JP2011502507A - 非天然アミノ酸を含有する蛋白質を使用する指向的進化 - Google Patents

非天然アミノ酸を含有する蛋白質を使用する指向的進化 Download PDF

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Abstract

本発明は非天然アミノ酸を含有する変異体を含むポリペプチドライブラリーをスクリーニングするための方法と組成物を提供する。更に、本発明は核酸をベクターにパッケージングするためのベクターパッケージングシステム及び方法を提供する。前記方法及びシステムにより作製されたベクター組成物も提供する。
【選択図】図1

Description

(関連出願とのクロスリファレンス)
本願は米国予備特許出願第61/001,681号、発明の名称「非天然アミノ酸を含有する蛋白質を使用する指向的進化(Directed evolution using proteins comprising unnatural amino acids)」、発明者Liuら、出願日2007年11月2日、米国予備特許出願第61/127,262号、発明の名称「非天然アミノ酸を含有する蛋白質を使用する指向的進化(Directed evolution using proteins comprising unnatural amino acids)」、発明者Liuら、出願日2008年5月8日、及び米国予備特許出願第61/194,773号、発明の名称「非天然アミノ酸を含有する蛋白質を使用する指向的進化(Directed evolution using proteins comprising unnatural amino acids)」、発明者Liuら、出願日2008年9月29日の優先権と特典を主張し、その開示内容全体を全目的で本願に援用する。
(連邦政府支援研究開発から創出された発明の権利に関する陳述)
本発明は米国国立衛生研究所助成番号5R01GM62159と米国国立科学財団プレドクター奨学金による米国政府助成下に創出された。米国政府は本発明に所定の権利をもつ。
(発明の技術分野)
本発明は蛋白質化学、例えば翻訳生化学の分野に関する。本発明は非天然アミノ酸を含有するポリペプチド変異体のライブラリーをスクリーニングするための方法と組成物に関する。本発明は更に非天然アミノ酸を組込んだベクター蛋白質及び/又は異種蛋白質を含むベクターを作製するためのシステム、組成物及び方法に関する。
蛋白質は光合成からシグナル伝達や免疫応答に至る複雑な生命プロセスのほぼ全てを行う。これらの複雑な活動を解明するためには、蛋白質がその機能を実施するために他の分子とどのように相互作用するかを突き止めることが有用であろう。ポリペプチドライブラリースクリーニング技術はこれらの分子相互作用を調査し、操作するのに非常に有用なツールである。一般に、ポリペプチドライブラリーのスクリーニングは複数のポリペプチド変異体を発現させた後に、該当機能を示す変異体、例えば特定リガンドと結合する変異体を単離増幅する方法に依存している。しかし、このような変異体の単離はライブラリーダイバーシティの維持に決定的に依存する。
ライブラリーのポリペプチド変異体間の発現率の変動はライブラリーダイバーシティの維持、従って、機能的配列の選択に有害であると思われる。例えば、スクリーニング基準に合致しているからではなく、単に増殖優位性により過剰発現されるという理由から、スクリーニング、単離及び増幅サイクルの反復後の集団で所定の高度に発現される変異体が増加する場合がある。その結果、低レベルで発現される望ましい変異体が過少評価されたり、場合によっては見落とされる場合もある。天然アミノ酸のみを含有する蛋白質に有利な固有のインビボ発現バイアスにより、特に非天然アミノ酸を含有するポリペプチド変異体ではこのような事態が発生する。
発現されるポリペプチド変異体の集団、特に非天然アミノ酸を含有する変異体を含む集団における変異体のダイバーシティに悪影響を与えずに、このような集団全体にわたって発現レベルを調節する新規ストラテジーが当分野で必要とされている。本発明は以下の開示から明らかなように、上記及び他の必要を満たすものである。
ユニークな官能基をもつ非天然アミノ酸をポリペプチドに部位特異的に組込むことにより、立体的、化学的又は生物学的性質を強化又は新規にしたポリペプチドを作製することが可能になった。非天然アミノ酸を含有する変異体を含むポリペプチドライブラリーをスクリーニングすることによりこのような望ましいポリペプチド候補を同定することができる。しかし、ライブラリーの全ポリペプチド変異体が制御下に発現されない場合には、望ましい変異体、特に非天然アミノ酸を含有する変異体は過少評価されたり見落とされる可能性がある。
発現されるペプチド変異体の集団全体にわたって発現レベルを調節する新規ストラテジーが必要とされている。本発明は非天然アミノ酸を含有する変異体を含むポリペプチドライブラリーの新規組成物と、このようなライブラリーの新規スクリーニング方法を提供する。更に、本発明は上記ポリペプチドライブラリーを開発するために使用することができる新規ベクターのパッケージング方法及びシステムも提供する。
本発明は1種以上の該当機能についてポリペプチド変異体のライブラリーをスクリーニングする方法を提供する。前記方法は発現される変異体の平均比が10:1以下となるように複数のポリペプチド変異体の発現を正規化する段階を含む。場合により、発現される変異体の比は5:1以下、又は1:1とすることができる。前記方法は更に、観測される該当機能の差異が変異体の活性の差異と相関するように、複数の変異体から該当機能を示す変異体を選択する段階を含む。ライブラリーは少なくとも1個の非天然アミノ酸を含有する少なくとも1個のポリペプチド変異体を含む複数のポリペプチド変異体を含むことができる。場合により、複数のポリペプチド変異体は各々少なくとも1個の非天然アミノ酸を含有することができる。ポリペプチド変異体のライブラリーをスクリーニングする段階は場合により本明細書に記載する各種ポリペプチド変異体のいずれか1種のライブラリーをスクリーニングする段階を含む。
前記方法では、変異体の発現を正規化すると、場合により選択の感度を改善することができる。該当機能を示す変異体を選択する段階は、発現される変異体の比が1:10以下であるときに検出可能な該当機能の差異を選択する段階を含むことができる。場合により、該当機能を示す変異体を選択する段階は、発現される変異体の比が1:5以下であるときに検出可能な該当機能の差異を選択する段階を含むことができる。
本発明は更に複数の発現されるポリペプチド変異体を含む組換えポリペプチド発現ライブラリーを提供する。ライブラリー内の発現されるポリペプチド変異体は場合により本明細書に記載する各種ポリペプチド変異体のいずれか1種を含むことができる。複数の変異体の各々は場合により10:1以下、5:1以下、又は1:1のモル比でライブラリーに存在することができる。例えば、組換えポリペプチド発現ライブラリーは、各ファージが組換えポリペプチド変異体(例えば抗体フラグメント変異体)をその外面に提示する複数の組換えM13由来ファージを含むことができる。場合により、組換えポリペプチド発現ライブラリーは、各ファージが2個以上の同一の組換えポリペプチド変異体(例えば抗体フラグメント変異体)をその外面に提示する複数の多価組換えM13由来ファージを含むことができる。
場合により、変異体の少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、又は4個以上は少なくとも1個の非天然アミノ酸残基を含有することができる。ポリペプチド変異体の少なくとも1個は場合により少なくとも1個の非天然アミノ酸残基、少なくとも2個の異なる非天然アミノ酸残基、又は3個以上の異なる非天然アミノ酸残基を含有することができる。ポリペプチド変異体は場合により本明細書に記載する非天然アミノ酸のいずれかを含有することができる。
本発明は核酸発現ライブラリーも提供する。核酸発現ライブラリーは構築物のポリペプチド産物が10:1以下、5:1以下、又は1:1の比でライブラリーに存在するように発現させることができる複数の組換え核酸発現構築物を含む。構築物により発現されるポリペプチド産物は場合により本明細書に記載する各種ポリペプチド変異体のいずれか1種を含むことができる。
発現構築物のうちの少なくとも1個のコーディング領域は、少なくとも1個の非天然アミノ酸残基がポリペプチド産物の少なくとも1個に組込まれるように、少なくとも1個のセレクターコドンを含むことができる。セレクターコドンとしては終止コドン、4塩基コドン、レアコドン、又は非コーディングコドンが挙げられる。組換え核酸発現構築物により発現されるポリペプチド産物の少なくとも1個に組込まれる非天然アミノ酸残基としては、場合により本明細書に記載する非天然アミノ酸のいずれかが挙げられる。
更に、本発明は複数のポリペプチド変異体を含む発現産物のライブラリーを提供する。ポリペプチド変異体は場合により本明細書に記載する各種ポリペプチド変異体のいずれか1種を含むことができる。ポリペプチド変異体は各々少なくとも1個の非天然アミノ酸を含有することができる。非天然アミノ酸としては、場合により本明細書に記載する非天然アミノ酸のいずれかが挙げられる。変異体は場合により10:1以下、5:1以下、又は1:1の比でライブラリーに存在することができる。
ポリペプチド変異体のライブラリーをスクリーニングするために最も広く使用されている技術の1つはファージディスプレイ法であり、上記方法及び組成物で容易に使用することができる技術である。ファージディスプレイ法はポリペプチド変異体をコードする遺伝子をバクテリオファージコート又はキャプシド蛋白質の遺伝子と融合するインビトロ選択技術である。コードされる融合蛋白質は発現時にファージの外面に提示されるが、融合蛋白質残基をコードする核酸はファージ自体の内側に保持される。ファージディスプレイ法における表現型と遺伝子型の物理的関係は所望のポリペプチド変異体をコードするファージの選択的単離及び増幅を可能にするだけでなく、多数の変異体を同時にスクリーニングできるという理由から有利である。本発明の下記側面はベクターアセンブリ用の新規システム及び方法と、ファージディスプレイ法に有用な新規ベクターの組成物を提供する。
本発明はベクター核酸を含むベクターパッケージングシステムを提供する。ベクター核酸はパッケージング部位を含むか又はコードし、少なくとも1個のセレクターコドンを含む標的ポリペプチドをコードする。ベクターパッケージングシステムは更に少なくとも1個のセレクターコドンを含むパッケージング又は特異性ポリペプチドをコードする相補核酸を含む。場合により、このセレクターコドンは標的ポリペプチドによりコードされるセレクターコドンと同一とすることができる。ベクターのアセンブリ時にパッケージング又は特異性ポリペプチドをベクター核酸又はベクター核酸のコピーもしくは転写産物でパッケージングすることができる。更に、ベクターパッケージングシステムは非天然アミノ酸を負荷された直交tRNA(O−tRNA)を含む。O−tRNAは標的ポリペプチド及び/又はパッケージングもしくは特異性ポリペプチドによりコードされるセレクターコドンを認識することができ、その翻訳を可能にする。
ベクターパッケージングシステムのベクター核酸は融合蛋白質を含む標的ポリペプチドをコードすることができる。融合蛋白質は場合によりリボソーム合成抗体フラグメント又はその誘導体、及び/又は相補性決定領域(CDR)を含むことができる。標的ポリペプチド及び/又はパッケージングもしくは特異性ポリペプチドによりコードされるセレクターコドンとしては、場合により終止コドン、4塩基コドン、レアコドン又は非コーディングコドンが挙げられる。ベクターパッケージングシステムのパッケージング又は特異性ポリペプチドはウイルスキャプシド又はエンベロープ蛋白質(例えばM13ファージpIIIキャプシド蛋白質)から構成することができる。ベクターパッケージングシステムは場合によりインビトロ翻訳系から構成することができる。別の側面において、ベクターパッケージングシステムは場合により細胞(例えば哺乳動物、昆虫、細菌又は大腸菌細胞)から構成することができる。システムは直交tRNAに非天然アミノ酸(例えばビピリジルアラニン)を負荷することが可能な直交アミノアシルtRNAシンテターゼと、非天然アミノ酸(例えばビピリジルアラニン、p−ボロノフェニルアラニン、スルホチロシン又はパラアセチルフェニルアラニン)を含むことができる。
1態様において、ベクターパッケージングシステムはM13ファージパッケージング配列を含むファージミドを含む。ファージミドはセレクターコドンを含むことができる融合蛋白質(例えば少なくとも1個のセレクターコドンを含む抗体フラグメントを含む融合蛋白質)をコードすることができる。ベクターパッケージングシステムは更に少なくとも1個のセレクターコドン、場合により融合蛋白質と同一のセレクターコドンを含む突然変異体pIIIポリペプチドをコードするプラスミドを含む。突然変異体pIIIポリペプチドはファージミドのコピーでパッケージングされる。更に、ベクターパッケージングシステムは非天然アミノ酸残基を負荷された直交tRNAを含む。負荷された直交tRNAはセレクターコドンを認識し、ベクターパッケージングシステムによる突然変異体pIIIポリペプチドと抗体フラグメント融合蛋白質の翻訳を可能にする。
1関連側面において、本発明は標的ポリペプチドをコードするパッケージングされた核酸と、パッケージングされた核酸によりコードされる標的ポリペプチドを含むベクターを提供する。ベクターはウイルスキャプシドから構成することができ、哺乳動物ウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、昆虫ウイルス、バキュロウイルス又はバクテリオファージ(例えば組換えM13由来バクテリオファージ)に由来することができる。パッケージングされた核酸はパッケージング部位を含むか又はコードすることができ、パッケージングされた核酸によりコードされる標的ポリペプチドは融合蛋白質、例えばリボソーム合成抗体フラグメント、その誘導体及び/又は相補性決定領域を含む融合蛋白質から構成することができる。標的ポリペプチドは場合によりベクターの外面に提示される。更に、ベクターはベクターに宿主細胞特異性を付与し、少なくとも1個の非天然アミノ酸残基を含有する特異性ポリペプチドを含む。特異性ポリペプチドは場合によりウイルスキャプシド蛋白質(例えばM13ファージpIII蛋白質)又はウイルスエンベロープ蛋白質から構成することができる。
別の態様において、ベクターは少なくとも1個のセレクターコドンを含む標的ポリペプチドをコードするパッケージングされた核酸と、少なくとも1個の非天然アミノ酸を含有するパッケージングされた核酸によりコードされる標的ポリペプチドを含む。標的ポリペプチドは場合によりベクターの外面に提示される。更に、ベクターは核酸をパッケージングするか、又はベクターに宿主細胞特異性を付与するパッケージング又は特異性ポリペプチドを含む。パッケージング又は特異性ポリペプチドは少なくとも1個の非天然アミノ酸、場合により標的ポリペプチドと同一の非天然アミノ酸を含む。
例えば、ベクターは少なくとも1個のセレクターコドンを含む抗体フラグメントを含む融合蛋白質をコードするファージミドを含む組換えM13由来ファージから構成することができる。ベクターは更に少なくとも1個の非天然アミノ酸を含有する抗体フラグメントを含む融合蛋白質を含むことができる。融合蛋白質は組換えM13由来ファージの外面に提示することができる。更に、ベクターは融合蛋白質と同一の少なくとも1個の非天然アミノ酸(例えば本明細書に記載する任意の非天然アミノ酸)を含有するpIIIポリペプチドを含むことができる。
本発明はベクター核酸のパッケージング方法を提供する。本方法はベクター核酸を発現させ、少なくとも1個の非天然アミノ酸を含有する標的ポリペプチドを産生させる段階と、相補核酸を発現させ、標的ポリペプチドと同一の少なくとも1個の非天然アミノ酸を含有するパッケージング又は特異性ポリペプチドを産生させる段階を含む。前記方法は更に、ベクター核酸又はそのコピーもしくは転写産物をパッケージング又は特異性ポリペプチドと標的ポリペプチドに結合させ、ベクター核酸をパッケージングする段階を含む。
前記方法において、発現させるベクター核酸はパッケージング部位と少なくとも1個のセレクターコドンを含む標的ポリペプチドを含むか又はコードすることができる。発現させる相補核酸は標的ポリペプチドと同一の少なくとも1個のセレクターコドンを含むパッケージング又は特異性ポリペプチドをコードする相補核酸から構成することができる。ベクター核酸及び/又は相補核酸はベクター核酸及び/又は相補核酸を細胞に形質転換、形質導入、共役、安定的トランスフェクション又は一過性トランスフェクションする等の各種アプローチのいずれかにより発現させることができる。ベクター核酸を発現させて標的ポリペプチドを産生させる段階又は相補核酸を発現させてパッケージングもしくは特異性ポリペプチドを産生させる段階は、標的ポリペプチド及び/又はパッケージングもしくは特異性ポリペプチドをコードするRNAの合成を誘導する段階を含む。
ベクター核酸又はそのコピーもしくは転写産物をパッケージング又は特異性ポリペプチドと標的ポリペプチドに結合させる段階は、例えばベクター核酸を導入した大腸菌株を培養する段階と、大腸菌株に導入したベクター核酸を発現させ、標的ポリペプチドを産生させる段階と、例えば相補核酸を含むヘルパーファージを大腸菌に感染させることにより相補核酸を提供する段階と、相補核酸を発現させ、パッケージング又は特異性ポリペプチドを産生させる段階を含むことができる。ベクター核酸をパッケージングする段階は、ベクター核酸を別のポリペプチド(例えばポリメラーゼ、ウイルスマトリックス蛋白質又はウイルスコア蛋白質)と結合させる段階を含む。前記方法の各段階は場合により細胞(例えば哺乳動物細胞、昆虫細胞、細菌細胞又は大腸菌細胞)で実施される。
例えば、1態様において、ベクタープラスミドのパッケージング方法はベクタープラスミドを発現させ、抗体フラグメントを含む融合蛋白質を産生させる段階を含む。前記フラグメントは少なくとも1個の非天然アミノ酸を含有することができる。前記方法は相補プラスミドを発現させ、融合蛋白質と同一の少なくとも1個の非天然アミノ酸を含有する突然変異体pIII蛋白質を産生させる段階を含む。ベクタープラスミドのコピーを突然変異体pIIIと融合蛋白質に結合させ、ベクタープラスミドをパッケージングする。
キットも本発明の特徴である。キットは例えば本発明の方法を実施するための説明書と共に、例えば適当な容器にパッケージングされた本発明の組成物のいずれかを含むことができる。
当業者に自明の通り、本発明により提供される方法、キット、システム及び組成物は単独で使用してもよいし、併用してもよい。例えば、本明細書に記載する方法のいずれかにより、例えば各々少なくとも1個の非天然アミノ酸を含有する正規化発現産物のライブラリーを含有する組成物をポリペプチド変異体の1種以上の該当機能についてスクリーニングすることができる。代替又は付加態様によると、これらのライブラリーは本発明により提供されるベクターパッケージングシステムのいずれかにより作製することができる。本明細書に記載する本発明の特徴のその他の組合せも当業者に理解されよう。
(定義)
本発明を詳細に記載する前に、本発明は特定装置又は生物系に限定されず、当然のことながら種々のものに適用できると理解すべきである。同様に、本明細書で使用する用語は特定態様のみの記載を目的とし、限定的でないことも理解すべきである。本明細書と特許請求の範囲で使用する単数形の定冠詞はそうでないことが内容から明白である場合を除き、複数形も含む。従って、例えば「アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)」と言う場合にはそうでないことが内容から明白である場合を除き、2個以上のRS分子の組合せを含み、「細菌と言う場合には細菌の混合物を含み、他の用語についても同様である。
特に定義しない限り、本明細書で使用する全科学技術用語は本発明が属する分野の当業者に通常理解されている通りの意味をもつ。本発明の試験の実施には本明細書に記載するものに類似又は等価の任意方法及び材料を使用することができるが、好ましい材料と方法は本明細書に記載するものである。本発明の記載及び特許請求の範囲において、以下の用語は以下の定義に従って使用される。
相補核酸:「相補核酸」なる用語はパッケージング又は特異性ポリペプチドをコードする核酸を意味する。相補核酸の1例としては、M13ファージアセンブリ及び感染を可能にするpIII蛋白質をコードする組換えM13由来ファージM13KO7のゲノムが挙げられる。
コードする:本明細書で使用する「コードする」なる用語は第1の分子又は配列鎖とは異なる第2の分子又は配列鎖の生産を誘導するためにポリマー巨大分子又は配列鎖中の情報を使用する任意プロセスを意味する。本明細書ではこの用語を広義に使用し、種々に適用することができる。所定側面において、「コードする」なる用語は新規に合成された相補的姉妹鎖をDNA依存性DNAポリメラーゼによりコードさせるための鋳型として2本鎖DNA分子の一方の鎖を使用する半保存的DNA複製プロセスを意味する。別の側面において、「コードする」なる用語は第1の分子とは異なる化学的性質をもつ第2の分子の生産を誘導するために第1の分子の情報を使用する任意プロセスを意味する。例えば、DNA分子は(例えばDNA依存性RNAポリメラーゼ酵素を使用する転写プロセスにより)RNA分子をコードすることができる。更に、RNA分子は翻訳プロセスにおけるようにポリペプチドをコードすることができる。翻訳プロセスについて使用する場合に、「コードする」なる用語はアミノ酸をコードするトリプレットコドンにも適用する。所定側面において、RNA分子は例えばRNA依存性DNAポリメラーゼを使用する逆転写プロセスによりDNA分子をコードすることができる。別の側面において、DNA分子はポリペプチドをコードすることができ、この場合に使用する「コードする」とは当然のことながら転写プロセスと翻訳プロセスの両者を意味する。
融合蛋白質:本明細書で使用する「融合蛋白質」とは、天然では一緒になって1つの発現産物として発現されない2個以上の核酸分子の発現産物を意味する。例えば、天然では一緒になって1つの発現産物として発現されないサブユニットA及びサブユニットBを含む天然蛋白質Xは融合蛋白質ではない。しかし、当分野で公知の組換えDNA法を使用し、サブユニットA及びBを一緒に1つの発現産物として発現させると、サブユニットBに融合したサブユニットAを含む融合蛋白質が得られる。融合蛋白質は異種アミノ酸配列(例えば同一起源ではない配列、同一蛋白質ファミリーではない配列、機能的に類似しない配列等)から構成してもよい。
ライブラリー:「ライブラリー」なる用語は当分野でのその一般的な用法に従い、該当分子の集合を表すために使用される。例えば、ポリペプチドライブラリーとは発現されるポリペプチド又はポリペプチド変異体の集合である。本発明のポリペプチド変異体は場合により、各ライブラリーが関連ポリペプチドのレパートリーを含むか又はコードするようにランダムに変異又は選択的に変異した残基を含み、個々のポリペプチドは配列が相互に異なる。ファージディスプレイ等による選択用に開発されるライブラリーにも同一原理が適用される。
正規化ライブラリー:本明細書で使用する「正規化ライブラリー」なる用語は各分子の発現量がライブラリーの他の分子に対して平均で特定範囲内、例えば約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1又は約0.9:1となる該当分子の集合を含むライブラリーを意味する。
直交:本明細書で使用する「直交」なる用語は細胞又は翻訳系に内在する対応分子に比較して低効率で細胞の内在成分と共働するか、あるいは細胞の内在成分と共働できない分子(例えば直交tRNA(O−tRNA)及び/又は直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS))を意味する。tRNA及びアミノアシルtRNAシンテターゼに関して直交とは、内在tRNAが内在tRNAシンテターゼと共働する能力に比較して直交tRNAが内在tRNAシンテターゼと共働できないか又は低効率(例えば20%未満、10%未満、5%未満、又は1%未満の効率)でしか共働できず、あるいは、内在tRNAシンテターゼが内在tRNAと共働する能力に比較して直交アミノアシルtRNAシンテターゼが内在tRNAと共働できないか又は低効率でしか共働できないことを意味する。直交分子は細胞内に機能的に正常な相補的内在分子をもたない。例えば、細胞中の直交tRNAがこの細胞の任意内在RSによりアミノアシル化される効率は内在tRNAが内在RSによりアミノアシル化される効率に比較して低いか又はゼロである。別の例では、直交RSが該当細胞の任意内在tRNAをアミノアシル化する効率は内在tRNAが内在RSによりアミノアシル化される効率に比較して低いか又はゼロである。第1の直交分子と共働する第2の「コグネイト」直交分子を細胞に導入することができる。例えば、直交tRNA/RS対は対照(例えば対応するtRNA/RS内在対、又は活性直交対(例えばチロシル直交tRNA/RS対))の効率に比較して所定の効率(例えば45%の効率、50%の効率、60%の効率、70%の効率、75%の効率、80%の効率、90%の効率、95%の効率、又は99%以上の効率)で細胞において共働する導入相補成分を含む。従って、O−RS/O−tRNA対は良好な効率で共働し、O−RSはO−tRNAを妥当な効率でアミノアシル化するが、O−RSは内在tRNAをアミノアシル化しないか又は内在tRNAを少なくとも不良にしかアミノアシル化せず、O−tRNAは内在RSにより不良にしか又は全くアミノアシル化されない。
パッケージング部位:パッケージング部位とは、結合性ベクター粒子、例えばウイルスキャプシドの内側にベクター核酸を効率的且つ特異的に組込ませるベクター核酸の配列中のシス調節エレメントである。
