JP2011213940A - ポリ乳酸系樹脂組成物およびそれからなる延伸成形容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】幅広い成形温度において、延伸成形加工性に優れたポリ乳酸樹脂組成物を提供する。
【解決手段】D体含有量が1.0モル%以下であるか、または99.0モル%以上であるポリ乳酸樹脂を主成分とする樹脂組成物であって、示差走査熱量計によって測定される(結晶化温度+20℃)における等温結晶化の発熱量が最大値を示すまでの時間が1.5〜100分であるポリ乳酸樹系樹脂組成物およびそのポリ乳酸系樹脂組成物からなる延伸成形容器。
【選択図】なし
【解決手段】D体含有量が1.0モル%以下であるか、または99.0モル%以上であるポリ乳酸樹脂を主成分とする樹脂組成物であって、示差走査熱量計によって測定される(結晶化温度+20℃)における等温結晶化の発熱量が最大値を示すまでの時間が1.5〜100分であるポリ乳酸樹系樹脂組成物およびそのポリ乳酸系樹脂組成物からなる延伸成形容器。
【選択図】なし
Description
本発明は、幅広い成形条件において、耐熱性およびガスバリア性に優れた延伸成形容器の作製を可能にするポリ乳酸系樹脂組成物に関するものである。
一般に、成形用の原料としては、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン6、ナイロン66等)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリカーボネート樹脂等が使用されている。このような樹脂から製造された成形物は成形性、機械的強度に優れているが、廃棄する際、ゴミの量を増やすうえに、自然環境下で殆ど分解されないために、埋設処理しても半永久的に地中に残留する。
そこで、近年、環境保全の見地から、生分解性ポリエステル樹脂が注目されている。中でも、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート等は、大量生産可能なためコストも安く、有用性が高い。特に、ポリ乳酸樹脂は既にトウモロコシやサツマイモ等の植物を原料として工業生産が可能となっており、使用後に焼却されても、これらの植物の生育時に吸収した二酸化炭素を考慮すると、炭素の収支として中立であることから、地球環境への負荷の低い樹脂とされている。
ポリ乳酸樹脂は、結晶化を進めることによってガスバリア性、耐熱性を高めることが可能であるが、ポリ乳酸樹脂の結晶化速度は、著しく遅い。そのため、ポリ乳酸樹脂を、化粧品容器や食品保存容器等の流動体保存容器として使用するにはガスバリア性が不足し、また耐熱性が不十分であるので高い温度において使用すると変形する。さらに、高温時の剛性が低いために高温でブロー容器を成形したときの成形加工性が低い等、実用上の問題点があり、用途に制限があった。
これまでに、ポリ乳酸系樹脂の結晶化を進める方法として、有機化合物の添加により結晶化度を向上させる技術(特許文献1)、結晶核剤や結晶化促進剤の添加により結晶化度を向上させる技術(特許文献2)、延伸により結晶配向性と結晶化度を向上させる技術(特許文献3)、結晶化速度の速いポリマーとのアロイを用いる技術(特許文献4)、層状珪酸塩を分散させることで結晶化度を向上させる技術(特許文献5)等が知られている。
しかし、いずれの方法においても、もともと射出成形を想定した樹脂の結晶化を進める方法であるため、そのまま延伸成形に応用できるものではなかった。そのため樹脂の結晶化速度が速すぎて成形加工の最中に急速な結晶化が起こりうまく成形できない、逆に結晶化速度が遅すぎて十分な耐熱性が得られない、あるいは成形サイクルに長時間要する等、成形加工性および耐熱性の両方に優れた容器を製造することは困難であった。
そこで、本発明者らは延伸成形に応用できるポリ乳酸樹脂組成物および成形方法を開示している。(特許文献6)
しかしながら、特許文献6記載の樹脂組成物では、成形時の金型温度を120℃まで上げなければならず、成形条件が制限されていた。そのため、特許文献6記載の樹脂組成物を用いて、異なる成形条件において成形をおこなった場合、良好な成形体を得ることができなかった。
