)は、P450スーパーファミリーの多型性メンバーであり、これは、白人集団の5〜9%において存在せず、その結果、薬物酸化が損なわれ、このメンバーは、デブリソキン/スパルテイン多型として公知である。CYP2D6等の多型性アイソザイムによる代謝は、患者集団の薬物動態の大きな変動により、薬物開発において問題になる場合がある。CYP2D6は、多くの現在使用されている薬物を代謝し、それらには、β−遮断薬、抗うつ薬および神経遮断薬がある(BertzおよびGranneman、1997年、Clin. Pharmokinet. 32巻(3号):210〜58頁)。2D6多型は、重要な薬物を処理する能力の低下に関連付けられており、これによって、望ましくない臨床結果が生じる(Ingelman−Sundbergら、1999年、Trends. Pharmacol. Sci. 20巻(8号):342〜349頁)。代謝が弱い対象におけるヒトP450多型の薬物治療に対する影響を、以下の表2に示す(Ingelman−Sundbergら、1999年、Trends. Pharmacol. Sci. 20巻(8号):342〜349頁)。
Figure 2011512414
したがって、上記、および実施例3のデータを考慮すると、当業者であれば、本明細書で論じる種々の併用療法においては、ベロキセピンおよび/またはその類似体を、CYP2D6による代謝または活性化のいずれかを受ける薬物と組み合わせてまたはそれらに付属させて投与する場合には、投与量を調節する必要がある場合があることを理解するであろう。
上記で示したように、cDNAから発現させたヒトCYP450アイソザイムの、10μMベロキセピンによる阻害についての予備的なスクリーニングアッセイから、CYP2D6の広範な阻害(97%)が示唆された。CYP2D6阻害の可能性を、ヒト肝臓ミクロソームにおいて、デキストロメトルファンをモデル基質として使用し、ベロキセピンによるCYP2D6の阻害を測定して再評価した。これらの決定的な研究では、ベロキセピンがCYP2D6の直接的な阻害を引き起こし、IC50値は31.7μMであった(図15)。したがって、予期される治療血漿濃度においては、ベロキセピンのCYP阻害は、取るに足らないであろう。このことから、ベロキセピンには、薬物間相互作用の可能性はほとんどないことが示唆されている。
実施例4によって証明するように、(−)−ベロキセピンは、多型性チトクロームP450アイソザイムCYP2D6をほとんど阻害しない(IC50=4370nM)。本明細書に記載する組成物中で有用であろう多くの薬物は、CYP2D6による代謝または活性化を受ける。(−)−ベロキセピンは、このP450アイソザイムをほとんど阻害しないので、(−)−ベロキセピンを用いる併用療法を、CYP2D6による代謝または活性化を受ける薬物の投与量を変化させる必要なしに適用することができる。
実施例3に示すように、(+)−ベロキセピンは、多型性チトクロームP450アイソザイムCYP2D6の阻害剤であり(IC50=236nM)、すなわち、このアッセイにおいて、(CYP2D6の阻害剤として)(−)鏡像異性体よりもおよそ18倍超活性である。
したがって、当業者であれば、本明細書で論じる種々の併用療法においては、この(+)−ベロキセピン組成物を、CYP2D6による代謝または活性化のいずれかを受ける薬物と組み合わせてまたはそれらに付属させて投与する場合には、投与量を調節する必要がある場合があることを理解するであろう。
6 製剤および投与
ベロキセピン、(−)−ベロキセピン、(+)−ベロキセピンおよび/またはそれらの類似体(もしくはそれらの塩)を、選ばれた投与経路、および、例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれているRemington’s Pharmaceutical Sciences、2005年に記載されている標準的な製剤慣行に基づいて選択される薬学的担体と組み合わせることができる。活性成分と担体との相対的な比率を、例えば、化合物の溶解性および化学的性質、選ばれた投与経路、ならびに標準的な製剤慣行によって決定することができる。
本明細書に記載するベロキセピン、(−)−ベロキセピン、(+)−ベロキセピンおよび/またはそれらの類似体(もしくはそれらの塩)の組成物を、哺乳動物対象に、選ばれた投与経路、例えば、経口投与経路または非経口投与経路に適合させた多様な剤型で投与することができる。これに関する非経口投与には、以下の経路による投与がある:静脈内、筋肉内、皮下、眼内、膜内、経皮を含めた経上皮、眼部、舌下および頬側;眼部、皮膚、眼、直腸を含めた局所、ならびに送気による経鼻吸入、エアロゾルおよび直腸からの全身への投与。
ベロキセピン、(−)−ベロキセピン、(+)−ベロキセピンおよび/またはそれらの類似体(もしくはそれらの塩)を含む組成物を、経口投与のために、例えば、不活性な希釈剤もしくは同化可能な食用の担体と共に製剤化してもよく、または硬質もしくは軟質の殻のゼラチンカプセル剤中に封入してもよく、または錠剤に圧縮してもよく、または食餌の食物に直接組み込んでもよい。経口による治療のための投与の場合、活性化合物を、賦形剤と共に組み込み、摂取可能な錠剤、頬側錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、オブラート等の形態で使用することができる。そのような治療に有用な組成物中の(1つまたは複数の)活性化合物の量は好ましくは、適切な投与量が得られるような量である。好ましい組成物または調製物を、経口投与単位剤型が約0.1〜約1000mgの各ベロキセピン鏡像異性体(さらに範囲ならびにその中の特定の濃度の全ての組合せおよびサブコンビネーション)を含有するように調製することができる。
また、錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤等は、以下のうちの1つまたは複数も含有することができる:結合剤、例として、トラガントガム、アカシア、トウモロコシデンプンもしくはゼラチン;賦形剤、例として、リン酸二カルシウム;崩壊剤、例として、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸等;滑沢剤、例として、ステアリン酸マグネシウム;甘味剤、例として、スクロース、ラクトースもしくはサッカリン;または矯味矯臭剤、例として、ハッカ、ウィンターグリーン油もしくはチェリー矯味矯臭剤。投与単位剤型がカプセル剤である場合、これは、上記の型の材料に加えて、液体の担体を含有することができる。種々のその他の材料が、被覆として存在することができ、例えば、錠剤、丸剤またはカプセル剤をセラック、糖または両方を用いて被覆することができる。シロップ剤またはエリキシル剤は、活性化合物、甘味剤としてのスクロース、保存剤としてのメチルパラベンおよびプロピルパラベン、染料および矯味矯臭剤、例として、チェリー香料またはオレンジ香料を含有することができる。もちろん、任意の投与単位剤型を調製する場合に使用する材料はいずれも好ましくは、利用する量において、薬学的に純粋であり、実質的に無毒性である。
また、この組成物を、非経口投与または腹腔内投与のために製剤化することもできる。ベロキセピン鏡像異性体の、遊離の塩基または薬理学的に許容できる塩としての溶液を、ヒドロキシプロピルセルロース等の界面活性剤と適切に混合した水中で調製することができる。また、分散剤を、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物中ならびに油中で調製することもできる。保管および使用の通常の条件下では、これらの調製物は、微生物の増殖を阻止するために保存剤を含有することができる。
注射による投与に適切な組成物は典型的には、例えば、無菌の水性液剤または分散剤、ならびに無菌の注射用の液剤または分散剤を用時調製するための無菌の散剤を含む。いずれの場合も、この剤型は好ましくは、無菌であり、容易なシリンジへの充填性をもたらすために流動性を示す。この剤型は、好ましくは製造および保管の条件下で安定であり、好ましくは細菌および真菌等の微生物の汚染作用に対して保存される。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)、それらの適切な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒であってよい。適切な流動性を、例えば、レシチン等の被覆を使用すること、分散剤の場合には必要な粒子サイズを維持すること、および界面活性剤を使用することによって維持することができる。微生物の作用の阻止を、種々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によって達成することができる。多くの場合、等張化剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含ませることが好ましいであろう。注射用組成物の吸収の延長を、吸収遅延剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを使用することによって達成することができる。
