JP2011227951A - 波長選択性回折格子、波長選択性回折格子の製造方法、および光学機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】短波長化や小型化に対応しているとともに、作製に際して精密加工が不要な波長選択性回折格子、波長選択性回折格子の製造方法、および光学機器を提供する。
【解決手段】波長選択性回折格子4Aは、透明基板11と、波長選択性ホログラム12,13とが順に積層されている。波長選択性ホログラム12は、第1の波長の光ビームを回折する。波長選択性ホログラム13は、第2の波長の光ビームを回折する。波長選択性ホログラム12,13は、体積ホログラムで作製されており、感光性材料としてフォトポリマが用いられている。体積ホログラム用のフォトポリマは、第1の屈折率を有するマトリックスポリマ、第2の屈折率を有するモノマ、光反応開始剤、その他添加物から構成されているものが主である。
【選択図】図4
【解決手段】波長選択性回折格子4Aは、透明基板11と、波長選択性ホログラム12,13とが順に積層されている。波長選択性ホログラム12は、第1の波長の光ビームを回折する。波長選択性ホログラム13は、第2の波長の光ビームを回折する。波長選択性ホログラム12,13は、体積ホログラムで作製されており、感光性材料としてフォトポリマが用いられている。体積ホログラム用のフォトポリマは、第1の屈折率を有するマトリックスポリマ、第2の屈折率を有するモノマ、光反応開始剤、その他添加物から構成されているものが主である。
【選択図】図4
Description
この発明は、波長選択性回折格子、波長選択性回折格子の製造方法、および光学機器に関し、より特定的には、体積ホログラム型の波長選択性回折格子、波長選択性回折格子の製造方法、および光学機器に関する。
従来、光ディスクドライブ装置等の光学機器における光ピックアップ装置として、光記録媒体である光ディスクからの反射光を回折光学素子により分岐し、光検出器で受光する光学系を備えたものが多く提案されている。このような光ピックアップ装置の中には、複数の光ディスクに対して記録再生を行なうことができるものがある。複数の光ディスクには、たとえば、CD(コンパクト・ディスク)、DVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)、BD(ブルーレイ・ディスク)等の系統がある。複数の光ディスクに対する記録再生を実現するための回折光学素子としては、たとえば、2波長以上の光をそれぞれ所望の場所に回折させることができる波長選択性回折格子がある。
特許文献1に記載の波長選択性回折素子は、3波長の光を選択的に回折させている。この波長選択性回折素子は、上面に第1ホログラムが形成された第1透明層と、上面に第2ホログラムが形成された第2透明層と、上面に第3ホログラムが形成された第3透明層とが順に積層された構造を有する。当該回折素子は、回折格子のパターンの深さを調整することにより、それぞれのホログラムパターンがいずれか特定の波長の光のみを回折させ、他の光を通過させる。これにより、波長選択性を実現している。
光ピックアップ装置の小型化のために、受光素子を共通化することが提案されている。そのためには、たとえば、波長選択性回折格子を用い、各々の波長の光の回折光を共通の受光素子に入射させることが提案されている。波長選択性回折格子としては、たとえば、無機系、有機系材料の上面を加工し、凹凸構造を形成したホログラムを用いたものがある(特許文献1参照)。この場合、凹凸ピッチとその深さとにより、回折角、回折効率および回折波長が決定される。
しかしながら、上記の場合、短波長化や小型化に伴う回折角の拡大によって、サブμmオーダの凹凸ピッチおよび深さの制御が必要となる。このため、従来の波長選択性回折格子は、加工が困難になるという問題があった。
それゆえに、この発明の目的は、短波長化や小型化に対応しているとともに、作製に際して精密加工が不要な波長選択性回折格子、波長選択性回折格子の製造方法、および光学機器を提供することである。
この発明のある局面によれば、第1の波長および第2の波長を含む複数の波長帯の光ビームを回折する波長選択性回折格子であって、第1の波長の光ビームを回折し、その他の波長の光ビームは透過させる第1の体積ホログラムと、第2の波長の光ビームを回折し、その他の波長の光ビームは透過させる第2の体積ホログラムとを含む。
好ましくは、第1の体積ホログラムと第2の体積ホログラムとの間に接着層をさらに含む。
この発明の他の局面によれば、第1の波長および第2の波長を含む複数の波長帯の光ビームを回折する波長選択性回折格子であって、基板と、基板上に積層され、第1および第2の波長の光ビームを回折し、その他の波長の光ビームは透過させる体積ホログラムとを含む。
好ましくは、体積ホログラムは、入射面内に1つ以上のホログラムパターンが形成されている。
好ましくは、体積ホログラムは、第1および第2の波長の光ビームの各々に感度を有する感光性材料に対して干渉露光することにより形成される。
好ましくは、体積ホログラムは、収束光を受けて、収束光を収束光の状態で回折する。
この発明の他の局面によれば、第1の波長および第2の波長を含む複数の波長帯の光ビームを回折する波長選択性回折格子の製造方法であって、第1の波長に感度を有する第1の感光性材料を基板上に塗布する工程と、第1の波長の光ビームを用いて、収束光同士を第1の感光性材料内で干渉させて第1の体積ホログラムを記録する工程と、体積ホログラム上に、第1の波長と異なる第2の波長に感度を有する第2の感光性材料を塗布する工程と、第2の波長の光ビームを用いて、収束光同士を第2の感光性材料内で干渉させて第2の体積ホログラムを記録する工程とを備える。
