図2は、本発明の一つの具体例に従って変形されたCMP装置の一部を表している。プラーテン16にはホール(穴)30が形成され、このホールはプラーテンパッド18の上にある。研磨ヘッド12の平行移動的な動きに関係なく、プラーテンが回転している時間の一部の間、研磨ヘッド12によって保持されるウエハ14から見えるように、このホール30の位置が与えられる。レーザー干渉計32は、プラーテン16の下にあって、ホール30がウエハ14に近接した時には、レーザー干渉計32によって投影されるレーザービーム34がプラーテン16のホール30を通過してその上にあるウエハ14の表面に入射するような位置に、固定される。
プラーテンホール30及びウエハ14の詳細な図(ウエハがプラーテンホール30の上にある場合の)が、図3(a)〜(c)に示される。図3(a)に示されるように、プラーテンホール30は、ステップ状の直径を有し、ショルダ36を形成する。ショルダ36は、レーザービーム34のためのウィンドウとして機能するクオーツインサート38を有してこれを指示するために用いられる。プラーテン16とインサート38の間のインターフェースがシールされ、ウエハ14とインサート38の間の通り道を見つけようとするケミカルスラリ40の一部がプラーテン16の底部から漏出できないようにされている。クオーツインサート38は、プラーテン16の上面の上に突出し、部分的にプラーテンパッド18の中に入り込む。このインサート38の突出部は、インサート38の上面とウエハ14の表面との間のギャップを最小にする意図をもって置かれている。このギャップを最小にすることにより、このギャップに捉えられるスラリ40の量が最小になる。このことは有利なことであり、何故なら、スラリ40はそこを通り抜ける光を散乱させる傾向があり、レーザー干渉計32から発せられるレーザービームの強度を弱めてしまうからである。インサート38とウエハ14の間のスラリ40の層が薄くなるほど、レーザービーム34とウエハに反射される光の弱化が少なくなる。約1mmのギャップであれば、CMPプロセス中の弱化が受容される程度になると考えられる。しかし、このギャップは小さいほど好ましい。このギャップはできるだけ小さい方がよいが、CMPプロセス中はいつでもインサート38がウエハ14に接しないことを確保するべきである。本発明の実験的な具体例では、インサート38とウエハ14の間のギャップは、10mils(250μm)あれば、満足な結果を与える。
図3(b)は、プラーテン16とパッド18の別の具体例である。この具体例では、クオーツインサートは排除され、パッド18には貫通穴は存在しない。その代わりに、プラーテン16のホール30の上の領域では、パッド18の裏張り層20(存在すれば)が除去された。このことにより、ウエハ14とプラーテン16の底部との間には、パッド18のポリウレタンカバー層22だけが残っている。カバー層22に用いられるポリウレタン材料が、レーザー干渉計32からのレーザービームを実質的に透過させるだろうことが、見出されている。従って、プラーテン30の上にあるカバー層22の一部が、レーザービーム34のためのウィンドウとして機能する。この別の構成は、大きな利点を有している。第1に、パッド18自身はウィンドウとして用いられているため、検出できる大きさのギャップは存在しない。従って、レーザービームの有害な散乱を生じさせるスラリ40はほとんど存在しない。この別の具体例のもう一つの利点は、パッドの消耗に関係しなくなることである。図3(a)の最初に説明した具体例では、クオーツインサートとウエハ14との間のギャップは出来るだけ小さくされていた。しかしパッド18は消耗するため、このギャップはまだ小さくなる。最後には、摩耗は大きくなり、インサート38がウエハ14に接触して損害を与える。図3(b)の別の具体例では、パッド18は、ウィンドウとして用いられているため、また、ウエハ14に接触するように設定されているため、パッド18の消耗による有害な効果はない。オープンセルのタイプのパッド及びグルーブを有する表面のタイプのパッドを用いた実験によれば、グルーブを有する表面のパッドの方がレーザービームの弱化が小さくなる結果が示されたことに注目すべきである。従って、このタイプのパッドを用いることが好ましい。
パッドのカバー層に用いられるポリウレタン材料は、レーザービームに対して実質的に透過性を有しているものの、透過性を阻害する添加物を含有している。この問題点は、図3(c)に描かれている本発明の具体例において排除される。この具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、ソリッドな(中空ではない)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。このプラグ42は、レーザービームのウィンドウとして機能し、パッド材料を包囲するグルーブ(又はオープンセル構造)を有しないポリウレタン材料製であり、透過性を阻害する添加物を含有していない。従って、プラグ42を通ることによるレーザービームの弱化は最小になる。好ましくは、プラグ42はパッドと一体で成形される。
動作中は、本発明に従ったCMP装置は、レーザー干渉計からのレーザービームを用いて、ウエハの表面から除去された材料の量を決定するか、又は、表面が平坦化されたときを決定する。このプロセスの開始を、図4を参照して説明する。レーザー及びコリメータ44、ビームスプリッタ46、及び検出器48が、レーザー干渉計32の要素として描かれている。これが行われることにより、前述したCMP装置の動作が容易になる。更に、クオーツインサート38をウィンドウとして用いる図3(a)の具体例が、便宜のために示される。無論、ここに描かれた構成は1つの可能な配置であり、他の構成を用いてもよい。例えば、前述のウィンドウの構成の全てを用いることができ、また、レーザー干渉計32の別の具体例を用いることも可能である。代替できるレーザー干渉計の1つは、ウエハにある角度をもって入射するビームを発生させるレーザーを用いるものである。この具体例では、ウエハから反射される光が入射するような位置を検出器は与えられている。この代替的な具体例には、ビームスプリッタは必要ではない。
図4に例示されるように、レーザー及びコリメータ44は、ビームスプリッタ46の下側部に入射する、コリメートされたレーザービーム34を発生させる。ビーム34の一部が、ビームスプリッタ46及びクオーツインサート38を通って進行していく。ビーム34のこの部分がインサートの下端に残れば、それはスラリ40を通って伝播し、ウエハ14の表面に入射する。図5に詳細に示されているように、ウエハ14は、シリコンとその上の酸化物層52(例えばSiO2)とを有する基板50を有している。
