JP2011219338A - ガラスフィルムの割断方法及びガラスフィルムロール - Google Patents

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Abstract

【課題】ガラスフィルムを送りながら、熱応力により連続的に割断して幅方向に分割する際に、分割したガラスフィルムのうち、隣接するもの同士の割断面の擦れ合いを可及的に低減する。
【解決手段】ガラスフィルムGを送りながら、送り方向に延びる割断予定線7に沿う局部加熱及びその加熱領域の冷却に伴って発生する熱応力により、割断予定線7に沿ってガラスフィルムGを連続的に割断するとともに、割断したガラスフィルムGを相互に分離する。そして、割断工程では、割断面8が予め決められた方向に傾斜するように、ガラスフィルムGを割断するとともに、分離工程では、割断後の隣接するガラスフィルムGの割断面8同士の傾斜に伴う干渉が生じないように、隣接する一方のガラスフィルムGの軌道を、隣接する他方のガラスフィルムGの軌道に対して相対的に表面側又は裏面側のいずれか一方に離反させる。
【選択図】図3

Description

本発明は、ガラスフィルムを送りながら、その送り方向に延びる割断予定線に沿う局部加熱及びその加熱領域の冷却に伴って発生する熱応力により、ガラスフィルムを割断して幅方向に分割する技術の改良に関する。
周知のように、近年における映像表示装置は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどに代表されるフラットパネルディスプレイ(FPD)が主流となっている。これらのFPDは、軽量化が推進されていることから、当該FPDに使用されるガラス基板は、薄板(ガラスフィルム)化の一途を辿っているのが現状である。
また、有機ELは、ディスプレイのように微細な三原色をTFTにより明滅させずに、単色(例えば白色)のみで発光させて屋内照明の光源などの平面光源として利用されつつある。そして、有機ELの照明装置は、ガラス基板が可撓性を有すれば、自由に発光面を変形させることが可能であるから、この照明装置に使用されるガラス基板も十分な可撓性確保の観点から大幅な薄板化が推進されている。
これらのFPDや照明装置等に使用されるガラス基板を割断する手法としては、ガラス基板の表面又は裏面に、割断予定線に沿って所定深さのスクライブを刻設した後、該スクライブに曲げ応力を作用させてガラス基板を割断するという手法が一般的である。
しかしながら、このように曲げ応力によりガラス基板を割断する手法は、ガラス基板がガラスフィルムの状態まで薄肉化されると、スクライブを刻設することが非常に困難になるばかりでなく、割断面に形成される欠陥(例えば、ラテラルクラックなど)によって著しい強度低下を招くという問題が生じ得る。
また、ガラスフィルムを順次送りながら、当該ガラスフィルムを連続的に割断することが要請される場合には、ガラスフィルムに刻設したスクライブに対して連続的に曲げ応力を作用させることが困難になるという問題もある。
そこで、これらの曲げ応力を利用したガラスフィルムの割断手法の欠点を解消すべく、熱応力を利用したガラスフィルムの割断手法が採用されるに至っている。
具体的には、例えば、特許文献1によれば、帯状の板状ガラスの幅方向の端縁部を、レーザーによる局部加熱及び冷却装置による冷却に伴って発生する熱応力により連続的に割断することが開示されている。
また、同文献には、帯状の板状ガラスの割断後における端縁部(耳部を含むへり部)の進行方向を水平ゾーンから垂直下方に向かうように変化させて、下方端で幅方向に割断して廃棄処分にするとともに、割断後における帯状の板状ガラスの端縁部が切除されて残存した有効ガラス部は、進行方向を変化させることなくそのまま水平方向に送った後、所定長さで幅方向に割断して製品たるガラス板を得ることが開示されている。このようにすれば、ガラス板を割断した後に、端縁部の軌道が、有効ガラス部の軌道に対して下方に離反するため、有効ガラス部の割断面と端縁部の割断面とが、互いに擦れ合って破損するという事態の発生割合を低減することができる。
特開2000−335928号公報
ところで、熱応力によりガラスフィルムを割断する場合には、局部加熱及びその加熱領域の冷却によって、割断予定線近傍においてガラスフィルムに厚み方向の温度分布を強制的に付与することにより、所望の熱応力を生じさせる。つまり、熱応力を発生させるガラスフィルムの厚み方向の温度分布の態様に応じて、ガラスフィルムの割断面の態様も変化することとなる。そのため、図17に示すように、局部加熱及びその加熱領域の冷却によって生じるガラスフィルムGの厚み方向の温度分布(図中の符号20で示す等温線)が、割断予定線を通る垂直断面(割断予定面)21に対して非対称であると、割断面22の一部又は全部が、垂直断面21から外れて傾斜し易くなる。
そして、このように割断面が傾斜すれば、一方のガラスフィルムの割断面が、他方のガラスフィルムの割断面と厚み方向で干渉することになる。そのため、特許文献1に開示されているように、割断後に、一方のガラスフィルムの軌道を、他方のガラスフィルムの軌道に対して相対的に下方(厚み方向)に離反させる際に、他方のガラスフィルムの傾斜した割断面が邪魔になって、双方の割断面同士の干渉が進行してしまう場合がある。この場合、双方のガラスフィルムの割断面が互いに擦れ合って、ガラスフィルムに欠けや割れなどの破損が生じたり、或いは、割断面に微小欠陥が形成されて強度が著しく低下するという不具合が生じ得る。
