JP2011251242A - 水浄化器具 - Google Patents

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Abstract

【課題】池、プールなどの汚れのある水を簡易に浄化して給水する。
【解決手段】池、プールなどから汲み上げポンプ21汲みあげた水は、貯水タンク1でポリアミノ酸架橋体またはポリアミノ酸塩架橋体が添加され撹拌棒23で撹拌され、浮遊物Fまたは沈殿物Cが凝集、析出する。浮遊物F及び沈殿物Cの無い水は、取込み口パイプ7から取り込まれ給水ホース4を通じて給水される。透明窓9から覗きながら、貯水タンク1を傾けるまたは取込み口パイプ7を回して、取込み口パイプ7に浮遊物Fと浮遊物Fの間の水部分を位置させてさらに給水を継続できる。撹拌棒23で撹拌しながら給水すると、水より軽い浮遊物Fは貯水タンク1底面中央の浮遊物取り器具41で回収され、水より重い沈殿物Cは貯水タンク1底面周縁の沈殿物取り器具46で回収される。
【選択図】図4

Description

本発明は水浄化器具に関し、特に汚れた池、川、プール等の水を浄化する器具に関する。
地震等の災害時には、水道管が破裂するなどして、水が長期間、例えば1〜2か月間、供給されないことが考えられる。このような場合に、飲料水、食器などを洗う水、体を洗う水、衣類などを洗う水、トイレの水などを確保することは、非常に重要である。また、水道・井戸の無い途上国などにおける清潔な水の確保も重要である。
特開2007−083187号公報 特開平09−174072号公報 特開平08−290166号公報 登録実用新案第2040231号公報
本件発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、簡易な器具でかつ簡易な方法で、池、川、プール等の水を浄化して、飲料水、食器などを洗う水、体を洗う水、衣類などを洗う水、トイレの水とすることにある。
上記目的を達成するために、本発明の水浄化器具は、 汲み上げられた池、沼、湖、河川、プール水、雨水、中水、下水、海の水を貯める貯水体と、 この貯水体内の水に添加されるポリアミノ酸架橋体またはポリアミノ酸塩架橋体と、 このポリアミノ酸架橋体またはポリアミノ酸塩架橋体が添加された上記貯水体内の水を撹拌する撹拌体と、 この添加され撹拌された貯水体内の水を当該貯水体の外に給水する給水体と、 上記添加及び撹拌によって、上記水内で凝集する沈殿物が溜まる上記貯水体内の高さより、上記給水体の取込み口の高さを高く、上記水内で凝集する浮遊物が溜まる上記貯水体内の高さより、上記給水体の取込み口の高さを低くした。
これにより、災害時などの給水に、池、沼、湖、河川、プール水、雨水、中水、下水、海の水を浄化して利用でき、しかも浄化された沈殿物及び浮遊物を除外でき、沈殿物及び浮遊物が給水される水に混入しない。さらに、この添加されるポリアミノ酸架橋体またはポリアミノ酸塩架橋体は天然成分と同じであり、天然由来の成分であり、有害なものではなく、自然界にある微生物によって分解されるので、そのまま下水に排水しても環境を汚すことがない。
(1)水浄化器具のセットまたは水浄化器具の付属品
図1は水浄化器具のセットまたは水浄化器具の付属品を示す。これらは、貯水タンク1(貯水体)、汲み上げポンプ21、収納ケース22、撹拌棒23(撹拌体)、水浄化剤24等からなっている。汲み上げポンプ21によって貯水タンク1へ池、沼、湖、河川、学校・公共施設・防火用水などのプール、水、雨水、中水、下水、海の水等が汲みあげられ貯められる。
この汲み上げポンプ21の下方の吸入口31にはホース36が接続され、このホース36の先端は、上記池、沼、湖、河川、プール水、雨水、中水、下水、海の水内に配置される。また汲み上げポンプ21の上方の給水口32にも別のホース37が接続され、このホース37の先端は、上記貯水タンク1内に配置され、取っ手33を上下動させると、汲み上げられた上記水が貯水タンク1内に供給され給水され貯水される。
上記水浄化剤24は、上記汲み上げられ、貯水タンク1内に貯水された、池、沼、湖、河川、プール水、雨水、中水、下水、海の水などの水の中に添加され、撹拌棒23によって、上記水とよく撹拌、混合される。
この水浄化剤24は、ポリアミノ酸架橋体またはポリアミノ酸塩架橋体を主成分とし、汚れた水に添加されることによって、水内の汚れが凝集され、汚れが水から分離される。この凝集物は、水より重い沈殿物Cの場合と、水より軽い浮遊物Fの場合、及び両方の場合とがある。沈殿物Cになるか、浮遊物Fになるかは、気温、湿度、水内の汚れの成分または内容などによって決まる。
撹拌棒23は、貯水タンク1内の水と、上記水浄化剤24とを混合して撹拌させる。この撹拌棒23は、貯水タンク1を上から見て、通常時計回り方向・右回りに回転される。この撹拌棒23は、省略されて、手など手動で撹拌できるし、場合によって撹拌棒23は汲み上げポンプ21で代用でき、汲み上げポンプ21によって撹拌可能である。
収納ケース22は発泡スチロール製、樹脂製等であり、内部に凹部34が形成され、この凹部34内に、貯水タンク1が折り畳んで収納される。この凹部34の周縁の収納ケース22の上面には凹溝35が形成されている。この凹溝35は、凹部34を挟んで一列に二か所形成されている。
この2つの凹溝35を掛け渡すように、凹溝35内に、上記汲み上げポンプ21が収納される。なお、この凹溝35内に、上記撹拌棒23が収納されてもよいし、撹拌棒23が収納される凹溝がさらに形成されてもよいし、撹拌棒23は上記凹部34内に収納されてもよい。