ウエハ14に入射するビームの一部は、酸化物層52の表面で部分的に反射され、第1の反射ビーム54を形成する。しかし、光の一部は酸化物層52を通過して、その下の基板50に入射する伝送ビーム56を形成する。基板50に到達する伝送ビーム56から少なくとも一部お光が酸化物層52へ反射し返され、第2の反射ビーム58を形成する。第1の反射ビーム54と第2の反射ビーム58は、これらの位相の関係によって有益的にあるいは有害的に相互に作用し、位相関係が酸化物層52の厚さに本質的な関数である場合は、結合ビーム60を形成する。
上述の具体例では、単一の酸化物層を有するシリコン基板を用いているが、この分野の通常の技術を有する者には、他の基板や他の酸化物層を用いても、この干渉のプロセスが生じることは認識されるだろう。重要な点は、入射するビームに対して、酸化物層が一部反射し一部透過し、基板が少なくとも一部反射することである。更に、この干渉のプロセスを、基板の上に複数の層を有するウエハに適用してもよい。再び、各層が部分的に反射性を有し部分的に透過性である場合は、その結果、干渉ビームが形成されるが、これは全ての層及び基板からの反射ビームの結合である。
再び図4を参照すれば理解されるように、第1の反射ビーム54及び第2の反射ビーム58(図5)の結合である結合ビーム60は、スラリ40とインサート38を通って伝播し返し、ビームスプリッタ46の上部分に達する。ビームスプリッタ46は、結合ビーム60の一部を、検出器48の方へ向きを変える。
プラーテン16は典型的には、CMPプロセスの最中は回転されるだろう。従って、プラーテンホール30は、自身が一周する間にウエハ14を1回だけ見えることになる。従って、ウエハ14にレーザービーム34が入射する時だけ、レーザー干渉計32からの検出信号をサンプリングすることが可能である。レーザービーム34がホール30を通って部分的にしか伝送されないときには検出信号はサンプリングされず、その理由は、ホールのエッジでプラーテン16の底部によって一部が干渉された場合は、信号に著しいノイズが発生するだろうからである。このことが発生することを防止するため、位置センサ装置が結合される。ホール効果、渦電流、光遮断器、又は音響センサ等の、あらゆる既知の近接センサを用いることが可能であるが、本発明の実験例には光遮断器のタイプのセンサが用いられ、以下に図面と共に説明する。図6には、本発明に従ったレーザー干渉計32を同期するための装置が示され、これには、光遮断器タイプのセンサ62(例えば、LED/フォトダイオードのペア)をCMP装置のシャシのある固定点上に載置され、プラーテン16の外周エッジの視界を有している。このタイプのセンサ62は、発した光ビームが遮断された時に活性化する。位置センサフラグ64が、プラーテン16の外縁に取り付けられている。フラグ64の取り付け位置及び長さは、レーザー干渉計32からのレーザービーム34が前述のウィンドウ構造体66を完全に通過して伝送されたときにだけ、センサの光信号を遮断する。例えば、図6に示されているように、センサ62は、プラーテン16の中心に関して、レーザー干渉計32の直径方向の反対側に載置されていてもよい。フラグ64は、プラーテン16において直径方向にウィンドウ構造体66の反対側の位置に取り付けられている。
フラグ64の長さは、点線68によっておよそ決められるがフラグ64の正確な長さは、フラグ64がセンサ62によって感知されている全時間、レーザービームがプラーテン16に全く干渉されないことを確保するように、細かく調整されるべきである。この細かな調節により、位置センサのあらゆるノイズ又は不正確性、レーザー干渉計32の応答性等を補償する。センサ62が一旦活性化すれば、信号が発生し、これが、干渉計32からの検出信号をサンプリングすべき時を決定するために用いられる。ウエハがレーザービームから見える所にあるときにレーザー干渉計の信号をサンプリングするためにセンサ信号を用いることが可能な、データ取得システムは、従来技術においても知られており、本発明の新規な部分を構成しない。従って、ここにはその詳細は説明しない。しかし、適切なシステムを選択に対して考慮すべき事項はある。例えば、干渉計からの信号を所定の時間にわたって積分することが好ましい。この積分により、積分区間にわたり高周波ノイズが平均化されるため、信号−対−ノイズの比が改善される。このノイズは、様々な原因によるものであり、これには例えば、プラーテン及びウエハの回転による振動や、平坦化が不均等であることによるウエハ表面の変化等がある。上述の装置では、信号を積分するための時間として、プラーテンの1回転の間にどのくらいの長さをとることが可能かを、クオーツウィンドウの直径及びプラーテンの回転スピードが決定するだろう。しかし、状況によっては、このような時間は適当ではないかも知れない。例えば、許容できる信号−対−ノイズの比のために、積分時間を更に長くとることが必要な場合があるだろうし、あるいは、選択されたデータ取得システムに用いられるインターフェースの回路のために、1周の間にとれる時間よりも長い積分時間が最低でも必要な場合があるだろう。
この問題に対する1つの解決策は、プラーテンホールをプラーテンの回転方向に沿って延長することである。換言すれば、ウィンドウ構造体66’(即ち、インサート、パッド、又はプラグ)は、図7に示されるように、円弧状の計状を有していてもよい。無論、フラグ64’は、長くなったウィンドウ構造体66’に適合するように拡大される。あるいは、ウィンドウは同じままであるが、レーザー干渉計が、ウィンドウの真下で回転プラーテンに据え付けられていてもよい。このケースでは、CMP装置は、プラーテンの下にある干渉計に適合するように改造する必要が有り、また、干渉計からの検出器信号の道筋をつけるように予め設定しておく必要がある。しかし、どちらの方法においてもその正味の結果は、プラーテンの各回転に対するデータ取得時間を長くするものである。
プラーテンホール及びウィンドウを長くとることは有利である反面、プラーテンパッドの表面積を幾分か小さくしてしまう。従って、プラーテンが回転するその回転の一部の間にウィンドウの上にあるディスクの領域において、平坦化の速度が減少される。更に、プラーテンホール及びウィンドウの長さは、ウエハのエッジを越えてはならず、ウエハの平行移動位置に拘らず、ウィンドウがウエハのエッジを越えた場合は、データサンプリングが行われてはならない。従って、拡大したプラーテンホール及びウィンドウの長さは、あるいは、プラーテンに設置された干渉計がサンプリングできる時間は、研磨ヘッドのあらゆる平行移動の運動に制限される。
