JP2011509931A - 癌を処置するための組成物および方法 - Google Patents

癌を処置するための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ATP競合的BCR−ABL阻害剤、および、式(1):
Figure 2011509931

の化合物であるATP非競合的BCR−ABL阻害剤の組み合わせ剤を提供する。本発明の組み合わせ剤は、BCR−ABLに関連することが知られている癌を処置するために用いられ得る。

Description

関連出願の相互引用
本出願は、米国仮特許出願第61/021,008号(2008年1月14日出願)の利益を主張しており、当該出願は、言及することによって、その全体が本明細書に組み込まれる。
技術分野
本発明は、全般的に、腫瘍細胞増殖を阻害する方法および癌を処置するための組み合わせ治療剤および方法に関する。
背景技術
BCR−ABL癌遺伝子は、フィラデルフィア染色体(Ph) 22qの産物であり、構成的活性化されたABLチロシンキナーゼ活性を有するキメラBCR−ABL蛋白質をコードする(Lugo et al., Science 247:1079-1082 (1990))。BCR−ABLは、慢性骨髄性白血病の根源的な原因である。CMLを有する患者では、210kDaのBCR−ABL蛋白質が発現されるのに対して、Ph陽性(Ph)急性リンパ芽球性白血病(ALL)を有する患者では、BCR遺伝子中の別の開裂点に起因する190kDaのBCR−ABL蛋白質が発現される(Bartram et al., Nature 306:277-280 (1983); Chan et al., Nature 325:635-637 (1987))。BCR−ABLは、関連づけられた骨髄系またはリンパ系前駆細胞または3T3線維芽細胞において、種々のメカニズムを介して、増殖および抗アポトーシスを誘発することが示されている(Pendergast et al., Cell 75:175-85 (1993); Ilaria et al., J. Biol. Chem. 271:31704-10 (1996); Chai et al., J. Immunol. 159:4720-8 (1997); and Skorski et al., EMBO J. 16:6151-61 (1997))。
本発明の開示
本発明は、腫瘍細胞増殖の阻害および種々の癌の処置に有用であり得る組成物、特に組み合わせ治療剤を提供する。
一つの局面において、本発明は、ATP競合的BCR−ABL阻害剤およびATP非競合的BCR−ABL阻害剤を含む組成物であって、
該ATP競合的阻害剤が、イマチニブ (STI571)、ニロチニブ (AMN107)、ピリド[2,3−d]ピリミジン化合物 (例えばダサチニブ)、ボスチニブ、3位置換ベンズアミド誘導体(例えばINNO-406)、AZD-0530、MK-0457、PHA-739358、AP24534 (Ariad)、JNJ-26483327 (Johnson & Johnson)、HPK-61 (SuperGen)、SKS-927 (Wyeth)、AT-9283 (Astex Pharmaceuticals)、EXEL-2280 (Exelisis)、およびTG-100572 (Targegen)からなる群から選択され;
当該ATP非競合的BCR−ABL阻害剤が、式(1):
Figure 2011509931
[式中、
、X、XおよびXは、それぞれCHであるか;あるいは、X、X、XおよびXのうちの1つがNであって、それ以外がCHであり;
は、OCFまたはCFであり;
は、C1−6アルキルであり;
は、NR(CH)NRまたは5〜7員のヘテロ環式環であるか;あるいは、Rは、アリールまたは5〜7員のヘテロアリールであり、それぞれは、所望により1〜2個のR基で置換されているか、または、所望によりアリールまたはヘテロアリール(それぞれは、所望により1〜2個のR6a基で置換されている。)で置換されており;
ここで、RおよびR6aは、独立して、CONR(CH)OR、CONR(CH)NR、CONR、NR(CH)OR、NR(CH)NR、SONRR、NRまたはSOであり;
は、HまたはC1−6アルキルであり;
は、H、C1−6アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
あるいは、RおよびRは、NRにおけるNと一体となって、5〜7員の環を形成してもよく;
RおよびRは、独立して、HまたはC1−6アルキルであり;
は、C1−6アルキルであり;
mは、0〜1であり;
nは、1〜4である。]
の化合物またはその薬学的に許容される塩
である組成物を提供する;ただし、当該ATP非競合的阻害剤が、
Figure 2011509931
であるとき、当該ATP競合的阻害剤は、イマチニブではない。
一つの態様において、該ATP非競合的阻害剤は、BCR−ABLのミリステート結合部位に結合する。幾つかの態様において、該ATP非競合的阻害剤は、式(2):
Figure 2011509931
[式中、Rは、メタ位またはパラ位であり、カルボキサミド、CONH(CH)OH、スルホン(SOCH)またはスルホンアミド(SONHR)から選択される。]
の化合物である。
幾つかの例において、式(1)におけるX、X、XおよびXは、それぞれCHである。他の例において、式(1)におけるRは、OCFである。
他の態様において、式(1)におけるRは、モルホリニル、イミダゾリルまたはピリジルであり、当該ピリジルは、所望により1個のR6a基で置換されており;R6aは、式(1)で定義した通りである。他の例において、Rはフェニルであって、所望によりメタ位またはパラ位で、式(1)で定義した1個のR基で置換されている。また、他の例において、式(1)におけるRはNR(CH)NRであり、RおよびRは、Nと一体となってモルホリニルを形成する。
特定の態様において、本発明は、イマチニブ、ニロチニブおよびダサチニブから選択されるATP競合的BCR−ABL阻害剤;ならびに
Figure 2011509931
から選択されるATP非競合的BCR−ABL阻害剤を含む組成物を提供する。
他の態様において、本発明は、ニロチニブ、ならびに
Figure 2011509931
から選択されるATP非競合的BCR−ABL阻害剤を含む組成物を提供する。
他の局面において、本発明は、癌、特にBCR−ABL陽性白血病を処置する方法であって、系または対象に、上記のATP競合的BCR−ABL阻害剤およびATP非競合的BCR−ABL阻害剤を含む治療的に有効な量の組成物を投与し、それによって、当該BCR−ABL陽性白血病を処置することを含む方法を提供する。例えば、本発明の組成物は、慢性骨髄性白血病または急性リンパ球性白血病を処置するために使用され得る。
さらに、本発明は、細胞増殖性障害、特にBCR−ABL陽性白血病の処置用医薬の製造における、上記のATP競合的BCR−ABL阻害剤およびATP非競合的BCR−ABL阻害剤を含む治療的に有効な量の組成物の使用を提供する。
上記の組成物および本発明の組成物を用いる方法において、本発明の組成物は、細胞または組織を含む系に投与され得る。幾つかの態様において、本発明の組成物は、ヒトまたは動物の対象に投与され得る。
図1は、出現するBa/F3.BCR−ABL耐性クローン数に対する種々の濃度のGNF−2、イマチニブまたは両者の組み合わせの効果を示す。 図2は、それぞれ5mg/kgおよび20mg/kgの静脈内投与および経口投与後の時間(時)に対するGNF−5血漿濃度(nM)を示す。 図3Aは、ビークル、GNF−5 50mg/kgおよび100mg/kgで、1日2回処置後5日目および7日目の、野生型ルシフェラーゼ発現Ba/F3.p210細胞における腫瘍/コントロールの定量化を示す。 図3Bは、T315I BCR−ABL発現Ba/F3細胞の増殖に対するGNF−5、ニロチニブ、および、ニロチニブと組み合わせた種々の濃度のGNF−5(0.3〜10μM)の効果を示す。 図3Cは、T315I BCR−ABLおよびT315I/E505K BCR−ABL発現Ba/F3細胞の増殖に対するニロチニブと組み合わせた種々の濃度のGNF−5(0.6〜20μM)の効果を示す。 図4Aは、T315I BCR−ABL骨髄移植有効性試験における、ビークルおよび50mg/kgのニロチニブで1日2回または75mg/kgのGNF−5で1日2回または組み合わせ(50mg/kgのニロチニブを1日2回+75mg/kgのGNF−5を1日2回)の処置における平均白血球細胞数を示す。 図4Bは、T315I BCR−ABL骨髄移植有効性試験における、ビークルおよび50mg/kgのニロチニブを1日2回または75mg/kgのGNF−5を1日2回または組み合わせ(50mg/kgのニロチニブを1日2回+75mg/kgのGNF−5を1日2回)の処置における脾臓重量を示す。 図4Cは、GNF−5およびニロチニブの組み合わせを1回投与した後のStat5リン酸化阻害の時間経過を示す。 図4Dは、T315I BCR−ABL形質導入骨髄を移植し、ビークル(実線)、75mg/kgのGNF−5を1日2回(点線)、50mg/kgのニロチニブを1日2回(点および破線)、または、75mg/kgのGNF−5を1日2回+50mg/kgのニロチニブを1日2回の組み合わせ(破線)で処置したマウス(1グループ当たりn=5匹のマウス)の生存を示すカプラン・マイヤー曲線を示す。化合物の投与は、移植後11日目に開始し、50日目に中止した(矢印によって示されている)。
定義
別に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の通常の技術者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。下記の参考文献は、本発明で用いられる多くの用語の一般的な定義を当業者に提供する:Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology, Smith et al. (eds.), Oxford University Press (revised ed., 2000); Dictionary of Microbiology and Molecular Biology, Singleton et al. (eds.), John Wiley & Sons (3PrdP ed., 2002); および A Dictionary of Biology (Oxford Paperback Reference), Martin and Hine (Eds.), Oxford University Press (4PthP ed., 2000)。さらに、下記の定義は、本発明の実施において、読み手を助けるために提供される。
