以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの機能および名称も同一である。従って、それらについての詳細な説明は繰返さない。
本発明の実施の形態に係る画像処理装置の一例である画像形成装置は、原稿を読取って2種類の解像度の画像で保存する。以下の実施の形態では一方の解像度は600dpi(本明細書ではこれを「高解像度」と呼ぶ。)、他方の解像度は75dpi(本明細書ではこれを「低解像度」と呼ぶ。)である。本実施の形態ではさらに、これらの中間の解像度である150dpi(本明細書ではこれを「中解像度」と呼ぶ。)の画像も使用する。ただし、この中解像度の画像を使用することは必須ではない。
この画像形成装置は、電子写真方式により記録用紙に画像を形成する。この画像形成装置は、動作モードとして、コピーモード、FAXモード、ドキュメントファイリングモード(スキャンした画像を画像形成装置内部の記憶装置に記憶するモード)およびメールモード(スキャンした画像を電子メールに添付する形式で送信するモード)を備える。なお、この画像形成装置は、さらにネットワークプリンタモードを備えていても構わない。
[画像形成装置:機能]
図1〜図3を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置100の概略について説明する。
これらの図1〜図3を参照して、画像形成装置100は、原稿読取部102、画像形成部104、給紙部106、排紙処理装置108、および操作ユニット120を含む。操作ユニット120は、図1に示すように、タッチパネルディスプレイ130と操作キー部140とを含む。タッチパネルディスプレイ130は、液晶パネル等で構成された表示パネル132と、表示パネル132に重ねて配置されたユーザの指で押圧された位置を検出するタッチパネル134とを含む。操作キー部140には、図示しないいくつかの機能キーと、テンキーとが配置される。
画像形成装置100は以下の動作モードのいずれかで動作する。
−コピーモード−
このコピーモードでは、主として、原稿読取部(以下、スキャナ部と記載する場合がある。)102および画像形成部104が動作する。
画像形成装置100においては、原稿載置台に置かれた原稿が原稿読取部102により画像として読取られる。読取られた画像は、図3に示される、複数個の演算処理部を有するマルチコアCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)170に入力され、ここで画像に各種の画像処理が施される。この画像が画像形成部104へと出力される。マルチコアCPU170は同時に複数個の処理を並行して実行可能である。
画像形成部104は、画像によって示される原稿の画像を記録媒体(多くの場合、記録用紙)に印刷するものであって、感光体ドラム222、帯電装置224、レーザスキャンユニット(以下、「LSU」と称する。)226、現像装置228、転写装置230、クリーニング装置232、加熱定着部である定着装置234、および図示しない除電装置等を備えている。
画像形成部104には、主搬送路236および反転搬送路238が設けられており、給紙部106から給紙されてきた記録用紙が主搬送路236に沿って搬送される。給紙部106は、用紙カセット240に収納された記録用紙、または手差トレイ242に載置された記録用紙を1枚ずつ引出して記録用紙を画像形成部104の主搬送路236へと送り出す。
画像形成部104の主搬送路236に沿って記録用紙が搬送されている途中で、記録用紙が感光体ドラム222と転写装置230との間を通過し、さらに定着装置234を通過して、記録用紙に対する印刷が行なわれる。
感光体ドラム222は、一方向に回転し、その表面は、クリーニング装置232と除電装置によりクリーニングされた後、帯電装置224により均一に帯電される。
LSU226は、印刷対象の画像に基づいてレーザ光を変調し、このレーザ光によって感光体ドラム222の表面を主走査方向に繰返し走査して、静電潜像を感光体ドラム222の表面に形成する。
現像装置228は、トナーを感光体ドラム222の表面に供給して静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム222の表面に形成する。
転写装置230は、当該転写装置230と感光体ドラム222との間を通過していく記録用紙に感光体ドラム222の表面のトナー像を転写する。
定着装置234は、記録用紙を加熱するための加熱ローラ248と、記録用紙を加圧するための加圧ローラ250とを含む。記録用紙は、加熱ローラ248によって加熱され、かつ、加圧ローラ250によって加圧されることによって、記録用紙上に転写されたトナー像が記録用紙に定着される。
主搬送路236と反転搬送路238との接続位置には、分岐爪244が配設されている。記録用紙の片面のみに印刷が行なわれる場合は、分岐爪244が位置決めされ、この分岐爪244により定着装置234からの記録用紙が排紙トレイ246または排紙処理装置108の方へと導かれる。
記録用紙の両面に印刷が行なわれる場合は、分岐爪244が所定方向に回動されて記録用紙が反転搬送路238の方へと導かれる。記録用紙は、反転搬送路238を通過して、その表裏を反転されて主搬送路236へと再び搬送され、主搬送路236の再度の搬送途中で、その裏面への印刷が行なわれて排紙トレイ246または排紙処理装置108の方へと導かれる。
上述のようにして印刷された記録用紙は、排紙トレイ246または排紙処理装置108の方へと導かれて排紙トレイ246に排出され、または排紙処理装置108の各排紙トレイ110のいずれかに排出される。
排紙処理装置108では、複数の記録用紙を各排紙トレイ110に仕分けして排出する処理、各記録用紙にパンチングする処理、および各記録用紙にステープルする処理を施す。たとえば、複数部の印刷物を作成する場合は、各排紙トレイ110に印刷物の一部ずつが割り当てられるように、各記録用紙を各排紙トレイ110に仕分けして排出し、排紙トレイ110毎に、排紙トレイ110上の各記録用紙にパンチング処理またはステープル処理を施して印刷物を作成する。
−ファクシミリモード−
ファクシミリモードでは、主として、送信動作は原稿読取部(スキャナ部)102およびFAX通信部160が動作することにより、受信動作はFAX通信部160および画像形成部104が動作する。
・送信動作