パッケージング又は特異性ポリペプチド:本明細書で使用する「パッケージング又は特異性ポリペプチド」なる用語はベクター粒子の最も外側の構造の構成の必須成分であるか、及び/又はベクターの宿主範囲を決定するポリペプチドを意味する。パッケージング又は特異性ポリペプチドの例としては、F大腸菌のM13ファージアセンブリとM13感染の両者に中心的役割を果たすM13ファージpIIIポリペプチド、λファージアセンブリに中心的役割を果たすλファージgpE、及びヘルペスウイルスキャプシドの安定性に不可欠であるヘルペスウイルスVP5が挙げられる。
ポリペプチド:ポリペプチドは必ずしもそうでなくてもよいが、一般に共有ペプチド結合により結合した任意長のアミノ酸(天然又は非天然又はその組み合わせ)の任意オリゴマーである。ポリペプチドは任意起源に由来することができ、例えば天然に存在するポリペプチド、組換え分子遺伝技術により作製されたポリペプチド、細胞もしくは翻訳系に由来するポリペプチド、又は無細胞合成手段により作製されたポリペプチドが挙げられる。ポリペプチドはそのアミノ酸配列(例えばその成分アミノ酸残基の一次構造)により特徴付けられる。本明細書で使用するポリペプチドのアミノ酸配列とは全長配列に限定されず、部分配列でも完全配列でもよい。更に、ポリペプチドは特定生理活性の有無により限定されない。本明細書で使用する「蛋白質」なる用語はポリペプチドと同義である。「ペプチド」なる用語は限定されないが、例えば2〜25アミノ酸長の短いポリペプチドを意味する。
セレクターコドン:「セレクターコドン」なる用語は翻訳プロセスでO−tRNAにより認識され、内在tRNAにより認識されないコドンを意味する。O−tRNAアンチコドンループはmRNA上のセレクターコドンを認識し、そのアミノ酸(例えば非天然アミノ酸)をポリペプチドのこの部位に組込む。セレクターコドンとしては例えば終止コドン(例えばアンバー、オーカー及びオパールコドン)等のナンセンスコドン、4塩基以上のコドン、レアコドン、天然もしくは非天然塩基対から誘導されるコドン及び/又は同等物を挙げることができる。
特異性ポリペプチド:本明細書で使用する「特異性ポリペプチド」なる用語はベクターの宿主範囲を決定するポリペプチドを意味する。特異性ポリペプチドの例としてはM13を大腸菌に感染させるM13ファージpIIIポリペプチドと、大腸菌のλ感染を可能にするλファージJ蛋白質が挙げられる。
標的ポリペプチド:本明細書で使用する「標的ポリペプチド」なる用語はベクター核酸によりコードされるポリペプチド(例えばM13におけるpIII融合蛋白質、バキュロウイルスにおけるgp64融合蛋白質、T7ファージにおける10b融合蛋白質、及びλファージにおけるD融合蛋白質)を意味する。
非天然アミノ酸:本明細書で使用する「非天然アミノ酸」なる用語は20種類の標準天然アミノ酸の1種又はセレノシステインもしくはピロリジン以外の任意アミノ酸、修飾アミノ酸、及び/又はアミノ酸類似体を意味する。例えば、本発明では非天然アミノ酸としてビピリジルアラニンとスルホチロシンを利用する。
ベクター:「ベクター」とは、核酸を含有しており、場合により単離した核酸を宿主細胞の内側に送達するために使用することができる組成物である。多数のベクターが当分野で公知であり、限定されないが、直鎖状ポリヌクレオチド、イオン性又は両親媒性化合物と結合したポリヌクレオチド、バクテリオファージ、プラスミド及びウイルスが挙げられる。従って、ベクター」なる用語は限定されないが、自律複製プラスミド又はウイルスを包含し、パッケージングされたものでも裸のものでもよい。ウイルスベクターの例としては限定されないが、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター及び他の組換えウイルスが挙げられる。
ベクター核酸:本明細書で使用する「ベクター核酸」とは標的ポリペプチドをコードする核酸であり、前記核酸又はそのコピーもしくは転写産物をベクターの内側にパッケージングし、ベクターにより宿主細胞の内側に送達するものを意味する。
本発明により提供されるベクターパッケージングシステムの模式図である。
本発明により提供される方法により作製することができるベクターの1オプション態様を示す。
本発明により作製することができるベクターの第2のオプション態様を示す。
ファージがFabをその外面に提示するか否かを判定するために実施した実験の結果を示す。
非天然アミノ酸を含有するFab変異体の3種類のライブラリーを作製するために使用したオリゴヌクレオチド配列を示す。
ニッケル樹脂と結合するFabを単離するためのスクリーニングの結果を示す。
図7a〜dは実施例2に記載する実験で使用した4種類の非天然アミノ酸の構造を示す。図7e〜fは非天然アミノ酸を含有するscFv−pIII融合蛋白質を実施例2で使用したM13由来ファージの表面に提示できることを確認するために実施した実験の結果を示す。 図7a〜dは実施例2に記載する実験で使用した4種類の非天然アミノ酸の構造を示す。図7e〜fは非天然アミノ酸を含有するscFv−pIII融合蛋白質を実施例2で使用したM13由来ファージの表面に提示できることを確認するために実施した実験の結果を示す。
ケト−X−大腸菌、SY−X−大腸菌、Bpy−X−大腸菌、又はボロ X−大腸菌でpSEX−GermNNKライブラリーからのファージ発現後にTAGコドンを含むファージクローンの百分率を測定するために実施した実験の結果を示す。
初期ライブラリーと3回目の選択後のライブラリーからのファージ収率に比較して培養液1mL当たりの412d−2SYのファージ収率を測定するために実施した実験の結果を示す。
スルホチロシンをチロシンで置換した412d−Yと比較したドープ412dライブラリーから選択した412d−2SYとのgp120結合のファージELISAの結果を示す。
図11a〜bは各連続回の選択後にgp120と結合することが可能なクローンが増加したことと、各連続回の選択後に非天然アミノ酸スルホチロシンを含有するクローンが増加したことを証明するために実施した実験の結果を示す。 図11a〜bは各連続回の選択後にgp120と結合することが可能なクローンが増加したことと、各連続回の選択後に非天然アミノ酸スルホチロシンを含有するクローンが増加したことを証明するために実施した実験の結果を示す。
初期ファージライブラリーと3回目の選択後のライブラリーからのファージ収率と比較して66CC8−SYを提示するファージの培養液1mL当たりの収率を測定するために実施した実験の結果を示す。
gp120に対する66CC8−SY、66CC8−Y、66CC14及び412d−2SYの親和性を測定するために実施したELISA実験の結果を示す。 gp120に対する66CC8−SY、66CC8−Y、66CC14及び412d−2SYの親和性を測定するために実施したELISA実験の結果を示す。
図14aは抗ヒトκ軽鎖HRP抗体を使用し、金属増感型DABキット(Pierce)で発色させたプロテインG精製Fabのウェスタンブロット分析を示す。サンプルを変性PAGEゲル(Invitrogen NuPAGE 4−12%Bis−Tris)上に泳動させた。66CC8−SY及び412d−SYでは、硫酸化抗体発現がスルホチロシンの存在に依存することを立証するために、スルホチロシンの不在下の発現に対応するレーンも示す。図14b〜fは夫々Fab 66CC14、66CC8−SY、66CC8−Y、412d−SY及び412d−YのLCMS(ESI陽性)スペクトルを示す。図14gは精製Fab 412d−2SY、412d−Y、66CC8−SY、66CC8及び66CC14とgp120の結合を測定するELISAの結果を示す。 図14aは抗ヒトκ軽鎖HRP抗体を使用し、金属増感型DABキット(Pierce)で発色させたプロテインG精製Fabのウェスタンブロット分析を示す。サンプルを変性PAGEゲル(Invitrogen NuPAGE 4−12%Bis−Tris)上に泳動させた。66CC8−SY及び412d−SYでは、硫酸化抗体発現がスルホチロシンの存在に依存することを立証するために、スルホチロシンの不在下の発現に対応するレーンも示す。図14b〜fは夫々Fab 66CC14、66CC8−SY、66CC8−Y、412d−SY及び412d−YのLCMS(ESI陽性)スペクトルを示す。図14gは精製Fab 412d−2SY、412d−Y、66CC8−SY、66CC8及び66CC14とgp120の結合を測定するELISAの結果を示す。 図14aは抗ヒトκ軽鎖HRP抗体を使用し、金属増感型DABキット(Pierce)で発色させたプロテインG精製Fabのウェスタンブロット分析を示す。サンプルを変性PAGEゲル(Invitrogen NuPAGE 4−12%Bis−Tris)上に泳動させた。66CC8−SY及び412d−SYでは、硫酸化抗体発現がスルホチロシンの存在に依存することを立証するために、スルホチロシンの不在下の発現に対応するレーンも示す。図14b〜fは夫々Fab 66CC14、66CC8−SY、66CC8−Y、412d−SY及び412d−YのLCMS(ESI陽性)スペクトルを示す。図14gは精製Fab 412d−2SY、412d−Y、66CC8−SY、66CC8及び66CC14とgp120の結合を測定するELISAの結果を示す。 図14aは抗ヒトκ軽鎖HRP抗体を使用し、金属増感型DABキット(Pierce)で発色させたプロテインG精製Fabのウェスタンブロット分析を示す。サンプルを変性PAGEゲル(Invitrogen NuPAGE 4−12%Bis−Tris)上に泳動させた。66CC8−SY及び412d−SYでは、硫酸化抗体発現がスルホチロシンの存在に依存することを立証するために、スルホチロシンの不在下の発現に対応するレーンも示す。図14b〜fは夫々Fab 66CC14、66CC8−SY、66CC8−Y、412d−SY及び412d−YのLCMS(ESI陽性)スペクトルを示す。図14gは精製Fab 412d−2SY、412d−Y、66CC8−SY、66CC8及び66CC14とgp120の結合を測定するELISAの結果を示す。 図14aは抗ヒトκ軽鎖HRP抗体を使用し、金属増感型DABキット(Pierce)で発色させたプロテインG精製Fabのウェスタンブロット分析を示す。サンプルを変性PAGEゲル(Invitrogen NuPAGE 4−12%Bis−Tris)上に泳動させた。66CC8−SY及び412d−SYでは、硫酸化抗体発現がスルホチロシンの存在に依存することを立証するために、スルホチロシンの不在下の発現に対応するレーンも示す。図14b〜fは夫々Fab 66CC14、66CC8−SY、66CC8−Y、412d−SY及び412d−YのLCMS(ESI陽性)スペクトルを示す。図14gは精製Fab 412d−2SY、412d−Y、66CC8−SY、66CC8及び66CC14とgp120の結合を測定するELISAの結果を示す。 図14aは抗ヒトκ軽鎖HRP抗体を使用し、金属増感型DABキット(Pierce)で発色させたプロテインG精製Fabのウェスタンブロット分析を示す。サンプルを変性PAGEゲル(Invitrogen NuPAGE 4−12%Bis−Tris)上に泳動させた。66CC8−SY及び412d−SYでは、硫酸化抗体発現がスルホチロシンの存在に依存することを立証するために、スルホチロシンの不在下の発現に対応するレーンも示す。図14b〜fは夫々Fab 66CC14、66CC8−SY、66CC8−Y、412d−SY及び412d−YのLCMS(ESI陽性)スペクトルを示す。図14gは精製Fab 412d−2SY、412d−Y、66CC8−SY、66CC8及び66CC14とgp120の結合を測定するELISAの結果を示す。 図14aは抗ヒトκ軽鎖HRP抗体を使用し、金属増感型DABキット(Pierce)で発色させたプロテインG精製Fabのウェスタンブロット分析を示す。サンプルを変性PAGEゲル(Invitrogen NuPAGE 4−12%Bis−Tris)上に泳動させた。66CC8−SY及び412d−SYでは、硫酸化抗体発現がスルホチロシンの存在に依存することを立証するために、スルホチロシンの不在下の発現に対応するレーンも示す。図14b〜fは夫々Fab 66CC14、66CC8−SY、66CC8−Y、412d−SY及び412d−YのLCMS(ESI陽性)スペクトルを示す。図14gは精製Fab 412d−2SY、412d−Y、66CC8−SY、66CC8及び66CC14とgp120の結合を測定するELISAの結果を示す。
本発明は非天然アミノ酸を含有するポリペプチドに不利な固有のインビボ発現バイアスを利用することにより、正規化ポリペプチド発現ライブラリーの作製を容易にする。この固有のバイアスにより、ライブラリーの非天然アミノ酸を含有するポリペプチド変異体は通常では過少発現されたり、見落とされたり、あるいは該当機能をスクリーニングするために使用されるアッセイで検出されない。しかし、本発明はライブラリーの全変異体を正規化するためにスクリーニング可能な部分に組込まれるものと同一の少なくとも1個の非天然アミノ酸を生存に必要なポリペプチドに組込む方法に依存する。
本発明により提供される方法と組成物はライブラリーに多量に存在するポリペプチド変異体の冗長度を低下させ、希少変異体(例えば該当特性を強化することができる非天然アミノ酸を含有する変異体)の発現を助長するのに有用であると思われる。ライブラリーダイバーシティの維持は大半のポリペプチド発現ライブラリーの作製とスクリーニングの大問題の1つであるため、本発明は広範な原核、真核及び古細菌ポリペプチドライブラリースクリーニングシステムに有用であり、一般に適用可能である。
本明細書に記載する好ましい1態様において、本発明はファージディスプレイライブラリーで利用される。これらのライブラリーとしては、例えば非天然アミノ酸を含有する提示されるpIII融合ポリペプチド変異体のサブセットと同一の少なくとも1個の非天然アミノ酸を含有するM13ファージpIIIポリペプチドが挙げられる。一般に、該当機能(例えばリガンドとの結合)を示すファージを単離し、細菌(例えば大腸菌)で増幅する複数回の選択によりこのようなライブラリーをスクリーニングする。本発明は正規化ポリペプチドライブラリーを作製するために使用することができる新規ベクターをパッケージングするための方法及びシステムを提供する。
正規化ポリペプチドライブラリー
1側面において、本発明はスクリーニング可能な変異体に組込まれるものと同一の少なくとも1個の非天然アミノ酸を生存に必要なポリペプチドに組込むことによりポリペプチドライブラリーの変異体の発現を正規化する方法に関する。その結果、通常では非天然アミノ酸残基を含有する変異体のみに生じると同一の増殖不良がライブラリーの全メンバーに生じる。本発明により提供される方法はライブラリーの複数のポリペプチド変異体の発現を正規化する段階を含み、発現される変異体の比は場合により約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、又は例えば約0.9:1である。前記方法は蛋白質プローブシステム、例えばλgt11、表面提示システム(例えばファージディスプレイシステム、バキュロウイルスディスプレイシステム、酵母細胞表面提示システム、哺乳動物細胞表面提示システム、昆虫細胞表面提示システム、大腸菌細胞表面提示システム、酵母と哺乳動物の2種ハイブリッドシステム等)で利用することができる。
好ましい1態様では、ファージディスプレイシステム(Smith,G.P.(1985)“Filamentous fusion phage:novel expression vectors that display cloned antigens on the virion surface.”Science,228:1315−7,reviewed in Sergeeva,A.,et al.(2006)“Display technologies:application for the discovery of drug and gene delivery agents.”Adv.Drug Deliv.Rev.58:1622−54)を本発明により応用することができる。好ましい1態様では、ファージディスプレイライブラリー(例えば組換えM13由来ファージディスプレイライブラリー)のポリペプチド変異体のサブセットに組込まれるものと同一の非天然アミノ酸残基をファージパッケージング又は特異性ポリペプチド(例えばM13 pIIIポリペプチド)にも組込む。ファージ生存性はキャプシドへのパッケージング又は特異性ポリペプチド(例えばpIII)のアセンブリにも依存するので、天然アミノ酸のみを含有するポリペプチド変異体はライブラリーでの過剰発現につながる増殖優位性をもたなくなる。ファージディスプレイ態様の更に詳しい説明については別の欄で後述する。
別の有用な態様では、同一原理により、非天然アミノ酸を含有するλgt11ライブラリー(Young,R.A.,et al.(1983)“Efficient isolation of genes by using antibody probes.”Proc Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:1194−8)により産生されるポリペプチド変異体の発現レベルを、天然アミノ酸のみを含有する変異体の発現レベルで正規化することができる。1態様では、温度感受性cI突然変異体であるcI857をコードするλファージ遺伝子を、ライブラリーの変異体に含まれるものと同一の少なくとも1個の非天然アミノ酸を更に含む機能的温度感受性cI突然変異体をコードする対立遺伝子で置換することによりこれを実施することができる。
野生型遺伝子の機能を補完し、変異体に組込まれるものと同一の少なくとも1個の非天然アミノ酸を含有する蛋白質を産生する突然変異体対立遺伝子で必須Saccharomyces cerevisiae遺伝子(例えばPDA1)の内在コピーを置換することにより、非天然アミノ酸を含有する変異体を含む酵母2ハイブリッド(Y2H)「プレイ」ライブラリーのメンバーの発現レベルを正規化することができる。(酵母2ハイブリッドシステムはFields,S.,et al.(1989)“A novel genetic system to detect protein−protein interactions.”Nature.340:245−246;Armour,C.D.,et al.(2005)“From drug to protein:using yeast genetics for high−throughput target discovery.”Curr.Opin.Chem.Biol.9:20−24;及びMiller,J.,et al.(2004)“Using the yeast two−hybrid system to identify interacting proteins.”Methods Mol Biol.261:247−262に詳細に説明されている)。同一システムの代替態様では、UMP合成に必須の代謝遺伝子URA1の内在コピーを変異体に存在するものと同一の少なくとも1個の非天然アミノ酸を含有する相補的対立遺伝子で置換し、ウラシル栄養要求体が増殖できない条件下でライブラリースクリーニングを実施することにより、Y2H「プレイ」ライブラリーメンバーの発現レベルの正規化を実施することができる。
同様に、少なくとも1個の非天然アミノ酸を含有する機能的アミノグリコシド3’−ホスホトランスフェラーゼ蛋白質をコードするNeo対立遺伝子を適当な細胞株のゲノムに導入することにより、例えば哺乳動物細胞表面提示ライブラリー(Wolkowicz,R.,et al.(2005)“A random peptide library fused to CCR5 for selection of mimeotopes expressed on the mammalian cell surface via retroviral vectors.”J.Biol.Chem.,280:15195−15201)におけるポリペプチド変異体の発現の正規化を実施することができる。その後、ゲンタマイシンを添加した適当な培地で細胞を増殖させることができる。細胞のゲンタマイシン耐性は非天然アミノ酸を含有するスクリーニング可能なポリペプチド変異体に組込まれるものと同一の少なくとも1個の非天然アミノ酸残基をアミノグリコシド3’−ホスホトランスフェラーゼに組込むことに依存する。こうして、ライブラリーの各ポリペプチド変異体の増殖率、従って発現レベルはより均一になる。
本発明のこの側面はアンカー型及びアンカーなしのペリプラズム発現システム(米国特許第7,094,571号)のようにポリペプチド変異体の発現レベルの正規化が有用な他のシステム又は技術に一般に適用可能であり、同様に応用することができる。この技術では、ポリペプチド変異体のライブラリーを構築し、場合により内膜のペリプラズム面に固定可能な融合蛋白質として又はペリプラズム区画を標的とするポリペプチドとしてグラム陰性菌で発現させることができる。化学的、物理的、遺伝的又は他の処理により細胞外膜を透過性にすると、ポリペプチド変異体は膜に固定されるか又は外液に添加した標的蛋白質に接近可能になる。本発明におけるように、このようなライブラリーが非天然アミノ酸残基から構成される変異体を含む場合には、例えば非天然アミノ酸を含有する機能的β−ラクタマーゼをコードする遺伝子を適切な細菌株に導入し、アンピシリンを添加した培地でスクリーニングを実施することにより全変異体の発現を正規化することができる。
ファージディスプレイライブラリーの正規化
好ましい1態様において、本発明はポリペプチドライブラリースクリーニングプロトコルで広く使用されている技術であるファージディスプレイ法(例えばM13ファージディスプレイ法)で利用される。例えばSmith,G.P.and Petrenko,V.A.(1997)“Phage Display.”Chem.Rev.97:391−410;Sidhu,S.S.(2001)“Engineering M13 for phage display.”Biomolecular Engineering,18:57−63;Rodi,D.J.and Malakowski,L.(1999)“Phage−display technology−finding a needle in a vast molecular haystack.”Curr.Opin.Biotechnol.10:87−93;及びWillats,W.G.T.(2002)“Phage display:practicalities and prospects.”Plant Molecular Biology,50:837−854参照。一般に、ファージディスプレイライブラリーのポリペプチド変異体の提示は該当ポリペプチド変異体をファージキャプシド(コート)蛋白質、又はキャプシド蛋白質のフラグメント、突然変異体もしくは他の変異体と融合することにより実施される。これらのキャプシド蛋白質としては、pIII、pVI、pVII、pVIII及びpIXが挙げられる。本発明を実証する目的で、本明細書の実施例ではファージpIIIコート蛋白質アミノ酸配列を含むファージ提示融合ポリペプチドの作製について記載する。しかし、本発明は組換えM13由来ファージディスプレイライブラリーのポリペプチド変異体の提示にpIIIポリペプチド配列を使用することに限定されない。
上記のように、組換えM13由来ファージディスプレイライブラリーの正規化は通常では非天然アミノ酸残基を含有する変異体のみに生じると同一の増殖不良をライブラリーの全ポリペプチド変異体に生じさせる方法に依存する。従って、第1の側面において、本発明はライブラリーを構成する標的ポリペプチド(例えばpIII−ポリペプチド変異体融合蛋白質)への組込みと同様に、ベクター生存に必要なパッケージング又は特異性ポリペプチド(例えばpIII蛋白質)への少なくとも1個の非天然アミノ酸の組込みを可能にする新規ベクターパッケージングシステム(例えば組換えM13由来ファージのパッケージングシステム)を提供する。本発明により提供されるベクターパッケージングシステムの1態様を図1に示す。図例の態様はベクター核酸(100)と、相補核酸(120)と、非天然アミノ酸(135)を負荷された直交tRNA(O−tRNA)(130)を含む。
図1に示すように、ベクター核酸はベクターアセンブリ時にベクターの内部へのベクター核酸のパッケージングを可能にするパッケージング部位(105)を含むか又はコードする。ベクター核酸は更に、融合蛋白質(例えばポリペプチド変異体を含む融合蛋白質)から構成することができるコードされる標的ポリペプチド(110)も含むことができる。コードされる標的ポリペプチドは場合により、発現される標的ポリペプチドが場合により少なくとも1個の非天然アミノ酸残基を含有するように、少なくとも1個のセレクターコドン(115)を含むことができる。
更に図1に示すように、ベクターパッケージングシステムの相補核酸(120)は場合によりウイルスキャプシド又はエンベロープ蛋白質(例えばM13ファージpIII蛋白質)又はベクター生存に必要な他の蛋白質から構成することができるパッケージング又は特異性ポリペプチド(125)をコードする。相補核酸は発現時にパッケージング又は特異性ポリペプチドが非天然アミノ酸を含有する標的ポリペプチドに存在する非天然アミノ酸と同一の少なくとも1個の非天然アミノ酸を含有するように、少なくとも1個のセレクターコドン(115)を含む。
従って、図1に示すようなベクターパッケージングシステムは更に非天然アミノ酸(135)を負荷された直交tRNA(O−tRNA)(130)を含み、コードされるセレクターコドンに応答してパッケージング又は特異性ポリペプチドと場合により標的ポリペプチドへの非天然アミノ酸の組込みを容易にする。パッケージング又は特異性ポリペプチドに非天然アミノ酸を組込むことにより、そのアミノ酸組成に関係なく、ベクターライブラリーの全標的ポリペプチドの発現レベルの正規化が可能になる。