用語“薬物”または“試験薬”は、何らかの物質、分子、元素、化合物、物質またはその組み合わせを含む。それは、例えば蛋白質、ポリペプチド、有機小分子、多糖、ポリヌクレオチドなどを含み、これらに限定されない。特記しない限り、用語“薬物”、“物質”および“化合物”は、相互に交換可能で用いられる。
用語“アナログ”は、対照分子に構造的に類似しているが、対照分子の特定の置換基を別の置換基に置き換えることによって、目標とされたおよび制御された方法で修飾されている分子を言うために、本明細書で用いられる。対照分子と比較して、当業者は、アナログが、同一の、類似した、または改善された有用性を示すと予測する。改善された特色(例えば標的分子に対する結合親和性がより高いもの)を有する既知化合物の変形を同定するためのアナログの合成およびスクリーニングは、薬化学で周知のアプローチである。
本明細書で用いられるとき、“接触”は、その通常の意味を有し、2種以上の分子(例えば有機小分子化合物およびポリペプチド)を合わせること、あるいは、分子および細胞(例えば1種の化合物および細胞)を合わせることを言う。接触は、in vitroで、例えば試験管中または他の容器中で、2種以上の薬物を合わせて、または、1種の化合物および細胞または細胞ライセートを合わせて起こり得る。また、接触は、細胞中、またはイン・サイチュで、例えば2種のポリペプチドをコードする組み換えポリヌクレオチドを有する細胞中で共発現することによって細胞中で、または細胞ライセート中で、2種のポリペプチドを接触させて起こり得る。
用語“阻害する”または“阻害”は、腫瘍の増殖または腫瘍細胞増殖の内容において、原発性または続発性腫瘍の出現を遅らせること、原発性または続発性腫瘍の発達を遅らせること、原発性または続発性腫瘍の発生を減少させること、疾患の二次的影響の重症化を遅らせるまたは重症度を減少させること、あるいは、腫瘍の増殖を阻止することおよび腫瘍を退縮させることを言う。用語“予防すること”または“予防”は、原発性または続発性腫瘍の発達または疾患の何らかの二次的影響を完全に阻止することを言う。酵素活性の調節の内容において、阻止は、競合的、不競合的および非競合的阻害を含む、酵素活性の可逆的抑制または減少に関する。これは、ミカエリス・メンテン速度式の観点で分析され得る酵素の反応速度に対する阻害剤の効果によって、実験的に分類され得る。競合的阻害は、通常の基質と活性部位での結合について競合するように、阻害剤が遊離の酵素と結合し得るときに起こる。競合的阻害剤は、酵素と可逆的に反応して、酵素−基質複合体と類似する酵素−阻害剤複合体[EI]を形成する。
対照蛋白質またはそのフラグメントの生物学的活性に関して、用語“調節する”は、該蛋白質の発現量または他の生物学的活性を変化させることを言う。例えば、調節は、対照蛋白質の発現量の増大または減少、該蛋白質の酵素による修飾(例えばリン酸化)、結合特性(例えば他の分子への結合)、または、対照蛋白質の何らかの他の生物学的(例えば酵素による)、機能的または免疫学的性質の向上または減退を引き起こし得る。活性の変化は、例えば、対照蛋白質をコードする1種以上の遺伝子の発現、該蛋白質をコードするmRNAの安定性、翻訳効率の上昇または減少、または対照蛋白質の他の生物学的活性における変化により生じる。また、変化は、対照蛋白質を調節する他の分子(例えば対照蛋白質をリン酸化するキナーゼ)の活性によるものであってもよい。対照蛋白質の調節は、上方制御(すなわち活性化または刺激)であっても下方制御(すなわち阻害または抑制)であってもよい。対照蛋白質のモジュレーターの作用方法は、例えば蛋白質または蛋白質をコードする遺伝子に結合することによって、直接的であっても、あるいは、対照蛋白質を他の方法で調節する他の分子に結合すること、および/またはそれを修飾(例えば酵素によって)することによって、間接的であってもよい。
用語“対象”は、哺乳動物、特にヒトを含む。それはまた、他の非ヒト動物、例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サルを包含する。
用語“処置する”または“処置”は、腫瘍の増殖の阻止、および、腫瘍の部分的または完全な退縮を言う。用語“処置すること”は、疾患(例えば白血病)の症状、合併症または生化学的徴候の発現を予防または遅らせる、該疾患、状態または障害の症状を緩和する、または、さらなる進行を阻止または阻害する化合物または薬物の投与を含む。処置は予防(疾患の発症を予防または遅らせること、またはその臨床的または潜在的症状の顕在化を予防すること)であっても、疾患の顕在化後に症状の治療的抑制または緩和であってもよい。
本発明を実施するための形態
本発明は、細胞増殖の阻害および種々の癌の処置に有用であり得る組成物を提供する。
一つの局面において、本発明は、ATP競合的BCR−ABL阻害剤およびATP非競合的BCR−ABL阻害剤を含む組成物であって、
該ATP競合的阻害剤が、イマチニブ (STI571)、ニロチニブ (AMN107)、ピリド[2,3−d]ピリミジン化合物 (例えばダサチニブ)、ボスチニブ、3位置換ベンズアミド誘導体(例えばINNO-406)、AZD-0530、MK-0457、PHA-739358、AP24534 (Ariad)、JNJ-26483327(Johnson & Johnson)、HPK-61 (SuperGen)、SKS-927 (Wyeth)、AT-9283 (Astex Pharmaceuticals)、EXEL-2280 (Exelisis)、およびTG-100572 (Targegen)からなる群から選択され;
当該ATP非競合的BCR−ABL阻害剤が、式(1):
Figure 2011509931
[式中、
、X、XおよびXはそれぞれCHであるか;あるいは、X、X、XおよびXのうちの1つがNであって、それ以外がCHであり;
は、OCFまたはCFであり;
は、C1−6アルキルであり;
は、NR(CH)NRまたは5〜7員のヘテロ環式環であるか;あるいは、Rは、アリールまたは5〜7員のヘテロアリールであり、それぞれは、所望により1〜2個のR基で置換されているか、あるいは所望によりアリールまたはヘテロアリール(それぞれは、所望により1〜2個のR6a基で置換されている。)で置換されており;
ここで、RおよびR6aは、独立して、CONR(CH)OR、CONR(CH)NR、CONR、NR(CH)OR、NR(CH)NR、SONRR、NRまたはSOであり;
は、HまたはC1−6アルキルであり;
は、H、C1−6アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
あるいは、RおよびRは、NRにおけるNと一体となって、5〜7員の環を形成してもよく;
RおよびRは、独立して、HまたはC1−6アルキルであり;
は、C1−6アルキルであり;
mは、0〜1であり;
nは、1〜4である。]
の化合物またはその薬学的に許容される塩
である組成物を提供する;ただし、当該ATP非競合的阻害剤が、
Figure 2011509931
であるとき、ATP競合的阻害剤はイマチニブではない。
本発明はまた、癌、特にBCR−ABL陽性白血病を処置する方法であって、系または対象に、治療的に有効な量の上記のATP競合的BCR−ABL阻害剤およびATP非競合的BCR−ABL阻害剤を含む組成物を投与し、それによって、当該BCR−ABL陽性白血病を処置することを含む方法を提供する。例えば、本発明の組成物は、慢性骨髄性白血病または急性リンパ球性白血病を処置するために用いられ得る。
慢性骨髄性白血病(CML)は、脱制御されたチロシンキナーゼ活性を有する融合蛋白質BCR−ABLを生じる染色体再配列によって引き起こされる血液学的障害である。イマチニブは、小分子ABLキナーゼ阻害剤であり、BCR−ABL融合蛋白質の発現による構成的に活性なABLキナーゼ活性を有する初期の骨髄性白血病(CML)において非常に効果的な治療である。しかし、薬物耐性を起こすABLキナーゼドメインでの変異の発生のために、進行期および急性転化期の患者では、再発率が高い。
イマチニブ耐性を起こす変異は、通常、機能的ABLチロシンキナーゼドメインを有するBCR−ABL蛋白質を生じるが、薬物の結合を抑制するまたは損なう変異である。BCR−ABLにおける点変異は、直接的または間接的メカニズムの何れかによって、イマチニブの蛋白質への結合を減少させる。直接的なメカニズムの場合では、変異が、ATPの結合部位と一部重複しているイマチニブ結合部位周辺に集中しており、アミノ酸側鎖の変化の結果として、またはイマチニブ結合を立体的に妨げる構造的変化の結果として、イマチニブ結合を減少させる。変異したときにイマチニブ結合を阻害する残基の例は、Thr315およびPhe317である(Weisberg et al., Nat. Rev. Cancer 7:345-56 (2007))。
間接的メカニズムによってイマチニブ結合を阻害する変異は、薬物の標的蛋白質への特定の結合様式を利用するものである。イマチニブは、高度に保存されたAsp-Phe-Gly (DFG) の3組が活性なキナーゼのコンホメーションでの通常位置からはじき出されるABLキナーゼドメインの触媒的に不活性なコンホメーション(しばしば「DFG−out」コンホメーションと称される)に結合する。これにより、イマチニブのピペラジニル置換ベンズアミド部分により占拠される補助的結合部位を開口するThr315ゲートキーパー残基以外にチャネルが形成される(Weisberg et al., Nat. Rev. Cancer (2007), 上掲)。
CMLの臨床的な寛解は、ATP部位を標的とする薬物であるイマチニブで達成されるが、多くの患者は、BCR−ABLの阻害剤耐性型を発現するクローンの出現により再発する。耐性変異を克服する1つの戦略は、別の結合様式から効果および選択性を得る新規のATP競合的阻害剤を設計することである。このアプローチは、T315Iを除く全ての既知の変異を回避することができるダサチニブおよびニロチニブの開発によって臨床的に確認された。T315I BCR−ABLを標的とする化合物が開発されたが、ゲートキーパーの位置がキナーゼ阻害剤における最も重要な選択性決定因子の一つであるために、それらについて、適度なレベルの選択性を保持することは極めて難しい。例えば、2つの強力なATP部位指向性薬物が臨床試験まで進んでいる:ニロチニブ (AMN107)およびダサチニブ (BMS-354825)。これらの化合物は共に、イマチニブへの耐性を誘発する変異の大部分を阻害するが、何れもATP結合溝(binding cleft)の中央部に位置する“ゲートキーパー”T315Iの変異を阻害することはできない (Gorre et al., Science 293:876-880 (2001); O'Hare et al., Cancer Res. 65:4500-4505 (2005))。
