JP2011228556A - 可変スリット装置、照明光学系、露光装置、およびデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 小型化された駆動機構を有する可変スリット装置。
【解決手段】 入射するスリット状の光束(24)の一部を可変的に遮る可変スリット装置(9)は、照明光路に対して並列的に配列された複数の遮光部材(9b)と、照明光路に対する複数の遮光部材の位置をそれぞれ変化させるアクチュエータ(9c)とを備えている。アクチュエータは、高分子材料を含み且つ電場応答性を有する駆動源部材と、該駆動源部材を挟むように配置された一対の電極とを有する。
【選択図】 図5
【解決手段】 入射するスリット状の光束(24)の一部を可変的に遮る可変スリット装置(9)は、照明光路に対して並列的に配列された複数の遮光部材(9b)と、照明光路に対する複数の遮光部材の位置をそれぞれ変化させるアクチュエータ(9c)とを備えている。アクチュエータは、高分子材料を含み且つ電場応答性を有する駆動源部材と、該駆動源部材を挟むように配置された一対の電極とを有する。
【選択図】 図5
Description
本発明は、可変スリット装置、照明光学系、露光装置、およびデバイス製造方法に関する。さらに詳細には、本発明は、半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等のデバイスをリソグラフィー工程で製造するための露光装置に好適な可変スリット装置に関するものである。
この種の露光装置では、光源から射出された光が、オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズを介して、多数の光源からなる実質的な面光源としての二次光源(一般には照明瞳における所定の光強度分布;瞳強度分布)を形成する。二次光源からの光は、コンデンサー光学系により集光された後、所定のパターンが形成されたマスクを重畳的に照明する。マスクを透過した光は投影光学系を介してウェハ(感光性基板)上に結像し、ウェハ上にはマスクパターンが投影露光(転写)される。
走査型の露光装置の場合、マスクおよびウェハを投影倍率に応じた速度比率で走査方向に沿って同期的に移動させつつ、ウェハ上の各露光領域にマスクパターンを転写する。一般に、瞳強度分布の形状または大きさを変更して照明条件を変化させると、ウェハ上での照度分布が変化し、ひいては走査方向に直交する方向(以下、「走査直交方向」という)の露光量の均一性が崩れ易い。走査直交方向の露光量均一性が悪化すると、ウェハ上に転写されるパターンの精度が悪化する。
従来、照明条件の変化による露光量均一性の悪化を小さく抑える手段として、マスクのパターン面と光学的に共役な位置またはその近傍に配置されて入射するスリット状(走査直交方向に細長い矩形状)の光束の一部を可変的に遮る可変スリット装置が提案されている。具体的に、いわゆる櫛歯型の可変スリット装置(例えば特許文献1を参照)、チェーン型の可変スリット装置(例えば特許文献2を参照)などが知られている。
上述の特許文献1および2に開示された従来の可変スリット装置では、モーターを用いて遮光部材を駆動するモーター駆動方式を採用しているため、駆動機構が大型化し易く、ひいては可変スリット装置も大型化し易い。その結果、マスクのパターン面と光学的に共役な位置に配置される照明視野絞りに十分近接させて可変スリット装置を配置することができず、例えば照明条件の変化による走査直交方向の露光量均一性の崩れを精度良く調整することが困難であった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、小型化された駆動機構を有する可変スリット装置を提供することを目的とする。また、本発明は、可変スリット装置を照明視野絞りに十分近接させて配置することのできる照明光学系を提供することを目的とする。また、本発明は、例えば照明条件が変化しても走査直交方向の露光量均一性を良好に保つ照明光学系を用いて、パターンを感光性基板に忠実に転写することのできる露光装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、照明光路中に配置されて入射するスリット状の光束の一部を可変的に遮る可変スリット装置において、
前記照明光路に対して並列的に配列された複数の遮光部材と、
前記照明光路に対する前記複数の遮光部材の位置をそれぞれ変化させるアクチュエータとを備え、
前記アクチュエータは、高分子材料を含み且つ電場応答性を有する駆動源部材と、該駆動源部材を挟むように配置された一対の電極とを有することを特徴とする可変スリット装置を提供する。
前記照明光路に対して並列的に配列された複数の遮光部材と、
前記照明光路に対する前記複数の遮光部材の位置をそれぞれ変化させるアクチュエータとを備え、
前記アクチュエータは、高分子材料を含み且つ電場応答性を有する駆動源部材と、該駆動源部材を挟むように配置された一対の電極とを有することを特徴とする可変スリット装置を提供する。
本発明の第2形態では、照明光路中に配置されて入射するスリット状の光束の一部を可変的に遮る可変スリット装置において、
復元力を有する可撓性の遮光部材と、
該遮光部材を変形させるために前記遮光部材に取り付けられた複数のアクチュエータとを備え、
前記アクチュエータは、高分子材料を含み且つ電場応答性を有する駆動源部材と、該駆動源部材を挟むように配置された一対の電極とを有することを特徴とする可変スリット装置を提供する。
復元力を有する可撓性の遮光部材と、
該遮光部材を変形させるために前記遮光部材に取り付けられた複数のアクチュエータとを備え、
前記アクチュエータは、高分子材料を含み且つ電場応答性を有する駆動源部材と、該駆動源部材を挟むように配置された一対の電極とを有することを特徴とする可変スリット装置を提供する。
本発明の第3形態では、光源からの光により被照射面を照明する照明光学系において、
前記光源と前記被照射面との間の光路中に配置された第1形態または第2形態の可変スリット装置を備えていることを特徴とする照明光学系を提供する。
前記光源と前記被照射面との間の光路中に配置された第1形態または第2形態の可変スリット装置を備えていることを特徴とする照明光学系を提供する。
