JP2011511263A - コンビナトリアル人工受容体を用いたセンサ - Google Patents

コンビナトリアル人工受容体を用いたセンサ Download PDF

Info

Publication number
JP2011511263A
JP2011511263A JP2010536224A JP2010536224A JP2011511263A JP 2011511263 A JP2011511263 A JP 2011511263A JP 2010536224 A JP2010536224 A JP 2010536224A JP 2010536224 A JP2010536224 A JP 2010536224A JP 2011511263 A JP2011511263 A JP 2011511263A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glucose
competitor
artificial
ligand
receptor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010536224A
Other languages
English (en)
Inventor
カールソン,ロバート,イー.
ウェラーロスカ,レイチェル,エル.
ブロス,ステファン,エー.
Original Assignee
レセプターズ エルエルシー
カールソン,ロバート,イー.
ウェラーロスカ,レイチェル,エル.
ブロス,ステファン,エー.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by レセプターズ エルエルシー, カールソン,ロバート,イー., ウェラーロスカ,レイチェル,エル., ブロス,ステファン,エー. filed Critical レセプターズ エルエルシー
Publication of JP2011511263A publication Critical patent/JP2011511263A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/543Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with an insoluble carrier for immobilising immunochemicals
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/0002Remote monitoring of patients using telemetry, e.g. transmission of vital signals via a communication network
    • A61B5/0031Implanted circuitry
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/145Measuring characteristics of blood in vivo, e.g. gas concentration, pH value; Measuring characteristics of body fluids or tissues, e.g. interstitial fluid, cerebral tissue
    • A61B5/14532Measuring characteristics of blood in vivo, e.g. gas concentration, pH value; Measuring characteristics of body fluids or tissues, e.g. interstitial fluid, cerebral tissue for measuring glucose, e.g. by tissue impedance measurement
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/145Measuring characteristics of blood in vivo, e.g. gas concentration, pH value; Measuring characteristics of body fluids or tissues, e.g. interstitial fluid, cerebral tissue
    • A61B5/1486Measuring characteristics of blood in vivo, e.g. gas concentration, pH value; Measuring characteristics of body fluids or tissues, e.g. interstitial fluid, cerebral tissue using enzyme electrodes, e.g. with immobilised oxidase
    • A61B5/14865Measuring characteristics of blood in vivo, e.g. gas concentration, pH value; Measuring characteristics of body fluids or tissues, e.g. interstitial fluid, cerebral tissue using enzyme electrodes, e.g. with immobilised oxidase invasive, e.g. introduced into the body by a catheter or needle or using implanted sensors

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Medical Informatics (AREA)
  • Surgery (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Emergency Medicine (AREA)
  • Computer Networks & Wireless Communication (AREA)
  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)

Abstract

本発明は、人工受容体類を有するセンサおよびその使用方法に関する。一実施形態では、周囲の環境中にある一定成分から人工受容体を隔離するリガンド透過性界面をもつ受容体システムの一構成要素として、本発明は人工受容体を有する。また、ある実施形態では、本発明は人工受容体、および対象リガンドの競合体を有する。また、ある実施形態では、周囲の環境にある一定成分から競合的人工受容体を隔離する半透膜をもつ検出システムの一構成要素として、本発明は競合的人工受容体を有する。また、ある実施形態では、競合体、および機能を発現するように競合的人工受容体に連結した検出器も有する。この検出器から、競合体および/または対象リガンドが人工受容体に結合していることを示す信号が出される。前記検出システムでは、リガンド透過性界面を用いて、競合体の少なくとも一部が人工受容体の周囲に保持される。
【選択図】図3

Description

本願は、米国特許仮出願番号第60/991,028(出願日:2007年11月29日)、米国特許仮出願番号第61/125,796(出願日:2008年4月28日)、米国特許仮出願番号第61/128,372(出願日:2008年5月20日)、および米国特許仮出願番号第61/112,507(出願日:2008年11月7日)に基づいて優先権を主張するものであり、前記出願の全ての記載をここに引用するものである。
本発明は、人工受容体を有するセンサおよびその使用方法に関する。一実施形態では、本発明はリガンドを透過する界面を有する受容体システムの一構成要素として人工受容体を有し、このリガンド透過性界面によって周囲の環境中にある一定成分類から人工受容体を隔離する。また、ある実施形態では、本発明は、人工受容体、および対象リガンドと競合するリガンド競合体を有する。
また、ある実施形態では、本発明は半透膜を有する検出システムの一構成要素として競合的人工受容体を有する。この半透膜によって、周囲の環境中にある一定成分類から競合的人工受容体を隔離する。また、前記実施形態には、前記競合的人工受容体に結合した前記競合体および検出器も含まれる。前記検出器によって、競合体および/または対象リガンドが人工受容体に結合していることを示す信号が出される。また、リガンド透過性界面を用い、前記リガンド競合体が少なくとも一部分人工受容体の周囲に保持されるように、前記検出システムを構成する。
糖尿病は、羅患および死の原因となる主要な原因のひとつであり、生活の質の問題に加えて、個人および社会の両方に莫大な経済的負担をかける。現在、糖尿病は治癒可能な疾患ではないが、インシュリン治療と組み合わせて血中グルコース濃度をモニタすることで、生活スタイルおよび寿命の両方を劇的に改善できる。しかし、糖尿病患者はグルコース濃度を正常レベルに保つようにインシュリンを周期的に投与するので、一日を通して何度もグルコース濃度を確認またはモニタしなければならい。
一般的なモニタ方法では、まず、指を突き刺して血液サンプルを採取し、グルコース濃度をモニタする。糖尿病患者は、長期間にわたって血液サンプル用に一日に何回も指を突き刺さなければならない。これは理想的な測定頻度とは言えず、その結果、血中グルコース濃度で範囲の逸脱が生じる。また、グルコース濃度は一日を通してしばしば変動する。従って、糖尿病患者が一日を通して規則的間隔でグルコース濃度を一貫して確認したとしても、自分のグルコース濃度が許容範囲を超えて低くまたは高くなっている期間に気付かない可能性がある。
米国特許第6,047,214号明細書 米国特許第5,841,122号明細書 米国特許第5,807,397号明細書 米国特許第5,324,316号明細書 米国特許第5,713,954号明細書 米国特許出願第10/244,727号明細書、“ARTIFICIAL RECEPTORS, BUILDING BLOCKS, AND METHODS”。 米国特許出願第10/813,568号明細書、“ARTIFICIAL RECEPTORS, BUILDING BLOCKS, AND METHODS”。 国際公開第PCT/US03/05328号パンフレット、“ARTIFICIAL RECEPTORS, BUILDING BLOCKS, AND METHODS” 米国特許出願第10/812,850号明細書、“ARTIFICIAL RECEPTORS INCLUDING REVERSIBLY IMMOBILIZED BUILDING BLOCKS, THE BUILDING BLOCKS, AND METHODS” 米国特許出願第10/813,612号明細書、“ARTIFICIAL RECEPTORS INCLUDING REVERSIBLY IMMOBILIZED BUILDING BLOCKS, THE BUILDING BLOCKS, AND METHODS” 国際公開第PCT/US2004/009649号パンフレット、“ARTIFICIAL RECEPTORS INCLUDING REVERSIBLY IMMOBILIZED BUILDING BLOCKS, THE BUILDING BLOCKS, AND METHODS” 米国特許仮出願第60/499,965号明細書、“BUILDING BLOCKS FOR ARTIFICIAL RECEPTORS” 米国特許仮出願第60/526,699号明細書、“BUILDING BLOCKS FOR ARTIFICIAL RECEPTORS”
PalmoreおよびWhitesides,"Microbial and Enzymatic Biofuel Cells",Enzymatic Conversion of Biomass for Fuel Production,ACS Symposium Series 566:271−90頁(1994) KanoおよびIkeda,"Fundamentals and practies of mediated bioelectrocatalysis",Analytical Sci.,16(10):1013−21頁(2000) Wilkenson, Autonomous Robots,9(2):99−111頁(2000) Madou,Fundamental of Microfabrication(CRC Press,1997) WolfおよびTauber,Silicon Processing for the VLSI Era(Lattice Press, 1986) Green, TW; Wuts, PGM (1999),Protective Groups in Organic Synthesis Third Edition, Wiley−Interscience, New York, 779頁 Bodanszky, M.,Bodanszky, A. (1994), The Practice of Peptide Synthesis Second Edition, Springer−Verlag, New York, 217頁
上記のように、過去数十年にわたり、有用なインビボ用グルコ−スセンサを構築する努力が続けられてきた。こうした移植可能な装置の中には、患者の皮膚の下に電気化学的センサを埋め込むものがあるが、しかし、このような試みは一つも成功していない。従って、移植可能なグルコース測定システムが必要とされているのである。
本発明は、人工受容体を有するセンサおよびその使用方法に関する。一実施形態では、本発明はリガンド透過性界面を有する受容体システムの一構成要素として人工受容体を有し、このリガンド透過界面によって周囲の環境中にある一定の成分類から人工受容体を隔離する。また、ある実施形態では、本発明は、人工受容体、および対象リガンドに競合するリガンド競合体が含まれる。
また、一実施形態では、本発明は半透膜を有する検出システムの一構成要素として、競合的人工受容体を有する。この半透膜によって、周囲の環境中にある一定の成分類から競合的人工受容体を隔離する。本実施形態には、前記競合的人工受容体に結合した前記リガンド競合体および検出器が含まれる。前記検出器から、リガンド競合体および/または対象リガンドが人工受容体に結合していることを示す信号が出される。リガンド透過性界面を用い、前記リガンド競合体が少なくとも一部分人工受容体の周囲に保持されるように、前記検出システムを構成する。
一実施形態では、本発明は人工受容体システムに係わる。本実施形態には、分子競合体、人工受容体、リガンド透過性界面、および検出器が含まれる。前記分子競合体は、対象リガンドの結合に対して競合する。前記人工受容体は、対象リガンドとリガンド競合体とのいずれにも結合するように構成する。対象リガンドの結合は、前記分子競合体の結合に競合する。前記人工受容体は、固体担体に独立して共有結合した、複数の異なる構築単位分子類を有する。また、前記リガンド透過性界面は、対象リガンドを透過させるが、有効量の前記競合体を保持する。前記リガンド透過性界面および前記人工受容体によって、少なくとも部分的に一個のチャンバーが画定され、このチャンバー中に前記競合体および前記人工受容体が存在する。前記検出器を前記人工受容体と有効に連結させて、対象リガンドの有無またはその濃度を表示するように構成する。
一実施形態では、本発明は検出システムに係わる。この検出システムは、競合体、人工受容体、半透膜、および検出器を有する。前記競合体は、高分子に共有結合した対象リガンドの類縁体からなる。また、前記人工受容体は、対象リガンドおよび前記競合体を結合するように構成する。対象リガンドの結合は、その競合体の結合に競合する。前記人工受容体は、一定の領域で固体担体に独立して共有結合した複数の異なる構築単位分子類を有する。この領域は、前記固体担体表面の連続した一部分である。また、異なる構築単位分子類は、前記連続領域全体に無作為に分布する。また、前記半透膜は、前記対象リガンドは透過させるが、有効量の前記競合体を保持する。前記半透膜および前記人工受容体によって、少なくとも部分的に一個のチャンバーが画定され、このチャンバー中に前記競合体および人工受容体が存在する。前記検出器は前記人工受容体と有効に連結し、前記競合体または対象リガンドが前記人工受容体に結合するのに対応して、前記対象リガンドの有無または濃度の表示を発生する。
本発明には、対象リガンドの濃度を測定する方法も含まれ、一実施形態では、本発明の検出システムを被検体に移植する工程が含まれる。また、一実施形態では、本発明の人工受容体システムを被検体に移植する工程が前記方法に含まれる。さらに、前記方法には、前記対象リガンドの有無または濃度に関する表示を前記システムから読み出す方法も含まれる。
人工受容体および検出器を有する本システムの実施形態を概略的に示す。 グルコースを結合して検出するように構成した、人工受容体および検出器を有する本システムの実施形態を概略的に示す。 無線信号送受信用のアンテナおよび回路をもつ本グルコースセンサの実施形態を概略的に示す。 低グルコ−ス濃度、安全グルコ−ス濃度、および高グルコ−ス濃度の測定結果通信用に構成したグルコースセンサの実施形態を概略的に示す。 100,000倍の過剰グルコースとの競合下で競合体試薬を用いた場合と競合体試薬を単独で用いた場合との、N291−2マイクロアレイにおける結合差を示す棒グラフである。y軸中、グルコース存在下における結合値から競合体単独での結合値を差し引いた値が正となるときは、競合していることを示す。 一定の候補人工受容体類にグルコース−デンドリマー複合体を結合させて得られた結果を示す。3個から6個の構築要素を有する受容体に関して、高い値および低い値が得られたことは、所望の受容体を得るために有用な多様な結合であることを示す。 4個の異なる競合体を用いてインキュベーションした人工受容体の蛍光画像を示す。スポットの相対強度は、受容体と競合体試薬との間の相対的結合力を示している。 候補受容体についての競合結果を示す。各候補人工受容体について、標識化していない複合体に対して競合するグルコース−デンドリマー標識化複合体の試験結果を示す。 候補受容体についての競合結果を示す。グルコースに競合する、グルコース−デンドリマー化複合体の試験結果を示す。 1−9マイクロアレイで選定した結合環境に関するグルコ−ス競合用量曲線を示したグラフである。
(定義)
担体上に固定化した構築単位類の組み合わせを、例えば、候補人工受容体、リード人工受容体、または作業人工受容体とすることができる。つまり、スライド上の異種構築単位のスポット、またはチューブ、ウエル、ビーズ、自己組織化単層の上に被覆した複数の構築単位類を、候補人工受容体、リード人工受容体、または作業人工受容体としてもよい。候補人工受容体はリード人工受容体になることができる人工受容体であり、またはリード人工受容体は作業人工受容体になることができる人工受容体である。
ここで用いるように、「候補人工受容体」の用語は、固定化した構築単位類の組み合わせを意味し、特定の対象リガンドが前記固定化構築単位類の組み合わせに結合するかどうか試験して判定することができる。一実施形態では、前記候補人工受容体を、スライドの上においた異種構築単位のスポット、またはチューブまたはウエルに被覆した複数の構築単位類としてもよい。
ここで用いるように、「リード人工受容体」の用語は、固定化した構築単位類の組み合わせを意味し、所定のグルコース濃度、例えば、10、1、0.1、0.01μg/ml、または1、0.1、0.01ng/ml濃度でグルコースを結合する。一実施形態では、前記リード人工受容体を、スライドの上においた異種構築単位のスポット、またはチューブまたはウエルに被覆した複数の構築単位類としてもよい。
ここで用いるように、「作業人工受容体」の用語は、グルコースを分類または識別するのに有効な選択性および/または感受性を備えながら、グルコースを結合させる構築単位類の組み合わせを意味する。なお、こうした構築単位類の組み合わせに結合するということは、グルコースが試験リガンドの分類されること、またはグルコースが特定の試験リガンドであることを意味する。例えば、作業人工受容体は、100、10、1、0.1、0.01、または0.001ng/mlグルコース濃度でグルコースを結合することができる。一実施形態では、前記作業人工受容体を、スライドの上においた異種構築単位のスポット、またはチューブ、ウエル、スライドまたはその他の担体、またはスキャホールドに被覆した複数の構築単位類としてもよい。
ここで用いるように、「作業人工受容体複合体」の用語は、グルコースを分類または識別するのに有効な選択性および/または感受性の一定パターンを備えながら、グルコースを結合する、各々が構築単位類の組み合わせである複数の人工受容体類を意味する。なお、いくつかの前記受容体複合体に結合するという意味は、グルコースが糖類に分類されることを意味するが、グルコースではあるがフコースなどの別の糖ではないことを意味するか、あるいは、その他のグルコース類縁体であること意味する。前記複合体の各受容体は、異なる濃度または親和力でグルコースを結合させることができる。例えば、100、10、1、0.1、0.01、または0.001ng/mlのグルコース濃度で、前記複合体の各受容体はグルコースを結合させることができる。一実施形態では、前記作業受容体複合体を、スライドの上においた複数の異種構築単位のスポットまたは領域とすることができる。または、別の組み合わせの構築単位類で被覆した複数のウエルにおいた複数の異種構築単位のスポットまたは領域とすることができる。または、別の組み合わせの構築単位類で被覆した複数のチューブにおいた複数の異種構築単位のスポットまたは領域とすることができる。
ここで用いるように、「明確な多数の候補人工受容体類」の用語は、作業人工受容体、作業人工受容体複合体、またはリード人工受容体を見出す可能性を備える十分な数の候補人工受容体類を意味する。人工受容体の数が約1000個程度であれば、2種類の糖(例えば、グルコースとガラクトース)を識別するのに適した作業人工受容体複合体類を見出せる明確な数としてもよい。別の実施形態では、明確な多数の候補人工受容体類には、約1,000個、約10,000個、約100,000個、またはそれ以上の数の候補人工受容体類が含まれてよい。
ここで用いるように、「構築単位」の用語は、1個以上のリンカー、1個以上の核担体、および1個以上の認識要素(グルコース類縁体)として構成される部位、またはこれらを含む部位をもつ人工受容体の分子構成要素を意味する。
ここで用いるように、「リンカー」の用語は、構築単位の一部分または官能基を意味する。例えば、共有結合、イオン相互作用、静電相互作用、または疎水相互作用などによって、担体に使用できる、あるいは前記構築単位を担体に結合できる、構築単位の一部分または官能基を意味する。
ここで用いるように、「枠組み部」の用語は、リンカーを有する構築単位の一部分を意味し、この枠組み部にリンカーおよび1個以上の認識要素が結合する。
ここで用いるように、「認識要素」の用語は、前記枠組み部に結合しているが前記担体には共有結合していない構築単位の一部分を意味する。前記認識要素によって、リガンドと相互作用させるための1個以上の官能基、表面、または空間を配置または形成することができる。
ここで用いるように、「複数の構築単位類」の用語は、混合物やキットの中にある、または担体やスキャホールドの上にある異なる構造をもつ2個以上の構築単位類を意味する。各構築単位は特定の構造をもつ。また、複数の構築単位類を使用するということは、前記構築単位類を2個以上使用することを意味する。しかし、構築単位類または複数の構築単位類の用語は、同一構造をもつ複数の分子類を意味するわけではない。
ここで用いるように、「構築単位類の組み合わせ」の用語は、スポットまたは一定の領域中、または、候補人工受容体、リード人工受容体または作業人工受容体中に一緒におかれた複数の構築単位類を意味する。構築単位類の組み合わせは、構築単位類1セットの部分集合であってよい。例えば、構築単位類の組み合わせは、N個(例えば、N=10−200)の構築単位類1セットに由来した構築単位類の2、3、4、5、または6個の可能な組み合わせのなかの1組であってよい。
ここで用いるように、「同種固定化構築単位」および「同種固定化構築単位類」の用語は、担体またはスポットの上または内部に固定化した単一種の構築単位を有する、前記担体またはスポットを意味する。
ここで用いるように、「活性構築単位」の用語は、例えば、担体上の官能基と共有結合しやすいように活性化処理を行った構築単位を意味する。カルボキシル基をもつ構築単位は、活性エステル基をもつ構築単位に変換して活性構築単位にすることができる。活性エステル基をもつ活性構築単位は、例えば、アミンと反応させて共有結合を形成できる。
ここで用いるように、1個以上の構築単位類について用いられる「ナイーブ」の用語は、過去に対象リガンドに結合することが判別されていない、または知られていない構築単位を意味する。例えば、ナイーブな構築単位の認識要素(類)は、過去に対象リガンドに結合することが判別されておらず、また、知られていない。従って、構築単位が、コレラ毒素など特定の対象タンパク質(試験リガンド)に対する公知のリガンド(例えばGM1)であるとき、または前記公知リガンドを有するときは、この構築単位は前記タンパク質(試験リガンド)に対してナイーブではない。
ここで用いるように、担体に結合した構築単位類について用いられる「固定化」の用語は、担体上に安定に配置した構築単位類を意味し、これら構築単位類は担体上で移動したり担体から放出されたりしない。共有結合、イオン相互作用、イオン対形成などの静電相互作用、ファンデルワールス相互作用などの疎水相互作用によって、構築単位類を固定化できる。
ここで用いるように、担体、チューブ、ウエル、または表面の「領域」の用語は、担体、チューブ、ウエル、または表面の連続部分を意味する。従って、ある領域に結合した構築単位類は、この領域中でお互いに近接している構築単位類を意味する。
ここで用いるように、「担体」の用語は、一般的に肉眼で見ることができる固体担体を意味する。
ここで用いるように、分子上の「かさ高い」基とは、7または8個の炭素原子をもつ基よりも大きい基を示す。
ここで用いるように、分子上の「小さい」基とは、水素を示すか、または、4個の炭素原子をもつ基よりも小さい水素以外の基を示す。
ここで用いるように、「ローン」の用語は、例えば、結合した構築単位類をお互いに近接して配置するのに十分な密度をもつ担体上の官能基類の層、スポット、または領域を意味する。こうした官能基類には、構築単位類と共有結合、イオン相互作用、静電相互作用、または疎水相互作用をできる基が含まれる。
ここで用いるように、「アルキル」の用語は、飽和脂肪族基を意味し、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基が含まれる。ある実施形態では、直鎖または分岐アルキル基は、30個以下の炭素原子を骨格に有する(例えば、直鎖でC−C12、分岐でC−C)。同様に、シクロアルキル基は、環構造の中に3−10個の炭素原子をもち、例えば、環構造の中に5、6、または7個の炭素原子をもつ。
ここで用いるように、「アルキル」の用語は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両者を意味する。置換アルキルは、炭化水素骨格の1個以上の炭素原子の上にある水素と置換した置換基を有するアルキル基を意味する。このような置換基には、例えば、ハロゲン、水酸基、カルボニル(カルボキシル、エステル、ホルミルまたはケトンなど)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテート、またはチオホルメートなど)、アルコキシル、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、複素環、アリールアルキル、または芳香族あるいは芳香族複素環が含まれる。また、炭化水素鎖上の置換基は、好適であるならば置換することもできる。例えば、置換アルキル基の置換基には、先に示した官能基類からなる置換体および非置換体が含まれていてもよい。
ここで用いるように、「アリールアルキル」の用語は、アリール基(例えば、芳香族または芳香族複素環)で置換したアルキル基を意味する。
ここで用いるように、「アルケニル」および「アルキニル」の用語は、一定の長さをもち、上記アルキル基に対して任意の置換基で置換した、少なくとも1個の二重結合または三重結合をそれぞれ含む不飽和脂肪族基類縁体を意味する。
ここで用いるように、「アリール」の用語は、5、6、および7員環の単環芳香族基を含み、0から4個のヘテロ原子を含んでいてよい。例えば、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンなどが挙げられる。環構造の中にヘテロ原子をもつこうしたアリール基は、「アリール複素環」または「芳香族複素環」と呼ぶこともできる。前記芳香族環は、環中の1箇所以上の位置を上記アルキル基について述べた置換基で置換していてもよい。また、「アリール」の用語は、2個以上の環式環類をもつ多環式環系類も含み、2個以上の炭素原子が2個の隣り合った環(つまり、「縮合環」)で共有される。ここで、前記環の少なくとも一方は芳香族であり、もう一方の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、および/または複素環であってよい。
ここで用いるように、「複素環」または「複素環基」の用語は、3乃至12員環構造を意味し、例えば、3乃至7員環を意味する。前記環構造は1乃至4個のヘテロ原子を含んでいてもよい。複素環基には、例えば、チオフェン、チオアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、アゼチジノンやピロリジノンなどのラクタム、スルタム、スルトンなどが含まれる。前記複素環の1箇所以上の位置は、アルキル基について先に記載した置換基によって置換されていてもよい。
ここで用いるように、「へテロ原子」の用語は、窒素、酸素、イオウ、およびリンなど、炭素または水素以外の任意の元素からなる原子を意味する。