1関連側面において、本発明は例えばファージディスプレイライブラリーを構成する複数のベクター(例えば組換えM13由来ファージ)を作製するためにベクターパッケージングシステムを使用する方法を提供する。一般に、前記方法はベクター核酸を発現させ、場合により非天然アミノ酸を含有していてもよい標的ポリペプチド(例えばpIII−ポリペプチド変異体融合蛋白質)を産生させる段階と、相補核酸を発現させ、非天然アミノ酸を含有するパッケージング又は特異性ポリペプチド(例えばpIII)を産生させる段階を含む。前記方法は更に標的ポリペプチドと非天然アミノ酸を含有するパッケージング又は特異性ポリペプチドにベクター核酸のコピー又は転写産物を結合させ、ベクター(例えば組換えM13由来ファージ)を産生させる段階を含む。こうして、本発明により提供される方法により作製された全ベクターは通常では非天然アミノ酸を含有する標的ポリペプチドを含むベクターのみに生じると同一の増殖不良を生じる。
本発明は更に上記システム及び方法により作製することができる新規ベクターの組成物も提供する。正規化ベクターディスプレイライブラリー(例えば組換えM13由来ファージディスプレイライブラリー)を構成するベクター(例えばファージ)のオプション態様を図2及び3に示す。図2はコードされる標的ポリペプチド(210)と標的ポリペプチド(205)(例えばpIII−ポリペプチド変異体融合蛋白質)を含むパッケージ核酸(200)を含むベクターを示す。更に、図2のベクターは少なくとも1個の非天然アミノ酸残基(220)を含有する特異性ポリペプチド(215)(例えばpIII)を含む。図3は図3のベクターの標的ポリペプチド(300)に非天然アミノ酸残基(305)を含有する以外はほぼ全ての点において図2と同一のベクターを示す。
下記実施例ではM13KO7ファージシステムを使用するが、本発明を特定システムに限定する意図はない。本発明は同様にT4(Jiang,J.,et al.(1997)“Display of a PorA peptide from Neisseria meningitidis on the bacteriophage T4 capsid surface.” Infect.Immun.65:4770−4777)、T7(Danner,S.,et al.(2001)“T7 phage display:A novel genetic selection system for cloning RNA−binding proteins from cDNA libraries.”Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,98:12954−19959)、P4(Lindqvist,B.H.,et al.(1995)“Peptide presentation by bacteriophage P4.”FEMS Microbiol.Rev.,17:33−39)、及びλファージ(Kong,B.,et al.(2006)“Display of aggregation−prone ligand binding domain of human PPAR gamma on surface of bacteriophage lambda.”Acta Pharmacol.Sin.27:91−99)等の他のファージディスプレイシステムでも使用することができる。更に、本発明はバキュロウイルスディスプレイシステム(Oker−Blom,C,et al.(2003)“Baculovirus display strategies:Emerging tools for eukaryotic libraries and gene delivery.”Brief Fund.Genomic Proteomic.2:244−253、及びMakela,A.R.,et al.(2006)“Baculovirus display:a multifunctional technology for gene delivery and eukaryotic library development.”Adv.Virus Res.68:91−112に概説)、アデノ随伴ウイルスディスプレイシステム(Work,L.M.,et al.(2006)“Vascular Bed−Targeted in Vivo Gene Delivery Using Tropism−Modified Adeno−associated Viruses.”Mol.Ther.13:683−693)及び新規に台頭中のレトロウイルスディスプレイシステム(Urban,J.H.,et al.(2005)“Selection of functional human antibodies from retroviral display libraries.”Nucleic Acids Res.33:e35)等の真核生物ウイルスディスプレイシステムでも使用することができる。
同様に、本発明を実証するために、下記実施例ではリボソーム由来抗体フラグメントの発現レベルを組換えM13由来ファージディスプレイライブラリーで正規化できることを実証する。このモデル蛋白質の変異体を含むライブラリーの発現レベルの正規化に本発明を限定する意図はない。本明細書の開示に列挙したもの等のファージ提示される任意の該当ポリペプチドライブラリーの正規化が治療及び研究目的で多様な蛋白質の任意のものをスクリーニングするために有利である。
多価ファージディスプレイライブラリーの正規化
多価ファージディスプレイライブラリー(例えば多価M13ファージディスプレイライブラリー)で使用するように本発明を応用することもできる。上記のように、組換えM13由来ファージディスプレイライブラリーの正規化は天然アミノ酸のみを含有する変異体を過剰発現させる増殖優位性を排除する方法に依存する。他方、多価組換えM13由来ファージはパッケージング又は特異性ポリペプチド(例えば野生型pIIIポリペプチド)を含まない。多価M13ファージをパッケージングする場合には、pIII−ポリペプチド変異体融合蛋白質がpIIIの単独ソースである。従って、多価ファージディスプレイライブラリーの正規化は、例えば融合蛋白質の可変部分(例えばスクリーニング可能なポリペプチド変異体を含む部分)に組込むことができるものと同一の少なくとも1個の非天然アミノ酸をライブラリーの全ファージに共通の融合蛋白質の部分(例えばpIIIを含む部分)に組込むことにより実施することができる。こうして、多価ファージディスプレイライブラリーの全ポリペプチド変異体は通常では非天然アミノ酸残基を含有するスクリーニング可能なポリペプチド変異体を提示するファージのみに生じると同一の増殖不良を生じる。
多価ファージディスプレイライブラリーの正規化は、例えばファージ(例えば多価組換えM13由来ファージ)が産生される増殖条件を操作することにより実施することができる。例えば、直交tRNA(O−tRNA)6コピーとそのコグネイト直交アミノアシルtRNA(O−RS)をコードするプラスミドを含む適切な大腸菌株をファージミドライブラリーで形質転換させ、株にハイパーファージを感染させ、過剰濃度(例えば1〜15mM)の非天然アミノ酸、例えばスルホチロシン(15mM)、パラアセチルフェニルアラニン(6mM)、ビピリジルアラニン(1mM)を含有する培地で感染させた培養液を30℃にて一晩インキュベートすることにより、正規化多価ファージディスプレイライブラリーを作製することができる。これらの増殖条件は大腸菌株の倍加時間と透過性を同時に増加させ、翻訳機構(例えば非天然アミノ酸を負荷されたO−tRNA)を標的ポリペプチドの合成に対応させることができる。これらの増殖条件では、非天然アミノ酸を含まない標的ポリペプチドを提示するファージと、1個以上のセレクター非天然アミノ酸を含む標的ポリペプチドを提示するランダムに選択されたファージの発現を比較することにより判定した場合に、5:1の正規化比で多価ファージライブラリー(例えば多価組換えM13由来ファージライブラリー)を産生させることができる。
直交翻訳系成分
1側面において、本発明はポリペプチド(例えば標的ポリペプチド、例えばpIII−ポリペプチド変異体融合蛋白質)と、非天然アミノ酸を含有するパッケージング又は特異性ポリペプチド(例えばpIII)を含むベクターを作製する組成物、システム及び方法を提供する。別の側面において、本発明は非天然アミノ酸を含有するメンバーを含むポリペプチドライブラリーのスクリーニング用組成物及び方法を提供する。これらのポリペプチドへの非天然アミノ酸の組込みは所望非天然アミノ酸を認識し、セレクターコドン(例えば、アンバーナンセンスコドンTAG)に応答して蛋白質に組込むように直交tRNA(O−tRNA)と直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)を適応させることにより実施される。これらの直交成分は宿主細胞(例えば大腸菌)の翻訳機構の内在成分又は天然アミノ酸と交差反応しない。本発明の実施例で使用する直交成分としては、宿主細胞(例えば大腸菌)で直交対として機能するO−RS(例えばMethanococcus jannaschiiチロシルtRNAシンテターゼに由来するO−RS)とO−tRNA(例えば突然変異体チロシルtRNACUAアンバーサプレッサー)が挙げられる。
本明細書で使用する非天然アミノ酸とはセレノシステイン及び/又はピロリジンと20種類の遺伝的にコードされるαアミノ酸以外の任意アミノ酸、修飾アミノ酸又はアミノ酸類似体を意味する。20種類の天然アミノ酸の構造については、例えばL.Stryer著Biochemistry,3rd ed.1988,Freeman and Company,New York参照。本発明の非天然アミノ酸は側鎖基が天然アミノ酸と異なるが、非天然アミノ酸は蛋白質を構成する20種類のαアミノ酸以外の天然化合物でもよい。本発明で利用される非天然アミノ酸としては、O−メチル−L−チロシン、L−3−(2−ナフチル)アラニン、3−メチルフェニルアラニン、O−4−アリル−L−チロシン、4−プロピル−L−チロシン、トリ−O−アセチル−GlcNAcβ−セリン、L−Dopa、フッ素化フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、p−アジド−L−フェニルアラニン、p−アシル−L−フェニルアラニン、p−ベンゾイル−L−フェニルアラニン、L−ホスホセリン、ホスホノセリン、ホスホノチロシン、p−ヨードフェニルアラニン、p−ブロモフェニルアラニン、p−アミノ−L−フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、チロシンアミノ酸の非天然類似体;グルタミンアミノ酸の非天然類似体;フェニルアラニンアミノ酸の非天然類似体;セリンアミノ酸の非天然類似体;スレオニンアミノ酸の非天然類似体;アルキル、アリール、アシル、アジド、シアノ、ハロ、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシル、アルケニル、アルキニル、エーテル、チオール、スルホニル、セレノ、エステル、チオ酸、硼酸、ボロン酸、ホスホ、ホスホノ、ホスフィン、複素環、エノン、イミン、アルデヒド、ヒドロキシルアミン、ケト、もしくはアミノで置換されたアミノ酸、又はその任意組み合わせ;光架橋基をもつアミノ酸;スピン標識アミノ酸;蛍光アミノ酸;新規官能基をもつアミノ酸;別の分子と共有又は非共有的に相互作用するアミノ酸;金属結合性アミノ酸;金属含有アミノ酸;放射性アミノ酸;フォトケージド及び/又は光異性化可能なアミノ酸;ビオチン又はビオチン類似体含有アミノ酸;グリコシル化又は糖鎖修飾アミノ酸;ケト含有アミノ酸;ポリエチレングリコール又はポリエーテルを含むアミノ酸;重原子置換アミノ酸;化学分解性又は光分解性アミノ酸;延長側鎖をもつアミノ酸;毒性基を含むアミノ酸;糖置換アミノ酸(例えば糖置換セリン等);炭素結合糖含有アミノ酸;酸化還元活性アミノ酸;α−ヒドロキシ含有酸;アミノチオ酸含有アミノ酸;α,αジ置換アミノ酸;βアミノ酸;及びプロリン以外の環状アミノ酸が挙げられる。
本発明は複数のO−tRNA/O−RS対を含む。例えば、本発明は更に別のO−tRNA/O−RS対を含むことができ、第2のO−RSは第2のO−tRNAを第2の非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化し、第2のO−tRNAは第2のセレクターコドンを認識する。例えばユニーク3塩基コドン、ナンセンスコドン(例えばアンバーコドン(UAG)又はオパールコドン(UGA)等の終止コドン)、非天然コドン、少なくとも4塩基のコドン、レアコドン等の多数の異なるセレクターコドンを遺伝子(例えばベクター核酸及び/又は相補核酸のコーディング配列)に導入することができる。これらの異なるセレクターコドンを使用して(例えば少なくとも1個の非天然アミノ酸を含む)複数の非天然アミノ酸の同時部位特異的組込みを可能にする複数の直交tRNA/シンテターゼ対を使用することができる。
本発明で使用される直交翻訳系成分は非天然アミノ酸を含有する蛋白質を生産するために培養宿主細胞を利用することができるが、本発明が無傷の生存可能な宿主細胞を必要とするという意味ではない。例えば、本発明の直交翻訳系成分は細胞抽出液の存在下で無細胞系を利用することができる。実際に、蛋白質生産に無細胞インビトロ転写/翻訳系を使用することは定着技術である。本明細書に記載する直交翻訳系成分を使用して非天然アミノ酸を含有する蛋白質を生産するようにこれらのインビトロ系を応用することも本発明の範囲に含まれる。
tRNA及び/又はO−RS、非天然アミノ酸、セレクターコドン、並びに1個以上の非天然アミノ酸を含有する蛋白質の作製に適した直交翻訳系を作製及び/又はその特異性を改変するための方法は一般に例えば国際公開番号WO2002/086075、発明の名称「直交tRNA−アミノアシルtRNAシンテターゼ対を作製するための方法及び組成物(METHODS AND COMPOSITION FOR THE PRODUCTION OF ORTHOGONAL tRNA−AMINOACYL−tRNA SYNTHETASE PAIRS)」;WO2002/085923、発明の名称「非天然アミノ酸のインビボ組込み(IN VIVO INCORPORATION OF UNNATURAL AMINO ACIDS)」;WO2004/094593、発明の名称「真核遺伝子コードの拡張(EXPANDING THE EUKARYOTIC GENETIC CODE)」;WO2005/019415(出願日2004年7月7日);WO2005/007870(出願日2004年7月7日);及びWO2005/007624(出願日2004年7月7日)に記載されている。これらの各出願の開示内容全体を本願に援用する。各々その開示内容全体を本願に援用するWang and Schultz“Expanding the Genetic Code,”Angewandte Chemie Int.Ed.,44(1):34−66(2005);Deiters et al.Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 15:1521−1524(2005);Chin et al.J.Am.Chem.Soc.2002,124,9026−9027;及び国際公開WO2006/034332(出願日2005年9月20日)も参照。その他の詳細は米国特許第7,045,337号、第7,083,970号、第7,238,510号、第7,129,333号、第7,262,040号、第7,183,082号、第7,199,222号、及び第7,217,809号に記載されている。
該当蛋白質及びポリペプチド
非天然アミノ酸を含有するメンバーを含むポリペプチド変異体の正規化ライブラリーの作製及びスクリーニング方法も本発明の特徴である。非天然アミノ酸の組込みは例えばポリペプチド構造及び/又は機能を改変するため、例えばサイズ、酸性度、求核性、水素結合、疎水性、プロテアーゼ標的部位接近性、ラベル又は反応基の組込み等を変化させるために実施することができる。非天然アミノ酸を含有するポリペプチドは触媒性又は物性を強化するか又は全く新規にすることができる。例えば、非天然アミノ酸をポリペプチドに組込むことにより、場合により毒性、電気的性質、構造的性質、分光学的性質、化学的及び/又は光化学的性質、触媒能、半減期、他の分子との(例えば共有又は非共有結合的)反応性等の性質を改変する。例えばDougherty,(2000)“Unnatural Amino Acids as Probes of Protein Structure and Function,”Current Opinion in Chemical Biology,4:645−652参照。これらの性質のいずれも正規化ポリペプチドライブラリーをスクリーニングすることにより同定可能な該当性質又は機能を構成することができる。しかし、本発明が上記性質のみのスクリーニングに限定されると解釈すべきではない。
所定側面において、ポリペプチドライブラリーの変異体は少なくとも1個、例えば少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、又は少なくとも10個以上の非天然アミノ酸を含有することができる。非天然アミノ酸は同一でも異なっていてもよく、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個以上の異なる非天然アミノ酸を含有する1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個以上の異なる部位が蛋白質に存在することができる。数百種の公知ポリペプチドライブラリーを列挙するには及ばないが、例えば該当翻訳系に1個以上の適当なセレクターコドンを含むように任意の利用可能な突然変異法を適応させることにより、1個以上の非天然アミノ酸を含有するように公知ライブラリーの任意メンバーを改変することができる。公知蛋白質の一般的な配列寄託機関としてはGenBank、EMBL、DDBJ及びNCBIが挙げられる。他の寄託機関もインターネットを検索することにより容易に確認できる。
1個以上の非天然アミノ酸を含有するように改変することができるライブラリーを構成する治療用、診断用、及び他のスクリーニング可能なポリペプチド変異体の例としては限定されないが、国際公開WO2004/094593、出願日2004年4月16日、発明の名称「真核遺伝子コードの拡張(Expanding the Eukaryotic Genetic Code)」;及びWO2002/085923、発明の名称「非天然アミノ酸のインビボ組込み(IN VIVO INCORPORATION OF UNNATURAL AMINO ACIDS)」に記載されているものが挙げられる。1個以上の非天然アミノ酸を含有するように改変することができるライブラリーの治療用、診断用、及び他のポリペプチド変異体の例としては限定されないが、例えば抗体変異体、抗体フラグメント変異体、α1アンチトリプシン変異体、アンジオスタチン変異体、抗血友病因子変異体、アポリポ蛋白質変異体、アポ蛋白質変異体、心房性ナトリウム利尿因子変異体、心房性ナトリウム利尿ポリペプチド変異体、心房性ペプチド変異体、C−X−Cケモカイン変異体、T39765変異体、NAP−2変異体、ENA−78変異体、Gro−a変異体、Gro−b変異体、Gro−c変異体、IP−10変異体、GCP−2変異体、NAP−4変異体、SDF−1変異体、PF4変異体、MIG変異体、カルシトニン変異体、cキットリガンド変異体、サイトカイン変異体、CCケモカイン変異体、単球化学誘引蛋白質−1変異体、単球化学誘引蛋白質−2変異体、単球化学誘引蛋白質−3変異体、単球炎症性蛋白質−1α変異体、単球炎症性蛋白質−1β変異体、RANTES変異体、I309変異体、R83915変異体、R91733変異体、HCC1変異体、T58847変異体、D31065変異体、T64262変異体、CD40変異体、CD40リガンド変異体、Cキットリガンド変異体、コラーゲン変異体、コロニー刺激因子(CSF)変異体、補体因子5a変異体、補体阻害剤変異体、補体受容体1変異体、サイトカイン変異体、上皮好中球活性化ペプチド−78変異体、GROα変異体、MGSA変異体、GROβ変異体、GROγ変異体、MIP1−α変異体、MIP1−β変異体、MCP−1変異体、表皮増殖因子(EGF)変異体、上皮好中球活性化ペプチド変異体、エリスロポエチン(EPO)変異体、表皮剥離毒素変異体、IX因子変異体、VII因子変異体、VIII因子変異体、X因子変異体、繊維芽細胞増殖因子(FGF)変異体、フィブリノーゲン変異体、フィブロネクチン変異体、G−CSF変異体、GM−CSF変異体、グルコセレブロシダーゼ変異体、ゴナドトロピン変異体、増殖因子変異体、増殖因子受容体変異体、ヘッジホッグ蛋白質変異体、ヘモグロビン変異体、肝細胞増殖因子(HGF)変異体、ヒルジン変異体、ヒト血清アルブミン変異体、ICAM−1変異体、ICAM−1受容体変異体、LFA−1変異体、LFA−1受容体変異体、インスリン変異体、インスリン様増殖因子(IGF)変異体、IGF−I変異体、IGF−II変異体、インターフェロン変異体、IFN−α変異体、IFN−β変異体、IFN−γ変異体、インターロイキン変異体、IL−1変異体、IL−2変異体、IL−3変異体、IL−4変異体、IL−5変異体、IL−6変異体、IL−7変異体、IL−8変異体、IL−9変異体、IL−10変異体、IL−11変異体、IL−12変異体、ケラチノサイト増殖因子(KGF)変異体、ラクトフェリン変異体、白血病阻害因子変異体、ルシフェラーゼ変異体、ニュールチュリン変異体、好中球阻害因子(NIF)変異体、オンコスタチンM変異体、骨形成蛋白質変異体、腫瘍遺伝子産物変異体、副甲状腺ホルモン変異体、PD−ECSF変異体、PDGF変異体、ペプチドホルモン変異体、ヒト成長ホルモン変異体、プレイオトロピン変異体、プロテインA変異体、プロテインG変異体、発熱外毒素A、B又はCの変異体、リラキシン変異体、レニン変異体、SCF/cキット変異体、可溶性補体受容体I変異体、可溶性I−CAM1変異体、可溶性インターロイキン受容体変異体、可溶性TNF受容体変異体、ソマトメジン変異体、ソマトスタチン変異体、ソマトトロピン変異体、ストレプトキナーゼ変異体、スーパー抗原変異体、ブドウ球菌エンテロトキシン変異体、SEA変異体、SEB変異体、SEC1変異体、SEC2変異体、SEC3変異体、SED変異体、SEE変異体、ステロイドホルモン受容体変異体、スーパーオキシドジスムターゼ変異体、毒素性ショック症候群毒素変異体、チモシンα1変異体、組織プラスミノーゲンアクチベーター変異体、腫瘍増殖因子(TGF)変異体、TGF−α変異体、TGF−β変異体、腫瘍壊死因子変異体、腫瘍壊死因子α変異体、腫瘍壊死因子β変異体、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)変異体、VLA−4蛋白質変異体、VCAM−1蛋白質変異体、血管内皮増殖因子(VEGEF)変異体、ウロキナーゼ変異体、Mos変異体、Ras変異体、Raf変異体、Met変異体、p53変異体、Tat変異体、Fos変異体、Myc変異体、Jun変異体、Myb変異体、Rel変異体、エストロゲン受容体変異体、プロゲステロン受容体変異体、テストステロン受容体変異体、アルドステロン受容体変異体、LDL受容体変異体、炎症性分子の変異体、シグナル伝達分子の変異体、転写アクチベーターの変異体、転写サプレッサーの変異体、ヒアルリン変異体、CD44変異体、及びコルチコステロン変異体が挙げられる。
種々の精製/蛋白質精製法が当分野で周知であり、正規化ポリペプチドライブラリーのスクリーニングに基づいて同定されたポリペプチド変異体の精製分析に適用することができる。これらの技術及びポリペプチド分析に必要な他の技術としては、R.Scopes,Protein Purification,Springer−Verlag,N.Y.(1982);Deutscher,Methods in Enzymology Vol.182:Guide to Protein Purification,Academic Press,Inc.N.Y.(1990);Sandana(1997)Bioseparation of Proteins,Academic Press,Inc.;Bollag,et al.(1996)Protein Methods,2nd Edition Wiley−Liss,NY;Walker(1996)The Protein Protocols Handbook Humana Press,NJ;Harris and Angal(1990)Protein Purification Applications:A Practical Approach IRL Press at Oxford,Oxford,England;Harris and Angal Protein Purification Methods:A Practical Approach IRL Press at Oxford,Oxford,England;Scopes(1993)Protein Purification:Principles and Practice 3rd Edition Springer Verlag,NY;Janson and Ryden(1998)Protein Purification:Principles,High Resolution Methods and Applications,Second Edition Wiley−VCH,NY;及びWalker(1998)Protein Protocols CD−ROM版 Humana Press,NJ;とその引用文献に記載されているものが挙げられる。
該当ポリペプチドの突然変異誘導体の作製
