JP2011241791A - ガスタービンエンジンのタービン - Google Patents
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Abstract
【課題】タービンの動翼および静翼を通過した燃焼ガスの周方向の速度分布が均一化され、個体間の性能ばらつきが小さいガスタービンエンジンを提供する。
【解決手段】外周部に複数の動翼(43)からなる動翼段(45)を有し、軸方向に複数連結されてガスタービンエンジン(1)のタービン(7)を形成するタービンロータ段(39)と、少なくとも各タービンロータ段(39)の間に設けられた、複数の静翼(35)からなる静翼段(37)とを備えるタービン(7)において、前記各動翼段(45)の複数の動翼(43)および各静翼段(37)の複数の静翼(35)は、それぞれ、周方向に等間隔に配置されており、各静翼段における前記静翼の枚数mに対する、当該静翼段の軸方向両側に位置する各動翼段における前記動翼の枚数nの比r=n/mが、1.25≦r≦1.75の範囲内に設定されている。
【選択図】図3
【解決手段】外周部に複数の動翼(43)からなる動翼段(45)を有し、軸方向に複数連結されてガスタービンエンジン(1)のタービン(7)を形成するタービンロータ段(39)と、少なくとも各タービンロータ段(39)の間に設けられた、複数の静翼(35)からなる静翼段(37)とを備えるタービン(7)において、前記各動翼段(45)の複数の動翼(43)および各静翼段(37)の複数の静翼(35)は、それぞれ、周方向に等間隔に配置されており、各静翼段における前記静翼の枚数mに対する、当該静翼段の軸方向両側に位置する各動翼段における前記動翼の枚数nの比r=n/mが、1.25≦r≦1.75の範囲内に設定されている。
【選択図】図3
Description
本発明は、発電機や航空機エンジンなどに用いられるガスタービンエンジンのタービンの構造に関する。
ガスタービンエンジンの圧縮機およびタービンは、固定側部材であるハウジングの内周に設けられた、周方向に並ぶ複数の静翼からなる静翼段と、回転側部材であるロータの外周に設けられた、周方向に並ぶ複数の動翼からなる動翼段とが、軸方向に交互に配設されて構成されている(例えば、特許文献1)。
タービンにおいて、上流側の動翼段における複数の動翼間を通過した燃焼ガス流には、周方向に動翼の枚数分だけの周期を有する速度分布が発生する。静翼段の翼枚数と動翼段の翼枚数とが同一の場合、燃焼ガス流は、静翼段を通過した後も周方向に周期性を有する速度分布が保たれた状態で、下流側の動翼段に到達する。この場合、燃焼ガス流の速度分布のピーク位置が、下流側の動翼間の位置に合致していればガスタービンエンジンの動力損失が小さいが、逆に動翼の前縁部の位置に合致していれば動力損失が大きくなる。
一方で、各ロータ段のタービンディスクの結合面は、必ずしも完全に平行に形成されてはいないので、一般に、動翼段を有する複数のロータ段を軸方向に連結してタービンロータを組み立てる際には、組立後の回転時の振動が最小となるようにロータ段間の周方向位置が調整される。つまり、ロータ段間での動翼の周方向の相対位置は、それ自体が調整されるのではなく、ロータ段間の平行性の調整に伴って付随的に決定される。したがって、ロータ段間の動翼の周方向相対位置がガスタービンエンジンごとにばらつくことになり、その結果、ガスタービンエンジンごとの性能ばらつきが大きくなる。
本発明の目的は、上記の課題を解決するために、タービンの動翼および静翼を通過した燃焼ガスの周方向の速度分布を均一化することにより、ガスタービンエンジンごとの性能ばらつきを抑制することにある。
前記した目的を達成するために、本発明に係るガスタービンエンジンのタービンは、外周部に複数の動翼からなる動翼段を有し、軸方向に複数連結されてガスタービンエンジンのタービンを形成するタービンロータ段と、少なくとも各タービンロータ段の間に設けられた、複数の静翼からなる静翼段とを備え、前記各動翼段の複数の動翼および各静翼段の複数の静翼は、それぞれ、周方向に等間隔に配置されており、各静翼段における前記静翼の枚数mに対する、当該静翼段の軸方向両側に位置する各動翼段における前記動翼の枚数nの比r=n/mが、1.25≦r≦1.75の範囲内に設定されている。
このように構成することにより、タービンの動翼および静翼を通過した燃焼ガスの周方向の速度分布が平均化され、その結果、このタービンが適用されるガスタービンエンジンの効率が平均化される。すなわち、このタービンが適用されるガスタービンエンジンの個体間の性能ばらつきが抑制される。
本発明に係るガスタービンエンジンのタービンにおいて、各静翼段における静翼の枚数mに対する、各動翼段における動翼の枚数nの比r=n/mが、1.40≦r≦1.60の範囲内に設定されていることが好ましく、1.45≦r≦1.55の範囲内に設定されていることがより好ましい。このように構成することにより、燃焼ガスの周方向速度分布が一層平均化され、ガスタービンエンジンの性能ばらつきが大幅に抑制される。
