JP2011239700A - 植物栽培ハウス - Google Patents

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Abstract

【課題】
夏期に野菜・果実の栽培不適地域の植物栽培ハウスにおいて、日陰を作り出すとともに、ハウス内の明るさを均一にして、通常の野菜や果実の生産を向上させる植物栽培ハウスを提供する。
【解決手段】
全体が断面半円のかまぼこ型の植物栽培ハウスであって、該かまぼこ型ハウスの全体を透明又は半透明の枠形成フィルムで覆い、日中に太陽光が照射する前記かまぼこ型ハウスの天井部分の内側には内部に向けて反射する天井反射フィルムを設けるとともに、前記かまぼこ型ハウスの側壁面の地上から所定の高さの内側全周には低位置反射フィルムを設け、植物栽培ハウスの内側の側壁下部に沿って冷却水を巡回させる冷却水巡回ホースを配置し、枠形成フィルムと天井反射フィルムとの間に熱を断熱する断熱材を介在させた。
【選択図】図1

Description

本発明は、直射日光を遮断してハウス内温度上昇を防ぎ、夏場でも大根等の野菜や果実等の栽培を可能にする植物栽培ハウスに関する。
沖縄地方等の日本の南方地域では、夏期間はゴーヤ等の瓜科の栽培は可能であるが、大根・トマト・ホウレン草・レタス等の野菜の栽培においては、通常35℃以上になると光合成の効率が低くなり収穫量が著しく低下し、夏場の高温が原因で栽培は不適であった。このため、沖縄での野菜自給率は30%以下で、70%以上%は他府県外国からの仕入れに頼っている。
これに対処するために、特許文献1に開示されているように、沖縄等の夏期に高温になる地方では、天井の有孔の遮光ビニールフィルムを開閉可能として温度を下げる園芸栽培用ハウスが提案されている。
特開2000−33号公報
しかしながら、特許文献1の従来のビニールハウスは、遮光ビニールフィルムにより、ハウス内の明るさ(ルックス)が斑になり、これに伴い野菜や果実の生育も斑になるという問題があり、ひいては、野菜や果実の生産性も低下するといった問題点があった。
本発明の課題は、植物栽培ハウス、特に、夏期に野菜・果実の栽培不適地域の植物栽培ハウスにおいて、日陰を作り出すとともに、ハウス内の明るさを均一にして、通常の野菜や果実の生産を向上させる植物栽培ハウスを提供しようとするものである。
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、全体が断面半円のかまぼこ型の植物栽培ハウスであって、該かまぼこ型ハウスの全体を透明又は半透明の枠形成フィルムで覆い、日中に太陽光が照射する前記かまぼこ型ハウスの天井部分の内側には内部に向けて反射する天井反射フィルムを設けるとともに、前記かまぼこ型ハウスの側壁面の地上から所定の高さの内側全周には低位置反射フィルムを設けたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の植物栽培ハウスにおいて、前記かまぼこ型の植物栽培ハウスの内側の側壁下部に沿って冷却水を巡回させる冷却水巡回ホースを配置したことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の植物栽培ハウスにおいて、前記枠形成フィルムと天井反射フィルムとの間に熱を断熱する断熱材を介在させたことを特徴とする。
以上のような構成であるので、請求項1の植物栽培ハウスの発明によれば、ハウス本来の雨よけや害虫よけの機能の他に、夏期に野菜・果実の栽培不適地域の植物栽培ハウスにおいて、日陰を作り出すとともに、ハウス内を葉野菜等の栽培に適した明るさにするとともに、隅々まで明るさを均一にして、通常の野菜や果実の生産を斑無く向上させることができる。
請求項2の植物栽培ハウスの発明によれば、昼間に比べて夜間の地表温度を下げることができ、請求項1の効果に加えて野菜や果実の育成を促進することができる。
請求項3の植物栽培ハウスの発明によれば、更にハウス内の温度上昇を抑えることができ、更に通常の野菜や果実の生産を向上させることができる。
何よりも、上記各発明は、結果として、沖縄のみならず他地域でも夏期の高温季節でも野菜・果実の通年栽培が可能となり、これらの生産が大きく拡大し地場の自給率を高めコストを下げることができる。さらには、野菜・果実の生産の遅出し等の作付け時期の栽培のコントロールがしやすくなり、春夏秋冬の作物栽培の選択を広げることができる。