(センサ)
本発明は、人工受容体類を有するセンサおよびその使用方法に関する。一実施形態では、本発明は、リガンド透過性界面(例えば、半透膜)を含む受容体システムの一構成要素として、人工受容体(例えば、作業人工受容体)を有する。前記リガンド透過性界面によって、周囲の環境の一定の構成成分から前記人工受容体(例えば、作業人工受容体)を隔離する。こうした受容体システムでは、対象リガンドは前記リガンド透過性界面を通過(界面を通って拡散)して、前記人工受容体に接した液体組成物中に入ることができる。こうして、前記対象リガンドは前記人工受容体に結合できる。
図1は受容体システムの一実施形態を示した概略図であり、人工受容体1、リガンド透過性界面3、壁5、および随意に特徴構造を有する。壁5およびリガンド透過性界面3を用いて、人工受容体1をその周囲の構成成分から隔離する。
一実施形態では、本発明は人工受容体、および対象リガンドに対する競合体を有する。前記競合体は、人工受容体に結合する対象リガンドに競合する。または、人工受容体に結合する対象リガンドに競合するように前記競合体を選定する。同様に、前記人工受容体は、対象リガンドとその競合体とのいずれにも結合する。または、対象リガンドとその競合体とのいずれにも結合するように前記人工受容体を選定する。こうして、人工受容体に対して対象リガンドの結合は複合体の結合と競合する。すなわち、一定の範囲を超えて対象リガンドの濃度が増加するに従い、人工受容体に結合した競合体の量が減少する。この競合の結果、結合で生じる信号に明らかな変化が生じる。例えば、人工受容体に競合体が結合することで生じる信号の明らかな減少、または、人工受容体に対象リガンドが結合することで生じる信号の明らかな増加をいう。このような人工受容体を、ここでは「競合的人工受容体」と呼ぶことにする。
図1は、本発明の一実施形態を示した概略図であり、人工受容体1、競合体7、および随意に特徴構造を有する。競合体7およびリガンド11は、人工受容体1への結合において競合する。
一実施形態では、本発明は半透膜を含む検出システムの一構成要素として、競合的人工受容体を有する。前記半透膜を用いて、周りの環境にある一定の構成成分から競合的人工受容体を隔離する。本実施形態には、上記の競合体、および機能を発現するように前記競合的人工受容体と連結した検出器が含まれる。前記検出器は、競合体および/または対象リガンドが人工受容体に結合していることを示す信号を発生する。リガンド透過性界面によって少なくとも部分的に人工受容体の周囲に競合体を保持するように、前記検出器システムを構成する。例えば、このような検出器システムでは、リガンド透過性界面、人工受容体、および他の壁などの部材によってチャンバーが画定され、このチャンバーの中に競合体を入れることができる。対象リガンドは、リガンド透過性界面を通過して(例えば、界面を通って拡散して)、前記チャンバー内の液体(例えば、等張液)に入ることができる。こうして、対象リガンドは競合体と競合しながら人工受容体に結合する。この競合の結果、結合で生じる信号に明らかな変化が生じる。例えば、人工受容体に競合体が結合することで生じる信号の明らかな減少、または、人工受容体に対象リガンドが結合することで生じる信号の明らかな増加が生じる。
図1は前記検出システムの一実施形態を示した概略図であり、人工受容体1、リガンド透過性界面3、壁5、競合体7、および検出器9が含まれる。人工受容体1に結合が起きるのに対応して、検出器9から検出可能な信号が出される。競合体7とリガンド11は人工受容体1への結合で競合し、その結果、検出可能な信号が出たり、または検出可能な信号に変化が生じる。この検出可能な信号は、対象リガンドの存在レベルまたは濃度を示す。
一実施形態では、本発明は人工受容体システムに関する。前記システムには、分子競合体、人工受容体、リガンド透過性界面、および検出器が含まれる。前記分子競合体は、前記人工受容体に対象リガンドが結合するのに対して競合する。前記人工受容体は、対象リガンドと前記競合体とのいずれにも結合するもので、対象リガンドの結合は競合体の結合と競合する。前記人工受容体は、それぞれ独立して共有結合によって固体担体に結合する複数の異なる構築単位分子類からなる。前記リガンド透過性界面は、対象リガンドを透過するが、一方で有効量の競合体を保持することができる。前記リガンド透過性界面および人工受容体によって、チャンバーの少なくとも一部分が画定される。このチャンバー内に、前記競合体および人工受容体が存在する。前記検出器は、機能を発現するように前記人工受容体と連結することが可能であり、対象リガンドの有無またはその濃度を示す信号を発生する。

(RFID検出器)
一実施形態では、検出器は信号処理器を有する。この信号処理器は、RFID通信用に機能を発現するようにデータ通信器と連結するのが好ましいが、その他の通信手段を用いてもよい。前記RFIDデータ通信器は、離れた応答器にグルコースデータ信号を送信するように変更を加えた電子回路を有する。例えば、移植用RFID装置は、コンパニオンアニマルの体温測定用や識別用として知られている。装置の表面にグルコース透過性界面を備えたガラスまたはプラスチック(つまり、ガラスやプラスチック製の壁)の中に、移植用装置を入れることができる。好適な移植用RFID回路は、米粒大の大きさに相当するガラスまたはプラスチックの容器に入れることができる。あるいは、前記装置は米粒よりも大きくてもよいが、哺乳類(例えばヒト)の皮下または筋肉内に快適に移植できる程度に小型である。最小の侵襲的手段を用いて飲み込むまたは移植するのに十分な程度に、前記装置を小型に製造する。インビボ装置をさらに小型化することで、カテーテルや他の注入システムを用いて移植することが可能となるので、本発明においてより一層好ましい。