無菌の注射用液剤は、必要量の活性化合物を適切な溶媒中に、上記で列挙した種々のその他の成分と共に組み込み、必要に応じて、それに続いてろ過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散剤は、滅菌した活性成分を、基剤としての分散媒および上記で列挙した成分からの必要なその他の成分を含有する無菌のビヒクル中に組み込むことによって調製することができる。無菌の注射用液剤を調製するための無菌の散剤の場合、好ましい調製方法は、活性成分に任意の追加の所望の成分を足してあらかじめ無菌ろ過した溶液からそれらの散剤を得る真空乾燥および凍結乾燥の技法を含んでもよい
7 有効投与量
ベロキセピン、(−)−ベロキセピン、(+)−ベロキセピンおよび/またはそれらの類似体(もしくはそれらの塩)は一般に、本明細書に記載するように、治療に有効な量で投与する。ベロキセピンおよび/またはベロキセピン類似体化合物の分量は、例えば、治療される特定の疼痛の適応症または症候群、投与様式、所望の利益が予防のためまたは治療のためのいずれであるか、治療される疼痛の適応症または症候群の重症度、患者の年齢および体重、投与するベロキセピン、(−)−ベロキセピン、(+)−ベロキセピンおよび/またはそれらの類似体(もしくはそれらの塩)の生物学的利用率を含めた、多様な要因に依存する。有効投与量を決定する能力は、当業者であれば十分に持ち合わせている。
投与量は典型的には、約0.0001または0.001または0.01mg/kg/日の(1つまたは複数の)活性化合物の総量から、約0.1または1.0または2.0または2.5または5.0または10.0または20.0または25.0または50.0または75.0または100mg/kg/日の(1つまたは複数の)活性化合物の総量までの範囲に及び、約5mg/kg/日〜約1500mg/kg/日の(1つまたは複数の)活性化合物の総量が予想されるが、とりわけ上記で言及した要因に応じてより高くてもまたはより低くてもよい。
投与の量および間隔を個々に調節して、(1つまたは複数の)活性化合物の、治療効果または予防効果を維持するのに十分な血漿レベルをもたらすことができる。非限定的な例として、この組成物を、とりわけ、投与様式、治療される特定の適応症、および処方する医師の判断に応じて、1日1回または1日複数回投与することができる。局所的な外用投与等の局所投与または選択的取り込みの場合、活性な化合物および/または組成物の有効な局所濃度が、血漿濃度に関連しない場合がある。当業者であれば、有効な局所投与量を過度の実験なしで最適化することが可能である。
疼痛を治療するために有用な(−)−ベロキセピンの化合物および/または組成物の最初の投与量を、実施例のセクションにおいて記載した動物データ等のin vivoのデータから推定することができる。
疼痛を治療するために有用な(+)−ベロキセピンの化合物および/または組成物の最初の投与量を、実施例のセクションにおいて記載した動物データ等のin vivoのデータから推定することができる。
実施例のセクション(例えば、実施例4〜13)において記載した動物データに基づくと、ヒトにおいて疼痛を治療するためのベロキセピンの有効投与量は、ラットに対して30mg/kg、i.p.、またはラットに対して60mg/kg POを投与した後に達成される血漿濃度に類似する血漿濃度を達成するのに十分なベロキセピンの用量を投与することによって得ることができることが予想される。したがって、いくつかの実施形態では、疼痛を治療するためのベロキセピンの有効用量は、30mg/kgベロキセピンをラットにi.p.投与する場合、または60mg/kgベロキセピンをラットに経口投与する場合に達成される血漿濃度を達成するために必要な投与量である。
実施例4、7、18および13に記載した動物データに基づくと、ヒトにおいて疼痛を治療するための(−)−ベロキセピンの有効投与量は、ラットに対して30mg/kg、i.p.を投与した後に達成される血漿濃度に類似する血漿濃度を達成するのに十分な(−)−ベロキセピンの用量を投与することによって得ることができることが予想される。したがって、いくつかの実施形態では、疼痛を治療するための(−)−ベロキセピンの有効用量は、30mg/kg(−)−ベロキセピンをラットにi.p.投与する場合に達成される血漿濃度を達成するために必要な投与量である。
これらの動物データ(実施例13)に基づくと、約10mg/日〜約20または25または30または35または40または45または50または60または70または80または90または95または100または200または500または750または1000または1500mg/日の間のベロキセピン、(−)−ベロキセピンおよび(+)−ベロキセピンの経口用量が、疼痛を治療するのに有効であることが予想される。したがって、いくつかの実施形態は、約10mg/日〜1回当たり約500mgの範囲に及ぶベロキセピンの経口投与量を1日1回または複数回投与することを含む。ベロキセピン類似体の類似の投与量範囲が有効であることが予想される。
併用療法の場合、組み合わせた薬剤の適切な投与量は、当業者であれば長い間に確立された判断基準に基づいて容易に究明することが可能である。一般的な参考までに、カンナビノイド、オピオイドおよび/またはその他の薬剤が、ベロキセピン、(−)−ベロキセピンおよび(+)−ベロキセピンと組み合わせて使用される場合、投与量は典型的には、カンナビノイド、オピオイドおよび/またはその他の活性化合物は、約0.01〜約100mg/kg/日の範囲に及び、ベロキセピン、(−)−ベロキセピンまたは(+)−ベロキセピンは、約0.001〜約100mg/kg/日の範囲に及ぶ。特定の実施形態では、投与量は、カンナビノイド、オピオイドおよび/またはその他の活性化合物は、約0.1〜約10mg/kg/日であってよく、ベロキセピンは、約0.01〜約10mg/kg/日であってよく、その他の実施形態では、1日の投与量は、カンナビノイド、オピオイドおよび/またはその他の活性化合物は約1.0mgであってよく、ベロキセピンは約0.1mgであってよい。あるいは、ベロキセピンを、カンナビノイド化合物(例えば、Δ−テトラヒドロカンナビノールもしくはカンナビジオール)、オピオイド化合物(例えば、モルヒネ)、および/またはその他の薬剤と組み合わせ、この組合せを経口投与する場合には、投与量は一般に、カンナビノイド、オピオイドおよび/またはその他の薬剤は、約15〜約200mgの範囲に及び、ベロキセピン、(−)−ベロキセピンまたは(+)−ベロキセピンは、約0.1〜約4mgの範囲に及ぶことができる。類似の投与量範囲が、ベロキセピン、(−)−ベロキセピンおよび/または(+)−ベロキセピンの類似体を用いる併用療法ために有効であることが予想される。
8 キット
ベロキセピン、(−)−ベロキセピン、(+)−ベロキセピンおよび/もしくはそれらの類似体、ならびに/またはそれらの塩を、キットの形態に組み立てることができる。いくつかの実施形態では、このキットは、投与のための組成物を調製するための(1つまたは複数の)化合物および試薬を提供する。この組成物は、乾燥形態もしくは凍結乾燥形態であっても、または液剤、特に無菌の液剤中にあってもよい。この組成物が乾燥形態である場合、試薬は、液体製剤を調製するための薬学的に許容できる希釈剤を含むことができる。このキットは、これらに限定されないが、シリンジ、ピペット、経皮パッチまたは吸入器を含めた、この組成物を投与または投薬するための装置を含有することができる。
このキットは、本明細書に記載する組成物と併せて使用するためのその他の治療剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、これらの治療剤を、別個の形態で提供してもよく、または本明細書に記載する組成物と混合してもよい。
キットは、この組成物を調製および投与するための適切な指示、この組成物の副作用、ならびに任意のその他の関連情報を含むことができる。これらの指示は、任意の適切なフォーマットをとることができ、それらとして、これらに限定されないが、印刷物、ビデオテープ、コンピュータが読めるディスク、または光ディスクが挙げられる。
以下の実施例は例証のためのものであり、これには限定する意図はなく、これによって本明細書に記載するベロキセピンの種々の特色および特定の用途を強調する。
(実施例1)
(±)−ベロキセピンの合成、ならびに(−)−ベロキセピンおよび(+)−ベロキセピンの単離
以下に再提示するスキーム1を参照して、以下に示すように、ベロキセピンを合成し、その(−)鏡像異性体および(+)鏡像異性体を単離した。
Figure 2011512414