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決し、幅広い成形条件において、耐熱性およびガスバリア性に優れた延伸成形容器の成形加工に適した樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決し、幅広い成形条件において、耐熱性およびガスバリア性に優れた延伸成形容器の成形加工に適した樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、D体含有量を制御したポリ乳酸樹脂を用いて結晶化速度を制御することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)D体含有量が1.0モル%以下であるか、または99.0モル%以上であるポリ乳酸樹脂を主成分とする樹脂組成物であって、示差走査熱量計によって測定される(結晶化温度+20℃)における等温結晶化の発熱量が最大値を示すまでの時間が1.5〜100分であるポリ乳酸樹系樹脂組成物。
(2)(1)記載の樹脂組成物からなる延伸成形容器。
(1)D体含有量が1.0モル%以下であるか、または99.0モル%以上であるポリ乳酸樹脂を主成分とする樹脂組成物であって、示差走査熱量計によって測定される(結晶化温度+20℃)における等温結晶化の発熱量が最大値を示すまでの時間が1.5〜100分であるポリ乳酸樹系樹脂組成物。
(2)(1)記載の樹脂組成物からなる延伸成形容器。
本発明によれば、幅広い成形温度において、延伸成形加工性に優れたポリ乳酸樹脂組成物が提供される。また、この樹脂組成物は、延伸成形等により、耐熱性およびガスバリア性に優れた延伸成形容器とすることができる。この容器は、化粧品容器や食品保存容器等の流動体保存容器として良好に使用でき、産業上の利用価値は極めて高い。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂を主成分とする樹脂組成物である。
本発明において、ポリ乳酸樹脂は、D体含有量が1.0モル%以下であるか、または、D体含有量が99.0モル%以上であることが必要である。D体含有量がこの範囲外であるポリ乳酸樹脂を用いて場合、得られる容器等の成形体は、成形性が悪く、耐熱性やバリア性に劣るものとなる。中でも、D体含有量は0.1〜0.6モル%であるか、または、99.4〜99.9モル%であることが好ましい。
本発明に用いるポリ乳酸樹脂としては、市販の各種ポリ乳酸樹脂のうち、D体含有量が本発明で規定する範囲のポリ乳酸樹脂を用いることができる。例えば、D体含有量が1.0モル%を超えるポリ乳酸樹脂を用いてもよく、このようなポリ乳酸樹脂と、本発明で規定するD体含有量を満足するポリ乳酸樹脂とを用いて得られるポリ乳酸樹脂において、そのD体含有量が1.0モル%以下であればよい。同様に、ポリ乳酸樹脂を構成するポリ乳酸樹脂として、D体含有量が99.0%未満のポリ乳酸樹脂を用いてもよく、組み合わせて得られるポリ乳酸樹脂において、そのD体含有量が99.0%以上であればよい。また、乳酸の環状2量体であるラクチドのうち、D体含有量が十分に低いL−ラクチド、または、L体含有量が十分に低いD−ラクチドを原料に用い、公知の溶融重合法で、あるいは、さらに固相重合法を併用して製造したものを用いてもよい。
本発明において、ポリ乳酸樹脂のD体含有量とは、ポリ乳酸樹脂を構成する総乳酸単位のうち、D乳酸単位が占める割合(モル%)である。したがって、例えば、D体含有量が1.0モル%のポリ乳酸樹脂の場合、このポリ乳酸樹脂は、D乳酸単位が占める割合が1.0モル%であり、L乳酸単位が占める割合が99.0モル%である。
ポリ乳酸樹脂のD体含有量は、後述するように、ポリ乳酸樹脂を分解して得られるL乳酸とD乳酸を全てメチルエステル化し、L乳酸のメチルエステルとD乳酸のメチルエステルとをガスクロマトグラフィー分析機で分析する方法により算出するものである。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、結晶核剤、充填材、植物繊維、強化繊維、耐候剤、可塑剤、滑剤、架橋剤、離型剤、帯電防止剤、耐衝撃剤、相溶化剤等の添加剤を配合することができる。