(グルコースセンサ)
本発明は、人工受容体を有するグルコースセンサおよびその使用方法に関する。一実施形態では、人工受容体システムは、人工グルコース受容体、グルコース透過性界面(例えば、半透膜)を有する。グルコース透過性界面によって、周囲の環境にある成分類(血液または他の体液中の高分子類)から前記人工グルコース受容体を隔離する。前記人工受容体の本実施形態では、グルコースが存在するとき、グルコースはグルコース透過性界面を通過し(拡散し)、人工グルコース受容体に接する液体中に入り、人工グルコース受容体と結合する。
図2は、本発明の人工受容体システムの実施形態を示す概略図であり、人工グルコース受容体13、グルコース透過性界面15、壁5、および随意に特徴構造を有する。壁5およびグルコース透過性界面15によって、周辺環境から人工グルコース受容体13を隔離する。
一実施形態では、本発明は人工グルコース受容体およびグルコース競合体を有する。グルコース競合体は、人工受容体に結合するグルコースに競合するものであり、または、そのように選択する。同様に、人工グルコース受容体は、グルコースおよびグルコース競合体の両方と結合し、これら2種の化合物の結合は競合する。または、そのように人工グルコース受容体を選択する。例えば、本実施形態では、生理学的に妥当な範囲を越えてグルコース濃度が増加すると、人工受容体に結合したグルコース競合体の量が減少する。このように競合することによって信号に明らかな変化が生じる。例えば、人工グルコース受容体にグルコース競合体が結合すると信号が有意に減少し、または人工グルコース受容体にグルコースが結合すると信号が有意に増加する。
図2に、グルコース競合体システムの実施形態を概略的に示す。グルコース競合体システムは、人工グルコース受容体13、グルコース競合体17、および随意に特徴構造を有する。グルコース競合体17およびグルコース19は、人工グルコース受容体13に対する結合が競合する。
一実施形態では、前記検出器システムは、人工グルコース受容体、グルコース透過性界面、グルコース競合体、およびグルコース検出器を有する。グルコース透過性界面によって、周辺環境にあるある成分類から人工グルコース受容体を隔離する。前記グルコース検出器は、前記人工受容体と有効に連結させることが可能であり、グルコース競合体および/またはグルコースが前記人工グルコース受容体へ結合していることを示す信号を発生する。前記グルコース透過性界面によって前記人工グルコース受容体の周囲に前記グルコース競合体の少なくとも一部が保持されるように本実施形態を構成する。例えば、グルコース透過性界面、人工グルコース受容体、および壁などのその他の部材によって検出器チャンバーを画定し、グルコース競合体を前記検出器チャンバー内に入れる。グルコースは、グルコース透過性界面を通過(拡散)して、検出器チャンバー内の液体に入る。続いて、グルコースはグルコース競合体に競合しながら人工グルコース受容体に結合する。この競合の結果、検出可能な信号に明らかな変化が生じる。つまり、人工グルコース受容体にグルコース競合体が結合すると信号が有意に減少し、人工グルコース受容体にグルコースが結合すると信号が有意に増加する。
図2は、グルコース検出システムの実施形態を示す概略図であり、人工グルコース受容体13、グルコース透過性界面15、壁5、グルコース競合体17、およびグルコース信号応答器21を有する。グルコース信号応答器21は、人工グルコース受容体13に結合が生じることに応じて検出可能な信号を発生する。グルコース競合体17とグルコース19は、人工グルコース受容体13への結合で競合するので、その結果、検出可能な信号が出されるか、検出可能な信号に変化が生じる。この検出可能な信号はグルコース19の存在レベルまたは濃度を示す。
一実施形態では、検出器システムが生理学的グルコース濃度に曝されたときに検出器システムで到達する複数のグルコース濃度において、グルコースと競合体との間で人工グルコース受容体に対して競合が生じるように、人工グルコース受容体およびグルコース競合体を構成する。グルコース濃度が、低濃度、許容濃度、または高濃度であると表示を発生するように前記検出器を構成する。
手術では、グルコースセンサを被検体に移植して、血中グルコース濃度を表す一定濃度のグルコースを含有する生物学的液体により連通させる。例えば、血管内または血液循環する筋肉や皮膚組織の中に、グルコースセンサを移植する。血流のグルコースは、グルコース透過性界面を通って移動(拡散)して、検出器チャンバーに入る。人工受容体に対するグルコースの可逆的結合は、グルコース検出器で検出されてグルコース検出器から信号が出される。この信号が血流中のグルコース濃度を表す。一実施形態では前記信号が変換されて、血流中のグルコース濃度に応じた「低−安全−高」の出力として読み出される。
一実施形態では、検出器システムが生理学的グルコース濃度(血液または血漿)に曝されたとき、または検出器システムがグルコースを有する組織内に移植されたときに、検出器システムで到達する複数のグルコース濃度において、グルコースと競合体とが受容体に対して競合するように、検出器システムの人工グルコース受容体および/またはグルコース競合体を構成または選択する。また、一実施形態では、グルコースおよび競合体以外の糖などのバイオ分子類の間で生じる受容体への競合を検出しないように、または有意な検出レベルとはしないように、人工グルコース受容体および/またはグルコース競合体を構成または選定する。つまり、グルコースおよび競合体以外の糖などのバイオ分子類の生理学的濃度においては、競合を検出しないか、または有意な競合とはしないように、人工グルコース受容体および/またはグルコース競合体を選定する。あるいは、グルコースに対して検出器システムが選択的または特異的になるようにしたり、グルコース濃度の変化に対して感受性をもたしてもよい。ここで、「選択的」とは、フルクトースおよびガラクトースなど糖などのバイオ分子類よりも、グルコース分子に対して人工グルコース受容体および/またはグルコース競合体が特異的に結合することを意味する。また、「感受性をもつ」とは、人工グルコース受容体に対する競合体の親和性が、相互作用できる限界の低濃度においても適当な信号が出される程度に親和的であることを意味する。一実施形態では、人工グルコース受容体および競合体は、グルコース、フルクトース、およびガラクトースの生理学的濃度存在下でグルコース濃度を示す信号を発生する。例えば、80−120mg/dL グルコース濃度、2−12mg/dL フルクトース濃度、1.5−90mg/dL ガラクトース濃度においてグルコース濃度を示す信号を発生する。
グルコースセンサシステムによるグルコースの検出は、受動的または能動的に制御することができる。ここで用いられる「受動的制御」の用語は、グルコースの検出および定量が、環境変化によって特定の時間に開始される実施形態について述べたものである。ある実施形態では、グルコース濃度の変化にともない、血流中のグルコースの定量化がグルコースセンサ装置によって開始される。こうした受動的センシングの実施形態では、ヒトまたはその他の動物の体表または体内に装置を設置した後、食事、運動、睡眠、休息、または他の精神身体的反応による環境的グルコース変化によって、グルコースの定量が開始される。一方、ここで用いられる「能動的制御」の用語は、装置または装置の一部に刺激が与えられることで特定の時間にグルコースの検出および定量が開始される実施形態について述べたものである。ある実施形態では、グルコースセンサにクエリーがなされた後にグルコース濃度の定量が計画的に行われる。環境的要因ではなく直接的にクエリーがなされてグルコースの定量が開始される点、この能動的機構は受動的機構とは異なる。
局所的マイクロプロセッサまたは遠隔制御によって、能動的グルコースセンサマイクロチップ装置を制御してもよい。グルコースバイオセンサ情報を制御装置に入力し、自動的、人的またはその組み合わせによって、活性化を受けた時間およびその種類を決定してもよい。

(RFID グルコース検出器)
一実施形態では、グルコース検出器は信号処理器を有することができる。他の通信手段でも可能であるが、前記信号処理器は、RFID通信可能なデータ通信器と有効に連結されたものが好ましい。図3に、RFID通信用に構成したグルコース検出器システムの一実施形態を概念的に示す。本実施形態は、人工グルコース受容体13、グルコース透過性界面15、壁5、グルコース競合体17、およびグルコース信号応答器21を有する。
図3に示した実施形態では、グルコース信号応答器21は、受容体界面23、回路25、およびアンテナ27を有する。受容体界面23は、人工グルコース受容体13にグルコース19またはグルコース競合体17が結合するのに応じて検出可能な信号を発生する。この信号は、例えば、グルコース競合体に付けた標識による光学的信号、またはグルコース19とグルコース競合体17の質量差による質量的信号であってよい。例えば、受容体界面23は、受容体に結合したグルコース19と受容体に結合したグルコース競合体17との質量差を検出して対応する信号を出すマイクロバランス(水晶マイクロバランスなど)を有してもよい。
前記受容体界面23は、人工グルコース受容体13および回路25に有効に連結されている。また、回路25はアンテナ27に連結され、回路25とアンテナ27はRFID通信用に構成される。人工グルコース受容体13にグルコース19が結合すると、グルコース濃度を示す信号が出される。この信号は、アンテナ27が捉えた強度に応じて送信可能な信号となるように、回路25によって処理される。遠隔応答器または前記信号に基づいてグルコース濃度を報告するコンピュータシステムに、データを無線送信するように構成したアンテナ27を用いて、回路25から前記信号が送信される。

(競合体)
競合体は人工受容体への結合において対象リガンドと競合する分子であり、リガンド透過性界面によって人工受容体の存在下保持される。一実施形態では、前記競合体は、サイズに基づいて分別する多孔質構造体(例えば、半透膜)が保持できるような、十分大きな分子量をもつ。一方、対象リガンドは、リガンド透過性界面の多孔質構造体を十分通過可能な小さな分子である。ある実施形態では、競合体は、高分子と対象リガンド類縁体との複合体、または、高分子と対象リガンド自身との複合体である。ここで用いられる「複合体」の用語は、高分子に共有結合した小分子を意味する。従って、競合体には、高分子に共有結合した対象リガンドの類縁体が含まれてもよい。
好適な高分子は1個以上の反応性官能基類を有し、この反応性官能基類に対象リガンドの類縁体またはリガンド自身が共有結合または非共有結合を介して結合する。ある実施形態中、前記高分子は以下に述べる特徴を1個以上有する。すなわち、表面認識要素の種類および外見を調節すること、分子量分布が狭いこと、末端基が官能性化可能であること、分子的均一性が高いことという特徴である。または、対象リガンドの類縁体または対象リガンドと好適な(例えば最大の)複合体を形成可能なサイズおよび形状をもつこと、好適な溶解度をもつこと、および/または入手し易いことなどという特徴である。また、好適な高分子には、タンパク質、ポリヌクレオチド、ポリサッカロイド、その他の天然ポリマー、合成ポリマー、デンドリマー、これらの組み合わせ、またはこれらの混合物が含まれる。一実施形態中、競合体は、デンドリマーの複合体、対象リガンドの類縁体、または対象リガンド自身である。
対象リガンドの類縁体は、対象リガンドとの構造類似性を有し、対象リガンドと競合して人工受容体に結合する分子とすることができる。対象リガンドがグルコースの場合、グルコースと競合して人工受容体に結合するものであれば、対象リガンドの類縁体はどのようなグルコース類縁体であってもよい。好適なグルコース類縁体には、ガラクトース、フコ−ス、マンノース、グルコサミン、ガラクトサミン、およびグルコース−ITCが含まれる。
また、前記競合体はフルオロホンなどの検出用標識を有していてもよい。好適な検出用標識には、ペリレン色素、ベンゾキサンテン、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor−594、Alexa Fluor 488色素、Alexa Fluor 500およびAlexa Fluor 514色素類、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594およびAlexa Fluor 610色素類、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 635、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700およびAlexa Fluor 750色素類、Alexa Fluor 405色素、Alexa Fluor 430色素、または硫化亜鉛など代替となる無機化合物が含まれる。また、好適な検出用標識には、化学的、機械的、光学的、電気的、電子的、イオン的、またはマススペクトル的な検出手段で検出可能な標識類が含まれる。
一実施形態では、前記競合体は、対象リガンドの類縁体または対象リガンド自身とは複合体を形成しない高分子を含む。一実施形態中、前記競合体は前記高分子自体である。