ここで、ガラスフィルムの割断面は、傾斜していることは好ましくないとされるのが一般的であり、割断時に生じるガラスフィルムの厚み方向の温度分布が、割断予定線を通る垂直断面に対して対称になるように対策が講じられるのが通例である。具体的には、局部加熱領域及び冷却領域を割断予定線に対して微調整することで、温度分布を制御して、ガラスフィルムの割断面が、割断予定線を通る垂直断面から大きく外れるのを防止する対策が講じられる場合が多い。
しかしながら、このような対策を講じても、ガラスフィルムの厚み方向の温度分布を、割断予定線を通る垂直断面に対して完全に対称にすることは実質的に不可能であるため、ガラスフィルムの割断面の一部又は全部が、必然的に割断予定線を通る垂直断面から僅かに外れて傾斜してしまう。しかも、この場合には、ガラスフィルムの割断面の傾斜は、割断予定線を通る垂直断面に対して極僅かであるため、その割断面の態様が、外部環境の僅かな変動によっても影響を受け易い。その結果、割断予定線を通る垂直断面に対する割断面の傾斜方向が不規則に変化して、割断後に隣接する割断面同士の干渉が解除される方向が一義的に定まらず、割断面同士の擦れ合いを完全に防止することが実質的に不可能となっていた。
以上の実情に鑑み、本発明は、ガラスフィルムを送りながら、熱応力により連続的に割断して幅方向に分割する際に、分割したガラスフィルムのうち、隣接するもの同士の割断面の擦れ合いを可及的に低減することを技術的課題とする。
上記課題を解決するために創案された本発明に係るガラスフィルムの割断方法は、ガラスフィルムを送りながら、該送り方向に延びる割断予定線に沿う局部加熱及びその加熱領域の冷却に伴って発生する熱応力により、前記割断予定線に沿って前記ガラスフィルムを連続的に割断して、該ガラスフィルムを幅方向に分割するガラスフィルムの割断方法において、割断面が、前記割断予定線を通る垂直断面に対して予め決められた方向に傾斜するように、前記ガラスフィルムを連続的に割断する割断工程と、割断後の隣接するガラスフィルムの前記割断面の前記傾斜に伴う干渉が生じないように、隣接する一方の前記ガラスフィルムの軌道を、隣接する他方の前記ガラスフィルムの軌道に対して相対的に表面側又は裏面側のいずれか一方に離反させる分離工程とを備えていることに特徴づけられる。
このような方法によれば、割断工程では、ガラスフィルムの割断面を、割断予定線を通る垂直断面に対して予め決められた方向に積極的に傾斜させる。そのため、割断後に隣接するガラスフィルムの割断面同士の傾斜に伴う干渉が解除される方向は、割断面の傾斜方向に準じて、隣接する一方のガラスフィルムに対して隣接する他方のガラスフィルムを相対的に表面側に離反させるか、或いは、相対的に裏面側に離反させるかのいずれか一方に予め定まる。したがって、分離工程で、当該割断面同士の傾斜に伴う干渉が解除されるように、割断後に隣接する一方のガラスフィルムの軌道を、隣接する他方のガラスフィルムの軌道に対して、相対的に表面側又は裏面側のいずれか一方側に離反させることが可能となる。
上記の方法において、前記割断工程では、前記熱応力を発生させる際に前記ガラスフィルムの厚み方向の温度分布を、前記割断予定線を通る垂直断面に対して非対称とすることで、前記割断面を傾斜させることができる。
すなわち、ガラスフィルムの厚み方向の温度分布を、割断予定線を通る垂直断面に対して非対称とすれば、この温度分布に基づいて割断予定線近傍に発生する熱応力も当該垂直断面に対して非対称となるため、当該熱応力により割断される割断面が当該垂直断面に対して傾斜することになる。
この場合、前記ガラスフィルムに、前記割断予定線に対して非対称に良好な熱伝導性を有する部材(以後、熱伝導性部材という)を密着させることにより、前記温度分布が前記割断予定線を通る垂直断面に対して非対称となるようにしてもよい。
すなわち、熱伝導性部材を密着させている部分では、ガラスフィルムの厚み方向に伝搬する熱の伝搬速度が速くなる。そのため、割断予定線に対して非対称に熱伝導性部材を密着させれば、ガラスフィルムのうち、割断予定線を通る垂直断面を境界として区分される一方側の領域が、他方側の領域に対して相対的に熱の伝搬速度が速くなる。その結果、ガラスフィルムの厚み方向の温度分布が、熱の伝搬速度が速くなる領域側に偏って、割断予定線を通る垂直断面に対して非対称となる。
また、前記局部加熱による加熱領域の幅方向中心位置を前記割断予定線に一致させた状態で、前記冷却による冷却領域の幅方向中心位置を前記割断予定線から偏倚させることにより、前記温度分布が前記割断予定線を通る垂直断面に対して非対称となるようにしてもよい。
このようにすれば、局部加熱による加熱領域の幅方向中心位置と、冷却による冷却領域の幅方向中心位置との間にズレが生じる。そのため、ガラスフィルムのうち、割断予定線を通る垂直断面を境界として2つに区分される領域のうち、冷却領域の幅方向中心位置を偏倚させた一方側の領域が、他方側の領域よりも相対的に強く冷却されることから、ガラスフィルムの厚み方向の温度分布が、割断予定線を通る垂直断面に対して非対称となる。
上記の方法において、前記割断工程では、前記ガラスフィルムが幅方向で3つ以上の部位に分割されるとともに、幅方向両側に前記割断予定線を有する部位は、その幅方向両側に形成される前記割断面が幅方向で互いに対称をなす方向に傾斜するように割断されることが好ましい。