以上のように、本発明に係るガスタービンエンジンのタービンによれば、動翼および静翼を通過した燃焼ガスの周方向の速度分布が均一化されることにより、このタービンが適用されるガスタービンエンジンごとの性能ばらつきが抑制される。
以下、本発明に係る実施形態を図面に従って説明する。
図1に、本発明の一実施形態に係るタービンが適用されるガスタービンエンジン(以下、単にガスタービンと称する。)を示す。同図において、ガスタービン1は、外部からの導入空気IAを圧縮機3で圧縮して燃焼器5に導き、燃料Fを燃焼器5内に噴射して燃焼させ、得られた高温高圧の燃焼ガスGによりタービン7を駆動する。なお、以下の説明において、ガスタービン1の軸心方向の圧縮機3側を「前側」と呼び、タービン7側を「後側」と呼ぶ場合がある。
本実施形態では、圧縮機3として軸流型のものを用いている。この軸流型圧縮機3は、ガスタービン1の回転部分の前部を構成する圧縮機ロータ11を備えている。圧縮機ロータ11の外周面には、多数の圧縮機動翼13が配置されており、これら圧縮機動翼13と、ハウジング15の内周面に多数配置された圧縮機静翼17との組み合わせにより、吸気筒19から吸入された空気IAを圧縮する。その圧縮空気CAは、圧縮機3の下流側に配置されたディフューザ21を介して燃焼器5に送給される。
燃焼器5は、例えばアニュラー型であり、ガスタービン1の周方向に沿って複数個の燃焼噴射ユニットが等間隔に配置されている。燃焼器5では、圧縮機3から送給された圧縮空気CAが、燃焼器5内に噴射された燃料Fと混合されて燃焼し、高温高圧の燃焼ガスGが、タービンノズル(第1段静翼)25からタービン7内に流入する。
タービン7は、ガスタービン1の回転部分の後部を構成する高圧タービンロータ31Aおよび低圧タービンロータ31Bと、これらタービンロータ31A,31Bを覆うタービンケーシング33とを備えている。高圧タービンロータ31Aは圧縮機ロータ11に一体回転するように連結されて圧縮機ロータ11を駆動する。また、高圧タービンロータ31Aと低圧タービンロータ31Bは連結されていない。圧縮機ロータ11、高圧タービンロータ31A,低圧タービンロータ31Bの全体は、軸心方向の3箇所に設けられた軸受32を介して回転自在に支持されている。タービンケーシング33の内周部には、複数段のタービン静翼35が周方向に等間隔に植設されてなるタービン静翼段37が、軸心方向に所定間隔をおいて複数取り付けられている。
タービンロータ31A,31Bのうち、代表して高圧タービンロータ31Aの周辺部分の構造を拡大して図2に示す。高圧タービンロータ31Aは、軸心C方向に重ねて連結された複数のタービンロータ段39を有している。各タービンロータ段39は、その径方向内側部分を形成するディスク41と、ディスク41の外周部において周方向に等間隔に植設された複数のタービン動翼43からなるタービン動翼段45とを有している。各タービン動翼段45は、対応するタービン静翼段37の下流側に位置するように設けられている。
複数のタービンロータ段39は、これら複数のタービンロータ段39を軸心方向に貫通する連結ボルト47および連結ボルト47の先端部に螺合する連結ナット49によって軸心方向に締め付けられることにより、互いに連結されている。連結ボルト47は、周方向に等間隔に複数配置されている。
本実施形態では、図3に模式的に示すように、上流側の動翼段45と、その下流側の静翼段37を通過した燃焼ガスGの周方向の速度分布が可及的に均一化されるように、つまり周方向の速度分布のピーク値Pが最小になるように、各タービン静翼段37におけるタービン静翼35の枚数mと、各タービン動翼段45におけるタービン動翼43の枚数nの比r=n/mが設定されている。
具体的には、比r=n/mが、1.25≦r≦1.75の範囲内に設定されていることが好ましく、1.40≦r≦1.60の範囲内に設定されていることがより好ましく、1.45≦r≦1.55の範囲内に設定されていることがさらに好ましい。本実施形態におけるrの値は1.50に設定されている。
各タービン静翼段37におけるタービン静翼35の枚数mと、各タービン動翼段45におけるタービン動翼43の枚数nの比rをこのように設定することにより、タービンの動翼および静翼を通過した燃焼ガスGの周方向の速度分布が平均化され、その結果、このタービンが適用されるガスタービンの効率が平均化されることが数値計算により確認された。
図4のグラフに、静翼・動翼の枚数比rとクロッキング効果との相関関係を示す。このグラフの横軸は枚数比rを、縦軸はクロッキング効果の値を表している。ここで、「クロッキング効果」とは、ある枚数比rについてクロッキング、つまりタービン静翼段37とタービン動翼段45との周方向の相対位置を変化させたときのガスタービン効率の最大値と最小値の差のことである。すなわち、クロッキング効果の値が大きければ、ガスタービン1の個体間の性能ばらつきが大きく、クロッキング効果の値が小さければ、ガスタービン1の個体間の性能ばらつきが小さいことを意味する。