他の戦略は、アロステリックにキナーゼ活性を制御し得る結合部位を利用するATP非競合的阻害剤を見出すことである。それらは、ATP競合的阻害剤ほど容易に見つけられず、そして特徴づけられないが、アロステリック阻害剤は、mTor19、Mek20、Akt21、IKK22およびCAMKなどのキナーゼについて見出された。ATP非競合的キナーゼ阻害剤の大きな利点は、それらが、非保存的キナーゼ制御メカニズムを利用できるために、特定のキナーゼについて非常に選択性であり得ることである。GNF−2(Adrian et al., Nature Chem. Biol. 2:95-102 (2006))は、BCR−ABL形質転換細胞に対して排他的細胞活性を示し(IC50=140nM)、細胞アッセイにおいて他の40種のチロシンキナーゼの活性を阻害せず、また80種のキナーゼのパネルの生化学的活性を阻害しなかった。さらに、GNF−2が独立の結合部位を占拠するため、ATP競合的化合物と相乗的に作用する可能性がある。
GNF−2が細胞のBCR−ABLを標的とすることが、細胞抽出物から、固定化された本阻害剤を用いたアフィニティー・クロマトグラフィーによりBCR−ABLを精製することによって、細胞のBCR−ABL自己リン酸化および下流のStat5リン酸化の阻害を実証することによって、およびBCR−ABLのATP部位に位置する変異(T315I)またはミリステート結合部位に位置する変異(A337NおよびA344L)が本化合物に対する耐性を誘発し得る能力によって示されている。GNF−2がBCR−ABL依存性細胞増殖を阻害する分子メカニズムをさらに解明するための第1段階として、我々は、NMRを用いて、GNF−2のAblへの結合部位を確証し、特徴付けした。ミリストイル模倣剤およびATP競合的阻害剤をBCR−ABLに同時に結合させることで、耐性付与変異の発生を減少させ、in vivoでの野生型およびT315I変異体BCR−ABL駆動細胞増殖の阻害をもたらす。
BCR−ABLへのGNF−2結合におけるコンホメーション再配列および/または別の細胞補因子の動員が解明されていないが、GNF−2は、c−Ablでは正常に機能しているがBCR−ABLにおいてはBcrドメインが融合しているために喪失している制御メカニズムを利用できるようである。下記の通り、ATP競合的阻害剤およびミリステート標的阻害剤は、BCR−ABLに同時に結合することができ、このキナーゼの“閉じた”不活性なコンホメーションを協同的に安定化するようである。ATP非競合的阻害剤はまた、点変異による阻害剤耐性の対象となるが、ATP競合的阻害剤およびATP非競合的阻害剤の組み合わせ適用が、単剤への継続した曝露に対する応答として生じる耐性クローンの数を減少させる。さらに、GNF−5をニロチニブと組み合わせた処置は、T315I BCR−ABL変異体マウス骨髄移植モデルにおいて、疾患の完全寛解というin vivo での効果をもたらした。
A. ATP非競合的BCR−ABL阻害剤
ATP結合部位から離れた部位を標的とすることによってBCR−ABLを阻害することが当技術分野で知られている種々のATP非競合的BCR−ABL阻害剤を、本発明を実施するために使用してよい。特定の態様において、本発明に使用するためのATP非競合的BCR−ABL阻害剤は、BCR−ABLのミリステート結合部位に結合する。本発明に使用するためのATP非競合的BCR−ABL阻害剤の例は、WO 04/089286 (言及することによってその全体が本明細書に組み込まれる)に記載された化合物;および式(1):
Figure 2011509931
[式中、
、X、XおよびXは、それぞれCHであるか;またはX、X、XおよびXのうちの1つがNであって、それ以外がCHであり;
は、OCFまたはCFであり;
は、C1−6アルキルであり;
は、NR(CH)NRまたは5〜7員のヘテロ環式環であるか;あるいは、Rは、アリールまたは5〜7員のヘテロアリールであり、それぞれは、所望により1〜2個のR基で置換されているか、または、所望によりアリールまたはヘテロアリール(それぞれは、所望により1〜2個のR6a基で置換されている。)で置換されており;
ここで、RおよびR6aは、独立して、CONR(CH)OR、CONR(CH)NR、CONR、NR(CH)OR、NR(CH)NR、SONRR、NRまたはSOであり;
は、HまたはC1−6アルキルであり;
は、H、C1−6アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
あるいは、RおよびRは、NRにおけるNと一体となって、5〜7員の環を形成してもよく;
RおよびRは、独立して、HまたはC1−6アルキルであり;
は、C1−6アルキルであり;
mは、0〜1であり;
nは、1〜4である。]
を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、これらに限定されない。
表1は、ATP非競合的BCR−ABL阻害剤として用いられ得る、式(1)を有する化合物の例を示す。
表1
Figure 2011509931
Figure 2011509931
Figure 2011509931
B. ATP競合的BCR−ABL阻害剤
ABL阻害剤、ABLおよびSrcファミリーのキナーゼの双方の阻害剤、および、オーロラキナーゼ阻害剤を含み、これらに限定されない、ATP結合部位を標的とすることによってBCR−ABLを阻害することが当技術分野で知られている種々のATP競合的BCR−ABL阻害剤を、本発明を実施するために使用してよい。
チロシンキナーゼのSrcファミリーは、細胞増殖、分化、移動および生存に関与する多数の細胞内シグナル伝達経路を調節し、その多くが、腫瘍形成、腫瘍転移および血管新生に関与している(Weisberg et al., Nat. Rev. Cancer 7:345-356 (2007))。Srcファミリーの多くのキナーゼが、造血細胞で発現される (Blk、Fgr、Fyn、Hck、Lck、Lyn、c-SrcおよびYes)。さらに、BCR−ABLは、Srcキナーゼを、リン酸化によって、および単にSrc蛋白質を結合させることによって、活性化できることが示されている。さらに、イマチニブ耐性患者由来の細胞ライセートは、Lynキナーゼを過剰発現することが見出されており、イマチニブ耐性について選択され、さらにLynを過剰発現するヒトの CML K562 細胞の増殖は、Abl/Src阻害剤であるPD180970によって阻害される。Srcファミリーキナーゼは、BCR−ABLシグナル伝達カスケードの下流の成分を制御するため、これらの酵素の阻害は、従って、BCR−ABL阻害と相乗作用を提供し、CML細胞がBCR−ABL阻害に対抗して利用し得る別の生存経路の利用可能性を、潜在的に相殺するはずである。BCR−ABLおよびSrcファミリーキナーゼ阻害剤の組み合わせによる治療もまた、従って、CMLおよび/またはALLにおいて、薬物耐性変異型BCR−ABLの発癌能を相殺するはずである (Manley et al., Biochim. Biophys. Acta 1754:3-13 (2005))。ダサチニブ (BMS-354825)、ボスチニブ (SKI-606)、INNO-404 (NS-187) および AZD05030は、デュアルABL−Src阻害剤の例である。
セリン/トレオニンキナーゼのオーロラファミリーは、有糸分裂の進行に重要である。オーロラ−Aは種々のヒトの癌で過剰発現し、その過剰発現が、培養されたヒトおよび齧歯類の細胞において、異数性、中心体複製、および腫瘍の形質転換を誘発することが報告されている (Zhang et al., Oncogene 2004, 23:8720-30)。MK-0457 (Merck; 最初Vertex PharmaceuticalsによってVX-680として開発された)は、ナノモーラー範囲で3種全てのオーロラキナーゼおよびFLT3の強力な阻害剤であり、一定範囲の骨髄増殖性障害に関連する標的であるABLおよびJAK2の中程度から強力な阻害剤である。MK-0457はまた、マイクロモーラー未満の濃度で細胞増殖を阻害するが、形質転換したBa/F3細胞において、T315I変異BCR−ABLの自己リン酸化を阻害し、約5μMのIC50を有する。
表2は、本発明を実施するために用いられ得るATP競合的BCR−ABL阻害剤の例を示し、イマチニブ (STI571)、ニロチニブ (AMN107)、ピリド[2,3−d]ピリミジン化合物(例えばダサチニブ)、ボスチニブ、3位置換ベンズアミド誘導体(例えばINNO-406)、AZD-0530、MK-0457、PHA-739358、AP24534 (Ariad)、JNJ-26483327(Johnson & Johnson)、HPK-61 (SuperGen)、SKS-927 (Wyeth)、AT-9283 (Astex Pharmaceuticals)、EXEL-2280 (Exelisis)およびTG-100572 (Targegen)を含む(例えば Weisberg et al., Nat. Rev. Cancer (2007), 上掲; Das et al., J. Med. Chem. 49:6819-6832 (2006); Puttini et al., Cancer Res. 66:11314-11322 (2006); Kimura et al., Blood 106:3948-3954 (2005); Hennequin et al., J. Med. Chem. 49:6465-6488 (2006)を参照のこと;それぞれは、言及することによって本明細書に組み込まれる。)。
表2
Figure 2011509931
Figure 2011509931
AT-9283 (Astex Therapeutics)、EXEL-2280 (Exelisis)、およびTG-100572 (TargeGen)。
C. 処置される疾患および状態
本発明の組み合わせ剤は、多様な癌を処置するために用いられ得る。一つの態様において、本発明は、白血病、急性リンパ球性白血病(ALL)、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、有毛細胞リンパ腫(hairy cell lymphoma)、組織球性リンパ腫、およびバーキットリンパ腫を含む、リンパ系の造血性腫瘍;ならびに急性および慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病、および前骨髄球性白血病を含む骨髄系の造血性腫瘍の成長および増殖を阻害するためのATP非競合的BCR−ABL阻害剤と組み合わせたATP競合的BCR−ABL阻害剤を提供する。本発明の組み合わせ剤はまた、BCR−ABLに関連することが知られている癌を処置するのに有用である。特定の態様において、本発明の組み合わせ剤は、BCR−ABL陽性CMLおよびALLを処置するのに用いられ得る。
