JP2011500071A - 遺伝子に基づくアルゴリズム的ガン予後及び患者の臨床結果 - Google Patents

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Abstract

本発明は、腫瘍サンプルにおける予後決定のための方法及びツールを提供する。本発明は、遺伝子CDC2,CDC20,MYBL2,KPNA2,CCNB1,MCM2,CCNA2及びSTK6からなる群から選択される少なくとも4個でかつ8個以下の遺伝子を含む遺伝子セットである。また、本発明は、これらの遺伝子セットに基づいて腫瘍サンプルについての遺伝子発現を検出するように構成されたバイオアッセイモジュール、及び遺伝子発現に基づいて遺伝子発現悪性度指数(GGI)又は再発スコア(RS)を計算して腫瘍サンプルについてのリスク評価を作り出すように構成されたプロセッサモジュールを含む診断装置である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ガン予後及び患者の臨床結果を改善するための新しい方法及びツールに関連する。
マイクロアレイプロファイリング、すなわち、数百及び数千の遺伝子のmRNA発現レベルの評価は、ガンがいくつかの遺伝子の発現レベルによって異なった分子的サブグループに分けられることを示している。これらのサブグループは異なった臨床結果を有すると思われ、また、ガンの治療において使用される種々の治療剤に対して差次的応答を有する場合がある。しかし、その根本的な生物学の現在の理解では特定のガン患者の介護の「個別化」ができない。結果として、例えば、乳ガンについては、多くの女性には、今日、全身的治療(例えば、化学療法又は内分泌治療など)が、最初の診断後に再発し得る乳ガンの危険性を低下させようとして与えられる。残念ながら、この全身的治療は、再発する少数の女性に利益をもたらすだけであり、従って、多くの女性を不必要かつ潜在的には毒性の治療にさらしている。マイクロアレイ技術を使用して開発された様々な新しい予後ツールは、患者個々に合わせた乳ガン患者の治療が容易になることを可能にすることにおいて可能性を示している。これらのゲノムツールは、現在使用されている臨床的方法を上回る、より必要とされる改善であり得る。
乳ガンの組織学的悪性度分類はこれまで長い間、重要な臨床的予後情報を提供することが認められている。しかしながら、腫瘍の悪性度を乳ガンにおける予後因子として使用するための米国病理医協会による勧告にもかかわらず、ガンに関するアメリカ合同委員会(AJCC)を満足させる最近の胸部対策委員会は、施設間における克服できない不一致及びデータの不足を示して、その病期判断基準に腫瘍悪性度の使用を含めなかった。これは、部分的には、観測者間のばらつき及び使用された様々な悪性度分類法に関連づけることができ、これらにより、施設の間での再現性の不良が生じている。標準化された方法(例えば、Elston及びEllis(Histopathology 19(5)p.403−410(1991))によって開発された方法など)の出現により、施設間の一致が改善されている。それにもかかわらず、悪性度1(低リスク)及び悪性度3(高リスク)は異なる予後に明らかに関連する一方で、中間の悪性度として分類された腫瘍は、それらの生存プロファイルが集団全体(悪性度が分類されていない集団)の生存プロファイルと異なっておらず、また、それらの割合が大きい(40%〜50%)ために、治療のための臨床的意志決定に困難をもたらしている。より正確な悪性度分類システムがあれば、より良好な予後判定、及び、さらなる乳ガン治療についての女性の改善された選択が可能となるであろう。
今日、診断された乳ガンの大部分はホルモン応答性である。タモキシフェンが、これらの患者の補助的治療において、今日処方される最も一般的な抗エストロゲン剤である。それにもかかわらず、タモキシフェンがこの状況で与えられたとき、これらの患者の40%までが再発する。現在では、補助的状況でのタモキシフェンの代わりに、あるいは、補助的状況でのタモキシフェンとの組合せ又は連続でのアロマターゼ阻害剤の使用を評価するいくつかの大規模な治験の肯定的な結果のために、多くの選択肢が、ホルモン応答性乳ガンを有する閉経後の女性については利用可能である。さらに、アロマターゼ阻害剤の使用の長期間にわたる健康上の損害が不明であることを考えた場合には特に、どの治療選択肢が最も良いかは不明である。タモキシフェンが与えられたときの再発の高リスク群を特定することができることは、タモキシフェンがおそらくは最良の選択肢でない患者を特定することの一助となり得る。その場合、これらの患者は明確に、代わりの治療方針のための対象となり得る。
従って、予後を正確に評価することができ、従って、腫瘍医が個々のガン患者についてその治療決定を患者個々に合わせて調節することを助けることができる方法及びシステムが求められている。特に、乳ガン患者に向けられた方法及びシステムが求められている。
本発明は、従来技術の方法及びツールの欠点を有さないか又は従来技術の方法及びツールを改良する、ガンに冒された(ヒト)対象の、特に抗エストロゲン化合物又はアロマターゼ阻害剤によって治療されている対象のガンの予後を得るための及び/又は臨床結果、好ましくは生存率結果を得るための新規の方法及びツールを提供することを目的とする。
本発明は、遺伝子配列CCNB1,CCNA2,CDC2,CDC20,MCM2,MYBL2,KPNA2及びSTK6からなる群から選択される少なくとも1個、2個、3個の遺伝子配列、好ましくは4個、5個、6個、7個又は8個(しかし、8個より多くはない)の遺伝子配列又はその特定の部分(プローブ又はプライマー配列)を含む遺伝子セットに関する。この遺伝子セットは予期せぬことに、ガン、特に乳ガンの効果的な予後及び診断を得るための遺伝子発現分析を行うのに十分である。
