JP2011251301A - 圧力制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】制御系を不安定にすることなく、加圧対象物の弾性定数の同定精度を向上させた圧力制御装置を得る。
【解決手段】圧力制御部(10)による圧力制御を行うことなく、圧力検出部(6)で検出された圧力信号があらかじめ設定された許容値を超えない範囲で、加圧対象物(5)に対する機械負荷(4)の位置を変化させる加圧動作を行わせ、加圧動作中に位置検出部(2)で検出された位置信号と圧力検出部(6)で検出された圧力信号との組合せからなる複数のデータを取得し、複数のデータに基づいて加圧対象物の弾性定数を同定する同定手段(40、50、60、70、80)をさらに備える。
【選択図】図1
【解決手段】圧力制御部(10)による圧力制御を行うことなく、圧力検出部(6)で検出された圧力信号があらかじめ設定された許容値を超えない範囲で、加圧対象物(5)に対する機械負荷(4)の位置を変化させる加圧動作を行わせ、加圧動作中に位置検出部(2)で検出された位置信号と圧力検出部(6)で検出された圧力信号との組合せからなる複数のデータを取得し、複数のデータに基づいて加圧対象物の弾性定数を同定する同定手段(40、50、60、70、80)をさらに備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、モータ駆動を利用して、圧力もしくは力の制御を行う圧力制御装置に関し、特に、加圧対象物の弾性定数を高精度に同定し、同定結果に基づいて圧力制御に用いる制御パラメータの最適値を算出する機能を備えた圧力制御装置に関するものである。
射出成形機やプレス成形機といった各種の成形機、ボンディング機械などの産業用機械では、モータによって駆動される機械負荷が、加圧対象物であるワーク等に押し当てられる際には、例えば、次のような圧力制御が使用されている。具体的には、機械負荷がワーク等に押し当てられたときの機械の圧力信号を検出し、圧力信号と参照信号である圧力指令信号を基に圧力制御演算を行うことにより、モータを動作させ、加圧対象物に圧力を加える圧力制御が使用されている。この際、ゲインに代表される圧力制御演算のパラメータを適切に調整する必要がある。
圧力制御を行ったときには、機械負荷が加圧対象物に押し付けられるほど、圧力が大きく発生するという性質がある。概ね、押し付けられた距離に比例して、圧力が発生する。その比例定数である加圧対象物の弾性定数は、圧力制御演算のパラメータを適切に設定するための情報となる。そこで、このような弾性定数を算出して適切な圧力制御を行う従来技術がある(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1では、以下に示す一連の流れを繰り返して、圧力制御を行うことが開示されている。
(ステップ1)機械負荷が加圧対象物に衝突したことを検出してから、力検出値と、機械負荷の移動量との比を弾性定数(ばね定数)として算出する。
(ステップ2)定数を、算出した弾性定数で割ることにより力ゲインを算出する。
(ステップ3)力偏差に算出した力ゲインを乗じて、速度指令を算出する。
(ステップ4)算出した速度指令で移動したときの力検出値と移動量との比で弾性定数を同定する。
(ステップ1)機械負荷が加圧対象物に衝突したことを検出してから、力検出値と、機械負荷の移動量との比を弾性定数(ばね定数)として算出する。
(ステップ2)定数を、算出した弾性定数で割ることにより力ゲインを算出する。
(ステップ3)力偏差に算出した力ゲインを乗じて、速度指令を算出する。
(ステップ4)算出した速度指令で移動したときの力検出値と移動量との比で弾性定数を同定する。
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
特許文献1の方法で、加圧対象物の弾性定数を算出した場合、圧力制御を開始し、機械負荷が加圧対象物に衝突したことを検出した直後では、微小にしか機械負荷が動作していないため、移動量が非常に小さな値になる。従って、力検出値と、この非常に小さな値の移動量の比により弾性定数を算出する結果、弾性定数の算出値は、力検出や位置検出のノイズ等の影響を受けやすいこととなる。
特許文献1の方法で、加圧対象物の弾性定数を算出した場合、圧力制御を開始し、機械負荷が加圧対象物に衝突したことを検出した直後では、微小にしか機械負荷が動作していないため、移動量が非常に小さな値になる。従って、力検出値と、この非常に小さな値の移動量の比により弾性定数を算出する結果、弾性定数の算出値は、力検出や位置検出のノイズ等の影響を受けやすいこととなる。
ノイズ等の影響を受けることにより、弾性定数が正しく同定されない場合には、結果的に、不適切な力ゲインが設定される。これにより、力制御系自体が不安定になり、モータが発振してしまう。モータが発振することにより、機械負荷が加圧対象物に接触したり、しなかったりする状態になり、これ以上、加圧対象物の同定ができず、これに伴い、力制御ゲインが決められないため力制御を続行できないという状況に陥るという問題がある。また、ステップ2の定数の決め方次第では、力ゲインが過大になり、この結果、力制御が不安定となり、モータが発振してしまい、上述した問題と同様、加圧対象物の同定ができなくなるという問題がある。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、制御系を不安定にすることなく、加圧対象物の弾性定数の同定精度を向上させた圧力制御装置を得ることを目的とする。
