JP2011231045A - インターフェロン関与自己免疫疾患抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、インターフェロンの過剰産生を原因とする自己免疫疾患を抑制するための薬剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るインターフェロン関与自己免疫疾患抑制剤は、下記式(I)で表される共役スルホン化合物を含有することを特徴とする。

[式中、R1はC1-6アルキル基等を示し;R2はシアノ基等を示す]
【選択図】なし

Description

本発明は、インターフェロン関与自己免疫疾患抑制剤に関するものである。
自己免疫疾患は、自己抗原に対する過剰な免疫応答を原因とする疾患であり、炎症や組織の損傷を伴う上に、慢性的なものが多い。また、自己抗原に対する免疫応答が原因であるだけに難治性のものが多く、根治が困難である。
従来、自己免疫疾患の治療薬としては、免疫抑制剤やステロイド剤が用いられている。しかし、免疫抑制剤は免疫系全般に影響を及ぼすため、免疫力が低下し、感染症にかかり易くなるという問題がある。また、炎症を抑えるためのステロイド剤には、糖尿病、胃潰瘍、肝機能障害、精神障害などの重篤な副作用や、骨粗鬆症、高血圧、高脂血症などの長期的な副作用が知られている。その一方で、治療を進めなければ症状の悪化、臓器障害や痛みを抑制できないことから、慎重かつ適切な治療が求められる。
よって、免疫系全般を抑制するのではなく、複雑な免疫システムを解明し、患者の自己免疫疾患に関係する免疫応答経路の乱れを特異的に正せば、有効な治療が可能になると考えられる。
免疫応答経路の一つとして、NF−κBが関与するものが知られている。詳しくは、細胞膜受容体であるToll様受容体に細菌やウィルスなどの病原体の構成成分が結合すると、そのシグナルがMyD88などを介して細胞内に伝達され、細胞質に存在する抑制タンパク質であるI−κBがリン酸化される。その結果、I−κBに結合している不活性型のNF−κBが遊離して活性型となって核内に移動し、TNFαやインターロイキン2などの遺伝子の上流に存在する転写調節領域に結合し、これら遺伝子の発現を促進する。また、TNFαなどがさらにNF−κBを活性化し、炎症性サイトカインの産生を促進する。従って、上記経路を阻害すれば、TNFαなどが関与する自己免疫疾患を抑制できると考えられる。
I−κBのリン酸化を抑制し、ひいてはNF−κBの活性化を阻害する薬剤として、非特許文献1には、(E)−3−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−2−プロペンニトリルと(E)−3−[(4−t−ブチルフェニル)スルホニル]−2−プロペンニトリルが開示されている。また、当該非特許文献には、これら化合物によりラットの四肢の浮腫が軽減されたことが記載されている。
また、非特許文献2には、上記化合物により、TNFαの放出が抑制されると共に、マクロファージのアポトーシスが有意に促進されたことが記載されている。
但し、上記化合物を用いた臨床研究の報告は未だ無い。
Jacqueline W.Pierceら,ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry),vol.272,No.34,第21096〜21103頁(1997年) Evelyne Gozalら,アメリカン・ジャーナル・オブ・レスピレイトリー・セル・アンド・モレキュラー・バイオロジー(American Journal of Respiratory Cell and Molecular Biology),vol.27,第91〜98頁(2002年)
上述したように、細菌やウィルスなどが感染すると、NF−κBが活性化されて核内に移動し、TNFαやインターロイキンの遺伝子が発現してこれらが産生されるという免疫応答経路が知られている。しかし、かかる免疫応答経路が異常に活性化されると、TNFα等が過剰に産生され、クーロン病やベーチェット病などの自己免疫疾患の原因となる。
しかし、免疫応答システムは複雑であり、様々な免疫応答経路が知られている。例えば、ウィルス抑制因子とも呼ばれるインターフェロンは、Toll様受容体にリガンドが結合することによりIRF(Interferon Regulatory Factor)7がリン酸化されて核内に移動し、これがインターフェロン遺伝子の発現を活性化することにより産生され、NF−κBは関与しない。また、自己免疫疾患として様々なものが知られているが、その原因となる免疫応答経路が次第に明らかにされ、細分化されてきている。