(デンドリマー)
デンドリマーとは球形または球状のナノ構造体を有し、別の分子をその内部に空いた空間に封止して、またはその表面に取り付けて輸送する。一般に、デンドリマーの大きさ、形状、および反応性は、核の生成(外郭)および化学組成、内部分岐、および表面の官能性化状態で決まる。デンドリマー類には核があり、この核に表面上の多数の官能基類が共有結合している。表面の官能基類は、カチオン性、アニオン性、中性、または疎水性であってよい。
デンドリマー類は、標準的な有機化学の研究室で容易に実施可能な条件で、分子レベルの大きさからナノスケールまで構築可能な化学合成法を繰り返して行うことで構築する。このデンドリマーの直径が線形に増加するに従い、表面の官能基類の数は幾何級数的に増加する。デンドリマー類は低い多分散性をもち、通常1nmから10nmを越える略ナノメートル規模のスケールで益々増大する大きさをもちながら合成される。各増大化工程は、相対的に大きな分子直径をもつポリマーの新しい「世代」を表し、反応性表面部分の数が2倍になると、進行中の世代における分子量が略2倍になることを表している。
また、デンドリマー類は、その合成方法や、構造における複分散性によって特徴が異なる。この結果、合成中にデンドリマーの「アーム」を除去またはダイマー化するのに従って、1バッチ内で反応性表面官能基類の数が減少または変化する。グルコース受容体周辺環境における分子量分布に関して、より構造的に均一な核をもつ担体を生成するために、従来法によって分画し、例えば、セミプレップスケールHPLC法などで分画する。デンドリマー担体の分画は、HPLCカラムに一定量のデンドリマー材料を装填し、最も狭いバンドの分画を選択する工程を含む。このバンド分画は、追加処理用の分子量分布が最も狭くなる部分を表している。デンドリマー類は、ガラス、金、シリカ、半透過性膜、およびプラスチックなどの担体表面に取り付けることができる。
デンドリマー類は、標準的な反応を用いてリガンドまたはリガンド類縁体に結合することができる。例えば、カルボン酸末端のデンドリマーを使用する場合、リガンドまたはリガンド類縁体と結合させる前に、表面のカルボン酸類を活性化させる。一方、アミン末端のデンドリマー類の核の場合は、グルコース類縁体などの多数のリガンドまたはリガンド類縁体と結合させる前の表面活性化は不要となる。
好適なデンドリマー類としては、PAMAMデンドリマーとして知られ、DENDRITECH社(米国ミシガン州ミッドランド)より市販品として入手可能な、エチレンジアミン核ポリ(アミドアミン)デンドリマーが挙げられる。こうしたデンドリマー類は、枝状に大きくなってゆく「世代」、例えば、第0世代、第1世代、第2世代、第3世代、第4世代、第4.5世代、または第5世代を含むように合成することができる。一般に、PAMAMデンドリマー類は「高密度星」ポリマーとして特徴付けられる。古典的なポリマー類とは異なり、PAMAMデンドリマー類は、高い分子均一性、狭い分子量分布、特有の大きさ及び形状特性、および高官能性化末端表面を有する。表1に、エチレンジアミン核ポリ(アミドアミン)デンドリマー類の数世代分の特性を示した。
Figure 2011511263
表1
好適なデンドリマー類には、エチレンジアミン核ポリ(アミドアミン)の第3.0世代のデンドリマー類が含まれる。理論的には、1個の核分子当たり、32個の受容体リガンド類と、第3.0世代を結合させることが可能である。実験では、第3.0世代は99.3%の結合効率を示し、平均して31.8個のグルコース類縁体分子が担体分子と結合した。一方、理論的には、第5.0世代は、1個の核分子当たり128個の受容体リガンド類と結合させることが可能である。結合実験からは、平均100.5個のグルコース類縁体分子を付け加えることが可能であることが示され、これは78.5%の結合効率を示す。
その他の好適なデンドリマー類には、DENDRITECH社(米国ミシガン州ミッドランド)より入手可能な、アミン末端PAMAMデンドリマー類が含まれる。アミン末端PAMAMデンドリマー類は、リガンドまたはリガンド類縁体と結合させる前の活性化工程が不要である。また、アミン−イソチオシアネート(ITC)反応などの相対的に堅牢で再現性のある化学反応を、結合化に用いることができる。
一実施形態では、以下に述べる一般的方法を用いて、リガンドまたはリガンド類縁体にPAMAMデンドリマーを結合させることができる。このデンドリマー分子の表面官能基は、活性化または標識化することができて、アセチル化、蛍光試薬による標識化、および/またはカルボキシル基へのアセチル化を含む一連の化学反応を平行して行ない、官能性化および/またはキャップ化することができる。なお、「活性化」によりとは、デンドリマー分子上に反応性に富んだ官能基を導入することを意味し、この官能基は続いて行う工程で容易に切断または除去することができる。これによって、他の官能基類を容易に付け加えることが可能となる。一実施形態では、デンドリマー分子を酸性条件下で中性化し、続いてDMF/H20混合溶液中、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)を加える。次に、N−ヒドロキシスクシイミド(NHS)エステルを加えて活性化原料を合成し、このまま精製せずに次の反応に使用する。この活性化反応物にAlexa−647などの蛍光標識を加え、続いてアミン含有グルコース類縁体などのグルコース誘導体または類縁体を加えて官能基化した競合体を合成する。
また、別の実施形態では、結合反応の前に活性化工程を行わないで、アミン−含有表面官能基をもつデンドリマー分子を糖類縁体と反応させる。前記グルコース類縁体を加え、アミン−イシチオシアネート(ITC)反応などの堅牢で再現性のある結合化反応によって、グルコースと競合しながら結合する官能性化した競合体試薬を生成させる。また、もう一つの実施形態では、本発明において、グルコースを結合させるのに好適な官能性化した競合体試薬を生成させるために、デンドリマー核をアセチル化し、蛍光色素で標識化し、および/またはグルコース類縁体と結合させる。
次に、凍結乾燥などによって過剰の溶媒を除去する。さらに、分子ふるいクロマトグラフィー、透析、HPLCなどを用いて精製工程を完了してもよい。なお、精製する試剤の量および不純物の程度に応じて、精製系を選択できる。一実施形態では、活性化および/または官能性化する前にデンドリマー分子を分画することで、競合体試薬の機能がばらつくのを最小限にし、分子量分布が狭いデンドリマー出発原料を得ることができる。
また、純度の確認、結合相互作用の研究、添加したリガンドまたはリガンド類縁体の数の推定、構造変化の確認など、1種以上の分析試験を行うことで競合体の特性を調べることができる。ある実施形態では、HPLCを用いて、官能性化の前後で競合体候補品の純度を確認する。また、ある実施形態では、質量分析を用いて、デンドリマー核に加えたグルコース残基の数を推定する。さらに、ある実施形態では、NMRを用いて、グルコース類縁体を加えた結果として生じるデンドリマー核の構造変化を確認する。
本発明の競合体を製造するのに好適な試薬類および反応系を、以下のスキームAおよびスキームBに示す。
Figure 2011511263

(リガンド透過性界面)
リガンド透過性界面によって、体液および組織などセンサ外部の周縁から人口受容体を分離する。対象リガンドがセンサ内に入り人工受容体に接触できるように、リガンド透過性界面を構成または選定する。このリガンド透過性界面は体液および組織と適合するもの、つまり、生体適合性であってよい。リガンド透過性界面によって、人工受容体が生体組織および生物学的液体と直に接触するのが防止でき、こうした組織や液体との好ましくない反応を避けることができる。
また、リガンド透過性界面は半透膜でよい。例えば、リガンド透過性界面を選定し、対象リガンドサイズの分子は受容体が接する液体の中に入れるが、対象リガンドサイズよりも大きな分子類は除去するようにできる。ある実施形態では、半透膜は対象リガンドを透過させるが、しかし有効量の競合体は保持する。
また、ある実施形態中、半透膜および人工受容体(その担体)によって、少なくとも部分的にチャンバーが画定される。このチャンバーの中に競合体および人工受容体が存在する。なお、「部分的に画定する」とは、チャンバーを形成するように半透膜および人工受容体を構成できるという意味と、チャンバーを画定するのに別の部材も追加してもよいこと意味している。例えば、半透膜、人工受容体(その担体)、1個の壁または複数の壁、またはカプセルやその他の構造体によって前記チャンバーを画定できる。
また、半透膜については、特定の性質(例えば、所定の程度以上の電荷または脂溶性など)をもつ分子は除外するが、しかしその他の性質(例えば、所定の程度以下の電荷または脂溶性など)をもつ分子は通過させるように、半透膜を選定することができる。前記半透膜は、グルコースなどのリガンドは透過するが、しかしデンドリマー−糖複合体などの競合体は透過しなくてよい。また、前記半透膜は、タンパク質、細胞、ポリサッカロイドなど、生物学的液体中のその他の成分類は透過しない。半透膜、人工受容体、および壁によってチャンバーを画定できる。
所定の限度を超えた分子量の分子類を除外するように、リガンド透過性界面(例えば半透膜)を選定してよい。例えば、生物学的液体中の競合体およびタンパク質類の分子量よりも小さい分子量をもつが、グルコースなど対象リガンドの分子量よりは大きい分子量をもつことを、除外用の所定の限度としてもよい。
また、リガンド透過性界面(例えば半透膜)は、生物学的液体または組織で分解しない材料から製造できる。好適な材料には、ガラス、セラミック、金属、合成ポリマー(非分解性または生分解性)、およびバイオポリマー(非分解性または生分解性)が含まれる。リガンド透過性界面は単一の材料だけで形成してよいが、または、互いに結合した同一または異なる数個の層からなる界面材料などの組成物また多積層材で形成してもよい。組成物また多積層材には、任意の数の層からなるシリコン、ガラス、セラミック、半導体、金属、またはポリマーが含まれる。
代表的な合成非分解性ポリマー類には、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(テトラメチレンオキシド)などのポリ(エーテル類);ビニルポリマー類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、その他のアルキルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸およびメタクリル酸、およびポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、およびポリ(ビニルアセテート)などのポリ(アクリレート類)およびポリ(メタクリレート類);ポリ(ウレタン類);セルロースおよびアルキル、ヒドロキシアルキル、エーテル、エステル、ニトロセルロース、および種々のセルロースアセテート類などによるセルロース誘導体;ポリ(シロキサン類);これらポリマー類の化学誘導体類(例えば、化学官能基の置換、付加誘導化によるものであり、アルキル化、アルキレン化、水酸基化、酸化、および当業者によって通常行われる変換などを含む)、およびこれらの共重合体ならびに混合物が含まれる。ある実施形態では、親水的ポリマー(類)と疎水的ポリスルホンポリマーの混合物などのポリスルホンを含む生体適合性ポリマーから半透膜を構成する。代表的な合成生分解性ポリマー類には、ポリ(アミノ酸類)およびポリ(ペプチド類)などのポリ(アミド類);ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、およびポリ(カプロラクトン)などのポリ(エステル類);ポリ(酸無水物類);ポリ(オルトエステル類);ポリ(カルボネート類);これらポリマー類の化学誘導体類(例えば、化学官能基の置換、付加誘導化によるものであり、アルキル化、アルキレン化、水酸基化、酸化、および当業者によって通常行われる変換などを含む)、およびこれらの共重合体ならびに混合物が含まれる。
また、リガンド透過性界面は中空糸膜であってもよい。このような中空糸膜は、適当な生体適合性材料から製造することができ、血流中のタンパク質および細胞成分を除去し、かつ対象リガンド(例えばグルコース)は透過することができる分画分子量(MWCO:molecular weight cut−off)、つまり孔サイズを有する。

(壁およびカプセル)
ある実施形態では、リガンド透過性界面以外のセンサ外部は、生体適合性および非透過性をもつ材料で作られる。好適な材料には、ガラスおよび多数のプラスチック類が含まれる。センサの壁はこうした材料で作られる。なお、リガンド透過性界面以外のセンサ外部を、ここではカプセルと呼ぶことにする。このカプセルによってリガンド透過性界面を用いて密封する開口部が画定される。この開口部は、カプセルの表面に位置するか、またはカプセルによって形成された溝の中に位置してもよい。前記壁およびカプセルは、体内の強い刺激的環境にも耐えることのできる材料または複数の材料を用いて構成される。また、前記壁およびカプセルは、生体組織および装置を作るのに使用した他の材料にも適合性がある。なお、非生体適合性材料については、ポリ(エチレングリコール)またはポリテトラフルオロエチレン系材料などの生体適合性材料により封止することができ、または前記生体適合性材料でコーティングしてもよい。

(検出器)
検出器は、競合的な人工受容体と連結して動作するものであり、競合体および/または対象リガンドが人工受容体に結合していることを示す信号または表示を発生する。人工受容体に競合体および/または対象リガンドの結合が起きると、この結合によって検出器は信号または表示を発生する。例えば、人工受容体に対する競合体の結合が有意に減少するのに応じて、または、人工受容体に対する対象リガンドの結合が有意に増加するのに応じて、この信号または表示が出される。また、ある実施形態では、検出器を人工受容体と有効に連結させて、人工受容体に競合体または対象リガンドが結合するのに対応して、対象リガンドが存在するという表示またはその濃度を示す表示を発生するように構成することができる。
この表示は検出可能な信号であってよく、メモリに保存および/または受信器に送信した一定の数値である。ある実施形態では、検出器は、結合に対応して電気信号を出し、この電気信号は対象リガンドの濃度に対応する。また、ある実施形態では、検出器は、結合に由来する光学的信号を検出して、この光学信号に対応する電気信号を出す。また、ある実施形態では、検出器は、複合体の結合に基づく質量を検出して、この質量に対応する電気信号を出す。このような電気信号によって、メモリに保存し、および/または受信器に送信できる表示を発生することができる。
ある実施形態では、前記検出器はアンテナおよび集積回路を有する。集積回路は前記表示を保存し、第1の無線信号を受信して、第2の無線信号を送信するように構成する。第1の無線信号によって、集積回路に電力が供給されて活性化され、第2の無線信号を送信する。第2の無線信号には前記表示が含まれる。
検出器は、化学種またはイオン種、電磁または熱エネルギ(例えば光)、またはその場における1種以上の物性(例えばpH、圧力)の有無または変化を、測定または分析するのに使う様々な素子または回路網を有している。また、検出器は、信号を検出または処理するのに使う様々な素子または回路網、例えば、マイクロプロセッサや制御器を有している。検出器は、前記信号またはその信号から得た情報を、離れた制御器や別の場所にある制御器、またはその両方に送信することができる。ある実施形態では、マイクロプロセッサや制御器によって、被検体の一定の場所にあるリガンド(例えばグルコース)の存在レベルに関する情報を中継または記録することができる。
また、ある実施形態では、前記検出器は光学センサシステムを有する。この光学センサシステムには、光導波路、この光導波路に有効に連結された検出システム、およびリガンド(例えばグルコース)を結合させる人工受容体が含まれてよい。前記光導波路は、人工受容体から光学信号(例えば、蛍光、発光、吸光)を受信可能なように、人工受容体に対して有効に構成する。
ある実施形態では、前記検出器は電気化学的センサシステムを有する。電気化学的センサシステムには、変換器(例えば、電極またはCHEMFET)、この変換器に機能を発現するように連結した検出システム、および対象リガンド(例えばグルコース)を結合させる人工受容体を含むことにより動作する。変換器は、作業人工受容体からの電気的変化、電圧、または電流(例えば、コンダクタンス、電気容量、インピダンス)の変化を検出できるように、作業人工受容体に対して有効に構成する。ある実施形態では、前記変換器には電極が少なくとも1個含まれる。電気化学的センサシステムには、作用電極、参照電極、および人工受容体が含まれてよい。また、ある実施形態では、前記人工受容体は前記作用電極と有効に連結される。ある実施形態では、作用電極と参照電極との間に配置した膜に、前記人工受容体を連結してもよい。ある実施形態中、前記作用電極と参照電極は通常の電極でよい。また、ある実施形態中、前記作用電極と参照電極は、電界効果トランジスタのソース端子およびドレイン端子でよい。
種々構成した検出器またはセンサシステムにおいて、様々な担体材料の中またはその上に前記人工受容体を担持することができる。種々のセンサシステムを収容するために、電流、光、および/または他の電磁放射が可能な環境内に本発明の人工受容体を入れることができる。
また、前記検出器は通信システムを有してもよい。例えば、本発明の人工受容体を用いたグルコースセンサを、有線または無線技術による通信ネットワークに連結してもよい。図3に、通信用RFIDを使用したシステムを概略的に示す。インターネットに接続できる通信システムに、グルコース濃度などのデータを検出器から送ることができる。また、前記通信ネットワークに接続できる処理システムによって、1個以上のグルコースセンサから1つ以上の信号を監視可能である。応答システムの一実施形態では、センサから受け取った信号に対応して、必要な調整動作を行える。
また、通信システムの別の実施形態には光通信が含まれ、受信器にはフォトセル、フォトダイオード、および/またはフォトトランジスタを用い、送信器には発光ダイオード(LED)またはレーザーを用いる。あるいは、身体の柔組織を通して遠隔測定を行うために、超音波エネルギなどの音響(音波)エネルギを通信手段として使用してもよい。
ある実施形態では、前記検出器は遠隔制御器からの指令やデータを受け取る受信器を有し、システムの状態やイベントログに関する状況情報を得るために使用してよい。または、システム(例えばインターネットファームウエア)を動かす制御器を再プログラムするために用いてもよい。また、ヒトまたは動物にマイクロチップ装置を移植して使用する実施形態では、外科医または患者が前記マイクロチップ装置を操作または監視するために用いる表示および/または作動手段を、前記遠隔制御器が有してもよい。