例えば正規化ポリペプチドライブラリーを構成するように変異体集団を作製するために、本明細書に記載する該当蛋白質及びポリペプチドの突然変異誘導体を標準方法により作製することができる。突然変異フォーマットに関するその他の情報はSambrook and Ausubelと、PCR Protocols A Guide to Methods and Applications(Innis,et al.eds)Academic Press Inc.San Diego,CA(1990)(Innis)に記載されている。以下の刊行物及び文献には突然変異フォーマットに関するその他の詳細が記載されている:Arnold,et al.(1993)“Protein engineering for unusual environments.”Current Opinion in Biotechnology 4:450−455;Bass,et al.(1988).“Mutant Trp repressors with new DNA−binding specificities.”Science 242:240−245;Botstein & Shortle.(1985).“Strategies and applications of in vitro mutagenesis.”Science 229:1193−1201;Carter(1985).“Improved oligonucleotide site−directed mutagenesis using M13 vectors.”Nucl.Acids Res.13:4431−4443;Carter,et al.(1986).“Site−directed mutagenesis.”Biochem.J.237:1−7;Carter(1987).“Improved oligonucleotide−directed mutagenesis using M13 vectors.”Methods in Enzymol.154:382−403;Dale,et al.(1996)“Oligonucleotide−directed random mutagenesis using the phosphorothioate method.”Methods 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154に記載されており、同文献は更に各種突然変異誘発法に伴う問題のトラブルシューティングの有用な管理についても記載している。核酸を単離、クローニング及び増幅するためによく使用されている方法を以下に詳細に記載する。
ベクターパッケージングシステムのベクター核酸及び/又は相補核酸の提供と発現
非天然アミノ酸を含有するポリペプチド変異体のライブラリーを構成することができるベクターを作製するベクターパッケージングシステムも本発明の特徴である。本発明はベクター核酸及び/又は相補核酸を提供する段階と、ベクター核酸及び/又は相補核酸を発現させ、夫々標的ポリペプチド(例えばpIII融合ポリペプチド)とパッケージング又は特異性ポリペプチド(例えばpIII)を産生させる段階を含むベクターパッケージング方法も提供する。
ベクター核酸及び/又は相補核酸は核酸(例えば直鎖状2本鎖DNAフラグメント、環状DNA等)の形質転換をはじめとする多数の方法でベクターパッケージングシステムに提供することができる。原核系では、このような方法としては宿主細胞(例えば大腸菌)をプラスミド、ファージミド等で形質転換する方法や、F’因子のファージ形質導入又は共役が挙げられる。真核系では、プラスミドの形質転換や、安定的又は一過性形質導入等により、ベクター核酸及び/又は相補核酸をベクターパッケージングシステムに提供することができる。精製ベクター核酸及び/又は相補核酸を単にインビトロ転写/翻訳系に添加すればよい。
ベクター核酸及び/又は相補核酸を発現させ、それらにコードされるポリペプチドを産生させる段階は、多数の方法で実施することができる。しかし、最も広く使用されている方法は標的ポリペプチド及び/又はパッケージングもしくは特異性ポリペプチドをコードするmRNAの転写レベルを増加する方法である。標的ポリペプチド及び/又はパッケージングもしくは特異性ポリペプチドをコードする配列を誘導プロモーターの下流にクローニングすると、適切なインデューサー(例えばIPTG)を培養液又はインビトロ転写/翻訳系に添加後にこれらの遺伝子の転写レベルは増加する。
核酸を単離、クローニング及び増幅する手順と、細胞及び無細胞系に核酸構築物を供給し、発現させる手順は文献に詳細に記載されており、ベクター核酸及び/又は相補核酸をベクターパッケージングシステムに提供し、発現させるために本発明で使用することができる。これらの技術の更に詳細については、Berger and Kimmel,Guide to Molecular Cloning Techniques,Methods in Enzymology volume 152 Academic Press,Inc.,San Diego,CA(Berger);Sambrook,et al.Molecular Cloning−A Laboratory Manual(3rd Ed.),Vol.1−3,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York,2000(「Sambrook」);The Nucleic Acid Protocols Handbook Ralph Rapley(ed)(2000)Cold Spring Harbor,Humana Press Inc(Rapley);Current Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubel,et al.eds.,Current Protocols,a joint venture between Greene Publishing Associates,Inc.and John Wiley & Sons,Inc.,(2007年補遺版)(「Ausubel」));PCR Protocols A Guide to Methods and Applications(Innis,et al.eds)Academic Press Inc.San Diego,CA(1990)(Innis);Chen,et al.(ed)PCR Cloning Protocols,Second Edition(Methods in Molecular Biology,volume 192)Humana Press;Viljoen,et al.(2005)Molecular Diagnostic PCR Handbook Springer;及びDemidov and Broude(eds)(2005)DNA Amplification:Current Technologies and Applications.Horizon Bioscience,Wymondham,UKに記載されている。例えばその後の核酸単離のための例えば細胞単離及び培養に関する他の有用な参考文献としては、Freshney(1994)Culture of Animal Cells,a Manual of Basic Technique,third edition,Wiley−Liss,New Yorkとその引用文献;Payne,et al.(1992)Plant Cell and Tissue Culture in Liquid Systems John Wiley & Sons,Inc.New York,NY;Gamborg and Phillips(eds)(1995)Plant Cell,Tissue and Organ Culture;Fundamental Methods Springer Lab Manual,Springer−Verlag(Berlin Heidelberg New York)及びAtlas and Parks(eds)The Handbook of Microbiological Media(1993)CRC Press,Boca Raton,FLが挙げられる。
細胞からプラスミド又は他の該当核酸を精製するためのキットも多数市販されている(例えばEasyPrep(登録商標)、FlexiPrep(登録商標)(いずれもPharmacia Biotech製品);StrataClean(登録商標)(Stratagene製品);及びQIAprep(登録商標)(Qiagen製品)参照)。単離及び/又は精製した任意核酸を更に操作して他の核酸を作製し、細胞にトランスフェクションするために使用し、発現の目的で生物に感染させるために関連ベクターに導入し、及び/又は同等の操作を行うことができる。典型的なクローニングベクターは転写及び翻訳ターミネーターと、転写及び翻訳開始配列と、特定ターゲット核酸の発現の調節に有用なプロモーターを含む。ベクターは場合により少なくとも1個の独立ターミネーター配列と、真核生物又は原核生物又は両者(例えばシャトルベクター)でカセットの複製を可能にする配列と、原核系と真核系の両者の選択マーカーを含む包括的発現カセットを構成する。Sambrook,Ausubel及びBerger参照。更に、Operon Technologies Inc.(Huntsville,AL)等の各種販売会社のいずれかからほぼ任意核酸を特別注文又は標準注文することができる。
キット
キットも本発明の特徴である。例えば、このようなキットはキットコンポーネントを保持するための容器、本明細書に記載する任意方法をキットで実施するため又は正規化ポリペプチドライブラリー(例えば場合により本明細書に記載するベクターパッケージングシステムのいずれかにより作製される例えば本明細書に記載するライブラリーのいずれか)を作製するための説明書等の本発明の組成物を使用するためのコンポーネントを含むことができる。例えば少なくとも1個のポリペプチド変異体が少なくとも1個の非天然アミノ酸を含有する正規化ポリペプチドライブラリーを作製するためのキットは、O−tRNAをコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸と、O−RSをコードするポリヌクレオチドを含む核酸と、O−tRNA/O−RSの発現と正規化ポリペプチドライブラリーの発現に適した原核(例えば細菌(例えば大腸菌))又は真核(例えば酵母又は哺乳動物)宿主細胞株を含むことができる。当業者に自明の通り、キットは場合により本明細書に記載する方法のいずれかで使用するための本発明により提供されるシステム及び組成物の任意組合せを含むことができる。
以下、実施例により本発明を例証するが、以下の実施例により本発明を限定するものではない。
正規化ファージディスプレイライブラリーの作製
本実施例は例えば正規化ファージディスプレイライブラリーの1例を作製するための組成物と方法について記載する。本実施例に記載するアプローチは各種ポリペプチドライブラリースクリーニングシステムで各種ポリペプチドのいずれかをスクリーニングするために使用するように応用することができる。
生殖細胞系列V3−23/D3−10/J4−PIII融合蛋白質とVA27−J1ドメインを含むFabをコードする遺伝子をlacプロモーターの転写制御下に置くファージミドを構築した。更に、このファージミドのCDR3にTAGセレクターコドンを付加した。p−アセチルフェニルアラニンを負荷することが可能な直交tRNA(OtRNA)及びO−tRNAにp−アセチルフェニルアラニンを負荷することが可能な直交アミノアシルtRNA(O−RS)6コピーをコードするプラスミドを導入した大腸菌株と、スルホチロシンを負荷することが可能なO−tRNA及びコードされるO−tRNAにスルホチロシンを負荷することが可能なO−RS6コピーをコードするプラスミドを導入した大腸菌株にこのファージミドを形質転換した。IPTGと適切な非天然アミノ酸(UAA)、例えばp−アセチルフェニルアラニン(ケト)又はスルホチロシン(スルホ)を添加した培地で株を増殖させた。IPTGのみを添加した培地で対照培養物を増殖させた。
ファージミドで形質転換した大腸菌株にセレクターコドンTAGを含むpIII遺伝子の突然変異体対立遺伝子をそのゲノムに含むM13KO7−TAGヘルパーファージを感染させることにより、Fab−pIII融合蛋白質を提示するファージを作製した。M13ファージアセンブリ及び感染性は機能的pIIIの入手可能性に依存するので、M13KO7−TAGヘルパーファージに由来するpIII(例えばp−アセチルフェニルアラニン又はスルホチロシンを含有するpIII)を組込んだファージのみが生存可能になる。4種類の培養液の各々によりファージを18時間産生させた後、回収した。
4種類の培養液の各々からの上清の力価を測定した処、適切なUAAを添加した培地で増殖させた株はUAAの不在下で増殖させた株の50倍のファージを産生することが判明した。特筆すべき点として、UAA不含系では12時間未満で同等力価のファージを産生させることができる。
ファージミドによりコードされるFabが回収したファージの表面に提示されるか否かを判定するために、抗pIII抗体のウェスタンブロットを実施した。ウェスタンブロットの結果を図4Aに示す。Fab−pIII融合蛋白質はpIIIのカルボキシ末端部分しか含まないので、融合蛋白質は還元条件下では野生型(WT)pIIIよりも速く移動すると予想される。還元条件下でFab−pIIIに対応する新規バンドがWT pIIIの下に検出された。このバンドはヘルパーファージに由来する抽出液では検出されなかったので、このバンドはFab−pIII融合体を発現する構築物に対して特異性があると判断される(例えば図4a参照、レーン1をレーン2及び3と比較)。
非還元条件下では、ファージミドを含有する調製物のみで移動度の遅い分子量約60kDaのバンドが検出された(例えば図4a,レーン5及び6参照)。これらのレーンの〜60kDaバンドは抗κ抗体と反応することも判明したので、回収したファージ粒子の表面に完全に結合したFabが存在していると判断された。ヘルパーファージを感染させなかったFab−pIII融合蛋白質を発現する大腸菌細胞に由来する抽出液でも同一の〜60kD蛋白質が検出され(例えば図4b,レーン2及び4参照)、〜60kDa pIII反応性バンドはヘルパーファージに由来しないと判断された。更に、このバンドも抗κ抗体と反応した。ファージ粒子100個当たり1個が1個のFab−pIII融合体を提示すると推定される。
UAAの不在下で増殖させた培養液から回収したファージ粒子を検出し、アミコン100kDa MWCOフィルターで濃縮後に力価を測定することができる。例えばO−RSを進化させた元の天然アミノ酸であるチロシンの組込みによりこれらのファージがその表面にFabを提示するのか、又はこれらのファージが「表面非提示」であるのか、例えばFabを全く提示しないのかを判定するために、例えば培地+p−アセチルフェニルアラニンで増殖させたケトRS細胞、培地−p−アセチルフェニルアラニンで増殖させたケトRS細胞、培地+スルホチロシンで増殖させたスルホRS細胞、培地−スルホチロシンで増殖させたスルホRS細胞の4種類の培養液の各々から回収した等力価のファージをサンドイッチELISAにより分析した。マイクロタイタープレートを抗κ抗体でコーティングし、ブロックし、力価を増しながらファージと結合させた。ファージコート蛋白質pVIHと反応する抗体を使用し、マイクロタイタープレートと結合したファージの量を検出した。陰性対照ヘルパーファージを除き、全実験群でκと結合したファージの特異的検出が認められた(例えば図4C参照)。同様に、直接ELISAでも、蛋白質G−HRP試薬はヘルパーファージを除く全ファージでFabを検出することができた。従って、UAAの存在下でファージを増殖させる場合に得られる収率の1/20ではあるが、FabはUAAの不在下でもファージに提示されるようである。UAAの不在下で増殖させたファージの提示メカニズムはO−RSによるチロシンの組込みであると思われる。この結果、ライブラリーから選択したどのFabにもその表現型にUAAが必要であることを確認することが有用であると考えられる。
Fabが適切にファージ粒子上に提示されることが判明したので、次に上記ファージミドを使用し、CDR3にセレクターコドンを含むFab変異体をコードするファージミドのライブラリーを作製した。変形オーバーラップ発現PCRプロトコルを使用して3種類の異なるライブラリーを作製した。第1のライブラリー、即ち生殖細胞系列/TAG−CDR3では、Fab遺伝子配列のチロシンコドンをTAGに突然変異させ、通常ではチロシン残基が組込まれる位置に各々1個の非天然アミノ酸を含有するファージミド変異体の集団を作製した。他のNNKコドンをこのライブラリーのFabコーディング配列のサブセットのV−DとD−Jの間に付加し、インビボV(D)J組換え時に行われるN領域付加を模倣した。第2のライブラリー、即ちNNK/TAG−CDR3は各ライブラリーメンバーの異なるアミノ酸位置にTAGコドンを組込み、CDR3の3個の異なる部分をコードするFab遺伝子変異体とした。第3のライブラリー、即ちNNK−CDR3は21種類のアミノ酸のいずれかを任意位置に組込むことができるFab遺伝子変異体とした。
各ライブラリーを作製するために設計したオリゴヌクレオチドを図5に示す。これらの配列はヒトDH1〜DH3ファミリーに由来し、各ファミリー全体を縮重コードするように設計した。V−D及びD−J境界に付加したコドンを下線で示す。CDR3の付近の配列を示す。実際のオリゴヌクレオチドは5’及び3’末端の両側に約10塩基延びている。縮重コドンについては、N=A,T,C,G;B=C,G,T;D=A,G,T;H=A,C,T;V=A,C,G;R=A,G;Y=C,T;K=G,T;M=A,C;S=G,C,W=A,Tである。
各「ナイーブ」ライブラリーからの少なくとも20個のクローンを配列決定し、変異体間のコドン提示に関してバイアスが存在しないことを確認すると共に、変異体が全長Fabフラグメントをコードすることを確認した。3個のライブラリーの各々の概算理論ダイバーシティは10〜10であった。形質転換効率によると、各ライブラリーの実際の独立したライゲーションイベントは>10であり、各ライブラリーがダイバーシティに完全に対応することが分かった。
ビピリジルアラニンに特異的なO−tRNA及びO−RS6コピーをコードするプラスミドを導入した適切な大腸菌株にファージミド変異体の各ライブラリーを形質転換した。効率的な金属キレート化特性をもつと予想される非天然アミノ酸であるビピリジルアラニンを添加した培地で形質転換株を増殖させた。
ファージミドで形質転換した大腸菌株に上記のようにセレクターコドンTAGを含むpIII遺伝子の突然変異体対立遺伝子を含むM13KO7−TAGヘルパーファージを感染させることによりFab−pIII融合蛋白質を提示するファージを作製した。各大腸菌株により18時間ファージを産生させた後、回収した。
ビピリジルアラニンを含むファージ提示されたFabをライブラリーから単離することができるか否かを判定するために、天然アミノ酸のみを含有する金属結合性抗体の選択用システムとして従来記載されているモデルシステムを使用した(Trisler,et al.(2007)“A Metalloantibody That Irreversibly Binds a Protein Antigen.”Journal of Biological Chemistry.282:26344−26353)。第2及び第3のファージミドライブラリーで形質転換した大腸菌により産生されたファージをニッケル樹脂(Qiagen)の存在下で5分間インキュベート後、5カラム容量のTBST(20mM Tris pH=8,150mM NaCl,0.025% tween−20)で洗浄後、10mM、50mM、100mM、150mM、200mM、300mM及び500mMのステップ勾配のイミダゾール1カラム容量(0.2ml)で溶出させた。溶出したファージを使用して大腸菌に感染させた後、アンピシリンを添加した寒天培地に撒いた。コロニーを釣菌し、培養し、各コロニーから回収した各ファージミドDNAを配列決定した。
各イミダゾール溶出フラクションからの数個のコロニーを配列決定した。たった1回の選択後でも、例えば少なくとも1個のTAGコドンをコードする少なくとも1個のビピリジルアラニン残基をCDR3に含む数個のFab変異体が各ライブラリーから単離された。各ライブラリーからの複数のクローンを配列決定し、TAGの頻度を測定し、予め選択したライブラリーと比較した(例えば図6参照)。NNK−TAG−CDR3ライブラリーの全メンバーはTAGを含むので、2個のTAGを含むクローンの頻度を数えた。CDR3におけるTAGコドンの頻度はイミダゾール溶出ストリンジェンシーの増加と共に増加した(例えば図6参照)。
ヒスチジンは天然にポリペプチドに組込まれる公知金属結合性アミノ酸である。内部陽性対照として、CD3におけるヒスチジンコドンの頻度もモニターした処、単離されたクローンのCDR3におけるヒスチジンコドン数もイミダゾール溶出ストリンジェンシーの増加と共に増加することが判明した(例えば図6b参照;UAA位置をアステリスクで示す)。
正規化多価ファージディスプレイライブラリーの作製
本実施例は例えば正規化多価ファージディスプレイライブラリーの1例を作製するための組成物と方法について記載する。本実施例に記載するアプローチも各種ポリペプチドライブラリースクリーニングシステムで各種ポリペプチドのいずれかをスクリーニングするために使用するように応用することができる。これらのアプローチに関する更に詳細については、本明細書に援用するLiu,et al.(2008)“Protein Evolution with and Expanded Genetic Code.”Proc Natl Acad Sci USA(印刷中)に記載されている。
セレクターコドンTAGを含むscFvをコードするように、従来記載されているファージミド(例えばRondot,et al.(2001)“A helper phage to improve single−chain antibody presentation in phage display.”Nature Biotech.19:75−78参照)を構築した。非天然アミノ酸(例えばパラアセチルフェニルアラニン、ビピリジルアラニン、スルホチロシン又は4−ボロノフェニルアラニン)を負荷することが可能な直交tRNA(O−tRNA)と、O−tRNAに非天然アミノ酸(例えばパラアセチルフェニルアラニン、ビピリジルアラニン、スルホチロシン又は4−ボロノフェニルアラニン)を負荷することが可能な直交アミノアシルtRNA(O−RS)6コピーをコードするプラスミドを導入した大腸菌株にこのファージミドを形質転換した。ボロンアミノ酸の遺伝的組込みに関する更に詳細については、本明細書に援用するBrustad,et al.(2008)“A Genetically Encoded Boronate−Containing Amino Acid.”Agnew Chem 120:8344−8347に記載されている。非天然アミノ酸を添加しない培地に比較して非天然アミノ酸(例えばパラアセチルフェニルアラニン、ビピリジルアラニン、スルホチロシン又は4−ボロノフェニルアラニン)を添加した培地におけるファージ産生を特性決定するために(方法の項に記載したように)実験を実施した。ファージを回収し、(下記のように)力価を測定した処、非天然アミノ酸を添加した培地で増殖させた培養液はUAAの不在下で増殖させた培養液よりも300倍のファージを産生することが判明した。
各変異体のCDR3ループに6個のランダムNNKコドンを挿入した生殖細胞系列抗体変異体のファージミドライブラリーを作製した。このファージミドライブラリーを使用し、非天然アミノ酸スルホチロシンに特異的なO−tRNA及びO−RS6コピーをコードするプラスミドを導入した適切な大腸菌株を形質転換し、15mMスルホチロシンを添加した培地で形質転換株を増殖させた。ファージミドで形質転換した大腸菌株にpIIIをコードする遺伝子を欠失させたハイパーファージを感染させることにより、抗体変異体−pIII融合蛋白質を提示する多価ファージを作製した(例えばRondot,et al.(2001)“A helper phage to improve single−chain antibody presentation in phage display.”Nature Biotech.19:75−78参照)。大腸菌株により18時間ファージを産生させた後、回収した。実施例1に記載したようにウェスタンブロットを実施した処、抗体変異体がファージ粒子上に適切に提示されることが判明した。
回収したファージを次にELISAによりスクリーニングし、硫酸化受容体と結合するHIVエンベロープ糖蛋白質であるgp120と結合することが可能な抗体変異体を提示するファージを同定単離した。このアッセイ中に単離した抗体変異体はTAGコドンが増加していることが判明し、このアッセイでは硫酸化抗体変異体(例えば非天然アミノ酸スルホチロシンを含有する抗体変異体)が優先的に選択されたと判断された。以下、更に詳細に記載する。
拡張遺伝子コードによる蛋白質進化
本発明者らは拡張遺伝子コードを蛋白質進化に利用できるようなファージディスプレイシステムを考案した。この結果、20種類の標準アミノ酸のみを含有する配列よりも機能的に勝るように、非天然アミノ酸を含有する蛋白質配列を進化させることが可能になる。数個の非天然アミノ酸による機能的進化に適合するようにこのシステムを最適化し、抗gp120抗体の選択によりその有用性を立証する。VCDR3における6個の残基をランダム突然変異させたナイーブ生殖細胞系列scFv抗体ライブラリーから選択されたこのような抗体の1つはスルホチロシンを含み、ヒト血清から単離した公知硫酸化抗体よりも高い親和性でgp120と結合する。拡張「合成」遺伝子コードは特定性質をもつ蛋白質の指向的進化を助長することができる。
少数の例外を除き、生物の遺伝子コードは蛋白質合成に20種類の標準アミノ酸しか指定しない。しかし、特に20種類の天然選択は集団進化パラダイムとダーウィン進化パラダイムの遷移点に任意に固定された後、コードの慣性により維持することができるので、他のアミノ酸とその化学的機能が進化学的に優位になることも全く可能である(1)。更に、数千年にわたる一般生物適応ではなく短期間の1種又は少数の特定機能に絞った限定範囲の実験用指向的進化では、他のアミノ酸の選択的優位性を容易に予想することができる。本発明者らの研究室の最近の開発により、この可能性を検討することが可能である。具体的には、ユニークナンセンスコドンとフレームシフトコドンに応答して各種非天然アミノ酸を蛋白質に組込むことが可能な直交tRNA/アミノアシルtRNAシンテターゼ(aaRS)対を大腸菌の翻訳機構に付加した(2)。20種類の標準構成要素ではなく21種類の構成要素を利用できるこれらの大腸菌(X−大腸菌)を蛋白質機能の進化に使用できるようになった。