この発明の他の局面によれば、第1の波長および第2の波長を含む複数の波長帯の光ビームを回折する波長選択性回折格子の製造方法であって、第1の波長に感度を有する第1の感光性材料を基板上に塗布する工程と、第1の波長の光ビームを用いて、収束光同士を第1の感光性材料内で干渉させて第1の体積ホログラムを記録する工程と、体積ホログラム上に、第1の波長と異なる第2の波長に感度を有する第2の感光性材料を塗布する工程と、第2の波長の光ビームを用いて、収束光同士を第2の感光性材料内で干渉させて第2の体積ホログラムを記録する工程とを備える。
この発明の他の局面によれば、光学機器であって、第1の波長および第2の波長を含む複数の波長帯の光ビームを発する光源部と、第1の波長の光ビームを回折し、その他の波長の光ビームは透過させる第1の体積ホログラムと、第2の波長の光ビームを回折し、その他の波長の光ビームは透過させる第2の体積ホログラムとを含む波長選択性回折格子と、波長選択性回折格子から回折された第1および第2の波長を含む複数の波長帯の光ビームを受光する受光部とを備える。
この発明の実施の形態によれば、短波長化や小型化に対応しているとともに、作製に際して精密加工が不要な波長選択性回折格子、波長選択性回折格子の製造方法、および光学機器を提供することができる。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による光ピックアップ装置1Aの概略的な構成を示した図である。
図1は、この発明の実施の形態1による光ピックアップ装置1Aの概略的な構成を示した図である。
図1を参照して、実施の形態1の光ピックアップ装置1Aは、光源部60と、ビームスプリッタ71と、コリメータレンズ72と、対物レンズ73と、凹レンズ74と、受光部80とを備える。光源部60は、波長λ1の光源2aと、波長λ2(λ1≠λ2)の光源2bと、ビームスプリッタ61とを含む。受光部80は、波長選択性回折格子4Aと、受光素子5とを含む。光ピックアップ装置1Aは、光ディスク100に対して情報を記録するとともに、光ディスク100から情報を再生する。実施の形態1では、波長λ1を405nm付近、波長λ2を660nm付近とする。
光源2aから出射された光ビームLXは、ビームスプリッタ61で反射されて、ビームスプリッタ71でさらに反射される。光源2bから出射された光ビームLYは、ビームスプリッタ61を透過して、ビームスプリッタ71で反射される。ビームスプリッタ71で反射された光ビームLX,LYは、コリメータレンズ72で平行光にされ、対物レンズ73により光ディスク100に集光される。その後、光ディスク100で反射された光ビームLX,LYは、再び対物レンズ73およびコリメータレンズ72を通り、ビームスプリッタ71を透過する。当該透過した光ビームLX,LYは、凹レンズ74を通過して、波長選択性回折格子4Aに入射する。
波長選択性回折格子4Aは、入射した光ビームLX,LYの一部を0次光L0として透過し、他の一部を1次光L1として回折する。波長選択性回折格子4Aは、体積ホログラム型であり、後に説明するように、透明基板上に2種類の感光性材料層を形成した構造を有する。0次光L0および1次光L1は、受光素子5で受光される。
図2は、受光素子5の具体的な構成を示した上面図である。
図2を参照して、受光素子5は、フォトディテクタ(PD)50〜54を含む。PD50は、波長選択性回折格子4Aを透過した0次光L0を受光する。PD51〜54は、波長選択性回折格子4Aで回折された1次光L1を受光する。
図2を参照して、受光素子5は、フォトディテクタ(PD)50〜54を含む。PD50は、波長選択性回折格子4Aを透過した0次光L0を受光する。PD51〜54は、波長選択性回折格子4Aで回折された1次光L1を受光する。
図3は、受光部80の具体的な構成を示した斜視図である。
以下では、波長選択性回折格子4Aを、他の実施の形態での波長選択性回折格子を含めて波長選択性回折格子4とも総称している。図3においては、波長選択性回折格子4と受光素子5との関係について説明する。なお、図3では、簡単のため、光ビームLXのみが受光部80に入射した場合について説明している。ここで、1次光L1は、1次光L1a〜L1fに分割される。
以下では、波長選択性回折格子4Aを、他の実施の形態での波長選択性回折格子を含めて波長選択性回折格子4とも総称している。図3においては、波長選択性回折格子4と受光素子5との関係について説明する。なお、図3では、簡単のため、光ビームLXのみが受光部80に入射した場合について説明している。ここで、1次光L1は、1次光L1a〜L1fに分割される。
図3を参照して、波長選択性回折格子4は、一例として、入射面が6種類のホログラムパターン4a〜4fで形成されている。PD50は、波長選択性回折格子4を透過した0次光L0を受光する。PD51は、ホログラムパターン4aで回折された1次光L1aを受光する。PD52は、ホログラムパターン4bで回折された1次光L1bを受光する。PD53は、ホログラムパターン4c,4dで回折された1次光L1c,L1dを受光する。PD54は、ホログラムパターン4e,4fで回折された1次光L1e,L1fを受光する。光ピックアップ装置1Aは、PD50〜54で受光された光信号に基づいて、光ディスク100の種類に応じた記録再生時のフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号等の制御信号を生成する。
