JP2011226966A - 計測方法、計測装置 - Google Patents

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國治 滝沢
Yasushi Haraguchi
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Abstract

【課題】 簡単な構成で測定対象の吸収係数と散乱係数を同時に計測することが可能な計測方法及び計測装置を提供すること。
【解決手段】 光源10と、試料30を透過した光をアパーチャ22を介して受光する受光部42とを含む。受光部42は、アパーチャ22の径を第1の径d1としたときに受光した透過直進光の強度Iを検出し、また、アパーチャ22の径を第2の径d2としたときに受光した透過直進光と前方散乱光を合わせた光の強度I+Iを検出する。試料30に入射する光の強度Iと透過直進光の強度Iと透過直進光と前方散乱光を合わせた光の強度I+Iとに基づいて、試料30の吸収係数及び散乱係数を算出する演算処理を行う。
【選択図】 図2

Description

本発明は、測定対象の吸収係数及び散乱係数を計測する計測方法及計測装置に関する。
近年、河川・湖沼の汚濁や海洋汚染が深刻な社会問題となるにつれ、水(液体)の光吸収係数と光散乱係数を正確かつ簡便に計測する技術が望まれている。
従来から、吸収係数を測定する方法として、図9(A)に示す透過光測定法が知られている。この方法では、光源100から出射された光を測定対象110に入射させ、測定対象110を透過した透過直進光を受光器120に受光させ、この透過直進光の強度に基づき測定対象110の吸収係数を測定している。
また、散乱係数を測定する方法として、図9(B)に示す散乱光測定法が知られている。この方法では、光源200から出射された光を測定対象210に入射させ、入射光の伝播方向と直交する方向に進む測定対象210からの散乱光を受光部220に受光させ、この散乱光の強度に基づき測定対象210の散乱係数を測定している。
また、吸収係数と散乱係数を同時に測定する方法として、図9(C)に示す積分球による透過・散乱光測定法が知られている。また、積分球を用いた濁度計として、例えば特開平06−123702号公報に開示される従来技術がある。図9(C)に示す方法では、光源300から出射された光を測定対象310に入射させ、測定対象310を透過した透過直進光を積分球330を介して第1の受光器320に受光させ、測定対象310からの散乱光を積分球330を介して第2の受光器322に受光させている。
特開平06−123702号公報
しかしながら、積分球による測定方法では、2つの受光部と積分球を用いるため、透過光測定法や散乱光測定法とに比べて装置が大掛かりになるといった問題点があった。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成で測定対象の吸収係数と散乱係数を同時に計測することが可能な計測方法及び計測装置を提供することにある。
(1)本発明は、測定対象の吸収係数及び散乱係数を計測する計測方法において、
光源から出射された光を前記測定対象に入射させ、前記測定対象を散乱せずに透過した無散乱の透過直進光の強度情報を取得する手順と、
光源から出射された光を前記測定対象に入射させ、前記測定対象を散乱せずに透過した無散乱の透過直進光と前記測定対象によって前方に散乱された前方散乱光とを合わせた光の強度情報を取得する手順と、
前記測定対象に入射する光の強度情報と、前記無散乱の透過直進光の強度情報と、前記無散乱の透過直進光と前記前方散乱光とを合わせた光の強度情報とに基づいて、前記測定対象の吸収係数及び散乱係数を算出する演算処理を行う演算処理手順とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、簡単な構成で測定対象の吸収係数と散乱係数を同時に計測することが可能な計測方法を提供することができる。
(2)また本発明において、
前記測定対象の吸収係数及び散乱係数を、それぞれα,βとし、前記測定対象に入射する光の強度をIとし、前記無散乱の透過直進光の強度をIとし、前記無散乱の透過直進光と前記前方散乱光とを合わせた光の強度をI+Iとし、前記無散乱の透過直進光の進行方向の前記測定対象の長さをLとすると、