このようにすれば、幅方向両側が割断面で形成される部位は、割断面の傾斜方向が幅方向で対称をなすので、当該部位の軌道に対して、その幅方向両側に隣接する部位の軌道をそれぞれ同一方向に離反させることができる。この場合、割断後の分離工程において、ガラスフィルムの軌道が、相対的に表面側に離反するものと、相対的に裏面側に離反するものとが幅方向で交互に現れることになるため、ガラスフィルムの割断による分割数が増加したとしても、各ガラスフィルムの軌道の変化量を小さく抑えることができる。また、割断後に、各ガラスフィルムの軌道が、表面側と裏面側に略均等に配分されるので、割断工程に至っていないガラスフィルム部分に捩れを生じさせるような不当な力が作用することもない。
上記の方法において、前記分離工程で離反させた各々の前記ガラスフィルムを、巻芯の回りにロール状に巻き取るようにしてもよい。
このようにすれば、分離工程で離反された各々のガラスフィルムが巻芯の回りにロール状に巻き取られることになるので、所定の幅に割断された製品ガラスフィルムの収納や梱包をコンパクト且つ容易に行うことが可能となる。また、この場合には、作業の連続性が確保され、作業能率の向上が図られるという利点もある。
上記の方法において、巻芯の回りにロール状に割断前の前記ガラスフィルムを巻き取ってなる元ガラスフィルムロールを製作するとともに、前記割断工程において、該元ガラスフィルムロールから引き出した前記ガラスフィルムを供給するようにしてもよい。
このようにすれば、溶融ガラス等からガラスフィルムを成形する成形工程から直接的にガラスフィルムを送りながら、割断工程や、分離工程を行う場合に比して、これらの作業工程を行うための作業スペースの確保が容易となる。すなわち、成形工程に連続する下流側の領域は、既存設備との関係からスペース上の制約が課せられるのが通例である。そのため、成形工程から送られてくるガラスフィルムを一旦巻芯の回りにロール状に巻き取って元ガラスフィルムロールを製作した後、別の場所で、当該元ガラスフィルムロールからガラスフィルムを引き出して割断工程や分離工程を行う方が、作業スペースの確保の観点からも有利となる。
上記の方法において、前記局部加熱が、レーザーによって行われることが好ましい。
このようにすれば、レーザーの照射熱によって、ガラスフィルムの局部加熱を効率良く行うことができる。なお、レーザーとしては、炭酸ガスレーザーを使用することが好ましく、この場合には、ガラスの吸収波長を適切なものにできるとともに、簡易に安定した状態で局部加熱を行うことができ、コストも低廉となる。
上記の方法において、割断後の前記ガラスフィルムの前記割断面に有機層を形成することが好ましい。ここで、上記の「有機層」には、有機フィルム(例えば、有機樹脂フィルム)等が含まれる。
このようにすれば、ガラスフィルムの傾斜した割断面を有機層によって保護することができるため、割断後の各々のガラスフィルムの取り扱いが容易となる。
上記の方法において、割断後の前記ガラスフィルムの表面又は裏面の少なくとも一方に有機層を形成することが好ましい。ここで、上記の「有機層」には、有機フィルム(例えば、有機樹脂フィルム)等が含まれる。
このようにすれば、割断後のガラスフィルムの表面又は裏面を有機層によって保護することができるため、軌道上でのガラスフィルムの破損を低減することができる。また、割断して分離したガラスフィルムを巻芯の回りにロール状に巻き取る場合には、有機層がロール状に巻き取ったガラスフィルムの相互間に介在されることになるので、ガラスフィルム同士の接触を防止することができる。なお、この場合、有機層に代えて、紙などを別途ガラスフィルムの相互間に介在させてもよい。
また、上記の課題を解決するために創案された本発明に係るガラスフィルムロールは、ガラスフィルムを巻芯の回りにロール状に巻き取ってなるガラスフィルムロールであって、前記ガラスフィルムの幅方向端面が、局部加熱及びその加熱領域の冷却に伴って発生する熱応力により割断された割断面をなすとともに、該割断面が幅方向に直交する方向に延びる仮想線を通る垂直断面に対して傾斜した傾斜部を有することに特徴づけられる。
このような構成によれば、割断面に積極的に傾斜部が形成されるので、この傾斜部の傾きを予め把握すれば、割断後に隣接するガラスフィルムの割断面同士の干渉を回避しながら、割断後の個々のガラスフィルムを分離することができる。換言すれば、このように割断面に積極的に傾斜部を設けてその傾きが予め把握されたガラスフィルムであれば、割断後の分離時に割断面に干渉による欠けなどの欠陥の発生を低減できるため、割断面の破損強度の向上を図ることができる。また、熱応力により割断された割断面においては、微小クラックが生じておらず、鏡面もしくはこれに準じた面性状を備えた端面となっている。特に、ガラスフィルムロールの場合には、ガラスフィルムの幅方向端面に曲げに伴う応力が作用し易いため、このような幅方向端面を構成する割断面の破損強度の向上は非常に好ましいといえる。
上記の構成において、前記ガラスフィルムの幅方向両端面が、前記割断面で構成されるとともに、各々の前記割断面の前記傾斜部が、幅方向で互いに対称をなす方向に傾斜していることが好ましい。
このようにすれば、ガラスフィルムの割断面に形成される傾斜部の傾きをより容易に把握できるため、割断後に隣接するガラスフィルムを相互に分離する際に、互いの割断面同士の干渉をより確実に回避することが可能となる。したがって、ガラスフィルムの割断面の破損強度の向上に寄与し得る。