図3に示すように、この発明の実施の形態における波長選択性回折格子4は、複数のホログラムパターン4a〜4fに分割されている。しかしながら、それぞれの領域におけるホログラムは、一種類のみで形成されている。また、当該分割は必須ではなく、光ピックアップ装置の必要性に応じて分割されればよい。
図4は、波長選択性回折格子4Aの構造を説明するための断面図である。
図4を参照して、実施の形態1の波長選択性回折格子4Aは、透明基板11と、波長選択性ホログラム12,13とが順に積層されている。波長選択性ホログラム12は、波長λ1の光ビームLXを回折する。波長選択性ホログラム13は、波長λ2の光ビームLYを回折する。波長選択性ホログラム12,13は、体積ホログラムで作製されており、感光性材料としてフォトポリマが用いられている。体積ホログラム用のフォトポリマは、マトリックスポリマ(屈折率n1)、モノマ(屈折率n2(≠n1))、光反応開始剤、その他添加物から構成されているものが主である。
図4を参照して、実施の形態1の波長選択性回折格子4Aは、透明基板11と、波長選択性ホログラム12,13とが順に積層されている。波長選択性ホログラム12は、波長λ1の光ビームLXを回折する。波長選択性ホログラム13は、波長λ2の光ビームLYを回折する。波長選択性ホログラム12,13は、体積ホログラムで作製されており、感光性材料としてフォトポリマが用いられている。体積ホログラム用のフォトポリマは、マトリックスポリマ(屈折率n1)、モノマ(屈折率n2(≠n1))、光反応開始剤、その他添加物から構成されているものが主である。
体積ホログラム用のフォトポリマは、光反応開始剤が感度を有する波長領域内の波長の光が照射されると、光強度の強い部分で重合が開始してモノマを消費し、光強度の弱い部分のモノマが強い部分に拡散移動して、屈折率変化が生じる。これにより、干渉縞の明暗で生じる屈折率差(Δn=|n1−n2|)を使ってホログラムが形成される。屈折率差Δnは、ホログラム形成時の露光量によって変化する。これにより、ホログラムの回折効率を制御できる。すなわち、露光量を制御することで、波長選択性ホログラム12,13において所望の回折効率を得ることが可能となる。
また、図3に示すように、波長選択性回折格子4には、収束光である光ビームLXが入射する。0次光L0および1次光L1a〜L1fも、収束した状態でPD50〜54に入射する。これは、PD50〜54に入射する回折光等のビーム径が広がっていた場合、光ディスク100の記録再生の際にノイズとなり正確な動作を妨げるからである。このように収束光を収束光として回折する特性を波長選択性回折格子4に持たせるためには、収束光同士の干渉縞を形成する必要がある。
図5は、波長選択性回折格子4における波長選択性ホログラム12の形成方法を説明するための図である。
図5では、簡単のため、入射光をある一方向に回折する体積ホログラムを形成している状態を示している。図5に示すように、波長選択性ホログラム12は、透明基板11上の感光性材料層に記録光LXを露光することにより形成される。この感光性材料層は、波長λ1と同じまたはその付近の波長λ1zの記録光LXに感光する。記録光LXは、0次光L0の進行方向に対応する収束光L0Xと、1次光L1の進行方向に対応する収束光L1Xとに分けられる。収束光L0XとL1Xとを感光性材料層内で干渉させることにより、波長λ1を回折する波長選択性ホログラム12が形成される。
図6は、波長選択性回折格子4における波長選択性ホログラム13の形成方法を説明するための図である。
図6でも、簡単のため、入射光をある一方向に回折する体積ホログラムを形成している状態を示している。図6に示すように、波長選択性ホログラム13は、波長選択性ホログラム12上の感光性材料層に記録光LYを露光することにより形成される。この感光性材料層は、波長λ2と同じまたはその付近の波長λ2zの記録光LYに感光する。記録光LYは、0次光L0の進行方向に対応する収束光L0Yと、1次光L1の進行方向に対応する収束光L1Yとに分けられる。収束光L0YとL1Yとを感光性材料層内で干渉させることにより、波長λ2を回折する波長選択性ホログラム13が形成される。
次に、波長選択性ホログラム12,13の形成に、波長の異なる記録光LX,LYをそれぞれ用いた理由について説明する。
図7は、ホログラムの記録原理を説明するための図である。
図7は、波長λの信号光SLおよび参照光RLが記録材料21に入射し、干渉縞23を形成する場合を表わしている。ホログラムの特性として、式(1)のブラッグ条件を満たす光ビームのみを回折する。ここで、dは干渉縞の間隔、θbはブラッグ角、mは整数、nは記録材料21の屈折率、θsは信号光SLの記録材料21内での入射角、θrは信号光RLの記録材料21内での入射角をそれぞれ示す。
図7は、波長λの信号光SLおよび参照光RLが記録材料21に入射し、干渉縞23を形成する場合を表わしている。ホログラムの特性として、式(1)のブラッグ条件を満たす光ビームのみを回折する。ここで、dは干渉縞の間隔、θbはブラッグ角、mは整数、nは記録材料21の屈折率、θsは信号光SLの記録材料21内での入射角、θrは信号光RLの記録材料21内での入射角をそれぞれ示す。
2d・sinθb=mλ (1)
d=(λ/2n)|sin(θs−θr/2)| (2)