このような収納ケース22は、裏返して台として使用でき、この裏返された収納ケース22の上に上記貯水タンク1が展開されて設置される。この収納ケース22は発泡スチロール製、樹脂製等、水より軽い素材よりなっており、水害等があっても水に浮くことができ、る。
上記撹拌棒23は、棒の先端が桶状のほか、板状、羽根状でもよいし、棒の先端から周囲に環状に広がった円盤状でもよいし、スクリュー状、棒の各所から周囲に突出した複数の板状、羽根状であってもよい。折り畳まれた貯水タンク1は袋に収納されてバンドで梱包されてもよい。また汲み上げポンプ21は、収納ケース22内に入る大きさでもよい。収ケース22は、さらに収納用の袋に入れられてもよく、さらにバンドで梱包されてもよい。
(2)水浄化剤24
上述の水浄化剤24のポリアミノ酸架橋体またはポリアミノ酸塩架橋体の内容、化学的性質及び製法などは、特許権者日本ポリグル株式会社の特許第4195828号に示されており、この内容全ては本件発明の詳細な説明の全て記載されているものとする。
上記池、沼、湖、河川、プール水、雨水、中水、下水、海の水などには、浮遊物質(SS、Suspended Solids)や生物化学的酸素要求量(BOD、Biochemical Oxygen Demand)を生じるBOD成分や、化学的酸素要求量(COD、Chemical Oxygen Demand)を生じるCOD成分などが含有されている。
ポリアミノ酸架橋体またはポリアミノ酸塩架橋体の凝集作用により、原水中のSS成分が主として除去される。勿論、この凝集作用によりBOD成分やCOD成分の大部分も同時に凝集される。これにより、黄濁状態にある原水は、飲用可能な飲料水にまで浄化される。なお、場合によって、活性炭などの吸着材や中空糸などの濾過作用により原水中に残留するBOD成分やCOD成分が除去されても良いし、塩素滅菌処理などを付設してより高度な浄化処理を行うことも可能である。
使用できるアミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ノルバリン、ロイシン、ノルロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、ジョードチロシン、スリナミン、トレオニン、セリン、プロリン、ヒドロキシプロリン、トリプトファン、チロキシン、メチオニン、シスチン、システイン、α―アミノ酪酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、ヒドロキシリジン、アルギニン、ヒスチジンなどである。これらのアミノ酸からなるポリアミノ酸またはポリアミノ酸塩などである。
γ―ポリグルタミン酸架橋体またはγ―ポリグルタミン酸塩架橋体の優れた凝集作用は、ポリアミノ酸架橋体またはポリアミノ酸塩架橋体に共通した性質である。一般に、アミノ酸の構造式はNH2(COOH)―CH−Rで表される。ポリアミノ酸には同一アミノ酸が鎖状に重合したホモポリマーと複数種のアミノ酸が鎖状に重合したヘテロポリマーが存在する。ポリアミノ酸の中にある水素原子Hや酸素原子Oは水と水素結合するため、ポリアミノ酸は表面に水を吸着する保湿性を有する。
この鎖状分子であるポリアミノ酸を放射線照射すると、例えば、ポリアミノ酸の中にあるCH2が脱水素反応によりCH−となり、2本のポリアミノ酸のCH−同士がCH−HCと結合して架橋体を形成する。多数のポリアミノ酸同士が放射線で架橋すると網目構造になり、この網目構造の内部に袋状の空間が多数形成される。脱水素反応以外の経路でも架橋反応が生じることはある。
放射線による架橋はポリアミノ酸を加熱する事無く架橋できるので、アミノ酸本来の性質を残したままポリアミノ酸放射線架橋体を形成できる利点を有する。放射線架橋反応は低温架橋反応であり、加熱による架橋反応と異なる点が特徴である。放射線架橋法以外の低温架橋法も利用できる。加熱架橋法ではポリアミノ酸が熱変成を受けるが、放射線架橋などの低温架橋法では熱変成を受けない点に特徴を有する。
上述したように、ポリアミノ酸架橋体は多数の袋状空間を内部に有するため、この袋状空間に水分子を吸収保存する能力を有し、この作用によりポリアミノ酸よりも大きな保水性能を発現できる。この保水性能が、懸濁物質を吸収して凝集させる凝集性能であると考えられる。
このポリアミノ酸架橋体は吸水性能を有するだけでなく、金属イオン等の吸着性能も有している。ポリアミノ酸は水素や酸素を有しており、水素結合によって水中の水分を表面に吸着する性質がある。水中では、金属イオン等の周囲には多数の水分子が水和している。この水和水がポリアミノ酸の表面に水素結合により吸着されるため、金属イオン等の荷電物質も吸着除去される。
また、ポリアミノ酸架橋体の内部にある多数の袋状空間にも金属イオン等が吸収されると考えられる。つまり、ポリアミノ酸架橋体の表面と内部に金属イオン等が懸濁物質と一緒に選択的に吸着される。
以上の特徴をより具体化するために、ポリアミノ酸の一例としてγ―ポリグルタミン酸について考察する。γ―ポリグルタミン酸は(−OOC−CH2−CH2−CH(COOH)NH―)nで表される鎖状分子で、添字nが重合度を与える。出発原料となるγ―ポリグルタミン酸は分子量の大きなもの、特に数十万〜数百万の分子量を有するものが好適であり、これらの分子量は前記重合度nによって決まる。
このγ―ポリグルタミン酸に放射線を照射すると、脱水素反応によりCH2がCH−となり、2本のγ―ポリグルタミン酸の直鎖がCH−HCを介して連結し、[(−OOC−CH2−CH2−CH(COOH)NH―)n]2のように架橋する。この架橋度が更に大きくなると、 [(−OOC−CH2−CH2−CH(COOH)NH―)n]mのような分子量の大きな放射線架橋体が生成される。ここで、mは架橋度を示し、架橋連結されるγ―ポリグルタミン酸の直鎖の本数を与えている。