以上において、前記ガラスフィルムの厚みは、200μm以下であることが好ましい。
すなわち、ガラスフィルムの厚みが、200μm以下であれば、巻芯の回りにロール状に巻き取っていく作業を容易に行い得ることになり、収納や梱包を極めて円滑に行うことが可能となる。なお、ガラスフィルムの厚みは、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。
更に、上記の課題を解決するために創案された本発明に係るガラスフィルムは、ガラスフィルムの幅方向端面が、該幅方向に直交する方向に延びる仮想線を通る垂直断面に対して傾斜した傾斜部を有することに特徴づけられる。
このような構成によれば、ガラスフィルムの幅方向端面に積極的に傾斜部が形成されているので、この傾斜部の傾きを予め把握しておくことにより、ガラスフィルムの幅方向端面の割断時において隣接するガラスフィルムの割断面同士の干渉が回避され、その結果、干渉による欠けなどの欠陥の発生が低減されるため、幅方向端面の破損強度の向上が図られたガラスフィルムになっている。特に、ガラスフィルムのハンドリング時などにおいては、ガラスフィルムの幅方向端面に曲げに伴う応力が作用し易いため、このような幅方向端面の破損強度の向上は非常に好ましいといえる。
以上のように本発明によれば、ガラスフィルムを順次送りながら、熱応力により連続的に割断する際に、ガラスフィルムの割断面を予め定められた方向に積極的に傾斜させている。そのため、当該傾斜を考慮して割断後に隣接するガラスフィルムの軌道を予め決められた方向に相対的に離反させることができ、隣接するガラスフィルム同士の割断面の擦れ合いを可及的に低減することが可能となる。
本発明の第1実施形態に係る割断方法を体現する割断装置の一部を示す概略斜視図である。 第1実施形態に係る割断装置によって実行される割断工程を説明するための概念図である。 第1実施形態に係る割断装置によって実行される分離工程を説明するための概念図である。 第1実施形態に係る割断装置の全体構成を示す概略側面図である。 本発明の第2実施形態に係る割断方法を体現する割断装置によって実行される割断工程を説明するための概念図である。 第2実施形態に係る割断装置によって実行される分離工程を説明するための概念図である。 第2実施形態に係る割断装置の全体構成を示す概略側面図である。 本発明の第3実施形態に係る割断方法を体現する割断装置によって実行される割断工程を説明するための概念図である。 第3実施形態に係る割断装置によって実行される分離工程を説明するための概念図である。 第3実施形態に係る割断装置の全体構成を示す概略側面図である。 本発明の第4実施形態に係る割断方法を体現する割断装置の一部を示す概略側面図である。 本発明の第1〜第4実施形態における割断装置によって割断されたガラスフィルムの割断面に有機層を形成した状態を示す断面図である。 本発明の第1〜第4実施形態における割断装置によって割断されたガラスフィルムの裏面に有機層を形成した状態を示す断面図である。 ガラスフィルムの厚み方向の温度分布を、割断予定線を通る垂直断面に対して非対称とする手法の変形例を示す概念図である。 ガラスフィルムを連続的に供給する手法の変形例を示す概略側面図である。 ガラスフィルムの評価を行っている状態を示す概念図である。 従来の問題点を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態においては、FPDや有機EL照明装置或いは太陽電池に使用される厚みが200μm以下のガラスフィルムを対象とする。また、説明の便宜上、添付図面においては、ガラスフィルムの厚みを誇張して図示している。
図1は、本発明の第1実施形態に係るガラスフィルムの割断方法を体現するための割断装置を示す概略斜視図である。この割断装置1は、ガラスフィルムGを搬送する搬送手段2と、この搬送手段2上に横姿勢(例えば、水平姿勢)で載置されたガラスフィルムGに表面側からレーザービームLを照射して局部加熱を施す局部加熱手段3と、この局部加熱手段3により加熱された加熱領域Hに表面側から冷却水Wを噴射する冷却手段4とを備えている。この実施形態では、局部加熱手段3として、炭酸ガスレーザーが使用されているが、電熱線や熱風噴射などの他の局部加熱を行い得る手段であってもよい。また、冷却手段4は、エアー圧等により冷却水Wを冷媒として噴射するものであるが、この冷媒は、冷却水以外の冷却液、またはエアーや不活性ガス等の気体、若しくは気体と液体を混合したもの、更にはドライアイスや氷等の固体と前記気体及び/又は前記液体とを混合したもの等であってもよい。
搬送手段2は、相互に離隔して配置された一対のコンベア5から構成されている。この一対のコンベア5の搬送ベルト6(ローラコンベアの複数の搬送ローラでもよい)は、ガラスフィルムGを割断予定線7に沿う方向に送るように矢印a方向にそれぞれ同速度で駆動される。これらの搬送ベルト6は、それぞれの外周面がガラスフィルムGを吸着等により保持する支持面6aとされ、この支持面6aによってガラスフィルムGの割断予定線7から両側に離隔した部位を下方から支持する。なお、この状態で、ガラスフィルムGの割断予定線7の裏面側には、コンベア5の長手方向全長に亘って空間Sが形成されている。これは、局部加熱手段3による加熱や、冷却手段4による冷却によって生じる熱量が、搬送ベルト6に吸収されて熱効率が低下するのを抑制するためであるが、勿論、空間Sを省略して搬送ベルト6の支持面6aでガラスフィルムGの裏面を幅方向に亘って連続的に支持するようにしてもよい。