従って、適切なデータ取得積分時間を得るために更に好ましい方法は、プラーテンの1回転以上の回転に対してデータを収集することである。図8を参照すれば、ステップ102の間に、プラーテンの各1回転に対してとることができるデータ取得時間の間に、レーザー干渉計の信号がサンプリングされる。次に、ステップ104及び106において、サンプリングされた信号はそれぞれ、前述のデータ取得時間にわたって積分され、この積分値は保存される。そして、ステップ108及び110においては、プラーテンが完全に1周するたびにサンプリング時間の累積が計算され、所望の最小サンプリング時間と比較される。無論、サンプルが1つだけとられたのであれば、これはただ1つのサンプリング時間を構成するだろう。累積サンプリング時間が所望の最小サンプリング時間以上になれば、ステップ112に示されるように、保存されていた積分値が転送されて総和される。そうでなければ、サンプリング、積分、保存、累積サンプリング時間の計算及び所望の最小サンプリング時間との比較のプロセスが継続される。最終ステップ114では、毎回保存されていた積分値が転送されて総和されて作り出された総計積分値が、データ信号として出力される。ここに説明してきたデータ収集法は、論理回路又はソフトウェアアルゴリズムを用いる多くの既知の方法によって実施可能である。これらの方法はよく知られており、詳しい説明は冗長になるため、ここでは割愛した。区分的なデータ収集の方法により、ウィンドウの直径やプラーテンの回転のスピードに関係なく、問題所望の最小サンプリング時間に適合させる問題の解決策が与えられることは、注目すべきである。実際、このプロセスが位置センサ装置と結び付いた場合は、プラーテン回転スピードを変化させても信頼性の高いデータを得ることが可能である。
必要なデータを得るために要するプラーテン回転の数だけを変えればよい。
前述の第1の反射ビーム及び第2の反射ビームは、図4及び図5に示されるように結合ビーム60を形成し、検出器48で検知される干渉を生じさせる。第1の反射ビーム及び第2の反射ビームが相互に位相が合っている場合は、これらは検出器48において最大値となる。これらのビームの位相が180゜ずれている場合は、検出器において最小値となる。これらの反射ビームの間のその他の位相関係により、干渉信号が、検出器により検知される最大値と最小値の間のいずれかの値となるだろう。この結果により、検出器48からの信号出力は、酸化物層52の厚さがCMPプロセスの最中に減少されるにつれて、この厚さに対して周期的に変化する。実際、図9(a)及び(b)のグラフに示されているように、検出器48からの信号出力は、正弦曲線状の様式で変化するだろうことが観察された。図9(a)のグラフは、時間(x−軸)に対する各サンプリング時間にわたる検出信号の振幅(y−軸)の積分を示している。このデータは、シリコン基板の上に形成されている酸化物層(即ち、ブランク酸化物ウエハ)を有するウエハにCMPの手順を実施しながら、図4の装置のレーザー干渉計出力をモニタすることにより、得られたものである。図9(b)のグラフは、図9(a)のグラフからのデータにフィルタをかけた態様を表している。このフィルタをかけた態様は、干渉計の出力信号における周期的な変化を更にはっきりと示している。CMPプロセスの最中に酸化物層から材料が除去されるときの速度によって、干渉信号の周期が制御されることは、注目すべきである。従って、プラーテンパッドに対してウエハ上にかかる下向きの力やプラーテンとウエハとの間の相対速度が、この周期を決定する。
図9(a)及び(b)でプローブとされている出力信号の各周期中に、酸化物層はある厚さだけ除去される。除去された厚さは、レーザービームの波長及び酸化物層の屈折率に比例している。具体的には、1つの周期毎に除去される厚さの量は、およそλ/2nであり、λはレーザービームの自由空間波長、nは酸化物層の屈折率である。従って、図10(a)に例示される方法を用いれば、CMPプロセスの最中に酸化物層がどのくらいインシチュウで除去されるかを決定することが可能である。第1に、ステップ202では、データ信号に現れるサイクルの数が計数される。次に、ステップ204では、出力信号の1サイクルの間に除去される材料の厚さが、レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とから計算される。そして、ステップ206において、酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さが、実際に除去された厚さと比較される。実際に除去された厚さは、データ信号に現れるサイクルの数と、1サイクル中に除去される材料の厚さとの積に等しくなる。最後のステップ208では、除去された厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上となったときに、CMPプロセスが終了する。
あるいは、除去される材料の量を決定するためには、1サイクル全体よりも少ないサイクルを用いてもよい。この方法では、材料が所望の量を越えて除去される分を最小にすることができる。図10(a)のステップ202の括弧書きの部分に示されているように、1サイクルの中の所定の部分が生じる回数が、各反復毎に計数される。例えば、最大値(即ち、ピーク)と最小値(即ち、谷)がそれぞれ生じること、あるいはその逆が生じることが、サイクルの所定の部分を構成する。最大値及び最小値は周知の信号処理の方法により簡単に検出可能であるため、サイクルのこの特別な部分は便利である。次に、ステップ204では、1サイクルの間に材料がどのくらい除去されたかを決定した後、この厚さと、前述の所定の部分が代表する1サイクルの部分とを掛合わせる。例えば、1.5サイクルを代表する、最大値と最小値の発生を計数するケースでは、計算で得られた1サイクルの厚さを1.5倍して、サイクルの所定の部分の間に除去された酸化物層の厚さを得ることができる。その他のステップはそのまま変えない。この別のアプローチの正味の結果によれば、CMPプロセスは、サイクルの部分が生じた後に終了することができる。従って、除去される材料のうち過剰な部分は、ほとんどのケースでは、除去される材料の量を決定する基礎として全サイクルを用いた場合よりも少なくなるだろう。
ここに述べてきた方法を、サイクルの終わり又はその部分から逆にたどることにより、所望の量の材料が除去されたかどうかが決定される。しかし、上述の如く、除去された材料の量は所望の量を越えてしまうだろう。用途によっては、この過剰な材料の除去は許容されないだろう。これらのケースでは、やがて来る周期にわたって除去される材料の量を期待し予測し、所望の量の材料が除去されると予測されたときに手順を止める、別の方法を採用することができる。この別の方法の好ましい具体例は、図10(b)に例示される。そこに示されているように、第1のステップ302は、検出器信号において、最大値と最小値の最初の発生の間の時間またはその逆の時間を測定する操作を有している(全サイクル又はその一部分のどちらを用いてもよい)。次に、ステップ304では、サイクルのその部分の間に除去される材料の量が、前述の方法によって決定される。そして、ステップ306に示されるように、除去された材料の量を測定時間で除することにより、除去速度が算出される。これが、サイクルの前述の部分において材料が除去されるときの速度を構成する。次のステップ308では、ステップ304で算出された材料の除去厚さを除去すべき厚さから減じ、残りの除去厚さを決定する。そして、ステップ310では、この残りの除去厚さを除去速度で除すことにより、CMPプロセスを終了までどのくらい継続すべきかを決定する。