本発明の第4形態では、所定のパターンを照明するための第3形態の照明光学系を備え、前記所定のパターンを感光性基板に露光することを特徴とする露光装置を提供する。
本発明の第5形態では、第4形態の露光装置を用いて、前記所定のパターンを前記感光性基板に露光することと、
前記所定のパターンが転写された前記感光性基板を現像し、前記所定のパターンに対応する形状のマスク層を前記感光性基板の表面に形成することと、
前記マスク層を介して前記感光性基板の表面を加工することと、を含むことを特徴とするデバイス製造方法を提供する。
前記所定のパターンが転写された前記感光性基板を現像し、前記所定のパターンに対応する形状のマスク層を前記感光性基板の表面に形成することと、
前記マスク層を介して前記感光性基板の表面を加工することと、を含むことを特徴とするデバイス製造方法を提供する。
本発明の一態様にしたがう可変スリット装置では、複数の遮光部材を駆動するアクチュエータが、高分子材料を含み且つ電場応答性を有する駆動源部材と、この駆動源部材を挟むように配置された一対の電極とを有する形態、すなわち小型化に適した形態を有する。その結果、モーター駆動方式を採用する従来技術とは異なり、駆動機構を小型化することができ、ひいては可変スリット装置を小型化することができる。
本発明の照明光学系では、可変スリット装置の駆動機構の小型化により、照明視野絞りに十分近接させて可変スリット装置を配置することができ、照明視野絞りと可変スリット装置との光軸に沿った間隔を小さく抑えることができる。したがって、本発明の露光装置では、例えば照明条件が変化しても感光性基板上での走査直交方向の露光量均一性を良好に保つ照明光学系を用いて、パターンを感光性基板に忠実に転写することができ、ひいては性能の良好なデバイスを製造することができる。
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。図1において、感光性基板であるウェハWの転写面(露光面)の法線方向に沿ってZ軸を、ウェハWの転写面内において図1の紙面に平行な方向に沿ってX軸を、ウェハWの転写面内において図1の紙面に垂直な方向に沿ってY軸をそれぞれ設定している。
図1を参照すると、本実施形態の露光装置には、光源1から露光光(照明光)が供給される。光源1として、たとえば193nmの波長の光を供給するArFエキシマレーザ光源や、248nmの波長の光を供給するKrFエキシマレーザ光源などを用いることができる。本実施形態の露光装置は、装置の光軸AXに沿って、空間光変調ユニット3を含む照明光学系ILと、マスクMを支持するマスクステージMSと、投影光学系PLと、ウェハWを支持するウェハステージWSとを備えている。光源1からの光は、照明光学系ILを介してマスクMを照明する。マスクMを透過した光は、投影光学系PLを介して、マスクMのパターンの像をウェハW上に形成する。
光源1からの光に基づいてマスクMのパターン面(被照射面)を照明する照明光学系ILは、空間光変調ユニット3の作用により、複数極照明(2極照明、4極照明など)、輪帯照明等の変形照明、または通常の円形照明を行う。照明光学系ILは、光軸AXに沿って光源1側から順に、ビーム送光部2と、空間光変調ユニット3と、リレー光学系4と、フライアイレンズ(またはマイクロフライアイレンズ)5と、コンデンサー光学系6と、照明視野絞り(マスクブラインド)7と、可変スリット装置9と、結像光学系8とを備えている。
照明視野絞り7は、マスクMのパターン面(被照射面)と光学的に共役な位置に配置されている。可変スリット装置9は、照明視野絞り7の直後の位置、すなわちマスクMのパターン面と光学的に共役な位置に隣接して配置され、照明視野絞り7を経て入射するスリット状(Y方向に細長い矩形状)の光束の一部を可変的に遮る機能を有する。可変スリット装置9の構成および作用については後述する。以下、理解を容易にするために、可変スリット装置9の作用を無視して、露光装置の構成および作用を説明する。
空間光変調ユニット3は、ビーム送光部2を介した光源1からの光に基づいて、その遠視野領域(フラウンホーファー回折領域)に所望の光強度分布を形成する。空間光変調ユニット3の構成および作用については後述する。ビーム送光部2は、光源1からの入射光束を適切な大きさおよび形状の断面を有する光束に変換しつつ空間光変調ユニット3へ導くとともに、空間光変調ユニット3に入射する光束の位置変動および角度変動をアクティブに補正する機能を有する。リレー光学系4は、空間光変調ユニット3からの光を集光して、フライアイレンズ5へ導く。
フライアイレンズ5は、例えば稠密に配列された多数のレンズ素子からなる波面分割型のオプティカルインテグレータである。フライアイレンズ5は、入射した光束を波面分割して、その後側焦点位置またはその近傍の照明瞳に多数の小光源からなる二次光源(実質的な面光源;瞳強度分布)を形成する。フライアイレンズ5の入射面は、リレー光学系4の後側焦点位置またはその近傍に配置されている。フライアイレンズ5として、例えばシリンドリカルマイクロフライアイレンズを用いることができる。シリンドリカルマイクロフライアイレンズの構成および作用は、例えば米国特許第6913373号明細書に開示されている。
本実施形態では、フライアイレンズ5により形成される二次光源を光源として、照明光学系ILの被照射面に配置されるマスクMをケーラー照明する。このため、二次光源が形成される位置は投影光学系PLの開口絞りASの位置と光学的に共役であり、二次光源の形成面を照明光学系ILの照明瞳面と呼ぶことができる。典型的には、照明瞳面に対して被照射面(マスクMが配置される面、または投影光学系PLを含めて照明光学系と考える場合にはウェハWが配置される面)が光学的なフーリエ変換面となる。
瞳強度分布とは、照明光学系ILの照明瞳面または当該照明瞳面と光学的に共役な面における光強度分布(輝度分布)である。フライアイレンズ5による波面分割数が比較的大きい場合、フライアイレンズ5の入射面に形成される大局的な光強度分布と、二次光源全体の大局的な光強度分布(瞳強度分布)とが高い相関を示す。このため、フライアイレンズ5の入射面および当該入射面と光学的に共役な面における光強度分布についても瞳強度分布と称することができる。
