JP2011505122A - 平衡転座切断点のdnaマイクロアレイベースの同定とマッピング - Google Patents

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Abstract

比較ゲノムハイブリダイゼーションを使用して、種々の疾患に関連する染色体再編成を検出およびマッピングする方法を開示する。公知のゲノム遺伝子座の転座パートナーを同定する方法、および転座切断点を決定する方法が含まれる。本発明の方法は、染色体再編成を伴う疾患の予後、診断、および素因の決定に使用され得る。本発明の方法の別の実施形態では、公知のゲノム遺伝子座が特定の疾患または疾患状態に関連する遺伝子座に対応する。ある実施形態では、疾患が癌である。特定の実施形態では、癌は、骨髄性白血病などの白血病である。

Description

(関連出願に対する相互参照)
該当なし
(連邦政府による援助を受けた研究開発の下で成された発明に対する権利に関する陳述)
本発明は、NCI助成金番号5P30CA015704の下で政府の援助を受けて成された。政府は本発明における特定の権利を有する。
(コンパクトディスクにて提出された「配列表」、表、またはコンピュータプログラムの補遺に対する参照)
該当なし
平衡再編成(転座および逆位)およびゲノム不均衡(欠失、重複、および増幅)を含む大規模ゲノム異常は、癌において一般的であり、腫瘍形成に中心的な役割を果たす。ゲノム欠失は、典型的には、腫瘍抑制遺伝子機能の喪失、プロトオンコジーンの過剰発現を伴う増幅、および新規な腫瘍形成遺伝子融合の生成または調節解除されたオンコジーン発現を伴う転座と関連している。歴史的に、平衡転座および遺伝子融合は、肉腫、白血病、およびリンパ腫を含む血液腫瘍および間葉腫瘍に圧倒的に多く見られ(非特許文献1)、カルシノーマなどの上皮性腫瘍ではあまり見られない。より最近では、腫瘍形成性遺伝子融合は、前立腺(非特許文献2)、甲状腺(非特許文献3;非特許文献4)、および肺(非特許文献5)において同定されており、腫瘍形成性遺伝子融合は、恐らくはこれらの腫瘍が細胞遺伝学的に複雑であるためまたは他の技術的な理由のため、これまでに理解されていたよりもカルシノーマに一般的であることが示唆されている(非特許文献6)。
大規模異常の解析は、新規なプロトオンコジーン、腫瘍抑制遺伝子、および腫瘍形成性遺伝子融合を同定することによって、腫瘍形成に関する我々の理解を一変させた。マイクロアレイに基づく比較ゲノムハイブリダイゼーション(アレイ−CGH/aCGH)技術の進歩は、癌におけるゲノム不均衡に関するデータの指数関数的な蓄積をもたらしており、かつてないほど高い分解能でそれらをマッピングすることができる。少数の転座は、アレイCGHにより同定することができる一方のまたは両方の切断点に小さな欠失を有している。しかしながら、そのような不均衡は通常は検出可能ではなく、存在したとしても、別のパートナー遺伝子の同一性(identity)を示さない。
今では、構造的変異はヒト集団にわたる遺伝子多型の重要な供給源と認められている(非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10)。染色体欠失またはセグメント重複のようなコピー数多型(CNV)は、これまで報告されている最も一般的な構造的多型を表しており、ヒト疾患または疾病素因に関連している(非特許文献11;非特許文献12)。平衡染色体再編成を識別するための方法は、CNVを検出するための方法より遅れているが、染色体逆位およびより複雑な再編成は、構造的および機能的多型の重要な供給源としてますます認められており、ヒト疾患とも関連している(非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17)。
ゲノム不均衡の検出に利用できる方法と比較すると、現在のところ、平衡再編成を検出するように設計された方法は限定されている。従来の細胞遺伝学的解析および多色(またはスペクトル)核型分析は、大規模ゲノム異常を同定するための強力な全ゲノム技術であるが、これらの方法は、多大の労力を要し、培養中に細胞の増殖が必要であり、分解能が限られている(約500万bp)。蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を使用して、少数のゲノム遺伝子座をより高い分解能(典型的には100〜1000kb)で解析することができるが、FISHは、容易に拡張可能ではなく、融合パートナーに関する予備的知識が必要である。アレイペインティングでは(非特許文献18)、フロー分類された異常染色体からDNAが増幅され、CGHアレイにハイブリダイズされ、転座切断点を高分解能でマッピングすることが可能になる(非特許文献19)。しかしながら、この技術は広く利用可能ではなく、培養中に増殖することができる細胞に限定されている。
染色体転座の同定および特徴付けをさらに複雑にするのは、転座に関与する遺伝子が、異なる転座および異なるタイプの腫瘍において様々なパートナー遺伝子に融合していることが見出される場合があるという点で「乱交雑である」と認識されることが多くなっているという事実である(非特許文献20)。顕著な例には、混合系統白血病(MLL)遺伝子(非特許文献21)、免疫グロブリン重鎖(IgH)遺伝子座(非特許文献22、およびETV6(非特許文献23)が含まれており、それらの各々は、種々の転座における20以上の異なるゲノム遺伝子座とパートナーになることが可能である。結果的に、様々な分子的方法が開発され、パートナーの1つが判明しているかまたは推測できる場合、平衡転座における未知の融合パートナー遺伝子が同定されている。これらの技術には、cDNA末端の迅速増幅(RACE)(非特許文献24)、長距離インバース(LDI)PCR(非特許文献25;非特許文献26)、およびアレイに基づく融合転写の検出(非特許文献27;非特許文献28)が含まれる。繰り返しになるが、これらの技術は、全て多大の労力を要し、スループットに制限があリ、臨床試料の日常分析には適さない。
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したがって、染色体異常、特に平衡転座の日常検出を可能にする改良方法が必要とされている。本発明は、これらの必要性および他の必要性を満たす。
比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)法は、染色体不均衡を強力に検出することが証明されているが、これまでのCGH方法は、一般的には、他の腫瘍のなかでもリンパ腫および白血病を含む種々の癌の病因および診断に顕著な役割を果たす相互転座のような平衡ゲノム再編成を検出することが不可能である。これまでのCGH法が平衡転座を検出できないのは、これらの方法が検査試料と参照試料との間の相対的差異の検出に依存するのに対し、平衡転座は染色体物質の純減少または増加に帰着せず、したがって同じ相対量が維持されるという事実に、少なくとも部分的には起因する。
これらの制限を克服し、検出することができる染色体異常の範囲を拡張するために、本発明者らは、転座CGH(tCGH)、超高分解能で平衡転座切断点を同定することができる方法を開発した。本発明は、部分的には、公知のゲノム遺伝子座および転座パートナーの配列に及ぶプローブを生成する線形増幅反応において、公知のゲノム遺伝子座の配列に特異的なプライマーを使用することに基づく。検査試料から生成されたプローブのハイブリダイゼーションのパターンおよび程度を、参照試料に由来する類似プローブのハイブリダイゼーションと比較することにより、公知のゲノム遺伝子座の転座パートナーの同定が可能になる。タイリング密度マイクロアレイ(tiling density microarray)などの高密度マイクロアレイの使用は、転座の切断点の高分解能マッピングを可能にする。
下記でより詳細に記述されているように、本発明者らは、連結(J)セグメントおよび反復スイッチ組換え(S)領域内に生じるものを含む、最も一般的なタイプのIgH転座を検出するtCGHの能力を実証する。公知の転座切断点は、分析された各細胞系で同定されており、それらには、BCL2、BCL6、サイクリンD1(CCND1)、およびMYC転座、ならびにこれらの遺伝子座を伴う複雑で潜在的なIgH再編成が含まれていた。tCGHの有用性は、5つのマントル細胞リンパ腫および前リンパ球性リンパ腫において、新規なCCND1切断点、現在までに報告されている最も大きなそのような系統をマッピングおよびクローニングすることによりさらに実証される。さらに、多重tCGH解析を使用して、種々の骨髄性白血病に関連している幾つかの共通した転座が検出される。
したがって、1つの実施形態では、本発明は、検査試料の公知のゲノム遺伝子座での染色体再編成を決定する方法であって、(a)検査試料の細胞から第1のゲノムDNAを単離し、参照試料の細胞から第2のゲノムDNAを単離すること、(b)公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを使用し、第1のゲノムDNA試料の線形増幅および標識化を実施して、第1の検出可能な標識を含む増幅された検査DNA産物を生成すること、および公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを使用し、第2のゲノムDNA試料の線形増幅および標識化を実施して、第2の検出可能な標識を含む増幅された参照DNA産物を生成すること、(c)増幅された検査DNA産物および参照DNA産物を、ゲノムDNA配列を含むDNAマイクロアレイにハイブリダイズさせること、ならびに(d)DNAマイクロアレイへの、増幅された検査DNA産物のハイブリダイゼーションのパターンおよび程度を、増幅された参照DNA産物と比較することによる方法であり、公知のゲノム遺伝子座のDNAマイクロアレイエレメントとは異なるDNAマイクロアレイエレメントへの、線形増幅された検査試料DNA産物のハイブリダイゼーションが、線形増幅された参照試料DNA産物を上回ることが、細胞における、公知のゲノム遺伝子座の、第2のゲノム遺伝子座との再編成を示す方法を提供する。
第2の実施形態では、本発明は、検査試料の公知のゲノム遺伝子座の染色体再編成パートナーを同定する方法であって、(a)検査試料の細胞から第1のゲノムDNAを単離し、参照試料の細胞から第2のゲノムDNAを単離すること、(b)公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを使用し、第1のゲノムDNA試料の線形増幅および標識化を実施して、第1の検出可能な標識を含む増幅された検査DNA産物を生成すること、および公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを使用し、第2のゲノムDNA試料の線形増幅および標識化を実施して、第2の検出可能な標識を含む増幅された参照DNA産物を生成すること、(c)標識および増幅された検査DNA産物および参照DNA産物を、ゲノムDNA配列を含むDNAマイクロアレイにハイブリダイズさせること、ならびに(d)DNAマイクロアレイへの、増幅された検査DNA産物のハイブリダイゼーションのパターンおよび程度を、増幅された参照DNA産物と比較することによる方法であり、公知のゲノム遺伝子座のDNAマイクロアレイエレメントとは異なるDNAマイクロアレイエレメントへの、線形増幅された検査試料DNA産物のハイブリダイゼーションが、線形増幅された参照試料DNA産物を上回ることが、DNAマイクロアレイのそのエレメントを公知のゲノム遺伝子座の再編成パートナーとして同定する方法を提供する。
第3の実施形態では、本発明は、検査試料の公知の遺伝子座における、染色体再編成ならびに染色体転座を同時に決定する方法であって、(a)検査試料の細胞から第1のゲノムDNAを単離し、参照試料の細胞から第2のゲノムDNAを単離すること、(b)公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを使用し、第1のゲノムDNA試料の線形増幅を実施して、検査ゲノムDNAおよびプライマー特異的な増幅された検査DNA産物の混合物を生成すること、および同じ前記公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを使用し、第2のゲノムDNAの線形増幅を実施して、参照ゲノムDNAおよびプライマー特異的な増幅された参照DNA産物の混合物を生成すること、(c)検査試料混合物および参照試料混合物を、オリゴヌクレオチドでプライミングされたポリメラーゼ媒介性の伸長によって、さらに増幅および標識化すること、(d)標識および増幅された検査DNA産物および参照DNA産物を、ゲノムDNA配列を含むDNAマイクロアレイにハイブリダイズさせること、ならびに(e)DNAマイクロアレイへの、増幅された検査DNA産物のハイブリダイゼーションのパターンおよび程度を、増幅された参照DNA産物と比較することによる方法であり、(i)DNAマイクロアレイのエレメントに、増幅された検査DNA産物および増幅された参照DNA産物の両方がハイブリダイズする場合、エレメントへの、増幅された参照DNA産物のハイブリダイゼーションの程度と比較して、DNAマイクロアレイのエレメントへの、増幅された検査DNA産物のハイブリダイゼーションの程度がより大きいことが、マイクロアレイのエレメントによって表される検査試料中のDNA配列の増幅を示し、(ii)DNAマイクロアレイのエレメントへの、増幅された参照DNA産物のハイブリダイゼーションが、DNAマイクロアレイのエレメントへの、増幅された検査DNA産物のハイブリダイゼーションを上回ることが、マイクロアレイのエレメントによって表される検査試料のDNA配列の欠失を示し、(iii)公知のゲノム遺伝子座のDNAマイクロアレイエレメントとは異なるDNAアレイのエレメントへの、増幅された検査DNA産物のハイブリダイゼーションが、DNAアレイエレメントへの、増幅された参照DNA産物のハイブリダイゼーションを上回ることが、細胞における、公知のゲノム遺伝子座の、第2のゲノム遺伝子座との転座を示す方法を提供する。
上記の実施形態の態様では、上記方法は、増幅されたDNA産物にハイブリダイズする、公知のゲノム遺伝子座の線形配列に対応する一連のエレメントのうちの最後のエレメントを決定し、それによって、公知のゲノム遺伝子座の再編成切断点のおおよその位置を同定する、さらなるステップを含む。
上記の実施形態の別の態様では、上記方法は、増幅されたDNA産物にハイブリダイズする、公知のゲノム遺伝子座の線形配列とは異なる第2のゲノム遺伝子座の線形配列に対応する一連のエレメントの最初のエレメントを決定し、それによって転座パートナーの再編成切断点のおおよその位置を同定する、さらなるステップを含む。
上記の実施形態の追加的な態様では、検査および参照試料は同じゲノムDNAを含み、参照試料ではなく検査試料がパート(b)部分の線形増幅ステップに供される。
上記の実施形態のさらに追加的な態様では、第1および第2の検出可能な標識が同じであり、増幅された検査DNA産物および参照DNA産物のハイブリダイゼーションが、別々であるが同じ種類のマイクロアレイへのもの、または逐次的に同じマイクロアレイへのものである。
さらに別の特定の実施形態では、本発明の方法は、第1の試料DNAのみの増幅および検出を含み、その後、所定の参照読取りまたは検出と比較される。
第4の実施形態では、本発明は、検査試料中の染色体再編成を決定する方法であって、(a)検査試料の細胞から第1のゲノムDNAを単離し、参照試料の細胞から第2のゲノムDNAを単離すること、(b)公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを使用し、第1のゲノムDNA試料の線形増幅を実施して、増幅された検査DNA産物(T+)を生成すること、公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを使用し、第2のゲノムDNA試料の線形増幅および標識化を実施して、増幅された参照DNA産物(N+)を生成すること、公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを除外することによって、第1のゲノムDNA試料の擬似線形増幅を実施して、擬似検査DNA産物(T−)を生成すること、および公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを除外することによって、第2のゲノムDNA試料の擬似線形増幅を実施して、擬似参照DNA産物(N−)を生成すること、(c)ランダムプライマーを使用するプライマー伸長によって、T+、N+、T−、およびN−を、異なる検出可能な標識で標識すること、(d)T+およびN+を、ゲノムDNA配列を含む第1のDNAマイクロアレイに共ハイブリダイズさせること、(e)T−およびN−を、ゲノムDNA配列を含む第2のDNAマイクロアレイに共ハイブリダイズさせること、(f)第1のDNAマイクロアレイ上のハイブリダイゼーションシグナルのパターンおよび程度を、第2のDNAマイクロアレイ上のハイブリダイゼーションシグナルのパターンおよび程度と比較することによる方法であり、第2のマイクロアレイからの類似パターンがない場合、第1のマイクロアレイからの染色体位置に対してプロットされたハイブリダイゼーションシグナルの散布図における直角三角形パターンのハイブリダイゼーションシグナルが、染色体転座を示し、垂直辺(vertical leg)が染色体転座切断点を標示し、第1のマイクロアレイおよび第2のマイクロアレイからの同位置の染色体位置に対してプロットされたハイブリダイゼーションシグナルの散布図における長方形パターンのハイブリダイゼーションシグナルが、染色体重複または欠失を示し、垂直辺が重複または欠失したゲノム領域の2つの末端点を標示し、それによって検査試料中の染色体再編成の決定を提供する方法を提供する。
第5の実施形態では、本発明は、検査試料中の染色体再編成を決定する方法であって、(a)検査試料の細胞から第1のゲノムDNAを単離し、参照試料の細胞から第2のゲノムDNAを単離すること、(b)公知のゲノムの遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを使用し、第1のゲノムDNA試料の線形増幅を実施して、増幅された検査DNA産物(T+)を生成し、公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを使用し、第2のゲノムDNA試料の線形増幅および標識化を実施し、増幅された参照DNA産物(N+)を生成すること、公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを除外することによって、第1のゲノムDNA試料の擬似線形増幅を実施して、擬似検査DNA産物(T−)を生成すること、公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを除外することによって、第2のゲノムDNA試料の擬似線形増幅を実施して、擬似参照DNA産物(N−)を生成すること、(c)ランダムプライマーを使用するプライマー伸長によって、T+、N+、T−、およびN−を、異なる検出可能な標識で標識すること、(d)ゲノムDNA配列を含む第1のDNAマイクロアレイに、T+およびT−を共ハイブリダイズさせること、(e)ゲノムDNA配列を含む第2のDNAマイクロアレイに、N+およびN−を共ハイブリダイズさせること、(f)第1のDNAマイクロアレイ上のハイブリダイゼーションシグナルのパターンおよび程度を、第2のDNAマイクロアレイ上のハイブリダイゼーションシグナルのパターンおよび程度と比較することによる方法であり、第2のマイクロアレイからの類似パターンがない場合、第1のマイクロアレイからの染色体位置に対してプロットされたハイブリダイゼーションシグナルの散布図における直角三角形パターンのハイブリダイゼーションシグナルが、染色体転座を示し、垂直辺が染色体転座切断点を標示し、第1のマイクロアレイおよび第2のマイクロアレイの両方に共通の染色体位置に対してプロットされたハイブリダイゼーションシグナルの散布図におけるハイブリダイゼーションシグナルのパターンが擬似切断点を示し、それによって、検査試料中の染色体再編成の決定を提供する方法を提供する。