本発明の植物栽培ハウスの全体を説明する断面図、 図1の植物栽培ハウスの部分平面図、 図1の矩形基礎枠体11の平面図、 図3の矩形基礎枠体11の角部の拡大斜視図、 図3の矩形基礎枠体11の側面図、 図1のビニールハウスの完成部分斜視図、 本発明の実施例と従来例での晴天昼間時のハウス内温度の比較[表1]の図、 同上の晴天夜間時のハウス内温度の比較[表2]の図、 同上の曇り昼間時のハウス内温度の比較[表3]の図、 同上の曇り夜間時のハウス内温度の比較[表4]の図、 同上の晴天昼間時のハウス内明るさの比較[表5]の図、 同上の曇り夜間時のハウス内明るさの比較[表6]の図、 実施例での晴天昼間時の冷却水使用有無でのハウス内温度の比較[表7]の図、 同上の晴天夜間時の冷却水使用有無でのハウス内温度の比較[表8]の図である。
直射太陽光を遮光してハウス内を外気よりも低温にし、かつ、ハウス内の地表での明るさを均一にするこよで、通常の野菜や果実の農作物栽培が通年に亘って可能となる。
本発明の好適な植物栽培ハウスの実施例を図面に沿って説明する。
図1、図2に示すように、本実施例の植物栽培ハウス1の全体の概略は、全体が断面半円のかまぼこ型で長手方向を東西(EW)に向けた細長いビニールハウスで、基本的には、ハウスの地表に全体として矩形基礎枠体11を施工して、これに半円形の外枠縦ポール12を等間隔に立て、これに直線状の外枠横ポール13を掛け渡して骨組みを作り、この骨組みに、枠形成フィルムである透明或いは半透明の外側フィルム2で覆って植物栽培ハウスの外観を構成する。
この外側フィルム2の日中に太陽の直射日光が照射される天井部分の内部に、断熱材5を介して内部の光を地表に反射する天井反射フィルム3を貼り付け、かまぼこ型ハウスの側壁面の地上から所定の高さの内側全周には低位置反射フィルム4を設けて常にハウス内、特に地表での明るさを均一にしている。
さらに、夜間に地表の温度を下げるために、植物栽培ハウス1の内側の側壁下部に沿って熱吸収蓄積板6を配置し、熱吸収蓄積板6上に水蓄積装置7から冷却水を巡回させる冷却水巡回ホース71を配置したものである。
前記矩形基礎枠体11は、図3の平面図に示すように全体が大きな矩形であって、図4の矩形基礎枠体11の角部の拡大斜視図に示すように、矩形基礎枠体11の適所にはアンカーボルト用の固定部材114が設けられ、アンカーボルト15等によって地表Gに固定する。更に、この矩形基礎枠体11は図5の右側側面図に示すように多数の50cm程度のポール支持部材111がほぼ等間隔に垂直に設けられており、この対向する一対のポール支持部材111にかまぼこ状の外枠縦ポール12を順次挿入して外枠縦ポール12の骨組みを完成させ、この外枠縦ポール12に外枠横ポール13(図6参照)を差し渡して全体の骨組みを完成させる。また、外矩形基礎枠体11の外側縁に沿って、図3、図4に示すように、矩形基礎枠体11に設けられた留め具161にフィルム止め用ワイヤー16が張り巡らされており、前述した各種フィルム2,3,4,5を骨組みに覆った後にそれらフィルム2,3,4,5等の下部端を挟み込んで固定する。その完成した状態が図6の斜視図に示すような外観を呈する。
なお、図4での矩形基礎枠体11は結合金具112、ボルト113によって現地で大きな矩形に組み立て可能となっている。この矩形基礎枠体11の使用により、従来、外枠縦ポール12の下端を地表Gに直接刺してしたが、ポール支持部材111に外枠縦ポール12を順次挿入するだけの簡単な作業で外枠縦ポール12の骨組みができ、かつ、整然と全体の外枠縦ポール12を設置することができ、また、コンクリート上でも硬い岩盤上でも容易にビニールハウスを施工することができ、フィルムの固定もフィルム止め用ワイヤー16に挟むだけで、簡単な作業で済む等の幾多の利点がある。
ここで、本実施例の図1での前記外側フィルム(枠形成フィルム)2は、厚さ0.150mm(シーアイ化成(株):テキナシファイブ(商標))の透明フィルムを使用し、太陽光が照射される南(S)側の天井部分Tの天井太陽光照射部分T1には、内側に反射層を有する天井反射フィルム3を設けるが、この天井反射フィルム3は厚さ0.07mm(日立エーアイシー(株):ポリシャンハンデイ(商標))のアルミ箔が貼り付けられたフィルムで、外側フィルム(枠形成フィルム)2と天井反射フィルム3との間には断熱材5が設けれ、この断熱材5は太陽光を反射する表面白色のフィルムで厚さ0.075mm((シーアイ化成(株):白白コートファイブ(商標))である。