画像形成装置100においては、ファクシミリモードが指定され、原稿載置台に置かれた原稿が原稿読取部102により画像として読取られる。読取られた画像が図3に示すマルチコアCPU170に入力され、ここで画像に各種の画像処理が施される。この画像がFAX通信部(図3のFAX通信部160)へと出力される。
送信側の画像形成装置100のFAX通信部160は、指定された送信側の回線を指定された送信先に接続する。接続後、画像をファクシミリ通信規格に合致した通信データに変換して、受信側のファクシミリ装置(たとえばファクシミリ機能を備えた画像形成装置100)へ送信する。
・通信動作
回線が接続されると、受信側の画像形成装置100のFAX通信部160は、送信側の画像形成装置100のFAX通信部160からの通信要求信号を検出して、応答信号を送信する。その後、たとえば、FAX通信部160は、送信側および受信側で互いに実装されている能力情報の受渡しを行ない利用可能な最大能力での通信速度および画像の符号化・符号訂正方式等を決定してモデムの通信方式を設定する。この通信方式にあわせた画像信号形式を用いて、送信側の画像形成装置100のFAX通信部160から受信側の画像形成装置100のFAX通信部160へデータを送信する。送信が終了すると回線が切断される。
・受信動作
受信側の画像形成装置100のFAX通信部160は、受信したデータを画像に変換して、画像形成部104へ送る。なお、受信したデータを画像へ変換するのは画像形成部104であっても構わない。画像形成部104は、上述したコピーモードにおける動作と同じように、受信したデータから変換された画像によって示される原稿の画像を記録用紙に印刷する。
−ドキュメントファイリングモード−
ドキュメントファイリングモードでは、主として、原稿読取部(スキャナ部)102および画像形成部104が動作する。
画像形成装置100においては、原稿載置台に置かれた原稿が原稿読取部102により画像として読取られる。読取られた画像はマルチコアCPU170に入力され、ここで画像に各種の画像処理が施される。この画像が、この画像形成装置100が備える記憶装置(後述するハードディスク172)に記憶される。
記憶された画像は、ユーザによりファイル名が指定されて、ハードディスクから読出されて、上述したコピーモードと同じ動作で記録用紙に印刷される。
−メールモード(スキャンtoメール)−
メールモードでは、主として、原稿読取部(スキャナ部)102およびネットワークインターフェイス(I/F)174が動作する。
なお、この画像形成装置100が備える画像通信モードとして、FAX通信部160を介して画像を公衆回線により送受信する上述したファクシミリモード、および、ネットワークI/F174を介して画像を電子メールに添付する形式でインターネット回線により送受信する電子メール通信モード(メールモード)がある。このほかに、ネットワークI/F174を介して画像をインターネット回線により送受信するインターネットファクシミリモード、または、ネットワーク回線を用いて画像を特定のPCのフォルダに転送する画像転送モード(スキャンtoPCフォルダ)等を備えていても構わない。
画像形成装置100においては、原稿載置台に置かれた原稿が原稿読取部102により画像として読取られ、読取られた画像がマルチコアCPU170に入力され、ここで画像に各種画像処理が施される。この画像が電子メールに添付されて送信される。
ファクシミリモードでは、送信先の電話番号が指定されるのに対して、メールモードでは、送信先のメールアドレスが指定される点が異なる。
[画像形成装置:制御ブロック構成]
図3を参照して、画像形成装置100はさらに、コピーモード、ファクシミリモード、ドキュメントファイリングモード、およびメールモードに関する機能の設定が可能な、走査表示パネルとして動作する操作ユニット120と、プログラム等を記憶するためのROM(Read−Only Memory:読出専用メモリ)176と、通電が遮断された場合であってもプログラムおよびデータ等を記憶可能な不揮発性記憶領域であるハードディスク172と、プログラムを実行する際の記憶領域を提供するためのRAM(Random Access Memory:随時読出書込可能メモリ)178とを含む。
画像形成装置100はさらに、原稿読取部102、画像形成部104、FAX通信部160、操作ユニット120、ROM176、ハードディスク172、およびRAM178に接続されるバス180と、バス180に接続され、ハードディスク172等に記憶されたプログラムを実行することにより画像形成装置としての一般的機能を実現するためのマルチコアCPU170とを含む。
画像形成装置100はさらに、バス180を介して画像形成装置100の各部と通信可能であり、マルチコアCPU170からのコマンドにしたがって、画像形成部104に関する給紙の制御を実行するための給紙部162と、同じくバス180に接続され、マルチコアCPU170からのコマンドにしたがって画像形成部104からの記録用紙の排出を制御する排出部164とを含む。
ハードディスク172には、この画像形成装置100でスキャンした原稿の画像のファイルが、フォルダ別に、保存日時および保存ユーザ名ととともに記憶されている。ハードディスク172には、各動作モードの初期画面データが記憶されている。
ROM176には、画像形成装置100の動作を制御するのに必要なプログラムおよびデータ等が記憶されている。このROM176にプログラムとともに記憶するデータとして、各動作モードの初期画面データを記憶するようにしても構わない。マルチコアCPU170は、ROM176に格納されているプログラムおよびデータに従って画像形成装置100の制御を行なうとともに画像形成装置100の各機能に関する制御を実行する。マルチコアCPU170は複数個の演算処理部を有するため、同時に2種類以上の処理を並列的に実行できる。
図3に示すように、この画像形成装置100のFAX通信部160には、画像の送受信用に公衆回線が接続され、ネットワークI/F174はネットワーク回線に接続される。このネットワーク回線には、この画像形成装置100をネットワーク対応のプリンタとして使用するコンピュータ等が接続されたり、インターネットを介して指定されたURL(Uniform Resource Locator)により特定されるコンピュータ等が接続されたりする。このようにインターネットに接続されると、画像形成装置100は、インターネットを介して、必要な情報を取得できる。
RAM178は、マルチコアCPU170による演算および処理の結果を一時的に記憶するワーキングメモリとしての機能と、画像を記憶するフレームメモリとしての機能とを提供する。