第6の実施形態では、本発明は、被験体における疾患を診断する方法であって、その疾患が染色体再編成に起因し、(a)被験体から生体試料を取得すること、(b)生体試料の細胞から第1のゲノムDNAを単離し、参照試料の細胞から第2のゲノムDNAを単離すること、(c)上記疾患に関連する公知のゲノムの遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを使用し、第1のゲノムDNA試料の線形増幅および標識化を実施して、第1の検出可能な標識を含む増幅された検査DNA産物を生成し、公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを使用し、第2のゲノムDNA試料の線形増幅および標識化を実施して、第2の検出可能な標識を含む増幅された参照DNA産物を生成すること、(d)増幅された検査DNA産物および参照DNA産物を、ゲノムDNA配列を含むDNAマイクロアレイにハイブリダイズさせること、ならびに(e)DNAマイクロアレイへの、増幅された検査DNA産物のハイブリダイゼーションのパターンおよび程度を、増幅された参照DNA産物と比較することによる方法であり、公知のゲノムの遺伝子座のDNAマイクロアレイエレメントとは異なるDNAマイクロアレイエレメントへの、線形増幅された検査試料DNA産物のハイブリダイゼーションが、線形増幅された参照試料DNA産物を上回ることが、DNAマイクロアレイのエレメントを公知のゲノム遺伝子座の再編成パートナーとして同定し、再編成パートナーの同一性(identity)が、被験体における疾患の診断を提供する方法を提供する。
上記の実施形態の一部の態様では、染色体再編成が転座である。上記の実施形態の他の態様では、染色体再編成が、染色体逆位、または1つの染色体遺伝子座に由来するDNA断片の、第2の異なる染色体遺伝子座への挿入である。本発明の他の実施形態では、上記方法は、欠失、重複、増幅、および逆位から選択される染色体異常を検出することをさらに含む。ある実施形態では、複数のタイプの染色体異常の検出が同時に実施される。他の実施形態では、複数のタイプの染色体異常の検出が逐次的に実施される。
上記の実施形態の他の態様では、第1および第2の検出可能な標識が、増幅中に組み込まれるか、またはそうでなければ増幅後に組み込まれる。
上記の実施形態の他の態様では、第1および第2の検出可能な標識は、Cy3およびCy5が含まれ得る蛍光標識である。
上記の実施形態のさらなる態様では、DNAマイクロアレイがタイリング密度DNAマイクロアレイである。
上記の実施形態の別の態様では、公知のゲノム遺伝子座は免疫グロブリン遺伝子に対応する。
本発明の方法の別の実施形態では、公知のゲノム遺伝子座が特定の疾患または疾患状態に関連する遺伝子座に対応する。ある実施形態では、疾患が癌である。特定の実施形態では、癌は、骨髄性白血病などの白血病である。
上記の実施形態の一部の態様では、検査試料の細胞が腫瘍細胞であり、参照試料の細胞が正常細胞であり、腫瘍細胞はリンパ腫または白血病細胞である。
上記の実施形態の一部の態様では、検査試料の細胞が一個体に由来する正常または異常細胞であり、参照試料が第2の個体に由来する正常または異常細胞であり、染色体再編成は、検査試料中に存在するが参照試料には存在しないか、または参照試料中に存在するが検査試料には存在しない転座、逆位、欠失、重複、挿入、または他の複雑な再編成である。
(a)Jおよびスイッチ反復領域を示すIgH遺伝子座;(b)Jプライマーを使用した線形増幅;(c)S(Sγαε)プライマーを使用した線形増幅;(d)典型的な転座CGH(tCGH)実験の概略を例示する図である。 公知のIgH転座切断点を有する細胞系のtCGHデータを例示する図である。(a)DHL16細胞系のJ−BCL2切断点(マイナークラスター領域);(b)MC116細胞系のJ−MYC切断点;(c)U266細胞系のSα−CCND1切断点;(d)OCI−Ly8細胞系のSγ−BCL6切断点。 (a)RL7細胞系のJ−BCL2切断点およびBCL2欠失の解析を例示する図である。(i)RL7+J(Cy3)/正常+J(Cy5)−切断点および欠失;(ii)RL7−J(Cy3)/正常−J(Cy5)−欠失のみ;(iii)RL7+H(Cy3)/RL7−J(Cy5)−切断点のみ。パート(b)部分は、上記の3つ全ての実験について、RL7/BCL2アレイデータのオーバーレイを例示する。パート(c)は、MO2058細胞系のJ−CCND1切断点およびCCND1重複/欠失の解析を例示する:(i)MO2058+J(Cy3)/正常+J(Cy5)−切断点および重複/欠失;(ii)MO2058−J(Cy3)/正常−J(Cy5)−重複/欠失のみ;(iii)MO2058+J(Cy3)/Granta−J(Cy5)−切断点のみ。パート(d)は、上記の3つ全ての実験について、MO2058/CCND1アレイデータのオーバーレイを例示する。 OCI−Ly8細胞系で同定された複数のIgH切断点を例示する図である。(a)J−BCL2−「der(14)」切断点;(b)SγRプライマーを使用して同定されたSγ3−BCL6−「der(3)」切断点;(c)SγRプライマーを使用して同定されたSγ−MYC−「der(8)」切断点;(d)SγFプライマーを使用して同定されたSγ−BCL6−「der(14)」切断点。 6分間(薄線)対10分間(濃線)の線形増幅伸長時間が切断点プロファイルに与える影響を例示する図である。パート(a)は、OCI−Ly8細胞系のSγ−BCL6切断点を例示し、パート(b)部分は、OCI−Ly8細胞系のSγ−BCL6切断点を例示する。 異なるJ−CCND1切断点を示す5つの原発性マントル細胞リンパ腫のtCGH解析を例示する図である。 典型的な転座CGH(tCGH)実験の概要を提供する図である。 tCGH系を確立および検証するためにモデル系として使用された種々のB細胞リンパ腫および形質細胞骨髄腫におけるパートナー遺伝子座を伴う典型的なIgH転座の概要を提供する図である。 der(14)染色体におけるIgH切断点および多数のDセグメントにおける相互切断点を有するVDJ関連転座のtCGH検出用の設定を例示する図である。 BCL2マイナー転座クラスターに位置する相互J−BCL2(a)およびBCL2−D(b)融合、OCI−Ly8リンパ腫細胞系に見出された両相互Sγ3−BCL6融合(cおよびd)、逆位に配向された非IgH BCL6エキソン1再編成(e)、バーキットリンパ腫細胞系MC116のIgH−MYC融合(f)、および逆位に配向された非IgH MYC再編成(i)を含む他の幾つかのMYC再編成(g〜i)のtCGH解析を例示する図である。 BCL2マイナー転座クラスターに位置する相互J−BCL2(a)およびBCL2−D(b)融合、OCI−Ly8リンパ腫細胞系に見出された両相互Sγ3−BCL6融合(cおよびd)、逆位に配向された非IgH BCL6エキソン1再編成(e)、バーキットリンパ腫細胞系MC116のIgH−MYC融合(f)、および逆位に配向された非IgH MYC再編成(i)を含む他の幾つかのMYC再編成(g〜i)のtCGH解析を例示する図である。 BCL2マイナー転座クラスターに位置する相互J−BCL2(a)およびBCL2−D(b)融合、OCI−Ly8リンパ腫細胞系に見出された両相互Sγ3−BCL6融合(cおよびd)、逆位に配向された非IgH BCL6エキソン1再編成(e)、バーキットリンパ腫細胞系MC116のIgH−MYC融合(f)、および逆位に配向された非IgH MYC再編成(i)を含む他の幾つかのMYC再編成(g〜i)のtCGH解析を例示する図である。 BCL2マイナー転座クラスターに位置する相互J−BCL2(a)およびBCL2−D(b)融合、OCI−Ly8リンパ腫細胞系に見出された両相互Sγ3−BCL6融合(cおよびd)、逆位に配向された非IgH BCL6エキソン1再編成(e)、バーキットリンパ腫細胞系MC116のIgH−MYC融合(f)、および逆位に配向された非IgH MYC再編成(i)を含む他の幾つかのMYC再編成(g〜i)のtCGH解析を例示する図である。 多数の異なる線形増幅スキーム(a〜e)を使用した、BCL2の大規模(190kb)イントロン内の新規な167kbの中間部欠失におけるコピー数変化のtCGH解析を例示する図である。 多数の異なる線形増幅スキーム(a〜e)を使用した、BCL2の大規模(190kb)イントロン内の新規な167kbの中間部欠失におけるコピー数変化のtCGH解析を例示する図である。 非MTC切断点を有する5件の原発性MCL症例(a〜e)から、原発性リンパ腫における新規なCCDN1切断点を、tCGH解析により同定したことを例示する図である。 非MTC切断点を有する5件の原発性MCL症例(a〜e)から、原発性リンパ腫における新規なCCDN1切断点を、tCGH解析により同定したことを例示する図である。 CCND1遺伝子に及び、MO2058(a〜c)およびGranta(d〜f)細胞系の両方でそれぞれのJH−CCND1切断点接合部へと正確に伸長する重複を、tCGH解析により同定したことを例示する図である。 CCND1遺伝子に及び、MO2058(a〜c)およびGranta(d〜f)細胞系の両方でそれぞれのJH−CCND1切断点接合部へと正確に伸長する重複を、tCGH解析により同定したことを例示する図である。 OCI−Ly8リンパ腫細胞系のIgH−BCL2切断点におけるおよそ6kbの欠失を、tCGH解析により同定したことを例示する図である。 OCI−Ly8リンパ腫細胞系のIgH−BCL2切断点におけるおよそ6kbの欠失を、tCGH解析により同定したことを例示する図である。 α1からSγ4まで伸長し、3’α1エンハンサーを包含する約100kbのIgH定常領域セグメントの、CCND1遺伝子座への新規な潜在的挿入を、SγR(a)およびSγF(b)の両プライマーによる線形増幅を使用したtCGH解析により同定したことを例示する図である。擬似増幅された腫瘍DNAをハイブリダイゼーション対照として使用する場合(c)の、および正常ゲノムDNAを解析する場合(d)の、予測転座切断点から離れた配列のオフターゲット増幅が例示されている。 α1からSγ4まで伸長し、3’α1エンハンサーを包含する約100kbのIgH定常領域セグメントの、CCND1遺伝子座への新規な潜在的挿入を、SγR(a)およびSγF(b)の両プライマーによる線形増幅を使用したtCGH解析により同定したことを例示する図である。擬似増幅された腫瘍DNAをハイブリダイゼーション対照として使用する場合(c)の、および正常ゲノムDNAを解析する場合(d)の、予測転座切断点から離れた配列のオフターゲット増幅が例示されている。 擬似増幅された腫瘍DNAをハイブリダイゼーション対照として使用する場合の、MO2058(a)およびGranta(b)細胞系のおける予測転座切断点から離れた配列のオフターゲット増幅を例示する図である。正常ゲノムDNAを分析すると、同様の結果が見られる(c〜f)。 擬似増幅された腫瘍DNAをハイブリダイゼーション対照として使用する場合の、MO2058(a)およびGranta(b)細胞系のおける予測転座切断点から離れた配列のオフターゲット増幅を例示する図である。正常ゲノムDNAを分析すると、同様の結果が見られる(c〜f)。 等量のDHL16、RL7、およびGranta519ゲノムDNA(「33%希釈」と称する)を混合することによる、tCGH解析の分析感度の決定を例示する図であり、20%および15%希釈試料は、正常ゲノムDNAを混合することにより生成した。その後、Jプライマーを使用して12または20サイクルで試料を増幅し、同様に増幅された正常ゲノムDNAに共ハイブリダイズさせた。 等量のDHL16、RL7、およびGranta519ゲノムDNA(「33%希釈」と称する)を混合することによる、tCGH解析の分析感度の決定を例示する図であり、20%および15%希釈試料は、正常ゲノムDNAを混合することにより生成した。その後、Jプライマーを使用して12または20サイクルで試料を増幅し、同様に増幅された正常ゲノムDNAに共ハイブリダイズさせた。 BCR−ABL平衡転座t(22;9)によって特徴付けられる3つの慢性骨髄性白血病細胞系を、骨髄性プライマー混合物(MPM)およびAMLパイロットアレイを使用して、多重線形増幅およびtCGH解析した結果を例示する図である。 BCR−ABL平衡転座t(22;9)によって特徴付けられる3つの慢性骨髄性白血病細胞系を、骨髄性プライマー混合物(MPM)およびAMLパイロットアレイを使用して、多重線形増幅およびtCGH解析した結果を例示する図である。 BCR−ABL平衡転座t(22;9)によって特徴付けられる3つの慢性骨髄性白血病細胞系を、骨髄性プライマー混合物(MPM)およびAMLパイロットアレイを使用して、多重線形増幅およびtCGH解析した結果を例示する図である。 PML−RARA平衡転座t(15;21)によって特徴付けられる2つの急性前骨髄球性白血病(APL)細胞系(上段パネル)、および染色体逆位inv(16)によって引き起こされるMYH11−CBFB融合によって特徴付けられる2つの急性骨髄単球性白血病/好酸球増多症細胞系(下段パネル)を、骨髄性プライマー混合物(MPM)およびAMLパイロットアレイを使用して、多重線形増幅およびtCGH解析した結果を例示する図である。 PML−RARA平衡転座t(15;21)によって特徴付けられる2つの急性前骨髄球性白血病(APL)細胞系(上段パネル)、および染色体逆位inv(16)によって引き起こされるMYH11−CBFB融合によって特徴付けられる2つの急性骨髄単球性白血病/好酸球増多症細胞系(下段パネル)を、骨髄性プライマー混合物(MPM)およびAMLパイロットアレイを使用して、多重線形増幅およびtCGH解析した結果を例示する図である。 AF9−MLL平衡転座t(9;11)によって特徴付けられるMLL白血病細胞系を、P1/P7プライマー混合物(MPM)およびAMLパイロットアレイを使用して多重線形増幅およびtCGH解析した結果(上段パネル)、およびETO−AML1平衡転座t(8;21)によって特徴付けられるKasumi急性骨髄性白血病細胞系を、821プライマー混合物(MPM)およびAMLパイロットアレイを使用して多重線形増幅およびtCGH解析した結果(下段パネル)を例示する図である。
アレイに基づく比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)は、染色体不均衡に関する研究に革新を起こしたが、一般的には、リンパ腫、白血病、および他の腫瘍の病因および診断に中心的な役割を果たす相互転座のような平衡ゲノム再編成を検出することが不可能である。免疫グロブリン重鎖(IgH)転座パートナーの正確な同定は、例えば、B細胞リンパ腫の分類、および多発性骨髄腫のような形質細胞新生物の予後の予測にとって不可欠である。
IgH転座を平衡ゲノム再編成のモデルとして使用して、本発明者らは、IgH転座パートナーの迅速な同定、およびかつてないほどの分解能での転座関連切断点の正確なマッピングを可能にする、本発明者らが転座CGH(tCGH)と呼ぶアレイCGH法を開発した。下記でより詳細に記述されているように、CGHアレイでIgH転座を検出可能にするために、検査および参照試料に由来するゲノムDNAは、単一IgH連結(J)またはスイッチ(Sμ/Sα/Sε)領域プライマーを使用する酵素線形増幅反応において、アレイハイブリダイゼーションの前に修飾されており、その結果としてIgHプライマーの下流に挿入される場合がある(転座または他の再編成によって)任意の融合パートナー配列の特異的増幅がもたらされる。MYC、BCL2、およびCCND1(サイクリンD1)のような共通のIgHパートナー遺伝子座を表す単一のタイリング密度オリゴヌクレオチドアレイを使用して、tCGHは、MO2058およびGranta519細胞系(マントル細胞リンパ腫)のJ−CCND1切断点、U266(骨髄腫)の細胞遺伝学的に潜在的なSα−CCND1融合、MC116およびRaji(バーキットリンパ腫)のJ−MYCおよびSμ−MYC切断点、ならびにDHL16(大細胞リンパ腫;マイナークラスター領域)のJ−BCL2切断点を含む種々の細胞系および原発性リンパ腫における、ならびに濾胞性リンパ腫(主要切断点領域)の報告症例における公知のIgH融合切断点の組み合わせを同定し、約100bp分解能にまでマッピングすることに成功した。
その後、本発明者らはtCGHを使用して、それらの全てがCCND1主要転座クラスター(MTC)にPCR検出可能な転座切断点を欠如していた、マントル細胞リンパ腫の4つの報告症例およびB細胞前リンパ球性白血病の1つのt(11;14)陽性症例を分析した。5つの新規なCCND1転座切断点が同定され、約100bp分解能にマッピングされ、予測切断点を増幅、配列決定、および確認するための患者特異的PCRプライマーの迅速設計が可能になった。1つの切断点がMTCの500bp内にマッピングされたが、他の4つは、MTCを隣接する約150kb領域にわたって散在していた。本発明者らの知る限りでは、これは、現在まで報告されている最も大規模な一連の非MTCマントル細胞リンパ腫切断点配列を表す。これらの結果は、tCGHがどのようにして、非常に大きなゲノム領域に分散しているこれまで未確認のIgH転座切断点の迅速クローニングを容易にすることができるのかについても例示する。tCGHは、ゲノムDNAを必要とするだけであり、平衡IgH転座およびゲノム不均衡の両方を超高分解能で同時に同じアレイ上で検出することができるため、B細胞および形質細胞新生物の臨床検査用の分子細胞遺伝学的方法(例えば、FISH)に対する有用な代替法であり得る。tCGHは、微小残存病変を検出するための高感度な切断点特異的PCRアッセイの開発も容易にするであろう。最後に、線形増幅反応で使用されるプライマーは完全に特別注文で作ることが可能であるため、tCGHは、融合パートナーのうちの1つが公知であれば、非IgH遺伝子座を伴う他の平衡転座(または、より複雑なゲノム融合)を同定およびマッピングするように、容易に適合させることができる。