しかし、検出器信号の周期、及び即ち除去時間は、典型的には、CMPプロセスの進行につれて変化するだろうことに注目すべきである。従って、上述の方法は、これを補償するために反復される。換言すれば、残りの時間が算出された後は、最大値と最小値の発生又はその逆のそれぞれに対して、このプロセスが反復される。従って、次に最大値と最小値がそれぞれ発生するまでの時間が測定され、この最大値と最小値の発生に代表されるサイクルの部分(即ち1.5サイクル)の間に除去される材料の厚さが測定時間で除され、この方法の最初の反復におけると同様に、除去速度が算出される。しかし、次のステップ308では、括弧内に示されるように、その前になされた反復全ての間に除去された材料の量は、所望の厚さから減じられる前に決定される。この方法のその他の部分は同様であり、除去すべき残りの厚さを新たに算出された除去速度で除して残りのCMPプロセスの時間を決定する。この方法では、検出器信号の1サイクルの所定の部分が生じる毎に残りのプロセス時間を計算し直す。このプロセスは、次の反復を開始できる前に残りのCMPプロセス時間がなくなるまで続けられる。ステップ312に示されるように、このポイントでCMPプロセスが終了する。典型的には、除去されるべき厚さが検出器信号の最初の1.5サイクルでは達せられず、先行した1.5サイクルに対して算出された後の除去速度の変化は小さいだろう。従って、この予測の方法は、ウエハから所望の厚さだけを除去するには非常に正確な方法を与える。
ここに述べてきたモニタの手順は、スムーズな面を有するブランク酸化物ウエハに対して良好に機能するが、表面が局所的に非常に不均一であるような、パターニングされたウエハの多くに対してこの手順を平坦化に用いても成功できないことが見出されている。この理由としては、典型的なパターニングされたウエハはダイを有し、このダイには様々なサイズの異なる表面造作(ぞうさく)が現れているからである。このサイズの異なる表面造作は異なる速度で研磨される傾向を有している。例えば、他の造作から相対的に遠くに配置されている小さな表面造作は、他の大きな造作よりも早く減少する傾向がある。図11(a)〜(c)には、酸化物層52の表面造作72、74、76の1組が、その下の構造体78、80、82と関連して例示される。これらは、典型的なパターニングされたウエハ14上に見られ、CMPプロセス中に変化していく。造作72は比較的小さな造作であり、造作74は中ぐらいのサイズの造作であり、造作76は比較的大きな造作である。図11(a)には、研磨前の造作72、74、76を示し、図1111(b)は研磨プロセスの中ほどの造作72、74、76を示し、図11(c)は研磨プロセスの終了に向けた造作72、74、76を示す。図11(a)では、小さい方の造作72は、中ぐらいの造作74及び大きい方の造作76よりも早い速度で減少するだろう。更に、中ぐらいの造作76は、大きな造作78よりも早い速度で減っていくだろう。造作72、74、76が減っていく速度も、研磨プロセスが進行するにつれて減少する。例えば、小さい方の造作72は最初には高い減少速度を有しているだろうが、この速度は研磨プロセス中に減少するだろう。従って、図11(b)には、造作72、74、76の高さが不均一になり始めていたのが、図11(c)には、造作72、74、76の高さは実質的に均一になっていることが示されている。サイズの異なる造作が異なる速度で減っていき、この速度も変化するため、各造作から発せられる干渉信号は、異なる位相及び周波数を有しているであろう。従って、造作72、74、76のそれぞれからの個々の反射の全てから部分的に成る結合された干渉信号は、前述の周期的な正弦波状信号ではなく、外見上ランダムな様式で変動するだろう。
しかし、上述のように、造作72、74、76の研磨速度は、平坦化のポイントに近付く傾向がある。従って、造作72、74、76によって発生する干渉ビームの間の位相差及び周波数差は、ゼロに近付くだろう。この結果、結合された干渉信号が周期的な正弦波の形態として認識できるようになる。従って、正弦波状の干渉信号が開始するときを検出することにより、パターニングされたウエハの表面が平坦化された時を決定することが可能となる。この方法は、図12に例示される。まず、ステップ402では、干渉計信号における前述の正弦波状の変化に対するサーチが行われる。正弦波状の変化が発見されれば、ステップ404に示されるように、CMPの手順は終了する。
図13は、CMPの手順が行われているときのパターニングされたウエハに対する検出器信号の振幅を時間に対してプロットしたグラフである。このグラフを作成するために用いられたサンプリングされたデータは、次の積分値が報告されるまで、前の積分値に保持された。従って、これは、ここに方形化されたピーク値(squared-off peak value )が示されていることを説明している。細密な検討により、認識可能な正弦波状のサイクルは、約250秒のところで現れていることが示される。ここは、パターニングされたウエハが最初に平坦化された点と一致する。無論、干渉計の出力信号のリアルタイムのモニタにおいて、周期がいつ始まるかを正確に知ることは不可能である。むしろ、周期が始まったと確信できる前には、サイクルの少なくともどこか一部が起こっているはずである。CMPの手順が終了する前に、1サイクルだけが終わることが好ましい。信号がウエハの表面状にあるサイズの異なる造作を研磨することにより生じたノイズの変化を単純に表しているのではなく、周期が実際に始まっていることが、高度に確信できるため、1サイクルの制限は、実用的な選択である。更に、この1サイクルの制限により、平坦化が達せられた後に、少ない材料の量だけがウエハ表面から除去されることを確保する。2サイクル後の平坦化の程度は、1サイクル後と実質的に同じであったことが見出された。従って、CMPの手順を継続させることは、ウエハ表面から更に多くの材料を除去する事だけしか与えない。パターニングされたウエハが平坦化されればCMPプロセスが終了する場合のケースでは、1サイクルが好ましいが、これは本発明がこのような時間の枠にとらわる事を意図しているわけではない。信号が特別強力であった場合、サイクルの中の一部だけが終了した後に同じレベルの確信を得ることも可能だろう。あるいは、信号が特別に微弱であった場合、必要な確信を得るためには1サイクル以上必要なこともあるだろう。その選択は、用いているシステムの特性に依存する。例えば、クオーツウィンドウとウエハ表面との間のギャップのサイズは、信号強度に影響するだろうことから、CMPプロセスを終了させる前に何回サイクルをさせるかの決断に影響するだろう。