前記演算処理手順では、
に基づいて前記演算処理を行うようにしてもよい。
本発明によれば、簡単な構成で測定対象の吸収係数と散乱係数を高精度且つ同時に計測することが可能な計測方法を提供することができる。
(3)本発明は、測定対象の吸収係数及び散乱係数を計測する計測装置において、
光を出射する光源と、
前記測定対象を透過した光をアパーチャを介して受光する受光部と、
前記受光部に入射する光の強度情報を取得する光強度情報取得部と、
前記強度情報に基づき測定対象の吸収係数及び散乱係数を算出する演算処理を行う演算処理部とを含み、
前記光強度情報取得部は、
前記アパーチャの径を第1の径としたときに前記受光部に入射する光であって、前記測定対象を散乱せずに透過した無散乱の透過直進光の強度情報を取得し、
前記アパーチャの径を前記第1の径よりも大きい第2の径としたときに前記受光部に入射する光であって、前記測定対象を散乱せずに透過した無散乱の透過直進光と前記測定対象によって前方に散乱された前方散乱光とを合わせた光の強度情報を取得し、
前記演算処理部は、
前記測定対象に入射する光の強度情報と、前記無散乱の透過直進光の強度情報と、前記無散乱の透過直進光と前記前方散乱光とを合わせた光の強度情報とに基づいて前記演算処理を行うことを特徴とする。
本発明によれば、簡単な構成で測定対象の吸収係数と散乱係数を同時に計測することが可能な計測装置を提供することができる。
(4)また本発明において、
前記測定対象の吸収係数及び散乱係数を、それぞれα,βとし、前記測定対象に入射する光の強度をIとし、前記無散乱の透過直進光の強度をIとし、前記無散乱の透過直進光と前記前方散乱光とを合わせた光の強度をI+Iとし、前記無散乱の透過直進光の進行方向の前記測定対象の長さをLとすると、
前記演算処理部は、
に基づいて前記演算処理を行うようにしてもよい。
本発明によれば、簡単な構成で測定対象の吸収係数と散乱係数を高精度且つ同時に計測することが可能な計測装置を提供することができる。
本実施形態の計測装置の構成の一例を示す図。 第2のアパーチャについて説明するための図。 本実施形態の計測装置及び計測方法が採用する計測原理について説明するための模式図。 本実施形態の計測装置及び計測方法が採用する計測原理における試料の第1層及び第2層の動作原理について説明するための模式図。 本実施形態の計測装置及び計測方法での計測結果である吸収係数αと散乱角度θの関係を示す図。 本実施形態の計測装置及び計測方法での計測結果である吸収係数αと濁度γの関係を示す図。 変形例について説明するための図。 変形例について説明するための図。 従来の計測装置の構成の一例を示す図。
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.構成
図1は、本実施形態の計測装置の構成の一例を示す図である。
本実施形態の計測装置1は、測定対象である試料30の光吸収係数と光散乱係数を計測する装置である。計測装置1は、レーザダイオードからなる光源10と、ビームスプリッター12と、光電センサ(フォトディテクタ)からなる第1及び第2の受光部40、42(光検出部)と、連続光をチョッピングするチョッパー50と、円形の開口を有する第1及び第2のアパーチャ20、22と、チョッパー制御部52と、ロックインアンプ60と、演算装置70とを含む。ビームスプリッター12、チョッパー50、第1及び第2のアパーチャ20、22は、光源10と第2の受光部42とを結ぶ光路OP上に配置されている。なお、計測装置1は、少なくとも光源10、第2のアパーチャ22、第2の受光部42、演算装置70とを備えていればよい。
光源10から出射された連続光の一部は、ビームスプリッター12を透過し、チョッパー50によりパルス変調され、第1のアパーチャ20を介して試料30に入射する。第1のアパーチャの径d1は、光源10から出射された光のビーム径とほぼ同一の径であり、これにより迷光等を除去することができる。そして、試料30を透過した光は第2のアパーチャ22を介して第2の受光部42に入射する。