先ず、そのユニークな化学的性質に基づいて数種類の非天然アミノ酸を本発明者らのシステムで使用するのに選択した。例えば、金属イオン結合には予め体系化された第1及び第2のリガンドシェルは必要ないので、2座金属キレート化アミノ酸ビピリジルアラニン(3,米国特許出願第11/665,083号、発明の名称「非天然アミノ酸のインビボ組込み用直交翻訳成分(Orthogonal translation components for the in vivo incorporation of unnatural amino acids)」、発明者Schultzら、出願日4/10/2007;WO/2006/110182、出願日2005年10月26日も参照)を遺伝的にコードするX−大腸菌は酸化還元及び加水分解触媒の進化に好適である。同様に、ボロン酸基はジオール又は反応性セリン残基と高親和性錯体を形成することができるので、反応性4−ボロノフェニルアラニン(4,米国予備特許出願第61/137,689号、出願日2008年8月1日;及び61/189,739号、出願日2008年8月22日)をコードするX−大腸菌は糖蛋白質又はセリンプロテアーゼに特異的な抗体の進化に好適である。更に、スルホチロシン(5,米国特許出願第11/903,499号、発明の名称「ユウバクテリウム属における選択的硫酸化蛋白質の遺伝的にプログラムされた発現(Genetically programmed expression of selectively sulfated proteins in Eubacteria)」、発明者Liuら、出願日2007年9月20日;WO/2008/036392、出願日2007年9月20日も参照)等の他の翻訳後修飾アミノ酸を遺伝的にコードするX−大腸菌は所与翻訳後修飾のユニークな化学的特徴を利用する性質の進化に使用することができ、しかも、通常ではこのような修飾を制限する宿主生物及び配列の制約を伴わない(6)。最後に、パラアセチルフェニルアラニン等のケトアミノ酸を使用するX−大腸菌はイミニウム中間体を介する反応(例えば付加、異性化又は脱炭酸反応)の触媒の進化に有利であると思われる(7)。この骨格を念頭におき、X−大腸菌によりコードされる非天然アミノ酸をファージ提示ライブラリーに組込む蛋白質進化用システムを開発した。このシステムは非天然アミノ酸を含有する配列と20種類の標準アミノ酸のみを含有する配列の両方を含む集団から機能に基づいて非天然アミノ酸を含有する配列を選択できるように設計されている。このシステムを抗gp120抗体の進化に使用した処、スルホチロシンを含む特定配列は標準アミノ酸のみを含有する配列も含めて集団で発現される他の全配列よりも優れたものとして出現することが判明した。これらの試験は拡張遺伝子コードが非天然アミノ酸の機能的寄与により選択的優位性を付与できることを初めて立証するものである。
非天然アミノ酸を含有する蛋白質はファージミドフォーマットでファージコート上に正確に提示される。
ファージディスプレイは多様な蛋白質機能の指向的進化用の汎用プラットフォームであると思われる(8−13)。ファージディスプレイ進化の制約下で、機能的進化には2つの基本的条件がある。第1に、大腸菌により産生されるファージは進化を受ける蛋白質を適正且つ有効に提示しなければならず、第2に、選択的優位性(例えば増加)が機能的性能にできるだけ密接に関係していなければならない。このためには、機能に基づかない所定分類の配列に不利な系統的バイアスの軽減が必要である。非天然アミノ酸は野生型M13ファージでシングルペプチドとして提示されている(14)が、このようなシステムはこれらの制約下の指向的進化実験には不適当であった。そこで、標準アミノ酸と非天然アミノ酸の両方でこれらの2つの条件を満たすと思われたファージミドディスプレイ、特に多価ハイパーファージファージミドディスプレイ(15,16)に注目した。
ファージミドにコードされる非天然アミノ酸含有蛋白質配列をファージの表面に提示できるか否かを試験するために、pIIIを共通のヒトV3−23及びVA27生殖細胞系列配列に由来するscFvのC末端に融合した。アンバーコドンをVCDR3ループの111位に置換し、この構築物をpSEXファージミドに挿入し、pSEX−GermTAGを作製した。次に、いずれもアンバーコドンに応答してスルホチロシンをコードするもの(SY−X−大腸菌)(5)、パラアセチルフェニルアラニンをコードするもの(ケト−X−大腸菌)(7)、ビピリジルアラニンをコードするもの(Bpy−X−大腸菌)(3)、及び4−ボロノフェニルアラニン(4)をコードするもの(ボロ−X−大腸菌)の4種類の異なるX−大腸菌にこのプラスミドを形質転換した。ファージパッキングに用いるpIIIの唯一のソースはファージミドにコードされる抗体−pIII融合体である(16)ので、ファージはpIIIの上流のアンバーコドンが抑圧される場合のみに産生される筈である。次にハイパーファージを使用してこれらのクローンから夫々のファージ提示scFvを作製した。夫々の非天然アミノ酸の存在下と不在下でファージ収率を測定した(図7a〜d)。対応する非天然アミノ酸を増殖培地に添加すると、ファージ収率は不在下の収率の1000倍となり(図7e)、非天然アミノ酸を含有する蛋白質配列をこのシステムで提示できることが確認された。沈降した全長ファージのSDS−PAGEとウェスタンブロット分析を使用し、全長scFv−pIII融合体が有効に提示されたことを確認した(図7f)。
指向的進化を可能にするように、非天然アミノ酸を含有する配列に不利なファージ収率バイアスを最小限にすることができる。
非天然アミノ酸を含有する配列をファージコート上に提示させるのに成功したが、初期実験ではpSEX−GermTAGからの総ファージ収率はアンバーコドンを1個の指定チロシンで置換したpSEX−GermTATからの配列の提示に比較して低かった(下表1a参照)。これは組換えaaRS/tRNA対を使用した非天然アミノ酸の抑圧効率が内在機構を使用する標準アミノ酸による抑圧よりも低いためであると予想された。しかし、非天然アミノ酸を含有する蛋白質を進化させるためには、非天然アミノ酸を含有する配列に不利な大きな系統的発現バイアスを許容しないというシナリオに従い、非天然アミノ酸を含有する配列を20種類の標準アミノ酸のみを含有する配列に対して多数回の選択にわたって競合させることができなければならない。そこで、非天然アミノ酸を提示するファージの収率が天然アミノ酸を提示するファージの収率と同等となるように、数種類のX−大腸菌の増殖条件(ファージ産生温度、発現時間、及びtRNA/aaRS対をコードするプラスミド)と非天然アミノ酸濃度を最適化した(表1a)。最適化にはファージパッケージング及びアセンブリ工程の他の段階の速度に比較して全長融合体−pIII蛋白質発現速度を増加させるだけでよく、アンバーコドン抑圧効率を増加させる必要はないので、増殖条件とアミノ酸濃度だけで最適化を達成できるのではないかと推測した。(下記)表1bに示すように、最適化条件下において、標準アミノ酸のみを含有する配列に有利な収率/発現バイアスは試験した4種類のX−大腸菌で<3倍であった。従って、非天然アミノ酸を含有する配列が天然アミノ酸のみを含有する最も競合性の高い配列に対して少なくとも〜3倍機能的に優れているならば、不利なバイアスでも増加すると言える。
下表1aはモデルscFvに基づくファージ収率を最適化するために試験した条件を示す。「使用株」とはこの株に特異的な非天然アミノ酸とシンテターゼを導入した株を意味する。ファージ発現中に指定濃度の非天然アミノ酸を培地に直接添加した。収率比はpSEX−GermTAGから発現されたファージ(非天然ファージ)の力価をpSEX−GermTATから発現されたファージ(天然ファージ)の力価で割った値とした。本発明者らの最適化法は非天然アミノ酸を含有するpIII−融合蛋白質の総産生率を増加すると同時に、アセンブリやパッケージング等のファージ産生プロセスの別の段階の速度を低下させたと予想される。
表1bはTAGコドン(天然ファージ)の代わりにTATコドンを付加した試験scFv−pIIIを発現するファージに有利な最終最適化条件及び収率バイアスを示す。
表1cはケト−X−大腸菌、SY−X−大腸菌、Bpy−X−大腸菌、又はボロ−X−大腸菌(n=50又は100)でpSEX−GermNNKライブラリーからファージ発現後にTAGコドンを含むクローン数と、対応するχ値を示し、集団レベルのバイアスが個々のクローンのバイアスに代表されることを示す。ファージ発現開始前とは、ファージ産生前の初期ライブラリーに存在するクローンを意味する。
次に、個々のクローンで測定されたバイアスが集団レベルにも当てはまることを裏付けるために、これらの最適化条件を抗体のファージミドライブラリーで試験した。従って、NNKを使用する部位飽和突然変異誘発法により完全にランダム突然変異させた6個の連続残基をV3−23CDR3ループに挿入し、ランダムプライマーを使用するオーバーラップPCRにより残基101〜106に置換した。その後、これをpSEX−GermTATベクターにクローニングし、ライブラリーpSEX−GermNNKを作製した(方法の項参照)。Top10F’への形質転換後に、5×10の最大複雑度が実験的に達成され、シーケンシングの結果、クローンの約18%(n=50,任意NNKランダム突然変異部位でTAGを検出する1/32確率を使用した2項分布による予測値17.3%)がファージ産生前にアンバーコドンを含んでいることが判明した。SY−X−大腸菌、ケト−X−大腸菌、Bpy−X−大腸菌、又はボロ−X−大腸菌でファージ産生後に、得られたファージ集団はアンバーコドンを含むクローンの7〜16%を含んでいることがシーケンシングにより判明した(n=100)。集団レベルでは、これは標準アミノ酸のみを含有する配列に有利な1.1〜2.5倍の発現バイアスに相当し、個々のクローンの典型的なバイアスに一致する(図8)。図8はケト−X−大腸菌、SY−X−大腸菌、Bpy−X−大腸菌、又はボロ−X−大腸菌(n=100)でpSEX−GermNNKライブラリーからファージ発現後に1個以上のTAGコドンを含むファージクローンの百分率を示す。予想値は17.3%であり、偏差は20種類の標準アミノ酸のみを含有する配列に有利なバイアスに相当する。最適化条件下でファージを産生させた。χ試験によると、これらの値は個々のクローンの典型的なバイアスに一致するようである(表1c)。この弱い発現バイアスは機能的性能により容易に解決されるはずである。
SY−X−大腸菌を使用してドープランダムライブラリーから公知のスルホチロシン含有抗gp120抗体を選択することができる。
HIV感染にはgp120とCCR5共受容体の結合が必要であること、この相互作用を増強するためにはCCR5の硫酸化が不可欠であること、更に血清から単離された抗gp120硫酸化ヒト抗体の中和はこの特徴を利用することが知られている(17,18)。実際に、gp120と結合したこのような抗体の1例である412dの最近の結晶構造分析によると、その2個のスルホチロシンが総被覆表面積の約20%を占め、2個のうちの1個がほぼ100Aに相当することが判明した(19)。そこで、複雑な真核生物で翻訳後修飾の結果として得られる硫酸化チロシンを大腸菌の任意配列に非天然アミノ酸として組込むことができるので、SY−X−大腸菌で高親和性抗gp120抗体を進化させることができるのではないかと推論した。
先ず、2個のスルホチロシン(残基100及び100c)を含有する抗体412dをgp120に対する親和性に基づいてランダムライブラリーから選択できるか否かを調べるために試験進化実験を実施した。412dをファージに適応させるために、2個のヒト412dチロシン硫酸化部位(scFv抗体の残基104及び107)に2個のアンバーコドンを導入したscFv412d−2SYをpSEXバックボーンにクローニングし、pSEX−412d2TAGを作製した。次にSY−X−大腸菌を使用して412d−2SYをファージ上に提示させた。412dライブラリーを作製するために、スルホチロシンに近接する残基Pro101、Asn105、Ala108、Pro109、Gly112、Met113と、硫酸化が生じる残基104及び107の2つの位置でNNKによる部位飽和突然変異誘発法により、412d scFv−pIIIコーディング配列をランダム突然変異させた(方法の項参照)(20)。得られたファージミドライブラリー(実験最大複雑度2×10)をSY−X−大腸菌に形質転換後、ファージを産生させた。412d−2SYを提示するファージをこのファージ集団にライブラリーファージ2000に対して412d−2SYファージ1の比でスパイクし、マイクロタイタープレートに固定化したgp120に対してパニングした。各回後にSY−X−大腸菌でファージ増幅を実施して4回選択後に、集団は1個の配列412d−2SYに収束し、SY−X−大腸菌におけるgp120結合の進化により非天然アミノ酸を含有する配列が得られることが立証された。実際に、3回目後の集団(4回目の選択後にほぼ完全な収束が生じた)もスパイクしたファージではなく、ライブラリーに由来するスルホチロシン含有配列を有していた(下表2参照)。このことから、単に412d−2SYだけではなく非天然アミノ酸を含有する新規配列もgp120と結合するように進化していることが明らかである。表2は412d−2SYをドープした412d系ライブラリーから選択した配列のリストを示す。NNKでランダム突然変異させた位置を下線で示す。
その機能的利点に基づいて412d−2SYを選択したことを裏付けるために、412d−2SYを提示するファージの発現レベルを特性決定し、どちらも非天然アミノ酸を含まない若干〜多数の配列を含む初期ライブラリーファージと3回目のライブラリーファージの発現レベルに比較した。この比較の結果、412d−2SYを提示するファージはライブラリーファージよりも低収率で産生されることが判明した(図9)ため、412d−2SYファージの増加は一般的な発現優位性ではなく機能的優位性に起因すると考えられる。図9は初期ファージライブラリーと3回目のライブラリーからのファージ収率と比較して培養液1mL当たりの412d−2SYのファージ収率を示す。SY−X−大腸菌を使用して全ファージを産生させた。412d−2SYでは、3個の別個のファージ調製物からの力価を平均し、誤差棒は+標準偏差を表す。412d−2SYでは、スルホチロシンを培地に添加しない場合には、ファージ収率は〜1×10個/mLであった。更に酵素免疫アッセイ(ELISA)によりgp120結合を試験するために412d−2SYファージを単離した。自然比較として、2個のスルホチロシンをチロシン(412d−Y)で置換したpSEX−412d2TATからの412dを提示するファージを作製し、同様に試験した。図10に示すように、412d−2SYはBSA対照よりも有効にgp120と結合する。更に、ELISAシグナルは412d−Yに比較して412d−2SYのgp120結合が〜10倍である。従って、2個のスルホチロシン残基に直接起因するその結合親和性に基づいて412d−2SYを選択した。
SY−X−大腸菌でナイーブな生殖細胞系列ライブラリーから抗gp120抗体について選択すると、硫酸化抗体が得られる。
次に、任意の公知gp120結合配列に基づくライブラリーの代わりに完全にナイーブな生殖細胞系列抗体ライブラリーをgp120との結合について選択するgp120結合の進化実験を実施した。このライブラリーを特定標的に偏らせたくなかったので、ヒトゲノムDNAからヒト生殖細胞系列重鎖可変領域の混合物を増幅し、オーバーラップPCRを使用してA27生殖細胞系列軽鎖と結合し、CDR3ループ領域の6個の連続残基をNNKによる部位飽和突然変異誘発により完全にランダム突然変異させたscFvに挿入した(方法の項参照)。V遺伝子領域は末端がインフレームにならないので、天然境界のダイバーシティに似せるように、これらの6個の残基の両側の2個の部分的にランダム突然変異させた残基を挿入した。次にライブラリーをファージミドベクターにクローニングし、2×10の実験最大複雑度を得た。DNAシーケンシングの結果、クローンの予想される〜17%が少なくとも1個のアンバーコドンを含むことが判明した。
次にSY−X−大腸菌を使用し、このライブラリーからファージを作製した後、gp120に対してパニングした。結合したファージをSY−X−大腸菌で増幅し、同一ストリンジェンシー下で実施した次の各回が前の回よりもgp120結合を増加するようにこのプロセスを合計4回反復した(図11a)。配列決定の結果、配列決定したクローンではスルホチロシンが同時に増加していることが判明した(図11b)。図11aは各回後のファージ溶出量により判断したgp120結合の増加を示す。各クローンのコピーが少数しか存在しない場合に潜在的ヒットの無原則な減少を最小限にするために、1回目の選択は後続回よりも著しく低いストリンジェンシーで実施した(方法の項参照)。図11bはシーケンシングにより判定した各回後のスルホチロシン含有クローンの百分率の増加を示す(n=15〜30)。
3回後に、ファージ集団の〜40%はスルホチロシンを含んでおり、4回後にライブラリーはこれらのスルホチロシン含有抗体のうちで主に配列...E sY G S P R G Y...(sY=スルホチロシン;部分ランダム突然変異の位置に対応するアミノ酸をイタリックで示し;完全ランダム突然変異の位置に対応するアミノ酸を下線で示す)と重鎖V領域V3−38をもつ1個の抗体に収束した。このクローンは集団(n=20)の60%に相当した。スルホチロシンの存在下でこのscFv(66CC8−SY)を提示するファージの収率はスルホチロシンの不在下のファージの収率の>100倍であり、スルホチロシンの特異的組込みが確認された(5)。66CC8−SYを提示するファージの収率を更に初期ライブラリーを提示するファージの収率と3回目のライブラリーからの収率とに比較した処、66CC8−SYが非天然アミノ酸を含むという事実から予想される通り、どちらの場合も66CC8−SYを提示するファージの産生量は少なかった(図12)。図12は初期ファージライブラリーと3回目のライブラリーからのファージ収率に比較した培養液1mL当たりの66CC8−SYのファージ収率を示す。全ファージをSY−X−大腸菌で産生させた。66CC8−SYでは、3個の別個のファージ調製物からの力価を平均し、誤差棒は+標準偏差を表す。66CC8−SYでは、非天然アミノ酸を培地に添加しない場合には、ファージ収率は〜5×10であった。従って、結合親和性に基づき、標準アミノ酸のみを含有する配列を含む他の配列よりも66CC8−SYを選択した。この結果、スルホチロシンをコードする株でバイアスのないナイーブなライブラリーを使用して進化させると、gp120結合の回答として硫酸化抗体が得られることが立証された。
次に、66CC8−SYによるGp120結合をELISAにより特性決定した。図13に示すように、66CC8−SYはBSA対照よりも特異的にgp120と結合し、更に公知抗体412d−2SYの約5倍の性能である。同一選択から天然アミノ酸のみを含有する抗体で結合量が最大のもの(配列...E R R G R E G H..をもち、4回目の選択後の集団の20%に相当する抗体66CC14,n=20)に比較すると、66CC8−SYは約4倍の親和性であった(図13)。実際に、66CC14は相当量のBSA結合を示すので、集団におけるその存在は非特異的相互作用が一因であると考えられる。更に、硫酸残基が66CC8−SYの親和性に特異的に寄与することを立証するために、スルホチロシンをチロシンで置換したその類似体(66CC8−Y)と66CC8−SYを比較した。TAGに応答してチロシンをコードするaaRSを使用して66CC8−Yを産生させ、66CC8−SYを提示するファージと比較して得られたファージのgp120結合をELISAにより試験した。図13に示すように、ファージに提示された66CC8−SYは66CC8−Yに比較してgp120結合に〜5倍のELISAシグナルを発生することから、スルホチロシンがファージに適正に提示されたと判断され、硫酸残基は66CC8−SYの親和性に特異的に寄与することが実証された。66CC8−SYの出現元である出発ライブラリー集団には66CC8−Yと多数の関連配列が存在していたはずなので、この結果は予想通りである。なお、これらの全ての場合で、ファージ上のscFvの提示レベルはハイパーファージの強制的多価によりクローン全体で一致しているので、サンプル間の比較が簡単になる。
次に、ファージと融合せずに遊離scFvを発現させ、特性決定しようとした。スルホチロシンに特異的な直交tRNA/aaRS対を使用してscFv66CC8−SYを発現させると、66CC8−Y(〜7mg/L)の発現と同等の収率が得られたが、産生された全蛋白質は不溶性であり、何度もリフォールディングを試みたが、うまくいかなかった。Fabフォーマットに変換すると、66CC8−SY、66CC8−Y及び66CC14(夫々精製収率0.8、1.0及び1.0mg/mL)はgp120結合活性が低下した(図14)。これらの選択抗体に対応する生殖細胞系列可変領域は不安定であり、scFvリンカーが必要であると考えられ、Fabフォーマットに変換後の活性低下と遊離scFvフォーマットでリフォールディングしにくいことが同時に説明される。これは遊離412d−2SY及び412d−Y(夫々精製Fab収率0.25及び0.7mg/mL)の発現と対照的であり、これらはいずれも折り畳まれたscFvの収率が高く、Fabフォーマットに変換した場合にgp120結合の全活性を維持した。比較となるKd値は文献に見当たらないが、Fab412d−2SYはgp120と有効且つ硫酸依存的に結合し、ELISAによると、Fab412d−Yの>15倍の親和性であった(図14)。図14aは抗ヒトκ軽鎖HRP抗体を使用し、金属増感型DABキット(Pierce)で発色させたプロテインG精製Fabのウェスタンブロット分析を示す。変性PAGEゲル(Invitrogen NuPAGE 4−12%Bis−Tris)上にサンプルを泳動させた。66CC8−SY及び412d−SYでは、硫酸化抗体発現がスルホチロシンの存在に依存することを立証するために、スルホチロシンの不在下の発現に対応するレーンも示す。図14b〜fはFab66CC14、66CC8−SY、66CC8−Y、412d−SY及び412d−YのLCMS(ESI陽性)スペクトルを示す。図14gは夫々精製Fab66CC14、66CC8−SY、66CC8−Y、412d−2SY及び412d−Yとgp120の結合を測定したELISAの結果を示す。これは硫酸化されている場合のみにgp120を免疫沈降させる哺乳動物硫酸化412dと同様である。安定性について選択するか又はナイーブ生殖細胞系列scFvではなくFabに由来するライブラリーを使用すると、このようなフォールデイングとフォーマット変換の問題を防ぐことができる。
考察
20種類の標準アミノ酸以外の非天然アミノ酸を蛋白質機能空間の研究に利用可能な蛋白質進化システムを開発した。指向的進化実験に非天然ないし非標準アミノ酸を使用する従来の試み(21,22)とは対照的に、本発明者らのシステムにおける非天然アミノ酸は遺伝的にコードされ、部位特異的組込みにユニークコドンTAGしか必要としない。従って、非天然アミノ酸による翻訳は天然アミノ酸による翻訳と同一の基本的パラダイムを利用するので、21種類のアミノ酸の蛋白質が無制限に進化する。しかし、収率バイアスは天然アミノ酸のみを含有する配列に有利であるという1つの制限がある。従って、標準アミノ酸のみを含有する配列と共に非天然アミノ酸を含有する配列を含む集団を生じる多様化ストラテジーを機能進化の対象にできるように、このバイアスを軽減するように本発明者らのファージ系システムを最適化する。収率バイアスは最小限になるが、完全には除去されないので、本発明者らが記載した全選択を含む選択では非天然アミノ酸を含有する配列が集団に維持されるように非天然アミノ酸が機能に寄与する必要がある。
4種類の非天然アミノ酸を組込んだX−大腸菌株を増殖条件の操作によりファージミド指向的進化に合わせて最適化し、バイアスのないナイーブな生殖細胞系列抗体ライブラリーからgp120結合抗体を進化させるために、非天然アミノ酸スルホチロシンをコードする1個の株を使用した。本実験では、抗体集団はgp120結合親和性に直接寄与するスルホチロシンを含有する新規クローンに収束した。完全にナイーブなライブラリーからこのクローンを選択し、拡張遺伝子コードが非天然アミノ酸の機能的寄与により選択的優位性を付与できることを初めて立証する。
ただ1個の非天然アミノ酸を含有する配列を使用し、バイアスを最小限にするようにこのシステムの最適化を実施した。従って、2個以上の非天然アミノ酸を含有する配列に不利なファージ収率バイアスは増加すると思われるので、このような配列が複数回にわたって優勢になるためにはより顕著な機能的優位性が必要になる。複数の非天然アミノ酸を含有する配列の選択に不利なこのような全バイアスは反復選択実験により解決することができる。例えば、所与選択で最適な配列が1個の非天然アミノ酸を含む場合には、成功配列からの非天然アミノ酸を固定し、他の周囲のアミノ酸をランダム突然変異させる2回目の選択実験を実施することができる。集団の全メンバーが既に第1の非天然アミノ酸を含んでいるので、この制限ライブラリーを使用すると、第2の非天然アミノ酸の組込みもバイアスが最小限になる。当然のことながら、複数の非天然アミノ酸をもつ機能的優位性が付随する発現バイアスを解決する場合には、このアプローチは省略できる。例えば、本発明のシステムを使用し、天然アミノ酸のみを含有する配列が当初は優勢である412d系ライブラリーから非天然アミノ酸スルホチロシン2個を含む412d−2SYを直接選択する。
そのユニークな化学的機能に基づいて選択したスルホチロシン、ビピリジルアラニン、4−ボロノフェニルアラニン及びパラアセチルフェニルアラニンの4種類の非天然アミノ酸で進化させるようにこのシステムを最適化したが、まだ完全に特性決定することが必要なものを含め、直交aaRS/tRNA対により組込まれる任意非天然アミノ酸(現段階では約45種類)で拡張遺伝子コードによるファージ進化を場合により使用することができる。この事実をファージディスプレイの汎用性と一連の利用可能なライブラリー設計及び多様化ストラテジー(13)に結び付けると、達成可能な機能の範囲と種類を非天然アミノ酸で拡張する新規結合方式、触媒活性及び構造の進化が可能になった。
方法
X−大腸菌プラスミド設計及び構築