原稿読取部102、画像形成部104、操作ユニット120を構成するタッチパネルディスプレイ130、給紙部162、排出部164および操作キー部140、ならびにROM176、ハードディスク172、およびRAM178に対する制御は、マルチコアCPU170が所定のプログラムを実行することにより行なわれる。なお、操作ユニット120は、入出力I/Fを介してマルチコアCPU170と通信する。
操作ユニット120は、ユーザが目視しやすいように傾斜して設けられたパネルである。操作ユニット120の表面の左側領域にはタッチパネルディスプレイ130が、右側領域に操作キー部140が、それぞれ配置されている。タッチパネルディスプレイ130および操作キー部140は一体となって操作ユニット120を形成している。
上述したように、このタッチパネルディスプレイ130は、表示パネル132と、表示パネル132に重ねて配置されたタッチパネル134とを含む。このタッチパネルディスプレイ130においては、表示パネル132に、この画像形成装置100における動作モードを選択するホーム画面、この画像形成装置100の現在の状態、宛先指定状況、ジョブの処理状況等が表示される。表示パネル132の表示領域上にはソフトウェアボタンである選択ボタンが表示され、この選択ボタンの表示されている領域を指で押すと、タッチパネル134がその押された位置を検出する。プログラム上で、選択ボタンの表示位置とタッチパネル134が押された位置とを照合することにより、画像形成装置100の動作モード選択、機能設定および動作指示等が行なわれる。この画像形成装置100は、このようなタッチ操作(ユーザによる押圧位置に基づくコマンド入力操作)に加えて、ジェスチャー操作(ユーザによる操作軌跡に基づくコマンド入力操作)にも対応している。
以下、画像形成装置100のタッチパネルディスプレイ130における表示について説明する。本実施の形態では、タッチパネルディスプレイ130の表示のうち、特にコピー時、予め原稿の画像を読込んで様々な設定を行なうときに、画像のプレビューを表示することに特徴がある。プレビュー画像を常時表示することで、仕上りイメージを正確に捉えることができ、コピー処理を誤りなく行なうことができる。
図4に、この画像形成装置100のタッチパネルディスプレイ130における基本レイアウトを示す。図4を参照して、この基本レイアウトは、横長のタッチパネルディスプレイ130において(たとえば、横1024ピクセル×縦600ピクセル)、最上部に配置されたシステム領域200、画面中央部に配置されたプレビュー領域204、プレビュー領域204の左側に配置された機能設定及び確認のためのアイコンボタン及び機能説明からなる機能選択領域202、プレビュー領域204の右上部に配置され、おすすめ機能等、現在ユーザが行なおうとしている作業とは直接関係はないが、表示するとユーザにとって有益と思われる情報を表示するアクションパネル領域206、および、プレビュー領域204の右下部に配置され、コピーの開始及び原稿の走査の開始等を指示するボタン群が配置されたタスクトリガー領域208を含む。
なお、領域の数は5つに限定されるものではない。左右の並びも図に示したものには限定されない。ユーザが操作しやすいようにカスタマイズ可能とすることもできる。システム領域200の位置は画面の最下部であってもよい。
システム領域200には、この画像形成装置100の現時点での状態、すなわち操作中の動作モードのタイトル、並びに画像形成装置100の状況及び状態が表示される。たとえば、システム領域200には、動作モード名、割り込みキー、ログインユーザ名、処理中のジョブ状況、内蔵メモリ使用状態、時刻等が表示される。
機能選択領域202には、各機能の設定、表示の切り換え、設定の確認のためにユーザにより操作される機能選択メニュー(アイコン、ボタン等)が、動作モードにより異なる表示態様で表示される。動作モードには、アイコンモード、レギュラーモードおよびエキスプレスモードがある。アイコンモードでは、プレビュー領域204が最も広くなるように機能選択領域202には機能設定用のアイコンのみが表示される。エキスプレスモードでは、プレビュー領域204が最も狭くなっても機能選択領域202には機能を一度に設定できる画面が大きく表示される。レギュラーモードにおいては、プレビュー領域204の大きさはアイコンモードとエキスプレスモードとの中間の大きさであって、機能選択領域202には機能設定のアイコンとともに機能名称がテキスト表示される。
レギュラーモードでは、機能名称をテキスト表示するのみ(機能設定のアイコンを表示しない)であってもよい。
これらのアイコンモード、レギュラーモードおよびエキスプレスモードの切り換えはユーザの操作に基づく。すなわち、プレビュー領域204の大きさが、ユーザの操作に応じて自動的に変更される。アイコンは、小さい領域でユーザへの情報を伝達できるので、全ての機能に対して準備しておいて、プレビュー領域204が大きく表示できることが好ましい。一方、プレビュー領域をそれほど大きくする必要がない場合には、逆に機能選択領域202にアイコンだけでなく機能説明も表示することで、ユーザにとっては操作が分かりやすくなる。
機能選択領域202には、その下部に機能選択領域202の表示スタイルを変更する変更ボタン群210を備える。変更ボタン群210には、アイコンモードで機能選択領域202を表示するボタン、「お気に入り」登録した機能を表示させるボタン、設定が変更された機能を表示させるボタン、選択されている動作モードにおいて設定可能な全ての機能の一覧を表示するボタン、レギュラーモードで機能選択領域202を表示するボタン、および、エキスプレスモードで機能選択領域202を表示するボタン等が配置されている。
なお、機能選択領域202に表示される情報が多い場合には、この機能選択領域202において上下方向にスクロール可能に情報が表示される。この場合において、この変更ボタン群210はスクロールされないで、機能選択領域202の最下部に常に表示される。
プレビュー領域204には、原稿の出力(仕上り)イメージが表示される。ダミーデータまたはスキャンデータを用いてイメージ表示し、ユーザが仕上りを指示する毎にプレビュー領域204に表示されているイメージが変更される。
このプレビュー領域204の下部には、プレビュー領域204の表示スタイルを変更するプレビュー変更ボタン群212が配置される。プレビュー変更ボタン群212は、プレビューを左に90度回転させる左回転ボタン、プレビューを右に90度回転させる右回転ボタン、カラー調整をするためのカラー変更ボタン、及びプレビューの拡大縮小を手動で行なうためのズームバー214等が配置されている。