本発明に係る圧力制御装置は、モータと、モータの位置情報を位置信号として検出する位置検出部と、モータの動作により駆動される機械負荷と、機械負荷が加圧対象物に押し当てられたときの圧力または力の情報を圧力信号として検出する圧力検出部と、圧力信号の参照信号である圧力指令信号と、圧力検出部で検出された圧力信号とに基づいて、圧力制御パラメータによる圧力制御演算を行い、モータを駆動する制御信号を生成する圧力制御部とを備える圧力制御装置において、圧力制御部による圧力制御を行うことなく、圧力検出部で検出された圧力信号があらかじめ設定された許容値を超えない範囲で、加圧対象物に対する機械負荷の位置を変化させる加圧動作を行わせ、加圧動作中に位置検出部で検出された位置信号と圧力検出部で検出された圧力信号との組合せからなる複数のデータを取得し、複数のデータに基づいて加圧対象物の弾性定数を同定する同定手段をさらに備えるものである。
本発明に係る圧力制御装置によれば、圧力制御を行うことなく、圧力信号が許容値を超えない範囲で、加圧対象物に対する機械負荷の位置を変化させる加圧動作を実行させ、加圧動作中の圧力、位置データに基づいて加圧対象物の弾性定数を同定する同定手段を備えることにより、制御系を不安定にすることなく、加圧対象物の弾性定数の同定精度を向上させた圧力制御装置を得ることができる。
以下、本発明の圧力制御装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における圧力制御装置の全体構成を表すブロック図である。図1に示した本実施の形態1における圧力制御装置は、圧力制御部10、速度制御部20、電流制御部30、位置制御部40、制御切換部50、許容値回避制御部60、データ記憶部70、および同定部80を備えて構成されている。
図1は、本発明の実施の形態1における圧力制御装置の全体構成を表すブロック図である。図1に示した本実施の形態1における圧力制御装置は、圧力制御部10、速度制御部20、電流制御部30、位置制御部40、制御切換部50、許容値回避制御部60、データ記憶部70、および同定部80を備えて構成されている。
ここで、圧力制御部10、速度制御部20、および電流制御部30は、実運用での圧力制御に用いられる構成であり、従来の圧力制御装置と同様の構成である。一方、位置制御部40、制御切換部50、許容値回避制御部60、データ記憶部70、および同定部80は、実運用前に、後述する加圧対象物5の弾性定数を同定し、その同定結果に基づいて圧力制御に用いられる制御パラメータの最適化を行う同定手段に相当する。
また、この圧力制御装置による制御対象として、図1においては、回転型モータ1、エンコーダ2、ボールネジ3、機械負荷4、加圧対象物5、および圧力検出器6が示されている。
次に、図1を用いて、基本的な動作を説明する。回転型モータ1の回転運動が、ボールネジ3により並進運動に変換され、機械負荷4が駆動される。このときの、モータ1の速度情報や位置情報は、それぞれ速度信号SG20、位置信号SG40として、エンコーダ2によって検出される。
機械負荷4が、加圧対象物5に押し当てられることにより、加圧対象物5には圧力が発生する。このときの圧力は、圧力信号SG10として圧力検出器6で検出される。圧力検出器6の例としては、ロードセルや力センサ等が挙げられる。ただし、必ずしも物理的に圧力検出器6を設ける必要はなく、モータの電流や速度から圧力を推定し、この信号を圧力信号SG10とする構成としてもよい。
圧力制御部10は、圧力検出器6で検出された圧力信号SG10が、外部から与えられる圧力指令信号SG11に一致するように、両者の偏差に基づく圧力制御演算を行い、第1の速度指令信号SG22を生成する。圧力制御演算の具体例としては、偏差に比例ゲイン(パラメータ)を乗じることにより、第1の速度指令信号SG22を生成する比例制御が挙げられる。ただし、圧力制御演算は、これに限られるものではなく、比例+積分制御、位相進み/遅れ補償などであってもよい。
本発明においては、圧力制御による実運用前に、位置制御、速度制御、あるいはトルク制御を行うことで、加圧対象物5の弾性定数を同定し、その同定結果に基づいて圧力制御に用いられる制御パラメータの最適化を行う同定手段を備えている点を技術的特徴としている。そこで、この技術的特徴について、位置制御を用いる場合を本実施の形態1で説明し、速度制御及びトルク制御を用いる場合を後述する実施の形態2、3でそれぞれ説明する。
許容値回避制御部60は、圧力検出器6で検出された圧力信号SG10を監視しながら、圧力信号SG10があらかじめ設定された許容値を超えない範囲で、位置指令信号SG41を生成する(後述する図3参照)。
位置制御部40は、許容値回避制御部60で生成された位置指令信号SG41と、エンコーダ2で検出された位置信号SG40との偏差に基づく位置制御演算を行うことにより、第2の速度指令信号SG23を生成する。位置制御演算の具体例の1つとしては、偏差に比例ゲインを乗じることにより、第2の速度指令信号SG23を生成する比例制御などが挙げられる。
制御切換部50は、圧力制御部10で生成された第1の速度指令信号SG22、もしくは、位置制御部40で生成された第2の速度指令信号SG23のどちらか一方を速度指令信号SG21として選択し、出力する。
速度制御部20は、制御切換部50から出力された速度指令信号SG21と、エンコーダ2で検出された速度信号SG20との偏差に基づく速度制御演算を行うことにより、トルク指令信号SG31を生成する。速度制御演算の具体例としては、例えば、比例+積分制御演算が挙げられる。
そして、最終的に、電流制御部30は、速度制御部20で生成されたトルク指令信号SG31通りのトルクを発生させるための電流SG34を、モータ1に供給する。これにより、モータ1に駆動力が発生する。