tRNA/aaRS対をpCDFプラスミドにコードさせた。pCDFプラスミドはCloDF13(23)に由来するレプリコンをもち、MjtRNATyr CUAと、MjtRNATyr CUAに非天然アミノ酸を特異的に負荷する突然変異体MjTyrRSをコードする。MjtRNATyr CUAにパラアセチルフェニルアラニンを負荷する突然変異体aaRSをコードするpCDF−ケトを構築するために、プライマー:
MT01:5’−GTGTTGTTGTTGTTGTATACCAAATAGCTAGCTCACTCGGTC−3’及び
MT02:5’−GTTGTTGAGCTCGATAAATTGCACTGAAATCTAGAGCGGTTC−3’
を使用してCloDF13レプリコンをもつインサート遺伝子をベクターpCDF−1b(Novagen)からPCRにより増幅した。次にインサートを制限酵素AccI及びSacIで消化し、精製し、AccI/SacIて切断したpSupベクターにライゲーションした(24)。配列決定の結果、プラスミドの2番目のtRNAカセットのproKプロモーターにG→A突然変異が判明し、機能的に活性な生存能力の高いクローンが得られた。従って、この突然変異を維持させた。pCDF−ケトを作製後、他のシンテターゼに交換して制限部位NdeI及びPstIを使用し、いずれもアンバーコドンに応答してビピリジルアラニンを組込んだpCDF−Bpy、スルホチロシンを組込んだpCDF−SY、及び4−ボロノフェニルアラニンを組込んだpCDF−1BGllを作製した。次にこれらのpCDFプラスミドの各々をTop10F’(Invitrogen)に形質転換し、ケト−X−大腸菌、Bpy−X−大腸菌、SY−X−大腸菌、及びボロ−X−大腸菌を作製し、抗生物質クロラムフェノコール(30μg/mL)及びテトラサイクリン(30μg/mL)上に維持した。
pSEX−GermTAG及びpSEX−GermTATプラスミド構築
3−23とVA27を含み、VCDR3ループにTAGを付加したFabフォーマット抗体をBlue Heron社で合成した。pSEX−GermTAGを構築するために、先ずプライマー:
LC1:5’−GCACGCGTAGAAATTGTGTTGACG−3’及び
LC2:5’−CTTTGGATCCAGCGGCCGCCCGTTTGATTTCCACCTTGGTCCCTTGGCC−3’
を使用してこの合成Fab抗体遺伝子から軽鎖遺伝子を増幅した。次に軽鎖遺伝子をMluとBamHIで消化後、同様に消化したpSEX81(Progen)に挿入し、pSEX−GermA27を作製した。次にプライマー
HC1:5’−CGGCCATGGCTGAGGTGCAGCTGTTGGAGTCTGG−3’及び
HC2:5’−CTTCAAGCTTTGGGGCGGATGCACTCCCTGAGGAGACGGTGACCAGGGTTCCTTGG−3’
を使用して合成Fab抗体遺伝子から重鎖遺伝子を増幅した後、NcoIとHindIIIで消化した。この配列を同様に消化したpSEX−GermA27に挿入し、pSEX−GermTAGを作製した。Quickchange(Stratagene)部位特異的突然変異誘発法を使用し、pSEX−GermTAGのTAGコドンをTATコドンで置換したpSEX−GermTATを作製した。
これらのpSEXプラスミドでは、scFvとpIIIの間にトリプシン部位が存在するので、提示されたscFvを除去し、感染性pIIIを暴露することができる。これは溶出と感染に重要である。
pSEX−GermNNKライブラリー構築
プライマー
VH−23−F:5’TCTCGAAATCCATGGCTGAGGTGCAGCTGTTGGAGTCTGG−3’及び
VH3−23R:5’−TCTTTCGCACAGTAATATACGG3’
を使用して合成Fab抗体遺伝子からV3−23を含む重鎖遺伝子フラグメントを増幅した。プライマー
NNK1:5’−CCGTATATTACTGTGCGAAAGANNNKNNKNNKNNKNNKNNKNACTACTTTGACTACTGGGG−3’及び
NNK2:5’−AGCCATCGCGGCCGCGCTAGCTGAGGAGACGGTGACCAGGGTTCCTTGGCCCCAGTAGTCAAAG−3’
(上記配列中、N=A、T、G又はCであり、K=G又はTである)を使用するオーバーラップPCRにより、ランダム突然変異させたCDR3ループをこのフラグメントに付加した。次にプライマー
HC1:5’−CGGCCATGGCTGAGGTGCAGCTGTTGGAGTCTGG−3’及び
HC2:5’−CTTCAAGCTTTGGGGCGGATGCACTCCCTGAGGAGACGGTGACCAGGGTTCCTTGG−3’
を使用して全長重鎖ライブラリーを含む最終遺伝子産物を増幅した。
産物の制限部位NcoI及びHindHIを消化し、同様に消化したpSEX−GermTATに挿入し、ライブラリーpSEX−GermNNKを作製した。ライゲーション混合物を沈降させ、産物をエレクトロコンピテントTop10F’細胞に形質転換し、合計5×10個の形質転換細胞を得た。アンピシリン100μg/mL、テトラサイクリン30μg/mL、及びグルコース1%を添加した2YTで一晩増殖後、スーパーコイルDNAを単離した。次に集団のファージディスプレイ試験のためにこのDNAをケト−X−大腸菌、Bpy−X−大腸菌、SY−X−大腸菌及びボロ−X−大腸菌に形質転換した。
pSEX−412d2TAT及びpSEX−412d2TAG構築
プライマー
412dF:5’CACGCCATGGCTGAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTG−3’及び
412dB:5’−CTTTGGATCCAGCGGCCGCCCGTTTGATTTCCACCTTGGTCCCCTGGCCAAA−3’
を使用して哺乳動物412d発現ベクター(18)からscFvコーディング領域を増幅した。得られたscFvをNcoIとBamHIで消化し、同様に消化したpSEX81に挿入し、pSEX−412d2TATを得た。Quickchange(Stratagene)部位特異的突然変異誘発法を使用し、2個の哺乳動物チロシン硫酸化位置(残基104及び107)をアンバーコドンで置換し、pSEX−412d2TAGを得た。
412dライブラリーの作製
残基Pro101、Tys104、Asn105、Tys107、Ala108、Pro109、Gly112及びMet113をランダム突然変異させた412dライブラリーを作製するために、先ずプライマー
412dLib1:5’−CCGCTGGCTTGCTGCTGCTG−3’及び
412dLib2:5’−GTAAGGGCTCGCACAGTAAAATACGGCC−3’
を使用してpSEX−412d2TAGから重鎖フラグメントを増幅した。次にプライマー
412dLib3:5’−GCCGTATTTTACTGTGCGAGCCCTTACNNKAATGACNNKNNKGACNNKNNKNNKGAGGAGNNKNNKAGCTGGTACTTCGATCTCTG−3’及び
412dLib4:CAGAGATCGAAGTACCAGCT
(上記配列中、N=A、T、G又はCであり、K=G又はTである)を使用し、得られた産物をオーバーラップPCRにより伸長させた。プライマー
412dLib5:AGCTGGTACTTCGATCTCTG及び
412dLib6:CTCTGATATCTTTGGATCCA
を使用してpSEX−412d2TAGから第2のフラグメントを増幅し、オーバーラップPCRにより2個のフラグメントを結合し、412d遺伝子ライブラリーを得た。このライブラリーを次にNcoIとBamHIで消化し、同様に消化したpSEX81ベクターに挿入した。ライゲーション産物をtRNAにより沈降させ、Top10F’細胞に形質転換し、合計2×10個の形質転換細胞を得た。アンピシリン100μg/mL、テトラサイクリン30μg/mL、及びグルコース1%を添加した2YTで一晩増殖後、スーパーコイルDNAを単離した。次に抗gp120抗体のファージディスプレイと選択のためにこのDNAをSY−X−大腸菌に形質転換した。
抗gp120抗体の選択用のナイーブ生殖細胞系列抗体ライブラリーの作製
プライマー
VH−Mix−F:5’−TCTCGAAATCCATGGCTCAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGG−3’及び
VH−Mix−R:5’−TCTCTCGCACAGTAATACACGGCCG−3’
を使用してヒトcDNAから生殖細胞系列Vフラグメントの混合物を増幅した。このPCR反応のアニール温度は56℃とした。プライマー
NNK1:5’−CGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGANNNKNNKKNKNNKNNKNNKNACTACTTTGACTACTGGGG−3’及び
NNK2:5’−AGCCATCGCGGCCGCGCTAGCTGAGGAGACGGTGACCAGGGTTCC TTGGCCCCAGTAGTCAAAG−3’
(上記配列中、N=A、T、G又はCであり、K=G又はTである)を使用するオーバーラップPCRにより、ランダム突然変異させたCDR3ループをこれらのフラグメントに付加した。次にプライマー
VH66CC−F:5’−CCGGCCATGGCTCAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGG−3’及び
VH66CC−R:5’CTTCAAGCTTTGGGGCGGATGCACTCCCTGAGGAGACGGTGACCAGGGTTCCT−3’
を使用して最終遺伝子産物を増幅した。このPCRライブラリーをNcoIとHindIIIで消化し、同様に消化したpSEX−GermTATに挿入し、ナイーブ生殖細胞系列scFvのライブラリーを作製した。ライゲーション混合物を沈降させ、エレクトロコンピテントTop10F’細胞に形質転換し、合計2×10個の形質転換細胞を得た。アンピシリン100μg/mL、テトラサイクリン30μg/mL及びグルコース1%を添加した2YTで一晩増殖後、スーパーコイルDNAを単離した。次に抗gp120抗体のファージディスプレイと選択のためにこのDNAをSY−X−大腸菌に形質転換した。
ファージ産生
最適化条件下で実施した全実験で以下のファージ発現プロトコルを使用した。先ず、アンピシリン100μg/mL、テトラサイクリン30μg/mL、クロラムフェノコール30μg/mL及びグルコース1%を添加した2YTでファージミドライブラリー又はシングルファージミドクローンDNAで形質転換したX−大腸菌培養液を一晩増殖させる。飽和に達した後、最終ファージ発現容量の12.5%に等しい合計容量を培養液から除去し、遠心し、最終ファージ発現容量の25%に等しい容量の2YTに再懸濁する。2YTにアンピシリン100μg/mL、テトラサイクリン30μg/mL、及びクロラムフェノコール30μg/mLを添加する。この培養液にハイパーファージ(Progen)を20MOI(MOI=感染多重度)で加える。得られた培養液を次に100rpmで1時間37℃にてインキュベートした後、細胞を遠心し、培地を除去する。次にアンピシリン100μg/mL、カナマイシン50μg/mL、及びクロラムフェノコール30μg/mLを添加した所望の最終ファージ発現容量の2YTにファージを再懸濁する。使用したX−大腸菌に対応する非天然アミノ酸を培地に直接添加し、ファージ培養液を280rpmで18時間30℃にてインキュベートする。ケト−X−大腸菌、Bpy−X−大腸菌、SY−X−大腸菌、及びボロ−X−大腸菌では、非天然アミノ酸を夫々8mM、15mM、1.5mM、及び6.5mM(ラセミ混合物13mM)加える。Bpy−X−大腸菌では、鉄消耗に伴う毒性を防ぐために20mM FeSOも加えた。ボロ−X−大腸菌では、25mM NaOHを加えてアミノ酸を可溶化した。パラアセチルフェニルアラニンは公開手順(7)に基づいてSynchemにより合成し、スルホチロシンはSenn Chemicals and Bachemから購入し、4−ボロノフェニルアラニンはAldrichからD異性体とL異性体の混合物として購入した。ビピリジルアラニンの合成については、下記参照。
ファージ産生後、培地を採取し、細胞を捨てた。次に10kDカットオフコンセントレーター(Amicon)を使用して培地を適切な容量まで濃縮した。次に5倍量のファージ沈殿用緩衝液(20%PEG 8000,2.5mM NaCl)の添加により、濃縮ファージを沈降させ、適切な容量のリン酸緩衝食塩水,pH7(PBS)に溶解した。2回沈降させた。
ビピリジルアラニンの合成
5−メチル−2,2’−ピピリジン。2−ブロモ−5−メチルピリジン(5.0g,29mmol)と、2−トリブチルスタニルピリジン(10g,27mmol)と、Pd(PPh(2.0g,1.7mmol)を無水トルエン(250mL)に加えた混合物を48時間110℃にて撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、減圧蒸発させた。残渣をEtOAcに溶解し、飽和NaHCO水溶液で洗浄し、有機層をMgSOで乾燥し、減圧濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl中0.5%MeOH)により、メチル−2,2’−ピピリジン(3.5g,75%)を無色油状物として得た。H−NMR(500MHz,CDCl):δ2.47(s,3H),7.35(dd,1H),7.70(dd,1H),7.87(m,1H),8.36(d,1H),8.43(d,1H),8.58(d,1H),8.74(dd,1H)。
2−(2,2’−ビピリジン−5−イルメチル)−2−アセトアミドマロン酸ジエチル。水とベンゼン(1:1)の混合溶媒(100mL)中でメチル−2,2−ピピリジン(1.7g,10mmol)にハロゲンランプ(150W)を照射し、還流した。臭素(1.6g,10mmol)を加え、混合物を30分間加熱還流した。溶液を減圧濃縮し、EtOAcに溶解した。有機層を飽和NaHCO水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧濃縮し、粗臭素化生成物を得た。アセトアミドマロン酸ジエチル(2.6g,12mmol)と水素化ナトリウム(0.48g,12mmol,鉱油中60%)を無水DMF(50mL)に加えた混合物を30分間0℃で撹拌した。溶液に粗生成物の0℃の無水DMF(20mL)溶液を加え、混合物を1時間室温で撹拌した。反応混合物をEtOAc(200mL)で希釈し、10%チオ硫酸水溶液(2×150mL)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、減圧濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl中0.5%MeOH)により精製し、2−(2,2’−ビピリジン−5−イルメチル)−2−アセトアミドマロン酸ジエチル(2.5g,65%)を白色固体として得た。H−NMR(500MHz,CDCl):δ1.38(m,6H),2.15(s,3H),3.81(s,2H),4.35(m,4H),6.68(s,1H),7.36(dd,1H),7.55(dd,1H),7.87(m,1H),8.36(d,1H),8.41(d,1H),8.42(d,1H),8.74(dd,1H)。
ビピリジルアラニン:3−(2,2’−ビピリジン−5−イル)−2−アミノプロパン酸。2−(2,2’−ビピリジン−5−イルメチル)−2−アセトアミドマロン酸ジエチル(2.5g,6.5mmol)を12M HCl中で6時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、生成物(2.3g,99%)をHCl塩形態の白色固体として得た。H−NMR(500MHz,CDCl):δ3.59(m,2H),4.58(t,1H),8.11(m,1H),8.40(dd,1H),8.67(d,1H),8.70(m,1H),8.83(d,1H),8.99(dd,1H)。LC−MS(ESI)C1313(M+1)の計算値243.1,実測値243.1。
ファージ定量
2種類の方法を使用してファージ力価を測定した(16)。感染性ファージが該当集団である選択等の用途では、Top10F’細胞の感染によりファージを定量した。具体的には、小容量のファージを1.75μg/mLトリプシン(Worthington Biochemicals)で消化し、Top10F’細胞に感染させるために使用した。次に希釈液を選択プレートに撒くことにより感染細胞量を測定した(pSEX系ファージミドにはアンピシリンプレートを使用した)。ファージ粒子全体が該当集団であるELISA等の用途では、ファージをELISAプレートにコーティングし、2%脱脂乳PBS溶液でブロックし、PBST(PBS+0.025%Tween 20)で数回洗浄し、2%脱脂乳PBST溶液中で抗M13ポリクローナル抗体(NEB)と結合させ、QuantaBlu蛍光基質(Pierce)で検出した。既知量のハイパーファージをプレートに吸着させて同様に処理した標準曲線とこのサンプルを比較した。複数のサンプルを比較した場合には、全部に同一力価シグナルを与えるようにサンプルを標準化した。
gp120結合性ファージの選択
0.5μgの可溶性ADA gp120をPBS100μLに溶かし、12時間37℃にてMaxiSorp(Nunc)マイクロタイタープレートウェルの表面にコーティングした。2%脱脂乳(Biorad)PBS溶液で2時間ブロックし、PBST 200μLで3回洗浄後、濃縮したファージライブラリーを2%脱脂乳PBST溶液100μLに加え、37℃で4時間インキュベートした。PBSTとPBSで洗浄後、トリプシン(Worthington Biochemicals)1.75μg/mLで12分間ファージを溶出させた。溶出したファージを使用し、クロラムフェノコール30μg/mLとテトラサイクリン30μg/mLを添加した2YT中でSY−X−大腸菌の0.4 O.D.培養液20mLに感染させた。1時間37℃で感染させた後、細胞の小アリコートをプレートに撒き、溶出したファージ数を測定した。細胞の残余を遠心し、クロラムフェノコール30μg/mL、テトラサイクリン30μg/mL、アンピシリン100μg/mL、及びグルコース1%を添加した2YT 25mLに再懸濁した。一晩増殖後、濃度が増加したライブラリーを使用し、次回にファージを産生させた。
ELISAによるgp120結合親和性の測定
サンプル1個当たり0.33μgの可溶性ADA gp120をPBS 100μLに溶かし、MaxiSorp(Nunc)マイクロタイタープレートウェルの表面に12時間37℃でコーティングした。2%脱脂乳(Bio−Rad)PBS溶液200μLで2時間ブロック後、上記手順に従って予め精製及び定量したFab蛋白質を2%脱脂乳PBST溶液100μLに添加し、37℃で2時間インキュベートした。PBSTで5回洗浄後、抗ヒトκ軽鎖抗体(Sigma)を2%脱脂乳PBST溶液110μLに加え、37℃で2時間インキュベートした。PBSTで8回洗浄後、QuantaBlu蛍光基質(Pierce)を加え、蛍光プレートリーダー(SpectraMax Gemini)を使用してELISAシグナルを測定した。
ドープライブラリーを使用したGp120結合選択
一般的なgp120結合選択手順を使用した(上記参照)。具体的には、この選択では以下の洗浄プロトコルを使用した。
1回目:1回当たりPBST 200μLで10回洗浄;1回当たり〜1分間
2回目:1回当たりPBST 200μLで12回洗浄;1回当たり〜1分間
3回目:1回当たりPBST 200μLで14回洗浄;1回当たり〜1分間
4回目:1回当たりPBST 200μLで15X回洗浄;1回当たり〜1分間
この選択の全回のファージ添加量と溶出量を下表に示す。溶出前の最終洗浄液中に存在するファージの量を測定した場合にはこの量も示す。
この選択で少なくとも1個のTAGを含むファージの百分率と412d2TAGをドープしたクローンを含むファージの百分率を下表に示す。
ナイーブ生殖細胞系列ライブラリーを使用したgp120結合選択
一般的なgp120結合選択手順を使用した(上記参照)。具体的には、この選択では以下の洗浄プロトコルを使用した。
1回目:1回当たりPBST 200μLで2回洗浄;1回当たり〜1分間
2回目:1回当たりPBST 200μLで10回とPBS 200μLで1回洗浄;1回当たり〜1分間
3回目:1回当たりPBST 200μLで10回とPBS 200μLで1回洗浄;1回当たり〜1分間
4回目:1回当たりPBST 200μLで10回とPBS 200μLで1回洗浄;1回当たり〜1分間
この選択の全回のファージ添加量と溶出量を下表に示す。なお、1回目のストリンジェンシーは低いので、ファージ溶出量が多い。こうして、ライブラリーに各クローンのコピーが非常に少数しか存在しない場合に機能的クローンの無原則な減少が生じないようにする。
遊離scFv蛋白質の発現
ファージと融合せずに遊離蛋白質としてscFvを発現させるために、標準方法を使用してgIIIペリプラズムシグナル配列とC−末端6Xヒスチジンタグを含むpBAD発現ベクターにscFv66CC8、412d−2SY及び412d−Yのコーディング領域を挿入した。こうして、pBAD−66CC8、pBAD−412d−2SY、及びpBAD−412d−Yを得た。
412d−YをscFvとして発現させるために、アンピシリン100μg/mLを添加した2YTで光学密度が0.6に達するまでpBAD−412d−Yを導入したTop10F’細胞を37℃、250rpmにて増殖させ、この時点で0.1%L−アラビノースによりscFv産生を誘導した。次に培養液を250rpm、室温で30時間振盪後、可溶性scFvは産生されなかったので、細胞をペレット化し、8M尿素に溶解させた。蛋白質リフォールディングキット(Novagen)を使用してリフォールディングし、可溶性scFvを得た。
412d−2SYをscFvとして発現させるために、アンピシリン100μg/mL、クロラムフェノコール30μg/mL、及びスルホチロシン10mMを添加した2YT(Bachem)で、非天然アミノ酸による発現に適した最適化プラスミドであり、この場合にはスルホチロシン特異的シンテターゼと対応する直交tRNAを含むpSUPAR6−L3−3SY(Cellitti,S.,Jones,D.,Lagpacan,L.,Hao,X.,Zhang,Q.,Hu,H.,Brittain,S.,Brinker,A.,Caldwell,J.,Bursulaya,B.,Spraggon,G.,Brock,A.,Ryu,Y.,Uno,T.,Schultz,P.,Geierstanger,B.J.Am.Chem.Soc.(2008)130,9268−9281)と共にpBAD−412d−SYを導入したTop10F’細胞を37℃、250rpmにて増殖させた。光学密度が0.6に達したら、シンテターゼとscFvの両方の産生を0.2%L−アラビノースで誘導した。次に培養液を250rpmで室温にて30時間振盪後、細胞をペレット化し、8M尿素に溶解させた。蛋白質リフォールディングキット(Novagen)を使用してリフォールディングし、可溶性scFvを得た。
66CC8−SYをscFvとして発現させるために、アンピシリン100μg/mL、クロラムフェノコール30μg/mL、及びスルホチロシン10mMを添加した2YT(Bachem)で、pSUPAR6−L3−3SYと共にpBAD−66CC8を導入したTop10F’細胞を37℃、250rpmにて増殖させた。光学密度が0.6に達したら、シンテターゼとscFvの両方の産生を0.2%L−アラビノースで誘導した。次に培養液を250rpmで室温にて30時間振盪後、細胞をペレット化し、8M尿素に溶解させた。可溶性蛋白質が回収されなかったので、リフォールディングは失敗した。
66CC8−YをscFvとして発現させるために、アンピシリン100μg/mL、クロラムフェノコール30μg/mLを添加した2YTで、pTAGに応答してチロシンをコードするプラスミドであるpCDF−JYRSと共にpBAD−66CC8を導入したTop10F’細胞を37℃、250rpmにて増殖させた。光学密度が0.6に達したら、シンテターゼとscFvの両方の産生を0.2%L−アラビノースで誘導した。次に培養液を250rpmで室温にて30時間振盪後、細胞をペレット化し、8M尿素に溶解させた。可溶性蛋白質が回収されなかったので、リフォールディングは失敗した。
抗6XHis抗体(Sigma)と標準6X−ヒスチジンタグを付加した既知濃度の蛋白質を使用してウェスタンブロット分析により蛋白質収率を測定した。
遊離Fab蛋白質の発現及び精製
ファージに提示されたscFvをFabフォーマットに変換するために、標準方法を使用して(Blue Heronで合成した)ヒト重鎖及び軽鎖定常領域を含むpBC発現ベクターにscFv66CC14、66CC8、412d−2SY及び412d−Yの軽鎖及び重鎖可変領域を別々に挿入した。こうして、lacプロモーター下で2シストロン性構築物からFab発現用のをpBC−66CC14Fab、pBC−66CC8Fab、pBC−412d−2SYFab及びpBC−412d−YFabを得た。
66CC14と412d−YをFabとして発現させるために、アンピシリン100μg/mLを添加した2YTでpBC−66CC14Fab又はpBC−412d−YFabを導入したTop10F’細胞を光学密度が0.6に達するまで37℃、250rpmにて増殖させ、この時点で1mM IPTGでFab産生を誘導した。次に培養液を250rpmで室温にて30時間振盪後、細胞をペレット化し、培養液の1/20容量のペリプラズム溶解用緩衝液(20%スクロース,30mM Tris−HCl,1mM EDTA,1mg/mLリゾチーム,pH7.4)で3回溶解させた。プロテインG樹脂で精製するためにペリプラズム溶解液を採取した。
412d−2SYと66CC8−SYをFabとして発現させるために、アンピシリン100μg/mL、クロラムフェノコール30μg/mL、及びスルホチロシン10mMを添加した2YT(Bachem)でpSUPAR6−L3−3SYと共にpBC−412d−SYFab又はpBC−66CC8−SYFabを導入したTop10F’細胞を37℃、250rpmにて増殖させた。光学密度が0.3に達したら、0.2%L−アラビノースでシンテターゼ産生を誘導した。光学密度が0.6に達したら、1mM IPTGでFab産生を誘導した。次に培養液を250rpmで室温にて30時間振盪後、細胞をペレット化し、培養液の1/20容量のペリプラズム溶解用緩衝液で3回溶解させた。プロテインG樹脂で精製するためにペリプラズム溶解液を採取した。