本発明の遺伝子セットは予期せぬことに、ガンに冒された対象(ヒト患者)の、特に抗エストロゲン化合物及び/又はアロマターゼ阻害剤によって治療(ホルモン療法)されている患者の臨床結果、好ましくは生存率結果を得るためにも十分である。
本発明者らは、この遺伝子セットは遺伝子発現分析によって抗腫瘍治療の効率を予測するために(そして選択的な抗腫瘍化合物の投与での治療後の再発スコアを計算するために)十分であることを特定した。
本発明のこの遺伝子セットは、この患者に適用されるのに最も適切で効果的な治療を選択して、ER+型乳ガン又はER−型乳ガンを示すこれらの患者の治療に効果的でないホルモン療法を患者のこの群に適用することを回避するための方法において遺伝子発現分析のために使用されることができる。
本発明者らは、他の増殖遺伝子配列が、予期せぬことに、特にWO2006/119593に記載された遺伝子セットの配列及び方法を使用して、特に遺伝子発現悪性度指数(GGI)分析に基づく予後方法を使用して、効率の予想を得るために(及び治療の再発スコアを選択的な抗腫瘍化合物と相関させるために)使用することができることも見出した。
好ましくは、本発明では、遺伝子セットは、CCNB1,CCNA2,CDC2,CDC20,MCM2,MYBL2,KPNA2及びSTK6からなる群から選択される少なくとも4個(しかし、8個より多くない)の遺伝子配列を含む。
好ましくは、遺伝子セットは、これらの少なくとも4個の遺伝子配列を含み、より好ましくは、CCNB1,CDC2,CDC20及びMCM2である4個の遺伝子配列のみ、又はより好ましくは、CDC2,CDC20,MYBL2及びKPNA2である4個の遺伝子配列のみ、又はこれらの配列の特定の部分(プローブ、プライマーなど)からなる。従って、遺伝子セットは、遺伝子配列CDC2,CDC20,KPNA2及びMYBL2(この最後の配列は、所望によりCCNB1,MCM2,STK6又はCCNA2によって置換される)、又は遺伝子配列CDC2,CDC20,KPNA2,MYBL2並びにCCNB1,MCM2,STK6及びCCNA2遺伝子配列からなる群から選択される1個、2個、3個又は4個の遺伝子配列を含み得る。
腫瘍サンプル中のこれらの遺伝子配列の発現分析は、ガン、特に乳ガン、より好ましくはER+型乳ガンに冒されている対象(ヒト患者)に適用するべき治療の効果的な予後、診断及び予測を得るために十分である。
これらの遺伝子の発現分析は、ER−型乳ガンに冒されているこの対象(ヒト患者)に適用されるべき(又は回避されるべき)治療の予想をも提供する。これらの遺伝子の特性は、様々なデータベース中に、例えばウェブサイトwww.genecards.org,www.genenames.org,www.ncbi.nlm.nih.gov中に見出すことができる。
これらの遺伝子は、以下の特性を示す:
MYBL2(参照配列:NM 002466):V−myb骨髄芽球ウイルス腫瘍遺伝子ホモログ(鳥類)様2は、細胞周期の進行に関与する核タンパク質である転写因子遺伝子のMYBファミリーの一員である。コードされるタンパク質は、細胞周期のS期中にサイクリンA/サイクリン依存性キナーゼ2によってリン酸化され、アクティベーター活性及びリプレッサー活性の両方を有する。それは、細胞分裂周期2、サイクリンD1及びインスリン様増殖因子結合タンパク質5を活性化することが示されている。この遺伝子については転写変異体が存在するかもしれないが、それらの全長の性質はまだ決定されていない。
KPNA2(参照配列:XM 001133253):カリオフェリンアルファ2は、核包被へのタンパク質の輸送に関与する。KPNA2は、細胞周期のチェックポイントのメディエーターのレギュレーターでもあり、V(D)J組換えにおいて役割を果たしているかもしれない。
CDC2(Cdk1としても知られる)(参照配列:NM 001786):細胞分裂周期2タンパク質は、Ser/Thrタンパク質キナーゼファミリーの一員である。このタンパク質は、M期促進因子(MPF)として知られる高度に保存されたタンパク質キナーゼ複合体の触媒サブユニットであり、真核生物の細胞周期のG1/S及びG2/M期移行に必須である。有糸分裂サイクリンはこのタンパク質と安定に関連して、制御サブユニットとして作用する。このタンパク質のキナーゼ活性は、細胞周期を通したサイクリンの蓄積及び破壊によって調節される。このタンパク質のリン酸化及び脱リン酸化も、細胞周期の調節において重要な役割を果たす。
CDC20(参照配列:NM 001255):細胞分裂周期20ホモログ(S.Cerevisiae)は、細胞周期の複数の時点でいくつかの他のタンパク質と相互作用する制御タンパク質として作用するように見える。それは、後期の前の核移動及び染色体分離という二つの微小管依存過程に必要である。
STK6(オーロラキナーゼAとも称する)(参照配列:NM 003600)は、有糸分裂セリン/スレオニンキナーゼのファミリーの一員である。それは、有糸分裂及び減数分裂中の重要な過程に関与しており、その適切な機能は、健全な細胞増殖のために必須である。オーロラAは、一つ以上のリン酸化によって活性化され、その活性は、細胞周期中のG2期からM期への移行中に頂点に達する。
CCNB1(参照配列:NM 031966):サイクリンB1は、有糸分裂に関与する制御タンパク質である。その遺伝子産物は、p34(cdc2)と複合体を形成し、成熟促進因子(MPF)を形成する。二つの代替的転写産物が発見されている。これらは、構成的に発現される転写産物、及びG2/M期中に主に発現される、細胞周期によって制御される転写産物である。異なる転写産物は、交互転写開始サイトの使用から生じる。