熱安定剤や酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物等が挙げられる。
結晶核剤としては、有機アミド化合物、有機ヒドラジド化合物、カルボン酸エステル系化合物、有機スルホン酸塩、フタロシアニン系化合物、メラミン系化合物、有機ホスホン酸塩等が挙げられる。
充填材としては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、アルミナ、マグネシア、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、炭素繊維、層状珪酸塩等が挙げられる。
可塑剤としては、脂肪族エステル誘導体または脂肪族ポリエーテル誘導体から選ばれた1種以上の可塑剤等が挙げられる。具体的な化合物としては、グリセリンジアセトモノカプレート、グリセリンジアセトモノラウレート等が挙げられる。
滑剤としては、各種カルボン酸系化合物等が挙げられる。中でも、各種脂肪酸金属塩が好ましく、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等がより好ましい。
架橋剤としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物、イソシアネート化合物、グリシジル化合物等が挙げられる。具体的な化合物としては、エチレングリコールジメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
離型剤としては、各種カルボン酸系化合物が挙げられる。中でも、各種脂肪酸エステル、各種脂肪酸アミド等が好ましい。
耐衝撃剤としては、特に限定されず、コアシェル型構造を持つ(メタ)アクリル酸エステル系耐衝撃剤等が挙げられる。市販品としては、三菱レイヨン社製メタブレンシリーズ等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物において、tmaxは1.5分〜100分であることが必要であり、1.7分〜100分が好ましく、5分〜50分がより好ましい。tmaxが1.5分未満であると、延伸成形時に急速な結晶化が起こり、成形品に肉厚ムラや変形が生じやすい。また、tmaxが100分を超えると、成形時に高温金型内で固化が進まず、耐熱性やガスバリア性が不十分なものとなりやすいので好ましくない。
樹脂組成物のtmaxは、後述するように、示差走査熱量計を用いて融点以上に昇温し、その後、(結晶化温度+20℃)に降温し、その温度を保持して樹脂を等温結晶化させた時の、等温結晶化の温度(結晶化温度+20℃)に到達してから発熱量が最大値となるまでの時間として測定されるものである。
樹脂組成物のtmaxは、溶融状態の樹脂を冷却するときに起こる結晶化の際の結晶化速度の指標とすることができる。なお、樹脂組成物のtmaxは、ポリ乳酸樹脂のD体含有量を1.0モル%以下にするか、または99.0モル%以上とすることにより、1.5〜100分の範囲に調整することができる。この時、結晶核剤、充填剤、可塑剤、架橋剤等を適宜選択し、その種類や濃度を変更することにより、tmaxを1.5〜100分の範囲内において、その数値を調整することができる。例えば、タルクを添加剤として用いた場合、tmaxを本発明の範囲にするためには、タルクを樹脂組成物に対して10重量%以下で添加すればよい。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない限り、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸エステル)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、およびそれらの共重合体等の非脂肪族ポリエステル樹脂を添加してもよい。
本発明の樹脂組成物は、結晶化速度が速いため、延伸成形容器用として好適である。
本発明の樹脂組成物を用いた延伸成形容器の成形方法は特に限定されず、公知のブロー成形方法により、延伸成形容器を製造することができる。