2−(2−(o−トリルオキシ)フェニル)酢酸(B)の調製:窒素下、N,N−ジメチルホルムアミド(500mL)中のA(50.0g、232ミリモル、1.00当量)の溶液に、機械撹拌しながら、炭酸セシウム(189g、581ミリモル、2.50当量)、o−クレゾール(28.8mL、279ミリモル、1.20当量)、塩化銅(I)(12g、120ミリモル、0.5当量)およびトリス(3,6−ジオキサヘプチル)アミン(TDA)(37mL、120ミリモル0.5当量)を添加した。この反応を、撹拌混合物中に窒素を10分間バブリングすることによって脱気した。次いで、この混合物を、窒素下、80℃で2日間加熱した。この反応を室温まで冷却し、1:1のジエチルエーテル/ヘキサンで希釈した。この混合物を、撹拌しながら、6M HClで注意深く酸性化し、次いで、水で希釈し、層を分離した。水層を1:1のジエチルエーテル/ヘキサンで洗浄し、全ての有機層を組み合わせて、0.5M炭酸ナトリウムで洗浄した。これらの塩基性の水層を組み合わせて、6M HClで酸性化し、生成物をジエチルエーテルで抽出した。有機層を濃縮し、シリカゲルプラグにより2〜5%のイソプロパノール/ヘキサン勾配を使用して精製して、31.48gの黄色/緑色の油を得た(収率51%、H NMR純度92%に基づく)。H NMR (400 MHz, CDCl) 7.29 (dd, 1H), 7.23−7.10 (m, 3H), 7.05 (m, 2H), 6.83 (dd, 1H), 6.63 (dd, 1H), 3.77 (s, 2H), 2.20 (s, 3H);MS:=(M−H)=241.1
6−メチルジベンゾ[b,f]オキセピン−10(11H)−オン(C)の調製:B(60.7g、213ミリモル、1.00当量、純度85%)、ポリリン酸(93g、852ミリモル、4.00当量)およびスルホラン(200mL)の混合物を、120℃の油浴中に浸漬し、90分間加熱した。氷水を添加し、生成物をジエチルエーテルで抽出した。この有機層を0.5M炭酸ナトリウムで洗浄し、濃縮し、シリカゲルプラグにより1〜4%の酢酸エチル/ヘキサン勾配を使用して精製して、41.4gの有機油を得た(80%**)。**出発材料Bの純度85%および生成物Cの純度92%に基づく収率。H NMR (400 MHz, CDCl) 7.91 (m, 1H), 7.44 (m, 1H), 7.32 (m, 1H), 7.25 (m, 2H), 7.19 (m, 1H), 7.07 (m, 1H), 4.10 (s, 2H), 2.57 (s, 3H)
(4−メチル−11−オキソ−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−10−イル)−酢酸tert−ブチルエステル(D)の調製:鹹水/水浴中で冷却したテトラヒドロフラン(400mL)中の、鉱油中の60%水素化ナトリウム(8.16g、204ミリモル、1.2当量)の混合物に、テトラヒドロフラン(200mL)中のケトンC(41.4g、170ミリモル、1.0当量、純度92%)の溶液を滴下して添加した。この混合物を、さらに10分間撹拌した。臭化物を10分間にわたり滴下して添加し、この反応を撹拌しながら40分間冷却した。この反応を水でクエンチし、濃縮した。粗生成物を水とジエチルエーテルとの間に分配し、層を分離し、有機層を鹹水で洗浄した。有機層を濃縮し、得られた固体をヘキサン中で粉砕し、ろ過し、乾燥して、44.1gの灰白色の固体を得た。このろ液を濃縮したところ、3日後に結晶が生じた。結晶をろ過、乾燥して、1.5gの薄橙色の結晶性固体を得た。全収率=78%。H NMR (400 MHz, CDCl) 7.86 (dd, 1H), 7.43 (m, 1H), 7.25−7.20 (m, 4H), 7.06 (t, 1H), 4.83 (m, 1H), 3.37 (m, 1H), 2.87 (dd, 1H), 2.57 (s, 3H), 1.42 (s, 9H);MS:M=338.4
(4−メチル−11−オキソ−10,11−ジヒドロ−ベンゾ[b,f]オキセピン−10−イル)−酢酸(E)の調製:エステルD(44.0g、128ミリモル、1.0当量)を、ジクロロメタン(500mL)中に溶解させ、トリフルオロ酢酸(34.5mL、448ミリモル、3.5当量)を添加した。この反応を室温で48時間にわたり撹拌した。この反応を水で希釈し、層を分離した。有機層を濃縮し、1:1のジエチルエーテル/ヘキサン(250mL)中で粉砕し、ろ過、乾燥して、34.6gの淡黄色の固体を得た(94%)。H NMR (400 MHz, DMSO) 12.40 (brs, 1H), 7.72 (dd, 1H), 7.61 (m, 1H), 7.44 (m, 1H), 7.36−7.30 (m, 3H), 7.18 (t, 1H), 4.73 (m, 1H), 3.33 (m, 1H), 2.92 (dd, 1H), 2.57 (s, 3H);MS:(M−H)=281.2
N−メチル−2−(4−メチル−11−オキソ−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−10−イル)−アセトアミド(F)の調製:窒素下、酸E(34.5g、120ミリモル、1.0当量)をテトラヒドロフラン(200mL)中に懸濁させた。この混合物に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(31.3mL、180ミリモル、1.5当量)、メチルアミン(120mL、240ミリモル、2.0当量)およびTBTU(46.2g、144ミリモル、1.2当量)を添加した。この反応を室温で2時間撹拌した。30分と60分の間に、濃厚な沈殿物が形成され、この反応は淡緑色に変化した。100mLのテトラヒドロフランをさらに添加し、低速撹拌を再開した。N,N−ジメチルホルムアミド(100mL)、それに続いて、追加量(15g)のTBTUを添加した。この反応混合物をほとんど乾燥した状態まで濃縮し、生成物をジエチルエーテルと炭酸水素ナトリウムの50%水溶液との間に分配した。この水層をジエチルエーテルで洗浄し、全ての有機層を組み合わせ、濃縮した。得られた固体を300mLの1:1のジエチルエーテル/ヘキサン中で粉砕し、ろ過、乾燥して、33.3gの灰白色の固体を得た(93%)。H NMR (400 MHz, CDCl) 7.84 (dd, 1H), 7.43 (m, 1H), 7.25−7.20 (m, 3H), 7.16 (m, 1H), 7.06 (t, 1H), 4.96 (dd, 1H), 3.33 (m, 1H), 2.82 (d, 3H), 2.75 (dd, 1H), 2.57 (s, 3H);MS:(M+H)=296.0
2−(11−ヒドロキシ−4−メチル−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−10−イル)−N−メチル−アセトアミド(G)の調製:窒素下、ケトンF(33.2g、112ミリモル、1.0当量)を、メタノール/テトラヒドロフラン(200mL/200mL)中に部分的に溶解させ、氷/水浴中で冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(10.6g、281ミリモル、2.5当量)を、2gずつ15分間にわたり添加した。氷浴から取り出し、この混合物を室温で1時間撹拌した。この反応を水でクエンチし、ほとんど乾燥した状態まで濃縮した。粗生成物をジクロロメタン中に懸濁させ、水を添加し、層を分離した。この水層をジクロロメタンで再度洗浄し、これらの有機層を組み合わせ、濃縮した。得られた泡に、250mLの1:1のジエチルエーテル/ヘキサンを激しく撹拌しながら添加した。白色の沈殿物が直ちに形成され、これを、ろ過、乾燥して、32gの白色の粉末を得た(97%);MS:(M+H)=298.0
6−メチル−11−(2−メチルアミノ−エチル)−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−10−オール(H)の調製:窒素下、アミドG(31.9g、107ミリモル、1.0当量)をテトラヒドロフラン(200mL)中に溶解させ、ボラン−ジメチルスルフィドの錯体(テトラヒドロフラン中2.0M、161mL、322ミリモル、3.0当量)を滴下により15分間にわたり添加した。次いで、この反応を80℃で24時間加熱した。この反応を氷/水浴中で冷却し、メタノール(50mL)を、10mLずつ30分間にわたり添加した。この混合物を室温で30分間撹拌した。ジオキサン中の4M HClの溶液(130mL、約5当量)を滴下により15分間にわたり添加した。この混合物を室温で30分間撹拌した。この混合物をほとんど乾燥した状態まで濃縮し、水および10%酢酸エチル/ジエチルエーテルを添加した。層を分離し、この水相を10%酢酸エチル/ジエチルエーテルで洗浄した。この水層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で塩基性化し、生成物を10%メタノール/ジクロロメタンで抽出した。これらの有機層を組み合わせて、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮、乾燥して、25.8gの黄色の油を得た(82%)。MS:(M+H)=284.0