図8は、ホログラムの再生原理を説明するための図である。
d=(λ/2n)|sin(θs−θr/2)| (2)
図8は、ホログラムの再生原理を説明するための図である。
図8は、図7において記録された干渉縞23から情報を再生する場合を表わしている。基本的には、記録に用いた波長λの光ビームを用いて、ホログラム記録時と同状態(たとえば、入射角θr)で再生することで、干渉縞23から再生光CLが出射角θsで発生する。今回のように、体積的にホログラムが形成される体積ホログラムを形成した場合、ホログラムの厚みが増すほどブラッグ条件を満たす入射角および入射波長が狭まることが知られている。これを角度選択性および波長選択性と呼ぶ。この場合、実施の形態1のように、波長λ1=405nm、λ2=660nmの光ビームを同時に回折できる干渉縞間隔dを満たす体積ホログラムを形成することは困難である。
平行光同士の干渉であれば、回折させたい波長が異なる場合であっても、入射角θsまたはθrを変えることで、波長によって干渉縞間隔dを一定の割合で変化させてホログラムを形成可能である。これにより、それぞれの波長に対してブラッグ条件を満たすブラッグ角θbを存在させることができる。しかしながら、実施の形態1のように、記録光LX,LYとして収束光を用いた場合、感光性材料内では様々な方向から光ビームが入射し、それぞれの光ビームが干渉してホログラムを形成する。そのため、様々な干渉縞間隔dが存在し、特定のブラッグ角θbを存在させることが不可能となる。
したがって、実施の形態1では、回折させる波長を波長選択性回折格子4Aに入射させる波長λ1およびλ2の光ビームに限定している。ホログラム記録時には、各々の波長λ1,λ2と同じまたはその付近の波長λ1z,λ2zの記録光LX,LYを用いて、それぞれホログラムを形成している。記録光LX,LYを波長λ1,λ2と同じまたはその付近の波長λ1z,λ2zの光ビームと記載しているが、これは上述の波長選択性に依存するものである。これらの詳細に関しては、たとえば「ホログラフィ(辻内順平著、裳華房出版)」に説明されている。
波長選択性により選択される波長域Δλは、式(3)により表わされる。ここで、nは感光性材料層の屈折率、ξはブラッグ条件からのずれ量、tはホログラムの厚さ、φはホログラムの傾き角をそれぞれ示す。
Δλ=8πnCsξ/K2t (3)
Cs=−cos(2φ−θb) (4)
K=2π/d (5)
また、上記したブラッグ条件からのずれ量ξと回折効率ηとの関係は、式(6)により表わされる。
Cs=−cos(2φ−θb) (4)
K=2π/d (5)
また、上記したブラッグ条件からのずれ量ξと回折効率ηとの関係は、式(6)により表わされる。
η=sin2√(ξ2+ν2)/(1+ξ2/ν2) (6)
ν=(πnt/λ)cosθb (7)
式(3)および(6)により、波長域Δλにおける回折効率ηが得られる。これにより、必要な回折効率ηを満たす波長域Δλが決定される。それを記録光LX,LYに用いることで、所望のホログラムが形成できる。なお、波長選択性を求める場合は、簡単のため、平行光同士の干渉を基本にして考えてよい。
ν=(πnt/λ)cosθb (7)
式(3)および(6)により、波長域Δλにおける回折効率ηが得られる。これにより、必要な回折効率ηを満たす波長域Δλが決定される。それを記録光LX,LYに用いることで、所望のホログラムが形成できる。なお、波長選択性を求める場合は、簡単のため、平行光同士の干渉を基本にして考えてよい。
図9は、体積ホログラムの波長選択性のグラフの一例を示した図である。
図9は、ホログラムの厚さt=18μmとした場合の結果である。たとえば、波長λ2=660nmを回折する波長選択性ホログラム13を形成する際に、記録光LYとして波長λ2z=652nmを用いた場合について考える。図9に示すように、記録光LYと同じ波長λ2z=652nmで再生すると、最大回折効率(規格化表示で1.0)が得られる。また、図9の斜線部で示した波長域Δλ=640nm〜664nmの光ビームで再生すれば、最大回折効率に対して90%以上の回折効率(規格化表示0.9以上)が得られる。つまり、波長λ2=660nmで再生した場合であっても90%以上の回折効率を得ることが出来る。
図9は、ホログラムの厚さt=18μmとした場合の結果である。たとえば、波長λ2=660nmを回折する波長選択性ホログラム13を形成する際に、記録光LYとして波長λ2z=652nmを用いた場合について考える。図9に示すように、記録光LYと同じ波長λ2z=652nmで再生すると、最大回折効率(規格化表示で1.0)が得られる。また、図9の斜線部で示した波長域Δλ=640nm〜664nmの光ビームで再生すれば、最大回折効率に対して90%以上の回折効率(規格化表示0.9以上)が得られる。つまり、波長λ2=660nmで再生した場合であっても90%以上の回折効率を得ることが出来る。
上記のように、本願の体積ホログラムは、異なる波長で記録再生をした場合でも、高い回折効率で入射光を回折可能であることが分かる。所望の回折効率ηが得られる範囲であれば、記録光LYと再生光CLとで波長が異なってもよい。本願では、その範囲を満たす光ビームのことを「付近の」波長の光ビームとして記載している。実施の形態1の波長選択性回折格子4Aにおいては、回折効率の許容範囲を0.5以上としている。具体的には、実施の形態1では、波長λ1の光ビームLXおよび波長λ2の光ビームLYにより再生された再生光CLの回折効率ηが、体積ホログラムの有する最大回折効率の50%以上の範囲を記録波長の許容範囲としている。