以上のような構成によれば、コンベア5の搬送ベルト6がガラスフィルムGを送ることにより、局部加熱手段3による加熱領域Hが冷却手段4による冷却領域Cに先立ってガラスフィルムの割断予定線7上を一端部側から走査していく。この場合、ガラスフィルムGの長手方向の一端部における割断予定線7上には、図外の亀裂形成手段によって予め初期亀裂8a(初期クラック)が形成されているので、上述の加熱領域Hと冷却領域Cとの走査時に発生する熱応力によって初期亀裂8aが進展する。これにより、割断予定線7上に表面から裏面に貫通する割断面8が形成され、ガラスフィルムGが割断予定線7に沿って連続的にフルボディ割断される。なお、同図によれば、初期亀裂8aが、ガラスフィルムGの表面における割断予定線7上の先端部に形成されているが、この初期亀裂8aは、ガラスフィルムGの表面先端部から端面に亘って形成されていてもよい。
更に、このようにして形成されたガラスフィルムGの割断面8は、図2に示すように、割断予定線7を通る垂直断面9に対して予め決められた方向(図例では、垂直断面9を境界として区分される左側の領域)に傾斜するようになっている。詳細には、局部加熱手段3による加熱と冷却手段4による冷却とによって、強制的に生じさせるガラスフィルムGの厚み方向の温度分布(図中の符号10で示す等温線で表した分布)を、割断予定線7を通る垂直断面9に対して積極的に非対称とすることで、割断面8を当該垂直断面9に対して予め決められた方向に傾斜させている。すなわち、このようにガラスフィルムGの厚み方向の温度分布を、割断予定線7を通る垂直断面9に対して積極的に非対称とすれば、この温度分布によって発生する熱応力も垂直断面9に対して非対称となり、割断面8が上述のように予め決められた方向に傾斜することとなる。
ここで、ガラスフィルムGの厚み方向の温度分布の非対称性は、この実施形態では、局部加熱手段3による加熱領域Hの幅方向中心位置を割断予定線7上に位置させた状態で、冷却手段4による冷却領域Cの幅方向中心位置を割断予定線7から距離D1だけ偏倚させることにより形成される。すなわち、このように冷却領域Cの幅方向中心位置のみを割断予定線7から偏倚させれば、加熱領域Hの幅方向中心位置と、冷却領域Cの幅方向中心位置との間にズレが生じる。そのため、割断予定線7を通る垂直断面9を境界として2つに区分される領域のうち、冷却領域Cの幅方向中心位置を偏倚させた一方側の領域が、その他方側の領域よりも相対的に強く冷却され、ガラスフィルムGの厚み方向の温度分布が、割断予定線7を通る垂直断面9に対して非対称となる。そして、この場合には、ガラスフィルムGの割断面8は、割断予定線7を通る垂直断面9を境界として2つに区分される領域のうち、冷却手段4の冷却領域Cの幅方向中心を偏倚させた領域の反対側の領域に向かって傾斜するものと考えられる。
なお、ガラスフィルムGの割断面8の傾斜は、上述のように、ガラスフィルムGの厚み方向の温度分布の非対称性に基づくものであるので、当該温度分布の非対称性を調整することで、その傾斜の大きさを調整することができる。具体的には、冷却手段4の冷却領域Cの幅方向中心位置の割断予定線7からの幅方向の偏倚距離D1の大きさや、冷却手段4から噴射される冷却水Wの噴射量を調整する。また、冷却水Wをドライアイス等の別な冷媒に変更してもよい。
以上のように割断された各ガラスフィルムGは、割断面8同士が上下方向(表裏方向)で干渉した状態となるが、各々の割断面8は予め定められた方向に傾斜しているため、両者の干渉が解除される方向も予め一義的に定まる。したがって、図3に示すように、割断された後に、隣接するガラスフィルムGの割断面同士の上下方向の干渉が解除される既定方向に従って、一方のガラスフィルムGの軌道と、他方のガラスフィルムGの軌道とを上下方向に相対的に離反させれば、隣接するガラスフィルムG同士の割断面8の擦れ合いを可及的に低減することが可能となる。なお、図例では、一方のガラスフィルム(図中右側のガラスフィルム)Gの軌道は、分離工程の前後で変化させずに、他方のガラスフィルム(図中左側のガラスフィルム)Gの軌道のみを、この一方のガラスフィルムGの軌道に対して相対的に上方に変化させている。
そして、図4に示すように、この割断装置1では、上述のような分離工程を経て2つに分離されたガラスフィルムGを、コンベア5の下流側に配置された2本の巻芯11aの回りにそれぞれロール状に巻き取ることにより、最終製品たる2つのガラスフィルムロール11を得るようにしている。なお、この実施形態では、各保護シート巻回体12から引き出された保護シート13が、それぞれのガラスフィルムGの表面側(又は裏面側)に重ねられた状態で巻芯11aの回りにロール状に巻き取られる。
また、同図に示すように、第1実施形態に係る割断装置1は、コンベア5の上流側に、割断前のガラスフィルムGを巻芯14aの回りにロール状に巻き取ってなる元ガラスフィルムロール14を更に備えており、この元ガラスフィルムロール14から引き出したガラスフィルムGがコンベア5によって横方向に連続的に送られる。なお、この実施形態では、元ガラスフィルムロール14に含まれるガラスフィルムGの表面側(又は裏面側)には保護シート13が予め重ねられており、元ガラスフィルムロール14からガラスフィルムGを引き出す際に、この保護シート13が保護シート巻回体15に巻き取られながらガラスフィルムGの表面(又は裏面)から引き剥がされる。