架橋度mを更に大きくすることによって、γ―ポリグルタミン酸架橋体の分子量を1000万以上にする。γ―ポリグルタミン酸はポリペプチド鎖であるから、−CH−HC−の連結により内部に多数の大きな空間が形成された網目構造となる。前述したように、この多数の内部空間に汚濁水を吸収して、汚濁物質を内部蓄積すると考えられている。しかも、その表面や内部空間に金属イオン等も強力に吸着する性能を有している。
上記ポリアミノ酸は、種々の製造方法により生産されたものが用いられる。製法としては、例えば微生物による培養方法、化学合成法などがある。微生物により生産されたポリアミノ酸は天然物質であり、安全性の観点から推奨される。ポリアミノ酸の中でも、γ―ポリグルタミン酸が特に有力である。
γ―ポリグルタミン酸の微生物培養法では、バチルス属のバチルス・スブチリス、バチルス・アントラシス、バチルス・メガテリウム、バチルス・ナットウ等の菌が利用できるが、特にバチルス・スブチリスのF−2−01株が生産量において好適である。この菌株は分子量が数十万〜数100万のγ―ポリグルタミン酸を産生し、その分子量が比較的大きいから、放射線によって効率よく架橋体を製造できる。
微生物が産生するγ―ポリグルタミン酸は、古くより納豆の粘物質の主成分として食されているように、人畜無害な天然物であり、しかも食品であるという大きな特徴を有する。つまり、このγ―ポリグルタミン酸は凝集性能と金属イオン等の吸着性能を有するだけでなく、誤って食べてしまっても害が全く無く、逆に栄養分になるという点で優れている。
前記微生物が産生するγ―ポリグルタミン酸は、枝分れのない直鎖状のγ―ペプチドで、L−グルタミン酸とD−グルタミン酸の共重合体、即ちヘテロポリマーである。このヘテロポリマー構造のγ―ポリグルタミン酸がポリアミノ酸の一例として使用される。
微生物産生のγ―ポリグルタミン酸は、所要の養分を混入した液体培地に微生物を植種し、所要温度で所要時間培養して、培養液からγ―ポリグルタミン酸を単離して得られる。液体培地以外に固形培地を利用しても良い。本発明においては、γ―ポリグルタミン酸単体のみならず、培養液自体、また培養液から沈殿させて得られたγ―ポリグルタミン酸を含む培養物でも構わない。この培養物にはγ―ポリグルタミン酸と同時にγ―ポリグルタミン酸塩も生成されている。
化学合成されるα―ポリグルタミン酸には、L−グルタミン酸のホモポリマー、D−グルタミン酸のホモポリマー、これら両ホモポリマーの混合物など種々の構造のポリマーが生成される。これらの化学合成されたα―ポリグルタミン酸もポリアミノ酸の一例として使用できる。つまり、ポリアミノ酸は化学合成品でもよいし、微生物合成品でも使用できる。水の凝集剤としては、安全性の観点から微生物合成品が推奨される。
また、本発明で用いられるポリアミノ酸塩は、ポリアミノ酸と塩基性化合物の中和反応により塩として生成される。ポリアミノ酸と塩基性化合物を水などの溶媒に室温で溶解させ、加熱しながら攪拌すると効率的に生成される。塩基性化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等、アンモニア、アミンなどの有機性の塩基性化合物がある。
ポリアミノ酸と塩基性化合物の反応条件において、加熱温度は5〜60℃が望ましい。5℃以下では反応が遅くなり、60℃を超えるとポリアミノ酸が分解する可能性もある。また、pHは弱酸性〜弱塩基性の範囲が好ましく、特にpHは5〜10の範囲が好ましい。また、ポリアミノ酸と塩基性化合物の分量は過不足のない化学量論的反応量が適当である。
本発明で用いられるポリアミノ酸またはポリアミノ酸塩は、分子量が数十万〜数百万に分布しているものが適当であり、微生物産生の場合には、その分子量は比較的大きく、上記範囲内に分布するものが多い。化学合成の場合でも、数十万以上に重合させたものが適当である。
本発明では、このポリアミノ酸またはポリアミノ酸塩を放射線などで架橋させて分子量が1000万以上の架橋体を生成する。1000万以上になると、架橋体に無数の袋状空間が形成され、懸濁物質吸収性能と金属イオン等吸着性能が実用に耐える程度に高くなる。
ポリアミノ酸またはポリアミノ酸塩の単体を放射線照射するだけでなく、培養液・培養物・固形培地などを放射線照射して、ポリアミノ酸またはポリアミノ酸塩の放射線架橋体の単体や放射線架橋体の混入物を得ることができる。いずれも本発明に係る放射線架橋体として使用できる。特に、培養液に放射線照射した場合には、放射線架橋体含有液が生成され、被処理液に添加する場合に、取扱方法や濃度調整が容易である。
架橋用の放射線としては、α線、β線、γ線、X線、電子線、中性子線、中間子線、イオン線などが利用できる。この中でも、操作性の良好さからγ線、X線、電子線が好適である。X線はX線管球または非管球式の両者が利用でき、近年普及している電子リングから放射される放射光も利用できる。電子線はビームエネルギーに応じて公知の電子線照射装置が利用できる。
γ線は放射線源を利用できる点で優れている。γ線源としてはコバルト60、ストロンチウム90、ジルコニウム95、セシウム137、セリウム141、ルテニウム177等があるが、半減期やエネルギーの観点からコバルト60やセシウム137が好適である。
本発明では、ポリアミノ酸またはポリアミノ酸塩を放射線架橋することによって、分子量が1000万以上のポリアミノ酸またはポリアミノ酸塩の放射線架橋体を生成する。分子量を1000万以上に架橋すると、放射線架橋体の凝集特性が急増する。