コンデンサー光学系6は、フライアイレンズ5から射出された光を集光して、Y方向に細長い矩形状の開口部(光透過部)を有する照明視野絞り7を重畳的に照明する。照明視野絞り7の開口部を通過した光は、可変スリット装置9および結像光学系8を介して、マスクMを重畳的に照明する。すなわち、結像光学系8は、照明視野絞り7の開口部の像をマスクM上に形成することになる。なお、図1では、光軸(ひいては光路)を折り曲げるための光路折曲げミラーの設置を省略しているが、必要に応じて光路折曲げミラーを照明光路中に適宜配置することが可能である。
マスクステージMS上に保持されたマスクMには転写すべきパターンが形成されており、パターン領域全体のうちY方向に沿って長辺を有し且つX方向に沿って短辺を有する矩形状(スリット状)のパターン領域が照明される。マスクMのパターン領域を透過した光は、投影光学系PLを介して、ウェハステージWS上に保持されたウェハ(感光性基板)W上にマスクパターンの像を形成する。すなわち、マスクM上での矩形状の照明領域に光学的に対応するように、ウェハW上においてもY方向に沿って長辺を有し且つX方向に沿って短辺を有する矩形状の静止露光領域(実効露光領域)にパターン像が形成される。
こうして、ステップ・アンド・スキャン方式にしたがって、投影光学系PLの光軸AXと直交する平面(XY平面)内において、X方向(走査方向)に沿ってマスクステージMSとウェハステージWSとを、ひいてはマスクMとウェハWとを同期的に移動(走査)させることにより、静止露光領域のY方向寸法に等しい幅を有し且つウェハWの走査量(移動量)に応じた長さを有するウェハW上の1つのショット領域(露光領域)にマスクパターンが走査露光される。そして、ウェハステージWSをXY平面に沿って二次元的にステップ移動させつつ走査露光を繰り返すことにより、ウェハWの各ショット領域にマスクMのパターンが順次転写される。
次に、図2および図3を参照して、空間光変調ユニット3の構成および作用を説明する。空間光変調ユニット3は、図2に示すように、例えば蛍石のような光学材料により形成されたプリズム21と、プリズム21のYZ平面に平行な側面21aに近接して配置された空間光変調器30とを備えている。プリズム21を形成する光学材料は、蛍石に限定されることなく、光源1が供給する光の波長などに応じて、石英であっても良くその他の光学材料であっても良い。
プリズム21は、直方体の1つの側面(空間光変調器30が近接して配置される側面21aと対向する側面)をV字状に凹んだ側面21bおよび21cと置き換えることにより得られる形態を有し、XZ平面に沿った断面形状に因んでKプリズムとも呼ばれる。プリズム21のV字状に凹んだ側面21bおよび21cは、鈍角をなすように交差する2つの平面P1およびP2によって規定されている。2つの平面P1およびP2はともにXZ平面と直交し、XZ平面に沿ってV字状を呈している。
2つの平面P1とP2との接線(Y方向に延びる直線)P3で接する2つの側面21bおよび21cの内面は、反射面R1およびR2として機能する。すなわち、反射面R1は平面P1上に位置し、反射面R2は平面P2上に位置し、反射面R1とR2とのなす角度は鈍角である。一例として、反射面R1とR2とのなす角度を120度とし、光軸AXに垂直なプリズム21の入射面IPと反射面R1とのなす角度を60度とし、光軸AXに垂直なプリズム21の射出面OPと反射面R2とのなす角度を60度とすることができる。
プリズム21では、空間光変調器30が近接して配置される側面21aと光軸AXとが平行であり、且つ反射面R1が光源1側(露光装置の上流側:図2中左側)に、反射面R2がフライアイレンズ5側(露光装置の下流側:図2中右側)に位置している。さらに詳細には、反射面R1は光軸AXに対して斜設され、反射面R2は接線P3を通り且つXY平面に平行な面に関して反射面R1とは対称的に光軸AXに対して斜設されている。プリズム21の側面21aは、後述するように、空間光変調器30の複数のミラー要素SEが配列される面(配列面)に対向した光学面である。
プリズム21の反射面R1は、入射面IPを介して入射した光を空間光変調器30に向かって反射する。空間光変調器30は、反射面R1と反射面R2との間の光路中に配置され、反射面R1を経て入射した光を反射する。プリズム21の反射面R2は、空間光変調器30を経て入射した光を反射し、射出面OPを介してリレー光学系4へ導く。図2にはプリズム21を1つの光学ブロックで一体的に形成した例を示しているが、後述するように複数の光学ブロックを用いてプリズム21を構成しても良い。
空間光変調器30は、反射面R1を経て入射した光に対して、その入射位置に応じた空間的な変調を付与して射出する。空間光変調器30は、図3に示すように、二次元的に配列された複数の微小なミラー要素(光学要素)SEを備えている。説明および図示を簡単にするために、図2および図3では空間光変調器30が4×4=16個のミラー要素SEを備える構成例を示しているが、実際には16個よりもはるかに多数のミラー要素SEを備えている。
図2を参照すると、光軸AXと平行な方向に沿って空間光変調ユニット3に入射した光線群のうち、光線L1は複数のミラー要素SEのうちのミラー要素SEaに、光線L2はミラー要素SEaとは異なるミラー要素SEbにそれぞれ入射する。同様に、光線L3はミラー要素SEa,SEbとは異なるミラー要素SEcに、光線L4はミラー要素SEa〜SEcとは異なるミラー要素SEdにそれぞれ入射する。ミラー要素SEa〜SEdは、その位置に応じて設定された空間的な変調を光L1〜L4に与える。
空間光変調ユニット3では、空間光変調器30のすべてのミラー要素SEの反射面がYZ平面に平行に設定された基準状態において、光軸AXと平行な方向に沿って反射面R1へ入射した光線が、空間光変調器30を経た後に、反射面R2により光軸AXと平行な方向に向かって反射されるように構成されている。空間光変調器30の複数のミラー要素SEa〜SEdの配列面は、リレー光学系4の前側焦点位置またはその近傍に配置されている。
空間光変調器30の複数のミラー要素SEa〜SEdによって反射されて所定の角度分布が与えられた光は、リレー光学系4の後側焦点面4aに所定の光強度分布SP1〜SP4を形成する。すなわち、リレー光学系4は、空間光変調器30の複数のミラー要素SEa〜SEdが射出光に与える角度を、空間光変調器30の遠視野領域(フラウンホーファー回折領域)である面4a上での位置に変換している。