ここで、波長選択性は、波長選択性ホログラム12,13の厚みで決まる。実施の形態1では、波長選択性ホログラム12が波長λ2の光ビームLYを回折しないように設計する必要がある。逆に、波長選択性ホログラム13については、波長λ1の光ビームLXを回折しないように設計する必要がある。この場合、ホログラムの厚さtは10μm〜30μm程度である。その中でも、特に、波長の短い光ビームLXを回折させる波長選択性ホログラム12の厚さは15μm程度、波長の長い光ビームLYを回折させる波長選択性ホログラム13の厚さは18μm程度が望ましい。
以上のように、この発明の実施の形態における波長選択性回折格子4は、感光性材料層の屈折率変化を用いて体積的にホログラムを記録する体積ホログラムで形成されており、ガラス基板や高分子層の上面のみに形成されたホログラムとは構造が異なる。体積ホログラム形成時に、使用する波長および入射角を限定することで、ブラッグ条件を満たして回折する波長および入射角を選択的に決めることができる。さらに、ホログラムの回折効率は、感光性材料層を形成するフォトポリマの屈折率変化に依存する。そのため、記録時の露光量を制御することで、回折効率を決定できる。
高分子層の上面に形成された凹凸構造によるホログラムの場合、波長オーダの精密なピッチ制御およびピッチ深さ制御が必要となる。これに対し、本願の体積ホログラムでは、記録時の波長および露光量を制御することで所望の特性が実現されるため、製造が容易となる。また、体積ホログラム記録時の入射角をそのまま1次光L1の回折角に設定して記録することで、再生された1次光L1の回折方向を決定できる。したがって、回折角の設計の自由度が大きくなる。
上記の結果、光ピックアップ装置1Aは、回折角を広げて波長選択性回折格子4と受光素子5との距離を短縮することができ、組み立て時の調整がしやすくなる。また、光ピックアップ装置1A全体の小型化につながる効果がある。これに対し、凹凸構造によるホログラムの場合は、回折角を大きくするためにピッチを狭める必要があり、加工精度の面から限界がある。そのため、本願の体積ホログラムの場合と比較すると、光ピックアップ装置を小型化するのが困難である。
さらに、本願の波長選択性ホログラム12,13を形成する際、それぞれ波長選択性回折格子4で回折させる光ビームの波長と同じまたは近い波長の光ビームを用いる。これにより、所望の波長の収束光を収束光の状態かつ所望の回折角で回折させる波長選択性をもった体積ホログラムを形成することが可能となる。その結果、光ピックアップ装置1Aは、品質の高い信号を提供できる。
次に、波長選択性回折格子4の製造方法について説明する。図10〜17は、波長選択性回折格子4の製造工程の一部を示した図である。ここでは、1枚の透明基板31から複数の波長選択性回折格子4を切り出して作製する。
図10は、透明基板31上に、波長λ1の光ビームに感度を有する感光性材料32を、ホログラムサイズを考慮してディスペンサなどで点打ちして塗布する工程を表わす。図11は、加圧しながら膜厚を制御し、感光性材料32を硬化させて感光性材料層33を形成する工程を表わす。図12は、感光性材料層33に波長λ1付近の記録光LXを照射してホログラムを記録し、波長選択性ホログラム35を形成する工程を表わす。
図13は、感光性材料層33上に、波長λ2の光ビームに感度を有する感光性材料36を、図10と同様の方法で塗布する工程を表わす。図14は、図11と同様に加圧しながら膜厚を制御して感光性材料36を硬化させ、感光性材料層37を形成する工程を表わす。図15は、感光性材料層37に波長λ2付近の記録光LYを照射してホログラムを記録し、波長選択性ホログラム39を形成する工程を表わす。
図16は、形成された波長選択性ホログラム35,39を覆うように保護層40を形成する工程を表わす。このようにして、透明基板31上に、複数個の波長選択性ホログラム35,39を形成する。図17は、透明基板31上の複数個の波長選択性ホログラム35,39を波長選択性回折格子4の形態に切り出す工程を表わす。なお、波長選択性ホログラム35,39の形成後は、ポストキュアというインコヒーレントな光を十分に照射する工程によりホログラムを固定する。
この発明の実施の形態では、感光性材料32,36の塗布方法として、ディスペンサによる点打ちとしている。これにより、材料の無駄な使用を回避することができる。さらに、後の工程にあるダイシングによる切り出し工程で、感光性材料32,36の抵抗を受けずにダイシングの刃を動かすことができる。これにより、製造コストを低減することができるという効果がある。
また、感光性材料32をディスペンサで点打ちした後、スタンパで上から加圧しながら膜厚を制御する。スタンパ材質としては、表面粗度が小さく、面精度の高いガラス基板を用いている。さらに、感光性材料32を硬化させた後、スタンパを離型する必要がある。そのため、ガラス基板の表面に、離型膜としてフッ素系の樹脂膜を形成している。図13の工程でさらに感光性材料36を積層するため、感光性材料32上に離型剤が残り、層同士の密着性が低下する可能性がある。離型剤塗布のみとしない理由は、この層同士の密着性の低下を防ぐためである。このようなスタンパを用いることで、表面粗度および面精度の良好な感光性材料を積層させることができる。