なお、位置制御部40に比例制御を用いた場合には、比例ゲインを適切に設定する必要があり、同様に、速度制御部20に比例+積分制御を用いた場合には、比例ゲインと積分ゲインを適切に設定する必要がある。この設定に関しては、機械負荷4が加圧対象物5に接触しない状態で、公知技術(例えば、特開6−175703号公報に公開される技術など)を適用し、加圧対象物の弾性定数に依存することなく各ゲインを設定することができる。
位置制御部のゲイン、速度制御部のゲインを上記のように設定し、位置制御を実行した場合、機械負荷4が加圧対象物5に接触することにより、圧力もしくは力が発生する。これにより、反作用分の圧力もしくは力が機械負荷に加圧したい方向とは逆向きに発生する。反作用はボールネジを通して、加圧しようとする向きとは逆の向きのトルクがモータとなる。これは位置制御から見ると、外乱に相当するが、外乱が加わっても位置制御は、位置制御部、速度制御部のゲインが適切に設定されているので不安定にはならず、モータが発振することもない。このため、位置制御による加圧動作を続行することができ、同定をするための位置信号、圧力信号を取得することができる。
前述した(ステップ1)〜(ステップ4)を繰り返す先行技術において、機械の移動量は、力ゲインに依存して決まるので、力制御(圧力制御)が有効になったまま、加圧対象物の弾性定数を同定していることに相当する。(ステップ2)の定数が大きすぎれば、力制御が安定に制御を続けられず、弾性定数が同定できない。
これに対し、本発明は圧力制御を行うことなく、位置制御で駆動したときのデータに基づいて加圧対象物の弾性定数を同定ことに相当しているため、圧力ゲイン等で決定される圧力制御の安定性に依存せずに弾性定数を同定することができる。
許容値回避制御部60は、同定動作中における、圧力検出器6で検出された圧力信号SG10と、エンコーダ2で検出された位置信号SG40とを対応付けて、順次、データ記憶部70に記憶させる。さらに、同定部80は、データ記憶部70に記憶された圧力信号SG10と位置信号SG40との対応データをもとに、加圧対象物5の弾性定数を同定する。
次に、フローチャートを用いて、位置制御による一連の同定処理について説明する。図2は、本発明の実施の形態1における圧力制御装置で、加圧対象物の弾性定数を同定する一連処理を示したフローチャートである。ステップST1において、加圧対象物5に加えてよい圧力の許容値が、許容値回避制御部60に設定される。許容値の選び方としては、例えば、圧力制御を行うときに加圧対象物5に与えたい圧力の大きさ以上とし、なおかつ、加圧対象物5に長時間与えると塑性変形してしまう圧力値未満とすることが挙げられる。
ステップST2において、加圧対象物5の弾性定数を同定するために、制御モードを位置制御に切り換える。すなわち、制御切換部50において、圧力制御部10で生成された第1の速度指令信号SG22ではなく、位置制御部40で生成された第2の速度指令信号SG23を、モータを駆動するための信号である速度指令信号SG21として選択し、出力するようにする。
ステップST3において、許容値回避制御部60は、出力する位置指令信号SG41を大きくしていく。ここで、位置指令信号SG41を大きくするとは、先の図1において、機械負荷4が紙面右側に移動する位置指令信号SG41を与えること(すなわち、機械負荷4が加圧対象物5に接触後、加圧対象物5により大きな圧力を加えるような位置指令信号SG41を与えること)に相当する。
逆に、位置指令信号SG41を小さくするとは、先の図1において、機械負荷4が紙面左側に移動する位置指令信号SG41を与えること(すなわち、機械負荷4が加圧対象物5に接触後、加圧対象物5から離れていくような位置指令を与えることを)に相当する。
ステップST4において、許容値回避制御部60は、加圧対象物5に接触したか否かを判定する。具体的な判定の仕方の一例として、許容値回避制御部60は、圧力検出器6で検出された圧力信号SG10が0より大きい値をとった場合には、機械負荷4が加圧対象物5に接触したと判定することができる。そして、許容値回避制御部60は、接触していないと判断した場合には、再度ステップST3に戻り、位置指令信号SG41を大きくする。
一方、許容値回避制御部60は、先のステップST4において、加圧対象物5に接触したと判断した場合には、ステップST5において、圧力検出器6で検出された圧力信号SG10が、先のステップST1で設定された許容値を超えていないかどうかを判定する。
そして、許容値回避制御部60は、圧力信号SG10が許容値を超えていない場合には、ステップST6において、このときの位置信号SG40の値と圧力信号SG10の値とを対応付けて、データ記憶部70に記憶させる。さらに、ステップST7において、許容値回避制御部60は、出力する位置指令信号SG41をさらに大きくする。
ステップST5、ST6、ST7による一連の加圧動作を複数回繰り返すことにより、複数個の圧力信号SG10の値と位置信号SG40の値との組合せとして、下式(1)のデータが、データ記憶部70に蓄えられることとなる。
(Fi、Xi)(i=1、・・・、N) (1)
ただし、Fi:i番目の圧力信号SG10の値
Xi:i番目の位置信号SG40の値
N :得られたデータ数
(Fi、Xi)(i=1、・・・、N) (1)
ただし、Fi:i番目の圧力信号SG10の値
Xi:i番目の位置信号SG40の値
N :得られたデータ数
一方、許容値回避制御部60は、先のステップST5において、圧力信号SG10が許容値を超えたと判断した場合には、ステップST8において、出力する位置指令信号SG41を小さくし、加圧対象物5にかかる圧力を小さくする。