図5は、本発明の第2実施形態に係るガラスフィルムの割断方法を体現するための割断装置を示す概念図である。この第2実施形態に係る割断装置1が上述の第1実施形態に係る割断装置1と相違するところは、ガラスフィルムGが幅方向で3つ以上(図例では5つ)の部位に分割されるとともに、幅方向両側に割断予定線7を有する部位が、その幅方向両側に形成される割断面8が幅方向で互いに対称をなす方向に傾斜するように割断されるという点にある。詳述すると、この実施形態では、ガラスフィルムGは、幅方向両側の端縁部に、幅方向中央側の有効ガラス部Gaに比して相対的に厚肉となる耳部Gxを有している。そのため、有効ガラス部Gaにおいて、幅方向両側に割断予定線7を有する部位が形成され、当該部位が、上述のように幅方向両側に形成される割断面8が幅方向で対称をなす方向に傾斜するように割断される。これにより、図6に示すように、両側に割断面8を有するガラスフィルムGの軌道に対して、その両側に隣接する他のガラスフィルムGの軌道をそれぞれ同一方向に離反させることができる。この場合、分離後のガラスフィルムGの軌道が、相対的に表面側に離反するものと、相対的に裏面側に離反するものとが幅方向で交互に現れることになるため、各ガラスフィルムGの軌道の変更を円滑に行うことが可能となる。
そして、図7に示すように、この割断装置1では、上述のような分離工程を経て複数に分離されたガラスフィルムGのうち、耳部Gxを含む端縁部に対応する部分は、垂直下方に向かうように軌道を変化させ、下方端で幅方向に割断して廃棄処分するとともに、有効ガラス部Gaに対応する部分は、複数の巻芯11aの回りにそれぞれロール状に巻き取ることにより、最終製品たる複数のガラスフィルムロール11を得るようにしている。
この場合、コンベア5の上流側に配置された元ガラスフィルムロール14は、溶融ガラスからのダウンドロー法(オーバーフローダウンドロー法や、スロットダウンドロー法など)によるか、ガラス板を再加熱するダウンドロー法(リドロー法)によりガラスフィルムを成形する成形装置から引き出されたガラスフィルムGを、耳部Gxを切除することなく巻芯14aの回りにロール状に巻き取ることにより製作される。
図8は、本発明の第3実施形態に係るガラスフィルムの割断方法を体現するための割断装置を示す概念図である。この第3実施形態に係る割断装置1が上述の第2実施形態に係る割断装置1と相違するところは、ガラスフィルムGが幅方向で3つ以上(図例では3つ)の部位に分割する際に、全ての割断面8を、割断予定線7を通る垂直断面9に対して同方向に傾斜させた点にある。この場合、図9に示すように、ガラスフィルムGの一方側の端縁部から他方側の端縁部に向かって、割断されたそれぞれのガラスフィルムGの軌道を全て同方向(上方又は下方)に離反させることができる。また、図10に示すように、上述のような分離工程を経て分離された複数のガラスフィルムGは、それぞれ巻芯11aの回りにそれぞれロール状に巻き取られ、最終製品たる複数のガラスフィルムロール11が製作される。
図11は、本発明の第4実施形態に係るガラスフィルムの割断方法を体現するための割断装置を示す概略側面図である。この第4実施形態に係る割断装置1が上述の第1〜第3実施形態に係る割断装置1と相違するところは、基本的には、一のコンベア5の搬送ベルト6と、他のコンベア5zの搬送ベルト6zとによって、ガラスフィルムGが挟持された状態で支持されている点にあり、更なる相違点として、ガラスフィルムGが縦姿勢で下方に向かって送られる点にある。したがって、この両搬送ベルト6,6zは対向して配置され、それぞれがa方向及びb方向に同速度で駆動されている。なお、搬送ベルト6,6z上でのガラスフィルムGの姿勢は、特に限定されず、平置き姿勢(水平姿勢)であっても、また、ガラスフィルムGの長手方向の中心線が水平に対して傾斜していても、この構成を適用することが可能である。
図12は、以上の実施形態における割断装置1によって割断されたガラスフィルムGの割断面8に、有機層(好ましくは有機樹脂層)16を形成したものである。なお、図例では、ガラスフィルムGの幅方向両端に割断面8を有するため、当該両端に有機層16を形成したが、ガラスフィルムGの幅方向一端にのみ割断面8を有する場合には、当該一端にのみ有機層16を形成してもよい。このようにすれば、ガラスフィルムGの割断面の強度が高められ、または新たな欠陥の防止・保護により強度低下を防げるため、厚みが200μm以下のガラスフィルムGにおいては、撓みに対して十分な強度を確保することができ、薄肉のガラスフィルムGが有するフレキシビリティを有効に活用することができる。なお、有機樹脂を割断面8に塗布して有機層16を形成する場合には、有機樹脂として、例えば、シリコーンポリマー、ゾル・ゲルポリマー、ポリカーボネート、ポリエーテル・サルホン、ポリアクリレート、ポリイミド、シクロオレフィン共重合体、ポリアリレート、シリコーン樹脂などが利用できる。