再び図1を参照すると、リレー光学系4の後側焦点面4aの位置にフライアイレンズ5の入射面が位置決めされている。したがって、フライアイレンズ5の直後の照明瞳に形成される瞳強度分布は、空間光変調器30およびリレー光学系4がフライアイレンズ5の入射面に形成する光強度分布SP1〜SP4に対応した分布となる。空間光変調器30は、図3に示すように、例えば平面形状の反射面を上面にした状態で1つの平面に沿って規則的に且つ二次元的に配列された多数の微小なミラー要素SEを含む可動マルチミラーである。
各ミラー要素SEは可動であり、その反射面の傾き、すなわち反射面の傾斜角および傾斜方向は、主制御系CR(図3では不図示)からの指令にしたがって個別に制御される。各ミラー要素SEは、その反射面に平行な二方向であって互いに直交する二方向(Y方向およびZ方向)を回転軸として、所望の回転角度だけ連続的或いは離散的に回転することができる。すなわち、各ミラー要素SEの反射面の傾斜を二次元的に制御することが可能である。
各ミラー要素SEの反射面を離散的に回転させる場合、回転角を複数の状態(例えば、・・・、−2.5度、−2.0度、・・・0度、+0.5度・・・+2.5度、・・・)で切り換え制御するのが良い。図3には外形が正方形状のミラー要素SEを示しているが、ミラー要素SEの外形形状は正方形に限定されない。ただし、光利用効率の観点から、ミラー要素SEの隙間が少なくなるように配列可能な形状(最密充填可能な形状)が好ましい。また、光利用効率の観点から、隣り合う2つのミラー要素SEの間隔を必要最小限に抑えることが好ましい。
空間光変調器30では、主制御系CRからの制御信号に応じて、複数のミラー要素SEの姿勢がそれぞれ変化し、各ミラー要素SEがそれぞれ所定の向きに設定される。空間光変調器30の複数のミラー要素SEによりそれぞれ所定の角度で反射された光は、リレー光学系4を介して、フライアイレンズ5の後側焦点位置またはその近傍の照明瞳に、複数極状(2極状、4極状など)、輪帯状、円形状等の光強度分布(瞳強度分布)を形成する。フライアイレンズ5の直後の照明瞳と光学的に共役な別の照明瞳位置、すなわち結像光学系8の瞳位置および投影光学系PLの瞳位置(開口絞りASの位置)にも、フライアイレンズ5の直後の光強度分布に対応する瞳強度分布が形成される。
露光装置では、マスクMのパターンをウェハWに高精度に且つ忠実に転写するために、例えばマスクMのパターン特性に応じた適切な照明条件のもとで露光を行うことが重要である。本実施形態では、複数のミラー要素SEの姿勢がそれぞれ個別に変化する空間光変調器30を備えた空間光変調ユニット3を用いているので、空間光変調器30の作用により形成される瞳強度分布を自在に且つ迅速に変化させ、ひいては多様な照明条件を実現することができる。
瞳強度分布の形状または大きさを変更して照明条件を変化させると、ウェハW上での照度分布が変化し、ひいては走査直交方向(Y方向)の露光量の均一性が崩れる傾向がある。走査直交方向の露光量均一性が悪化すると、ウェハW上に転写されるパターンの精度(線幅均一性や忠実性(一様性)など)が悪化する。具体的に、可変スリット装置9に入射するスリット状の光束の照度分布(光強度分布)が均一である場合、可変スリット装置9により入射光束の一部を遮らなくても、走査露光後の積算露光量は走査直交方向に沿って一定になり、ひいては走査直交方向の露光量の均一性が確保される。
これに対し、例えば照明条件を変化させたことにより可変スリット装置9への入射光束の照度分布が不均一になると、可変スリット装置9により入射光束の一部を遮らない限り、走査露光後の積算露光量は走査直交方向に沿って変化する分布になり、ひいては走査直交方向の露光量均一性が崩れる。可変スリット装置9では、照明条件の切り換えを制御する主制御系CRからの指令にしたがって、入射するスリット状の光束のうち片側の長辺部分の光を可変的に遮ることにより、照明条件の変化による走査直交方向の露光量均一性の崩れを調整する。
特許文献1および2に開示された従来の可変スリット装置は、モーターを含む駆動機構が大型化し易いため、マスクMのパターン面と光学的に共役な位置に配置された照明視野絞り7から光軸AXに沿ってある程度間隔を隔てて配置される。その結果、図4に示すように、照明視野絞り7の矩形状の開口部7aを通過した矩形状の断面を有する光束22は、照明視野絞り7と可変スリット装置との間隔に応じて拡大された矩形状の断面を有する光束(図4中破線で示す)23となって、従来の可変スリット装置に入射する。
この場合、照明視野絞り7の開口部内のある微小領域を通過した光は、可変スリット装置への入射位置においてある程度の拡がりを持つことになる。換言すれば、可変スリット装置においてある微小領域の光を遮ることは、照明視野絞り7の開口部内においてある程度拡がりを有する領域を通過した光を遮ることを意味する。そのため、従来技術では、照明視野絞り7と可変スリット装置との間隔が大きい分だけ、光を遮る位置と照明視野絞り7の開口部内の位置との対応関係の細分化を図ることができず、例えば照明条件の変化によるウェハW上での走査直交方向の露光量均一性の崩れを精度良く調整することが困難であった。
本実施形態の可変スリット装置9は、図5に示すように、矩形状の開口部9aaを有するベース部材9aと、開口部9aa内の照明光路に対して並列的に配列された複数の遮光部材9bと、各遮光部材9bに取り付けられたアクチュエータ9cとを備えている。ベース部材9aの開口部9aaのXY平面に沿った大きさ、形状および位置は、照明視野絞り7の矩形状の開口部7aを通過して開口部9aaの位置に達した光束24を遮らないように設定されている。
複数の遮光部材9bは、例えばX方向に細長く延びる金属製の帯状部材の形態を有し、Y方向に細長いスリット状の入射光束24の長辺方向に沿って互いに隔絶された状態で櫛歯状に配列されている。各アクチュエータ9cは、X方向に細長く延びる棒状の形態を有し、その一端が対応する遮光部材9bの一端(図5中の下端)に連結され且つ他端がベース部材9aに連結されている。各アクチュエータ9cは、後述するように、対応する遮光部材9bのX方向位置、すなわち開口部9aa内の照明光路に対して進退可能な遮光部材9bの他端(図5中の上端)の位置を変化させる機能を有する。