ブロー成形法としては、例えば原料チップの溶融後に溶融パリソンを成形し直ちにブロー成形をおこなうダイレクトブロー法や、まず射出成形で予備成形体を成形して次いでブロー形をおこなう射出ブロー成形法を採用することができる。また予備成形体を成形後に連続してブロー成形をおこなうホットパリソン法、予備成形体を冷却し取り出してから再度加熱してブロー成形をおこなうコールドパリソン法のいずれの方法も採用できる。
本発明では、樹脂の結晶化度を向上させて容器の耐熱性およびガスバリア性を向上させるために、容器を構成する成形体を、結晶化温度±30℃の範囲内の温度で延伸成形後さらに同温度範囲内で熱処理して結晶化を促進することが好適である。熱処理工程は、成形加工と同時でもあるいは成形加工後でも構わない。上述のブロー成形において、成形金型の温度を上記範囲内に設定した場合は、成形加工と同時に熱処理がおこなわれることになるので工程が簡略化されてより好ましい。本発明の樹脂組成物を用いることで、成形加工と同時の熱処理工程で起こる急速な結晶化による成形の不具合の問題を回避でき、目的の成形体を得ることができる。成形金型の温度を上記範囲より低く設定した場合は、結晶化が困難になり得られる容器の耐熱性およびガスバリア性が不十分となることがある。したがって成形加工後に上記範囲で熱処理することで、樹脂の結晶化度を向上させて容器の耐熱性およびガスバリア性を向上させることができる。一方、成形金型の温度を上記範囲より高く設定した場合は、偏肉が生じる等の成形加工性の問題が発生する可能性がある。
延伸成形容器としては、流動体用容器等が挙げられる。その形態は、特に限定されないが、流動体を収容するためには深さ20mm以上に成形されていることが好ましい。容器の厚さは、特に限定しないが、必要強度から考えて0.2mm以上が好ましく、0.5〜5mmがより好ましい。流動体用容器の具体例としては、乳製品や清涼飲料水や酒類等の飲料用コップおよび飲料用ボトル、醤油、ソース、マヨネーズ、ケチャップ、食用油等の調味料の一時保存容器、シャンプー・リンス等の容器、化粧品用容器、農薬用容器等が挙げられる。
なお、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、射出成形、押出成形等の成形方法により、各種成形体とすることもできる。すなわち、射出成形してなる成形体、あるいは、押出し成形してなるフィルム、シート、および、これらフィルム、シートから加工してなる成形体等とすることができる。
これらの成形体の具体例としては、パソコン筐体部品および筐体、携帯電話筐体部品および筐体、その他OA機器筐体部品、コネクター類等の電化製品用樹脂部品、バンパー、インストルメントパネル、コンソールボックス、ガーニッシュ、ドアトリム、天井、フロア、エンジン周りのパネル等の自動車用樹脂部品をはじめ、コンテナーや栽培容器等の農業資材や農業機械用樹脂部品、浮きや水産加工品容器等の水産業務用樹脂部品、皿、コップ、スプーン等の食器や食品容器、注射器や点滴容器等の医療用樹脂部品、ドレーン材、フェンス、収納箱、工事用配電盤等の住宅・土木・建築材用樹脂部品、花壇用レンガ、植木鉢等の緑化材用樹脂部品、クーラーボックス、団扇、玩具等のレジャー・雑貨用樹脂部品、ボールペン、定規、クリップ等の文房具用樹脂部品等が挙げられる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお。各種物性測定および評価は以下の通りにおこなった。
1.評価項目
(1)D体含有量
ポリ乳酸樹脂を0.3g秤量し、1N−水酸化カリウム/メタノール溶液6mlに加え、65℃にて充分撹拌した。次いで、硫酸450μlを加えて、65℃にて撹拌し、ポリ乳酸樹脂を分解させ、サンプルとして5mlを計り取った。このサンプルに純水3ml、および、塩化メチレン13mlを混合して振り混ぜた。静置分離後、下部の有機層を約1.5ml採取し、孔径0.45μmのHPLC用ディスクフィルターでろ過後、HewletPackard製HP−6890SeriesGCsystemを用いてガスクロマトグラフィー測定した。乳酸メチルエステルの全ピーク面積に占めるD−乳酸メチルエステルのピーク面積の割合(%)を算出し、これをポリ乳酸樹脂のD体含有量(モル%)とした。
