図1は、本発明の実施の一形態を示すブロック図である。図中、1は画像表示装置、2は提示部、3は入力装置、4は受付部、5は評価部、6は作成部である。画像表示装置1は、評価対象となる装置である。
提示部2は、予め決められている2以上の図形を画像表示装置1に出力させる。その際に、当該2以上の図形がどのように見えるかを設問として操作者に提示する。操作者は、その設問の回答を入力装置3を用いて行う。
受付部4は、操作者からの設問に対する回答を受け付ける。
評価部5は、受付部4で受け付けた操作者からの設問に対する回答から、画像表示装置1の特性を評価する。設問を複数用意しておき、その複数の設問に対する複数の回答から評価を行うとよい。
作成部6は、評価部5による評価結果に従い、画像表示装置1に対して与える色信号の色変換を行うための色変換プロファイルを作成する。
まず、図形を画像表示装置1に出力させ、設問に対する回答を得て評価するまでについて説明する。図2は、本発明の実施の一形態における評価部までの動作の一例を示す流れ図である。S51において、提示部2は設問に対応する2以上の図形を画像表示装置1に出力させる。2以上の図形は、それぞれ縁取りを図形の色とし、あるいは縁取りを行わない。また、設問は色名などを使用せず、例えば濃さや鮮やかさや色が「近い」、「同じ」、「異なる」などの言葉を使用して行う。あるいは、図形を直接選択する設問でもよい。そしてS52において、操作者が入力装置3を用いて行う設問に対する回答を受付部4が受け付ける。
S53において、設問が終了したか否かを判断し、設問が残っている場合にはS51に戻って残りの設問に対応する図形の表示及び回答の受付を繰り返す。その際には、設問の際の図形の色が操作者の残像として残らないように、例えば全面が白または灰色などの出力を行うとよい。なお、設問が1つである場合にはS53における判断を行わずにS54へ進めばよい。
S53で設問が終了したと判断した場合には、S54において、それぞれの設問に対する操作者からの回答をもとに、画像表示装置1の特性を評価部5で評価する。この例ではさらに、S55において、評価部5で評価した結果を出力する。この評価結果の出力は、作成部6に渡される。もちろん、画像表示装置1で出力してもよいし、他の装置で出力したり、あるいは他の処理へ渡して利用してもよい。
具体例を用いながらさらに説明する。図3は、設問の第1の例の説明図である。図3に示す例では、2つの矩形図形をそれぞれ45度傾け、部分的に重ねて出力している。この2つの図形の色は、予め決められた色相だけ異ならせる。なお、図示の都合上、色の違いは斜線を異ならせて示している。そして設問として、2つの図形の色が異なって見えるか否かを操作者に回答させる。設問の具体例としては、「2つの図名の色は同じに見えますか?」、「2つの図形のどちらが鮮やかですか?」、「2つの図形のどちらが濃く見えますか?」など、種々の設問が考えられる。
この回答により、画像表示装置1の色再現域が予め設定した標準的な色再現域と比べて狭いのか否かが分かる。図4は、いくつかの画像表示装置における色再現域の一例の説明図である。画像表示装置1は色再現能力が異なる場合があり、図4では標準の色再現域をAとして示し、この色再現域Aを有する画像表示装置を画像表示装置Aとする。また、ある画像表示装置Bの色再現域をBとして示し、さらに別の画像表示装置Cの色再現域をCとして示している。色再現域Bは標準の色再現域Aよりも狭く、色再現域Cは色再現域Bよりもさらに狭い。
画像表示装置Aに対して、ある色信号p(再現される色を黒丸で示す)を与えると、図4中の色a1が再現されるとする。この色信号pを画像表示装置Cに与えた場合、色再現域の違いから、例えば図4中の色c1が出力されてしまう。また、色信号pとは色相が異なる別の色信号q(再現される色を白丸で示す)を画像表示装置Aに対して与えた場合、図4中の色a2が再現されるとする。この色信号qを画像表示装置Cに与えた場合、色再現域の違いから、例えば図4中の色c2が出力されてしまう。
図3に示した例では、2つの図形の色として、この色信号pと色信号qを与える。画像表示装置Aに色信号p及び色信号qを与えた場合には、図4から再現される色は色a1と色a2である。この場合、再現された色a1と色a2は異なって視認される。しかし、画像表示装置Cに色信号p及び色信号qを与えた場合には、図4から再現される色は色c1と色c2であり、色c1と色c2の色相差は色a1と色a2の色相差よりも小さくなる。そのため、2つの図形の色が異なる色として視認されない場合がある。