そこで本発明は、インターフェロンの過剰産生を原因とする自己免疫疾患を抑制するための薬剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、NF−κBの阻害薬として知られている(E)−3−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−2−プロペンニトリルが、NF−κBが関係するTNFαやインターロイキンよりも、NF−κBは直接関係しないインターフェロンの過剰産生を効果的に抑制し、インターフェロンの過剰産生を原因とする自己免疫疾患を効果的に抑制できることを見出して、本発明を完成した。
本発明に係るインターフェロン関与自己免疫疾患抑制剤は、下記式(I)で表される共役スルホン化合物を含有することを特徴とする。
[式中、R1は、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基またはC1-6アルコキシ基を示し;R2は、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、C2-7アルコキシカルボニル基またはスルホン酸基を示す]
本発明において「C1-6アルキル基」は、炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状の飽和脂肪族炭化水素基をいう。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等である。好ましくはC1-4アルキル基であり、より好ましくはメチル基またはt−ブチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
「C2-6アルケニル基」は、1以上の炭素原子間二重結合を有する、炭素数が2〜6の直鎖状または分枝鎖状の不飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、エテニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等であり、好ましくはC2-4アルケニル基、より好ましくはC2-3アルケニル基である。
「C2-6アルキニル基」は、1以上の炭素原子間三重結合を有する、炭素数が2〜6の直鎖状または分枝鎖状の不飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等であり、好ましくはC2-4アルキニル基、より好ましくはC2-3アルキニル基である。
「C1-6アルコキシ基」は、炭素数が1〜6の直鎖状または分枝鎖状の飽和脂肪族炭化水素オキシ基を意味する。例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基等であり、好ましくはC1-4アルコキシ基であり、より好ましくはC1-2アルコキシ基であり、さらに好ましくはメトキシ基である。
「スルホン酸基」は、−SO3H基を意味する。
なお、ベンゼン環上の置換基であるR1の数は、置換可能であれば特に制限されず、1以上、5以下であればよいが、1以上、3以下が好ましく、1または2がより好ましく、1がさらに好ましい。また、R1が複数である場合には、それぞれの置換基は互いに同一であっても異なっていてもよい。
上記共役スルホン化合物(I)としては、R1がC1-6アルキル基であるもの、およびR2がシアノ基であるものが好適である。より具体的には、(E)−3−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−2−プロペンニトリル(BAY11−7082)や(E)−3−[(4−t−ブチルフェニル)スルホニル]−2−プロペンニトリル(BAY11−7085)を挙げることができ、(E)−3−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−2−プロペンニトリルがより好適である。
本発明において、「インターフェロン関与自己免疫疾患」とは、インターフェロンの過剰産生が原因である自己免疫疾患をいう。かかるインターフェロン関与自己免疫疾患としては、例えば、全身性エリテマトーデス、乾癬、シューグレン症候群、多発性筋炎および皮膚筋炎を挙げることができる。
本発明に係るインターフェロン関与自己免疫疾患抑制剤は、自己免疫疾患のうち、インターフェロンの過剰産生を原因とするものの治療を可能とするものである。よって、本発明薬剤は、慢性的で難治性のものが多い自己免疫疾患に苦しむ患者の苦痛を緩和できるものとして、非常に有用である。