CCNA2(参照配列:NM 001237):サイクリンA2は、高度に保存されているサイクリンファミリーに属し、その一員は、細胞周期を通したタンパク質の豊富さにおける劇的な周期性によって特徴付けられる。サイクリンは、CDKキナーゼの制御因子として機能する。異なるサイクリンは、別個の発現及び分解パターンを示し、これらは、それぞれの有糸分裂事象の一時的な協調に寄与する。胚性細胞においてのみ存在するサイクリンA1とは対照的に、このサイクリンは、試験される全ての組織において発現される。このサイクリンは、CDC2又はCDK2キナーゼに結合してこれらを活性化し、従って、細胞周期G1/S及びG2/Mの両方の移行を促進する。
MCM2(NM 004526):微小染色体維持欠損2(ミトチン)は、真核生物のゲノム複製の開始に関与する、高度に保存された微小染色体維持タンパク質(MCM)の一つである。MCMタンパク質によって形成されるヘキサマータンパク質複合体は、前複製複合体(pre−RC)の重要な成分であり、複製フォークの形成、及び他のDNA複製関連タンパク質の動員に関与しているかもしれない。このタンパク質は、MCM4,MCM6及びMCM7と複合体を形成し、複合体のヘリカーゼ活性を制御することが示されている。このタンパク質は、リン酸化されており、従って、タンパク質キナーゼCDC2及びCDC7によって制御される。
有利には、遺伝子配列セットは、検出キット又は装置に含まれていてもよく、これらのキット又は装置は、配列番号1〜16のプライマー配列、及び所望により、検出(生物学的サンプル中に存在するこれらの遺伝子の増幅)のために使用される一つ以上の要素(サイクル、緩衝液、ポリメラーゼなど)を(さらに)含んでいてもよい。
本発明による検出キット又は装置、又は本発明による遺伝子配列セットは、参照遺伝子として使用される追加の正規化遺伝子配列を含むこともできる。好ましくは、これらの遺伝子配列は、遺伝子配列TFRC,GUS,RPLPO及びTBPからなる群から選択される。これらの遺伝子の特性は、様々なデータベース中に、例えばウェブサイトwww.genecards.org,www.genenames.org,www.ncbi.nlm.nih.gov中に見出すことができる。有利には、これらの遺伝子配列の増幅のためのプライマー配列も、本発明によるキット中に存在しており、好ましくは、それらは配列番号17〜24の配列を有する。
この遺伝子配列セットの遺伝子配列(プローブ)は、固体支持体(マイクロウェルプレート、プレート、ガラス又はプラスチック材料のビーズ、フィルター、膜など)表面にアレイとして結合されることができ、検出キット又は装置中に存在することができ、所望により(好ましくは、qRT−PCR増幅のための)リアルタイムPCR手段及び培地のような遺伝子増幅のための手段及び培地を含む。
本発明は、一つ以上の遺伝子配列の特異的な増幅のための配列番号1〜16の一つ以上のプライマー配列にも関し、これらは、本発明のキット又は装置中に存在することが好ましい。
本発明によるキット(又は装置)、又は本発明による遺伝子配列セットは、参照遺伝子として使用される一つ以上の追加の正規化遺伝子配列を含むこともできる。好ましくは、これらの遺伝子配列は、遺伝子配列TFRC,GUS,RPLPO及びTBP又はそれらの特異的部分からなる群から選択される。有利には、これらの参照遺伝子配列の増幅のための配列番号17〜24のプライマー配列も、本発明によるキット又は装置中に存在する。
このキット又は装置は、コンピュータ化されたシステムをさらに含むことができ、このシステムは、固体支持体表面にアレイとして結合されたこの遺伝子配列セットの遺伝子配列及びプロセッサモジュールを含む。このプロセッサモジュールは、相補的な結合配列の遺伝子発現に基づいて遺伝子発現悪性度指数(GGI)又は所望により再発スコア(RS)を計算するように、そして所望によりWO2006/119593に記載されるようにこの腫瘍サンプルについてのリスク評価を作り出すように構成されていることが好ましい。
本発明は、腫瘍サンプルの予後、診断又は臨床結果を得るために、サンプル中のヌクレオチド配列の遺伝子発現を得る方法にも関する。この方法は、腫瘍サンプルから得られたヌクレオチド配列と、上述の8個又は4個の遺伝子から、より好ましくはCCNB1,CCNA2,CDC2,CDC20,MCM2,MYBL2,KPNA2及びSTK6から、より特別にはCCNB1,CDC2,CDC20,MCM2又はCDC2,CDC20,MYBL2及びKPNA2遺伝子配列又はそれらの一部から、又は配列番号1〜16のプライマー配列の1個以上から選択された、1個以上、好ましくは2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個の遺伝子配列又はその特定の部分(プローブ、プライマーなど)との間の結合によって行われ、この方法は、所望により、好ましくは本発明によるキット中に存在するこれらの参照配列の増幅のための配列番号17〜24のプライマー配列の一つ以上と組合される。
従って、この(これらの)検出ステップは、サンプル中に存在するヌクレオチド配列と本発明による遺伝子配列セットの配列との間の結合によって得られたこの検出の結果(遺伝子発現)に従って、このサンプルが得られた患者に適用すべき適切な治療を選択するステップと組合されることができる。