ポリアミノ酸を分子量1000万以上に架橋するには、ポリアミノ酸原料に吸収線量で1〜500kGyの放射線照射が必要で、1kGy以下では架橋がなかなか進行せず、また500kGyを超えると架橋が進行し過ぎるため、架橋体の網目構造によって形成される内部空間が小さくなり、逆に凝集活性が低下するようになる。架橋性及び凝集活性の観点から、吸収線量としては5〜100kGyが更に好適である。上記の事項は、γ―ポリグルタミン酸やγ―ポリグルタミン酸塩でも共通である。
例えば、γ―ポリグルタミン酸及びγ―ポリグルタミン酸塩それ自体はアルコールやアセトンなどの有機溶媒に溶解しない性質を有している。また、γ―ポリグルタミン酸塩は水に溶解するが、γ―ポリグルタミン酸は水に溶解しない性質を有する。ところが、これに放射線架橋を施すと、放射線架橋体の表面が水や、含水アルコール・含水アセトンなどの含水有機溶媒に対して親和性を有するように改質される。この表面改質の特質はγ―ポリグルタミン酸以外のポリアミノ酸系にも見られる。
放射線架橋体となることによって、γ―ポリグルタミン酸及びγ―ポリグルタミン酸塩の両者が、水や含水有機溶媒に親和性を持つようになり、具体的には飲料用の原水に溶解するようになる。この性質は他のポリアミノ酸にも見られるから、γ―ポリグルタミン酸を含むポリアミノ酸放射線架橋体を本発明に使用するものである。
したがって、黄濁した原水にポリアミノ酸架橋体やポリアミノ酸塩架橋体を添加すると、原水に含有される懸濁物質を凝集しながら無数の凝集物が浮遊状態で形成され、これらの凝集物が集合して下方に沈殿して貯水タンク1の底部に沈殿物Cを堆積してゆく。元の原水は黄濁していたが、凝集沈殿後には原水の上方部分は上澄み水となり、透明度が極めて高くなる。換言すれば、この凝集沈澱処理によって、原水中のSS成分はほぼ確実に除去でき、大部分のCOD成分やBOD成分も除去される。
このようなポリアミノ酸架橋体またはポリアミノ酸塩架橋体は、納豆菌などの微生物により生産され、天然物質であり、人工物質または合成物質ではないので、非常に安全である。したがって、上記貯水タンク1内の残存水、残存物となる沈殿物Cまたは浮遊物Fを、そのまま下水等に流しても、安全であり、環境を汚すこともなく、むしろ下水内の汚れを浄化することにもなる。
(3)貯水タンク1
図2、図3、図4及び図5は水浄化器具の中の貯水タンク1を示す。この貯水タンク1は六枚の側板2…が正六角柱状に互いに連結されて立設される。この6枚の側板2…は、水圧で容易に変形しない発泡ウレタン製などの発泡樹脂製、樹脂製の少々可撓性のある板となっており、この板の内側及び外側の外両面が容易に破れない防水性の可撓性のある丈夫な破れない厚手の可撓性のある樹脂シートで隙間なく覆われている。
この樹脂シートは延出されて隣の側板2の樹脂シートと繋がっており、6枚の側板2にわたって周回して、上記発泡樹脂製の板を隙間なく覆って、六枚の側板2…が連結されている。各側板2…の間には、上記発泡樹脂製の板の無い個所が縦長に形成され、この部分は折り曲げ部10…となっている。
この縦長の折り曲げ部10…は熱溶着又は接着剤などによって内面と外面とが接着されている。この縦長の折り曲げ部10…に沿って側板2…どうしを自在に折り曲げ可能となっている。
この6枚の側板2…及び折り曲げ部10…の樹脂シートの下縁には、可撓性のある六角形状の底シート3が隙間なく連結接着されており、この連結接着は熱溶着または接着剤などによる。この底シート3も防水性の樹脂シートで、容易に破れない丈夫な素材からなっている。
図8及び図9は貯水タンク1の折り畳み状態を示す。上記6枚の側板2…、折り曲げ部10…及び底シート3は折り畳んで薄く小さくでき、上記収納ケース22の凹部34内に収納される。この場合、六角形の底シート3の中央で折り返され、三枚の側板2…が他の三枚の側板2…に重ねられ、この重ねられた三枚の側板2…がさらに重ねられて一枚の側板2…に重ねられ、底シート3が何重に折られる。
また、六角形の側板2…が2枚ずつ組となって、六角形の中心に向かって折り返されて「Y字状」に重ねられ、この「Y字状」の側板2…がさらに重ねられて一枚の側板2…に重ねられ、底シート3が何重に折られる。
このようなコンパクトな折り畳みは、六角柱筒状のほか、四角柱筒、八角柱筒、十角柱筒、十二角柱筒、…等でも可能である。したがって、貯水タンク1は、偶数の多角形柱を形成する複数の側面とこの各側面の下縁で接着される底面とよりなっているといえる。
上記6枚の折り曲げ部10…の一枚の下端には穴6が開けられ、この穴6の外側には可撓性のある給水ホース4(給水体)が隙間なく連結されており、この連結は熱溶着または接着剤などによる。この給水ホース4は容易に破れない樹脂製であり、折り畳んで側板2…の側面に固定フック5…に固定できるようになっている。この給水ホース4を通じて、貯水タンク1の外に貯水タンク1内の水が給水される。
上記固定フック5…は帯状で、この帯状の両端が折り曲げ部10…または側板2…の表面に熱溶着又は接着剤で接着されている。この固定フック5…内を上記給水ホース4が挿通されて、給水ホース4が固定される。この固定では、給水ホース4が固定フック5…に対して下方から上方へ向かって固定される。したがって、貯水タンク1内の水が漏れだすことがない。固定フック5…からはみ出した給水ホース4の先端は下方へ折り返される。
上記固定フック5…は左右から面ファスナーなどで着脱自在に連結され、左右に離すと、給水ホース4を取り外すことができる。給水ホース4からは浄化された水が給水され、ポリタンクやポリバケツに給水して、災害時の水として使用できる。この給水ホース4の延端はハサミなどで切断して適当な長さに調整できる。
上記側板2…の穴6の内側には、「L字状」に折り曲げられた硬質の樹脂製のパイプ状の取込み口パイプ7が回動可能かつ着脱自在に差し込まれて連結されている。この取込み口パイプ7の先端(取込み口)を含む外面全体には、ストッキングのような薄い布製の網8がかぶせられている。