レーザー干渉計からの出力信号がいつ周期化し、即ちウエハ表面が平坦化されているかを実際に決定することは、様々な方法により行うことが可能である。例えば、信号をデジタル処理し、この決定を行うアルゴリズムを用いることができるだろう。この様な方法は、米国特許第5,097,430号に開示され、その特許では、信号の傾斜を用いて決定を行っている。更に、カーブにフィッティングするための様々な周知のアルゴリズムを用いることが可能である。これらの方法は、干渉計信号の正弦波曲線との類似性を見出すために本質的に用いられるだろう。所定の許容範囲の中で一致すれば、周期が開始したと決定される。半導体の用途によっては、パターニングされたウエハのダイ上に形成された構造体の上に形成された材料の厚さ(即ち膜厚)が特定の深さのところにあることが必要であり、また、この膜厚が、ダイとダイの間、並びにウエハとウエハとの間で再現性をもつことが必要である。前述の典型的なパターニングされたウエハを平坦化するための方法では、この所望の再現性のある膜厚は必要がないだろう。平坦化の方法の目的は、スムーズ且つ平坦な表面を作ることであり、特定の膜厚を作ることではない。従って、特定の構造又は同じ様なサイズを有する構造の群の上に膜厚を制御することが望ましい場合は、別の方法を採用する必要がある。この別の方法を、以下に説明する。
前述の如く、ダイ上のパターニングされた構造の上に酸化物の層を形成することにより生じた、サイズの異なる表面造作はそれぞれ、独自の周波数及び位相を有する反射干渉信号を生じさせる。サイズの異なる表面造作のそれぞれの周波数及び位相が収斂したとき、平坦化のポイントに単に近付いているに過ぎない。この収斂の前には、サイズの様々に異なる表面造作によって生じる干渉信号の独自の周波数及び位相が結合し、ランダムに変化するように見える検出器信号を発生させる。しかし、この信号を処理することにより、特別なサイズの造作又は同様のサイズの造作の群を除いて、異なる速度で研磨されることになる全ての造作の干渉信号の寄与を排除することが可能である。特定のサイズの造作又は造作の群に関する干渉信号が分離されれば、ブランク酸化物ディスクから材料を除去することに関して説明した方法を用いて、所望の膜厚を得るために必要な量だけを除去できる。
無論、着目する造作によって生じる干渉信号の成分の周波数を、信号の処理の前に決定しておく必要がある。上に形成される膜が特定の膜厚を有するような構造に対応した構造だけがパターニングされたダイを有する試験片上にCMPプロセスを実施することにより、この周波数は簡単に決定できると考えられる。このCMPプロセスの最中に発せられる検出器信号を、周知の方法によって解析して、前述の構造に関する表面造作によって生じる干渉信号の周波数を決定する。
ウエハのCMP処理の最中に、インシチュウで、ダイ上の特定の構造又は同じ様なサイズを有する構造の群に対する膜厚を制御する、前述の方法を実施するために必要な特定のステップを、図14を参照しつつ説明していく。ステップ502では、検出器信号をフィルタにかけ、着目する構造に関する所定の周波数を有する信号の成分だけを通過させる。このステップは、周知のバンドパスフィルタの技術を用いて実行される。次に、ステップ504では、検出器信号において最大値と最小値が最初に発生する間の時間又はその逆の時間の測定がなされる(全サイクル又はその一部分のどちらを用いてもよい)。サイクルのこの部分(即ち1.5サイクル)の間に除去される材料の量は、ステップ506において前述の方法により決定される。そして、ステップ508に示されているように、除去された材料の量を測定時間で除して、除去速度が算出される。これは、サイクルの前述の部分において材料が除去された速度を構成する。次のステップ510では、ステップ506において算出された材料除去の厚さが、除去されるべき所望の厚さ(即ち、除去されたときに、着目する構造の上に所望の膜厚を与える厚さ)から減じられて、残りの除去厚さを決定する。そして、ステップ512では、この残りの除去厚さを前述の除去速度で除し、CMPプロセスを終了までどのくらい継続すべきかを決定する。この残りの時間が計算されれば、最大値と最小値がそれぞれ発生すること又はその逆に対して、プロセスが反復される。従って、この方法の最初の反復におけると同様に、次の最大値及び最小値の発生の間の時間が測定され、この最大値及び最小値の発生に代表されるサイクルの部分(即ち1.5サイクル)の間に除去される材料の厚さを測定値で除して、除去速度が算出される。しかし、次のステップ510では、括弧書きに示されているように、その前の反復の全ての間に除去された材料の総量を、所望の厚さから減ずる前に決定する。除去されるべき残りの厚さを新たに計算された除去速度で除して新しい残りのCMP時間を決定する点で、この方法のその他の部分は同じである。このプロセスは、次の反復を始められるまで繰り返される。ステップ514に示されているように、このポイントでCMPプロセスが終了する。
上述の膜厚を制御するための方法は図10(b)に例示されるCMPプロセス終点決定のための方法を利用しているが、所望により、ここに記載されているその他の終点決定の方法を用いてもよいことに注意すべきである。
レーザー干渉計によって発生するレーザービームのビームの直径(即ちスポット)及び波長を有利なように操作することが可能であることに更に注意すべきである。図15の(a)及び(b)に示されているように、用いる波長に対し最小可能なスポットに合わせたビーム等の幅の狭いビーム84は、ウエハ14の表面に対して、フォーカスできていない広いビーム86よりも小さな領域をカバーする。この狭いビーム84は、広いビームに比べて、表面の不均一90による散乱(即ちビーム88)を生じやすく、なぜなら、この広いビーム86はウエハ14の表面の更に広い面積に広がり、表面の不均一90よりも大きな部分を包含するからである。従って、広いビームは積分効果を有することとなり、ウエハ14の表面を移動するときには、反射干渉信号に極端な変動を生じさせにくい。従って、この理由から、ビームは広い方が好ましい。レーザービームの幅を広くするためには、周知の光学装置を用いることが可能である。
また、ウィンドウの境界と境界の中にビームが完全に含まれる時間は、ビームが広い時の方がビームが狭い時に比べて少ないため、ビームが広いとプラーテンの回転毎のデータ取得に使える時間を減らすことになることを、指摘する必要がある。しかし、前述のデータ取得の方法を用いれば、このことは大きな問題にはならないだろう。更に、ビームが広いと、ビームが狭い時に比べて、光エネルギーをより大きな面積に拡散させてしまうため、反射光の強度も幾分小さくなる。この難点は、反射ビームの強度のロスが検出における要因とはならなくようにレーザー干渉計からのレーザービームの出力を増加させることにより、克服可能である。