[2−(11−ヒドロキシ−4−メチル−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−10−イル)−エチル]−メチル−カルバミン酸tert−ブチルエステル(I)の調製:ジクロロメタン(300mL)中のアミンH(25.0g、86ミリモル、1.0当量、純度96.9%)およびトリエチルアミン(14.3mL、102ミリモル、1.2当量)の溶液に、二炭酸ジ−tert−ブチル(19.6g、90ミリモル、1.05当量)を少量ずつ添加した。この反応を室温で15分間撹拌した。この反応を0.5M HClで希釈し、層を分離した。有機層を0.5M HClで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮、乾燥して、35gの黄色の油を得た(純度93%に基づく収率100%)。MS:(M+H)=384.0
メチル−[2−(4−メチル−ジベンゾ[b,f]オキセピン−10−イル)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(J)の調製:アルコールI(23.5g、57ミリモル、1.0当量、純度93%)をジクロロメタン(300mL)中に溶解させ、トリエチルアミン(20.6mL、148ミリモル、2.6当量)を添加した。この混合物を氷浴中で冷却し、メタンスルホニルクロリド(5.73mL、74ミリモル、1.3当量)を添加した。この反応混合物を撹拌しながら15分間冷却した。この反応混合物を0.5M HClで希釈し、層を分離した。有機層を濃縮、乾燥して、28gの淡黄色の粗油を得た。このメシレートをトルエン(200mL)中に溶解させ、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−セン(42.6mL、285ミリモル、5.0当量)を添加した。この混合物を115℃で1時間加熱し、水で希釈した。層を分離し、有機層を濃縮し、シリカゲルプラグにより5〜15%酢酸エチル/ヘキサンを用いて溶出して精製して、14.76gの淡黄色の油を得た。この全量は、(8.44g、LC/MSにより純度81%)と(6.32g、LC/MSにより純度77%)との2バッチに収集した。H NMR (400 MHz, CDCl) 7.40 (brm, 1H), 7.28 (m, 1H), 7.22−7.10 (m, 3H), 6.98s (m, 2H), 6.70 (brs, 1H), 3.39 (brm, 2H), 2.91−2.82 (brm, 5H), 2.53 (s, 3H), 1.46 (s, 9H);MS:(M+H)=366.0
メチル−[2−(4−メチル−ジベンゾ[b,f]オキセピン−10−イル)−エチル]−アミン(K)の調製:オレフィンJ(14.8g、32ミリモル、1.0当量、純度79%)をジクロロメタン(150mL)中に溶解させ、ジエチルエーテル中のHClの溶液(2.0M、75mL、160ミリモル、5当量)を添加した。この混合物を室温で一晩撹拌した。この反応を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で希釈し、層を分離した。この水層を10%メタノール/ジクロロメタンで洗浄し、全ての有機層を組合せ、濃縮し、フラッシュシリカゲルカラムにより2〜10%のメタノール/ジクロロメタン勾配(1%NHOHを添加)使用して精製して、8.0gの黄色の油を収率91%および純度96%で得た。H NMR (400 MHz, CDCl) 7.38 (m, 1H), 7.30 (m, 2H), 7.15 (m, 2H), 6.99 (m, 2H), 6.74 (s, 1H), 2.93 (t, 2H), 2.78 (t, 2H), 2.52 (s, 3H), 2.44 (s, 3H);MS:(M+H)=266.0
ベロキセピン(L)の調製:窒素下、アミンK(7.0g、25ミリモル、1.0当量)に、エタノール(23mL)、HClの水溶液(2.0M、226mL、19当量)およびホルムアルデヒドの水溶液(37%、100mL、52当量)を添加した。この反応混合物を50℃で64時間加熱した。この反応混合物を氷浴中で冷却し、これを、2M NaOHで約pH8まで塩基性化した。この生成物を10%メタノール/ジクロロメタンで抽出した。これらの有機層を組み合わせて、濃縮し、フラッシュシリカゲルカラムにより4〜9%のメタノール/ジクロロメタン勾配(1%NHOHを添加)を使用して精製して、4.9gの白色の固体を収率66%および純度100%で得た。H NMR (400 MHz, CDCl) 7.62 (d, 1H), 7.27 (m, 3H), 7.14 (m, 1H), 7.08 (m, 1H), 7.00 (m, 1H), 3.28 (brs, 1H), 3.10 (brt, 1H), 3.00 (brm, 1H), 2.82 (brm, 1H), 2.46 (brs, 1H), 2.42 (s, 3H), 2.29 (s, 3H), 2.18 (m, 1H), 2.03 (s, 1H), 1.80 (brm, 1H);MS:(M+H)=296.0。CHN理論値(1モルHO):C:72.82%、H:7.40%、N:4.47%。CHN実測値(1モルHO):C:72.69%、H:7.29%、N:4.48%
MおよびNの調製:ラセミ混合物L(ラセミベロキセピン)の不斉分離を、以下の条件を使用して実施した:(i)カラム:Chiralpak AD−H、21×250mm、5ミクロン;(ii)流速:15mL/分、(iii)移動相:60%メタノール(0.2%トリエチルアミン)、20%エタノール、20%ヘキサン;および(iv)検出:270nm。
M:ピーク保持時間:ピーク2[(−)−ベロキセピン]=5.8分。[α]23.7=−111.34(c.12.0mg/mL、MeOH)。H NMR (400 MHz, CDCl) 7.62 (d, 1H), 7.27 (m, 3H), 7.14 (m, 1H), 7.08 (m, 1H), 7.00 (m, 1H), 3.27 (brm, 1H), 3.08 (t, 1H), 2.98 (m, 1H), 2.79 (brm, 1H), 2.46 (brs, 1H), 2.41 (s, 3H), 2.27 (s, 3H), 2.15 (m, 1H), 2.07 (brs, 1H), 1.85 (brm, 1H);MS:(M+H)=296.0;CHN理論値:C:77.26%、H:7.17%、N:4.74%、およびCHN実測値:C:77.16%、H:7.25%、N:4.76%
N:ピーク保持時間:ピーク1[(+)−ベロキセピン]=4.7分。[α]23.7=+110.80(c.11.1mg/mL、MeOH);H NMR (400 MHz, CDCl) 7.62 (d, 1H), 7.27 (m, 3H), 7.15 (m, 1H), 7.08 (m, 1H), 7.00 (m, 1H), 3.27 (brm, 1H), 3.08 (t, 1H), 2.98 (m, 1H), 2.80 (brm, 1H), 2.46 (brs, 1H), 2.42 (s, 3H), 2.28 (s, 3H), 2.15 (m, 1H), 2.05 (s, 1H), 1.80 (brm, 1H);MS:(M+H)=296.0;CHN理論値:C:77.26%、H:7.17%、N:4.74%、およびCHN実測値:C:76.96%、H:7.24%、N:4.74%。
再構成ベロキセピンラセミ混合物の調製(図9を参照されたい):
300mgの(+)−ベロキセピンと300mgの(−)−ベロキセピンとを組み合わせて、10mLのヘキサン/メタノール(30:70)中に溶解させた。この溶液をロータリーエバポレーター上、37℃で濃縮して、灰白色の泡を得た(ベロキセピンのロット9)。H NMR(400MHz、CDCl)は、生成物について一致した。LC/MS:ESI+M+=295.6;純度=100% RT=0.64;CHN理論値:C:77.26%、H:7.17%、N:4.74%、CHN実測値:C:77.04%、77.10%、H:7.17%、7.20%、N:4.77%、4.79%
(実施例2)
ベロキセピンはNE再取り込み阻害剤である