第2の受光部42(本発明における受光部に対応)は、試料30を透過した光を第2のアパーチャ22を介して受光し、受光した光の強度を電流もしくは電圧に変換して、光強度情報(検出信号)として演算装置70に出力する。すなわち第2の受光部42は、光強度情報取得部としても機能する。
ここで、本実施形態の計測装置1では、第2のアパーチャ22(本発明におけるアパーチャに対応)として、開口径が可変な可変アパーチャを用いている。そして、図2(A)に示すように、第2のアパーチャ22の径を第1のアパーチャ20の径d1と同一としたときに、試料30を透過した透過直進光が第2のアパーチャ22を介して第2の受光部42に入射されるように構成している。すなわち、第1および第2のアパーチャ20、22の径d1を、光源10から出射された光のビーム径とほぼ同一の径としている。この状態では、殆どの散乱光は、第2のアパーチャ22で阻止されるため、第2のアパーチャ22を通過した透過直進光は、試料30を散乱せずに透過した無散乱の光とみなして差し支えない。
また、図2(B)に示すように、第2のアパーチャ22の径を第1の径d1よりも大きな第2の径d2としたときに、試料30を散乱せずに透過した無散乱の透過直進光と試料30によって前方に散乱された前方散乱光とが、第2のアパーチャ22を介して第2の受光部42に入射されるように構成している。すなわち、散乱角度(光源10からのレーザ光の進行方向と散乱光の進行方向とのなす角度)がθ以内である前方散乱光が第2の受光部42に入射されるように、第2の径d2を設定している。ここで、懸濁液である試料30での散乱は、その殆どが前方散乱であるとみなすことができ、且つ散乱角度10度以内にその殆どが集中していることから、θ>10度とすることが好ましい。
従って、第2の受光部42は、第2のアパーチャ22の径を第1の径d1とした場合に、無散乱の透過直進光の強度Iを検出し、また、第2のアパーチャ22の径を第2の径d2とした場合に、無散乱の透過直進光と前方散乱光を合わせた光の強度I+Iを検出し、それぞれ光強度情報(光の強度情報)として出力する。
また、光源10から出射された光の一部は、ビームスプリッター12(例えば、ガラス板)により反射され、第1の受光部40に入射する。第1の受光部40は、ビームスプリッター12により反射された光を受光し、受光した光の強度を電流あるいは電圧に変換して、光強度情報(測定信号)として演算装置70に出力する。ここで、ビームスプリッター12により反射される光の強度と、ビームスプリッター12を透過する光の強度の比(ビームスプリッター12の反射率と透過率の比)が既知であれば、第1の受光部40に入射する光の強度(第1の受光部40から出力された光強度情報)に基づいて、試料30に入射する光の強度Iを求めることができる。
再び図1を参照すると、チョッパー制御部52は、チョッパー50に制御信号(駆動信号)を出力して、チョッパー50の駆動を制御するとともに、当該制御信号を参照信号としてロックインアンプ60に出力する。本実施形態では、光源10から出射された連続光を、チョッパー50により630Hzの周波数でパルス変調している。
ロックインアンプ60は、第2の受光部42から出力された検出信号(無散乱の透過直進光の強度情報、及び無散乱の透過直進光と前方散乱光を合わせた光の強度情報)のうち、チョッパー制御部52から出力された参照信号と等しい周波数成分を検出する。ロックインアンプ60を用いることで、第2の受光部42から出力された検出信号から外乱光などのノイズを除去することができ、高精度に光強度を検出することができる。特に、微弱な散乱光の強度を高精度に検出することができる。
演算装置70は、演算処理部72と、記憶部74とを含む。演算処理部72は、ロックインアンプ60から出力された光強度情報(無散乱の透過直進光の強度情報、無散乱の透過直進光と前方散乱光を合わせた光の強度情報)と、第1の受光部40から出力された光強度情報(試料30に入射する光の強度情報に相当)とに基づいて、試料30の吸収係数及び散乱係数を算出する演算処理を行う。なお、計測装置1が、チョッパー50、チョッパー制御部52及びロックインアンプ60を備えない場合には、演算処理部72は、第2の受光部42から出力された光強度情報と第1の受光部40から出力された光強度情報とに基づき前記演算処理を行う。