同図に示すように、静翼・動翼枚数比rの値を、ガスタービンの設計上実用的な値である1.00〜2.00の間で変化させた場合、r=1.50付近においてクロッキング効果の値が最小となり、枚数比rの値が1.50から1.00または2.00に近づくに連れて、クロッキング効果の値は増大し、枚数比rの値が、特に整数である1.00および2.00である場合にクロッキング効果の値は極大となった。この数値計算により、1.25≦r≦1.75の範囲において十分に低い値のクロッキング効果が得られ、このタービンが適用されるガスタービンエンジンの個体間の性能ばらつきが十分に抑制されることが確認された。
r=1.50の近傍が好ましい理由は次のとおりである。動翼・静翼枚数比r=1.00の場合は、上流のタービン動翼43で発生した燃焼ガス流速度分布のピーク部分の数が、タービン静翼35,35間の流路の数と一致しており、また、タービンロータ31Aの回転により流入する流路が隣のタービン静翼35,35間の流路に切り替わるタイミングもすべてのピーク部分で同時であるので、タービン静翼35下流において動翼枚数分の周期対称性が保存される。動翼・静翼枚数比r=2.00の場合は、上流のタービン動翼43から発生したピーク部分の数は静翼間流路の数の2倍であり、ある時点においては2つのピーク部分が1つの静翼間流路に流入する。また、タービンロータ31Aの回転により、全体のピーク部分の半分が流入する静翼間流路がひとつ飛ばしで同時に切り替わり、残りの半分のピーク部分は同じ流路に流入し続ける。その結果、周期対称性は、r=1.00の場合に比べると若干弱くなるものの、動翼枚数分保存される。動翼・静翼枚数比r=1.50は、タービン動翼枚数分の周期対称性が最も強く保存されるr=1.00と、これに次いで強く保存されるr=2.00からほぼ等しく離れており、クロッキング位置による性能・流量のばらつきが最も効果的に低減される比率である。
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
1 ガスタービンエンジン
3 圧縮機
5 燃焼器
7 タービン
31A 高圧タービンロータ(タービンロータ)
31B 低圧タービンロータ(タービンロータ)
33 タービンケーシング
35 タービン静翼
37 タービン静翼段
39 タービンロータ段
43 タービン動翼
45 タービン動翼段
3 圧縮機
5 燃焼器
7 タービン
31A 高圧タービンロータ(タービンロータ)
31B 低圧タービンロータ(タービンロータ)
33 タービンケーシング
35 タービン静翼
37 タービン静翼段
39 タービンロータ段
43 タービン動翼
45 タービン動翼段
Claims (4)
- 外周部に複数の動翼からなる動翼段を有し、軸方向に複数連結されてガスタービンエンジンのタービンを形成するタービンロータ段と、
少なくとも各タービンロータ段の間に設けられた、複数の静翼からなる静翼段と、
を備え、
前記各動翼段の複数の動翼および各静翼段の複数の静翼は、それぞれ、周方向に等間隔に配置されており、
各静翼段における前記静翼の枚数mに対する、当該静翼段の軸方向両側に位置する各動翼段における前記動翼の枚数nの比r=n/mが、1.25≦r≦1.75の範囲内に設定されている、ガスタービンエンジンのタービン。 - 請求項1において、各静翼段における静翼の枚数mに対する、各動翼段における動翼の枚数nの比r=n/mが、1.40≦r≦1.60の範囲内に設定されている、ガスタービンエンジンのタービン。
- 請求項2において、各静翼段における静翼の枚数mに対する、各動翼段における動翼の枚数nの比r=n/mが、1.45≦r≦1.55の範囲内に設定されている、ガスタービンエンジンのタービン。
- 外周部に複数の動翼からなる動翼段を有し、軸方向に複数連結されてガスタービンエンジンのタービンを形成するタービンロータ段と、
少なくとも各タービンロータ段の間に設けられた、複数の静翼からなる静翼段と、
を備え、
前記各動翼段の複数の動翼および各静翼段の複数の静翼は、それぞれ、周方向に等間隔に配置されており、
各静翼段における前記静翼の枚数mに対する、当該静翼段の軸方向両側に位置する各動翼段における前記動翼の枚数nの比r=n/mが、前記静翼段を通過した前記燃焼ガスの周方向の速度分布におけるピーク値が最小になるように設定されている、ガスタービンエンジンのタービン。
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JP2010116594A JP2011241791A (ja) | 2010-05-20 | 2010-05-20 | ガスタービンエンジンのタービン |
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- 2010-05-20 JP JP2010116594A patent/JP2011241791A/ja active Pending
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2011
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