(±)−ベロキセピン、(−)−ベロキセピンおよび(+)−ベロキセピンの、NE輸送体、ドーパミン輸送体およびセロトニン輸送体、ならびに5HT2A受容体、5HT2B受容体および5HT2C受容体に対する結合親和性を、放射標識リガンドを用いる競合結合アッセイにおいて決定した。また、これらの化合物の、NEおよび5HTの再取り込みを阻害する能力、ならびに5HT2A受容体、5HT2B受容体および5HT2C受容体を刺激するまたはそれらに拮抗する能力も研究した。ベロキセピンは、セロトニン輸送体およびドーパミン輸送体においては、わずかな親和性しか示さなかった(SERT:競合アッセイ中、10μMにおいて27%の阻害;DAT:競合アッセイ中、10μMにおいて16%の阻害)。
ベロキセピンの、NE輸送体、セロトニン輸送体およびドーパミン輸送体に対する結合親和性を、放射標識リガンドを用いる競合結合アッセイにおいて決定した。また、ベロキセピンの、NEの再取り込みを阻害する能力も決定した。ベロキセピンは、セロトニン輸送体(競合アッセイ中、10μMにおいて27%の結合阻害)およびドーパミン輸送体(競合アッセイ中、10μMにおいて16%の結合阻害)に対してわずかな親和性しか示さないことが観察された。観察されたその他の結果を、以下に示す。
プロトコール。NE輸送体結合アッセイの場合、[H]ニソキセチン(1.0nM)に、種々の濃度のベロキセピンを加え、クローン化ヒトNE輸送体(hNET)を異種発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞から調製した膜と共に、4℃で2時間インキュベートした。結合放射活性を、シンチレーション分光法によって決定した。非特異的結合を、1.0μMデシプラミンの存在下で生じる結合量と定義した。Kを、標準的な方法を使用して決定した。
NE再取り込み阻害のIC50を、種々の濃度のベロキセピンが、[H]ノルエピネフリンがラット視床下部シナプトソーム中に組み込まれるのを阻害する程度を測定することによって決定した(測定は、37℃で20分間実施した)。
5HT輸送体結合アッセイの場合、[H]イミプラミン(2.0nM)を、種々の濃度のベロキセピンの存在下、ヒトセロトニン輸送体(hSERT)を異種発現するCHO細胞から調製した膜と共に、22℃で1時間インキュベートした。結合放射活性を、シンチレーション分光法によって決定した。非特異的結合を、10μMイミプラミンの存在下で生じる結合量と定義した。Kを、標準的な方法を使用して決定した。
5HT再取り込み阻害のIC50を、種々の濃度のベロキセピンが、[H]−5HTがラット脳シナプトソーム中に組み込まれるのを阻害する程度を測定することによって決定した(測定は、37℃で15分間実施した)。
DA輸送体結合アッセイの場合、[H]N−[1−(2−ベンゾ[b]チオフェニル)シクロヘキシル]−ピペリジン([H]BTCP)(4.0nM)を、種々の濃度のベロキセピンの存在下、クローン化ヒトドーパミン輸送体(hDAT)を異種発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞から調製した膜と共に、4℃で2時間インキュベートした。結合放射活性を、シンチレーション分光法によって決定した。非特異的結合を、10μM BTCPの存在下で生じる結合と定義した。Kを、標準的な方法を使用して決定した。
DA再取り込み阻害のIC50を、種々の濃度のベロキセピンが、[H]−DAがラット線条体シナプトソーム中に組み込まれるのを阻害する程度を測定することによって決定した(測定は、37℃で15分間実施した)。
結果。ベロキセピンの、NE輸送体、5HT輸送体およびDA輸送体に対するKおよびIC50を、以下に示す。これらから、ベロキセピンは、選択的ではあるが、NE再取り込みの弱い阻害剤であることが示されている。
NET=700nM
IC50 NE=130nM
SERT=競合アッセイ中、10μMにおいて27%の結合阻害
DAT=競合アッセイ中、10μMにおいて16%の結合阻害
5HT2A受容体結合アッセイの場合、Bonhausら、1995年、Brit. J. Pharmacol. 115巻:622〜628頁の方法に従って、[H]ケタンセリン(0.5nM)を、クローン化ヒト5HT2A受容体を異種発現するHEK−293細胞から調製した膜と共に、22℃で60分間インキュベートした。種々の濃度の試験化合物を添加し、結合放射活性を、シンチレーション計数によって決定した。非特異的結合を、1.0μM未標識ケタンセリンの存在下で決定した。試験化合物のK値を、標準的な方法を使用して決定した。
5HT2B受容体結合アッセイの場合、Choiら、1994年、FEBS Lett 352巻:393〜399頁の方法に従って、[125I](±)1,2,5−ジメトキシ−4,2−アミノプロパン(DOI)(0.2nM)を、クローン化ヒト5HT2B受容体を異種発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞から調製した膜と共に、37℃で15分間インキュベートした。種々の濃度の試験化合物を添加し、結合放射活性を、シンチレーション計数によって決定した。非特異的結合を、1.0μM未標識DOIの存在下で決定した。試験化合物のK値を、標準的な方法を使用して決定した。
5HT2C受容体結合アッセイの場合、Stamら、1994年、Eur. J. Pharmacol. 269巻:339〜348頁の方法に従って、[H]メスレルギン(1.0nM)を、クローン化ヒト5HT2C受容体を異種発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞から調製した膜と共に、37℃で60分間インキュベートした。種々の濃度の試験化合物を添加し、結合放射活性を、シンチレーション計数によって決定した。非特異的結合を、10μM RS102221の存在下で決定した。試験化合物のK値を、標準的な方法を使用して決定した。
5HT2A受容体におけるアゴニスト作用を、Jermanら、2001年、Eur. J. Pharmacol. 414巻:23〜30頁の方法に従って、一連の濃度の試験化合物を、クローン化ヒト5HT2A受容体を異種発現する、完全なままのHEK−293細胞と共に、22℃でインキュベートし、細胞内[Ca2+]を蛍光定量によって測定することによって判定した。アンタゴニスト作用を、同じ条件下、一連の濃度試験化合物の、3.0nMセロトニンの存在下で生じる細胞内[Ca2+]の増加を遮断する能力によって判定した。EC50値およびIC50値を、標準的な方法を使用して決定した。
5HT2B受容体におけるアゴニスト作用を、Porterら、1991年、Brit. J. Pharmacol. 128巻:13〜20頁の方法に従って、一連の濃度の試験化合物を、クローン化ヒト5HT2B受容体を異種発現する、完全なままのCHO細胞と共に、22℃でインキュベートし、細胞内[Ca2+]を蛍光定量によって測定することによって判定した。アンタゴニスト作用を、同じ条件下、一連の濃度の試験化合物の、0.3nMセロトニンの存在下で生じる細胞内[Ca2+]の増加を遮断する能力によって判定した。EC50値およびIC50値を、標準的な方法を使用して決定した。
5HT2C受容体におけるアゴニスト作用を、Jermanら、2001年、Eur. J. Pharmacol. 414巻:23〜30頁の方法に従って、一連の濃度の試験化合物を、クローン化ヒト5HT2C受容体を異種発現する、完全なままのCHO細胞と共に、22℃でインキュベートし、細胞内[Ca2+]を蛍光定量によって測定することによって判定した。アンタゴニスト作用を、同じ条件下、一連の濃度試験化合物の、3.0nMセロトニンの存在下で生じる細胞内[Ca2+]の増加を遮断する能力によって判定した。EC50値およびIC50値を、標準的な方法を使用して決定した。
結果。種々の結合アッセイおよび機能アッセイの結果を、以下に再提示する表1に要約する。
Figure 2011512414
ラセミ(±)ベロキセピンは、NE再取り込みの弱い阻害剤であり(Ki=700nM)、5HT輸送体およびドーパミン輸送体においてわずかな親和性を示す(SERT:10μMにおいて27%の阻害;DAT:10μMにおいて16%の阻害)。ラセミ(±)ベロキセピンを、結合アッセイにおいて、100個超の受容体、チャネルまたは輸送体を用いて試験した。これらの実験から、ラセミ(±)ベロキセピンもまた、5HT2A受容体、5HT2B受容体および5HT2C受容体に中程度の親和性で結合し、拮抗することが決定された。これらのデータから、ラセミ(±)ベロキセピンは、二重性NRI/5HT2A,2B,2Cアンタゴニストであり、極めて驚くべきことに、事実上(−)鏡像異性体のみがNRI活性に寄与し、事実上(+)鏡像異性体のみが5HT2A,2B,2Cアンタゴニスト活性に寄与することが明らかである。
(実施例3)
ベロキセピン、(−)−ベロキセピンおよび(+)−ベロキセピンによる、チトクロームP450アイソザイムCYP2D6の阻害