レーザービームの波長に関しては、遠赤外から紫外までのあらゆる波長を用いることが可能である。しかし、赤光の範囲のビームを用いることが好ましい。これが好ましいことの理由は二重になっている。第1に、波長が短いとケミカルスラリによって生じる散乱の量が増加することになり、なぜなら、この散乱はレーザービームの周波数の4乗に比例するからである。従って、波長が長い方が、散乱が少なくなる。しかし、波長が長ければ干渉信号の周期毎に除去されるべき酸化物層の量が多くなり、なぜなら、周期毎に除去される材料の量はおよそλ/2nに等しいからである。従って、波長が短ければ、1つの周期に除去される材料の量が少なくなる。材料が過剰に除去される可能性を最小にするように、各周期中に除去される材料を可能な限り少なくすることが望ましい。例えば、サイクルの数又はその一部が計数されて除去された酸化物層の厚さが決定される、前述の方法を用いたシステムでは、各サイクル又はその一部の間に除去される材料の量が可能中限最小になれば、所望の量に対して過剰に除去された材料が最小になる。
赤光レーザービームを選択することにより、波長の選択に関するこれらの2つの対立する要因を最適にバランスさせると考えられる。赤光は、サイクル毎に除去されるべき材料の量を制御不能にすることなく、散乱を許容される程度にする。
更なる具体例発生した干渉波形により、研磨プロセスに関する重要な情報を更に得られる。この追加された情報を用いることにより、研磨された層の均一性のインシチュウによる測定が可能になる。またこれを、CMPシステムが仕様(スペック)の中で操作されていない(即ち、望ましく操作されていない)かどうかを検出するために用いることも可能である。これらの両者を、以下に説明する。
均一性の測定ウエハ/基板の表面にわたって均一な表面層を得るためには、CMPプロセスにおいて行われる研磨及び/又は平坦化の操作が一般に必要である。換言すれば、ウエハの中心とウエハのエッジとが同じ速度で研磨されるべきである。典型的には、研磨後の層の厚さが約5〜10%を越えて変動してはならない。均一性がこのレベルに達しなかった場合は、デバイスの収率が低く許容できなくなるため、ウエハは使用できなくなるだろう。実際には、ウエハ全体に均一な研磨速度を達することが非常に困難な場合がしばしばである。典型的には、数多くの変数を最適化してスペック内に保つことが必要とされる。上述の終点検出器は、研磨されるべき層の均一性をモニタするためのツールとして非常に有用であり、また、インシチュウによるデータの取得及びデータ処理の双方のモニタをすることも可能である。研磨中に干渉計によって作り出された干渉波形が、研磨されるべき層の均一性に関する情報を与えることを、我々は見出した。上述の如く、表面層(即ち酸化物層)が研磨されるときには、干渉計の出力が正弦波状の信号になって現れる。このピークとピークの間の距離は、材料がどのくらい除去されたかを指示している。この正弦波信号の頂点では、更に高い周波数の別の正弦波信号も存在するだろう。この更に高い周波数の方の信号の振幅は、ウエハの表面全体で研磨後の層の厚さがどの程度まで変化したかを指示している。
高い周波数の信号が現れる理由は、以下の通りである。研磨が進むと同時に、典型的には干渉計はウエハ表面全体の様々な場所をサンプリング(又は注目)する。なぜなら、研磨中は、プラーテンとウエハは共に回転しており、更にウエハはプラーテンに対して軸方向に運動しているからである。従って、研磨中は、研磨されるべき層を干渉計が見るためのプラーテン内のホールの上を、ウエハ表面の様々な領域が通過する。研磨された層が完全に均一である場合は、その結果の干渉波形は、ウエハ表面全体にわたっていろいろな場所をサンプリングすることによる影響を受けない。即ち、それは実質的に同じ振幅を有することになるだろう。換言すれば、研磨された層が不均一ならば、様々な場所をサンプリングすることによって、正弦波を基礎とする信号に更に変動を持込むことになる。この持込まれる変動は、用いられている回転速度と掃引速度に依存する周波数を有し、研磨された層の非均一性の程度に比例した振幅を有している。このような波形の一例が、図16に示されている。この特定の例では、周波数の高い信号を明確に例示できるように、非均一性が相対的に大きくなっている。
周波数の高い信号のピークとピークの間の振幅Ahfと周波数の低い信号のピークとピークの間の振幅Alfとの比が、均一性の尺度になる。この比が小さくなれば、研磨された層の均一性が高いことになり;その逆の場合は、非均一性が大きくなる。
均一性の尺度を作り出すCMPシステムが、図17に示される。図2に示されている前述の部材に加えて、これは、干渉計の動作を制御するための、且つ干渉信号からの均一性の尺度を発生させるために必要な信号解析を行うためのコンピュータ150を備え、また、様々な情報や結果をオペレータに対して表示するためのディスプレイユニット160を備えている。コンピュータ150は、制御機能及び信号処理機能を行うことが出来るものであれば何れの装置でもよく、例えば、適切なプログラミングを有する標準的なPCや、その用途専用の特別にデザインされたデジタル処理ユニットである。ディスプレイユニット160は、ビデオディスプレイ、プリンタ、又は、CMPシステムのオペレータに情報を連通させるための装置の組合せであってもよい。
均一性の尺度を発生させるために、コンピュータ150は、図18に示されるような信号処理及びその他の機能を実施実行するようにプログラミングされている。これに関しては、コンピュータ150は2つのプログラミング可能なバンドパスフィルタ、即ち、高周波フィルタ152と低周波フィルタ154を提供する。高周波フィルタ152は、均一性の情報を含んでいる高周波信号の周波数の中心にある通過帯域を有し、また、低周波フィルタ154は、研磨速度の情報を含んでいる低周波信号の周波数の中心にある通過帯域を有している。周期が数十秒のオーダーである場合は、これらの通過帯域の両者の幅は数ミリヘルツ(millihertz)のオーダーである。実に、通過帯域の幅は、中心周波数に比例して変化するようにプログラムされ、又は言い方を替えれば、評価されるべき信号の周期に反比例するようにプログラムされる。即ち、問題としている信号の周期が大きくなれば、バンドパスフィルタのバンド幅が減少し、その逆も真である。
図19(a)には、実際のシステムから得られる干渉計信号の一例が示される。層が充分均一であること、即ち、低周波信号の頂部に高周波信号がのっていることが認識されていないことを、初期に信号が指示していることに注目すべきである。研磨が短い周期の間行われた後、高周波信号が現れ始め、非均一性があるレベルになっていることを指示している。低周波フィルタ154は低周波成分を選択し、他の成分をカットして、図19(b)に示されている形態の出力信号を生じさせる。同様に、高周波数フィルタ152は高周波成分を選択し、他の成分をカットして、図19(c)に示されている形態の出力信号を生じさせる。