左回転ボタンを1回タッチするとプレビューが左に90度回転されて、2回タッチするとプレビューが左に180度回転される。プレビュー領域に表示された仕上り原稿イメージをジェスチャー操作しても、ジェスチャーに応じて、プレビューが回転される。例えば、指先で原稿イメージを反時計回転方向に180度回転させると、プレビューが左に180度回転される。右回転ボタンについても、回転方向が反対であることを除き左回転ボタンに対する操作と同様の処理が行なわれる。
ズームバー214は、プレビューの拡大を指示するプラスボタン216と、プレビューの縮小を指示するマイナスボタン220と、プレビュー画像の表示倍率を調整するためのバー218とを含む。
プラスボタン216をタッチしたり、バー218をプラスボタン216側へジェスチャー操作(スライド)したりすると、プレビューが拡大して表示される。プレビュー領域に表示された仕上り原稿イメージをジェスチャー操作しても(指先で原稿イメージをピンチアウト/ピンチオープンさせても)、プレビューが拡大して表示される。
ズームバー214のマイナスボタン220をタッチしたり、バー218をマイナスボタン220側へジェスチャー操作(スライド)したりすると、プレビューが縮小して表示される。プレビュー領域に表示された仕上り原稿イメージをジェスチャー操作しても(指先で原稿イメージをピンチイン/ピンチクローズさせても)、プレビューが縮小して表示される。
なお、プレビュー領域204に表示される原稿イメージのページ数が多い場合には、タッチ操作可能な表示ページ選択ボタン(ページ番号入力ボタン、ページ送りボタン、ページ戻しボタン、単ページ表示ボタン、複数ページ表示ボタン等)を表示するようにしても構わない。なお、原稿イメージをジェスチャー操作(フリック)してもプレビューされる原稿のページ送り、ページ戻しを行なうこともできる。また、プレビュー領域204に表示される原稿イメージが大きい場合には、タッチ操作またはジェスチャー操作可能なスクロールバーを表示するようにしても構わない。
アクションパネル領域206には、操作についての補助・助言・提案についての情報が表示される。このアクションパネル領域206には、たとえば、あるユーザが特定の機能を選択すると、その機能に関連する機能を表示したり、目的指向でその機能についての他の機能を表示したり、このユーザまたはこのユーザが所属するグループのユーザが過去に組合せて選択した機能を「おすすめ機能」として表示したりする。
タスクトリガー領域208には、その動作モードにおける全ての設定が完了して、この画像形成装置100を実際に動作させるためにユーザにより操作されるトリガー項目が表示される。本実施の形態では、タスクトリガー領域208には、原稿の白黒コピーを開始させるモノクロコピーボタン270と、カラーコピーを開始させるカラーコピーボタン272と、原稿を一旦スキャンし、画像として画像形成装置100に取込む処理を開始させるスキャンインボタン274と、設定をすべてクリアするためのクリアオールボタン276とを含む。
この場合において、トリガーされるジョブが開始できる状態の場合にのみ、そのジョブのトリガーとなるスタートボタンを表示することも好ましい。ジョブが開始できる状態とは、印字を伴う動作モードの場合には、全ての設定が終了してかつ消耗品(記録用紙およびトナー)切れでない状態であり、印字を伴わない動作モードであるファクスモード(送信)の場合には、宛先を含む全ての送信パラメータの設定が終了した状態である。
これらの5領域の配置された位置は、動作モードが変更されても(どの動作モードの初期画面においても)、変更されない。機能選択領域202およびプレビュー領域204におけるアイコンモード/レギュラーモード/エキスプレスモードの切り換え表示では、タッチパネルディスプレイ130の画面横方向(長手方向)にこれら領域が伸縮する。
このような5領域の配置は、従来機におけるユーザインターフェイスをも考慮しつつ、ユーザの視点の動線および操作の動線に着目して配置されている。このような配置により、タッチパネルディスプレイ130において、左上から右下へユーザの視線が動いて、左上から右下へユーザの操作(利き手の指先)が動く。これにより、ユーザフレンドリーな操作が可能という効果を得ることができる。
なお、ある動作モードから他の動作モードへ遷移するためには、操作キー部140に配置されたホームキー(図示せず)を押下する。ファクスも含めて動作モードが選択可能なホーム画面が表示される。このホーム画面において他の動作モードを選択できる。
このように、この画像形成装置100においては、ユーザの視点の動線および操作の動線に着目して、情報を表示するタッチパネルディスプレイ130を備える。このタッチパネルディスプレイ130において、プレビュー領域204の表示モードには複数種類があり、スキャンの進行状況または/および原稿の重要度合いに応じてこれらの表示モードを切り換えて、ユーザに適切にプレビュー情報を伝達する。
図4は、スキャン実行時のタッチパネルディスプレイ130の表示状態を示す。図4を参照して、スキャン実行時には、プレビュー領域204のうち、右側部分には、読取る前の原稿のプレビュー280(ダミー画像)が表示され、1ページ分の原稿の読取りが行なわれると、その画像が左側に移動し、スタックされた原稿のプレビュー282となるアニメーションが表示される。原稿の読取をしてからプレビュー画像を作成するまでには若干の時間がかかるので、タッチパネルディスプレイ130に表示される原稿の画像は、実際の読取よりやや時間遅れのある画像となる。本実施の形態では、原稿の読込時、印刷等に用いられる高解像度の画像と、プレビュー及びサムネール生成に使用される低解像度の画像との双方が生成される。
図5に、スキャンインが完了したときのタッチパネルディスプレイ130の表示状態を示す。ここでの表示はフィット・トゥー・スクリーンと呼ぶ。フィット・トゥー・スクリーンでは、プレビュー領域204にできるだけ大きく原稿のプレビュー284が表示されるよう、プレビューのサイズが調整される。フィット・トゥー・スクリーンでのプレビューは、低解像度の画像から生成される。