(グルコースセンサ用検出器)
好適な実施形態中、移植用グルコースセンサには、人工受容体と検出器との間に位置した界面を介して検出器に有効に連結した人工グルコース受容体が含まれる。この信号伝達界面は、信号をグルコース濃度に変換できる遠隔装置に対して、送信可能な形態に信号を変換する電気回路または電子回路と有効に連結している。人工グルコース受容体を、前記界面、信号伝達素子、または検出器上に固定してもよい。
本発明によれば、人工受容体への結合(例えば、競合体の人工受容体への結合)を連続的に検出することによって、グルコース濃度の変化を監視できる。具体的には、競合体がグルコースと置き換わることで、物理化学的な変化が生じる。例えば、光化学的な変化、光吸収、発光、光散乱、偏光における変化、または、電気化学的あるいは圧電気的な変化などが生じる。一実施形態では、受容体に結合した質量情報を、光、電気化学的あるいは圧電気的形状をもつ検出可能な信号に変換する。この光、電気化学的あるいは圧電気的信号を回路に送信し、この信号をグルコース濃度に相関させる。また別の実施形態では、グルコースの結合によって蛍光標識した競合体が置換されるので、その結果、蛍光発光が減少する。事前に選定した状態に関連して蛍光発光の変化が検出されると、その変化は、蛍光発光の変化を特定のグルコース濃度に変換できる回路に送信される。
グルコースおよび競合体試薬を結合させることができる金表面、または複合金製チップなどの信号検出器と一体化した表面上にグルコース選択的結合環境を構築すれば、前記信号検出器表面での質量増加または質量減少によって生じる信号を介してグルコース結合を検出することができる。

(電源)
前記検出器は電源を有していてもよい。この電源には、事前に充電した電源(マイクロチップ装置の使用期間を通して必要となる電力全てを含む)、定期的に再充電できる電源、またはオンデマンド式の電源が含まれる。なお、再充電可能な電源(例えば、再充電式電源ユニット)は、電力を蓄積することはできるが、しかしマイクロチップの使用期間中必要となる全ての電力を蓄える必要がないほうが好都合である。再充電式電源およびオンデマンド式電源は、両者を共に単一のマイクロチップ装置中に入れることが可能であり、これは、蓄電器または電池などの蓄電ユニットを有するようにオンデマンド式電源をもつシステムに共通する。無線送信によるオンデマンド式電源に関するシステムおよび技術は本発明のセンサと共に使用してもよく、例えば、特許文献1乃至特許文献4に開示される。
RFIDのある実施形態では、センサは、装置に無線送信されるエネルギを受取るための変換器を含み、こうして受取った前記エネルギを使用または蓄積可能な形態に変換する回路網を含む。また、前記エネルギが蓄積可能なときは、再充電式電池またはコンデンサなどの蓄電装置が含まれる。
本発明のセンサは、様々な手段によって電力を受け取れるように構成される。例えば、電磁(EM:electromagnetic)エネルギ源、音響(音波)エネルギ、または他の機械的エネルギ源から電力を受け取れるように構成できる。ここで、電磁(EM)エネルギとはX線から赤外線までの全スペクトル領域のエネルギを意味する。代表的なEMエネルギの例には無線周波数信号およびレーザー光線が含まれる。また、代表的な音響エネルギの例には超音波が含まれる。様々な実施形態中、前記充電式蓄電ユニットには、電磁エネルギ受け取り用のコイル、フォトセル、水管検漏器、またはその組み合わせなどその他の形式のエネルギを変換する手段が含まれる。さらに、別の構成要素を追加してもよく、例えば、整流器などの電力変換手段、電池または蓄電器などの蓄電ユニット、および電圧/電流調整器(ポテンシォスタット/ガルバノスタット)などが含まれる。
本発明のセンサは、ヒトまたは動物の身体から得られる機械的または化学的エネルギを、検出器への電力供給用に使用できる電力(エネルギ)に変換する構成要素を有してもよい。例えば、加速度計およびジャイロスコープからなる構成要素類を用いることで、身体の動きを電気エネルギに変換できる。同様に、ペースメーカーの設計に現在用いられているように、移植した変換器を用いて心臓の拍動をエネルギに変換できる。特許文献5参照。また別の実施形態では、化学的エネルギ源から電力を発生/変換する。例えば、体内に存在する分子と化学反応して電力を発生するバイオ燃料電池を、前記マイクロチップが含んでいてもよい。こうした燃料電池の例が以下の非特許文献1乃至非特許文献3に開示されている。ある実施形態では、生物学的分子と反応して電子移動を起こし、その結果電流を起こす固定化酵素を、移植した装置が有してもよい。生物学的分子類の有用な候補としては、ATPなどのトリホスフェート類、およびフルクトースのような糖類などの炭水化物類が含まれる。
こうした構成要素(但し外部エネルギ伝達源を除く)の多くは、非特許文献4に開示される公知のMEMS構成技術を用いてマイクロチップ(「オンチップ」構成要素類)上に構成される。または、非特許文献5に開示されるマイクロエレクトロニクス処理技術を用いてもよい。このような各構成要素は分散して存在してもよく、ハイブリッド電子パッキングまたはマルチチップモジュール(MCM:multi−chip moduke)を用いて接続できる、「既製の」マイクロエレクトロニクス構成要素類である。
本発明のセンサが特別な電源を必要とするかどうかは、装置の用途および具体的な設計に依存する。設計要因の例には、装置のサイズおよび予想される寿命が含まれる。また、送電用の特別な装置および技術は、センサおよび遠隔送信器用に選定した場所にも依存する。

(センサ類の使用方法)
ある実施形態では、対象リガンドの存在レベルを決定する方法を本発明は含む。前記方法には、披検体に検出システムを移植する工程と、対象リガンドの有無または濃度を示す表示を前記検出システムから読み出す工程が含まれる。
また、前記方法には、例えば、対象リガンドがグルコースの場合、血中グルコース濃度を表す一定濃度のグルコースを含有した生物学的液体と連通する液体中に、検出システムが存在するように、被検体中に前記検出システムを移植する工程も含まれる。ある実施形態では、生理学的グルコース濃度に前記検出システムを暴露したときに、前記検出システムで到達する複数のグルコース濃度のなかで、人工グルコース受容体に対してグルコースおよび競合体が競合できるように、人工グルコース受容体および競合体を構成する。前記方法では、グルコースが、低濃度、許容濃度、および高濃度であることを表示できるように構成した検出器を使用してもよい。
また、ある実施形態では、前記方法は、検出器からの信号を発生および/または検出する読取り機を使用する。このような実施形態では、前記表示を読み出す工程は、移植した検出システムの近くに読取り機を設置する工程を有してもよい。この読取り機は、第1の無線信号を送信し、第2の無線信号を受信し、および対象リガンドの有無またはその濃度に関する情報を表示するように構成することができる。

(人工受容体類)
本発明の受容体類は、異質な成分からなり固定化した構築単位分子類の組み合わせを有する。ある実施形態では、本発明の受容体類は、互いに接近させて担体上に固定化した、2個、3個、4個または5個の異なる種類の構築単位分子類の組み合わせを有する。候補人工受容体、リード人工受容体、または作業人工受容体は、例えば、担体(固体担体など)上に固定化した構築単位類の組み合わせを有する。前記構築単位類は、共有結合、静電相互作用、または疎水性相互作用などの様々な相互作用によって固定化できる。例えば、前記構築単位、担体、および「ローン」は、共有結合、静電相互作用、水素結合、ファンデルワールス相互作用などの相互作用が可能な、1個以上の官能基類または成分類を有してよい。ある実施形態では、一定の領域中で個体担体にそれぞれ独立して共有結合した複数の異なる構築単位分子類を、前記人工受容体は有する。この領域は、連続した領域中に無作為に分配した異なる構築単位分子類を配置した、前記固体担体表面の連続した一部分であってよい。
また、複数の候補人工受容体から、リード人工受容体を1個以上作製することができる。ある実施形態では、リード人工受容体は、構築単位類の組み合わせを有し、以下に示すように数ピコモルの対象リガンドに暴露させることで、検出可能な量の対象リガンドを結合する。例えば、対象リガンドの濃度としては、1、0.1、または0.01μg/mlの対象リガンド濃度、1、0.1、または0.01ng/mlの対象リガンド濃度、0.01μg/mlまたは1、0.1、または0.01ng/mlの対象リガンド濃度、または、1、0.1、または0.01ng/mlの対象リガンド濃度が挙げられる。
また、1個以上のリード人工受容体から作業人工受容体を1個以上作製することができる。ある実施形態では、作業受容体は構築単位類の組み合わせを有し、以下に示すように数ピコモルの対象リガンドに暴露させることで、分類または識別可能な量の対象リガンドを結合する。例えば、対象リガンドの濃度としては、100、10、1、0.1、0.01、または0.001ng/mlの対象リガンド濃度、10、1、0.1、0.01、または0.001ng/mlの対象リガンド濃度、または、1、0.1、0.01、または0.001ng/mlの対象リガンド濃度が挙げられる。

(構築単位類)
本発明は、候補人工受容体類を合成または形成するために使用する構築単位類に関する。少数の化合物の中から様々な構造的特徴を引き出すように、構築単位類を設計、合成、および選定することができる。正電荷、負電荷、酸、塩基、電子受容体、電子供与体、水素結合供与体、水素結合受容体、自由電子対、π電子、電荷分極、親水性、疎水性などの構造的特徴を1つ以上、1個の構築単位は有する。構築単位は、かさ高い化合物でも小さな化合物でもよい。
また、構築単位は、1個以上の枠組み部、1個以上のリンカー、および/または1個以上の認識要素など数種類の構成成分をもつように構成できる。前記枠組み部は、各構築単位と共有結合によって連結できる。また、前記リンカーは前記枠組み部に対して共有結合によって連結できる。さらに、前記リンカーは、共有結合、静電相互作用、水素結合、ファンデルワールス相互作用などの1種類以上の相互作用を介して担体に連結できる。前記認識要素は前記枠組み部に共有結合によって連結できる。ある実施形態中、1個の構築単位には、枠組み部1個、リンカー1個、および認識要素1個が含まれる。また、ある実施形態では、1個の構築単位に、枠組み部1個、リンカー1個、および認識要素2個が含まれる。
様々な構築単位類とその合成方法に関する一般的および具体的特徴と機能については、特許文献6乃至特許文献13に記載され、これら出願の全ての記載をここに引用するものである。これらの特許文献には、特に、構築単位類、枠組み部部分、認識要素類の機能、構造、および形状や、構築単位類の合成、構築単位類の具体的実施形態、認識要素類の具体的実施形態、および複数の構築単位類の詳細が記載される。

(枠組み部)
認識部位に結合し、およびリンカー部位に結合するかまたはリンカー部位自身となるような官能基類に適した、枠組み部を選定できる。前記枠組み部は、人工受容体の一部分としてリガンドと相互作用できる。ある実施形態では、直交性で信頼性のある官能基類を有し、規制された立体化学をもつ複数の反応部位が、前記枠組み部に含まれる。ここで、直交性で信頼性のある化学的な性質をもつ好適な官能基類としては、例えば、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、フェノール基、カルボニル基、およびチオール基が含まれ、これらの官能基類は個々に保護、脱保護、および誘導化することができる。ある実施形態では、前記枠組み部は、直交性で信頼性のある化学的な性質をもつ2個、3個または4個の官能基を有する。また、ある実施形態では、前記枠組み部は3個の官能基を有し、この場合、これら3つの官能基は、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、フェノール基、カルボニル基、またはチオール基から独立して選ぶことができる。また、前記枠組み部は、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルなどの基を有してもよい。
官能基を3個有する枠組み部の一般構造は、以下の式1aで表される。
Figure 2011511263
式1a
また、官能基を4個有する枠組み部の一般構造は、以下の式1bで表される。
Figure 2011511263
式1b

上記一般構造において、Rは1乃至12個、1乃至6個、または1乃至4個の炭素原子をもつアルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、置換複素環基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロアリールアルキル基を表し、F、F、F、またはFは独立して、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、フェノール基、カルボニル基、またはチオール基を表す。また、F、F、F、またはFは独立して、1乃至12個、1乃至6個、または1乃至4個の炭素原子をもつアルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、置換複素環基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロアリールアルキル基、または、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、フェノール基、カルボニル基、またはチオール基で置換した無機官能基を表す。なお、Fおよび/またはFはなくともよい。
種々の化合物類が、酸素またはイオウ官能基を有するアミノ酸、および天然存在または合成化合物を含む前記枠組み部を表す上記化学式に該当する。これら化合物は、ラセミ体、光学活性体、または光学不活性体であってよく、例えば、天然または合成によるアミノ酸、α−ヒドロキシ酸、およびチオ酸などでよい。
枠組み部として用いられる好適な分子には、天然または合成によるアミノ酸類、特に、側鎖に官能基(例えば、第3の官能基)を有するアミノ酸類が含まれる。アミノ酸類はカルボキシル基およびアミノ基を有する。また、側鎖官能基としては、天然のアミノ酸の場合、アミノ基(アルキルアミノ基、ヘテロアリールアミノ基など)、水酸基、フェノール基、カルボキシル基、チオール基、チオエーテル基、またはアミド基が含まれる。また、枠組み部として用いるのに好適な天然アミノ酸類には、例えば、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、システイン、リジン、アルギニン、およびヒスチジンが含まれる。また、合成アミノ酸類の場合には、天然存在型側鎖官能基類を有していてよい。または、天然型アミノ酸類を、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、置換複素環基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロアリールアルキル基を用いて変換または伸張させた合成側鎖官能基類を枠組み部部分として有していてもよい。さらに、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、フェノー基ル、カルボニル基、またはチオール基を用いて変換または伸張させた合成側鎖官能基類を有してもよい。好適な合成アミノ酸には、β−アミノ酸、および天然アミノ酸のホモまたはβ類縁体が含まれる。ある実施形態では、前記枠組み部アミノ酸は、セリン、スレオニン、またはチロシンであってよい。例えば、セリンまたはスレオニンの組合せ、または、チロシンだけでもよい。
本発明を限定するものではないが、セリン、スレオニン、またはチロシンなどの枠組み部アミノ酸は、1個のリンカーおよび2個の認識要素を用いることにより、枠組み部の伸張炭素鎖に応じて、垂直方向に認識要素の一方を、さらに水平方向にもう一方の認識要素を用いて形成することができる。
また、全ての天然存在型アミノ酸類および多くの合成アミノ酸類は、市販品として入手できる。また、認識要素(類)および/またはリンカー類との結合反応に好適なように誘導化または保護化した前記アミノ酸類は、購入可能である。または、公知の方法によって合成できる。非特許文献6および非特許文献7参照。