好ましくは、本発明による方法は、上述のプライマー配列の使用に基づく(好ましくはPCRによる)遺伝子増幅、好ましくはqRT−PCRに基づいている。これは、本発明の遺伝子ヌクレオチドセットの好ましいヌクレオチド配列(mRNA)又はそれらの相補鎖の増幅を可能にする。
本発明の他の側面は、下記の工程を含む方法に関する:
(a)分析に付され、かつ、哺乳動物対象(好ましくは、ヒト患者)から得られた腫瘍サンプルにおける遺伝子発現を測定する工程;
(b)腫瘍サンプルの遺伝子発現悪性度指数(又はゲノム的悪性度)(GGI)を、下記の式を使用して計算する工程:
式中、xはmRNAの遺伝子発現レベルであり、G及びGは、組織学的悪性度1(HG1)及び組織学的悪性度(HG3)においてそれぞれアップレギュレーションされる遺伝子のセット、好ましくは本発明の遺伝子のセットであり、jはプローブ又はプローブセットを示し、遺伝子のセットは、本発明の遺伝子(配列)セットを含むか又はこれらに対応する(これらからなる);
(c)所望により、この腫瘍サンプルから得られた遺伝子発現悪性度指数(GGI)に従って、この腫瘍サンプルが得られた患者に適用すべき適切な治療を選択する工程。この腫瘍サンプルは、ER+型乳ガン又はER−型乳ガンであることができる。
本発明による方法、キット又は装置において、診断に供される腫瘍(ガン)サンプルは、乳ガン、結腸ガン、肺ガン、前立腺ガン、肝細胞ガン、胃ガン、膵臓ガン、子宮頸ガン、卵巣ガン、肝臓ガン、膀胱ガン、尿路ガン、甲状腺ガン、腎臓ガン、ガン腫、メラノーマ又は脳ガンからなる群から選択されるガンによって冒された組織に由来する(これらの組織から得られる)。好ましくは、この腫瘍サンプルは、乳腫瘍サンプル(より好ましくは、悪性度HG2,HG1又はHG3として同定される組織学的乳腫瘍サンプル)である。サンプルは、(初期乳ガン(BC))患者の凍結(FS)又は乾燥腫瘍サンプル(パラフィン包埋された腫瘍サンプル(FFPE))であることもできる。
方法、キット又は装置はさらに、腫瘍サンプルを遺伝子発現悪性度指数(GGI)に基づいて低リスク(GG1)又は高リスク(GG3)として示すことを含むことができる。この実施形態はさらに、分析に付された乳腫瘍サンプルの低リスク又は高リスクの呼称と一致する患者に乳ガン治療療法を提供することを含むことができる。
遺伝子発現悪性度指数GGIは、HG1事例の平均GGIが約−1であり、かつ、HG3事例の平均GGIが約+1であるように選ばれたカットオフ値及びスケール値を含むことができる。カットオフ値は、下記の異なるスケールを適用する異なるプラットホームから得られたデータを校正するために要求される:
遺伝子セットは、「悪性度1の腫瘍におけるアップレギュレーション」として示される遺伝子(WO2006/119543参照)から選択される少なくとも1つの遺伝子を含むことができる。G遺伝子セットは、本発明の遺伝子セットの遺伝子から選択される少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、又は8個の遺伝子を含むことができる。
本発明の別の側面において、本発明による方法は下記の工程を含む:
(a)腫瘍サンプルにおける遺伝子発現を測定する工程;
(b)腫瘍サンプルについての再発スコア(RS)又は臨床結果、特に、サンプルが得られたヒト患者であって、抗エストロゲン化合物又はアロマターゼ阻害剤の投与によって所望により治療されていた患者の生存率結果を、下記の式を使用して計算する工程:
式中、Gは、ガンの遠位再発に関連する遺伝子セットであり、Pはプローブ又はプローブセットであり、iは遺伝子の特定のクラスター又は群を特定し、wはクラスターiの重みであり、jは特定のプローブセットの値であり、xijはクラスターiにおけるプローブセットjの強度であり、nはクラスターiにおけるプローブセットの数である。
方法、キット又は装置はさらに、前記腫瘍サンプルを、再発スコアに基づいて、ガンの再発について低リスク又は高リスクとして分類する工程を含むことができる。低リスクを高リスクから区別するためのカットオフは、−100から+100までの再発スコア(RS)、又は、−10から+10までの再発スコア(RS)とすることができる。
検出された再発は、当業者によって使用されるタモキシフェン、アロマターゼ阻害剤、化学療法、内分泌治療、(抗体)免疫治療又は任意の他の治療方法による治療の後での再発であり得る。好ましくは、再発は、タモキシフェンによる治療の後である。この方法は、ER+又はER−型乳ガンに対する非効果的な内分泌治療を抑制するために適用されることができる。
患者の治療療法を腫瘍サンプルのガン再発リスク状態に基づいて調節することができる。例えば、(a)患者が低リスクとして分類されるならば、低リスク患者を続いてタモキシフェン、ラロキシフェン、フラスロデックス及び(逐次)アロマターゼ阻害剤(AI)のような抗エストロゲン化合物(選択的なエストロゲン受容体モジュレーター又はダウンレギュレーター(SERM又はSERD))により治療するか、又は、(b)患者が高リスクとして分類されるならば、所望により高リスク患者をタモキシフェン以外の代わりの内分泌治療により治療する。高リスクとして分類された患者については、患者の治療療法を、化学療法による治療(パクリタキセル、タキサン、アントラサイクリン、5−フルオロウラシル、シクロホスファミドなどの投与)に、又は、特異的な分子的に標的化された抗ガン治療、又は所望により免疫治療に調節することができる。
遺伝子セットはエストロゲン受容体(又はガン組織サンプルの特異的な別のマーカー)陽性集団から作製することができる。遺伝子セットは様々な方法によって作製することができ、その構成遺伝子は、患者集団及び特定の障害に依存して変化し得る。