このような見知から、設問に対する回答から色再現域の広さを評価すればよい。例えば図3に示した形態で予め決められた色相が異なる2つの図形を提示部2で画像表示装置1に出力させ、その図形を参照した操作者から受付部4が受け付けた設問に対する回答が、2つの図形の色が異なって見えるとの回答の場合には、当該画像表示装置の色再現域は標準の色再現域Aの広さを有していると評価部5で評価すればよい。また、2つの図形の色が異なる色として見えないと回答された場合には、図4でも説明したように当該画像表示装置の色再現域は標準の色再現域Aに比べて縮退していることが考えられ、当該画像表示装置の色再現域は標準よりも狭いと評価部5で評価すればよい。
上述の2つの図形を出力するための色信号p、qの色は、表示装置の場合には青系の色で各装置において色再現域が異なることから、青系の異なる色相の2色を用いるとよい。表示装置ではR(赤)、G(緑)、B(青)を用いてフルカラーの再現を行うが、色信号p、qの色として例えばB単色とBにGまたはRを混色させた色を用いればよい。あるいは、B単色と、BにBよりも少ないG及びRを混色させた色を用いてもよい。
また、この青系の色で色再現域が異なることによって、マゼンタや赤系の色についても影響を受けることから、マゼンタ系の2色、赤系とマゼンタ系の2色等を用いるとよい。この場合、R及びGは固定してBを変更した2色を用いるとよい。あるいは、R及びGの変更量よりもBの変更量を大きくした2色を用いてもよい。マゼンタ系、赤系の色では、色再現域の違いにより鮮やかさが異なって観察されることになる。もちろん、緑系、シアン系、黄系などの色で図形を構成してもよい。また、これらのいくつかの色の組み合わせを複数の設問として用意し、回答を得てもよい。複数の回答が得られれば、色再現域の概要がさらに詳細に分かる。
色信号p、qの色として、上述の青系、マゼンタ系、赤系とマゼンタ系などのように異ならせるほか、色信号pの色と色信号qの色との色差を異ならせた複数の設問を行ってもよい。
なお、図形の形状は図3に示した例に限られるものではなく、円形など、他の形状であってもかまわない。また、図形の配置についても、図3に示した例に限られるものではなく、操作者の見えなどを考慮して配置すればよい。
図5は、設問の第2の例の説明図である。図5に示す例では、二重円を3分割し、二重円の内円部と外周部とで色の濃さを異ならせて出力する例を示している。なお、図示の都合上、色及び濃さの違いは斜線を異ならせて示している。3分割した各領域は3原色の各色成分であり、表示装置であればR(赤)、G(緑)、B(青)である。そして、外周部の色を内円部の色よりも薄くする。どの程度薄くするかは、色成分ごとに予め設定しておく。そして設問として、各色成分について、内円部の色と外周部の色が異なって見えるか否かを操作者に回答させる。
この回答により、画像表示装置1の各色成分におけるγ特性が分かる。図6は、いくつかの画像表示装置におけるγ特性の一例の説明図である。画像表示装置1は色再現能力が異なる場合があり、図6では画像表示装置A,B,Cにおけるγ特性をそれぞれA,B,Cとして示している。γ特性Bの場合はγ特性Aの場合よりもγ値が大きく、γ特性Cの場合はγ特性Bの場合よりもγ値が大きい。
例えば内円部の色を出力するための色信号として最大値pを与え、外周部の色を出力するための色信号として、ある色信号qを与える。すると、色信号qに対応して画像表示装置Aではa2が、画像表示装置Bではb2が、画像表示装置Cではc2が、それぞれ出力されることになる。色信号pに対応する出力a1との差を比べると、a1−a2>a1−b2>a1−c2となっている。この差によっては、操作者に色の違いが認識されなくなる。
このような見知から、設問に対する回答から画像表示装置1のγ特性を評価すればよい。例えば図5に示した形態でそれぞれの色成分について色の濃さが異なる予め決められた色を内円部と外周部に配した図形を提示部2で画像表示装置1に出力させ、その図形を参照した操作者から受付部4が受け付けた設問に対する回答として、内円部の色と外周部の色が異なって見えないと回答された色成分については、色が異なって見える場合に比べてγ値が大きいと評価部5で評価すればよい。
図7は、設問の第2の例の変形例の説明図である。図7に示す例では、色成分毎に二重の矩形を構成して出力する例を示している。いずれの二重の矩形においても外周部の色が内部の色よりも薄くしている。なお、図示の都合上、色及び濃さの違いは斜線を異ならせて示している。図示している3つの色成分は、例えばR、G、Bとすればよい。設問として、各色成分について、内部の色と外周部の色が異なって見えるか否かを操作者に回答させる。