1つの実施形態では、本発明は、染色体再編成を検出する方法であって、(a)標的ゲノム遺伝子座を増幅するステップと、(b)前記増幅産物を核酸アレイにハイブリダイズさせるステップと、(c)前記ハイブリダイゼーションパターンを参照と比較するステップとを含み、前記増幅が線形増幅であり、増幅されたゲノム遺伝子座のハイブリダイゼーションが参照と比較して異なることが、ゲノム再編成の存在を示す方法を提供する。ある実施形態では、ゲノム再編成は、平衡転座または逆位などの平衡再編成である。
1つの実施形態では、本発明は、平衡染色体転座を検出する方法を提供する。ある実施形態では、本発明の方法は、(a)標的ゲノム遺伝子座を増幅するステップと、(b)前記増幅産物を核酸アレイにハイブリダイズさせるステップと、(c)前記ハイブリダイゼーションパターンを参照と比較するステップとを含み、前記増幅が線形増幅であり、直角三角形のハイブリダイゼーションパターンの存在が平衡染色体転座の存在を示す方法を提供する。本発明のある実施形態では、前記直角三角形のハイブリダイゼーションパターンは、非対称ハイブリダイゼーションパターンを含む。ある実施形態では、本発明の方法は、染色体転座に関与する両パートナー遺伝子座における切断点の検出および/またはマッピングを含むことができる。さらに他の実施形態では、本発明の方法は、平衡転座以外の染色体再編成の検出を含む。
上記で提供された方法のある実施形態では、多重線形増幅を使用して複数のアンプリコンを増幅する。特定の実施形態では、前記方法は、複数のゲノム遺伝子座の同時調査を含む。
特定の実施形態では、複数の増幅プライマーが、本発明の方法に使用される。前記複数の増幅プライマーは、疾患に関連する平衡転座に関与する遺伝子座の増幅用プライマーを含んでいてもよい。平衡染色体転座に関連する任意の疾患を、本発明の方法によって検出することができる。本発明の特定の実施形態では、疾患は、リンパ腫または白血病などの癌である。本発明の具体的な実施形態では、MPM混合物、821混合物、P1/P7混合物、および複数のDプライマーから選択される複数のプライマーを、本明細書中で提供された方法で使用することができる。
本発明のある実施形態では、線形増幅の産物を検出するために使用されるアレイは、マイクロアレイまたは高密度タイルアレイ(high density tiled array)を含んでいてもよい。一部の実施形態では、前記アレイは、複数のゲノム遺伝子座のプローブを含んでいてもよい。ある実施形態では、本発明のアレイ上のプローブに対応する少なくとも1つのゲノム遺伝子座は、疾患に関連していてもよい。特定の実施形態では、疾患は、リンパ腫または白血病などの癌であってもよい。具体的な実施形態では、前記アレイはAMLパイロットアレイを含んでいてもよい。
別の実施形態では、本発明の方法は、重複、増幅、欠失、逆位、平衡転座、および不平衡転座(unbalanced translocation)から選択される第2の染色体再編成の検出をさらに含んでいてもよい。ある実施形態では、第1の再編成および第2の再編成の検出は、逐次的でもよくまたは同時であってもよい。特定の実施形態では、本発明の方法は、平衡再編成および不平衡再編成の両方の同時検出を含む。前記平衡および不平衡再編成は、同一ゲノム遺伝子座に存在してもよく、または異なる遺伝子座に存在してもよい。
さらに他の実施形態では、本発明は、平衡染色体転座の検出に使用される新規なキットを提供する。ある実施形態では、本発明のキットは、転座に関与する遺伝子座の線形増幅用プライマーを含む。他の実施形態では、本発明のキットは、転座に関与する遺伝子座に由来する線形増幅産物の検出用アレイを含んでいてもよい。本発明のある実施形態では、キットは、転座に関与する遺伝子座を増幅するための複数のプライマーを含んでいてもよい。さらに他の実施形態では、本発明のキットは、染色体転座に関連する疾患の診断または予後に使用を見出すことができる。具体的な実施形態では、疾患は、リンパ腫または白血病などの癌であってもよい。
1.定義
「染色体再編成」または「染色体異常」という用語は、一般的に、野生型または正常細胞に見出されない様式での、染色体物質のセグメントの異常な連結を指す。染色体再編成の例には、欠失、増幅、逆位、または転座が含まれる。染色体再編成は、自然発生的切断が染色体に生じた後で発生する場合がある。切断(複数可)が染色体の一部分の喪失に帰着する場合、欠失が生じる。染色体のセグメントが切断され、逆向きにされ(反転され)、その元の位置に再挿入される場合に、逆位が生じる。1つの染色体の一部分が別の染色体に由来する一部分と交換される場合、転座が生じる。増幅は、染色体の特定領域の複数コピーに帰着する。染色体再編成は、上記の組み合わせも包含することができる。
「転座」または「染色体転座」という用語は、一般的に、等量または非等量の同一または異なる染色体間での染色体物質の交換を指す。交換は、非相同染色体間で生じることが多い。
「平衡」転座は、一般的に、遺伝物質の純減少または増加のない染色体物質の交換を指す。
「不平衡」転座は、一般的に、染色体物質の追加または欠落に帰着する染色体物質の非等量交換を指す。
「核酸アレイ」または「核酸マイクロアレイ」は、複数の核酸エレメントであり、各々は、プローブ核酸がハイブリダイズされている固体表面に固定化された1つまたは複数の標的核酸分子を含む。そのような固体支持体上に固定することができる核酸分子には、これらに限定されないが、オリゴヌクレオチド、cDNA、およびゲノムDNAが含まれる。本発明の状況では、ゲノム核酸の異なるセグメントに対応する配列を含有するマイクロアレイが使用される。マイクロアレイのゲノムエレメントは、ある生物の全ゲノムを表すか、またはそうでなければゲノムの規定された領域、例えば特定の染色体またはその近接セグメントを再現していてもよい。
ゲノムタイリングマイクロアレイは、目的ゲノム領域全体の完全な、またはほぼ完全な再現を提供するように設計された重複オリゴヌクレオチドを含む。
比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)は、一般的に、所与の被験体のDNAのDNA含量および多くの場合腫瘍細胞におけるコピー数変化(増加/減少)を解析するための分子細胞遺伝学的方法を指す。癌の状況では、上記方法は、標識腫瘍DNA(蛍光標識を有することが多い)および正常DNA(第2の異なる蛍光標識を有することが多い)を、正常なヒト分裂中期調製物にハイブリダイゼーションさせることに基づく。落射蛍光顕微鏡および定量的画像解析を使用して、増加/減少対対照DNAの蛍光比率の領域差を検出し、ゲノムの異常領域の同定に使用することができる。CGHは、一般的に不平衡染色体変化のみを検出するであろう。平衡相互転座または逆位などの構造的染色体異常は、コピー数を変更しないため検出することができない。例えば、Kallioniemiら、Science 258巻:818〜821頁(1992年)を参照されたい。
「染色体マイクロアレイ解析(CMA)」または「アレイCGH」と称する変化型のCGHでは、被験体組織および正常対照組織(参照)に由来するDNAは、異なって標識化される(例えば、異なる蛍光標識を用いて)。反復DNA配列を抑制するために被験体および参照DNAを非標識ヒトcot1DNAと共に混合した後、混合物を、一般的には正常参照細胞に由来する複数の規定DNAプローブを含有するスライドにハイブリダイズさせる。例えば、米国特許第5,830,645号明細書、第6,562,565号明細書を参照されたい。オリゴヌクレオチドをマイクロアレイ上のエレメントとして使用する場合、100kbの分解能を可能にするBACアレイを使用した場合と比べて、典型的には20〜80塩基対の分解能を取得することができる。アレイのエレメントに沿った(蛍光)色比率を使用して、被験体試料におけるDNA増加または減少の領域を評価する。
「直角三角形パターンのハイブリダイゼーション」または「直角三角形ハイブリダイゼーションパターン」という用語は、一般的に、(i)再編成切断点を標示する単一個別境界、および(ii)ハイブリダイゼーションシグナル(または、その比率もしくは対数比率)がセントロメアまたはテロメアのいずれかの方向で基線に向かって徐々に復帰することによって特徴付けられ、個別的でない第2の境界に帰着する任意の非対称ハイブリダイゼーションシグナルパターンを含む、ハイブリダイゼーションシグナル対染色体位置の(または、ハイブリダイゼーションシグナル比率もしくはその対数の)プロットにおける非対称パターンを指す。
「増幅」または「増幅反応」は、酵素反応を含む任意の化学反応を指し、テンプレート核酸配列のコピー増加に帰着する。増幅反応には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびリガーゼ連鎖反応(LCR)(米国特許第4,683,195号明細書および第4,683,202号明細書、PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications (Innisら編、1990年)を参照)、鎖置換増幅(SDA)(Walkerら、Nucleic Acids Res. 20巻(7号):1691頁(1992年);Walker PCR Methods Appl 3巻(1号):1頁(1993年))、転写媒介性増幅(Phyfferら、J. Clin. Microbiol. 34巻:834頁(1996年);Vuorinenら、J. Clin. Microbiol. 33巻:1856頁(1995年))、核酸配列に基づく増幅(NASBA)(Compton、Nature 350巻(6313号):91頁(1991年))、ローリングサークル増幅(RCA)(Lisby、Mol. Biotechnol. 12巻(1号):75頁(1999年));Hatchら、Genet. Anal. 15巻(2号):35頁(1999年))、および分岐DNAシグナル増幅(bDNA)(例えば、Iqbalら、Mol. Cell Probes 13巻(4号):315頁(1999年)を参照)が含まれる。
線形増幅とは、DNAの指数関数的増幅に帰着しない増幅反応を指す。DNAの線形増幅の例には、本明細書中に記述されているように、単一プライマーのみが使用される場合、PCR法によるDNA増幅が含まれる。Liu, C. L.、S. L. Schreiberら、BMC Genomics、4: Art. No. 19、2003年5月9日も参照されたい。他の例には、なかでも鎖置換増幅(SDA)(Walkerら、Nucleic Acids Res. 20巻(7号):1691頁(1992年);Walker PCR Methods Appl 3巻(1号):1頁(1993年)などの等温増幅反応が含まれる。
増幅反応に使用される試薬には、例えば、オリゴヌクレオチドプライマー;ホウ酸塩、リン酸塩、炭酸塩、バルビタール、トリスなどに基づく緩衝液(米国特許第5,508,178号明細書を参照);塩化カリウムまたは塩化ナトリウムなどの塩;マグネシウム;デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP);Taq DNAポリメラーゼなどの核酸ポリメラーゼ;ならびにDMSO;ならびにゼラチン、ウシ血清アルブミン、および非イオン性界面活性剤(例えばTween−20)などの安定化剤が含まれる。
「プローブ」とは、一般的に、特定の目的核酸配列に相補的な核酸を指す。
「プライマー」という用語は、増幅反応におけるポリヌクレオチドの合成を準備する核酸配列を指す。典型的には、プライマーは、約100個未満のヌクレオチドを含み、好ましくは約30個未満のヌクレオチドを含む。例示的なプライマーは、約5個から約25個までのヌクレオチドに及ぶ。
「標的」または「標的配列」とは、増幅反応において増幅されることが求められている一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチド配列を指す。
「核酸」または「ポリヌクレオチド」という語句は、一本鎖または二本鎖形態のいずれかのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびそれらのポリマーを指す。この用語は、合成、天然、および非天然であり、参照核酸と同様の結合特性を有し、参照ヌクレオチドと同様の様式で代謝される、公知のヌクレオチド類似体または修飾された骨格残基または連結を含有する核酸を包含する。そのような類似体の例には、これらに限定されないが、ホスホロチオエートおよびホスホロアミノ酸塩、メチルホスホン酸塩、キラルメチルホスホン酸塩、2−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)が含まれる。
2つの核酸配列またはポリペプチドは、下記に記述されているように最大一致でアラインした際に、この2つの配列のヌクレオチドまたはアミノ酸残基の配列がそれぞれ同じであれば、「同じである」と言う。「〜に相補的な」という用語は、本明細書中で使用される場合、第1の配列の全てが、参照ポリヌクレオチド配列の少なくとも一部分に相補的であることを意味する。
「〜に選択的に(または特異的に)ハイブリダイズする」という語句は、その配列が複合混合物中に存在する場合、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下において、分子が、特定ヌクレオチド配列のみに対して結合、二本鎖形成、またはハイブリダイズすることを指す。
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という語句は、典型的には核酸の複合混合物中で、プローブがその標的配列にハイブリダイズするが、他の配列にはハイブリダイズしないであろう条件を指す。ストリンジェントな条件は、配列依存的であり、異なる環境では異なることになろう。より長い配列は、より高い温度で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションの詳細な指針は、Tijssen、Techniques in Biochemistry and Molecular Biology − Hybridization with Nucleic Probes、「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays」(1993年)に見出される。一般的に、ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度pHにおける特異的配列の熱融解点(Tm)より約5〜10℃低くなるように選択される。Tmは、標的に相補的なプローブの50%が、平衡状態で標的配列にハイブリダイズする(標的配列が過剰に存在するため、Tmでは、平衡状態でプローブの50%が占有されている)温度(規定のイオン強度、pH、および核酸濃度下における)である。ストリンジェントな条件は、塩濃度が、pH7.0〜8.3で約1.0M未満のナトリウムイオン、典型的には約0.01〜1.0Mのナトリウムイオン濃度(または他の塩)であり、温度が、短いプローブ(例えば、10〜50個のヌクレオチド)の場合は少なくとも約30℃であり、長いプローブ(例えば、50個を超えるヌクレオチド)の場合は少なくとも約60℃である条件になるであろう。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加でも達成することができる。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションの場合、陽性シグナルは、少なくとも背景信号の2倍、好ましくは背景ハイブリダイゼーションの10倍である。当業者であれば、代替的なハイブリダイゼーションおよび洗浄条件を使用して、同様のストリンジェンシー条件を提供することができることを容易に認識するであろう。
PCRの場合、アニーリング温度はプライマー長に依存して約32℃から48℃の間で変動する場合があるが、低ストリンジェンシー増幅では、約36℃の温度が典型的である。高ストリンジェンシーPCR増幅の場合、高ストリンジェンシーアニーリング温度は、プライマー長および特異性に依存して約50℃から約65℃までに及ぶ場合があるが、約62℃の温度が典型的である。高および低ストリンジェンシー増幅の典型的なサイクル条件には、30秒〜2分間の90℃〜95℃の変性段階、30秒〜2分間続くアニーリング段階、および1〜2分間の約72℃の伸長段階が含まれる。
2.転座CGH(tCGH)の概要
上記方法は、染色体異常、特に染色体転座を検出およびマッピングするために使用することができる。1つの実施形態では、本発明の方法は、患者試料などの検査試料から得られたゲノム核酸の第1の集団、および参照試料から得られたゲノム核酸の第2の集団を使用する。参照試料は、いかなる遺伝子異常も含有していない、つまり全染色体の正常な遺伝子構成要素を有する個体または任意の細胞培養もしくは組織培養から得られた、本明細書中で提供されているような任意の細胞、組織、または液体であってもよい。本発明は、転座パートナーの配列に伸長して、転座対の両方のメンバーを含むプローブ分子を生成する、ゲノム遺伝子座により包含された配列の線形増幅を実施するために、特定のゲノム遺伝子座に特異的なプライマーの使用を利用する。同時に、参照プローブも、参照細胞に由来するゲノムDNAの線形増幅を使用して、検査試料について記述されている様式で生成される。検査および参照プローブは、異なって標識化されており、例えばCy3およびCy5が用いられているが、多数の好適な蛍光標識対が当技術分野において公知である。その後、異なって標識されたプローブは、ゲノムDNAを含むマイクロアレイにハイブリダイズされる。一般的に、マイクロアレイのゲノムDNA配列は、特定の生物のデータベース配列、例えばヒト、マウス、またはラットゲノムの完全データベースなどの参照供給源に由来する。参照試料に由来する類似プローブのハイブリダイゼーションと比較した、検査試料プローブのハイブリダイゼーションのパターンおよび程度は、公知のゲノム遺伝子座の転座パートナーの同定を可能にする。タイリング密度マイクロアレイなどの高密度マイクロアレイの使用は、転座の切断点の高分解能マッピングを可能にする。
したがって、目的のゲノム遺伝子座に転座が存在する場合、参照細胞に由来するゲノムDNA配列を含むマイクロアレイへの、検査プローブのハイブリダイゼーションは、公知のゲノム遺伝子座に対応するエレメントに関連するシグナル、ならびに別のゲノム遺伝子座に関連するマイクロアレイのエレメントと関連するシグナルに帰着するであろう。他のゲノム遺伝子座に関連するシグナルは、その遺伝子座を、公知のゲノム遺伝子座の転座パートナーとして同定する。対照的に、参照プローブとマイクロアレイのハイブリダイゼーションは、公知の遺伝子座に対応するマイクロアレイエレメントと排他的に関連するハイブリダイゼーションに帰着し、検査プローブで観察されるような別のゲノム遺伝子座に関連するハイブリダイゼーションシグナルはないであろう。
高密度タイリングマイクロアレイを使用する場合、転座の切断点は、ハイブリダイゼーションが、ゲノムDNAの近接セグメントを構成する一連のマイクロアレイエレメントのどこで始まりどこで終わるかを決定することによって確認することができる。したがって、検査プローブを使用すると、公知のゲノム遺伝子座に対応する一連のエレメントに沿った特定の地点でハイブリダイゼーションが停止し、参照プローブを使用すると、ハイブリダイゼーションが上記一連に沿って継続することは、ハイブリダイゼーションが停止する地点を、公知のゲノム遺伝子座の転座切断点として同定する。同様に、検査プローブによるハイブリダイゼーションが、公知のゲノム遺伝子座とは異なる遺伝子座に対応する一連のエレメントで始まり、参照プローブによるハイブリダイゼーションが陰性である地点は、ハイブリダイゼーションが生じる最初のエレメントが、公知のゲノム遺伝子座の転座パートナーの切断点であることを示す。