本発明の別の側面は、コンピュータ化されたシステム又は診断デバイス(又はキット)を提供し、これは、(a)腫瘍サンプルについての遺伝子発現を本発明の遺伝子セットに基づいて検出するために構成されたバイオアッセイモジュール(好ましくは、バイオアレイ);及び(b)腫瘍サンプルのGGI、所望によりRS又は所望により臨床結果を遺伝子発現に基づいて計算し、かつ、乳腫瘍サンプルについてのリスク評価をもたらして適用されるべき治療を選択するために構成されたプロセッサモジュールを含む。
本発明者らは、哺乳動物(ヒト患者を含む)から直接得られた腫瘍サンプルにおいて又は保存されたサンプル、特に初期乳ガン(BC)患者からの凍結(FS)及び乾燥腫瘍サンプル(パラフィン包埋された腫瘍サンプル(FFPE))において、効率的なqRT−PCRアッセイを得るために本発明によるプライマーを使用することが可能であることを予期せぬことに発見した。
本発明者らは、凍結及びパラフィン包埋された腫瘍サンプル組織が採取された乳ガン集団を使用してかかるqRT−PCRアッセイの精度及び元のマイクロアレイ装置のGGI(ゲノム的悪性度指数)との一致を試験した。そして、本発明者らは、凍結(FS材料)及びパラフィン包埋されたサンプル(FFPE材料)を使用してマイクロアレイ及びこれらのqRT−PCRアッセイによって作成されたゲノム的悪性度指数(GGI)と、凍結(FS)及びパラフィン包埋された腫瘍サンプル(FFPE)に由来するqRT−PCRを使用したゲノム的悪性度指数(GGI)との間に統計学的に有意な相関を得た。
本発明らは、独立したER陽性でかつタモキシフェンのみで治療された凍結乳ガン集団についての、及び引き続いてJules Bordet Institute(ブリュッセル、ベルギー)で診断された、パラフィン包埋された乳ガンサンプルの独立した集団についての予後値を試験した。
本発明者らは、qRT−PCRによって評価される高いゲノム的悪性度指数(GGI)レベルは、全乳ガン集団における、特にER陽性患者における再発の高いリスクと関連していることを予期せぬことに観察した。これは、現在のマイクロアレイ結果に従っていた。多変量分析において、qRT−PCRによって評価されたGGIは有意のままであった。従って、限られた数の遺伝子に基づく、好ましくは、本発明による遺伝子セットにおいて選択された遺伝子に基づくqRT−PCRは、凍結及びパラフィン包埋された腫瘍サンプル(FFPE)の両方を使用してマイクロアレイから由来するゲノム的悪性度指数の予後力を正確にかつ再現可能な様式で要約する。
本発明の別の側面は、ガンについての活性化合物(又は活性化合物の投与に基づく治療方法)の効果的なスクリーニング及び/又は試験方法に関する。この方法は、本発明による上述の方法及びツールを含み、特に、ヒト患者を含む哺乳動物対象の腫瘍サンプルに対するこの化合物の効果を試験し、監視して調節する工程を含む。この工程は、この化合物が患者に適用される前後に本発明の上述の方法及びツールを使用してこれらの対象におけるガンの危険性を試験することによって行われる。
従って、この方法は、内分泌(抗エストロゲン)治療において使用される一つ以上の活性化合物(例えば、選択的なエストロゲン受容体モジュレーター又はダウンレギュレーター(SERM又はSERD)、即ちタモキシフェン、ラロキシフェン、フラスロデックス、アロマターゼ阻害剤(AI))、化学治療において使用される一つ以上の活性化合物(例えば、アントラサイクリン、タキサン、5−フロオロウラシル、パクリタキセル、シクロホスファミド)、分子的に標的化された抗ガン治療において使用される一つ以上の活性化合物、又は免疫治療において使用される一つ以上の活性化合物であって、ガンを治療及び/又は予防するために哺乳動物対象に(個別に又は同時に)投与されることができる活性化合物を選択すること、及び前記活性化合物の効果を試験することを含む。前記試験することは、治療される哺乳動物への前記化合物の投与の前後に哺乳動物から腫瘍サンプル(生検)を採取し、前記腫瘍サンプルを本発明による方法及びツールを使用して診断に供し(これは、本発明による遺伝子セット又は本発明によるキットもしくは装置を使用して前記腫瘍サンプル中の遺伝子発現を検出することによって行われる)、所望により試験化合物の投与の前後にこの腫瘍サンプルのリスク評価再現スコア又は臨床結果(又は遺伝子プロファイルもしくはパターン)を作り出し、そして所望により試験化合物がガンに対して効果を有するか又はガンを発展させるリスクを示すかどうかを同定することによって行われる。結果として、この方法は、新規の抗腫瘍又は所望により腫瘍及び毒性化合物をスクリーニングし、試験し、又は監視する方法を表す。
本発明による方法は、投与された治療用活性化合物の効果を監視するために、ガンに対する素因を示す哺乳動物に対して、又はガンに冒されたヒト患者を含む対象に対して適用されることができる。本発明の方法は、この方法によって同定される同じ腫瘍遺伝子プロファイルを示すヒト患者集団のグループに活性化合物を投与する工程も含むことができる。
図1は、GGI(高対低)について遠位転移非存在生存についてのカプラン・マイヤー生存曲線を表す。
図2は、ER+の患者(凍結サンプル)の、(A)組織学的悪性度(HGI,HG2及びHG3)による、(B)遺伝子発現悪性度指数(GGI)(GG低及びGG高)による、(C)本発明による4個の選択された遺伝子を使用して行われたqRT−PCR(GG(RT−PCR)低及びGG(RT−PCR)高)による生存率分析を示す。(D)は、qRT−PCR悪性度分類(GG(RT−PCR)低及びGG(RT−PCR)高)による節陰性患者の分析を示す。(E)は、RT−PCR悪性度分類(GG(RT−PCR))、遺伝子発現悪性度指数(GGI)及び組織学的悪性度(HG)についてのクロスタブを示す。二つの群の間の無再発生存の差が、95%のCIでの回帰についてのハザード割当(HR)によって要約される。全ての統計学的試験は、二連で行われた。