具体的に、アクチュエータ9cは、図6に示すように、電場応答性を有する駆動源部材33aと、駆動源部材33aを挟むように配置された一対の電極33bと、一対の電極33bに接続された電源33cとを有する。電源33cは、主制御系CRからの制御信号にしたがって、駆動源部材33aに電圧を可変的に印加する。駆動源部材33aは、例えば導電性高分子材料のみからなる。アクチュエータ9cでは、駆動源部材33aへの電圧印加に応じて、駆動源部材33aは電場と同じ方向(図6では鉛直方向)に収縮し、電場と垂直な方向(図6では水平方向;図5のX方向に対応)に膨張する。
すなわち、アクチュエータ9cでは、印加する電圧の大きさに応じて駆動源部材33aの電場と垂直な方向(以下、「伸縮方向」という)の伸縮率を連続的に変化させることができ、一定の伸縮率(ひいては一定の形状)を維持するだけであれば電流はほとんど必要ない。一対の電極33bが駆動源部材33aの伸縮方向の伸縮に追随できるように、駆動源部材33aの電圧印加時の変形特性に応じた伸縮性を一対の電極33bに付与しても良い。
なお、上述の説明では、駆動源部材33aが導電性高分子材料のみからなるが、これに限定されることなく、高分子材料を含む適当な導電体材料により駆動源部材を形成することができる。一例として、高分子材料、イオン性液体およびカーボンナノチューブのゲル状組成物からなる導電体材料により駆動源部材を形成することもできる。アクチュエータ用の導電体材料としてこの種のゲル状組成物を用いる技術は、例えば特許第4038685号明細書に開示されている。
可変スリット装置9では、主制御系CRからの指令にしたがって個別に伸縮する複数のアクチュエータ9cの作用により、照明光路に対する複数の遮光部材9bの上端部の位置が個別に変化し、ひいては複数の遮光部材9bの上端エッジが連なって形成する遮光エッジの形状が変化する。こうして、可変スリット装置9は、Y方向に沿って細長いスリット状の入射光束24のうち図5中下側の長辺部分の光を可変的に遮ることにより、すなわち通過する光束24の断面のX方向(走査方向)の寸法をY方向(走査直交方向)に沿って変化させることにより、照明条件の変化による走査直交方向の露光量均一性の崩れを調整する。
以上のように、本実施形態の可変スリット装置9では、導電体材料により形成されて電場応答性を有する駆動源部材33aを備えた複数の伸縮性アクチュエータ9cを用いて、複数の遮光部材9bをX方向に沿って個別に駆動する方式を採用している。アクチュエータ9cは、高分子材料を含み且つ電場応答性を有する駆動源部材33aと、駆動源部材33aを挟むように配置された一対の電極33bとを有する形態、すなわち小型化に適した形態を有する。その結果、本実施形態では、モーター駆動方式を採用する従来技術とは異なり、駆動機構を小型化することができ、ひいては可変スリット装置9を小型化することができる。
本実施形態の照明光学系ILでは、可変スリット装置9の駆動機構の小型化により、照明視野絞り7に十分近接させて(あるいは照明視野絞り7と一体化させて)可変スリット装置9を配置することができ、照明視野絞り7と可変スリット装置9との光軸AXに沿った間隔を小さく抑えることができる。その結果、可変スリット装置9において各遮光部材9bが光束を遮る位置と照明視野絞り7の開口部内の位置との対応関係の細分化を図ることができ、例えば照明条件の変化によるウェハW上での走査直交方向の露光量均一性の崩れを精度良く調整することができる。したがって、本実施形態の露光装置(IL,MS,PL,WS)では、例えば照明条件が変化してもウェハW上での走査直交方向の露光量均一性を良好に保つ照明光学系ILを用いて、マスクMのパターンをウェハWに忠実に転写することができる。
従来の櫛歯型の可変スリット装置では、駆動手段として比較的大きなモーターを用いているため、複数の遮光部材を個別に駆動することができなかった。これに対し、本実施形態の可変スリット装置9では、駆動手段として小型化された伸縮性アクチュエータ9cを用いているので、照明光路に対する複数の遮光部材9bの位置を個別に変化させることができ、且つ比較的多くの遮光部材9bを互いに近接した状態で配列することができる。その結果、可変スリット装置9への入射光束に高周期の照度ムラがあっても、ウェハW上での走査直交方向の露光量を高精度に調整することができる。
また、従来の櫛歯型の可変スリット装置では、複数の遮光部材を個別に駆動することができないため、隣接する遮光部材との相対的な駆動量に基づいて複数の遮光部材の位置決めをする必要があり、照明光路に対する各遮光部材の位置を正確に制御することが困難であった。これに対し、本実施形態の可変スリット装置9では、各遮光部材9bにアクチュエータ9cが取り付けられているので、必要に応じて照明光路に対する各遮光部材9bの位置を常時検出し、検出結果に基づいて各遮光部材9bの位置決めを正確に且つ安定的に行うことができる。
なお、図5に示す構成例では、複数の遮光部材9bの各々にアクチュエータ9cが取り付けられているが、これに限定されることなく、可変スリット装置の具体的な構成については様々な形態が可能である。例えば図7に示すように、Y方向に細長いスリット状の入射光束24(図7では不図示)の長辺方向に沿って互いに隔絶された状態で櫛歯状に配列された複数の遮光部材9bを、複数(図7では例示的に4つ)のアクチュエータ9fが取り付けられた可撓性部材9eに連結することにより、櫛歯型の可変スリット装置91を構成することも可能である。
図7の第1変形例にかかる可変スリット装置91では、各遮光部材9bが、X方向に延びる棒状の連結部材9dを介して、例えばバネのような復元力を有する共通の可撓性部材9eに連結されている。複数のアクチュエータ9fは、図5の伸縮性アクチュエータ9cと同様の構成を有し、Y方向に細長く延びる可撓性部材9eをXY平面に沿って変形させるように配置されている。
具体的に、図8を参照すると、可撓性部材9eに取り付けられた4つのアクチュエータ9fa,9fb,9fc,9fdのうち、例えば図8中左上側のアクチュエータ9faおよび図8中右下側のアクチュエータ9fdがともに伸びることにより、可撓性部材9eが変形する。そして、可撓性部材9eの変形に応じて、照明光路に対する複数の遮光部材9bの位置がそれぞれ変化し、ひいては複数の遮光部材9eの上端エッジが連なって形成する遮光エッジの形状が変化する。可撓性部材9eに取り付けられるアクチュエータ9fの数および配置を適宜決定することにより、可撓性部材9eの所望の変形が可能になり、ひいては複数の遮光部材9bの所望の位置決めが可能になる。