プロトコール。ベロキセピン、(−)−ベロキセピンおよび(+)−ベロキセピンの、チトクロームP450の機能に対する阻害活性を、Chauretの方法(Chauretら、2001年、Drug Metabolism and Disposition、29巻(9号)、1196〜1200頁)を使用し、7−メトキシ−4−(アミノメチル)−クマリン(MAMC)を基質として使用して(Venhorstら、2000年、European Journal of Pharmaceutical Sciences 12巻(2号):151〜158頁)試験した。酵素の供給源は、BD Bioscienceから入手した、ヒト組換えCYP2D6を含有するミクロソームであった。MAMCの7−ヒドロキシ−4−(アミノメチル)クマリンへの変換を、PerkinElmer Fusionを使用して、390nmの励起フィルターおよび460nmの発光フィルターを用いて測定した。
結果。このアッセイにおける、ベロキセピン、(−)−ベロキセピンおよび(+)−ベロキセピンのそれぞれの活性を、以下の表に示す。
Figure 2011512414
ベロキセピンは、CYP2D6活性をIC50=536nMで阻害することが見出され、(+)−ベロキセピンは、CYP2D6活性をIC50=236nMで阻害することが見出され、一方、(−)−ベロキセピンは、CYP2D6活性をIC50=4370nMで阻害することが見出された。
ベロキセピンの、ヒトCYP2D6(デキストロメトルファンのO−脱メチル化)の直接阻害剤としての評価:IC50を推定するためのミクロソームのインキュベーション
プロトコール:ベロキセピンの、デキストロメトルファンのO−脱メチル化(CYP2D6)を阻害する能力を、プールしたヒト男性肝臓ミクロソームを使用して調査した。ベロキセピンを、ベロキセピン濃度0、0.1、0.3、1、3、10、30および100μMにおいて、ヒト肝臓ミクロソームと共にインキュベートした。37℃に維持した96ウエルポリプロピレン製プレート中、0.02mgのミクロソームタンパク質、3mM MgCl、1mM EDTAおよび7.5μMプローブ基質デキストロメトルファンを有する0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中で、200μLのインキュベーションを二つ組みで実施した。3分間のプレインキュベーション後、この反応を、2mM NADPHを添加して開始した。10分のインキュベーション期間が完了したら、一定分量100μLを、取り出し、酸性化アセトニトリル中に100μLの内部標準を含有する新しいプレートに添加して、反応を止めた。このクエンチした試料をボルテックスし、沈殿したタンパク質を遠心分離によって除去した。上清の一定分量100μLを、LCバイアルに移し、5μLをHPLCシステム上に注入して、代謝産物デキストロファンをLC/MS/MSにより解析した。標準試料および品質管理試料も同様に、信頼のおけるデキストロファン標準物質を使用して調製した。
解析方法。内部標準を含有する酸性化アセトニトリルを用いてタンパク質を沈殿させた後に、デキストロファン濃度を、高速液体クロマトグラフィーによりタンデム質量分析検出(LC/MS/MS)を用いて決定した。分離を、Flux Rheos2000四連式ポンプ(Leap Technologies,Inc.、Carrboro、NC)を用いて、XTerra(登録商標)MS C18、3.5μm、4.6×50mmカラム(Waters Corporation、Milford、MA)を使用して実施した。デキストロファンおよび内部標準を、10mMギ酸アンモニウムを用いて、1.0mL/分の勾配条件下、0.1%ギ酸:アセトニトリル中の0.1%ギ酸(80:20、v/v)を流入させて溶出した。Turbo Ionsprayイオン化ソースが装備されているMDS Sciex API4000(Applied Biosystems、Foster City、CA)三連四重極質量分析計を、検出装置として使用した。この装置は、陽イオンモードで、複数反応モニタリング(MRM)を使用して、デキストロファンおよび内部標準についての特異的な前駆体−生成物イオンの対を用いて動作させた。質量遷移は、内部標準についてはm/z 280.2>262.2であり、デキストロファンについてはm/z 258.2>157.0であった。デキストロファンおよび内部標準の保持時間はそれぞれ、およそ1.54分および2.00分であった。
結果。このアッセイ(デキストロメトルファンのO−脱メチル化)において、ベロキセピンは、CYP2D6活性をIC50=31.7μMで阻害することが見出された(図15)。
(実施例4)
ベロキセピンは、神経因性疼痛を治療するのに有効である
ビヒクルおよびベロキセピン製剤の調製。この実施例および以下の全ての実施例のために、別段の記載がない限り、注射用ベロキセピン製剤を、酸性化した注射用無菌水(SWIJ)を希釈剤として使用して調製した。始めに、1M HClを数滴(およそ14mlの最終体積の場合、400μlを超えてはならない)、原液ベロキセピンに添加した。ガラスビーズを添加し、この溶液を激しく2〜3分間ボルテックスし、それに続いて、水浴中で3〜5分間超音波処理して、より大きな粒子を破砕した。次いで、SWIJをQSに最終体積まで添加し、この製剤を2〜3分間ボルテックスし、次いで、温水中でおよそ30〜60分間超音波処理した。ベロキセピンを、10mg/mlの液剤として製剤化した。
この実施例および以下の全ての実施例のために、別段の記載がない限り、対照ビヒクルを、試験ベロキセピン製剤と同じ体積の1M HClおよびSWIJ希釈剤を使用して調製した。
プロトコール。ベロキセピンの抗異痛活性を、in vivoにおいて、LaBudaおよびLittle、2005年、J. Neurosci. Methods 144巻:175〜181頁に記載されている非侵害受容性の神経因性疼痛のL5−Single Nerve Ligation(「SNL」)モデルを使用して試験した。試験動物をPlexiglas製のチャンバー(10cm×20cm×25cm)中に置き、15分間慣らした。このチャンバーを網目スクリーン上に置き、したがって、von Frey単一繊維が両方の後肢の足底表面に触ることができた。各後肢について接触性感受性を、上/下方法(Dixon、1980年、Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol. 20巻:441〜462頁)を使用して、7つのFrey単一繊維(0.4、1、2、4、6、8および15グラム)を用いて測定した。各試験を、2グラムのvon Frey力を、右後肢におよそ1〜2秒間、次いで、左後肢に送達して開始した。引っ込める応答がない場合には、次に高い力を送達した。応答がある場合には、次に低い力を送達した。この手順を、応答がない場合には最も高い力(15グラム)まで、または最初の応答に続いて、4つの刺激を投与するまで実施した。各肢について、50%肢を引っ込める閾値を、以下の式を使用して計算した:[Xth]log=[vFr]log+ky(式中、[vFr]は、最後に使用したvon Frey力であり、k=0.2249であり、これは、von Frey単一繊維間の(log単位で示す)平均間隔であり、yは、引っ込める応答のパターンに依存する値である)(Dixon、1980年、上記)。動物が最も大きなvon Frey単一繊維(15グラム)に対しても応答しない場合には、この肢には18.23グラムの値を割り当てた。接触性感受性についての試験を2回実施し、各動物の右肢および左肢について、50%引っ込める値の平均を接触性感受性として割り当てた。全ての試験群が、少なくとも6匹の動物を含有した。
結果。手術の14日後のL5 SNLラットにおいて得られたベロキセピン(30mg/kg IP)による抗異痛作用を、図1に示す。この実験では、手術後第14日に、ラットを、ビヒクルまたはベロキセピン(30mg/kg IP)を用いて治療し、治療の30、60、120および240分後に接触性異痛について試験した。ビヒクル治療ラットは、治療の30分後に試験した。図1に示すように、ベロキセピンは、顕著な抗異痛作用を、30、60および120分の時点でもたらし、作用は治療の30分後に最大となった(ビヒクル治療ラットの閾値の829%)。30分の時点で観察された接触性異痛の大きさは、このモデルにおいて発明者らが観察した最も大きなものに属した。治療後に副作用は観察されなかった。
結果。手術の8日後のL5 SNLラットにおいて得られた(−)−ベロキセピン(30mg/kg IP)および(+)−ベロキセピン(30mg/kg IP)による抗異痛作用を、図16に示す。この実験では、手術後第8日に、ラットを、ビヒクルまたはベロキセピン鏡像異性体(30mg/kg IP)を用いて治療し、治療の30分後に接触性異痛について試験した。図16に示すように、(−)−ベロキセピンは、顕著な抗異痛作用をもたらした(ビヒクル治療L5 SNLラットの閾値の444%)。(+)−ベロキセピンは、統計学的に有意ではないが、(−)−ベロキセピンについて観察したものに匹敵する抗異痛作用をもたらした。いずれかの鏡像異性体を用いた治療後に副作用は観察されなかった。