慢性骨髄性白血病(CML)は、主に骨髄中の骨髄細胞の増加し、そして未制御なクローン増殖によって特徴付けられる骨髄の癌である。その1年当たりの発生率は、100,000人に1〜2人であり、女性よりも男性の方が僅かに多く罹患する。CMLは、西洋において成人の白血病の全症例の約15〜20%を示し、米国またはヨーロッパにおいて、1年当たり約4,500の新規症例がある(Faderl et al., N. Engl. J. Med. 341: 164-72 (1999))。
CMLは、フィラデルフィア転座t(9/22)を有する1箇所形質転換された造血幹細胞(HSC)または多能性前駆細胞(MPP)から生じるクローン疾患である。この転座の遺伝子生成物である融合腫瘍遺伝子BCR−ABLの発現は、白血病幹細胞(LSC)プールおよび派生物を含む悪性造血の拡大、および、非悪性造血の抑制を引き起こす分子の変化を誘発する(Stam et al., Mol Cell Biol. 7:1955-60 (1987))。疾患の経過において、白血病幹細胞プールは拡大し、最終段階の急性転化では、ほぼ全てのCD34+CD38−細胞がフィラデルフィア転座を有する。
メシル酸イマチニブ (STI571, GLEEVEC(登録商標))は、CMLのための標準治療となりつつあり、96%より高い応答率を有し、BCR−ABLの活性を阻害することによって作用する。しかし、初期の成功にもかかわらず、BCR−ABLの点変異獲得によって、患者は、最終的にメシル酸イマチニブに対する耐性を生じる。メシル酸イマチニブの限界の観点から、CMLを処置する改善された方法に対する要請がある。
さらに、本発明の組み合わせ剤は、膀胱癌(進行性および転移性膀胱癌を含む)、乳癌、大腸癌(結腸直腸癌を含む)、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(小細胞肺癌および非細胞肺癌および肺腺癌を含む)、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、尿生殖器の癌、リンパ系の癌、直腸癌、喉頭癌、膵臓癌(膵外分泌腫瘍を含む)、食道癌、胃癌、胆嚢癌、子宮頚癌、甲状腺癌および皮膚癌(扁平上皮細胞癌を含む)を含む癌腫;星状細胞腫、神経芽腫、神経膠腫およびシュワン腫を含む中枢神経系および末梢神経系の腫瘍;線維肉腫、横紋筋肉腫および骨肉腫を含む間葉系由来の腫瘍;ならびに、黒色腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、精上皮腫、甲状腺濾胞癌および奇形腫を含む他の腫瘍を処置するために用いられ得ることを意図している。本発明の組み合わせ剤は、肥満細胞症、胚細胞性腫瘍、小児肉腫、および他の癌を処置するために用いられ得ることも意図している。
本明細書に記載された治療法は、他の癌治療と組み合わせて用いてよい。例えば、BCR−ABL阻害剤と組み合わせたHhアンタゴニストは、化学療法、放射線および/または手術などの任意の処置モダリティーに付属的に投与されてよい。例えば、それらは、1種以上の化学療法剤または免疫療法剤と組み合わせて用いられてもよく;そして他の処置レジメ(複数を含む)を終えた後に、用いられてもよい。本発明の組成物および方法で用いられ得る化学療法剤の例は、アントラサイクリン類、アルキル化剤 (例えばマイトマイシンC)、スルホン酸アルキル類、アジリジン類、エチレンイミン類、メチルメラミン類、ナイトロジェンマスタード類、ニトロソウレア類、抗生物質、代謝拮抗剤、葉酸アナログ(例えばジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤、例えばメトトレキサート)、プリンアナログ、ピリミジンアナログ、酵素、ポドフィロトキシン類、白金含有薬、インターフェロン類およびインターロイキン類を含み、これらに限定されない。
本発明の組成物および方法に用いられ得る既知の化学療法剤の特定の例は、ブスルファン、インプロスルファン、ピポスルファン(piposulfan)、ベンゾデパ(benzodepa)、カルボコン、メツレデパ(meturedepa)、ウレデパ(uredepa)、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、トリメチロロメラミン(trimethylolomelamine)、クロラムブシル、クロルナファジン(chlornaphazine)、シクロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミン オキシド 塩酸塩、メルファラン、ノベンビキン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード、カルムスチン、クロロゾトシン(chlorozotocin)、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、ダカルバジン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、アクラシノマイシン類、アクチノマイシンF(1)、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カルビシン、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ダウノマイシン、6−ジアゾ−5−オキソ−1−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、マイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、プリカマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン、デノプテリン(denopterin)、メトトレキサート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキサート、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニン、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、フルオロウラシル、テガフール、L−アスパラギナーゼ、パルモザイム、アセグラトン、アルドホスファミド グリコシド(aldophosphamide glycoside)、アミノレブリン酸、アムサクリン、ベストラブシル(bestrabucil)、ビサントレン(bisantrene)、カルボプラチン、シスプラチン、デホファミド(defofamide)、デメコルチン、ジアジクオン(diaziquone)、エフロルニチン(elfornithine)、酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate)、エトグルシド、エトポシド、フルタミド、硝酸ガリウム、ヒドロキシウレア、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、レンチナン、ロニダミン、プレドニゾン、デキサメタゾン、ロイコボリン、ミトグアゾン、ミトキサントロン、モピダモール、ニトラクリン、ペントスタチン、フェナメット(phenamet)、ピラルビシン、ポドフィリン酸(podophyllinic acid)、2−エチルヒドラジド、プロカルバジン、ラゾキサン、シゾフィラン、スピロゲルマニウム(spirogermanium)、パクリタキセル、タモキシフェン、テニポシド、テヌアゾン酸、トリアジコン、2,2',2''−トリクロロトリエチルアミン、ウレタン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、および、ビンデシンを含み、これらに限定されない。
本方法は、原発型、再発型、形質転換型、または不応型の癌を処置するために用いられ得る。癌が再発した患者は、しばしば、化学療法、放射線療法、骨髄移植、ホルモン療法、手術などを含む1種以上の処置を受けている。このような処置に応答する患者は、安定、部分応答(すなわち、少なくとも50%まで腫瘍または癌マーカーレベルが減少する)、または、完全応答(すなわち、腫瘍およびマーカーが検出できなくなる)を示し得る。これらのシナリオの何れでも、癌はその後、癌の再発を意味する再出現し得る。
D. 医薬組成物および投与
本発明の組成物は、滅菌処理された条件下で、処置が必要な対象に、単独で投与され得る。特定の態様において、それは、医薬組成物の有効成分として投与される。本発明の医薬組成物は、1種以上の許容される担体と共に、BCR−ABL阻害剤と組み合わせて、有効量のヘッジホッグシグナル伝達経路阻害剤を含み得る。本組成物はまた、上記の第3の治療薬、例えば化学療法剤または他の抗癌剤を含んでもよい。
薬学的な担体は、組成物を向上させるまたは安定化させるか、あるいは、本組成物の製造を容易にする。薬学的に許容される担体は、投与される特定の組成物(例えば核酸、蛋白質または他のタイプの化合物)によって、ならびに、本組成物の投与に用いられる特定の方法によって、一部決定される。それらはまた、他の成分と融和性であって、対象に有害でないという意味で、薬学的かつ生理学的に許容されるべきである。それらは、投与、例えば経口、舌下、直腸、鼻腔または非経腸投与に望ましい製剤の形態に依存して、多様な形態をとり得る。例えば、抗腫瘍化合物は、投与前に、安定性または薬理学的性質を向上させるために、担体蛋白質、例えばオボアルブミンまたは血清アルブミンと複合体を形成させてもよい。
本発明の医薬組成物の多様な適切な製剤がある(例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy, Mack Publishing Co., 20th ed., 2000を参照のこと。)。限定しないが、薬学的に許容される担体は、特に、糖蜜、水、等張性食塩水、5%ブドウ糖水溶液または緩衝酢酸ナトリウムまたは酢酸アンモニウム溶液、油脂、グリセリン、アルコール類、風味剤、保存料、着色料、澱粉、糖類、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、および結合剤を含む。担体はまた、徐放性物質、例えばモノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルを単独でまたは蝋と共に含み得る。