(1)D体含有量
ポリ乳酸樹脂を0.3g秤量し、1N−水酸化カリウム/メタノール溶液6mlに加え、65℃にて充分撹拌した。次いで、硫酸450μlを加えて、65℃にて撹拌し、ポリ乳酸樹脂を分解させ、サンプルとして5mlを計り取った。このサンプルに純水3ml、および、塩化メチレン13mlを混合して振り混ぜた。静置分離後、下部の有機層を約1.5ml採取し、孔径0.45μmのHPLC用ディスクフィルターでろ過後、HewletPackard製HP−6890SeriesGCsystemを用いてガスクロマトグラフィー測定した。乳酸メチルエステルの全ピーク面積に占めるD−乳酸メチルエステルのピーク面積の割合(%)を算出し、これをポリ乳酸樹脂のD体含有量(モル%)とした。
(2)融点と結晶化温度
試料を水分率300ppm以下に乾燥した後、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC7)を用い、25℃から200℃に10℃/分で昇温し、その温度を10分間維持した。その後−55℃まで10℃/分で降温し、再び200℃まで10℃/分で昇温した。降温時に得られた発熱ピークのトップを結晶化温度とし、2回目の昇温時に得られた吸熱ピークのトップを融点とした。
試料を水分率300ppm以下に乾燥した後、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC7)を用い、25℃から200℃に10℃/分で昇温し、その温度を10分間維持した。その後−55℃まで10℃/分で降温し、再び200℃まで10℃/分で昇温した。降温時に得られた発熱ピークのトップを結晶化温度とし、2回目の昇温時に得られた吸熱ピークのトップを融点とした。
(3)tmax
試料を水分率300ppm以下に乾燥した後、示差走査熱量計を用いて融点以上に昇温し、その温度を10分間維持した。その後、(結晶化温度+20℃)に降温し、その温度を保持して等温結晶化させた。この等温結晶化の温度(結晶化温度+20℃)に到達してから、結晶化による発熱量が最大値となるまでの時間をtmaxとした。tmaxが小さいほど結晶化速度が速い樹脂といえる。比較例1では、結晶化速度が遅く結晶化温度の値が測定できないため、等温結晶化の温度を130℃とした。
試料を水分率300ppm以下に乾燥した後、示差走査熱量計を用いて融点以上に昇温し、その温度を10分間維持した。その後、(結晶化温度+20℃)に降温し、その温度を保持して等温結晶化させた。この等温結晶化の温度(結晶化温度+20℃)に到達してから、結晶化による発熱量が最大値となるまでの時間をtmaxとした。tmaxが小さいほど結晶化速度が速い樹脂といえる。比較例1では、結晶化速度が遅く結晶化温度の値が測定できないため、等温結晶化の温度を130℃とした。
(4)酸素透過量
成形したボトル(内容量130ml、厚み1.1mm)について、窒素ガスチャンバーを用いて窒素ガス置換後、ゴム栓で密栓し、20℃、相対湿度60%の条件下にて30日間保存した。ガスタイトシリンジを用いてボトル内のガスを採取し、ガスクロマトグラフ(熱伝導度検出器)にてボトル内の酸素濃度の変化を測定した。得られた測定値から、一日あたりの酸素透過量を求め、3段階で評価した。この値が小さいほどガスバリア性が良好であるといえる。
○:0.07ml・day−1・bottle−1未満
△:0.07ml・day−1・bottle−1以上、0.1ml・day−1・bottle−1未満
×:0.1ml・day−1・bottle−1以上
成形したボトル(内容量130ml、厚み1.1mm)について、窒素ガスチャンバーを用いて窒素ガス置換後、ゴム栓で密栓し、20℃、相対湿度60%の条件下にて30日間保存した。ガスタイトシリンジを用いてボトル内のガスを採取し、ガスクロマトグラフ(熱伝導度検出器)にてボトル内の酸素濃度の変化を測定した。得られた測定値から、一日あたりの酸素透過量を求め、3段階で評価した。この値が小さいほどガスバリア性が良好であるといえる。
○:0.07ml・day−1・bottle−1未満