この網8の目は、上記水内で凝集する沈殿物C及び浮遊物Fを通さない小ささ(大きさ)とされる。これにより、上記水内で凝集する沈殿物C及び浮遊物Fが、上記給水ホース4内に流れない。この網8は、上記浄化された水を通すが、上記浮遊物F及び沈殿物Cを通さないフィルタの役目も果たす。
しかし、このような網8は、脱脂綿、布、その他のろ過及び水浄化用のフィルタに置き換えられてもよい。このようなフィルタは取込み口パイプ7の先端(取込み口)だけに装着されてもよいし、随時交換されてもよい。
この取込み口パイプ7の先端(取込み口)の貯水タンク1の内底面からの高さは、上記貯水タンク1の側板2…の内側の高さの5%乃至20%、望ましくは7.5%乃至15%、より望ましくは10%乃至12.5%となる。実験ではこの高さであれば、上記貯水タンク1内で凝集する沈殿物C及び浮遊物Fが取込み口パイプ7内に入らない。
このような取込み口パイプ7は穴6に対して回動(移動)できるので、貯水タンク1内の沈殿物Cの量が少なければ、取込み口パイプ7を回動(移動、変更)して、取込み口パイプ7の先端の貯水タンク1の底からの高さを低くして、貯水タンク1の底に溜まった沈殿物Cの上の沈殿物Cのない水部分を無駄なく給水ホース4へ送り込むことができる。
また、貯水タンク1内の沈殿物Cの量が多ければ、取込み口パイプ7を回動(移動、変更)して、取込み口パイプ7の先端の貯水タンク1の底からの高さを高くして、貯水タンク1の底に溜まった沈殿物Cを給水ホース4へ送り込まないようにできる。以上のように、上記取込み口パイプ7の先端(取込み口)の上記貯水タンク1内における高さは、貯水タンク1内の水位に対して変更される。
さらに、貯水タンク1内の浮遊物Fは、貯水タンク1内の水の上の方に溜まる。しかし、取込み口パイプ7の先端は、貯水タンク1の下の方、つまり貯水タンク1の底から5%乃至20%の位置にあるので、貯水タンク1内の上方の浮遊物Fは、取込み口パイプ7に入らず、給水ホース4へ送り込まれない。
上記穴6の横の側板2…には、縦に延びる透明窓9(透視窓)が形成されている。この透明窓9は、側板2…が縦に切欠かれ、ここに透明の樹脂シートが嵌め込まれ、この透明の樹脂シートは側板2…の上記樹脂シートに隙間なく連結されており、この連結は熱溶着または接着剤などによる。したがって、透明窓9によって、上記貯水タンク1の側面の取込み口パイプ7の先端(取込み口)の近辺の、当該貯水タンク1内の水位を透視できる。
給水を行って、貯水タンク1内の水位が下がってきたとき、取込み口パイプ7の先端に、貯水タンク1内の浮遊物Fの層の下面が到達しそうになった時には、給水ホース4を持ち上げて給水を停止する。
図5は貯水タンク1を傾斜させた状態を示す。ここで、貯水タンク1内の上方の浮遊物Fの層と下方の沈殿物Cの層との間にまだ、浮遊物Fも沈殿物Cもない水の層があり、しかも取込み口パイプ7の先端より「下」に浮遊物Fも沈殿物Cもない水の層があるときは、貯水タンク1を支えている収納ケース22を取込み口パイプ7、穴6、給水ホース4に向かって傾斜する。
そうすると、浮遊物Fも沈殿物Cもない水の層の厚さが厚くなって高く上がるので、取込み口パイプ7の先端が浮遊物Fも沈殿物Cもない水の層の中に入り込む。これにより、浮遊物Fも沈殿物Cもない水を無駄なく給水ホース4へ給水できる。これは、貯水タンク1の側板2…を内側に向かって押して凹まして、貯水タンク1の水平方向の断面積を小さくしても同様に実現できる。
図6は貯水タンク1を傾斜させた状態を示す。貯水タンク1内の上方の浮遊物Fの層と下方の沈殿物Cの層との間にまだ、浮遊物Fも沈殿物Cもない水の層があり、しかも取込み口パイプ7の先端より「上」に浮遊物Fも沈殿物Cもない水の層があるときは、貯水タンク1を支えている収納ケース22を取込み口パイプ7、穴6、給水ホース4と反対側に向かって傾斜する。
そうすると、浮遊物Fも沈殿物Cもない水の層の厚さが厚くなって低く下がるので、取込み口パイプ7の先端が浮遊物Fも沈殿物Cもない水の層の中に入り込む。これにより、浮遊物Fも沈殿物Cもない水を無駄なく給水ホース4へ給水できる。
これは、貯水タンク1の側板2…を外側に向かって押して膨らませて、貯水タンク1の水平方向の断面積を大きくしても同様に実現できる。以上のように、上記貯水タンク1は傾斜され、上記取込み口パイプ7の先端(取込み口)を、浮遊物Fも沈殿物Cもない水の層に移動させることができる。
以上のような貯水タンク1の傾斜は、上記取込み口パイプ7の上の透明窓9を通じて、取込み口パイプ7の浮遊物Fと沈殿物Cに対する位置を見ながら行うことができるので、取込み口パイプ7の先端に確実に浮遊物Fも沈殿物Cもない水の層を位置させることができる。
以上のように、上記貯水タンク1の水内で凝集する沈殿物Cが溜まる貯水タンク1内の高さより、上記取込み口パイプ7の先端(取込み口)の高さは高くされ得るし、また上記貯水タンク1の水内で凝集する浮遊物Fが溜まる上記貯水タンク1内の高さより、上記取込み口パイプ7の先端(取込み口)の高さは低くされ得る。
これは上記貯水タンク1を傾斜させて、上記取込み口パイプ7の先端(取込み口)を、浮遊物Fも沈殿物Cもない水の層に移動させた時も同様であるし、取込み口パイプ7を回動して、貯水タンク1内における高さが貯水タンク1内の水位に対して変更させたときも同様である。これにより、給水する水に、凝集した沈殿物C及び浮遊物Fが混入するのが防止され、浮遊物Fも沈殿物Cもない水を無駄なく給水ホース4へ給水できる。
なお、貯水タンク1の側板2…の一枚の外側の上方には紐が固定されてもよい。この紐によって、上記汲み上げポンプ21の給水口32に取り付けられるホース37を固定できる。