特に、本発明の方法の2つの一般的な実施形態を下記に記述する。実施形態の各々は、以下の4つの線形増幅(LA)反応の実施を伴う:
(1)「T+」:LAプライマー(目的のゲノム遺伝子座内の公知の配列に対するプライマー)を使用して、検査(例えば腫瘍)DNAを増幅すること、
(2)「N+」:LAプライマーを使用して、正常DNAを増幅すること、
(3)「T−」:検査(例えば腫瘍)DNAを擬似増幅すること(つまり、プライマーが存在しない)、
(4)「N−」:正常DNAを擬似増幅すること(つまり、プライマーが存在しない)。
各実施形態(下記でタイプAおよびタイプB実験と表示されている)では、同じ4つの反応を、異なる対の組み合わせで2つの別々の2色アレイに共ハイブリダイズさせる(標識後に)。下記に記述されているように、2つの(2色)アレイの比較は染色体再編成情報をもたらすが、得られた情報は実験タイプに依存して異なり、タイプAおよびBの両方は転座切断点を示すが、タイプA実験はゲノム不均衡も示す。
タイプA実験:
ステップ1:T+およびN+試料を1つのアレイに共ハイブリダイズさせる(「T+/N+アレイ」)。このアレイは、転座切断点およびゲノム不均衡の両方を検出するであろう。
ステップ2:T−およびN−試料を第2のアレイに共ハイブリダイズさせる(「T−/N−アレイ」)。このアレイは、ゲノム不均衡を検出するが、転座切断点は検出しないであろう。
ステップ3:T+/N+およびT−/N−アレイの結果を、以下のように解析および比較する:
a)転座切断点は、T+/N+アレイで見られるが、T−/N−アレイでは見られない。典型的には、転座切断点は直角三角形のように見え、垂直辺は切断点の位置を標示し、水平脚部は切断点から遠ざかる方向を指す。
b)ゲノム不均衡は、T+/N+およびT−/N−アレイの両方で見られる。典型的には、不均衡は長方形のように見え、垂直辺は、重複または欠失ゲノム領域の2つの末端を標示する。
タイプB実験:
ステップ1:T+およびT−試料を1つのアレイに共ハイブリダイズさせる(「T+/T−アレイ」)。T+/T−アレイは、真正の転座切断点および「偽切断点」を検出するが、ゲノム不均衡は検出しないであろう。偽切断点は、ゲノム全体にわたる複数部位での、恐らくはプライマー配列に対するそれらの相同性に基づく「非特異的な」プライマー結合に起因する。偽切断点も、形状が直角三角形である。
ステップ2:N+およびN−試料を第2のアレイに共ハイブリダイズさせる(「N+/N−アレイ」)。N+/N−アレイは、「偽切断点」のみを検出するが、N+およびN−試料の両方が正常DNAで開始するため、真正の転座切断点もゲノム不均衡も検出しない。
ステップ3:T+/T−およびN+/N−アレイの結果を、以下のように解析および比較する:
a)転座切断点は、T+/T−アレイで見られるが、N+/N−アレイでは見られない。
b)偽切断点は、T+/T−およびN+/N−アレイの両方で見られ、無視される。
3.生体試料
1つの態様では、本発明の方法は、検査試料の染色体異常を検出するために使用することができる。一般的に、検査試料は患者から取得される。検査試料は、染色体または遺伝子異常に関連した病態または状態を有すると推測される患者から得られた細胞、組織、または液体を含有することができる。診断または予後の目的では、病態または状態は、一般的には、遺伝子欠損、例えばゲノム核酸塩基置換、増幅、欠失、および/または転座と関連している。検査試料は、癌細胞またはそのような細胞に由来する核を含有していることが推測されてもよい。試料には、これらに限定されないが、羊水、生検、血液、血液細胞、骨髄、脳脊髄液、糞便試料、細針生検試料、腹水、血漿、胸膜液、唾液、精液、血清、痰、涙、組織または組織ホモジェネート、組織培養培地、および尿などが含まれていてもよい。また、試料は、組織の切り出し、分画、精製、または細胞器官分離などの処理をされていてもよい。
細胞、組織、または液体試料を単離する方法は、当業者に周知であり、これらに限定されないが、吸引、組織切片、血液または他の液体の採取、および外科または針生検などが含まれる。患者に由来する試料には、組織学的目的のために採取された凍結切片またはパラフィン切片が含まれていてもよい。また、試料は、上清(細胞培養の)、細胞の溶解産物、組織培養からの細胞に由来するものでもよく、その中で染色体異常を含むモザイク性のレベルおよびコピー数を検出するのが望ましい場合がある。
1つの実施形態では、癌性細胞を含有していると推測される試料は、ヒト患者から取得される。試料は、静脈穿刺、腰椎穿刺、唾液または尿などの液体試料、組織、または針生検などのような周知の技術を使用して、患者から取り出すことができる。癌性細胞を含有する腫瘍を有していると推測される患者では、試料は、例えば、腫瘍生検、細針吸引物、または切除された腫瘍に由来する切片を含む、腫瘍の生検または外科標本を含んでいてもよい。洗浄標本は、例えば頸部、気管支、膀胱などの場合、任意の目的領域を生理食塩水で洗浄することで調製することができる。患者試料は、呼気分析器を用いて採取されるような、または咳もしくはくしゃみから得られるような呼気試料を含むこともできる。生体試料は、組織および/または血液が保管されている細胞バンクもしくは血液バンクから、または細胞培養などのin vitro供給源から取得することもできる。試料供給源として使用するための細胞培養を確立するための技術は、当業者に周知である。
種々の疾患に関与していることが公知である転座の例には、これらの限定されないが、t(2;5)(p23;q35)−未分化大細胞リンパ腫;t(8;14)−バーキットリンパ腫(c−myc);t(9;22)(q34;q11)−フィラデルフィア染色体、CML、ALL;t(11;14)−マントル細胞リンパ腫(Bcl−1);t(11;22)(q24;q11.2〜12)−ユーイング肉腫;t(14;18)(q32;q21)−濾胞性リンパ腫(Bcl−2);t(17;22)−隆起性皮膚線維肉腫;t(15;17)−急性前骨髄球性白血病;t(1;12)(q21;p13)−急性骨髄性白血病;t(9;12)(p24;p13)−CML、ALL(TEL−JAK2);t(X;18)(p11.2;q11.2)−滑膜肉腫;t(1;11)(q42.1;q14.3)−統合失調症;t(12;15)(p13;q25)−(TEL−TrkC);急性骨髄性白血病、先天性線維肉腫、分泌性乳癌が含まれる。
したがって、本発明は、染色体転座の存在を検出し、転座パートナーの同一性を決定することにより、染色体再編成、特に染色体転座によって引き起こされる疾患を予測、診断、または予後を提供する方法も提供する。例えば、バーキットリンパ腫の診断が所望の場合、適切な免疫グロブリン調節遺伝子座を線形増幅するためのプライマーを使用して、ヒトマイクロアレイへの、ハイブリダイゼーション用のプローブが生成されるであろう。本発明の方法を使用して、免疫グロブリン遺伝子座の転座パートナーがMYCの遺伝子であると同定される場合、バーキットリンパ腫の診断が示されるであろう。1つの実施形態では、本発明の方法は、平衡染色体転座に関連する癌の診断または予後に特に良好に好適である。
「癌」という用語は、ヒト癌および癌腫、白血病、肉腫、腺癌、リンパ腫、固形およびリンパ系癌などを指す。様々なタイプの癌の例には、これらに限定されないが、単球性白血病、骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、および急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、前骨髄球性白血病、乳癌、胃癌、膀胱癌、卵巣癌、甲状腺癌、肺癌、前立腺癌、子宮癌、精巣癌、神経芽腫、頭部、頸部、子宮頸部、および膣の扁平上皮癌、多発性骨髄腫、軟部組織および骨原性肉腫、結腸直腸癌、肝臓癌(つまり肝細胞癌)、腎癌(つまり腎細胞癌)、胸膜癌、膵臓癌、子宮頸癌、肛門癌、胆管癌、消化管カルチノイド腫瘍、食道癌、胆嚢癌、小腸癌、中枢神経系の癌、皮膚癌、絨毛癌;骨原性肉腫、線維肉腫、神経膠腫、黒色腫、B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、小細胞型リンパ腫、ならびに大細胞型リンパ腫などが含まれる。
別の実施形態では、本発明の方法は、胎児の染色体または遺伝子異常を検出するために使用することができる。例えば、胎児の出生前診断は、染色体または遺伝子異常を有する胎児を妊娠するリスクが増加している女性のために行うことができる。リスク因子は当技術分野で周知であり、例えば、高齢母体、出生前スクリーニングにおける異常な母体血清マーカー、これまでの子供の染色体異常、これまでの子供が身体的奇形および未知の染色体状態を有すること、親の染色体異常、ならびに再発性自然流産が含まれる。
本発明の方法は、任意のタイプの胚性細胞または胎児細胞を使用した、出生前診断を実施するために使用することができる。胎児細胞は、妊娠している女性から、または胚の試料から取得することができる。したがって、胎児細胞は、羊水穿刺によって得られる羊水、注射器によって吸引された絨毛膜絨毛、経皮的臍帯血、胎児の皮膚生検、4細胞期から8細胞期までの胚に由来する卵割球(着床前)、または胚盤胞に由来する栄養外胚葉試料(着床前または子宮洗浄による)に存在する。十分な量のゲノム核酸を有する体液も使用することができる。
1つの実施形態では、本発明のtCGH法は、染色体転座に関与する両パートナー遺伝子の切断点を検出およびマッピングすることを含む(例えば、図7の遺伝子AおよびBを参照)。転座の両パートナー遺伝子を検出する場合、遺伝子A、例えばプライマーによって標的とされた遺伝子の線形増幅によって産生されたアンプリコンは、「逆」直角三角形パターンのハイブリダイゼーションに帰着するであろう(例えば、それぞれBCL6およびMYCアンプリコンの逆ハイブリダイゼーションパターンを示す図10eおよび10iを参照)。
第2の実施形態では、本発明は、複数の遺伝子座の染色体再編成を同時に検出するための多重線形増幅を含むtCGH解析方法を提供する。1つの実施形態では、多重増幅は、線形増幅プライマーの混合物を使用して実施される。1つの例では、7つのDプライマーの混合物(表3を参照)を使用して、複数のD再編成を網羅することができる(van Dongen、Langerakら、Leukemia 17巻(12号):2257〜317頁(2003年))。別の実施形態では、骨髄性白血病に関連する遺伝子座の線形増幅用の5つのプライマーの混合物(MPM混合物、表5を参照)を使用して、3つの異なる骨髄性白血病転座:(1)CML(慢性骨髄性白血病)のBCR−ABL融合=t(9;22)、(2)急性前骨髄球性白血病中のPML−RARA融合=t(15;17)、および(3)inv(16)/t(16;16)を有する急性骨髄性白血病(AML)を増幅することができる。さらに他の実施形態では、821プライマー混合物またはP1/P7プライマー混合物(表5)を使用して、平衡転座のtCGH解析と共に多重線形増幅をすることができる。
第3の実施形態では、本発明により提供される方法は、平衡転座以外の染色体再編成を検出することを含む。ある実施形態では、この染色体再編成は、欠失、重複、増幅、逆位、または不平衡転座を含んでいてもよい。例えば、図11eは、tCGH解析が、欠失切断点を横断する増幅により、イントロン性中間部BCL2欠失を検出したことを示す。同様に、図19は、tCGH解析によって、MYH11およびCBFB遺伝子inv(16)を融合する染色体逆位が検出されたことを示す(下段パネル)。
第4の実施形態では、本発明は、平衡再編成および不均衡染色体異常の両方の同時検出を含んでいてもよい。ある実施形態では、本発明の方法は、不均衡の切断点が平衡再編成の切断点と一致する場合に、同時検出を可能にする。例えば、図13は、MO2058およびGranta519細胞系の両方の平衡転座および染色体重複が、IgH−CCND1転座切断点で同時に検出されたことを示す。
第5の実施形態では、本発明は、染色体再編成を検出することにより、個体の疾患を診断またはその予後を提供する方法を提供する。1つの実施形態では、本発明は、個体のリンパ腫を診断する方法であって、表2に見出されるものから選択される新規の切断点を、前記個体からの試料中に検出することを含む方法を提供する。ある実施形態では、上記方法は、B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、バーキットリンパ腫、B細胞リンパ腫、および濾胞中心リンパ腫(FCL)から選択される疾患の検出を含む。ある実施形態では、検出は、PCR解析、配列決定、質量分析、ハイブリダイゼーションまたはtCGH解析による。表2に列挙されている新規な転座のPCR解析または配列決定に好適なプライマーには、これらに限定されないが、配列番号27、28、30、31、33、34、36、37、39、40、42、43、45、46、48、49、51、52、54、55、57、58、60、61、63、64、およびそれらの機能的な等価物が含まれる。
1つの具体的な実施形態では、本発明は、個体に由来する生体試料中にIgH−CCND1転座を検出することにより、個体のB細胞リンパ腫またはマントル細胞リンパ腫(MCL)を診断またはその予後を提供し、CCND1切断点が、chr11:69,055,996、chr11:69,100,509、chr11:69,131,130、chr11:69,056,460、68,989,831、chr11:69,082,854、chr11:69,059,199、およびchr18:58,944,421からなる群から選択される方法を提供する。第2の具体的な実施形態では、本発明は、個体に由来する生体試料中にIgH−CCND1転座検出することにより、個体の骨髄腫を診断またはその予後を提供し、CCND1切断点が、chr11:69,153,045またはchr11:69,153,019である方法を提供する。第3の具体的な実施形態では、本発明は、個体に由来する生体試料中にIgH−BCL2転座を検出することにより、個体のDLBCLを診断またはその予後を提供し、BCL2切断点が、chr18:58,944,489、chr18:58,914,890、chr18:58,944,475、およびchr18:58,938,252から選択される方法を提供する。第4の具体的な実施形態では、本発明は、個体に由来する生体試料中にIgH−BCL6転座を検出することにより、個体のDLBCLを診断またはその予後を提供し、BCL2切断点が、chr3:188,945,670またはchr3:188,945,699である方法を提供する。第5の具体的な実施形態では、本発明は、個体に由来する生体試料中にIgH−MYC転座を検出することにより、個体のB細胞リンパ腫を診断またはその予後を提供し、MYC切断点が、chr8:128,818,596、chr8:128,817,581、またはchr8,128,816,104である方法を提供する。
4.平衡転座検出用プローブの産生
転座の検出には、転座の潜在的部位に及ぶDNAの線形増幅に帰着する任意の方法を使用することができる。本発明の実施に使用することができる線形増幅法の例には、単一プライマーを使用するPCR増幅が含まれる。Liu, C. L.、S. L. Schreiberら、BMC Genomics、4巻: Art. No. 19、2003年5月9日を参照されたい。
例示的な一組の線形増幅条件には、1μgのゲノムDNA、200mMのdNTP、および150nMの線形増幅プライマーを含有する50μl容積中の反応が含まれる。増幅は、Advantage2 PCR酵素系(Clontech社製)を以下のように使用して実施することができる:95℃で5分間の変性、その後(95℃/15秒、60℃/15秒、および68℃/6分)の12サイクル。
プローブは、線形増幅過程の間または増幅が生じた後で標識することができる。下記で概説されている具体的な例では、標識は、DNAポリメラーゼを用いたオリゴヌクレオチド(ランダム六量体)媒介性プライマー伸長による線形増幅後の別のステップにおいて組み込まれる。このプロトコールでは、元のゲノムDNA試料および線形増幅産物の両方が、シグナルを発生する標識プローブを生じさせるであろう。ハイブリダイゼーション後、その結果生じたデータは、正常なaCGHで見られるようなゲノムDNAシグナルとの違いから両染色体異常に関する情報をもたらすだけでなく、線形増幅産物から発生するシグナルの違いからもたらされる染色体再編成も明らかにするであろう。標識dNTPが線形増幅ステップで含まれていれば起るであろうように、標識が単に線形増幅産物に組み込まれていれば、転座だけが明らかにされ、増幅および欠失のような染色体異常は明らかにならないであろう。有用な標識には、例えば、蛍光染料(例えば、Cy5、Cy3、FITC、ローダミン、ランタミドリン光体(lanthamide phosphor)、テキサスレッド)、32P、35S、H、14C、125I、131I、高電子密度剤(例えば、金)、例えばELISAで一般的に使用されるような酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、比色標識(例えば、コロイド金)、磁気標識(例えば、Dynabead)、ビオチン、ジオキシゲニン(dioxigenin)、または抗血清もしくはモノクローナル抗体が入手可能であるハプテンおよびタンパク質が含まれる。標識は、検出される核酸に直接組み込むことができ、または検出される核酸にハイブリダイズまたは結合するプローブ(例えば、オリゴヌクレオチド)または抗体に結合させることができる。検出可能な標識は、核酸に組み込まれていてもよく、結合されていてもよく、またはコンジュゲートされていてもよい。核酸と検出可能な標識との間の結合は、共有結合であってもよく、または非共有結合であってもよい。標識は、潜在的な立体障害、または他の有用なもしくは所望の特性への影響を低減するために、種々の長さのスペーサーアームによって結合されていてもよい。
5.マイクロアレイ