図1は、本発明に係る共役スルホン化合物(I)をヒト形質細胞様樹状細胞に作用させた場合におけるインターフェロンαとTNFαの産生量を測定した結果を示すグラフである。図1中、(1)と(3)はインターフェロンα(IFNα)の量、(2)と(4)はTNFαの量を示し、また、(1)と(2)はToll様受容体リガンドとしてCPG2216を用いた場合、(3)と(4)は同リガンドとしてロキソリビンを用いた場合の結果を示す。 図2は、本発明に係る共役スルホン化合物(I)(BAY11)をヒト形質細胞様樹状細胞に作用させた場合における細胞内インターフェロンαとTNFαの産生量を測定した結果を示すグラフである。図2中、(1)〜(3)はインターフェロンαの量、(4)〜(6)はTNFαの量を示す。なお、(1)〜(6)では、Toll様受容体リガンドとしてCPG2216を用いている。 図3は、本発明に係る共役スルホン化合物(I)(BAY11)をヒト末梢血単核球に作用させた場合におけるインターフェロンαの産生量を測定した結果を示すグラフである。図3中、(1)はインターフェロンαの産生を促進する壊死細胞上清を添加しない場合の結果を示し、(2)は添加した場合の結果を示す。なお、(1)、(2)共に、Toll様受容体リガンドとして、自己抗体を含む全身性エリテマトーデス(SLE)患者の血清を用いている。 図4は、本発明に係る共役スルホン化合物(I)(BAY11)をマウスに腹腔内投与した場合における血清中インターフェロンα濃度の経時的変化を示すグラフである。図4中、(1)は、本発明に係る共役スルホン化合物(I)に続き、インターフェロンの産生を促進するPolyUを投与してから1時間後の結果を示し、(2)は同3時間後の結果を示し、(3)は同6時間後の結果を示す。
本発明に係る共役スルホン化合物(I)は、一般的に、下記スキームのとおり、溶媒中、塩基の存在下、スルフィン酸塩とα,β−ジハロゲン化合物を反応させることにより合成することができる。
[上記式中、Mは、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、NH4、またはカルシウム、バリウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属を示し;XとYは、それぞれ独立に塩素原子または臭素原子を示し;R1とR2は、前記と同義とする。なお、M+は一価イオンに限られず、多価イオンであってもよいものとする]
原料化合物であるスルフィン酸塩とα,β−ジハロゲン化合物は、比較的シンプルな構造を有することから、市販のものがあればそれを用いればよいし、当業者公知の方法により市販化合物から合成してもよい。なお、Mがアルカリ土類金属である場合、アルカリ土類金属1モルに対し、スルフィン酸は2モル結合して塩を形成する。
上記反応に用いることができる溶媒としては、原料化合物に適度な溶解性を示し且つ反応を阻害しないものであれば特に制限されないが、例えば、水;メタノールやエタノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミド等のアミド類;およびこれら2以上の混合溶媒を挙げることができる。
塩基としては、例えば、酢酸ナトリウムや酢酸カリウムなどアルカリ金属の酢酸塩;炭酸水素ナトリウムや炭酸水素カリウムなどの炭酸水素塩;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどアルカリ金属の水酸化物などを挙げることができる。
反応条件は特に制限されず、適宜調整することができる。例えば、スルフィン酸塩の溶液に塩基を加えてpHを調整した後に、α,β−ジハロゲン化合物の溶液を滴下すればよい。
スルフィン酸塩とα,β−ジハロゲン化合物は等モルまたは略等モル用いればよいが、一方が他方よりも入手し易かったり安価である場合などには、一方を過剰に用いてもよい。また、塩基の使用量も適宜調節すればよいが、例えば、スルフィン酸塩に対して1.5倍モル以上、5.0倍モル以下程度とすればよい。
反応温度や反応時間も適宜調整すればよいが、例えば、常温から80℃以下程度で、1時間以上、10時間以下程度とすることができる。
反応終了後は、一般的な後処理を行うことができる。例えば、本発明に係る共役スルホン化合物(I)の水溶性は比較的低いので、反応後の反応混合液を冷水に注ぎ、不溶成分を濾別してから冷水や冷アルコールで洗浄した上でクロロホルムや酢酸エチルなど水不溶性溶媒に溶解してから無水硫酸マグネシウムなどで乾燥し、溶媒を除去すればよい。さらに共役スルホン化合物(I)の純度を高めるため、再結晶法などで精製してもよい。
本発明に係るインターフェロン関与自己免疫疾患抑制剤の剤形等は特に制限されず、治療対象である自己免疫疾患の種類などに応じて、本発明に係る共役スルホン化合物(I)を、経口投与または非経口投与に適する有機または無機の固体または液体の賦形剤など薬学上許容される基材等と混合して、適切な形態の製剤とすればよい。剤形としては、例えば、カプセル剤、錠剤、糖衣錠、顆粒、吸入剤、座薬、溶液、分散液、エマルション等の剤形とすることができる。必要な場合には、助剤、安定化剤、湿潤剤や乳化剤、緩衝剤や他の一般的に用いられる添加剤をこれら製剤に配合してもよい。