(4)浮遊物取り器具
図3及び図4は浮遊物取り器具41を示す。浮遊物取り器具41はバケツのような形状をしていて、底の無い円錐台形を逆さまにして、上記貯水タンク1の中央の水中に設置される。この浮遊物取り器具41は樹脂製または防止加工された布製などで、折り畳み可能に可撓性を有している。
この浮遊物取り器具41は、貯水タンク1内の水を撹拌棒23で撹拌したときに、揺れたり移動したり転倒したりしない重量を有する。場合によって浮遊物取り器具41には錘が取り付けられる。
このような浮遊物取り器具41の側面は外上方に向かって傾斜しており、この傾斜角は、貯水タンク1底面に対して30度乃至90度、望ましくは40度乃至80度、例えば50度乃至70度である。
また、浮遊物取り器具41の周縁の高さは、上記取込み口パイプ7の先端(給水体の取込み口)の高さより高い。この高さの差は、上記貯水タンク1の側板2…の内側の高さの0.5%乃至20%、望ましくは1%乃至15%、より望ましくは1.5%乃至10%、例えば2%乃至5%となる。
貯水タンク1内の水に上記水浄化剤24を添加して撹拌棒23で撹拌すると、凝集する浮遊物Fは水より軽く、撹拌の遠心力によって、貯水タンク1内の水の中央に、逆円錐状に集まる。次いで、貯水タンク1内の水を給水ホース4で貯水タンク1の外へ給水していくと、逆円錐状の浮遊物Fは次第に下がり、全て浮遊物取り器具41の中に入って回収される。
このように浮遊物取り器具41は、貯水タンク1内の中央付近の水を内部に貯める。そして、浮遊物取り器具41の側面は外上方に向かって傾斜しているので、上記逆円錐状の浮遊物Fが漏れなく浮遊物取り器具41内に回収される。浮遊物取り器具41の周縁の高さは、取込み口パイプ7の先端(取込み口)の高さより高いので、浮遊物取り器具41に回収された浮遊物Fが、取込み口パイプ7に入ることがない。
このような浮遊物取り器具41による浮遊物Fの除去は、上述の取込み口パイプ7の先端を回動して高さを変えた時、貯水タンク1を傾斜させた時でも、同様に浮遊物Fは浮遊物取り器具41内に回収される。
貯水タンク1を支えている収納ケース22を穴6、給水ホース4と反対側に向かって傾斜したとき、浮遊物取り器具41の高さが取込み口パイプ7の先端(取込み口)の高さより低くなることがある。このようなときでも、取込み口パイプ7の先端を回動させれば、浮遊物取り器具41の高さが取込み口パイプ7の先端の高さより高くなる。
これにより、浮遊物Fが取込み口パイプ7の先端に達するのを防止でき、浮遊物Fがない水を無駄なく最後まで給水ホース4へ給水できる。実験では、上述の浮遊物取り器具41及び取込み口パイプ7の先端の高さの差であれば、上記貯水タンク1内で凝集する浮遊物Fが全て浮遊物取り器具41に入り込み、取込み口パイプ7内に入らない。
(5)沈殿物取り器具
図7、図3及び図4は沈殿物取り器具46を示す。この沈殿物取り器具46は三角錐状で底面は無く、横向きに貯水タンク1内の底面と内側面とに接するように配置される。この沈殿物取り器具46の2つの三角形状の側面は互いに直交し、貯水タンク1内の底面と内側面との隙間なく接する。この沈殿物取り器具46は樹脂製または布製の網状で、水を透過し、上記沈殿物Cは透過させず、沈殿物Cを回収する。
貯水タンク1内の水に上記水浄化剤24を添加して撹拌棒23で撹拌すると、凝集する沈殿物Cは水より重く、撹拌の遠心力によって、貯水タンク1内の水の底に、円環状に集まる。ここで、沈殿物取り器具46をこの円環状の沈殿物Cの位置に配置しておくと、沈殿物取り器具46内に、全ての沈殿物Cは沈殿物取り器具46の中に入って回収される。
この沈殿物取り器具46の高さは、上記取込み口パイプ7の先端(給水体の取込み口)の高さより低いが、高くてもよい。また、沈殿物取り器具46の高さは、浮遊物取り器具41の周縁の高さより低いが、高くでもよい。いずれの場合でも、沈殿物Cを回収できる。
このような沈殿物取り器具46は、取込み口パイプ7からもっとも離れた対向する位置に一つ配置される。場合によって、取込み口パイプ7は複数配置されてもよい。また、貯水タンク1内の撹拌方向つまり水の流れに沿って、取込み口パイプ7の上流側、つまり貯水タンク1の中心を挟んで取込み口パイプ7の反対側から取込み口パイプ7の上流側までの間に配置されてもよい。これにより、取込み口パイプ7への沈殿物Cの侵入を防ぐことができる。
撹拌棒23の通常の撹拌方向は、貯水タンク1を上から見て時計回り方向・右回り方向となる。これは反時計方向・左方向より撹拌し易い。右利きの人にとって、時計回り方向・右回り方向の方が撹拌し易いからである。左利きの人にとって、撹拌方向は反時計方向・左方向となる。この撹拌方向の場合には、沈殿物取り器具46の向きも逆となり、開口方向も逆となる。
(6)他の実施の形態
本発明は、上記実施例に限定されず、種々変更可能である。例えば、貯水タンク1の形状は、六角柱筒状のほか、七角柱筒、八角柱筒、九角柱筒、十角柱筒、十一角柱筒、十二角柱筒、…、五角柱筒、四角柱筒、三角柱筒などでもよい。
この場合、一つの側板2…の中に一つまたは複数の折り曲げ部10…が形成されて、一枚の側板2…が複数に折り畳まれてもよい。さらに、貯水タンク1の形状は、円筒、楕円筒、角筒、円錐台、角錐台、球形、卵形、多面体など水を貯水できればどのような形状でもよい。貯水タンク1は折り畳みできなくてもよい。
透明窓9は、取込み口パイプ7の上だけでなく、取込み口パイプ7の下、横等に形成されても良い。透明窓9は貯水タンク1の一側面または複数側面全体に形成されても良いし、貯水タンク1の周側面全体にわたって形成されても良いし、貯水タンク1全体が透明であってもよい。