以下に開示されているものなどの、任意の公知のマイクロアレイおよび/またはマイクロアレイを作製および使用する方法が、本発明の実施に使用できる:例えば、米国特許第6,277,628号明細書、第6,277,489号明細書、第6,261,776号明細書、第6,258,606号明細書、第6,054,270号明細書、第6,048,695号明細書、第6,045,996号明細書、第6,022,963号明細書、第6,013,440号明細書、第5,965,452号明細書、第5,959,098号明細書、第5,856,174号明細書、第5,830,645号明細書、第5,770,456号明細書、第5,632,957号明細書、第5,556,752号明細書、第5,143,854号明細書、第5,807,522号明細書、第5,800,992号明細書、第5,744,305号明細書、第5,700,637号明細書、第5,556,752号明細書、第5,434,049号明細書。例えば、国際公開第99/51773号パンフレット、国際公開第99/09217号パンフレット、国際公開第97/46313号パンフレット、国際公開第96/17958号パンフレットも参照されたい。例えば、Johnston、Curr. Biol. 8巻:R171〜R174頁、1998年;Schummer、Biotechniques 23巻:1087〜1092頁、1997年;Kern、Biotechniques 23巻:120〜124頁、1997年;Solinas−Toldo、Genes, Chromosomes & Cancer 20巻:399〜407頁、1997年;Bowtell、Nature Genetics Supp. 21巻:25〜32、1999年も参照されたい。米国特許出願公開第20010018642号明細書、第20010019827号明細書、第20010016322号明細書、第20010014449号明細書、第20010014448号明細書、第20010012537号明細書、第20010008765号明細書も参照されたい。
本発明のtCGH法は、様々な市販のCGHアレイ、ならびに商業的に作製できる特注設計のアレイを使用して実施することができる。市販の高密度アレイおよびキットの例には、ヒト、マウス、およびラットゲノム解析用にAgilent Technologies社から入手可能なもの(例えば、G4411BおよびG4412A)、Nimblegen社(Roche社)によって製造されている特注タイリングアレイ、およびAffymetrix社によって作製されている全ゲノムタイリングアレイが含まれる。
1つの実施形態では、本発明は、白血病に関連する平衡転座を検出するための新規な高密度アレイを提供する。ある実施形態では、本発明の高密度アレイは、骨髄性白血病またはリンパ腫などの白血病の診断、予後の提供、および遺伝子型同定に有用である。特定の実施形態では、本発明は、表1、表2、および/または表4に見出される遺伝子座を検出するためのアレイを提供する。ある実施形態では、本発明のアレイは、表2に見出される新規な切断点の検出を可能にする。ある実施形態では、本発明のアレイは、tCGH解析の場合、転座の両パートナー遺伝子の検出を可能にする。特定の実施形態では、本発明は、表4に概説されているようなAML高密度アレイを提供する。
さらに別の実施形態では、本発明は、癌などの疾患に関連する平衡転座の検出に有用なプライマー混合物を提供する。特定の実施形態では、癌は、白血病または骨髄性白血病である。ある実施形態では、本発明により提供されるプライマー混合物は、疾患に罹患している個体の平衡転座に通常は関与しているゲノム遺伝子座の線形増幅に有用である。一部の実施形態では、本発明のプライマー混合物は、多重線形増幅および多重tCGH解析に有用である。本発明の具体的な実施形態では、プライマー混合物は、骨髄性プライマー混合物(MPM)、821混合物、およびP1/P7混合物から選択される。
アレイに基づくCGHの分解能は、主として、全ゲノム範囲に及ぶことが可能であるアレイ内の核酸エレメントの数、サイズ、およびマップ位置に依存する。本発明の特に有利な実施形態では、オリゴヌクレオチド核酸エレメントを使用して、タイリング密度のマイクロアレイを形成する。例えば、Mockler, T. C.およびJ. R. Ecker、Genomics 85巻:1頁(2005年);Bertone, P.、M. Gersteinら、Chromosome Research、13巻:259頁(2005年)を参照されたい。
6.マイクロアレイのハイブリダイゼーション
以下に記述されているものなどの、比較ゲノムハイブリダイゼーションを実行するためのこれまで記述されている任意の多数の方法が、本発明の実施に使用することができる:米国特許第6,197,501号明細書;第6,159,685号明細書;第5,976,790号明細書;第5,965,362号明細書;第5,856,097号明細書;第5,830,645号明細書;第5,721,098号明細書;第5,665,549号明細書;第5,635,351号明細書;Diago、Am. J. Pathol.、158巻:1623〜1631頁、2001年;Theillet、Bull. Cancer、88巻:261〜268頁、2001年;Werner、Pharmacogenomics、2巻:25〜36頁、2001年;Jain、Pharmacogenomics、1巻:289〜307頁、2000年。
一部の場合では、目的の特異的プローブをハイブリダイゼーションさせる前に、反復配列を阻止することが望ましい。反復配列に対するハイブリダイゼーションを除去および/または阻止するための方法は、数多く公知である(例えば、国際公開第93/18186号パンフレットを参照)。例としては、Alu配列などの高度に繰り返された配列に対するハイブリダイゼーションを阻止することが望ましい場合がある。これを達成する1つの方法は、相補的配列のハイブリダイゼーション速度が、それらの濃度の増加と共に増加するという事実を利用する。したがって、一般的には高濃度で存在する反復配列は、ハイブリダイゼーション条件下で変性およびインキュベーションされた後、他よりも迅速に二本鎖になるであろう。その後、二本鎖核酸を取り除き、残りをハイブリダイゼーションに使用する。二本鎖配列から一本鎖を分離する方法には、ヒドロキシアパタイトまたは固体支持体などに結合されている固定化相補性核酸を使用することが含まれる。あるいは、部分的にハイブリダイズされた混合物を使用することができ、二本鎖配列は、標的にハイブリダイズすることができないであろう。
また、阻止しようとする配列に相補的な未標識配列を、ハイブリダイゼーション混合物に添加してもよい。この方法は、反復配列ならびに他の配列のハイブリダイゼーションを阻害するために使用することができる。例えば、Cot−1 DNAを使用して、試料中の反復配列のハイブリダイゼーションを選択的に阻害することができる。Cot−1 DNAを調製するためには、DNAを抽出、煎断、変性、および再生させる。高度な反復配列はより速く再アニーリングするため、その結果生じたハイブリッドは、これらの配列が高度に濃縮されている。残りの一本鎖DNA(つまり、単一コピー配列)はS1ヌクレアーゼで消化され、二本鎖Cot−1 DNAは、精製され、試料中の反復配列のハイブリダイゼーションを阻止するために使用される。Cot−1 DNAは、上述のように調製することができるが、商業的にも入手可能である(BRL社)。
本発明の方法における核酸のハイブリダイゼーション条件は、当技術分野で周知である。ハイブリダイゼーション条件は、高度なストリンジェンシー条件でもよく、中程度のストリンジェンシー条件でもよく、または低ストリンジェンシー条件であってもよい。理想的には、核酸は、相補的核酸にのみハイブリダイズし、試料中の非相補的核酸にはハイブリダイズしないであろう。ハイブリダイゼーション条件を変動させて、ハイブリダイゼーションにおけるストリンジェンシーの程度を変更し、当技術分野で公知であるように、背景シグナルを低減することができる。例えば、ハイブリダイゼーション条件が高度なストリンジェンシー条件であれば、核酸は、非常に高度な相補性を有する核酸ターゲット配列にのみ結合するであろう。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、ある程度の配列多様性を有する配列のハイブリダイゼーションを可能にするであろう。ハイブリダイゼーション条件は、生体試料ならびに核酸のタイプおよび配列に依存して変動するであろう。当業者であれば、本発明の方法を実施するためにハイブリダイゼーション条件を最適化する方法がわかるであろう。
例示的なハイブリダイゼーション条件は、以下のとおりである。高度なストリンジェンシーとは、一般的に、0.018MのNaCl中65℃で安定したハイブリッドを形成する核酸配列に対してのみハイブリダイゼーションを可能にする条件を指す。高度なストリンジェンシー条件は、例えば、50%ホルムアミド、5×デンハルト溶液、5×SSC(クエン酸ナトリウム生理食塩水)、0.2%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)中42℃でハイブリダイゼーションさせ、その後65℃において0.1×SSCおよび0.1%SDSで洗浄することにより提供することができる。中程度のストリンジェンシーは、50%ホルムアミド、5×デンハルト溶液、5×SSC、0.2%SDS中42℃でのハイブリダイゼーション、その後65℃において0.2×SSC、0.2%SDSでの洗浄と等しい条件を指す。低ストリンジェンシーは、10%ホルムアミド、5×デンハルト溶液、6×SSC、0.2%SDS中でのハイブリダイゼーション、その後50℃において1×SSC、0.2%SDSでの洗浄と等しい条件を指す。
tCGHアッセイの読取りおよび解釈
公知の遺伝子座の転座パートナーの同定および転座切断点の決定は、マイクロアレイの1つまたは複数の核酸エレメントへの、標識プローブのハイブリダイゼーションのパターンおよび強度の決定に基づく。典型的には、試料または検査プローブおよび参照プローブに結合された検出可能な標識によって生成される、アレイ上のハイブリダイゼーションシグナルの位置、ハイブリダイゼーションシグナル強度、および強度の比率が決定される。試料または検査プローブにハイブリダイズするが参照プローブにはハイブリダイズしないエレメントを決定することにより、そのエレメント内に含有されている配列が、公知の遺伝子座の転座パートナーとして同定される。検査プローブと参照プローブとの間でハイブリダイゼーションパターンが同じであることは、検査された試料が、公知の遺伝子座に転座を含有していないことを示す。タイリング密度マイクロアレイを使用する場合、ハイブリダイゼーションが、近接ゲノムセグメントを表す一連のマイクロアレイエレメントのどこで始まりどこで終わるかを確認することによって、転座切断点を決定することができる。したがって、平衡転座の場合は、ハイブリダイゼーションは、公知のゲノム遺伝子座とは異なる遺伝子内の特定DNA配列で始まるであろう。異なる遺伝子の近接配列にある最初のエレメントによって例示される配列は、その配列を、第2の遺伝子内の切断点を表すとして同定する。反対に、公知のゲノム遺伝子座に関して、ハイブリダイゼーションが終了する近接配列内のエレメントは、そのエレメントを、公知のゲノム遺伝子座内の転座切断点を表すとして標示する。
さらに、典型的には、標的核酸セグメントのシグナル強度の比率が強ければ強いほど、そのエレメントに結合する2つの試料中の配列のコピー数比率は大きくなる。したがって、標的核酸セグメント中のシグナル強度比率を比較することにより、2つの試料中のゲノム核酸における異なる配列のコピー数比率の比較が可能になる。
一般的に、アレイに固定された核酸セグメントに結合している核酸に結合した測定可能な標識を検出するために使用することができる任意の装置または方法を、本発明の実施に使用することができる。複数の蛍光体を検出するためのデバイスおよび方法は、当技術分野で周知であり、例えば、米国特許第5,539,517号明細書、第6,049,380号明細書、第6,054,279号明細書、第6,055,325号明細書、および第6,294,331号明細書を参照されたい。任意の公知のデバイスもしくは方法またはその変形型を使用または適合させて、本発明の方法を実行することができ、それらには、多色蛍光画像の走査および解析などのアレイの読取りまたは「走査」デバイスが含まれ、例えば、米国特許第6,294,331号明細書、第6,261,776号明細書、第6,252,664号明細書、第6,191,425号明細書、第6,143,495号明細書、第6,140,044号明細書、第6,066,459号明細書、第5,943,129号明細書、第5,922,617号明細書、第5,880,473号明細書、第5,846,708号明細書、第5,790,727号明細書、および本明細書中のアレイの考察で引用された特許を参照されたい。米国特許出願公開第20010018514号明細書、第20010007747号明細書、および国際特許出願公開第0146467A号パンフレット、第9960163A号パンフレット、第0009650A号パンフレット、第0026412A号パンフレット、第0042222A号パンフレット、第0047600A号パンフレット、および第0101144A号パンフレットも参照されたい。
7.本発明のキット
本発明は、本明細書中で提供されたtCGH法を容易にするおよび/または標準化するためのキットも提供する。本発明の種々の方法を実行するための物質および試薬をキットに提供して、これらの方法を容易にすることができる。本明細書中で使用される場合、「キット」という用語は、工程、アッセイ、解析、診断、予後、または操作を容易にする物品の組み合わせを指す。
1つの実施形態では、本発明によって提供されるキットは、平衡転座に関与するゲノム遺伝子座を線形増幅するための核酸プライマーを含んでいてもよい。ある実施形態では、キットは、複数のゲノム遺伝子座を多重線形増幅するためのプライマー混合物を含んでいてもよい。他の実施形態では、本発明のキットは、平衡染色体転座のtCGH解析に使用するための高密度タイリングアレイを含んでいてもよい。ある実施形態では、本発明は、平衡転座によって特徴付けられる疾患の診断または予後に有用なキットを提供する。特定の実施形態では、疾患は、リンパ腫または白血病などの癌である。
特定の実施形態では、本発明は、骨髄性白血病に関連する平衡転座を検出するための高密度タイリングアレイを含むキットを提供する。本発明のキットは、骨髄性白血病に関連する平衡転座に関与するゲノム遺伝子座を多重線形増幅するためのプライマー混合物をさらに含んでいてもよい。具体的な実施形態では、タイリングアレイはAMLパイロットアレイであってもよく、プライマー混合物は、MPM混合物、821混合物、またはP1/P7混合物から選択されてもよい。
以下の例は、例示のために提供されているが、請求された発明を限定するものではない。
(実施例1)
関連転座切断点の同定
アレイCGHは、ゲノム不均衡を検出するが平衡ゲノム再編成は検出しないように設計されている。したがって、本発明者らは、合成ゲノム不均衡を生成して、標準的CGHアレイ上で平衡転座の部位を標示するための手段を追究した。リンパ腫細胞系の平衡免疫グロブリン転座をモデル系として使用して、本発明者らは、蛍光標識化およびマイクロアレイハイブリダイゼーションに先立つ標的線形増幅ステップにおいてゲノムDNAを単に修飾することにより、平衡転座をアレイCGHによって検出可能にする酵素的線形増幅反応を開発した。図1に概説されているように、J関連転座切断点を、Jコンセンサスプライマー(van Dongen、2003年)を使用して酵素的に増幅し、その結果として切断点接合部を横断して転座パートナー遺伝子座へと至る線形増幅がもたらされる。単一プライマーの使用により、IgHパートナー遺伝子の同一性にかかわらず、J関連転座の増幅が可能になる。
典型的なtCGH実験では、リンパ腫に由来するゲノムDNAおよび正常対照に由来するゲノムDNAを、Cy3(リンパ腫)またはCy5(対照)を用いた線形増幅および蛍光標識化にかけ、その後、一般的IgH融合パートナー遺伝子座を表すタイリング密度の特注オリゴヌクレオチドアレイと混合およびハイブリダイズさせる(図1)。BCL2およびMYC遺伝子座を伴うJ関連転座を、図2aおよび2bに例示する。切断点は、それらの特徴的な直角三角形の形状によりtCGHアレイ上で同定され、垂直辺は非IgH遺伝子座における切断点のゲノム位置を標示する。垂直辺の高さは、J関連線形増幅の程度を示す。この三角形の形状は、線形増幅ステップが様々なサイズのDNA断片を産生すること、およびJプライマーからの距離が増加すると共に増幅強度が徐々に減衰して行くことと一致する。この切断点プロファイルの形状は増幅条件に依存し、伸長時間が増加すると共にtCGHアレイ上でのより幅広いプロファイルに帰着する(図6)。
ハイブリダイゼーション対照として正常ゲノムDNAを使用することにより、平衡転座および染色体不均衡の両方を同一アレイ上で検出することが可能になる。例えば、RL7(Lipford、1987年)(図3a、最上段パネル)およびOCI−Ly8(Tweeddale、1987年)細胞系(図4a)は、両方ともJ−BCL2転座およびBCL2イントロン2における大規模欠失を有することが見出された。OCI−Ly8におけるJ−BCL2切断点に隣接している小規模欠失は、その転座に関連して発生した可能性が高い。MO2058マントル細胞リンパ腫(MCL)系統(Meeker、1991年)(図3c)では、CCND1 3’UTR内のJ切断点および小規模欠失に対してテロメア側にCCND1遺伝子座の重複がある。平衡転座に関連するアレイプロファイルの非対称的形状により、一般的に、これらとゲノム不均衡をtCGHアレイ上で容易に区別することが可能になる。これは、tCGHの結果を、典型的なアレイCGHのように、ゲノム不均衡だけが同定される擬似増幅実験と比較することによって例示される(図3aおよび3c、中段パネル)。また、tCGHを使用して、線形的に増幅された正常DNAの代わりに擬似的に増幅された検査DNAを対照標本として使用することにより、単離した平衡転座を同定することができる(ゲノム不均衡を検出せずに)(図3aおよび3c、最下段パネル)。この様式で実施されるtCGH実験は、複数の位置における「偽切断点」(補足データ、非表示)、典型的なtCGH実験では、増幅された正常DNAを使用することにより最小限に抑えられるアーチファクトを示す。
(実施例2)
IgHスイッチ(S)関連転座切断点の同定
その後、線形増幅プライマーを、IgHスイッチ(S)領域を伴う転座を同定するように設計した。ヒトS領域は、特徴的な反復配列ユニットの複数タンデム反復を含有しており、Sμ、Sα、およびSε E領域では、反復単位は縮重五量体配列G(A/G)GCTであるが、Sγ領域では、反復単位は80〜90ntの長さであり、より複雑である(Max、1982年;Mills、1990年;Mills、1995年)。S関連転座切断点は、これらの反復領域全体に分布している。そのような多様な切断点の検出を容易するために、これらの反復単位を認識し、Sμ/Sα/Sε領域(Sプライマー)またはSγ反復領域(Sγプライマー)内の複数位置において合成を準備するように、線形増幅プライマーを設計した。Jの代わりにSプライマーを使用して実施したtCGHを使用して、バーキットリンパ腫細胞系RajiのSμ−MYC転座(Dyson、1985年)(非表示)、および多発性骨髄腫系U−266の潜在的Sα−CCND1融合(Gabrea、1999年)を同定した(図2c)。