波長選択性ホログラム35,39を形成する工程において、感光性材料32,36が記録時に酸素と触れている場合、酸素と触れている部分は酸素阻害の影響により感度が大幅に低下するといった特性を有する場合がある。この場合、感度低下を回避するため、窒素雰囲気中で記録したり、記録時に感光性材料層33,37上をガラス基板やフィルム等で覆った状態で記録することが必要である。感光性材料層37に対してであれば、保護層40を形成後にホログラムを記録することで、同様の効果が得られる。いずれにしても、感光性材料層33,37上を覆う材料に関しては、ホログラム形成に影響を与えない程度の波面を維持できる表面粗度にする必要がある。
また、この発明の実施の形態では、感光性材料層33に波長選択性ホログラム35を形成後、感光性材料層37を感光性材料層33上に形成して、波長選択性ホログラム39を形成している。これは、以下の理由からである。
感光性材料層33に波長選択性ホログラム35を記録する波長λ1z=407nm付近に感度を有する感光性材料32を用いた場合について考える。この場合、感光性材料層33に対する不要な露光を回避するため、周辺の光はその付近の波長を含まないようにしなければならない。すなわち、作業を行なう際の照明光は、長波長寄りにすればよい。一方、感光性材料層37に波長選択性ホログラム39を記録する波長λ2z=647nm付近に感度を有する感光性材料36を用いた場合について考える。この場合、感光性材料層37に対する不要な露光を回避するため、周辺の光はその付近の波長を含まないようにしなければならない。すなわち、作業を行なう際の照明光は、短波長寄りにすればよい。
感光性材料32,36を塗布する工程を1回にまとめると、今回のように可視光領域に感光性材料の波長感度が広がっている場合、赤外線光等を用いなければならない。そのため、作業効率が低下する可能性がある。一方、この発明の実施の形態のように、感光性材料32,36を塗布する工程を2段階に分けて波長選択性ホログラム35,39を形成することで、作業しやすい環境を維持できるなどの効果がある。ただし、感光性材料32,36の波長感度は、光反応開始剤の特性により決まる。そのため、たとえば感光性材料層33,37のそれぞれの波長感度が交わらない領域がある場合は、その領域の光を作業時の光として用いてもよい。
また、感光性材料32,36の塗布方法としては、たとえば、2層を貼り合わせたドライフィルム形態の感光性材料32,36を透明基板31に接着することが考えられる。この場合も、透明基板31の全面に塗布するため材料使用率が低下する問題や、作業時の照明の問題がある。その一方で、塗布工程が簡単になることや、層間の密着性を高められることなどの効果がある。
その他の塗布方法として、次の手法が考えられる。まず、上記のスタンパ上に形成した離型膜をエッチングし、点打ちの間隔および材料厚に対応した凹型を作製する。その凹型に感光性材料を充填し、下地の透明基板または一層目の感光性材料層と密着させて感光性材料層を形成する。この塗布方法では、凹型の精度で感光性材料層を形成することが可能となる。また、加圧する必要がないため、膜厚の再現性等が高まる。
さらに、波長選択性ホログラム35,39の周辺は、保護層40で覆われている。これにより、光ピックアップ装置1Aに組み込まれる波長選択性回折格子4を傷やダストから保護することができる。また、波長選択性回折格子4の製造時のダイシングにおける水やダストから保護する効果がある。保護層40には、たとえば、シリコーン樹脂、UV(Ultraviolet)樹脂、ガラス基板が挙げられる。
上記のように収束光を回折する体積ホログラムを作製するために、所望の収束光を平行光と干渉させたマスタホログラムを作製することができる。一様な強度分布を有するある面積の平行光を当該マスタホログラムに照射することで、体積ホログラム型の波長選択性回折格子4を容易に複製することができる。これにより、回折角および回折効率を簡単に制御可能な波長選択性回折格子4を高い生産性で実現できる。
以上のように、この発明の実施の形態では、体積ホログラム型の波長選択性回折格子4の使用時に用いる波長の近傍に感度を有する感光性材料を、波長選択性回折格子4の製造に用いる。これにより、波長選択性ホログラム35,39の記録時に、それぞれの光ビームを用いてホログラムを記録することが可能となる。また、所望の波長の収束光を収束光の状態かつ所望の回折角で回折させる波長選択性をもった体積ホログラムを形成することが可能となる。この結果、光ピックアップ装置1Aの信号を劣化させることなく扱える。また、波長選択性ホログラム35,39の形成およびそれらに対する露光を2段階に分けて行なうことで、ホログラム作製の効率を向上させることができる。
また、ディスペンサ等で必要なホログラムのサイズに合わせて感光性材料32,36を部分的に塗布することで、材料の使用率を上げることができる。また、上述した波長選択性回折格子4の切り出しにより、ダイシング装置を効率的に用いることができる。その結果、波長選択性回折格子4の製造コストが低減できる。
また、以上説明したように、実施の形態1の波長選択性回折格子4Aは、波長λ1,λ2の光ビームを各々所望の回折効率で所望の方向に回折できる回折素子である。また、波長選択性回折格子4Aの作製工程も、従来技術で作製したものと比較して設計自由度が高く、製造コストを低減できる。したがって、図1の光ピックアップ装置1Aに波長選択性回折格子4Aを搭載することで、小型、薄型および低コストの光ピックアップ装置1Aを実現することが可能である。また、この光ピックアップ装置1Aを搭載したBD/DVD記録再生装置を低コストで実現できる。