貯水タンク1の素材は透明体または半透明体などでもよい。これにより、透明窓9(透視窓)は不要になる。透明窓9は、取込み口パイプ7の近傍に、貯水タンク1内につながった、貯水タンク1内の水位と同じ水位が表れる連通管(サイホン)であってもよい。
取込み口パイプ7は回動するほか、上下動、スライドできてもよいし、取込み口パイプ7は針金入りのホースからなり、形状が変形されこれが保持、維持されるものでもよい。このようなものでも、取込み口パイプ7の先端(取込み口)を貯水タンク1の水位に対して変更できる。
撹拌棒23は棒状だけでなく、複数の棒が絡み合ったもの、撹拌用の羽根状、複数の羽根が絡み合ったもの、貯水タンク1の上に蓋ができる蓋を上端に有しているもの、この蓋の下面に撹拌用の羽根、人間の手に装着される板材、人間の手など何でもよい。
浮遊物取り器具41は、円錐台形のほか、円筒、楕円筒、角筒、円錐台、角錐台、球形、卵形、多面体など水を貯水できればどのような形状でもよい。浮遊物取り器具41は折り畳みできなくてもよい。浮遊物取り器具41は貯水タンク1の底面に一体形成されてもよい。浮遊物取り器具41の内側面は外上方に向かって傾斜し外側面は垂直でも内上方に向かって傾斜してもよい。
浮遊物取り器具41は、貯水タンク1の中央の底が凹んで、貯水タンク1の底面と一体化されてもよい。また、貯水タンク1の底面は、貯水タンク1の底面の周縁から中心に向かって傾斜してテーパー状でもよい。この場合には、貯水タンク1の底面全体が浮遊物取り器具41となる。
沈殿物取り器具46の形状は、四角筒等の角筒、円筒、楕円筒、円錐台、角錐台、球形、卵形、多面体など沈殿物Cを回収できればどのような形状でもよい。沈殿物取り器具46は折り畳みできてもよい。
沈殿物取り器具46は、貯水タンク1の底面に斜めに立設された網状の衝立でもよい。この衝立の一方の側縁は貯水タンク1の内側面に固定される。このような衝立でも、この衝立と貯水タンク1の内側面との間に沈殿物Cを回収できる。沈殿物取り器具46は貯水タンク1の内側面または底面に一体化されてもよい。
給水ホース4は、ポンプ、サイホン、貯水タンク1の側面に設けられた開閉蓋、開閉弁、じゃ口などでもよく、貯水タンク1の水を貯水タンク1の外に給水できれば何でもよい。ポリアミノ酸架橋体またはポリアミノ酸塩架橋体は、両方同時に添加されてもよいし、水の汚れを凝集、分離できれば、他の同等の物に置き替え可能である。
貯水タンク1の傾斜は手作業のほか、持ち上げ機、リフト機、油圧機構、空気圧機構など機械的なものでもよい。汲み上げポンプ21は、サイホン、桶等、水をくみ上げることができれば何でもよい。上記凝集される沈殿物C及び浮遊物Fは、常に両方現れるものではなく、浄化する水の性質によって、沈殿物Cだけが析出したり、浮遊物Fだけが析出したりする。
本水浄化器具が用いられる分野は、災害時・断水時・停電時などの非常時、キャンプ・登山・つりなどのアウトドア時のほか、清潔な水を確保できない山村・奥地における作業時、水道・井戸の無い途上国における清潔な水の確保など、種々の用途に使用可能である。
貯水タンク(貯水体)1、側板2、底シート3、給水ホース(給水体)4、固定フック5、穴6、取込み口パイプ7、網8、透明窓(透視窓)9、折り曲げ部10…、汲み上げポンプ21、収納ケース22、撹拌棒(撹拌体)23、水浄化剤24、吸入口31、給水口32、取っ手33、凹部34、凹溝35、浮遊物取り器具41、沈殿物取り器具46の一部または全体は省略されてもよいし、均等の他の物に置き換えられてもよいし、これらの2つまたは3つ以上が合体されて兼用されてもよい。
(7)他の発明の効果
[1]汲み上げられた池、沼、湖、河川、プール水、雨水、中水、下水、海の水を貯める貯水体と、 この貯水体内の水に添加されるポリアミノ酸架橋体またはポリアミノ酸塩架橋体と、 このポリアミノ酸架橋体またはポリアミノ酸塩架橋体が添加された上記貯水体内の水を撹拌する撹拌体と、 この添加され撹拌された貯水体内の水を当該貯水体の外に給水する給水体と、 上記添加及び撹拌によって、上記水内で凝集する沈殿物が溜まる上記貯水体内の高さより、上記給水体の取込み口の高さを高く、上記水内で凝集する浮遊物が溜まる上記貯水体内の高さより、上記給水体の取込み口の高さを低くしたことを特徴とする水浄化器具。
[2]上記貯水体は傾斜または水平方向の断面積が小さくされ、上記給水体の取込み口を、浮遊物も沈殿物もない水の層に移動させることを特徴とする請求項1記載の水浄化器具。 これにより、給水体の取込み口から、浮遊物も沈殿物もない水を無駄なく給水できる。
[3]上記給水体の取込み口の上記貯水体内における高さは、貯水体内の水位に対して変更されることを特徴とする請求項2記載の水浄化器具。 これにより、給水体の取込み口を、浮遊物も沈殿物もない水の層に移動させて、浮遊物も沈殿物もない水を無駄なく給水できる。
[4]上記貯水体の側面の取込み口の近辺には、当該貯水体内の取込み口付近の水位が透視できる透視窓が形成されていることを特徴とする請求項2または請求項3記載の水浄化器具。 これにより、給水体の取込み口の位置を、貯水体の中の浮遊物または沈殿物の無い部分に移動、または貯水体を傾斜させるのに、見やすくなる。
[5]上記貯水体内のほぼ中央には、貯水体内の水を内部に貯める浮遊物取り器具が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項4記載の水浄化器具。 これにより、貯水体内で凝集された浮遊物が浮遊物取り器具内に回収され、貯水体の外に給水される水に混入しない。
[6]上記浮遊物取り器具の高さは上記給水体の取込み口の高さより高く、当該浮遊物取り器具の側面は外上方に向かって傾斜していることを特徴とする請求項5記載の水浄化器具。