図3は、本発明による4個の選択された遺伝子を使用して行われたqRT−PCRによって規定される指数の関数におけるER+及びER−患者(パラフィン包埋サンプル)の生存率分析を示す。(A)は、全集団(GG(RT−PCR)低及びGG(RT−PCR)高)の分析を示す。(B)は、エストロゲン陽性サンプル(GG(RT−PCR)低及びGG(RT−PCR)高)の分析を示す。(C)は、エストロゲン陽性節陰性サンプル(GG(RT−PCR)低及びGG(RT−PCR)高)の分析を示す。(D)は、RT−PCR悪性度分類による組織学的悪性度2(HG2)腫瘍の患者の分析を示す。HG2腫瘍を有する90人の患者は、この徴候によってGG(RT−PCR)低及びGG(RT−PCR)高として低リスク及び高リスクサブセットに分離された。二つの群の間の無再発生存の差が、95%のCIでの回帰についてのハザード割当(HR)によって要約される。全ての統計学的試験は、二連で行われた。
図4は、RT−PCR悪性度分類による、タモキシフェンのみで治療された患者(N=279)におけるER+進行乳ガンについての無進行生存(PFS)分析を示す。7.5ヶ月後に回帰する低リスク患者は、高リスク患者と比較される(差は、50%生存率で観察された)。二つの群の間の無再発生存の差が、95%のCIでの回帰についてのハザード割当(HR)によって要約される。全ての統計学的試験は、二連で行われた。
定義
ほとんどの科学用語、医学用語及び技術用語が、当業者には一般に理解される。
用語「マイクロアレイ」は、基体(不溶性の固体支持体表面)上のハイブリダイゼーション可能なアレイ要素(好ましくは、ポリヌクレオチドプローブ)の整列した配置を示す。
用語「差次的に発現した遺伝子」、用語「差次的遺伝子発現」及びそれらの同義語(これらは交換可能に使用される)は、遺伝子の発現が、正常な対象又はコントロールの対象におけるその発現と比較して、疾患(特に、ガン、例えば、乳ガンなど)に罹患している対象において高レベル側又は低レベル側に活性化される遺伝子を示す。これらの用語にはまた、遺伝子の発現が同じ疾患の異なる段階で高レベル側又は低レベル側に活性化される遺伝子が含まれる。差次的に発現した遺伝子は核酸レベル又はタンパク質レベルでの活性化又は阻害のどちらかを受け得るか、あるいは、異なるポリペプチド生成物をもたらすために選択的スプライシングを受け得ることもまた理解される。そのような違いは、例えば、ポリペプチドのmRNAレベル、表面発現、分泌又は他の分配における変化によって明瞭に示すことができる。差次的遺伝子発現には、正常な対象と、疾患(特に、ガン)に罹患している対象との間で異なるか、又は、同じ疾患の様々な段階の間で異なる2つ以上の遺伝子又はそれらの遺伝子産物の間における発現の比較、あるいは、正常な対象と、疾患(特に、ガン)に罹患している対象との間で異なるか、又は、同じ疾患の様々な段階の間で異なる2つ以上の遺伝子又はそれらの遺伝子産物の間における発現比率の比較、あるいは、正常な対象と、疾患(特に、ガン)に罹患している対象との間で異なるか、又は、同じ疾患の様々な段階の間で異なる、同じ遺伝子の2つの異なってプロセシングされた産物の比較さえ含むことができる。差次的発現には、例えば、正常な細胞及び疾患細胞の間での、あるいは、異なる疾患事象又は疾患段階を受けている細胞の間での遺伝子又はその発現産物における時間的発現パターン又は細胞発現パターンでの量的な差及び質的な差の両方が含まれる。本発明の目的のために、「差次的遺伝子発現」は、少なくとも約2倍(好ましくは少なくとも約4倍、より好ましくは少なくとも約6倍、最も好ましくは少なくとも約10倍)の差が、正常な対象及び疾患を有する対象における所与遺伝子の発現の間で、又は、疾患を有する対象における疾患発達の様々な段階で存在するときに存在すると見なされる。
遺伝子発現プロファイリング:これには、生物学的サンプルにおけるmRNAレベル及び/又はタンパク質レベルを定量するすべての方法が含まれる。
用語「予後」及び「診断」は、新生物疾患(例えば、乳ガン(乳腫瘍))の、ガンに起因し得る死亡又は進行(再発、転移拡大及び薬物抵抗性を含む)の可能性の予測を示すために本明細書中では使用される。
用語「予測」は、患者が、ある薬物又は1組の薬物に対して、好ましいか、又は好ましくないかのいずれかで応答する可能性、及び、同様に、そのような応答の程度を示すために、あるいは、患者が、原発性腫瘍の手術による除去、及び/又は、ガンの再発を伴わない一定の期間にわたる化学療法の後で生存する可能性を示すために本明細書中では使用される。
本発明の予測方法は、患者が治療療法(例えば、所与の薬物又は薬物組合せによる化学療法、及び/又は、放射線治療など)に都合よく応答する可能性があるかを予測する際の、あるいは、手術後、及び/又は、化学療法もしくは他の治療様式の終了後、患者の長期生存が可能であるかどうかを予測する際の有益なツールである。
用語「高リスク」は、患者が遠位再発を10年未満、5年未満、4年未満(好ましくは3年未満)で有することが予想されることを意味する。
用語「低リスク」は、患者が遠位再発を10年後、5年後、4年後(好ましくは3年後)に有することが予想されることを意味する。