以上のように、実施の形態1の光ピックアップ装置1Aは、波長選択性回折格子4Aとして、屈折率変化で干渉縞を記録した体積ホログラムを用いる。この体積ホログラムは、一定の厚みを有したホログラムであり、厚みに応じた波長選択性および角度選択性を有する。そのため、体積ホログラム記録時の入射角および波長を変化させることで、所望の回折角および回折波長を選択的に決定できる。また、体積ホログラムに対する露光量で屈折率の変化量を制御することで、回折効率が制御できる。このように、ホログラム記録時の入射角、波長および露光量を制御して記録することで、体積ホログラムの回折角、回折効率および回折波長を制御することができる。そのため、波長選択性回折格子4Aの製造が容易となる。また、波長選択性回折格子4Aの回折角の設計自由度が向上し、光ピックアップ装置1Aの小型化が実現できる。
実施の形態1では、光ビームの照射により屈折率が変化する感光性材料中で2光束を干渉させて干渉縞を形成する。その干渉縞の明暗を屈折率変調として記録することにより、体積ホログラム型の波長選択性回折格子4Aが形成される。このように波長選択性回折格子4Aを形成することで、精密加工が不要となる。また、光ピックアップ装置1Aの小型化および短波長化に対応できる。光ピックアップ装置は、光学機器の一種である。
[実施の形態2]
図18は、この発明の実施の形態2による光ピックアップ装置1Bの概略的な構成を示した図である。
図18は、この発明の実施の形態2による光ピックアップ装置1Bの概略的な構成を示した図である。
図18を参照して、実施の形態2の光ピックアップ装置1Bは、波長選択性回折格子4Aが波長選択性回折格子4Bに置き換えられた点において、実施の形態1の光ピックアップ装置1Aと異なる。ここでは、実施の形態1と重複する説明は繰り返さない。波長選択性回折格子4Bは、透明基板上の2種類の感光性材料層の間に接着層が設けられている点で、波長選択性回折格子4Aと異なる。
図19は、波長選択性回折格子4Bの構造を説明するための断面図である。
図19を参照して、実施の形態2の波長選択性回折格子4Bは、透明基板11と、波長選択性ホログラム12と、接着層15と、波長選択性ホログラム13とが順に積層されている。波長選択性ホログラム12は、波長λ1の光ビームLXを回折する。波長選択性ホログラム13は、波長λ2の光ビームLYを回折する。波長選択性ホログラム12,13の形成および効果は、実施の形態1と同様である。ただし、波長選択性ホログラム12,13の間に接着層15が設けられたことで、次のような効果がある。
図19を参照して、実施の形態2の波長選択性回折格子4Bは、透明基板11と、波長選択性ホログラム12と、接着層15と、波長選択性ホログラム13とが順に積層されている。波長選択性ホログラム12は、波長λ1の光ビームLXを回折する。波長選択性ホログラム13は、波長λ2の光ビームLYを回折する。波長選択性ホログラム12,13の形成および効果は、実施の形態1と同様である。ただし、波長選択性ホログラム12,13の間に接着層15が設けられたことで、次のような効果がある。
波長選択性ホログラム12,13は、体積ホログラムで作製されており、感光性材料としてフォトポリマが用いられている。波長選択性ホログラム12,13を積層する際、層間の密着性を高めるために接着層15が設けられている。接着層15としては、たとえば、プライマ処理が施された透明ガラス薄板、波長選択性ホログラム12上に直接塗布される高分子材料膜が挙げられる。
波長選択性ホログラム12の感光性材料層を形成する際、スタンパを用いて加圧しながら膜厚を調整し、その後スタンパを外す。その際、離型性をよくするために、離型剤をスタンパに塗布する。しかし、加圧の際に感光性材料層と離型剤とが接触するため、感光性材料層上にも離型剤が残る。この上に、波長選択性ホログラム13の感光性材料層を直接形成した場合、波長選択性ホログラム13が外れやすい状態となる。
また、全く異なる組成の感光性材料層を有する波長選択性ホログラムであれば、密着性が十分に高められない。それ以外の塗布方法でも、たとえば使用時の温度変化による材料の伸縮、光照射による材料の経時変化などによって、感光性材料層の間の密着性が低下することがある。密着性が維持できなくなり、波長選択性ホログラムの形状が変化すると、光ピックアップ装置の信号を誤認識する可能性がある。
上記に対し、実施の形態2では、2種類の感光性材料間の密着性を高めるために接着層15を設けている。これにより、波長選択性ホログラム12,13間の密着性が高まり、安定した品質の波長選択性回折格子4Bを提供できる。
[実施の形態3]
図20は、この発明の実施の形態3による光ピックアップ装置1Cの概略的な構成を示した図である。
図20は、この発明の実施の形態3による光ピックアップ装置1Cの概略的な構成を示した図である。
図20を参照して、実施の形態3の光ピックアップ装置1Cは、波長選択性回折格子4Aが波長選択性回折格子4Cに置き換えられた点において、実施の形態1の光ピックアップ装置1Aと異なる。ここでは、実施の形態1と重複する説明は繰り返さない。波長選択性回折格子4Cは、透明基板上に1種類の感光性材料層を形成している点で、波長選択性回折格子4Aと異なる。
図21は、波長選択性回折格子4Cの構造を説明するための断面図である。
図21を参照して、実施の形態3の波長選択性回折格子4Cは、透明基板11上に波長選択性ホログラム17が積層されている。波長選択性ホログラム17は、波長λ1の光ビームLXおよび波長λ2の光ビームLYの両方に感度を有する感光性材料層により形成されている。波長選択性ホログラム17では、波長λ1,λ2と同じまたは近傍の波長λ1z,λ2zの記録光LX,LYにより、それぞれの波長に対応するようにホログラムが記録される。この場合も、実施の形態1と同様に、波長選択性ホログラム17に入射した収束光を収束光の状態で回折させることが可能となる。