この天井反射フィルム3により、北側ハウス内に射し込む日陰光を更に全体に拡散して、ハウス内の明るさを均一にし、作物栽培に適した太陽光の明るさを確保している。また、表面白色の断熱材5を外側フィルム2の下側に貼ることにより、外側フィルム2の熱をハウス内に伝達しないようにしている。
両側の側壁面Sの地表Gから20〜50cmの高さの内側全周S1の低位置にも低位置反射フィルム4を巡らし反射鏡を形成している。これは、植物栽培ハウス1の外側には雑草等が日陰を作って植物の生育を妨げるからで、この内側全周S1の低位置にもアルミ箔の反射によって、隅まで光が照射されて、驚くほど、この部分での植物の生育が順調となる。なお、20〜50cmの高さにしたのは、20cm以下であると基礎枠体11の影等が影響し、20〜50cmにするのは、植物栽培ハウス1の周りの遮光物がこの範囲であるからであり、必要に応じて80cm程度にしてもよい。勿論、建造物が有る場所では、それに応じて低位置反射フィルム4の高さを決めればよい。
なお、前記反射フィルム3及び低位置反射フィルム4の適所には、別途フィルム保護用横ポール14を補強のため設けてある。
直射日光光線ではない太陽光の採光部分は、天井部分Tの天井日陰部分T2と、側壁面Sの内部に低位置反射フィルム4が設けられていない天井部分Tと側壁面Sとの間の部分であるが、この透明又は半透明だけの部分だけけで植物栽培に十分な明るさを取り入れことができる。この採光部分の適所には通気遮断扉81を有する換気ファン8が設けられ、病気を防ぐために湿気を外に放出する。
植物栽培ハウス1の内側の側壁面Sの下部に沿って熱蓄積板6を配置するが、これは夜間の冷却水等の冷熱を吸収して蓄積するもので、黒色染料を含有した水性アクリル樹脂とシリカと笹ファイバーとを混合して硬化させた多孔素材であり、水を透過し、極めて熱蓄積効果が高く、この製法を更に詳しく説明する。
原材料内容、
(1)笹ファイバー:
クマイ笹の葉から一般栄養成分(エキス)を抽出した後の乾燥笹であり、腐敗や劣化しなくなった植物繊維を主成分とするものを用いる。笹の葉、特に、クマイ笹の葉は、一般栄養成分(エキス)を抽出した後は、従来廃棄しているものであり、これを用いることで、環境負荷を軽減する。
(2)シリカゲル:
砂上粒子で神天石(黒色天然鉱物)と呼ばれている(製造元:上の国町観光振興公社)
(3)合成樹脂塗料(水性黒色アクリル樹脂(製造元:大日本塗料(株))
上記の原料を20cm×30cm×(2〜6cm:高さ)の枠に、重量比笹ファイバー28%、シリカ22%、水性アクリル15%、水35%を混合して流し込み乾燥させて笹ファイバー黒色板を製造する(熱蓄積板6としての大きさは、施工面積に応じて適宜の大きさに設定すればよい。)。
もっとも、この熱蓄積板6は次の冷却水巡回ホース71の冷気を地表に伝達するものであるが、この熱蓄積板6を省略して直に地表に配置してもよい。
次に、熱蓄積板6上に導熱性素材の冷却水巡回ホース71を配置する。この冷却水巡回ホース71は冷却水蓄積装置7に蓄積されている冷却水をポンプPにより夜間等に巡回させるように配置され、冷却水蓄積装置7の出口72のポンプPより巡回させ、吸入口73から回収して、熱吸収蓄積板6及び植物栽培ハウス1内で、地表温度を昼間よりも幾分下げて、植物の生育を増進させる。なお、熱蓄積板6と冷却水巡回ホースは、側壁面Sの下部ばかりではなく、ハウス中央部に配置しても良い。この冷却水巡回ホース71は、厚さ0.20mmで直径15cmで全長12mmの黒色弾性樹脂チューブ(サニーホース(商標))で、ハウス内の側壁の内側全周S1に亘って配置(図1実線部分)した。
冷却水蓄積装置7への冷却水の蓄積は、太陽光が直射照射しないようにしておけば、通常夏期でも気化熱が奪われる等で外気より2〜3℃程度低いので、夜間に地表を2〜3℃程度下げるだけでも植物生育に十分効果がある。勿論、冷却が十分でなければ、別途に夜間電力を使用して冷却装置で冷却水を製造して、これを用いても良い。