図13は、以上の実施形態における割断装置1によって割断されたガラスフィルムGの裏面に、有機層(好ましくは有機樹脂層)16を形成したものである。このようにした場合であっても、ガラスフィルムGの裏面の強度が高められ、または保護することで強度低下を防ぐことにより、撓みに対して十分な強度を確保することができ、薄肉のガラスフィルムGが有するフレキシビリティを有効に活用することができる。なお、図例では、ガラスフィルムGの裏面に有機層16を形成しているが、ガラスフィルムGの表面のみ又は表面と裏面の双方に有機層16を形成してもよい。なお、有機層16として有機フィルムを利用する場合には、有機フィルムとして、例えば、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、及びこれらの共重合体を利用することができる。
また、ガラスフィルムGの割断面8に、破損の原因となり得る先鋭部が形成される場合には、割断面8の先鋭部をフッ酸などの酸によって溶解したり、或いは、高温で再溶融することで、当該先鋭部に丸みを付与してもよい。このようにすれば、割断面8の欠けを防止することができるので、割断面8の更なる強度向上、または割断面8を保護することで強度低下の防止を図ることができる。
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の形態において実施することができる。上記の実施形態では、ガラスフィルムGの割断面を予め決められた方向に傾斜させるために、局部加熱手段3による加熱領域Hの幅方向中心位置を割断予定線7上に位置させた状態で、冷却手段4による冷却領域Cの幅方向中心位置を割断予定線7から偏倚させ、ガラスフィルムGの温度分布が割断予定線7を通る垂直断面9に対して非対称となるようにする場合を説明したが、これに限られるものではない。例えば、図14に示すように、コンベア5の搬送ベルト6を金属等の熱伝導性部材で構成するとともに、割断予定線7を挟んで対向する一対のコンベア5のうち、一方側を他方側よりも割断予定線7側に接近させれば、ガラスフィルムGの温度分布が割断予定線7を通る垂直断面に対して非対称となって、割断面8が所定方向に傾斜する。すなわち、一方側のコンベア5の搬送ベルト6と割断予定線7との幅方向離間距離をD2とし、他方側のコンベア5の搬送ベルト6と割断予定線7との幅方向離間距離をD3とした場合、D2<D3(好ましくは、D3/D2>2)となるようにすればよい。このようにすれば、熱伝導性部材で構成された搬送ベルト6と、ガラスフィルムGとが密着している部分では、ガラスフィルムGの厚み方向に伝搬する熱の伝搬速度が速くなる。そのため、割断予定線7に対して非対称となるように(D2≠D3となるように)、搬送ベルト6をガラスフィルムGに密着させれば、割断予定線7を境界として区分される2つの領域のうち、割断予定線7に搬送ベルト6を接近させた領域の一方側の領域が、他方側の領域に対して相対的に熱の伝達速度が速くなる。その結果、局部加熱手段3による加熱および冷却手段4による冷却による熱によって生じるガラスフィルムGの厚み方向の温度分布が、熱の伝達速度が速くなる領域側に偏り、割断予定線7を通る垂直断面9に対して非対称となる。なお、この場合には、ガラスフィルムGの割断面8は、割断予定線7を通る垂直断面9を境界として2つに区分される領域のうち、割断予定線7に相対的に接近させた一方の搬送ベルト6が位置する側に向かって傾斜するものと考えられる。
また、上記の実施形態では、元ガラスフィルムロール14からガラスフィルムGを引き出すことにより、ガラスフィルムGを連続的に供給する場合を説明したが、図15に示すように、図示しない溶融ガラスからのダウンドロー法(オーバーフローダウンドロー法や、スロットダウンドロー法など)によるか、ガラス板を再加熱するダウンドロー法(リドロー法)よりガラスフィルムGを成形する成形装置17から下方に引き出されたガラスフィルムGを変換ローラ18によって滑らかに湾曲させることで、コンベア5に対して横方向に送るようにしてもよい。
本発明の実施例では、長辺が200m、短辺が800mm(有効ガラス部の幅が750mm)、有効ガラス部の厚みが100μmの無アルカリガラスフィルムを、図6に示す態様に従って、150mm/秒の送り速度で水平方向に送りながら、有効ガラス部を250mm幅、耳部を含む両端縁部を25mm幅にそれぞれ連続的に割断した。更に、割断したガラスフィルムは、それぞれの軌道を分離した後、250mm幅の有効ガラス部については、表面に幅260mmのPETフィルムを貼着してから、直径200mmの巻芯の回りに巻き取ることにより、ガラスフィルムロールを得た。一方、耳部を含む両端縁部は、その軌道を垂直下方に向かうように変化させて、下方端で幅方向に割断して廃棄処分した。
このような割断に際しては、無アルカリガラスフィルムの割断予定線上に初期亀裂を入れた後、局部加熱手段として炭酸ガスレーザーを使用して、出力20Wにて割断予定線上に照射し、続けて、冷却手段として、冷却水を割断予定線上に噴射しながら、連続的にフルボディ割断した。割断中においては、図5及び図6に示した態様にて、割断面が予め決められた方向に傾斜するように、冷却手段による冷却位置や、冷却水の噴射量を調整した。そして、割断後の分離工程において、各ガラスフィルムの割断面の傾斜に伴う干渉が解除される方向に、各ガラスフィルムの軌道を離反させた。