大細胞型リンパ腫細胞系OCI−Ly8(Tweeddale、Limら、Blood 69巻(5号):1307〜1314頁(1987年))は、J−BCL2およびSγ3−BCL6融合に加えてMYC再編成を有することが公知である(Farrugia、Duanら、Blood 83巻(1号):191〜198頁(1994年);Chang、Blondalら、Leuk Lymphoma 19巻(1〜2号):165〜71頁(1995年);Ye、Chagantiら、EMBO 14巻(24号):6209〜17頁(1995年))。分子細胞遺伝学的研究は、染色体3、8、14、および18の複雑な再編成の存在を確認したが(Changanti、Raoら、Genes, Chromosomes and Cancer 23巻(4号):328〜336頁(1998年);Mehra、Messnerら、Genes, Chromosomes and Cancer 33巻(3号):225〜234頁(2002年);Sanchez−Izquierdo、Buchonnetら、Blood 101巻(11号):4539〜4546頁(2003年))、MYC再編成の詳細は、完全には確立されていない。Jプライマーを用いたtCGHを使用して、本発明者らは、J−BCL2融合を確認した。興味深いことには、RL7細胞系で同定されたもの類似したBCL2イントロンの大規模欠失が、小規模切断点関連欠失と同様に付随的に同定された。その後、本発明者らは、本発明者らがSγRと名付け、Rが「逆」配向を意味し、プライマーの3’末端が14qセントロメアの方向を指すこと示す、全Sγ反復を認識するコンセンサス線形増幅プライマーを設計した(図9)。SγRプライマーを使用して実施したtCGHは、Sγ3−BCL6融合の同定に成功し(図4b)、MYC遺伝子の5’末端を伴うこれまで未同定のSγ−MYC融合を付随的に検出した(図4c)。SγF線形増幅プライマーを使用したtCGH(Fは「順」配向を意味し、3’末端が14qテロメアの方向を指すことを示す)は、相互Sγ−BCL6融合の同定に成功した(図4d)。しかしながら、相互Sγ−MYC融合は、SγF、SF、SR、J、またはD線形増幅プライマーを用いて実施したtCGHでは同定することができなかった。
(実施例3)
未知の転座切断点の同定
tCGHが原発性腫瘍の新規な切断点を同定することが可能であることを実証するために、本発明者らは、J−CCND1転座を有すると推定される一連のリンパ腫を研究した。マントル細胞リンパ腫は(MCL、(Jares、2007年)に概説されており、t(11;14)(q13;q32)、J−CCND1遺伝子融合およびCCND1タンパク質の過剰発現に帰着する転座によって特徴付けられる成熟B細胞リンパ腫である。MO2058細胞系(図3c)を含むMCL症例の約40〜50%が、主要転座クラスター(MTC)にクラスター化している切断点を有する一方で、ほとんどのMCL切断点は、CCND1と、CCND1に対して約400kbセントロメア側に位置しているMYEOV遺伝子との間の大規模遺伝子間領域全体にわたって散在している。tCGHがまだ未同定の転座切断点を検出することができることを実証するために、本発明者らはtCGHを使用して、MTC関連切断点を有していなかったMCL症例においてJ−CCND1転座を同定およびマッピングした。図6は、Jプライマーを使用して、4件のそのようなMCL症例および1つのt(11;14)陽性B細胞前リンパ球性白血病(B−PLL)を研究したtCGH結果を示す。各々の場合において、増幅用のPCRプライマーを直ちに設計すること、および固有のJ−CCND1融合を配列決定することを可能にするのに十分な分解能で、固有の切断点が予測された。切断点は、MTCのすぐ外側に切断点を有する1つの場合(B−PLL)を含み、CCND1切断点領域の約140kbセグメントにわたって散在している(Vaandrager、1996年)。
(実施例4)
方法および物質
ゲノムDNA調製およびハイブリダイゼーション:検査および参照DNAの各々を、IgH遺伝子座を標的とする1つもしくは複数のJ、D、もしくはSプライマー、これらの遺伝子座再編成を標的とするMYC、BCL2、もしくはBCL6プライマー、またはBCR、MYH11、MLL、PML、もしくはAML/RUNX1遺伝子座を伴う再編成を標的とする1つもしくは複数のプライマーを使用して線形増幅した(表3および5を参照)。増幅されたDNAを超音波処理によって断片化し、下記の[0125]に記述されているように、シアニン−3−dUTPおよびシアニン−5−dUTP(Agilent社製ゲノムDNA標識キット)を用いて異なる標識化を行った。本質的に製造業者(Agilent社出版番号G4410−90010およびG4427−90010)により推奨されているように、標識検査DNA試料および標識参照DNA試料を、Agilent社製特注HD−CGH 8×15Kマイクロアレイ(製品番号G4427A)に共ハイブリダイズさせた。アレイデータを、Agilent社製Feature Extractorソフトウェア(バージョン9)およびAgilent社製CGHAnalyticsソフトウェア(バージョン3.4または3.5)を使用して解析した。
直鎖増幅:0.5μg〜2μgゲノムDNA、200mM dNTP、および150nM線形増幅プライマーを含有する線形増幅反応物(50μl)を、Clontech社製Advantage 2 PCR酵素系を使用して増幅した。多重反応物には、75nMの各個々の線形増幅プライマーが含有されていた。典型的な反応条件は以下のとおりだった:95℃で5分間の変性、その後95℃/15秒間の変性、60℃/15秒間のアニーリング、および68℃/6分間の伸長の12サイクルであったが、2分から18分間にまで及ぶ伸長時間を使用することにも成功しており、20回までの増幅サイクルを幾つかの実験で実施した(例えば、図17を参照)。線形増幅の後、その結果生じたDNA混合物を、400μlのTE pH8.0中で3分間、氷上で、Misonix社製431Aカップホーンを備えたFisher社製550型Sonic Dismembratorを用いた超音波処理によって断片化し、その後32μlの最終容積に濃縮した(Microcon Y30)。蛍光標識化およびハイブリダイゼーションは、制限消化も全ゲノム増幅もいずれも実施されなかったこと以外は本質的に製造業者によって推奨されているように、Agilent社製ゲノムDNA標識キットPLUS(Cat# 5188−5309)を使用して実施した。一般的には、標識化を、標識dNTPの存在下でDNAポリメラーゼを使用したランダムプライマー媒介性伸長によって実施した。これにより、結果として線形増幅産物ならびに試料中のゲノムDNAの両方の標識化がもたらされる。しかしながら、増幅反応に標識dNTPが含まれていることにより、線形増幅反応の産物をもっぱら標識化することができる。対照ヒトゲノムDNAを、Promega社(Cat# G1471(男性)およびG1521(女性))から取得した。
アレイの設計:IgHまたは骨髄性白血病(AML)切断点関連ゲノム領域を、プローブの長さ、予測融解温度、ならびにプローブの間隔および密度などのパラメーターを最適化するために設計されたアルゴリズムを使用して選択された特注オリゴヌクレオチドプローブにより、Agilent社製DNAマイクロアレイ(G4427A)上にタイリング密度で再現した。特注プローブにより高密度に表すために選択されたゲノム領域を、RepeatMasker(http://repeatmasker.org/cgi−bin/AnnotationRequest)を使用して最初にフィルタリングし、高度に保存された反復配列エレメントをマスクした。固有のオリゴヌクレオチドプローブをこれらの領域で同定できる場合があるため、高度に分岐した反復(>15%分岐)をマスクせず、ゲノム適用範囲を最大限にした。反復をマスクしたゲノムセグメントの各々にわたるプローブの均一空間分布を、プログラムTileを使用して生成した(下記を参照)。IgH転座アレイは、IgH転座に一般的に代表的な5つのゲノム遺伝子座:BCL2、BCL6、CCND1、MLT1、およびMYCを表す合計11,852のプローブを含有していた(下記の表1を参照)。加えて、より低密度でさらに23個のゲノム遺伝子座を表す2410個の対照プローブを、Agilent社のプローブライブラリー(http://earray.chem.agilent.com/earray/)から選択した。AMLアレイ(下記の表4を参照)は、以下のゲノム遺伝子座:BCR、ABL、ETO(RUNX1T1)、AML1、RARA、PML、CBFB、MYH11、MLL、AF9、IKZF1(Ikaros)を表す合計14,262個のプローブを含有していた。
Tile(N. HoffmanおよびH. Greisman、未発表)は、単純なアルゴリズムを使用して、指定されたパラメーターにできるだけ近い融解温度(Tm)を有するヌクレオチド、GC含量、およびヌクレオチドの長さの均一空間分布を生成する。入力は、オリゴヌクレオチド配列の一覧であり、各々は、目的のゲノムセグメントの開始および終了位置ならびに融解温度に関連付けされている。これらの実験で使用されたアレイの場合、オリゴヌクレオチド候補は、目的領域に及ぶ全ての考え得るN量体を含んでおり、Nは、25から60まで(IgHアレイの場合)または35から60まで(AMLアレイ)に及んでいた。オリゴヌクレオチド選択基準に使用されるパラメーターは以下のように定義される:
max、Dmin、Dopt − 開始位置からの最大、最小、最適距離
Tmmax、Tmmin、Tmopt − 最大、最小、および最適Tm
Tmmax、Tmmin、Tmopt − 最大、最小、および最適Tm
オリゴヌクレオチド選択アルゴリズムは、配列領域のヌクレオチド位置Pから開始して、以下のように反復して進行する:
1.ヌクレオチド位置P+DminからP+Dmaxの間のオリゴヌクレオチドのセットをグループと見なす。
2.範囲[Tmmax、Tmmin]外側のTmを有するオリゴヌクレオチドを取り除く。
3.位置Pの各オリゴヌクレオチドiについて、以下の値を計算する:
a.D=|P+Dopt−P
したがって、より小さな値は、配列領域に最適な距離により近い位置に相当する。Dは、最も近いDbinヌクレオチドに四捨五入してもよい(典型的には、値は5が使用される)
b.dTm=|Tm−Tmopt
したがって、より小さな値のdTmは、最適Tmにより近い融解温度に相当する。dTmは、最も近いdTmround温度に四捨五入してもよい(典型的には、値は1度が使用される)
c.−L=−1*(オリゴ長)
したがって、より小さい数は、より長いオリゴヌクレオチドに相当する
d.GC=100*(G+C)/長さ
したがって、より小さい数は、より低いG+C含量に相当する。GCは、最も近いパーセントに四捨五入された
4.各オリゴヌクレオチドiについて、D、dTm、−L、および、GCの幾つかまたは全てから構成されるタプルの一覧を生成する。
5.この一覧の値を昇順に分類する。タプル中のD、dTmi、−L、およびGCの各々の相対的な位置は、そのパラメーターの相対的な重みを決定する(つまり、DがGCに先行する場合、オリゴヌクレオチド長には、GC含量より大きな重みが与えられる)。
6.分類された一覧の最初のタプルに対応する位置Xのオリゴヌクレオチドを選択する。
7.PをPに再設定し、上記工程を繰り返す。
このアルゴリズムは、目的配列上のオリゴヌクレオチド候補の適用範囲にある不連続領域にも取り組む。範囲[P+Dmin、P+Dmax]に及ぶ配列領域、および範囲[Pgapstart、Pgapstop]に及ぶ「ギャップ」(すなわち、オリゴヌクレオチド候補を含有しない配列領域)を考慮する。Pgapstart<P+Dmaxであれば、この反復では、オリゴヌクレオチドは、範囲[P+Dmin、Pgapstart]から選択されるであろう。次の反復では、オリゴヌクレオチド選択は、ギャップの後から開始することになり、Pを(Pgapstop−Dopt)に設定して、オリゴヌクレオチド候補の適用範囲が再開する地点により近いオリゴヌクレオチドの検討を強制する。
最適プローブ長は60塩基であり、プローブ間の最適距離は50から100塩基の間であり、許容されるGC含量は20%〜80%であり、最適Tmは74.5℃であり、それらはEMBOSSソフトウェアスイート(http://emboss.sourceforge.net)からのプログラムDanを使用して計算した。
Figure 2011505122
新規切断点の確認
5件全てのMCL症例におけるJ−CCND1融合、1件の濾胞性リンパ腫(FCL)症例およびDHL16におけるJ−BCL2融合、ならびにOCI−Ly8における4つ全ての新規なIgH融合(J−BCL2、D−BCL2、Sγ2−MYC、およびSγ3−BCL6)を含む、新規の転座および欠失切断点は全て、PCR増幅およびサンガー配列決定法によって確認した。パートナー切断点を表2に提供し、配列を下記に提供する。加えて、RL7(chr18:58,954,729〜59,122,208)およびOCI−Ly8(chr18:58,998,604〜59,133,954)における新規なイントロン性BCL2欠失は各々、各欠失を隣接する特異的BCL2プライマーを使用して増幅および配列決定した。以下を参照されたい。
Figure 2011505122
MCL1 J−CCND1融合のPCR/配列決定プライマーおよび切断点配列:
Figure 2011505122
MCL2 J−CCND1融合のPCR/配列決定プライマーおよび切断点配列:
Figure 2011505122
MCL3 J−CCND1融合のPCR/配列決定プライマーおよび切断点配列:
Figure 2011505122
MCL4 J−CCND1融合のPCR/配列決定プライマーおよび切断点配列:
Figure 2011505122
MCL5 J−CCND1融合のPCR/配列決定プライマーおよび切断点配列:
Figure 2011505122
FCL J−BCL2融合のPCR/配列決定プライマーおよび切断点配列:
Figure 2011505122
DHL16 J−BCL2融合のPCR/配列決定プライマーおよび切断点配列:
Figure 2011505122
OCI−Ly8 J−BCL2融合のPCR/配列決定プライマーおよび切断点配列:
Figure 2011505122
OCI−Ly8 D−BCL2融合のPCR/配列決定プライマーおよび切断点配列:
Figure 2011505122
OCI−Ly8 Sγ2−MYC融合のPCR/配列決定プライマーおよび切断点配列:
Figure 2011505122
OCI−Ly8 Sγ2−BCL6(SγF)融合のPCR/配列決定プライマーおよび切断点配列:
Figure 2011505122
OCI−Ly8イントロン性BCL2欠失のPCR/配列決定プライマーおよび切断点配列:
Figure 2011505122
RL7イントロン性BCL2欠失のPCR/配列決定プライマーおよび切断点配列:
Figure 2011505122
(実施例5)
免疫グロブリン重鎖(IgH)転座の同定
平衡再編成をオリゴヌクレオチドアレイ上で検出可能にするために、切断点関連ゲノムDNA配列を、DNA標識化およびアレイハイブリダイゼーションの前に酵素的に増幅する。この線形増幅ステップでは、単一のオリゴプライマーを使用して、あるゲノム遺伝子座から始まり、転座切断点を横断してパートナー遺伝子座へと伸長するハイブリッドDNA断片の合成を非対称的に準備する(図7)。パートナー遺伝子座を表すように設計されているタイリング密度オリゴアレイへの、増幅された標識ゲノムDNAのハイブリダイゼーションは、転座パートナーを同定すること、およびゲノム切断点を高分解能にマッピングすることを可能にする(図7)。パートナー遺伝子座を標的とする第2のプライマーが増幅に必要とされないため、tCGHは、大規模なゲノム領域にわたっておよび複数のパートナー遺伝子座に散在した転座切断点を、単一のアレイを使用して検出することができる。増幅された正常ゲノムDNAを、参照試料としてアレイハイブリダイゼーションに使用するため、tCGHは、ゲノム不均衡および平衡転座を同一アレイ上で検出することができる。
本例では、種々のB細胞リンパ腫および形質細胞骨髄腫において様々なパートナー遺伝子座を伴う場合がある免疫グロブリン重鎖(IgH)の転座をモデル系として研究し、tCGHを開発および検証した。特定のリンパ腫または骨髄腫における特異的IgHパートナー遺伝子座の同定は、正確な診断および分類、ならびに臨床転帰および予後の予測にとって不可欠である。IgH転座は、異常VDJまたはクラススイッチ組換え(CSR)の副産物として生じ、典型的にはオンコジーンの全コード領域を、保存されたIgH調節領域に融合させると考えられるため、IgH遺伝子座内の切断点は、保存された連結(J)セグメント、多様性(D)セグメント、またはスイッチ(S)セグメントに位置する傾向があるが(図8)、種々のIgHパートナー遺伝子座の切断点は、数百キロベースのゲノム配列にわたって散在する場合がある。IgH転座のこれらの特徴が、保存されたIgH切断点領域を全て検出可能な小セットの線形増幅プライマーを設計することによって、および複数のIgHパートナー遺伝子座をタイリング密度で再現している高分解能特注オリゴヌクレオチドアレイを設計することによって利用される。本明細書中に記述されているパイロットアレイは、CCND1およびBCL2切断点領域ならびにMYCおよびBCL6切断点領域の一部を含む合計約1Mbのゲノム配列を表す。IgH遺伝子座は、最近の遺伝子重複によって特徴付けられており(Ravetch、Siebenlistら、Cell 27巻(3号、第2部):583〜591頁;Matsuda、Ishiiら、J. Exp. Med. 188巻(11号)2151〜2162頁(1998年))、したがってこのパイロットアレイ上には再現されていなかった。
BCL2、BCL6、MYC、およびCCND1遺伝子座を伴う、よく特徴付けられているIgH転座を有する8つのリンパ腫および骨髄腫細胞系の一団を使用して、tCGHを試験および検証した。9つの公知のIgH転座は、全て同定および高分解能でマッピングされ、同様にこれまで知られていなかったIgH−MYC再編成およびIgHパートナー遺伝子座における複数のコピー数異常が同定および高分解能でマッピングされた。VDJ関連転座では、der(14)染色体のIgH切断点は、典型的には6つのJセグメントのうちの1つに位置するが、相互染色体上の切断点は、27個のDセグメントのうちの1つに位置する(van Dongen、Langerakら、Leukemia 17巻(12号):2257〜317頁(2003年))。J切断点およびそれらの相互D対応点を、単一のコンセンサスJプライマー、または7つのコンセンサスDプライマーの等モル混合物のいずれかを使用して、線形増幅によって独立して同定した(図9)。例えば、リンパ腫細胞系DHL16(Hecht、Epsteinら、Cancer Genetics and Cytogenetics 14巻(3〜4号):205頁(1985年))における典型的な平衡IgH−BCL2転座のtCGH解析は、相互J−BCL2およびBCL2−D融合(それぞれ、図10aおよび10b)が、BCL2マイナー転座クラスターに位置することを示す(van Dongen、Langerakら、Leukemia 17巻(12号):2257〜317頁(2003年))。JおよびD融合は、転座切断点を正確で高分解能に標示する単一の明確な境界を有する非対称的な擬似アンプリコンとして蛍光対数比プロットに出現する。このアンプリコンの振幅は、切断点からのゲノム距離が増加すると共に徐々に減少し、数キロベースの範囲で基線に戻る。各アンプリコンの配向は増幅の方向に依存し、Jプライマーの場合はテロメアに向かっており(図10b)、Dプライマーの場合はセントロメアに向かう(図10b)。対照的に、個々のアンプリコンの振幅、幅、および形状は、線形増幅プライマー、増幅条件、および恐らくは局所的ゲノム配列を含む外因的パラメーターに応じて変動すると考えられる。