ここで、例えばズームバー214を操作して、画像の表示の拡大縮小が行なわれる場合、本実施の形態では、一旦低解像度の画像から、高解像度及び低解像度の中間の解像度(以下「中解像度」と呼ぶ。)の画像(「中解像度画像」)を作成して拡大縮小を行なう。中解像度画像を拡大縮小するので、最終的に得られる画像は、低解像度画像から得られるものと比較して仕上りイメージに近く、ユーザは操作の結果を正しく認識できる。しかしこの場合、中解像度画像を作成し、その中解像度画像に対する拡大縮小処理を行なうまでは最終のプレビューを表示することができない。ユーザから見るとレスポンスが悪いことになり、画像形成装置100の操作性が低くなる。そこで本実施の形態では、中解像度の画像に対する拡大縮小処理を行なうのと並行して、低解像度画像に対する拡大縮小処理を行なってその結果をプレビューとして先に表示する。中解像度画像に対する拡大縮小処理が完了すると同時に、その結果得られたプレビューを画面上で低解像度画像から得られたものと差替える。低解像度画像に対する拡大縮小処理は、中解像度画像に対する処理よりも短い時間で完了させることが可能である。したがってこのような表示をすることにより、ユーザには、拡大縮小の結果が早く提示される上、最終的には中解像度画像から得られたプレビューに置き換えられるので、処理も高速で、かつ画質も高く保った形で拡大縮小後のプレビューを確認できる。
図6に、集約機能の一例としていわゆる2in1印刷を行なうときのプレビュー表示を示す。図6を参照して、2in1印刷では、プレビュー領域204に、印刷イメージと同じようにページ画像286及び288を並べたプレビューを作成し表示する。これら集約印刷に関するプレビュー画像の場合、低解像度の画像から作成しても高解像度の画像から作成してもその画質は変わらない。したがってこうした場合には、計算量が少なくて済む低解像度の画像からプレビューを生成する。
図7に、原稿モードと呼ばれる、読込んだ原稿の画像を一覧表示する際のプレビュー領域204の表示態様を示す。図7に示されるように、原稿モードでは、原稿の各ページのサムネール290,292,294,…がマトリクス状に配置される。本実施の形態では、表示されていないサムネールを表示させるためには、タッチパネルディスプレイ130に対するジェスチャー操作により例えば下から上にフリック操作をすると、プレビュー領域204の表示が情報にスクロールされ、画面の下部に隠れているサムネールが表示される。
原稿モードで表示されるサムネールは小さく、内容がどのようなものであるかの概要が分かればよいので、低解像度画像からサムネールを生成する。
このように本実施の形態では、原稿読取時に高解像度の画像と低解像度の画像との双方を生成する。読込完了時に、低解像度の画像からプレビューを生成し表示する。以後のプレビュー表示において、プレビューの表示倍率を変更する必要がない場合には低解像度画像から生成したプレビューを使用する。プレビューの表示倍率を変更する(拡大縮小する)必要があるときには、高解像度画像から中解像度画像を生成し、低解像度の画像に対する拡大縮小と中解像度の画像に対する拡大縮小とを並列的に実行する。低解像度の画像から得られたプレビューを先に表示し、中解像度の画像からのプレビューが得られた時点でプレビューを差替える。
以下、画像形成装置100におけるプレビュー表示に伴う画像処理について説明する。
図8は、画像形成装置100のうち、プレビュー表示に関連した表示画像処理を担う機能部分のみを抽出して表示画像処理部310として示したものである。図8を参照して、表示画像処理部310は、原稿読取部102により読取られた高解像度画像320から低解像度画像322を生成するための低解像度画像生成部340と、低解像度画像322から低解像度プレビュー画像324を生成するためのプレビュー画像生成部342と、プレピューに対する拡大縮小処理がタッチパネル134により指定されたことに応答して、高解像度画像320から中解像度プレビュー画像326を生成するための中解像度画像生成部344と、中解像度プレビュー画像326に対し、タッチパネル134によって指定された拡大縮小処理を行ない、プレビュー仕上り画像328を生成するための中解像度画像加工部362と、タッチパネル134からプレビュー画像に対する画像処理であって等倍でよいもの(回転、移動、2in1等)を指定する入力があったことに応答して、低解像度プレビュー画像324に対し指定された画像処理を行ない、加工後のプレビュー仕上り画像を生成するための低解像度画像加工部360とを含む。中解像度画像加工部362は、中解像度プレビュー画像326に対する画像処理が終了しプレビュー仕上り画像328を出力する時点で、処理完了信号390を出力する機能を持つ。中解像度画像生成部344は、高解像度画像320から低解像度画像322及び中解像度プレビュー画像326を生成する際には、画質を損なわないように、画質制御(例えばマトリクス/逆マトリクス変換)を施す。こうすることで、生成される画像の画質劣化を抑制できる。
なお、高解像度画像320、低解像度画像322、低解像度プレビュー画像324、中解像度プレビュー画像326及びプレビュー仕上り画像328はいずれもハードディスク172に格納される。特に、低解像度プレビュー画像324、中解像度プレビュー画像326及びプレビュー仕上り画像328は一時的にハードディスク172に保存されるものである。これらは、プレビュー表示中の原稿に対する処理が終了して別のページのプレビュー表示に画面が遷移したとき、及びプレビュー画面が閉じられるときに削除される。
低解像度画像加工部360及び中解像度画像加工部362から出力されるプレビュー仕上り画像からは、タッチパネルディスプレイ130への表示を担うユーザインタフェース機能によって40dpiのサムネール画像370が生成されRAM178にキャッシュされる。
表示画像処理部310はさらに、低解像度画像加工部360から出力されるプレビュー仕上り画像、中解像度画像加工部362から出力されるプレビュー仕上り画像、低解像度プレビュー画像324、プレビュー仕上り画像328、及びRAM178にキャッシュされたサムネール画像370のいずれかを、動作モード及び所定のタイミングにしたがって選択するセレクタ部384と、タッチパネル134から与えられるユーザ入力にしたがって、動作モードと、どのようなプレビュー表示を行なうかを決定し、決定に従って適切に動作するよう表示画像処理部310の各部を制御する制御信号を出力するための制御部380と、制御部380により与えられる制御信号と、中解像度画像加工部362からの処理完了信号390とに応答して動作し、セレクタ部384を制御して動作条件及びタイミングに応じて適切な画像を選択させる画像選択部382と、セレクタ部384により選択された画像をタッチパネルディスプレイ130に表示するために必要な処理を行なう表示処理部386とを含む。画像選択部382は、以下のテーブル1に示すようにセレクタ部384を制御する。