医薬組成物は、種々の形態、例えば顆粒剤、錠剤、丸薬、坐剤、カプセル剤、懸濁液、軟膏、外用水薬などで製造され得る。製剤中の治療的に活性な化合物の濃度は、約0.1〜100重量%で変化し得る。治療用製剤は、製薬業界で周知の何れかの方法によって製造される。例えばGilman et al., eds., Goodman and Gilman's: The Pharmacological Bases of Therapeutics, 8th ed., Pergamon Press, 1990; Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Mack Publishing Co., 20th ed., 2000; Avis et al., eds., Pharmaceutical Dosage Forms: Parenteral Medications, published by Marcel Dekker, Inc., N.Y., 1993; Lieberman et al., eds., Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, published by Marcel Dekker, Inc., N.Y., 1990; および Lieberman et al., eds., Pharmaceutical Dosage Forms: Disperse Systems, published by Marcel Dekker, Inc., N.Y., 1990を参照のこと。
治療用製剤は、処置に用いられ得る任意の有効な手段によって送達され得る。投与される特定の抗腫瘍剤に依存して、適切な手段は、経口、鼻腔、肺投与、または、血流への非経腸注入(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含む)を含む。非経腸投与において、本発明の抗腫瘍剤は、多様な方法で製剤化され得る。モジュレーターの水溶液は、ポリマービーズ、リポソーム、ナノ粒子または当業者に既知の他の注射可能なデポー製剤中に封入され得る。さらに、本発明の化合物はまた、リポソーム中に封入され得る。組成物は、その溶解度に依存して、水相および油相の双方に存在してもよく、一般的にリポソーム懸濁液と称されるものの中に存在してもよい。疎水層は、一般的に、しかし排他的ではなく、リン脂質、例えばレシチンおよびスフィンゴミエリン、ステロイド、例えばコレステロール、多かれ少なかれイオン性の界面活性剤、例えばジアセチルホスフェート、ステアリルアミン、またはホスファチジン酸および/または疎水性の他の物質を含む。
治療用製剤は、簡便には、単位投与形で提供されてもよく、適当な治療投与量で投与されてもよい。適当な治療投与量は、何れかの周知の方法、例えば最大耐容性投与量を決定するための哺乳動物での臨床試験および平常なヒトの対象での安全投与量を決定するための臨床試験によって決定されてもよい。より高い投与量が必要とされる特定の状況を除いて、本発明の抗腫瘍剤の投与量は、通常、約0.001から約1000mgの範囲であり、より一般的には、約0.01から約500mg/日である。抗腫瘍剤の投与量および投与方法は、処置医によって個々に精査され得る要因、例えば処置される1種または複数種の状態、特定の抗腫瘍剤を含む投与されるべき組成物の選択、対象の年齢、体重および応答、対象の症状の重症度、および選択された投与経路に依存して、患者毎に変わり得る。一般的なルールとして、投与される抗腫瘍剤の量は、有効かつ確実に対象の状態を予防または最小化する最少投与量である。従って、上記の投与量範囲は、一般的な指針を提供し、かつ本明細書における教示を支持することを意図しているが、本発明の範囲を限定することを意図しない。
実施例
下記の実施例は、本発明を説明するために提供されるが、本発明を限定するものではない。全ての動物実験は、the US National Institutes of Health Statement of Compliance with Standards for Humane Care and Use of Laboratory Animalsに従っている。全てのNMR測定は、296Kで、Bruker AV600 NMR spectrometerで、プロトン共鳴振動数 600MHzで、Strauss et al., J. Biomol. NMR 31:343-349 (2005)に記載された通りに行う。
実施例1
一般的な物質および方法
Abl結晶学
結晶は、Nagar et al. (Cancer Res 62, 4236-43 (2002))に記載された通りに、表3Aに記載した条件を用いて成長させた。7日間4℃で過剰量のGNF−2に浸漬した後、beamline PXII (Swiss Light Source)で、単結晶からデータを集めた。
Figure 2011509931
最終モデルにおけるリガンド−蛋白質相互作用の統計の精密化および明細を、表3Bおよび3Cに列挙する。表3Cは、蛋白質とリガンドの間の距離が3.8Å以下であることを示す。3.8Åより長い距離のものは列挙していない。
Figure 2011509931
Figure 2011509931
Figure 2011509931
野生型および変異体BCR−ABL Ba/F3細胞増殖アッセイ
種々の濃度の単剤または組み合わせ剤で48時間処置した後の野生型および変異体BCR−ABL発現Ba/F3細胞の生存能力を、AlamarBlue(登録商標)(TREK Diagnostic Systems)還元法によって決定した。組み合わせ指数(CI)を、Chou および Talalay15 の方法に従って、the Calcusyn softwareを用いて計算した。
GNF−2およびイマチニブに耐性のクローンの選択
化合物耐性Ba/F3.p210クローンの出現を、von Bubnoff, N. et al., Blood 105, 1652-9 (2005)に記載された通りに評価した。化合物濃度または組み合わせ毎に1つの96ウェル・プレートを用い、3〜4日毎に培地を入れ替えた。プレートを21日間インキュベートし、明らかに細胞増殖が見られたウェルの数を、9日目および21日目に記録した。
マウスにおける薬物動態学的パラメーター
オスのBalb/c マウスに、GNF−5を、PEG400/食塩水(1:1)中、5mg/kgの静脈内投与で、または20mg/kgの経口投与で投与した。任意の時点での化合物の血漿濃度を、液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS/MS)によって決定した。薬物動態学的パラメーターを、非コンパートメント回帰分析によって、Winnonlin 4.0 software (Pharsight, Mountain View, CA, USA)を用いて計算した。
Ba/F3.p210異種移植片モデルにおけるin vivoでの有効性
6〜8週齢のメスのSCIDベージュマウス(GNF−5処置群またはビークル・コントロール群それぞれについてn=5)の尾の静脈に、1×10個のBa/F3細胞共発現BCR−ABL p210およびルシフェラーゼを注射した。注射後3日目に、マウスに、経口で、1日2回、50または100mg/kg GNF−5を7日間投与した。5日目および7日目に、バイオルミネセンスを、ルシフェリンおよびIVIS imaging system (Xenogen Corp., Alameda, CA)を用いて定量した。
骨髄形質導入/移植モデルにおけるin vivoでの有効性
5−FUを注射した6〜8週齢のオスのBalb/cマウスから採取した骨髄細胞を、pMSCV BCR−ABL野生型または T315I BCR−ABLレトロウイルス構築物と共に形質導入し、放射線照射されたレシピエントのメスのBalb/cマウス(6〜8週齢)に移植した。GNF−5、ニロチニブまたはビークル・コントロールでの処置は、移植後7日目(野生型BCR−ABL)または15日目(T315I)に開始し、7日間行った(処置群あたり10匹(野生型BCR−ABL)または4匹(T315I BCR−ABL))。血液細胞数および脾臓サイズを処置7日目に測定した。骨髄細胞を単離し、固定化し、透過処理し、抗pStat5および抗ルシフェラーゼ抗体で染色し、フローサイトメトリーによって分析した。
生存試験において、ビークル、GNF−5、ニロチニブまたは両者の組み合わせでの処置(1群当たりn=5匹のマウス)を、移植後11日目に開始し、移植後50日目まで、または、マウスを瀕死になったために屠殺するまでの長期に及ぶ。総生存数および再発までの時間をカプラン・マイヤー法によって決定した。統計学的有意性を、カプラン・マイヤー生存率分析を用いて、分散推定値で標準化した比率の正規分布の仮定の下に評価した(α=0.05, 両側)。
実施例2
3−[6−(4−トリフルオロメトキシ−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−ベンズアミド(GNF−2)
Figure 2011509931
4,6−ジクロロピリミジン(1g, 6.7mmol)を、p−トリフルオロメトキシアニリン(1.2g, 6.7mmol)と共に、15mlのエタノール中に溶解し、次いで1.75mlのDIEA(10mmol)を加える。反応を、還流下で2時間行い、室温まで冷却する。溶媒を蒸発させた後、粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(EA/ヘキサン=3:7)によって精製し、(6−クロロ−ピリミジン−4−イル)−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−アミンを白色の固体として得る。
0.4M 炭酸ナトリウム水溶液(1.3ml)およびアセトニトリル(1.3ml)中の、(6−クロロピリミジン−4−イル)−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−アミン(73mg, 0.25mmol)および(3−アミノカルボニルフェニル)−ボロン酸(42mg, 0.25mmol)の脱気した溶液に、PPh(15mg, 0.01mmol)を加える。約90℃で、N下、12時間撹拌した後、該反応混合物を、飽和NaHCOと、CHCl/2−プロパノール(4:1)の層間に分配する。水層を、さらなるCHCl/2−プロパノール(4:1)で抽出し、合わせた有機層を、MgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた黄色がかった油状物を、カラムクロマトグラフィー(SiO, 酢酸エチル)によって精製し、3−[6−(4−トリフルオロメトキシフェニル−アミノ)−ピリミジン−4−イル]−ベンズアミドを、白色の固体として得る。
MS m/z 375.10(M+1).