この場合にも、内部の色と外周部の色を予め設定しておけば、画像表示装置1のγ特性によっては色の違いが操作者によって視認されない場合がある。従って、内円部の色と外周部の色が異なって見えないと回答された色成分については、色が異なって見える場合に比べてγ値が大きいと評価部5で評価すればよい。
図5に示した例と図7に示した例のいずれか一方を用いてもよいが、例えば両方を用い、各色成分における2つの色の差を異ならせ、γ値を分類評価してもよい。もちろん、3段階以上の図形表示と回答の受付を行い、さらに分類評価してもよいし、色の濃さを異ならせた複数回の設問を行ってもよい。なお、図5,図7に示した出力例に限らず、他の種々の形態で図形を配置してもよい。
図8は、設問の第3の例の説明図である。図8に示す例では、灰色の背景中に、それぞれ色相が異なる複数の図形を配置して出力している。より具体的には、灰色の背景中に、その灰色を赤、マゼンタ、青、シアン、緑、黄の方向にそれぞれずらした色を配置している。その際に、背景中の図形には枠線を設けない。また、背景の灰色は、白色と黒色の中央値よりも白の側の色を用いるとよい。なお、図示の都合上、色の違いは斜線を異ならせて示している。そして設問として、灰色中の6個の図形のうち、見える図形を操作者に回答させる。
この回答により、画像表示装置1の色バランスの良否が分かる。図9は、色バランスの一例の説明図である。図中、白丸は背景となる灰色を示し、黒丸は背景の色からそれぞれずらした色である。図9(A)は色バランスがとれている状態を示している。白丸で示す灰色は明度軸に位置し、黒丸で示す各色と距離が確保されている。従って、図8に示した灰色の背景中の各図形は操作者に視認されることになる。
これに対して図9(B)は色バランスが崩れている場合の一例を示している。白丸で示す灰色は明度軸にはなく、黒丸で示す各色の位置もずれている。このように色バランスが崩れると、白丸で示す色と黒丸で示す色との距離にばらつきが生じる。そして、その距離が図9(A)に示した場合の白丸と黒丸との距離よりも短くなる色については、操作者には背景と区別して視認されない場合が生じる。また、いずれの図形が視認されないかにより、どの色の方向へ色バランスが崩れているのかが分かる。
このような見知から、設問に対する回答から色バランスを評価すればよい。例えば図8に示したように灰色の背景中に灰色から色をずらした複数の色の図形を配して提示部2で画像表示装置1に出力させ、操作者が視認された図形を選択して、その選択を回答として受付部4が受け付ける。受け付けた設問に対する回答をもとに、色バランスの良否を評価部5で評価すればよい。さらに、どの色の方向へ色バランスが崩れているのかを評価してもよい。
例えば灰色を出力しただけでも色づいて見える場合もあるが、一般的には操作者の視覚が順応し、色バランスが崩れていても無彩色の灰色に見えてしまう。図8に示す例では、背景の灰色との色の違いを回答することにより、操作者の視覚的な順応の影響は抑えられる。
なお、背景色と各図形の色との色の違いを異ならせた複数回の設問を行ってもよい。この場合に、次の回の図形の色を背景の灰色と異ならせる量を、前回の設問に対して受付部4で受け付けた回答に従って変更するとよい。
また、図8では背景及び背景中の図形の形状を、矩形を45度傾けたものとしているが、これに限らず、円形など、種々の形態であってよい。もちろん、背景と背景中の図形とで形状が異なっていてもよい。さらに、背景中の図形の配置位置についても、図8に示した配置に限られるものではない。
図10は、設問の第3の例の変形例の説明図である。図10に示す例では、図8に示した例において、背景中の図形をいくつかに絞り、見え方を回答してもらう例を示している。例えば表示装置の場合にはR,G、Bの3色を色成分とするが、一例としてはRを基準とし、Rと、RとGを混色させた黄と、RとBを混色させたマゼンタの3色について背景の灰色からずらした図形を背景の灰色中に配置する。そして、Rと黄、Rとマゼンタの図形の見え方、例えばいずれが鮮やかに見えるか、いずれが明るく見えるか、などを設問とする。均等に見えずにいずれかが鮮やかに見えたり明るく見える場合には、色バランスが崩れていると評価すればよい。また、いずれが鮮やかか、あるいはいずれかが明るく見えるかによって、どの色の方向に色バランスが崩れているかについても評価してもよい。
もちろん、Gを基準として、Gと、GとRを混色させた黄と、GとBを混色させたシアンの3色について背景の灰色からずらした図形を背景の灰色中に配置し、あるいは、Bを基準とし、Bと、BとGを混色させたシアンと、RとBを混色させたマゼンタの3色について背景の灰色からずらした図形を背景の灰色中に配置してもよい。また、背景の色と各図形の色の色差を異ならせた複数回の設問を行ってもよい。各図形の配置方法は図10に示すほか、3色の図形を並べるなど、種々の配置形態であってよい。