図3は、本発明の実施の形態1における圧力制御装置の加圧動作時における位置指令信号SG41と圧力信号SG10の時間変化を表すグラフである。具体的には、図2のフローチャートにおけるステップST5、ST6、ST7、ST8の一連処理を行った際の、位置指令信号SG41と圧力信号SG10の時間に伴う変化の様子が、図3に示されている。
位置指令信号SG41が微小移動量分大きくなると、圧力信号SG10もそれに伴い上昇する。そして、圧力信号SG10が許容値を超えない限り、再び微小移動量分の移動を行う位置制御を繰り返し(ステップST7)、その都度、圧力信号SG10が許容値を超えていないかどうかを確認する(ステップST5)という処理を繰り返す。また、このような加圧動作中に、上式(1)のデータを逐次収集していく(ステップST6)。そして、最終的に、圧力信号SG10が許容値を超えれば位置指令信号SG41を小さくし(ステップST8)、これにより、圧力信号SG10が許容値を超えている状態を回避する。
次に、ステップST9において、同定部80は、データ記憶部70に記憶された上式(1)に相当する位置信号SG40の値と圧力信号SG10の値との組合せからなる複数のデータをもとに、加圧対象物5の弾性定数を同定する。具体的には、位置信号SG40の値と圧力信号SG10の値との組合せからなる複数のデータを、下式(2)の直線で近似することで、弾性定数を同定することが考えられる。
Fi=K×Xi+B (2)
ただし、K:加圧対象物の弾性定数
B:傾き)
Fi=K×Xi+B (2)
ただし、K:加圧対象物の弾性定数
B:傾き)
ここで、同定部80は、一例として、データ記憶部70に記憶された上式(1)のデータの組(Fi、Xi)に基づいて最小二乗法を適用して上式(2)の近似を行うことで、弾性定数Kを算出することができる。
図4は、本発明の実施の形態1における圧力制御装置で、弾性定数を同定する一連処理によって得られた位置信号SG40と圧力信号SG10との関係、および近似結果を示すグラフである。具体的には、上式(1)によるデータの組(Fi、Xi)が○印でプロットされており、上式(2)の近似結果が直線で示されている。
本実施の形態1における圧力制御装置は、このようにして同定された加圧対象物5の弾性定数Kをもとに、圧力制御のパラメータを設定することができる。一例として、圧力制御部10を比例制御で構成する場合には、圧力制御で得たい応答帯域ωaに、弾性定数Kを除することによって、圧力制御部10の比例ゲインにすることなどが挙げられるが、もちろん、これに限られるものではない。
最後に、ステップST10において、制御モードを、加圧対象物5の弾性定数を同定するためにステップST2〜ST9で用いた位置制御から、通常の制御に使用する圧力制御に切り換える。すなわち、制御切換部50において、位置制御部40で生成された第2の速度指令信号SG23ではなく、圧力制御部10で生成された第1の速度指令信号SG22を、モータを駆動するための信号である速度指令信号SG21として選択し、出力するようにする。
この切り換え後、圧力制御装置は、外部からの圧力指令信号SG11に対して圧力検出器6で検出された圧力信号SG10が追従するように圧力制御を実行することとなり、図2に示した一連処理は終了する。
以上のように、実施の形態1によれば、圧力制御による実運用を開始する前に、位置制御を用いて機械負荷を加圧対象物に接触させ、その後、加圧していく加圧動作を実行する。そして、加圧動作中の圧力、位置データに基づいて、加圧対象物の弾性定数を同定し、同定結果に基づいて、圧力制御パラメータの最適化を行っている。この結果、圧力制御部のパラメータ(ゲイン)に依存せず、安定して加圧対象物の弾性定数を同定し、所望の圧力制御パラメータを得ることができる。
なお、図2、図3では、加圧対象物に接触してから、徐々に位置指令信号SG41を大きくしながら、このときの位置信号SG40と圧力信号SG10を記憶し、これらから加圧対象物の弾性定数を同定することを説明したが、機械負荷が加圧対象物に接触させた状態で、かつ、圧力が許容値を超えない範囲であれば、位置指令信号SG41はどのように与えてもよく、例えば、最初は位置指令信号SG41を大きくしていき、途中から位置指令信号SG41を小さくするように(モータを動かす向きを変えて)位置制御を行い、このときの位置信号SG40と圧力信号SG10から加圧対象物の弾性定数を同定してもよい。
なお、図2、図3では、加圧対象物に接触してから、徐々に位置指令信号SG41を大きくしながら、このときの位置信号SG40と圧力信号SG10を記憶し、これらから加圧対象物の弾性定数を同定することを説明したが、機械負荷が加圧対象物に接触させた状態で、かつ、圧力が許容値を超えない範囲であれば、位置指令信号SG41はどのように与えてもよく、例えば、最初は位置指令信号SG41を大きくしていき、途中から位置指令信号SG41を小さくするように(モータを動かす向きを変えて)位置制御を行い、このときの位置信号SG40と圧力信号SG10から加圧対象物の弾性定数を同定してもよい。
また、同定処理を行う際に位置制御を適用することで、圧力信号SG10は直接的には制御されないため、加圧対象物に過大な圧力がかかることになる。しかしながら、許容値回避制御部が位置制御による加圧動作中も圧力信号SG10を監視し、あらかじめ設定された許容値を超えないように位置制御を行っている。これにより、過大な圧力を加圧対象物にかけることなく、加圧対象物の弾性定数を同定できる。
さらに、圧力信号SG10の値と位置信号SG40の値との組合せからなる複数個のデータから、弾性定数を同定するので、ノイズに影響されにくく、弾性定数の同定精度を向上させることができる。
実施の形態2.