[プログラムの制御構造]
この実施の形態に係る画像形成装置100において、コピー又はファクスに関係する機能部分のうち、原稿をスキャンして処理する機能部分は、図3に示すマルチコアCPU170により実行されるコンピュータプログラムと、マルチコアCPU170、ハードディスク172、RAM178操作ユニット120等のハードウェアとの協働により実現される。このコンピュータプログラムの制御構造について、以下図を参照して説明する。
画像形成装置100においてコピー又はファクスに関し、原稿をスキャンして印刷又は送信する機能を実現するためのプログラムは、ホーム画面においてコピー又はファクスに関係する機能が選択され、図4に示すモノクロコピーボタン270、カラーコピーボタン272又はスキャンインボタン274が押されたことにより起動する。なお、図4ではコピーのときの画面を示しているが、ファクス送信のときにもこの画面と同様の画面が表示される。最終的に画像形成装置100により記録用紙上に原稿が印刷されるのか、送信先に画像がファクス送信されるのか、という違いがあるだけである。
図9を参照して、このプログラムは、原稿読取部102を制御して高解像度で原稿の画像を読取るステップ400と、読取った画像から、印刷及び送信用の高解像度の画像と、プレビュー表示用の低解像度の画像を生成するステップ402と、ステップ402で生成された画像をハードディスク172に保存するステップ404と、ステップ404に続き、押されたボタンが何かにより、プレビューの表示が必要か否かを判定し、判定結果にしたがって制御の流れを分岐させるステップ406とを含む。
ステップ406における結果が肯定のときには、ステップ408で低解像度プレビュー画像324の画像から仕上りイメージ画像を生成し、ステップ410で表示する。続いてユーザによる指示の待ち状態に入る。この部分のプログラムルーチンは、拡大縮小処理が選択されたか否かを判定するステップ412と、ステップ412の結果が肯定のときに、拡大縮小後の仕上りイメージ画像を生成するステップ414と、ステップ412の結果が否定のときに、さらに他の処理がユーザにより選択されたか否かを判定し、結果が否定の時には制御をステップ412に戻すステップ416と、ステップ416での結果が肯定のときに、指定された「その他の処理」を実行するステップ418とを含む。
このプログラムでは、ステップ406の結果が否定のとき、並びにステップ414及び418の処理後には制御は合流し、ステップ420に進む。ステップ420では、ユーザの入力を待ち、ユーザ入力に応じた処理を行なう。具体的には、ステップ420では、選択された機能がファクスによる画像送信か否かが判定される。結果が肯定であれば、ステップ422において、高解像度画像320に対し、設定にしたがった画像処理を行なった上で、指定された番号のファクス送受信機に送信し処理を終了する。ステップ420での結果が否定であれば、ステップ424において、選択された機能が画像の印刷(記録紙上への画像形成)か否かを判定する。結果が肯定であれば、ステップ426において、高解像度画像320に対し、設定にしたがった画像処理を行なった上で画像形成部104(図3参照)により画像形成を行なって処理を終了する。ステップ424における結果が否定であれば制御はステップ412に戻り、画像形成装置100は入力待ち状態となる。ただし、ステップ406の判定結果がNOだった場合には、ステップ420及び424のいずれかの判定の結果がYESとなる。したがってプレビューなしの単なるコピー又はファクス送信の場合、制御がステップ412に戻ることはない。
図10に、図9のステップ414に示す拡大縮小表示を実現するプログラムルーチンの詳細を示す。図10を参照して、このルーチンは、高解像度画像から生成した中解像度画像に対し、指定された拡大縮小を行なう処理と、低解像度の画像に対し、指定された拡大縮小を行なう処理とを図3に示すマルチコアCPU170を用いて並列的に開始するステップ430と、ステップ430の後、低解像度画像の拡大縮小処理が完了するまで待機するステップ446と、ステップ446の結果が肯定になったときに低解像度画像から得られた拡大縮小後のプレビューをプレビュー領域204に表示するステップ448と、ステップ448の後、中解像度の画像に対する拡大縮小処理が完了するまで待機するステップ450と、ステップ450の結果が肯定となったときに、プレビュー領域204に表示されているプレビューを、中解像度の画像から得られた拡大縮小後のプレビューに差替えて表示し、メインルーチンに復帰するステップ452とを含む。
ステップ430は、低解像度画像(図8に示す低解像度プレビュー画像324)に対し、拡大縮小処理を開始するステップ440と、画像が2in1以上の集約画像か否かを判定して判定結果に従い制御の流れを分岐させるステップ441と、ステップ441の結果が否定のときに、高解像度画像(図8に示す高解像度画像320)から中解像度画像を生成する処理を行なうステップ442と、ステップ442により生成された中解像度画像に対し、指定された拡大縮小処理を開始するステップ444と、ステップ441の結果が肯定のときに、低解像度画像から2in1以上の中解像度の集約画像生成して制御をステップ444に進めるステップ443とを含む。図3に示すマルチコアCPU170が演算処理機構を複数個持つため、低解像度の画像に対する拡大縮小を行なう画像処理と、高解像度(又は低解像度)の画像から中解像度の画像を生成し、さらにその拡大縮小を行なう画像処理と、これらの処理を制御するプロセスとを並行して実行できる。
図11には、図9のステップ418の処理を実現するプログラムルーチンの制御構造について示す。図11を参照して、このルーチンは、ユーザにより選択された機能が、拡大縮小機能以外の機能のうちで画像編集処理に関係する機能か否かを判定するステップ470と、ステップ470の結果が肯定のときに、中解像度画像が既に作成されハードディスク172に記憶されているか否かを判定するステップ472とを含む。中解像度画像が作成されていなければ、制御はステップ476に進み、低解像度画像を編集し、プレビューを表示する。中解像度画像が既に作成されていれば、ステップ478でハードディスク172からその画像を読出し、指定された編集を行なってプレビュー表示する。この処理により、一旦中解像度画像が作成された後には、プレビュー表示は中解像度画像から行なわれることになる。