なお、図10に示す例の場合、色バランスが崩れていると図形が操作者に視認されず、回答が得られない場合がある。そのため、例えば図8に示した例においていずれの図形も操作者に視認されることを確認した後に、図10に示した例により色バランスが崩れている度合いを評価するとよい。
上述の設問及び得られた回答からの画像表示装置1の評価は、それぞれ単独で行ってもよいが、いくつかの設問及び当該設問に対する回答をもとにして総合的に画像表示装置1の評価を評価部5で行ってもよい。図11は、回答パターンと評価値の一例の説明図、図12は、回答結果と特性評価の一例の説明図である。評価部5は、例えば図11に示すように各設問におけるそれぞれの回答と評価値とを対応付けて記憶している。図11に示す例では、評価項目として色域、階調、色バランスの3項目について評価値を設定している。そして、例えば設問1については、1と回答された場合には、色バランスの評価値を−1とし、2と回答された場合には、階調の評価値を1,色バランスの評価値を2としている。以降の設問についても、各設問で行われる回答とその回答が行われた場合の各評価項目における評価値を設定している。
そして、提示部2から設問を画像表示装置1に出力させ、その設問に対する回答を受付部4により受け付けて、評価部5では各設問に対して行われた回答に対応する各評価項目の評価値を取得して行く。得られた評価値の一例を図12に示している。例えば、設問1では1が回答された場合を示しており、図11より色バランスの評価値として−1が得られている。以降の設問についてもそれぞれの設問の回答に対する各評価項目の評価値を図11より得ると、図12に示したようになる。設問が終了したら、各評価項目における評価値を合計し、総合の欄に示す値を得ている。この例では、色域の評価値6、階調の評価値4、色バランスの評価値−2が得られている。得られた総合評価値から、当該画像表示装置1の特性を評価すればよい。評価は、例えばいくつかの閾値を予め設定しておき、閾値と総合評価値を比較して、各評価項目における総合評価値をクラス分けする。このクラス分けした結果を当該画像表示装置1の特性評価とすればよい。例えば5段階にクラス分けすれば、各評価項目について5段階で特性が評価されることになる。あるいは、各評価項目の総合評価値から、さらに例えば評価式などで評価値を算出し、その評価値あるいは評価値をクラス分けしてもよい。
図13は、回答パターンと評価値の別の例の説明図、図14は、回答結果と特性評価の別の例の説明図である。この例では、それぞれの評価項目について色成分毎に評価する場合について示している。例えば図13の設問a、設問bは図3に示した図形を、青領域の色で出力させた場合とマゼンタ領域の色で出力させた場合を示している。青領域の色を用いた場合には色域の青の評価値が与えられ、マゼンタ領域の色を用いた場合には色域の青と赤の評価値が与えられている。
また、図13の設問cは図5または図7に示した図形の出力を行った場合を想定しており、各色成分についての回答が、各評価項目の各色の評価値として反映する。図13の設問dは設問cと使用する色を変えずに図形を変更した場合、あるいは、使用する色を変更した場合に対応する。操作者による色の違いの判断は図形の形状や配置に左右されるので、図形を変更した複数の設問を設けて評価すればよい。
さらに、図13の設問eは図8に示す図形の出力を行った場合を想定しており、それぞれの図形が背景中に見えるか否かにより、それぞれの図形の色に対応した各評価項目における各色の評価値が設定されている。
図13に示す回答パターンと評価値の表を用い、各設問に対する回答から、各評価項目における各色の評価値を決めて行く。例えば図14に示す評価値が得られたら、各評価項目の各色の総合評価値を算出すればよい。これにより、各色についての各評価項目の特性が得られることになる。上述のように、各評価項目の各色の評価値は、クラス分けしてもよい。なお、色バランスについての評価結果を操作者に提示する場合には、色成分毎の評価結果を総合して提示するとよい。
評価の操作者への提示方法は種々の既知の方法を使用すればよい。例えば、各評価項目についてクラス分けされた結果をグラフとして提示すればよい。あるいは、画像表示装置1が適する用途を提示してもよい。例えば、デザイナー向け、オフィスグラフィクス向け、文書編集向け、などといった用途の提示が考えられる。