GNF−2はAblのC末端ミリステートポケットに結合する
GNF−2が、Ablのカルボキシ末端に位置するミリステート結合ポケットに結合するという提案の支持として、c−Abl 1bのN末端アミノ酸2−16に対応するN−ミリストイル化ペプチドは、GNF−2アフィニティーマトリックスからAblを外すことが、以前に実証されている。ミルストイル裂け目の入口(A337N)および背面(A344L)に位置する残基への変異導入は、GNF−2耐性を付与するがイマチニブ耐性を付与しないことも実証されている(Adrian et al., Nat. Chem Biol. 2:95-102 (2006))。
独立の生物物理学的方法によってGNF−2のAblへの結合部位を確かめるために、核磁気共鳴スペクトル(NMR)を用いて、GNF−2のAbl/イマチニブ複合体の結合を調べた。リガンド結合は、結合ポケットの近接部分での化学シフトの変動を引き起こす。非標識イマチニブと複合体形成した15N標識Ablにより得られた、完全に割り当てられたHSQCスペクトルを用いて、GNF−2は、ミリステート結合ポケット付近に集中して化学シフト摂動を誘発することが示された。ATPポケットにおいては、有意な化学シフト摂動が観察されなかった。このことは、GNF−2が、ATP部位での結合においてイマチニブを妨害しないことを示している。ミリスチン酸は、質的に同じパターンの化学シフト摂動を誘発することが見出されており、このことは、GNF−2およびミリステートが、同じ結合部位を共有するというさらなる証拠を提供する。
GNF−2をAblにタイトレートしたときに、該タンパク質のミリステートポケット近くのメチル基の化学シフトを追跡するNMR試験により、GNF−2におけるイマチニブ/Abl複合体への解離定数が、全長触媒ドメイン(残基229−515;Abl 1aナンバリング)を用いたならば0.5±0.1μMであり、へリックスIを含まないAblのC末端切断型イマチニブ/Abl複合体(残基229−500)を用いたならば、7.4±1.5μMであることが示された。後者の構築物への親和性の低下は、おそらくミリステートポケットと一列に並ぶ、GNF−2との相互作用に関与しているヘリックスIによるものである。従って、GNF−2のAblへの結合部位は、ミリステートポケットであることが示されている。
GNF−2はT315I Ablに結合する
BCR−ABLのATP結合溝に位置するT315I ゲートキーパー変異は、細胞アッセイでGNF−2に対する耐性を付与するが、この変異は、GNF−2のミリステートポケットへの結合をブロックしないと予測される。我々は、T315I Abl(残基229−500, へリックスIを含まず)でのNMRをベースとする滴定試験を行い、13.5±1.8μMという2倍減少した親和性を有するにもかかわらず、GNF−2が、このAbl変異体に結合することを実証した。
GNF−2の、Ablのミリストイル・ポケットへの結合は、さらに、結晶学によって確認された。Abl/イマチニブ/GNF−2複合体の構造は、過剰のGNF−2中に、Nagar et al. (Cell 112, 859-71 (2003))に記載された通りに得たAbl/イマチニブ/ミリステートの結晶を浸漬することによって得られる。電子密度の形状に基づいて、GNF−2は、結晶中で、ミリストイル化ペプチドを置き換える。非対称ユニットに2つの分子が存在し、一方のミリステート部位は完全に占有され、他方では部分的に占有されている。
GNF−2は、ミリステートポケット中にトリフルオロメチル基がミリステートリガンドの末端の2個の炭素と同じ深さで埋まっている、広がったコンホメーションで結合する。1個のフッ素原子とL340の主鎖の間の、好ましいがおそらく弱い極性の相互作用が存在し(ニロチニブとAblのAsp381の間で観察されるものと同様)、水が介在する水素結合が存在するが、蛋白質との直接的水素結合は存在しない。水分子は、アニリンのNHと、結晶中の完全におよび部分的に占有された両方のミリステート結合部位のA433およびE462の主鎖のカルボニルの間に水素結合架橋を形成する。予測される通り、GNF−2と該蛋白質の間の相互作用の大部分は疎水的である。ポケットの基部でGNF−2と接触する残基は、αEのL341とA344、αFのI432、αHのV468、αIのF493およびαI'のI502である。ポケットの中心部分の表面は、αEのA337、αHの開始部のC464とP465、αFのA433およびαI'のV506によって形成される。ポケットの開口部(αFのY435, αHの前のループのE462およびαI'の末端のL510)での相互作用は、より小さく、これは弱い電子密度に、従って、GNF−2のベンズアミド部分の動きやすさに反映される。これらの残基のうち3つの変異(C464Y、P465SおよびV506L)は、おそらく立体的な理由のために、GNF−2の結合に対する抵抗性を引き起こすことが見出されている。この領域で見出された他の2つの変異(F497LおよびE505K)は、結合部位を形成する残基の第2のシェル中にあり、間接的に好ましくない立体効果を有する可能性がある。
Ablキナーゼドメインの全体構造は、4ÅまでシフトしているF497とS501の間の残基の位置を除いて、ミリステート複合体の構造と類似している。これは、該構造のこの部分と結晶中の近傍分子の間の結晶の接触による。ミリステート結合部位への影響は全くないが、SH2ドメインのへリックスαAとぶつかるようにSH2ドッキング表面は変化する。また、C末端ローブに対してキナーゼのN末端ローブが非常に小さく回転しているが、これは、ミリストイル化ペプチドの置き換えによる、結晶充填の僅かな変化によるものであろう。Abl/イマチニブ複合体をAbl/イマチニブ/ミリステート複合体と比較したとき、これらのローブの相対的配向にはほとんど差異はない。また、これらの構造の何れにもATP部位に変化はなく、その全てイマチニブが結合している。
さらに、細胞性BCR−ABL阻害剤としての活性を与える構造的特徴の系統的な調査を、ミリステート結合部位への結合との関連で調べた。これらの試験により、ピリミジン C4は多様な置換基を許容し、BCR−ABL阻害剤としての細胞性抗力は、メタ位またはパラ位置換フェニルの何れかで、例えばメタ−カルボキサミド(3−CONH(GNF−2)、3−CONH(CH)OH (GNF−5)、スルホン(SOCH)およびスルホンアミド(SONHR)で得られることが明らかとなった。
活性のためのメカニズムは本発明を実施するためには必要ではないが、1つの興味深い観察は、中心のピリミジンについての4,6位置換の必要性が、ATP競合的キナーゼ阻害剤の必要性と異なっていることであり、ATP競合的キナーゼ阻害剤では、一般的に2,4−ピリミジンがキナーゼヒンジ領域に結合するモチーフとして好ましい。このことは、2,4−ピリミジンがNH−C2結合に対してcis位のコンホメーションをとることができ、そして、このコンホメーションがキナーゼヒンジ領域に二座で水素結合を形成することができる結果であると考えられている。GNF−2シリーズの化合物がATP競合的BCR−ABL阻害剤ではなかったことを考えると、4,6−ピリミジンの重要性は、活性のためにはtrans配置という結果であろう。この仮説を調べるために、4−トリフルオロメトキシアニリン環のオルト位とcis配置のピリミジン−C5の間の立体的相互作用の可能性から、cis配置またはtrans配置に対する異なる優先性を示す一連の構造類似化合物を製造した。これらの化合物のBCR−ABL活性の評価は、トランス位のコンホメーションに優先性であるもののみが活性であったことを実証した(表4)。トランス位のコンホメーションはまた、続いて決定された共結晶構造と一致しており、このことは、このコンホメーションが、狭い疎水性ミリステート結合部位にリガンドを適合させるために必要とされることを実証している。
表4
Figure 2011509931
Figure 2011509931
GNF−2およびイマチニブの組み合わせは、クローン発現薬物耐性変異型BCR−ABLの出現を減少させる
BCR−ABL形質転換Ba/F3細胞(Ba/F3.p210)は、活性部位に対するイマチニブの親和性を減少させ、臨床的に観察される多くの変異を再現する点変異の結果として、イマチニブ耐性を獲得できる。GNF−2およびイマチニブがBCR−ABLに同時に結合する能力と一致して、当該2種の化合物の組み合わせがBCR−ABL依存性増殖を相乗的に阻害し得ることが以前に実証された。我々は、BCR−ABL依存性Ba/F3細胞がGNF−2とイマチニブの組み合わせに耐性となる頻度をそれぞれの化合物単独と比較して調べた。Ba/F3.p210細胞を1μM イマチニブ、または、5もしくは10μM GNF−2と共にインキュベーションして、9日目に耐性クローンが出現した(図1)。1μM イマチニブに耐性があるクローンの数は、それぞれ5および10μMのGNF−2と組み合わせた場合に、9日目で98および100%、21日目で90〜92%減少した。これらの結果は、GNF−2とイマチニブの組み合わせが、協同的に耐性変異の出現を抑制し得ることを実証している。
組み合わせ処置から出現する変異を同定するために、我々は、耐性クローン中のBCR−ABLについてcDNAコーディングを一部配列決定した(キナーゼフラグメントQ108-D325およびW430-R564)。配列決定分析により、GNF−2/イマチニブ組み合わせに対する耐性クローンの59%に別の単一点変異が存在することが明らかとなった。これらのうち、F317L置換およびQ252H置換は、イマチニブに対する耐性を付与することが以前に報告されている。しかし、ミリステート結合ポケットに位置するP465S、E505KおよびF497Lもまた同定され、これらは、GNF−2のこの部位への結合を立体的に妨げると考えられる。
実施例3
N−(2−ヒドロキシエチル)−3−(6−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド (GNF−5)
DMF(0.5ml)中の、3−[6−(4−トリフルオロメトキシ−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−安息香酸(81mg, 0.22mmol)、エタノールアミン(16mg, 0.26mmol)およびジ−イソプロピルエチルアミン(84mg, 0.65mmol)の溶液に、2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウラニウム(HATU)(99mg, 0.26mmol)を、室温で加える。該反応混合物を室温で4時間撹拌し、フラッシュ・カラム・クロマトグラフィー(SiO, CHCl/MeOH(v/v)=20/1)によって精製し、N−(2−ヒドロキシエチル)−3−(6−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミドを白色の固体として得る。
MS m/z 419.2 (M+1).