その結果、分離工程において、各ガラスフィルムは破損することなく、暗室中で20万ルクスの光源にて目視検査を行ったがガラス粉の発生も認められなかった。更に、ここで得られたガラスフィルムの巻回体から、幅20mmのガラスフィルムのサンプルSaを50本採取し、図16に示すように、これらのサンプルSaを順次、2枚の板状体19で挟み且つU字状に50mm/分の速度で長手方向に曲げが生じるように押し曲げいく2点曲げにより強度を評価した。この評価は、押し曲げにより破損したときの2枚の板状体19の間隔に基づいて破壊強度を算出することによって行った。その結果、当該破壊強度は、最低値が230MPa、平均値が500MPaという良好な結果を得た。
1 割断装置
2 搬送手段
3 局部加熱手段
4 冷却手段
5 コンベア
6 搬送ベルト
6a 支持面
7 割断予定線
8 割断面
8a 初期亀裂
9 垂直断面
11 ガラスフィルムロール
14 元ガラスフィルムロール
17 成形装置
G ガラスフィルム
H 加熱領域
C 冷却領域

Claims (15)

  1. ガラスフィルムを送りながら、該送り方向に延びる割断予定線に沿う局部加熱及びその加熱領域の冷却に伴って発生する熱応力により、前記割断予定線に沿って前記ガラスフィルムを連続的に割断して、該ガラスフィルムを幅方向に分割するガラスフィルムの割断方法において、
    割断面が、前記割断予定線を通る垂直断面に対して予め決められた方向に傾斜するように、前記ガラスフィルムを連続的に割断する割断工程と、割断後の隣接するガラスフィルムの割断面同士の前記傾斜に伴う干渉が生じないように、隣接する一方の前記ガラスフィルムの軌道を、隣接する他方の前記ガラスフィルムの軌道に対して相対的に表面側又は裏面側のいずれか一方に離反させる分離工程とを備えていることを特徴とするガラスフィルムの割断方法。
  2. 前記割断工程では、前記熱応力を発生させる際に前記ガラスフィルムの厚み方向の温度分布を、前記割断予定線を通る垂直断面に対して非対称とすることで、前記割断面を傾斜させることを特徴とする請求項1に記載のガラスフィルムの割断方法。
  3. 前記ガラスフィルムに、前記割断予定線に対して非対称に熱伝導性部材を密着させることにより、前記温度分布を、前記割断予定線を通る垂直断面に対して非対称とすることを特徴とする請求項2に記載のガラスフィルムの割断方法。
  4. 前記局部加熱による加熱領域の幅方向中心位置を前記割断予定線に一致させた状態で、前記冷却による冷却領域の幅方向中心位置を前記割断予定線から偏倚させることにより、前記温度分布を、前記割断予定線を通る垂直断面に対して非対称とすることを特徴とする請求項2に記載のガラスフィルムの割断方法。
  5. 前記割断工程では、前記ガラスフィルムが幅方向で3つ以上の部位に分割されるとともに、幅方向両側に前記割断予定線を有する部位は、その幅方向両側に形成される前記割断面が幅方向で互いに対称をなす方向に傾斜するように割断されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラスフィルムの割断方法。
  6. 前記分離工程で離反させた各々の前記ガラスフィルムが、巻芯の回りにロール状に巻き取られることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラスフィルムの割断方法。
  7. 巻芯の回りにロール状に割断前の前記ガラスフィルムを巻き取ってなる元ガラスフィルムロールを製作するとともに、前記割断工程において、該元ガラスフィルムロールから引き出した前記ガラスフィルムを供給することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラスフィルムの割断方法。
  8. 前記局部加熱が、レーザーによって行われることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラスフィルムの割断方法。
  9. 割断後の前記ガラスフィルムの前記割断面に有機層を形成することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のガラスフィルムの割断方法。
  10. 割断後の前記ガラスフィルムの表面又は裏面の少なくとも一方に有機層を形成することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のガラスフィルムの割断方法。
  11. 前記ガラスフィルムの厚みが200μm以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のガラスフィルムの割断方法。
  12. ガラスフィルムを巻芯の回りにロール状に巻き取ってなるガラスフィルムロールであって、
    前記ガラスフィルムの幅方向端面が、局部加熱及びその加熱領域の冷却に伴って発生する熱応力により割断された割断面をなすとともに、該割断面が幅方向に直交する方向に延びる仮想線を通る垂直断面に対して傾斜した傾斜部を有することを特徴とするガラスフィルムロール。
  13. 前記ガラスフィルムの幅方向両端面が、前記割断面で構成されるとともに、各々の前記割断面の前記傾斜部が、幅方向で互いに対称をなす方向に傾斜していることを特徴とする請求項12に記載のガラスフィルムロール。
  14. 前記ガラスフィルムの厚みが200μm以下であることを特徴とする請求項12又は13に記載のガラスフィルムロール。
  15. 幅方向端面が、該幅方向に直交する方向に延びる仮想線を通る垂直断面に対して傾斜した傾斜部を有することを特徴とするガラスフィルム。
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