△:0.07ml・day−1・bottle−1以上、0.1ml・day−1・bottle−1未満
×:0.1ml・day−1・bottle−1以上
(5)水蒸気透過率
成形したボトル(内容量130ml、厚み1.1mm)に純水を充填して密封し、50℃の乾燥機中にて30日間保存し、内容物の質量を測定した。得られた測定値から減少率を求め、3段階で評価した。この値が小さいほど、ガスバリア性が良好であるといえる。
○:2.5重量%未満
△:2.5重量%以上、3重量%未満
×:3重量%以上
成形したボトル(内容量130ml、厚み1.1mm)に純水を充填して密封し、50℃の乾燥機中にて30日間保存し、内容物の質量を測定した。得られた測定値から減少率を求め、3段階で評価した。この値が小さいほど、ガスバリア性が良好であるといえる。
○:2.5重量%未満
△:2.5重量%以上、3重量%未満
×:3重量%以上
(6)耐熱性
成形したボトルを、120℃のオーブン中で1時間熱処理した後の外観を目視にて観察し、以下の3段階で評価した。
○:変形なし
△:一部肉厚ムラ・変形等が生じた箇所がある
×:容器の大部分で肉厚ムラ・変形等が生じた
(7)成形性
成形したボトルに対し、成形時に目視で評価をおこなった。成形後のボトルの外観が良好で連続成形可能なものを成形性良(○)とし、肉厚ムラ・変形等が生じたものを成形性不良(×)とした。
成形したボトルを、120℃のオーブン中で1時間熱処理した後の外観を目視にて観察し、以下の3段階で評価した。
○:変形なし
△:一部肉厚ムラ・変形等が生じた箇所がある
×:容器の大部分で肉厚ムラ・変形等が生じた
(7)成形性
成形したボトルに対し、成形時に目視で評価をおこなった。成形後のボトルの外観が良好で連続成形可能なものを成形性良(○)とし、肉厚ムラ・変形等が生じたものを成形性不良(×)とした。
2.原料
<ポリ乳酸樹脂>
(1)S−06 トヨタ自動車社製 D体含有量=0.2%、MFR=4、重量平均分子量=15万、融点=167℃、結晶化温度=106℃
(2)A−1 トヨタ自動車社製 D体含有量=0.6%、MFR=2、重量平均分子量=17万、融点=172℃、結晶化温度=110℃
(3)4032D Nature Works社製 D体含有量=1.4%、MFR=2、重量平均分子量=16万、融点=167℃、結晶化温度=109℃
<ポリ乳酸樹脂>
(1)S−06 トヨタ自動車社製 D体含有量=0.2%、MFR=4、重量平均分子量=15万、融点=167℃、結晶化温度=106℃
(2)A−1 トヨタ自動車社製 D体含有量=0.6%、MFR=2、重量平均分子量=17万、融点=172℃、結晶化温度=110℃
(3)4032D Nature Works社製 D体含有量=1.4%、MFR=2、重量平均分子量=16万、融点=167℃、結晶化温度=109℃
<無機添加物>
(1)微粉タルク 林化成社製 MW HS−T、平均粒径2.5μm
(1)微粉タルク 林化成社製 MW HS−T、平均粒径2.5μm
<有機添加物>
(1)エチレングリコールジメタクリレート 日本油脂社製
(2)グリシジルメタクリレート 日本油脂社製
(3)ヘキサメチレンジイソシアネート 和光化成社製
(4)エチレンビスステアリルアミド 和光化成社製
(1)エチレングリコールジメタクリレート 日本油脂社製
(2)グリシジルメタクリレート 日本油脂社製
(3)ヘキサメチレンジイソシアネート 和光化成社製
(4)エチレンビスステアリルアミド 和光化成社製
実施例1〜7、比較例7
表1に示す割合で、各原料をドライブレンドしたのち、池貝社製PCM−30型2軸押出機(スクリュー径30mmφ、平均溝深さ2.5mm)を用いて、190℃、スクリュー回転数200rpm、滞留時間1.6分、吐出15kg/時間の条件で溶融混練し各樹脂組成物を得た。なお、樹脂組成物の組成は、得られる樹脂組成物全体が100質量%となるように設定した。
表1に示す割合で、各原料をドライブレンドしたのち、池貝社製PCM−30型2軸押出機(スクリュー径30mmφ、平均溝深さ2.5mm)を用いて、190℃、スクリュー回転数200rpm、滞留時間1.6分、吐出15kg/時間の条件で溶融混練し各樹脂組成物を得た。なお、樹脂組成物の組成は、得られる樹脂組成物全体が100質量%となるように設定した。