また、画像表示装置1の評価は、上述の設問に対する回答を異なる観察条件下で行ってもらうとよい。図15は、表示装置における観察環境の一例の説明図である。例えば、観察する方向により表示されている画像の見えが異なるために、設問に対する回答も異なる場合がある。例えば図15(A)は表示装置の側面図であり、上下方向に観察角度を異ならせて設問に対する回答を行い、それぞれの観察角度に対する評価を行えばよい。また、図15(B)は表示装置の上面図であり、左右方向に観察角度を異ならせて設問に対する回答を行い、それぞれの観察角度に対する評価を行えばよい。
また、画面中に図形を出力する位置によって、例えば面内ムラなどにより見えが異なって、設問に対する回答も異なる場合がある。例えば図15(C)に示すように異なる位置に設問に対応する図形を出力し、各位置における回答を取得して、各位置に対する評価を行ってもよい。
さらに、設問に対応する図形を観察する際の照明条件、例えば照明の有無や照明としてどのような光源を用いるか、屋外で太陽光による観察か屋内での観察か、等の異なる条件での回答を取得し、各条件に対する評価を行ってもよい。
各条件について、条件を変更して得られる回答が異なっている項目、あるいは回答から行った評価が異なる項目により、画像表示装置1の各条件に対する優劣を評価すればよい。また、これらの各条件のいくつかにおける評価を総合し、画像表示装置1の評価としてもよい。さらにまた、回答を行う操作者についても、異なる複数人により回答を行って、各操作者の評価結果を平均して、あるいは得意な回答を除く中心値を当該画像表示装置1の評価結果としてもよい。
上述の説明では、設問に対する回答を、操作者の主観により行う例を示したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば測色器を使用し、各図形の色や背景色を測色し、測色結果から例えば図形の色差と予め設定しておいた閾値とを比較し、その比較結果を受付部4が受け付ける回答として扱えばよい。あるいは、画像表示装置1のプロファイルを使用し、各図形の色や背景色についてプロファイルを用いて変換して、例えば図形の変換後の色差と予め設定しておいた閾値とを比較し、その比較結果を受付部4が受け付ける回答として扱えばよい。予め設定しておく閾値は、各図形の色や背景の色毎に設定しておくとよい。例えば、各図形の色や背景の色毎に明度差、彩度差、色差などを変更すればよい。
次に、評価部5による評価結果を受けて作成部6が画像表示装置1の色変換プロファイルを作成する動作について説明する。ここではまず、評価結果から色変換パラメータとして色度点(R(赤)、G(緑)、B(青))とγ特性を決定し、これらをもとに色変換パラメータを作成する。
図16は、評価結果から色変換パラメータを得るための表の第1の例の説明図、図17は、決定する色度点の一例の説明図、図18は、決定するγ特性の一例の説明図である。この例では、図12に示した各評価項目のうち、色域の総合評価値をもとに各色度点を決定し、また階調の総合評価値をもとにγ特性を決定する例を示している。
図16(A)に示した例では色域の総合評価値が5以上の場合にAクラスとして色度点をRA1、GA1、BA1とし、色域の総合評価値が−4以上4以下の場合にBクラスとして色度点をRB1、GB1、BB1とし、色域の総合評価値が−5以下の場合にCクラスとして色度点をRC1、GC1、BC1としている。もちろん、いくつのクラスに分けるか、クラス分けの際の境界値は予め決めておけばよい。
各クラスは、色域の総合評価値が大きいほど色再現域が広く、小さいほど色再現域が狭いことを示している。従って、各クラスにおける色度点は各クラスの色再現域の大きさに応じて設定しておく。各クラスにおける色度点は、各クラスに応じて色再現域の大きさが狭くなるように、または形状が変化するように設定しておけばよい。出力特性が弱い画像表示装置や、経年劣化などによって出力が低下した画像表示装置や、外光が明るい環境の画像表示装置は、色再現域が白方向に向かって狭くなってしまうため、各クラスにおける色度点は、例えば図17(A)に示すように、白点の方向に設定してもよい。例えばRB1はRA1よりも白点側の点とし、RC1はRB1よりも白点側の点とすればよい。あるいは、出力特性の色味に差が生じている画像表示装置や、経年劣化などによって色味が変化している画像表示装置は、色再現域の形状が変化しているため、図17(B)に示すように、隣の色度点の方向に設定してもよい。例えばRB1はRA1よりもB(青)側の点とし、RC1はRB1よりもB(青)側の点とすればよい。
また図16(B)に示した例では、階調の総合評価値が5以上の場合にAクラスとしてγ特性をγAとし、色域の総合評価値が−4以上4以下の場合にBクラスとしてγ特性をγBとし、色域の総合評価値が−5以下の場合にCクラスとしてγ特性をγCとしている。もちろんこの場合も、いくつのクラスに分けるか、クラス分けの際の境界値は予め決めておけばよい。