インターフェロン関与自己免疫疾患の抑制に有効な共役スルホン化合物(I)の投与量は、患者の年齢、性別、重篤度などにもよるが、通常、一日当り0.001mg/kg体重以上、0.10mg/kg体重以下程度投与すればよい。投与は一日当り一回に限定されず、複数回に分けて投与してもよい。また、投与方法も特に制限されず、患者の重篤度などに応じて錠剤などの経口投与や液剤の注射投与など、適宜選択すればよい。
なお、本発明において「抑制」とは、予防と治療の両方の概念を含むものとする。即ち、本発明に係るインターフェロン関与自己免疫疾患抑制剤は、インターフェロンの過剰産生を原因とする自己免疫疾患の発症を予防したり、或いは症状を緩和するために用いることができる。
本発明のインターフェロン関与自己免疫疾患抑制剤は、特にIRF(Interferon Regulatory Factor)7の核内移動を阻害し、インターフェロンの過剰な産生を抑制し、ひいてはインターフェロンの過剰産生を原因とする自己免疫疾患を抑制することができる。
本発明剤が治療すべき自己免疫疾患の種類は、インターフェロンの過剰産生を原因とするものであれば特に制限されない。本発明剤の治療対象としては、例えば、全身性エリテマトーデス、乾癬、シューグレン症候群、多発性筋炎および皮膚筋炎を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1 BAY11−7082のIFN産生阻害能の証明
(1) 形質細胞様樹状細胞の純化
比重遠心法により、健常人の末梢血から単核球(リンパ球や単球の総称)を得た。一次抗体として抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD14抗体、抗ヒトCD19抗体および抗ヒトCD56抗体と、二次抗体として細胞分離用磁気ビーズ(DYNAL−BIOTECH社製,Dynabeads M−450)を用い、得られた単核球画分から、B細胞、T細胞、単球およびNK細胞を除去し、樹状細胞濃度を高めた。得られた細胞群から、セルソーターを用い、CD123陽性、CD4陽性、lineage陰性、BDCA4陽性の形質細胞様樹状細胞(以下、「pDC」という)を含む分画を回収した。
(2) 試料溶液の調製
IKK/NF−κB阻害薬である(E)−3−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−2−プロペンニトリル(以下、「BAY11−7082」という)(Alexis社製)をジメチルスルホキシドに溶解し、0.1Mの溶液を調製した。
(3) IFNαおよびTNFαの産生能の測定
上記(1)で得られたpDC懸濁液へ、BAY11−7082濃度が10-9〜10-6Mとなるように上記(2)の溶液を加えた。また、対照例には、同量のジメチルスルホキシドを加えた。15分後、Toll様受容体リガンドであるCPG2216(濃度:5μM)またはロキソリビン(濃度:100μM)を添加し、37℃で24時間インキュベートした。次いで、上清を回収し、ELISA法によりインターフェロン(以下、「IFN」という)αおよびTNFαの産生量を測定した。結果を図1に示す。なお、図1中、「*」はMann−Whitneyテストにおいて危険率5%で有意差がある場合を示し、「**」は危険率1%で有意差がある場合を示す。
また、Toll様受容体リガンドとしてCPG2216を用い、BAY11−7082濃度を0、10-8Mまたは3×10-7Mとし、インキュベート時間を8時間とした場合において、pDCをBDCA4で染色し、フローサイトメトリーにより細胞内におけるIFNαおよびTNFαの産生量を測定した。結果を図2に示す。
(4) 結果の考察
図1と図2によれば、中程度の濃度(10-8〜3×10-7M)のBAY11−7082をpDCに作用させた場合には、IFNαとTNFαの両方の産生が阻害されているが、低濃度(10-9〜10-8M)で作用させた場合には、IFNαの産生のみが阻害され、TNFαの産生は阻害されていない。
上記結果のとおり、従来、BAY11−7082はNF−κBを阻害し、TNFαの産生を抑制することが知られているが、本研究により、当該化合物はむしろIFNの産生能阻害活性の方が高いことが見出された。近年、pDCが血中I型IFN産生細胞であることが明らかにされており、また、全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患ではI型IFNの産生亢進が認められ、これが発症や病態の進展に寄与していることが証明されている。よって、BAY11−7082はIFNの産生を阻害することにより、全身性エリテマトーデスなど、IFNの過剰産生を原因とする自己免疫疾患の予防薬や治療薬になり得る。
実施例2 BAY11−7082によるIFN産生阻害の機序の検討