マウスにおけるGNF−5薬物動態学的パラメーター
Balb-Cマウスへ20mg/kg経口投与した後、GNF−5は、血液循環に素早く現れ、0.5時間で4.4±1.3μMの最大濃度に達し、7時間後に0.63±0.12μMまで減少し、最終的な半減期は2.3時間であり(図2);経口バイオアベイラビリティーは44.8±7.5%であった。異種移植片モデルにおける有効性試験に用いたSCIDマウスにおいて、血漿における薬物動態学的プロフィールは、正常なマウスで観察されるものと類似していた。
表5に薬物動態学的パラメーターを示す:AUC=曲線下面積(曝露測定)、Cmax=最大血漿濃度、Tmax=最大血漿濃度時間、Clast=最終測定時間点での濃度、T1/2=血漿濃度が最高濃度の半分に達するのに必要な時間、Vss=分配体積、F=経口バイオアベイラビリティーの百分率。
表5
Figure 2011509931
CMLのマウス異種移植片モデルにおいてGNF−5はin vivoでの効果を示す
我々は、マウスの骨髄増殖性疾患モデルにおいて、in vivoでのGNF−5の抗腫瘍活性を評価した。疾患は、SCIDベージュマウスにおいて、、疾患の負荷を、ルシフェリン注射後に、非侵襲性造影によって、Xenogen IVIS(商標) systemを用いて評価できるように野生型p210 BCR−ABLおよび蛍ルシフェラーゼを発現させたBa/F3細胞の接種によって確立した。予測された通り、薬物処置を受けていないコントロール群の動物では、腫瘍負荷は増大し続けた。対照的に、50または100mg/kgの何れかのGNF−5の1日2回経口投与処置は、第1週以内に腫瘍の負荷の実質的な用量応答減少をもたらした。50または100mg/kgの1日2回のGNF−5による処置後5日目に、応答は均衡状態に近づき、それぞれ16および7%の腫瘍/コントロール(T/C)に達した。応答は、100mg/kgの群(T/C=17%)では7日目まで維持されたが、50mg/kg、1日2回のレジメでは、初期応答に続いて、再発が起こった(66%のT/C)(図3A)。
in vivoでの標的調節を調べるために、Ba/F3.p210を有するマウスを、GNF−5(100mg/kg)またはビークルの1回投与で処置した。骨髄を、3時間後、7時間後および24時間後に採取し、ホスホ−Stat5の量について、特異的なホスホ-Y694抗体を用いるフローサイトメトリーで分析した。pStat5量の有意な減少は、GNF−5の1回用量の送達後7時間以内に観察された。Stat5のホスホリル化は著しく阻害され、下流のBCR−ABLシグナル伝達の遮断を示した。これらの結果は、BCR−ABL依存性細胞増殖の阻害はin vivoにおいて良好な耐容性を示す用量で達成され得るが、残りの細胞集団は、処置で生き残ることを実証している。
GNF−5とニロチニブの組み合わせはT315I BCR−ABL依存性増殖を阻害し得る
GNF−5は、E255Vに対する細胞有効性(IC50=380nM)およびM351T変異体に対する細胞有効性(IC50=930nM)を維持しているが、G250E変異体に対する活性(IC50=4.52μM)、F317L変異体に対する活性(IC50>10μM)およびT315I変異体に対する活性(IC50>5μM)は有意に低い。ニロチニブは、T315I(IC50>10μM)5を除いて、これらの全ての変異体に強力な活性を示す。GNF−2およびイマチニブが野生型およびT315I Ablに同時に結合し得ることが証明されたNMRおよび等温熱量測定試験(データ示さず)を励みとし、我々は、T315I BCR−ABL依存性細胞増殖に対するGNF−5とニロチニブの併用効果、および、下流の基質Stat5のホスホリル化の阻害を蛍光活性化細胞分別(FACs)によって試験した。増殖アッセイは、T315I BCR−ABL依存性細胞増殖の50%以上の阻害が、GNF−5とニロチニブの濃度範囲で達成されることを実証し、組み合わせ指数15(CI)は0.6と計算され、これは中程度の相乗作用を示す(図3B)。例えば、ニロチニブ濃度を20μMに固定したとき、GNF−5は、T315I BCR−ABL依存性増殖を0.76μMのIC50で阻害する。
我々はまた、フローサイトメトリー分析によって、GNF−5とニロチニブが、Stat5ホスホリル化阻害に相加的に作用することも実証した。例えば、10μM ニロチニブのみまたは1μM GNF−5のみは、T315I BCR−ABL介在Stat5ホスホリル化に対して全く効果がなく、一方、2つの化合物の組み合わせは、Stat5ホスホリル化の有意な阻害をもたらし、これはIL−3を培地に添加することによってレスキューされ得る。我々は、GNF−5とニロチニブの間で観察される協同性が、ATP部位のT315Iおよびミリステート部位のE505Kの二重変異の両阻害剤の組み合わせに対する完全な耐性を付与する能力に基づき、BCR−ABLの阻害によって直接的に媒介されることを確認した(図3C)。
GNF−5とニロチニブの組み合わせはT315I BCR−ABLに対してin vivoでの効果を示す
ヒトのCML疾患をより厳密に模倣する骨髄形質導入/移植マウスモデルを用いて、野生型およびT315I BCR−ABLに対するGNF−5の in vivoでの効果を実証した(Roumiantsev et al., Proc Natl Acad Sci U S A 99, 10700-5 (2002)を参照のこと。)。最初の実験において、予め5−フルオロウラシル(5−FU)で処置したドナーのマウス由来の骨髄細胞を、野生型BCR−ABLレトロウイルスベクターで形質導入し、放射線照射したレシピエントのマウスに移植した。移植後7日目に、50mg/kgのGNF−5を1日2回またはビークルからなる投与レジメで、7日間投与を行った。処置の最終日に測定した末梢血細胞数は高く、ビークル処置マウスで95%の好中球または芽細胞であり、CML様疾患の発症と一致していた。対照的に、GNF−5処置マウスは、正常な血液細胞数を示した。ビークル群の脾臓サイズは、正常なマウスのものと比較して、3から4倍まで増大し(正常脾臓重量:80〜90mg)、一方、GNF−5処置マウスの脾臓重量は正常であった。
GNF−5とニロチニブの組み合わせがT315I BCR−ABL変異体(ルシフェラーゼ)骨髄移植モデルに効果を有するか否かを評価するために、移植後15日目に、ニロチニブ 50mg/kgのみ、GNF−5 75mg/kgのみ、または組み合わせの1日2回の投与レジメで、処置を開始した。処置開始後7日目に、種々の投与群の脾臓サイズと血液細胞数を測定した。ニロチニブのみまたはGNF−5のみの何れかで処置したマウスはビークル群と比較して、有意な応答を示さず、健康なマウスより2〜3倍大きい細胞数および4倍大きい脾臓サイズを有した。両化合物の組み合わせは、毒性の徴候なしで、血液細胞数および脾臓サイズを正常化し(図4Aおよび4B)、このことは、該化合物の組み合わせ処置における相加的効果を示唆している。
効果/薬物動態学的応答相関関係を確立するために、種々のマウス群由来の骨髄細胞を有効性試験の最後に単離し、抗p−Stat5および抗ルシフェラーゼ特異的抗体で染色した。ルシフェラーゼ・ゲート内のp−Stat5陽性細胞の数を、フローサイトメトリーで定量した。p−Stat5陽性BCR−ABL発現骨髄細胞のパーセンテージは、ビークル処置群、GNF5処置群およびニロチニブ処置群で類似していた(約25%)。組み合わせ群では、p−Stat5陽性細胞のパーセンテージは、約6%であり、腫瘍増殖阻害とBCR−ABLシグナル伝達遮断の間の相関関係を反映した。阻害の程度を決定するために、組み合わせ(50mg/kgのニロチニブ+75mg/kgのGNF−5)またはビークルの1回投与でマウスを処置し、投与後3時間、7時間、16時間および24時間で、骨髄細胞を集め、抗ルシフェラーゼおよび抗pStat5抗体で二重染色した。ビークル群において、約80%のルシフェラーゼ陽性細胞がホスホリル化Stat5を有していた。投与3時間後、Stat5のホスホリル化は80%から25%まで減少し、7から24時間の間pStat5陽性細胞の数が10%以下に維持され、このことは、GNF−5/ニロチニブ組み合わせ投与後のBCR−ABL介在シグナル伝達の強力かつ継続的阻害を実証している(図4C)。
第3の実験において、T315I BCR−ABL形質導入骨髄を移植し、そしてGNF−5、ニロチニブまたは両化合物の組み合わせで処置したマウスの生存をモニターした。T315I BCR−ABL形質導入骨髄を移植し、そしてビークル・コントロールで処置したマウスは、移植後24日目までに死亡し、生存期間中央値は22日であった(図4D)。GNF−5(75mg/kg、1日2回)は、ビークル処置コントロールと比較して、有意に生存日数を延長した(中央値 28日)(P=0.023)。ニロチニブ(50mg/kg、1日2回)のみで処置したマウスもまた、ビークルで処置されたものより長く生存した(中央値 32日)(P=0.023)。GNF−5+ニロチニブで処置したマウスの全生存は、GNF−5のみ(P=0.002)またはニロチニブのみ(P=0.002)の何れかで処置したものと比較して改善され、移植後50日目まで全マウスが生存し、その後処置を中止した。組み合わせ処置終了46日後、生存していた5匹のマウスのうち4匹が疾患の徴候を示さなかった。累積的に、これらの結果は、ATP競合的阻害剤とアロステリック阻害剤の組み合わせは、T315I BCR−ABL変異体を標的とするために治療的に適切な戦略であることを示唆している。