結果。手術の14日後のL5 SNLラットにおいて得られた(−)−ベロキセピンおよび(+)−ベロキセピン(30mg/kg IP)による抗異痛作用を、図17に示す。この実験では、手術後第14日に、ラットを、ビヒクル、(−)−ベロキセピンまたは(+)−ベロキセピンを用いて治療し、治療の30、60、120および240分後に接触性異痛について試験した。ビヒクル治療ラットは、治療の30分後に試験した。図17に示すように、(−)−ベロキセピンは、顕著な抗異痛作用を、30および60分の時点でもたらし、最大有効性は、ビヒクル治療ラットの閾値の635%に対応し、一方、(+)−ベロキセピンは、顕著な抗異痛作用を、30および60分の時点でもたらし、最大有効性は、ビヒクル治療ラットの閾値の423%対応した。
(実施例5)
ベロキセピンは、その抗異痛作用を用量依存性に発揮する
プロトコール。用量応答実験を、L5 SNLラットにおいて、手術後第16日に実施した(3、10および30mg/kg IPベロキセピン)。この実験では、動物を、治療の30分後に接触性異痛について試験した。手術は施したが神経結紮は行わなかった偽手術された対照群は、4匹の動物を含有した。治療群は、少なくとも6匹の動物を含有した。
用量応答実験の結果を、図2に示す。30mg/kg用量からは、ロバストな抗異痛作用が生じた(ビヒクル治療ラットの閾値の852%、偽手術された動物の閾値にほとんど等しい)。観察された結果は、実施例4の時間経過実験において観察された顕著な抗異痛作用を再現した。
(実施例6)
ベロキセピンは、神経因性疼痛の治療において、NE再取り込み阻害剤、混合型セロトニン/NE再取り込み阻害剤および三環系抗うつ薬よりも優れている
ベロキセピンをレボキセチンと直接比較した結果を、図3に示し、これによって、ベロキセピンはおよそ4倍有性が高いことが実証されている。同様に、図5は、ラットL5 Spinal Nerve Ligation Modelにおいて、ベロキセピン、デュロキセチン、アミトリプチリンおよびレボキセチンがもたらした抗異痛作用を直接比較した結果を示す(30mg/kg IP;ビヒクル治療L5 SNLラットと比較して、p<0.05;ラットを、薬物投与の30分後において、またはアミトリプチリンの場合、薬物投与の60分後に試験した)。このデータから、ベロキセピンが試験した化合物のうちで、最も有効であったことが示されている。
(実施例7)
ベロキセピンおよび(−)−ベロキセピンによる療法は、経口投与した場合、神経因性疼痛の動物モデルにおいて有効である
プロトコール。時間経過実験を、手術の8日後のL5 SNLラットにおいて、ベロキセピン(60mg/kg PO)を用いて実施した。ラットを、ベロキセピン後の30、60、120および240分後に試験した。全ての試験群が、少なくとも6匹の動物を含有した。
結果。結果を、図4に示す。経口ベロキセピンは、顕著かつロバストな抗異痛作用を、30および60分の時点でもたらした。
プロトコール。時間経過実験を、手術の7日後のL5 SNLラットにおいて、(−)−ベロキセピン(60mg/kg PO)を用いて実施した。ラットを、薬物後の30、60、120および240分後に試験した。
結果、(−)−ベロキセピン鏡像異性体は、図18に示すように、顕著な抗異痛作用を、60および120分の時点でもたらした。
プロトコール。時間経過実験をまた、手術の14日後のL5SNLラットにおいて、(+)−ベロキセピン(60mg/kg PO)を用いて実施した。ラットを、薬物後の30、60、120および240分後に試験した。
結果。(+)−ベロキセピン鏡像異性体は、顕著な抗異痛作用を、いずれの時点でももたらさなかった(図19)。
(実施例8)
ベロキセピンおよび(−)−ベロキセピンは、急性侵害受容性疼痛の治療において有効である
プロトコール。ベロキセピン、(−)−ベロキセピンおよび(+)−ベロキセピンの、急性侵害受容性疼痛を治療する能力を、ラットのホットプレートモデルにおいて、雄のSprague−Dawleyラット(150〜250g)を使用して試験した。この実験のために、ラットの4本の肢全ての表面をホットプレート上に穏やかに置くことによって、ラットを50℃のホットプレート装置に順応させた。タイマーを始動し、ラットがその肢のうちのいずれかをなめるまでの潜伏時間(秒)を測定した。応答を惹起するための60秒のカットオフを設けて、肢に対する組織傷害を予防した。ラットが肢をなめる応答を惹起したら、ラットを装置から取り出し、居住ケージに少なくとも30分間は戻した。ベースラインの肢をなめるまでの潜伏期間を、薬物治療の前に順応試験と同一の様式で決定した。薬物治療に続いて、ラットをホットプレート装置上に適切な時点で置き、治療の肢をなめるまでの潜伏期間を決定した。全ての試験群が、少なくとも6匹の動物を含有した。
肢をなめるまでの潜伏時間を使用して、以下の式に基づいて、各ラットの%MPEを決定した。
Figure 2011512414
したがって、カットオフに達したラットからはいずれも、100%MPEを得た。
結果。ベロキセピンを投与した実験結果を、図6Aおよび6Bに示す。図6Aは、ホットプレート上に置いてから肢をなめる応答までの潜伏時間(秒)を示す。30mg/kgおよび60mg/kgのベロキセピン(IP)は、統計学的に有意かつロバストな抗侵害受容作用を示し、両方の投与量によって、3mg/kgモルヒネとほとんど同様に有効な抗侵害受容活性が得られた。図6Bは、同じ実験において達成された最大作用パーセント(%MPE)を示す。
これらの実験では、モルヒネ(3mg/kg SC)を用いた治療によって、61±7%MPEの抗侵害受容のレベルが得られた。ラット50℃ホットプレートアッセイにおける、ベロキセピンの(−)−鏡像異性体および(+)−鏡像異性体の試験から、図22((−)−ベロキセピン)および図23((+)−ベロキセピン)に示すように、エナンチオ選択性の作用が実証された。(−)−ベロキセピンは、ロバストな抗侵害受容活性を、治療の30、60および120分後に示し、治療の30分後に79±10の%MPEのピーク抗侵害受容を示した(図22)。この実験では、モルヒネ(3mg/kg SC)による治療は、65±11の%MPEを示した。対照的に、(+)−ベロキセピンを用いて治療したラットにおいては、抗侵害受容は観察されず(図23)、10〜17%の範囲に及ぶ%MPE値を示し、この%MPEは、ビヒクル治療ラットと顕著には異ならなかった。モルヒネ治療ラットにおいては、抗侵害受容のレベルは、85±7の%MPEであった。
(実施例9)
ベロキセピンは、炎症性疼痛の治療において有効である
プロトコール。ベロキセピンの、炎症性疼痛を治療する能力を、ラットにおいて、フロイト完全アジュバント(FCA)誘発性の機械痛覚過敏を使用して試験した。このアッセイのために、DeHaven−Hudkinsら、1999年、J. Pharmacol. Exp. Ther. 289巻:494〜502頁の方法を使用して、150μLのフロイト完全アジュバント(FCA)の足底内投与の24時間後のラットにおいて、機械痛覚過敏を決定した。肢への圧力閾値を決定するために、ラットをガーゼで包んで軽く拘束し、圧痛計(Stoelting Instruments、Wood Dale、IL)を使用して、円錐形のピストンを用いて、炎症がある肢および炎症がない肢の背側表面に圧力を適用した。肢への圧力閾値を、250グラムのカットオフ値を使用する、逃避応答を惹起するのに必要な力の量(グラム)と定義した。肢への圧力閾値を、薬物治療の前、およびその後の特定の時点において決定した。全ての試験群が、少なくとも6匹の動物を含有した。
結果。結果を、図7に示す。30mg/kgベロキセピンは、FCAによって誘発された痛覚過敏をほとんど完全に逆転させた。
(実施例10)
ベロキセピンは、内臓痛の治療において有効である
プロトコール。ベロキセピンの、内臓痛を治療する能力を、酢酸誘発性のもがきのげっ歯類モデルにおいて実証した。このアッセイのために、雄ICRマウス(20〜25g)を、0.6%酢酸の腹腔内投与の25分前に、ビヒクルまたは試験化合物を用いて経口により治療した。酢酸による処置の5分後に、もがきの数を10分間数えた。もがきを、腹部をくぼませて伸ばし、前肢および後肢の両方を伸展させることと定義した。もがきの平均の数を各治療群について決定し、ビヒクル応答のパーセント阻害を、以下の式を使用して計算した。
Figure 2011512414
全ての試験群が、少なくとも6匹の動物を含有した。
結果。結果を、図8に示す。ベロキセピンは、酢酸誘発性のもがきを、用量依存性に阻害し、ED50は、13.3mg/kg(経口)であった。
(実施例11)
(+)−ベロキセピンと(−)−ベロキセピンとの混合物は、炎症性疼痛の動物モデル(FCA誘発性機械痛覚過敏)において有効である