各クラスは、階調の総合評価値が大きいほど階調性がよく、小さいほど階調性が悪いことを示している。従って、各クラスにおけるγ特性は各クラスのγ特性の良否に応じて設定しておく。例えば図18に示すように各クラスのγ特性を設定するとよい。もちろん、各クラスに対して予め設定されるγ特性は上述の例に限られるものではなく、例えばAクラスに対するγ特性としてγBやγCを設定してもよい。
例えば図14に示した各評価項目における各色の総合評価値が得られている場合には、例えば色域の赤の総合評価値から赤の色度点を決定し、色域の緑の総合評価値から緑の色度点を決定し、色域の青の総合評価値から青の色度点を決定してもよい。また、例えば階調の赤の総合評価値から赤のγ特性を決定し、階調の緑の総合評価値から緑のγ特性を決定し、階調の青の総合評価値から青のγ特性を決定すればよい。
また、例えば図5に示す図形の内円部と外周部、あるいは図6に示す図形の内部と外周部で用いる色の階調を異ならせた複数回の設問を行い、回答を得ることにより、異なる階調範囲でのγ特性が得られる。このような設問を行って回答が得られている場合には、設問で使用したそれぞれの階調範囲でのγ特性を反映させてもよい。図19は、決定するγ特性の別の例の説明図である。図19に太線で示した例では、入力値が小さい領域ではγAを、入力値が大きい領域ではγCを採用した例を示している。あるいは、色の階調を異ならせた複数回の設問に対する回答から階調の評価項目としての総合評価値を得て、階調範囲によらないγ特性を決定してもよい。
図20は、評価結果から色変換パラメータを得るための表の第2の例の説明図である。図16に示した例では単一の評価項目の総合評価値をもとに色変換パラメータとして色度点及びγ特性を決定したが、この例では複数の評価項目からそれぞれの色変換パラメータを決定する。図20(A)に示した例では、色域の総合評価値とともに色バランスの総合評価値を用い、6つのクラスに分けた例を示している。例えば図12に示した評価結果が得られている場合には、色域の総合評価値が6,色バランスの総合評価値が−2であるので、A2クラスの色度値RA2、GA2、BA2が色変換パラメータとして決定される。
またγ特性については、図20(B)に示した例では、階調の総合評価値とともに色バランスの総合評価値を用い、6つのクラスに分けた例を示している。例えば図12に示した評価結果が得られている場合には、階調の総合評価値が4,色バランスの総合評価値が−2であるので、B2クラスのγ特性γB2が色変換パラメータとして決定される。
色バランスは、ある色の方向にバランスが崩れていることを示す。その色バランスが崩れている方向が分かる場合、その色について調整した色変換パラメータを設定すれよい。例えば図14に示した各評価項目における各色の総合評価値が得られている場合には、色バランスの評価項目中の各色の総合評価値を使用し、いずれの色において色バランスが崩れているのかを判断すればよい。
図21は、色バランスが崩れている場合に決定する色度点の一例の説明図である。例えば評価結果から、色バランスの評価項目中の赤の総合評価値が他の色の総合評価値よりも小さい場合、赤において色バランスが崩れていると判断される。このような場合には、青、緑の色度点はそのままにして、赤の色度点を変更すればよい。例えば図21(A)に示すように、赤の色度点を白点の方向に設定すればよい。この例では色バランスの総合評価値をA,B,Cの3つのクラスに分けた場合に、各クラスで設定する赤の色度点を示している。あるいは、図21(B)に示すように、隣の色度点の方向に設定してもよい。
この例では赤について色バランスが崩れている場合を示しているが、青、緑について色バランスが崩れている場合についても、それぞれ青、緑について色度点を変更すればよい。また、2色について色度点を変更する場合もある。
ここでは2つの評価項目を組み合わせて用いる例を示したが、もちろん、3つの評価項目を組み合わせて用いてもよい。さらに、色域、階調、色バランスの他にも、種々の評価項目を用いてもよい。例えば、評価項目として明るさや鮮やかさを用いてもよい。
例えば、図3に示した2つの図形の例で、使用する異なる2色の一方の色が中間階調の色であって階調の評価が悪い場合には、その階調特性で出力される色を参照して設問に対して回答することになる。そのため、色域の評価に階調特性が影響して誤った評価となる場合がある。逆に、明るさや鮮やかさは階調特性により影響されない場合があり、色域や階調の評価項目とともに明るさや鮮やかさの評価項目を組み合わせることで、階調特性の違いによる色域の評価に対する誤判断が、明るさや鮮やかさの評価項目を用いない場合に比べて減ることになる。このように、明るさや鮮やかさなどの評価項目を追加して評価及び色変換パラメータの決定を行うとよい。