(認識要素)
認識要素は、構成要素に1つ以上の構造的特徴を与えるように選定できる。この認識要素は、人工受容体の一部としてリガンドと相互作用できる。例えば、正電荷、負電荷、酸、塩基、電子受容体、電子供与体、水素結合供与体、水素結合受容体、自由電子対、π電子、電荷分極、親水性、疎水性などの構造的特徴が1つ以上、認識要素によって付与される。認識要素は小さな官能基でもよいが、かさ高い官能基でもよい。
一実施形態中、前記認識要素は、1乃至12個、1乃至6個、または1乃至4個の炭素原子をもつアルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、置換複素環基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロアリールアルキル基などの基である。また、正電荷、負電荷、酸、塩基、電子受容体、電子供与体、水素結合供与体、水素結合受容体、自由電子対、π電子、電荷分極、親水性、疎水性などの特性を有する、または特性を分与できる官能基によって、前記認識要素を置換することができる。
また、正電荷(例えば、含水組成中の中性pHにおいて)をもつ認識要素類には、アミン類、4級アンモニウム類、スルホニウム、ホスホニウム、フェロセンなどを有する。好適なアミン類には、アルキルアミン類、アルキルジアミン類、ヘテロアルキルアミン類、アリールアミン類、ヘテロアリールアミン類、アリールアルキルアミン類、ピリジン類、複素環式アミン類(飽和または不飽和、環中窒素原子有りまたは無し)、アミジン類、ヒドラジン類などが含まれる。一般に、アルキルアミン類は、1乃至12個の炭素原子、例えば1乃至8個の炭素原子をもち、環は、3乃至12個の炭素原子、例えば3乃至8個の炭素原子をもつ。好適なアルキルアミン類には、以下に示す式B9のアミンが含まれる。また、好適な複素環式またはアルキル複素環式アミン類には、以下に示す式A9のアミンが含まれる。好適なピリジン類には、式A5および式B5で示したアミン類が含まれる。また、上記アミン類は4級アンモニウム化合物として使用してもよい。好適な4級アンモニウム化合物には、トリメチルアルキル4級アンモニウム、ジメチルエチルアルキル4級アンモニウム、ジメチルアルキル4級アンモニウム、アリールアルキル4級アンモニウム、ピリジニウム4級アンモニウムなどが含まれる。
また、負電荷(例えば、含水組成中の中性pHにおいて)をもつ認識要素類には、カルボン酸類、強い電子吸引基(置換テトラクロロフェノールなど)で置換されたフェノール類、リン酸類、ホスホン酸類、ホスフィン酸類、スルフィン酸類、スルホン酸類、チオカルボン酸類、およびヒドロキサム酸類が含まれる。好適なカルボン酸類には、アルキルカルボン酸類、アリールカルボン酸類、およびアリールアルキルカルボン酸類が含まれる。また、好適なリン酸類には、モノリン酸エステル類、ジリン酸エステル類、トリリン酸エステル類、およびモノリン酸アミド類、ジリン酸アミド類、トリリン酸アミド類が含まれる。好適なホスホン酸類には、モノホスホン酸エステル類、ジホスホン酸エステル類、およびホスホンアミドなどのモノホスホン酸アミド類、ジホスホン酸アミド類が含まれる。好適なホスフィン酸類には、ホスフィン酸エステル類およびホスフィン酸アミド類が含まれる。
また、負電荷および正電荷(例えば、含水組成中の中性pHにおいて)をもつ認識要素類には、スルホキシド類、ベタイン類、およびアミンオキシド類が含まれる。
酸性認識要素類には、カルボン酸類、リン酸類、硫酸類、およびフェノール類が含まれる。好適なカルボン酸類には、チオカルボン酸類が含まれる。また、好適な酸性リン酸類には、上記に挙げたリン酸類が含まれる。
塩基性認識要素類には、アミン類が含まれる。好適なアミン類には、アルキルアミン類、アリールアミン類、アリールアルキルアミン類、ピリジン類、複素環式アミン類(飽和または不飽和、環中窒素原子有りまたは無し)、アミジン類、および上記に挙げたアミン類が含まれる。好適なアルキルアミン類には、式B9のアミンが含まれる。また、好適な複素環式またはアルキル複素環式アミン類には、式A9のアミンが含まれる。好適なピリジン類には、式A5および式B5で示したアミン類が含まれる。
水素結合供与体を有する認識要素類には、アミン類、アミド類、カルボキシル類、プロトン化されたリン酸類、プロトン化されたホスホン酸類、プロトン化されたホスフィン酸類、プロトン化された硫酸類、プロトン化されたスルフィン酸類、アルコール類、およびチオール類が含まれる。好適なアミン類には、アルキルアミン類、アリールアミン類、アリールアルキルアミン類、ピリジン類、複素環式アミン類(飽和または不飽和、環中窒素原子有りまたは無し)、アミジン類、ウレア類、および上記に挙げたその他のアミン類が含まれる。好適なアルキルアミン類には、式B9のアミンが含まれる。また、好適な複素環式またはアルキル複素環式アミン類には、式A9のアミンが含まれる。好適なピリジン類には、式A5および式B5で示したアミン類が含まれる。また、好適な保護化カルボン酸類および保護化リン酸類には、上記で示した基が含まれる。好適なアミド類には、式A8および式B8で表したアミドが含まれる。また、好適なアルコール類には、1級アルコール類、2級アルコール類、3級アルコール類および芳香族アルコール類(例えばフェノール類)が含まれる。好適なアルコール類には、式A7(1級アルコール)および式B7(2級アルコール)で示した基が含まれる。
水素結合受容体または1個以上の自由電子対を有する認識要素類には、アミン類、アミド類、カルボン酸類、カルボキシル基類、リン酸類、ホスホン酸類、ホスフィン酸類、硫酸類、スルホン酸類、アルコール類、エーテル類、チオール類、およびチオエーテル類が含まれる。好適なアミン類には、アルキルアミン類、アリールアミン類、アリールアルキルアミン類、ピリジン類、複素環式アミン類(飽和または不飽和、環中窒素原子有りまたは無し)、アミジン類、ウレア類、および上記に挙げたアミン類が含まれる。好適なアルキルアミン類には、式B9のアミンが含まれる。また、好適な複素環式またはアルキル複素環式アミン類には、式A9のアミンが含まれる。好適なピリジン類には、式A5および式B5で示したアミン類が含まれる。また、好適なカルボン酸類には、上記で示した基が含まれる。好適なアミド類には、式A8および式B8で表したアミドが含まれる。好適なリン酸類、ホスホン酸類、およびホスフィン酸類には、上記で示した基が含まれる。また、好適なアルコール類には、1級アルコール類、2級アルコール類、3級アルコール類および芳香族アルコール類(例えばフェノール類)、および上記で示した基が含まれる。好適なアルコール類には、式A7(1級アルコール)および式B7(2級アルコール)で示した基が含まれる。また、好適なエーテル類には、アルキルエーテル類、アリールアルキルエーテル類が含まれる。好適なエーテル類には、式A6で示した基が含まれる。好適なアリールアルキルエーテル類には、式A4で示した基が含まれる。好適なチオエーテル類には、式B6で示した基が含まれる。
電荷をもたない極性基および親水性基類を有する認識素子類には、アミド類、アルコール類、エーテル類、チオール類、チオエーテル類、エステル類、チオエステル類、ボラン類、ホウ酸類、および金属錯体が含まれる。好適なアミド類には、式A8および式B8で示した基が含まれる。好適なアルコール類には、1級アルコール類、2級アルコール類、3級アルコール類および芳香族アルコール類(例えばフェノール類)、および上記で示した基が含まれる。好適なアルコール類には、式A7(1級アルコール類)および式B7(2級アルコール類)で示した基が含まれる。好適なエーテル類には、上記で示した基が含まれる。また、好適なエーテル類には、式A6で示した基が含まれる。また、好適なアリールアルキルエーテル類には、式A4で示した基が含まれる。
電荷をもたない疎水性基類を有する認識素子類には、アルキル基(置換および無置換の)、アルケン基(共役および非共役の)、アルキン基(共役および非共役の)、および芳香族基が含まれる。好適なアルキル基には、低級アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、およびヘテロアリールアルキル基が含まれる。好適な低級アルキル基には、式A1、式A3、式A3a、および式B1で示す基が含まれる。また、好適なアルキルシクロアルキル基には、式B2で示す基が含まれる。好適なアルケン基には、低級アルケン基およびアリールアルケン基が含まれる。好適なアリールアルケン基には、B4で示す基が含まれる。好適な芳香族基には、無置換のアリール基、ヘテロアリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、アルキル置換アリール基、およびポリ芳香族炭化水素類が含まれる。好適なアリールアルキル基には、式A3,式A3a、および式B4で示す基が含まれる。好適なアルキルヘテロアリール基には、式A5および式B5で示す基が含まれる。
(小さい)スペーサ認識要素類には、水素、メチル基、エチル基などが含まれる。かさ高い認識素子類は、7個以上の炭素原子またはヘテロ原子を有する。
以下に、式A1乃至式A9および式B1乃至式B9を示した。
Figure 2011511263
A1
Figure 2011511263
A2
Figure 2011511263
A3
Figure 2011511263
A3a
Figure 2011511263
A4
Figure 2011511263
A5
Figure 2011511263
A6
Figure 2011511263
A7
Figure 2011511263
A8
Figure 2011511263
A9
Figure 2011511263
B1
Figure 2011511263
B2
Figure 2011511263
B3
Figure 2011511263
B3a
Figure 2011511263
B4
Figure 2011511263
B5
Figure 2011511263
B6
Figure 2011511263
B7
Figure 2011511263
B8
Figure 2011511263
B9
上記のA類およびB類の認識要素類は、標準的な参照文献に従い、以下に記載した化合物の誘導体と呼ぶことができる。 A1:エチルアミン。A2:イソブチルアミン。A3:フェネチルアミン。A4:4−メトキシフェネチルアミン。A5:2−(2−アミノエチル)ピリジン。A6:2−メトキシエチルアミン。A7:エタノールアミン。A8:N−アセチルエチレンジアミン。A9:1−(2−アミノエチル)ピロリジン。B1:酢酸。B2:シクロペンチルプロピオン酸。B3:3−クロロフェニル酢酸。B4:桂皮酸。B5:3−ピリジンプロピオン酸、B6:(メチルチオ)酢酸。B7:3−ヒドロキシ酪酸。B8:スクシンアミド酸。B9:4−(ジメチルアミノ)酪酸。
一実施形態では、A認識要素類は垂直位置で枠組み部に結合する。また、一実施形態では、B認識要素類は水平位置で枠組み部に結合する。また、ある実施形態では、A認識要素類が垂直位置で枠組み部に結合し、かつB認識要素類が水平位置で枠組み部に結合する。
ある実施形態では、脂溶性/親水性および容積が定められた結合空間を占有するように、AおよびB認識要素類を有する構築単位類を形成してもよい。様々なAおよびB認識要素類を有する各構築要素の容積を(公知の方法により)算出できる。また、様々なAおよびB認識要素類を有する各構築要素について、その脂溶性/親水性(logP)を測定できる。logPが負の場合は、非極性溶媒よりも水に対して親和力があることを示し、親水性の性質を示す。logPに対して容積をプロットすることで、サイズおよび脂溶性/親水性が定められた結合空間にある構築要素類の分布を示すことができる。
多数の認識要素類を形成する試薬類は、市販品として入手できる。例えば、A1,A2,A3,A3a、A4,A5,A6,A7,A8,A9,B1,B2,B3,B3a、B4,B5,B6,B7,B8,およびB9の各認識要素は、市販品として入手可能である。

(リンカー類)
担体に構築要素を適切に連結するためにリンカーを選定する。枠組み部は、人口受容体の一部としてリガンドと相互作用できる。リンカーによって、かさ高さおよび担体からの距離が決まり、構築要素に疎水性、親水性などの構造的特徴が付与される。共有結合または非共有結合的相互作用を介して、担体に構築単位類を連結できる。好適な非共有結合的相互作用には、イオン相互作用、水素結合、ファンデルワールス相互作用などがある。ある実施形態では、リンカーは共有結合または非共有結合的相互作用で連結できる部位を有する。ある実施形態では、リンカーは共有結合で連結できる部位を有している。共有結合または可逆的共有結合を形成する好適な官能基は、上記に記載したとおりである。
担体と構築単位を共有結合で連結するリンカーを選定することができる。枠組み部は、人口受容体の一部としてリガンドに相互作用できる。またリンカーによって、かさ高さ、担体からの距離が決まり、構築要素に疎水性、親水性などの構造的特徴が付与される。ある実施形態では、リンカーは枠組み部上の官能基と共有結合を形成できる。また、ある実施形態では、リンカーは、担体に取り付ける前に、担体上の官能基と反応できる官能基を有していてよい。また、ある実施形態では、リンカーは、担体に取り付けた後に、担体および枠組み部と共有結合を形成できる。
ある。
ある実施形態では、枠組み部上にあるアルコール、フェノール、チオール、アミン、カルボニル、その他の官能基と共有結合を形成するようにリンカーを形成または構築できる。前記リンカーは、カルボキシル、アルコール、フェノール、チオール、アミン、カルボニル、マレインイミド、またはその他前記担体と反応できるまたは反応させることができる基を有してよい。枠組み部への結合と前記担体に取り付けた官能基との間に、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、アテロアリールアルキル、エトキシやプロポキシオリゴマー、グリコシドなどの官能基部位を前記リンカーは有することができる。
また、前記リンカーは、アルキル基またはアリール基に結合した良好な脱離基を有してもよい。この「良好」な脱離基とは、枠組み部にあるアルコール、フェノール、チオール、アミン、カルボニルなどの基で十分置換できる基である。こうしたリンカーは、以下の化学式で表わされる部位を有してよい。
Figure 2011511263

ここでXはハロゲン(Cl、Br、またはI)、トシレート基、メシレート基、トリフレート基などの脱離基を表し、Rはアルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、置換複素環基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロアリールアルキル基、エトキシやプロポキシオリゴマー、グリコシドなどの官能基部位を表す。
また、好適なリンカーには以下の化学式の基を有する。
Figure 2011511263

ここで、n=1乃至16、n=2乃至8、n=2乃至6、またはn=3である。好適なリンカー類を形成できる試薬類は市販品で入手可能であり、直交機能的である様々な試薬類が含まれる。

(構築単位類の実施形態)
ある実施形態では、以下の式2で構築単位類を表すことができる。
Figure 2011511263
式2
ここで、REは認識要素1を表し、REは認識要素2を表し、Lはリンカーを表す。Xは、存在しないか、または、C=O、CH,NR,NR,NH,NHCONH,SCONH,CH=N,またはOCHNHを示す。ある実施形態中、Xは存在しないか、またはC=Oである。Yは、存在しないか、またはNH、O、CH2、またはNRCOを示す。一実施形態中、YはNHまたはOを示す。また、一実施形態中、YはNH示す。ZおよびZは、互いに独立してCH2、O、NH、S、CO、NR、NR2、NHCONH、SCONH、CH=N、またはOCHNHを示す。また、一実施形態中、Zおよび/またはZは、互いに独立してOを示す。なお、Zは任意でよい。Rは、H、CH、またはその他構築単位に光学活性を付与し、メチル基と同じ大きさまたは小さい大きさをもつ官能基でよい。Rは、CH、CH−フェニル、CHCH3、n=2−3の(CH、3乃至8個の炭素原子をもつ環状アルキル(例えば5−6個の炭素原子)、フェニル基、またはナフチル基を示す。ある実施形態では、RはCHまたはCH−フェニル基を示す。
REは、B1、B2、B3、B3a、B4、B5、B6、B7、B8、B9、A1、A2、A3、A3a、A4、A5、A6、A7、A8、またはA9を示す。また、ある実施形態では、REは、B1、B2、B3、B3a、B4、B5、B6、B7、B8、B9を示す。REは、A1、A2、A3、A3a、A4、A5、A6、A7、A8、A9、B1、B2、B3、B3a、B4、B5、B6、B7、B8、またはB9を示す。また、ある実施形態では、REは、A1、A2、A3、A3a、A4、A5、A6、A7、A8、A9を示す。一実施形態中、REは、B2、B3a、B4、B5、B6、B7、またはB8を示し、一実施形態中、REは、A、A3a、A4、A5、A6、A7,またはA8を示す。
ある実施形態では、Lは、枠組み部(前記した基)への結合で生成、またはその結合に関与した官能基を示す。担体や「ローン」(前記で説明した基)、およびリンカーの骨組み部位と可逆的な相互作用を用いて形成、またはその形成に関与できる官能基である。ある実施形態では、前記リンカー骨組み部位は、約4個から約48個の炭素原子またはヘテロ原子含有アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、置換複素環基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロアリールアルキル基、エトキシやプロポキシオリゴマー、グリコシド、それらの基を混合した基、または、約8個から約14個の炭素またはヘテロ原子、約12個から約24個の炭素またはヘテロ原子、約16個から約18個の炭素またはヘテロ原子、約4個から約12個の炭素またはヘテロ原子、または約4個から約8個の炭素またはヘテロ原子を表す。
ある実施形態中、Lは、上記の枠組み部に結合して形成またはその結合に関与した官能基を表し、上記の脂溶性官能基部位を表す。この官能基部位は約4個から約48個の炭素原子、約8個から約14個の炭素原子、約12個から約24個の炭素原子、約16個から約18個の炭素原子を有する。ある実施形態では、Lは、約1個から約8個の可逆的結合/相互作用部位を有し、または約2個から約4個の可逆的結合/相互作用部位を有する。一実施形態では、Lは、(CHCOOHを表し、n=12−24、n=17−24、またはn=16−18である。
また、一実施形態中、Lは、(CHCOOHを表し、n=1−16、n=2−8、n=4−6、またはn=3である。
なお、Aおよび/またはB認識要素、リンカー、およびアミノ酸枠組み部を有する構築単位類は、先の一般スキーム1に示した方法によって合成可能である。