また、実施例の植物栽培ハウス1は長手方向を東西(EW)に向けたが、場合によっては、長手方向を東西(EW)に向けなければならない場合もあるが、この場合には天井部分Tは常に太陽光が照射されるのが、直射日光が側壁面Sだけでハウス内の地表に届かなければ天井部Tの両下端近傍には天井反射フィルム3を省いてもよい。
ところで、図1及び2に示すように植物栽培ハウス1の側壁面Sや天井日陰部分T2の適所には、通気遮断扉81を有する換気ファン8が配置されているが、ハウス内の湿気が高くなると、葉野菜や果実に病気が発生し易くなるので、これらの病気を防ぐために湿気を外に放出して、湿気を下げるためのもので、ハウス内外の気温差があまりない朝方等に稼働させてハウス内の湿気を放出させるようにし、普段は換気ファンを止め、通気遮断扉も遮断している。
[作用]
以上のような植物栽培ハウス1を幅が4m、長さが20m、高さ3mとして、同様な規模で従来のビニールフィルムだけの植物栽培のビニールハウスとの室内温度を比較して、その作動・稼働状況を実験した結果を説明する。
図7の[表1]、図8の[表2]は、沖縄での晴天の日の室温の実験結果である。
図7の[表1]は、外気状況が昼間時AM12時での外気気温31℃(沖縄)で、本実施例の高温対応(夏期対応)の植物栽培ハウス1と、従来のビニールハウスとのハウス内での温度の比較である。なお、この場合のハウス内の野菜栽培における適温は下段に表示した。
この[表1]から判ることは、従来型のビニールハウスに比べて、地中・地上の温度が4℃から5℃低くなり、葉野菜適温の地中15℃から25℃、地上20℃から30℃の範囲に収まり、夏期の作物栽培に対して良好な状況が得られた。
次に、図8の[表2]は、外気状況が夜間AM1時での外気気温27℃(沖縄)で、本実施例の高温対応(夏期対応)の植物栽培ハウス1と、従来のビニールハウスとのハウス内での温度の比較であるが、この[表2]から判ることは、従来型のビニールハウスに比べて、地中・地上の温度が13℃から18℃も低くなり、葉野菜適温の地中15℃から25℃、地上20℃から30℃の範囲に収まり、夏期の作物栽培に対して良好な状況が得られた。
図9の[表3]、図10の[表4]は、沖縄での曇り日の室温の実験結果である。
図9の[表3]は、外気状況が昼間時(AM12時)での外気気温26℃(沖縄)で、本実施例の高温対応(夏期対応)の植物栽培ハウス1と、従来のビニールハウスとのハウス内での温度の比較であるが、この[表3]から判ることは、従来型のビニールハウスに比べて、地中・地上の温度が13℃から16℃も低くなり、葉野菜適温の地中15℃から25℃、地上20℃から30℃の範囲に収まり、夏期の作物栽培に対して良好な状況が得られた。
次に、図10の[表4]は、外気状況が夜間時(AM1時)での外気気温23℃(沖縄)で、本実施例の高温対応(夏期対応)の植物栽培ハウス1と、従来のビニールハウスとのハウス内での温度の比較であるが、この[表4]から判ることは、従来型のビニールハウスに比べて、地中・地上の温度が13℃も低くなり、葉野菜適温の地中15℃から25℃、地上20℃から30℃の範囲に収まり、夏期の作物栽培に対して良好な状況が得られた。
図11の[表5]と図12の[表6]は、実施例の植物栽培ハウス1と従来のビニールフィルムで断熱材5だけで天井反射フィルム3を貼っていないビニールハウスとの室内の明るさを比較して、その作動・稼働状況を実験した結果を説明する。
図11の[表5]は、昼間時(AM12時)晴天(沖縄)で、ハウス外の明るさが94000Lx(ルックス)の場合、ハウス内の明るさは、従来ハウスでは地表36600Lx、地上2mm33000Lxであったのに対して、本実施例のハウスでは地表54500Lx、地上2mm53000Lxで、葉野菜必要Lxの20000Lx以上を満たしている。
図12の[表6]は、昼間時(AM12時)曇り(沖縄)で、ハウス外の明るさが38000Lx(ルックス)の場合、ハウス内の明るさは、従来ハウスでは地表16000Lx、地上2mm14200Lxで葉野菜必要Lxの20000Lx以下であるのに対して、本実施例のハウスでは地表23500Lx、地上2mm22000Lxで、葉野菜必要Lxの20000Lx以上を満たしている。
このように、本実施例のハウス内では、晴天の日は勿論、曇りの日でも葉野菜必要Lxの20000Lx以上の明るさが得られる。