図5の実施形態および図7の第1変形例では、スリット状の入射光束の長辺方向に沿って互いに隔絶された状態で櫛歯状に配列された複数の遮光部材9bを有する櫛歯型の可変スリット装置に対して本発明を適用している。しかしながら、櫛歯型の可変スリット装置に限定されることなく、例えば端部において互いにピン接合された状態でスリット状の入射光束の長辺方向に並んで配列された複数の遮光部材を有するチェーン型の可変スリット装置に対して本発明を適用することもできる。
チェーン型の可変スリット装置の一例として、例えば図9に示すように、複数の羽根状の遮光部材9gの各ピン接合部に対して、図5の伸縮性アクチュエータ9cと同様の構成を有するアクチュエータ9hを取り付けた構成が可能である。図10に示すように、各遮光部材9gの一端側には通常の円形ホール9gaが形成され、他端側にはルーズホール9gbが形成されている。図9の第2変形例にかかる可変スリット装置92では、複数の遮光部材9gが、円形ホール9gaおよびルーズホール9gbを介したピン接合により交互に連結されている。
各アクチュエータ9hの一端は複数の遮光部材9gの対応するピン接合部に取り付けられ、その他端はY方向に延びるベース部材9iに連結されている。可変スリット装置92では、個別に伸縮する複数のアクチュエータ9hの作用により、各ピン接合部の位置がそれぞれ変化し、ひいては複数の遮光部材9gの上端エッジが連なって形成する遮光エッジの形状が変化する。
図9の第2変形例では、複数の遮光部材9gの各ピン接合部に対してアクチュエータ9hを取り付けている。しかしながら、これに限定されることなく、例えば図11に示すように、複数の遮光部材9gの各々に対して、すなわち複数の遮光部材9gの各本体部分に対してアクチュエータ9hを取り付ける構成も可能である。図11の第3変形例にかかる可変スリット装置93においても、第2変形例の場合と同様に、個別に伸縮する複数のアクチュエータ9hの作用により、各遮光部材9gの位置がそれぞれ変化し、ひいては複数の遮光部材9gの上端エッジが連なって形成する遮光エッジの形状が変化する。
図9の第2変形例および図11の第3変形例では、複数の遮光部材9gの各ピン接合部または各本体部分にアクチュエータ9hが取り付けられている。しかしながら、これに限定されることなく、例えば図12に示すように、互いにピン接合された状態でY方向に配列された複数の遮光部材9gの各ピン接合部を、複数のアクチュエータ9fが取り付けられてY方向に延びる可撓性部材9eに連結することにより、チェーン型の可変スリット装置94を構成することも可能である。
図12の第4変形例にかかる可変スリット装置94では、複数の遮光部材9gの各ピン接合部が、X方向に延びる棒状の連結部材9jを介して可撓性部材9eに連結されている。可変スリット装置94では、図8を参照して説明したように、複数のアクチュエータ9fの作用により、可撓性部材9eが変形する。そして、可撓性部材9eの変形に応じて、複数の遮光部材9gの上端エッジが連なって形成する遮光エッジの形状が変化する。
図12の第4変形例では、複数の遮光部材9gの各ピン接合部が、連結部材9jを介して可撓性部材9eに連結されている。しかしながら、これに限定されることなく、例えば図13に示すように、複数の遮光部材9gの各本体部分を、X方向に延びる棒状の連結部材9kを介して可撓性部材9eに連結する構成も可能である。図13の第5変形例にかかる可変スリット装置95においても、第4変形例の場合と同様に、可撓性部材9eの変形に応じて、複数の遮光部材9gの上端エッジが連なって形成する遮光エッジの形状が変化する。
上述の説明では、櫛歯型の可変スリット装置およびチェーン型の可変スリット装置に対して本発明を適用している。しかしながら、櫛歯型およびチェーン型に限定されることなく、例えば図14に示すように、複数(図14では例示的に4つ)のアクチュエータ9fa〜9fdが取り付けられてY方向に延びる棒状の可撓性部材9eを、可変スリット装置96として用いることも可能である。
可撓性部材9eは、図7の可撓性部材9eと同様の構成を有する遮光部材である。図14の第6変形例にかかる可変スリット装置96では、複数のアクチュエータ9fa〜9fdの作用により、スリット状の入射光束の長辺方向に沿って延びる棒状の形態を有する可撓性部材9eが変形する。そして、可撓性部材9eの変形に応じて、その上端エッジが形成する遮光エッジの形状が変化する。
なお、上述の実施形態では、可変スリット装置9(91〜96)を照明視野絞り7の直後の位置に配置した例を示しているが、照明視野絞り7の直前に可変スリット装置を配置することもできる。一般に、光源からの光により被照射面を照明する照明光学系において、被照射面と光学的に共役な共役位置または該共役位置に隣接した位置に可変スリット装置を配置することができる。
上述の実施形態では、空間光変調器30を用いて瞳強度分布を形成する際に、瞳強度分布計測装置で瞳強度分布を計測しつつ、この計測結果に応じて空間光変調ユニット3中の空間光変調器30を制御してもよい。このような技術は、たとえば特開2006−54328号公報や特開2003−22967号公報およびこれに対応する米国特許公開第2003/0038225号公報に開示されている。
上述の実施形態では、空間光変調器30の複数のミラー要素が配列される面に対向した光学面を有するプリズム部材として、1つの光学ブロックで一体的に形成されたKプリズム21を用いている。しかしながら、これに限定されることなく、一対のプリズムにより、Kプリズム21と同様の機能を有するプリズム部材を構成することができる。また、1つの平行平面板と一対の三角プリズムとにより、Kプリズム21と同様の機能を有するプリズム部材を構成することができる。また、1つの平行平面板と一対の平面ミラーとにより、Kプリズム21と同様の機能を有する組立て光学部材を構成することができる。