記憶部74は、種々のデータを一時記憶する機能を有し、例えばロックインアンプ60及び第1の受光部40から出力された光強度情報を記憶する。
2.測定対象の吸収係数及び散乱係数計測原理
次に、本実施形態の計測装置1及び計測方法が採用する、測定対象の吸収係数及び散乱係数計測原理を説明する。
試料30に入射する光の強度をIとし、試料30の光路OP方向(光軸方向、無散乱の透過直進光の進行方向)の長さをLとし、試料30の吸収係数及び散乱係数をそれぞれα、βとすると、試料30を散乱せずに透過した無散乱の透過直進光の強度Iは、次式のように表すことができる。
ここで、Tは、試料30を内蔵するガラスやアクリルなどからなる透明容器と空気との界面の透過率である。なお、透明容器と液体である試料30との界面の透過率は1に近似している。
以降の説明では、煩雑さを避けるため、T=1として、試料30によって前方に散乱された前方散乱光の強度Iを算出し、本発明の計測原理を明らかにする。透明容器の透過率を考慮する場合には、IをTに置き換えればよい。
本実施形態では、図3に示すように、透明容器に内蔵された長さがLの試料30を、長さhの薄い層がm層重なったものとし、且つ、各層は、散乱せずに吸収のみの機能をもつ長さhの架空の吸収層Aと、吸収せず散乱のみの機能をもつ長さhの架空の散乱層Bとから構成されるものとして、以下の計算を行う。
試料30の第1層に入射する光の強度はIであるから、図4(A)に示されるように、試料30の第1層の架空の吸収層Aを透過した光の強度I11は、吸収係数αを用いて次式のように表すことができる。
架空の吸収層Aを通過した光は、図4(A)に示されるように、架空の散乱層Bで散乱される。第1層の散乱層Bで散乱された散乱光の強度I s1は、吸収係数αおよび散乱係数βを用いて次式のように表すことができる。
一方、散乱や吸収されずに第1層を通過した光の強度I12は、次式のように表すことができる。
第1層で散乱した光が、残りの層で吸収されながら透明容器を出たときの散乱光の強度Is1(図3参照)は、次式のように表すことができる。
上式では、第1の層で吸収および散乱された光が透明容器から出るまでに、残りの第2層〜第m層において吸収の影響だけを受けるとしている。これは、一度直進光から離脱して散乱光に属した光はその後何度散乱しても散乱光であることには変わりはなく、且つ散乱光の殆どは前方散乱光となり、その殆どが第2の受光器42に入射するからである。第2層以降でも本手法を適用することにより、試料30の吸収係数αと散乱係数βを厳密に求めることが可能となる。
試料30の第2層に入射する光の強度は、第1層を透過した透過直進光の強度に等しいから、式(4)で表すことができる。図4(B)に示されるように、試料30の第2層の架空の吸収層Aを通過した光は吸収の影響だけを受けるため、その光の強度I21は次式のように表すことができる。
試料30の第2層の架空の吸収層Aを通過した光は、続いて架空の散乱層Bで散乱されるため、散乱光の強度I’s2は、次式のように表すことができる。
第2層を通過した光の強度I22は、次式のように表すことができる。
第2層で散乱した光が残りの層で吸収されながら透明容器を出たときの散乱光の強度Is2(図3参照)は、次式のように表すことができる。
同様に、試料30の第3層での散乱光が透明容器を出たときの光の強度Is3は、次式のように表すことができる。
そして、試料30の第m層(最終層)での散乱光が透明容器を出たときの光の強度Ismは、次式のように表すことができる。
式(5)、式(9)、式(10)および式(11)を合算すると、試料30によって前方に散乱された前方散乱光の強度Iは、次式のように表すことができる。
そして、T=1を代入した式(1)および式(12)より、
であるから、式(14)より、試料30の散乱係数βは、次式のように表すことができる。
次に、T=1を代入した式(1)より、
であるから、式(15)、式(16)より、試料30の吸収係数αは、次式のように表すことができる。
なお、透明容器の透過率Tを考慮するときは、吸収係数αは次式のように表すことができる。
本実施形態の計測方法では、予め試料30に入射する光の強度Iを第1の受光部40により計測し、また第2のアパーチャ22の径を第1アパーチャの径と同一の径d1(図2(A)参照)とし、試料30を散乱せずに透過した無散乱の透過直進光の強度Iを第2の受光部42により計測する。