先の実施の形態1では、機械負荷4を加圧対象物5に接触させた状態にて、位置制御を実行し、このときの圧力、位置のデータをもとに、加圧対象物5の弾性定数を同定する場合について説明した。これに対して、本実施の形態2では、同定する際の制御モードとして、位置制御ではなく速度制御を適用し、速度制御を実行したときの圧力、位置のデータをもとに加圧対象物の弾性定数を同定する場合について説明する。
先の実施の形態1では、機械負荷4を加圧対象物5に接触させた状態にて、位置制御を実行し、このときの圧力、位置のデータをもとに、加圧対象物5の弾性定数を同定する場合について説明した。これに対して、本実施の形態2では、同定する際の制御モードとして、位置制御ではなく速度制御を適用し、速度制御を実行したときの圧力、位置のデータをもとに加圧対象物の弾性定数を同定する場合について説明する。
図5は、本発明の実施の形態2における圧力制御装置の全体構成を表すブロック図である。本実施の形態2における図5の構成は、先の実施の形態1における図1の構成と比較すると、位置制御部40を備えていない点が異なっている。さらに、本実施の形態2では、速度制御を行って収集したデータに基づく同定処理を行う関係で、先の実施の形態1と同様の構成要素においても、内部処理が一部異なっている。そこで、これらの相違点を中心に、以下に説明する。
先の実施の形態1における許容値回避制御部60は、圧力検出器6で検出された圧力信号SG10を監視しながら、位置指令信号SG41を生成していた。これに対して、本実施の形態2における許容値回避制御部60は、圧力検出器6で検出された圧力信号SG10を監視しながら、圧力信号SG10があらかじめ設定された許容値を超えない範囲で、位置指令信号SG41ではなく、第2の速度指令信号SG24を生成し(後述する図7参照)、制御切換部50に対して出力している。
そして、制御切換部50は、圧力制御部10で生成された第1の速度指令信号SG22、もしくは、許容値回避制御部60で生成された第2の速度指令信号SG24のどちらか一方を速度指令信号SG21として選択し、出力する。
なお、速度指令信号SG21として、第2の速度指令信号SG24が選択された場合には、許容値回避制御部60で生成された第2の速度指令信号SG24に基づく速度制御になる。一方、速度指令信号SG21として、第1の速度指令信号SG22が選択された場合には、圧力制御部10による圧力指令信号SG11と圧力信号SG10との偏差に基づく圧力制御が有効になる。
許容値回避制御部60は、機械負荷4を加圧対象物5に接触させた状態で、第2の速度指令信号SG24に基づく速度制御を実行させたときの、圧力検出器6で検出された圧力信号SG10と、エンコーダ2で検出された位置信号SG40とを対応付けて、順次、データ記憶部70に記憶させる。さらに、同定部80は、データ記憶部70に記憶された圧力信号SG10と位置信号SG40との対応データをもとに、加圧対象物5の弾性定数を同定する。
次に、フローチャートを用いて、速度制御による一連の同定処理について説明する。図6は、本発明の実施の形態2における圧力制御装置で、加圧対象物の弾性定数を同定する一連処理を示したフローチャートである。なお、図6において、図2と同一ステップ番号を付したステップに関しては、基本的に同一処理を表すものあり、略説に留める。
ステップST1において、加圧対象物5に加えてよい圧力の許容値が、許容値回避制御部60に設定される。ステップST102において、加圧対象物5の弾性定数を同定するために、制御モードを速度制御に切り換える。すなわち、制御切換部50において、圧力制御部10で生成された第1の速度指令信号SG22ではなく、許容値回避制御部60で生成された第2の速度指令信号SG24を、モータを駆動するための信号である速度指令信号SG21として選択し、出力するようにする。
ステップST103において、許容値回避制御部60は、出力する第2の速度指令信号SG24として、正の向きの速度指令信号を所定時間分だけ設定する。ここで、正の向きの速度指令信号とは、先の図5において、機械負荷4が紙面右側に移動する速度指令信号SG21を与えること(すなわち、機械負荷4が加圧対象物5に接触後、加圧対象物5に、より大きな圧力を加えるような向きの速度指令信号を与えること)に相当する。
逆に、負の向きの速度指令信号とは、機械負荷4が紙面左側に移動する速度指令信号SG21を与えること(すなわち、機械負荷4が加圧対象物5に接触後、加圧対象物5から離れていくような向きの速度指令信号を与えること)に相当する。
ステップST4において、許容値回避制御部60は、加圧対象物5に接触したか否かを判定する。そして、許容値回避制御部60は、接触していないと判断した場合には、再度ステップST103に戻り、正の向きの速度指令信号を、再度、所定時間分だけ設定する。
一方、許容値回避制御部60は、先のステップST4において、加圧対象物5に接触したと判定した場合には、ステップST5において、圧力検出器6で検出された圧力信号SG10が、先のステップST1で設定された許容値を超えていないかどうかを判定する。
そして、許容値回避制御部60は、圧力信号SG10が許容値を超えていない場合には、ステップST6において、このときの位置信号SG40の値と圧力信号SG10の値とを対応付けて、データ記憶部70に記憶させる。さらに、ステップST107において、許容値回避制御部60は、出力する第2の速度指令信号SG24を正の向きに所定時間分だけ設定する。
ステップST5、ST6、ST107による一連の加圧動作を複数回繰り返すことにより、複数個の圧力信号SG10の値と位置信号SG40の値との組合せとして、上式(1)と同様のデータ(Fi、Xi)が、データ記憶部70に蓄えられることとなる。
一方、許容値回避制御部60は、先のステップST5において、圧力信号SG10が許容値を超えたと判断した場合には、ステップST108において、出力する第2の速度指令信号SG24として負の向きの速度指令信号を所定時間分だけ設定する。