コンピュータ150は、フィルタ152及び154の出力信号それぞれのピークとピークの間の振幅を測定する2つの振幅測定機能156及び158を備える。2つのフィルタされた信号が決定されれば、コンピュータ150は、高周波信号のピークとピークの間の振幅と低周波信号のピークとピークの間の振幅との比(即ち、Ahf/Alf)を計算する(機能ブロック162を参照)。この比が計算された後は、コンピュータ150が計算値を、予めローカルメモリに保存した閾値又は参照値164と比較し(ブロック166参照)する。計算値が保存していた閾値を越えれば、コンピュータ150はオペレータに対し、研磨された層の非均一性が許容量を越えたことを警告する。これに対し、オペレータはプロセス変数を調整して、プロセスをスペック内に戻す。
高周波信号は、研磨がある程度行われてから現れる傾向があるため、非均一性の測定を行う前に待機することが有用である。実に、研磨の操作全体において研磨された層の均一性をモニタできるように、この比を周期的に自動的に計算することが望ましい。このケースでは、オペレータが研磨プロセスにおいて現れる変化及び/又は傾向を検出できるように、コンピュータ150がプロセスの間じゅう計算値を出力できることが望ましいだろう。実際の製造工程の間のウエハの研磨中に、インシチュウでモニタが行われる場合に特に有用であろう。
ここに述べた機能は、コンピュータ上で走らせるソフトウェアによって実行でき、また、この特別の目的のために作られた専用の回路によって実行させてもよいことに、注目すべきである。
バンドパスフィルタは、いわゆる当業者が周知の技術を用いて実行可能である。ここに説明される具体例では、これらはFIR(finite impulse renspone)(有限インパルス応答)フィルタで、周波数又は時間領域(time domain)のいずれかに関して実施可能である。しかし、干渉計信号が使用可能となるようにリアルタイムでフィルタリング(filtering)を実施するためには、フィルタリングは、適切な関数を発生した時の波形で畳み込むことにより、時間領域において行われる。無論、この適切な関数は、所望の特性を有する(即ち、中心周波数及びバンド幅)バンドパスフィルタの時間領域を単に表示するものである。
適切なフィルタの変数を特定するため、フィルタによって選択されるべき信号の周波数を知ることが必要である。この情報は、干渉計信号波形から容易に得ることができる。例えば、低周波フィルタの中心周波数は、ウエハ(例えば、酸化物のコーティングのみを有するブランクウエハ)のバッチ(例えば25)を行い、研磨速度の正確な尺度を得ることにより、得ることが可能である。あるいは、研磨速度は、低周波信号のピーク間の距離を測定することにより、研磨操作の開始時で決定することが可能である。無論、このもう一つのアプローチを用いることで、多数のウエハにわたって測定値の平均を行う場合と同様の正確性を得ることはできない。いずれのケースにせよ、研磨速度はバンドパスフィルタの中心周波数を決定し、フィルタの所望のバンド幅とあわせてこの中心周波数を知ることにより、時間領域フィルタ関数及び/又はFIRフィルタの計数の正確な形態を直ちに決定することが可能でとなる。
高周波信号の周波数は、同様の手法;即ち、CMPシステムがウエハを研磨しているときに干渉計から発せられるトレースから直接得ることが可能である。換言すれば、オペレータは単に高周波信号のピーク間の距離を測定するだけでよいい。このプロセスは容易に自動化できるため、オペレータは、ポインティングデバイス(例えば、マウス)により、ビデオディスプレイに表示される波形の2つのポイントをマークすることができ、また、自動的に周波数の計算を行った後適切なフィルタ計数を発生するようにコンピュータにプログラミングをすることが可能である。そして、フィルタ計数及び/又はフィルタ関数の時間領域表示は、その後の研磨の工程中にフィルタリングの操作を行うために用いるため、ローカルメモリに保存される。
プロセスシグネチャまた、干渉計波形は、システムのシグネチャ(即ち、その特性)を表している。このため、これは、製造のオペレーションに対してシステムの特性を与えるために有用な情報を与える。望ましく操作されていることがわかっているシステムに対してシグネチャが得られた場合は、参照値としてシグネチャ波形(又は波形から抽出された特徴)を用いることが可能であり、この参照値に対して、次に発生するシグネチャを比較して、これらシグネチャが続いて得られたシステムが、スペックの中で実行されているかどうかが決定される。例えば、研磨パッドが取り替えられたり、新しいバッチのスラリがCMPシステムに用いられた場合に、オペレータは、この変化が、システムが実行する研磨の質に有害な影響を与えるかどうかを知る必要がある。CMPシステムの性能における変化によってシグネチャが変化することを、我々は見出した。即ち、以前は存在していなかったような、あるいは以前に存在していた特徴が変化するような、ある決まった変化が波形に現れる。これらの変化を検出することにより、システムが望み通りに実行されていない時を検出することが可能である。
ここに説明される具体例では、干渉計波形から抽出された特徴は、研磨速度であり、均一性の尺度である。これらの特性は、前述の方法を用いて、研磨の最中に発生する干渉計の波形から容易に得ることができる。システムが正確に操作されていれば、特定の研磨速度と特定の均一性の尺度を与えるだろう。これらの参考値からはずれることは、システムが望ましい操作のポイントから離れる方向に移動していることを示し、オペレータに、製品の損害を防止するために適正化する行動をとる必要があることを警告する。CMPシステムシグネチャを用いる方法は、図20(a)に例示され、以下に説明される。最初に、最適に操作されるべきであるとわかっているCMP装置に対して、干渉計波形(即ち、シグネチャ)が発せられる(ステップ250)。システムが最適に動作しているか否かの決定は、試験ウエハのセットを処理してその結果を解析することにより、実験的に決定可能である。得られた結果がスペックの中に入っていた場合、この構成及び操作条件の組に対してシグネチャを発生できる。干渉計波形の一部を捉える前に、この波形が本当に、準備された研磨のシグネチャであるように、ウエハの研磨が酸化物の中を50〜100%の間で行われることが望ましい。
波形が得られた後は、特定の着目する特徴が、発せられた波形から抽出され(ステップ252)、これは、後にシステムの性能の評価に用いる参考値として利用するために、保存される(ステップ254)。あるいは、波形自体を保存して、参考値として用いてもよい。ここに説明した具体例では、抽出された特徴は、研磨速度であり、均一性の尺度であり、これらの双方とも、上述のように、波形から決定することが可能である。