66CC8−YをFabとして発現させるために、アンピシリン100μg/mLとクロラムフェノコール30μg/mLを添加した2YTでpCDF−JYRSと共にpBC−66CC8Fabを導入したTop10F’細胞を37℃、250rpmにて増殖させた。光学密度が0.3に達したら、0.2%L−アラビノースでシンテターゼ産生を誘導した。光学密度が0.6に達したら、1mM IPTGでFab産生を誘導した。次に培養液を250rpmで室温にて30時間振盪後、細胞をペレット化し、培養液の1/20容量のペリプラズム溶解用緩衝液で3回溶解させた。プロテインG樹脂で精製するためにペリプラズム溶解液を採取した。
プロテインGを使用してペリプラズム溶解液を精製するために、プロテインG樹脂(Pierce)1mLを1mLポリプロピレンカラム(Qiagen)に充填した。結合用緩衝液(50mM MES,100mM NaCl,pH5.5)5mLでカラムの平衡化後、ペリプラズム溶解液をカラムにロードし、重力流により樹脂に通過させた。次にカラムを結合用緩衝液15mLで洗浄後、溶出用緩衝液(100mMグリシン,pH2.8)5mLで溶出させ、すぐにpH7.4まで中和した。溶出したFabを次にPBSで透析し、その後の使用に備えて濃縮した。
λ=280のUV吸光度によりFab収率を測定した。
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図面の説明
図7。非天然アミノ酸のファージミドディスプレイ。(a)スルホチロシンの構造。(b)パラアセチルフェニルアラニンの構造。(c)ビピリジルアラニンの構造。(d)4−ボロノフェニルアラニンの構造。(e)最適化条件(方法の項参照)下のファージ収率であり、+UAAは最適化濃度(方法の項参照)で培地に添加した対応する非天然アミノ酸(UAA)の存在下で産生されたファージに対応し、−UAAは対応する非天然アミノ酸の不在下で産生されたファージに対応する。3回ずつ力価を測定し、誤差棒は+標準偏差に対応する。(f)非天然アミノ酸の存在下でpSEX−GermTAGを使用して産生された全長ファージからのpIII−scFv融合体の検出。サンプル1個当たりファージ粒子〜10個(沈降したファージ培養液〜200μLに対応し、〜10μLまで濃縮)を変性PAGEゲル上に還元条件下で泳動させた後、抗pIII抗体によるウェスタンブロットのために膜に転写した。同様に産生させ、非天然アミノ酸の不在下でpSEX−GermTAGから作製した同一容量のファージを泳動させ、pIIIについてウェスタンブロットした処、バンドは検出されなかった。ハイパーファージはscFvが提示されないファージに対応する。対照は標準アミノ酸のみの存在下のpSEX−GermTATに由来するpIII−scFv融合体を提示するファージに対応し、51kDバンドは62kDバンド(pIII−scFv融合体)の非特異的蛋白分解の結果である。
図8。ケト−X−大腸菌、SY−X−大腸菌、Bpy−X−大腸菌、又はボロ−X−大腸菌(n=100)でpSEX−GermNNKライブラリーからファージ発現後にTAGコドンを含むファージクローンの百分率。予想値は17.3%であり、偏差は20種類の標準アミノ酸のみを含有する配列に有利なバイアスに相当する。最適化条件下でファージを産生させた。
図9。初期ファージライブラリーと3回目のライブラリーからのファージ収率に比較した培養液1mL当たりの412d−2SYのファージ収率。SY−X−大腸菌を使用して全ファージを産生させた。412d−2SYでは、3個の別個のファージ調製物からの力価を平均し、誤差棒は+標準偏差を表す。
図10。スルホチロシンをチロシンで置換した412d−Yと比較したドープ412dライブラリーから選択した412d−2SYとのgp120結合のファージELISA。サンプル毎に0.33μgのgp120をMaxisorpプレートにコーティングし、2%脱脂乳でブロックし、夫々のファージと結合させた。抗M13抗体でファージを検出した。特異的gp120結合を立証するためにBSA結合を対照として使用した。モックとはファージを添加せずに発生されたシグナルを意味する。
図11。(a)各回後のファージ溶出量により判断したgp120結合の増加。各クローンのコピーが少数しか存在しない場合に潜在的ヒットの無原則な減少を最小限にするために、1回目の選択は後続回よりも著しく低いストリンジェンシーで実施した(方法の項参照)。(b)シーケンシングにより判定した各回後のスルホチロシン含有クローンの百分率の増加(n=15〜30)。
図12。初期ファージライブラリーと3回目のライブラリーからのファージ収率に比較した培養液1mL当たりの66CC8−SYのファージ収率。全ファージをSY−X−大腸菌で産生させた。全ファージをSY−X−大腸菌で産生させた。66CC8−SYでは、3個の別個のファージ調製物からの力価を平均し、誤差棒は+標準偏差を表す。66CC8−SYでは、非天然アミノ酸を培地に添加しない場合には、ファージ収率は〜5×10であった。
図13。66CC8−SY、66CC8−Y及び66CC14とのgp120結合のファージELISA。サンプル毎に0.3μgのgp120をマイクロタイタープレートウェルにコーティングし、2%脱脂乳でブロックし、夫々のファージと結合させた。抗M13抗体でファージを検出した。特異的gp120結合を立証するためにBSA結合を対照として使用した。(a)2種類のファージ濃度で実施した代表的なgp120結合実験のELISA。(b)2個の別個のファージ調製物で実施した4回の別個の実験に相当する平均ELISAシグナル。各実験は全サンプルで同一量のファージを利用した。同一実験内の412d−2SYの結合に正規化したシグナルから平均を計算した。誤差棒は+標準偏差を表す。なお、個々のELISA実験は異なるファージ濃度を使用し、異なるインキュベーション、洗浄、発色及び検出時間に相当するので、この統合グラフは変動を誇張している。
図14aは抗ヒトκ軽鎖HRP抗体を使用し、金属増感型DABキット(Pierce)で発色させたプロテインG精製Fabのウェスタンブロット分析を示す。サンプルを変性PAGEゲル(Invitrogen NuPAGE 4−12%Bis−Tris)上に泳動させた。66CC8−SY及び412d−SYでは、硫酸化抗体発現がスルホチロシンの存在に依存することを立証するために、スルホチロシンの不在下の発現に対応するレーンも示す。図14b〜fは夫々Fab66CC14、66CC8−SY、66CC8−Y、412d−SY及び412d−YのLCMS(ESI陽性)スペクトルを示す。図14gは精製Fab412d−2SY、412d−Y、66CC8−SY、66CC8及び66CC14とgp120の結合を測定したELISAの結果を示す。
以上、明確に理解できるように本発明を多少詳細に記載したが、本発明の真の範囲を逸脱することなく形態や細部に種々の変更が可能であることは以上の開示から当業者に自明である。例えば、上記全技術及び装置は種々に組合せて使用することができる。本明細書に引用する全刊行物、特許、特許出願、及び/又は他の文献はその開示内容全体を全目的で本明細書に援用し、各刊行物、特許、特許出願、及び/又は他の文献を全目的で本明細書に援用すると個々に記載しているものとみなす。
米国特許第7,094,571号 国際公開番号WO2002/086075
Smith,G.P.(1985)"Filamentous fusion phage:novel expression vectors that display cloned antigens on the virion surface."Science,228:1315−7 Sergeeva,A.,et al.(2006)"Display technologies:application for the discovery of drug and gene delivery agents."Adv.Drug Deliv.Rev.58:1622−54 Young,R.A.,et al.(1983)"Efficient isolation of genes by using antibody probes."Proc Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:1194−8 Fields,S.,et al.(1989)"A novel genetic system to detect protein−protein interactions."Nature.340:245−246 Armour,C.D.,et al.(2005)"From drug to protein:using yeast genetics for high−throughput target discovery."Curr.Opin.Chem.Biol.9:20−24 Miller,J.,et al.(2004)"Using the yeast two−hybrid system to identify interacting proteins."Methods Mol Biol.261:247−262 Wolkowicz,R.,et al.(2005)"A random peptide library fused to CCR5 for selection of mimeotopes expressed on the mammalian cell surface via retroviral vectors."J.Biol.Chem.,280:15195−15201 Smith,G.P.and Petrenko,V.A.(1997)"Phage Display."Chem.Rev.97:391−410 Sidhu,S.S.(2001)"Engineering M13 for phage display."Biomolecular Engineering,18:57−63 Rodi,D.J.and Malakowski,L.(1999)"Phage−display technology−finding a needle in a vast molecular haystack."Curr.Opin.Biotechnol.10:87−93 Willats,W.G.T.(2002)"Phage display:practicalities and prospects."Plant Molecular Biology,50:837−854

Claims (73)

  1. 1種以上の該当機能についてポリペプチド変異体のライブラリーをスクリーニングする方法であって、
    発現される変異体の平均比が10:1以下となるように、ポリペプチド変異体の少なくとも1個に少なくとも1個の非天然アミノ酸を含有するライブラリーの複数のポリペプチド変異体の発現を正規化する段階と;
    観測される該当機能の差異が変異体の活性の差異と相関するように、複数の変異体から該当機能を示す変異体を選択する段階を含む前記方法。
  2. 複数のポリペプチド変異体が各々少なくとも1個の非天然アミノ酸を含有する請求項1に記載の方法。
  3. 発現される変異体の比が5:1以下である請求項1に記載の方法。
  4. 発現される変異体の比が1:1である請求項1に記載の方法。
  5. 変異体の発現を正規化すると、選択の感度が改善される請求項1に記載の方法。
  6. 該当機能を示す変異体を選択する段階が、発現される変異体の比が1:10以下であるときに検出可能な該当機能の差異を選択する段階を含む請求項1に記載の方法。
  7. 該当機能を示す変異体を選択する段階が、発現される変異体の比が1:5以下であるときに検出可能な該当機能の差異を選択する段階を含む請求項1に記載の方法。
  8. ポリペプチド変異体のライブラリーをスクリーニングする段階が、抗体フラグメント変異体、α1アンチトリプシン変異体、アンジオスタチン変異体、抗血友病因子変異体、アポリポ蛋白質変異体、アポ蛋白質変異体、心房性ナトリウム利尿因子変異体、心房性ナトリウム利尿ポリペプチド変異体、心房性ペプチド変異体、C−X−Cケモカイン変異体、T39765変異体、NAP−2変異体、ENA−78変異体、Gro−a変異体、Gro−b変異体、Gro−c変異体、IP−10変異体、GCP−2変異体、NAP−4変異体、SDF−1変異体、PF4変異体、MIG変異体、カルシトニン変異体、cキットリガンド変異体、サイトカイン変異体、CCケモカイン変異体、単球化学誘引蛋白質−1変異体、単球化学誘引蛋白質−2変異体、単球化学誘引蛋白質−3変異体、単球炎症性蛋白質−1α変異体、単球炎症性蛋白質−1β変異体、RANTES変異体、I309変異体、R83915変異体、R91733変異体、HCC1変異体、T58847変異体、D31065変異体、T64262変異体、CD40変異体、CD40リガンド変異体、Cキットリガンド変異体、コラーゲン変異体、コロニー刺激因子(CSF)変異体、補体因子5a変異体、補体阻害剤変異体、補体受容体1変異体、サイトカイン変異体、上皮好中球活性化ペプチド−78変異体、GROα変異体、MGSA変異体、GROβ変異体、GROγ変異体、MIP1−α変異体、MIP1−β変異体、MCP−1変異体、表皮増殖因子(EGF)変異体、上皮好中球活性化ペプチド変異体、エリスロポエチン(EPO)変異体、表皮剥離毒素変異体、IX因子変異体、VII因子変異体、VIII因子変異体、X因子変異体、繊維芽細胞増殖因子(FGF)変異体、フィブリノーゲン変異体、フィブロネクチン変異体、G−CSF変異体、GM−CSF変異体、グルコセレブロシダーゼ変異体、ゴナドトロピン変異体、増殖因子変異体、増殖因子受容体変異体、ヘッジホッグ蛋白質変異体、ヘモグロビン変異体、肝細胞増殖因子(HGF)変異体、ヒルジン変異体、ヒト血清アルブミン変異体、ICAM−1変異体、ICAM−1受容体変異体、LFA−1変異体、LFA−1受容体変異体、インスリン変異体、インスリン様増殖因子(IGF)変異体、IGF−I変異体、IGF−II変異体、インターフェロン変異体、IFN−α変異体、IFN−β変異体、IFN−γ変異体、インターロイキン変異体、IL−1変異体、IL−2変異体、IL−3変異体、IL−4変異体、IL−5変異体、IL−6変異体、IL−7変異体、IL−8変異体、IL−9変異体、IL−10変異体、IL−11変異体、IL−12変異体、ケラチノサイト増殖因子(KGF)変異体、ラクトフェリン変異体、白血病阻害因子変異体、ルシフェラーゼ変異体、ニュールチュリン変異体、好中球阻害因子(NIF)変異体、オンコスタチンM変異体、骨形成蛋白質変異体、腫瘍遺伝子産物変異体、副甲状腺ホルモン変異体、PD−ECSF変異体、PDGF変異体、ペプチドホルモン変異体、ヒト成長ホルモン変異体、プレイオトロピン変異体、プロテインA変異体、プロテインG変異体、発熱外毒素A、B又はCの変異体、リラキシン変異体、レニン変異体、SCF/cキット変異体、可溶性補体受容体I変異体、可溶性I−CAM1変異体、可溶性インターロイキン受容体変異体、可溶性TNF受容体変異体、ソマトメジン変異体、ソマトスタチン変異体、ソマトトロピン変異体、ストレプトキナーゼ変異体、スーパー抗原変異体、ブドウ球菌エンテロトキシン変異体、SEA変異体、SEB変異体、SEC1変異体、SEC2変異体、SEC3変異体、SED変異体、SEE変異体、ステロイドホルモン受容体変異体、スーパーオキシドジスムターゼ変異体、毒素性ショック症候群毒素変異体、チモシンα1変異体、組織プラスミノーゲンアクチベーター変異体、腫瘍増殖因子(TGF)変異体、TGF−α変異体、TGF−β変異体、腫瘍壊死因子変異体、腫瘍壊死因子α変異体、腫瘍壊死因子β変異体、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)変異体、VLA−4蛋白質変異体、VCAM−1蛋白質変異体、血管内皮増殖因子(VEGEF)変異体、ウロキナーゼ変異体、Mos変異体、Ras変異体、Raf変異体、Met変異体、p53変異体、Tat変異体、Fos変異体、Myc変異体、Jun変異体、Myb変異体、Rel変異体、エストロゲン受容体変異体、プロゲステロン受容体変異体、テストステロン受容体変異体、アルドステロン受容体変異体、LDL受容体変異体、炎症性分子の変異体、シグナル伝達分子の変異体、転写アクチベーターの変異体、転写サプレッサーの変異体、ヒアルリン変異体、CD44変異体、及びコルチコステロン変異体のライブラリーをスクリーニングする段階を含む請求項1に記載の方法。
  9. 複数の発現されるポリペプチド変異体を含む組換えポリペプチド発現ライブラリーであって、変異体の少なくとも1個が少なくとも1個の非天然アミノ酸残基を含み、複数の変異体の各々が10:1以下のモル比でライブラリーに存在する前記組換えポリペプチド発現ライブラリー。
  10. 変異体の少なくとも2個が少なくとも1個の非天然アミノ酸残基を含む請求項9に記載の組換えポリペプチド発現ライブラリー。
  11. 変異体の少なくとも3個が少なくとも1個の非天然アミノ酸残基を含む請求項1に記載の組換えポリペプチド発現ライブラリー。
  12. 変異体の4個以上が少なくとも1個の非天然アミノ酸残基を含む請求項1に記載の組換えポリペプチド発現ライブラリー。
  13. 変異体の少なくとも1個が少なくとも2個の異なる非天然アミノ酸残基を含む請求項1に記載の組換えポリペプチド発現ライブラリー。
  14. 変異体の少なくとも1個が3個以上の異なる非天然アミノ酸残基を含む請求項1に記載の組換えポリペプチド発現ライブラリー。
  15. 複数の変異体の各々が5:1以下のモル比でライブラリーに存在する請求項9に記載の組換えポリペプチド発現ライブラリー。
  16. 複数の変異体の各々が1:1のモル比でライブラリーに存在する請求項9に記載の組換えポリペプチド発現ライブラリー。
  17. 発現されるポリペプチド変異体が抗体フラグメント変異体、α1アンチトリプシン変異体、アンジオスタチン変異体、抗血友病因子変異体、アポリポ蛋白質変異体、アポ蛋白質変異体、心房性ナトリウム利尿因子変異体、心房性ナトリウム利尿ポリペプチド変異体、心房性ペプチド変異体、C−X−Cケモカイン変異体、T39765変異体、NAP−2変異体、ENA−78変異体、Gro−a変異体、Gro−b変異体、Gro−c変異体、IP−10変異体、GCP−2変異体、NAP−4変異体、SDF−1変異体、PF4変異体、MIG変異体、カルシトニン変異体、cキットリガンド変異体、サイトカイン変異体、CCケモカイン変異体、単球化学誘引蛋白質−1変異体、単球化学誘引蛋白質−2変異体、単球化学誘引蛋白質−3変異体、単球炎症性蛋白質−1α変異体、単球炎症性蛋白質−1β変異体、RANTES変異体、I309変異体、R83915変異体、R91733変異体、HCC1変異体、T58847変異体、D31065変異体、T64262変異体、CD40変異体、CD40リガンド変異体、Cキットリガンド変異体、コラーゲン変異体、コロニー刺激因子(CSF)変異体、補体因子5a変異体、補体阻害剤変異体、補体受容体1変異体、サイトカイン変異体、上皮好中球活性化ペプチド−78変異体、GROα変異体、MGSA変異体、GROβ変異体、GROγ変異体、MIP1−α変異体、MIP1−β変異体、MCP−1変異体、表皮増殖因子(EGF)変異体、上皮好中球活性化ペプチド変異体、エリスロポエチン(EPO)変異体、表皮剥離毒素変異体、IX因子変異体、VII因子変異体、VIII因子変異体、X因子変異体、繊維芽細胞増殖因子(FGF)変異体、フィブリノーゲン変異体、フィブロネクチン変異体、G−CSF変異体、GM−CSF変異体、グルコセレブロシダーゼ変異体、ゴナドトロピン変異体、増殖因子変異体、増殖因子受容体変異体、ヘッジホッグ蛋白質変異体、ヘモグロビン変異体、肝細胞増殖因子(HGF)変異体、ヒルジン変異体、ヒト血清アルブミン変異体、ICAM−1変異体、ICAM−1受容体変異体、LFA−1変異体、LFA−1受容体変異体、インスリン変異体、インスリン様増殖因子(IGF)変異体、IGF−I変異体、IGF−II変異体、インターフェロン変異体、IFN−α変異体、IFN−β変異体、IFN−γ変異体、インターロイキン変異体、IL−1変異体、IL−2変異体、IL−3変異体、IL−4変異体、IL−5変異体、IL−6変異体、IL−7変異体、IL−8変異体、IL−9変異体、IL−10変異体、IL−11変異体、IL−12変異体、ケラチノサイト増殖因子(KGF)変異体、ラクトフェリン変異体、白血病阻害因子変異体、ルシフェラーゼ変異体、ニュールチュリン変異体、好中球阻害因子(NIF)変異体、オンコスタチンM変異体、骨形成蛋白質変異体、腫瘍遺伝子産物変異体、副甲状腺ホルモン変異体、PD−ECSF変異体、PDGF変異体、ペプチドホルモン変異体、ヒト成長ホルモン変異体、プレイオトロピン変異体、プロテインA変異体、プロテインG変異体、発熱外毒素A、B又はCの変異体、リラキシン変異体、レニン変異体、SCF/cキット変異体、可溶性補体受容体I変異体、可溶性I−CAM1変異体、可溶性インターロイキン受容体変異体、可溶性TNF受容体変異体、ソマトメジン変異体、ソマトスタチン変異体、ソマトトロピン変異体、ストレプトキナーゼ変異体、スーパー抗原変異体、ブドウ球菌エンテロトキシン変異体、SEA変異体、SEB変異体、SEC1変異体、SEC2変異体、SEC3変異体、SED変異体、SEE変異体、ステロイドホルモン受容体変異体、スーパーオキシドジスムターゼ変異体、毒素性ショック症候群毒素変異体、チモシンα1変異体、組織プラスミノーゲンアクチベーター変異体、腫瘍増殖因子(TGF)変異体、TGF−α変異体、TGF−β変異体、腫瘍壊死因子変異体、腫瘍壊死因子α変異体、腫瘍壊死因子β変異体、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)変異体、VLA−4蛋白質変異体、VCAM−1蛋白質変異体、血管内皮増殖因子(VEGEF)変異体、ウロキナーゼ変異体、Mos変異体、Ras変異体、Raf変異体、Met変異体、p53変異体、Tat変異体、Fos変異体、Myc変異体、Jun変異体、Myb変異体、Rel変異体、エストロゲン受容体変異体、プロゲステロン受容体変異体、テストステロン受容体変異体、アルドステロン受容体変異体、LDL受容体変異体、炎症性分子の変異体、シグナル伝達分子の変異体、転写アクチベーターの変異体、転写サプレッサーの変異体、ヒアルリン変異体、CD44変異体、及びコルチコステロン変異体を含む請求項9に記載の組換えポリペプチド発現ライブラリー。
  18. ポリペプチド変異体の少なくとも1個の非天然アミノ酸がO−メチル−L−チロシン、L−3−(2−ナフチル)アラニン、3−メチルフェニルアラニン、O−4−アリル−L−チロシン、4−プロピル−L−チロシン、トリ−O−アセチル−GlcNAcβ−セリン、L−Dopa、フッ素化フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、p−アジド−L−フェニルアラニン、p−アシル−L−フェニルアラニン、p−ベンゾイル−L−フェニルアラニン、L−ホスホセリン、ホスホノセリン、ホスホノチロシン、p−ヨードフェニルアラニン、p−ブロモフェニルアラニン、p−アミノ−L−フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、チロシンアミノ酸の非天然類似体;グルタミンアミノ酸の非天然類似体;フェニルアラニンアミノ酸の非天然類似体;セリンアミノ酸の非天然類似体;スレオニンアミノ酸の非天然類似体;アルキル、アリール、アシル、アジド、シアノ、ハロ、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシル、アルケニル、アルキニル、エーテル、チオール、スルホニル、セレノ、エステル、チオ酸、硼酸、ボロン酸、ホスホ、ホスホノ、ホスフィン、複素環、エノン、イミン、アルデヒド、ヒドロキシルアミン、ケト、もしくはアミノで置換されたアミノ酸、又はその任意組み合わせ;光架橋基をもつアミノ酸;スピン標識アミノ酸;蛍光アミノ酸;新規官能基をもつアミノ酸;別の分子と共有又は非共有的に相互作用するアミノ酸;金属結合性アミノ酸;金属含有アミノ酸;放射性アミノ酸;フォトケージド及び/又は光異性化可能なアミノ酸;ビオチン又はビオチン類似体含有アミノ酸;グリコシル化又は糖鎖修飾アミノ酸;ケト含有アミノ酸;ポリエチレングリコール又はポリエーテルを含むアミノ酸;重原子置換アミノ酸;化学分解性又は光分解性アミノ酸;延長側鎖をもつアミノ酸;毒性基を含むアミノ酸;糖置換アミノ酸(例えば糖置換セリン等);炭素結合糖含有アミノ酸;酸化還元活性アミノ酸;α−ヒドロキシ含有酸;アミノチオ酸含有アミノ酸;α,αジ置換アミノ酸;βアミノ酸;スルホチロシン、4−ボロノフェニルアラニン、又はプロリン以外の環状アミノ酸を含む請求項9に記載の組換えポリペプチド発現ライブラリー。
  19. 組換えポリペプチド発現ライブラリーが複数のM13由来ファージを含み、各ファージが組換えポリペプチド変異体をその外面に提示する請求項9に記載の組換えポリペプチド発現ライブラリー。
  20. 発現されるポリペプチド変異体が抗体フラグメント変異体を含む請求項19に記載のファージディスプレイライブラリー。
  21. 組換えポリペプチド発現ライブラリーが複数のM13由来ファージを含み、各ファージが2個以上の組換えポリペプチド変異体をその外面に提示し、2個以上の組換えポリペプチド変異体が同一である請求項9に記載の組換えポリペプチド発現ライブラリー。
  22. 複数の組換え核酸発現構築物を含む核酸発現ライブラリーであって、構築物のポリペプチド産物が10:1以下の比でライブラリーに存在するように前記発現構築物が発現され、少なくとも1個の非天然アミノ酸残基がポリペプチド産物の少なくとも1個に組込まれるように発現構築物の少なくとも1個のコーディング領域が少なくとも1個のセレクターコドンを含む前記核酸発現ライブラリー。
  23. 構築物のポリペプチド産物が5:1以下の比でライブラリーに存在するように発現構築物が発現される請求項22に記載の核酸発現ライブラリー。