図7は、本発明の実施の形態2における圧力制御装置の加圧動作時における第2の速度指令信号SG24と圧力信号SG10の時間変化を表すグラフである。具体的には、図6のフローチャートのステップST5、ST6、ST107、ST108の一連処理を行った際の、第2の速度指令信号SG24と圧力信号SG10の時間に伴う変化の様子が、図7に示されている。
正の向きの速度指令が所定時間分与えられることにより位置も大きくなり、圧力信号SG10もそれに伴い上昇する。そして、圧力信号SG10が許容値を超えない限り、再び正の向きの速度指令信号を所定時間分与える速度制御を繰り返し(ステップST107)、その都度、圧力信号SG10が許容値を超えていないかどうかを確認する(ステップST5)という処理を繰り返す。また、このような加圧動作中に、上式(1)のデータを逐次収集していく(ステップST6)。そして、最終的に、圧力信号SG10が許容値を超えれば負の向きの速度指令信号を所定時間分だけ設定し(ステップST108)、これにより、圧力信号SG10が許容値を超えている状態を回避する。
次に、ステップST9において、同定部80は、データ記憶部70に記憶された上式(1)に相当する位置信号SG40の値と圧力信号SG10の値との組合せからなる複数のデータをもとに、加圧対象物5の弾性定数を同定する。本実施の形態2における圧力制御装置は、このような速度制御により同定された加圧対象物5の弾性定数をもとに、圧力制御のパラメータを設定することができる。
最後に、ステップST10において、制御モードを、加圧対象物5の弾性定数を同定するためにステップST2〜ST9で用いた速度制御から、通常の制御に使用する圧力制御に切り換える。すなわち、制御切換部50において、許容値回避制御部60で生成された第2の速度指令信号SG24ではなく、圧力制御部10で生成された第1の速度指令信号SG22を、モータを駆動するための信号である速度指令信号SG21として選択し、出力するようにする。
この切り換え後、圧力制御装置は、外部からの圧力指令信号SG11に対して圧力検出器6で検出された圧力信号SG10が追従するように圧力制御を実行することとなり、図6に示した一連処理は終了する。
以上のように、実施の形態2によれば、圧力制御による実運用を開始する前に、速度制御を用いて機械負荷を加圧対象物に接触させ、その後、加圧していく加圧動作を実行する。そして、加圧動作中の圧力、位置データに基づいて、加圧対象物の弾性定数を同定し、同定結果に基づいて、圧力制御パラメータの最適化を行っている。この結果、圧力制御部のパラメータ(ゲイン)に依存せず、安定して加圧対象物の弾性定数を同定し、所望の圧力制御パラメータを得ることができる。
なお、同定処理を行う際に速度制御を適用することで、圧力信号SG10は直接的には制御されないため、加圧対象物に過大な圧力がかかることになる。しかしながら、許容値回避制御部が速度制御による加圧動作中も圧力信号SG10を監視し、あらかじめ設定された許容値を超えないように速度制御を行っている。これにより、過大な圧力を加圧対象物にかけることなく、加圧対象物の弾性定数を同定できる。
さらに、圧力信号SG10の値と位置信号SG40の値との組合せからなる複数個のデータから、弾性定数を同定するので、ノイズに影響されにくく、弾性定数の同定精度を向上させることができる。
また、実施の形態1の位置制御で加圧動作を実現する場合と同様、速度制御ゲインは加圧対象物の弾性定数に依存せずに決定することができるので、速度制御により加圧動作を実現しても外乱が加わるだけで、機械負荷が加圧対象物に接触しても発振することはない。これにより機械負荷が加圧対象物に接触したり、しなかったりする状態にならずに、弾性定数を同定するための動作を続行することができる。
また、実施の形態1の位置制御で加圧動作を実現する場合と同様、速度制御ゲインは加圧対象物の弾性定数に依存せずに決定することができるので、速度制御により加圧動作を実現しても外乱が加わるだけで、機械負荷が加圧対象物に接触しても発振することはない。これにより機械負荷が加圧対象物に接触したり、しなかったりする状態にならずに、弾性定数を同定するための動作を続行することができる。
実施の形態3.
先の実施の形態1では、機械負荷4を加圧対象物5に接触させた状態にて、位置制御を実行し、このときの圧力、位置のデータをもとに、加圧対象物5の弾性定数を同定する場合について説明した。また、先の実施の形態1では、機械負荷4を加圧対象物5に接触させた状態にて、速度制御を実行し、このときの圧力、位置のデータをもとに、加圧対象物5の弾性定数を同定する場合について説明した。
先の実施の形態1では、機械負荷4を加圧対象物5に接触させた状態にて、位置制御を実行し、このときの圧力、位置のデータをもとに、加圧対象物5の弾性定数を同定する場合について説明した。また、先の実施の形態1では、機械負荷4を加圧対象物5に接触させた状態にて、速度制御を実行し、このときの圧力、位置のデータをもとに、加圧対象物5の弾性定数を同定する場合について説明した。
これに対して、本実施の形態3では、同定する際の制御モードとして、位置制御でも速度制御でもない、トルク制御を適用し、トルク制御を実行したときの圧力、位置のデータをもとに加圧対象物の弾性定数を同定する場合について説明する。
図8は、本発明の実施の形態3における圧力制御装置の全体構成を表すブロック図である。本実施の形態3における図8の構成は、先の実施の形態1における図1の構成と比較すると、位置制御部40を備えていない点が異なっている。さらに、本実施の形態3では、トルク制御を行って収集したデータに基づく同定処理を行う関係で、先の実施の形態1、2と同様の構成要素においても、内部処理が一部異なっている。そこで、これらの相違点を中心に、以下に説明する。
先の実施の形態1における許容値回避制御部60は、圧力検出器6で検出された圧力信号SG10を監視しながら、位置指令信号SG41を生成していた。また、先の実施の形態2における許容値回避制御部60は、圧力検出器6で検出された圧力信号SG10を監視しながら、第2の速度指令信号SG24を生成していた。