図20(b)に示されるように、後になって、保存されていたシグネチャ(又は抽出された特徴)を用いて、製造の用途で、そのシステム又は別のシステムの特性を与えることが可能である。製造のためにシステムに特性を与えるために、そのシステムに対して新しいシグネチャが得られ(ステップ258)、着目している特徴が、新しいシグネチャから抽出される(ステップ260)。そして、抽出された特徴は、特徴の参照値の組と比較される(ステップ264)。抽出された特徴の組によって特徴付けられるように、操作のポイントが、保存された特徴の組の参考値によって定義される、参考値の周囲の所定の領域に入っているならば、システムは適正に操作されていると結論付けられ、また、製品ウエハの処理のためのアウトラインを与えることが可能である(ステップ266)。このプロセスが自動化された場合は、このポイントで、コンピュータはオペレータに対し、プロセスがスペック内に入っていないと警告を発してもよい。他方、操作のポイントが所定の範囲内に入らなかった場合は、これは、システムがスペック内で操作されていないことの指示であり、オペレータは、この問題に対して補正する行動をとることができるように、警告を受ける(ステップ268)。この補正の行動には、プロセス変数の一部を適正に調節し、プロセスをスペック内に入れるようにする操作を含んでいる。例えば、研磨速度が過剰であった場合、又は、酸化物の非均一性が許容を越えれば、オペレータは、新しいバッチのスラリに変えてみたり、パッド上の圧力を調節したり、あるいは、パッドを交換したりすることが適切であると認識するだろう。この選択される補正の行動の特定のコースは、無論、システムが望ましい操作ポイントからどの程度ずれているかに、また、特定のシステムの操作変数の構成に、また、オペレータの経験が何をオペレータ自身に示唆しているかに、依存するだろう。
オペレータに対して更に有益な情報を提供するために、コンピュータは適宜、抽出された特徴もディスプレイに出力する。このディスプレイに表示された情報は、抽出された特徴、波形、抽出された特徴が、保存されている参考値の組の様々な特徴とどの程度近いのか、又は、オペレータにとってどの方法が最も有利に解決するかを表している。
無論、製品ウエハの処理をしつつも、又は、CMPプロセスにおいてプロセス変数が変化する(例えば、新しい研磨パッドが用いられた時にはパッド圧力が調節され新しいバッチのスラリが用いられる)たびに、及び、CMPプロセスがまだスペック内にあることを知る必要が生じるようになるたびに、上述のインシチュウ/リアルタイムのモニタの手順を周期的に用いることが可能である。更に、これを、実際の製品の代りにブランクウエハに用いて、実際の製品に用いる前にCMPシステムを特徴付けることが可能である。
我々は、シグネチャ波形から情報を抽出する直接且つ簡単なアプローチ、即ち、研磨速度と均一性の尺度を用いたアプローチを説明してきたが、シグネチャ又は干渉計の波形を、更に洗練された方法で解析することも可能である(例えば、ほんの一例を挙げれば、パターンないし特徴の認識又はその他のイメージ解析のアルゴリズム、又はニューラルネットワーク等)。様々な抽出特徴がシステムの動作に関して伝える情報は、経験を通じて決定でき、また、オペレータにとって最も重要と認識される情報を伝達するものを用いることができる。
また、オペレータに対して干渉計波形(即ちプロセスシグネチャ)を単に表示するだけで、オペレータは、システムがどの程度うまく振る舞っているかに関する価値あるフィードバックを得ることが可能となることに注目すべきである。典型的には、人間の目は高度に敏感であり、画像において予想される変化が僅かでも生じればこれを検知する。従って、ある程度経験を積んだ後は、オペレータはしばしば、波形を見るだけで、CMPシステムの性能全体の変化やさしせまった問題を検知することが可能となるだろう。従って、ここに説明された具体例では、コンピュータも処理の間、シグネチャの波形をオペレータに表示することにより、オペレータがこれを用いて装置の性能をモニタすることが可能となる。
当業者が既知の技術を用いることにより、オペレータが着目し変化を自動的に認識又は検出しオペレータに特定の問題があることを警告するソフトウェアアルゴリズムを直ちに開発することが可能である。
性能を高めるための変形別の具体例では、干渉計とウエハとの間のパッド内のウィンドウを変形している。パッドは干渉計レーザービームの実質的な部分を透過させるが、パッドの底面から著しく反射してくる成分が存在することが見出されている。この状況は、図21(a)に例示され、ここでは、レーザー干渉計32から発せられるレーザービーム34は、パッド22を通過して伝送され、伝送ビーム702を形成し、また、レーザービーム34の一部は、パッド22の裏側面704から反射されて、反射ビーム706を形成する。反射ビーム706は、データ信号に著しい直流(DC)シフトを生じさせる。図21(b)は、このシフトを例示する(わかりやすくするために誇張して描いている)。この例では、反射レーザー光によってもたらされるDCシフトは信号全体に対して約8.0ボルトを加える。このDCシフトは、データ信号の有用な部分の解析に対して問題を生じさせる。例えば、データ解析装置が0〜10ボルトの範囲で動作していれば、DCシフトを受けた信号を増幅して着目する部分を強化することは、信号のDC成分を低減又は排除しなければ不可能である。DC成分が除去されなければ、装置は増幅信号によって飽和してしまうだろう。DC成分を低減又は排除することは、信号処理のための電子技術を新たに必要とし、また、信号の有用な部分を損ねてしまう結果を与えるだろう。DCシフトがここに記載されるほど大きくない場合でも、これを排除するために何等かの信号処理が必要となると思われる。従って、この不要なDC成分を低減又は排除するための非電子技術的方法が望ましい。
図21(c)に描かれるように、パッド22の裏側のウィンドウを構成する領域に散乱面704’を形成することにより、この面から反射する光が弱化する。従って、データ信号の不要なDC成分が低減される。実際上は、散乱面704’は、伝達されない光708を散乱し、そのほとんどを干渉計32へ反射し返すということはない。ウエハから反射された光も、散乱面704’を通過し、その間、一部が散乱されるであろう。しかし、これが干渉計の性能を著しく損ねることはないことが見出されている。
図21(d)には、散乱面704’を用いたときに得られるデータ信号が例示される。示されるように、DC成分の排除と共に、信号は直ちに増幅され、DC部分を電子的に排除する必要なく処理される。
どのように散乱面が作られるかは、重要な問題ではない。研磨パッドの裏面のウィンドウの近辺をサンディングすることにより、又は、散乱させるコーティング材料(例えば、スコッチテープ等)を貼ることにより、あるいは所望の結果をもたらすその他の方法により、散乱面を作ることができる。
[発明の効果] 以上詳細に説明してきたように、本発明の装置及び方法は、CMPプロセスの最中に、除去された材料の厚さ又はウエハ表面の平坦度をインシチュウに決定するための、干渉による技術を採用する。
このため、研磨プロセスに関して正確性を向上し更に有用な情報を与えるために用いる事ができる終点の検出器及び方法が提供される。