図22は、評価結果から色変換パラメータを得るための表の第3の例の説明図である。図22(A)に示した例では、色域の総合評価値とともに明るさの総合評価値を用い、6つのクラスに分けた例を示している。またγ特性については、図22(B)に示した例では、色バランスの総合評価値とともに明るさの総合評価値を用い、6つのクラスに分けた例を示している。もちろん、上述のように3以上の評価項目を考慮して色変換パラメータを決定してもよいことは言うまでもない。
このようにして色度点及びγ特性の色変換パラメータを決定したら、これらを用いて色変換プロファイルを作成すればよい。例えば色度値から色変換マトリクスの要素の値を算出し、それらの値とγ特性とで色変換プロファイルを構築すればよい。
ここまでの説明では、評価部5による評価結果から色度点及びγ特性などの色変換プロファイルを直接決定し、色変換プロファイルを作成するものとした。本発明はこれに限られるものではない。例えば評価部5による評価結果から出力させた図形の色の色差を推定し、推定した色差から色度点及びγ特性などの色変換プロファイルを算出して色変換プロファイルを作成してもよい。例えば図3に示した図形で説明すると、2つの図形の色の違いが操作者に認識されていれば、予め設定しておいた色差があるものと推定する。このような色差を、各設問に対する回答から、あるいは回答から得られる評価結果から推定すればよい。
あるいは、評価部5による評価結果に対応する色変換プロファイルを予め用意しておき、作成部6は評価部5からの評価結果に従って色変換プロファイルを選択し、作成した色変換プロファイルとしてもよい。あるいは、既存の色変換プロファイルが複数存在している場合には、それらの色変換プロファイルと評価結果との対応付けを行っておいて、作成部6は評価部5からの評価結果に従って色変換プロファイルを選択し、作成した色変換プロファイルとしてもよい。
図23は、作成部における動作の一例を示す流れ図である。S61において、適用範囲を判定する。例えば商品画像や企業のロゴなど、色管理を行う特定の画像に適用範囲が限定される場合には、S62において、評価部5による評価結果に対応した色変換プロファイルを作成し、S63において、S62で作成した色変換プロファイルを用いて画像の色変換を行う。色変換後の画像は、画像表示装置1により出力してもよいし、保存しておいてもよい。
また、適用範囲が特定の画像に限定されない場合には、S64において、評価部5による評価結果に対応した色変換プロファイルを作成し、S65において、S64で作成した色変換プロファイルをインストールして、選択した色変換プロファイルが以後の当該画像表示装置1への出力の際に使用されるようにする。色変換プロファイルの変更あるいは新たなインストールにより、画像表示装置1から出力される色が調整されることになる。なお、色変換プロファイルの作成の際に、当該色変換プロファイルを動作させる環境、例えばオペレーティングシステムやインタフェースカード、色出力のための設定などが得られる場合には、それらを考慮して色変換プロファイルを作成するとよい。
図24は、本発明の実施の一形態で説明した機能をコンピュータプログラムで実現した場合におけるコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体とコンピュータの一例の説明図である。図中、11はプログラム、12はコンピュータ、21は光磁気ディスク、22は光ディスク、23は磁気ディスク、24はメモリ、31はCPU、32は内部メモリ、33は読取部、34はハードディスク、35はインタフェース、36は通信部である。
上述の本発明の実施の一形態で説明した各部の機能を全部あるいは部分的に、コンピュータにより実行可能なプログラム11によって実現してもよい。その場合、そのプログラム11およびそのプログラムが用いるデータなどは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶させておけばよい。記憶媒体とは、コンピュータのハードウェア資源に備えられている読取部33に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気等のエネルギーの変化状態を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読取部33にプログラムの記述内容を伝達するものである。例えば、光磁気ディスク21,光ディスク22(CDやDVDなどを含む)、磁気ディスク23,メモリ24(ICカード、メモリカード、フラッシュメモリなどを含む)等である。もちろんこれらの記憶媒体は、可搬型に限られるものではない。