次に、第2のアパーチャ22の径を第2の径d2(d2>d1でかつθ>10°を満たす径、図2(B)参照)とし、試料30を透過した透過直進光と試料30によって前方に散乱された前方散乱光とを合わせた光の強度I+Isを第2の受光部42により計測する。
そして、計測した入射光の強度Iと、無散乱の透過直進光と前方散乱光とを合わせた光の強度I+Isとを式(17)ないしは式(18)に代入することで、試料30の吸収係数αを算出することができる。また、計測した無散乱の透過直進光の強度Iと、無散乱の透過直進光と前方散乱光とを合わせた光の強度I+Isとを式(15)に代入することで、試料30の吸収係数βを算出することができる。このように本実施形態によれば、簡単な構成で試料30の吸収係数と散乱係数を同時に算出することができる。
3.計測結果
図5(A)、図5(B)、図6(A)、図6(B)に、本実施形態の計測装置及び計測方法での計測結果を示す。図5(A)、図5(B)、図6(A)、図6(B)は、試料30として、純水(濁度γ:0度)及び希釈したカオリン濁度標準液(濁度γ:0.1度、0.5度、1度、5度、10度、25度、50度、100度)を長さL=10mmのガラスセルに入れて、試料30の吸収係数αと散乱係数βを計測した結果である。図5(A)、図5(B)は、試料30の吸収係数α、散乱係数βと試料30の散乱角度θとの関係を示している。また、図6(A)、図6(B)は、吸収係数α、散乱係数βと試料30の濁度γとの関係を示している。
図5(A)、図5(B)を見ると、吸収係数αと散乱係数βは、ともに散乱角度θが、θ>10°の領域で一定値となることがわかる。すなわち、本計測結果では、アパーチャ22の開口径をθ>10°になるように設定すれば、IとI+Iの計測から、試料の吸収係数αと散乱係数βを決定できることがわかる。
図6(A)、図6(B)を見ると、濁度0.1〜濁度100度にわたって、吸収係数αと濁度γ、及び散乱係数βと濁度γがそれぞれ優れた直線関係にあることがわかる。通常の測定方法では、濁度5〜10度以下は、セル長10cmのガラス容器が用いられ、濁度10度以上では、セル長1cmのガラス容器が用いられる。一方、本実施形態の計測装置及び計測方法では、全範囲をセル長1cmのガラス容器で測定しており、測定範囲が極めて広いことも、本発明の優位性を示すものである。したがって、これらの結果は、本実施形態の計測装置及び計測方法が、試料30の吸収係数α及び散乱係数を高精度かつ簡便に計測できることを示している。さらに図6(A)、図6(B)を見ると、濁度γ=0でも僅かな吸収や散乱があることがわかる。これは、純水の濁度を便宜上ゼロと定めたことに因るものである。すなわち、本実施形態の計測装置および計測方法によれば、純水のわずかな吸収係数や散乱係数を、セル長1cmのガラス容器で測定できたことを示しており、本実施形態の計測装置および計測方法の高感度・高性能を如実に示している。
4.変形例
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態では、第2のアパーチャ22として可変アパーチャを用いる場合について説明したが、図7(A)に示すように、第1の径d1をもつアパーチャ22と第2の径d2(d2>d1でかつθ>10°を満たす径)をもつアパーチャ22とを有する部材を光路OPと直交する方向(図5(A)では図中左右方向)に移動可能に構成し、透過直進光の強度Iを計測する場合には、第1の径d1をもつアパーチャ22を光路OP上に配置し、透過直進光と前方散乱光とを合わせた光の強度I+Isを計測する場合には、第2の径d2をもつアパーチャ22を光路OP上に配置するようにしてもよい。また、図7(B)に示すように、第1の径d1をもつアパーチャ22と第2の径d2をもつアパーチャ22とを有する部材を光路OPと平行な所定の軸AX回りに回転可能に構成して同様に計測するようにしてもよい。
また、図8に示すように、チョッパー50およびチョッパー制御部52を除いて、新たに信号発生器80を設け、信号発生器80によりパルス列電気信号をレーザダイオード光源10に加えて、レーザダイオード光源10からパルス列光を発生させ、チョッパーと同等の機能を与えることもできる。