およびDプライマーを、バーキットリンパ腫細胞系MC116のIgH−MYC融合(図10f)、ならびにマントル細胞リンパ腫系MO2058およびGranta519のIgH−CCND1融合(図13a、13d)をマッピングするためにも使用した。tCGHの解析感度を、等量のDHL16、RL7、およびGranta519ゲノムDNAを混合することにより決定し(「33%希釈」と呼ばれる)、正常ゲノムDNAと混合することにより20%および15%希釈試料を生成した。これらの希釈物を、Jプライマーを使用して12または20サイクルで増幅し、同様に増幅された正常ゲノムDNAに共ハイブリダイズさせた。図17に示されているように、12サイクルで増幅した際の15%希釈物のシグナルは、20サイクルより弱かったが、3つの切断点は全て各試料において検出可能だった。
関連転座を同定するために、Sμ、Sα、およびSε反復を標的とするように相互SFおよびSR増幅プライマーを設計し、それらは全て、5量体配列(GRGCT)(Mills、Brookerら、Nucleic Acid Res. 18巻(24号):7305〜16頁(1990年))、ならびに4つの密接に関連するSγ反復を標的とする相互SγFおよびSγRプライマー(Mills, Mitchellら、J. Immunol. 155巻(6号):3021〜3036頁(1995年))を含有していた(表3)。SγFまたはSγRプライマーによるOCI−Ly8リンパ腫細胞系(Tweeddale、Limら、Blood 69巻(5号):1307〜1314頁(1987年))の線形増幅は、相互Sγ3−BCL6融合を両方とも同定し(図10cおよび10d)、そのうちの1つだけが以前に同定およびクローニングされていた(Ye、Chagantiら、EMBO J. 14巻(24号)6207〜17(1995年))。同様に、SFおよびSγRプライマーによる骨髄腫細胞系U266の線形増幅(図15)は、Sα1からSγ4まで伸長し3’α1エンハンサーを包含する約100kbのIgH定常領域セグメントのCCND1遺伝子座への潜在的挿入を同定した(Gabrea、Bergsagelら、Molecular Cell 2巻(1号):119頁(1999年))。Jプライマーによるアンプリコンのように、SFまたはSγFを使用して増幅されたものは、テロメアに向かって配向されており、der(14)コード化融合に対応するが、SR、SγR、またはDプライマーによる線形増幅は、相互誘導染色体での融合に対応するセントロメア側に配向されたアンプリコンを産出する(図9)。
Figure 2011505122
OCI−Ly8における公知のSγ3−BCL6転座の同定に加えて、SγRプライマーによる増幅は、意外にもこれまで未同定のSγ2−MYC融合も明らかにした(図11e)。OCI−Ly8に関するこれまでの細胞遺伝学的および分子的な研究により、染色体3、8、14、および18上のBCL6、MYC、IgH、およびBCL2遺伝子座を伴う複雑な再編成が示されているが(Farrugia、Duanら、Blood 83巻(1号):191〜198頁(1994年);Chang、Blondalら、Leuk Lymphoma 19巻(1〜2号):165〜71頁(1995年);Ye、Chagantiら、EMBO J. 14巻(24号)6207〜17頁(1995年);Changanti、Raoら、Genes Chromosomes and Cancer 23巻(4号):328〜336頁(1998年);およびSanchez−Izquierdo、Siebertら、Leukemia 15巻(9号):1475〜84頁(2001年))、これら6つの潜在的なIgH融合産物のうちの1つだけがクローニングおよび配列決定されている(Ye、Chagantiら、EMBO J. 14巻(24号)6207〜17頁(1995年))。tCGHは、OCI−Ly8において合計5つのIgH融合を同定し、それらには、平衡Sγ3−BCL6転座(図10)およびJ/D−BCL2転座(下記および図10を参照)ならびに見かけ上平衡なSγ2−MYC再編成(図11e)の両相互融合産物が含まれる。興味深いことには、例外的に大規模な、約6kbの、IgH−BCL2切断点における欠失(図14)、およびSγ3スイッチ反復領域の外部にあり、接合部のマイクロホモロジーを示すIgH−MYC切断点を含む、OCI−Ly8の転座切断点配列に関する幾つかの例外的な特徴は、非従来的な機序がこれらの再編成の根底にあることを示唆する(Jager、Bocskorら、Blood 95巻(11号):3520〜3529頁(2000年);Shou、Martelliら、PNAS 97巻(1号):228〜233頁(2000年);Corneo、Wendlandら、Nature 449巻(7161号):483〜486頁(2007年);およびYan、Boboilaら、Nature 449巻(7161号)478〜482頁(2007年))。実際、J、D、またはS線形増幅プライマーを使用して相互IgH−MYC融合を同定するその後の試みは成功せず、非標準的IgH切断点、または非IgHパートナー遺伝子座を伴うより複雑な再編成のいずれかを示唆した(Changanti、Raoら、Genes Chromosomes and Cancer 23巻(4号):328〜336頁(1998年))。
MYCまたはBCL6遺伝子再編成のサブセットは、IgHを伴わないが、その代わりに免疫グロブリンカッパおよびラムダ軽鎖遺伝子座または種々の他の非IgH遺伝子座を伴う(Akasaka、Akasakaら、Cancer Res. 60巻(9号):2335〜2341頁(2000年);Shou、Martelliら、PNAS 97巻(1号):228〜233頁(2000年))。tCGHがこれらの遺伝子座で非IgH再編成を検出可能であることを実証するために、MYCおよびBCL6エキソン1付近に位置する転座切断点ホットスポットを標的とするように設計された線形増幅プライマーを使用した(Akasaka、Akasakaら、Cancer Res. 60巻(9号):2335〜2341頁(2000年);Busch、Kellerら、Leukemia 21巻(8号):1739頁(2007年)。対数比率プロットには、これらの再編成が(図10e、10i)、それらの「逆」配向、線形増幅プライマーと同じ遺伝子座内のtCGHにより同定された切断点の予測される特徴を除いて、上述のIgH再編成と同じように出現する(図7の「遺伝子A」)。これらの実験は、tCGHが、MYCおよびBCL6再編成を検出可能であり、それらの再編成パートナーが公知でないかまたはアレイ上に再現されていなくとも、これらの遺伝子座内の切断点を同定可能であることを確立する。
(実施例6)
新規な染色体重複および欠失の同定
腫瘍および正常ゲノムDNAは、線形増幅および標識化後で同一アレイに共ハイブリダイズされるため(図7)、tCGHは、平衡再編成に加えてコピー数変化を検出するであろうことが予測された。実際、同じ遺伝子座におけるIgH転座と関連して、BCL2およびCCND1遺伝子座における、これまで認識されていない欠失および重複を幾つか同定した。例えば、公知のJ−BCL2転座を有するRL7リンパ腫細胞系では、BCL2の大規模(190kb)イントロン内の新規な167kb中間部欠失を同定した(図11a)。同様の135kbイントロン性BCL2欠失がOCI−Ly8において同定され、同様にJ−BCL2切断点接合部の明確な6.2kb欠失が同定された(図13)。これらの異常を、各々PCR増幅および配列決定により確認した。MO2058およびGranta519の両方で、CCND1遺伝子に及び、それぞれのJ−CCND1切断点接合部に正確に伸長する重複が同定され、各重複事象がder(14)t(11;14)染色体に生じたことが示唆された。(図13)。CCND1 3’非翻訳領域における公知の1852nt欠失(Withers、Harveyら、Mol. Cell. Biol. 11巻(10号):4846〜4853頁(1991年))も、MO2058において同定された(図13a)。最後に、新規な562nt欠失多型が、CCND1遺伝子の約55kb上流に同定および特徴付けられた(図12b)。コピー数変化のtCGH検出は、使用された特定の線形増幅に依存しなかった(図11a〜cおよび図14)。中間部欠失の切断点も、欠失切断点を横断する線形増幅によってマッピングすることができる(図11パネルa、d、e)。
上述のtCGH実験では、線形的に増幅された腫瘍DNAを、同様に増幅された正常ゲノムDNAと共ハイブリダイズさせた(図7)。増幅された正常DNAではなく擬似増幅された腫瘍DNAをハイブリダイゼーション対照として使用する場合、tCGHは、平衡再編成を検出することが予期されるが、コピー数変化は検出しないだろう(図11dならび図16aおよび16b)。しかしながら、これらの条件下では、予期された転座切断点から離れている「オフターゲット」増幅も、正常ゲノムDNAについてでさえ観察された。オフターゲット増幅シグナルの数およびパターンは線形増幅プライマーに依存し、反復スイッチ配列を標的とするSプライマーの場合はより複雑であると考えられるが、オフターゲットシグナルのパターンは、任意の所与のプライマーで際立って再現性がある(図15および16)。同じプライマーを使用して腫瘍および正常DNAを増幅し、従来のtCGHでのように共ハイブリダイズさせる場合(図7)、2つの試料のオフターゲットシグナルは完全に一致し、それにより効果的に互いをマスクし、標的とされた転座切断点のみを明らかにした。
t(11;14)および関連J−CCND1融合は、マントル細胞リンパ腫(MCL)に特徴的である。MCL症例の約40%で、CCND1切断点は、約100ntの主要転座クラスター(MTC)内に位置するが(van Dongen、Langerakら、Leukemia 17巻(12号):2257〜317頁(2003年))、MCL症例の他の約60%は、MTCを隣接する約400kb領域にわたって散在する非MTC切断点を有する(Vaandrager、Schuuringら、Blood 88巻(4号):1177〜1182頁(1996年))。容易にクローニングおよび分析されるMTC切断点とは対照的に(Wetzel、Leら、Cancer Res. 61巻(4号):1629〜1636頁(2001年))、非MTC切断点は、クローニングがより難しいことが判明しており、稀な例だけが配列決定されている(Meeker、Grimaldiら、Blood 74巻(5号):1801〜1806頁(1989年);Meeker、Sellersら、Leukemia 5巻(9号):733〜7頁(1991年);Willis、Jadayelら、Blood 90巻(6号):2456〜2464頁(1997年))。tCGHが原発性リンパ腫試料中の新規な切断点を同定可能であるかどうかを決定するために、本発明者らは、非MTC切断点を有する5件の原発性MCL症例を分析した。新規なCCND1切断点を各々100nt分解能にマッピングし(図12)、切断点接合部の迅速な確認および配列決定を可能にした。切断点は、MTCからわずか約200bp離れて位置していたものを含むCCND1遺伝子に対してセントロメア側の約150kbの領域にわたって散在していた。
(実施例6)
骨髄性白血病の平衡転座の検出用tCGHアレイの確立および検証
本例は、骨髄性白血病に一般的な平衡転座、染色体欠失、染色体重複、および染色体逆位などの染色体異常の検出に有用なtCGHアレイの確立を例示する。転座および大規模欠失などの染色体異常によって一般的に分断されている11個の遺伝子を包含し、83ntの平均間隔で1.1Mbpを包含する14,262個のプローブ配列を含有するマイクロアレイを構築した(表4)。その後、プライマー混合物(表5)を、種々の骨髄性白血病細胞系から単離された染色体DNAの多重線形増幅に使用した。表4に概要が示されているAMLパイロットアレイにハイブリダイゼーションさせることにより、増幅された染色体配列に対してtCGH解析を実施した。
Figure 2011505122
Figure 2011505122
図18は、MPMプライマーセットと共に、3つの慢性骨髄性白血病細胞系、CML1、CML2、およびK562のAMLパイロットアレイを使用した多重tCGH解析の結果を示す。転座切断点は、この解析で明瞭に捉えられる。CML1白血病細胞系のikaros遺伝子における大規模染色体欠失も、解析によって例示される。この例は、多重tCGH解析が、慢性骨髄性白血病に関連する平衡BCR−ABL転座の遺伝子型、ならびに関連染色体欠失および増幅を同時に決定することができることを実証する。
図19は、RARA遺伝子において異なる転座切断点を有するPML−RARA平衡転座t(15;21)によって特徴付けられる2つの急性前骨髄球白血病細胞系(APL1およびAPL2)の、AMLパイロットアレイを使用した多重tCGH解析の結果、および染色体逆位inv(16)/t(16:16)により引き起こされるMYH11−CBFB融合によって特徴付けられる2つの急性骨髄単球性白血病/好酸球増多症細胞系(M4Eo1およびM4Eo2)の、骨髄性プライマー混合物(MPM)およびAMLパイロットアレイを使用した多重tCGH解析の結果を示す。本例で見ることができるように、多重tCGH解析は、平衡転座および染色体逆位などの種々の染色体異常の遺伝子型を同時に決定することができる。
図20は、AF9−MLL平衡転座t(9;11)によって特徴付けられるMLL白血病細胞系の、P1/P7プライマー混合物(MPM)およびAMLパイロットアレイを使用した多重tCGH解析の結果、およびETO−AML1平衡転座t(8;21)によって特徴付けられるKasumi急性骨髄性白血病細胞系の、821プライマー混合物(MPM)およびAMLパイロットアレイを使用した多重tCGH解析の結果を示す。本例は、多重tCGHが、平衡転座、染色体欠失、染色体重複、染色体逆位を含む広範囲の染色体異常の遺伝子型決定に使用するために受け入れられることを実証する。
本明細書中に記述された例および実施形態は、例示目的のためだけのものであり、種々の改変または変更は、それらに照らして当業者に示唆されることになり、本出願の趣旨および範囲、ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれるべきであることが理解される。本明細書中に引用された全ての出版物、特許、および特許出願は、これによってあらゆる目的のためにそれらの全体が参照により組み込まれる。

Claims (89)

  1. 検査試料中の公知のゲノム遺伝子座における染色体再編成を決定する方法であって、
    (a)検査試料の細胞から第1のゲノムDNAを単離し、参照試料の細胞から第2のゲノムDNAを単離することと、
    (b)前記公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを使用し、前記第1のゲノムDNA試料の線形増幅および標識化を実施して、第1の検出可能な標識を含む増幅された検査DNA産物を生成すること、および前記公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを使用し、前記第2のゲノムDNA試料の線形増幅および標識化を実施して、第2の検出可能な標識を含む増幅された参照DNA産物を生成することと、
    (c)前記増幅された検査DNA産物および参照DNA産物を、ゲノムDNA配列を含むDNAマイクロアレイにハイブリダイズさせることと、
    (d)前記DNAマイクロアレイへの、前記増幅された検査DNA産物のハイブリダイゼーションのパターンおよび程度を、前記増幅された参照DNA産物と比較することとを含み、
    前記公知のゲノム遺伝子座のDNAマイクロアレイエレメントとは異なるDNAマイクロアレイエレメントへの、前記線形増幅された検査試料DNA産物のハイブリダイゼーションが、前記線形増幅された参照試料DNA産物を上回ることが、前記細胞における、前記公知のゲノム遺伝子座の、第2のゲノム遺伝子座との再編成を示す方法。
  2. 前記再編成が染色体転座である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1および第2の検出可能な標識が増幅中に組み込まれる、請求項1に記載の方法。
  4. 前記第1および第2の検出可能な標識が増幅後に組み込まれる、請求項1に記載の方法。
  5. 前記第1および第2の検出可能な標識が蛍光標識である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記蛍光標識がCy3およびCy5である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記DNAマイクロアレイがタイリング密度DNAマイクロアレイである、請求項1に記載の方法。
  8. 前記公知のゲノム遺伝子座が免疫グロブリン遺伝子に対応する、請求項1に記載の方法。
  9. 前記検査試料の前記細胞が腫瘍細胞であり、前記参照細胞が正常細胞である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記腫瘍細胞が、リンパ腫または白血病細胞である、請求項9に記載の方法。
  11. 検査試料中の公知のゲノム遺伝子座の染色体再編成パートナーを同定する方法であって、
    (a)検査試料の細胞から第1のゲノムDNAを単離し、参照試料の細胞から第2のゲノムDNAを単離することと、
    (b)公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを使用し、前記第1のゲノムDNA試料の線形増幅および標識化を実施して、第1の検出可能な標識を含む増幅された検査DNA産物を生成すること、および前記公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを使用し、前記第2のゲノムDNA試料の線形増幅および標識化を実施して、第2の検出可能な標識を含む増幅された参照DNA産物を生成することと、
    (c)前記標識および増幅された検査DNA産物および参照DNA産物を、ゲノムDNA配列を含むDNAマイクロアレイにハイブリダイズさせることと、
    (d)前記DNAマイクロアレイへの、前記増幅された検査DNA産物のハイブリダイゼーションのパターンおよび程度を、前記増幅された参照DNA産物と比較することとを含み、
    前記公知のゲノム遺伝子座のDNAマイクロアレイエレメントとは異なるDNAマイクロアレイエレメントへの、前記線形増幅された検査試料DNA産物のハイブリダイゼーションが、前記線形増幅された参照試料DNA産物を上回ることが、前記DNAマイクロアレイの前記エレメントを、前記公知のゲノム遺伝子座の再編成パートナーとして同定する方法。
  12. 前記再編成が染色体転座である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記増幅されたDNA産物にハイブリダイズする、前記公知のゲノム遺伝子座の線形配列に対応する一連のエレメントの最後のエレメントを決定し、それによって前記公知のゲノム遺伝子座の再編成切断点のおおよその位置を同定するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