上述の実施形態では、マスクの代わりに、所定の電子データに基づいて所定パターンを形成する可変パターン形成装置を用いることができる。このような可変パターン形成装置を用いれば、パターン面が縦置きでも同期精度に及ぼす影響を最低限にできる。なお、可変パターン形成装置としては、たとえば所定の電子データに基づいて駆動される複数の反射素子を含むDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を用いることができる。DMDを用いた露光装置は、例えば特開2004−304135号公報、国際特許公開第2006/080285号パンフレットおよびこれに対応する米国特許公開第2007/0296936号公報に開示されている。また、DMDのような非発光型の反射型空間光変調器以外に、透過型空間光変調器を用いても良く、自発光型の画像表示素子を用いても良い。ここでは、米国特許公開第2007/0296936号公報の教示を参照として援用する。
上述の実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行っても良い。
次に、上述の実施形態にかかる露光装置を用いたデバイス製造方法について説明する。図15は、半導体デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図15に示すように、半導体デバイスの製造工程では、半導体デバイスの基板となるウェハWに金属膜を蒸着し(ステップS40)、この蒸着した金属膜上に感光性材料であるフォトレジストを塗布する(ステップS42)。つづいて、上述の実施形態の投影露光装置を用い、マスク(レチクル)Mに形成されたパターンをウェハW上の各ショット領域に転写し(ステップS44:露光工程)、この転写が終了したウェハWの現像、つまりパターンが転写されたフォトレジストの現像を行う(ステップS46:現像工程)。
その後、ステップS46によってウェハWの表面に生成されたレジストパターンをマスクとし、ウェハWの表面に対してエッチング等の加工を行う(ステップS48:加工工程)。ここで、レジストパターンとは、上述の実施形態の投影露光装置によって転写されたパターンに対応する形状の凹凸が生成されたフォトレジスト層であって、その凹部がフォトレジスト層を貫通しているものである。ステップS48では、このレジストパターンを介してウェハWの表面の加工を行う。ステップS48で行われる加工には、例えばウェハWの表面のエッチングまたは金属膜等の成膜の少なくとも一方が含まれる。なお、ステップS44では、上述の実施形態の投影露光装置は、フォトレジストが塗布されたウェハWを、感光性基板つまりプレートPとしてパターンの転写を行う。
図16は、液晶表示素子等の液晶デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図16に示すように、液晶デバイスの製造工程では、パターン形成工程(ステップS50)、カラーフィルタ形成工程(ステップS52)、セル組立工程(ステップS54)およびモジュール組立工程(ステップS56)を順次行う。ステップS50のパターン形成工程では、プレートPとしてフォトレジストが塗布されたガラス基板上に、上述の実施形態の投影露光装置を用いて回路パターンおよび電極パターン等の所定のパターンを形成する。このパターン形成工程には、上述の実施形態の投影露光装置を用いてフォトレジスト層にパターンを転写する露光工程と、パターンが転写されたプレートPの現像、つまりガラス基板上のフォトレジスト層の現像を行い、パターンに対応する形状のフォトレジスト層を生成する現像工程と、この現像されたフォトレジスト層を介してガラス基板の表面を加工する加工工程とが含まれている。
ステップS52のカラーフィルタ形成工程では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応する3つのドットの組をマトリックス状に多数配列するか、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を水平走査方向に複数配列したカラーフィルタを形成する。ステップS54のセル組立工程では、ステップS50によって所定パターンが形成されたガラス基板と、ステップS52によって形成されたカラーフィルタとを用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。具体的には、例えばガラス基板とカラーフィルタとの間に液晶を注入することで液晶パネルを形成する。ステップS56のモジュール組立工程では、ステップS54によって組み立てられた液晶パネルに対し、この液晶パネルの表示動作を行わせる電気回路およびバックライト等の各種部品を取り付ける。
また、本発明は、半導体デバイス製造用の露光装置への適用に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグラフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
なお、上述の実施形態では、露光光としてArFエキシマレーザ光(波長:193nm)やKrFエキシマレーザ光(波長:248nm)を用いているが、これに限定されることなく、他の適当なレーザ光源、たとえば波長157nmのレーザ光を供給するF2レーザ光源などに対して本発明を適用することもできる。
また、上述の実施形態において、投影光学系と感光性基板との間の光路中を1.1よりも大きな屈折率を有する媒体(典型的には液体)で満たす手法、所謂液浸法を適用しても良い。この場合、投影光学系と感光性基板との間の光路中に液体を満たす手法としては、国際公開第WO99/49504号パンプレットに開示されているような局所的に液体を満たす手法や、特開平6−124873号公報に開示されているような露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる手法や、特開平10−303114号公報に開示されているようなステージ上に所定深さの液体槽を形成し、その中に基板を保持する手法などを採用することができる。ここでは、国際公開第WO99/49504号パンフレット、特開平6−124873号公報および特開平10−303114号公報の教示を参照として援用する。
また、上述の実施形態では、露光装置においてマスクを照明する照明光学系に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、マスク以外の被照射面を照明する一般的な照明光学系に対して本発明を適用することもできる。