(人工受容体の合成方法)
本発明は、人工受容体または候補人工受容体の合成方法に関する。一実施形態では、この合成方法は、担体上にスポットまたは領域を調製する工程を有し、このスポットまたは領域は、担体上に固定化した構築単位類を複数有する。また、前記方法は、複数の構築単位類を混合する工程と、この混合物をスポット形成に使用する工程を有する。あるいは、本発明は、担体上に個々の構築単位類をスポット化する工程を有してよい。担体に構築単位類を結合するために、共有結合または非共有結合的相互作用を使用できる。好適な非共有結合的相互作用には、イオン関相互作用、水素結合、ファンデルワールス相互作用などが含まれる。一実施形態中、前記担体は、共有結合または非共有結合的相互作用によって結合できる部位で官能基化することができる。前記方法は、2個、3個、4個またはそれ以上の数の構築単位類と組み合わせて担体上に構築単位類を塗布またはスポット化することができる。
一実施形態絵では、本方法は受容体の表面を合成する工程を有する。受容体表面の合成方法は、固体担体上に複数の構築単位類を有する一定の領域を形成する工程と、この複数の構築単位類を前記領域の個体担体に固定化する工程を有する。また、この方法は、複数の構築単位類を混合する工程と、前記領域または複数の領域を形成するために前記混合物を使用する工程を有する。あるいは、前記方法は、担体上の領域中に個々の構築単位類を塗布する工程を有してもよい。構築単位類の溶液に前記担体の一部を浸すことで、担体上へ領域を形成することができる。こうして得られた構築単位類を含んだコーティングは、非均一性構築単位類と呼ぶことができる。
ある実施形態では、前記方法によって、リガンドと1個以上の構築体とを相互作用させるのに十分な密度の構築単位類をもつスポットまたは表面が得られる。前記構築単位類は、互いに近接しておくことができる。ただ1個の構築単位を有するスポットまたは表面に比べて、複数の構築単位を有するスポットまたは表面にある、対象リガンドの結合が異なること(相対的に強い)を判定することによって、異なる構築単位類が近接していることを検出できる。
また、前記方法によって、構築単位類として用いる種類の化合物を固定化する公知の方法を使用して、担体に構築単位類を固定化できる。担体に構築単位類を固定化する方法には、共有結合または非共有結合的な相互作用が使用できる。一実施形態では、共有結合、例えば、可逆的共有結合で結合できる官能基部位を用いて、前記担体を官能基化できる。本発明は、可逆的な共有結合を形成するために、多数の公知の官能基、試薬、および反応を使用できる。可逆的な共有結合を形成するための好適な試薬類は、非特許文献6に記載される。例えば、前記担体には、カルボニル基、シラン基、ホウ酸またはホウ酸エステル、アミノ基(1級、2級、または3級アミン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジンなど)、チオール基、アルコール基(1級、2級、または3級アルコール)、ジオール基((1、2ジオールまたは、1,3ジオール)フェノール基、カテコール基などの官能基類が含まれる。これらの官能基類は、可逆的な共有結合をもつ官能基を形成できる。例えば、アルキルエーテル、シリルエーテル、チオエーテルなどのエーテル;アルキルエステル、フェノールエステル、環状エステル、チオエステルなどのエステル;環状アセタールなどのアセタール;環状ケタールなどのケタール;シリルエーテルなどのシリル誘導体;環状ボロネートなどのボロネート;アミド、ヒドラジド、イミン、カルバメートなどが含まれる。こうした官能基は、例えば、第1共有結合部位などの、共有結合部位と呼ぶことができる。
担体上のカルボニル基および構築単位上のアミノ基によって、イミンすなわちシッフ塩基を形成できる。同様に、担体上のアミノ基および構築単位上のカルボニル基によって、イミンすなわちシッフ塩基を形成できる。また、担体上のカルボニル基および構築単位上のアルコール基によって、アセタールまたはケタールを形成できる。同様に、担体上のアルコール基および構築単位上のカルボニル基によって、アセタールまたはケタールを形成できる。また、担体上のチオール基(第1のチオール)および構築単位上のチオール基(第2のチオール)によって、ジスルフィドを形成できる
担体上のカルボキシル基および構築単位上のアルコール基によって、エステルを形成できる。同様に、担体上のアルコール基および構築単位上のカルボキシル基によって、エステルを形成できる。種々のアルコール類およびカルボン酸類を用いて、本発明の記載中、可逆的共有結合をもつエステル類を形成できる。例えば、アリール環上に電子吸引基をもつフェノール類などのアルコール類、水酸基がある炭素に作用する電子吸引基をもつ他のアルコール類、またはこれ以外のアルコール類と、アシル基炭素に作用する電子吸引基をもつカルボキシル基(例えば、ニトロベンジル酸、R−CF−COOH、R−CCl−COOHなど)、またはその他のカルボン酸とから、可逆的エステル結合を形成できる。

(試験リガンド類)
試験リガンドは、アレイまたは表面への結合が検出可能なリガンドであればよい。試験リガンドは、純粋な化合物、混合物、または天然物または汚染物質を含有する「汚染」混合物でよい。こうした汚染混合物は、組織ホモジネート、生物学的液体、土壌サンプルなどである。
試験リガンド類には、前立腺特異抗原、その他の癌マーカー、インスリン、ワーファリン、その他の抗凝血剤、コカイン、その他の乱用薬物、大腸菌マーカー、サルモネラ菌マーカー、その他の食物媒介性毒素のマーカー、食物媒介性毒素、天然痘ウイルスマーカー、炭疽病マーカー、その他可能性のある毒性生物学的試薬、医薬品および薬、有害廃棄物中の汚染物質および化成品、毒性化学試薬、疾病マーカー、医薬品、汚染物資、生物学的に重要な陽イオン(カリウムまたはカルシウムイオン)、ペプチド、炭水化物、酵素、バクテリア、ウイルス、および上記の混合物などが含まれる。また、ある実施形態中、試験リガンドには、小さな有機分子、無機/有機錯体、金属イオン、タンパク質混合物、タンパク質、核酸、核酸混合物、および上記の混合物などの少なくとも1つが含まれる。
好適な試験リガンドには、試験リガンドとして本明細書中に記載した化合物または化合物の範疇に入るものを含むことができる。例えば、微生物、タンパク質、がん細胞、乱用薬物、その他上記の物質などが含まれる。

実施例
A複合体とグルコースとの競合
コンビナトリアル人工受容体に対し、糖−デンドリマー複合体と非結合性グルコースとを競合させることによって、光学的信号に有意の変化が生じた。

(材料および方法)
エチレンジアミン核上のポリ(アミドアミン)デンドリマー、即ちPAMAMデンドリマーは、DENDRITECH社より入手した。以下のスキームIに、こうしたデンドリマーを示した。
Figure 2011511263
また、スキームIに示した糖およびデンドリマーを含む複合体の合成方法を、以下のスキームIIに示した。
Figure 2011511263

スキームIIに示したアミノ−グルコース誘導体および第4.5世代PAMAMデンドリマーからなる複合体を合成し、候補人工受容体類を含有したアレイに対して評価した。

(結果および考察)
等質なスポット中29個の構築単位類から前記アレイを構成し、2個の構築単位類と組み合わせた。単独で競合的結合を付与する前記構築単位類、および2個の構築単位類との組み合わせで競合的結合を付与する前記構築単位類は、相対的に多数の構築単位類を有する組合せ化合物中で堅牢かつ調整可能な競合的結合が起きるように選定した。図5に、候補受容体中の構築単位類の識別に対し、競合体を加えることで生じた蛍光変化の結果を示した。さらに、グルコースの存在下または非存在下で、前記複合体の結合で生じた変化を検出できる候補受容体類を、さらに試験を行うために選定した。
こうした試験は、2個から9個の構築単位類の組み合わせを有する等質な受容体および候補受容体の9個の構築単位類を使用して実施した。前記候補受容体類にグルコース−デンドリマー複合体が結合して得た結果を、図6に示した。図で示したように、3個から6個の構築単位類、例えば、3個、4個、または5個の構築単位類を有する受容体類は、図6で高低の両方の値を示して、最も多様な結合を与える結果となり、所望の受容体の作製に有用である。
図7に、ガラクトース、マンノース、およびフコースの3種類の糖をそれぞれ追加して合成したデンドリマー複合体を用いて得た、候補人工受容体類に対する結合を示した。図7中、各ブロックは1個のアレイから得られた候補受容体類の1群を示す。なお、丸で囲んだ受容体類は、異なる複合体類に対して異なる応答をした受容体類を表す。
図8および図9に、前記候補受容体類についての競合結果を示す。図8の試験において、標識化したグルコース−デンドリマー複合体は、各候補人工受容体において非標識化複合体に対して競合した。この非標識化複合体は、標識化複合体の100倍の濃度で使用した。もし競合がない場合は、図8のようなグラフの各点は、始点から右上のコーナー部分まで伸びた、傾きが1である直線の周りに集合したと考えられる。一方、図8が示すように、図の各点によって傾きが明らかに1未満の直線が画定されており、標識化複合体は非標識化複合体と競合した。
図9に、標識化グルコース−デンドリマー複合体がグルコースに競合した実験結果を示す。もし競合がない場合には、図9のようなグラフの各点は、始点から右上のコーナー部分まで伸びた、傾きが1である直線の周りに集合したと考えられる。しかし、実際には、図9に示した各点の存在範囲が示すように、標識化グルコース−デンドリマー複合体はグルコースに対して、一定の範囲の水準で競合した。全点についての最適化直線の傾きが1未満であることは、競合していることを示しており、異なる結合環境全般における競合レベルの範囲から、このシステムの適応可能性が示される。異なる結合環境が生じるのは、グルコースと標識化グルコース−デンドリマー複合体との間の競合に、異なるレベルが存在することから生じたものである。最も高いレベルの競合を生む候補受容体類は、図9の直線より明らかに下方にあるデータポイントによって表される。このようなデータポンイントは、X軸において25,000から45,000蛍光単位の値に相当する。しかし、競合的結合を示した受容体は全て候補受容体であり、本実験で得られた一定の範囲の結合応答を使用して、グルコースに対して本システムの応答を合わせることが可能である。
図10に、3種の候補人工受容体類を用いてグルコースとの競合で得た結合標識化複合体由来の蛍光減少を示す。ここで、受容体A(グラフ中▲)は構築単位TyrAを有する。また、受容体B(グラフ中■)は構築単位TyrA、TyrA、TyrA、TyrA、およびTyrAを有する。また、受容体C(グラフ中●)は構築単位TyrA、TyrA、TyrA、TyrA、およびTyrAを有する。
なお、本明細書および請求の範囲で用いた「a」、「an」、「the」の単数形の用語は、別に明確に示していない限り、複数の意味をもつものとする。従って、「化合物(a compound)」の用語を含む記載には、1個以上の化合物(compounds)の混合物も含まれる。また、「または(or)」の用語は、別に明確に示していない限り、一般に「および/または」を含む意味で使用する。
また、本明細書および請求の範囲で用いた、「適用して構成する」の句は、システム、装置、またはその他の構造体について述べたものであり、特定の作業または特定の構造を実行するために構成または構築したものである。また、「適用して構成する」の句は、配置して構成する、構成して配置する、適用する、構成する、製造および配置する、などの同様の意味をもつ句と互換的に用いてもよい。
本明細書中に記載した全ての出版物および特許出願類によって、本発明が属する当業者の水準を示した。
以上、様々な具体的で好適な実施形態および技術を参照しながら、本発明について説明してきた。しかし、本発明の精神および範囲を逸脱することなく多数の変更および修飾を行えることが理解されるべきである。

Claims (30)