  14. 前記増幅されたDNA産物にハイブリダイズする、前記公知のゲノム遺伝子座の線形配列とは異なる第2のゲノム遺伝子座の線形配列に対応する一連のエレメントの最初のエレメントを決定し、それによって前記再編成パートナーの再編成切断点のおおよその位置を同定するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
  15. 前記第1および第2の検出可能な標識が増幅中に組み込まれる、請求項11に記載の方法。
  16. 前記第1および第2の検出可能な標識が増幅後に組み込まれる、請求項11に記載の方法。
  17. 前記検出可能な標識が蛍光標識である、請求項11に記載の方法。
  18. 前記蛍光標識がCy3およびCy5である、請求項17に記載の方法。
  19. 前記DNAマイクロアレイがタイリング密度DNAマイクロアレイである、請求項11に記載の方法。
  20. 前記公知のゲノム遺伝子座が免疫グロブリン遺伝子に対応する、請求項11に記載の方法。
  21. 前記検査試料の前記細胞が腫瘍細胞であり、前記参照細胞が正常細胞である、請求項11に記載の方法。
  22. 前記腫瘍細胞が、リンパ腫または白血病細胞である、請求項21に記載の方法。
  23. 検査試料の公知のゲノム遺伝子座における、染色体転座を含めた、複数の染色体再編成を同時に決定する方法であって、
    (a)検査試料の細胞から第1のゲノムDNAを単離し、参照試料の細胞から第2のゲノムDNAを単離することと、
    (b)公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを使用し、前記第1のゲノムDNA試料の線形増幅を実施して、検査ゲノムDNAおよびプライマー特異的な増幅された検査DNA産物の混合物を生成すること、および同じ前記公知のゲノム遺伝子座試料内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを使用し、前記第2のゲノムDNAの線形増幅を実施して、参照ゲノムDNAおよびプライマー特異的な増幅された参照DNA産物の混合物を生成することと、
    (c)前記検査試料混合物および参照試料混合物を、オリゴヌクレオチドでプライミングされたポリメラーゼ媒介性伸長によって、さらに増幅および標識化することと、
    (d)前記標識および増幅された検査DNA産物および参照DNA産物を、ゲノムDNA配列を含むDNAマイクロアレイにハイブリダイズさせることと、
    (e)前記DNAマイクロアレイへの、前記増幅された検査DNA産物のハイブリダイゼーションのパターンおよび程度を、前記増幅された参照DNA産物と比較することとを含み、
    (i)前記DNAマイクロアレイのエレメントに、前記増幅された検査DNA産物および増幅された参照DNA産物の両方がハイブリダイズする場合、前記エレメントへの、前記増幅された参照DNA産物のハイブリダイゼーションの程度と比較して、前記DNAマイクロアレイの前記エレメントへの、増幅された検査DNA産物のハイブリダイゼーションの程度がより大きいことが、前記マイクロアレイの前記エレメントによって表される前記検査試料中のDNA配列の増幅を示し、
    (ii)前記DNAマイクロアレイのエレメントへの、前記増幅された参照DNA産物のハイブリダイゼーションが、前記DNAマイクロアレイの前記エレメントへの、前記増幅された検査DNA産物のハイブリダイゼーションを上回ることが、前記マイクロアレイの前記エレメントによって表される前記検査試料中のDNA配列の欠失を示し、
    (iii)前記公知のゲノム遺伝子座のDNAマイクロアレイエレメントとは異なるDNAアレイエレメントへの、前記増幅された検査DNA産物のハイブリダイゼーションが、前記DNAアレイエレメントへの、前記増幅された参照DNA産物のハイブリダイゼーションを上回ることが、前記細胞における、前記公知のゲノム遺伝子座の、第2のゲノム遺伝子座との転座を示す方法。
  24. 前記第1および第2の検出可能な標識が増幅中に組み込まれる、請求項23に記載の方法。
  25. 前記第1および第2の検出可能な標識が増幅後に組み込まれる、請求項23に記載の方法。
  26. 前記検出可能な標識が蛍光標識である、請求項23に記載の方法。
  27. 前記蛍光標識がCy3およびCy5である、請求項26に記載の方法。
  28. 前記DNAマイクロアレイがタイリング密度DNAマイクロアレイである、請求項23に記載の方法。
  29. 前記公知のゲノム遺伝子座が免疫グロブリン遺伝子に対応する、請求項23に記載の方法。
  30. 前記検査試料の前記細胞が腫瘍細胞であり、前記参照細胞が正常細胞である、請求項23に記載の方法。
  31. 前記腫瘍細胞が、リンパ腫または白血病細胞である、請求項30に記載の方法。
  32. 前記検査試料および参照試料が同じゲノムDNAを含み、前記参照試料ではなく前記検査試料が前記(b)部分の線形増幅ステップに供される、請求項23に記載の方法。
  33. 前記第1および第2の検出可能な標識が同じであり、前記増幅された検査DNA産物および参照DNA産物のハイブリダイゼーションが、別々であるが同じ種類のマイクロアレイへのもの、または逐次的に同じマイクロアレイへのものである、請求項1、11、または23のいずれか一項に記載の方法。
  34. 検査試料中の染色体再編成を決定する方法であって、
    (a)検査試料の細胞から第1のゲノムDNAを単離し、参照試料の細胞から第2のゲノムDNAを単離することと、
    (b)公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを使用し、前記第1のゲノムDNA試料の線形増幅を実施して、増幅された検査DNA産物(T+)を生成すること、前記公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的な前記プライマーを使用し、前記第2のゲノムDNA試料の線形増幅および標識化を実施して、増幅された参照DNA産物(N+)を生成すること、前記公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを除外することによって、前記第1のゲノムDNA試料の擬似線形増幅を実施して、擬似増幅された検査DNA産物(T−)を生成すること、および前記公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを除外することによって、前記第2のゲノムDNA試料の擬似線形増幅を実施して、擬似増幅された参照DNA産物(N−)を生成することと、
    (c)ランダムプライマーを使用するプライマー伸長によって、T+、N+、T−、およびN−の各々を、異なる検出可能な標識で標識することと、
    (d)T+およびN+を、ゲノムDNA配列を含む第1のDNAマイクロアレイに共ハイブリダイズさせることと、
    (e)T−およびN−を、ゲノムDNA配列を含む第2のDNAマイクロアレイに共ハイブリダイズさせることと、
    (f)前記第1のDNAマイクロアレイ上のハイブリダイゼーションシグナルのパターンおよび程度を、前記第2のDNAマイクロアレイ上のハイブリダイゼーションシグナルのパターンおよび程度と比較することとを含み、
    前記第2のマイクロアレイからの類似パターンがない場合、前記第1のマイクロアレイからの染色体位置に対してプロットされたハイブリダイゼーションシグナルの散布図における直角三角形パターンのハイブリダイゼーションシグナルが、染色体転座を示し、垂直辺の染色体位置が、染色体転座切断点を標示し、
    前記第1のマイクロアレイおよび前記第2のマイクロアレイからの同位置の染色体位置に対してプロットされたハイブリダイゼーションシグナルの散布図における長方形パターンのハイブリダイゼーションシグナルが、染色体重複または欠失を示し、垂直辺の染色体位置が、重複または欠失したゲノム領域の2つの末端点を標示し、
    それによって、前記検査試料中の染色体再編成の決定を提供する方法。
  35. T−およびN−を生成する前記擬似増幅が増幅を含まない、請求項34に記載の方法。
  36. 前記染色体再編成が染色体転座である、請求項34に記載の方法。
  37. 前記検出可能な標識が蛍光標識である、請求項34に記載の方法。
  38. 前記DNAマイクロアレイがタイリング密度DNAマイクロアレイである、請求項34に記載の方法。
  39. 前記公知のゲノム遺伝子座が免疫グロブリン遺伝子に対応する、請求項34に記載の方法。
  40. 前記検査試料の前記細胞が腫瘍細胞であり、前記参照細胞が正常細胞である、請求項34に記載の方法。
  41. 前記腫瘍細胞が、リンパ腫または白血病細胞である、請求項40に記載の方法。
  42. 検査試料中の染色体再編成を決定する方法であって、
    (a)検査試料の細胞から第1のゲノムDNAを単離し、参照試料の細胞から第2のゲノムDNAを単離することと、
    (b)公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを使用し、前記第1のゲノムDNA試料の線形増幅を実施して、増幅された検査DNA産物(T+)を生成すること、前記公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的な前記プライマーを使用し、前記第2のゲノムDNA試料の線形増幅および標識化を実施して、増幅された参照DNA産物(N+)を生成すること、前記公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを除外することによって、前記第1のゲノムDNA試料の擬似線形増幅を実施して、擬似増幅された検査DNA産物(T−)を生成すること、および前記公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを除外することによって、前記第2のゲノムDNA試料の擬似線形増幅を実施して、擬似増幅された参照DNA産物(N−)を生成することと、
    (c)ランダムプライマーを使用するプライマー伸長によって、T+、N+、T−、およびN−の各々を、異なる検出可能な標識で標識することと、
    (d)T+およびT−を、ゲノムDNA配列を含む第1のDNAマイクロアレイに共ハイブリダイズさせることと、
    (e)N+およびN−を、ゲノムDNA配列を含む第2のDNAマイクロアレイに共ハイブリダイズさせることと、
    (f)前記第1のDNAマイクロアレイ上のハイブリダイゼーションシグナルのパターンおよび程度を、前記第2のDNAマイクロアレイ上のハイブリダイゼーションシグナルのパターンおよび程度と比較することとを含み、
    前記第2のマイクロアレイからの類似パターンがない場合、前記第1のマイクロアレイからの染色体位置に対してプロットされたハイブリダイゼーションシグナルの散布図における直角三角形パターンのハイブリダイゼーションシグナルが、染色体転座を示し、垂直辺の染色体位置が、染色体転座切断点を標示し、
    前記第1のマイクロアレイおよび前記第2のマイクロアレイの両方に共通の染色体位置に対してプロットされたハイブリダイゼーションシグナルの散布図におけるハイブリダイゼーションシグナルのパターンが偽切断点を示し、
    それによって、前記検査試料中の染色体再編成の決定を提供する方法。
  43. 前記再編成が転座である、請求項42に記載の方法。
  44. 前記検出可能な標識が蛍光標識である、請求項42に記載の方法。
  45. 前記DNAマイクロアレイがタイリング密度DNAマイクロアレイである、請求項42に記載の方法。
  46. 前記公知のゲノム遺伝子座が免疫グロブリン遺伝子に対応する、請求項42に記載の方法。
  47. 前記検査試料の前記細胞が腫瘍細胞であり、前記参照細胞が正常細胞である、請求項42に記載の方法。
  48. 前記腫瘍細胞が、リンパ腫または白血病細胞である、請求項47に記載の方法。
  49. 被験体における疾患を診断する方法であって、前記疾患が染色体再編成に起因し、
    (a)前記被験体から生体試料を取得するステップと、
    (b)前記生体試料の細胞から第1のゲノムDNAを単離し、参照試料の細胞から第2のゲノムDNAを単離するステップと、
    (c)前記疾患に関連する公知のゲノムの遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的なプライマーを使用し、前記第1のゲノムDNA試料の線形増幅および標識化を実施して、第1の検出可能な標識を含む増幅された検査DNA産物を生成し、前記公知のゲノム遺伝子座内の公知のDNA配列に特異的な前記プライマーを使用し、前記第2のゲノムDNA試料の線形増幅および標識化を実施して、第2の検出可能な標識を含む増幅された参照DNA産物を生成するステップと、
    (d)前記増幅された検査DNA産物および参照DNA産物を、ゲノムDNA配列を含むDNAマイクロアレイにハイブリダイズさせるステップと、
    (e)前記DNAマイクロアレイへの、前記増幅された検査DNA産物のハイブリダイゼーションのパターンおよび程度を、前記増幅された参照DNA産物と比較するステップとを含み、
    前記公知のゲノムの遺伝子座のDNAマイクロアレイエレメントとは異なるDNAマイクロアレイエレメントへの、前記線形増幅された検査試料DNA産物のハイブリダイゼーションが、前記線形増幅された参照試料DNA産物を上回ることが、前記DNAマイクロアレイの前記エレメントを前記公知のゲノム遺伝子座の再編成パートナーとして同定し、前記再編成パートナーの同一性が、前記被験体における前記疾患の診断を提供する方法。
  50. 前記再編成が転座である、請求項49に記載の方法。
  51. 前記疾患が癌である、請求項49に記載の方法。
  52. 前記癌が、リンパ腫または白血病である、請求項51に記載の方法。
  53. 前記公知のゲノム遺伝子座が免疫グロブリン遺伝子である、請求項50に記載の方法。
  54. 前記再編成パートナーがMYCである、請求項50に記載の方法。
  55. 前記リンパ腫がバーキットリンパ腫である、請求項52に記載の方法。
  56. 染色体再編成を検出する方法であって、
    (a)標的ゲノム遺伝子座を増幅するステップと、
    (b)前記増幅産物を核酸アレイにハイブリダイズさせるステップと、
    (c)前記ハイブリダイゼーションパターンを参照と比較するステップとを含み、
    前記増幅が線形増幅であり、前記増幅されたゲノム遺伝子座のハイブリダイゼーションが前記参照と比較して異なることが、ゲノム再編成の存在を示す方法。
  57. 前記染色体再編成が平衡染色体再編成である、請求項56に記載の方法。
  58. 平衡染色体転座を検出する方法であって、
    (a)標的ゲノム遺伝子座を増幅するステップと、
    (b)前記増幅産物を核酸アレイにハイブリダイズさせるステップと、
    (c)前記ハイブリダイゼーションパターンを参照と比較するステップとを含み、
    前記増幅が線形増幅であり、直角三角形ハイブリダイゼーションパターンの存在が、平衡染色体転座の存在を示す方法。
  59. 前記方法が多重線形増幅を含む、請求項56に記載の方法。
  60. 複数のゲノム遺伝子座が、単一のアッセイで調査される、請求項56または59のいずれか一項に記載の方法。
  61. 複数の線形増幅プライマーが使用される、請求項56から60のいずれか一項に記載の方法。
  62. 前記複数の増幅プライマーが、疾患に関連する平衡転座に関与する遺伝子座の増幅用プライマーを含む、請求項61に記載の方法。
  63. 前記疾患が癌である、請求項62に記載の方法。
  64. 前記癌が、リンパ腫または白血病である、請求項62に記載の方法。
  65. 前記複数のプライマーが、MPM混合物、821混合物、P1/P7混合物、および複数のDプライマーから選択される、請求項61に記載の方法。
  66. 前記核酸アレイが、複数のゲノム遺伝子座に対するプローブを含む高密度タイルアレイである、請求項56から65のいずれか一項に記載の方法。
  67. 前記複数のゲノム遺伝子座の少なくとも1つが、疾患に関連する遺伝子座である、請求項66に記載の方法。
  68. 前記疾患が癌である、請求項67に記載の方法。
  69. 前記癌が、リンパ腫または白血病である、請求項68に記載の方法。
  70. 前記アレイがAMLパイロットアレイである、請求項56から69のいずれか一項に記載の方法。
  71. 前記方法が、第2の染色体再編成の検出をさらに含む、請求項56から70のいずれか一項に記載の方法。
  72. 前記第2の染色体再編成が、重複、増幅、欠失、逆位、平衡転座、および不平衡転座からなる群から選択される、請求項71に記載の方法。
  73. 前記方法が、転座の両パートナー遺伝子座の検出を含む、請求項56から72のいずれか一項に記載の方法。
  74. 個体のリンパ腫の予後を診断または提供する方法であって、前記個体からの生体試料中で、IgH転座を検出することを含み、IgHパートナー染色体切断点が、表2に列挙されているものから選択される方法。
  75. 前記転座が平衡転座である、請求項74に記載の方法。
  76. 前記検出が、PCR、配列決定、質量分析、ハイブリダイゼーション、またはtCGH解析による、請求項74または75に記載の方法。
  77. 平衡染色体転座の検出に使用するためのキットであって、
    (a)転座に関与するゲノム遺伝子座の線形増幅用のプライマーと、
    (b)前記プライマーにより増幅された産物を検出するためのアレイとを含むキット。
  78. 転座に関与する遺伝子座の線形増幅用の複数のプライマーを含む、請求項77に記載のキット。
  79. 前記ゲノム遺伝子座が、疾患に関連する、請求項77または78に記載のキット。
  80. 前記疾患が癌である、請求項79に記載のキット。
  81. 前記癌が、リンパ腫または白血病である、請求項80に記載のキット。
  82. 疾患に関連する染色体再編成をtCGH解析するためのアレイ。
  83. 前記アレイが、少なくとも2つの遺伝子座に特異的な複数のプローブを含み、前記遺伝子座が、疾患に関連する染色体再編成に関与している、請求項82に記載のアレイ。
  84. 疾患に関連する少なくとも1つの再編成が平衡転座である、請求項82または83に記載のアレイ。
  85. 前記疾患が、リンパ腫または白血病である、請求項82から84のいずれか一項に記載のアレイ。
  86. 前記アレイによって検出される少なくとも1つの遺伝子座が、表2および表4に見出されるものから選択される、請求項82から85のいずれか一項に記載のアレイ。
  87. 前記アレイが、表2に見出される遺伝子座に対するプローブを含む、請求項86に記載のアレイ。
  88. 前記アレイが、表4に見出される遺伝子座に対するプローブを含む、請求項86に記載のアレイ。
  89. コンピュータプログラムTileに使用されているようなオリゴヌクレオチド選択アルゴリズム。
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