図21を参照して、実施の形態3の波長選択性回折格子4Cは、透明基板11上に波長選択性ホログラム17が積層されている。波長選択性ホログラム17は、波長λ1の光ビームLXおよび波長λ2の光ビームLYの両方に感度を有する感光性材料層により形成されている。波長選択性ホログラム17では、波長λ1,λ2と同じまたは近傍の波長λ1z,λ2zの記録光LX,LYにより、それぞれの波長に対応するようにホログラムが記録される。この場合も、実施の形態1と同様に、波長選択性ホログラム17に入射した収束光を収束光の状態で回折させることが可能となる。
上記のように、実施の形態3では、1種類の感光性材料層中に波長多重された体積ホログラムが記録される点において実施の形態1と異なる。波長選択性回折格子4Cでは、感光性材料層の塗布工程を1回にまとめられ、感光性材料も1種類でよい。そのため、波長選択性回折格子4Cの製造コストを下げることができる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明の実施の形態によれば、波長選択性を有する体積型ホログラムを形成することで、決まった波長の光ビームを決まった回折効率で決まった回折方向に回折させることができる。そのため、本発明は、たとえば、レーザ光や指向性の高いLED(Light Emitting Diode)光を用いた光ピックアップ装置、小型プロジェクタなどの光学機器、電子機器に応用することができる。
1A,1B,1C 光ピックアップ装置、2a,2b 光源、4,4A,4B,4C 波長選択性回折格子、4a〜4f ホログラムパターン、5 受光素子、11,31 透明基板、12,13,17,35,39 波長選択性ホログラム、15 接着層、21 記録材料、23 干渉縞、32,36 感光性材料、33,37 感光性材料層、40 保護層、60 光源部、61,71 ビームスプリッタ、72 コリメータレンズ、73 対物レンズ、74 凹レンズ、80 受光部、100 光ディスク。
Claims (8)
- 第1の波長および第2の波長を含む複数の波長帯の光ビームを回折する波長選択性回折格子であって、
前記第1の波長の光ビームを回折し、その他の波長の光ビームは透過させる第1の体積ホログラムと、
前記第2の波長の光ビームを回折し、その他の波長の光ビームは透過させる第2の体積ホログラムとを含む、波長選択性回折格子。 - 前記第1の体積ホログラムと前記第2の体積ホログラムとの間に接着層をさらに含む、請求項1に記載の波長選択性回折格子。
- 第1の波長および第2の波長を含む複数の波長帯の光ビームを回折する波長選択性回折格子であって、
基板と、
前記基板上に積層され、前記第1および第2の波長の光ビームを回折し、その他の波長の光ビームは透過させる体積ホログラムとを含む、波長選択性回折格子。 - 前記体積ホログラムは、入射面内に1つ以上のホログラムパターンが形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の波長選択性回折格子。
- 前記体積ホログラムは、前記第1および第2の波長の光ビームの各々に感度を有する感光性材料に対して干渉露光することにより形成される、請求項1〜4のいずれかに記載の波長選択性回折格子。
- 前記体積ホログラムは、収束光を受けて、前記収束光を収束光の状態で回折する、請求項1〜5のいずれかに記載の波長選択性回折格子。
- 第1の波長および第2の波長を含む複数の波長帯の光ビームを回折する波長選択性回折格子の製造方法であって、
第1の波長に感度を有する第1の感光性材料を基板上に塗布する工程と、
前記第1の波長の光ビームを用いて、収束光同士を前記第1の感光性材料内で干渉させて第1の体積ホログラムを記録する工程と、
前記体積ホログラム上に、前記第1の波長と異なる第2の波長に感度を有する第2の感光性材料を塗布する工程と、
前記第2の波長の光ビームを用いて、収束光同士を前記第2の感光性材料内で干渉させて第2の体積ホログラムを記録する工程とを備える、波長選択性回折格子の製造方法。 - 第1の波長および第2の波長を含む複数の波長帯の光ビームを発する光源部と、
前記第1の波長の光ビームを回折し、その他の波長の光ビームは透過させる第1の体積ホログラムと、前記第2の波長の光ビームを回折し、その他の波長の光ビームは透過させる第2の体積ホログラムとを含む波長選択性回折格子と、
前記波長選択性回折格子から回折された前記第1および第2の波長を含む複数の波長帯の光ビームを受光する受光部とを備える、光学機器。
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JP2014514594A (ja) * | 2011-03-04 | 2014-06-19 | インフィテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | ステレオ画像又はその種のステレオ画像の透視画像を見るための眼鏡 |
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-
2010
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