プロトコール。(±)−ベロキセピンの試料を、単離した(+)−ベロキセピン鏡像異性体と(−)−ベロキセピン鏡像異性体とを一緒に製粉し、これらを溶媒中に加え、次いで、溶媒を除去することによって調製した(「ロット9」)。この実験では、30mg/kgの(±)−ベロキセピン(「ロット7」)または30mg/kgの再構成ラセミ混合物(ロット9)を、FCAを用いて24時間処置したラットに投与した。ビヒクル、(±)−ベロキセピンまたは再構成ラセミ混合物の投与の30分後に、肢への圧力閾値を決定した。30分間が、(±)−ベロキセピンの機械的な抗痛覚過敏のピーク時間である。
結果。図9に示すように、類似する機械的な抗痛覚過敏の有効性が、(±)−ベロキセピンまたは再構成ラセミ混合物を用いて治療したラットにおいて観察された(96±16%対77±11%)。したがって、顕著な機械的な抗痛覚過敏をもたらす化学実体を、その2つの構成成分の鏡像異性体の混合物として提供することができる。
(実施例12)
ベロキセピンは、神経因性疼痛の動物モデル(ラットL5 SNLモデル)において有効である
プロトコール。時間経過実験を、手術の7日後のL5 SNLラットにおいて、ベロキセピン(60mg/kg PO)を用いて実施した。ラットを、薬物投与の30、60、120および240分後に試験した。
結果。ベロキセピンは、図10に示すように、顕著な抗異痛作用を、4つの時点全てにおいてもたらした。
プロトコール。疼痛のこの動物モデルを用いたさらなる実験では、ラットL5SNLモデルにおいて、ベロキセピン、デュロキセチン(糖尿病性ニューロパシーの治療のために承認されている薬物)、およびエスレボキセチン(esreboxetine(線維筋痛症および糖尿病性ニューロパシーの治療のために第III相臨床治験中の化合物)について、機械的な抗異痛の時間経過の比較を実施した。得られたデータを、図11に示す。
結果。図11に示すように、ラセミベロキセピン(30mg/kg IP)の有効性は、デュロキセチン(30mg/kg IP)に匹敵し、ラセミベロキセピンのピーク抗異痛作用は、エスレボキセチン(esreboxetine(30mg/kg IP)を用いて治療したラットにおいて測定されたものよりも大きかった。
(実施例13)
ベロキセピン、(−)−ベロキセピンおよび(+)−ベロキセピンは、術後疼痛の動物モデル(ラット後肢切開性疼痛モデル)において有効である
プロトコール。時間経過実験を、後肢切開モデルにおいて、ベロキセピンを用いて実施した。手術の24時間後に、ラットに、ビヒクルまたはベロキセピン(30mg/kg IP)を投与した。ラットを、ベロキセピン投与の30、60、120および240分後に接触性異痛について試験した。
結果。図12に示すように、ラセミベロキセピンは、顕著な抗異痛作用を、4つの時点全てにおいてもたらした(後肢を引っ込める最大閾値は、30分の時点での約29グラム、すなわちビヒクル治療ラットの閾値の544%であった)。このアッセイにおいてラセミベロキセピンによって得られた抗異痛作用は、非常にロバストであるとみなされる。
プロトコール。第2の時間経過実験を、後肢切開モデルにおいて、ラセミベロキセピンを用いた経口(PO)投与後に実施した。手術の24時間後に、ラットに、ビヒクルまたはラセミベロキセピン(60mg/kg PO)を投与した。ラットを、ベロキセピン投与の30、60、120および240分後に接触性異痛について試験した。
結果。図13に示すように、ラセミベロキセピンは、顕著な抗異痛作用を、4つの時点全てにおいてもたらした(後肢を引っ込める最大閾値は、30および60分の時点での約24グラムであった)。このアッセイにおいてベロキセピンによって得られた抗異痛作用は、非常にロバストであるとみなされ、IP投与後に観察された作用に匹敵する。
プロトコール。第3の時間経過実験を、後肢切開モデルにおいて、ラセミベロキセピンを用いた静脈内(IV)投与後に実施した。手術の24時間後に、ラットに、ビヒクルまたはベロキセピン(3mg/kg IV)を投与した。3mg/kg IV用量は、顕著な呼吸器または心血管への副作用が生じた用量よりも10倍低い用量である。ラットを、ベロキセピン投与の30、60、120および240分後に接触性異痛について試験した。
結果。図14に示すように、ラセミベロキセピンは、顕著な抗異痛作用を、30および120分の時点においてもたらした(後肢を引っ込める最大閾値は、30分の時点での約21グラムであった)。このアッセイの30分の時点においてベロキセピンによって得られた抗異痛作用は、非常にロバストであるとみなされ、60mg/kg PO用量のラセミベロキセピンの30分の時点おいて観察した抗異痛作用に匹敵する。
プロトコール。時間経過実験をまた、後肢切開モデルにおいて、(−)−ベロキセピンを用いて実施した。手術の24時間後に、ラットに、ビヒクルまたは(−)−ベロキセピン(30mg/kg IP)を投与した。ラットを、(−)−ベロキセピン投与の30、60、120および240分後に接触性異痛について試験した。
結果。図20に示すように、(−)−ベロキセピンは、顕著な抗異痛作用を、30および120分の時点においてもたらした(後肢を引っ込める最大閾値は、30分の時点での約19グラム、すなわちビヒクル治療ラットの閾値の426%であった)。120分ではなく、30分の時点において(−)−ベロキセピンによって得られた抗異痛作用は、ロバストであるとみなされる。
プロトコール。別の時間経過実験を、後肢切開モデルにおいて、(+)−ベロキセピンを用いて実施した。手術の24時間後に、ラットに、ビヒクルまたは(+)−ベロキセピン(30mg/kg IP)を投与した。ラットを、(+)−ベロキセピン投与の30、60、120および240分後に接触性異痛について試験した。
結果。図21に示すように、(+)−ベロキセピンは、顕著な抗異痛作用を、30および60分の時点においてもたらした(後肢を引っ込める最大閾値は、30分の時点での約28グラムであった)。このアッセイにおいて(+)−ベロキセピンによって得られた抗異痛作用は、非常にロバストであるとみなされ、30分の時点おいてラセミベロキセピンについて観察した作用に匹敵する。
種々の特定の実施形態を例証し、記載してきたが、(1つまたは複数の)本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更形態を作製することができることが理解されるであろう。
本出願に引用した全ての刊行物、特許、特許出願およびその他の文献は、それらの全体が、それぞれの個々の刊行物、特許、特許出願およびその他の文献が全ての目的で参照により組み込まれていることを個々に表明するのと同じ程度に、全ての目的で参照により本明細書に組み込まれている。

Claims (20)

  1. 疼痛を患っている哺乳動物において疼痛を治療するための組成物であって、前記疼痛を治療するために有効な量のベロキセピンまたはその塩を含組成物
  2. 前記組成物が非経口投与されるものであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物
  3. 前記組成物が経口投与されるものであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物
  4. 前記疼痛が侵害受容性起源の急性または慢性の疼痛である、請求項1に記載の組成物
  5. 前記疼痛が炎症性疼痛である、請求項4に記載の組成物
  6. 前記疼痛が癌性疼痛である、請求項4に記載の組成物
  7. 前記疼痛が非侵害受容性起源の慢性疼痛である、請求項1に記載の組成物
  8. 前記疼痛が神経因性疼痛である、請求項7に記載の組成物
  9. 前記疼痛が内臓痛である、請求項1に記載の組成物
  10. 前記哺乳動物がヒトである、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物
  11. 疼痛を患っている哺乳動物において疼痛を治療するための組成物であって、前記疼痛を治療するために有効な量のベロキセピンおよび/もしくはベロキセピン類似体またはその塩を含組成物
  12. 前記疼痛が侵害受容性起源の急性または慢性の疼痛である、請求項11に記載の組成物
  13. 前記疼痛が炎症性疼痛である、請求項12に記載の組成物
  14. 前記疼痛が癌性疼痛である、請求項12に記載の組成物
  15. 前記疼痛が非侵害受容性起源の慢性疼痛である、請求項11に記載の組成物
  16. 前記疼痛が神経因性疼痛である、請求項15に記載の組成物
  17. 前記疼痛が内臓痛である、請求項11に記載の組成物
  18. 前記哺乳動物がヒトである、請求11から17のいずれか一項に記載の組成物
  19. 前記ベロキセピンおよび/またはベロキセピン類似体が、前記組成物中に塩として含まれる、請求項1に記載の組成物
  20. 前記組成物が経口投与のために製剤化される、請求項11または18に記載の組成物
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