また計測装置1が、ビームスプリッター12と第1の受光部40とを備えない場合には、光源10から出射された光の強度を、試料30への入射光の強度Iとして第2の受光部42により計測すればよい。
さらに本実施形態では、試料30での散乱光の殆どが前方散乱光であるとみなして計測を行っているが、側方散乱光や後方散乱光が無視できない高濁度液を試料30として計測する場合には、前方散乱光が主となるまで試料30の量(試料30の長さL)を減少させればよい。
10 光源、12 ビームスプリッター、20 第1のアパーチャ、22 第2のアパーチャ、30 試料、40 第1の受光部、42 第2の受光部、50 チョッパー、52 チョッパー制御部、60 ロックインアンプ、70 演算装置、72 演算処理部、74 記憶部、80 信号発生器

Claims (4)

  1. 測定対象の吸収係数及び散乱係数を計測する計測方法において、
    光源から出射された光を前記測定対象に入射させ、前記測定対象を散乱せずに透過した無散乱の透過直進光の強度情報を取得する手順と、
    光源から出射された光を前記測定対象に入射させ、前記測定対象を散乱せずに透過した無散乱の透過直進光と前記測定対象によって前方に散乱された前方散乱光とを合わせた光の強度情報を取得する手順と、
    前記測定対象に入射する光の強度情報と、前記無散乱の透過直進光の強度情報と、前記無散乱の透過直進光と前記前方散乱光とを合わせた光の強度情報とに基づいて、前記測定対象の吸収係数及び散乱係数を算出する演算処理を行う演算処理手順とを含む計測方法。
  2. 請求項1において、
    前記測定対象の吸収係数及び散乱係数を、それぞれα,βとし、前記測定対象に入射する光の強度をIとし、前記無散乱の透過直進光の強度をIとし、前記無散乱の透過直進光と前記前方散乱光とを合わせた光の強度をI+Iとし、前記無散乱の透過直進光の進行方向の前記測定対象の長さをLとすると、
    前記演算処理手順では、
    に基づいて前記演算処理を行う計測方法。
  3. 測定対象の吸収係数及び散乱係数を計測する計測装置において、
    光を出射する光源と、
    前記測定対象を透過した光をアパーチャを介して受光する受光部と、
    前記受光部に入射した光の強度情報を取得する光強度情報取得部と、
    前記強度情報に基づき測定対象の吸収係数及び散乱係数を算出する演算処理を行う演算処理部とを含み、
    前記光強度情報取得部は、
    前記アパーチャの径を第1の径としたときに前記受光部に入射する光であって、前記測定対象を散乱せずに透過した無散乱の透過直進光の強度情報を取得し、
    前記アパーチャの径を前記第1の径よりも大きい第2の径としたときに前記受光部に入射する光であって、前記測定対象を散乱せずに透過した無散乱の透過直進光と前記測定対象によって前方に散乱された前方散乱光とを合わせた光の強度情報を取得し、
    前記演算処理部は、
    前記測定対象に入射する光の強度情報と、前記無散乱の透過直進光の強度情報と、前記無散乱の透過直進光と前記前方散乱光とを合わせた光の強度情報とに基づいて前記演算処理を行う計測装置。
  4. 請求項3において、
    前記測定対象の吸収係数及び散乱係数を、それぞれα,βとし、前記測定対象に入射する光の強度をIとし、前記無散乱の透過直進光の強度をIとし、前記無散乱の透過直進光と前記前方散乱光とを合わせた光の強度をI+Iとし、前記無散乱の透過直進光の進行方向の前記測定対象の長さをLとすると、
    前記演算処理部は、
    に基づいて前記演算処理を行う計測装置。
JP2010098436A 2010-04-22 2010-04-22 計測方法、計測装置 Withdrawn JP2011226966A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111239064A (zh) * 2020-02-25 2020-06-05 东莞理工学院 一种用于溶液浓度测量的反射和透射组合光学测量系统

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