本明細書に記載された実施例および態様は、例示の目的のためのみであって、これらを踏まえた種々の修正または変更は、当業者に示唆されており、かつ、本明細書および添附された請求の範囲の精神および範囲内に含まれると理解される。本明細書で引用された全ての公報、特許、特許明細書、ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列受入番号および他の文献は、言及することによって、その全体が、全ての目的について、これらの文献のそれぞれが個別にそのように示されているのと同程度で、本明細書に組み込まれる。

Claims (22)

  1. ATP競合的BCR−ABL阻害剤およびATP非競合的BCR−ABL阻害剤の組み合わせを含む組成物であって、
    当該ATP競合的BCR−ABL阻害剤が、
    Figure 2011509931
    Figure 2011509931
    AT-9283 (Astex Therapeutics)、EXEL-2280 (Exelisis)、または、TG-100572 (TargeGen)であり;
    当該ATP非競合的BCR−ABL阻害剤が、遊離形または薬学的に許容される塩形の式(1):
    Figure 2011509931
    [式中、
    、X、XおよびXはそれぞれCHであるか;あるいは、X、X、XおよびXのうちの1つがNであって、それ以外がCHであり;
    は、OCFまたはCFであり;
    は、C1−6アルキルであり;
    は、NR(CH)NRまたは5〜7員のヘテロ環式環であるか;あるいは、Rは、アリールまたは5〜7員のヘテロアリールであり、それぞれは、所望により1〜2個のR基で置換されているか、または、所望によりアリールまたはヘテロアリール(それぞれは、所望により1〜2個のR6a基で置換されている。)で置換されており;
    ここで、RおよびR6aは、独立して、CONR(CH)OR、CONR(CH)NR、CONR、NR(CH)OR、NR(CH)NR、SONRR、NRまたはSOであり;
    は、HまたはC1−6アルキルであり;
    は、H、C1−6アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
    あるいは、RおよびRは、NRにおけるNと一体となって、5〜7員の環を形成してもよく;
    RおよびRは、独立して、HまたはC1−6アルキルであり;
    は、C1−6アルキルであり;
    mは、0〜1であり;
    nは、1〜4である。]
    の化合物
    である組成物;ただし、当該ATP非競合的阻害剤が、
    Figure 2011509931
    であるとき、当該ATP競合的阻害剤はイマチニブではない。
  2. ATP非競合的阻害剤が、BCR−ABLのミリステート結合部位に結合する、請求項1に記載された組成物。
  3. ATP非競合的阻害剤が、式(2):
    Figure 2011509931
    [式中、Rが、メタ位またはパラ位に存在し、カルボキサミド、CONH(CH)OH、スルホン(SOCH)、または、スルホンアミド(SONHR)である。]
    の化合物である、請求項1に記載された組成物。
  4. 式(1)におけるX、X、XおよびXが、それぞれCHである、請求項1に記載された組成物。
  5. 式(1)におけるRがOCFである、請求項1に記載された組成物。
  6. 式(1)におけるRが、モルホリニル、イミダゾリルまたはピリジルであり、そして当該ピリジルが、所望により1個のR6a基で置換されており、R6aが請求項1で定義した通りである、請求項1に記載された組成物。
  7. がフェニルであって、所望によりメタ位またはパラ位で1個のR基で置換されており;Rが請求項1で定義した通りである、請求項1に記載された組成物。
  8. 式(1)におけるRがNR(CH)NRであり、RおよびRが、Nと一体となって、モルホリニルを形成する、請求項1に記載された組成物。
  9. 式(1)の化合物が、
    Figure 2011509931
    Figure 2011509931
    Figure 2011509931
    からなる群から選択される、請求項1に記載された組成物。
  10. 式(1)の化合物が、
    Figure 2011509931
    である、請求項9に記載された組成物。
  11. ATP競合的BCR−ABL阻害剤が、イマチニブ、ニロチニブまたはダサチニブである、請求項1に記載された組成物。
  12. ATP競合的BCR−ABL阻害剤がニロチニブであり、式(1)の化合物が、
    Figure 2011509931
    である、請求項1に記載された組成物。
  13. 細胞または対象に、ATP競合的BCR−ABL阻害剤およびATP非競合的BCR−ABL阻害剤を含む治療的に有効な量の組成物を投与することを含む、BCR−ABL陽性白血病を処置する方法であって、
    当該ATP競合的BCR−ABL阻害剤が、
    Figure 2011509931
    Figure 2011509931
    AT-9283 (Astex Therapeutics)、EXEL-2280 (Exelisis)、または、TG-100572 (TargeGen)であり;
    当該ATP非競合的BCR−ABL阻害剤が、遊離形または薬学的に許容される塩形の式(1):
    Figure 2011509931
    [式中、
    、X、XおよびXは、それぞれCHであるか;あるいは、X、X、XおよびXのうちの1つがNであって、それ以外がCHであり;
    は、OCFまたはCFであり;
    は、C1−6アルキルであり;
    は、NR(CH)NRまたは5〜7員のヘテロ環式環であるか;あるいは、Rは、アリールまたは5〜7員のヘテロアリールであり、それぞれは、所望により1〜2個のR基で置換されているか、または、所望によりアリールまたはヘテロアリール(それぞれは、所望により1〜2個のR6a基で置換されている。)で置換されており;
    ここで、RおよびR6aは、独立して、CONR(CH)OR、CONR(CH)NR、CONR、NR(CH)OR、NR(CH)NR、SONRR、NRまたはSOであり;
    は、HまたはC1−6アルキルであり;
    は、H、C1−6アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
    あるいは、RおよびRは、NRにおけるNと一体となって、5〜7員の環を形成してもよく;
    RおよびRは、独立して、HまたはC1−6アルキルであり;
    は、C1−6アルキルであり;
    mは、0〜1であり;
    nは、1〜4である。]
    の化合物
    である方法;ただし、当該ATP非競合的阻害剤が、
    Figure 2011509931
    であるとき、当該ATP競合的阻害剤はイマチニブではない。
  14. ATP競合的阻害剤およびATP非競合的阻害剤が相乗効果を示す、請求項13に記載された方法。
  15. BCR−ABL陽性白血病が、慢性骨髄性白血病または急性リンパ球性白血病である、請求項13に記載された方法。
  16. ATP非競合的阻害剤が、BCR−ABLのミリステート結合部位に結合する、請求項13に記載された方法。
  17. 式(1)の化合物が、
    Figure 2011509931
    Figure 2011509931
    Figure 2011509931
    からなる群から選択される、請求項13に記載された方法。
  18. 式(1)の化合物が、
    Figure 2011509931
    である、請求項17に記載された方法。
  19. ATP競合的BCR−ABL阻害剤が、イマチニブ、ニロチニブまたはダサチニブである、請求項13に記載された方法。
  20. ATP競合的BCR−ABL阻害剤がニロチニブであり、当該式(1)の化合物が、
    Figure 2011509931
    である、請求項13に記載された方法。
  21. BCR−ABL陽性白血病を処置する医薬の製造における、請求項1〜12の何れか1項に記載された組成物の使用。
  22. BCR−ABL陽性白血病が、慢性骨髄性白血病、または、急性リンパ球性白血病である、請求項21に記載された使用。
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