  1. 高分子に共有結合した対象リガンド類縁体を有する競合体と、
    対象リガンドと前記競合体とのいずれにも結合する人工受容体であって、前記対象リガンドの結合は前記競合体の結合と競合し、一定の領域中で固体担体に独立して共有結合する種々の構築単位分子類を複数有し、前記領域は前記固体担体表面の連続した一部分であり、前記固体担体は前記連続領域全体に無作為に分布した種々の前記構築単位分子類を有する人工受容体と、
    前記対象リガンドを透過するが、有効量の前記競合体は保持する半透膜であって、前記半透膜および前記人工受容体によって少なくとも部分的にチャンバーが画定され、前記競合体および前記人工受容体が前記チャンバー中にある半透膜と、
    前記人工受容体に前記競合体または前記対象リガンドが結合するのに応じて、前記対象リガンドの有無または濃度の表示を出すように、前記人工受容体に機能を発現させるように連結した検出器を有する検出システム。
  2. 前記対象リガンドはグルコースであり、前記高分子はデンドリマーを有し、および前記人工受容体は人工グルコース受容体であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  3. 前記検出システムを生物学的グルコース濃度に暴露したとき、前記検出システム内で達する複数のグルコース濃度において前記人工グルコース受容体に対してグルコースおよび競合体が競合するように、前記人工グルコース受容体および前記競合体を構成し、
    グルコース濃度が、低濃度、許容濃度、または高濃度であると表示を出すように前記検出器を構成することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  4. 前記競合体が、前記高分子に共有結合した検出可能な標識をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  5. 前記高分子がデンドリマーであることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  6. 前記チャンバーを満たす等張液をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  7. 前記検出器が光学検出器を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  8. 前記検出器が水晶マイクロバランスを有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  9. 前記検出器がアンテナおよび集積回路を有し、前記表示を保存、および第1の無線信号を受信して第2の無線信号を送信するように前記集積回路を構成し、前記第1の無線信号によって電力が供給され、前記集積回路が作動して前記第2の無線信号を送信し、前記第2の無線信号が前記表示を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  10. 対象リガンド濃度を測定する方法であって、前記方法は、
    被検体に検出器システムを移植する工程と、
    対象リガンドの有無または濃度に関する表示を前記検出システムから読み出す工程を有し、
    前記検出システムは、
    高分子に共有結合した対象リガンド類縁体からなる競合体と、
    対象リガンドと前記競合体とのいずれにも結合する人工受容体であって、前記対象リガンドの競合は前記競合体の結合と競合し、一定の領域中で固体担体に独立して共有結合する種々の構築単位分子類を複数有し、前記領域は前記固体担体表面の連続した一部分であり、前記固体担体は前記連続領域全体に無作為に分布した種々の前記構築単位分子類を有する人工受容体と、
    前記対象リガンドを透過するが、有効量の前記競合体は保持する半透膜であって、前記半透膜および前記人工受容体によって少なくとも部分的にチャンバーが画定され、前記競合体および前記人工受容体が前記チャンバー中にある半透膜と、
    前記人工受容体に前記競合体または前記対象リガンドが結合するのに応じて、前記対象リガンドの有無または濃度に関する表示を出すように、前記人工受容体に機能を発現するように連結した検出器を有する。
  11. 前記対象リガンドはグルコースであり、種々の血中グルコース濃度を表す一定濃度のグルコースを含有する生物学的液体と前記検出システムが液体中で連通するように、被検体に前記検出システムを移植する移植工程を有することを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 血管、筋肉、または皮膚に前記検出システムを移植する工程を有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 前記検出システムを生物学的グルコース濃度に暴露したとき、前記検出システム内で達する複数のグルコース濃度において前記人工グルコース受容体に対してグルコースおよび競合体が競合するように、前記人工グルコース受容体および前記競合体を構成し、
    グルコース濃度が、低濃度、許容濃度、または高濃度であると表示を出すように前記検出器を構成することを特徴とする請求項11に記載の方法。
  14. 80mg/dL乃至120mg/dLのグルコース存在下、2mg/dL乃至12mg/dLのフルクトース存在下、および1.5mg/dL乃至90mg/dLのガラクトース存在下で、前記検出システムが有効にグルコース濃度を表示することを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 前記検出器がアンテナおよび集積回路を有し、前記表示を保存、および第1の無線信号を受信して第2の無線信号を送信するように前記集積回路を構成し、前記第1の無線信号によって電力が供給され、前記集積回路が作動して前記第2の無線信号を送信し、前記第2の無線信号は前記表示を有することを特徴とする請求項10に記載の方法。
  16. 前記表示を読み出す工程には、移植した前記検出システムの近くに読取り機を設置する工程が含まれ、
    前記第1の無線信号を送信し、前記第2の無線信号を受信し、および前記対象リガンドの有無または濃度に関する情報を表示するように前記読取り機を構成することを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 対象リガンドの結合に対して競合する分子競合体と、
    対象リガンドと前記競合体とのいずれにも結合する人工受容体であって、前記対象リガンドの結合は前記競合体の結合と競合し、固体担体に独立して共有結合する種々の構築単位分子類を複数有する人工受容体と、
    前記対象リガンドを透過するが、有効量の前記競合体は保持するリガンド透過性界面であって、前記リガンド透過性界面および前記人工受容体によって少なくとも部分的にチャンバーが画定され、前記競合体および前記人工受容体が前記チャンバー中にあるリガンド透過性界面と、
    前記対象リガンドの有無または濃度に関する表示を出すように、前記人工受容体に機能を発現するように連結した検出器を有する人工受容体システム。
  18. 前記対象リガンドはグルコースであり、前記競合体はデンドリマーを有し、および前記人工受容体は人工グルコース受容体であることを特徴とする請求項17に記載のシステム。
  19. 前記検出システムを生物学的グルコース濃度に暴露したとき、前記検出システム内で達する複数のグルコース濃度において前記人工グルコース受容体に対してグルコースおよび競合体が競合するように、前記人工グルコース受容体および前記競合体を構成し、
    グルコース濃度が、低濃度、許容濃度、または高濃度であると表示を出すように前記検出器を構成することを特徴とする請求項18に記載のシステム。
  20. 前記チャンバーを満たす等張液をさらに有することを特徴とする請求項17に記載のシステム。
  21. 前記検出器がアンテナおよび集積回路を有し、前記表示を保存、および第1の無線信号を受信して第2の無線信号を送信するように前記集積回路を構成し、前記第1の無線信号によって電力が供給され、前記集積回路が作動して前記第2の無線信号を送信し、前記第2の無線信号が前記表示を有することを特徴とする請求項17に記載のシステム。
  22. 対象リガンドの濃度を測定する方法であって、前記方法は、
    被検体に検出システムを移植する工程と、
    前記対象リガンドの有無または濃度についての表示を前記検出システムから読み出す工程を有し、
    前記検出システムは、
    対象リガンドの結合に対して競合する分子競合体と、
    対象リガンドと前記競合体とのいずれにも結合する人工受容体であって、前記対象リガンドの結合は前記競合体の結合と競合し、固体担体に独立して共有結合する種々の構築単位分子類を複数有する人工受容体と、
    前記対象リガンドを透過するが、有効量の前記競合体は保持するリガンド透過性界面であって、前記リガンド透過性界面および前記人工受容体によって少なくとも部分的にチャンバーが画定され、前記競合体および前記人工受容体が前記チャンバー中にあるリガンド透過性界面と、
    前記対象リガンドの有無または濃度に関する表示を出すように、前記人工受容体に機能を発現するように連結した検出器を有する。
  23. 前記対象リガンドはグルコースであり、種々の血中グルコース濃度を表す一定濃度のグルコースを含有する生物学的液体と前記検出システムが液体中で連通するように、被検体に前記検出システムを移植する移植工程を有することを特徴とする請求項22に記載の方法。
  24. 血管、筋肉、または皮膚に前記検出システムを移植する工程を有することを特徴とする請求項23に記載の方法。
  25. 前記検出システムを生物学的グルコース濃度に暴露したとき、前記検出システム内で達する複数のグルコース濃度において前記人工グルコース受容体に対してグルコースおよび競合体が競合するように、前記人工グルコース受容体および前記競合体を構成し、
    グルコース濃度が、低濃度、許容濃度、または高濃度であると表示を出すように前記検出器を構成することを特徴とする請求項23に記載の方法。
  26. 80mg/dL乃至120mg/dLのグルコース存在下、2mg/dL乃至12mg/dLのフルクトース存在下、および1.5mg/dL乃至90mg/dLのガラクトース存在下で、前記検出システムが有効にグルコース濃度を表示することを特徴とする請求項25に記載の方法。
  27. 前記検出器がアンテナおよび集積回路を有し、前記表示を保存および第1の無線信号を受信して第2の無線信号を送信するように前記集積回路を構成し、前記第1の無線信号によって電力が供給され、前記集積回路が作動して前記第2の無線信号を送信し、前記第2の無線信号が前記表示を有することを特徴とする請求項22に記載の方法。
  28. 前記表示を読み出す工程は、移植した前記検出システムの近くに読取り機を設置する工程を有し、
    前記第1の無線信号を送信し、前記第2の無線信号を受信し、および前記対象リガンドの有無または濃度に関する情報を表示するように前記読取り機を構成することを特徴とする請求項27に記載の方法。
  29. 高分子に共有結合した対象リガンド類縁体からなる競合体と、
    対象リガンドと前記競合体とのいずれにも結合する人工受容体であって、前記対象リガンドの結合は前記競合体の結合と競合し、一定の領域中で固体担体に独立して共有結合する種々の構築単位分子類を複数有し、前記領域は前記固体担体表面の連続した一部分であり、前記固体担体は前記連続領域全体に無作為に分布した種々の前記構築単位分子類を有する人工受容体を有する人工受容体システム。
  30. 対象リガンドの結合に対して競合する分子競合体と、
    対象リガンドと前記競合体とのいずれにも結合する人工受容体であって、前記対象リガンドの結合は前記競合体の結合と競合し、固体担体に独立して共有結合する種々の構築単位分子類を複数有する人工受容体を有する人工受容体システム。
JP2010536224A 2007-11-29 2008-12-01 コンビナトリアル人工受容体を用いたセンサ Pending JP2011511263A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US99102807P 2007-11-29 2007-11-29
US12579608P 2008-04-28 2008-04-28
US12837208P 2008-05-20 2008-05-20
US11250708P 2008-11-07 2008-11-07
PCT/US2008/085181 WO2009073625A1 (en) 2007-11-29 2008-12-01 Sensors employing combinatorial artificial receptors

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011511263A true JP2011511263A (ja) 2011-04-07

Family

ID=40554175

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010536224A Pending JP2011511263A (ja) 2007-11-29 2008-12-01 コンビナトリアル人工受容体を用いたセンサ

Country Status (6)

Country Link
US (1) US20090203980A1 (ja)
EP (1) EP2220495A1 (ja)
JP (1) JP2011511263A (ja)
CN (1) CN101952726A (ja)
CA (1) CA2707395A1 (ja)
WO (1) WO2009073625A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023058539A1 (ja) * 2021-10-05 2023-04-13 国立研究開発法人物質・材料研究機構 揮発性脂肪酸検出センサー、揮発性脂肪酸検出装置、および揮発性脂肪酸検出センサーの製造方法

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2438860A1 (de) * 2010-10-07 2012-04-11 BIOTRONIK SE & Co. KG Medizinisches Sensorsystem
WO2012160091A2 (de) 2011-05-23 2012-11-29 Roche Diagnostics Gmbh Sensorvorrichtung zum nachweis eines analyten
US9173605B2 (en) * 2012-12-13 2015-11-03 California Institute Of Technology Fabrication of implantable fully integrated electrochemical sensors
RU2015129811A (ru) 2013-02-06 2017-03-13 Кэлифорниа Инститьют Оф Текнолоджи Миниатюризированные имплантируемые электрохимические сенсорные устройства
EP2767824B1 (en) 2013-02-15 2019-06-26 IMEC vzw Method and device for detecting analytes
WO2015188107A1 (en) * 2014-06-06 2015-12-10 Arizona Board of Regents of behalf of Arizona State University Unique self-assembled poly-amidoamine polymers and their electrochemical reactivity
US9782727B2 (en) 2014-07-14 2017-10-10 International Business Machines Corporation Filtration membranes with functionalized star polymers
US10005042B2 (en) 2015-02-16 2018-06-26 International Business Machines Corporation Thin film composite forward osmosis membranes with performance enhancing layers
US9931598B2 (en) 2015-02-16 2018-04-03 International Business Machines Corporation Anti-fouling coatings with star polymers for filtration membranes
US10368788B2 (en) 2015-07-23 2019-08-06 California Institute Of Technology System and methods for wireless drug delivery on command
US20240272149A1 (en) * 2021-10-08 2024-08-15 Philip Morris Products S.A. Detection of bioactive agents in a surrounding medium

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4344438A (en) * 1978-08-02 1982-08-17 The United States Of America As Represented By The Department Of Health, Education And Welfare Optical sensor of plasma constituents
DE4034565A1 (de) * 1990-10-26 1992-04-30 Inst Halbleiterphysik Gmbh Stereospezifischer sensor fuer die bestimmung von zuckern
US7504364B2 (en) * 2002-03-01 2009-03-17 Receptors Llc Methods of making arrays and artificial receptors
US8165651B2 (en) * 2004-02-09 2012-04-24 Abbott Diabetes Care Inc. Analyte sensor, and associated system and method employing a catalytic agent
US20080114228A1 (en) * 2004-08-31 2008-05-15 Mccluskey Joseph Method Of Manufacturing An Auto-Calibrating Sensor
GB0426823D0 (en) * 2004-12-07 2005-01-12 Precisense As Sensor for detection of glucose
US7704704B2 (en) * 2005-09-28 2010-04-27 The Texas A&M University System Implantable system for glucose monitoring using fluorescence quenching

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023058539A1 (ja) * 2021-10-05 2023-04-13 国立研究開発法人物質・材料研究機構 揮発性脂肪酸検出センサー、揮発性脂肪酸検出装置、および揮発性脂肪酸検出センサーの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
US20090203980A1 (en) 2009-08-13
CA2707395A1 (en) 2009-06-11
EP2220495A1 (en) 2010-08-25
WO2009073625A1 (en) 2009-06-11
CN101952726A (zh) 2011-01-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2011511263A (ja) コンビナトリアル人工受容体を用いたセンサ
Park et al. Plasmonic microneedle arrays for in situ sensing with surface-enhanced Raman spectroscopy (SERS)
Rong et al. In vivo biosensing: progress and perspectives
Kownacka et al. Clinical evidence for use of a noninvasive biosensor for tear glucose as an alternative to painful finger-prick for diabetes management utilizing a biopolymer coating
Kim et al. Chitosan to connect biology to electronics: Fabricating the bio-device interface and communicating across this interface
US20200196925A1 (en) Graphene-based nanosensor for identifying target analytes
Gowers et al. 3D printed microfluidic device with integrated biosensors for online analysis of subcutaneous human microdialysate
Coté et al. Emerging biomedical sensing technologies and their applications
Downs et al. Real-time, in vivo molecular monitoring using electrochemical aptamer based sensors: opportunities and challenges
US20170181669A1 (en) Graphene-based nanosensor for identifying target analytes
US20170350882A1 (en) Graphene-based nanosensor for identifying target analytes
Stein et al. Microscale enzymatic optical biosensors using mass transport limiting nanofilms. 1. Fabrication and characterization using glucose as a model analyte
US20020043651A1 (en) Fluorescent lifetime assays for non-invasive quantification of analytes such as glucose
US7625951B2 (en) Stimuli-responsive hydrogel microdomes integrated with genetically engineered proteins for high-throughput screening of pharmaceuticals
JP2022508575A (ja) 測定システム
EP2767824B1 (en) Method and device for detecting analytes
US20170266321A1 (en) Anthracenyl-tetralactam macrocycles and their use in detecting a target saccharide
US6916660B2 (en) Fluorescent sensor compounds for detecting saccharides
Macdonald et al. Recent advances in biomedical, biosensor and clinical measurement devices for use in humans and the potential application of these technologies for the study of physiology and disease in wild animals
Pérez-Rentero et al. Thioctic acid derivatives as building blocks to incorporate DNA oligonucleotides onto gold nanoparticles
Wan et al. Biomedical sensors
Otteson et al. Nanohoop rotaxane design to enhance the selectivity of reaction-based probes: A proof-of-principle study
Liu et al. Implantable electrochemical sensors for brain research
Kim et al. Diboronic-Acid-Based electrochemical sensor for enzyme-free selective and sensitive glucose detection
Blake et al. Chemically reactive derivatives of gramicidin A for developing ion channel-based nanoprobes