用語「腫瘍(ガン)サンプル」は、哺乳動物対象(好ましくはガンに対する素因を示すヒト患者)の組織又は細胞から得られた又は哺乳動物対象(好ましくはヒト患者)の生物学的液体から得られたいかなるサンプル、又は凍結もしくは乾燥された(パラフィン包埋された腫瘍サンプル、好ましくはヒト)腫瘍サンプルを含む生検に相当する。
本明細書中で使用される用語「腫瘍」は、悪性又は良性であろうとも、新生物によるすべての細胞成長及び細胞増殖、ならびに、すべての前ガン性及びガン性の細胞及び組織を示す。
用語「ガン」及び用語「ガン性」は、調節されない細胞成長によって典型的には特徴づけられる哺乳動物における生理学的状態を示すか、又は記述する。ガンの例には、乳ガン、結腸ガン、肺ガン、前立腺ガン、肝細胞ガン、胃ガン、膵臓ガン、子宮頸ガン、卵巣ガン、肝臓ガン、膀胱ガン、尿路ガン、甲状腺ガン、腎臓ガン、ガン腫、メラノーマ又は脳ガンが含まれるが、これらに限定されない。
処理前の「GGI」(遺伝子発現悪性度指数)は、HG3において高いすべての遺伝子の対数発現(又は対数比率)の和から、HG1において高いすべての遺伝子の対数発現(又は対数比率)の和を引いたものであり、下記のように書くことができる:
式中、
xはmRNAの遺伝子発現レベルであり、
及びGは、H1及びHG3においてそれぞれアップレギュレーションされた遺伝子のセットであり、jはプローブ又はプローブセットを示す。
GGIは、HG1事例の平均GGIが約−1であり、かつ、HG3事例の平均GGIが約+1であるように選ばれたカットオフ値及びスケール値を含むことができる:
GGIにおけるカットオフは0であり、平均の平均に対応する。
GGIは値において−4から+4までの範囲を有する。
上述のゲノム的悪性度指数(GGI)による増殖捕獲は、乳ガンにおいてエストロゲン受容体状況をはるかに越えた重要な予後因子であり、多くの公開された予後徴候の予測力の有意な部分を包含する。
驚くべきことに、GGIは、ER陰性乳ガン患者及びER陽性乳ガン患者の両方において化学治療に対する応答と相関し、低GGIを有する患者の11.9%のみが化学治療に対して完全な応答を有する一方、高GGIを有する患者の40.4%が同じ治療の後で完全な応答を有する。
本発明者らは、初期乳ガン患者からの凍結(FS)及びパラフィン包埋された腫瘍サンプル(FFPE)を使用してGGIの予後値をqRT−PCRアッセイによって変換して確認することができた。本発明者らは、細胞周期の様々な期に関与する8個の選択されたGGI遺伝子及び4個の参照遺伝子に基づくqRT−PCRアッセイを開発した。これらの選択された遺伝子は、CNB1,CCNA2,CDC2,CDC20,MCM2,MYBL2,KPNA2及びSTK6であり、4個の参照遺伝子は、TFRC,GUS,RPLPO及びTBPである。好ましい4個の選択された遺伝子は、CDC2,CDC20,CCNB1及びMCM2(アッセイ1)であり、又はより好ましくはCDC2,CDC20,MYBL2及びKPNA2(アッセイ2)である。
本発明者らは、乳ガン集団(そこからは、凍結又はパラフィン包埋腫瘍サンプル組織及びマイクロアレイデータが利用可能であった(N=30))を使用して、上述の元のマイクロアレイ由来のGGIに従って、このqRT−PCRアッセイの精度を試験した。統計学的に有意な相関が、マイクロアレイによって作り出されたGGIと、凍結材料(アッセイ2について:HR=0.945(95%CI:0.856〜0.98)、p=3.67E−09)及びFFPE材料(アッセイ2について:HR=0.889(95%CI:0.721〜0.958)、p=8.26E−07)を使用したqRT−PCRアッセイ(1及び2)との間に、並びに凍結及びFFPE腫瘍サンプルアッセイ(1及び2)(アッセイ2について:HR=0.851(95%CI:0.636〜0.943)、p=7.73E−06)から由来するqRT−PCRを使用したGGIの間に観察された。
qRT−PCRアッセイ1及び2の予後値は、凍結サンプル組織の78個のホルモン依存性乳腫瘍の集団について試験された。統計学的に有意な相関が、高い再発リスクと、バイオアッセイ1及び2(バイオアッセイ2についてのHR=3.338(95%CI:1.189〜9.374)、p=0.022)のこれらの4個の遺伝子の上昇した発現との間に観察された。バイオアッセイ1及び2の予後値は、年齢(<50才)及び腫瘍サイズ1>2cm)と共に多変量解析(バイオアッセイ2についてのHR=3.267(95%CI:1.157〜9.227)、p=0.025)の間、有意であった。
また、本発明者らは、Bordet研究所で1995年〜1996年に連続して手術された208個の乳ガン集団についてこのアッセイ2の予後値を評価した。
これらのサンプルは、パラフィン包埋された腫瘍サンプル組織である。統計学的に有意な相関が、全集団(HR=1.072(95%CI:0.999〜3.507)、p=0.050)において、及び特にホルモン依存性乳ガンの亜集団(HR=2.26(95%CI:1.075〜4.751)、p=0.032)において、高再発リスクとこのバイオアッセイの4個の遺伝子の高発現との間に観察された。
予後値は、全集団(HR=1.880(95%CI:0.941〜3.757)、p=0.074)及びER陽性亜集団(HR=2.249(95%CI:0.982〜5.150)、p=0.0555)について、節侵入と共に多変量解析の間、有意であった。
バイオアッセイ2のこの予後値は、106個のパラフィン包埋された乳腫瘍サンプルの別の独立集団でも、同様の結果と共に確認された。
本発明で記述された遺伝子セットから選択される4個の遺伝子のような限られた数の遺伝子に基づくバイオアッセイ、好ましくはqRT−PCRアッセイ(アッセイ1又はアッセイ2)は、凍結腫瘍サンプル及びパラフィン包埋された腫瘍サンプルの両方を使用してマイクロアレイ由来のGGIの予後力を正確かつ再現可能な様式で可能にする。図8〜11に示されるように、qRT−PCRアッセイ2の予後値は、マイクロアレイの予後値に匹敵する。