これに対して、本実施の形態3における許容値回避制御部60は、圧力検出器6で検出された圧力信号SG10を監視しながら、圧力信号SG10があらかじめ設定された許容値を超えない範囲で、位置指令信号SG41、第2の速度指令信号SG24ではなく、第2のトルク指令信号SG33を生成し(後述する図10参照)、制御切換部50に対して出力している。
本実施の形態3における速度制御部20は、圧力制御部10から出力された速度指令信号SG21と、エンコーダ2で検出された速度信号SG20との偏差に基づく速度制御演算を行うことにより、第1のトルク指令信号SG32を生成する。
そして、制御切換部50は、速度制御部20で生成された第1のトルク指令信号SG32、もしくは、許容値回避制御部60で生成された第2のトルク指令信号SG33のどちらか一方をトルク指令信号SG31として選択し、出力する。
なお、トルク指令信号SG31として、第2のトルク指令信号SG33が選択された場合には、許容値回避制御部60で生成された第2のトルク指令信号SG33に基づくトルク制御になる。一方、トルク指令信号SG31として、第1のトルク指令信号SG32が選択された場合には、圧力制御部10による圧力指令信号SG11と圧力信号SG10との偏差に基づく圧力制御が有効になる。
許容値回避制御部60は、機械負荷4を加圧対象物5に接触させた状態で、第2のトルク指令信号SG33に基づくトルク制御を実行させたときの、圧力検出器6で検出された圧力信号SG10と、エンコーダ2で検出された位置信号SG40とを対応付けて、順次、データ記憶部70に記憶させる。さらに、同定部80は、データ記憶部70に記憶された圧力信号SG10と位置信号SG40との対応データをもとに、加圧対象物5の弾性定数を同定する。
次に、フローチャートを用いて、トルク制御による一連の同定処理について説明する。図9は、本発明の実施の形態3における圧力制御装置で、加圧対象物の弾性定数を同定する一連処理を示したフローチャートである。なお、図9において、図2と同一番号を付したステップに関しては、基本的に同一処理を表すものあり、略説に留める。
ステップST1において、加圧対象物5に加えてよい圧力の許容値が、許容値回避制御部60に設定される。ステップST202において、加圧対象物5の弾性定数を同定するために、制御モードをトルク制御に切り換える。すなわち、制御切換部50において、速度制御部20で生成された第1のトルク指令信号SG32ではなく、許容値回避制御部60で生成された第2のトルク指令信号SG33を、モータを駆動するための信号であるトルク指令信号SG31として選択し、出力するようにする。
ステップST203において、許容値回避制御部60は、出力する第2のトルク指令信号SG33として、正の向きのトルク指令信号を所定時間分だけ設定する。ここで、正の向きのトルク指令信号とは、先の図8において、機械負荷4が紙面右側に加速するのに必要なトルクの向きにトルク指令信号を与えることに相当する。逆に、負の向きのトルク指令信号とは、機械負荷4が紙面左側に加速するのに必要なトルクの向きにトルク指令信号を与えることに相当する。
ステップST4において、許容値回避制御部60は、加圧対象物5に接触したか否かを判定する。そして、許容値回避制御部60は、接触していないと判断した場合には、再度ステップST203に戻り、正の向きのトルク指令信号を、再度、所定時間分だけ設定する。
一方、許容値回避制御部60は、先のステップST4において、加圧対象物5に接触したと判定した場合には、ステップST5において、圧力検出器6で検出された圧力信号SG10が、先のステップST1で設定された許容値を超えていないかどうかを判定する。
そして、許容値回避制御部60は、圧力信号SG10が許容値を超えていない場合には、ステップST6において、このときの位置信号SG40の値と圧力信号SG10の値とを対応付けて、データ記憶部70に記憶させる。さらに、ステップST207において、許容値回避制御部60は、出力する第2のトルク指令信号SG33の大きさを正の向きに増大させる。
ステップST5、ST6、ST207による一連の加圧動作を複数回繰り返すことにより、複数個の圧力信号SG10の値と位置信号SG40の値の組合せとして、上式(1)と同じデータ(Fi、Xi)が、データ記憶部70に蓄えられることとなる。
一方、許容値回避制御部60は、先のステップST5において、圧力信号SG10が許容値を超えたと判断した場合には、ステップST208において、出力する第2のトルク指令信号SG33として負の向きのトルク指令信号を所定時間分だけ設定し、加圧対象物5にかかる圧力を小さくする。
図10は、本発明の実施の形態3における圧力制御装置の加圧動作時における第2のトルク指令信号SG33と圧力信号SG10の時間変化を表すグラフである。具体的には、図9のフローチャートのステップST5、ST6、ST207、ST208の一連処理を行った際の、第2のトルク指令信号SG33と圧力信号SG10の時間に伴う変化の様子が、図10に示されている。
図10において、第2のトルク指令信号SG33を大きくしていくたびに、モータが加速し、位置も大きくなる。これに伴い圧力も上昇する。ここで、一定の大きさのトルクを与え続けても、モータが加速し続けることはない。これは、加圧対象物5に圧力を与えることにより、反力が発生し、与えたトルクと反力がつり合う位置以上には動かないためである。
そして、圧力信号SG10が許容値を超えない限り、正の向きのトルク指令信号を増大したトルク制御を繰り返し(ステップST207)、その都度、圧力信号SG10が許容値を超えていないかどうかを確認する(ステップST5)という処理を繰り返す。また、このような加圧動作中に、上式(1)のデータを逐次収集していく(ステップST6)。そして、最終的に、圧力信号SG10が許容値を超えれば負の向きのトルク指令信号を設定し(ステップST208)、これにより、圧力信号SG10が許容値を超えている状態を回避する。