ステップ470の結果が否定のとき、並びにステップ476及びステップ478の処理が完了した後、制御は合流し、ステップ480においてユーザからの指示がプレビュー表示を閉じる指示か否かを判定する。結果が肯定の時には、ステップ482において、図8の低解像度画像322及び低解像度プレビュー画像324、並びに、もしあれば、中解像度プレビュー画像326及びプレビュー仕上り画像328をハードディスク172から削除し処理を終了する。ステップ480の結果が否定の時には何もせずこのルーチンを終了する。
[動作]
画像形成装置100は以下のように動作する。なお、以下の説明では、画像形成装置100の各機能のうち、表示画像処理部310に関する動作のみ説明し、他の通常機能に関する動作についてはここでは詳細は述べない。また以下では、典型的な例として、ユーザが原稿を原稿読取部102の自動読取機構(ADF)を使用してスキャンインし、画像を編集し、編集後の原稿画像を印刷する場合について説明する。
図1を参照して、ユーザが原稿のコピーをする場合、図示しないホーム画面でコピー機能を選択し、原稿を原稿読取部102のADFの原稿トレー上に載置する。画面は、図4の状態で、ただしプレビュー領域204には何も表示されていない。ここでユーザはスキャンインボタン274を押す。この結果、原稿読取部102による原稿読取りが開始され、図4のプレビュー領域204には、読込前の原稿のプレビュー(ダミー画像)280が表示され、1ページ読取るごとにそのページのプレビュー280が左側に移動するアニメーションが表示される。移動した原稿のプレビュー282は、積層された形で表示される。ただし既に述べたように、原稿を読込んだ後でないとその原稿のプレビューは作成できないので、このようなアニメーション表示は実際の原稿に対する読取動作より時間的に若干遅れることになる。
この読取のとき、各ページの高解像度の画像が生成され(図9のステップ400)るととともに、同じ画像の低解像度画像が生成される(ステップ402)。読取られた原稿の高解像度の画像及び低解像度の画像はともに図3に示すハードディスク172に保存される(ステップ404)。
ここでは利用者がスキャンインボタン274を押している場合を想定している。したがって制御はステップ406からステップ408に進む。ステップ406で、低解像度の画像から仕上りプレビュー画像が生成され、ステップ410でプレビューがタッチパネルディスプレイ130に表示される。このときの表示モードはユーザの設定による。例えば、デフォルトでは図5に示すフィット・トゥー・スクリーンである。ユーザが予め2in1を選択している場合、ここで表示される画像は2in1の形のプレビューである。
ここでユーザが例えばプレビュー画像の拡大縮小を選択したものとする。ステップ412の結果が肯定となり、ステップ414でプレビュー画像の拡大縮小表示が行なわれる。その詳細について図10を参照して説明する。
まずステップ430において、低解像度画像に対して拡大縮小処理を開始するステップ440が開始される。これと並行して、表示される画像が2in1以上の集約画像か否かが判定され(ステップ441)、判定結果が否定のときには高解像度画像から中解像度画像を(ステップ442)、判定結果が肯定のときには低解像度画像から中解像度の集約画像を(ステップ443)、それぞれ作成し、作成された中解像度画像に対し拡大縮小処理を開始するステップが行なわれる(ステップ444)。マルチコアCPU170が複数の演算処理部を有するため、低解像度画像に対する拡大縮小処理と、中解像度画像に対する拡大縮小処理と、図10に制御構造を示すプログラムルーチンの実行とが同時並行的に行なわれる。通常は、低解像度画像に対する拡大縮小処理の方が中解像度画像に対する拡大縮小処理よりも先に完了する(ステップ446の結果が肯定)。ステップ448でこの画像がタッチパネルディスプレイ130に表示される。このときまだ中解像度画像に対する拡大縮小処理が行なわれているが、その処理が完了すると(ステップ450の結果が肯定)、ステップ452でその画像を、低解像度の画像から得た拡大縮小画像に差替えてタッチパネルディスプレイ130に表示する(ステップ452)。
こうして、この処理によれば、プレビューに対する拡大縮小をユーザが指示したときには、まず低解像度の画像を拡大縮小した画像が表示され、その次に中解像度の画像を拡大縮小した画像が表示される。最初に低解像度の画像から得られた画像が表示されるため、ユーザには画像形成装置100が高速に動作しているように見える。一方、その画像が中解像度に対する拡大縮小により得られたより画質の良い画像により置き換えられるため、最終的にタッチパネルディスプレイ130に表示されるプレビューの画質を高く保つことができる。なお、このとき得られた中解像度の画像(ステップ442又はステップ443による。)は、ハードディスク172にキャッシュされ、以後のプレビュー画像に対する処理ではこのキャッシュされた画像が利用される。したがって、同じ原稿について、ステップ412の処理が2回以上行なわれる場合には、図10のステップ442又は443の処理は実行されず(不能化され)、ハードディスク172にキャッシュされた中解像度画像が読出されることになる。
またこのとき、2in1以上の集約画像等のように、中解像度画像を高解像度画像から生成しても低解像度画像から生成しても結果が同じときには、作業時間の短縮を優先して、中解像度画像からの生成を不能化し、低解像度画像からの中解像度の集約画像の生成を可能化する。こうした処理により画像形成装置100の処理能力を最大限に利用して高速に高画質な中解像度の集約画像が生成できる。
再び図9を参照して、ユーザが選択した処理が拡大縮小処理ではない場合を想定する。制御はステップ412からステップ416に進み、ステップ418の「その他の処理」が実行される。
図11を参照して、ここでは例えば2in1の出力をユーザが選択したものとする。2in1の出力を選択するとプレビューを編集する必要が生じる。したがって、図11において、ステップ470の結果は肯定となり、制御はステップ470からステップ472に進む。ステップ472では、中解像度データが既に作成されハードディスク172にキャッシュされているか否かが判定される。キャッシュされている場合にはステップ478でその中解像度画像を読出し、編集してタッチパネルディスプレイ130にプレビュー表示する。中解像度画像がキャッシュされていないときには、ステップ476で低解像度画像を編集し、プレビュー表示する。