これにより、浮遊物取り器具の側面は外上方に向かって傾斜しているので、上記貯水体の内の逆円錐状の浮遊物が漏れなく浮遊物取り器具内に回収される。また、浮遊物取り器具の周縁の高さは、給水体の取込み口の高さより高いので、浮遊物取り器具に回収された浮遊物が、給水体の取込み口に入ることがない。
[7]上記貯水体の底の縁には、貯水体の水を通過させ、上記沈殿物を通過させない沈殿物取り器具が設けられていることを特徴とする請求項1、4または6記載の水浄化器具。 これにより、貯水体内で凝集された沈殿物が沈殿物取り器具内に回収され、貯水体の外に給水される水に混入しない。
[8]上記給水体の取込み口には、上記沈殿物及び浮遊物を通さない網がかぶせられることを特徴とする請求項2または3記載の水浄化器具。 これにより、貯水体内で凝集された浮遊物または沈殿物が沈殿物取り器具内に回収され、貯水体の外に給水される水に混入しない。
[9]上記貯水体は、偶数の多角形柱を形成する複数の側面とこの各側面の下縁で接着される底面とよりなっていることを特徴とする請求項2または3記載の水浄化器具。これにより、貯水体をコンパクトに折り畳める。
[10]上記給水体の取込み口には、上記浄化された水を通し、上記沈殿物及び浮遊物を通さないフィルタがかぶせられることを特徴とする請求項2または3記載の水浄化器具。 これにより、貯水体内で凝集された浮遊物または沈殿物が沈殿物取り器具内に回収され、貯水体の外に給水される水に混入しない。
池、プールなどの汚れのある水を簡易に浄化して給水する。池、プールなどから汲み上げポンプ21汲みあげた水は、貯水タンク1でポリアミノ酸架橋体またはポリアミノ酸塩架橋体が添加され撹拌棒23で撹拌され、浮遊物Fまたは沈殿物が凝集、析出する。浮遊物F及び沈殿物の無い水は、取込み口パイプ7kら取り込まれ給水ホース4を通じて給水される。
透明窓9から覗きながら、貯水タンク1を傾けるまたは取込み口パイプ7を回して、取込み口パイプ7に浮遊物Fと浮遊物Fの間の水部分を位置させてさらに給水を継続できる。撹拌棒23で撹拌しながら給水すると、水より軽い浮遊物Fは貯水タンク1底面中央の浮遊物取り器具41で回収され、水より重い沈殿物は貯水タンク1底面周縁の沈殿物取り器具46で回収される。
水浄化器具のセットまたは水浄化器具の付属品を示す。 水浄化器具の中の貯水タンク1を示す。 水浄化器具の中の貯水タンク1の平面を示す。 水浄化器具の中の貯水タンク1の縦断面を示す。 水浄化器具の中の貯水タンク1を取込み口パイプ7及び給水ホース4に向かって傾斜させた状態を示す。 水浄化器具の中の貯水タンク1を取込み口パイプ7及び給水ホース4と反対側に向かって傾斜させた状態を示す。 沈殿物取り器具46を示す。 貯水タンク1の折り畳み状態を示す。 貯水タンク1の折り畳み状態の別の例を示す。
1…貯水タンク(貯水体)、2…側板、
3…底シート、4…給水ホース(給水体)、
5…固定フック、6…穴、
7…取込み口パイプ、8…網、
9…透明窓(透視窓)、10…折り曲げ部、
21…汲み上げポンプ、22…収納ケース、
23…撹拌棒(撹拌体)、24…水浄化剤、
31…吸入口、32…給水口、
33…取っ手、34…凹部、
35…凹溝、36、37…ホース、
41…浮遊物取り器具、46…沈殿物取り器具、
F…浮遊物、C…沈殿物。

Claims (9)

  1. 汲み上げられた池、沼、湖、河川、プール水、雨水、中水、下水、海の水を貯める貯水体と、
    この貯水体内の水に添加されるポリアミノ酸架橋体またはポリアミノ酸塩架橋体と、
    このポリアミノ酸架橋体またはポリアミノ酸塩架橋体が添加された上記貯水体内の水を撹拌する撹拌体と、
    この添加され撹拌された貯水体内の水を当該貯水体の外に給水する給水体と、
    上記添加及び撹拌によって、上記水内で凝集する沈殿物が溜まる上記貯水体内の高さより、上記給水体の取込み口の高さを高く、上記水内で凝集する浮遊物が溜まる上記貯水体内の高さより、上記給水体の取込み口の高さを低くしたことを特徴とする水浄化器具。
  2. 上記貯水体は傾斜または水平方向の断面積が小さくされ、上記給水体の取込み口を、浮遊物も沈殿物もない水の層に移動させることを特徴とする請求項1記載の水浄化器具。
  3. 上記給水体の取込み口の上記貯水体内における高さは、貯水体内の水位に対して変更されることを特徴とする請求項2記載の水浄化器具。
  4. 上記貯水体の側面の取込み口の近辺には、当該貯水体内の取込み口付近の水位が透視できる透視窓が形成されていることを特徴とする請求項2または請求項3記載の水浄化器具。
  5. 上記貯水体内のほぼ中央には、貯水体内の水を内部に貯める浮遊物取り器具が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項4記載の水浄化器具。
  6. 上記浮遊物取り器具の高さは上記給水体の取込み口の高さより高く、当該浮遊物取り器具の側面は外上方に向かって傾斜していることを特徴とする請求項5記載の水浄化器具。
  7. 上記貯水体の底の縁には、貯水体の水を通過させ、上記沈殿物を通過させない沈殿物取り器具が設けられていることを特徴とする請求項1、4または6記載の水浄化器具。
  8. 上記給水体の取込み口には、上記沈殿物及び浮遊物を通さない網がかぶせられることを特徴とする請求項2または3記載の水浄化器具。
  9. 上記貯水体は、偶数の多角形柱を形成する複数の側面とこの各側面の下縁で接着される底面とよりなっていることを特徴とする請求項2または3記載の水浄化器具。
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