図に示されるように、高リスクのタモキシフェンのみで治療された患者におけるRT−PCR悪性度指数(JNI)は、予期せぬことに、節陰性ER陽性(しかしまたER陰性)乳ガン患者についての強い予測因子アッセイであり、ヒト患者のこの検出された特別の群の治療において、有効でない化合物でのホルモン療法による不要な(しかもおそらく毒性の)治療を回避するために使用されることができる。
逆に、RT−PCR悪性度指数は、予期せぬことに、節陰性ER陽性(しかしまたER陰性)乳ガン患者についての化学治療に対する正の応答の強い予測因子である。
従って、本発明による遺伝子セット、診断キット及び方法は、これらの患者についても予測力のあるアッセイ及び方法である。
本発明の種々の実施形態が本発明に従って記載されている。多くの改変及び変化が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書中に記載及び例示された技術及び構造に対して行うことができる。従って、本明細書中に記載された装置は例示にすぎず、本発明の範囲に対する限定でないことを理解しなければならない。
配列番号1及び2は、プライマーMYBL2の配列である。
配列番号3及び4は、プライマーCCNA2の配列である。
配列番号5及び6は、プライマーSTK6の配列である。
配列番号7及び8は、プライマーKPNA2の配列である。
配列番号9及び10は、プライマーCCNB1の配列である。
配列番号11及び12は、プライマーCDC2の配列である。
配列番号13及び14は、プライマーCDC20の配列である。
配列番号15及び16は、プライマーMCM2の配列である。
配列番号17及び18は、プライマーGUSBの配列である。
配列番号19及び20は、プライマーTBPの配列である。
配列番号21及び22は、プライマーRPLPOの配列である。
配列番号23及び24は、プライマーTFRCの配列である。

Claims (16)

  1. 遺伝子CDC2,CDC20,MYBL2,KPNA2,CCNB1,MCM2,CCNA2及びSTK6からなる群から選択される少なくとも4個でかつ8個以下の遺伝子を含む遺伝子セット。
  2. 遺伝子が、CDC2,CDC20,MYBL2及びKPNA2遺伝子からなる群から選択される、請求項1に記載の遺伝子セット。
  3. 遺伝子が、CCNB1,CDC2,CDC20及びMCM2遺伝子からなる群から選択される、請求項1に記載の遺伝子セット。
  4. 遺伝子配列が固体支持体表面にアレイとして結合されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の遺伝子セット。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の遺伝子セット、及び所望により腫瘍サンプルのリアルタイムPCR分析のための手段を含む診断キット又は装置。
  6. リアルタイムPCR分析のための手段がqRT−PCRのための手段である、請求項5に記載の診断キット又は装置。
  7. 配列番号1〜16からなる群から選択される一つ以上のプライマー配列を含む、請求項5又は6に記載の診断キット又は装置。
  8. 参照遺伝子のリアルタイムPCR分析のための手段をさらに含む、請求項7に記載の診断キット又は装置。
  9. 参照遺伝子が、TFRC,GUS,RPLPO及びTBP遺伝子からなる群から選択される、請求項8に記載の診断キット又は装置。
  10. 配列番号17〜24からなる群から選択される一つ以上のプライマー配列をさらに含む、請求項8又は9に記載の診断キット又は装置。
  11. 以下のものを含むコンピュータ化されたシステムである、請求項8〜10のいずれか一項に記載の診断キット又は装置:
    a)請求項1〜4のいずれか一項に記載の遺伝子セットに基づいて腫瘍サンプルについての遺伝子発現を検出するように構成されたバイオアッセイモジュール;及び
    b)遺伝子発現に基づいて遺伝子発現悪性度指数(GGI)又は再発スコア(RS)を計算して腫瘍サンプルについてのリスク評価を作り出すように構成されたプロセッサモジュール。
  12. 腫瘍サンプルが、乳ガン、結腸ガン、肺ガン、前立腺ガン、肝細胞ガン、胃ガン、膵臓ガン、子宮頸ガン、卵巣ガン、肝臓ガン、膀胱ガン、尿路ガン、甲状腺ガン、腎臓ガン、ガン腫、メラノーマ又は脳ガンからなる群から選択されるガンによって冒された組織に由来し、好ましくは乳腫瘍サンプルである、請求項5〜11のいずれか一項に記載の診断キット又は装置。
  13. 腫瘍サンプルが凍結サンプル(FS)又はパラフィン包埋された腫瘍サンプル(FPPE)である、請求項12に記載の診断キット又は装置。
  14. 腫瘍サンプル中のガンの予後又は診断のための方法であって、この腫瘍サンプルから得られたヌクレオチド配列を請求項1〜4のいずれか一項に記載の遺伝子セットと接触させて腫瘍サンプル中のヌクレオチド配列の遺伝子発現を測定し、ヌクレオチド配列の発現をガンの予後又は診断と相関させる工程を含む方法。
  15. エストロゲン受容体及び/又はプロゲステロン受容体遺伝子発現の検出と組合される、請求項14に記載の方法。
  16. 腫瘍サンプルが凍結又はパラフィン包埋された腫瘍サンプルである、請求項14又は15に記載の方法。
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