1 光源
2 ビーム送光部
3 空間光変調ユニット
30 空間光変調器
4 リレー光学系
5 フライアイレンズ
6 コンデンサー光学系
7 照明視野絞り(マスクブラインド)
8 結像光学系
9 可変スリット装置
9a ベース部材
9b アクチュエータ
9c 遮光部材
IL 照明光学系
CR 主制御系
M マスク
PL 投影光学系
W ウェハ
2 ビーム送光部
3 空間光変調ユニット
30 空間光変調器
4 リレー光学系
5 フライアイレンズ
6 コンデンサー光学系
7 照明視野絞り(マスクブラインド)
8 結像光学系
9 可変スリット装置
9a ベース部材
9b アクチュエータ
9c 遮光部材
IL 照明光学系
CR 主制御系
M マスク
PL 投影光学系
W ウェハ
Claims (20)
- 照明光路中に配置されて入射するスリット状の光束の一部を可変的に遮る可変スリット装置において、
前記照明光路に対して並列的に配列された複数の遮光部材と、
前記照明光路に対する前記複数の遮光部材の位置をそれぞれ変化させるアクチュエータとを備え、
前記アクチュエータは、高分子材料を含み且つ電場応答性を有する駆動源部材と、該駆動源部材を挟むように配置された一対の電極とを有することを特徴とする可変スリット装置。 - 前記複数の遮光部材は、前記スリット状の入射光束の長辺方向に沿って互いに隔絶された状態で配列されていることを特徴とする請求項1に記載の可変スリット装置。
- 前記複数の遮光部材の各々に対して1つの前記アクチュエータが取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の可変スリット装置。
- 前記複数の遮光部材は、復元力を有する共通の可撓性部材に連結され、
前記可撓性部材には、該可撓性部材を変形させるための複数の前記アクチュエータが取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の可変スリット装置。 - 前記複数の遮光部材は、その端部において互いにピン接合された状態で、前記スリット状の入射光束の長辺方向に並んで配列されていることを特徴とする請求項1に記載の可変スリット装置。
- 前記複数の遮光部材の各々に対して1つの前記アクチュエータが取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載の可変スリット装置。
- 前記複数の遮光部材の各ピン接合部に対して1つの前記アクチュエータが取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載の可変スリット装置。
- 前記複数の遮光部材は、復元力を有する共通の可撓性部材に連結され、
前記可撓性部材には、該可撓性部材を変形させるための複数の前記アクチュエータが取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載の可変スリット装置。 - 前記複数の遮光部材の各ピン接合部は、復元力を有する共通の可撓性部材に連結され、
前記可撓性部材には、該可撓性部材を変形させるための複数の前記アクチュエータが取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載の可変スリット装置。 - 照明光路中に配置されて入射するスリット状の光束の一部を可変的に遮る可変スリット装置において、
復元力を有する可撓性の遮光部材と、
該遮光部材を変形させるために前記遮光部材に取り付けられた複数のアクチュエータとを備え、
前記アクチュエータは、高分子材料を含み且つ電場応答性を有する駆動源部材と、該駆動源部材を挟むように配置された一対の電極とを有することを特徴とする可変スリット装置。 - 前記遮光部材は、前記スリット状の入射光束の長辺方向に沿って延びる棒状の形態を有することを特徴とする請求項10に記載の可変スリット装置。
- 前記一対の電極は、前記駆動源部材の電圧印加時の変形特性に応じた伸縮性を有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の可変スリット装置。
- 前記駆動源部材は、導電性高分子材料のみからなることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の可変スリット装置。
- 前記駆動源部材は、前記高分子材料、イオン性液体およびカーボンナノチューブのゲル状組成物からなることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の可変スリット装置。
- 光源からの光により被照射面を照明する照明光学系において、
前記光源と前記被照射面との間の光路中に配置された請求項1乃至14のいずれか1項に記載の可変スリット装置を備えていることを特徴とする照明光学系。 - 前記可変スリット装置は、前記被照射面と光学的に共役な共役位置または該共役位置に隣接した位置において前記スリット状の入射光束の一部を可変的に遮るように配置されていることを特徴とする請求項15に記載の照明光学系。
- 所定のパターンを照明するための請求項15または16に記載の照明光学系を備え、前記所定のパターンを感光性基板に露光することを特徴とする露光装置。
- 前記所定のパターンの像を前記感光性基板上に形成する投影光学系を備え、
前記投影光学系に対して前記所定のパターンおよび前記感光性基板を走査方向に沿って相対移動させて、前記所定のパターンを前記感光性基板へ投影露光することを特徴とする請求項17に記載の露光装置。 - 前記走査方向は、前記スリット状の入射光束の短辺方向に対応していることを特徴とする請求項18に記載の露光装置。
- 請求項17乃至19のいずれか1項に記載の露光装置を用いて、前記所定のパターンを前記感光性基板に露光することと、
前記所定のパターンが転写された前記感光性基板を現像し、前記所定のパターンに対応する形状のマスク層を前記感光性基板の表面に形成することと、
前記マスク層を介して前記感光性基板の表面を加工することと、を含むことを特徴とするデバイス製造方法。
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