得られた樹脂組成物を、射出ブロー成形機(日精ASB機械社製ASB−50TH)を用い、融点以上の温度であるシリンダ設定温度200℃で溶融して10℃の金型に充填し、10秒間冷却して5mm厚の予備成形体を得た。続いて、予備成形体を120℃の温風で1分間加熱した後、80℃に設定した金型に入れ、圧力空気3.5MPaの条件下でブロー成形し、内容積130ml、厚み1.1mmのボトル容器を作製した。
表1に、樹脂組成物の樹脂組成、特性値、ボトル容器の評価結果を表1に示す。
実施例1〜12においては、D体含有量が1.0モル%以下であったため、延伸成形した容器の酸素透過量、水蒸気透過率が低くガスバリア性は良好であった。また、耐熱性、成形性も良好であった。
特に、無機添加物または有機添加物を配合した実施例2〜12は、何も配合していないものに比べて、tmaxが短く、結晶化速度が速かった。
特に、無機添加物または有機添加物を配合した実施例2〜12は、何も配合していないものに比べて、tmaxが短く、結晶化速度が速かった。
一方、比較例1〜6の樹脂組成物は、D体含有量が1.0モル%を超えていたため、成形時に固化が進まず肉厚むらが生じ、成形加工上の問題があった。また、成形中の結晶化が不十分であったため、ガスバリア性や耐熱性にも問題があった。
比較例7の樹脂組成物は、tmaxが1.5分よりも短かったため、成形時に急速な結晶化が起こり、樹脂が十分に伸びない等の成形加工上の問題があった。そのため、ガスバリア性や水蒸気透過性等の評価ができなかった。
比較例7の樹脂組成物は、tmaxが1.5分よりも短かったため、成形時に急速な結晶化が起こり、樹脂が十分に伸びない等の成形加工上の問題があった。そのため、ガスバリア性や水蒸気透過性等の評価ができなかった。
Claims (2)
- D体含有量が1.0モル%以下であるか、または99.0モル%以上であるポリ乳酸樹脂を主成分とする樹脂組成物であって、示差走査熱量計によって測定される(結晶化温度+20℃)における等温結晶化の発熱量が最大値を示すまでの時間が1.5〜100分であるポリ乳酸樹系樹脂組成物。
- 請求項1記載の樹脂組成物からなる延伸成形容器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010085123A JP2011213940A (ja) | 2010-04-01 | 2010-04-01 | ポリ乳酸系樹脂組成物およびそれからなる延伸成形容器 |
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JP2010085123A JP2011213940A (ja) | 2010-04-01 | 2010-04-01 | ポリ乳酸系樹脂組成物およびそれからなる延伸成形容器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2011213940A true JP2011213940A (ja) | 2011-10-27 |
Family
ID=44944015
Family Applications (1)
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JP2010085123A Pending JP2011213940A (ja) | 2010-04-01 | 2010-04-01 | ポリ乳酸系樹脂組成物およびそれからなる延伸成形容器 |
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Country | Link |
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-
2010
- 2010-04-01 JP JP2010085123A patent/JP2011213940A/ja active Pending
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