JP2011258325A - ソーラーシミュレータ用光源 - Google Patents

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Abstract

【課題】
キセノンランプや希土類金属を使用したメタルハライドランプに代わり、安価な構成にて、擬似太陽光として良好なスペクトル合致度が得られるソーラーシミュレータ用光源を提供する。
【解決手段】
放電空間内に希ガスと水銀とハロゲン化インジウムを封入したメタルハライドランプにおいて、前記ハロゲン化インジウムを0.2〜2.7mg/ccの密度で封入したことを特徴とする。可視波長全域から赤外波長に渡る連続発光の発生により、良好なソーラーシミュレータ用光源が得られる。
【選択図】図1

Description

本発明はソーラーシミュレータ装置に用いる光源に関する。
太陽電池は太陽光を直接電気エネルギーに変換するものであり、石油の燃焼などを必要としないため、クリーンなエネルギーとして需要が高まっており、大規模な発電設備や小型エレクトロニクス装置などの幅広い分野において利用されている
この太陽電池の性能評価には、擬似的な太陽光を人工的に発生させるソーラーシミュレータ装置が使用される。ソーラーシミュレータはJIS C8912に規定されるように、基準太陽光のエネルギー分布に対するスペクトル合致度により等級が分けられており、このうち最も基準太陽光スペクトルに近い等級Aのソーラーシミュレータは、太陽電池の高精度な測定、選別を行うことが可能である。
特許文献1には、光源より放射された光の光路の一部にフィルタを配し、フィルタを通過した光と通過していない光を合成して使用するソーラーシミュレータ装置が開示されている。
特許第2892132号公報
ソーラーシミュレータには、擬似的な太陽光を発生させるため、一般的にキセノンランプやメタルハライドランプが使用されている。
キセノンランプは可視域での分光分布が太陽光に近く赤外放射も大きいため、ソーラーシミュレータ用光源として良好なスペクトル合致度を得られる光源であるが、発光効率は30lm/W程度と低い。
また、電極間距離に対するランプ電圧が低いため大電流が流れるので、大型の電極を使用する必要があり、シール部分は複雑な箔シール構造をとるため、ランプは高価である。さらに、点灯装置も大電流、高電圧に対応する必要があるため、大型、高価である。
一方、メタルハライドランプは、一般的に高効率であるが、図6に示すように、その分光分布は太陽光の分光分布からずれておりスペクトル合致度は悪く、ソーラーシミュレータに使用した場合、等級Aのソーラーシミュレータを得ることは困難である。
また、可視域での連続発光を得るために封入されているディスプロシウムなどの希土類金属が放電容器材料である石英ガラスと反応し石英ガラスを白濁させるため、寿命が短いという欠点がある。
そこで本発明は、安価な構成で、良好なスペクトル合致度が得られるソーラーシミュレータ用光源を提供することを技術的課題としている。
この課題を解決するために、本発明のソーラーシミュレータ用光源は、放電空間内に希ガスと水銀とハロゲン化インジウムを封入したメタルハライドランプにおいて、前記ハロゲン化インジウムを0.2〜2.7mg/ccの密度で封入したことを特徴とする。
本発明に係るソーラーシミュレータ用光源の側面図。 本発明に係るソーラーシミュレータ用光源の分光分布を示す図。 本発明に係るソーラーシミュレータ用光源のスペクトル合致度を示す図。 本発明との比較例の分光分布を示す図。 本発明との別の比較例の分光分布を示す図。 従来のメタルハライドランプの分光分布を示す図。
図1は本発明のソーラーシミュレータ用放電ランプを示す図である。放電ランプ1は、略球状の発光部2とその両端に設けられたシール部3a、3bからなる石英ガラス製の放電容器を備える。
発光部2内には内径20mmの放電空間4が形成され、タングステンからなる一対の電極5a、5bが10mmの距離を隔てて配置されている。一対の電極はシール部3a、3bに配置されたモリブデン箔6a、6bに接続され、シール部外部に突出したモリブデン製のリード線(図示せず)を介して端子7a、7bに接続されている。シール部の両端には口金8a、8bが設置されており、端子間に点灯用電源から電力を供給し、放電ランプを点灯させる構造になっている。放電空間4は内容積5.4cc、内表面積14cm2であり、内部には水銀75mg、ヨウ化インジウム5.4mgとアルゴンガス15kPaが封入されており、ヨウ化インジウムの封入密度は1.0mg/cc、管壁負荷は71W/cm2である。
この放電ランプを点灯したときに測定される分光分布を図2に示す。