  24. 構築物のポリペプチド産物が1:1の比でライブラリーに存在するように発現構築物が発現される請求項22に記載の核酸発現ライブラリー。
  25. 構築物により発現されるポリペプチド産物が抗体フラグメント変異体、α1アンチトリプシン変異体、アンジオスタチン変異体、抗血友病因子変異体、アポリポ蛋白質変異体、アポ蛋白質変異体、心房性ナトリウム利尿因子変異体、心房性ナトリウム利尿ポリペプチド変異体、心房性ペプチド変異体、C−X−Cケモカイン変異体、T39765変異体、NAP−2変異体、ENA−78変異体、Gro−a変異体、Gro−b変異体、Gro−c変異体、IP−10変異体、GCP−2変異体、NAP−4変異体、SDF−1変異体、PF4変異体、MIG変異体、カルシトニン変異体、cキットリガンド変異体、サイトカイン変異体、CCケモカイン変異体、単球化学誘引蛋白質−1変異体、単球化学誘引蛋白質−2変異体、単球化学誘引蛋白質−3変異体、単球炎症性蛋白質−1α変異体、単球炎症性蛋白質−1β変異体、RANTES変異体、I309変異体、R83915変異体、R91733変異体、HCC1変異体、T58847変異体、D31065変異体、T64262変異体、CD40変異体、CD40リガンド変異体、Cキットリガンド変異体、コラーゲン変異体、コロニー刺激因子(CSF)変異体、補体因子5a変異体、補体阻害剤変異体、補体受容体1変異体、サイトカイン変異体、上皮好中球活性化ペプチド−78変異体、GROα変異体、MGSA変異体、GROβ変異体、GROγ変異体、MIP1−α変異体、MIP1−β変異体、MCP−1変異体、表皮増殖因子(EGF)変異体、上皮好中球活性化ペプチド変異体、エリスロポエチン(EPO)変異体、表皮剥離毒素変異体、IX因子変異体、VII因子変異体、VIII因子変異体、X因子変異体、繊維芽細胞増殖因子(FGF)変異体、フィブリノーゲン変異体、フィブロネクチン変異体、G−CSF変異体、GM−CSF変異体、グルコセレブロシダーゼ変異体、ゴナドトロピン変異体、増殖因子変異体、増殖因子受容体変異体、ヘッジホッグ蛋白質変異体、ヘモグロビン変異体、肝細胞増殖因子(HGF)変異体、ヒルジン変異体、ヒト血清アルブミン変異体、ICAM−1変異体、ICAM−1受容体変異体、LFA−1変異体、LFA−1受容体変異体、インスリン変異体、インスリン様増殖因子(IGF)変異体、IGF−I変異体、IGF−II変異体、インターフェロン変異体、IFN−α変異体、IFN−β変異体、IFN−γ変異体、インターロイキン変異体、IL−1変異体、IL−2変異体、IL−3変異体、IL−4変異体、IL−5変異体、IL−6変異体、IL−7変異体、IL−8変異体、IL−9変異体、IL−10変異体、IL−11変異体、IL−12変異体、ケラチノサイト増殖因子(KGF)変異体、ラクトフェリン変異体、白血病阻害因子変異体、ルシフェラーゼ変異体、ニュールチュリン変異体、好中球阻害因子(NIF)変異体、オンコスタチンM変異体、骨形成蛋白質変異体、腫瘍遺伝子産物変異体、副甲状腺ホルモン変異体、PD−ECSF変異体、PDGF変異体、ペプチドホルモン変異体、ヒト成長ホルモン変異体、プレイオトロピン変異体、プロテインA変異体、プロテインG変異体、発熱外毒素A、B又はCの変異体、リラキシン変異体、レニン変異体、SCF/cキット変異体、可溶性補体受容体I変異体、可溶性I−CAM1変異体、可溶性インターロイキン受容体変異体、可溶性TNF受容体変異体、ソマトメジン変異体、ソマトスタチン変異体、ソマトトロピン変異体、ストレプトキナーゼ変異体、スーパー抗原変異体、ブドウ球菌エンテロトキシン変異体、SEA変異体、SEB変異体、SEC1変異体、SEC2変異体、SEC3変異体、SED変異体、SEE変異体、ステロイドホルモン受容体変異体、スーパーオキシドジスムターゼ変異体、毒素性ショック症候群毒素変異体、チモシンα1変異体、組織プラスミノーゲンアクチベーター変異体、腫瘍増殖因子(TGF)変異体、TGF−α変異体、TGF−β変異体、腫瘍壊死因子変異体、腫瘍壊死因子α変異体、腫瘍壊死因子β変異体、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)変異体、VLA−4蛋白質変異体、VCAM−1蛋白質変異体、血管内皮増殖因子(VEGEF)変異体、ウロキナーゼ変異体、Mos変異体、Ras変異体、Raf変異体、Met変異体、p53変異体、Tat変異体、Fos変異体、Myc変異体、Jun変異体、Myb変異体、Rel変異体、エストロゲン受容体変異体、プロゲステロン受容体変異体、テストステロン受容体変異体、アルドステロン受容体変異体、LDL受容体変異体、炎症性分子の変異体、シグナル伝達分子の変異体、転写アクチベーターの変異体、転写サプレッサーの変異体、ヒアルリン変異体、CD44変異体、及びコルチコステロン変異体を含む請求項22に記載の核酸発現ライブラリー。
  26. 発現構築物の少なくとも1個のコーディング領域のセレクターコドンが終止コドン、4塩基コドン、レアコドン又は非コーディングコドンを含む請求項22に記載の核酸発現ライブラリー。
  27. 組換え核酸発現構築物により発現されるポリペプチド産物の少なくとも1個に組込まれる少なくとも1個のアミノ酸残基がO−メチル−L−チロシン、L−3−(2−ナフチル)アラニン、3−メチルフェニルアラニン、O−4−アリル−L−チロシン、4−プロピル−L−チロシン、トリ−O−アセチル−GlcNAcβ−セリン、L−Dopa、フッ素化フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、p−アジド−L−フェニルアラニン、p−アシル−L−フェニルアラニン、p−ベンゾイル−L−フェニルアラニン、L−ホスホセリン、ホスホノセリン、ホスホノチロシン、p−ヨードフェニルアラニン、p−ブロモフェニルアラニン、p−アミノ−L−フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、チロシンアミノ酸の非天然類似体;グルタミンアミノ酸の非天然類似体;フェニルアラニンアミノ酸の非天然類似体;セリンアミノ酸の非天然類似体;スレオニンアミノ酸の非天然類似体;アルキル、アリール、アシル、アジド、シアノ、ハロ、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシル、アルケニル、アルキニル、エーテル、チオール、スルホニル、セレノ、エステル、チオ酸、硼酸、ボロン酸、ホスホ、ホスホノ、ホスフィン、複素環、エノン、イミン、アルデヒド、ヒドロキシルアミン、ケト、もしくはアミノで置換されたアミノ酸、又はその任意組み合わせ;光架橋基をもつアミノ酸;スピン標識アミノ酸;蛍光アミノ酸;新規官能基をもつアミノ酸;別の分子と共有又は非共有的に相互作用するアミノ酸;金属結合性アミノ酸;金属含有アミノ酸;放射性アミノ酸;フォトケージド及び/又は光異性化可能なアミノ酸;ビオチン又はビオチン類似体含有アミノ酸;グリコシル化又は糖鎖修飾アミノ酸;ケト含有アミノ酸;ポリエチレングリコール又はポリエーテルを含むアミノ酸;重原子置換アミノ酸;化学分解性又は光分解性アミノ酸;延長側鎖をもつアミノ酸;毒性基を含むアミノ酸;糖置換アミノ酸(例えば糖置換セリン等);炭素結合糖含有アミノ酸;酸化還元活性アミノ酸;α−ヒドロキシ含有酸;アミノチオ酸含有アミノ酸;α,αジ置換アミノ酸;βアミノ酸;スルホチロシン、4−ボロノフェニルアラニン、又はプロリン以外の環状アミノ酸を含む請求項22に記載の核酸発現ライブラリー。
  28. 複数のポリペプチド変異体を含む発現産物のライブラリーであって、複数の変異体の各々が少なくとも1個の非天然アミノ酸を含み、変異体が10:1以下の比で存在する。
  29. ポリペプチド変異体が5:1以下の比で存在する請求項28に記載のライブラリー。
  30. ポリペプチド変異体が1:1の比で存在する請求項28に記載のライブラリー。
  31. ポリペプチド変異体が抗体フラグメント変異体、α1アンチトリプシン変異体、アンジオスタチン変異体、抗血友病因子変異体、アポリポ蛋白質変異体、アポ蛋白質変異体、心房性ナトリウム利尿因子変異体、心房性ナトリウム利尿ポリペプチド変異体、心房性ペプチド変異体、C−X−Cケモカイン変異体、T39765変異体、NAP−2変異体、ENA−78変異体、Gro−a変異体、Gro−b変異体、Gro−c変異体、IP−10変異体、GCP−2変異体、NAP−4変異体、SDF−1変異体、PF4変異体、MIG変異体、カルシトニン変異体、cキットリガンド変異体、サイトカイン変異体、CCケモカイン変異体、単球化学誘引蛋白質−1変異体、単球化学誘引蛋白質−2変異体、単球化学誘引蛋白質−3変異体、単球炎症性蛋白質−1α変異体、単球炎症性蛋白質−1β変異体、RANTES変異体、I309変異体、R83915変異体、R91733変異体、HCC1変異体、T58847変異体、D31065変異体、T64262変異体、CD40変異体、CD40リガンド変異体、Cキットリガンド変異体、コラーゲン変異体、コロニー刺激因子(CSF)変異体、補体因子5a変異体、補体阻害剤変異体、補体受容体1変異体、サイトカイン変異体、上皮好中球活性化ペプチド−78変異体、GROα変異体、MGSA変異体、GROβ変異体、GROγ変異体、MIP1−α変異体、MIP1−β変異体、MCP−1変異体、表皮増殖因子(EGF)変異体、上皮好中球活性化ペプチド変異体、エリスロポエチン(EPO)変異体、表皮剥離毒素変異体、IX因子変異体、VII因子変異体、VIII因子変異体、X因子変異体、繊維芽細胞増殖因子(FGF)変異体、フィブリノーゲン変異体、フィブロネクチン変異体、G−CSF変異体、GM−CSF変異体、グルコセレブロシダーゼ変異体、ゴナドトロピン変異体、増殖因子変異体、増殖因子受容体変異体、ヘッジホッグ蛋白質変異体、ヘモグロビン変異体、肝細胞増殖因子(HGF)変異体、ヒルジン変異体、ヒト血清アルブミン変異体、ICAM−1変異体、ICAM−1受容体変異体、LFA−1変異体、LFA−1受容体変異体、インスリン変異体、インスリン様増殖因子(IGF)変異体、IGF−I変異体、IGF−II変異体、インターフェロン変異体、IFN−α変異体、IFN−β変異体、IFN−γ変異体、インターロイキン変異体、IL−1変異体、IL−2変異体、IL−3変異体、IL−4変異体、IL−5変異体、IL−6変異体、IL−7変異体、IL−8変異体、IL−9変異体、IL−10変異体、IL−11変異体、IL−12変異体、ケラチノサイト増殖因子(KGF)変異体、ラクトフェリン変異体、白血病阻害因子変異体、ルシフェラーゼ変異体、ニュールチュリン変異体、好中球阻害因子(NIF)変異体、オンコスタチンM変異体、骨形成蛋白質変異体、腫瘍遺伝子産物変異体、副甲状腺ホルモン変異体、PD−ECSF変異体、PDGF変異体、ペプチドホルモン変異体、ヒト成長ホルモン変異体、プレイオトロピン変異体、プロテインA変異体、プロテインG変異体、発熱外毒素A、B又はCの変異体、リラキシン変異体、レニン変異体、SCF/cキット変異体、可溶性補体受容体I変異体、可溶性I−CAM1変異体、可溶性インターロイキン受容体変異体、可溶性TNF受容体変異体、ソマトメジン変異体、ソマトスタチン変異体、ソマトトロピン変異体、ストレプトキナーゼ変異体、スーパー抗原変異体、ブドウ球菌エンテロトキシン変異体、SEA変異体、SEB変異体、SEC1変異体、SEC2変異体、SEC3変異体、SED変異体、SEE変異体、ステロイドホルモン受容体変異体、スーパーオキシドジスムターゼ変異体、毒素性ショック症候群毒素変異体、チモシンα1変異体、組織プラスミノーゲンアクチベーター変異体、腫瘍増殖因子(TGF)変異体、TGF−α変異体、TGF−β変異体、腫瘍壊死因子変異体、腫瘍壊死因子α変異体、腫瘍壊死因子β変異体、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)変異体、VLA−4蛋白質変異体、VCAM−1蛋白質変異体、血管内皮増殖因子(VEGEF)変異体、ウロキナーゼ変異体、Mos変異体、Ras変異体、Raf変異体、Met変異体、p53変異体、Tat変異体、Fos変異体、Myc変異体、Jun変異体、Myb変異体、Rel変異体、エストロゲン受容体変異体、プロゲステロン受容体変異体、テストステロン受容体変異体、アルドステロン受容体変異体、LDL受容体変異体、炎症性分子の変異体、シグナル伝達分子の変異体、転写アクチベーターの変異体、転写サプレッサーの変異体、ヒアルリン変異体、CD44変異体、及びコルチコステロン変異体を含む請求項28に記載のライブラリー。
  32. 非天然アミノ酸がO−メチル−L−チロシン、L−3−(2−ナフチル)アラニン、3−メチルフェニルアラニン、O−4−アリル−L−チロシン、4−プロピル−L−チロシン、トリ−O−アセチル−GlcNAcβ−セリン、L−Dopa、フッ素化フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、p−アジド−L−フェニルアラニン、p−アシル−L−フェニルアラニン、p−ベンゾイル−L−フェニルアラニン、L−ホスホセリン、ホスホノセリン、ホスホノチロシン、p−ヨードフェニルアラニン、p−ブロモフェニルアラニン、p−アミノ−L−フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、チロシンアミノ酸の非天然類似体;グルタミンアミノ酸の非天然類似体;フェニルアラニンアミノ酸の非天然類似体;セリンアミノ酸の非天然類似体;スレオニンアミノ酸の非天然類似体;アルキル、アリール、アシル、アジド、シアノ、ハロ、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシル、アルケニル、アルキニル、エーテル、チオール、スルホニル、セレノ、エステル、チオ酸、硼酸、ボロン酸、ホスホ、ホスホノ、ホスフィン、複素環、エノン、イミン、アルデヒド、ヒドロキシルアミン、ケト、もしくはアミノで置換されたアミノ酸、又はその任意組み合わせ;光架橋基をもつアミノ酸;スピン標識アミノ酸;蛍光アミノ酸;新規官能基をもつアミノ酸;別の分子と共有又は非共有的に相互作用するアミノ酸;金属結合性アミノ酸;金属含有アミノ酸;放射性アミノ酸;フォトケージド及び/又は光異性化可能なアミノ酸;ビオチン又はビオチン類似体含有アミノ酸;グリコシル化又は糖鎖修飾アミノ酸;ケト含有アミノ酸;ポリエチレングリコール又はポリエーテルを含むアミノ酸;重原子置換アミノ酸;化学分解性又は光分解性アミノ酸;延長側鎖をもつアミノ酸;毒性基を含むアミノ酸;糖置換アミノ酸(例えば糖置換セリン等);炭素結合糖含有アミノ酸;酸化還元活性アミノ酸;α−ヒドロキシ含有酸;アミノチオ酸含有アミノ酸;α,αジ置換アミノ酸;βアミノ酸;スルホチロシン、4−ボロノフェニルアラニン、又はプロリン以外の環状アミノ酸を含む請求項28に記載のポリペプチド変異体。
  33. パッケージング部位を含むか又はコードし、ベクター核酸のサブ配列によりコードされ、少なくとも1個の第1のセレクターコドンを含む標的ポリペプチドをコードするベクター核酸と;
    ベクター核酸又はそのコピーもしくは転写産物でシステムにパッケージングされ、第1のセレクターコドンと同一の少なくとも1個の第2のセレクターコドンを含むパッケージング又は特異性ポリペプチドをコードする相補核酸と;
    非天然アミノ酸を負荷され、セレクターコドンを認識することにより、ベクターパッケージングシステムによるパッケージング又は特異性ポリペプチドと標的ポリペプチドの翻訳を可能にする直交tRNA
    を含むベクターパッケージングシステム。
  34. ベクター核酸のサブ配列によりコードされる標的ポリペプチドが融合蛋白質である請求項33に記載のベクターパッケージングシステム。
  35. 融合蛋白質がリボソーム合成抗体フラグメント又はその誘導体を含む請求項33に記載のベクターパッケージングシステム。
  36. 抗体フラグメントが相補性決定領域(CDR)を含む請求項35に記載のベクターパッケージングシステム。
  37. ベクター核酸又は相補核酸によりコードされるセレクターコドンが終止コドン、4塩基コドン、レアコドン又は非コーディングコドンである請求項33に記載のベクターパッケージングシステム。
  38. 相補核酸によりコードされるパッケージング又は特異性ポリペプチドがウイルスキャプシド又はエンベロープ蛋白質を含む請求項33に記載のベクターパッケージングシステム。
  39. キャプシド蛋白質がpIIIである請求項38に記載のベクターパッケージングシステム。
  40. システムがインビトロ翻訳系を含む請求項33に記載のベクターパッケージングシステム。
  41. システムが細胞を含む請求項33に記載のベクターパッケージングシステム。
  42. 細胞が哺乳動物細胞、昆虫細胞、細菌細胞又は大腸菌細胞を含む請求項41に記載のベクターパッケージングシステム。
  43. システムが直交tRNAに非天然アミノ酸を負荷することが可能な直交アミノアシルtRNAシンテターゼを含む請求項33に記載のベクターパッケージングシステム。
  44. システムが非天然アミノ酸を含む請求項43に記載のベクターパッケージングシステム。
  45. 非天然アミノ酸がビピリジルアラニン残基を含む請求項44に記載のベクターパッケージングシステム。
  46. M13パッケージング配列を含み、少なくとも1個の第1のセレクターコドンを含む抗体フラグメントを含む融合蛋白質をコードするファージミドと;
    ベクターファージミドのコピーでパッケージングされ、少なくとも1個の第1のセレクターコドンと同一の少なくとも1個の第2のセレクターコドンを含む突然変異体pIIIポリペプチドをコードするプラスミドと;
    非天然アミノ酸を負荷され、セレクターコドンを認識することにより、ベクターパッケージングシステムによるpIIIポリペプチドと抗体フラグメント融合蛋白質の翻訳を可能にする直交tRNA
    を含む大腸菌細胞。
  47. 標的ポリペプチドをコードするパッケージングされた核酸と;
    パッケージングされた核酸によりコードされる標的ポリペプチドと;
    ベクターに宿主細胞特異性を付与し、少なくとも1個の非天然アミノ酸残基を含む特異性ポリペプチド
    を含むベクター。
  48. パッケージされた核酸がパッケージング部位を含むか又はコードする請求項47に記載のベクター。
  49. パッケージされた核酸によりコードされる標的ポリペプチドが融合蛋白質である請求項47に記載のベクター。
  50. コードされる標的ポリペプチドが抗体フラグメントを含む融合蛋白質である請求項47に記載のパッケージングされた核酸。
  51. 抗体ドメインが相補性決定領域(CDR)を含む請求項50に記載のパッケージングされた核酸。
  52. 特異性ポリペプチドがキャプシド蛋白質を含む請求項47に記載の特異性ポリペプチド。
  53. キャプシド蛋白質がpIII蛋白質を含む請求項52に記載の特異性ポリペプチド。
  54. 特異性ポリペプチドがエンベロープ蛋白質を含む請求項47に記載の特異性ポリペプチド。
  55. ベクターがウイルスキャプシドを含む請求項47に記載のベクター。
  56. ベクターが哺乳動物ウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、昆虫ウイルス、バキュロウイルス又はバクテリオファージに由来する請求項55に記載のベクター。
  57. バクテリオファージがM13に由来する請求項56に記載のベクター。
  58. 標的ポリペプチドがベクターの外面に提示される請求項47に記載のベクター。
  59. 少なくとも1個のセレクターコドンを含む標的ポリペプチドをコードするパッケージングされた核酸と;
    パッケージングされた核酸によりコードされ、少なくとも1個の第1の非天然アミノ酸を含む標的ポリペプチドと;
    核酸をパッケージングするか又はベクターに宿主細胞特異性を付与し、少なくとも1個の第2の非天然アミノ酸を含むパッケージング又は特異性ポリペプチド
    を含むベクター。
  60. 少なくとも1個の第1の非天然アミノ酸と少なくとも1個の第2の非天然アミノ酸が同一である請求項59に記載のベクター。
  61. 標的ポリペプチドがベクターの外面に提示される請求項59に記載のベクター。
  62. 少なくとも1個のセレクターコドンを含む抗体フラグメントを含む融合蛋白質をコードするファージミドと;
    少なくとも1個の第1の非天然アミノ酸を含む抗体フラグメントを含み、組換えM13ファージの外面に提示される融合蛋白質と;
    少なくとも1個の第1の非天然アミノ酸と同一の少なくとも1個の第2の非天然アミノ酸を含むpIIIポリペプチド
    を含む組換えM13ファージ。
  63. 非天然アミノ酸がO−メチル−L−チロシン、L−3−(2−ナフチル)アラニン、3−メチルフェニルアラニン、O−4−アリル−L−チロシン、4−プロピル−L−チロシン、トリ−O−アセチル−GlcNAcβ−セリン、L−Dopa、フッ素化フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、p−アジド−L−フェニルアラニン、p−アシル−L−フェニルアラニン、p−ベンゾイル−L−フェニルアラニン、L−ホスホセリン、ホスホノセリン、ホスホノチロシン、p−ヨードフェニルアラニン、p−ブロモフェニルアラニン、p−アミノ−L−フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、チロシンアミノ酸の非天然類似体;グルタミンアミノ酸の非天然類似体;フェニルアラニンアミノ酸の非天然類似体;セリンアミノ酸の非天然類似体;スレオニンアミノ酸の非天然類似体;アルキル、アリール、アシル、アジド、シアノ、ハロ、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシル、アルケニル、アルキニル、エーテル、チオール、スルホニル、セレノ、エステル、チオ酸、硼酸、ボロン酸、ホスホ、ホスホノ、ホスフィン、複素環、エノン、イミン、アルデヒド、ヒドロキシルアミン、ケト、もしくはアミノで置換されたアミノ酸、又はその任意組み合わせ;光架橋基をもつアミノ酸;スピン標識アミノ酸;蛍光アミノ酸;新規官能基をもつアミノ酸;別の分子と共有又は非共有的に相互作用するアミノ酸;金属結合性アミノ酸;金属含有アミノ酸;放射性アミノ酸;フォトケージド及び/又は光異性化可能なアミノ酸;ビオチン又はビオチン類似体含有アミノ酸;グリコシル化又は糖鎖修飾アミノ酸;ケト含有アミノ酸;ポリエチレングリコール又はポリエーテルを含むアミノ酸;重原子置換アミノ酸;化学分解性又は光分解性アミノ酸;延長側鎖をもつアミノ酸;毒性基を含むアミノ酸;糖置換アミノ酸(例えば糖置換セリン等);炭素結合糖含有アミノ酸;酸化還元活性アミノ酸;α−ヒドロキシ含有酸;アミノチオ酸含有アミノ酸;α,αジ置換アミノ酸;βアミノ酸;スルホチロシン、4−ボロノフェニルアラニン、又はプロリン以外の環状アミノ酸を含む請求項59に記載のベクター。
  64. ベクター核酸を発現させ、非天然アミノ酸残基を標的ポリペプチドに組込むように標的ポリペプチドを産生させる段階と;
    相補核酸を発現させ、非天然アミノ酸残基をパッケージング又は特異性ポリペプチドに組込むようにパッケージング又は特異性ポリペプチドを産生させる段階と;
    ベクター核酸又はそのコピーもしくは転写産物をパッケージング又は特異性ポリペプチドと標的ポリペプチドに結合させ、ベクター核酸をパッケージングする段階
    を含むベクター核酸のパッケージング方法。
  65. 発現させるベクター核酸がパッケージング部位を含むか又はコードし、前記ベクター核酸が更に標的ポリペプチドをコードし、標的ポリペプチドが少なくとも1個のセレクターコドンを含む請求項64に記載の方法。
  66. 発現させる相補核酸がパッケージング又は特異性ポリペプチドをコードする相補核酸を含み、パッケージング又は特異性ポリペプチドが少なくとも1個のセレクターコドンを含む請求項64に記載の方法。
  67. ベクター核酸又は相補核酸を細胞に形質転換、形質導入、共役、安定的トランスフェクション又は一過性にランスフェクションする段階を含む方法により、発現させるベクター核酸又は相補核酸を提供する請求項64に記載の方法。
  68. ベクター核酸を発現させて標的ポリペプチドを産生させる段階又は相補核酸を発現させてパッケージング又は特異性ポリペプチドを産生させる段階が、標的ポリペプチド又はパッケージングもしくは特異性ポリペプチドをコードするRNAの合成を誘導する段階を含む請求項64に記載の方法。
  69. ベクター核酸又はそのコピーもしくは転写産物をパッケージング又は特異性ポリペプチドと標的ポリペプチドに結合させる段階が、ベクター核酸を導入した大腸菌株を培養する段階と、ベクター核酸を発現させて標的ポリペプチドを産生させる段階と、相補核酸を提供する段階と、相補核酸を発現させてパッケージング又は特異性ポリペプチドを産生させる段階を含む請求項64に記載の方法。
  70. ベクター核酸をパッケージングする段階が、ベクター核酸を別のポリペプチドと結合させる段階を含み、前記別のポリペプチドがポリメラーゼ、ウイルスマトリックス蛋白質又はウイルスコア蛋白質の1種以上を含む請求項64に記載の方法。
  71. 方法の各段階を細胞内で実施する請求項64に記載の方法。
  72. 細胞が哺乳動物細胞、昆虫細胞、細菌細胞又は大腸菌細胞を含む請求項71に記載の方法。
  73. ベクタープラスミドを発現させ、少なくとも1個の非天然アミノ酸を含有する抗体フラグメントを含む融合蛋白質を産生させる段階と;
    相補プラスミドを発現させ、少なくとも1個の第1の非天然アミノ酸と同一の少なくとも1個の第2の非天然アミノ酸を含有する突然変異体pIII蛋白質を産生させる段階と;
    ベクタープラスミドのコピーを突然変異体pIIIと融合蛋白質に結合させ、ベクタープラスミドをパッケージングする段階
    を含むベクタープラスミドのパッケージング方法。
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