次に、ステップST9において、同定部80は、データ記憶部70に記憶された上式(1)に相当する位置信号SG40の値と圧力信号SG10の値との組合せからなる複数のデータをもとに、加圧対象物5の弾性定数を同定する。本実施の形態3における圧力制御装置は、このようなトルク制御により同定された加圧対象物5の弾性定数をもとに、圧力制御のパラメータを設定することができる。
最後に、ステップST10において、制御モードを、加圧対象物5の弾性定数を同定するためにステップST2〜ST9で用いたトルク制御から、通常の制御に使用する圧力制御に切り換える。すなわち、制御切換部50において、許容値回避制御部60で生成された第2のトルク指令信号SG33ではなく、速度制御部20で生成された第1のトルク指令信号SG32を、モータを駆動するための信号であるトルク指令信号SG31として選択し、出力するようにする。
この切り換え後、圧力制御装置は、外部からの圧力指令信号SG11に対して圧力検出器6で検出された圧力信号SG10が追従するように圧力制御を実行することとなり、図9に示した一連処理は終了する。
以上のように、実施の形態3によれば、圧力制御による実運用を開始する前に、トルク制御を用いて機械負荷を加圧対象物に接触させ、その後、加圧していく加圧動作を実行する。そして、加圧動作中の圧力、位置データに基づいて、加圧対象物の弾性定数を同定し、同定結果に基づいて、圧力制御パラメータの最適化を行っている。この結果、圧力制御部のパラメータ(ゲイン)に依存せず、安定して加圧対象物の弾性定数を同定し、所望の圧力制御パラメータを得ることができる。
なお、同定処理を行う際にトルク制御を適用することで、圧力信号SG10は直接的には制御されないため、加圧対象物に過大な圧力がかかることになる。しかしながら、許容値回避制御部がトルク制御による加圧動作中も圧力信号SG10を監視し、あらかじめ設定された許容値を超えないようにトルク制御を行っている。これにより、過大な圧力を加圧対象物にかけることなく、加圧対象物の弾性定数を同定できる。
さらに、圧力信号SG10の値と位置信号SG40の値との組合せからなる複数個のデータから、弾性定数を同定するので、ノイズに影響されにくく、弾性定数の同定精度を向上させることができる。
また、実施の形態1、2の位置制御や速度制御で加圧動作を実現する場合と同様、トルク制御により加圧動作を実現しても外乱が加わるだけで、機械負荷が加圧対象物に接触しても発振することはない。これにより機械負荷が加圧対象物に接触したり、しなかったりする状態にならずに、弾性定数を同定するための動作を続行することができる。
また、実施の形態1、2の位置制御や速度制御で加圧動作を実現する場合と同様、トルク制御により加圧動作を実現しても外乱が加わるだけで、機械負荷が加圧対象物に接触しても発振することはない。これにより機械負荷が加圧対象物に接触したり、しなかったりする状態にならずに、弾性定数を同定するための動作を続行することができる。
ここで、実施の形態1、2、3はいずれも回転型モータを使用して、圧力制御を行い、加圧対象物の弾性定数を同定する実施の形態について説明を行ったが、リニアモータを用いて機械負荷を駆動し、圧力制御を行い、加圧対象物の弾性定数を同定することも可能である。この場合、回転型モータのトルクに相当するものが、リニアモータの推力になる点が相違するだけである。
1 モータ、2 エンコーダ、3 ボールネジ、4 機械負荷、5 加圧対象物、6 圧力検出器、10 圧力制御部、20 速度制御部、30 電流制御部、40 位置制御部、50 制御切換部、60 許容値回避制御部、70 データ記憶部、80 同定部。
Claims (6)
- モータと、
前記モータの位置情報を位置信号として検出する位置検出部と、
前記モータの動作により駆動される機械負荷と、
前記機械負荷が加圧対象物に押し当てられたときの圧力または力の情報を圧力信号として検出する圧力検出部と、
前記圧力信号の参照信号である圧力指令信号と、前記圧力検出部で検出された前記圧力信号とに基づいて、圧力制御パラメータによる圧力制御演算を行い、前記モータを駆動する制御信号を生成する圧力制御部と
を備える圧力制御装置において、
前記圧力制御部による圧力制御を行うことなく、前記圧力検出部で検出された前記圧力信号があらかじめ設定された許容値を超えない範囲で、前記加圧対象物に対する前記機械負荷の位置を変化させる加圧動作を行わせ、前記加圧動作中に前記位置検出部で検出された位置信号と前記圧力検出部で検出された圧力信号との組合せからなる複数のデータを取得し、前記複数のデータに基づいて前記加圧対象物の弾性定数を同定する同定手段
をさらに備えることを特徴とする圧力制御装置。 - 請求項1に記載の圧力制御装置において、
前記同定手段は、同定した前記弾性定数に基づいて圧力制御パラメータを算出し、算出した前記圧力制御パラメータにより前記圧力制御部内の圧力制御パラメータを更新する ことを特徴とする圧力制御装置。 - 請求項1または2に記載の圧力制御装置において、
前記同定手段は、位置制御を実行することで前記加圧動作を行わせ、前記圧力信号が前記許容値を超えない範囲で前記複数のデータを取得する
ことを特徴とする圧力制御装置。 - 請求項1または2に記載の圧力制御装置において、
前記同定手段は、速度制御を実行することで前記加圧動作を行わせ、前記圧力信号が前記許容値を超えない範囲で前記複数のデータを取得する
ことを特徴とする圧力制御装置。 - 請求項1または2に記載の圧力制御装置において、
前記同定手段は、トルク制御を実行することで前記加圧動作を行わせ、前記圧力信号が前記許容値を超えない範囲で前記複数のデータを取得する
ことを特徴とする圧力制御装置。 - 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の圧力制御装置において、
前記同定手段は、前記位置検出部で検出された位置信号と前記圧力検出部で検出された圧力信号との組合せからなる前記複数のデータに対して最小二乗法を適用することで、前記加圧対象物の弾性定数を同定する
ことを特徴とする圧力制御装置。
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