従来のインジウムを封入したランプは、インジウムの410nmや451nmの線スペクトルを利用した青色ランプが一般的であるが、本発明のインジウム封入ランプにおいては、インジウムを高密度で封入することにより、線スペクトルとして発光していた410nmや451nmの波長で吸収が起こり、可視波長全域から赤外波長に渡り発生する連続スペクトルを利用するものである。
図2に示すように、本発明の放電ランプの分光分布は、インジウムの線スペクトルの波長である410nmや451nmで吸収が発生し、可視波長全域から赤外波長に連続スペクトルが発生していることがわかる。この分光分布をJIS規格の基準太陽光エネルギー分布と比較し、本発明の放電ランプの合致度を計算した(表1)。
Figure 2011258325
このスペクトル合致度が0.75〜1.25の範囲に入っていれば、等級Aのソーラーシミュレータと判定されるが、本発明の放電ランプのスペクトル合致度は各波長帯において0.79〜1.19の範囲に入っており、等級Aであることが分かる。
また、ヨウ化インジウムの封入密度を変化させたときの分光分布からスペクトル合致度を計算し、各波長帯の最大値と最小値との関係を調べた(図3)。図中の斜線部分はソーラーシミュレータとして使用可能なスペクトル合致度の範囲である。
ヨウ化インジウムの封入密度が低い場合は、図4に示す分光分布のように、水銀やインジウムの線スペクトルによる発光が主であり、可視波長での連続発光が少ない。このため基準太陽光エネルギーとのスペクトル合致度は400〜500nmで高くなり、600〜800nmでは低くなるため、良好なソーラーシミュレータ用光源を得ることができない。
一方、ヨウ化インジウムの封入密度が高い場合は、図5に示す分光分布のように、インジウムの線スペクトル波長である410nmと451nmでの吸収が大きく400〜500nmでのスペクトル合致度が低くなり、可視波長全域から赤外波長での連続発光が増大するため900〜1100nmでのスペクトル合致度が高くなってしまい、こちらも良好なソーラーシミュレータ用光源を得ることができない。
以上のような理由から図3に示すように、封入するヨウ化インジウムの密度は、0.2〜2.7mg/ccの範囲でソーラーシミュレータ用光源として使用することが可能であり、さらに好ましい値としては0.9〜1.6mg/ccの封入密度であれば、等級Aのソーラーシミュレータ用光源としての使用が可能になる。
また、本実施例の放電ランプの発光効率は約80lm/Wであり、キセノンランプの発光効率を大きく上回る。また同じ1kWのキセノンランプではランプ電圧が20Vと低く、50Aの大電流が流れるため、シール部分は複雑な箔シール構造を採用する必要があるが、本発明の放電ランプにおいては、点灯時のランプ電圧は70Vであり、流れる電流は14Aであるため、厚さ35μm、幅5mmのモリブデン箔1枚によるシール構造で、問題なく電流を流すことが可能であり、簡単なシール部構造のため、キセノンランプに比べ安価に製作することが可能である。さらに電流値が小さいことにより、使用する電源を小型化、低コスト化することが可能であり、装置全体を安価に構成することができる。
また、インジウムは石英ガラスとの反応が少ないため、従来の希土類金属を封入したメタルハライドランプに比べ、使用中の石英ガラスの失透現象が少なく、良好な寿命特性を得ることができる。
尚、本実施例の放電ランプにおいては、点灯中に封入物質が全蒸発していることが望ましい。これは、封入物質が放電空間内に液相で存在していると、周囲の温度変化の影響を受けやすく、放電空間内の最冷部温度の微小な変化によって封入物質、特にスペクトルの連続発光に大きく寄与するヨウ化インジウムの蒸気圧が変動してしまうため、所望のスペクトルが得られなくなる可能性があるからである。ここで封入物質が全蒸発している状態とは、封入物質の封入密度に対する放電空間内の最冷部温度が、ある温度以上になる状態を指し、水銀13mg/cc、ヨウ化インジウム1.0mg/ccを封入した本実施例のランプにおいては、放電空間内の最冷部温度が570℃以上になっている状態をいう。
1 放電ランプ
2 発光部
3a、3b シール部
4 放電空間
5a、5b 電極
6a、6b モリブデン箔
7a、7b 端子
8a、8b 口金

Claims (1)

  1. 放電空間内に希ガスと水銀とハロゲン化インジウムを封入したメタルハライドランプにおいて、前記ハロゲン化インジウムを0.2〜2.7mg/ccの密度で封入したことを特徴とするソーラーシミュレータ用光源。
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