図13の[表7]と図14の[表8]は、実施例で冷却水を冷却水巡回ホース71でハウス内を巡回させ、特に、地中・地表の温度を幾分下げた。冷却水蓄積装置7の冷却水は特外部から冷却したものではないが、温度が上昇しないように太陽光の遮断し、冷却水自体の気化熱で外気よりも多少下げられている。
図13の[表7]は、昼間時(AM12時)晴天(沖縄)で、冷却水を巡回させた場合と、冷却水を巡回させない場合とのハウス内温度の状態で、地中10cmで巡回させない場合が26℃であるが、冷却水温度20℃を流量6l/分で巡回させた場合では2℃下がった24℃となり、葉野菜適温の地中での15〜25℃の範囲となった。また、地表30cmでも30℃が3℃下がって27℃に、地表1mでも31℃が4℃下がって27℃に冷却し葉野菜適温の地上での20〜30℃の範囲に収まった。
更に、図14の[表8]は、夜間時(AM1時)晴天(沖縄)で、冷却水を巡回させた場合と、冷却水を巡回させない場合とのハウス内温度の状態で、地中10cmで巡回させない場合が22℃であるが、冷却水温度19℃を流量6l/分で巡回させた場合では2℃下がった20℃となり、葉野菜適温の地中での15〜25℃の範囲となった。また、地表30cmでも25℃が4℃下がって21℃に、地表1mでも26℃が4℃下がって22℃に冷却し葉野菜適温の地上での20〜30℃の範囲に収まった。
以上のように、本発明の実施例の植物栽培ハウスによれば、夏期に野菜・果実の栽培不適地域において、植物栽培ハウス1本来の雨よけや害虫よけの機能の他に、日陰を作り出して、ハウス内を葉野菜等の栽培に適した明るさにするとともに、隅々まで明るさを均一にして、通常の野菜や果実の生産を斑無く向上させることができ、昼間に比べて夜間の地表温度を下げることができ、野菜や果実の育成を促進することができる。
また、植物栽培ハウス1の側壁面Sや天井日陰部分T2の適所に通気遮断扉81と換気ファン8を配置して、ハウス内の湿気を下げて、葉野菜や果実の病気を防ぐようにしている。
結果として、沖縄のみならず他地域でも夏期の高温季節でも野菜・果実の通年栽培が可能となり、これらの生産が大きく拡大し地場の自給率を高めコストを下げることができる。さらには、野菜・果実の生産の遅出し等の作付け栽培のコントロールがしやすくなり、春夏秋冬の作物栽培の選択を広げることができる。
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の実施例に限定されるものでないことは勿論である。
G・・地表、S・・側壁面、S1・・側壁の内側全周、
T・・天井部分、T1・・天井太陽光照射部分、T2・・天井日陰部分、
1・・植物栽培ハウス、11・・基礎枠体、111・・ポール支持部材、
112・・結合金具、113・・ボルト、
114・・アンカーボルト用の固定部材、
12・・外枠縦ポール、13・・外枠横ポール、
14・・フィルム保護用横ポール、15・・アンカーボルト、
16・・フィルム止め用ワイヤー、161・・留め具、
2・・外側フィルム(枠形成フィルム)、
3・・天井反射フィルム、
4・・低位置反射フィルム、
5・・断熱材
6・・熱蓄積板、
7・・冷却水蓄積装置、71・・冷却水巡回ホース、
8・・換気ファン、81・・通気遮断扉

Claims (3)

  1. 全体が断面半円のかまぼこ型の植物栽培ハウスであって、
    該かまぼこ型ハウスの全体を透明又は半透明の枠形成フィルムで覆い、
    日中に太陽光が照射する前記かまぼこ型ハウスの天井部分の内側には内部に向けて反射する天井反射フィルムを設けるとともに、前記かまぼこ型ハウスの側壁面の地上から所定の高さの内側全周には低位置反射フィルムを設けたことを特徴とする植物栽培ハウス。
  2. 前記かまぼこ型の植物栽培ハウスの内側の側壁下部に沿って冷却水を巡回させる冷却水巡回ホースを配置したことを特徴とする請求項1に記載の植物栽培ハウス。
  3. 前記枠形成フィルムと天井反射フィルムとの間に熱を遮断する断熱材を介在させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の植物栽培ハウス。
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