これらの記憶媒体にプログラム11を格納しておき、例えばコンピュータ12の読取部33あるいはインタフェース35にこれらの記憶媒体を装着することによって、コンピュータからプログラム11を読み出し、内部メモリ32またはハードディスク34(磁気ディスクやシリコンディスクなどを含む)に記憶し、CPU31によってプログラム11を実行することによって、上述の本発明の実施の一形態で説明した機能が全部あるいは部分的に実現される。あるいは、通信路を介してプログラム11をコンピュータ12に転送し、コンピュータ12では通信部36でプログラム11を受信して内部メモリ32またはハードディスク34に記憶し、CPU31によってプログラム11を実行することによって実現してもよい。
なお、インタフェース35を介して画像表示装置1が接続され、図形を含む設問の出力を行い、また、インタフェース35を介して接続される入力装置3から設問に対する回答を受け付けるように構成すればよい。コンピュータ12には、このほかインタフェース35を介して様々な装置と接続してもよい。もちろん、ほかの装置がインタフェース35を介して接続されていてもよい。もちろん、部分的にハードウェアによって構成することもできるし、全部をハードウェアで構成してもよい。
また、1台のコンピュータに限らず、複数のコンピュータによって実現してもよい。図25は、本発明の実施の一形態で説明した機能を実現するシステムの一例を示す構成図である。図中、41はクライアント、42は評価サーバ、43は調整サーバである。1または複数のクライアント41と評価サーバ42とは、通信路により接続され、通信路を通じて相互に通信を行う。また調整サーバ43も、少なくとも評価サーバ42と通信路により接続され、この通信路を通じて相互に通信を行う。もちろん、調整サーバ43とクライアント41とが通信路を通じて直接通信する構成が含まれていてもよい。
クライアント41には、評価及び色変換プロファイル作成対象となる画像表示装置1が接続されており、また、入力装置3も接続されており、図形を含む設問を画像表示装置1に出力し、入力装置3で行われる設問に対する回答の受付を行う。受け付けた回答は評価サーバ42へ送る。また、操作者に対する評価結果の提示なども行う。
評価サーバ42は評価部5の機能を有しており、クライアント41から送られてくる設問に対する回答をもとに、クライアント41に接続されている画像表示装置1の特性を評価する。評価のために、例えば図11に示した回答パターンと評価値の対応表を記憶しておき、これをもとに評価を行うとよい。評価結果をクライアント41に返送し、操作者に提示させる。また、さらに調整を行う場合には、評価結果及び設問に対する回答を調整サーバ43に送る。
調整サーバ43は作成部6の機能を有しており、評価サーバ42から送られてくる評価結果及び設問に対する回答をもとに、クライアント41に接続されている画像表示装置1の色再現を調整する。例えば、クライアント41が複数の色変換プロファイルを記憶しており、いずれかを選択するのであれば、選択する色変換プロファイルの指示を、評価サーバ42を通じて、あるいは直接、クライアント41に対して行えばよい。あるいは、調整サーバ43に記憶している色変換プロファイルの中から選択して、評価サーバ42を通じて、あるいは直接、クライアント41に送ってインストールしてもよい。また、調整プロファイルや色変換プロファイルを作成する場合には、作成した調整プロファイルや色変換プロファイルを、評価サーバ42を通じて、あるいは直接、クライアント41に送ってインストールすればよい。なお、作成部6を設けない表示評価装置として構成するのであれば、この調整サーバ43を設けずに構成してもよい。
また、操作者からの指示により、評価サーバ42による評価結果で済ます場合には調整サーバ43による処理を行わないこととし、さらに詳細な評価を行うことが指示された場合や、特定の画像に限定した調整が指示された場合、特定の画像に限定されない調整が指示された場合、あるいはさらに複数の条件による調整が指示された場合などでは、それぞれの指示に従った調整を調整サーバ43で行えばよい。それぞれの調整については、上述したとおりである。
評価サーバ42と調整サーバ43にどのような機能を割り付けるかは上述の例に限られるものではない。例えば、評価部5の機能を部分的に調整サーバ43に割り付けてもよい。一例としては、上述した複数の条件で得た設問に対する回答から総合的に評価する場合、個別の条件における評価を評価サーバ42で行い、総合的な評価を調整サーバ43で行うなどが考えられる。