さらに、ユーザによる指示がプレビュー表示を閉じる指示であれば、図9のステップ402で生成された低解像度画像と、図9のステップ408で生成された仕上りイメージ画像と、図10のステップ442又はステップ443で生成された中解像度画像(もしあれば)とがハードディスク172から削除される。この結果、プレビューが終了すると、プレビューのために生成された画像が全て削除されることになり、ハードディスク172の記憶領域を有効に使用できる。
[実施の形態の効果]
以上のように本実施の形態に係る画像形成装置100では、原稿を読取った際、高解像度画像とともに低解像度画像が生成される。プレビュー表示の生成には、低解像度画像が使用されるので表示は高速に行なえる。画像の拡大縮小の際には、高解像度画像から中解像度画像が作成され、この中解像度画像に対して拡大縮小した結果からプレビューが表示される。中解像度画質データの生成とその拡大縮小処理には時間がかかるため、この処理と並行して低解像度画質データに対し同じ拡大縮小処理をしてプレビューを作成して先に表示する。そのため、ユーザには拡大縮小処理に時間がかかっているようには思えず、操作性を快適に保つことができる。ただしこのときの画質は低解像度画像から得られたものであるため、それほど良くはない。しかし本実施の形態では、中解像度の画像の拡大縮小処理が完了した時点で画像を差替えるので、最終的なプレビュー画像の画質を高く保つことができる。
2in1のプレビュー表示を行なう際には、中解像度画像を作成することなく、低解像度画像を用いてプレビューを生成できる。このように、ユーザが選択する機能に応じ、低解像度画像を使用しても中解像度画像を使用しても同じ結果が得られるときには、処理時間がより短くて済む低解像度画像が自動的に選択される。その結果、選択された機能に応じて最適な画像を使用することができ、処理を高速化できる。
中解像度画像を一度作成した後は、プレビュー表示の作成には中解像度画像を使用する。こうすることにより、原稿とプレビュー表示との色目の相違という問題を回避し、統一感のある画像を提供できる。またこのようにして作成された画像は、プレビュー画面を閉じる操作がされない限り保持される。そのため、以下のような操作が可能になる。例えば2in1カラーコピーを設定したプレビュー表示が行なわれており、既に中解像度の画像が作成されていたものとする。このプレビューに対してユーザが拡大縮小をし、画像確認を行なった後、2in1モノクロコピーに変更し、プレビュー表示で画像を確認した場合を考える。この間、プレビュー画面が閉じられるわけではなく、別の原稿のプレビューに遷移したわけでもないので、中解像度の画像は保持されている。さらにこの後、ユーザが2in1カラーコピーがよいと考え、再度、2in1カラーコピーに設定を変更してプレビュー表示させ、画面の拡大縮小操作をしたものとする。この場合、既に中解像度画像が作成され保持されているので、画像を作り直すことを省略でき、画面差替えまでの時間を短くできる。
なお、プレビュー表示でユーザ操作があったときに、プレビューをリセットして、新たにプレビューを作成するか否かは、ユーザ操作がどのようなものかに依存する設計事項である。例えば別の原稿の表示に移動したりするときには基本的に画面はリセットされる。それに対し、パンチ、ステープル処理等を指定する場合にはプレビューはリセットされず、プレビュー画像に対し、設定に応じた加工がされるのみである。
[変形例]
上記した実施の形態では、図10のステップ430から分かるように、低解像度画像に対する拡大縮小処理と、中解像度画像の生成及びその拡大縮小処理とを並列で実行している。これは、画像形成装置100がマルチコアCPU170を採用しているために可能となっている。例えばCPUが演算処理部を1つしか持たない場合等には、こうした処理を並列的にではなく、低解像度画像に対して拡大縮小をし、処理後の画像を表示した後に、中解像度画像を生成し拡大縮小をしてその結果を表示するようにしてもよい。
上記実施の形態ではまた、通常は高解像度の画像から中解像度の画像が生成され、2in1のプレビュー表示が行なわれるときには、低解像度の画像から中解像度の画像が生成される。しかし本発明はそのような実施の形態に限定されるわけではない。例えば読込んだ画像が文字のみのときには常に低解像度から中解像度の画像を形成するようにしても良い。文字のみの画像では、解像度が低くてもそれほど画質は低下しないためである。逆に、写真等を含む画像では、常に高解像度の画像から中解像度の画像を生成するようにしてもよい。
上記実施の形態では、拡大縮小処理では、中解像度の画像を高解像度の画像から作成した後、拡大縮小処理を行なっている。しかし本発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば中解像度の画像作成の代わりに高解像度の画像に対して拡大縮小処理を行なってプレビュー用の画像を生成しても良い。この場合も、先に低解像度画像から得たプレビューを表示した後、高解像度画像から得られた画像に差替える。さらに、上記実施の形態のように、中解像度のデータを使用する方法と、中解像度の画像に代えて高解像度画像を使用する方法とを切り換えるようにすることもできる。さらには、低解像度の画像から中解像度画像を得て、拡大縮小処理後のプレビュー画像の生成にこれらの画像をユーザの設定に応じて切り換えるようにしてもよい。
上記実施の形態では、プレビューの拡大縮小の指示があったときに中解像度画像を作成している。しかし本発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば、明示的に拡大縮小の処理が指定されないが、その後の段階で必ず拡大縮小が行なわれるような動作モードが選択されたときには、その選択のときに中解像度画像の作成を開始するようにしてもよい。そうした動作モードとしては、例えば画像のトリミング、マスキング、一部の移動又はコピー等、一般的に画像内で座標を指定して何らかの処理を行なうような動作モードがある。中解像度画像を生成するタイミングについて、ユーザが設定できるようにしても良い。
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上述した実施の形態のみに限定されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含む。