上記実施例1において、様々な濃度のBAY11−7082を作用させたpDCをサイトスピン処理し、スライドガラスに貼り付けた。その後、パラホルムアルデヒドにより固定化し、エタノールにより透過性を亢進させてから、一次抗体としてウサギ抗ヒトIRF7抗体と二次抗体として抗ウサギIgG−Cy5抗体を用いて核を染色し、蛍光顕微鏡で観察した。その結果、低濃度(10-9〜10-8M)のBAY11−7082でも、IRF7の核内移行が阻害されていることが分かった。
pDCによるIFNの産生には、リン酸化により活性化されたIRF(Interferon Regulatory Factor)7という転写因子が核内移行することが必須である。よって、BAY11−7082は、IRF7の核内移行を阻害し、その結果、IFNの産生が阻害されると考えられた。
実施例3 SLE患者血清を原因とするIFNの異常産生の阻害能の検討
比重遠心法により、健常人の末梢血から単核球(以下、「PBMC」という)を得た。別途、抗二重鎖DNA抗体に陽性を示し、疾患活動性の高い全身性エリテマトーデス(以下、「SLE」という)の患者から血清を得た。培養液(GIBCO社製,RPMI−1640)に、濃度20%で当該血清を加え、さらに10-9〜10-7MのBAY11−7082を添加し、半分に分け、一方の培養液群には壊死細胞の上清(濃度:20%)を加えた。比較のために、PBMCまたはSLE患者血清を添加しない培養液も調製した。得られた培養液を用い、PBMCを37℃で24時間培養した後、ELISA法によりIFNαの濃度を測定した。結果を図3に示す。なお、図3中、「*」はMann−Whitneyテストにおいて危険率5%で有意差がある場合を示し、「**」は危険率1%で有意差がある場合を示す。
図3のとおり、BAY11−7082は、SLE血清から誘導されるPBMCのIFNα産生能を濃度依存的に抑制した。また、壊死細胞の上清によりSLE血清から誘導されるIFN産生は促進されるが、BAY11−7082は、壊死細胞の上清を添加した群においてもPBMCのIFNα産生能を濃度依存的に抑制した。
SLEモデル動物やヒト細胞を用いた研究では、放出された自己DNAが自己抗体と結合し、その複合体がToll様受容体9を介してpDCに認識されることにより、I型IFNの異常な産生が亢進する。よって、上記のような擬似病態においてもBAY11−7082はIFNの産生を抑制できることから、BAY11−7082は、SLE、乾癬、シューグレン症候群などIFNの異常産生を伴う自己免疫疾患を予防および治療できると考えられる。
実施例4 マウスでのIFN産生抑制試験
C57BL/6マウス5匹ずつに、5mg/kgまたは10mg/kgのBAY11−7082を腹腔内投与し、1時間後、トランスフェクション試薬(Polyplus−transfection社製,in vivo−jetPEI)と共に、Toll様受容体7のリガンドであるpolyU(50μg)を静脈内投与した。また、対照として、BAY11−7082を投与しない以外は同様の処理をマウス5匹に施した。1時間後、3時間後および6時間後にマウスから血清を取得し、IFNαの濃度を測定した。結果を図4に示す。なお、図4中、「*」はMann−Whitneyテストにおいて危険率5%で有意差がある場合を示し、「**」は危険率1%で有意差がある場合を示す。
図4のとおり、in vivo試験においても、BAY11−7082がIFNの過剰産生を抑制できることが実証された。よって、BAY11−7082によれば、IFNの過剰産生を原因とする自己免疫疾患を予防および治療できることが明らかにされた。

Claims (5)

  1. 下記式(I)で表される共役スルホン化合物を含有することを特徴とするインターフェロン関与自己免疫疾患抑制剤。
    [式中、R1は、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基またはC1-6アルコキシ基を示し;R2は、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、C2-7アルコキシカルボニル基またはスルホン酸基を示す]
  2. 1がC1-6アルキル基である請求項1に記載のインターフェロン関与自己免疫疾患抑制剤。
  3. 2がシアノ基である請求項1または2に記載のインターフェロン関与自己免疫疾患抑制剤。
  4. 共役スルホン化合物(I)が(E)−3−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−2−プロペンニトリルである請求項1に記載のインターフェロン関与自己免疫疾患抑制剤。
  5. インターフェロン関与自己免疫疾患が、全身性エリテマトーデス、乾癬、シューグレン症候群、多発性筋炎または皮膚筋炎である請求項1〜4のいずれかに記載のインターフェロン関与自己免疫疾患抑制剤。
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